(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】繊維加工剤、及びこれを含有する液透過性不織布
(51)【国際特許分類】
D06M 13/148 20060101AFI20220927BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20220927BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20220927BHJP
D04H 13/00 20060101ALI20220927BHJP
D06M 15/53 20060101ALI20220927BHJP
D06M 15/647 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
D06M13/148
A61F13/511 300
A61F13/53 300
D04H13/00
D06M15/53
D06M15/647
(21)【出願番号】P 2018545033
(86)(22)【出願日】2017-10-11
(86)【国際出願番号】 JP2017036869
(87)【国際公開番号】W WO2018070443
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2019-02-01
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】P 2016202114
(32)【優先日】2016-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000226161
【氏名又は名称】日華化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】田中 早織
(72)【発明者】
【氏名】矢放 正広
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一史
(72)【発明者】
【氏名】山下 文明
【合議体】
【審判長】井上 茂夫
【審判官】山崎 勝司
【審判官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0161347(US,A1)
【文献】特表2010-526629(JP,A)
【文献】特開2008-38277(JP,A)
【文献】特開2016-41858(JP,A)
【文献】特開2003-49360(JP,A)
【文献】特開平9-296373(JP,A)
【文献】特開平9-302586(JP,A)
【文献】特開平10-5275(JP,A)
【文献】特開平10-53955(JP,A)
【文献】齋藤好廣,プルロニック系界面活性剤,日本油化学会誌,2000年,第49巻,第10号,pp.1071-1080
【文献】田川清行ら,油化学,1961年,第10巻,第11号,pp.696-700
【文献】田川清行ら,油化学,1961年,第10巻,第12号,pp.744-749
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16,15/18,15/20,15/22,15/24,15/26,5/28,15/30,15/32,15/34,15/36,15/38,15/40,15/42,15/44,15/46,15/48,15/50,15/52,15/54,15/56,15/58,15/60,15/62,15/64
D06M13/00-15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
HO-(A
1O)
p-H …一般式(1)
{式中、A
1は、炭素数2~4のアルキレン基であり、そしてpは、1~3の整数である。}で表される成分(A);及び
該成分(A)とは異なる下記一般式(2):
R
1-O-(A
2O)
l-{C(O)R
2C(O)-O-(A
3O)
m}
n-R
3 …一般式(2)
{式中、R
1とR
3は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数2~24のアルカノイル基、炭素数2~24のアルケノイル基であり、
ここで、R
1
とR
3
の一方のみが非水素であるものをモノ体、R
1
とR
3
のいずれもが非水素であるものをジ体とした場合、モノ体とジ体の比率が、モノ体:ジ体=10:0~1:9であり、R
2は、炭素数1~12のアルキレン基、炭素数2~12のアルケニレン基又は炭素数6~12のアリーレン基であり、A
2とA
3は、互いに独立に、炭素数2又は3のアルキレン基であり、lは、10~200の整数であり、mは、
39の整数であり、そしてnは、0又は1~
2の整数である。但し、R
1とR
3のいずれか1方は、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数2~24のアルカノイル基又は炭素数2~24のアルケノイル基であり、l+nは1以上であり、かつ、A
2とA
3の全てが炭素数2のアルキレン基ではない。}で表される成分(B);及び
ポリエーテル変性シリコーンである成分(C);
を含有し、前記成分(C)が、前記成分(A)と成分(B)の合計量に対して、10質量%~30質量%であ
る、繊維加工剤。
【請求項2】
請求項1に記載の繊維加工剤の純分付着量が0.1~1.5重量%である液透過性不織布。
【請求項3】
前記液透過性不織布が、熱可塑性繊維から構成される不織布である、請求項2に記載の液透過性不織布。
【請求項4】
前記不織布が、繊度0.45~5.0dtexの繊維で構成されたものである、請求項2又は3に記載の液透過性不織布。
【請求項5】
前記不織布が、長繊維不織布である、請求項2~4のいずれか1項に記載の液透過性不織布。
【請求項6】
前記液透過性不織布の繰返し透水性が、4回目で70%以上である、請求項2~5のいずれか1項に記載の液透過性不織布。
【請求項7】
前記液透過性不織布の濡れ戻り性が、0.5g以下である、請求項2~6のいずれか1項に記載の液透過性不織布。
【請求項8】
請求項2~7のいずれか1項に記載の液透過性不織布を用いてなる衛生材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布に対して、優れた濡れ戻り性と繰返し透水性を付与することができる繊維加工剤、該繊維加工剤を含有する液透過性不織布、並びに該液透過性不織布を用いた衛生材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの普及はめざましく、要求される品質や性能は向上してきている。例えば、使い捨ておむつでは1回の着用で必ずしも1回の排泄物が処理されるとは限られず、数回の排泄に対する不快感の回避が必要とされ、排泄物、汗、体液などを吸収体に素早く移行させる液透過性(初期透水性)のほかに、特に濡れ戻りの少ないこと(濡れ戻り性)、透水性能の耐久性(繰返し透水性)が強く要求されている。
【0003】
