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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20220927BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20220927BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20220927BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220927BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20220927BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220927BHJP
【FI】
G02F1/1333 500
G02F1/13357
G02F1/1339
F21S2/00 230
F21Y113:13
F21Y115:10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019004958
(22)【出願日】2019-01-16
(65)【公開番号】P2020112738
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福岡 暢子
【審査官】本田 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-186656(JP,A)
【文献】国際公開第2017/122794(WO,A1)
【文献】特開2007-033742(JP,A)
【文献】特開2003-262865(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0187559(US,A1)
【文献】特開2000-180851(JP,A)
【文献】特開2016-057487(JP,A)
【文献】特開2010-090010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/13357
G02F 1/1339
F21S 2/00
F21Y 113/13
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、第1方向に長尺であり光源からの光が照射される側面とを有する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板の間に配置された液晶層と、を備え、
前記側面は、前記第1面側の端部が前記第2面側の端部よりも前記第1方向および前記第2基板の厚さ方向と直交する第2方向に突出した第1傾斜面第2傾斜面および第3傾斜面を有し、
前記第2傾斜面および前記第3傾斜面は、前記第1傾斜面と、前記第1方向における前記側面の端部との間に位置し、
前記第3傾斜面は、前記第2傾斜面と前記第1基板の間に位置し、
前記第1傾斜面は、前記厚さ方向に対して第1角度で傾き、
前記第2傾斜面は、前記厚さ方向に対して前記第1角度よりも小さい第2角度で傾
前記第3傾斜面は、前記厚さ方向に対して前記第1角度および前記第2角度よりも大きい第3角度で傾く、
液晶表示装置。
【請求項2】
前記側面に光を照射する前記光源をさらに備える、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第3傾斜面の前記厚さ方向における幅は、前記第2基板の厚さの60%以下である、
請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1角度および前記第2角度は、15°以下であり、
前記第3角度は、30°以上である、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
複数の画素を含む表示領域よりも前記側面に近い位置にあり、前記第1基板と前記第2基板を電気的に接続する接続構造をさらに備え、
前記接続構造と前記第2傾斜面は、前記第2方向に並んでいる、
請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1基板は、前記複数の画素の各々に設けられた画素電極を備え、
前記第2基板は、前記画素電極に対向する共通電極を備え、
