(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】粒子線治療システムおよび粒子線治療システムの操作画面更新方法
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20220927BHJP
【FI】
A61N5/10 H
A61N5/10 D
A61N5/10 P
A61N5/10 Z
(21)【出願番号】P 2019099451
(22)【出願日】2019-05-28
【審査請求日】2021-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】江口 美菜
(72)【発明者】
【氏名】小野 大輔
(72)【発明者】
【氏名】今川 知久
(72)【発明者】
【氏名】有田 晴紀
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/008793(WO,A1)
【文献】特開2009-160309(JP,A)
【文献】国際公開第2014/119050(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の患部に対して粒子線を照射する粒子線治療システムであって、
前記粒子線を生成する粒子線源と、
前記粒子線源で生成した前記粒子線を前記患部に対して照射する照射装置と、
前記粒子線を前記粒子線源から前記照射装置へ輸送する輸送系と、
前記粒子線源、前記輸送系、および前記照射装置の動作を制御する制御装置と、
前記粒子線治療システムの状態を表示する操作画面を有する操作端末と、を備え、
前記制御装置は、マスク信号のON/OFFによって、特定の装置に関連する画像または情報をマスクした状態で前記操作端末の前記操作画面に表示する非解放モードと、前記特定の装置に関連する画像または情報をマスクせずに前記操作画面に表示する解放モードと、が切り替わり、
前記操作端末の前記操作画面には、前記非解放モードの際には前記特定の装置に関連する画像または情報がマスクされた状態で表示され、前記解放モードの際には前記特定の装置に関連する画像または情報が表示される
ことを特徴とする粒子線治療システム。
【請求項2】
請求項1に記載の粒子線治療システムにおいて、
前記制御装置は、前記マスク信号がOFFとなった際には、前記マスクにより非表示であった複数の前記特定の装置に関連する画像または情報を一度に解放する
ことを特徴とする粒子線治療システム。
【請求項3】
請求項1に記載の粒子線治療システムにおいて、
前記制御装置は、前記マスク信号のON/OFFの変更時には、前記制御装置から前記操作端末に変更信号を送信して前記操作端末からの打返しを受けてから前記解放モード、あるいは前記非解放モードを切り替える
ことを特徴とする粒子線治療システム。
【請求項4】
請求項1に記載の粒子線治療システムにおいて、
前記制御装置は、前記解放モードでは、制限していた前記特定の装置に関連する機能を解放し、前記解放した機能と既設の装置の機能とを組み合わせたシステムの試験に移行する
ことを特徴とする粒子線治療システム。
【請求項5】
請求項1に記載の粒子線治療システムにおいて、
前記非解放モードでは、前記操作画面に、前記マスクとして、前記画像または前記情報が表示される部分に空白が表示される
ことを特徴とする粒子線治療システム。
【請求項6】
請求項1に記載の粒子線治療システムにおいて、
前記マスク信号のON/OFFを切り替える入力指示は、前記操作端末以外から入力される
ことを特徴とする粒子線治療システム。
【請求項7】
請求項1に記載の粒子線治療システムにおいて、
前記マスクにより表示・非表示されるのは、前記粒子線治療システムに追加で設置される輸送系および照射装置に関連する画像または情報である
ことを特徴とする粒子線治療システム。
【請求項8】
請求項7に記載の粒子線治療システムにおいて、
前記解放モードでは、前記制御装置に記録されている、前記追加で設置される輸送系および照射装置の制御パラメータについても解放される
ことを特徴とする粒子線治療システム。
【請求項9】
請求項7に記載の粒子線治療システムにおいて、
前記マスクにより表示・非表示される対象の前記輸送系、前記照射装置が複数存在するときは、前記マスク信号を個別のものとする
ことを特徴とする粒子線治療システム。
【請求項10】
患者の患部に対して粒子線を照射する粒子線治療システムの操作画面更新方法であって、
前記粒子線治療システムは、前記粒子線を発生させる粒子線源と、前記粒子線源で発生させた前記粒子線を前記患部に対して照射する照射装置と、前記粒子線を前記粒子線源から前記照射装置へ輸送する輸送系と、前記粒子線源、前記輸送系、および前記照射装置の動作を制御する制御装置と、前記粒子線治療システムの状態を表示する操作画面を有する操作端末と、を備えており、
特定の装置に関連する画像または情報がマスクされた状態で前記操作端末の前記操作画面に表示される非解放手順と、前記特定の装置に関連する画像または情報が前記操作画面に表示される解放手順と、を有しており、
