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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】燃料電池の単位セル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0273 20160101AFI20220927BHJP
   H01M 8/028 20160101ALI20220927BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20220927BHJP
   B29C 48/155 20190101ALI20220927BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20220927BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20220927BHJP
【FI】
H01M8/0273
H01M8/028
B29C45/14
B29C48/155
B29C44/00 E
B29C44/00 D
H01M8/10 101
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018218605
(22)【出願日】2018-11-21
(65)【公開番号】P2019220448
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】10-2018-0072124
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】イム、ス、ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ビョン-ホン
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ソン、イル
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-282090(JP,A)
【文献】特開2014-216226(JP,A)
【文献】特開2017-112083(JP,A)
【文献】特開2002-160257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
B29C 45/14
B29C 48/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜-電極接合体および気体拡散層を有するインサートと;
インサートの外側面に配置された発泡体と;
発泡体の外側面に配置され高分子樹脂形成されたフレームであって、高分子樹脂の一部が発泡体の内部に浸透した状態で発泡体の外側面を取り囲むフレームと;を含み、
発泡体は、膜-電極接合体の気孔率及び気体拡散層の気孔率よりも大きい気孔率を有することを特徴とする、燃料電池の単位セル。
【請求項2】
発泡体は、内側面の上端がインサートの外側面の上部よりも高く、内側面の下端がインサートの外側面の下端よりも低く形成されるので、厚さがインサートの外側面の厚さよりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池の単位セル。
【請求項3】
発泡体は、内側面がインサートの上面及び下面の一部を覆う形状に形成されたことを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池の単位セル。
【請求項4】
発泡体は、電気絶縁性を有する材質から形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池の単位セル。
【請求項5】
発泡体は、合成繊維がインサートの一部の領域を取り囲むように形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池の単位セル。
【請求項6】
発泡体は、インサートの外側面に直接接触された第1の層と、第1の層の外側面を包むように結合された第2の層とを含み、
第1の層の気孔率は、第2の層の気孔率よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池の単位セル。
【請求項7】
発泡体部がフレームを形成する高分子樹脂に混合していることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池の単位セル。
【請求項8】
フレームは、内側面がインサートの上面及び下面の一部を覆う形状に形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池の単位セル。
【請求項9】
膜-電極接合体および気体拡散層を有するインサートの外側面に発泡体を形成する段階と;
高分子樹脂の一部が発泡体の内部に浸透するように、発泡体の外側面に高分子樹脂を射出してフレームを形成する段階と;を含み、
発泡体を形成する段階において、発泡体は、インサートの外側面に押出または射出成形により形成されることを特徴とする、燃料電池の単位セルの製造方法。
