(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】水溶性フィルムの塩素安定性のための可塑剤ブレンド
(51)【国際特許分類】
C08L 29/02 20060101AFI20220927BHJP
C08K 5/053 20060101ALI20220927BHJP
C08K 5/103 20060101ALI20220927BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20220927BHJP
B65D 65/46 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
C08L29/02
C08K5/053
C08K5/103
C08J5/18 CEX
B65D65/46
(21)【出願番号】P 2019504739
(86)(22)【出願日】2017-08-01
(86)【国際出願番号】 US2017044790
(87)【国際公開番号】W WO2018026749
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-27
(32)【優先日】2016-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508122415
【氏名又は名称】モノソル リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】ニイ シンスケ
(72)【発明者】
【氏名】ミランダ ナサナエル アール
【審査官】今井 督
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/061026(WO,A1)
【文献】特表2017-533304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 29/00- 29/04
C08K 3/00- 13/08
C08J 5/18
B65D 65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンダントカルボキシル基を有するアニオン性モノマーを含む水溶性ポリビニルアルコールコポリマー(PVOHコポリマー)と、ソルビトールを含む第1の可塑剤、ならびにグリセロール、トリメチロールプロパン、ジグリセロール、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、グリセロールジアセテート、2-メチル-1,3-プロパンジオール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される二次可塑剤を含む可塑剤ブレンドと、の混合物を含む水溶性フィルムを有する、密封されたパウチであって、
前記フィルム中に含まれる可塑剤の総量は、2PHR~30PHRの範囲であり、
(i)前記フィルム中に含まれる可塑剤の総量が、12PHR未満である場合、前記可塑剤ブレンドが、ソルビトール、グリセロール、および少なくとも1つの追加の二次可塑剤を含み、
(ii)前記フィルム中に含まれる可塑剤の総量が、少なくとも12PHRかつ20PHR未満である場合、前記可塑剤ブレンドが、ソルビトール、グリセロール、ならびにジグリセロール、トリメチロールプロパン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの追加の二次可塑剤を含み、
(iii)前記フィルム中に含まれる可塑剤の総量が、20PHR以上である場合、可塑剤ブレンドは、ソルビトールと二次可塑剤で構成され、二次可塑剤が、グリセロール
及び/又はトリメチロールプロパン
であり、かつ、前記ソルビトールが、可塑剤の総量(質量で)の少なくとも1/3を構成する、
酸化組成物が収容された、密封されたパウチ。
【請求項2】
グリセロールが前記フィルム中に含まれる場合、前記グリセロールは、前記フィルムの総質量に基づいて少なくとも2.0質量%の量で含まれる、請求項1に記載の密封されたパウチ。
【請求項3】
前記フィルム中の可塑剤の総量が、前記フィルム中の全樹脂に基づいて、少なくとも5PHRである、請求項1または請求項2に記載の密封されたパウチ。
【請求項4】
可塑剤の総量が、前記フィルム中の全樹脂に基づいて、12PHR未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の密封されたパウチ。
【請求項5】
前記フィルム中の可塑剤の総量が、前記フィルム中の全樹脂に基づいて、15~20PHRの範囲である、請求項1または請求項2に記載の密封されたパウチ。
【請求項6】
前記フィルム中の可塑剤の総量が、前記フィルム中の全樹脂に基づいて、21PHR~27PHRの範囲である、請求項1または請求項2に記載の密封されたパウチ。
【請求項7】
アニオン性モノマー単位が、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の密封されたパウチ。
【請求項8】
前記アニオン性モノマー単位が、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項7に記載の密封されたパウチ。
【請求項9】
前記アニオン性モノマー単位が、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の密封されたパウチ。
【請求項10】
前記PVOHコポリマーが、87~98の範囲の加水分解度を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の密封されたパウチ。
【請求項11】
前記PVOHコポリマーが、94~98の範囲の加水分解度を有する、請求項10に記載の密封されたパウチ。
【請求項12】
前記PVOHコポリマーが、96の加水分解度を有する、請求項11に記載の密封されたパウチ。
【請求項13】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の密封されたパウチ。
【請求項14】
前記抗酸化剤が、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、クエン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の密封されたパウチ。
【請求項15】
同一の組成および2ミル(0.05mm)の厚さを有するフィルムが、23℃および35%の相対湿度(RH)で6週間、刺激の強い化学酸化剤と接触させて保存した後、MonoSol試験方法MSTM-205に従って、20℃(68°F)の温度の水に600秒以内で溶解する、請求項1~14のいずれか1項に記載の密封されたパウチ。
【請求項16】
充填剤、界面活性剤、粘着防止剤、または前述のものの組み合わせをさらに含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の密封されたパウチ。
【請求項17】
前記アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含み、前記フィルム中に存在する全可塑剤が、7~8PHRの範囲であり、前記可塑剤ブレンドが、グリセロール、ソルビトール、およびジグリセロールからなる、請求項1に記載の密封されたパウチ。
【請求項18】
前記アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含み、前記フィルム中に存在する全可塑剤が、7~8PHRの範囲であり、前記可塑剤ブレンドが、グリセロール、ソルビトール、およびトリメチロールプロパンからなる、請求項1に記載の密封されたパウチ。
【請求項19】
前記アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含み、前記フィルム中に存在する全可塑剤が、24~25PHRの範囲であり、前記可塑剤ブレンドが、グリセロールとソルビトールとの1:1質量%混合物からなる、請求項1に記載の密封されたパウチ。
【請求項20】
前記アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含み、前記フィルム中に存在する全可塑剤が、24~25PHRの範囲であり、前記可塑剤ブレンドが、トリメチロールプロパンとソルビトールとの1:1質量%混合物からなる、請求項1に記載の密封されたパウチ。
【請求項21】
前記アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含み、前記フィルム中に存在する全可塑剤が、24~25PHRの範囲であり、前記可塑剤ブレンドが、トリメチロールプロパン、グリセロールおよびソルビトールの1:1:1質量%混合物からなる、請求項1に記載の密封されたパウチ。
【請求項22】
前記アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含み、前記フィルム中に存在する全可塑剤が、16.5~17.5PHRの範囲であり、前記可塑剤ブレンドが、グリセロール、ソルビトール、およびジグリセロールからなる、請求項1に記載の密封されたパウチ。
【請求項23】
前記アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含み、前記フィルム中に存在する前記全可塑剤が、16.5~17.5PHRの範囲であり、前記可塑剤ブレンドが、グリセロール、ソルビトール、およびトリメチロールプロパンからなる、請求項1に記載の密封されたパウチ。
【請求項24】
前記パウチが、縦型形成、充填および密封されたパウチである、請求項1~23のいずれか1項に記載の密封されたパウチ。
【請求項25】
前記酸化組成物が、塩素化組成物または臭素化組成物である、請求項1~24のいずれか1項に記載の密封されたパウチ。
【請求項26】
前記酸化組成物が、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、ならびに次亜塩素酸リチウム、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌレート(TC)、前述のものの塩および水和物、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、ジブロモシアノ酢酸アミド、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(BCDMH)、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される酸化
剤を含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の密封されたパウチ。
【請求項27】
前記酸化組成物が、トリクロロイソシアヌレート、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される酸化
剤を含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の密封されたパウチ。
【請求項28】
前記パウチが、少なくとも25mlの内部容積を有する、請求項1~27のいずれか1項に記載の密封されたパウチ。
【請求項29】
前記パウチが、少なくとも12.5cm(5インチ)の長さを有する、請求項1~28のいずれか1項に記載の密封されたパウチ。
【請求項30】
フィルムと接触させて酸化組成物の包装に使用するための前記フィルムであって、前記フィルムが、ペンダントカルボキシル基を有するアニオン性モノマーを含む水溶性ポリビニルアルコールコポリマーと、ソルビトールを含む第1の可塑剤、ならびにグリセロール、トリメチロールプロパン、ジグリセロール、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、グリセロールジアセテート、2-メチル-1,3-プロパンジオール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される二次可塑剤を含む可塑剤ブレンドと、の混合物を含み、
前記フィルム中に含まれる可塑剤の総量は、2PHR~30PHRの範囲であり、
(i)前記フィルム中に含まれる可塑剤の総量が、12PHR未満である場合、前記可塑剤ブレンドが、ソルビトール、グリセロール、および少なくとも1つの追加の二次可塑剤を含み、
(ii)前記フィルム中に含まれる可塑剤の総量が、少なくとも12PHRかつ20PHR未満である場合、前記可塑剤ブレンドが、ソルビトール、グリセロール、ならびにジグリセロール、トリメチロールプロパン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの追加の二次可塑剤を含み、
(iii)前記フィルム中に含まれる可塑剤の総量が、20PHR以上である場合、可塑剤ブレンドは、ソルビトールと二次可塑剤で構成され、二次可塑剤が、グリセロール
及び/又はトリメチロールプロパン
であり、かつ、前記ソルビトールが、可塑剤の総量(重量で)の少なくとも1/3を構成する、前記フィルム。
【請求項31】
前記酸化組成物を収容するために、密封されたパウチの形態である、水溶性の請求項30に記載のフィルム。
【請求項32】
前記フィルム中の可塑剤の総量が、前記フィルム中の全樹脂に基づいて、少なくとも6.5PHRである、請求項3に記載の密封されたパウチ。
【請求項33】
可塑剤の総量が、前記フィルム中の全樹脂に基づいて、10PHR未満である、請求項4に記載の密封されたパウチ。
【請求項34】
可塑剤の総量が、前記フィルム中の全樹脂に基づいて、8PHR未満である、請求項4に記載の密封されたパウチ。
【請求項35】
可塑剤の総量が、前記フィルム中の全樹脂に基づいて、7.5PHR未満である、請求項4に記載の密封されたパウチ。
【請求項36】
前記フィルム中の可塑剤の総量が、前記フィルム中の全樹脂に基づいて、16~18PHRの範囲である、請求項5に記載の密封されたパウチ。
【請求項37】
前記フィルム中の可塑剤の総量が、前記フィルム中の全樹脂に基づいて、23PHR~25PHRの範囲である、請求項6に記載の密封されたパウチ。
【請求項38】
前記PVOHコポリマーが、89~97の範囲の加水分解度を含む、請求項10に記載の密封されたパウチ。
【請求項39】
前記PVOHコポリマーが、90~96の範囲の加水分解度を含む、請求項10に記載の密封されたパウチ。
【請求項40】
前記パウチが、少なくとも100mlの内部容積を有する、請求項28に記載の密封されたパウチ。
【請求項41】
前記パウチが、少なくとも150mlの内部容積を有する、請求項28に記載の密封されたパウチ。
【請求項42】
前記パウチが、少なくとも200mlの内部容積を有する、請求項28に記載の密封されたパウチ。
【請求項43】
前記パウチが、少なくとも250mlの内部容積を有する、請求項28に記載の密封されたパウチ。