これらの要求に応えるため、例えば、以下の特許文献1には、特定のポリエーテルとポリエーテル変性シリコーンとを含有する親水性処理剤を付与したポリオレフィン系不織布が提案されている。しかしながら、特許文献1に記載のポリオレフィン系不織布では、初期透水は良好なものの、濡れ戻り性と繰返し透水性は未だ十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した従来技術の問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、不織布の濡れ戻り性と繰返し透水性を改善することができる繊維加工剤、並びに該繊維加工剤を付与した繊維から構成された不織布を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決すべく、本発明者らは鋭意検討し実験を重ねた結果、一般式(1)で表される特定の成分(A)と一般式(2)で表される特定の成分(B)とを併用することにより、親水性と疎水性のバランスを保ち、不織布に対する親和性と尿などの体液に対する親和性とを両立し、初期透水性、濡れ戻り性、及び繰り返し透水性に優れる不織布を提供することができきることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
すなわち、本発明は下記の通りのものである。
[1]下記一般式(1):
HO-(A1O)p-H …一般式(1)
{式中、A1は、炭素数2~4のアルキレン基であり、そしてpは、1~3の整数である。}で表される成分(A);及び
該成分(A)とは異なる下記一般式(2):
R1-O-(A2O)l-{C(O)R2C(O)-O-(A3O)m}n-R3 …一般式(2)
{式中、R1とR3は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数2~24のアルカノイル基、炭素数2~24のアルケノイル基であり、ここで、R
1
とR
3
の一方のみが非水素であるものをモノ体、R
1
とR
3
のいずれもが非水素であるものをジ体とした場合、モノ体とジ体の比率が、モノ体:ジ体=10:0~1:9であり、R2は、炭素数1~12のアルキレン基、炭素数2~12のアルケニレン基又は炭素数6~12のアリーレン基であり、A2とA3は、互いに独立に、炭素数2又は3のアルキレン基であり、lは、10~200の整数であり、mは、39の整数であり、そしてnは、0又は1~2の整数である。但し、R1とR3のいずれか1方は、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数2~24のアルカノイル基又は炭素数2~24のアルケノイル基であり、l+nは1以上であり、かつ、A2とA3の全てが炭素数2のアルキレン基ではない。}で表される成分(B);及び
ポリエーテル変性シリコーンである成分(C);
を含有し、前記成分(C)が、前記成分(A)と成分(B)の合計量に対して、10質量%~30質量%である、繊維加工剤。
[2]前記[1]に記載の繊維加工剤の純分付着量が0.1~1.5重量%である液透過性不織布。
[3]前記液透過性不織布が、熱可塑性繊維から構成される不織布である、前記[2]に記載の液透過性不織布。
[4]前記不織布が、繊度0.45~5.0dtexの繊維で構成されたものである、前記[2]又は[3]に記載の液透過性不織布。
[5]前記不織布繊維が、長繊維不織布である、前記[2]~[4]のいずれかに記載の液透過性不織布。
[6]前記液透過性不織布の繰返し透水性が、4回目で70%以上である、前記[2]~[5]のいずれかに記載の液透過性不織布。
[7]前記液透過性不織布の濡れ戻り性が、0.5g以下である、前記[2]~[6]のいずれかに記載の液透過性不織布。
[8]前記[2]~[7]のいずれかに記載の液透過性不織布を用いてなる衛生材料。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る繊維加工剤を塗布した不織布は、初期透水性、濡れ戻り性、及び繰り返し透水性に優れるため、衛生材料、例えば、生理用ナプキン、失禁パット、使い捨ておむつ等のトップシートやセカンドシートとして好適に使用することができ、あるいは、例えば、マスク、カイロ、テープ基材、貼布薬基材、緊急絆創膏、包装材、ワイプ製品、医療用ガウン、包帯、衣料、スキンケア用シートなどにも好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の繊維加工剤は、下記一般式(1):
HO-(A1O)p-H …一般式(1)
{式中、A1は、炭素数2~4のアルキレン基であり、そしてpは、1~3の整数である。}で表される成分(A);及び
該成分(A)とは異なる下記一般式(2):
R1-O-(A2O)l-{C(O)R2C(O)-(A3O)m}n-R3 …一般式(2)
{式中、R1とR3は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数2~24のアルカノイル基、炭素数2~24のアルケノイル基又は-C(O)-R4-COOX(ここで、R4は、炭素数1~12のアルキレン基、炭素数2~12のアルケニレン基又は炭素数6~12のアリーレン基であり、そしてXは、水素原子又はアニオンである。)であり、R2は、炭素数1~12のアルキレン基、炭素数2~12のアルケニレン基又は炭素数6~12のアリーレン基であり、A2とA3は、互いにに独立に、炭素数2~4のアルキレン基であり、lは、0又は1~1000の整数であり、mは、0又は1~1000の整数であり、そしてnは、0又は1~100の整数である。但し、l+nは1以上である。}で表される成分(B);
を含有する。
【0010】
まず、一般式(1)で表される成分(A)について説明する。
一般式(1)中、A1は、炭素数2~4のアルキレン基であり、そしてpは、1~3の整数である。A1は、炭素数2~4のアルキレン基であるが、濡れ戻り性と繰返し透水性の観点から、炭素数3~4のアルキレン基が好ましく、炭素数3のアルキレン基がより好ましい。pは、(A1O)で表されるアルキレンオキシ基の重合度を示し、1~3の整数であるが、濡れ戻り性と繰返し透水性の観点から、1~2が好ましく、1がより好ましい。
【0011】
成分(A)は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの炭素数2~4のアルキレングリコールに、塩基触媒のもとで、80~200℃でエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどの炭素数2~4のアルキレンオキサイドを付加させることにより得ることができる。塩基触媒としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等を使用することができる。市販のエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリブチレングリコールなどを用いてもよい。
【0012】
一般式(2)中、R1とR3は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数2~24のアルカノイル基、炭素数2~24のアルケノイル基又は-C(O)-R4-COOX(ここで、R4は、炭素数1~12のアルキレン基、炭素数2~12のアルケニレン基又は炭素数6~12のアリーレン基であり、そしてXは、水素原子又はアニオンである。)であり、R2は、炭素数1~12のアルキレン基、炭素数2~12のアルケニレン基又は炭素数6~12のアリーレン基であり、A2とA3は、互いに独立に、炭素数2~4のアルキレン基であり、lは、0又は1~1000の整数であり、mは、0又は1~1000の整数であり、nは、0又は1~100の整数である。但し、l+nは1以上であり、また、成分(B)は、成分(A)と異なる化合物であるため、本明細書中、一般式(2)は、一般式(1)を除いたものとする。
【0013】
濡れ戻り性と繰返し透水性の観点から、R1とR3のうちいずれか一方は、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数2~24のアルカノイル基又は炭素数2~24のアルケノイル基であることが好ましい。この場合、同様の観点から、炭素数は8~22であることが好ましく、12~18であることがより好ましい。これらのアルキル基、アルケニル基、アルカノイル基及びアルケノイル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