前記接続構造は、前記第1基板に設けられたパッドと、前記第1基板と前記第2基板の間に配置され前記パッドと前記共通電極とを電気的に接続する導電材と、を備える、
請求項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第1基板と前記第2基板の間において前記表示領域を囲う第1シール材をさらに備え、
前記導電材は、前記第1シール材の外側に配置されている、
請求項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第1シール材と前記側面との間に配置された線状の第2シール材をさらに備え、
前記接続構造と前記側面の間には、前記第2シール材が存在しない、
請求項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第2面に対向する透光性のカバー部材をさらに備え、
前記光源は、前記カバー部材の側面に光を照射する、
請求項2に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アレイ基板と、アレイ基板に対向する対向基板と、これら基板の間に配置された液晶層とを備える液晶表示装置が知られている。一般的な透過型の液晶表示装置においては、面光源であるバックライトがアレイ基板の裏面側に配置される。
【0003】
表示のための光を放つ光源は、アレイ基板または対向基板の側面に光を照射するように配置されることがある。このような構成においては、光源からの光がアレイ基板または対向基板の側面に入射し、これら基板を伝播する。側面への入光効率は、当該側面の形状の影響を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-167527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的の一つは、光源からの光の入光効率に優れた液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、第1基板と、第2基板と、液晶層とを備えている。前記第2基板は、前記第1基板に対向する第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、第1方向に長尺であり光源からの光が照射される側面とを有している。前記液晶層は、前記第1基板と前記第2基板の間に配置されている。前記側面は、前記第1面側の端部が前記第2面側の端部よりも前記第1方向および前記第2基板の厚さ方向と直交する第2方向に突出した第1傾斜面第2傾斜面および第3傾斜面を有している。前記第2傾斜面および前記第3傾斜面は、前記第1傾斜面と、前記第1方向における前記側面の端部との間に位置している。前記第3傾斜面は、前記第2傾斜面と前記第1基板の間に位置している。前記第1傾斜面は、前記第2基板の厚さ方向に対して第1角度で傾いている。前記第2傾斜面は、前記厚さ方向に対して前記第1角度よりも小さい第2角度で傾いている。前記第3傾斜面は、前記厚さ方向に対して前記第1角度および前記第2角度よりも大きい第3角度で傾いている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態における液晶表示装置の構成例を示す平面図である。
図2図2は、第1実施形態における液晶表示装置の概略的な断面図である。
図3図3は、第1実施形態における液晶層に適用し得る構成の一例を示す断面図である。
図4図4は、第1実施形態における液晶層に適用し得る構成の一例を示す断面図である。
図5図5は、第1実施形態における液晶層に適用し得る他の構成の一例を示す断面図である。
図6図6は、第1実施形態における液晶層に適用し得る他の構成の一例を示す断面図である。
図7図7は、図1に示した延出領域(EA)の近傍の概略的な平面図である。
図8図8は、第1実施形態における接続構造の概略的な断面図である。
図9図9は、第1実施形態における液晶表示装置の製造工程の一例を概略的に示す断面図である。
図10図10は、図7に示した第1領域(A1)の概略的な断面図である。
図11図11は、図7に示した第2領域(A2)の概略的な断面図である。
図12図12は、基板側面への入光効率を解析した結果を示すグラフである。
図13図13は、図7における第2基板(SUB2)の角部近傍を拡大して示す平面図である。