【請求項10】
請求項において、
発泡体を形成する段階において、発泡体は、合成繊維がインサートの外側の一部の領域を包むように形成されることを特徴とする、請求項に記載の燃料電池の単位セルの製造方法。
【請求項11】
フレームを形成する段階において、フレームは、発泡体の内部に浸透することにより発泡体と一体化されて、フレームの内側面がインサートの上面及び下面の一部を覆うように形成されることを特徴とする、請求項に記載の燃料電池の単位セルを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の単位セル及びその製造方法に係り、より詳しくは、膜-電極接合体および気体拡散層を一体化するためのフレームを射出するために発泡体をさらに含む燃料電池の単位セル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料が持つ化学エネルギーをスタック内で電気化学的に反応させて電気エネルギーに変換する一種の発電装置であって、産業用、家庭用および車両の駆動電力の供給だけでなく、携帯用装置などの小型電子製品の電力供給に使用でき、最近、高効率のクリーンエネルギー源として徐々にその使用領域が広まっている。
【0003】
これらの燃料電池のうち、高分子電解質型燃料電池(PEMFC:Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell)は、比較的低い温度で作動可能であり、迅速な始動および応答特性を持っているため、車両の駆動電力供給用として盛んに使用されている。
【0004】
前述したような高分子電解質型燃料電池(PEMFC)のスタックは、燃料極、空気極およびこれらの間の高分子電解質膜からなる膜-電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、気体拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)と、バイポーラプレート(Bipolar Plate)と呼ばれる金属製のセパレータ(Separator)と、ガスケット(Gasket)とからなる単位セル(Unit Cell)が、必要な数だけ積層されてなる。
【0005】
膜-電極接合体(MEA)は、電解質膜に電極が接合されたものであり、電解質膜としてイオン伝導性高分子膜が主に使われており、そのため、イオン伝導度が高く、加湿条件下で機械的強度が高く、気体透過率が低く、且つ、熱/化学的にも安定性が高くなければならない。
【0006】
また、気体拡散層は、セパレータ流路から流入する水素および空気をより微細に拡散させて膜-電極接合体に供給することができ、触媒層を支持することができ、触媒層で発生した電子をセパレータに移動させることができ、且つ、生成された水が触媒層外に排出できるようにする通路の役割を果たす部材であって、膜-電極接合体の上、下部面に積層されて形成される。
【0007】
近年、燃料電池スタックの製造容易性を高めるために、膜-電極接合体および気体拡散層の外側面に高分子樹脂を用いてフレームを一体に射出成形した燃料電池の単位セルが開発された。
【0008】
図1は、従来技術に係る燃料電池の単位セルの斜視図であり、図2は、従来技術に係る燃料電池の単位セルの断面図である。
【0009】
図1乃至2を参照すると、従来技術による燃料電池の単位セルは、膜-電極接合体と、その外側面を包むフレームとからなる。具体的には、膜-電極接合体の上面および下面にそれぞれの気体拡散層が配置され、その外側面はフレームによって包まれるように形成される。
【0010】
ただし、フレームは、高分子樹脂を射出することにより成形され、高分子樹脂を射出する射出圧力によって膜-電極接合体および気体拡散層の内部への高分子樹脂の不規則な浸透に起因して膜-電極接合体および気体拡散層が損傷してしまうという問題があった。
【0011】
前述した背景技術として説明された事項は、本発明の背景に対する理解を増進させるためのものに過ぎず、この技術分野における通常の知識を有する者に既に知られた従来技術に該当することを認めるものと受け入れられてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】大韓民国10-1620155B
【文献】大韓民国10-2017-0072392A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、かかる問題を解決するために提案されたものであり、その目的は、膜-電極接合体および気体拡散層の外側面に高分子樹脂の射出時の射出圧力を低減し、高分子樹脂を均等に分散させることにより膜-電極接合体および気体拡散層の損傷を防止する燃料電池の単位セル及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池の単位セルは、膜-電極接合体および気体拡散層を有するインサートと;インサートの外側面に配置された発泡体と;発泡体の外側面に高分子樹脂が射出されて形成され、高分子樹脂の一部が発泡体の内部に浸透した状態で発泡体の外側面を取り囲むフレームと;を含む。
