(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】堤防又は都市環境のための排水ブロック
(51)【国際特許分類】
E01C 5/06 20060101AFI20220927BHJP
E01C 7/14 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
E01C5/06
E01C7/14
(21)【出願番号】P 2019542384
(86)(22)【出願日】2018-02-02
(86)【国際出願番号】 NL2018050074
(87)【国際公開番号】W WO2018143808
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-01-29
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】517346451
【氏名又は名称】ヒル イノベーションズ ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒル,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ムガル,アロエン
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】蘭国特許発明第01039139(NL,C)
【文献】特開2002-004242(JP,A)
【文献】国際公開第2016/159775(WO,A1)
【文献】特開平09-078613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)矩形の平板形状を有していて、他のブロックに接続するための4つの側面を有するスラブと、
(b)矩形の平板形状を有しているベースと、
(c)前記スラブと前記ベースとを接続する単一のステムと
、
を備え
た堤防
または都市空間の舗装
または下部構造として使用するための排水ブロックであって、
前記ステムが、
前記スラブと前記ベースとの間に中空の空間が形成されるように、前記スラブの
前記矩形の平板形状の最小断面積
および前記ベースの
前記矩形の平板形状の最小断面積よりも小さい断面積を有し
、
前記スラブの前記4つの側面の各々が単一のスペーシング突出部を含み、これにより、2つのブロックが互いに隣接して配置されたときに、第1のブロックの前記スラブの1つの側面の前記単一のスペーシング突出部が、第2のブロックの前記スラブの1つの側面の前記単一のスペーシング突出部に接触
することにより、スラブ排水開口部
が、前記2つのスラブ間に、前記接触しているスペーシング突出部の両側にて形成
される、排水ブロック。
【請求項2】
前記スラブの各側面上の前記単一のスペーシング突出部が前記側面上に2つの凹部を画成し、前記2つの凹部の表面に沿って画成された面が、前記スペーシング突出部の表面に沿って画成された面に平行であり、これにより、4つのブロックがほぼ正方形の配列で互いに接続されたときに、ほぼ十字形の断面を有するスラブ排水開口部が前記4つのブロックの間に形成される、請求項1に記載の排水ブロック。
【請求項3】
前記ベースが4つの側面を有し、前記ベースの前記4つの側面の各々が単一のスペーシング突出部を含み、これにより、2つの前記ブロックが互いに隣接して配置されたときに、第1のブロックの前記ベースの1つの側面の前記単一のスペーシング突出部が、第2のブロックの前記ベースの1つの側面の前記単一のスペーシング突出部に接触し、それにより、ベース排水開口部
が、前記2つのブロックの前記2つのベース間に、前記接触しているスペーシング突出部の両側にて形成
され、
前記ベースの各側面上の前記単一のスペーシング突出部が2つの凹部を前記側面上に画成し、
かつ、
前記2つの凹部の表面に沿って画成された面が、前記スペーシング突出部の表面に沿って画成された面に対して平行
とされることにより、4つのブロックがほぼ正方形の配列で互いに接続されたときに、ほぼ十字形の断面を有する排水開口部が前記4つのブロックの間に形成される、請求項1
または2
に記載の排水ブロック。
【請求項4】
前記スラブの前記スペーシング突出部が前記ベースの前記スペーシング突出部に位置合わせされている、請求項3に記載の排水ブロック。
【請求項5】
前記スラブ上の前記スペーシング突出部が前記ベース上の前記スペーシング突出部に位置合わせされていない、請求項3に記載の排水ブロック。
【請求項6】
前記ステムがその延在部全体にわたって円形断面を有し、当該円形断面が最大長さを有し、当該最大長さが、前記スラブに向かって、
および前記ベースに向かってより大きくなり、それにより、前記スラブと前記ベースとの間に湾曲面を画成している、請求項1
ないし5のいずれか
一項に記載の排水ブロック。
【請求項7】
前記ステムがその延在部全体にわたって楕円形断面を有し、当該楕円形断面が最大長さを有し、当該最大長さが、前記スラブに向かって、
および前記ベースに向かってより大きくなり、それにより、前記スラブと前記ベースとの間に湾曲面を画成している、請求項1
ないし5のいずれか
一項に記載の排水ブロック。
【請求項8】
前記ステムがその延在部全体にわたって矩形断面を有し、当該矩形断面が最大長さを有し、当該最大長さが、前記スラブに向かって、
