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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】乾燥コンテナの送風制御システム
(51)【国際特許分類】
   F26B 21/12 20060101AFI20220927BHJP
   B27K 5/00 20060101ALI20220927BHJP
   F26B 3/06 20060101ALI20220927BHJP
   F26B 9/06 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
F26B21/12
B27K5/00 F
F26B3/06
F26B9/06 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018212202
(22)【出願日】2018-11-12
(65)【公開番号】P2020079662
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】則武 宏昭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 政登
(72)【発明者】
【氏名】柏原 一仁
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-132146(JP,A)
【文献】特開2007-247941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 21/12
B27K 5/00
F26B 3/06
F26B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分を有する多数の被乾燥物を乾燥させるために内部に送風するための送風口を備えた箱状のコンテナ本体と、前記コンテナ本体の送風口に風を送り込むための送風装置と、前記コンテナ本体内の温度又は湿度を検出するセンサと、該センサからの検出値に基づいて前記送風装置を制御する制御装置と、を備え、
前記センサにより前記コンテナ本体内の温度が上がり始めたことを検出した場合、又は前記センサにより前記コンテナ本体内の湿度が下がり始めたことを検出した場合に、前記送風装置の送風量を小さくする制御を行う制御手段を前記制御装置に備えたことを特徴とする乾燥コンテナの送風制御システム。
【請求項2】
前記送風装置で送風し始めの前記コンテナ本体内の温度又は湿度を前記センサで検出し、該センサで検出した温度よりも高い温度設定値又は該センサで検出したときの湿度よりも低い湿度設定値に設定する設定手段を備え、前記制御手段は、前記設定手段により設定された温度設定値又は湿度設定値になった場合に、前記送風装置の送風量を小さくする制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の乾燥コンテナの送風制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記センサにより検出する前記コンテナ本体内の温度又は湿度に基づいて単位時間当たりに上昇した温度の変化率又は単位時間当たりに下降した湿度の変化率を求め、前記制御手段は、前記変化率が前記送風装置で送風し始めたときに求めた変化率よりも大きくなった場合に、前記送風装置の送風量を小さくする制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の乾燥コンテナの送風制御システム。
【請求項4】
前記送風装置からの送風温度を検出する送風温度センサを備え、前記コンテナ本体内の温度を検出するセンサからの検出温度が、前記送風温度センサからの検出温度と同一になったときに、前記送風装置の送風を停止させる第1停止手段を前記制御装置に備えていることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の乾燥コンテナの送風制御システム。
【請求項5】
前記センサが、前記コンテナ本体内の温度が予め設定されている設定温度に達したこと、又は前記コンテナ本体内の湿度が予め設定されている設定湿度に達したことを検出することにより、前記送風装置の送風を停止させる第2停止手段を前記制御装置に備えていることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の乾燥コンテナの送風制御システム。
【請求項6】