前記非解放手順と前記解放手順とがマスク信号のON/OFFによって切り替わる
ことを特徴とする粒子線治療システムの操作画面更新方法。
【請求項11】
請求項10に記載の粒子線治療システムの操作画面更新方法において、
前記マスク信号がOFFとなった際には、前記マスクにより非表示であった複数の前記特定の装置に関連する画像または情報が一度に解放される
ことを特徴とする粒子線治療システムの操作画面更新方法。
【請求項12】
請求項10に記載の粒子線治療システムの操作画面更新方法において、
前記マスク信号のON/OFFの変更に、前記制御装置から前記操作端末に変更信号を送信して前記操作端末からの打返しを受けてから前記解放手順と前記非解放手順とが切り替わる
ことを特徴とする粒子線治療システムの操作画面更新方法。
【請求項13】
請求項10に記載の粒子線治療システムの操作画面更新方法において、
前記解放手順では、制限していた前記特定の装置に関連する機能が解放され、
その後に前記解放した機能と既設の装置の機能とを組み合わせたシステムの試験に移行する
ことを特徴とする粒子線治療システムの操作画面更新方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽子や重イオンなどの荷電粒子ビーム(イオンビーム)を利用した腫瘍の治療装置である粒子線治療システムとその操作画面の更新方法であって、特には、粒子線治療を継続しながら、新システムの導入を行うことが容易な粒子線治療システムおよび粒子線治療システムの操作画面更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既設システムでの治療を維持した状態で、夜間や休日など治療していない時間に更新作業(新たなシステムの追設、調整、試験)を実施できるような更新方法の一例として、特許文献1には、粒子線治療システムの既設ビーム輸送系から分岐するように、新たなビーム輸送系を設けるステップと、新たなビーム輸送系に接続された新たな設備を設けるステップを有し、分岐は、既設ビーム輸送系の直線部分に設ける、ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
がんの放射線治療として、陽子または重イオン等のイオンビームを患者のがん患部に照射して治療する粒子線治療が知られている。
【0005】
粒子線治療システムでは、イオンビームを患部へ導入するために高精度なビーム位置調整が必要であり、その調整および試験には多大な時間がかかる。その時間を必要最小限に抑える技術の一つとして、上述の特許文献1に記載されている技術がある。
【0006】
粒子線治療システムにおいて、システム更新の際に操作画面を含めてまるごと1式交換するとなると、その調整と試験には非常に時間がかかる。このため、治療停止期間が長期化してしまい、既設システムが稼動していた場合に治療できていた患者を治療できなくなってしまうことが問題となる。
【0007】
このような問題により、設備維持のための収入源の低下、治療患者の需要に対する設備供給不足が懸念される。
【0008】
既設の治療システムに対して新たな装置を追加する更新作業を行う場合、システムの操作画面を始めとした操作系や制御システム、設備などを細分化して部品ごとの交換を徐々に実施することは可能である。しかしながら、大幅な設備更新を行う場合を考えると、既設の部分と新規の部分との組合せによる調整と試験は必須であるため、既設システムの治療時間外(たとえば夜間や休日など)での対応では明らかに時間が足りない部分が出てくる。このため、時間と手間のかからない手法が必要となることに変わりはない。
【0009】
更に、更新後の新規システムに問題があった場合、既設のシステムに戻してもすぐに元通り使えるわけではなく、調整および試験は必要となるので、更新作業を行うリスクも高い、との課題がある。
【0010】
このように、システムの更新時に操作画面などをできる限り簡易に更新する手法が求められる。
【0011】
本発明は、上述のような課題に鑑みなされたものであって、既設システムでの治療を維持した状態で、夜間や休日など治療していない時間に、新たなシステムの追設、調整、試験等の更新作業を実施することができる粒子線治療システムおよび粒子線治療システムの操作画面更新方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、患者の患部に対して粒子線を照射する粒子線治療システムであって、前記粒子線を生成する粒子線源と、前記粒子線源で生成した前記粒子線を前記患部に対して照射する照射装置と、前記粒子線を前記粒子線源から前記照射装置へ輸送する輸送系と、前記粒子線源、前記輸送系、および前記照射装置の動作を制御する制御装置と、前記粒子線治療システムの状態を表示する操作画面を有する操作端末と、を備え、前記制御装置は、マスク信号のON/OFFによって、特定の装置に関連する画像または情報をマスクした状態で前記操作端末の前記操作画面に表示する非解放モードと、前記特定の装置に関連する画像または情報をマスクせずに前記操作画面に表示する解放モードと、が切り替わり、前記