(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】サフィナミドを含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/16 20060101AFI20220927BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220927BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220927BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220927BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220927BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
A61K31/16
A61K9/14
A61K47/10
A61K47/38
A61K9/20
A61P25/16
(21)【出願番号】P 2018562607
(86)(22)【出願日】2017-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2017063063
(87)【国際公開番号】W WO2017207587
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-03-31
(31)【優先権主張番号】102016000056247
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507310709
【氏名又は名称】ザンボン エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】ZAMBON S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Lillo del Duca 10,Bresso,Milano,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モレット,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】デ ラザーリ,アレッサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】テオーリ,デボラ
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-047252(JP,A)
【文献】特開2016-060731(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104546747(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105456214(CN,A)
【文献】国際公開第2011/098456(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/120110(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0115249(US,A1)
【文献】国際公開第2010/010138(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
A61K 9/00
A61K 47/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.30~90重量%の、サフィナミド又はその薬学的に許容される塩と、結合剤と、を含むコア
b.10~70重量%の、前記コアの上にコーティングを形成するポリマー組成物
を各々含む、複数の粒子であって、
前記コアが、それに対して50~80重量%のサフィナミド又はその薬学的に許容される塩と、20~40重量%の結合剤と、を含み、
前記結合剤が
、ポリエチレングリコール(PEG
)であり、
前記ポリマー組成物が、
Surelease(登録商標)Clear及びMethocel(登録商標)E5である、前記複数の粒子。
【請求項2】
前記コアが、200~450μmの範囲の粒子サイズを有する、請求項1に記載の複数の粒子。
【請求項3】
前記コアが、サフィナミドメタンスルホン酸を含む、請求項1又は2に記載の複数の粒子。
【請求項4】
前記コアが、さらに希釈剤、崩壊剤及び滑沢剤から選択される薬理学的に許容される賦形剤を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の複数の粒子。
【請求項5】
前記コアが、0.20~0.50g/mlの範囲のかさ密度を有することを特徴とする、請求項1に記載の複数の粒子。
【請求項6】
前記ポリマー組成物が、20~40重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の複数の粒子。
【請求項7】
0.40~0.60g/mlの範囲のかさ密度を有することを特徴とする、請求項1に記載の複数の粒子。
【請求項8】
a.サフィナミド又はその薬学的に許容される塩と結合剤とを造粒してコアを形成することと、
b.ポリマー組成物により前記コアをコーティングすることと、
を含
み、
前記結合剤が、ポリエチレングリコール(PEG)であり、
前記ポリマー組成物が、Surelease(登録商標)Clear及びMethocel(登録商標)E5である、請求項1に記載の複数の粒子の調製方法。
【請求項9】
前記コアが、溶融造粒により調製される、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の複数の粒子を含む、口腔内崩壊錠剤。
【請求項11】
経口投与製剤の調製における、請求項1に記載の複数の粒子の使用。
【請求項12】
前記経口投与製剤が、50又は100mgのサフィナミド塩基又はその当量の塩を含む、請求項
11記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サフィナミドを含む医薬組成物に関し、より具体的には、前記有効成分又はその薬学的に許容される塩を含む味覚マスクされた粒子、前記粒子を含む経口投与製剤、及びそれらを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下式に示すサフィナミド、すなわち(2S)-2-[[4-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]メチルアミノ]プロパンアミド
【化1】
は、線条体におけるドーパミンの細胞外レベルの増加を引き起こす、選択の高い可逆的なMAO-B阻害剤である。サフィナミドは、電圧依存性ナトリウムチャネル(Na+)の状態依存的な阻害、及び刺激されたグルタメート放出の調節に関与する。
【0003】
サフィナミドメタンスルホン酸塩は、経口タブレットの形で投与される、EMA承認された薬剤、Xadago(登録商標)の有効成分である。
【0004】
Xadago(登録商標)は、レボドパ(L-ドーパ)単独、又は中期~末期で変動するパーキンソン病患者用の他の薬剤との組合せを一定量で投与する療法に対する、突発性パーキンソン病に罹患する成人患者の治療のためのアドオン治療剤として認められており、サフィナミドは、ドーパミン作動性及びドーパミン非作動性のいずれの機構によっても作用する。