前記コンテナ本体には、前記送風装置からの風を前記多数の被乾燥物に案内するための気流滞留空間を備え、該気流滞留空間から前記多数の被乾燥物を跨いだ位置に前記センサを配置したことを特徴とする請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の乾燥コンテナの送風制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥コンテナの送風制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記乾燥コンテナの送風制御システムは、多数の木材チップ(被乾燥物)を乾燥させるために内部に熱風を送り込むための送風口を備えたコンテナ本体と、該コンテナ本体の送風口に熱風を送り込むための熱風送出装置と、前記コンテナ本体内の温度及び湿度を検出する温度センサ及び湿度センサと、を備えている。そして、コンテナ本体内の温度が設定温度以上になったことや、コンテナ本体内の湿度が設定湿度以下になったことを、温度センサや湿度センサにより検出することで、熱風送出装置から送風口への熱風の取り入れを停止するようにしている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-132146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、熱風送出装置を駆動してから停止するまで一定の送風量で熱風を送り続けているため、無駄にエネルギー(電力)を消費してしまうという不都合があり、早期改善が要望されている。
【0005】
そこで本発明は、無駄にエネルギー(電力)を消費することなく、被乾燥物を良好に乾燥させることができる乾燥コンテナの送風制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の乾燥コンテナの送風制御システムは、水分を有する多数の被乾燥物を乾燥させるために内部に送風するための送風口を備えた箱状のコンテナ本体と、前記コンテナ本体の送風口に風を送り込むための送風装置と、前記コンテナ本体内の温度又は湿度を検出するセンサと、該センサからの検出値に基づいて前記送風装置を制御する制御装置と、を備え、前記センサにより前記コンテナ本体内の温度が上がり始めたことを検出した場合、又は前記センサにより前記コンテナ本体内の湿度が下がり始めたことを検出した場合に、前記送風装置の送風量を小さくする制御を行う制御手段を前記制御装置に備えたことを特徴としている。
【0007】
被乾燥物は、表面に近い水分から蒸発していく。また、被乾燥物の内部にしみ込んだ水分は、表面に出るまで時間がかかる。このため、乾燥開始から乾燥終了まで一定の送風量で送風装置を運転しても、特に乾燥作業の後半において送風が過剰となってしまい、無駄にエネルギー(電力)を消費するだけである。ところで、被乾燥物の表面の水分が蒸発すると、コンテナ本体内の温度が上がり始める、又はコンテナ本体内の湿度が下がり始めることになる。そこで、センサによりコンテナ本体内の温度が上がり始めたことを検出した場合、又はセンサによりコンテナ本体内の湿度が下がり始めたことを検出した場合に、送風装置の送風量を小さくする制御を行うことによって、無駄にエネルギー(電力)を消費することを抑制できる。しかも、送風装置の送風量を小さくしても、コンテナ本体内の温度が上がり始めている、又はコンテナ本体内の湿度が下がり始めているので、被乾燥物の乾燥の進み具合が大きく減退することがない。これにより、無駄にエネルギー(電力)を消費することなく、被乾燥物を良好に乾燥させることができる。
【0008】
また、本発明の乾燥コンテナの送風制御システムは、前記送風装置で送風し始めの前記コンテナ本体内の温度又は湿度を前記センサで検出し、該センサで検出した温度よりも高い温度設定値又は該センサで検出したときの湿度よりも低い湿度設定値に設定する設定手段を備え、前記制御手段は、前記設定手段により設定された温度設定値又は湿度設定値になった場合に、前記送風装置の送風量を小さくする制御を行ってもよい。
【0009】
また、本発明の乾燥コンテナの送風制御システムは、前記制御装置が、前記センサにより検出する前記コンテナ本体内の温度又は湿度に基づいて単位時間当たりに上昇した温度の変化率又は単位時間当たりに下降した湿度の変化率を求め、前記制御手段は、前記変化率が前記送風装置で送風し始めたときに求めた変化率よりも大きくなった場合に、前記送風装置の送風量を小さくする制御を行ってもよい。
【0010】
また、本発明の乾燥コンテナの送風制御システムは、前記送風装置からの送風温度を検出する送風温度センサを備え、前記コンテナ本体内の温度を検出するセンサからの検出温度が、前記送風温度センサからの検出温度と同一になったときに、前記送風装置の送風を停止させる第1停止手段を前記制御装置に備えていてもよい。
【0011】
コンテナ本体内の温度を検出するセンサからの検出温度が、送風装置からの送風温度を検出する送風温度センサからの検出温度と同一になったときに、被乾燥物の乾燥が完了したと判断して、制御装置に備えている第1停止手段により送風装置の送風を停止させる。これ以降は、送風装置が停止しているため、エネルギー(電力)を無駄に消費することがない。
【0012】
また、本発明の乾燥コンテナの送風制御システムは、前記センサが、前記コンテナ本体内の温度が予め設定されている設定温度に達したこと、又は前記コンテナ本体内の湿度が予め設定されている設定湿度に達したことを検出することにより、前記送風装置の送風を停止させる第2停止手段を前記制御装置に備えていてもよい。
【0013】
上記のように、センサが、コンテナ本体内の温度が予め設定されている設定温度に達したこと、又はコンテナ本体内の湿度が予め設定されている設定湿度に達したことを検出することにより、被乾燥物の乾燥が完了したと判断して、制御装置に備えている第2停止手段により送風装置の送風を停止させる。これ以降は、送風装置が停止しているため、エネルギー(電力)を無駄に消費することがない。
【0014】
