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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/06 20060101AFI20220927BHJP
   A47C 7/14 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
B60N2/06
A47C7/14 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019001041
(22)【出願日】2019-01-08
(65)【公開番号】P2019123497
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】62/616,569
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】塚本 将
(72)【発明者】
【氏名】野上 宗之
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】荻野 大祐
(72)【発明者】
【氏名】コッツォ,ロナルド シー
(72)【発明者】
【氏名】フアレス,ダヴィッド エー
(72)【発明者】
【氏名】岡田 将和
【審査官】黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-189783(JP,A)
【文献】特開平11-151958(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0174242(US,A1)
【文献】中国実用新案第204659521(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/06
A47C 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定フレームと、
前記固定フレームの前端部に設けられ、第1位置と、前記第1位置よりも前方に位置する第2位置との間を前後にスライド移動可能に構成された可動フレームと、
前記固定フレームの上から前方へ延びて前記可動フレームの前端部を巻き込むように設けられた表皮材と、
前記表皮材の前記固定フレームの下に位置する前端から後方へ延びて前記表皮材の前端を後方へ引っ張る第1ストラップと、
前記第1ストラップと左右に間隔をあけて配置され、前記表皮材の前端から後方へ延びて前記表皮材の前端を後方へ引っ張る第2ストラップと、を備え、
前記第1ストラップと前記第2ストラップは、左右方向内側に引っ張られていることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記固定フレームの下側に設けられ、前記第1ストラップに引っ掛かって前記第1ストラップが延びる方向を変える第1係合部と、
前記固定フレームの下側に設けられ、前記第2ストラップに引っ掛かって前記第2ストラップが延びる方向を変える第2係合部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記第1係合部及び前記第2係合部は、金属ロッドからなり、前後方向に対して斜め45度に延びることを特徴とする請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記第1係合部と前記第2係合部は、前後方向で同じ位置に設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記固定フレームは、左右一対のサイドフレームと、前記一対のサイドフレームの前端部同士を連結する板状のパンフレームとを有し、
前記第1係合部と前記第2係合部は、前記パンフレームの下面に設けられていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記第1ストラップ及び前記第2ストラップは、ベルト状の部材であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記第1ストラップは、前記第1係合部を挟んで重なり、前記表皮材から遠い端部で繋がっている2つの第1ベルトからなり、
前記第2ストラップは、前記第2係合部を挟んで重なり、前記表皮材から遠い端部で繋がっている2つの第2ベルトからなることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記固定フレームの下に設けられ、前記可動フレームを駆動するための駆動源を備え、
前記第1ストラップは、前記表皮材の前端から前記駆動源の横を通って後方へ延びた後、前記駆動源の後側で左右方向内側へ延び、
前記第2ストラップは、前記表皮材の前端から前記第1ストラップとは前記駆動源の反対側を通って後方へ延びた後、前記駆動源の後側で左右方向内側へ延びていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記第1ストラップの先端と前記第2ストラップの先端は、連結されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項10】
前記第1ストラップの先端と前記第2ストラップの先端は、連結部材により連結されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項11】
前記連結部材は、バネであることを特徴とする請求項10に記載の乗物用シート。
【請求項12】
前記連結部材は、金属からなり、
前記連結部材を覆う樹脂製のカバー部材をさらに備えることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座面の長さを調整可能な乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗物用シートにおいて、着座する乗員の体格に応じて、着座面の前後の長さを調整可能に構成されたものが知られている。例えば、特許文献1で開示されている乗物用シートは、シートクッションの固定フレームに固定されるパッド本体と、パッド本体の前部に、前端部の位置を前後に変位可能に設けられた可変パッドと、可変パッドを変位させる機構とを備えている。そして、パッド本体と可変パッドは、表皮材で覆われている。表皮材の前端部には、ストラップが取り付けられている。このストラップは、固定フレームの下を後方へ延び、先端部が、固定フレームの下面側に固定されている。これにより、表皮材の前端部が、ストラップにより後方へ引っ張られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-189783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した技術のように、可変パッドの前後の位置が変わる構成の場合、可変パッドの変位に伴って表皮材の前端部の位置が移動するため、ストラップの長さを長くして、伸びしろを確保する必要がある。ところが、ストラップは前後方向にまっすぐ延びているため、固定フレームの下に、ストラップを配置するスペースを前後に広くとる必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、表皮材を引っ張るストラップの長さを確保しながら、ストラップを配置するスペースを前端部寄りにすることができる乗物用シートを提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、表皮材を引っ張るストラップの動作を安定させることができる乗物用シートを提供することを目的とする。