【0015】
発泡体は、内側面の上端がインサートの外側面の上端よりも高く、内側面の下端がインサートの外側面下端よりも低く形成されて、厚さがインサートの外側面の厚さよりも大きく形成されてもよい。
【0016】
発泡体は、内側面がインサートの上面及び下面の一部を覆う形状に形成されてもよい。
【0017】
発泡体は、電気絶縁性を有する材料から形成されてもよい。
【0018】
発泡体は、膜-電極接合体の気孔率及び気体拡散層の気孔率よりも大きい気孔率を有してもよい。
【0019】
発泡体は、インサートの外側面に押出または射出成形により形成されてもよい。
【0020】
発泡体は、合成繊維がインサートの外側の一部領域を包むように形成されてもよい。
【0021】
発泡体は、インサートの外側面に直接接触された第1の層と、第1の層の外側面を包むように結合された第2の層とを含み、第1の層の気孔率を第2の層の気孔率よりも小さくしてもよい。
【0022】
発泡体は、一部または全部がフレームを形成する高分子樹脂に溶融してフレームに一体化されてもよい。
【0023】
フレームは、内側面がインサートの上面及び下面の一部を覆う形状に形成されてもよい。
【0024】
発泡体を形成する段階において、発泡体は、インサートの外側面に押出または射出成形により形成されてもよい。
【0025】
発泡体を形成する段階において、発泡体は、合成繊維がインサートの外側の一部領域を包むように形成されてもよい、
【0026】
フレームを形成する段階において、フレームは、発泡体の内部に浸透することにより発泡剤と一体化されて、フレームの内側面がインサートの上面及び下面の一部を覆うように形成されてもよい。
【0027】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池の単位セルを製造する方法は、膜-電極接合体および気体拡散層を有するインサートの外側面に発泡体を形成する段階と;高分子樹脂の一部が発泡体の内部に浸透するように、発泡体の外側面に高分子樹脂を射出してフレームを形成する段階と;を含む。
【発明の効果】
【0028】
本発明の燃料電池の単位セル及びその製造方法によれば、膜-電極接合体および気体拡散層の外側に形成された発泡体によって膜-電極接合体および気体拡散層の損傷を最小限に抑えることができるという効果を奏する。
【0029】
また、射出金型の内部に膜-電極接合体および気体拡散層の位置を容易に固定することができるという効果を奏する。
【0030】
さらに、膜-電極接合体および気体拡散層に流入する射出圧力を低減し、射出物を均一に流動させて品質の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】従来技術に係る燃料電池の単位セルの斜視図である。
図2】従来技術に係る燃料電池の単位セルの断面図である。
図3a】本発明の一実施形態に係る燃料電池の単位セルの上面図である。
図3b】本発明の一実施形態に係る燃料電池の単位セルの上面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る燃料電池の単位セルの断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る燃料電池の単位セルのフレームの射出金型を示す図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る燃料電池の単位セルの断面図およびフレームの射出金型を示す図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る燃料電池の単位セルの断面図およびフレームの射出金型を示す図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る燃料電池の単位セルの断面図およびフレームの射出金型を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書または出願に開示されている本発明の実施形態に対する特定の構造的ないし機能的説明は、単に本発明に係る実施形態を説明するための目的で例示されたものであり、本発明に係る実施形態は、様々な形態で実施されることができ、本明細書または出願に説明された実施形態に限定されるものと解釈されてはならない。
【0033】
本発明に係る実施形態は、様々な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるため、特定の実施形態を図面に例示し、本明細書または出願において詳しく説明する。しかし、これは、本発明の概念による実施形態を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし対象物を含むものと理解されるべきである。
【0034】
第1および/または第2等の用語は、多様な構成要素を説明するために使用されるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されてはならない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。例えば、本発明の概念による権利範囲を逸脱することなく、第1の構成要素は、第2の構成要素と称してもよく、同様に第2の構成要素も第1の構成要素と称してもよい。