また、本発明の乾燥コンテナの送風制御システムは、前記コンテナ本体には、前記送風装置からの風を前記多数の被乾燥物に案内するための気流滞留空間を備え、該気流滞留空間から前記多数の被乾燥物を跨いだ位置に前記センサを配置してもよい。
【0015】
上記のように、気流滞留空間から前記多数の被乾燥物を跨いだ位置にセンサを配置することによって、乾燥が完了したことを正確に検出することができる。よって、送風装置の送風を停止させる時期を精度よく検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、センサによりコンテナ本体内の温度が上がり始めたことを検出した場合、又はセンサによりコンテナ本体内の湿度が下がり始めたことを検出した場合に、送風装置の送風量を小さくする制御を行うことによって、無駄にエネルギー(電力)を消費することなく、被乾燥物を良好に乾燥させることができる乾燥コンテナの送風制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】乾燥コンテナの送風制御システムの制御ブロック図である。
図2】乾燥コンテナを含む乾燥コンテナシステムを示す正面図である。
図3】同乾燥コンテナシステムを示す平面図であって、進退手段の退避姿勢における構成を示す平面図である。
図4】同乾燥コンテナシステムを示す平面図であって、進退手段の進出姿勢における構成を示す平面図である。
図5】同乾燥コンテナシステムを、気流供給機構と連結管を除いて示す右側面図である。
図6】同乾燥コンテナシステムに備える乾燥コンテナの2重底を形成するフレームを示す平面図である。
図7】前記進退手段周辺の構成を示す平面図である。
図8】前記進退手段周辺の構成を示す側面図である。
図9図4におけるIX-IX線断面図であって、前記乾燥コンテナに乾燥開始前のチップを収容した状態を示す断面図である。
図10図4のIX-IX線断面図であって、前記乾燥コンテナに乾燥完了後のチップを収容した状態を示す断面図である。
図11】送風装置からの送風温度に対して変化する乾燥コンテナ内の温度を示すグラフである。
図12】送風装置からの送風湿度に対して変化する乾燥コンテナ内の湿度を示すグラフである。
図13】乾燥コンテナの送風制御システムの他の形態の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る乾燥コンテナの送風制御システムについて説明する。なお、説明の都合上、以下の方向の表現は、上下方向については図2に示す方向を基準とする。また、前後方向については、図2及び図3に示す状態における左方が車載時に車両前方に位置することから前方とし、同右方が車載時に車両後方に位置することから後方とする。また、幅方向とは車載時の車幅方向に一致する方向である。
【0019】
水分を有する多数の被乾燥物は、ここでは多数の粒状体である木材チップ(以下「チップ」)であり、これらを収容する乾燥コンテナ1は、図2及び図3に示すような乾燥コンテナシステムSの一構成要素である。この乾燥コンテナシステムSに、図1に示すセンサ16と、送風装置18と、制御装置19と、を加えることにより、乾燥コンテナの送風制御システムを構成する。前記乾燥コンテナシステムSは主に、乾燥コンテナ1、気流供給機構2、連結管3から構成されている。乾燥コンテナ1は、後述するコンテナ本体11を備え、図示していない車両に搭載可能に構成されている。乾燥コンテナ1内に収容された多数のチップは送風により、外面に付着した水分及び木材組織内に含まれた水分(分子レベルの水分を含む)が蒸発することで乾燥させられる。乾燥したチップは、例えば木質バイオマス発電に用いられる。乾燥により、発電時の燃焼がしやすくなり、かつ、水分が抜けた分軽量化されるため、例えば運搬時において有利である。
【0020】
気流供給機構2は、例えば熱風を発生できる機構であって、送風装置18(図1参照)とヒーター(図示せず)と、を備えている。また、前記制御装置19は、図1に示すように、前記センサ16からの検出値に基づいて送風装置18の送風量を小さくする制御手段23を備えている。
【0021】
前述したように被乾燥物(チップ)は、表面に近い水分から蒸発していく。また、被乾燥物の内部にしみ込んだ水分は、表面に出るまで時間がかかる。このため、乾燥開始から乾燥終了まで一定の送風量で送風装置18を運転しても、無駄にエネルギー(電力)を消費するだけである。ところで、被乾燥物の表面の水分が蒸発すると、コンテナ本体11内の温度が上がり始める、又はコンテナ本体11内の湿度が下がり始めることになる。そこで、センサ16によりコンテナ本体11内の温度が上がり始めたことを検出した場合、又はセンサによりコンテナ本体11内の湿度が下がり始めたことを検出した場合に、送風装置18の送風量を小さくする制御を行うことによって、無駄にエネルギー(電力)を消費することを抑制できる。しかも、送風装置18の送風量を小さくしても、コンテナ本体11内の温度が上がり始めている、又はコンテナ本体11内の湿度が下がり始めているので、チップ(被乾燥物)の乾燥の進み具合が大きく減退することがない。これにより、無駄にエネルギー(電力)を消費することなく、チップ(被乾燥物)を良好に乾燥させることができる。
【0022】
