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特許7146730音響光学素子を駆動制御する方法および信号発生器
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  • 特許-音響光学素子を駆動制御する方法および信号発生器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】音響光学素子を駆動制御する方法および信号発生器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/33 20060101AFI20220927BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
G02F1/33
G02B21/06
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019225433
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2020095273
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2019-12-13
(31)【優先権主張番号】10 2018 132 327.1
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511079735
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems CMS GmbH
【住所又は居所原語表記】Ernst-Leitz-Strasse 17-37, D-35578 Wetzlar, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ヴィヅゴフスキ
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06154307(US,A)
【文献】国際公開第2017/207664(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/197546(WO,A1)
【文献】特表2013-534643(JP,A)
【文献】特開昭50-075054(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1888818(CN,A)
【文献】英国特許出願公開第02427034(GB,A)
【文献】独国特許出願公開第102013201968(DE,A1)
【文献】米国特許第06072813(US,A)
【文献】特表2017-522187(JP,A)
【文献】VOLOSHINOV, V. B. et al.,Electric phase delays in tunable acousto-optic filters applying extended transducers,2012 IEEE International Ultrasonics Symposium,米国,IEEE,2012年10月07日,pp. 1-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
G02B 19/00-21/00
21/06-21/36
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響光学結晶(202)と、前記音響光学結晶(202)を機械的に振動させる圧電変換器(201)と、有する音響光学素子(200)を駆動制御する方法であって、
少なくとも1つの駆動制御周波数を有する駆動制御信号(300)によって前記圧電変換器(201)を駆動制御し、
機械的な振動波(301)が前記音響光学結晶(202)を通って通過する間に、少なくとも1つの前記駆動制御周波数が、中心周波数の周りの2つの異なる値(f、f)を交互に取り、これにより、前記音響光学結晶(202)内の密度変動によって形成される格子が、同時に種々異なる格子間隔を有するようにし、
少なくとも1つの前記駆動制御周波数を周期的に高速に変化させ、これにより、機械的な振動波(301)が前記音響光学結晶(202)を通って通過するのに必要な時間の間に、前記駆動制御周波数は、前記2つの異なる値(f、f)を少なくとも3回交互に取り、前記音響光学結晶(202)に入射する光ビーム(401)は、少なくとも3回同じ格子間隔に当たるようにする、
方法。
【請求項2】