【0005】
サフィナミドメタンスルホン酸塩の経口嚥下用のフィルムコーティングされた錠剤が、50~100mgの用量で現在市販されている。
【0006】
これらの錠剤は、即時放出プロファイルを特徴とする。
【0007】
これらの錠剤は、嚥下用であるため、治療を受ける患者が正しく嚥下動作を実行できなければならない。
【0008】
しかしながら、例えば、高齢患者の場合、又は医療補助員による補助をほとんど受けられない患者の場合など、患者のカテゴリーによっては、特にパーキンソン病などの寡動が進行する病理のために嚥下が困難であることがわかっている。
【0009】
これらの臨床的状況において、前記患者は、嚥下のために必要な動作、すなわち声門を閉鎖し、同時に喉頭の筋肉を収縮させて、全ての錠剤を食道を通過させなければならないが、それを調整することが困難である(嚥下障害)。
【0010】
これらの場合、水と共に嚥下される錠剤を、嚥下がより容易になる他の経口投与製剤で置き換えるのが望ましい。
【0011】
特許文献1(欧州特許第1613296号明細書、Newron Pharmaceuticals社)は、パーキンソン病を治療するための新規な組成物及び方法、具体的には、レボドパとの組合せでサフィナミドを投与することによるパーキンソン病の治療方法を記載する。
【0012】
この特許は、前記有効成分を含むジェネリック医薬組成物、すなわち錠剤、カプセル、エリキシル、シロップ及び経口懸濁液などの経口投与用の製剤を記載する。
【0013】
特許文献2(国際公開第2011/098456号パンフレット、Merck Serono SA社)は、ジスキネジア、好ましくは、ドーパミン作動性治療に関連するジスキネジアの治療及び予防に関する。前記文献は、サフィナミド、結合剤及び他の賦形剤を含むコアと、HPMCコーティングと、を有する錠剤組成物を開示する。コアの中の粒子の存在は、明示的に開示されていない。
【0014】
Xadago(登録商標)に関しEMAにより発行された承認書には、直径7mm、円形、両凹、オレンジ~銅色、金属光沢有り、一面に「50」mg用量のエンボス有り(又は100mgでは異なる色)の、フィルムコーティング錠剤と記載されており、質的組成は下記の表1のとおりである。
【0015】
【0016】
その製造工程としては、有効成分を賦形剤(内相)と混合して乾燥圧縮し、圧縮された材料を更なる賦形剤(外相)と混合し、最終的混合物を錠剤へ圧縮し、着色したポリマーフィルムにより後者をコーティングすることが考えられる。
【0017】
特許文献3(中国特許出願公開第104546747号、Xiamen Meijisi Pharmaceutical社)によると、賦形剤の比率を調整することにより、及び、主に、有効成分の粒径を超微粉砕(D90:5~50μm)して制御することにより得られる良好な溶解プロファイルを有するサフィナミドメタンスルホン酸塩を含む医薬組成物を記載しており、広義には、前記組成物は、サフィナミドメシレート、ならびに親水性希釈剤、水溶性重合結合剤、崩壊剤、香料及び滑沢剤を含み、有効成分が約20~30重量%で含まれる。
【0018】
特に、実施例5は50mgのサフィナミドメタンスルホン酸塩を含む経口分散性の錠剤を記載しており、その質的及び量的組成を以下の表2に示す。
【0019】
【0020】
上記のように、Xadago(登録商標)が必要となる、特にパーキンソン病などの臨床的症状では、水と共に嚥下される錠剤を、経口用分散性製剤(錠剤、ミニタブレット、粉末など)のような、嚥下が容易な他の経口投与製剤に置き換えることが望ましい。
【0021】
これらの経口剤型は、患者による嚥下が容易であるが、それらは、有効成分の分子と、患者の舌の味覚芽及び嗜好を全体的に左右する口腔内の他の受容体とが直接接触してしまう、という潜在的な技術的課題が存在する。
【0022】
この理由から、それらは、患者が有効成分の味覚や口腔粘膜の炎症などの他の考えられる悪い感覚的効果を知覚しない態様で製剤化される必要があり、製薬分子の中には、非常に不快な味覚を特徴とするものがあり、また実際に、悪い場合には舌及び口蓋に炎症をもたらすものも存在する。
【0023】
発明者らの知る限りでは、有効成分サフィナミド又はその薬学的に許容される塩の感覚刺激特性に関連する課題が、これまで先行技術において、開示されていないと考える。
【0024】
特に、上述した特許文献3(中国特許出願公開第104546747号)は、湿式造粒及びそれに続き圧縮する方法で、嚥下がより容易な経口分散性錠剤の調製例を提供するが、そこには有効成分の感覚刺激特性を修飾するいかなる試みも開示されていないと考えられる。
【0025】
本発明者らは、フリーの塩基形態、及び/又は、その薬学的に許容される塩形態のサフィナミド、具体的にはサフィナミドメタンスルホン酸塩が、非常に不快な味覚を特徴とする分子であり、それが明らかに非常に強く収斂性のある苦い成分であり、そして、さらに、中咽頭の第1の区画の粘膜を刺激する顕著な傾向を有することに着目した。
【0026】
患者がサフィナミドによる治療を拒否するのを回避するため、投与の間、有効成分の味覚を完全にマスキングすることが不可欠である。サフィナミドの味覚及び口あたりをマスキングせずに、口腔内で急速に崩解する錠剤を調製すると、患者に対して有効成分の不快な感覚をまともに与え、それにより当該剤形を許容できなくなり、治療を拒否することとなり、その結果、臨床的パターンの悪化をもたらすからである。
【0027】
公知の技術的性質上の問題点に加えて、幾つかの活性医薬成分の好ましくない感覚刺激的特性は、嚥下がより容易な経口投与製剤にて製剤化しようとする際に遭遇する一つの大きな問題を提起する。
【0028】
有効な味覚マスキングを確実に行う試みにおいて、通常用いられる技術には、化学的及び物理的性質を利用した多くの方法が含まれ、それらは必然的に、特定の有効成分の特性及び採用される剤形の特性を考慮しなければならないものである。
【0029】
実際、製剤化の分野における当業者であれば、選択された剤形に添加される有効成分の固有の官能特性、サイズ、形状、粒度分布及び溶解性などに関する技術的限界を熟知している。
【0030】
これらの好適でない感覚刺激的特性への対処方法としては、本分野の専門家に公知の一般的な製剤技術では、製剤中に調味料及び甘味料を含有させて、有効成分の不快なノートをマスキングすることが考えられる。
【0031】
更に、先行技術においては、製剤のpHを最適に変化させることにより、幾つかの有効成分の刺激効果を低減又は完全に除去しうることが公知である。
【0032】
本出願人による特許文献4(欧州特許第2594266号明細書)は、pHの適切な調整による、イブプロフェン又はその薬学的に許容される塩の刺激効果の除去を以下に行いうるかについて記載している。
【0033】
サフィナミドメタンスルホン酸塩の場合、甘味料及び調味料を適切に組み合わせる技術的プラクティスも可能であるが、その感覚的性質を有効にマスキングすることができず、さらに製剤のpHを調整する試みも、結果として口腔内での刺激効果の低減にはつながらなかった。
【0034】
この結果、サフィナミドメタンスルホン酸塩が嚥下のより容易な経口投与製剤に含まれるときには、患者が口腔内において、有効成分の不快な味覚及び刺激効果を知覚することとなるため、患者にとって不利益をもたらすものとなる。
【0035】