【請求項44】
前記パウチが、少なくとも300mlの内部容積を有する、請求項28に記載の密封されたパウチ。
【請求項45】
前記パウチが、少なくとも18cm(7インチ)の長さを有する、請求項29に記載の密封されたパウチ。
【請求項46】
前記パウチが、少なくとも23cm(9インチ)の長さを有する、請求項29に記載の密封されたパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、水溶性フィルムおよび関連するパケットに関する。より詳細には、本開示は、刺激の強い化学物質に適合し、縦型形成充填密封プロセスに好適なポリビニルアルコール系水溶性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性ポリマーフィルムは、送達される材料の分散、注入、溶解、および投与を単純化する包装材料として一般的に使用される。消費者は、バケツ、シンク、または水を保持するために好適な任意の容器等の混合容器にパウチ入り組成物を直接添加ことができる。有利なことに、これは、消費者がその組成物を計量する必要性をなくすと同時に正確な投与を提供する。パウチ入り組成物はまた、材料を注入または掬う等、製品容器から材料を分配することに関連するであろう散らかりを低減し得る。要するに、可溶性の予め計量されたポリマーフィルムパウチは、種々の用途における消費者の使用に利便性を提供する。
【0003】
現在市販のパウチを作製するために使用されている水溶性ポリマーフィルムは、刺激の強い化学物質を収容するのに有用である。とりわけ、かかる化学物質を含む単位用量パウチは、消費者が、かかる化学物質に直接接触するのを防ぐのに特に有利であろう。しかしながら、水溶性ポリマーおよびそれから得られるフィルムは、その中に収容される刺激の強い化学物質への長期間の曝露後に不完全に溶解する場合がある。かかる問題は、パウチが、例えば、塩素化化合物等の刺激の強い酸化化合物を収容するために使用される場合に特に生じ得る。さらに、米国特許第7,067,575号に開示のように、ある特定の可塑剤は、フィルムが酸化剤に曝露されると溶解度に実質的に悪影響を与える。しかしながら、水溶性フィルム中の可塑剤の量を低減することは、水溶性フィルムの成形性(例えば、縦型形成、充填および密封、熱成形性)に悪影響を与える。
【0004】
したがって、当該技術分野において、塩素化化合物等の刺激の強い酸化化学物質を保持するための水溶性パッケージに形成されることができ、かかる酸化化学物質と接触して保存された後に水溶性を維持することができる水溶性フィルムが必要である。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様は、水溶性ポリビニルアルコールコポリマーの混合物を含む可塑性水溶性フィルムであって、コポリマーが、ペンダントカルボキシル基を有するアニオン性モノマーを含み、混合物が、ソルビトールを含む第1の可塑剤と、例えばグリセロール、トリメチロールプロパン、ジグリセロール、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、グリセロールジアセテート、2-メチル-1,3-プロパンジオール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される二次可塑剤とを含む可塑剤ブレンドをさらに含み、(i)フィルム中に含まれる可塑剤の総量が12PHR未満である場合、可塑剤ブレンドが、ソルビトール、グリセロール、および少なくとも1つの追加の二次可塑剤を含み、(ii)フィルム中に含まれる可塑剤の総量が少なくとも12PHRかつ20PHR未満である場合、可塑剤ブレンドが、ソルビトール、グリセロール、ならびにジグリセロール、トリメチロールプロパン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの追加の二次可塑剤を含み、ならびに(iii)フィルム中に含まれる可塑剤の総量が20PHR以上である場合、ソルビトールが、可塑剤の総量(質量で)の少なくとも1/3を占める、フィルムを提供する。
【0006】
本開示の別の態様は、本開示の水溶性フィルム、例えばパウチまたはパケットの少なくとも1つの壁としての水溶性フィルムを有するパウチまたはパケットを含む密封された物品を提供する。
【0007】
本開示の別の態様は、パウチが酸化組成物を内包するかまたは収容する、本開示の水溶性フィルムを含むかかる密封されたパウチを提供する。
【0008】
本明細書に記載の組成物については、これらに限定されないが、構成成分、およびその組成範囲を含む任意選択的な特徴は、本明細書で提供される様々な態様、実施形態、および実施例から選択されることが考慮される。
【0009】
さらなる態様および利点が、以下の詳細な説明の考察から当業者には明らかになるであろう。フィルム、パウチ、およびそれらの作製方法は、様々な形態の実施形態を許容する一方で、本開示は例示的なものであり、本発明を本明細書に記載の特定の実施形態に限定することを意図しないという理解の下で、以下の説明には具体的な実施形態が含まれている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様は、水溶性ポリビニルアルコールコポリマーの混合物を含む水溶性フィルムであって、コポリマーが、ペンダントカルボキシル基を有するアニオン性モノマーを含み、混合物が、ソルビトールを含む第1の可塑剤と、グリセロール、トリメチロールプロパン、ジグリセロール、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、グリセロールジアセテート、2-メチル-1,3-プロパンジオール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される二次可塑剤とを含む可塑剤ブレンドをさらに含み、(i)フィルム中に含まれる可塑剤の総量が12PHR未満である場合、可塑剤ブレンドが、ソルビトール、グリセロール、および少なくとも1つの追加の二次可塑剤を含み、(ii)フィルム中に含まれる可塑剤の総量が少なくとも12PHRかつ20PHR未満である場合、可塑剤ブレンドが、ソルビトール、グリセロール、ならびにジグリセロール、トリメチロールプロパン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの追加の二次可塑剤を含み、ならびに(iii)フィルム中に含まれる可塑剤の総量が20PHR以上である場合、ソルビトールが、可塑剤の総量(質量で)の少なくとも1/3を占める、フィルムを提供する。
【0011】
任意選択的に、グリセロールがフィルム中に含まれる場合、フィルムの総質量に基づいて、少なくとも2.0質量%の量で含まれ得る。任意選択的に、フィルム中の可塑剤の総量は、少なくとも2PHR、少なくとも5PHR、または少なくとも6.5PHRである。任意選択的に、可塑剤の総量は、フィルム中の全樹脂に基づいて、約12PHR未満、約10PHR未満、約8PHR未満、または約7.5PHR未満である。任意選択的に、フィルム中の可塑剤の総量は、フィルム中の全樹脂に基づいて、約15~約20PHR、または約16~18PHRの範囲である。さらに任意選択的に、フィルム中の可塑剤の総量は、フィルム中の全樹脂に基づいて、約21PHR~約27PHR、または約23~25PHRの範囲である。
【0012】
実施形態では、アニオン性モノマー単位は、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される。任意選択的に、アニオン性モノマー単位は、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。さらに任意選択的に、アニオン性モノマー単位は、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0013】
実施形態では、PVOHコポリマーは、87~98、または89~97、または90~96の範囲の加水分解度を有する。任意選択的に、PVOHコポリマーは、94~98の範囲の加水分解度を有する。任意選択的に、PVOHコポリマーは約96の加水分解度を有する。
【0014】
実施形態では、本開示の水溶性フィルムは、抗酸化剤をさらに含む。任意選択的に、抗酸化剤は、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、クエン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。実施形態では、本開示の水溶性フィルムは、充填剤、界面活性剤、粘着防止剤、または前述のものの組み合わせをさらに含む。
【0015】
実施形態では、約2ミル(約0.05mm)の厚さを有する本開示の水溶性フィルムは、23℃および35%の相対湿度(RH)で6週間、刺激の強い化学酸化剤と接触させて保存した後、MonoSol試験方法MSTM-205に従って、20℃(68°F)の温度の水に600秒以下で溶解する。
【0016】
実施形態では、アニオン性モノマーは、マレイン酸モノメチルを含み、フィルム中に存在する全可塑剤は、7~8PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドは、本質的にグリセロール、ソルビトール、およびトリメチロールプロパンからなる。
【0017】
実施形態では、アニオン性モノマーは、マレイン酸モノメチルを含み、フィルム中に存在する全可塑剤は、24~25PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドは、本質的にグリセロールとソルビトールとの1:1質量%混合物からなる。
【0018】
実施形態では、アニオン性モノマーは、マレイン酸モノメチルを含み、フィルム中に存在する全可塑剤は、24~25PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドは、本質的にトリメチロールプロパンとソルビトールとの1:1質量%混合物からなる。
【0019】
実施形態では、アニオン性モノマーは、マレイン酸モノメチルを含み、フィルム中に存在する全可塑剤は、24~25PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドは、本質的にトリメチロールプロパン、グリセロールおよびソルビトールの1:1:1質量%混合物からなる。
【0020】
実施形態では、アニオン性モノマーは、マレイン酸モノメチルを含み、フィルム中に存在する全可塑剤は、16.5~17.5PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドは、本質的にグリセロール、ソルビトール、およびジグリセロールからなる。
【0021】
実施形態では、アニオン性モノマーは、マレイン酸モノメチルを含み、フィルム中に存在する全可塑剤は、16.5~17.5PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドは、本質的にグリセロール、ソルビトール、およびトリメチロールプロパンからなる。
【0022】
本開示の別の態様は、本開示の水溶性フィルムを含む密封された物品を提供する。任意選択的に、物品は、縦型形成、充填密封された物品である。
【0023】
本開示の別の態様は、パウチが酸化組成物を内包する、本開示の水溶性フィルムを含む密封されたパウチを提供する。任意選択的に、パウチは、縦型形状の充填および密封されたパウチである。
【0024】
実施形態では、酸化組成物は、塩素化組成物または臭素化組成物である。任意選択的に、酸化剤は、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、ならびに次亜塩素酸リチウム、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌレート(TC)、前述のものの塩および水和物、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、ジブロモシアノ酢酸アミド、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(BCDMH)、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される酸化剤を含む。任意選択的に、酸化剤は、トリクロロイソシアヌレート、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される酸化剤を含む。
【0025】
実施形態では、パウチは、少なくとも約25ml、または少なくとも約100ml、または少なくとも約150ml、または少なくとも約200ml、または少なくとも約250ml、または少なくとも約300mlの内部容積を有する。任意選択的に、パウチの内部容積は、200L以下、または100L以下、または10L以下、または5L以下であり得る。実施形態では、パウチは、少なくとも約12.5cm(約5インチ)、少なくとも約18cm(約7インチ)、または少なくとも約23cm(約9インチ)の長さを有する。任意選択的に、パウチは、10m以下、または5m以下、または1m以下の長さを有する。
【0026】
「含む(備える)」は、本明細書で使用される場合、本開示の実施において相まって用いられ得る様々な構成成分、成分、またはステップを意味する。したがって、用語「含む(備える)」は、より制限的な用語「から本質的になる」および「からなる」を包含する。本組成物は、本明細書に開示される必須および任意選択の要素のうちのいずれかを含み得るか、本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなり得る。例えば、熱成形ポケットは、フィルムの熱成形特質の使用のために本明細書に記載されるフィルム「から本質的になり」得る一方で、非熱成形フィルム(例えば、フタ部分)、および例えばインクジェット印刷によるフィルム上の任意選択の印を含む。本明細書において例示的に開示した発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素またはステップの非存在下で、好適に実施され得る。
【0027】