気流を加熱するための熱源は、例えば、他の装置の排熱を利用して加熱を行う場合、気流供給機構2の外部に設けることもできる。気流の加熱温度及び加熱時間は、乾燥コンテナ1に収容されたチップの乾燥度合や収容量に応じて適宜設定することになる。また、状況によっては加熱を行わず、送風だけを行うこともできる。連結管3は、気流供給機構2で生じた気流(熱風)を乾燥コンテナ1に送るため、乾燥コンテナ1と気流供給機構2とを連結する管であって、パイプやホースを用いることができる。本実施形態では、横断面形状が円形のホース(ダクトホース)が用いられている。
【0023】
前述したセンサ16によりコンテナ本体11内の温度が上がり始めたことを検出する、又はセンサ16によりコンテナ本体11内の湿度が下がり始めたことを検出するとは、基本的には、次の2つの手段により検出することをいう。第1の手段として、前記送風装置18で送風し始めのコンテナ本体11内の温度又は湿度をセンサ16で検出し、該センサ16で検出した温度よりも高い温度設定値又はセンサ16で検出した湿度よりも低い湿度設定値に設定する設定手段(図示せず)を備え、制御手段23は、前記設定手段により設定された温度設定値又は湿度設定値になった場合に、コンテナ本体11内の温度が上がり始めたことを検出する、又はコンテナ本体11内の湿度が下がり始めたことを検出して、送風装置18の送風量を小さくする制御を行う。前記設定手段は、センサ16で検出した温度よりも高い温度設定値又はセンサ16で検出した湿度よりも低い湿度設定値に制御装置19が自動的に設定するように構成されていてもよいし、前記高い温度設定値又は前記低い湿度設定値を人為的に(手動で)入力する構成であってもよい。具体的には、試行で(サンプリングして)得られた温度や湿度のデータから送風し始めのコンテナ本体11内の温度設定値又は湿度設定値を設定することになるが、それら送風し始めのコンテナ本体11内の温度や湿度のデータは、ブレ(ノイズ)を含んでいるため、データのブレ(ノイズ)が最も大きい最大値よりも高い値を温度設定値又は湿度設定値として予め設定しておく。又、送風し始めのコンテナ本体11内の温度のデータからブレ(ノイズ)を予測してそのブレ(ノイズ)が最も大きい最大値より高い値を、送風し始めたタイミングとして設定してもよい。温度設定値又は湿度設定値の決定は、センサ16の検出値に基づいて行う、又は送風温度センサ22の検出値に基づいて行う、又はセンサ16及び送風温度センサ22の両方の検出値に基づいて行ってもよい。
【0024】
第2の手段として、制御装置19が、センサ16により検出するコンテナ本体11内の温度又は湿度に基づいて単位時間当たりに上昇した温度又は単位時間当たりに下降した湿度の変化率を求め、制御手段23は、前記変化率が送風装置18で送風し始めたときに求めた変化率よりも大きくなった場合に、コンテナ本体11内の温度が上がり始めたことを検出する、又はコンテナ本体11内の湿度が下がり始めたことを検出して、送風装置18の送風量を小さくする制御を行う。前記変化率とは、単位(一定)時間当たりの温度上昇量又は湿度下降量である。具体的には、例えば温度の場合には、センサ16により温度を送風し始めた所定のタイミングで検出し、検出した温度に基づいて単位時間当たりに上昇した温度の変化率(又は変化量)を求め、その変化率(又は変化量)よりも高い(大きい)変化率(又は変化量)を設定値とし、センサ16により検出される温度に基づいて求めた変化率(又は変化量)が設定された前記高い変化率(又は変化量)になったときに、コンテナ本体11内の温度が上がり始めたことを検出する。この場合、高い変化率(又は変化量)の設定は、前述したようにブレ(ノイズ)を考慮して設定することになる。また、湿度の場合には、センサ16によりコンテナ本体11内の湿度を送風し始めた所定のタイミングでサンプリングしていき、それらの検出した湿度に基づいて単位時間当たりに下降する湿度の変化率(又は変化量)を求め、その変化率(又は変化量)よりも高い(大きい)変化率(又は変化量)を設定値とし、センサ16により検出される湿度に基づいて求めた変化率が設定された前記高い変化率(又は変化量)になったときに、コンテナ本体11内の湿度が下がり始めたことを検出する。この場合も、高い変化率(又は変化量)の設定は、前述したようにブレ(ノイズ)を考慮して設定することになる。このように、送風し始めの温度や湿度のデータのブレ(ノイズ)を考慮して、温度設定値又は湿度設定値又は変化率(又は変化量)を設定することによって、例えば温度が上がり始めた(湿度が下がり始めた)ことを単に検出して乾燥が安定していない状態で送風装置18の送風量を小さくしてしまい、多くの乾燥時間を無駄に費やし、乾燥効率が悪化してしまうことを防止することができる。なお、前記変化率の変動率が小さい場合には、同じような値の変動率が設定された時間以上持続されたときに、コンテナ本体11内の温度が上がり始めた、又はコンテナ本体11内の湿度が下がり始めたことを検出するように構成してもよい。
【0025】