サフィナミドメタンスルホン酸塩の味覚マスキングが困難である理由は、第1に、サフィナミドが一般的に強い収斂性に結びつく非常に強い苦味成分を有し、舌及び口蓋を刺激する傾向を有することであり、さらには、サフィナミドメタンスルホン酸塩が唾液中で可溶性であるため、患者がその味覚を直接的に感じてしまうことも挙げられる。
【0036】
非常に苦味のある医薬分子は、実際には唾液中では難溶解性であり、サフィナミドの場合の様に即座に知覚されるものではないことが多い。
【0037】
あるいは、他の味覚マスキング技術として、有効成分と口腔粘膜との間の物理的バリアの使用(高粘性のコロイド系)、例えば医薬製剤のpH調整又はカプセル化技術(造粒、コーティング、マイクロカプセル化など)によるその溶解度の低減が考えられ、さらに当業者であれば、有効成分及びそれと強く相互作用できる分子の化学的相互作用に基づくイオン交換樹脂と呼ばれる方法、又は有効成分の分子と環状ポリオール形状(シクロデキストリン)との分子間の可逆的複合体の形成など、他の味覚マスキング方法を熟知している。
【0038】
しかしながら、上記の多くのアプローチは、薬学的活性成分の多少の化学的及び/又は物理的修飾を伴い、それは、安定性、剤形、ならびに、なによりもその活性及び生物学的利用能の表れ方に影響を及ぼすものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【文献】欧州特許第1613296号明細書
【文献】国際公開第2011/098456号パンフレット
【文献】中国特許出願公開第104546747号明細書
【文献】欧州特許第2594266号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
嚥下をより容易にするための剤形を調製するための各種技術が公知であるが、優れた官能特性を有しつつ、口腔内において、急速に崩壊できる、サフィナミド又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の調製を可能にし、また、現在市販されている剤形と同等の動態において、消化管内での有効成分の放出を可能にする、革新的な方法を探索することに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明の発明者らは予想外にも、サフィナミド又はその薬学的に許容される塩、特にサフィナミドメタンスルホン酸塩を、造粒プロセスにより複数の固体粒子に変換することにより、また、あらゆる粒子上にポリマーコーティング組成物を塗布することにより、有効成分の非常に好ましくない感覚刺激特性に関連する欠点が解決されることを見出した。
【0042】
より容易な嚥下のための前記経口製剤を投与した際、本発明の主題を構成する前記粒子は、患者の口腔内を通過でき、またサフィナミド又はその薬学的に許容される塩による前記不快な感覚刺激特性を知覚させることがなく、そしてこの重要な結果により、嚥下困難を訴える患者が、当該薬剤処置による利益を十分に受けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
したがって、本発明は、サフィナミド又はその薬学的に許容される塩、好ましくはサフィナミドメタンスルホン酸塩が、例えば、口腔内において、急速に崩壊する錠剤、口腔内分散性フィルム、咀嚼錠、口腔内分散性マイクロタブレット、口腔内分散性粉末剤、発泡錠、水分散性錠剤、水和剤などの、嚥下の容易な経口投与製剤に添加された、医薬組成物及びその製造方法に関し、これらの調製物中では、サフィナミド又はその薬学的に許容される塩は、消化管内における放出動態プロファイルを損なうことなく、有効成分の非常に好ましくない感覚刺激特性の完全なマスキングを確実にする形態で存在する。
【0044】
したがって、本発明は複数の粒子に関し、それは各々以下を含む:
a.サフィナミド又はその薬学的に許容される塩と結合剤とを含むコア
b.前記コア上にコーティングを形成するポリマー組成物。
【0045】
本発明に係る粒子は、有効成分の感覚刺激特性をマスキングできるポリマー組成物が適切に塗布された該有効成分を含むコアから実質的になる。
【0046】
一般に前記粒子は、選択された医薬剤形そのものが、又はその一部が口腔内に導入されたときに好ましくない感覚知覚を回避するために500μm以下の適度なサイズを有する。
【0047】
本発明の前記コアは、サフィナミド又はその薬学的に許容される塩と、結合剤と、任意に一つ以上の医薬賦形剤とを含み、通常、一般的な造粒により調製され、顆粒状、ビーズ状、パール状、スフェロイド状、ペレット状等に形成される。
【0048】
前記コアは通常、150~500μmの範囲のサイズを有する(好ましくは多分散でない)造粒物からなり、好ましくは、本発明では、前記造粒物は200~450μmの範囲の粒径を有する。
【0049】
サフィナミドは、好ましくは5~50μmの範囲の平均粒径を有する結晶質固体の形で用いられる。
【0050】
本発明によるサフィナミドの薬学的に許容される塩としては、例えば硝酸、塩酸、硫酸、過塩素酸及びリン酸などの無機酸による付加塩、又は、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸及びサリチル酸などの有機酸による付加塩が挙げられ、サフィナミドメタンスルホン酸塩が好適な塩である。
【0051】
好ましくは、本発明により処方され、製造される粒子は10~80重量%のサフィナミド塩基を、好ましくは、20~60重量%のサフィナミド、又はそれらの当量の塩を含む。
【0052】
好ましくは、本発明により処方され、製造される粒子を含む剤形は、50又は100mgのサフィナミド塩基又はそれらの当量の塩を含む。
【0053】
本発明の用語「結合剤」は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、メチルセルロース(MC)、ポビドン(PVP)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)、化工デンプンその他の、単独又は組み合わせによる医薬賦形剤を意味する。
【0054】
本発明の好適な結合剤は、ポビドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及び微結晶性セルロースから選択される。
【0055】
本発明の粒子のコア中に任意に存在させてもよい薬理学的に許容される賦形剤には、例えば微結晶性セルロース(MCC)、ラクトース(無水又は一水和物)、α化デンプン、マンニトール、イソマルト、ソルビトール及び類似の炭水化物、リン酸二カルシウム(無水又は二水和物)、マルトデキストリンその他の希釈剤、例えばクロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、部分α化デンプンその他の崩壊剤、ならびに、例えばコロイドシリカ、タルクその他の滑沢剤、が包含される。
【0056】
本発明の粒子のこれらの任意の賦形剤は、好ましくは0~10重量%の範囲の、好ましくは0~5重量%の範囲のパーセンテージでコアに含まれる。
【0057】
好適な態様において、本発明の粒子のコアは、一つ以上の結合剤及び一つ以上の滑沢剤を含む。
【0058】
本発明の粒子のコアは、結合剤を単独で、又は混合物として、好ましくは0.5~60重量%の範囲、好ましくは2.0~50重量%の範囲、更に好ましくは2.0~30重量%の範囲のパーセンテージで含む。
【0059】
他の好適な態様において、本発明の粒子のコアは、平滑面を有する丸い形状において、0.15~0.70g/mlのかさ密度の範囲、好ましくは、0.20~0.50g/mlのかさ密度の範囲を特徴とする。