操作端末の前記操作画面には、前記非解放モードの際には前記特定の装置に関連する画像または情報がマスクされた状態で表示され、前記解放モードの際には前記特定の装置に関連する画像または情報が表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、既設システムでの治療を維持した状態で、夜間や休日など治療していない時間に更新作業を実施することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態の粒子線治療システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態の粒子線治療システムの中央制御装置と操作端末間におけるマスク信号のやり取りを表した図である。
【
図3】実施形態の粒子線治療システムにおいて、治療室を追設する前の状態の構成を簡略的に示す図である。
【
図4】実施形態の粒子線治療システムにおいて、治療室を追設した後の状態の構成を簡略的に示す図である。
【
図5】実施形態の粒子線治療システムの治療室の追設手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図6】実施形態の粒子線治療システムの機能解放後の操作画面の例を表す図である。
【
図7】実施形態の粒子線治療システムの機能解放前の操作画面の例を表す図である。
【
図8】実施形態の粒子線治療システムの機能解放後の操作画面の例を表す図である。
【
図9】実施形態の粒子線治療システムの機能解放前の操作画面の例を表す図である。
【
図10】実施形態の粒子線治療システムの治療室の追設手順の他の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】実施形態の粒子線治療システムの治療室の追設手順の他の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の粒子線治療システムおよび粒子線治療システムの操作画面更新方法の実施形態について
図1乃至
図11を用いて説明する。
【0016】
まず、本発明の粒子線照射システムの大まかな構成について、
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態の粒子線照射システムの全体構成を示す構成である。
【0017】
図1に示すような本実施形態の粒子線治療システム100は、患者13の患部13aに対して荷電粒子ビーム12を照射するための装置であって、荷電粒子ビーム発生装置1、ビーム輸送系2、ビーム照射装置3、制御システム4、および操作端末40を概略備えている。
【0018】
荷電粒子ビーム発生装置1は、患者13の患部13aに対して照射する荷電粒子ビーム12を生成する装置であり、イオン源15a、前段加速器15bおよび円形加速器16を有する。前段加速器15bの上流側にイオン源15aが接続されており、前段加速器15bの下流側に円形加速器16が接続されている。
【0019】
なお、
図1では、円形加速器16としてシンクロトロンを例に記載しているが、シンクロトロン加速器の他に、サイクロトロン加速器やシンクロサイクロトロン加速器などの様々な公知の加速器を用いることができる。その場合、前段加速器15bは不要となることがある。
【0020】
イオン源15aで生成する荷電粒子ビーム12の種類についても特に限定されず、患者13の患部13aに対して照射する荷電粒子ビーム12としては、陽子や、炭素やヘリウム等の重粒子が挙げられる。
【0021】
ビーム輸送系2は、荷電粒子ビーム発生装置1の下流側に接続されており、荷電粒子ビーム発生装置1とビーム照射装置3とを接続している。このビーム輸送系2により、荷電粒子ビーム12を荷電粒子ビーム発生装置1からビーム照射装置3へ輸送される。
【0022】
ビーム照射装置3は、荷電粒子ビーム発生装置1で生成され、ビーム輸送系2により輸送されてきた荷電粒子ビーム12を患者の患部13aに照射するための装置であり、
図1に示すように、患者13を載せる治療台10、照射ノズル11および回転ガントリ14を概略備えている。
【0023】
このビーム照射装置3は複数設けることができ、その場合は複数設けられた偏向電磁石9のうち対応する偏向電磁石9を制御することでビーム照射を行うビーム照射装置3へ荷電粒子ビーム12は誘導される。
【0024】
照射ノズル11には、上流ビームモニタ、走査電磁石、線量モニタ、下流ビームモニタ(各々、図示の都合上省略)がビーム経路に沿って配置されており、ビームの照射野を形成する。
【0025】
上流ビームモニタは、照射ノズル11内に入射された荷電粒子ビーム12の通過位置およびビーム幅(ビーム径)を計測する。
【0026】
走査電磁石は、通過する荷電粒子ビーム12を第一の方向(例えば、X軸方向)に偏向・走査する第1走査電磁石と、第一の方向と垂直な第二の方向(例えば、Y軸方向)に荷電粒子ビーム12を偏向・走査する第2走査電磁石から構成される。ここで、X軸方向とは、照射ノズル11に入射された荷電粒子ビーム12の進行方向に垂直な平面内の一方向であり、Y軸方向とは、当該平面内であってX軸と垂直な方向を示す。