本開示に従った水溶性フィルムとみなされるためには、フィルムは、約2ミル(約0.05mm)の厚さで、23℃および35%RHで6週間トリクロロイソシアヌレート(TC)または1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(BCDMH)等の刺激の強い化学酸化剤と接触して保存された後、後述のMonoSol試験方法MSTM-205に従って、20℃(68°F)の温度の水に600秒以下で溶解する。トリクロロイソシアヌレートは、一般に、消毒剤、殺藻剤、および殺菌剤として有用な強力なクロロ含有酸化剤とみなされ、プールおよびスパ用の民間の衛生設備で広く使用されている。トリクロロイソシアヌレートは、溶解すると塩素の一部を次亜塩素酸として放出し、残りは塩素化イソシアヌレートの形態で「貯蔵塩素」として残る。放出された次亜塩素酸が使い尽くされると、利用可能な塩素が使い尽くされるまで、平衡シフトおよび追加の次亜塩素酸が「貯蔵」から放出される。1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(BCDMH)は、次亜塩素酸および次亜臭素酸を放出しながら、水とゆっくりと反応するので、塩素および臭素の両方の優れた供給源である。それは、娯楽用水域および飲料水の浄化用化学消毒剤として使用されている。
【0028】
特に明記されない限り、本明細書で言及するすべての百分率、部、および比率は、場合に応じて、本開示のフィルム組成物の総乾燥質量またはパケット収容組成物の総質量に基づき、測定はすべて、約25℃で行う。特に明記されない限り、列挙された成分に関連するかかる質量はすべて、活性レベルに基づくものであり、したがって、市販の材料に含まれ得る担体または副生成物を含まない。
【0029】
本明細書に記載されるすべての範囲は、すべての可能なサブセットの範囲およびそのようなサブセットの範囲の任意の組み合わせを含む。デフォルトでは、範囲は、別に記載されない限り、記載される終了点を含む。値の範囲が提供されている場合、その範囲の上限と下限との間の各々の間の値、およびその記載される範囲内の任意の他の記載される値または間にある値は、本開示内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は独立して、そのより小さな範囲内に含まれ得、また、記載される範囲内の任意の具体的に除外される限界値に従って、本開示内に包含される。記載される範囲がこれらの限界値のうちの1つまたは両方を含む場合、これらの含まれる限界値のいずれかまたは両方を除く範囲も、本開示の一部であることが考慮される。
【0030】
例えば、記載される目的物のパラメータまたは記載される目的物に関連付けられた範囲の一部として、本明細書に記載される任意の数値の場合、説明の一部を形成する代替物は、特定の数値を取り囲む機能的に同等の範囲であることが明示的に考慮される(例えば、「40mm」として開示された寸法について、企図される代替的実施形態は「約40mm」である)。
【0031】
明細書で使用される場合、パケット(複数可)およびパウチ(複数可)という用語は、互換性があるとみなされるべきである。ある特定の実施形態では、パケット(複数可)およびパウチ(複数可)という用語は、それぞれ、フィルムを使用して作製された容器、および好ましくは、例えば計量された用量の送達システムの形態の、その中に材料を密封する、密封された容器を指すために使用される。密封パウチは、ヒートシール、溶剤接着、および接着密封(例えば、水溶性接着剤を用いて)等のプロセスおよび特徴を含む、任意の好適な方法で作製することができる。
【0032】
本明細書で使用される場合、および特に言及されない限り、用語「質量%(wt.%)」および「質量%(wt%)」は、フィルム中の残留湿度(適用できる場合)を含むフィルム全体の「乾燥」(無水)質量部中の特定の要素の組成、またはパウチ内に内包される全組成物の質量部(適用できる場合)を指すことを意図している。
【0033】
本明細書で使用され、特に言及されない限り、用語「PHR」(「phr」)は、水溶性フィルム中の水溶性ポリマー樹脂(PVOHまたは他のポリマー樹脂かにかかわらず)の百部当たりの、指定の要素の組成の部を指すことを意図する。
【0034】
フィルムは、水溶性ポリビニルアルコール(PVOH)コポリマー樹脂と可塑剤とを含む。
【0035】
フィルムは、溶液流延法を含む、任意の好適な方法によって作製され得る。フィルムは、縦型形状の充填および密封(VFFS)または熱成形、および、例えば、容器周囲周辺へのフィルム層の溶剤密封または熱密封を含む、任意の好適なプロセスによって容器(パウチ)を形成するために使用することができる。パウチは、例えば、バルク水に送達される材料を投入するために使用され得る。
【0036】
フィルム、パウチ、ならびに関連する作製方法および使用方法は、別に記載しない限り、以下にさらに記載される(実施例および図面に示されるものを含む)1つ以上の追加の任意選択の要素、特徴、およびステップのいずれかの組み合わせを含む、実施形態を含むことが考慮される。
【0037】
水溶性フィルム
本明細書に記載のフィルムおよび関連パウチは、可塑性水溶性フィルムを含む。一態様では、水溶性フィルムは、PVOHコポリマーを任意選択的に含む1つ以上のPVOHポリマーを含む合計で少なくとも約50質量%のPVOH樹脂を含む。フィルムは、任意の好適な厚さを有し得、約76ミクロン(μm)のフィルム厚が、典型的であり、特に考慮される。考慮される他の値および範囲としては、約5~約200μmの範囲、または約20~約100μm、または約40~約90μm、または約50~約80μm、または約または約60~約65μmの範囲、例えば、50μm、65μm、76μm、または88μmの値が挙げられる。
【0038】
PVOH樹脂
本明細書に記載されるフィルムは、フィルムのPVOH樹脂内容物を構成するように1つ以上のポリビニルアルコール(PVOH)ポリマーを含み、PVOHコポリマー樹脂を含み得る。
【0039】
ポリビニルアルコールは、通常加水分解または鹸化と称されるポリビニルアセテートのアルコール分解により一般に調製される合成樹脂である。実質的にすべてのアセテート基がアルコール基に変換された、完全に加水分解されたPVOHは、強力に水素結合された、高結晶性ポリマーであり、約140°F(約60℃)よりも高温の温水にのみ溶解する。ポリビニルアセテートの加水分解後に十分な数のアセテート基が残存することが可能である、つまりPVOHポリマーが部分的に加水分解される場合、その後、ポリマーは、より弱く水素結合され、それほど結晶性が高くなく、概して、約50°F(約10℃)未満の冷水に溶解する。したがって、部分的に加水分解されたポリマーはPVOHコポリマーであるが一般的にPVOHと称される、ビニルアルコール-ビニルアセテートコポリマーである。
【0040】
具体的には、PVOH樹脂は、アニオン性モノマー単位、ビニルアルコールモノマー単位、および任意選択的にビニルアセテートモノマー単位を含む部分的または完全に加水分解されたPVOHコポリマーを含む。
【0041】
PVOHコポリマーに使用され得るアニオン性モノマー単位の一般的な部類としては、モノカルボン酸ビニルモノマー、そのエステルおよび無水物、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、そのエステルおよび無水物、ならびに前述のもののいずれかのアルカリ金属塩に対応するビニル重合単位が挙げられる。様々な実施形態では、アニオン性モノマーは、ビニル酢酸、アクリル酸アルキル、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マイレン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、無水シトラコン酸、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、無水メサコン酸、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、無水グルタコン酸、ビニルスルホン酸、アルキルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-スルホエチルアクリレート、前述のもののアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、または他のアルカリ金属塩)、前述のもののエステル(例えば、メチル、エチル、または他のC1-C4もしくはC6アルキルエステル)、および前述のものの組み合わせ(例えば、複数の種類のアニオン性モノマーまたはそのアニオン性モノマーの同等の形態)のうちの1つ以上であってもよい。例えば、アニオン性モノマーは、マレイン酸モノメチルおよびそのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)のうちの1つ以上を含み得る。実施形態では、アニオン性モノマーは、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、および前述のものの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0042】
あるタイプの実施形態では、PVOHは、カルボキシル基修飾コポリマーである。別の態様では、PVOHは、ジカルボキシルタイプのモノマーで修飾され得る。これらの実施形態のうちの1つの部類では、両方のカルボニルのα炭素は、不飽和結合(例えば、マレイン酸、フマル酸)に結合している。これらの実施形態のうちの別の部類では、両方のカルボニルのα炭素は不飽和結合に結合し、不飽和結合は、例えばメチル分岐(例えば、シトラコン酸、メサコン酸)でさらに置換される。これらの実施形態のうちの別の部類では、1つのカルボニルのβ炭素および他のカルボニルのα炭素は、不飽和結合(例えば、イタコン酸、cis-グルタコン酸、trans-グルタコン酸)に接続している。アルキルカルボキシル基を提供するモノマーが考慮される。マレイン酸タイプ(例えば、マレイン酸、マレイン酸ジアルキル(マレイン酸ジメチルを含む)、マレイン酸モノアルキル(マレイン酸モノメチル)または無水マレイン酸を含む)コモノマーが特に考慮される。実施形態では、アニオン性モノマー単位は、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。実施形態では、アニオン性モノマー単位は、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0043】
PVOH樹脂がアニオン性モノマーを含むPVOHコポリマーを含む場合、PVOHコポリマー中の1つ以上のアニオン性モノマー単位の組み込みレベルは特に限定されない。実施形態では、1つ以上のアニオン性モノマー単位は、PVOHコポリマー中に、約1モル%~10モル%、または1.5モル%~約8モル%、または約2モル%~約6モル%、または約3モル%~約5モル%、または約1モル%~約4モル%(様々な実施形態では、例えば、少なくとも1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、もしくは4.0モル%、および/または最大約3.0、4.0、4.5、5.0、6.0、8.0、もしくは10モル%)の範囲の量で存在する。
【0044】
アニオン性モノマーを含むPVOHコポリマーはまた、コポリマー中に存在するペンダントアニオン性基のレベルを特徴とし得る。PVOHコポリマー中のペンダントアニオン性基のレベルは、特に限定されない。実施形態では、ペンダントアニオン性基は、PVOHコポリマー中に、約1%~20%、もしくは1.5%~8%、もしくは2%~12%、もしくは2%~10%の範囲で、または少なくとも2.5%、もしくは少なくとも3%、もしくは少なくとも3.5%、例えば、2%、3%、6%、もしくは8%の量で存在する。
【0045】
実施形態では、フィルム中のPVOHコポリマーの量は、少なくとも約50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%、80質量%、85質量%、もしくは90質量%、および/または最大約60質量%、70質量%、80質量%、90質量%、95質量%、もしくは99質量%の範囲である。2つの液体可塑剤が使用される場合、約75%~約80%の範囲、例えば76%、77%、または78%のPVOHコポリマーが特に考慮される。2つの固体可塑剤が使用される場合、約65%~約75%の範囲、例えば67%、68%、69%、70%、71%、または72%のPVOHコポリマーが特に考慮される。
【0046】
実施形態では、フィルムの全PVOH樹脂含有量は、少なくとも80%、84%、もしくは85%、かつ最大で約99.7%、98%、96%、もしくは80%、例えば、約80%~約99.7%、または84%~約90%、または85%~88%もしくは86.5%の範囲、88%~90%、または94%~98%、または85%~99.7%、または87%~98%、または89%~97%、または90%~96%、例えば、90%、92%、94%、もしくは96%の加水分解度(D.H.またはDH)を有し得る。本明細書で使用される場合、加水分解度は、ビニルアルコール単位に変換されたビニルアセテート単位のモル百分率として表される。
【0047】
理論に縛られることを意図するものではないが、塩素化剤によって生成された次亜塩素酸イオンは、PVOHコポリマーフィルム中のペンダントヒドロキシル(-OH)部分を酸化し、ポリマー骨格上にカルボニル基を生成すると考えられている。加えて、塩素化剤によって生成された塩酸は、ヒドロキシル基と反応してポリマー骨格中に不飽和結合を作製し、これがフィルムに変色を引き起こし得る。どちらの場合でも、ペンダント-OH基の除去により、フィルムは水にますます不溶性になる。
【0048】
したがって、理論に縛られることを意図するものではないが、存在する多量の-OH基は、いくつかの-OH基が、パウチが水溶性であるのに十分な-OH基を依然として維持しながら、本開示のパウチに収容される塩素化剤に対する「犠牲」部分として作用することを可能にするので、より高い加水分解度(例えば、少なくとも90%、少なくとも96%)を有するポリビニルアルコール樹脂は、本開示の水溶性フィルムにとって有利であると考えられる。
【0049】
粘度
PVOHポリマーの粘度(μ)は、英国規格EN ISO 15023-2:2006 Annex E Brookfield試験法に記載のように、新たに作製した溶液をULアダプタ付きのBrookfield LV型粘度計を使用して測定することによって決定される。20℃の4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を述べることが、国際的慣行である。本明細書にセンチポアズ(cP)で指定するすべての粘度は、特に言及されない限り、20℃の4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を指すと理解されるべきである。同様に、ある樹脂が特定の粘度を有する(または有しない)と記載されている場合は、特に言及されない限り、指定された粘度が、対応する分子量分布を本質的に有する樹脂の平均粘度であることを意図する。
【0050】