【0060】
本発明に係るコーティングを前記コア上に形成するポリマー組成物は、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー又はその混合物を含んでもよい。
【0061】
本発明に係る適切なポリマーは、pH-依存性水溶性ポリマー、ならびに水溶性及び水不溶性セルロースであり、例えば、塩基性ポリメタクリレートブチレート、エチルセルロース単独又はヒドロキシプロピルメチルセルロースとの混合物、及びエチルセルロースの塩基性ポリメタクリレートブチレートの混合物である。
【0062】
前記ポリマー組成物は、粉体として直接用いてもよく、また水分散液として、又は適切な有機溶剤中の溶液の形態で用いてもよい。
【0063】
本発明で使用できる幾つかの市販の組成物としては、メタアクリル酸とセルロースとのコポリマーが挙げられ、それらは商標Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)L30D、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)EPO(Evonik社)、Kollicoat(登録商標)Smartseal 30D、Kollicoat(登録商標)IR、Kollicoat(登録商標)MAE 30D、Aquacoat(登録商標)ECD、Aquacoat(登録商標)ARC、Aquacoat(登録商標)CPD(FMC社)、Surelease(登録商標)(Colorcon社)などとして市販されている。
【0064】
前記コーティング用のポリマー組成物は、可塑剤、滑沢剤、凝集防止剤及び放出調整剤(ポア形成剤)から選択されるコーティング用の一つ以上の機能性賦形剤をさらに含んでもよい。
【0065】
前記ポリマー状のコーティング用組成物の含量は、通常10~70重量%の範囲、好ましくは20~40重量%の範囲である。
【0066】
本発明の好適な態様において、本発明に係る粒子は、以下の表3に示す質的及び量的組成を有する:
【0067】
【0068】
他の好適な態様において、本発明の粒子は、0.30~0.70g/mlの範囲のかさ密度、好ましくは0.40~0.60g/mlの範囲のかさ密度を特徴とする。
【0069】
本発明の粒子は、以下を含む方法により調製される:
a.活性医薬成分及び結合剤を造粒してコアを形成する工程
b.ポリマー組成物により前記コアをコーティングする工程。
【0070】
本発明に係る前記粒子は、公知の造粒及びコーティング方法を用いて調製されるが、特に有効成分であるサフィナミドに対するその適用は、その物理化学的特性のため、当業者のルーチン作業を大きく越えた重要な意義を有することが証明された。
【0071】
前記粒子は、好ましくは、有効成分と、結合剤と、任意に一つ以上の薬理学的に許容される上記賦形剤と、を混合することにより調製される。
【0072】
前記混合物は、例えば流動層造粒、高せん断造粒、押出、ロール圧縮などの技術を用いて、湿式又は乾式の方法により、好ましくは、マイクロペレットの形態のコアとして造粒し、前記コアを、湿式法の場合には乾燥させ、又は溶融法の場合には冷却し、任意に粉砕及び/又は篩分けを行う。
【0073】
本発明者らは、前記ポリマー系コーティングを本発明のコアに適用することで、有効成分の味覚マスキングを可能にした。
【0074】
前記ポリマー組成物は、医薬品製造の分野において、用いられる、例えば流動層コーティング、パンコーティング及びスプレーコーティングなどの一般的なコーティング技術により、本発明に係るコアに塗布できる。
【0075】
コーティングポリマーを塗布するにあたり、本発明者らは、好適な態様として、当業者に周知の流動層技術を採用し、膨大な数の試験を実施した結果として、本発明者らは、サフィナミド又はその薬学的に許容される塩のコアに対し、上記の質的及び量的組成を有するポリマーコーティング組成物を適用することにより、その感覚刺激特性の十分なマスキングが可能となることを明らかにした。
【0076】
前記有効成分を含むコア上へのポリマーコーティング組成物の適用は、当業者に公知の技術である。
【0077】
しかしながら、重要なことは、サフィナミドメタンスルホン酸塩の場合、良好な嚥下を提供するための経口投与製剤であっても、すでに市販されている嚥下用錠剤と同等の溶解プロファイル、すなわち好適な態様として迅速な溶解プロファイルを有しなければならず、それゆえ、数分間のみ持続し、その結果、薬剤の口腔内での移動の間のみ機能を発揮し、嚥下の直後に崩壊し、それにより、嚥下用錠剤と同等の放出プロファイルを示すタイプのコーティング膜を適用することが必要となる。
【0078】
本発明の一態様において、コア及びそれらの造粒物に含まれる粉体の混合、ならびにポリマー組成物によるコーティングは、同じ装置において、好ましくは同じ流動床において、行われる。
【0079】
この場合、全てに先立ち、少なくとも液体結合剤の噴霧による造粒物の形成前に、初発原料の粉体混合物を流動層で処理し、このようにして得られたコアを吐出し、篩分けして目的の粒度の画分を回収し、流動層に再度投入し、コアをポリマー組成物で噴霧してコーティングし、続いて乾燥工程に供する。
【0080】
これらの粒子は、好適な態様として、圧縮することを予定しない全てのタイプの経口剤形への添加に適しており、このタイプの粒子は容易に得ることができ、また偽球面形状、及び優れた流動性を有することを特徴とする。
【0081】
本発明の好ましい形態において、造粒工程及びポリマー組成物によるコーティング工程は、異なる種類の装置において、実施される。
【0082】
この場合、粉体の初発混合物を、少なくとも結合剤を含む賦形剤の混合物と共に、例えば高せん断造粒機、押出機又はロールコンパクタを用いて造粒し、このようにして得られたコアを吐出し、粒子のサイズを調整し、流動層に投入し、次にポリマー組成物の噴霧によりコーティングし、最後に乾燥させる。
【0083】
前記粒子は、好適な対応において、次にそれらの圧縮が予定される全ての経口投与製剤への添加に適する。
【0084】
このタイプの粒子は、圧縮プロセスの間に、それらが変形及び/又は開裂することでコーティング膜の保護による利益がを失われない程度の特定の物理的特性を有するのが実際には望ましく、さらに、味覚マスキングポリマー系による効率的な粒子のコーティングを可能にするため、特に平滑な表面、及び球面幾何学的形状を有するコアを形成できる造粒技術を用いることも望ましい。
【0085】
本発明の発明者は、驚くべきことに、サフィナミド又はその薬学的に許容される塩に対し、高密度なコアを形成しうる造粒技術を適用することにより、この最適なタイプの、加えて、味覚マスキング用ポリマー組成物によるコーティングに求められる好適な形状を有することを特徴とする粒子を得た。
【0086】
したがって、本発明はさらに、各々が、
a.サフィナミド又はその薬学的に許容される塩と結合剤とを含むコア
b.前記コア上にコーティングを形成するポリマー組成物
を含み、前記コアが溶融造粒により調製される、複数の粒子に関する。
【0087】
本発明では、「溶融造粒」とは、上記のような、サフィナミド又はその薬学的に許容される塩と、少なくとも一つの結合剤と、任意の他の添加剤と、を含む粉体混合物を、結合剤又は結合剤混合物の融点に達するまで、撹拌しながら加熱し、さらにそれを撹拌しながら室温に冷却して本発明の粒子のコアを得る、乾式のプロセスを意味する。
【0088】