【0035】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか「接続されて」いると言及された際には、その他の構成要素に直接的に連結されているか、又は接続されていることもあるが、その間に他の構成要素が存在することもできると理解すべきであろう。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及された際には、その間に他の構成要素が存在しないと理解すべきであろう。構成要素間の関係を説明する他の表現、すなわち、「~の間に」と「すぐ~の間に」又は「~に隣り合う」と「~に直接隣り合う」なども、同様に解釈されなければならない。
【0036】
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、説示された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0037】
特に他に定義しない限り、技術用語や科学用語を含み、ここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使われる辞典に定義されている用語は、関連技術の文脈上で持つ意味と一致する意味を持つものと解釈されなければならず、本明細書で明らかに定義しない限り、理想的な意味または過度に形式的な意味に解釈されない。
【0038】
以下、添付した図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明することにより、本発明を詳しく説明する。各図面に提示された同一の参照符号は同じ部材を示す。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態に係る燃料電池の単位セルの上面図であり、図4は、本発明の一実施形態に係る燃料電池の単位セルの断面図であり、図5は、本発明の一実施形態に係る燃料電池の単位セルのフレームおよび射出金型を示す図である。
【0040】
図3乃至図5を参照すると、本発明の一実施形態に係る燃料電池の単位セルは、膜-電極接合体110および気体拡散層120を含むインサート100と;インサート100の外側面に配置された発泡体300と;発泡体300の外側面に高分子樹脂が射出されて形成され、高分子樹脂の一部が発泡体300の内部に浸透した状態で発泡体300の外側面を取り囲むフレーム200と;を含む。
【0041】
具体的には、図3aは、インサート100および発泡体300だけを示す図であり、図3bは、その外側面にフレーム200を形成したものを示す図である。
【0042】
インサート100は、反応セルを形成するものであり、電解質膜とカソード電極およびアノード電極が一体化された膜-電極接合体110(Membrane Electrode Assembly、MEA)と、その両面に水素ガスおよび空気が拡散される気体拡散層120(Gas Diffusion Layer、GDL)とを含む。気体拡散層120は、膜-電極接合体110の上面および下面にそれぞれ配置される。膜-電極接合体110および気体拡散層120は、水素または酸素などの気体を通過させなければならないという特性に応じて多孔性材料からなる。
【0043】
フレーム200は、膜-電極接合体110および気体拡散層120を含むインサート100の外側に高分子樹脂を射出して形成されるものであり、多孔性材料からなる膜-電極接合体110および気体拡散層120の内部に高分子樹脂が浸透できる。膜-電極接合体110と気体拡散層120とを一体化するために高分子樹脂が内部に一部浸透する必要はあるが、この場合、射出圧力の調節が困難となり、内部への高分子樹脂の不規則な浸透のため、従来の技術によれば、膜-電極接合体110および気体拡散層120に損傷が発生した。
【0044】
これを解決するために、インサート100の外側面に配置された発泡体300をさらに含むフレーム200を形成する高分子樹脂が、発泡体300の内部に浸透する際、高分子樹脂を均等に分配し、射出圧力を下げるとともに、インサート100とフレーム200との間の結合力を高めることができる。その結果、インサート100の内部に流入する高分子樹脂が最小化されて膜-電極接合体110および気体拡散層120の破損が抑えられるという効果を奏する。
【0045】
発泡体300は、内部に多数の空孔を有する多孔性材料からなり、高い気孔率(気孔度)を有する材料であってもよい。特に、微細なメッシュ(mesh)を有する網状構造の形で均一な気孔率を有する材料であってもよい。
【0046】
例えば、発泡体300は、高分子物質またはセラミック物質などから形成されてもよい。具体的には、原料である樹脂に発泡剤(Blowing agent)を加えて発泡硬化させたポリスチレンフォーム(polystyrene foam)、ポリウレタンフォーム(polyurethane foam)またはポリ塩化ビニルフォーム(polyvinyl chloride foam)などのプラスチック発泡剤から形成されてもよい。