図11のグラフでは、送風装置18に備えた送風温度センサ22により検出される送風温度L1(実線)とコンテナ本体11内に備えたセンサ16により検出される温度L2(破線)を示している。そして、図11のグラフに、前記センサ16によりコンテナ本体11内の温度が上がり始めたことを検出するタイミング時間T1を示している。このタイミング時間T1で前述のように、送風装置18の送風量を通常運転時よりも小さくする。また、図12のグラフでは、送風装置18に備えた送風湿度センサ(図示せず)により検出される送風湿度L4(破線)とコンテナ本体11内に備えたセンサ16により検出される湿度L3(実線)を示している。そして図12のグラフに、前記センサ16によりコンテナ本体11内の湿度が下がり始めたことを検出するタイミング時間T3を示している。このタイミング時間T3で前述のように、送風装置18の送風量を通常運転時よりも小さくする。なお、送風装置18の送風量は、例えば通常運転時の半分又は1/3あるいは1/4等どのような値にしてもよく、処理する被乾燥物の収容量や乾燥度合いに応じて変更可能である。前記コンテナ本体11内の温度が上がり始めたことを検出するか、又はコンテナ本体11内の湿度が下がり始めたことを検出するかのいずれかで送風装置18の送風量を通常運転時よりも小さくしているが、温度と湿度の両方を測定し、そのうちの早いタイミング時間T1又はT3(遅いタイミング時間でもよい)で送風装置18の送風量を通常運転時よりも小さくしてもよい。
【0026】
また、図11では、センサ16により検出されるコンテナ本体11内の温度L2(破線)が、送風装置18からの送風温度L1(実線)と同一になったときに(図11に示すタイミング時間T2で)、制御装置19からの信号により送風装置18の駆動を停止するように構成されている。送風装置18からの送風温度は、図5に示す送風口116に設けられた送風温度センサ22で検出される温度である。なお、送風温度センサ22は、コンテナ本体11の送風口116に設けているが、送風装置18側に設けてもよい。図1に示すように、制御装置19は、前記送風温度センサ22により検出される温度と、センサ16により検出されるコンテナ本体11内の温度とが入力され、それら2つの温度が同一になったときに、送風装置18の送風を停止させる第1停止手段20を備えている。また、図12では、センサ16により検出されるコンテナ本体11内の湿度L3(実線)が、送風装置18からの送風湿度L4(破線)と同一になったときに(図12に示すタイミング時間T4で)、制御装置19からの信号により送風装置18の駆動を停止するように構成されている。この場合も、前記同様に、制御装置19は、図示しない送風湿度センサにより検出される湿度と、センサ16により検出されるコンテナ本体11内の湿度とが入力され、それら2つの湿度が同一になったときに、送風装置18の送風を停止させる第1停止手段20(図1参照)を備えている。
【0027】
乾燥コンテナ1は、一般的な車載コンテナと同様の略直方体形状であって、図2図5に示す乾燥コンテナシステムSとしての使用状態において上面が開口しており、底面については閉鎖され、側面については、連結管3が接続される送風口116を除いて閉鎖された箱状体である。チップは、乾燥コンテナ1の上面から内部に投入される。
【0028】
乾燥コンテナ1は、気流供給機構2から連結管3を経由して送られた気流(熱風)を底面近傍の部分である底部で受け、その後、収容された多数のチップに気流を当てることができるよう、2重底構造とされている。このため乾燥コンテナ1は、主に、コンテナ本体11、進退手段15、前記センサ16を備える。前記乾燥コンテナ1は、図7に示すように、デッキ12、支持板13、副支持板14等を備える。
【0029】
コンテナ本体11は、乾燥コンテナ1の外観に現れる部分である。コンテナ本体11は、底部に加えて、底部の外縁に接続された側部として、例えば、前後方向において対向する一対の幅狭側面110と、幅方向において対向する一対の幅広側面117と、を有する(図3図4参照)。一対の幅広側面117は、幅方向における一方側(図3図4における上側)に位置する第一幅広側面118と、幅方向における他方側(図3図4における下側)に位置する第二幅広側面119と、を有する。一対の幅狭側面110は、前方に位置する前部側面111と、後方に位置する後部側面115と、を有する。尚、コンテナ本体11の底面及び側面は、リブ等が形成されることで補強されている。
【0030】
前部側面111には、乾燥コンテナ1を車載する際に、車両側の可動アームが備えるフックが引っ掛けられるフック係合部112が突出している。また、車両への上げ下ろしの際に、地面または路面に対して転がるローラ113が底部の後方に設けられている。このローラ113は、図5に示すように、コンテナ本体11の幅方向に一対設けられている。また、設置時に前記ローラ113と共に接地する脚部114が底部の前方に設けられている(図2参照)。この脚部114も、コンテナ本体11の幅方向に一対設けられている。
【0031】
図2及び図5に示すように、コンテナ本体11の後部側面115における下部で幅方向中央の位置には、コンテナ本体11の内外を連通するものであって、連結管3を接続できる送風口116が設けられている。また、図5に示すように、コンテナ本体11の後部側面115には扉1151が設けられており、例えばチップの取り出しを行う際、または、コンテナ本体11の内部を清掃する際に、送風口116の周囲部分を除いて開放できる。
【0032】