この溶融造粒の手順は、例えば、Zanchetta社製のによりなされる高速度ロータリー式造粒機(高せん断ミキサー)(モデルRotojunior 10)、又は同様の装置(例えばGlatt社、Collette社、Diosna社の製品)、又は溶融押出機(例えばThermo社製のPharma 11)などの市販の装置を用いて実施できる。
【0089】
本発明による溶融造粒の手順に適する結合剤は、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、カルナバワックス、ステアリン酸、硬化ヒマシ油、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリメタクリレート、ポロキサマー、ポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセテート-ポリエチレングリコールのグラフト共重合体(Soluplus(登録商標)として市販)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)などである。
【0090】
本発明に係る溶融造粒の手順において、特に適切であり、かつ好ましい結合剤の態様は、PEG(ポリエチレングリコール)、PEO(ポリエチレンオキシド)、PVP(ポリビニルピロリドン)、ポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセテート-ポリエチレングリコールのグラフト共重合体(Soluplus(登録商標)として市販)、及びPVA(ポリビニルアルコール)を、単独で、又は混合剤として用いることである。
【0091】
さらに好ましいものは、医薬分野において、一般に用いられるPEGであり、任意に、異なる平均分子量のPEGの混合物を用いることも可能であり、その結果、混合物の融点は、好適な態様として40~80℃の範囲となる。
【0092】
PEG3000、PEG4000、PEG6000及びPEG8000を、単独で、又は混合剤として用いるのが特に好ましい。
【0093】
好適な態様において、本発明の粒子のコアは、10~60重量%の範囲の、好ましくは20~40重量%の範囲のパーセンテージの結合剤を、単独で、又は混合剤として用いることにより調製される。
【0094】
さらに好適な態様において、本発明に係る粒子のコアは、以下の表4に示す組成を有する:
【0095】
【0096】
本発明で想定される実際的な実施形態では、適切な装置(好ましくは高せん断ロータリー式造粒機)に、サフィナミド又はその薬学的に許容される塩と、結合剤、好ましくはPEGと、任意の他の添加剤、好ましくは滑沢剤のみと、からなる粉体混合物を充填し、粉体を、室温で数分間、前記装置内で混合し、次に混合物を撹拌しながら、結合剤の融点に、好ましくは40~80℃に加熱し、次に、撹拌を維持しながら、混合物を室温に冷却し、このようにして得られたコアを吐出し、篩分けにより、好ましくは200~450μmの範囲のサイズの粒子を選別する。
【0097】
技術的観点から、上記の溶融造粒手順は、高密度かつ、規則的な形状を有するコアが確実に形成され、それは特に、次のコーティング及び任意の圧縮のステップに適するものである。
【0098】
さらに、上記の溶融造粒手順は、ポリマーコーティング組成物の成分に対する、有効成分サフィナミドメタンスルホン酸塩の結晶構造及び安定性の維持に予想外の有用性を示すことがわかった。
【0099】
重要なことは、本発明の粒子の上記の特性、すなわち、最適に処方されたコンパクトなコア及び有効な味覚マスキングコーティングが、所望の溶解時の挙動に完全に適合することが示されたことである。
【0100】
上記の通り、本発明の粒子は次に、例えば口腔内分散性又は水分散性のサシェ剤などの嚥下が容易な製薬剤形において、そのまま用いてもよい。
【0101】
好ましくは、本発明の粒子は、そのままの形で、又は任意に適切な薬理学的に許容される賦形剤の存在と共に、嚥下が容易な剤形(例えば口腔内分散性のサシェ剤)中に添加する。
【0102】
あるいは、本発明の粒子は、例えば、口腔内で迅速に崩壊する錠剤(ODT)、咀嚼錠、口腔内分散性マイクロタブレット、水分散性発泡錠及び口腔内分散性フィルムなどの、迅速に崩解しつつ嚥下の容易な複合剤形中にしてもよい。
【0103】
したがって、本発明はさらに、経口投与製剤の調製への、上記の複数の粒子の使用に関する。
【0104】
本発明の好適な剤形は、口腔内崩壊錠である。
【0105】
したがって、本発明の実際的な実施形態では、サフィナミド又はその薬学的に許容される塩を、湿式法、又は好ましくは乾式の溶融法により、少なくとも一つの結合剤溶液と共に凝集体形成させ、このようにして得られるコアを適切なポリマー組成物で次にコーティングし、また本発明の粒子を、次に適切な賦形剤と共に混合し、長期保管の後であっても味覚マスキング特性を有する迅速崩壊錠剤に変換する。
【0106】
したがって、本発明はさらに、急速に崩壊している錠剤の調製における、上記で得られた味覚マスクされた粒子の使用に関する。
【0107】
前記粒子は、圧縮に対する抵抗性及び流動性の特性を良好に有し、経口投与製剤の調製において、直接用いることができ、任意に、それに続く適切な医薬賦形剤との混合に供される。
【0108】
本発明に係る剤形に含めることができる超微細(extraparticulate)賦形剤は、例えばマンニトール、ラクトース、イッソマルト、ソルビトール、キシリトールなどの希釈剤、任意の、例えば微結晶性セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ラクトース、リン酸二カルシウム及びそれらの組み合わせなどの結合剤、任意の、例えばクロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースなどの崩壊剤、任意の、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウムなどの滑沢剤、である。
【0109】
好適な本発明の態様において、希釈剤は、マンニトール、イソマルト、ソルビトール、キシリトール及びマルトデキストリンから選択され、結合剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールから選択され、崩壊剤は、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム及びクロスカルメロースから選択され、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム及びポリエチレングリコールから選択される。
【0110】
好適な本発明の態様において、本発明の迅速崩壊錠剤は、以下の表5に示す質的及び量的組成を有する:
【0111】
【0112】
上記のように、Xadago(登録商標)が必要となる特にパーキンソン病などの臨床的症状では、水と共に嚥下される錠剤を、嚥下が容易な他の経口投与製剤に置き換えることが望ましい。
【0113】
上記の中国特許出願公開第104546747号が口腔内分散性錠剤の調製に関して記載してはいるが、発明者らの知る限りでは、有効成分サフィナミド又はその薬学的に許容される塩の感覚刺激特性に関連する課題が、これまで先行技術において、開示されていないと考える。
【0114】
本発明は、サフィナミド又はその薬学的に許容される塩を含む粒子を調製すること、ならびに、優れた官能的性質を有しつつ口腔内において、迅速に崩壊でき、またいわゆる即時放出と呼ばれるのと同等の薬物動態において、消化管内に有効成分を放出できる医薬組成物を処方すること、を可能にする。