図14図14は、第2実施形態における液晶表示装置の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一又は類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
各実施形態においては、表示装置の一例として、背景を視認可能な透光性の液晶表示装置を開示する。なお、各実施形態は、他種の表示装置に対する、各実施形態にて開示される個々の技術的思想の適用を妨げるものではない。他種の表示装置としては、例えば、バックライトの光を利用して画像を表示する透過型の液晶表示装置、外光を利用して画像を表示する反射型の液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示素子またはLight Emitting Diode(LED)表示素子を有する自発光型の表示装置、電気泳動素子を有する電子ペーパ型の表示装置、Micro Electro Mechanical Systems(MEMS)を応用した表示装置、或いはエレクトロクロミズムを応用した表示装置などが想定される。
【0009】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態における液晶表示装置1(以下、表示装置1と呼ぶ)の構成例を示す平面図である。図中において、第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zは互いに交差する方向である。本実施形態においては、第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zが互いに直交するが、これら方向が90度以外の角度で交差してもよい。
【0010】
表示装置1は、表示パネルPNLと、複数の光源LSと、フレキシブル回路基板FPCと、コントローラCTとを備えている。表示パネルPNLは、第1基板SUB1(アレイ基板)と、第2基板SUB2(対向基板)と、これら基板の間に封入された液晶層LCとを備えている。
【0011】
図1の例において、第1基板SUB1は、第2基板SUB2の図中下方の端部より延出した延出領域EAを有している。延出領域EAは、外部接続用の端子Tを含む。フレキシブル回路基板FPCは、端子Tに接続されている。なお、第1基板SUB1および第2基板SUB2の形状は矩形状に限られない。
【0012】
表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域PAとを有している。周辺領域PAは、延出領域EAを含む。表示領域DAにおいて、第1基板SUB1は、複数の走査線Gと、複数の信号線Sとを備えている。複数の走査線Gは、第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並んでいる。複数の信号線Sは、第2方向Yに延びるとともに第1方向Xに並んでいる。
【0013】
表示領域DAは、マトリクス状に配列された複数の画素PXを含む。第1基板SUB1は、各画素PXに配置された画素電極PEおよびスイッチング素子SWを備えている。第2基板SUB2は、複数の画素PXにわたって延在する共通電極CEを備えている。共通電極CEには、共通電圧が印加される。
【0014】
表示パネルPNLは、周辺領域PAにおいて、第1走査ドライバGD1と、第2走査ドライバGD2とを備えている。走査線Gは、周辺領域PAに延出して第1走査ドライバGD1または第2走査ドライバGD2に接続されている。信号線Sは、端子Tに接続されている。
【0015】
複数の光源LSは、延出領域EAに配置されている。例えば、複数の光源LSは、赤色の光を発するLEDと、緑色の光を発するLEDと、青色の光を発するLEDとを含む。ただし、光源LSは、赤色、緑色および青色以外の光を発するLEDを備えてもよい。図1においては、複数の光源LSが第1方向Xに並んでいるが、これらの少なくとも一部が第3方向Zに並んでもよい。
【0016】
図1に示すように、各光源LSと第2基板SUB2の間にレンズLZが配置されてもよい。レンズLZは、例えば各光源LSに対応する複数の曲面を有し、各光源LSが放つ光の第2方向Yにおける幅を制御する。
【0017】
コントローラCTは、第1走査ドライバGD1、第2走査ドライバGD2および光源LSを制御するとともに、各信号線Sに映像信号を供給する。図1の例においては、コントローラCTがフレキシブル回路基板FPCに実装されているが、コントローラCTは他の部材に実装されてもよい。