実施形態では、PVOH樹脂は、少なくとも約10cP、12cP、13cP、13.5cP、14cP、15cP、16cP、もしくは17cP、および最大で約30cP、28cP、27cP、26cP、24cP、22cP、20cP、19cP、18cP、もしくは17.5cP、例えば約10cP~約30cP、または約13cP~約27cP、または約13.5cP~約20cP、または約18cP~約22cP、または約14cP~約19cP、または約16cP~約18cP、または約17cP~約16cPの範囲、例えば、23cP、もしくは20cP、もしくは16.5cPの粘度平均を有し得る。PVOH樹脂の粘度は、PVOH樹脂の質量平均分子量
【数1】
と相関し、多くの場合、粘度は
【数2】
の式の代用として使用されることは、当該技術分野において周知である。
【0051】
他の水溶性ポリマー
PVOHコポリマーフィルムへの添加に使用するための他の水溶性ポリマーとしては、これらに限定されないが、ときにPVOHホモポリマーと称されるビニルアルコール-酢酸ビニルコポリマー、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、これらに限定されないが、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラギーナン、およびデンプンを含む水溶性天然ポリマー、これらに限定されないが、修飾デンプン、エトキシル化デンプン、およびヒドロキシプロピル化デンプンを含む、水溶性ポリマー誘導体、前述のもののコポリマー、ならびに前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられ得る。さらに他の水溶性ポリマーとしては、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、およびそれらの塩、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸、およびそれらの塩、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、および上記のうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。このような水溶性ポリマーは、PVOHか否かにかかわらず、種々の供給業者から市販されている。
【0052】
可塑剤
可塑剤は、材料(通常は樹脂またはエラストマー)に加えられて、(ポリマーのガラス遷移温度を減少させることにより)その材料をより柔軟でより可撓性にし、かつ加工しやすくする液体、固体、または半固体である。ポリマーは、あるいは、ポリマーまたはモノマーを化学的に変性することによって、内部で可塑化し得る。加えてまたはあるいは、ポリマーは、好適な可塑剤の添加によって、外部で可塑化し得る。本明細書に記載のフィルムのための可塑剤の組合せとしては、第1の可塑剤としてソルビトール、ならびにグリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン(TMP)、グリセロールプロピレンオキシドポリマー(例えばVoranol(商標)230-660ポリオール)、グリセロールジアセテート(ジアセチン)、2-メチル-1,3-プロパンジオール(MP-ジオール)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、二次可塑剤が挙げられる。実施形態では、可塑剤は、第1の可塑剤としてソルビトール、二次可塑剤としてグリセロール、ならびにグリセロール、トリメチロールプロパン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される追加の二次可塑剤を含む。あるタイプの実施形態では、水溶性フィルムは、第1および二次可塑剤以外の可塑剤を実質的に含まないであろう(例えば、他の可塑剤を全く含まないか、または約1PHR未満の他の可塑剤、または約0.5未満の他の可塑剤、または約0.2PHR未満の他の可塑剤)。他の実施形態では、水溶性フィルムは、第1および二次可塑剤以外に、さらなる可塑剤(例えば、糖アルコール、ポリオール等)を含み得る。
【0053】
可塑剤としては、グリセロール、ジグリセロール、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、400MWまでのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ソルビトール、2-メチル-1,3-プロパンジオール(例えば、MP Diol(登録商標))、エタノールアミン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、グリセロールジアセテート、またはそれらの組み合わせから選択され得る。可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、グリセロールジアセテート、2-メチル-1,3-プロパンジオール、またはそれらの組み合わせから選択され得る。可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、またはそれらの組み合わせから選択され得る。可塑剤は、第1の可塑剤として少なくともソルビトールを含むブレンドである。実施形態では、可塑剤ブレンドは、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、グリセロールジアセテート、2-メチル-1,3-プロパンジオール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される二次可塑剤を含む。実施形態では、可塑剤ブレンドは、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、およびそれらの組み合わせから選択される二次可塑剤を含む。あるタイプの実施形態では、可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、およびトリメチロールプロパンを含む。別のタイプの実施形態では、可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、およびジグリセロールを含む。別のタイプの実施形態では、可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、およびトリメチロールプロパンとジグリセロールのうちの少なくとも1つを含む。さらに別のタイプの実施形態では、可塑剤ブレンドは、ソルビトール、およびグリセロールまたはトリメチロールプロパンのうちの1つを含む。可塑剤の総量は、総フィルム質量に基づいて、約10質量%~約45質量%、または約20質量%~約45質量%、または約15質量%~約35質量%、または約20質量%~約30質量%、例えば約25質量%である。可塑剤の総量はまた、樹脂100部当たりの部で表され得る。したがって、可塑剤の総量は、約2PHR~約30PHR、約5PHR~約25PHR、約2PHR~約11PHR、約5PHR~約10PHR、約15PHR~約20PHR、約16PHR~約18PHR、約21PHR~約27PHR、約23PHR~約25PHRの範囲、または約25PHR未満、約20PHR未満、約17.5PHR未満、約12PHR未満、約10PHR未満、約8PHR未満、約7.5PHR未満、または少なくとも2PHR、少なくとも5PHR、少なくとも6.5PHR、少なくとも10PHR、または少なくとも15PHRであり得る。任意選択的に、グリセロールは、少なくとも約2質量%~最大約25質量%、または3質量%~約20質量%、または約4質量%~約14質量%、または約6質量%~約12質量%、例えば約9質量%、例えば約2PHR~約15PHR、または約2PHR~約10PHR、または約4PHR~約10PHR、または約4PHR~約7PHR、または約2PHR~約5PHRの量で使用され得る。
【0054】
本開示の一態様では、可塑剤の総量が約12PHR未満、例えば約2PHR~約11PHR、または約5PR~約10PHR、または約7PHR~約8PHRの範囲である場合、可塑剤ブレンドは、第1の可塑剤としてソルビトールと、グリセロール、およびジグリセロール、トリメチロールプロパン、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、グリセロールジアセテート、2-メチル-1,3-プロパンジオール、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む第2の可塑剤とを含み得る。任意選択的に、ソルビトールは、約1PHR~約3PHR、または約1PHR~約2PHRの量で使用され得る。任意選択的に、トリメチロールプロパン、ジグリセロール、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、グリセロールジアセテート、および2-メチル-1,3-プロパンジオールは各々、約2PHR~約6PHR、または約2PHR~約3PHR、または約3PHR~約5PHRの量で使用され得る。任意選択的に、グリセロールは、約1PHR~約4PHR、または約1PHR~約3PHR、または約2PHR~約3PHRの量で使用され得る。実施形態では、水溶性フィルムは、PVOH/マレイン酸モノメチルコポリマーを含み、フィルム中に存在する可塑剤の総量は、約7~約8PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドは、本質的にグリセロール、ソルビトールおよびジグリセロールからなる。実施形態では、水溶性フィルムは、PVOH/マレイン酸モノメチルコポリマーを含み、フィルム中に存在する可塑剤の総量は、約7~約8PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドは、本質的にグリセロール、ソルビトールおよびトリメチロールプロパンからなる。
【0055】
別の態様では、可塑剤の総量が約12PHR~約20PHR、例えば約15PHR~約20PHR、または約16PHR~約18PHR、または約16.5PHR~約17.5の範囲である場合、可塑剤ブレンドは、第1および第2の可塑剤としてソルビトールとグリセロールとの組み合わせ、ならびにトリメチロールプロパン、ジグリセロール、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの追加の二次可塑剤を含み得る。任意選択的に、ソルビトールは、約1PHR~約6PHR、または約3PHR~約6PHR、または約2PHR~約6PHR、または約5PRR~約6PHRの量で使用され得る。任意選択的に、トリメチロールプロパンおよびジグリセロールは各々、約4PHR~約10PHR、または約4PHR~約6PHR、または約5PRR~約6PHR、または約9PHR~約10PHRの量で使用され得る。任意選択的に、グリセロールは、約3PHR~約7PHR、または約4PHR~約6PHR、または約5PRR~約6PHR、または約5PRR~約6PHRの量で使用され得る。実施形態では、水溶性フィルムは、PVOH/マレイン酸モノメチルコポリマーを含み、フィルム中に存在する可塑剤の総量は、約16.5PHR~約17.5PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドは、本質的にグリセロール、ソルビトール、およびジグリセロールからなる。実施形態では、水溶性フィルムは、PVOH/マレイン酸モノメチルコポリマーを含み、フィルム中に存在する可塑剤の総量は、約16.5PHR~約17.5PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドは、本質的にグリセロール、ソルビトール、およびトリメチロールプロパンからなる。
【0056】
別の態様では、可塑剤の総量が、約20PHR以上、例えば約21PHR~約27PHR、または約23PHR~約25PHR、または約24PHR~約25PHRである場合、ソルビトールは、フィルム内に含有される全可塑剤の少なくとも1/3(質量で)を構成する。いくつかの実施形態では、可塑剤は、第1の可塑剤としてソルビトール、および二次可塑剤としてグリセロールまたはトリメチロールプロパンのいずれかを含む。代替的実施形態では、可塑剤は、第1の可塑剤としてソルビトール、ならびにグリセロール、トリメチロールプロパン、ジグリセロール、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、グリセロールジアセテート、および2-メチル-1,3-プロパンジオールのうちの2つ以上を含む。任意選択的に、ソルビトールは、約6PHR~約15PHR、または約6PHR~約10PHR、または約7PHR~約9PHR、または約10PHR~約14PHR、または約12PHR~約13PHRの量で使用され得る。任意選択的に、グリセロール、トリメチロールプロパン、ジグリセロール、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、グリセロールジアセテート、および2-メチル-1,3-プロパンジオールは各々、約6PHR~約15PHR、または約6PHR~約10PHR、または約7PHR~約9PHR、または約10PHR~約14PHR、または約12PHR~約13PHRの量で使用され得る。実施形態では、水溶性フィルムは、PVOH/マレイン酸モノメチルコポリマーを含み、フィルム中に存在する可塑剤の総量は、約24PHR~約25PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドは、本質的にグリセロールとソルビトールとの1:1質量%の混合物からなる。実施形態では、水溶性フィルムは、PVOH/マレイン酸モノメチルコポリマーを含み、フィルム中に存在する可塑剤の総量は、約24PHR~約25PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドは、本質的にトリメチロールプロパンとソルビトールとの1:1質量%の混合物からなる。実施形態では、水溶性フィルムは、PVOH/マレイン酸モノメチルコポリマーを含み、フィルム中に存在する可塑剤の総量は、約24PHR~約25PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドは、本質的にトリメチロールプロパン、グリセロールおよびソルビトールの1:1:1質量%の混合物からなる。
【0057】
抗酸化剤が、水溶性フィルム配合物中に提供される場合、可塑剤の総量は、例えば約17.0PHR超、約20PHR超、もしくは約25PHR超等の範囲の上限であってもよく、または上述の可塑剤の量よりも約25%~約400%多い。
【0058】
本明細書に記載される実施例の可塑剤レベルと一致する可塑剤レベルは、具体的には、本明細書に記載される様々な他の成分を有するフィルム製剤に対する代表的なレベル、ならびに範囲に対して様々な上限および下限の両方が考慮される。可塑剤の具体的な量は、水溶性フィルムの所望のフィルム柔軟性および変換特性を含む、本明細書に記載される因子に基づいて、特定の実施形態において選択され得る。低可塑剤レベルでは、フィルムは、脆くなるか、加工が困難になるか、または破断しやすくなり得る。高可塑剤レベルでは、フィルムは、所望の使用には柔らかすぎるか、弱すぎるか、または加工が困難であり得る。