【0007】
そして、本発明は、ストラップで表皮材をしっかりと引っ張ることができる乗物用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した目的を達成するため、本発明の乗物用シートは、固定フレームと、前記固定フレームの前端部に設けられ、第1位置と、前記第1位置よりも前方に位置する第2位置との間を前後にスライド移動可能に構成された可動フレームと、前記固定フレームの上から前方へ延びて前記可動フレームの前端部を巻き込むように設けられた表皮材と、前記表皮材の前記固定フレームの下に位置する前端から後方へ延びて前記表皮材の前端を後方へ引っ張る第1ストラップと、前記第1ストラップと左右に間隔をあけて配置され、前記表皮材の前端から後方へ延びて前記表皮材の前端を後方へ引っ張る第2ストラップと、を備え、前記第1ストラップと前記第2ストラップは、左右方向内側に引っ張られていることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、表皮材を引っ張るストラップの長さを確保しながら、固定フレームの下の前端部寄りの位置にストラップを配置することができる。
【0010】
前記した乗物用シートは、前記固定フレームの下側に設けられ、前記第1ストラップに引っ掛かって前記第1ストラップが延びる方向を変える第1係合部と、前記固定フレームの下側に設けられ、前記第2ストラップに引っ掛かって前記第2ストラップが延びる方向を変える第2係合部と、をさらに備えていることが望ましい。
【0011】
これによれば、第1係合部と第2係合部で、第1ストラップと第2ストラップを保持することができるので、第1ストラップと第2ストラップの動作を安定させることができる。
【0012】
前記した第1係合部と第2係合部を備える乗物用シートにおいて、前記第1係合部及び前記第2係合部は、金属ロッドからなり、前後方向に対して斜め45度に延びることが望ましい。
【0013】
これによれば、前後方向に延びる第1ストラップと第2ストラップが延びる方向を前後方向から左右方向内側へ90度変えることができる。
【0014】
前記した第1係合部と第2係合部を備える乗物用シートにおいて、前記第1係合部と前記第2係合部は、前後方向で同じ位置に設けられていることが望ましい。
【0015】
これによれば、第1ストラップと第2ストラップの前後に延びる部分が同じ長さになるので、表皮材を均等な力で引っ張りやすい。
【0016】
前記した第1係合部と第2係合部を備える乗物用シートにおいて、前記固定フレームは、左右一対のサイドフレームと、前記一対のサイドフレームの前端部同士を連結する板状のパンフレームとを有し、前記第1係合部と前記第2係合部は、前記パンフレームの下面に設けられていることが望ましい。
【0017】
これによれば、板状の部分に第1係合部と第2係合部を取り付けるので、第1係合部と第2係合部の取り付けが簡単である。
【0018】
前記した乗物用シートにおいて、前記第1ストラップ及び前記第2ストラップは、ベルト状の部材であることが望ましい。
【0019】
これによれば、第1ストラップと第2ストラップが細い紐である場合よりも、表皮材をしっかりと引っ張ることができる。
【0020】
前記した乗物用シートにおいて、前記第1ストラップは、前記第1係合部を挟んで重なり、前記表皮材から遠い端部で繋がっている2つの第1ベルトからなり、前記第2ストラップは、前記第2係合部を挟んで重なり、前記表皮材から遠い端部で繋がっている2つの第2ベルトからなる構成であってもよい。
【0021】
これによれば、第1ストラップと第2ストラップの可動範囲を制限することができる。
【0022】
前記した乗物用シートは、前記固定フレームの下に設けられ、前記可動フレームを駆動するための駆動源を備え、前記第1ストラップは、前記表皮材の前端から前記駆動源の横を通って後方へ延びた後、前記駆動源の後側で左右方向内側へ延び、前記第2ストラップは、前記表皮材の前端から前記第1ストラップとは前記駆動源の反対側を通って後方へ延びた後、前記駆動源の後側で左右方向内側へ延びている構成とすることができる。
【0023】
これによれば、第1ストラップ及び第2ストラップと駆動源の干渉を抑えることができる。
【0024】
前記した乗物用シートにおいて、前記第1ストラップの先端と前記第2ストラップの先端は、連結されていることが望ましい。
【0025】
これによれば、第1ストラップの先端と第2ストラップの先端をそれぞれ別の部分に繋げる構成に比べ、省スペース化と部品点数の削減を図ることができる。
【0026】
前記した乗物用シートにおいて、前記第1ストラップの先端と前記第2ストラップの先端は、連結部材により連結されていることが望ましい。
【0027】
これによれば、第1ストラップと第2ストラップが直接繋がっている場合、例えば、第1ストラップと第2ストラップを長い1つのストラップとして設ける場合に比べて、第1ストラップと第2ストラップの乗物用シートへの取り付けがしやすい。
【0028】
前記した連結部材を備える乗物用シートにおいて、前記連結部材は、バネであることが望ましい。
【0029】
これによれば、ゴムで引っ張る場合よりも、引っ張る力が低下するのを抑えることができる。
【0030】
前記した連結部材を備える乗物用シートにおいて、前記連結部材は、金属からなり、乗物用シートは、前記連結部材を覆う樹脂製のカバー部材をさらに備えていてもよい。
【0031】
これによれば、金属製の連結部材が直接他の部材に当たらないので、異音の発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、表皮材を引っ張るストラップの長さを確保しながら、固定フレームの下の前端部寄りの位置にストラップを配置することができる。
【0033】
また、本発明によれば、第1ストラップが引っ掛かる第1係合部と第2ストラップが引っ掛かる第2係合部を設けることで、第1係合部と第2係合部で、第1ストラップと第2ストラップを保持することができるので、第1ストラップと第2ストラップの動作を安定させることができる。
【0034】
また、本発明によれば、第1係合部と第2係合部を、前後に対して斜め45度に延びる金属ロッドとすることで、前後方向に延びる第1ストラップと第2ストラップが延びる方向を前後方向から左右方向内側へ90度変えることができる。
【0035】
また、本発明によれば、第1係合部と第2係合部を前後方向で同じ位置に設けることで、第1ストラップと第2ストラップの前後に延びる部分が同じ長さになるので、表皮材を均等な力で引っ張りやすい。
【0036】
また、本発明によれば、第1係合部と第2係合部を、板状のパンフレームの下面に設けることで、第1係合部と第2係合部の取り付けが簡単である。
【0037】
また、本発明によれば、第1ストラップと第2ストラップをベルト状の部材とすることで、第1ストラップと第2ストラップが細い紐である場合よりも、表皮材をしっかりと引っ張ることができる。
【0038】
また、本発明によれば、第1ストラップを、第1係合部を挟んで重なり、前記表皮材から遠い端部で繋がっている2つの第1ベルトから構成し、第2ストラップを、第2係合部を挟んで重なり、前記表皮材から遠い端部で繋がっている2つの第2ベルトから構成することで、第1ストラップと第2ストラップの可動範囲を制限することができる。
【0039】
また、本発明によれば、第1ストラップが、表皮材の前端から駆動源の横を通って後方へ延びた後、駆動源の後側で左右方向内側へ延び、第2ストラップが、表皮材の前端から第1ストラップとは駆動源の反対側を通って後方へ延びた後、駆動源の後側で左右方向内側へ延びている構成とすることで、第1ストラップ及び第2ストラップと駆動源の干渉を抑えることができる。