【0018】
図2は、表示装置1の概略的な断面図である。第1基板SUB1は、第1基材10と、画素電極PEとを備えている。第2基板SUB2は、第2基材20と、共通電極CEとを備えている。画素電極PEは、第1基材10の上方において、画素ごとに配置されている。共通電極CEは、第2基材20の下方に配置されている。本実施形態において、第1基材10および第2基材20は、ガラスで形成されている。ただし、第1基材10および第2基材20は、透明な樹脂材料で形成することもできる。画素電極PEおよび共通電極CEは、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)のような透明導電材料で形成することができる。
【0019】
第1基板SUB1と第2基板SUB2は、枠状の第1シール材SE1により貼り合わされている。液晶層LCは、第1シール材SE1の内側において、第1基板SUB1と第2基板SUB2の間に配置されている。第1シール材SE1と光源LSの間に、後述する第2シール材SE2が配置されてもよい(図7参照)。
【0020】
第2基板SUB2には、例えば接着層を介して透光性のカバー部材CGが貼り付けられている。カバー部材CGは、例えばガラスや透明な樹脂材料で形成することができる。図2においては、第2基板SUB2の側面SF1とカバー部材CGの側面SF2が第3方向Zに揃っているが、これら側面SF1,SF2がずれていてもよい。
【0021】
延出領域EAは、第2基板SUB2の側面SF1よりも第2方向Yに延出している。光源LSおよびレンズLZは、延出領域EAに配置され、側面SF1,SF2に対向している。光源LSは、側面SF1,SF2に光を照射する。
【0022】
図3および図4は、液晶層LCに適用し得る構成の一例を示す断面図である。液晶層LCは、高分子液晶組成物の一例である液晶ポリマー31および液晶分子32を含む。液晶ポリマー31および液晶分子32は、それぞれ同等の光学異方性を有している。あるいは、液晶ポリマー31および液晶分子32は、それぞれ略同等の屈折率異方性を有している。また、液晶ポリマー31および液晶分子32の各々の電界に対する応答性は異なる。すなわち、液晶ポリマー31の電界に対する応答性は、液晶分子32の電界に対する応答性より低い。
【0023】
図3に示す例は、例えば、液晶層LCに電圧が印加されていない透明状態(画素電極PEと共通電極CEの間の電位差がゼロである状態)に相当する。この状態においては、液晶ポリマー31の光軸Ax1および液晶分子32の光軸Ax2は、互いに平行となる。
【0024】
上述の通り、液晶ポリマー31および液晶分子32は略同等の屈折率異方性を有しており、しかも光軸Ax1およびAx2は互いに平行である。そのため、あらゆる方向において液晶ポリマー31と液晶分子32の間にほとんど屈折率差がない。これにより、液晶層LCの厚さ方向(第3方向Z)と平行な光Laや、この厚さ方向に対して傾斜した光Lb,Lcは、ほとんど散乱されることなく液晶層LCを透過する。
【0025】
図4に示す例は、液晶層LCに電圧が印加されている散乱状態(画素電極PEと共通電極CEの間に電位差が形成された状態)に相当する。上記の通り、液晶ポリマー31の電界に対する応答性は、液晶分子32の電界に対する応答性より低い。そのため、液晶層LCに電圧が印加された状態では、液晶ポリマー31の配向方向がほとんど変化しないのに対して、液晶分子32の配向方向は電界に応じて変化する。そのため、光軸Ax2が光軸Ax1に対して傾斜する。これにより、あらゆる方向において液晶ポリマー31と液晶分子32の間に大きな屈折率差が生ずる。この状態においては、液晶層LCに入射する光La,Lb,Lcが液晶層LC内で散乱される。
【0026】
図5および図6は、液晶層LCに適用し得る構成の他の例を示す断面図である。図5および図6に示す構成は、液晶層LCの中に高分子繊維構造体(ポリマーネットワーク構造体)を形成させたポリマーネットワーク型液晶に相当する。すなわち、液晶層LCは、ネットワーク状に形成されたポリマー41と、液晶分子42とを有している。図5および図6においては複数のポリマー41が不規則に配置されているが、複数のポリマー41が第1基板SUB1(図2参照)の主面に略平行に配置されてもよい。
【0027】