【0014】
A2とA3は、互いに独立に、炭素数2~4のアルキレン基であるが、濡れ戻り性と繰返し透水性、加工浴安定性の観点から、炭素数2~3のアルキレン基であることが好ましい。
また、同様の観点から、(A2O)l、(A3O)mで表されるポリアルキレンオキシ基は、炭素数2のアルキレンオキシ基(エチレンオキシ基)と炭素数3のアルキレンオキシ基(プロピレンオキシ基)とを併用することがより好ましい。この場合、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の配合比率はモル比で、エチレンオキシ基:プロピレンオキシ基=5:95~50:50が好ましく、5:95~40:60がより好ましく、10:90~30:70がさらに好ましい。
【0015】
(A2O)l、(A3O)mで表されるポリアルキレンオキシ基が複数のアルキレンオキシ基からなる場合、その付加方法はブロック付加であってもランダム付加であってもよい。lとmはそれぞれ、(A2O)lと(A3O)mで表されるポリアルキレンオキシ基の重合度を表し、lは、0又は1~1000の整数を表し、mは、0又は1~1000の整数を表すが、濡れ戻り性と繰返し透水性の観点から、lとmは、共に10~200が好ましい。
また、一般式(2)で表される成分(B)は、取り扱いの容易さの観点から、平均分子量10万以下であることが好ましい。
【0016】
成分(B)としては、例えば、ポリアルキレグリコール(B1)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B2)、2価カルボン酸のアルキレンオキシ基付加物(B3)、それらのエステル化物(B4)などを挙げることができる。
ポリアルキレグリコール(B1)は、例えば、2価のアルコールにアルキレンオキサイドを付加させることにより得ることができる。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B2)は、例えば、1価のアルコールにアルキレンオキサイドを付加させることにより得ることができる。この場合、常法に従い、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの塩基触媒を使用して、80~200℃で行えばよい。2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等を挙げることができる。1価のアルコールとしては、炭素数1~24のアルコールを挙げることができる。このようなアルコールは分岐や二重結合を持っていても構わない。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどの炭素数2~4のアルキレンオキサイドを使用することができる。2種以上のアルキレンオキサイドを使用する場合は、付加方法はブロックであってもランダムであってもよい。
【0017】
2価カルボン酸のアルキレンオキシ基付加物(B3)は、例えば、2価カルボン酸にアルキレンオキサイドを付加させる方法、又は2価カルボン酸とポリアルキレングリコールと反応させることで得ることができる。
前記エステル化物(B4)は、例えば、前記で得られた、ポリアルキレグリコール(B1)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B2)、及び/又は2価カルボン酸のアルキレンオキシ基付加物(B3)と、1価及び/又は2価のカルボン酸を、常法に従って100~300℃程度で反応することにより得ることができる。この反応は、無触媒でも構わないし、硫酸やパラトルエンスルホン酸等の触媒を使用してもよい。
【0018】
1価カルボン酸としては、炭素数1~24のカルボン酸が挙げられる。このようなカルボン酸は分岐や二重結合を持っていても構わない。2価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、コハク酸等の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。この中でも濡れ戻り性と繰返し透水性の観点から、脂肪族ジカルボン酸が好ましく用いられ、より好ましくはアジピン酸、コハク酸が用いられる。
【0019】
濡れ戻り性と繰返し透水性の観点から、繊維加工剤中の、成分(A)と成分(B)との配合比率は質量比で、成分(A):成分(B)=1:99~90:10が好ましく、5:95~50:50がより好ましい。成分(A)の配合比率が下限値未満であると、濡れ戻り性が低下する傾向があり、成分(A)の配合比率が上限値を上回ると、繰返し透水性が低下する傾向がある。
【0020】
本実施形態の繊維加工剤には、成分(A)、成分(B)の他に初期透水性(45度傾斜流長)を改善する成分(C)としてポリエーテル変性シリコーンをさらに配合することもできる。濡れ戻り性と45度傾斜流長の観点から、成分(C)の配合比率は、成分(A)と成分(B)の合計量に対して、5質量%~50質量%が好ましく、10質量%~30質量%がより好ましい。
【0021】
成分(C)としては、市販のポリエーテル変性シリコーンを用いることができる。例えば、信越化学工業株式会社のKF-351A、KF-352A、KF-353、KF-355A、KF-615A、KF-642、KF-6204、KF-6011、KF-6012、KF-6013;東レ・ダウコーニング株式会社の、SH8700、SH8410、SH8400、L-7002、FZ-2104、FZ-77、L-7604;モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン合同会社の、TSF4440、TSF4441、TSF4452、SF1188A、SF1288、Silsoft840、Silsoft860、Silsoft870、Silsoft875、Silsoft880、Silsoft895などを用いることができる。成分(C)として用いるポリエーテル変性シリコーンは特に制限されるものではないが、濡れ戻り性と繰返し透水性と45度傾斜流長の観点から、HLBが5~15のものが好適に用いられ、また、粘度50~10000cStのものが好適に用いられる。
【0022】
本実施形態の繊維加工剤には、成分(A)、成分(B)、成分(C)の他に、所望の効果を損なわない限り、所望の目的に応じて他の化合物を配合しても構わない。例えば、乳化剤、柔軟剤、平滑剤、帯電防止剤、消泡剤としての各種界面活性剤を適宜含有させることができる。
【0023】
繊維加工剤の付着量は、目的とする用途によって異なるが、例えば、衛生材料用としては、必須成分であるA成分とB成分の合計量が不織布に対して0.05重量%から1.50重量%付着する様に塗布することが好ましい。成分Aおよび成分B、成分C、その他の化合物を混合した繊維加工剤の付着量は水等の加工剤を希釈する溶媒を除いた純分(純分付着量)で0.10重量%~1.50重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.15重量%~1.20重量%である。0.05重量%未満では満足する透水性能は得られにくく、他方、1.50重量%を超えると肌へのかぶれや、しっしんが発生する可能性がある。
【0024】
繊維加工剤を不織布に付与するに際し、成分(A)、成分(B)、成分(C)の各々を、あるいはこれらを混合して一剤としたものを不織布に直接付与することも有効であるが、予め混合し、水等の溶媒で希釈し、繊維加工剤水溶液として不織布に付与することが好ましい。本実施形態の繊維加工剤は、成分(A)と成分(B)と、場合により、成分(C)と、上記の他の化合物とを好ましくは融点以上の温度で混合均一とすることで得ることができる。