【0047】
発泡体300は、インサート100の外側面に押出または射出成形により得られる。つまり、発泡体300が高分子物質またはセラミック物質である場合、インサート100の外側面に押出または射出成形によって発泡体300を先に成形し、発泡体300の外側面に再び押出または射出成形によってフレーム200を形成してもよい。
【0048】
発泡体300の押出または射出成形に際して、インサート100の内部に浸透する発泡体300を最小限に抑えるために、発泡体300を粒子の大きい材質から形成されてもよい。発泡体300の一部または全部にフレーム200を形成する高分子樹脂が、浸透して一体化されてもよく、また、高分子樹脂の一部が、膜-電極接合体110および気体拡散層120にも一部浸透して結合力を強化させてもよい。
【0049】
発泡体300は、膜-電極接合体110の気孔率および気体拡散層120の気孔率よりも大きい気孔率を有してもよい。すなわち、膜-電極接合体110および気体拡散層120も内部に多数の空孔を有する多孔性材料からなるが、発泡体300は、膜-電極接合体110の気孔率および気体拡散層120の気孔率よりも大きい気孔率を有してもよい。これにより、発泡体300の内部に浸透した高分子樹脂が膜-電極接合体110および気体拡散層120の内部に浸透することを最小限に抑えることができる。
【0050】
また、発泡体300は、電気絶縁性を有する材料から形成されてもよい。発泡体300は、膜-電極接合体110の外側面に位置する箇所で膜-電極接合体110の電極と互いに接触する可能性がある。膜-電極接合体110の両電極が互いに接続されるとショートするなどの問題が発生するので、発泡体300は、電気を通さない電気絶縁性材料から形成されてもよい。
【0051】
フレーム200は、結合力を高めるためにインサート100の上面及び下面の一部を覆うように形成されてもよい。特に、フレーム200は、インサート100の上面及び下面の縁部の一部をインサート100の外側面と共に覆うことができる。
【0052】
これにより、フレーム200の内側面の厚さは、インサート100の外側面の厚さよりも厚く形成されるので、フレーム200は、内側面がインサート100の上面及び下面の一部を覆う形状に形成されてもよい。
【0053】
特に、発泡体300は、フレーム200を射出する面積を全てカバーするように内側面の上端がインサート100の外側面の上端よりも高く、内側面の下端がインサート100の外側面の下端よりも低く形成されるので、厚さがインサート100の外側面の厚さよりも大きく形成されてもよい。発泡体300の高さとフレーム200の高さとを同一にして、発泡体300がフレーム200の射出領域全体をカバーできるようにしてもよい。
【0054】
また、発泡体300の場合も、内側面がインサート100の上面及び下面の一部を覆う形状に形成されてもよい。これにより、フレーム200により覆われるインサート100の上面及び下面の一部が発泡体300によりカバーされて、フレーム200を形成する高分子樹脂がインサート100の上面または下面に浸透することを防止することができる。
【0055】
発泡体300は、一部または全部がフレーム200を形成する高分子樹脂に溶融してフレーム200に一体化されてもよい。すなわち、発泡体300の融点が、フレーム200を形成する高分子樹脂の射出時の温度よりも低い可能性があり、そのため、フレーム200を形成する高分子樹脂が射出に際して発泡体300と接触することにより、発泡体300の一部または全部が溶融する可能性があり、溶融した発泡体300は、フレーム200を形成する高分子樹脂と混合されて一体化され得る。
【0056】
これにより、発泡体300は、フレーム200を形成する高分子樹脂の射出圧力を下げ、高分子樹脂を均等に分配する役割を果たした後、フレーム200に一体化されて結合力の強化を図ることができる。
【0057】
フレーム200は、高分子樹脂が発泡体300の内部の一部領域または全体領域にわたって浸透して発泡体300と一体化されてもよい。高分子樹脂は、発泡体300の外側面を取り囲む形状に形成されてもよい。
【0058】
図6乃至図8は、本発明の他の実施形態に係る燃料電池の単位セルの断面図およびフレーム200の射出金型400を示す図である。
【0059】
図6を参照すると、発泡体300は、押出または射出成形の他にも別途にインサート100の一部領域を取り囲むように形成されてもよい。具体的には、発泡体300は、インサート100の一部領域においてインサート100の上面および下面とこれらの間の側面を順次取り囲むように形成されてもよい。つまり、別途形成された発泡体300が、インサート100の一部領域を取り囲みながらインサート100の外側に向かって延設されてもよい。
【0060】
特に、発泡体300は、合成繊維(Synthetic Fiber)がインサート100の外側の一部領域を包むように形成されてもよい。発泡体300は、長くて薄い合成繊維が絡み合った構造で形成されてインサート100の外側の一部領域を包み、インサート100の外側に向かってさらに延在されてもよい。合成繊維は、それ自体が多孔性材料であってもよく、多孔性材料ではなくても絡み合った構造を有するものなので、合成繊維の間に隙間があり、これにより発泡体300を形成することができる。