図5は、液晶層LCに電圧が印加されていない状態であり、液晶分子42がポリマー41の作用により不規則に並んでいる。この状態においては、液晶層LCに入射する光が散乱される。図6は、液晶層LCに電圧が印加されている状態であり、液晶分子42が所定の方向に配列している。この状態においては、光がほとんど散乱されずに液晶層LCを透過する。
【0028】
図2に示すように、光源LSが放つ光L1は、第1基板SUB1および第2基板SUB2の内部を伝播する。例えば図3および図4に示した構成の液晶層LCを採用する場合、電圧が印加されていない画素電極PE(図中のOFF)の近傍においては、光L1が液晶層LCでほとんど散乱されない。そのため、光L1は、第1基板SUB1および第2基板SUB2からほとんど漏れ出すことはない。一方、電圧が印加されている画素電極PE(図中のON)の近傍においては、光L1が液晶層LCで散乱される。この散乱光は、第1基板SUB1および第2基板SUB2から出射し、表示画像として視認される。
【0029】
一方、図5および図6に示した構成の液晶層LCを採用する場合には、電圧が印加されていない画素電極PE(図中のOFF)の近傍において光L1が散乱され、電圧が印加されている画素電極PE(図中のON)の近傍において光L1が散乱されない。
【0030】
なお、透過状態の液晶層LCに入射する外光L2は、ほとんど散乱されることなく表示装置1を透過する。すなわち、第2基板SUB2側から表示装置1を見た場合には第1基板SUB1側の背景が視認可能であり、第1基板SUB1側から表示装置1を見た場合には第2基板SUB2側の背景が視認可能である。
【0031】
以上のような構成の表示装置1は、例えばフィールドシーケンシャル方式にて駆動することができる。この方式においては、1つのフレーム期間が複数のサブフレーム期間(フィールド)を含む。例えば、光源LSが赤色、緑色および青色のLEDを含む場合、1つのフレーム期間には、赤色、緑色および青色のサブフレーム期間が含まれる。
【0032】
赤色のサブフレーム期間においては、赤色のLEDが点灯するとともに、赤色の画像データに応じた電圧が各画素電極PEに印加される。これにより、赤色の画像が表示される。緑色および青色のサブフレーム期間においても同様に、それぞれ緑色および青色のLEDが点灯するとともに、それぞれ緑色および青色の画像データに応じた電圧が各画素電極PEに印加される。これにより、緑色および青色の画像が表示される。このように時分割で表示される赤色、緑色および青色の画像は、互いに合成されて多色表示の画像として観察者に視認される。
【0033】
図7は、図1に示した延出領域EAの近傍の概略的な平面図である。表示装置1は、上述の第1シール材SE1に加え、第1基板SUB1と第2基板SUB2の間に配置された第2シール材SE2をさらに備えている。
【0034】
第1シール材SE1は、表示領域DAを囲っている。第2シール材SE2は、平面視において第1シール材SE1と第2基板SUB2の側面SF1との間に配置されている。第2シール材SE2は、例えば第1方向Xに延びる直線状である。図7の例においては、第2基板SUB2の第1方向Xにおける第1端部E1(図中左方の端部)および第2端部E2(図中右方の端部)と、第2シール材SE2との間に、隙間が設けられている。
【0035】
第1シール材SE1と第2シール材SE2は、第2方向Yにおいて離間している。これにより、これらシール材SE1,SE2の間に空気層AR(大気層)が形成される。空気層ARによりシール材SE1,SE2と空気との界面が増え、光の全反射が促進される。
【0036】
表示装置1は、第1基板SUB1と第2基板SUB2を電気的に接続する接続構造5をさらに備えている。本実施形態において、接続構造5は、第2基板SUB2が備える共通電極CEと、第1基板SUB1の配線とを電気的に接続する。これにより、フレキシブル回路基板FPCから供給される共通電圧を共通電極CEに印加することができる。接続構造5は、共通電極CE以外の導電層と、第1基板SUB1の配線とを電気的に接続するものであってもよい。例えば、第2基板SUB2にタッチセンサ用の電極を設ける場合において、接続構造5は、この電極と第1基板SUB1の配線とを電気的に接続してもよい。
【0037】
図7の例において、接続構造5は、第2基板SUB2の第1角部C1(図中左方の角部)および第2角部C2(図中右方の角部)に配置されている。これら接続構造5は、第1シール材SE1の外側に位置している。第2基板SUB2の他の角部や、角部以外の位置に接続構造5が設けられてもよい。
【0038】