不織布への繊維加工剤の付与方法としては、浸漬法、噴霧法、コーティング法等の既知の方法が採用でき、繊維加工剤付与後、熱風、熱ロールなどの乾燥手段を用いて乾燥してもよい。また、繊維加工剤付与前にコロナ放電処理、常圧プラズマ放電処理などの処理も必要に応じて採用してもよい。
【0025】
不織布製造設備の高速化に伴う乾燥工程における乾燥不足などを発生させないために、繊維加工剤水溶液の塗布量は少ない方が好ましい。不織布に対する塗布量(重量%)は、前記付与方法のいずれにおいても1.0重量%~65重量%が好ましく、より好ましくは3.0重量%~60重量%であり、更に好ましくは5.0重量%~50重量%である。1.0重量%未満では均一な塗布は得られず、他方、65重量%を超えると、必要な乾燥能力が大きくなり、設備コストが増大し、また乾燥不足を生じかねない。尚、塗布する繊維加工剤の濃度は0.05重量%以上~100重量%が好ましい。
【0026】
繊維加工剤の付与方式はコーティングによる方法が一般的である。公知のコーティング法として、キスコーター、ダイ等が挙げられるが、繊維加工剤を不織布幅方向に均一に付与できることからグラビアによる付与方式を使用することが好ましい。
グラビアロールの柄は、格子型やピラミッド型でもよいが、グラビアのセル底に繊維加工剤が残りにくい斜線型が好ましい。セル容積は、5cm3/m2~40cm3/m2が好ましい。5cm3/m2未満では、塗布量が少なすぎるため、繊維加工剤の均一な塗布が困難となる。他方、40cm3/m2を超えると、塗布量が多くなりすぎるため乾燥工程での乾燥不足やマイグレーションによる繊維加工剤の付着斑が生じるなどの問題が発生する。
前記グラビアロールのセルの深さは、10μm~80μmが好ましく、その間隔は、80メッシュ~250メッシュの範囲内で、上記セル容積となるように設計するのが好ましい。
【0027】
グラビアロール表面の液をかき取るための方式は、一般的な焼入鋼板製のドクターを用いるドクターブレード方式や表面がゴム製のロールを用いるゴムロール方式であってもよい。ドクターブレード方式の場合の抑え圧としては0.5kg/cm~1.0kg/cmが好ましく、0.6kg/cm~0.8kg/cmがより好ましい。ゴムロール方式の場合はゴム硬度60°以上80°以下の範囲内において、抑え圧は1.0kg/cm以上5.0kg/cm以下が好ましく、1.5kg/cm以上3.5kg/cm以下がより好ましい。いずれの方式でも抑え圧が前記範囲内であると、不織布幅方向に均一に抑えられるため、繊維加工剤の塗布量のばらつきが少なくなる。
【0028】
また、設備の高速化に対応でき、効率良く塗布できること、且つ不織布の厚みを維持しやすいことから噴霧法での付与方式も好ましい。噴霧法としては、公知のエア圧縮による吹付け法や、繊維加工剤水溶液を直接圧縮して噴霧する方法でもよいが、不織布に均一に塗布できる観点から、ローターダンプニング方式が好ましい。塗布時の繊維加工剤水溶液の飛散防止策を施すことで設備の高速時でも塗布が可能である。ローターダンプニング方式とは、回転しているローター上に繊維加工剤水溶液を供給し、ローター回転の遠心力を用いて繊維加工剤水溶液を噴霧する方法である。ローターダンプニング方式では、塗布する方向にローター回転によって飛ばされる繊維加工剤水溶液の液粒子を塗布する不織布側にのみ噴霧できるよう、且つ不織布の幅方向に均一に塗布できるように開口部が限定され、ローター回転数により噴霧粒子径を調整することが可能である。
【0029】
前記ローターダンプニング方式の場合、例えば、ローターの直径は40mm~100mmのものを選定し、塗布する不織布の幅方向に繊維加工剤水溶液が均一に付着できるように、塗布する不織布面とローターの中心との距離を設定する。隣のローターから噴霧される塗布分布範囲の2分の1が重なるように設定されることが好ましい。また、ローターは幅方向に60mm~220mmの範囲において等間隔で配置させ、2段にすることが好ましい。
【0030】
均一に塗布するポイントは、塗布する不織布の内部にまで噴霧粒子を行き届かせることであり、その噴霧粒子径は10μm~200μmが好ましく、30μm~70μmがより好ましい。最適な噴霧粒子径を形成するには繊維加工剤水溶液の表面張力が重要となり、噴霧粒子径は下記式:
噴霧粒子径(μm)={100000×√(表面張力(N/m))}/(ローター直径(mm)×ローター回転数(rpm))
により算出される。
【0031】
また、これら塗布方法における繊維加工剤水溶液の温度は、5℃~50℃が好ましく、溶液の均一分散、安定性の観点から、12℃~40℃がより好ましい。繊維加工剤水溶液の粘度は、0.5mPa・s~50mPa・sであることが好ましく、より均一に塗布しやすい観点から、0.8mPa・s~20mPa・sがより好ましい。粘度が50mPa・sを超えると、繊維加工剤水溶液の不織布への浸透性が劣り、均一な塗布が困難となる傾向がある。
【0032】
繊維加工剤水溶液の塗布後の乾燥には、慣用の乾燥方式を用いることができ、特に限定されるものではなく、対流伝熱、伝導伝熱、放射伝熱等を利用した既知の方法が採用でき、熱風循環型、熱風貫通型、赤外線ヒーター型、不織布の両面に熱風を吹き付ける方法、加熱気体中に導入する方法等、各種の乾燥方法を用いることができる。
【0033】
本実施形態の不織布は熱可塑性繊維から成り、スパンボンド法により製造された長繊維不織布であっても、カード法や湿式抄造法などで製造された短繊維不織布であってもよい。しかしながら、強度、生産性の観点、不織布表面構造に特徴を持たせ、肌への刺激低減などの観点から、ウェブを構成する繊維としては、スパンボンド法により製造された長繊維が好ましい。本明細書中、長繊維とは、繊維長が55mm以上のものをいう。また、熱可塑性繊維の形態としては、丸形断面のものだけでなく、断面が扁平やY型などの異型断面繊維、中空糸や捲縮糸などの特殊な形態のものを用いることができ、特に限定されるものではない。
【0034】
ウェブは1層単体でもよいが、スパンボンド法(S)により形成されたウェブの上に、メルトブロウン法(M)により溶融紡糸されるウェブを吹付けて積層してもよい。積層の状態は生産性の観点からSS、SSS、SSSSと積層したり、SM、SMS、SMMS、SMSMSのように積層したりしてもよい。また、各層毎に異なる目付や繊維径、繊維形態に形成しても構わない。
【0035】
積層するウェブの接合方法としては、接着剤を用いて接合する方法、低融点繊維や複合繊維により接着する方法、ホットメルトバインダーをウェブ形成中に散布して溶融接合する方法、ニードルパンチ、水流等で交絡する等の機械交絡や、熱風による接合などの方法のいずれでも構わない。しかしながら、高速生産性の点からは、部分熱圧着により接合するのが好ましい。例えば、ピンポイント状、楕円形状、ダイヤ形状、矩形状などの接合点を付与できる加熱したエンボス/フラットロール間にウェブを通して接合することができる。部分熱圧着における熱圧着面積率は、強度保持及び柔軟性の点から5~40%が好ましく、より好ましくは5~25%である。また、不織布の嵩を維持し、衛生材料のトップシートとして好まれるクッション性のある風合いを得ることができる観点から、熱風を用いて接合するのも好ましい。熱風を用いた接合方式として熱風循環型、熱風貫通型、不織布の両面に熱風をふきつける方法であれば、特に限定せず用いることができる。
【0036】