【0059】
驚くべきことに、かつ有利なことに、より多量の可塑剤、例えば約12PHR超、約17PHR超、または約20PHR超を有する本開示の水溶性フィルムは、刺激の強い酸化化学物質に対して安定性を実証した。本明細書で使用される場合、「刺激の強い酸化化学物質に対する安定性」を有するフィルムは、23℃および35%の相対湿度(RH)で6週間、刺激の強い化学酸化剤と接触させてフィルムを保存した後、MonoSol試験方法MSTM-205に従って、20℃(68°F)の温度の水に600秒以下で溶解する約2ミル(約0.05mm)の厚さを有するフィルムを指す。可塑剤レベルが高いフィルムは、一般に結晶性が低くより可塑性であり、プロトン等の活性種がフィルムを通過し、PVOH樹脂上に存在する多数の-OH部分とより容易に反応し、フィルムを不溶性にするため、一般に、可塑剤の量が増加するにつれて、刺激の強い酸化化学物質に対するフィルムの安定性が減少することが予想される。さらに驚くべきことに、かつ有利なことに、例えば約20PHR超の多量の可塑剤、および例えば可塑剤の総量の少なくとも1/3(質量で)を占めるより多量のソルビトールを有する本開示の水溶性フィルムは、刺激の強い酸化化学物質の存在下で特に安定であった。理論に縛られることを意図するものではないが、所与のPHR/質量でソルビトールのより高い分子量(例えばグリセロールおよびトリメチロールプロパンに対して)に起因して、より少ないソルビトール可塑剤分子がフィルム中に存在し、より結晶性で、かつ可塑性の低いフィルムを提供し、プロトン等の酸化活性種が膜を通過する能力を低下させると考えられている。
【0060】
抗酸化剤
実施形態では、水溶性フィルムは、抗酸化剤、例えば塩化物捕捉剤をさらに含み得る。例えば、好適な抗酸化剤/塩化物補足剤としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、チオ硫酸塩、ヨウ化物、亜硝酸塩、カルバメート、アスコルビン酸塩、およびそれらの組み合わせが挙げられる。実施形態では、抗酸化剤は、没食子酸プロピル(PGA)、クエン酸(CA)、メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS)、カルバメート、アスコルビン酸塩、およびそれらの組み合わせから選択される。実施形態では、抗酸化剤は、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、クエン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。抗酸化剤は、約0.25~約1.5PHRの範囲、例えば約0.25PHR、約0.30PHR、約0.35PHR、約0.40PHR、約0.45PHR、約0.5PHR、約0.5PHR、約0.75PHR、約1.0PHR、約1.25PHR、または約1.5PHRの量でフィルム中に含まれ得る。
【0061】
補助フィルム成分
水溶性フィルムは、限定されないが、界面活性剤、潤滑剤、剥離剤、充填剤、増量剤、架橋剤、粘着防止剤、抗酸化剤、脱粘着剤(detackifying agent)、消泡剤(泡制止剤)、層状ケイ酸型ナノクレイ等のナノ粒子(例えば、ナトリウムモンモリロナイト)、漂白剤(例えば、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等)、苦味剤等の嫌悪剤(例えば、安息香酸デナトニウム、デナトニウムサッカリドおよび塩化デナトニウム等のデナトニウム塩;オクタアセチルスクロース;キニーネ;ケルセチンおよびナリンゲン(naringen)等のフラボノイド;ならびにクアシンおよびブルシン等のクアシノイド)、ならびに辛味(例えば、カプサイシン、ピペリン、イソチオシアン酸アリル、およびレシンフェラトキシン(resinferatoxin))と、他の機能的成分等の補助剤および加工剤を、これらの意図される目的に好適な量で含有し得る。実施形態では、水溶性フィルムは、充填剤、界面活性剤、粘着防止剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0062】
水溶性フィルムに使用するための界面活性剤は当該技術分野において周知である。任意選択的には、流延時の樹脂溶液の分散を助けるために界面活性剤が含まれる。本開示の水溶性フィルムに好適な界面活性剤としては、これらに限定されないが、スルホコハク酸ジアルキル、グリセロールとプロピレングリコールとのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のラクチルエステル、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、アルキルポリエチレングリコールエーテル、レシチン、グリセロールとプロピレングリコールとのアセチル化脂肪酸エステル、ミリスチルジメチルアミンオキシド、トリメチルタローアルキルアンモニウムクロライド、第4級アンモニウム化合物、それらの塩、および前述のもののいずれかの組み合わせが挙げられる。界面活性剤が少なすぎると、フィルムに穴を開ける場合があり、界面活性剤が多すぎると、フィルムの表面に存在する過剰な界面活性剤による油ぎったまたは油性の感触がフィルムに生じる場合がある。したがって、界面活性剤は、約2phr未満、例えば約1phr未満、または例えば約0.5phr未満の量で水溶性フィルムに含まれ得る。
【0063】
使用が考慮される二次成分の1つのタイプは、泡制止剤である。泡制止剤は、泡沫気泡の凝集を助けることができる。本開示に従った水溶性フィルムへの使用に好適な泡制止剤としては、これらに限定されないが、疎水性シリカ、例えば、独自の非鉱物油泡制止剤である、Foam Blast(登録商標)327、Foam Blast(登録商標)UVD、Foam Blast(登録商標)163、Foam Blast(登録商標)269、Foam Blast(登録商標)338、Foam Blast(登録商標)290、Foam Blast(登録商標)332、Foam Blast(登録商標)349、Foam Blast(登録商標)550およびFoam Blast(登録商標)339を含む、Emerald Performance Materialsより市販のFoam Blast(登録商標)を含む、微細な粒子径の二酸化ケイ素またはフュームドシリカが挙げられる。実施形態では、泡制止剤は、0.5phr以下、例えば0.05phr、0.04phr、0.03phr、0.02phr、または0.01phrの量で使用され得る。
【0064】
好適な充填剤/増量剤/粘着防止剤/脱粘着剤としては、デンプン、加工デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶性セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、雲母、ステアリン酸およびその金属塩、例えば、ステアリン酸マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい材料は、デンプン、加工デンプン、およびシリカである。あるタイプの実施形態では、水溶性フィルム中の充填剤/増量剤/粘着防止剤/脱粘着剤の量は、例えば、約1質量%~約6質量%、または約1 質量%~約4質量%、または約2質量%~約4質量%、または約1PHR~約6PHR、または約1PHR~約4PHR、または約2PHR~約4PHRの範囲であり得る。
【0065】
嫌悪剤は、水溶性フィルム内に組み込まれてもよく、または水溶性フィルムへのコーティングとして適用されてもよい。嫌悪剤は、商業的形態から希釈された苦味値等の有害反応を引き起こす量で添加されてもよく、または他の水溶性フィルム成分との混合を容易にするために、もしくは水溶性フィルムへのコーティングとして適用を容易にするために溶剤と混合されてもよい。かかる溶剤は、水、低分子量アルコール(メタノール、エタノール等)、または本明細書に開示の可塑剤から選択され得る。
【0066】
粘着防止剤(例えばSiO2および/またはステアリン酸))は、本フィルム中に少なくとも0.1PHR、もしくは少なくとも0.5PHR、もしくは少なくとも1PHR、または約0.1~5.0PHR、もしくは約0.1~約3.0PHR、もしくは約0.4~1.0PHR、もしくは約0.5~約0.9PHR、もしくは約0.5~約2PHR、もしくは約0.5~約1.5PHR、もしくは0.1~1.2PHR、もしくは0.1~2.7PHRの範囲、例えば0.5PHR、0.6PHR、0.7PHR、0.8PHR、または0.9PHRの量で存在し得る。
【0067】
粘着防止剤として好適な粒径中央値としては、約3もしくは約4ミクロン~約11ミクロン、または約4~約8ミクロン、または約5~約6ミクロンの範囲、例えば5、6、7、8、または8ミクロンの中央値サイズが挙げられる。好適なSiO2は、水性系で使用するために設計された未処理の合成非結晶質シリカである。
【0068】
化学安定性試験
水溶性フィルムの化学物質への適合性は、化学物質への曝露後のフィルムの溶解度を評価することによって決定することができる。水溶性フィルムを所望の厚さ(およそ0.05mm)に流延し、パウチフィルムと接触する化学組成物を含むパウチを、任意の好適なプロセス、例えば、上述のように縦型形成、充填、および密封または熱成形および密封に従って形成する。
【0069】
パウチフィルムと接触する化学組成物を収容するパウチは、周囲条件下(23℃および35%RH)、38℃および10%相対湿度(RH)、または38℃、80%RHで保存される。単位用量パウチの実際の保存状態をシミュレートするために条件を選択することができる。試料は、14日間(2週間)、28日間(4週間)、および42日間(6週間)保存される。
【0070】
所望の保存時間が経過した後、以下に記載のMSTM205を使用して崩壊時間および溶解時間を測定することによって、化学組成物に対するフィルムの安定性を決定する。溶解度が高いことは、その中に保存される化学組成物に対するフィルムの適合性がより良好なことを意味する。
【0071】
溶解および崩壊試験(MSTM 205)
フィルムは、当該技術分野で既知の方法、MonoSol試験方法205(MSTM 205)に従った溶解時間および崩壊時間を特徴とし得るか、またはそれらを試験され得る。例えば、米国特許第7,022,656号を参照されたい。
【0072】
装置および材料:
1.600mLのビーカー
2.電磁撹拌器(Lablineモデル番号1250または等価物)
3.電磁撹拌棒(5cm)
4.温度計(0~100℃±1℃)
5.テンプレート、ステンレス鋼(3.8cm×3.2cm)
6.タイマー(0~300秒、秒単位の精度)
7.Polaroid 35mmスライドマウント(または等価物)
8.MonoSol 35mmスライドマウントホルダー(または等価物)
9.蒸留水
【0073】
試験する各フィルムについて、ステンレス鋼テンプレートを使用して3つの試験片をフィルム試料から切断する(すなわち、3.8cm×3.2cmの試験片)。フィルムウェブから切断される場合、試験片は、ウェブの横断方向に沿って等間隔のウェブエリアから切断されるべきである。次いで、以下の手順を使用して各試験片を分析する。
1.各試験片を別々の35mmスライドマウント内にロックする。
2.ビーカーを500mLの蒸留水で満たす。温度計で水温を測定し、必要な場合は、温度を20℃(約68°F)に維持するように水を加熱または冷却する。
3.水柱の高さを記録する。電磁撹拌器をホルダーの基部上に置く。ビーカーを電磁撹拌器上に置き、電磁撹拌棒をビーカーに加え、撹拌器をオンにし、水柱の高さのおよそ5分の1の渦が発達するまで撹拌速度を調節する。渦の奥行きを記録する。
4.スライドマウントの長い端部が水面と平行であるように、35mmスライド台ホルダーのワニ口クランプに35mmスライド台を固定する。ホルダーの深さ調節器は、落下されたとき、クリップの端部が水面下0.6cmになるように据え付けられるべきである。フィルム表面が水の流れに対して垂直になるように、スライドマウントの短い側面のうちの一方はビーカーの側面の隣にあり、他方は撹拌棒の中心の直接上方に位置付けられるべきである。
5.1つの動作で、固定されたスライドおよびクリップを水中に落下させ、タイマーを始動させる。崩壊は、フィルムが破断するときに発生する。すべての目視可能なフィルムがスライドマウントから外されたら、未溶解のフィルム断片がないか溶液の監視を継続しながら、スライドを水の外に引き揚げる。溶解は、すべてのフィルム断片がもはや目視可能でなく、溶液が透明になるときに発生する。
【0074】
結果は、以下の、試料の完全な識別、個々のおよび平均の崩壊時間および溶解時間、ならびに試料を試験した際の水温を含むべきである。
【0075】
フィルム崩壊時間(I)およびフィルム溶解時間(S)は、それぞれ、方程式1および方程式2において以下に示される指数関数アルゴリズムを使用して、標準または参照フィルム厚に修正され得る。
I修正=I実測×(参照厚さ/実測厚さ)2.00[1]
S修正=S実測x(参照厚さ/実測厚さ)2.00[2]
【0076】
引張強度試験および伸び試験(ASTM D882)
引張強度試験に従った引張強度、および伸び試験に従った伸びを特徴とするか、またはそれらを試験されるフィルムを、以下のように分析する。手順は、ASTM D882(「Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting」)または同等物に従った引張強度の測定および伸びの測定を含む。フィルムデータの収集には、INSTRON(登録商標)引張試験装置(モデル5544引張試験機または等価物)が使用される。寸法安定性および再現性を確保するように各々信頼性のある切断器具により切断された最低3つの試験片を、各測定について機械方向(MD)(該当する場合)で試験する。試験は、23±2.0°Cおよび35±5%相対湿度の標準的な実験室雰囲気中で行う。引張強度または伸び測定のために、3.0±0.15ミル(または76.2±3.8μm)の厚さを有する単一のフィルムシートの、1インチ幅(2.54cm)の試料を用意する。次いで、35%の相対湿度環境への曝露を最小化しながら試験を進めるために、試料をINSTRON(登録商標)引張試験機に移動する。500Nのロードセルを備えた引張試験機をメーカーの取扱説明書に従って準備し、較正する。正しいグリップおよびフェースを取り付ける(ゴムでコーティングされ、幅25mmであるモデル番号2702-032のフェースまたは等価物を有するINSTRON(登録商標)グリップ)。試料を引張試験機に取り付け、伸び(すなわち、ヤング率が適用される)および引張強度(すなわち、フィルムを破断するのに必要な応力)を測定するために分析する。
【0077】