【0027】
線量モニタは、通過する荷電粒子ビーム12の照射線量を計測する。すなわち、線量モニタは、患者に照射された荷電粒子ビーム12の照射線量を監視するモニタである。
【0028】
下流ビームモニタは、走査電磁石の下流側に設置され、通過する荷電粒子ビーム12の位置およびビーム幅を計測する。すなわち、下流ビームモニタは、走査電磁石によって走査された荷電粒子ビーム12の位置およびビーム幅を計測するモニタである。
【0029】
なお、本発明における荷電粒子ビーム12の照射法は特に限定されず、例えば、患部13aをスポットと呼ばれる微小な領域に複数分割し、そのスポット間で荷電粒子ビーム12を停止する離散スポット照射法や、スポット間で荷電粒子ビーム12を停止しない連続スポット照射法、ワブラー法や二重散乱体法など荷電粒子ビーム12の分布を広げた後でコリメータやボーラスを用いて患部13aの形状に合わせた線量分布を形成する照射法を採用することができる。
【0030】
回転ガントリ14は、アイソセンタ(図示省略)を中心に回転可能な構成であり、ビームの照射角度を決める。回転ガントリ14が回転することによって、患者13に照射する荷電粒子ビーム12の照射角度を変更することができる。
【0031】
なお、ビーム照射装置3は回転ガントリ14を有さない固定照射装置とすることも出来る。
【0032】
治療台10は、治療室内に配置されており、患者13を載せるベッドである。治療台10は、制御システム4からの指示に基づき、直交する3軸の方向へ移動することができ、さらにそれぞれの軸を中心として回転する、いわゆる6軸方向に移動することができる。これらの移動と回転により、患者13の患部13aの位置を所望の位置に移動させることができる。
【0033】
治療計画装置6は、CT画像作成装置(図示省略)で作成されたCT画像を利用して、患部を一様な線量で照射するための照射スポットの位置と各照射スポットに対する目標照射量とを計算する。
【0034】
制御システム4は、荷電粒子ビーム発生装置1、ビーム輸送系2、ビーム照射装置3、治療計画装置6、操作端末40などと接続されており、荷電粒子ビーム発生装置1、ビーム輸送系2、およびビーム照射装置3を構成する各機器の動作を制御する。
【0035】
制御システム4は、
図1に示すように、中央制御装置5、加速器・輸送系制御システム7および照射制御システム8を概略備えている。
【0036】
中央制御装置5は、治療計画装置6、加速器・輸送系制御システム7、照射制御システム8および操作端末40に接続されている。この中央制御装置5は、治療計画装置6からの設定データに基づいて、加速器運転のための運転パラメータの設定値、照射野を形成するための運転パラメータ、計画されるビーム位置およびビーム幅、線量の設定値を算出する機能を備えている。これらの運転パラメータおよびモニタ設定値は、中央制御装置5から加速器・輸送系制御システム7、照射制御システム8および操作端末40に出力される。
【0037】
本実施形態の中央制御装置5では、中央制御装置5が持っているパラメータであるマスク信号のON/OFFによって、特定の装置に関連する画像または情報をマスクした状態で操作端末40の表示画面40aに表示する非解放モードと、特定の装置に関連する画像または情報をマスクせずに表示画面40aに表示する解放モードと、を切り替える制御を実行する。
【0038】
なお、本実施形態では、マスクされると機能が使用できなくなることとする。例えば、本実施形態における機能には、ボタン押下による操作、制御パラメータ表示、機器や条件の状態表示ランプ、キーボードによる入力などの指令操作や表示機能、入力操作などが含まれる。
【0039】
このような制御により、マスク信号がONとなった非解放モードの際にはマスク処理により特定の装置に関連する画像または情報が操作端末40の表示画面40aに表示されなくなり、機能しなくなる。これに対し、マスク信号がOFFとなった解放モードの際には機能が解放されて、特定の装置に関連する画像または情報が表示される。その詳細は詳しくは後述する。
【0040】
このようなマスクにより表示・非表示となる画像、情報には、粒子線治療システム100に追加で設置される第3ビーム輸送系2c、第3治療室ビーム照射装置3c、第3ビーム輸送系用の偏向電磁石9c(いずれも詳しくは
図4等参照)に関連する画像または情報、更には、制御システム4の中央制御装置5に記録されている、追加で設置される上記各装置の制御パラメータが含まれる。
【0041】
また、中央制御装置5は、マスク信号がOFFとなった際には、マスクにより非表示であった特定の装置に関連する画像または情報を一度に複数、望ましくはすべての画像または情報を解放することが望ましい。
【0042】
例えば、マスク信号がOFFとなり機能が解放される際には、制御システム4の中央制御装置5に記録されている、追加で設置される特定の装置の制御パラメータについても解放されることが望ましい。
【0043】