前記2つの異なる値(f、f)が、前記中心周波数の周りの50kHz~1MHzの帯域幅内にある、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの前記駆動制御周波数は、それぞれ、前記駆動制御周波数の少なくとも1つの、好適には複数の完全な振動周期の間、一定である、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記駆動制御信号(300)は、それぞれ1つの中心周波数の周りのそれぞれ種々異なる値を取る、複数の駆動制御周波数を同時に有する、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記駆動制御信号(300)の曲線経過は、連続しておりかつ跳躍を有しない、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法を実行するように構成されている、音響光学素子(200)を駆動制御する信号発生器(101)。
【請求項7】
請求項6記載の信号発生器(101)を少なくとも1つと、音響光学素子(200)と、から成る装置(100)。
【請求項8】
前記音響光学素子(200)は、音響光学チューナブルフィルタ、音響光学変調器、音響光学偏向器、音響光学ビームスプリッタおよび音響光学ビームマージャから選択されている、
請求項7記載の装置(100)。
【請求項9】
請求項7または8記載の装置(100)を備えた顕微鏡(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響光学素子を駆動制御する方法および信号発生器と、このような信号発生器および音響光学素子から成る装置と、このような装置を備えた顕微鏡と、に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡の分野における重要なチャレンジは、使用される方法には依存することなく、1つ以上のあらかじめ設定される波長を有する励起光を提供することである。顕微鏡法の種類に応じて、かつ/または試料の種類に応じて、一般に、あらかじめ設定されるスペクトル特性を有していなければならない1つ以上の励起光ビームが必要になり得る。
【0003】
例えば、蛍光顕微鏡の分野において重要であるのは、蛍光を励起する波長を有する光を使用することである。種々異なる波長は、特に、試料が、異なる放射波長を有する蛍光材料を含有する場合に使用される。
【0004】
共焦点走査型顕微鏡の分野で特に重要であるのは、所定の波長に対して強度を適合するか、または所定の波長をオンまたはオフすることである。
【0005】
このためには、音響光学効果に基づく波長選択的な素子が使用可能である。このような音響光学素子は、一般に、いわゆる音響光学結晶を有しており、この音響光学結晶は、変換器または「トランスデューサ」とも称される音響信号発生器を用いて振動させられる。一般に、このような変換器は、圧電材料と、この材料に接触接続する2つ以上の電極と、を有する。一般に10MHz~数GHzの範囲内にある高周波に電極を電気的に接続することにより、圧電材料は励起されて振動し、これにより、結晶を通過する音波を発生させることが可能である。音響光学結晶が優れているのは、発生するこの音波により、結晶の光学特性が変化させられる点である。
【0006】
本発明の枠内においても有利に使用可能なこのような音響光学素子の例は、音響光学チューナブルフィルタ(AOTF)、音響光学変調器(AOM)、音響光学偏向器もしくはデフレクタ(AOD)、音響光学ビームスプリッタ(AOBS)および音響光学ビームマージャ(AOBM)である。
【0007】
音響光学素子を使用する際の特別なチャレンジは、その駆動制御である。変換器用の高周波電気信号は、一般に、周波数発生器(例えば電圧制御発振器(英語ではvoltage-controlled oscillator、VCO)、位相同期回路(英語ではphase-locked loop、PLL)、またはDDS方式によるシンセサイザ(ダイレクトデジタルシンセサイズ(英語ではdirect digital synthesis))において生成され、高周波増幅器によって増幅され、これにより、結晶を振動させるために振幅が十分に大きくなるようにする。異なる複数の駆動制御周波数が同時に加えられる場合、(例えばAOTF、AOBS、AOBM、AOMでは)複数の波長の光ビームを同時に偏向させることができ、もしくは(例えばAODでは)入射する一光ビームの波長を、種々異なる方向の複数の光ビームに同時に偏向させることができる。
【0008】