第2基板SUB2の側面SF1は、第1方向Xに長尺な形状であり、第1領域A1と、第2領域A2とを有している。第2領域A2は、第1領域A1と第1端部E1の間、および、第1領域A1と第2端部E2の間にそれぞれ位置している。第1領域A1と第2領域A2においては、図10および図11を用いて後述するように、側面SF1の形状が異なる。
【0039】
図8は、接続構造5の概略的な断面図である。接続構造5は、パッド51と、導電材52とを備えている。パッド51は、第1基板SUB1に設けられ、共通電極CEと対向している。パッド51は、配線および端子T(図1参照)を介してフレキシブル回路基板FPCと接続されている。
【0040】
例えば、導電材52は、第1シール材SE1と同様の樹脂材料に、少なくとも表面が導電性を有する複数の球体を含ませた構成を備えている。これら球体がパッド51および共通電極CEに接触することにより、パッド51と共通電極CEが導通する。ただし、導電材52は、パッド51と共通電極CEとを導通させるものであれば、他の構造であってもよい。
【0041】
図9は、表示装置1の製造工程の一例を概略的に示す断面図である。この図においては、第1基板SUB1と第2基板SUB2が貼り合わされた状態を示している。これら基板SUB1,SUB2が貼り合わされた当初においては、第2基板SUB2が上述の延出領域EAに対応する部分21を有している。その後、レーザー光を用いた切除、あるいは機械的な切除により、部分21が除去される。これにより、側面SF1および延出領域EAが形成される。
【0042】
光源LSからの光を効率的に入射させる観点から、側面SF1は、第2基板SUB2の厚さ方向(第3方向Z)と平行であることが好ましい。しかしながら、部分21を除去する際に加わる不均一な応力などに起因して、側面SF1が第3方向Zと平行にならない場合がある。
【0043】
図10は、Y-Z平面における第1領域A1の概略的な断面図である。第2基板SUB2(第2基材20)は、第1基板SUB1(第1基材10)に対向する第1面F1と、第1面F1の反対側の第2面F2とを有している。
【0044】
第1領域A1において、側面SF1は、第1傾斜面61を有している。第1傾斜面61の下端(第1面F1側の端部)は、上端(第2面F2側の端部)よりも第2方向Yに第1高さH1突出している。第1傾斜面61は、第3方向Zに対し第1角度θ1で傾いている。このような形状の第1傾斜面61は、上述の部分21を除去する際に、第1面F1が第1基板SUB1により支持された状態で部分21に第3方向Zへの力が加わることに起因して形成されると考えられる。
【0045】
一例として、第2基材20の第3方向Zにおける幅W0が0.7mmの場合には、0.1~0.3mm程度の第1高さH1を有する第1傾斜面61が生じた。この場合の第1角度θ1は、約8°~23°である。第1傾斜面61が形成されると、第1傾斜面61の上端とレンズLZとの間の距離Dが、少なくとも第1高さH1以上となる。
【0046】
図11は、Y-Z平面における第2領域A2の概略的な断面図である。第2領域A2において、側面SF1は、第2傾斜面62と、第3傾斜面63とを有している。第3傾斜面63は、第2傾斜面62と第1基板SUB1の間に位置している。第2傾斜面62の下端(第1面F1側の端部)は、上端(第2面F2側の端部)よりも第2方向Yに突出している。第3傾斜面63についても同様である。以下、第2傾斜面62の上端に対して、第3傾斜面63の下端が第2方向Yに突出する高さを、第2高さH2と呼ぶ。
【0047】
第2傾斜面62は、第3方向Zに対し第2角度θ2で傾いている。第3傾斜面63は、第3方向Zに対し第3角度θ3で傾いている。第3角度θ3は、第2角度θ2よりも大きい(θ2<θ3)。また、第3角度θ3は、第1角度θ1よりも大きい(θ1<θ3)。一例として、第1角度θ1および第2角度θ2は15°以下であり、第3角度θ3は30°以上である。
【0048】
このように、第2領域A2においては大きな角度で傾斜した第3傾斜面63が形成される。そのため、第2高さH2は第1高さH1より大きくなる(H1<H2)。この第2高さH2を考慮すると、距離Dを少なくとも第2高さH2以上としなければならない。距離Dが大きくなるほど、表示装置1の小型化が阻害される。また、各傾斜面61~63により、側面SF1の入光効率が低下する。
【0049】