マスク信号は、安全性を考え、マスク信号のON/OFFを切り替える入力指示は、操作端末40以外から入力されることが望ましい。例えば、システム設計者が決めた特定のユーザのみが使用できる中央制御装置5でのコマンド操作でのみON/OFFの切り替えを可能とすることが望ましい。中央制御装置5のコマンド操作は外部の端末による遠隔操作で実行可能とすることもできる。
【0044】
上述したマスク信号は、中央制御装置5が持っているパラメータであり、操作端末40に周期的に送信されている。ただし、操作端末40以外に送信されてもよい。
【0045】
また、
図2に示すように、中央制御装置5が操作端末40に対しマスク信号を送信した後、操作端末40が中央制御装置5に対しマスク信号の打返しを送信することにより、信頼性を確保することが望ましい。なお、
図2は、中央制御装置と操作端末間のマスク信号のやり取りを表した図である。
【0046】
このような構成により、中央制御装置5は、マスク信号のON/OFFの変更時には、操作端末40からの打返しを受けてから解放モード、あるいは非解放モードを切り替えることが望ましい。
【0047】
加速器・輸送系制御システム7は、荷電粒子ビーム発生装置1およびビーム輸送系2に接続されており、荷電粒子ビーム発生装置1およびビーム輸送系2を構成する機器の動作を制御する。
【0048】
照射制御システム8は、ビーム照射装置3に接続されており、ビーム照射装置3を構成する各機器の動作を制御する。
【0049】
操作端末40は、粒子線治療システム100の状態を表示するコンピュータであり、操作者(医者、オペレータ等の医療従事者)がデータや指示信号を入力する入力装置および表示画面40aを備えている。
【0050】
表示画面40aには粒子線治療システムを構成する機器の稼働状況、治療情報、制御パラメータが、中央制御装置5から送信されるデータに対応して表示される。ただし、他機能が表示されるものとすることができる。
【0051】
これら制御システム4や加速器・輸送系制御システム7、照射制御システム8、治療計画装置6、操作端末40は、中央演算装置(CPU)およびCPUに接続されたメモリを有する。
【0052】
制御システム4は、治療計画装置6で作成された治療計画から粒子線治療システム100を構成する各機器の照射に関係する各種の動作制御プログラムを読み込み、読み込んだプログラムを実行して、加速器・輸送系制御システム7、照射制御システム8を介して指令を出力することで、粒子線治療システム100内の各機器の動作を制御する。
【0053】
なお、実行される動作の制御処理は、1つのプログラムにまとめられていても、それぞれが複数のプログラムに分かれていても良く、更にはそれらの組み合わせでも良い。
【0054】
また、プログラムの一部またはすべては専用ハードウェアで実現しても良く、モジュール化されていても良い。更には、各種プログラムは、プログラム配布サーバや外部記憶メディアによって各装置にインストールされていても良い。
【0055】
また、各装置は、各々が独立した装置で有線あるいは無線のネットワークで接続されたものであっても、2つ以上が一体化していてもよい。
【0056】
次に、本実施形態の粒子線治療システムにおける、治療システム更新時の手順と、更新前後における操作端末40に表示される画面に関して
図3以降を用いて説明する。
【0057】
最初に、更新前後の粒子線治療システムの構成について
図3、
図4を用いて説明する。
図3は治療室を追設する前の状態の構成を簡略的に示す図、
図4は治療室を追設した後の状態の構成を簡略的に示す図である。
【0058】
以下では、粒子線治療システムは、新規建設時は
図3に示すように、1つの円形加速器16とビーム輸送系2、第1治療室ビーム照射装置3a、第2治療室ビーム照射装置3b、更には第1治療室ビーム照射装置3aにビームを輸送する第1ビーム輸送系2aや偏向電磁石9a、第2治療室ビーム照射装置3bにビームを輸送する第2ビーム輸送系2bや偏向電磁石9bを有する系とする。
【0059】
また、将来的には、
図4に示すように
図3に第3治療室ビーム照射装置3cや第3治療室ビーム照射装置3cにビームを輸送する第3ビーム輸送系2cを1つ増設する予定となっている。
【0060】
このような粒子線治療システム100における、治療室に関わる設備と制御システムの更新に関して、上述した
図3や
図4、更には
図5以降を用いて以下説明する。
図5は、治療室の追設手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0061】
以下に示す手順では、マスクにより表示される、されない、の切り替えが行われる対象の特定の装置は、第3ビーム輸送系2c、第3治療室ビーム照射装置3c、第3ビーム輸送系2c用の偏向電磁石9cとする。
【0062】
なお、治療室数や配置などは設備ごとに変わるため、代表例として説明するものであることは言うまでもない。
【0063】
まず、
図5に示すように、新規建設時に使用する、操作端末40に表示される画面を作成する(ステップS101)。画面作成は建設前に、デバッグ用端末または顧客に納入する操作端末40を用いて行う。ただし、デバッグ用端末を用いる場合は、建設前に操作端末40に画面データを入れておくことが望ましい。