本実施形態の熱可塑性繊維を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル系樹脂、ナイロン-6、ナイロン-66、共重合ナイロンなどのポリアミド系樹脂、及び、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートなどの生分解性樹脂が挙げられ、特に制限されない。不織布の風合いの観点と、使用される用途の多くが使い捨て材料であり、汎用、回収の利便性の観点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。また、繊維は1種類でも、サイドバイサイドや鞘芯など、2種類以上の樹脂を組み合わせたものでも構わない。
【0037】
不織布の繊維の平均繊度は0.45dtex~10.0dtexであることが好ましく、より好ましくは0.55dtex~8.0dtex、更に好ましくは0.86dtex~5.0dtexである。紡糸安定性の観点から、平均繊度は0.45dtex以上であることが好ましく、他方、衛生材料に使用される不織布の風合いの観点から、10.0dtex以下であることが好ましい。
【0038】
不織布の目付は8g/m2~80g/m2が好ましく、より好ましくは10g/m2~40g/m2以下、更に好ましくは10g/m2~30g/m2である。目付が8g/m2以上であれば、衛生材料に使用される不織布としては強力を満足し、他方、80g/m2以下であれば、衛生材料に使用される不織布の風合いを満足し、外観的に厚ぼったい印象を与えにくい傾向がある。
【0039】
本実施形態の繊維加工剤が付与された不織布は、尿や体液などをよどみなく吸収する為に、下記のような特性を有することが好ましい。
【0040】
本実施形態の不織布の透水性の指標となる繰り返し透水性は、4回目で70%以上であることが好ましい。排尿毎におむつを交換することはないため、トップシートやセカンドシートなどに使用される不織布には2回目、3回目と繰返しの排尿に対しても、澱みなく尿等の体液を通水する必要がある。4回目の繰返し透水性の値が70%未満では、例えば、使い捨ておむつのトップシートやセカンドシートなどに用いた場合、2回目以降の尿に対し十分に通水できないことから尿漏れの原因となる可能性がある。
【0041】
本実施形態の不織布の透水性の指標となる濡れ戻り性は、0.5g以下であることが好ましい。濡れ戻り性の値が0.5gを超えると、例えば、使い捨ておむつの表面材に用いた場合、排尿後、肌に表面材が触れたとき非常に湿った感触があり使用感が悪くなる他、かぶれを引き起こす原因となる可能性がある。濡れ戻り性は低いほど良いが、0.01g以下の値は測定下限値である。
【0042】
本実施形態の不織布の透水性の指標となる45度傾斜流長は、30mm以下が好ましく、より好ましくは25mm以下である。45度傾斜流長が30mmを超えると、例えば、使い捨ておむつなどの表面材に用いた場合、表面の液流れが多くなり、尿漏れを起こしやすくなる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。尚、各特性の評価方法は下記のとおりであり、得られた不織布の物性を以下の表2に示す。以下、不織布製造における流れ方向をMD方向、その方向と直角方向で幅方向をCD方向という。
【0044】
1.平均繊度(dtex)
不織布のCD方向に5等分して1cm角の試験片を採取し、キーエンス社製マイクロスコープVHX-700Fで繊維の直径を各20点ずつ測定し、その平均値から単糸繊度を算出した。
【0045】
2.不織布の目付(g/m2)
JIS-L1906に準じ、MD方向20cm×CD方向5cmの試験片を不織布のCD方向に採取位置が均等になるように5枚採取して質量を測定し、その平均値を単位面積あたりの重量に換算して目付(g/m2)として求めた。
【0046】
3.繊維加工剤水溶液の塗布量(重量%)
繊維加工剤水溶液付与加工1時間分の繊維加工剤水溶液の消費量から下記式:
繊維加工剤水溶液塗布量(重量%)=繊維加工剤水溶液消費量(g)/{不織布目付(g/m2)×幅(m)×加工速度(m/min)×60(min)}×100
により算出した値を繊維加工剤水溶液の塗布量(重量%)とした。
【0047】
4.純分付着量は、塗布量(重量%)から下記式:
純分付着量(重量%)= 塗布量(重量%)×(繊維加工剤の水溶液濃度(重量%))÷100により算出した値を繊維加工剤(全成分)の純分付着量とした。
また、成分(A)と成分(B)の純分付着量は、塗布量(重量%)から下記式:
成分(A)と成分(B)の純分付着量(重量%)= 塗布量(重量%)×(繊維加工剤水溶液の成分(A)の成分濃度(重量%)+繊維加工剤水溶液の成分(B)の成分濃度(重量%))÷100
により算出した。
【0048】
5.濡れ戻り性(g)
吸収体として吸収体の特性を一定化しておくため、特定濾紙(Ahlstrоm社製 GRADE:989)3枚の上に試験布を置く。さらにその上に10cm角で中央に直径25mmの穴を開けた板(約800g)を置き、中央穴の上部25mm高さより、生理食塩水(吸収体重量の4.0倍の液量)を滴下し、吸収させる。次に、試験布の上の板を取り除き、3.5kgの錘(10cm角)をしずかに載せて3分間かけ、吸収体中の液の分布を一定化する。次いで、3.5kgの錘を一旦取り除き、試験布の上に予め秤量した測定用濾紙(HOLLINGSWORTH&VOSE.CONPANY製 ERTMWWSSHEETS 12.5cm角)2枚を速やかに置き、再度3.5kgの錘を静かに載せる。2分後にその測定濾紙の重量増加を秤量する。その増加分の値(g)を濡れ戻り性とした。
【0049】
6.繰返し透水性(%)
吸収体としてトイレットペーパー(イトマン株式会社製ハードシングル1R55m)を10枚重ねて、その上に試験布(20cm×30cm)を置く。さらにその上に直径1.5cmの穴を等間隔に10ヶ所開けたステンレス製の板を置き、それぞれの穴に位置する布の上方10mmの高さから生理食塩水0.05gを滴下し、3分経過後、再度同様に滴下する。4回目の滴下後、10秒以内に吸収される穴の数(a)を数える。これを同じ試料の40ヶ所について試験し{((a)/(穴10ヶ所×試料40ヶ所)×100)}を4回目の繰返し透水性(%)とした。また、継続して5回目の滴下後も4回目と同様に10秒以内に吸収される穴の数(b)を数え、{((b)/(穴10ヶ所×試料40ヶ所)×100)}を5回目の繰返し透水性(%)とした。
【0050】
7.45度傾斜流長(mm)
45度に傾斜した板上に吸収体としてトイレットペーパー(イトマン株式会社製ハードシングル1R55m)を10枚重ねて、その上に試験布(20cm角)を置いてセットし、布の上方10mmの高さから0.05gの生理食塩水を滴下した。滴下位置から吸収終了までの生理食塩水が流れ落ちた距離を読み取った。この測定を試験布内で任意に20点行い、その平均値を透水45度傾斜流長(mm)とした。
【0051】
<不織布の製造(1)>
メルトフローレート(MFR)が55g/10分(JIS-K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン(PP)樹脂を吐出量0.88g/分・hоleとなる様にスパンボンド法で、紡糸温度220℃で押出し、このフィラメント群をエアジェットによる高速牽引装置を使用して、移動捕集面に向けて押出し、平均繊維径2.8dtexの長繊維ウェブを調製した。
次いで、得られた長繊維ウェブを上下温度135℃、圧力60kg/cmでのフラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径0.425mm円形、千鳥配列、横ピッチ2.1mm、縦ピッチ1.1mm、圧着面積率6.3%)の間に通して繊維同士を部分圧着して、目的とする目付が18g/m2となる様にライン速度を調整し、長繊維不織布(1)を得た。