音響光学変調器の通過帯域幅は、第1には、結晶幾何学形状および/またはトランスデューサの構成のような構成上の手段によって、第2には、駆動制御信号の曲線形状によって、変化させることが可能である。例えば、第2のケースでは、密集して配置された複数の周波数を重ねて、結晶に供給することができ、こうすることにより、個々の通過帯域が部分的に重なることによって、より広い通過帯域が生じる。
【0009】
この方法の欠点は、構成上の解決手段では、通過曲線の広がりを変化させることができないことである。種々異なる通過帯域が所望される場合、結晶を交換しなければならない。さらに、この通過帯域は、結晶のスペクトル領域全体において、幾何学形状によってあらかじめ設定されている。部分的な重なりによる解決手段では、大きなピーク出力が発生し、これは、使用される高周波増幅器によって処理しなければならない。非線形の特性により、増幅器が、混合積を形成しないようにするためには、その線形の領域は極めて広くなければならない。このことが意味するのは、増幅器が、平均出力に比べて、格段に大きなピーク出力を供給しなければならないことである。これによって増幅器の価格が格段に高くなる。個々の周波数の差が、互いに不都合に配置される場合、混合積が発生することがあり、これにより、例えば、光源として白色レーザを使用する際には、望ましくない色も含まれてしまうことになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、独立請求項の特徴的構成を有する、音響光学素子を駆動制御する方法および信号発生器と、このような信号発生器および音響光学素子から成る装置と、このような装置を備えた顕微鏡と、が提案される。有利な実施形態は、従属請求項および以下の説明の対象である。
【0011】
本発明は、音響光学結晶に音波を加え、その周波数を時間的に高速に変化させ、これにより、複数の格子定数を有する格子が効率的に構成されるようにするという手段に基づいている。
【0012】
公知のように音波は、音響光学結晶において格子構造を生じさせ、その格子定数は、音響の周波数と、結晶内での音速と、に依存する。レーザビームがこの格子構造を通過し、構造の寸法と光の波長とが調和する場合、レーザ光の一部分は、回折プロセスにより、偏向される。音場におけるビーム経路に沿って、光が連続していくらか偏向される。音場におけるビーム経路の小部分に沿って偏向される光の量を観察すると、この量は、音響出力と相関付けられ、ひいてはこの音響によって生成される格子の特性と相関付けられる。これにより、振幅と、ひいては格子の特性と、により、偏向される光の量が特定される。偏向される光の量の最大値に到達するのは、光ビームが音場を離れる箇所において基本的に偏向可能な量のうちのすべての光が偏向された場合である。
【0013】
音響を生成する周波数が一定でなく、中心周波数の周りで交互に複数の種々異なる周波数を取る場合、ゾーン毎に変化する格子定数を有する格子構造が発生する。これらの複数の種々異なる値は、以下では、中心周波数スペクトルとも称される。中心周波数それ自体は、中心周波数スペクトルの構成部分であってよいが、必ずしもこの構成部分でなくてもよい。
【0014】
これらのゾーンのそれぞれは、所定の波長領域からの光を偏向する。光ビームは順次に複数のゾーンを通過するため、それぞれのゾーンでは、別の波長の光が、いくらか偏向される。モノクロームの場合と同様に同じ量の光を偏向させるために、格子強度と、ひいては音響出力と、はいくらか比較的大きくてよい。周波数を十分な速度で切り換えると、結晶内には同じ格子定数の一層多くのゾーンが存在する。この場合に保証されるのは、偏向される光のスペクトルが時間的に一定であることである。
【0015】
機械的な振動波が音響光学結晶を通って通過する間に、駆動制御周波数が、中心周波数の周りの複数の種々異なる値を交互に取れるようにするために、結晶の長さおよび結晶内での音速を考慮して切り換えを行う。これらの量から、機械的な振動波が、結晶を通過するために必要な時間であり、かつこの間に駆動制御信号の周波数が、少なくとも1回、少なくとも2つの異なる値を取るはずである時間が得られる。しかしながら好適には、この周波数は、その間に複数回、少なくとも2つの異なる値を取る。
【0016】
好適には、駆動制御周波数は、2個から8個の種々異なる値を取る。これは、実用的である。というのは、これにより、光の異なる波長範囲を偏向することができるが、同時に切り換えを十分に高速に行うことができ、これにより、それぞれ偏向された光の強度は十分に大きいからである。好適には、これらの複数の種々異なる値は、中心周波数の周りの50kHz~1MHzの帯域幅内にある。
【0017】
特に、それぞれの駆動制御周波数に対し、駆動制御信号は、一定の振幅を有する。しかしながら、異なる駆動制御周波数に対し、異なる振幅も考えられる。特に、比較的周波数が高い場合に減衰特性に起因して比較的大きな振幅を適用することは有利になり得る。