【0064】
なお、本ステップS101での画面作成では、新規建設時に建設予定の第1治療室ビーム照射装置3aやそれに関連する第1ビーム輸送系2a、第2治療室ビーム照射装置3bやそれに関連する第2ビーム輸送系2b以外の第3治療室ビーム照射装置3cやそれに関連する第3ビーム輸送系2cの機能も含める。ここでは第3治療室ビーム照射装置3c等を例に説明する。
【0065】
画面作成後、マスク処理により表示、非表示とする範囲を設定する(ステップS102)。
【0066】
その後、荷電粒子ビーム発生装置1、ビーム輸送系2、第1治療室ビーム照射装置3a、第2治療室ビーム照射装置3b、制御システム4、および操作端末40を病院などに新規に建設する(ステップS103)。
【0067】
建設完了後、システム設計者等が中央制御装置5をコマンド操作することによりマスク信号がONとなる(ステップS104)。これにより、中央制御装置5は第3治療室ビーム照射装置3c等に関係する機能をマスクする(ステップS104)。
【0068】
このようなマスク処理により、操作端末40に表示される画面は、詳しくは後述する
図7に示すような画面、あるいは
図9に示すような画面へと変わる。
【0069】
その後、第1治療室ビーム照射装置3a等、および第2治療室ビーム照射装置3bの機能試験を実行する(ステップS105)。このステップS105では、第1治療室ビーム照射装置3a等や第2治療室ビーム照射装置3bの機能の試験だけでなく、第3治療室ビーム照射装置3c等の機能が使用できないことの確認も行うことが望ましい。
【0070】
機能試験が完了した後、治療が開始される(ステップS106)。
【0071】
治療開始後の任意のタイミングでシステムのユーザにより増設が決定されたら、第3治療室ビーム照射装置3cからなる第3治療室や第3ビーム輸送系2c、偏向電磁石9cなどの増設を開始する(ステップS107)。治療開始から増設迄の期間は特に指定されず、粒子線治療システム100の稼働状況等に応じて決まることが多い。
【0072】
第3治療室ビーム照射装置3c等の構造体の設置が完了した後、中央制御装置5は、最初に第3治療室ビーム照射装置3c等の更新作業が完了したか否かを判定する(ステップS108)。完了したと判定されたときは処理をステップS112に進め、第3治療室ビーム照射装置3cを含めた3つの治療室を用いた治療が開始される(ステップS112)。
【0073】
これに対し、第3治療室ビーム照射装置3c等の更新作業が完了していないと判定されたときは処理をステップS109に進める。
【0074】
次いで、中央制御装置5は、現在が治療期間であるか否かを判定する(ステップS109)。治療期間であると判定されたときは、第3治療室ビーム照射装置3c等の調整を行えないことから処理をステップS108に戻す。これに対し、治療期間であると判定されなかったときは、第3治療室ビーム照射装置3c等の調整を行うため、処理をステップS110に進める。
【0075】
その後、システム設計者等が中央制御装置5をコマンド操作することによりマスク信号がOFFとなる(ステップS110)。これにより中央制御装置5は第3治療室ビーム照射装置3c等に関係する機能のマスクを解除し、第3治療室ビーム照射装置3c等の機能を使用可能とする(ステップS110)。
【0076】
その後、第3治療室に関係する増設部分の機能の確認試験を行う(ステップS111)。機能確認試験後は処理をステップS108に戻し、適宜治療開始ステップへ進める。
【0077】
このようにして、画面を差し替えることなく、1回の信号の切替操作で更新作業時間を最小限にすることが可能となる。
【0078】
次に、操作端末40に表示される表示画面40aのマスク方法の具体例について
図6乃至
図9を用いて説明する。
図6および
図8は機能解放後の操作画面の例を表す図であり、
図7および
図9は機能解放前の操作画面の例を表す図である。
【0079】
図6および
図7は、マスクシンボル41を用いる方法であり、粒子線治療システム全体の機器の状態表示を行う画面での使用例である。
【0080】
図6に示すようにマスクシンボル41は、マスク信号のOFF時には非表示となり、マスクシンボル41部分の閲覧、操作が可能となる。これに対し、
図7に示すように、マスク信号ON時には表示され、マスクシンボル41部分の表示は見えなくなって空白が表示され、機能の操作も不可となる。
【0081】
なお、
図6および
図7中、点線はマスクシンボル41を表しており、実際の画面には表示されない。この方法は他にも、機器の状態表示画面、各治療室の治療進行状況確認画面、治療室別画面の呼び出し画面などで使用されることができる。
【0082】
図8および
図9は、警報リスト表示画面での使用例である。
【0083】
図8に示すように、リストに出力する処理の前に、マスク信号がOFFであれば第1治療室や第2治療室に加えて第3治療室の情報についてもリストに出力する。これに対し、マスク信号がONであれば、