【0061】
また、図7を参照すると、発泡体300の厚さは、インサート100の厚さよりも大きくしてもよい。前述したように、フレーム200の厚さは、好ましくは、インサート100の上面及び下面の一部を覆うようにインサート100の厚さよりも厚くする。発泡体300の厚さは、このようなフレーム200の厚さと同一にするために、インサート100の厚さよりも大きくしてもよい。
【0062】
また、これにより、上部モールドおよび下部モールドからなる射出金型400の内部でインサート100の位置を固定することができる。上部モールドおよび下部モールドによってインサート100を直接固定することができるが、高温の高分子樹脂が流入する射出成形によって射出金型400の温度が上がるため、接触されるインサート100を損傷させるおそれがある。このため、発泡体300の厚さをインサート100の厚さよりも大きくして射出金型400の内部でインサート100の位置を固定することにより、インサート100の高温による損傷を防止することができる。
【0063】
図8を参照すると、発泡体300は、インサート100の外側面に直接接触された第1の層310と、第1の層310の外側面を包むように結合された第2の層320とを含み、第1の層310の気孔率は、第2の層320の気孔率よりも小さくしてもよい。
【0064】
つまり、発泡体300は、異なる気孔率を有する材質からなる第1の層310および第2の層320から形成されてもよい。第1の層310は、内側面がインサート100の外側面に直接接触して包むように形成され、第2の層320は、内側面が第1の層310の外側面を包むように形成されてもよい。
【0065】
第1の層310は、インサート100の外側面に直接接触してインサート100と隣り合って配置されるので、内部への射出物としての高分子樹脂の浸透を減らすために、相対的に低気孔率に構成してもよい。
【0066】
これに対し、第2の層320は、射出物が外部から直接流入する領域であって、インサート100から相対的に離れて配置されるので、内部への高分子樹脂の浸透を容易にするために、相対的に高気孔率に構成してもよい。
【0067】
また、第2の層320の融点は、第1の層310の融点よりも低いので、高分子樹脂の流入によって第2の層320が溶融して高分子樹脂に混合されてフレーム200に一体化され得る。
【0068】
発泡体300は、相対的にインサート100と隣り合う領域と、相対的にインサート100から遠く離れた領域とに、それぞれ異なる気孔率を有する第1の層310および第2の層320として形成されるので、位置の特性に応じて必要とされる最適な気孔率を有するように形成され得る。
【0069】
本発明の一実施形態に係る燃料電池の単位セルを製造する方法は、膜-電極接合体110および気体拡散層120を含むインサート100の外側面に発泡体300を形成する段階と;高分子樹脂の一部が発泡体300の内部に浸透するように、発泡体300の外側面に高分子樹脂を射出してフレーム200を形成する段階と;を含む。
【0070】
発泡体300を形成する段階において、発泡体300は、インサート100の外側面に押出または射出成形により形成されてもよい。
【0071】
他の実施形態によれば、発泡体300を形成する段階において、発泡体300は、インサート100の外側に結合することにより形成されてもよい。特に、発泡体300は、合成繊維がインサート100の外側の一部領域を包むように形成されてもよい。すなわち、発泡体300は、別途製造した合成繊維が、インサート100の外側の一部領域を包むように結合することで形成されてもよい。この場合、合成繊維は、インサート100の外側の一部領域を包みながらインサート100の外側に向かって延在されてもよい。
【0072】
フレーム200を形成する段階において、フレーム200は、発泡体300の内部に浸透することにより発泡体300と一体化されて、フレーム200の内側面がインサート100の上面及び下面の一部を覆うように形成されてもよい。
【0073】
つまり、フレーム200は、高分子樹脂が発泡体300の内部に浸透することにより発泡体300と一体化されて、フレーム200の内側面がインサート100の外側面をはじめとしてインサート100の上面及び下面の外側縁部を覆うように形成されてもよい。
【0074】
以上、本発明の特定の実施形態に関連して図示及び説明したが、以下の特許請求の範囲によって提供される本発明の技術的思想を逸脱しない範疇内において本発明に多様な改良及び変更を加え得ることは、当業界における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【符号の説明】
【0075】
100 インサート
110 膜-電極接合体
120 気体拡散層
200 フレーム
300 発泡体
310 第1の層
320 第2の層
400 射出金型
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8