【0040】
また、本発明によれば、第1ストラップの先端と第2ストラップの先端を連結することで、第1ストラップの先端と第2ストラップの先端をそれぞれ別の部分に繋げる構成に比べ、省スペース化と部品点数の削減を図ることができる。
【0041】
また、本発明によれば、第1ストラップの先端と第2ストラップの先端を連結部材により連結することで、第1ストラップと第2ストラップが直接繋がっている場合に比べて、第1ストラップと第2ストラップの乗物用シートへの取り付けがしやすい。
【0042】
また、本発明によれば、連結部材をバネとすることで、ゴムで引っ張る場合よりも、引っ張る力が低下するのを抑えることができる。
【0043】
また、本発明によれば、連結部材が金属製である場合に、連結部材を樹脂製のカバー部材で覆うことで、金属製の連結部材が直接他の部材に当たらないので、異音の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートの外観を示す斜視図である。
図2】シートフレームの全体を示す分解斜視図である。
図3】クッションパッドと表皮材を示す分解斜視図である。
図4】右側のボルスターカバーを示す図であって、左側から見た斜視図(a)と、右側から見た斜視図(b)である。
図5】サイドフレームと右側のボルスターカバーを、係合部を通る断面で切った断面図である。
図6】可動フレームを示す図であって、底面図(a)と、(a)のI-I断面図(b)である。
図7】係合部材を示す斜視図である。
図8】サイドカバーと係合部材を示す断面図である。
図9】表皮材、クッションパッド及びボルスターカバーを、移動規制板と前側突出部を通る平面で切った断面図(a)と、連結フレーム、表皮材、クッションパッド及びボルスターカバーを、Jフックと内側固定部を通る平面で切った断面図(b)である。
図10】シートクッションの前端部を示す底面図であって、可動フレームが第1位置に位置する状態を示す図(a)と、第1ストラップ、第1係合部材及びバネを示す斜視図(b)である。
図11】シートクッションの前端部を示す底面図であって、可動フレームが第2位置に位置する状態を示す図である。
図12】シートクッションの前端部を示す断面図であって、可動フレームが第1位置に位置する状態を示す図(a)と、可動フレームが第2位置に位置する状態を示す図(b)である。
図13】第1ストラップ及び第2ストラップの第1の変形例を示す図(a)と、第1ストラップ及び第2ストラップの第2の変形例を示す図(b)である。
図14】第1ストラップ及び第2ストラップの第3の変形例を示す図であって、可動フレームが第1位置にあるときの状態を示す図(a)と、可動フレームが第2位置にあるときの状態を示す図(b)である。
図15】変形例におけるバネカバーが設けられたバネを示す図であって、可動フレームが第1位置にあるときの状態を示す図(a)と、可動フレームが第2位置にあるときの状態を示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明において、前後、左右および上下は、乗物用シートに座る人を基準とする。また、左右方向内側および外側は、1つの乗物用シートを基準とする。
【0046】
図1に示すように、乗物用シートの一例としての車両用シートSは、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを主に備えている。車両用シートSでは、シートクッションS1の前端部が前後に移動可能となっており、乗員の体格に応じて、着座面の前後の長さを調整可能となっている。
【0047】
シートクッションS1及びシートバックS2には、図2に示すようなシートフレームFが内蔵されている。シートフレームFは、シートクッションS1のフレームを構成するクッションフレームF1と、シートバックS2のフレームを構成するシートバックフレームF2とから主に構成されている。
【0048】
また、シートクッションS1は、図3に示すようなクッションパッド1と、表皮材2とを備えている。シートクッションS1は、クッションフレームF1にクッションパッド1を被せ、クッションパッド1に表皮材2を被せることで構成されている。
【0049】
図2に示すように、クッションフレームF1は、自動車のフロアに、スライドレールSLを介して設置されている。これにより、車両用シートSは、前後位置を調整可能となっている。
【0050】
クッションフレームF1は、固定フレーム3と、固定フレーム3の前端部に設けられる可動フレーム4と、樹脂プレート9とを備えている。
【0051】
固定フレーム3は、左右一対のサイドフレーム3Aと、左右一対のサイドフレーム3Aを連結する板状のパンフレーム3Bと、左右一対のサイドフレーム3Aの後端部同士を連結する連結パイプ7と、左右一対のボルスターカバー100とを有している。
【0052】
左右一対のサイドフレーム3Aとパンフレーム3Bは、左右一対の支持フレーム5と、一対の支持フレーム5を連結する板状の連結フレーム6とから構成されている。
【0053】
支持フレーム5は、前後方向に延びる金属製のフレームである。一対の支持フレーム5は、左右に離間して配置されている。
【0054】
連結フレーム6は、支持フレーム5の上に載る左右のサイドフレーム部61と、左右のサイドフレーム部61の間で板状に延びるパンフレーム部62とを有している。連結フレーム6は、サイドフレーム部61が、それぞれ、支持フレーム5に溶接等により固定されている。
【0055】
本実施形態では、一対の支持フレーム5と左右の連結フレーム6のサイドフレーム部61が、左右一対のサイドフレーム3Aを構成し、連結フレーム6のパンフレーム部62が、一対のサイドフレーム3Aを連結するパンフレーム3Bを構成している。
【0056】
サイドフレーム部61は、支持フレーム5を覆う略U字形状を有し、支持フレーム5の後端部から支持フレーム5より前側まで延びている。具体的に、サイドフレーム部61は、支持フレーム5の上に配置される上側サイドフレーム部61Aと、上側サイドフレーム部61Aの左右方向内側の端部から下方へ延び、支持フレーム5の左右方向内側に配置される内側サイドフレーム部61Bと、上側サイドフレーム部61Aの左右方向外側の端部から下方へ延び、支持フレーム5の左右方向外側に配置される外側サイドフレーム部61Cとを有している。そして、サイドフレーム部61は、上側サイドフレーム部61Aの前端部に、第1固定孔63が形成されている。
【0057】
パンフレーム部62は、左右の内側サイドフレーム部61Bの下端同士を繋いでいる。パンフレーム部62は、前端部に、可動フレーム支持部64を有している。
【0058】
可動フレーム支持部64は、可動フレーム4の形に沿って凹んだ形状を有し、前側が開放されている。そして、可動フレーム支持部64は、上方へ突出する4つのガイド突起65を有している。
【0059】
また、パンフレーム部62は、左右の両端部に、第2固定孔66が前後に並んで2つずつ形成されている。なお、図2においては、左側の2つの第2固定孔66は、図示を省略しているが、右側の2つの第2固定孔66と左右対称な位置に設けられている。
【0060】
ボルスターカバー100は、クッションフレームF1の左右の位置に所望の高さの土手部を形成するための部材であり、各サイドフレーム3A、具体的には、連結フレーム6の各サイドフレーム部61の上に配置されている。
【0061】
可動フレーム4は、固定フレーム3に対して前後に移動可能に設けられている。具体的に、可動フレーム4は、図12(a)に示すような、可動フレーム4が最も後方に位置する第1位置と、図12(b)に示すような、第1位置よりも前方に位置する第2位置との間を前後にスライド移動可能となっている。図2に戻り、可動フレーム4は、本体フレーム8と、本体フレーム8に取り付けられたキャリアカバー200及び左右一対のサイドカバー300とを有している。