図9に示すように、第3治療室の情報はリストに出力しない処理を入れることによってマスクを行う。この方法は他にも、制御パラメータ一覧画面、登録機器一覧画面などで使用される。
【0084】
ここまでは、増設する治療室が1つの場合を例に挙げたが、増設する治療室が複数あり、時期が異なる場合の更新手順について
図10および
図11を用いて以下に記載する。
図10および
図11は粒子線治療システムの治療室の追設手順の他の一例を説明するためのフローチャートである。
【0085】
ここでは、新規建設時に第1治療室および第2治療室が建設され、その後、第3治療室の増設が、更にその後に第4治療室の増設が予定されている場合を例に説明する。
【0086】
まず、
図5に示したステップS101と同様に、最終的に建設される第3治療室および第4治療室を含めた操作端末40の表示画面40aを作成する(ステップS201)。
【0087】
次に、中央制御装置5は、第4治療室に関わる機能のマスク処理を行う(ステップS202)。ここで、本ステップS202でのマスク処理に対応するマスク信号を第4マスク信号とする。
【0088】
その後、上述のステップS202と同様にして、中央制御装置5は、第3治療室に関わる機能のマスク処理を行う(ステップS203)。このステップS203でのマスク処理に対応するマスク信号を第3マスク信号とし、ステップS202で用いた第4マスク信号とは異なる信号を用いることとする。これにより、複数のマスク信号を区別し、意図しない増設機器の機能のON/OFFが切り替わることを確実に抑制することが望ましい。
【0089】
ここでは、マスク処理を第4治療室、第3治療室の順で説明したが、順番は逆でもよく、特に限定されない。
【0090】
その後、荷電粒子ビーム発生装置1、ビーム輸送系2、第1治療室ビーム照射装置3a、第2治療室ビーム照射装置3b、制御システム4、および操作端末40を病院などに新規に建設する(ステップS204)。
【0091】
新規建設後は、システム設計者等が中央制御装置5をコマンド操作することにより第3マスク信号および第4マスク信号のいずれもがONとなる(ステップS205)。これにより、中央制御装置5は第3治療室ビーム照射装置3cや第4治療室等に関係する機能をマスクする(ステップS205)。
【0092】
その後、第1治療室ビーム照射装置3aや第2治療室ビーム照射装置3b等の機能試験を実行する(ステップS206)。このステップS206では、
図5に示したステップS105と同様に、第1治療室ビーム照射装置3a等や第2治療室ビーム照射装置3bの機能の試験だけでなく、第3治療室ビーム照射装置3c等や第4治療室の機能が使用できないことの確認も行う。
【0093】
次のステップS207乃至ステップS213は、上述した
図5のステップS106乃至ステップS112と同様であり、その詳細は省略する。ステップS213の第1-3治療室を用いた治療の開始後、処理を
図11のステップS214に進める。
【0094】
第1-3治療室を用いた治療の開始後の任意のタイミングでシステムのユーザにより更なる増設が決定されたら、第4治療室などの増設を開始する(ステップS214)。
【0095】
第4治療室等の構造体の設置が完了した後、中央制御装置5は、最初に第4治療室の更新作業が完了したか否かを判定する(ステップS215)。完了したと判定されたときは処理をステップS219に進め、4つの治療室を用いた治療が開始される(ステップS219)。
【0096】
これに対し、第4治療室の更新作業が完了していないと判定されたときは処理をステップS216に進める。
【0097】
次いで、中央制御装置5は、現在が治療期間であるか否かを判定する(ステップS216)。治療期間であると判定されたときは、第4治療室の調整が行えないことから処理をステップS215に戻す。これに対し、治療期間であると判定されなかったときは、第4治療室の調整を行うため、処理をステップS217に進める。
【0098】
その後、システム設計者等が中央制御装置5をコマンド操作することにより第4マスク信号がOFFとなる(ステップS217)。これにより中央制御装置5は第4治療室に関係する機能のマスクを解除し、第4治療室の機能を使用可能とする(ステップS217)。
【0099】
その後、第4治療室に関係する増設部分の機能の確認試験を行う(ステップS218)。機能確認試験後は処理をステップS215に戻し、適宜治療開始ステップへ進める。
【0100】
このようにして増設時期が複数回に分かれる場合は、複数のマスク信号を用いることでマスク機能を実現することが望ましい。
【0101】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0102】