本開示に従ったフィルムの好適な挙動は、引張強度試験による測定で少なくとも約20MPaの引張強度値(機械方向(MD)で)によって示される。様々な実施形態では、フィルムは、少なくとも20MPa、および/または最大約100MPa(例えば、約20、約40、約60、約80、または約100MPa)の引張強度値を有する。
【0078】
本開示に従ったフィルムの好適な挙動は、INSTRON(登録商標)試験機による測定で少なくとも約50%の(機械方向の)伸び値によって示される。様々な実施形態では、フィルムは、少なくとも50%、および/または最大約700%(例えば、約50%、約100%、約200%、約225%、約250%、約300%、約400%、約425%、約450%、約475%、約500%、約600%、または約700%)の伸び値を有する。
【0079】
フィルムの作製方法
上述のように、本開示は、ポリビニルアルコールのフィルム、具体的には、溶媒流延フィルムの製造に関する。PVOHの溶剤流延法のためのプロセスは、当該技術分野で周知である。例えば、フィルム形成プロセスでは、ポリビニルアルコール樹脂(複数可)および二次添加物を溶剤、典型的には水に溶解し、表面上にメーターを介して供給し、実質的に乾燥させて(または強制乾燥させて)、流延フィルムを形成し、次いで、得られた流延フィルムを流延表面から外す。プロセスは、バッチ式で実施され得、連続プロセスでより効率的に実施される。
【0080】
ポリビニルアルコールの連続フィルムの形成では、移動している流延表面、例えば連続的に移動している金属ドラムまたはベルト上に溶液の溶液を計量供給し、溶剤が実質的に液体から除去されることを生じ、それによって自己支持性の流延フィルムが形成され、次いで得られた流延フィルムを流延表面から剥ぎ取ることが、従来方法である。
【0081】
任意選択的に、水溶性フィルムは、1つの層または複数の類似した層からなる自立フィルムであり得る。
【0082】
パケット
フィルムは、それによりパウチを形成する、組成物を収容するパケットを製造するために有用である。パウチ組成物は、粉末、ゲル、ペースト、液体、錠剤、またはそれらの任意の組み合わせ等の任意の形態をとり得る。フィルムはまた、改善された湿潤処理および少ない冷水残留物が望ましい、任意の他の用途にも有用である。フィルムは、パウチの少なくとも1つの側壁、任意選択的にパウチ全体、および好ましくは、少なくとも1つの側壁の外壁を形成する。
【0083】
本明細書に記載のフィルムは、同じフィルムから作製されるか、または他のポリマー材料のフィルムと組み合わせて作製される、2つ以上の区画を有するパケットを作製するためにも使用されてもよい。さらなるフィルムは、例えば、当該技術分野で既知の同じまたは異なるポリマー材料の流延、吹込成形、押出成形、または押出吹込成形により得ることができる。ある種類の実施形態において、追加のフィルムとして使用するのに好適なポリマー、コポリマーまたはこれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸および塩、ポリアミノ酸、またはペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプンおよびゼラチンを含む多糖類、キサンタンガム等の天然ガム、ならびにカラゲナンから選択される。例えば、ポリマーは、ポリアクリレートおよび水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ならびにそれらの組み合わせから選択され得るか、またはポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびそれらの組み合わせから選択され得る。1つの考慮される実施形態は、パケット材料中のポリマーレベルを特徴とし、例えば、上述のPVOHコポリマーは、上述のように少なくとも60%である。
【0084】
本開示のパウチは、少なくとも1つの密封された区画を備え得る。それ故に、パウチは、単一の区画または複数の区画を備え得る。水溶性パウチは、界面に密封された2層の水溶性ポリマーフィルムから、またはそれ自体の上に折り重ねられて密封された単一のフィルムによって形成され得る。フィルムのうちの1つまたはその両方とも、上述のPVOHフィルムを含む。フィルムは、水性環境への放出のための任意の所望の組成物を含む内部パウチ容器容積を画定する。組成物は、特に限定されず、例えば、以下に記載の種々の組成物のうちのいずれかを含む。複数の区画を備える実施形態では、各区画は、同一および/または異なる組成物を収容し得る。ひいては、組成物は、これらに限定されないが、液体、固体、圧縮固体(錠剤)、およびそれらの組み合わせ(例えば、液体中に懸濁した固体)を含む任意の好適な形態をとり得る。実施形態では、パウチは、第1、第2、および第3の区画を備え、これらの各々はそれぞれ、異なる第1、第2、および第3の組成物を収容する。
【0085】
多区画パウチの区画は、同じかまたは異なるサイズ(複数可)および/または容積(複数可)のものでもよい。本多区画パウチの区画は、任意の好適な様式で分離または結合し得る。実施形態では、第2のおよび/または第3のおよび/または後続の区画は、第1の区画に重ね合わせられる。区画は連なって包装され、各区画がミシン目によって個別に分離可能であってもよい。このように、各区画は、エンドユーザによって一連につながったものの残りの部分から個々にちぎり取られてもよい。
【0086】
本開示のパウチおよび/またはパケットは、1つ以上の異なるフィルムを含んでもよい。例えば、単一の区画の実施形態において、パケットは、1つの壁であって、それ自体の上に折り曲げられ、縁で密封された1つの壁、あるいは、縁で一緒に密封された2つの壁でできていてもよい。複数区画の実施形態では、パケットは、任意の所与のパケット区画が単一のフィルムまたは異なる組成物を有する複数のフィルムから作製された壁部を備え得るように、1つ以上のフィルムから作製されてもよい。
【0087】
パウチおよびパケットは、任意の好適な機器および方法を使用して作製され得る。例えば、単区画パウチは、当該技術分野で一般的に知られている縦型形成充填、横型形成充填、または回転ドラム充填技術を使用して作製することができる。このようなプロセスは、連続的または断続的のいずれかであり得る。フィルムは、その展性を高めるために、湿潤および/または加熱され得る。方法はまた、フィルムを好適な型に引き込むために真空の使用を伴い得る。フィルムを型に引き込む真空は、フィルムが表面の水平部分上に載せられると、約0.2~約5秒、または約0.3~約3、または約0.5~約1.5秒間適用され得る。この真空は、例えば、10mbar~1000mbarの範囲内、または100mbar~600mbarの範囲内の低圧を提供するようなものであってもよい。
【0088】
パケットが作製される型は、パウチの必要寸法に応じて任意の形状、長さ、幅、および奥行きを有し得る。型はまた、望ましい場合、サイズおよび形状が互いに異なり得る。例えば、最終的なパウチの容積は、約5ml~約300ml、または約10~300ml、または約20~約300mlであり得、型のサイズはそれに応じて調節される。本開示のパウチおよび/またはパケットは、単位用量を提供するのに好適な任意のサイズのものであり得る。単位用量のサイズは、最終用途に依存するであろう。例えば、スイミングプール等のバルク水用途のための単位用量パウチは、250ml等の25ml超の内部容積を有し得る。例えば、スパまたは浴槽等のバルク水用途のための単位用量パウチは、100ml等の25ml超の内部容積を有し得る。実施形態では、パウチは、少なくとも約25ml、または少なくとも約100ml、または少なくとも約150ml、または少なくとも約200ml、または少なくとも約250ml、または少なくとも約300mlの内部容積を有し得る。実施形態では、パウチ内容物は、ゆるい粉末または圧縮錠剤の形態の粉末であり得る。ゆるい粉末または圧縮錠剤は、少なくとも約25g、または少なくとも約100g、または少なくとも約150g、または少なくとも約200g、または少なくとも約250g、または少なくとも約300g、または少なくとも約400g、または少なくとも約500g、または少なくとも約550g、または少なくとも約600g、例えば約100g~約600g、または約250g~約550g、または約500g~約600g、または約25g~約300gの範囲の量で提供され得る。本開示のパウチ/パケットは、少なくとも約12.5cm(約5インチ)、少なくとも約15.25cm(約6インチ)、少なくとも約18cm(約7インチ)、または少なくとも約23cm(約9インチ)の長さを有し得る。実施形態では、本開示のパウチ/パケットは、少なくとも約7.5cm(約3インチ)、少なくとも約10cm(約4インチ)、または少なくとも約12.5cm(約5インチ)の幅を有し得る。実施形態では、パウチ/パケットは、約12.5cm~約15.25cm(約5~約6インチ)の長さ、および約7.5cm~約10cm(約3~約4インチ)の幅を有し得る。
【0089】
一実施形態では、単一の区画または複数の密封された区画が、ある組成物を収容する。複数の区画が各々、同じまたは異なる組成物を収容していてもよい。組成物は、液体、粉体、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0090】
縦型形成、充填、および密封
実施形態では、本開示の水溶性フィルムは、密封された物品に形成され得る。実施形態では、密閉された物品は、縦型形成の充填および密封された物品である。縦型形成、充填および密封(VFFS)プロセスは、従来の自動プロセスである。VFFSは、垂直に配向された供給管の周囲にフィルムの単一片を巻き付けるアセンブリ機械等の装置を含む。機械のヒートシールまたは別の方法は、フィルムの対向する縁部を共に固定して側面密封を作製し、フィルムの中空チューブを作製する。続いて、機械のヒートシールまたは別の方法は、底部密封を作製し、それによって、頂部密封が後に形成される開口頂部を有する容器部分を画定する。機械は、特定の量の流動可能な製品を、開口頂端部を通して容器部分に導入する。容器が所望の量の製品を含むと、機械は、例えば別のヒートシール機器にフィルムを前進させて、頂部密封を作製する。最後に、機械はフィルムをカッターに前進させて、頂部密封のすぐ上のフィルムを切断して、充填されたパッケージを提供する。
【0091】
作業中、アセンブリ機械は、ロールからフィルムを前進させてパッケージを形成する。したがって、フィルムは機械を通って容易に進むことができ、機械アセンブリに接着しないか、または加工中に破損するほど脆弱でなはない必要がある。驚くべきことに、かつ有利なことに、より少量の、例えば約20PHR未満、約12PHR未満、または約10PHR未満の可塑剤を有する本開示のフィルムは、VFFSによってパウチへ良好に変換されることを実証した。上述のように、少量の可塑剤を有するフィルムは、一般に、脆く、VFFSによって容易にパウチへ変換されないであろうことが予想される。したがって、刺激の強い酸化化学物質に対する良好な安定性およびVFFによるパウチ/パケットへの良好な変換を含む1つ以上の利点を有する本開示のフィルムを調製することができる。
【0092】
水溶性フィルムは、Rovema VFFS機または同等物上VFFSによって変換され得る。パウチ/パケットは、78°F(約25.5℃)および相対湿度24%の標準的な実験室雰囲気で調製される。充填されていない袋と塩で充填された袋との両方を製造する。塩を収容する袋は、最大充填レベルで1.2lbs(約550g)まで充填される。水平密封温度は225°F(約107℃)であり、垂直密封温度は、例えば約255°F(約124°C)~約280°F(約138℃)等、良好な密封を製造するために必要に応じて変化する。
【0093】
成形、密封、および熱成形
熱成形可能なフィルムは、熱および力の適用を通して成形され得るフィルムである。比較的高レベルの可塑剤(複数可)を含む水溶性フィルムは、かかるプロセスに好適であると考えられている。
【0094】
フィルムの熱成形は、フィルムを加熱し、(例えば、鋳型に)それを成形し、次いで、そのフィルムを冷却させるプロセスであり、こうすればフィルムは、その形状、例えば、その鋳型の形状を保持するであろう。熱は、任意の好適な手段を使用して加えられてもよい。例えば、フィルムは、フィルムを表面上に供給する前、または表面上に供給されると、加熱要素下に、または熱気の中を通過させることによって直接加熱され得る。あるいは、フィルムは、例えば、表面を加熱することによって、またはフィルム上に熱い物品を適用することによって間接的に加熱され得る。実施形態では、フィルムは、赤外光を使用して加熱される。フィルムは、約50~約150℃、約50~約120℃、約60~約130℃、約70~約120℃、または約60~約90℃の範囲の温度に加熱され得る。熱成形は、次のプロセス:型全体に熱軟化されたフィルムを手動でドレーピングすること、または型に対して軟化されたフィルムを圧力によって成形すること(例えば、真空成形)、または正確に知られている温度を有する新たに押出されたシートを成形およびトリミングステーションへ自動的に高速で送り出すこと(automatic high-speed indexing)、またはフィルムの自動配置、プラグ成形および/もしくは空気圧式伸張(pneumatic stretching)および圧力成形のうちの任意の1つ以上によって実施され得る。
【0095】
あるいは、フィルムは、それを表面上に供給する前に、または表面上に供給されると、任意の好適な手段によって、例えば湿潤剤(水、フィルム組成物の溶液、フィルム組成物のための可塑剤、または前述のものの任意の組み合わせを含む)をフィルム上に噴霧することにより直接的に、または表面を湿潤化することによって、もしくは湿潤物品を間接的にフィルムに適用することによって、湿潤化されてもよい。
【0096】
フィルムが加熱および/または濡らされると、フィルムは、好ましくは真空を使用して、適切な型に引き込まれ得る。成形されたフィルムの充填は、任意の好適な手段を利用することによって達成され得る。実施形態では、最も好ましい方法は、製品の形態および必要な充填速度に依存するであろう。実施形態では、成形されたフィルムは、インライン充填技法によって充填される。次いで、充填された開口しているパケットは、任意の好適な方法によって、第2のフィルムを使用して封鎖され、パウチを形成する。これは、水平位置にある間に、連続的な一定の動作で達成され得る。封鎖は、開口しているパケット全体および上に、第2のフィルム、好ましくは水溶性フィルムを連続的に供給し、次いで、典型的には型間の、したがってパケット間の領域で、好ましくは第1のフィルムおよび第2のフィルムを共に密封することによって、達成され得る。
【0097】