【0062】
本体フレーム8は、例えば、金属板からなる。なお、本体フレーム8は、樹脂製であってもよい。本体フレーム8は、連結フレーム6の可動フレーム支持部64の上に配置される平板部81と、平板部81の前端から連結フレーム6の前側を通って下に延びた後、後方へ向けて延びる屈曲部82とを有している。
【0063】
屈曲部82は、クッションパッド1と屈曲部82の間の滑りがよくなるように、表面に、上下方向に延びる突出部88が左右方向に並んで複数設けられている。また、屈曲部82は、左右の端部に、上下に並ぶ2つの第4係合孔87を有している。
【0064】
キャリアカバー200は、平板部81の上に固定される樹脂製の部材である。また、サイドカバー300は、キャリアカバー200の左右両側に配置される樹脂製の部材である。
【0065】
樹脂プレート9は、樹脂からなる板状の部材であり、可撓性を有している。樹脂プレート9は、パンフレーム3Bの上から可動フレーム4の上まで連続して延びている。また、樹脂プレート9は、左右方向においては、パンフレーム3Bの左端部から右端部まで連続して延びている。このように、樹脂プレート9を設けることで、パンフレーム3Bと可動フレーム4の段差を滑らかに繋ぐことができるので、着座フィーリングを向上させることができる。
【0066】
また、樹脂プレート9が樹脂製であるので、柔軟性があり、パンフレーム3Bの上面と可動フレーム4の上面をなめらかに繋ぐことが可能となっている。
【0067】
樹脂プレート9は、図12(a)に示すように、クッションパッド1の下に配置され、後端部が、ネジBにより、パンフレーム3Bに固定されている(図12(a)参照)。
【0068】
次に、ボルスターカバー100の詳細な構成について説明する。
図2に示すように、ボルスターカバー100は、樹脂製であり、前後方向に長く形成されている。各ボルスターカバー100は、サイドフレーム部61の上に配置される上壁部110と、サイドフレーム部61の左右方向内側に配置される内壁部120と、サイドフレーム部61の左右方向外側に配置される外壁部130と、サイドフレーム部61の前に配置される前壁部140とを有している。なお、左右のボルスターカバー100は、略左右対称の形状を有しているため、図4及び図5では、右側のボルスターカバー100のみを示している。
【0069】
図4(a)に示すように、上壁部110は、前端部に、前側固定部111を有している。前側固定部111は、円形状に凹んだ部分であり、底に、上下方向に貫通した前側固定孔112を有している。
【0070】
内壁部120は、上壁部110の左右方向内側の端部から下方へ向けて延びている。内壁部120は、下端から左右方向内側へ延びる内側突出部121が設けられている。
【0071】
そして、内壁部120は、後端部と前後方向における中央部の2か所に、内側固定部150を有している。内側固定部150は、内側突出部121から左右方向内側へ延び、上下方向を向く板状に形成されている。内側固定部150は、上下方向に貫通した内側固定孔151を有している。
【0072】
図4(b)に示すように、外壁部130は、上壁部110の左右方向外側の端部から下方へ向けて延びている。外壁部130は、2つの開口131と、各開口131の縁に設けられる2つの係合部132と、2つの開口131の間の位置に設けられる第1補強部133と、後端部に設けられる第2補強部134と、下端部に設けられるJフック係合部135とを有している。
【0073】
開口131は、外壁部130の前端部と前後方向における中央部の2か所に形成されている。各開口131は、外壁部130を左右方向で貫通する貫通孔131Aと、貫通孔131Aの上端に形成された凹部131Bとからなる。凹部131Bは、左右方向内側へ凹むとともに、上側が開放されている。つまり、開口131の上端は、上壁部110に位置する。
【0074】
係合部132は、各開口131の下端縁から左右方向内側、つまり、サイドフレーム部61側へ向けて延出している。そして、係合部132は、先端部に、上方へ延びる係合爪132Aを有している。
【0075】
第1補強部133と第2補強部134は、それぞれ、外側に凸となるように外壁部130が屈曲してなるビードであり、上下方向に延びている。第1補強部133は、2つの隣り合う開口131の上壁部110に設けられる上端同士を結ぶ仮想線L1よりも下に設けられている。
【0076】
このような第1補強部133を2つの開口131の間に設けることで、開口131が複数設けられた外壁部130の剛性を向上させることが可能となっている。また、第1補強部133と第2補強部134をビード形状とすることで、簡単な構成で補強部を設けることが可能である。
【0077】
Jフック係合部135は、外壁部130が左右方向外側に突出するように屈曲してなる部分である。Jフック係合部135は、外壁部130の前端部と後端部に設けられている。そして、前側のJフック係合部135は、第1補強部133より前側に配置され、後側のJフック係合部135は、第1補強部133より後側に配置されている。つまり、第1補強部133は、2つのJフック係合部135の間の位置に設けられている。また、後側の開口131は、2つのJフック係合部135の間の位置に設けられている。
【0078】
前壁部140は、上壁部110の前端から下方へ向けて延びている。また、前壁部140は、左右方向外側の端部が、外壁部130の前端部とつながっている。前壁部140の前面は、上方に向かうにつれて後方に位置するように、上下方向に対して後側へ倒れた面になっている。そして、前壁部140は、前方へ向けて突出する前側突出部160を有している。つまり、ボルスターカバー100は、前端部に前側突出部160を有している。
【0079】
前側突出部160は、ボルスターカバー100の左右方向の幅よりも薄い板状に形成され、前壁部140の左右方向内側の端部から延びている。また、前側突出部160の上端は、上壁部110より下側に設けられている。これにより、ボルスターカバー100は、前側突出部160のみが前側に突出しているので、シートクッションS1の前端部の左右方向外側部分が柔らかくなっており、乗員が乗降する際に、脚等がシートクッションS1の前端部の左右方向外側の部分に引っ掛かりにくくなっている。
【0080】
このように構成されたボルスターカバー100は、図5に示すように、サイドフレーム3Aに取り付けられている。具体的には、係合部132は、外壁部130からサイドフレーム部61の外側サイドフレーム部61Cの下を通って、外側サイドフレーム部61Cの左右方向内側まで延びている。そして、係合部132の係合爪132Aは、外側サイドフレーム部61Cの下端縁に係合している。
【0081】
なお、第1補強部133が、隣り合う2つの開口131の上端同士を結ぶ仮想線L1よりも下に設けられていることで、第1補強部133を、仮想線L1をまたぐように設ける場合に比べ、係合部132を外側サイドフレーム部61Cに係合させるときに、外壁部130を撓ませやすくなっている。
【0082】
また、係合部132が、開口131の縁から延出しているので、開口131から係合部132と外側サイドフレーム部61Cの係合状態を確認することが可能となっている。
【0083】
図9(b)に示すように、内側固定部150は、パンフレーム3Bの上、つまり、連結フレーム6のパンフレーム部62の上に重なっている。この内側固定部150の上面は、パンフレーム部62の上面と平行になっている。これにより、内側固定部150が盛り上がっている場合等と比べ、乗員が違和感を覚えるのを抑えることが可能となっている。