【0018】
本発明の別の利点および実施形態は、以下の説明および添付の図から明らかになる。
【0019】
適切な切り換えは、跳躍なしに行うとよい。すなわち、音響生成の駆動制御信号の曲線経過は、連続であるとよい。そうでない場合、望ましくない高調波が生成されることになり得る。さらに、一意の格子構造を形成するために、周波数は、少なくとも1つの完全な周期の間、好適には複数の完全な周期の間、加えられるとよい。異なる周波数を交互に加えることによって保証されるのは、それぞれの中心周波数スペクトルから、常に1つの周波数だけが、1つの時間区間中に結晶に加えられることである。すなわち、別の周波数と相互変調積が形成されることはない。また、浮遊によって高い出力ピークが形成されることもない。
【0020】
有利には、少なくとも1つの駆動制御周波数を周期的に高速に変化させ、これにより、(特に機械的な振動波に対して垂直でなく)音響光学結晶に入射する光ビームが、少なくとも2回、同じ格子間隔に当たるようにする。これにより、偏向された光のスペクトルが時間的に一定であることが保証される。ここでは、少なくとも1つの駆動制御周波数を周期的に高速に変化させ、これにより、光ビームが少なくとも3回以上、同じ格子間隔に当たるようにすることも考えられる。これにより、光の偏向の均一性をさらに改善することが可能である。
【0021】
結晶は、複数の密度場を重ね合わせることが可能であるため、この方法を、種々異なる中心周波数で同時に同じ結晶において適用することが可能である。複数の中心周波数が、相応に遠く離れている場合、この方法の上記の利点は、十分に維持される。
【0022】
上述され、以下にさらに説明される特徴は、それぞれ示した組み合わせだけでなく、本発明の枠を逸脱することなく、別の組み合わせでも、または単独でも使用可能であることは明らかである。
【0023】
一実施例に基づき、本発明を図面に略示し、以下ではこの図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による装置を示す図である。
図2】本発明による方法の一実施形態による、圧電変換器用の駆動制御信号の経過を示す線図である。
図3】本発明による方法の一実施形態にしたがって駆動制御される音響光学素子を示す図である。
図4】共焦点顕微鏡の典型的な素子の概観を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1には、本発明の好ましい一実施形態による装置100が略示されている。
【0026】
装置100には信号発生器101が含まれている。この信号発生器101は、音響光学結晶202と、音響光学結晶202を機械的に振動させる圧電変換器201と、を有する音響光学素子200を駆動制御するために使用される。この音響光学素子は、望ましい仕方で光に影響を及ぼすために、例えばAOTFとして使用される。この機械的な振動により、図3に示したように、光学格子として機能する密度変動が結晶内に生じる。
【0027】
信号発生器101は、少なくとも1つの駆動制御周波数fを有する駆動制御信号300によって圧電変換器201を駆動制御するように設けられており、この少なくとも1つの駆動制御周波数fは、機械的な振動波301が音響光学結晶202を通過する間、中心周波数の周りの複数の種々異なる値を交互に取り、これにより、密度変動によって音響光学結晶202に形成される格子は、同時に種々異なる格子間隔を有する。
【0028】
図2には、例示的にこのような駆動制御信号300が示されている。ここからわかるのは、駆動制御周波数fが、種々異なる2つの値f、fを交互に取ることである。駆動制御周波数fは、特に、時点tと時点tとの間で値fを取り、tとtとの間で値fを取り、tとtとの間で値fを取り、tとtとの間で値fを取る。駆動制御周波数の値f、fが切り換わるのにかかわらず、駆動制御信号300の曲線経過は、連続しておりかつ跳躍がない。さらにわかるのは、駆動制御信号300の駆動制御周波数fが常に、それぞれ少なくとも1つの振動周期の間、より正確に言えば、この実施例ではそれぞれちょうど4つの振動周期の間、一定であることである。
【0029】
図3には、本発明による方法の一実施形態にしたがって駆動制御される音響光学素子200が示されている。音響光学素子200は、音響光学結晶202と、音響光学結晶202を機械的に振動させる圧電変換器201と、を有する。圧電変換器201は、少なくとも1つの駆動制御周波数fを有する駆動制御信号300によって駆動制御され、少なくとも1つのこの駆動制御周波数fは、音響光学結晶202を通って機械的な振動波が通過する間、ここでは交互に異なる3つの値を取る。