デッキ12は、厚さ方向に貫通した複数の貫通孔121…を有する板状の部分であり、コンテナ本体11の底面から一定高さを空けて、底面と平行に設けられている(図3図4参照)。コンテナ本体11の底面とデッキ12との間に気流滞留空間が形成される。送風口116は、コンテナ本体11の底面とデッキ12との間で、コンテナ本体11の外部へと連通している。なお、大風量の気流を導入するために、コンテナ本体11の底面とデッキ12との高さ方向の距離に比べ、送風口116の高さ寸法が大きく設定されている。このため、コンテナ本体11の内部に、高さ寸法を調整するための送風ガイド部17が設けられている。この送風ガイド部17は、図3図4、及び、図6に示すように平面視で二等辺三角形状、縦断面視(上下方向における断面視)で台形状とされた箱状の部分である。送風ガイド部17における内部空間のうち後端部は送風口116につながっている。また、送風ガイド部17における内部空間のうち下端部は気流滞留空間につながっている。送風ガイド部17の上面には、工作の都合上発生が不可避のものを除き、開口部や貫通孔は設けられていない。このため、送風口116から導入された気流(熱風)は、送風ガイド部17を介して気流滞留空間に流れていく。このように、送風口116は送風ガイド部17を介してコンテナ本体11の外部へと連通している。
【0033】
デッキ12は、複数のデッキ単板12a…が並べられて構成されている。本実施形態では、前後方向に並べられた4枚のデッキ単板12a…からデッキ12が構成されている。各デッキ単板12aとして、本実施形態では、パンチングプレートが用いられている。ただしこれに限らず、例えば、金網と開口率を調整するための部材(スリットを設けた板状体等)との組み合わせを用いてもよく、構成は種々に選択できる。
【0034】
次に、図6に示すように、支持板13は副支持板14と共に、コンテナ本体11の底部に固定され、下方からデッキ12(複数のデッキ単板12a…)を支持するフレームを構成する。本実施形態では、前後方向で3列に副支持板14…が設けられている。
【0035】
支持板13は、デッキ12とコンテナ本体11の底面との間に亘って設けられている。このため、コンテナ本体11におけるデッキ12よりも底面側(下側)の空間、つまり、気流滞留空間を幅方向に仕切る。ただし、この支持板13は、コンテナ本体11における前部側面111と後部側面115との間の距離よりも短い。支持板13の前端部において気流滞留空間を仕切らない部分は開口状態となることで後述する通風口131(図6参照)となり、支持板13の後端部において気流滞留空間を仕切らない部分には前述の送風ガイド部17が被せられている。
【0036】
支持板13は通風口131を備える。通風口131は、気流滞留空間を、支持板13を挟んで幅方向に連通させる。支持板13に通風口131が設けられたことで、支持板13で仕切られた気流滞留空間を、チップを乾燥させるための気流(熱風)が通風口131を通って、略幅方向に行き来できる。
【0037】
進退手段15は、コンテナ本体11に固定されており、例えば、コンテナ本体11の側面の内側に固定されている(図3図4参照)。具体的には、この進退手段15は、コンテナ本体11の側面の角部に固定されている。進退手段15は、コンテナ本体11の後部側面115の内側に固定されている。また、本実施形態の進退手段15は、コンテナ本体11の側面(例えば、後部側面115)の内側の上部に固定されている。
【0038】
また、進退手段15は、コンテナ本体11の底面の広がる方向において進退可能である。本実施形態の進退手段15は、可動式ステーである。具体的には、進退手段15は、少なくとも水平方向において可動な可動式ステーである。より具体的には、進退手段15は、水平方向に加えて、上下方向(鉛直方向)において可動な可動式ステーである。尚、進退手段15の移動方向は、水平方向に沿った方向や上下方向に沿った方向でもよく、水平方向や上下方向に対して斜めの方向であってもよい。
【0039】
進退手段15は、コンテナ本体11の側面に固定された箇所を回転軸として、水平方向において回動可能な可動式ステーである。より具体的には、進退手段15は、図7図8に示すように、ボールジョイント151と、ボールジョイント151から延びるステー本体154と、を有する。ボールジョイント151は、コンテナ本体11の後部側面115に固定されるスタット152と、スタット152とステー本体154とを接続し且つ凹部が設けられたホルダー153と、を含む。本実施形態のボールジョイント151は、図示しないが、ホルダー153の表面を被覆するブーツも含む。
【0040】
スタット152は、球状部位と、球状部位から延びる柱状部位と、を有する。柱状部位は、コンテナ本体11の後部側面115に固定されている。球状部位は、ホルダー153に設けられた凹部に収容されている。ホルダー153は、水平方向(コンテナ本体11の底面の広がる方向)においてスタット152に対して回動可能に接続されている(図7参照)。ホルダー153は、水平方向に加えて、上下方向においてスタット152に対して回動可能に接続されている(図9参照)。
【0041】
ステー本体154は、棒状、例えば、直棒状である。図7及び図8に示すように、ステー本体154の長手方向における一方側の端部である基端部1540は、ホルダー153に固定されている。ステー本体154の長手方向における他方側の端部である先端部1541には、センサ16が接続されている。このセンサ16は、コンテナ本体11内の温度又は湿度を検出するセンサである。本実施形態のステー本体154の長手方向における中央部1542は、固定部材155によりコンテナ本体11の後部側面115に固定可能である(図3参照)。
【0042】