【0084】
そして、内側固定部150は、内側固定部150の内側固定孔151と、パンフレーム部62の第2固定孔66とにネジBを挿通することで、パンフレーム部62の上に固定されている。これにより、乗員の体重が上からかかる部分でボルスターカバー100を固定することができるので、ボルスターカバー100をしっかりと固定することができる。また、内側固定部150は、パンフレーム3Bの上に重なっているので、内側固定部150に乗員の体重がかかりやすく、ボルスターカバー100をパンフレーム部62にしっかりと固定することが可能である。
【0085】
図2に示すように、前側固定部111は、前側固定孔112とサイドフレーム部61の第1固定孔63にネジを挿通することで、連結フレーム6のサイドフレーム部61の上面、つまり、サイドフレーム3Aの上面に固定されている。乗員の臀部の大きさはさまざまであるため、乗員の臀部に当たるボルスターカバー100の後端部ではなく、本実施形態のように、前端部をサイドフレーム3Aに固定することで、多少、ボルスターカバー100の上壁部110が左右方向にゆがむことができ、乗員が窮屈に感じるのを抑えることが可能となっている。
【0086】
以上のように、ボルスターカバー100は、前側固定部111と2つの内側固定部150のみで固定フレーム3のサイドフレーム3Aまたはパンフレーム3Bに固定されており、上壁部110の後端部及び外壁部130はサイドフレーム3A及びパンフレーム3Bにネジ等で固定されていない。これにより、ボルスターカバー100の左右方向外側は、かっちりと固定されていないので、乗員からボルスターカバー100に力がかかったときに、その力を左右方向外側へ逃がすことが可能となっている。
【0087】
次に、可動フレーム4を構成する本体フレーム8、キャリアカバー200及びサイドカバーの構成について詳しく説明する。
【0088】
本体フレーム8の平板部81は、上面が、連結フレーム6のパンフレーム部62の上面と略平行となるように形成されている。図6(a)に示すように、平板部81は、前後方向に延びる複数のガイド溝83を有している。ガイド溝83には、連結フレーム6のガイド突起65が入っている。これにより、本体フレーム8は、ガイド突起65がガイド溝83の内側を相対移動することで、ガイド溝83が延びる方向に沿って前後に移動可能となっている。
【0089】
また、平板部81は、上面に、2つの第1係合孔84と、2つの第2係合孔85と、2つの第3係合孔86とを有している。第1係合孔84は、平板部81の前端部に設けられている。第2係合孔85は、第1係合孔84の後側にそれぞれ設けられている。第3係合孔86は、平板部81の左右両端部に設けられている。
【0090】
図6(b)に示すように、キャリアカバー200は、平板部81上に隆起した形状を設けるための部材であり、上面に、上に凸となる曲面201を有している。具体的に、キャリアカバー200は、後端から前方へ向かうにつれて高くなっていき、さらに前端に向かうにつれて低くなっていくようになっている。そして、キャリアカバー200は、パンフレーム部62の上面の延長面Pよりも上に突出している(図12(a)参照)。なお、キャリアカバー200の最も上に位置する部分は、キャリアカバー200の前後方向における中央部よりも前側に設けられている。このように、平板部81上にキャリアカバー200を設けることで、乗員の脚を良好に支持することが可能となっている。
【0091】
また、曲面201は、図2に示すように、左右方向に長く設けられ、平板部81の左端部から右端部まで延びている。これにより、曲面201を左右方向の一部にのみ設ける場合に比べ、乗員の脚を良好に支持することが可能である。
【0092】
また、曲面201は、キャリアカバー200に設けているので、本体フレーム8の上面に曲面を形成する場合よりも、可動フレーム4の上面に曲面を設けやすくなっている。
【0093】
特に、本実施形態では、キャリアカバー200が樹脂製で、本体フレーム8が金属製であるので、キャリアカバー200に曲面201を設けやすい。また、金属製の本体フレーム8の上に、樹脂製のキャリアカバー200を設けることで、クッションパッド1と可動フレーム4が擦れたときに、異音が発生するのを抑えることができる。
【0094】
キャリアカバー200は、図6(a)に示すように、下面に、2つの第1フック210と、2つの第2フック220と、2つの係合ボス230とを有している。第1フック210は、キャリアカバー200の前端部に設けられ、左右に並んで配置されている。第1フック210は、下方に突出し、先端部に、前側に向けて延びる第1爪部211を有している。第2フック220は、それぞれ、第1フック210の後側に設けられている。第2フック220は、下方に突出し、先端部に、第1フック210の第1爪部211とは反対側、つまり、後側に向けて延びる第2爪部221を有している。係合ボス230は、キャリアカバー200の左右両端部に設けられ、下方に突出している。
【0095】
図6(b)に示すように、第1フック210は、本体フレーム8の第1係合孔84と係合している。そして、第1フック210の第1爪部211は、第1係合孔84の縁に係止されている。また、第2フック220は、第2係合孔85と係合している。そして、第2フック220の第2爪部221は、第2係合孔85の縁に係止されている。そして、係合ボス230は、第3係合孔86と係合している。
【0096】
このように、キャリアカバー200に設けた第1フック210、第2フック220及び係合ボス230を、本体フレーム8の孔84,85,86に係合させるだけなので、簡単な構成で、キャリアカバー200が本体フレーム8に固定されている。
【0097】
また、第1フック210と第2フック220には、先端部に、爪部211,221が設けられ、この爪部211,221が、本体フレーム8の孔84,85の縁に係止されるので、第1フック210と本体フレーム8、及び第2フック220と本体フレーム8の係合が外れにくくなっている。
【0098】
図6(a),(b)に示すように、サイドカバー300は、本体フレーム8の表面に沿って、本体フレーム8の上から前側を通って下まで延びるサイドカバー本体310と、サイドカバー本体310から左右方向内側へ延びるフランジ部320とを有している。
【0099】
サイドカバー本体310は、上面から前面を通って下面まで延びる溝330を有している。なお、溝330の構成については、後述する。
【0100】
図6(b)に示すように、フランジ部320は、本体フレーム8の表面に沿って形成されている。フランジ部320は、左右方向に直交する方向、本実施形態では、上下方向に並ぶ第3フック321と第4フック322を有している。第3フック321と第4フック322は、フランジ部320から本体フレーム8側に突出している。第3フック321は、先端に、上を向く第3爪部321Aを有している。第4フック322は、第3フック321の下側に設けられ、先端に、第3爪部321Aとは反対側の下を向く第4爪部322Aを有している。
【0101】
第3フック321は、本体フレーム8の上側の第4係合孔87に係合している。そして、第3フック321の第3爪部321Aは、第4係合孔87の縁に係止されている。また、第4フック322は、本体フレーム8の下側の第4係合孔87に係合している。そして、第4フック322の第4爪部322Aは、第4係合孔87の縁に係止されている。
【0102】
このように、フランジ部320に第3フック321及び第4フック322を設けることで、簡単な構成で、サイドカバー300を本体フレーム8に固定することができる。また、第3フック321と第4フック322は、上下方向で並んでいるので、フランジ部320を左右方向に大きくすることなく、サイドカバー300を本体フレーム8にしっかりと固定することが可能となっている。