上述した本実施形態の粒子線治療システム100では、制御システム4の中央制御装置5は、マスク信号のON/OFFによって、第3ビーム輸送系2c、第3治療室ビーム照射装置3c、第3ビーム輸送系2c用の偏向電磁石9cに関連する画像または情報をマスクした状態で操作端末40の表示画面40aに表示する非解放モードと、第3ビーム輸送系2c、第3治療室ビーム照射装置3c、第3ビーム輸送系2c用の偏向電磁石9cに関連する画像または情報をマスクせずに表示画面40aに表示する解放モードと、が切り替わり、操作端末40の表示画面40aには、非解放モードの際には第3ビーム輸送系2c、第3治療室ビーム照射装置3c、第3ビーム輸送系2c用の偏向電磁石9cに関連する画像または情報がマスクされた状態で表示され、解放モードの際には第3ビーム輸送系2c、第3治療室ビーム照射装置3c、第3ビーム輸送系2c用の偏向電磁石9cに関連する画像または情報が表示される。
【0103】
このような構成によって、既設システムでの治療を維持した状態で、夜間や休日など治療していない時間に操作画面の更新作業が実施されることから、新たなシステムの追設、調整、試験等を行うにあたって、既設システムでの治療停止の影響を低減し、既設システムに最小限の影響で治療室の追加などの更新作業を実施することができる。
【0104】
また、治療システムを1式交換しての更新を行う必要がないことから、調整、試験に非常に多くの時間がかかることを抑制し、治療停止期間が長期化することやそれに伴って生じる、既設システムが稼動していた場合に治療できていた患者数を治療できなくなってしまう、との問題が生じることを抑制することができる。
【0105】
また、制御システム4の中央制御装置5は、マスク信号がOFFとなった際には、マスクにより非表示であった複数の第3ビーム輸送系2c、第3治療室ビーム照射装置3c、第3ビーム輸送系2c用の偏向電磁石9cに関連する画像または情報を一度に解放するため、複数回に分けて画像や情報を解放する必要がなく、簡易に切り替えを行うことができる。また、増設機器のうち一部が他の機器と異なる解放状態となることを抑制することができる、との効果も得られる。
【0106】
更に、制御システム4の中央制御装置5は、マスク信号のON/OFFの変更時には、制御システム4の中央制御装置5から操作端末40に変更信号を送信して操作端末40からの打返しを受けてから解放モード、あるいは非解放モードを切り替えることで、粒子線治療システム100内の各機器が全て同じパラメータを有していることが確認された上で切り替えが行われることになり、システム内の信頼性を確保することができる。
【0107】
また、制御システム4の中央制御装置5は、解放モードでは、制限していた第3ビーム輸送系2c、第3治療室ビーム照射装置3c、第3ビーム輸送系2c用の偏向電磁石9cに関連する機能を解放し、解放した機能と既設の装置の機能とを組み合わせたシステムの試験に移行することにより、増設機器を速やかに治療可能状態にもっていくことができ、既設システムでの治療停止の影響をより効果的に低減することができる。
【0108】
更に、非解放モードでは、表示画面40aに、マスクとして、画像または情報が表示される部分にマスクシンボル41として空白が表示されることで、増設前の画面を、増設後の画面のうち、増設部分を空白処理したものを用いることができるため、増設前と増設後とで別途異なる操作画面を作成する必要がなくなり、システムの更新切り替えをよりスムーズに行うことができる。
【0109】
また、マスク信号のON/OFFを切り替える入力指示は、操作端末40以外から入力されることにより、粒子線治療システム100の治療時にユーザが誤って操作した際にマスク信号が不必要に切り替わることを防止することができるため、粒子線治療システム100をより安定して稼働させることができる。
【0110】
更に、解放モードでは、制御システム4の中央制御装置5に記録されている、追加で設置される第3ビーム輸送系2c、第3治療室ビーム照射装置3c、第3ビーム輸送系2c用の偏向電磁石9cの制御パラメータについても解放されることにより、増設時に新たに中央制御装置5に制御パラメータを導入することなく、また増設前の不要な際に使用されることを抑制することができ、更に安定したシステムの稼働が可能となる。
【0111】
また、マスクにより表示・非表示される対象のビーム輸送系2、ビーム照射装置3が複数存在するときは、マスク信号を個別のものとすることで、対象としていない装置までマスク信号が切り替わることを確実に抑制することができ、更新作業をより安定して実行することができる。
【0112】
<その他>
なお、本発明は上記の実施形態に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
【符号の説明】
【0113】
1…荷電粒子ビーム発生装置(粒子線源)
2…ビーム輸送系(輸送系)
2a…第1ビーム輸送系
2b…第2ビーム輸送系
2c…第3ビーム輸送系(特定の装置)
3…ビーム照射装置(照射装置)
3a…第1治療室ビーム照射装置
3b…第2治療室ビーム照射装置
3c…第3治療室ビーム照射装置(特定の装置)
4…制御システム(制御装置)
5…中央制御装置
9…偏向電磁石
9a…第1ビーム輸送系用の偏向電磁石
9b…第2ビーム輸送系用の偏向電磁石
9c…第3ビーム輸送系用の偏向電磁石(特定の装置)
12…荷電粒子ビーム(粒子線)
13…患者
13a…患部
40…操作端末
40a…表示画面(操作画面)
41…マスクシンボル
100…粒子線治療システム