【0115】
当業者は、口腔内分散性の剤形を処方するとき、特に該剤形が好ましくない物理化学的及び/又は官能的性質を有する活性訳成分を添加するとき、多くの困難に直面する。
【0116】
現在まで、当技術分野において、いかなる有効成分への適用にも適する汎用技術も存在しない。
【0117】
特に、選択される味覚マスキング技術は、調製プロセスに、主に具体的な製品に関連する多くの基準を満たさなければならず、有効成分の安定性、粒子のサイズ及び形状、構造的及び物理的特性、ならびにポリマーコーティング系の質的及び量的組成は、製剤化アプローチにおいて、考慮を要し、管理を要する多くの可変要因のほんの一部分である。
【0118】
本発明に記載されている複数の固体粒子を用いることにより、患者が薬剤を摂取するときに、その所望の溶解プロファイルが変化せずに、サフィナミド又はその薬学的に許容される塩、好ましくはサフィナミドメタンスルホン酸塩の不快な官能プロファイルが十分にマスキングされる、嚥下の容易な経口投与製剤を調製することが可能となる。
【0119】
したがって、文献にすでに記載されているものと比較し、本発明の組成物が有利であることは明らかである。
【0120】
この目的に鑑み、本発明の錠剤は公的な薬局方に記載の要件を満たす物理的特性を有する。
【0121】
例えば、錠剤の硬度は2.0~5.0kPであり、摩損度は1%以下であり、崩解時間は1分未満である。
【0122】
さらに、本願において、特許請求される錠剤は、現在市販されている即効性錠剤と同等の、インビトロにおける溶解特性を有する。
【0123】
本発明の粒子及び該粒子を含む迅速崩壊錠剤の、胃内における即時放出に関する動態特性を、人工胃液又は0.1N塩酸中における剤形の溶解を試験したときの有効成分の放出のパーセンテージを測定することにより評価したところ、約30分間で用量の80%超が放出され、これは良好な結果であると考えられる。
【0124】
最後に、本発明の粒子及び該粒子を含む迅速崩壊錠剤の味覚マスキング特性を、pH約6.8の人工唾液中における剤形の溶解を試験したときの有効成分の放出のパーセンテージ解放を測定することにより評価したところ、1分間で用量の放出は10%未満であり、これは良好な結果であると考えられる。
【0125】
本発明をより明瞭に例示するため、以下に非限定的な実施例を示す。
【実施例】
【0126】
実施例1:コアの調製:湿式造粒
a.流動床(トップスプレー式添加):
サフィナミドメタンスルホン酸塩及び二酸化ケイ素を、20分間にわたり、Cyclops lab回転体ミキサー(Zanchetta社)にて混合した。脱イオン水及び溶解又は分散した結合剤からなる結合剤溶液を別に調製した。粉体混合物を次にGhibli Lab流動床(IMA社)に投入し、60~70℃の温度で、60~80m3/時の空気流量で流動させた。次に、結合剤溶液を20~30g/分の流速で流動する粉体層に噴霧し、28~30℃の温度に生成物の温度を維持するよう留意した。造粒工程の終了後、流動する粉体を約40℃の温度に維持しつつ、粒状物を乾燥させた。乾燥工程終了後、生成物を吐出させ、慎重に篩分けを行い、200~450μmの範囲のフラクションを回収した。
【0127】
上記の手順を用い、以下の組成のコアを調製した。
コア1
サフィナミドメタンスルホン酸塩 93.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
PVP K30 5.0%
コア2
サフィナミドメタンスルホン酸塩 91.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
α化デンプン RX 1500 7.0%
コア3
サフィナミドメタンスルホン酸塩 90.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
PEG6000 5.0%
【0128】
b.ロータリー式造粒機
サフィナミドメタンスルホン酸塩及び二酸化ケイ素を、20分間にわたり、Cyclops lab回転体ミキサー(Zanchetta社)にて混合し、同時に、脱イオン水に結合剤を溶解又は分散させることにより造粒溶液を調製した。混合した粉末を次に、約300rpmのパドル速度のRoto Junior 10ロータリー式造粒機(Zanchetta社)に投入した。次に、結合剤溶液の噴霧機を、40ml/分の流速で作動させた。噴霧工程終了後、パドル速度を約20rpmに減速し、乾燥工程を開始させ、真空状態とし、約27℃まで生成物温度を上昇させた。乾燥工程終了後、生成物を吐出させ、200~450μmの範囲の粒度のフラクションを篩分けして回収した。
【0129】
上記の手順を用い、以下の組成のコアを調製した。
コア4
サフィナミドメタンスルホン酸塩 94.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
PVP K90 4.0%
コア5
サフィナミドメタンスルホン酸塩 93.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 5.0%
コア6
サフィナミドメタンスルホン酸塩 90.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
PEG6000 5.0%
【0130】
c.押出
サフィナミドメタンスルホン酸塩及び二酸化ケイ素を、20分間にわたり、Cyclops lab回転体ミキサー(Zanchetta社)にて混合し、同時に、脱イオン水に結合剤を溶解又は分散させることにより造粒溶液を調製した。得られた粉体をロータリー式造粒機Roto Junior 10(Zanchetta社)に移し、約120rpmのパドル速度で混合した。次に、結合剤溶液の噴霧機を、180g/分の流速で作動させた。噴霧工程終了後、湿った材料を押し出し機Extruder 20(Caleva社)に充填し、500g/時の速度で押し出した。押し出された材料を次に、スフェロナイザー(spheronizer)、Spheronizer MBS 250、Caleva社に充填し、所望の粒度分析のフラクションが得られるまで、約1500rpmの速度で処理した。処理終了後、得られた材料をストーブにおいて、約40℃で乾燥させ、次に篩分けし、200~450μm範囲の粒度のフラクションを回収した。
【0131】
上記の手順を用い、以下の組成のコアを調製した。
コア7
サフィナミドメタンスルホン酸塩 91.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
微結晶性セルロース 7.0%
コア8
サフィナミドメタンスルホン酸塩 93.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
PVP K30 5.0%
コア9
サフィナミドメタンスルホン酸塩 90.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
アルファ化デンプン 8.0%
【0132】
実施例2:コアの調製:乾式造粒:
a.流動床(ローター):