【0103】
次に、クッションパッド1と表皮材2の詳細な構成について説明する。
図3に示すように、クッションパッド1は、ウレタンフォーム等のクッション材から構成されている。クッションパッド1は、乗員が着座する中央部11と、中央部11の左右両側に設けられる側部12とを有している。
【0104】
中央部11は、連結フレーム6のパンフレーム部62と可動フレーム4の上に載る部分である。側部12は、サイドフレーム3A及びボルスターカバー100を覆う部分である。クッションパッド1は、中央部11と側部12の間、つまり、サイドフレーム3Aより左右方向内側の位置に、前端から後方へ延びる第1切り込み1Aがある。そして、中央部11は、側部12より前側に長く延びている。
【0105】
中央部11は、図12に示すように、パンフレーム3Bの上から前方へ延びて可動フレーム4の前端部を巻き込むように設けられている。
【0106】
図3に示すように、中央部11と側部12の間には、つり込み溝1Bが設けられている。つり込み溝1Bは、クッションパッド1の上面から凹んだ溝であり、第1切り込み1Aの後側で前後方向に延びている。つり込み溝1Bは、底部に、表皮材2をつり込むための図示しない表皮取付部材が設けられている。
【0107】
図9(b)に示すように、側部12は、中央部11よりも上に張り出している。そして、つり込み溝1Bは、ボルスターカバー100の内側固定部150よりも左右方向内側に設けられている。つまり、内側固定部150は、つり込み溝1Bに対し鉛直下方の位置よりも左右方向外側に位置している。また、内側固定部150をパンフレーム3Bに固定するネジBは、つり込み溝1Bに対し、鉛直下方の位置、または、鉛直下方の位置よりも左右方向外側の位置に位置している。このようにネジBを配置することで、乗員が違和感を覚えるのを抑えることができる。
【0108】
図3に戻り、表皮材2は、合成皮革や布地等からなる。表皮材2は、クッションパッド1の中央部11を覆う中央カバー21と、クッションパッド1の側部を覆う側部カバー22とを有している。表皮材2は、中央カバー21と側部カバー22の間、つまり、サイドフレーム3Aより左右方向内側の位置に、前端から後方へ延びる第2切り込み2Aがある。
【0109】
中央カバー21は、側部カバー22よりも前側まで長く延びている。この中央カバー21は、図12に示すように、パンフレーム3Bの上から前方へ延びて可動フレーム4の前端部を巻き込むように設けられている。
【0110】
図3に戻り、中央カバー21は、側部カバー22より前側に延びている部分の左右両端に、中央カバー21の左右両端部に沿って長く延びるトリムコード25が設けられている。また、中央カバー21は、前端に、連結部材の一例としてのバネ28で連結された第1ストラップ26と第2ストラップ27が設けられている。
【0111】
側部カバー22の前端部の左右方向内側の端部には、移動規制板24が設けられている。また、側部カバー22は、左右方向外側の端部に、Jフック23を有している。
【0112】
移動規制板24は、後方に開口したU字形状を有し、側部カバー22の前端部のうち第2切り込み2A側の端部に固定されている。
【0113】
図9(a)に示すように、クッションパッド1の第1切り込み1Aには、ボルスターカバー100の前側突出部160が入り込んでいる。そして、前側突出部160は、移動規制板24の左右方向外側に隣接して配置されている。
【0114】
図9(b)に示すように、Jフック23は、側部カバー22の左右方向外側の端部に固定されている。Jフック23は、側部カバー22から下方へ延びた後、左右方向内側へ向けて屈曲して延びる略J字形状を有している。Jフック23は、ボルスターカバー100のJフック係合部135の下端縁に係合している。これにより、表皮材2は、左右の端部が下方へ引っ張られている(図の矢印参照)。
【0115】
このように、表皮材2の左右の端部が下方へ引っ張られていると、その下にあるクッションパッド1も左右方向へ引っ張られるが、本実施形態では、移動規制板24が、その左右方向外側に配置されるボルスターカバー100の前側突出部160に当たるので、表皮材2の左右方向への移動が規制されている。これにより、側部12が左右に引っ張られるのを抑え、クッションパッド1の前端部の型崩れを抑えることが可能となっている。
【0116】
また、ボルスターカバー100に係合部として前側突出部160を設けることで、簡単な構成で、クッションフレームF1に係合部を設けることが可能となっている。
【0117】
中央カバー21に設けられたトリムコード25は、図7に示すように、中央カバー21の左右の端部に沿って長く延びる板状の本体部25Aと、本体部25Aとは異なる方向を向き、本体部25Aの端部から延出する引掛部25Bとを有し、略L字状の断面を有している。トリムコード25は、本体部25Aの引掛部25Bとは反対側の端部(基端部)が、中央カバー21に縫製により固定されている。
【0118】
そして、本体部25Aは、中央カバー21に固定される基端部に、切り込み25Cがトリムコード25の長手方向に並んで設けられている。このように、切り込み25Cを設けることで、トリムコード25が中央カバー21に合わせて曲がりやすくなっている。
【0119】
このトリムコード25は、図8に示すように、可動フレーム4のサイドカバー300に設けられた溝330内に入り込んでいる。
【0120】
ここで、溝330の構成について詳しく説明する。
溝330は、表皮材2から離れる方向に延びる第1溝部331と、第1溝部331から異なる方向、本実施形態では、左右方向内側へ延びる第2溝部332とを有している。また、第2溝部332は、表皮材2側に位置する壁332Aの第1溝部331側の端部から突出する返し部333を有している。
【0121】
トリムコード25は、本体部25Aが第1溝部331に入り、引掛部25Bが第2溝部332に入っている。これにより、中央カバー21が引っ張られて、トリムコード25に溝330の外側(例えば、図8では上方)へ引っ張る力が働いても、引掛部25Bが第2溝部332の縁に引っ掛かるので、トリムコード25が溝330から抜けるのを抑えることが可能となっている。
【0122】
また、返し部333が引掛部25Bに向けて突出しているので、引掛部25Bが返し部333に引っ掛かりやすく、トリムコード25が溝330から抜けるのをより抑えることが可能となっている。
【0123】
また、引掛部25Bは、本体部25Aから左右方向内側へ向けて延びている。これにより、乗員が車両用シートSに座ったとき、中央カバー21が左右方向内側へ引っ張られるが、引掛部25Bが第2溝部332に引っ掛かる方向へ移動するので、トリムコード25が溝330から抜けるのを抑えることが可能となっている。
【0124】
図10(a)に示すように、第1ストラップ26と第2ストラップ27は、中央カバー21の可動フレーム4の下に位置する前端を後方へ引っ張るための部材である。本実施形態では、中央カバー21のしっかりと引っ張ることができるようにするために、第1ストラップ26と第2ストラップ27は、幅広のベルト状の部材となっている。
【0125】
第1ストラップ26は、中央カバー21の前端の左端部に固定されている。第2ストラップ27は、第1ストラップ26と左右に間隔をあけて配置され、中央カバー21の前端の右端部に固定されている。
【0126】
第1ストラップ26は、中央カバー21の前端から後方へ延びた後、連結フレーム6の下側に設けられた第1係合部67に引っ掛かることで、延びる方向を左右方向内側へ変えて延びている。
【0127】