パケットおよび/またはその個々の区画を密封する任意の好適な方法が利用され得る。かかる手段の非限定的例としては、ヒートシール、溶剤溶着、溶剤または湿潤密封、およびそれらの組み合わせが挙げられる。典型的には、密封が形成される領域のみが、熱または溶剤で処理される。熱または溶剤は、任意の方法によって、典型的には封鎖材料上、および典型的には、密封を形成する領域上にのみ適用され得る。溶剤または湿潤密封もしくは溶着が使用される場合、熱も適用されることが好ましい場合がある。湿潤または溶剤密封/溶着の好ましい方法は、型の間の領域上、または封鎖材料上に、溶剤を、例えばこれらの領域上に噴霧またはプリントすることによって、選択的に溶剤を適用することと、次いで、これらの領域上に圧力を適用して、密封を形成することと、を含む。例えば、上述のような、密封ロールおよび密封ベルト(任意選択的に熱も提供する)が使用され得る。
【0098】
次いで、形成されたパウチは、切断装置により切断され得る。切断は、任意の公知の方法を使用して達成され得る。また切断は、好ましくは定速で、好ましくは水平位置で、連続的様式によっても行われることが好ましい場合がある。切断装置は、例えば、鋭利な物品、または高温の物品、またはレーザーであってもよく、後者の場合、高温の物品またはレーザーは、フィルム/密封領域を「焼き」切る。
【0099】
多区画パウチの異なる区画は、隣接様式で共に作製され得、得られる結合したパウチは、切断によって分離しても分離しなくてもよい。あるいは、区画は別々に作製することができる。
【0100】
実施形態では、パウチは、a)(上述のように)第1の区画を形成するステップと、b)ステップ(a)で形成された封鎖区画内のうちのいくつかまたはすべての中に凹部を形成して、第1の区画の上に重ねられた第2の成形区画を生成するステップと、c)充填し、第3のフィルムによって第2の区画を封鎖するステップと、d)第1、第2、および第3のフィルムを密封するステップと、e)フィルムを切断して多区画パウチを製造するステップと、を含むプロセスに従って作製され得る。ステップ(b)で形成された凹部は、ステップ(a)で調製された区画に真空を印加することによって達成することができる。
【0101】
実施形態では、第2および/または第3の区画(複数可)は、欧州特許出願第08101442.5号、または米国特許出願公開第2013/240388A1号、またはWO2009/152031に記載のように、別個のステップで作製され、次いで、第1の区画と組み合わされ得る。
【0102】
実施形態では、パウチは、a)第1の形成機械上で第1のフィルムを使用して、任意選択的に熱および/または真空を使用して、第1の区画を形成するステップと、b)第1の区画に第1の組成物を充填するステップと、c)第2の形成機械上で、任意選択的に熱および真空を使用して、第2のフィルムを変形させて第2および任意選択的に第3の成形区画を作製するステップと、d)第2および任意選択的に第3の区画に充填するステップと、e)第2および任意選択的に第3の区画を、第3のフィルムを使用して密封するステップと、f)密封された第2および任意選択的に第3の区画を、第1の区画上に配置するステップと、g)第1、第2、および任意選択的に第3の区画を密封するステップと、h)フィルムを切断して多区画パウチを製造するステップと、を含むプロセスに従って作製され得る。
【0103】
第1および第2の形成機械は、上記のプロセスを行うためのそれらの適合性に基づいて選択されてもよい。実施形態では、第1の形成機械は、好ましくは水平形成機械であり、第2の形成機械は、好ましくは回転ドラム式形成機であり、好ましくは第1の形成機械の上方に位置する。
【0104】
適切な供給ステーションを使用することによって、多数の異なるもしくは特有の組成物および/または異なるもしくは特有の液体、ゲルもしくはペースト組成物を組み込む多区画パウチを製造することが可能であり得ることが理解されるべきである。
【0105】
実施形態では、フィルムおよび/またはパウチは、活性剤、潤滑剤、嫌悪剤、またはそれらの混合物等の好適な材料を噴霧または散布される。実施形態では、フィルムおよび/またはパウチは、例えばインクおよび/または活性剤を用いてその上にプリントされる。
【0106】
パウチの内容物
(例えば、パウチまたはパケットの形態の)本物品は、様々な組成物、例えば、水処理組成物を収容し得る。多区画パウチは、同じかまたは異なる組成物を各々別個の区画に収容し得る。組成物は、水溶性フィルムの近位にある。組成物は、フィルムから約10cm未満、または約5cm未満、または約1cm未満にあってもよい。典型的に、組成物は、フィルムに隣接しているか、またはフィルムに接触している。フィルムは、その中に組成物を収容する、パウチまたは区画の形態であり得る。
【0107】
実施形態では、水溶性フィルムは、例えばVFFSによって密閉されたパウチに形成され、酸化組成物を内包する。実施形態では、酸化組成物は、塩素化組成物または臭素化組成物である。実施形態では、酸化組成物は、水処理剤である。そのような薬剤は、例えば米国特許出願公開第2014/0110301号および米国特許第8,728,593号に記載されているような積極的な酸化化学物質を含む。例えば、消毒剤としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、および次亜塩素酸リチウム等の次亜塩素酸塩;ジクロロイソシアヌル酸(「ジクロロ」、またはジクロロ-s-トリアジントリオン、1,3-ジクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンとも称される)、およびトリクロロイソシアヌル酸(「トリクロロ」、または1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンとも称される)、またはトリクロロイソシアヌレート(TC)等の塩素化イソシアヌレート;塩素酸塩、および過塩素酸塩が挙げられ得る。消毒化合物の塩および水和物もまた考慮される。例えば、ジクロロイソシアヌル酸は、とりわけ、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物として提供され得る。とりわけ臭化イソシアヌレート、臭素酸塩、過臭素酸塩、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、ジブロモシアノ酢酸アミド、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(BCDMH)、および2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール等の、臭素含有消毒剤はまた、単位用量パッケージ用途での使用に好適であり得る。他の好適な酸化剤としては、これらに限定されないが、過ホウ酸塩、過ヨウ素酸塩、過硫酸塩、過マンガン酸塩、クロム酸塩、重クロム酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、過酸化物、ケトン過酸化物、ペルオキシ酸、無機酸、およびそれらの組み合わせが挙げられる。実施形態では、酸化剤は、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、ならびに次亜塩素酸リチウム、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌレート(TC)、前述のものの塩および水和物、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、ジブロモシアノ酢酸アミド、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(BCDMH)、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される酸化剤を含む。実施形態では、酸化剤は、トリクロロイソシアヌレート、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される酸化剤を含む。
【0108】
本開示の具体的に考慮される実施例を、本明細書で以下の番号を付した項に記載する。これらの実施例は、本質的に説明を意図し、限定を意図するものではない。
【0109】
1.水溶性ポリビニルアルコールコポリマーの混合物を含む水溶性フィルムであって、コポリマーが、ペンダントカルボキシル基を有するアニオン性モノマーを含み、可塑剤ブレンドが、ソルビトールを含む第1の可塑剤と、グリセロール、トリメチロールプロパン、ジグリセロール、グリセロールプロピレンオキシドポリマー、グリセロールジアセテート、2-メチル-1,3-プロパンジオール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される二次可塑剤と、を含み、
(i)フィルム中に含まれる可塑剤の総量が、12PHR未満である場合、可塑剤ブレンドは、ソルビトール、グリセロール、および少なくとも1つの追加の二次可塑剤を含み、
(ii)フィルム中に含まれる可塑剤の総量が、少なくとも12PHRかつ20PHR未満である場合、可塑剤ブレンドは、ソルビトール、グリセロール、ならびにジグリセロール、トリメチロールプロパン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの追加の二次可塑剤を含み、
(iii)フィルム中に含まれる可塑剤の総量が、20PHR以上である場合、ソルビトールは、可塑剤の総量(質量で)の少なくとも1/3を構成する、フィルム。
【0110】
2.グリセロールがフィルム中に含まれる場合、フィルムの総質量に基づいて少なくとも2.0質量%の量で含まれる、段落1に記載の水溶性フィルム。
【0111】
3.フィルム中の可塑剤の総量が、フィルム中の全樹脂に基づいて、少なくとも2PHR、少なくとも5PHR、または少なくとも6.5PHRである、段落1または段落2に記載の水溶性フィルム。
【0112】
4.可塑剤の総量が、フィルム中の全樹脂に基づいて、約12PHR未満、約10PHR未満、約8PHR未満、または約7.5PHR未満である、段落1~3のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0113】
5.フィルム中の可塑剤の総量が、フィルム中の全樹脂に基づいて、約15~約20PHR、または約16~18PHRの範囲である、段落1または段落2に記載の水溶性フィルム。
【0114】
6.フィルム中の可塑剤の総量が、フィルム中の全樹脂に基づいて、約21PHR~約27PHR、または約23~25PHRの範囲である、段落1または段落2に記載の水溶性フィルム。
【0115】
7.アニオン性モノマー単位が、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、および前述のものの組み合わせからなる群から選択される、段落1~6のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0116】
8.アニオン性モノマー単位が、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、段落7に記載の水溶性フィルム。
【0117】
9.アニオン性モノマー単位が、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、前述のもののアルカリ金属塩、前述のもののエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、段落8に記載の水溶性フィルム。
【0118】
10.PVOHコポリマーが、87~98、または89~97、または90~96の範囲の加水分解度を含む、段落1~9のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0119】
11.PVOHコポリマーが、94~98の範囲の加水分解度を有する、段落10に記載の水溶性フィルム。
【0120】
12.PVOHコポリマーが、96の加水分解度を有する、段落11に記載の水溶性フィルム。
【0121】
13.抗酸化剤をさらに含む、段落1~12のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0122】
14.抗酸化剤が、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、クエン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、段落13に記載の水溶性フィルム。
【0123】
15.同一の組成および約2ミル(約0.05mm)の厚さを有するフィルムが、23℃および35%の相対湿度(RH)で6週間、刺激の強い化学酸化剤と接触させて保存した後、MonoSol試験方法MSTM-205に従って、20℃(68°F)の温度の水に600秒以下で溶解する、段落1~14のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0124】
16.充填剤、界面活性剤、粘着防止剤、または前述のものの組み合わせをさらに含む、段落1~15のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0125】
17.アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含み、フィルム中に存在する全可塑剤が、7~8PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドが、本質的にグリセロール、ソルビトール、およびジグリセロールからなる、段落1に記載の水溶性フィルム。
【0126】
18.アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含み、フィルム中に存在する全可塑剤が、7~8PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドが、本質的にグリセロール、ソルビトール、およびトリメチロールプロパンからなる、段落1に記載の水溶性フィルム。
【0127】
19.アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含み、フィルム中に存在する全可塑剤が、24~25PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドが、本質的にグリセロールとソルビトールとの1:1質量%混合物からなる、段落1に記載の水溶性フィルム。
【0128】
20.アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含み、フィルム中に存在する全可塑剤が、24~25PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドが、本質的にトリメチロールプロパンとソルビトールとの1:1質量%混合物からなる、段落1に記載の水溶性フィルム。
【0129】