図12は、側面SF1への入光効率を解析した結果を示すグラフである。この解析においては、グラフ中に示すモデルMに、所定光量の光Lを照射する場合を想定した。モデルMは、厚さ0.7mmの基板である。さらに、モデルMは、傾斜面60を有している。基板の厚さ方向における傾斜面60の幅はWであり、基板側面から突出する傾斜面60の高さはHである。高さH=0.1mm、0.2mm、0.3mmの3通りについて幅Wを0.1~0.7の間で変化させ、入光効率を測定した。入光効率は、損失が零である場合を1.0とした相対値である。傾斜面60が無い場合の入光効率は、0.915である。
【0050】
幅Wがおよそ0.2mm以下の領域においては、高さHが大きいほど入光効率が顕著に低下している。幅Wが大きくなると、入光効率は高さHにあまり依存せず、幅Wの影響を強く受ける。すなわち、幅Wが大きくなるほど入光効率が低下する。
【0051】
一例として、幅Wが0.2mm以下(基板厚さの約30%以下)である場合には、高さHが0.3mm以下(基板厚さの約40%以下)であれば入光効率の低下を10%以下に抑制できる。高さHが0.2mm以下(基板厚さの約30%以下)であれば入光効率の低下を5%以下に抑制でき、高さHが0.1mm以下(基板厚さの約15%以下)であれば入光効率の低下を数%に抑制できる。
【0052】
また、高さHによらずに、幅Wが0.4mm以下(基板厚さの約60%以下)であれば入光効率の低下を20%以下に抑制できる。幅Wが0.2mm以下(基板厚さの約30%以下)であれば入光効率の低下を10%以下に抑制できる。
【0053】
以上の解析から、図10に示した第1領域A1においては、第1傾斜面61の第1高さH1が大きいほど側面SF1の入光効率が低下する。さらに、図11に示した第2領域A2においては、2つの傾斜面62,63が存在し、しかも第2高さH2が大きいので、より入光効率が低下する。
【0054】
例えば、図11に示した第2角度θ2を図10に示した第1角度θ1よりも小さくすれば、第2角度θ2が第1角度θ1以上である場合に比べて入光効率が改善し、第1領域A1と第2領域A2の入光効率の差を小さくすることができる。
【0055】
さらに、図12のモデルMと同様に、図11に示した幅W3が幅W0の30%以下である場合には、第2高さH2を幅W0の40%以下とすれば好ましく、30%以下とすればより好ましく、15%以下とすればさらに一層好ましい。また、幅W3が幅W0の60%以下であれば好ましく、30%以下であればより好ましい。
【0056】
例えば、角度θ1~θ3、高さH1,H2および幅W3は、図9に示した第2基板SUB2の部分21を除去する際に第2基板SUB2および部分21に加える力の大きさや方向により調整することができる。また、角度θ1~θ3、高さH1,H2および幅W3は、レーザー光により部分21を切断する場合にはレーザー光の強度や照射時間の調整により、部分21を機械的に切断する場合には割断線に形成する溝の深さや幅により調整することができる。部分21を除去した後に側面SF1を研磨する工程を実行し、これにより角度θ1~θ3、高さH1,H2および幅W3を調整してもよい。
【0057】
第2領域A2(各傾斜面62,63)の位置は、側面SF1近傍の構造によって調整することができる。発明者は、本実施形態の構造においては接続構造5の近傍に第2傾斜面62および第3傾斜面63が形成されやすいことを発見した。これは、図9に示した第2基板SUB2の部分21を除去する際の応力がパッド51や導電材52の影響を受けるためと考えられる。以下に、接続構造5の好適な配置例について説明する。
【0058】
図13は、図7における第2基板SUB2の第1角部C1近傍を拡大して示す平面図である。第1シール材SE1は、第1角部C1の近傍において、曲線部CPを有している。接続構造5は、この曲線部CPと第1端部E1の間に配置されている。第1方向Xにおいて、接続構造5は、表示領域DAよりも第1端部E1に近い位置にある。また、第2方向Yにおいて、接続構造5は、表示領域DAよりも側面SF1に近い位置にある。
【0059】
接続構造5と第2方向Yに並ぶ位置に第2領域A2が形成されている。第2領域A2は、第1領域A1と第1端部E1の間にある。すなわち、第2傾斜面62および第3傾斜面63は、第1傾斜面61と、側面SF1の第1方向Xにおける端部との間に位置する。
【0060】
仮に、第2方向Yに直線状に延びる第1シール材SE1の一部と第1端部E1の間に接続構造5を設ける場合、当該一部と第1端部E1の間に接続構造5のためのスペースを確保しなければならないため、周辺領域PAが増大し得る。一方、図13の例においては、曲線部CPの近傍に生じるスペースを有効に活用して接続構造5を配置することができる。