【0052】
<不織布の製造(2)>
エチレン成分含有量が4.3モル%、MFRが24のエチレン・プロピレンランダム共重合体樹脂(r-PP)を吐出量0.84g/分・hоleとなる様にスパンボンド法で、紡糸温度230℃で押出し、このフィラメント群をエアジェットによる高速牽引装置を使用して、移動捕集面に向けて押出し、平均繊維径2.3dtexの長繊維ウェブを作製した。次いで、得られた長繊維ウェブを不織布の製造(1)で使用したものと同じフラットロール/エンボスロールを用いて上下温度135℃、圧力60kg/cmの条件で、繊維同士を部分圧着して、目的とする目付が30g/m2となる様にライン速度を調整し、長繊維不織布(2)を得た。
【0053】
<不織布の製造(3)>
MFRが38g/10分のポリプロピレン(PP)を、ハ型異型ノズルを配置した紡糸口金を用いて紡糸温度240℃、吐出量が0.80g/分・hоleで押出し、このフィラメント群をエアジェットによる高速気流牽引装置を使用して、移動捕集面に向けて押出し、平均繊維径2.5dtexの長繊維ウェブを得た。
次いで、得られた長繊維ウェブを温度135℃、圧力60kg/cmに設定したフラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径1.00mm円形、千鳥配列、横ピッチ4.4mm、縦ピッチ4.4mm、圧着面積率7.9%)の間に通して繊維同士を部分的に接着し、目付15g/m2、捲縮数28個/インチの長繊維不織布(3)を得た。
【0054】
<不織布の製造(4)>
MFRが55g/10分(JIS-K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン(PP)樹脂を第1成分とし、メルトインデックス(MI)が26g/10分(JIS-K7210に準じ、温度190℃、荷重2.16kgで測定)の高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂を第2成分とし、第1成分の吐出量が0.54g/分・hоle、第2成分の吐出量が0.26g/分・hоleで全吐出量が0.8g/分・hоleであり、第1成分と第2成分の比が約2/1となる繊維をスパンボンド法により紡糸温度220℃で押出し、このフィラメント群をエアジェットによる高速気流牽引装置を使用して、移動捕集面に向けて押出し平均繊維径2.0dtexの偏芯鞘芯型複合長繊維ウェブを調製した。
次いで、得られた長繊維ウェブを不織布の製造(3)で使用したものと同じフラットロール/エンボスロールを用いて、上下温度135℃、圧力60kg/cmの条件で、繊維同士を部分圧着して、目的とする目付が15g/m2となる様にライン速度を調整して、長繊維不織布(4)を得た。
【0055】
<不織布の製造(5)>
MFRが55g/10分(JIS-K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン(PP)樹脂を第1成分とし、MIが26g/10分(JIS-K7210に準じ、温度190℃、荷重2.16kgで測定)の高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂を第2成分とし、第1成分の吐出量が0.4g/分・hоle、第2成分の吐出量が0.4g/分・hоleで全吐出量が0.8g/分・hоleであり、第1成分と第2成分の比が1/1となる繊維をスパンボンド法により紡糸温度220℃で押出し、このフィラメント群をエアジェットによる高速気流牽引装置を使用して、移動捕集面に向けて押出し平均繊維径2.3dtexの偏芯鞘芯型複合長繊維ウェブを調製した。
次いで、得られた偏芯鞘芯型複合長繊維不織ウェブを100℃のフラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径1.00mm円形、千鳥配列、横ピッチ4.4mm、縦ピッチ4.4mm、圧着面積率7.9%)の間に通して繊維同士を仮接着し、次いで、熱風温度142℃、熱風風速0.7m/sの熱風により繊維同士を接着し、目付25g/m2、捲縮数17個/インチの複合長繊維不織布(5)を得た。
【0056】
<不織布の製造(6)>
不織布の製造(5)の製造で用いたものと同じポリマーを用いて、第1成分(ポリプロピレン)の吐出量が0.40g/分・hоle、第2成分(ポリエチレン)の吐出量が0.40g/分・hоleで全吐出量が0.8g/分・hоleであり、第1成分と第2成分の比が1:1となる繊維をスパンボンド法により紡糸温度220℃で押出した。押出したフィラメントは、移動捕集面の吸引力を利用して牽引ゾーン内で延伸させた後、ディフューザーを通し移動捕集面に堆積させて、平均繊維径3.0dtexのサイドバイサイド型複合長繊維ウェブを調製した。得られたサイドバイサイド型複合長繊維ウェブを熱風温度142℃、熱風風速0.7m/sの熱風により繊維同士を接着し、目付15g/m2、捲縮数15個/インチの複合長繊維不織布(6)を得た。
【0057】
<不織布の製造(7)>
MFRが36g/10分(JIS-K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン(PP)樹脂を第1成分とし、MIが17g/10分(JIS-K7210に準じ、温度190℃、荷重2.16kgで測定)の直鎖上低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE)樹脂を第2成分とし、第1成分の吐出量が0.50g/分・hоle、第2成分の吐出量が0.25g/分・hоleで全吐出量が0.75g/分・hоleであり、第1成分と第2成分の比が2/1となる繊維をスパンボンド法により紡糸温度220℃で押出し、このフィラメント群をエアジェットによる高速気流牽引装置を使用して、移動捕集面に向けて押出し平均繊維径2.8dtexの偏芯鞘芯型複合長繊維ウェブを調製した。
次いで、熱風温度120℃、熱風風速1.0m/sの熱風により繊維同士を接着し、目付20g/m2、捲縮数25個/インチの複合長繊維不織布(7)を得た。
【0058】
<不織布の製造(8)>
溶液粘度ηsp/c0.75のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を第1成分とし、MIが26g/10分(JIS-K7210に準じ、温度190℃、荷重2.16kgで測定)の高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂を第2成分とし、第1成分の吐出量が0.50g/分・hоle、第2成分の吐出量が0.25g/分・hоleで全吐出量が0.75g/分・hоleであり、第1成分と第2成分の比が2:1となる繊維をスパンボンド法により紡糸温度220℃で押出した。押出したフィラメントは、移動捕集面の吸引力を利用して牽引ゾーン内で延伸させた後、ディフューザーを通し移動捕集面に堆積させて、平均繊維径4.0dtexの偏芯鞘芯型複合長繊維ウェブを調製した。得られた偏芯鞘芯型複合長繊維ウェブを熱風温度130℃、熱風風速0.7m/sの熱風により繊維同士を接着し、目付30g/m2、捲縮数13個/インチの複合長繊維不織布(8)を得た。
【0059】
<成分(A)>
成分A-1:株式会社ADEKA製のプロピレングリコールを用いた。
成分A-2:株式会社ADEKA製のジプロピレングリコールを用いた。
【0060】
<成分(B)>