第1係合部67は、円形断面の金属ロッドからなり、連結フレーム6に固定しやすいように、パンフレーム部62の下面に設けられている。第1係合部67は、パンフレーム部62の下方でパンフレーム部62と略平行に延びる係合部本体67Aと、係合部本体67Aの前端からパンフレーム部62側へ延びる前端部67Bと、係合部本体67Aの後端からパンフレーム部62側へ延びる後端部67Cとを有している。
【0128】
係合部本体67Aは、前後方向に対して斜め45度になるように、前から後に向かうにつれて左右方向内側、つまり、右側に位置するように延びている。そして、図10(b)に示すように、前端部67Bは、パンフレーム部62に溶接等により固定されている。後端部67Cは、パンフレーム部62から離間している。これにより、第1ストラップ26を、後端部67Cとパンフレーム部62の間を通して、第1係合部67に引っ掛けやすくなっている。
【0129】
第1ストラップ26は、第1係合部67の係合部本体67Aを上下で挟むようにして折れ曲がっている。具体的には、第1ストラップ26は、第1係合部67の係合部本体67Aの下を前から後ろへ通った後、係合部本体67Aの後側を回って、係合部本体67Aの上を左から右へ向けて延びている。
【0130】
このように、第1係合部67に第1ストラップ26を引っ掛けるだけの簡単な構成で、第1ストラップ26が延びる方向を前後方向から左右方向へ90度変えることができるとともに、第1ストラップ26を第1係合部67でしっかりと保持することが可能となっている。
【0131】
図10(a)に示すように、第2ストラップ27は、中央カバー21の前端から後方へ延びた後、連結フレーム6の下側に設けられた第2係合部68に引っ掛かることで、延びる方向を左右方向内側へ変えて延びている。
【0132】
第2係合部68は、円形断面の金属ロッドからなり、連結フレーム6に固定しやすいように、パンフレーム部62の下面に設けられている。第2係合部68は、第1係合部67と左右対称な形状を有している。この第2係合部68は、パンフレーム部62の下方でパンフレーム部62と略平行に延びる係合部本体68Aと、係合部本体68Aの前端からパンフレーム部62側へ延びる前端部68Bと、係合部本体68Aの後端からパンフレーム部62側へ延びる後端部68Cとを有している。
【0133】
係合部本体68Aは、パンフレーム部62の下方で、前後方向に対して斜め45度になるように、前から後に向かうにつれて左右方向内側、つまり、左側に位置するように延びている。そして、前端部68Bは、パンフレーム部62に溶接等により固定されている。後端部68Cは、パンフレーム部62から離間している。これにより、第2ストラップ27を、後端部68Cとパンフレーム部62の間を通して、第2係合部68に引っ掛けやすくなっている。
【0134】
第2ストラップ27は、第2係合部68の係合部本体68Aを上下で挟むようにして折れ曲がっている。具体的には、第2ストラップ27は、第2係合部68の係合部本体68Aの下を前から後ろへ通った後、係合部本体68Aの後側を回って、係合部本体68Aの上を右から左へ向けて延びている。
【0135】
このように、第2係合部68に第2ストラップ27を引っ掛けるだけの簡単な構成で、第2ストラップ27が延びる方向を前後方向から左右方向へ90度変えることができるとともに、第2ストラップ27を第2係合部68でしっかりと保持することが可能となっている。
【0136】
そして、第1係合部67と第2係合部68は、前後方向で同じ位置に設けられている。これにより、第1ストラップ26の前後方向に延びている部分と、第2ストラップ27の前後方向に延びている部分は、同じ長さになっており、第1ストラップ26の左右方向に延びている部分と、第2ストラップ27の左右方向に延びている部分は、前後方向で同じ位置に設けられている。そのため、第1ストラップ26と第2ストラップ27とで均等な力で中央カバー21を引っ張りやすい。
【0137】
バネ28は、左右方向に伸縮可能な引っ張りバネであり、金属からなる。バネ28は、左端が第1ストラップ26の先端に固定され、右端が第2ストラップ27の先端に固定されており、第1ストラップ26の先端と第2ストラップ27の先端を連結している。これにより、第1ストラップ26と第2ストラップ27は、左右方向内側へ向けて引っ張られている。このように、バネ28で第1ストラップ26と第2ストラップ27を引っ張ることで、ゴムで引っ張るよりも、引っ張る力が低下するのを抑えることができる。
【0138】
また、第1ストラップ26と第2ストラップ27を別々のバネ等で引っ張る構成に比べ、省スペース化と部品点数の削減を図ることが可能となっている。また、第1ストラップと第2ストラップが直接つながっている場合、例えば、第1ストラップと第2ストラップを1つの長いストラップとして設ける場合に比べて、第1ストラップ26と第2ストラップ27の車両用シートSへの取り付けがしやすくなっている。
【0139】
本実施形態においては、第1ストラップ26と第2ストラップ27は、中央カバー21を引っ張るのに必要な長さを確保しながら、固定フレーム3の下のスペースの前端部寄りに配置されている。そして、固定フレーム3の下、具体的には、パンフレーム部62の下に、可動フレーム4を駆動するための駆動源Mが設けられている。駆動源Mは、パンフレーム部62の下面の前端部に固定されている。より詳細には、駆動源Mは、第1係合部67と第2係合部68よりも前側の位置で、かつ、左右方向において第1係合部67と第2係合部68の間の位置に設けられている。これにより、第1ストラップ26は、中央カバー21の前端から駆動源Mの横、具体的には、左側を通って後方へ延びた後、駆動源Mの後側で左右方向内側へ延びている。第2ストラップ27は、中央カバー21の前端から第1ストラップ26とは駆動源Mの反対側、つまり、右側を通って後方へ延びた後、駆動源Mの後側で左右方向内側に延びている。このような配置とすることで、ストラップ26,27と駆動源Mの干渉を避けることが可能となっている。
【0140】
以上のように構成された車両用シートSの動作について説明する。
図12(a)に示すように、可動フレーム4が第1位置に位置するとき、第1ストラップ26と第2ストラップ27が表皮材2の中央カバー21の前端部を後方へ引っ張っているので、クッションパッド1の中央部11の前端部及び中央カバー21の前端部が、本体フレーム8の屈曲部82に向けて押し付けられている。
【0141】
図12(b)に示すように、可動フレーム4が第1位置から第2位置へ移動すると、可動フレーム4が、クッションパッド1の中央部11を前方へ押し出す。これに伴って、中央カバー21が前方へ引っ張られ、前端が前方へ移動する。このように可動フレーム4が第2位置へ移動すると、可動フレーム4が第1位置に位置していたときよりも、座面が前方に長くなる。
【0142】
なお、可動フレーム4が第2位置へ移動するとき、中央カバー21の左右両端部に設けられたトリムコード25が、サイドカバー300の溝330に沿って移動する。
【0143】
本実施形態では、本体フレーム8の上にキャリアカバー200を設けることで、可動フレーム4が上に隆起した形状を有しているので、可動フレーム4の上面が平面である場合よりも、可動フレーム4の前端上部の形状、つまり、可動フレーム4のクッションパッド1を押す部分の形状が、なだらかな形状となる。これにより、可動フレーム4が前方へ移動するときに、可動フレーム4とクッションパッド1の相対移動がスムーズになる。
【0144】
そして、樹脂プレート9が、パンフレーム3Bと可動フレーム4のキャリアカバー200の上に載っているので、クッションパッド1の下の形状が滑らかになり、乗員の脚の下をキャリアカバー200が前方へ移動するときに、乗員が違和感を覚えるのを抑えることができる。また、樹脂プレート9が、動かない方のパンフレーム3Bに固定されており、可動フレーム4が移動しているときに移動しないので、乗員が違和感を覚えるのを抑えることができる。