このような構成により、進退手段15の進退は、進出姿勢と退避姿勢との間で行われる。進出姿勢は、センサ16をコンテナ本体11の側部(例えば、後部側面115)から遠ざけるように進出した姿勢である(図4参照)。退避姿勢は、センサ16をコンテナ本体11の側部(例えば、後部側面115)に近づけるように退避した姿勢である(図3参照)。具体的には、進退手段15は、図7に示すように、ボールジョイント151を中心に円弧を描いて退避姿勢と進出姿勢との間で回動可能である。
【0043】
また、進退手段15は、少なくとも進出姿勢において、上下方向に可動である。本実施形態の進退手段15は、進出姿勢及び退避姿勢の両方において、上下方向に可動である。具体的には、進退手段15は、図9に示すように、ボールジョイント151を中心に円弧を描いて上下方向に回動可能である。
【0044】
本実施形態のステー本体154は、進退手段15が退避姿勢であるとき、後部側面115に沿って延びている。また、本実施形態のステー本体154は、ボールジョイント151の回動により、後部側面115に沿って延びる位置から、第一幅広側面118に沿って延びる位置まで移動可能である。
【0045】
センサ16は、周囲の温度或いは湿度を検出可能なセンサであり、図示しているものは、温度を検出可能なセンサである。また、センサ16は、進退手段15に接続された状態でコンテナ本体11内に配置される。センサ16は、進退手段15が進出姿勢であるとき、最も後部側に配置されたデッキ単板12a上に配置される(図4参照)。尚、センサ16は、温度を検出するセンサ本体部と、センサ本体部を収容するケース部と、を含む。センサ16は、送風装置18からの風を多数のチップに案内する気流滞留空間から多数のチップを跨いだ位置に設けられている。具体的には、気流滞留空間の上にチップが配置され、チップの上にセンサ16が配置されているが、上下関係を逆にした配置でもよいし、気流滞留空間、多数のチップ、センサ16を左右方向に並んで配置してもよい。
【0046】
以上の乾燥コンテナ1におけるチップを乾燥する手順の一例について説明する。まず、進退手段15が退避姿勢に退避された後(図3参照)、乾燥コンテナ1に上方からチップが投入される。この投入の際に、一般的には、乾燥コンテナ1からチップが溢れないように、乾燥コンテナ1内の中央領域に集中的にチップが投入される。乾燥させるチップの全量が乾燥コンテナ1内に投入されると、進退手段15が、進出姿勢に進出される(図4参照)。このとき、本実施形態の進退手段15は、図9に示すように、一対の幅広側面117の間の幅方向における略中央位置に配置されるように進出する。また、このとき、進退手段15は、上下方向において、チップが積み重なった積層構造Cの最上面C1にセンサ16が配置されるように進出する。これにより、センサ16は最上面C1に当接する。尚、進退手段15の進出及び退避は、手動或いは自動で行うことができる。ここでは、チップが積み重なった積層構造Cの最上面C1にセンサ16が配置されている。チップは、コンテナ底面とデッキ12との間の気流滞留空間に近いところから乾燥していく。このため、気流滞留空間から遠い最上面のチップが乾燥していれば、全てのチップを乾燥完了とみなすことができる。なお、コンテナ側壁に近い場所は、壁に沿って風が上がって乾燥しやすいため、コンテナ中央付近にセンサ16を配置するのが好ましい。つまり下部に位置する被乾燥物の乾燥が十分に進んで最終的に乾燥させるチップ(被乾燥物)がある位置にセンサ16を配置することによって、乾燥が完了したことを正確に検出することができる。よって、送風装置18の送風を停止させる時期を精度よく検出することができる。
【0047】
進退手段15が進出姿勢に進出すると、チップの乾燥を開始する。具体的には、気流供給機構2による熱風の供給を開始する。熱風の供給の開始は、手動でもよいし、例えば、進退手段15の進出を検知することにより自動でなされてもよい。気流供給機構2で生じた熱風は、連結管3を介して乾燥コンテナ1内に送られて、乾燥コンテナ1の2重底構造を介してチップに当たり、チップの水分を蒸発させる。
【0048】
そして、センサ16によりコンテナ本体11内の温度が上がり始めたことを検出した場合、又は図示していないセンサによりコンテナ本体11内の湿度が下がり始めたことを検出した場合に、制御装置19は、送風装置18の送風量を小さくする制御を行う。引き続き、小さな送風量により乾燥を行い、前述したように、積層構造Cの最上面C1に配置されたセンサ16(又は湿度センサ)により正確に検出されるコンテナ本体11内の温度(又は湿度)が、送風温度センサ22(又は送風湿度センサ)により検出される温度(又は湿度)と同一になると、乾燥が完了したと判断して、制御装置19は、第1停止手段20で送風装置18の送風を停止して、乾燥が完了する。なお、送風装置18の送風温度は、例えば、70℃に設定されているが、被乾燥物の種類や乾燥する量や乾燥仕上がり等に応じて適宜変更可能である。なお、ここでは、送風装置18の送風量を一段小さくしているが、送風量を時間経過とともに複数段に小さくしてもよい。
【0049】
また、本実施形態の乾燥コンテナ1では、チップが積み重なった積層構造Cの最上面C1に当接するように、センサ16を配置することで(図9参照)、乾燥によりチップの体積が減少して積層構造Cの最上面C1が下降しても、センサ16がこの最上面C1の下降に追従して下降するため(図10参照)、センサ16の最上面C1への当接が継続され、これにより、積層構造Cの最上面C1の温度を継続的に検出でき、検出される温度が大きく変化することがない。