成分B-1:プロピレングリコールに、常法に従い、プロピレンオキサイド30モル、次いでエチレンオキサイド8モルを付加してポリオキシアルキレングリコールを得た。次いで、このポリオキシアルキレングリコール1モルと、ラウリン酸1.5モルとを反応させて成分B-1を得た。成分B-1は、一般式(2)において、nが0であり、R1とR3が炭素数11のアルケノイル基であり、(A2O)lがプロピレンオキサイド31モルの両末端に合計8モルのエチレンオキサイドが付加した基(lが39)である化合物と、一般式(2)において、nが0であり、R1とR3のいずれか一方が炭素数11のアルケノイル基であり、(A2O)lがプロピレンオキサイド31モルの両末端に合計8モルのエチレンオキサイドが付加した基(lが39)である化合物と、の1:1混合物である。
【0061】
成分B-2:プロピレングリコールに、常法に従い、プロピレンオキサイド50モル、次いで、エチレンオキサイド15モルを付加してポリオキシアルキレングリコールを得た。次いで、このポリオキシアルキレングリコール1モルとステアリン酸1.8モルとを反応させて成分B-2を得た。成分B-2は、一般式(2)において、nが0であり、R1とR3が炭素数17のアルケノイル基であり、(A2O)lがプロピレンオキサイド51モルの両末端に合計15モルのエチレンオキサイドが付加した基(lが66)である化合物と、一般式(2)において、nが0であり、R1とR3のいずれか一方が炭素数17のアルケノイル基であり、(A2O)lがプロピレンオキサイド51モルの両末端に合計15モルのエチレンオキサイドが付加した基(lが66)である化合物と、の9:1混合物である。
【0062】
成分B-3:プロピレングリコールに、常法に従い、プロピレンオキサイド30モル、次いで、エチレンオキサイド8モルを付加してポリオキシアルキレングリコールを得た。次いで、このポリオキシアルキレングリコール3モルとアジピン酸2モルとを反応させた。次いで、この反応物とラウリン酸1モルとを反応させて成分B-3を得た。
成分B-3は、一般式(2)において、R1とR3のいずれか一方が炭素数11のアルケノイル基であり、(A2O)lがプロピレンオキサイド31モルの両末端に合計8モルのエチレンオキサイドが付加した基(lが39)であり、R2が炭素数4のアルキレン基であり、(A3O)mがプロピレンオキサイド31モルの両末端に合計8モルのエチレンオキサイドが付加した基(mが39)であり、nが2である化合物である。
【0063】
成分B-4:プロピレングリコールに、常法に従い、プロピレンオキサイド30モル、次いで、エチレンオキサイド8モルを付加してポリオキシアルキレングリコールを得た。次いで、このポリオキシアルキレングリコール5モルとアジピン酸4モルとを反応させて、成分B-4を得た。成分B-4は、一般式(2)において、R1とR3が水素であり、(A2O)lがプロピレンオキサイド31モルの両末端に合計8モルのエチレンオキサイドが付加した基(lが39)であり、R2が炭素数4のアルキレン基であり、(A3O)mがプロピレンオキサイド31モルの両末端に合計8モルのエチレンオキサイドが付加した基(mが39)であり、nが4である化合物である。
【0064】
成分B-5:ラウリルアルコールに、常法に従い、プロピレンオキサイド24モルを付加して成分B-5を得た。
成分B-5は、一般式(2)において、nが0であり、R1とR3が炭素数12のアルキル基であり、(A2O)lがプロピレンオキサイド24モルの基(lが24)である化合物である。
【0065】
<成分(C)>
ポリエーテル変性シリコーンとして、KF-6013(信越化学工業株式会社製、HLB=10、粘度は400cSt)を用いた。
【0066】
グリセリンとして、ミヨシ油脂株式会社製の化粧品用濃グリセリンを用いた。
【0067】
<ポリエーテル>
水にプロピレンオキシドを付加重合して平均重合度85のポリプロピレングリコールを得た。次いで、該ポリプロピレングリコールにエチレンオキシドを平均重合度25となるように付加重合して、平均分子量約6000の(プロピレンオキシド)85・(エチレンオキシド)25のブロックポリエーテル化合物を得た。
【0068】
<グリセリン縮合物>
グリセリン縮合物として、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル(阪本薬品工業株式会社製、商品名:SYグリスターMS-5S)を用いた。
【0069】
<ポリオキシアルキレンひまし油エーテル>
ポリオキシアルキレンひまし油エーテルとして、ポリオキシエチレン(20)硬化ひまし油(日光ケミカル株式会社製、商品名:NIKKOL HCO-20)を用いた。
【0070】
[実施例1]
成分(A)として成分A-1:25質量部、成分(B)として成分B-1:55質量部、成分(C):20質量部、を30℃で混合均一とし、実施例1の繊維加工剤(1)を得た。各成分の配合比率を以下の表1に示す。
【0071】
[実施例2~7、9、参考例8、10、比較例1~7]
成分(A)、成分(B)、成分(C)、その他の成分の配合比率を、以下の表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして実施例2~7、9、参考例8、10の繊維加工剤(2)~(10)、及び比較例1~7の繊維加工剤(比較1)~(比較7)を得た。各成分の配合比率を以下の表1に示す。
【0072】
【0073】
[実施例11]
前記不織布(1)に、実施例1の繊維加工剤(1)の3重量%水溶液を、液温20℃に調整し、塗布量が10重量%となるように、ローターダンプニング方式にて上記不織布に塗布し125℃のエアスルードライヤーに通して乾燥させ巻き取った。使用したローターダンプニング装置のローターの直径は80mmであり、各ローターは、CD方向に115mm間隔、塗布する不織布とのローター中心の距離を180mmとなるように配置した。また、ローター回転数を調整し、噴霧される繊維加工剤の噴霧粒子径が35μmとなるようにした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0074】
[実施例12]
前記不織布(1)に、実施例2の繊維加工剤(2)を、実施例11と同様にして不織布に付与した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0075】
[実施例13]
前記不織布(1)に、実施例3の繊維加工剤(3)を、実施例11と同様にして不織布に付与した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0076】
[実施例14]
前記不織布(1)に、実施例2の繊維加工剤(2)の5重量%水溶液を、液温20℃で調整し、塗布量が10重量%となるようにした他は、実施例11と同様にして不織布に付与した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0077】
[実施例15]
前記不織布(1)に、実施例4の繊維加工剤(4)の3.4重量%水溶液を、液温20℃に調整し、塗布量が30重量%となるように、斜線柄120メッシュ、セル容積22cm3/m2のグラビアロールを用いて塗布し、次いで、120℃のシリンダードライヤーに通して乾燥させ巻き取った。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0078】
[実施例16]
前記不織布(1)に、実施例5の繊維加工剤(5)の10重量%水溶液を、液温20℃で調整し、塗布量が10重量%となるようにした他は、実施例11と同様にして不織布に付与した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0079】
[実施例17]