【0030】
ここでは、音響光学結晶202を通って、音響波として前進する機械的な振動波301が形成される。ここではゾーン毎に変化する格子定数を有する格子構造が発生し、図3では、この格子構造が、特定の時点について示されている。
【0031】
これらのゾーンには、異なる陰影線が付されており、z1、z2、z3、z4、z5、z6、z7、z8、z9、z10、z11およびz12が記されている。3つのゾーンの後毎に1つの格子定数が繰り返される。これにより、ゾーンz1、z4、z7およびz10も、ゾーンz2、z5、z8およびz11も、ゾーンz3、z6、z9およびz12もそれぞれ同じ格子定数を有する。このことは、この図において、同じ格子定数を有するゾーンが、それぞれ同じ陰影線を有することによって示されている。
【0032】
音響光学結晶は、光ビームの偏向に使用される。光ビームがこの格子構造を通過し、かつ構造の寸法と光の波長とが調和させられると、光ビームの一部分は、回折プロセスによって偏向される。これらのゾーンのそれぞれは、所定の波長領域の光を偏向する。光ビームは、順次に複数のゾーンz1、…、z12を通過するため、それぞれのゾーンでは、別の波長の光がいくらか偏向される。入射する光ビームが書き込まれており、参照符号401で示されている。偏向されていない光ビームは、参照符号402で示されている。偏向された光ビームは、参照符号403で示されている。
【0033】
有利には、少なくとも1つの駆動制御周波数fが、周期的に高速に変化させられ、これにより、音響光学結晶202に入射する光ビーム401が、少なくとも2回、同じ格子間隔に当たるようにする。これは、書き込んだ入射する光ビーム401において、例えば、ゾーンz6およびz9もしくはz7およびz10の場合である。
【0034】
図4には、典型的な構成要素を備えた共焦点顕微鏡が略示されている。参照符号500は、全体システムを示している。共焦点走査および検出ユニットは、参照符号505で示されている。これに属する照明装置は、参照符号506で示されている。この照明装置には、図1に示した装置が設けられている。
【0035】
参照符号508は、照明ファイバ507を介して照明装置506に接続されているレーザ光源である。このレーザ光には、照明装置506において、必要に応じて音響光学素子を用いて影響が及ぼされる。
【0036】
参照符号504は、顕微鏡スタンド501に接続するための、共焦点走査および検出ユニット505用の光学アダプタを示している。スタンド501内には、検査対象の試料503を有する対象物テーブル502が設けられている。制御ユニット509は、対応する接続線路を介して、個々の構成要素508、506、505および501に接続されている。制御および表示プログラムを有する計算機は、参照符号510で示されており、この計算機も、制御ユニット509に接続されている。
【0037】
共焦点走査および検出ユニット505内には、第1変形形態において、典型的な共焦点ビーム路が配置されており、この共焦点ビーム路は、公知のように、1つのピンホールとビームスキャナ、例えばミラースキャナとによって組み立てられている。
【0038】
第2変形形態では、共焦点走査および検出ユニット505内にビーム路が設けられており、ここでは、試料は、1つ以上の照明点または1つの方向の延長された複数の照明点によって同時に照明される。これに対応して、検出すべき光子は、例えば、孔絞り(ピンホール)を幾何学的に配置することによって選択される。
【0039】
検査対象の試料503は、顕微鏡光学系を介して照明され、またこの同じ顕微鏡光学系を介して、特に、共焦点走査および検出ユニット505の実施形態に応じて光電子倍増管または複数の光電子倍増管のアレイから成るセンサ装置511に結像される。図4に示したシステム500の機能の仕方は、十分に公知であり、したがってここでは説明しない。
【符号の説明】
【0040】
100 装置
101 信号発生器
200 音響光学素子
201 圧電変換器
202 音響光学結晶
300 駆動制御信号
301 機械的な振動波
401 入射する光ビーム
402 偏向されていない光ビーム
403 偏向された光ビーム
500 顕微鏡システム
501 顕微鏡光学系を有する顕微鏡スタンド
502 対象物テーブル
503 試料
504 光学アダプタ
505 共焦点走査および検出ユニット
506 照明装置
507 照明ファイバ
508 レーザ光源
509 信号発生器を有する制御ユニット
510 制御および表示プログラムを有する計算機
511 センサ装置
図1
図2
図3
図4