【0145】
また、図11に示すように、第1ストラップ26と第2ストラップ27は、中央カバー21の前端が前方へ移動することにより、前方へ引っ張られるので、バネ28が、可動フレーム4が第1位置に位置していたときよりも伸びた状態になる。
【0146】
図12(a)に示すように、可動フレーム4を再び第1位置に移動させると、バネ28の付勢力により、第1ストラップ26と第2ストラップ27が中央カバー21の前端部を後方へ引っ張る。これにより、クッションパッド1の中央部11と中央カバー21が、可動フレーム4にくっつくように後方へ引っ張られる。
【0147】
このとき、中央カバー21の左右両端部に設けられたトリムコード25は、サイドカバー300の溝330に沿って移動する。
【0148】
本実施形態では、樹脂プレート9は、後端部が、固定フレーム3を構成するパンフレーム3Bに固定されているので、可動フレーム4が移動するときに、クッションパッド1に対して動かない。そのため、可動フレーム4が第1位置に移動するときに、樹脂プレート9の後端部の角が、クッションパッド1に擦れたり、引っ掛かったりするのを抑えることができる。
【0149】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0150】
前記実施形態では、第1ストラップ26の先端と第2ストラップ27の先端が、バネ28で連結されていたが、第1ストラップと第2ストラップの構成はこれに限定されるものではない。例えば、図13(a)に示すように、第1ストラップ26Aの先端と第2ストラップ27Aの先端は連結されていなくてもよい。
【0151】
具体的には、第1ストラップ26Aは、中央カバー21の前端から後斜め右側へまっすぐ延びている。そして、第1ストラップ26Aの先端は、固定フレーム3に一端が固定されたバネ28Aに固定されている。これにより、第1ストラップ26Aは、バネ28Aにより、後側、かつ、左右方向内側に引っ張られている。
【0152】
第2ストラップ27Aは、中央カバー21の前端から第1ストラップ26Aの上、または、下を通って後斜め左側へまっすぐ延びている。つまり、上下方向から見て、第1ストラップ26Aと第2ストラップ27Aは、交差している。第2ストラップ27Aの先端は、固定フレーム3に一端が固定されたバネ28Bに固定されている。これにより、第2ストラップ27Aは、バネ28Bにより、後側、かつ、左右方向内側に引っ張られている。
【0153】
また、図13(b)に示すように、第1ストラップ26Bと第2ストラップ27Bは、連結部材で連結されておらず、1つの長いストラップ29で構成されていてもよい。
【0154】
具体的に、ストラップ29は、伸縮可能なゴムバンド等からなり、一端が中央カバー21の前端の右端部に固定され、他端が中央カバー21の前端の左端部に固定されている。パンフレーム3Bの下面には、左右方向における略中央部に、下方へ突出する係合部69を有している。ストラップ29は、中央部が、係合部69に引っ掛けられている。これにより、ストラップ29の係合部69より左側の部分が、第1ストラップ26Bであり、中央カバー21の前端を後方へ引っ張るとともに、左右方向内側に引っ張る。また、ストラップ29の係合部69より右側の部分が、第2ストラップ27Bであり、中央カバー21の前端を後方へ引っ張るとともに、左右方向内側に引っ張る。
【0155】
前記実施形態では、第1ストラップ26と第2ストラップ27が、それぞれ、1つのベルト状の部材から構成されていたが、第1ストラップと第2ストラップの構成はこれに限定されるものではない。例えば、図14(a)に示すように、第1ストラップ26Cは、第1係合部67を挟んで重なり、表皮材2から遠い端部で繋がる2つの第1ベルト261からなり、第2ストラップ27Cは、第2係合部68を挟んで重なり、表皮材2から遠い端部で繋がる2つの第2ベルト271からなっていてもよい。
【0156】
具体的に、2つの第1ベルト261は、第1ストラップ26Cの長手方向において、第1係合部67を挟んだ2か所で縫い合わせてある。また、2つの第2ベルト271は、第2ストラップ27Cの長手方向において、第2係合部68を挟んだ2か所で縫い合わせてある。
【0157】
図14(b)に示すように、中央カバー21が前方へ大きく引っ張られたとき、第1ストラップ26Cの縫い合わせてある部分262が、第1係合部67に引っ掛かり、第2ストラップ27Cの縫い合わせてある部分272が、第2係合部68に引っ掛かる。これにより、第1ストラップ26Cと第2ストラップ27Cの可動範囲を制限される。そのため、中央カバー21が前方へ大きく引っ張られることでバネ28が伸びきってしまうのを抑えることができる。
【0158】
また、バネ28が伸びきらないようにするための構成として、図15(a)に示すように、バネ28にカバー部材400を設けてもよい。
【0159】
カバー部材400は、バネ28を覆う筒状に形成されている。そして、カバー部材400は、樹脂や布等の非金属の材料からなり、伸縮可能なように、例えば、蛇腹状になっている。カバー部材400の左端は、第1ストラップ26の先端に固定され、カバー部材400の右端は、第2ストラップ27の先端に固定されている。
【0160】
このようにカバー部材400を設けることで、図15(b)に示すように、中央カバー21が前方へ大きく引っ張られることで、第1ストラップ26と第2ストラップ27が大きく移動しようとしても、カバー部材400が伸びきると、第1ストラップ26と第2ストラップ27がそれ以上移動できなくなる。これにより、バネ28が大きく伸びて伸びきってしまうのを抑えることができる。
【0161】
また、金属製のバネ28を樹脂等のカバー部材400で覆っているので、バネ28が直接他の部材に当たらない。これにより、異音の発生を抑えることができる。
【0162】
前記実施形態では、第1ストラップ26及び第2ストラップ27が、ベルト状の部材であったが、第1ストラップと第2ストラップの構成はこれに限定されるものではない。例えば、第1ストラップと第2ストラップは、細長い紐であってもよい。
【0163】
前記実施形態では、第1係合部67と第2係合部68が、前後方向に対して斜め45度に延びる金属ロッドであったが、第1係合部と第2係合部はこれに限定されるものではない。例えば、第1係合部と第2係合部は、リング状に形成されており、第1ストラップ26と第2ストラップ27は、このリングの内側を通ってリングに引っ掛かることで、延びる方向が変えられていてもよい。
【0164】
前記実施形態では、第1係合部67と第2係合部68が円形断面の金属ロッドから形成されていたが、第1係合部と第2係合部68の構成はこれに限定されるものではない。例えば、第1係合部と第2係合部は、板状の部材であってもよい。
【0165】
また、前記した各実施形態及び各変形例の各要素は、任意に組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0166】
2 表皮材
3 固定フレーム
3A サイドフレーム
3B パンフレーム
4 可動フレーム
26 第1ストラップ
27 第2ストラップ
28 バネ
67 第1係合部
68 第2係合部
M 駆動源
S 車両用シート
S1 シートクッション
S2 シートバック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
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図15