前記不織布の製造(1)において、目付を8g/m2となるようにライン速度を調整したこと以外は同様にして不織布を得た。得られた不織布に、不織布の濡れ張力が35~39mN/mとなる様にコロナ処理を行った後、実施例4の繊維加工剤(4)の0.34重量%水溶液を液温20℃で調製した他は、実施例15と同様にして不織布に付与した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0080】
[実施例18]
前記不織布の製造(1)において、目付を15g/m2となるようにライン速度を調整したこと以外は同様にして不織布を得た。得られた不織布に、実施例4の繊維加工剤(4)の1.67重量%水溶液を液温20℃で調整した他は、実施例15と同様にして不織布に付与した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0081】
[実施例19]
前記不織布(2)に、実施例4の繊維加工剤(4)の10重量%水溶液を、液温20℃で調整し、塗布量が10重量%となるようにした他は、実施例11と同様にして不織布に付与した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0082】
[実施例20]
前記繊維加工剤(6)を用いた他は、実施例19と同様の方法で不織布を作製した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0083】
[実施例21]
前記不織布の製造(2)において、目付を18g/m2となるようにライン速度を調整したこと以外は同様にして不織布を得た。得られた不織布に、実施例7の繊維加工剤(7)の1.0重量%水溶液を液温20℃で調整した他は、実施例15と同様にして不織布に付与した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0084】
[参考例22]
前記不織布の製造(1)において、目付を15g/m2となるようにライン速度を調整したこと以外は同様にして不織布を得た。また、繊維加工剤(8)を用いた他は、実施例21と同様の方法で不織布を作製した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0085】
[実施例23]
前記不織布(3)に、繊維加工剤(7)の0.67重量%水溶液を液温20℃で調整した他は、実施例15と同様にして不織布に付与した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0086】
[実施例24]
前記不織布(4)を用いた他は、実施例23と同様にして不織布を作製した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0087】
[実施例25]
前記不織布(5)に繊維加工剤(7)の2重量%水溶液を、液温20℃で調整し、塗布量が10重量%となるようにした他は、実施例11と同様にして不織布を作製した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0088】
[実施例26]
前記不織布(6)を用いた他は、実施例25と同様にして繊不織布を作製した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-1に示す。
【0089】
[実施例27]
前記不織布(7)に繊維加工剤(4)の10重量%水溶液を、液温20℃で調製し、塗布量が5重量%となるようにした他は、実施例11と同様にして不織布を作製した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-2に示す。
【0090】
[実施例28]
前記不織布(8)に繊維加工剤(4)の6重量%水溶液を、液温20℃で調製し、塗布量が5重量%となるようにした他は、実施例11と同様にして不織布を作製した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-2に示す。
【0091】
[実施例29]
前記不織布(5)に繊維加工剤(4)の0.67重量%水溶液を、液温20℃で調製し、塗布量が30重量%となるようにキスロール(φ400mm)を用いて塗布し、次いで、130℃のシリンダードライヤーに通して乾燥させ巻き取った。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-2に示す。
【0092】
[実施例30]
前記不織布(1)に、繊維加工剤(9)の5重量%水溶液を、液温20℃で調製し、塗布量が10重量%となるようにした他は、実施例11と同様にして不織布を作製した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-2に示す。
【0093】
[参考例31]
前記不織布(1)に、参考例10の繊維加工剤(10)の3重量%水溶液を、液温20℃で調製し、塗布量が10重量%となるようにした他は、実施例11と同様にして不織布を作製した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-2に示す。
【0094】
[比較例11]
前記不織布(1)に、比較例1の繊維加工剤(比較(1))を、実施例14と同様にして不織布に付与した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-2に示す。
【0095】
[比較例12]
比較例2の繊維加工剤(比較(2))を用いた他は、比較例11と同様にして不織布を得た。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-2に示す。
【0096】
[比較例13]
比較例3の繊維加工剤(比較(3))を用いた他は、比較例11と同様にして不織布を得た。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-2に示す。
【0097】
[比較例14]
前記不織布(1)に、比較例4の繊維加工剤(比較(4))1.67重量%水溶液を、液温20℃で調製した他は、実施例15と同様にして不織布に付与した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-2に示す。
【0098】
[比較例15]
前記不織布(1)に、比較例5の繊維加工剤(比較(5))1.0重量%水溶液を、液温20℃で調製した他は、実施例15と同様にして不織布に付与した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-2に示す。
【0099】
[比較例16]
前記不織布(1)に、比較例6の繊維加工剤(比較(6))1.67重量%水溶液を、液温20℃で調製した他は、実施例15と同様にして不織布に付与した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-2に示す。
【0100】
[比較例17]
比較例7の繊維加工剤(比較(7))を用いた他は、実施例11と同様にして不織布を作製した。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2-2に示す。
【0101】
【0102】
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明に係る繊維加工剤を塗布した不織布は、初期透水性、濡れ戻り性、及び繰り返し透水性に優れるため、衛生材料、例えば、生理用ナプキン、失禁パット、使い捨ておむつ等のトップシートやセカンドシートとして好適に利用可能であり、あるいは、例えば、マスク、カイロ、テープ基材、貼布薬基材、緊急絆創膏、包装材、ワイプ製品、医療用ガウン、包帯、衣料、スキンケア用シートなどにも好適に利用可能である。