【0050】
また、本実施形態の乾燥コンテナ1では、気流供給機構2からの熱風の温度を検出可能な送風温度センサ22を備えているため、センサ16での検出温度に加えて、送風温度センサ22での検出温度に基づいて、チップの乾燥の開始から完了までにかかる時間の長さを予測することができる。例えば、気流供給機構2からの熱風の設計上の温度よりも、実際に測定する送風温度センサ22での検出温度が大きく下回る場合、チップの乾燥にかかる時間は設計上の時間よりも長くなるものと予測できる。その逆に、気流供給機構2からの熱風の設計上の温度よりも、実際に測定する送風温度センサ22での検出温度が大きく上回る場合、チップの乾燥にかかる時間は設計上の時間よりも短くなるものと予測できる。
【0051】
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されない。例えば、前記実施形態の乾燥コンテナ1は車載が可能に構成されていたが、これに限定されず、車載しないものであってもよい。この場合、乾燥コンテナ1を一定位置で動かさない固定式としてもよいし、適宜移動できる可搬式としてもよい。特に、車載を前提としない場合、乾燥コンテナ1は、前記実施形態のような略直方体形状に限られず、例えば円筒形状とする等、種々の形状とできる。
【0052】
前記実施形態の乾燥コンテナ1は上面が常に開放されていた。しかしこれに限定されず、例えばチップに雨水が当たらないようにするため、上面を必要により閉じることができる、硬質材料または軟質材料からなる蓋を設けることもできる。また、乾燥コンテナ1は、前記実施形態のようなデッキ12を備えた2重底構造に限定されず、乾燥コンテナ1には種々の構成により送風が行われてもよい。デッキ12のない(2重底構造でない)場合、送風口が気流滞留空間に相当することになる。
【0053】
前記実施形態の送風口116は、コンテナ本体11の後部側面115に設けられていた。しかし、これに限定されず、送風口116をコンテナ本体11の幅方向側面、底面、また、角部に設けることもできる。
【0054】
前記実施形態では、気流供給機構2からの熱風の温度を検出可能な送風温度センサ22を備えていたが、この送風温度センサ22を省略して実施してもよい。なお、湿度センサにおいても同様である。この場合、予め設定された設定温度(又は設定湿度)を制御装置19に入力しておき、図13に示すように、センサ16により検出されるコンテナ本体11内の温度(又は湿度)が、設定温度(又は設定湿度)と同一温度(又は同一湿度)になったときに、送風装置18の送風を停止させる第2停止手段21を制御装置19に備えておくことになる。また、前記設定温度(又は設定湿度)は、気流供給機構2からの熱風の送風温度(又は送風湿度)と同一であってもよいし、異なる温度(又は湿度)であってもよい。
【0055】
また、乾燥コンテナシステムSの被乾燥物は、前記実施形態では木材チップであったが、これに限定されず、例えば鉱石、石材、樹脂、金属、木材以外の動植物由来の素材、食品材料、燃料等、種々の粒状体とできる。
【0056】
なお、制御装置19は、コンテナ本体11に固定する必要はなく、送風装置18を含む気流供給機構2に固定してもよい。この場合でも、コンテナ本体11内のセンサ16と制御装置19とを配線でつなぐ必要はある。
【0057】
また、送風温度センサ22の検出温度に基づいて、送風装置18からの送風温度より低い設定温度を設定し、コンテナ本体11内の温度が前記設定温度になったことをセンサ16で検出してから所定時間経過後に送風装置18を停止してもよい。設定温度になってから所定時間後に送風温度に達したとみなして送風装置18を停止することで、各センサの検出温度にムラが生じて(例えばセンサの検出精度によって)、十分乾燥しているのにコンテナ本体11内のセンサ16の検出温度が送風温度センサ22の検出温度に達せずに送風装置18が停止しないことや、乾燥が不十分なのに、コンテナ本体11内の検出温度が送風検出温度に達してしまい、送風装置18が停止することを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0058】
1…乾燥コンテナ、2…気流供給機構、3…連結管、11…コンテナ本体、110…幅狭側面、111…前部側面、112…フック係合部、113…ローラ、114…脚部、115…後部側面、116…送風口、117…幅広側面、118…第一幅広側面、119…第二幅広側面、1151…扉、12…デッキ、12a…デッキ単板、121…貫通孔、13…支持板、131…通風口、14…副支持板、15…進退手段、151…ボールジョイント、152…スタット、153…ホルダー、154…ステー本体、155…固定部材、1540…基端部、1541…先端部、1542…中央部、16…センサ、17…送風ガイド部、18…送風装置、19…制御装置、20…停止手段、21…停止手段、22…送風温度センサ、23…制御手段、C…積層構造、C1…最上面、S…乾燥コンテナシステム、T1~T4…タイミング時間
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