サフィナミドメタンスルホン酸塩及び二酸化ケイ素を、20分間にわたり、Cyclops lab回転体ミキサー(Zanchetta社)にて混合し、次にそれらを、ローターインサートを装着した流動床GPCG1.1(Glatt社)に投入した。凝集剤を材料に添加し、ローターインサートを、約50m3/hの気流、350rpmで作動させた。生成物が約55℃に達したとき、粉体の造粒工程を開始させた。造粒後、125rpmで回転させ、30m3/hの気流で流動させ、粉体材料を約27℃まで冷却した。造粒工程終了後、生成物を吐出させ、篩分けを行い、200~450μmの範囲の粒度のフラクションを回収した。
【0133】
上記の手順を用い、以下の組成のコアを調製した。
コア10
サフィナミドメタンスルホン酸塩 90.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
PEG6000 8.0%
コア11
サフィナミドメタンスルホン酸塩 90.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
ポロキサマー237 6.0%
コア12
サフィナミドメタンスルホン酸塩 90.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
PEG4000/PEG8000 8.0%
【0134】
b.造粒機:
サフィナミドメタンスルホン酸塩及び二酸化ケイ素を、20分間にわたり、Cyclops lab回転体ミキサー(Zanchetta社)にて混合し、混合粉体をロータリー式造粒機Rotocube 60(IMA社)に投入し、そこに粉末状の造粒剤を添加した。新たに得られた材料を混合し、20分間100rpmでパドルを作動させ、次に生成物温度を約55℃まで上昇させた。この温度に達したとき、マッシング(massing)工程を開始し、パドル速度を200rpmに上昇させ、30分間維持した。マッシング工程終了後、冷却工程を開始し、その際、パドル速度を80rpmまで、生成物温度を25℃まで低下させた。冷却工程終了後、得られた粉体を篩分けし、200~450μmの範囲の粒度のフラクションを回収した。
【0135】
上記の手順を用い、以下の組成のコアを調製した。
コア13
サフィナミドメタンスルホン酸塩 73.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
PEG6000 25.0%
コア14
サフィナミドメタンスルホン酸塩 68.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
ポロキサマー 30.0%
コア15
サフィナミドメタンスルホン酸塩 70.5%
含水沈殿シリカ 2.0%
PEG6000 27.5%
【0136】
c.押し出し機:
サフィナミドメタンスルホン酸塩、結合剤及び可塑剤を、押し出し機Pharma 11(ThermoFisher社)に投入し、(結合剤に応じて)50~200℃、好ましくは100~200℃の温度範囲で、約800g/時の速度で押し出した。押し出された材料を30℃に冷却し、平面加工されたローターインサートを装着した流動床GPCG 1.1に投入し、1300rpmでスフェロナイズ(spheronize)した。得られた粉末材料を次に篩分けし、200~450μmの粒度のフラクションを回収した。
【0137】
上記の手順を用い、以下の組成のコアを調製した。
コア16
サフィナミドメタンスルホン酸塩 75.0%
PVA 20.0%
PEG4000 5.0%
コア17
サフィナミドメタンスルホン酸塩 68.0%
PEG400 5.0%
PEG6000 27.0%
コア17a
サフィナミドメタンスルホン酸塩 50.0%
PEG6000 50.0%
コア17b
サフィナミドメタンスルホン酸塩 70.0%
Soloplus 30.0%
コア18
サフィナミドメタンスルホン酸塩 71.0%
HPMC 25.0%
PEG4000 4.0%
【0138】
d.ロールコンパクタ:
サフィナミドメタンスルホン酸塩及び二酸化ケイ素を、20分間にわたり、Cyclops lab回転体ミキサー(Zanchetta社)にて混合し、次に、粉体をロールコンパクタ120 W Pharma(Alexanderwerk社)に投入し、3rpm及び200barの、それぞれ速度及び圧力で圧縮した。圧縮によって、得られたウェーハをコンパクタ内部で挽き、外力を加え500μmのメッシュを通過させた。得られた顆粒をコンパクタから吐出させ、篩分けし、200~450μmの範囲の粒度のフラクションを回収した。
【0139】
上記の手順を用い、以下の組成のコアを調製した。
コア19
サフィナミドメタンスルホン酸塩 83.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
微結晶性セルロース 15.0%
コア20
サフィナミドメタンスルホン酸塩 86%
含水沈殿シリカ 2.0%
ヒドロキシプロピルセルロース 12.0%
コア21
サフィナミドメタンスルホン酸塩 88.0%
含水沈殿シリカ 2.0%
PEG8000 10.0%
【0140】
実施例3:コアのコーティング
a.ポリマーコーティング組成物:pH依存的
実施例1及び2の教示に従い調製したサフィナミドメタンスルホン酸塩の造粒物を流動層システム(Ghibli Lab、IMA社)に投入し、Eudragit(登録商標)EPO及び機能性賦形剤の懸濁液によりコーティングした。コーティング工程は、造粒物の温度を約30~35℃に維持しつつ、4~5ml/分の噴霧速度及び2.0barの噴霧圧により行った。堆積工程終了後、造粒物を流動床内部で40℃で約1時間乾燥させた。
【0141】
表6a:Eudragit(登録商標)EPOでコーティングしたコアの組成
【表6-1】
【0142】
b.ポリマーコーティング組成物:セルロース
実施例1及び2の教示に従い調製したサフィナミドメタンスルホン酸塩の造粒物を流動層システム(Ghibli Lab、IMA社)に投入し、エチルセルロース/ポア形成剤(Surelease(登録商標)Clear/Methocel(登録商標)E5)の懸濁液によりコーティングした。コーティング工程は、造粒物の温度を約44~48℃に維持しつつ、5~7ml/分の噴霧速度及び2.0barの噴霧圧により行った。堆積工程終了後、造粒物を流動床内部で40℃で約1時間乾燥させた。
【0143】
表6b:エチルセルロースでコーティングしたコアの組成
【表6-2】
【0144】
実施例4:
実施例3に記載の手順の後、以下の組成を有する本発明の粒子を調製した。
粒子1
コア1 46.2%
Eudragit(登録商標) EPO 30.6%
ドデシル硫酸ナトリウム 3.1%
ステアリン酸 4.8%
タルク 15.3%
粒子2
コア7 65.0%
Eudragit(登録商標) EPO 20.0%
ドデシル硫酸ナトリウム 2.0%
ステアリン酸 4.0%
タルク 9.0%
粒子3
コア10 70.5%
Surelease(登録商標) clear 26.3%
Methocel(登録商標) E5 3.2%
粒子4
コア13 68.8%
Eudragit(登録商標) EPO 17.8%
ドデシル硫酸ナトリウム 1.8%
ステアリン酸 2.7%
タルク 8.9%
粒子5
コア15 71.8%
Surelease(登録商標) clear 24.2%
Methocel(登録商標) E5 4.0%
【0145】
実施例5:本発明による複数の粒子を含む口腔内崩壊錠(ODT)の調製
【0146】
実施例3~4の教示に従い調製したサフィナミドメタンスルホン酸塩及び適切なさらなる粒状賦形剤を含む粒子を回転体ミキサー(Cyclops Lab、IMA社)で20分間混合し、次に、滑沢剤はミキサーのコンテナに投入し、得られた混合物を更に3分間混合した。次に前記混合物を自動回転打錠機EA8(Ronchi社)投入し、両凸の丸型の錠剤を得た。圧縮力を10kN、及び回転速度は45rpmで設定した。