【0061】
第1端部E1に近い側面SF1において入光効率が低下しても、表示領域DAに及ぶ影響が小さい。そこで、接続構造5は、第1方向Xにおいて第1端部E1からの距離Dxが5mm以下の範囲に形成されることが好ましく、距離Dxが4mm以下の範囲に形成されるとより好ましく、距離Dxが3mm以下の範囲に形成されるとより一層好ましい。このような位置に接続構造5を形成すれば、第2領域A2を第1端部E1近傍に限定することができる。
【0062】
側面SF1と接続構造5の第2方向Yにおける距離Dyが大きいと、周辺領域PAが増大し得る。そこで、接続構造5は、距離Dyが6mm以下の範囲に形成されることが好ましく、5mm以下の範囲に形成されるとより好ましく、4mm以下の範囲に形成されるとより一層好ましい。
【0063】
なお、発明者が検証したところ、第2シール材SE2を第1端部E1まで延ばすと、第1角部C1近傍の側面SF1における入光効率が極めて低下することが分かった。そこで、第2シール材SE2と第1端部E1の間には、間隔を設けることが好ましい。図13の例においては、第2シール材SE2と第1端部E1の間に距離Dx以上の間隔が設けられている。
【0064】
図7に示した第2角部C2近傍には、図13と同様の構造を適用できる。入光効率の観点から、第1領域A1と2つの第2領域A2の割合は、9:1以下であることが好ましい。すなわち、1つの第2領域A2の第1方向Xにおける長さは、側面SF1の全長の5%以下であることが好ましい。第2領域A2の長さは、例えば接続構造5の位置や大きさにより調整することができる。
【0065】
以上説明した本実施形態のように、第2領域A2における第2傾斜面62および第3傾斜面63の形状および位置を制御することにより、光源LSからの光の側面SF1に対する入光効率を向上させることができる。これにより、表示領域DAに表示される画像の輝度を高めることができる。その他にも、本実施形態からは上述した種々の効果を得ることができる。
【0066】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態との相違点にのみ言及するが、本実施形態に係る表示装置1の各部には第1実施形態と同様の構造を適用できる。
【0067】
図14は、本実施形態に係る表示装置1における第1領域A1近傍の概略的な断面図である。この図の例においては、第2基板SUB2(第2基材20)およびカバー部材CGと、レンズLZとの隙間が、樹脂層7で満たされている。樹脂層7は、例えば図示したようにカバー部材CGおよびレンズLZの上面から突出してもよいし、これらの上面から窪んでもよい。
【0068】
樹脂層7、第2基材20およびカバー部材CGは、略同じ屈折率を有している。これにより、レンズLZから出射する光源LSからの光は、樹脂層7と側面SF1の境界、および、樹脂層7と側面SF2の境界において反射または屈折せず、第2基材20およびカバー部材CGに良好に入射する。
【0069】
図14においては第1領域A1の断面を示したが、第2領域A2においても同様に樹脂層7が形成されている。これにより、第1傾斜面61、第2傾斜面62および第3傾斜面63による入光効率の低下を抑制することができる。
【0070】
なお、レンズLZを設けない場合において、光源LSと、第2基板SUB2およびカバー部材CGとの間に樹脂層7を形成してもよい。
【0071】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0072】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0073】
また、各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0074】
1…表示装置、PNL…表示パネル、SUB1…第1基板、SUB2…第2基板、LC…液晶層、SE1…第1シール材、SE2…第2シール材、LS…光源、LZ…レンズ、CG…カバー部材、10…第1基材、20…第2基材、PE…画素電極、CE…共通電極、SF1…第2基板の側面、A1…第1領域、A2…第2領域、5…接続構造、61…第1傾斜面、62…第2傾斜面、63…第3傾斜面。
図1
図2
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