21.アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含み、フィルム中に存在する全可塑剤が、24~25PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドが、本質的にトリメチロールプロパン、グリセロールおよびソルビトールの1:1:1質量%混合物からなる、段落1に記載の水溶性フィルム。
【0130】
22.アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含み、フィルム中に存在する全可塑剤が、16.5~17.5PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドが、本質的にグリセロール、ソルビトールおよびジグリセロールからなる、段落1に記載の水溶性フィルム。
【0131】
23.アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含み、フィルム中に存在する全可塑剤が、16.5~17.5PHRの範囲であり、可塑剤ブレンドが、本質的にグリセロール、ソルビトール、およびトリメチロールプロパンからなる、段落1に記載の水溶性フィルム。
【0132】
24.段落1~23のいずれか1つに記載の水溶性フィルムを含む、密封された物品。
【0133】
25.物品が、縦型形成、充填および密封された物品である、段落24に記載の密封された物品。
【0134】
26.酸化組成物を内包する、段落1~25のいずれか1つに記載のフィルムを含む、密封されたパウチ。
【0135】
27.パウチが、縦型形成、充填および密封されたパウチである、段落26に記載の密封されたパウチ。
【0136】
28.酸化組成物が、塩素化組成物または臭素化組成物である、段落26または段落27に記載の密封されたパウチ。
【0137】
29.酸化剤が、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、ならびに次亜塩素酸リチウム、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌレート(TC)、前述のものの塩および水和物、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、ジブロモシアノ酢酸アミド、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(BCDMH)、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される酸化剤を含む、段落26~28のいずれか1つに記載の密封されたパウチ。
【0138】
30.酸化剤が、トリクロロイソシアヌレート、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される酸化剤を含む、段落26~29のいずれか1つに記載の密封されたパウチ。
【0139】
31.パウチが、少なくとも約25ml、または少なくとも約100ml、または少なくとも約150ml、または少なくとも約200ml、または少なくとも約250ml、または少なくとも約300mlの内部容積を有する、段落27~30のいずれか1つに記載の密封されたパウチ。
【0140】
32.パウチが、少なくとも約12.5cm(約5インチ)、少なくとも約18cm(約7インチ)、または少なくとも約23cm(約9インチ)の長さを有する、段落27~31のいずれか1つに記載の密封されたパウチ。
【0141】
本開示に従った水溶性フィルムは、以下の実施例の観点からより良好に理解され得、これらの実施例は、単に水溶性フィルムを例示することを意図し、それらの範囲を限定することを多少なりとも意味しない。
【実施例】
【0142】
実施例1:トリクロロイソシアヌレート(TC)とのフィルム適合性
トリクロロイソシアヌレートは、プールおよびスパの水処理に使用される最も強力なクロロ含有酸化剤のうちの1つである。以下の表1および表2に記載の可塑剤を有するPVOH/マレイン酸モノメチルまたはPVOH/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)コポリマーを含む水溶性フィルムを調製した。フィルムは、1.5ミル(約38μm)の厚さを有した。約16mgのトリクロロイソシアヌレートをフィルム内に封入することによって、パウチを調製した。水溶性パウチの水溶性フィルムの溶解度を、t=0(保存なし)、2週間、4週間、および6週間で試験した。パウチは、23℃および35%RHで保存した。各パウチの溶解時間を、MSTM205に従って21℃で測定した。6週間の保存後に600秒未満で溶解したフィルムは、表1および表2に(+)として示す。6週間の保存後に600秒未満で溶解しなかったフィルムは、表1および表2に(-)として分類する。
【表1】
【0143】
表1は、ペンダントカルボキシル基を有するアニオン性モノマーを含むPVOHコポリマーを含み、ソルビトールを含む第1の可塑剤と、グリセロール、およびトリメチロールプロパンまたはジグリセロールのうちの少なくとも1つを含む第2の可塑剤とを有する、本開示のフィルムが、可塑剤の総量が12PHR~20PHRの範囲である場合、トリクロロイソシアヌレートと適合可能であることを示している。さらに、ペンダントカルボキシル基を有するアニオン性モノマーを含むPVOHコポリマーを含み、ソルビトールを含む第1の可塑剤と、グリセロール、ならびに2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロールプロピレンオキシドポリマー(例えば、Voranol
(商標)230-660)、グリセロールジアセテート、およびジグリセロールのうちの少なくとも1つを含む第2の可塑剤とを有する本開示のフィルムが、可塑剤の総量が12phr未満である場合、トリクロロイソシアヌレートと適合可能である。対照的に、ペンダントカルボキシル基を含まないアニオン性モノマーを含むPVOHコポリマーを含むフィルムであるが、総量12phr未満の可塑剤を含み、ソルビトールを含む第1の可塑剤と、グリセロール、ならびに2-メチル-1,3、プロパンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロールプロピレンオキシドポリマー(例えば、Voranol
(商標)230-660)、グリセロールジアセテート、およびジグリセロールから選択される少なくとも1つの追加の可塑剤を含む第2の可塑剤とを含むフィルムが、追加の可塑剤がトリメチロールプロパンまたはグリセロールジアセテートである場合、トリクロロイソシアヌレートとのみ適合可能である。
【表2】
【0144】
表2は、ペンダントカルボキシル基を有するアニオン性モノマーを有するPVOHコポリマーを含むフィルムであって、ソルビトールを含む第1の可塑剤と、グリセロール、およびジグリセロールまたはトリメチロールプロパンのうちの少なくとも1つを含む第2の可塑剤とをさらに含むフィルムが、可塑剤の総量が、20PHR未満、例えば約12PHR~約20PHRの範囲である(例えば、試料7、10、12、および15)の場合、トリクロロイソシアヌレートと適合可能であることを示している。表2はさらに、ペンダントカルボキシル基を有するアニオン性モノマーを有するPVOHコポリマーを含むフィルムであって、ソルビトールおよび20PHR超の可塑剤の総量を含む第1の可塑剤をさらに含むフィルムが、ソルビトールが可塑剤の総量の少なくとも1/3を構成する(例えば、試料32~35)場合、トリクロロイソシアヌレートと適合可能であることをさらに示している。
【0145】
実施例2:抗酸化剤の存在下でのトリクロロイソシアヌレート(TC)とのフィルム適合性
PVOH/マレイン酸モノメチルコポリマーを含む水溶性フィルムを調製し、表3に示す可塑剤を有する実施例1に記載のトリクロロイソシアヌレートを含有するパウチへ変換した。フィルム試料36~41は、以下の表3に列挙した量で抗酸化剤をさらに含み、抗酸化剤を一切含まない、実施例1で調製したフィルム試料2、7および12と比較した。実施例1に記載のように、水溶性パウチの水溶性フィルムの溶解度データを得た。
【表3】
【0146】
表3は、ペンダントカルボキシル基を含むアニオン性モノマーを有するPVOHコポリマーを含むフィルムであって、ソルビトールを含む第1の可塑剤と、グリセロールおよびトリメチロールプロパンを含み、20PHR超の可塑剤の総量および可塑剤の総量の1/3未満のソルビトールの量を有する第2の可塑剤とを含むフィルム(例えば、フィルム試料2)が、抗酸化剤が約0.25~約1.5PHRの範囲の量でフィルム中に含まれる場合(例えば、フィルム試料36および37)、トリクロロイソシアヌレートと適合可能に作製され得ることを示している。
【0147】
実施例3:1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(BCDMH)とのフィルム適合性
1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントインもまた、より刺激の強い酸化剤とみなされる。BCDMHは、次亜塩素酸および次亜臭素酸を放出しながら、水とゆっくりと反応するので、塩素および臭素の両方の優れた供給源である。以下の表4および表5に記載の可塑剤を有するPVOH/マレイン酸モノメチルまたはPVOH/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)コポリマーを含む水溶性フィルムを調製した。フィルムは、2ミル(約50μm)の厚さを有した。16mgの1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントインをフィルム内に封入することによって、パウチを調製した。水溶性パウチの水溶性フィルムの溶解度を、t=0(保存なし)、2週間、4週間、および6週間で試験した。パウチは、23℃および35%RHで保存した。各パウチの溶解時間を、MSTM205に従って21℃で測定した。6週間の保存後に600秒未満で溶解したフィルムは、表4および表5に(+)として示す。6週間の保存後に600秒未満で溶解しなかったフィルムは、表4および表5に(-)として分類する。
【表4】
【0148】
表4は、アニオン性モノマー有するPVOHコポリマーを含み、ソルビトールを含む第1の可塑剤と、グリセロールおよびトリメチロールプロパンを含む第2の可塑剤とを有するフィルムが、可塑剤の総量が20PHR未満の場合、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントインと適合可能であることを示している。
【0149】
表4は、ペンダントカルボキシル基を有するアニオン性モノマーを含むPVOHコポリマーを含み、ソルビトールを含む第1の可塑剤と、グリセロール、およびトリメチロールプロパン、グリセロールプロピレンオキシドポリマー(例えば、Voranol
(商標)230-660)、またはグリセロールジアセテートのうちの少なくとも1つを含む第2の可塑剤とを有する本開示のフィルムが、可塑剤の総量が12PHR~20PHRの範囲である場合、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントインと適合可能であることを示している。さらに、ペンダントカルボキシル基を有するアニオン性モノマーを含むPVOHコポリマーを含み、ソルビトールを含む第1の可塑剤と、グリセロール、ならびに2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロールプロピレンオキシドポリマー(例えば、Voranol
(商標)230-660)、およびグリセロールジアセテートのうちの少なくとも1つを含む第2の可塑剤とを有する本開示のフィルムが、可塑剤の総量が12未満phrである場合、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントインと適合可能である。
【表5】
【0150】
表5は、ペンダントカルボキシル基を有するアニオン性モノマー単位を含むPVOHコポリマーを含むフィルムであって、ソルビトールを含む第1の可塑剤と、グリセロール、およびジグリセロールまたはトリメチロールプロパンのうちの1つを含む第2の可塑剤とをさらに含むフィルム、(例えば、試料43、47、および51)が、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントインと適合可能であることを示している。
【0151】
例4:縦型形成、充填および密封
以下の表6に記載の可塑剤を有するPVOH/マレイン酸モノメチルコポリマーを含む水溶性フィルムを調製した。フィルムは、2ミル(約50μm)の厚さを有した。フィルムの変換性は、上述のVFFSによって判定した。およそ5インチ×9インチの密封され、約1.2ポンドの塩(約550グラム)を収容するパッケージへの形成に成功したフィルムを、表6に(+)で示す。
【表6】
【0152】
表6は、ペンダントカルボキシル基を有するアニオン性モノマーを含むPVOHコポリマーを含み、ソルビトールを含む第1の可塑剤と、グリセロール、およびトリメチロールプロパンまたはジグリセロールのうちの少なくとも1つを含む第2の可塑剤とを有し、12PHR~20PHRの範囲の可塑剤の総量を有する、本開示のフィルムが、密封されたパウチへ変換可能であることを示している。さらに、ペンダントカルボキシル基を有するアニオン性モノマーを含むPVOHコポリマーを含み、ソルビトールを含む第1の可塑剤と、グリセロール、ならびにトリメチロールプロパンおよびジグリセロールのうちの少なくとも1つを含む第2の可塑剤とを有し、12phr未満の可塑剤の総量を有する、本開示のフィルムは、密封されたパウチへ変換可能である。表6はさらに、ペンダントカルボキシル基を有するアニオン性モノマーを有するPVOHコポリマーを含むフィルムであって、可塑剤の総量の少なくとも1/3がソルビトールである20PHR超の可塑剤の総量をさらに含むフィルムが、パウチへ変換可能であることを示している。さらに、表1および表2に示すように、VFFSによってパウチへの変換が成功したフィルムはまた、トリクロロイソシアヌレートと適合可能である。したがって、表1、2および6は、パウチ/パケットに形成される能力を維持しながら、有利なことに、刺激の強い酸化化学物質に対して安定である本開示のフィルムを実証している。
【0153】
前述の説明は、理解の明瞭性のみのために与えられるものであり、本発明の範囲内の修正は当業者に明らかであり得るため、いかなる不要な限定もそこから理解されるべきではない。
【0154】
本明細書で引用したすべての特許、刊行物、および参考文献は、参照により完全に本明細書に援用される。本開示と、援用された特許、刊行物、および参考文献との間に矛盾がある場合は、本開示が優先されるべきである。