【0147】
表7:サフィナミドメタンスルホン酸塩を含むODTの組成
【表7】
【0148】
実施例6:
実施例5に記載の手順の後、以下の組成を有する迅速崩壊錠剤を調製した。
錠剤1
粒子1 51.0%
マンニトール 28.0%
微結晶性セルロース 8.5%
クロスポビドン 10.0%
ステアリン酸マグネシウム 2.5%
錠剤2
粒子4 54.0%
マンニトール 26.2%
微結晶性セルロース 6.2%
クロスポビドン 11.1%
ステアリン酸マグネシウム 2.5%
錠剤3
粒子5 52.1%
マンニトール 27.6%
微結晶性セルロース 7.8%
クロスポビドン 10.0%
ステアリン酸マグネシウム 2.5%
【0149】
実施例7:本発明による複数の粒子を含む口腔内分散性粉末の調製
【0150】
実施例3及び4に記載の手順に従い調製した粒子を用いてサシェに充填し、サフィナミドメタンスルホン酸塩の口腔内可溶性の経口投与製剤を得た。粉体を、回転体ミキサーCyclops Lab(IMA)に充填し、適切な超微細賦形剤と共に15分間混合し、次に正味重量1.0gずつ粉体をサシェに分注した。
【0151】
表8:サフィナミドの粒子を含む口腔内分散性粉体の組成
【表8】
【0152】
実施例8:
実施例7に記載の手順の後、以下の組成物を有するサシェを調製した。
口腔内分散性紛体1
粒子1 30.0%
マンニトール 42.0%
炭酸カルシウム 28.0%
口腔内分散性紛体2
粒子4 28.3%
マンニトール 43.0%
炭酸カルシウム 28.7%
口腔内分散性紛体3
粒子5 25.0%
マンニトール 45.0%
炭酸カルシウム 30.0%
【0153】
実施例9:有効成分サフィナミドの官能評価
不快な味覚及び活性医薬成分の刺激感を検査するため、100mgのサフィナミド塩基と当量の、サフィナミドメタンスルホン酸を用いたインビボ試験を実施した。
【0154】
官能検査では、2人の被験者を対象とし、薬剤の塊を嚥下せずに口腔内に前記の量を保持させた。
【0155】
両被験者共に、即時の苦味を感じ、また数秒後に極度の苦味及び非常に強い刺激を知覚する官能プロフィルを知覚する結果となった。
【0156】
試験終了後、参加者には多くの飲料水で口をすすがせたが、5分後においても、彼らの舌及び口蓋は未だ痛みを催していた。
【0157】
官能評価において、有効成分の好ましくない感覚刺激特性を確認することとした。
【0158】
実施例10:サフィナミドの粒子を含む口腔内分散性錠剤の官能検査:
活性医薬成分(サフィナミドメタンスルホン酸塩)の味覚マスキングを評価するため、実施例6に記載される教示に従い調製した口腔内分散性錠剤を用いた試験をインビボで実施した。
【0159】
官能評価では、5人の被験者に、1分以内で、何らかの味覚を知覚するまで錠剤を口内に入れて保持させ、知覚した感覚を以下の基準にて報告させた。
1=不快な味覚も刺激感もない
2=苦みのノート及び若干の知覚可能な刺激あり
3=苦み及び明らかに知覚可能な刺激あり
4=苦み及び非常に強い刺激あり
5=極度の苦み及び耐え難い刺激あり。
【0160】
錠剤を1分間口腔内に保持させた後、試験参加者に多量の飲料水で口をすすがせ、錠剤に由来する塊の嚥下を控えさせた。
【0161】
被験者が他の被験者の存在により影響されない環境において、各評価セッションを実施した。
【0162】
本発明に係るサフィナミドメタンスルホン酸塩の粒子を含む口腔内分散性錠剤の評価に係る試験結果を表9に示す。
【0163】
表9:サフィナミドを含むODT錠剤の官能評価:
【表9】
【0164】
感覚評価試験では、有効成分の好ましくない感覚刺激特性が効果的にマスキングされ、また口腔内分散性錠剤の形態での活性医薬成分の投与が可能であることが確認された。
【0165】
実施例11:サフィナミドメタンスルホン酸塩の粒子を含む口腔内分散性粉末の官能検査:
活性医薬成分(サフィナミドメタンスルホン酸塩)の味覚マスキングを評価するため、実施例8に記載の教示に従い調製した口腔内分散性粉末を用いた試験をインビボで実施した。
【0166】
官能検査では、5人の被験者に、1グラムの口腔内分散粉体を口腔内に入れさせ、20秒間(嚥下できる半流動塊の形成に必要とされる時間)保持させ、知覚した感覚を以下の基準にて報告させた。
1=不快な味覚も刺激感もない
2=苦みのノート及び若干の知覚可能な刺激あり
3=苦み及び明らかに知覚可能な刺激あり
4=苦み及び非常に強い刺激あり
5=極度の苦み及び耐え難い刺激あり。
【0167】
粉末を20秒間口腔内に保持させた後、試験参加者に多量の飲料水で口をすすがせ、粉末に由来する塊の嚥下を控えさせた。
【0168】
被験者が他の被験者の存在により影響されない環境において、各評価セッションを実施した。
【0169】
本発明に係るサフィナミドメタンスルホン酸塩の粒子を含む口腔内分散性粉末の評価に係る試験結果を表10に示す。
【0170】
表10:サフィナミドを含有する口腔内分散粉体の官能評価
【表10】
【0171】
感覚評価試験では、有効成分の好ましくない感覚刺激特性が効果的にマスキングされ、また口腔内分散性粉末の形態での活性医薬成分の投与が可能であることが確認された。
【0172】
実施例12:比較試験:中国特許出願第104546747号の実施例5~6の口腔内分散性錠剤の官能評価
引用文献の中国特許出願公開第104546747号の実施例5及び6の教示に従い調製した口腔内分散性錠剤を用いて比較試験をインビボで実施した。
【0173】
官能評価は、本発明の上記実施例10の記載に従い実施した。
【0174】
比較試験の結果を下記の表11及び12に示す。
【0175】
表11:CN’747の実施例5に係る、サフィナミドを含む口腔内分散性錠剤の官能評価
【表11】
【0176】
表12:CN’747の実施例6に係る、サフィナミドを含む口腔内分散性錠剤の官能評価
【表12】
【0177】
比較試験では、有効成分(サフィナミドメタンスルホン酸)の好ましくない感覚刺激特性の存在、また前記悪い感覚ノートが引用文献の口腔内分散組成物により全くマスキングされなかったという事実が確認された。
【0178】
実施例13:比較試験:中国特許出願公開第104546747号の実施例5の口腔内分散性錠剤の味覚マスキングのインビトロ評価:
引用文献の中国特許出願公開第104546747号の実施例5の教示に従い調製した口腔内分散性錠剤の味覚マスキング特性を、pH約6.8の人工唾液における前記剤形の溶解性を試験した際の有効成分の放出(%)を測定することにより評価した。該試験では、服用後1分以内の10%以下の放出を良好であると考えるものである。
【0179】
溶解性試験の結果を下記の表13に示すが、その際、本発明の実施例6に記載の教示に従い調製した口腔内分散性錠剤のサフィナミドの放出(%)との比較を行った。
【0180】
表13:サフィナミドメシル酸塩を含む口腔内分散性錠剤の分解
【表13】
【0181】
上記の比較試験では、有効成分の好ましくない感覚刺激特性の課題が、従来技術により認識もされず、また対処もされなかったことが確認され、また前記試験は、有効なサフィナミドの味覚マスキングが存在しない場合、従来技術の口腔内分散性錠剤は、結果として、剤形が許容可能でなくなるのと併せて患者による有効成分の味覚の完全な知覚をもたらし、患者による治療の拒否、またその結果、臨床的パターンの悪化をもたらすことの証拠を提供するものであった。