および前記ベースに向かってより大きくなり、それにより、前記スラブと前記ベースとの間に湾曲面を画成している、請求項1
ないし5のいずれか
一項に記載の排水ブロック。
【請求項9】
前記ステムの前記断面の最大長さが前記スラブに向かって最大になっている、請求項6
ないし8のいずれか
一項に記載の排水ブロック。
【請求項10】
前記ブロックがモノリシックである、請求項1
ないし9のいずれか
一項に記載の排水ブロック。
【請求項11】
前記スラブと前記ベースとが同一の高さを有する、請求項1
ないし10のいずれか
一項に記載の排水ブロック。
【請求項12】
前記ベースが前記スラブよりも大きい高さを有する、請求項1
ないし11のいずれか
一項に記載の排水ブロック。
【請求項13】
前記ベースが、前記ベースを上側ベース部と下側ベース部とに分割する周方向溝を有する、請求項
12に記載の排水ブロック。
【請求項14】
前記上側ベース部が4つの側面を有し、
かつ、前記4つの側面のうちの2つの側面上にスペーシング突出部を有する、請求項13に記載の排水ブロック。
【請求項15】
(a)矩形の平板形状を有するスラブと、
(b)矩形の平板形状を有するベースと、
(c)前記スラブ
および前記ベースを接続する複数のステムと
、
を備
えた堤防
または都市空間の舗装
または下部構造として使用するためのストリップ排水ブロックであって、
前記複数のステムの各々が、前記スラブ
の前記矩形の平板形状の最小断面積および前記ベースの
前記矩形の平板形状の最小断面積よりも小さい断面積を有し、前記スラブ
および前記ベースが、各々、2つの長手方向面を含み、
かつ、前記長手方向面がスペーシング突出部を含む、ストリップ排水ブロック。
【請求項16】
前記複数のステムの各々が、その延在部全体にわたって円形断面を有し、当該円形断面が最大長さを有し、当該最大長さが、前記ベースに向かって、
および前記スラブに向かってより大きくなり、それにより、前記スラブと前記ベースとの間に湾曲面を画成している、請求項15に記載のストリップ排水ブロック。
【請求項17】
前記複数のステムの各々が、その延在部全体にわたって楕円形断面を有し、当該楕円形断面が最大長さを有し、当該最大長さが、前記ベースに向かって、
および前記スラブに向かってより大きくなり、それにより、前記スラブと前記ベースとの間に湾曲面を画成している、請求項15に記載のストリップ排水ブロック。
【請求項18】
前記複数のステムの各々が、その延在部全体にわたって矩形断面を有し、当該矩形断面が最大長さを有し、当該最大長さが、前記ベースに向かって、
および前記スラブに向かってより大きくなり、それにより、前記スラブと前記ベースとの間に湾曲面を画成している、請求項15に記載のストリップ排水ブロック。
【請求項19】
前記複数のステムが少なくとも5つのステムを含む、請求項15
ないし18のいずれか
一項に記載のストリップ排水ブロック。
【請求項20】
前記複数のステムのうちの2つが外側ステムであり、当該2つの外側ステムが前記ブロックの2つの平坦な横方向端部を画成している、請求項15に記載のストリップ排水ブロック。
【請求項21】
前記複数のスペーシング突出部が、前記スラブ
および前記ベースに沿って凹部を画成し、
かつ、前記複数のスペーシング突出部の各々が長さを有し、当該長さが、前記複数のステムの各々の最小断面の最大長さ以下である、請求項15
ないし20のいずれか
一項に記載のストリップ排水ブロック。
【請求項22】
前記複数のスペーシング突出部の各々が前記複数のステムのうちの1つに位置合わせされている、請求項15
ないし21のいずれか
一項に記載のストリップ排水ブロック。
【請求項23】
前記ブロックがコンクリートからつくられる、請求項1
ないし14のいずれか
一項に記載の排水ブロック。
【請求項24】
前記ブロックが、ハーフスラブ、ハーフステム、
およびハーフベース、
ならびに1つの平坦面を各々が含む2つのハーフブロックから構成され、当該ハーフブロックが、それぞれの平坦面に沿って、前記排水ブロックの中央長手方向面に対して対称であるように互いに隣接して配置されている、
請求項23に記載の排水ブロック。
【請求項25】
請求項1
ないし14、23または24のいずれか
一項に記載の排水ブロックを製造するための方法であって、前記排水ブロックを、金型を使用して形成するステップを含む方法。
【請求項26】
前記排水ブロックが、2つのハーフブロックを隣接させることにより形成され、
かつ、前記ハーフブロックが金型を使用して形成される、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排水ブロックに関し、特に、都市環境で使用するための排水ブロックに関する。また、本発明は、堤防で使用するための排水ブロックにも関する。
【背景技術】
【0002】
排水ブロックは、ベースユニット及びトップユニットを備えた排水体を開示している特許文献1から公知である。ベースユニットとトップユニットとは、円錐台形又は角錐台形のスペーサを介して接続されている。しかし、このような排水ブロックは、都市環境における舗装路に使用するのには適していない。なぜなら、トップユニットが多くの開口部を含む中空メッシュとして形成され、これらの開口部が、都市環境における舗装路の歩行者及びサイクリスト並びにその他のユーザにとって危険であるからである。さらに、これらのブロックは、このような開口部により、舗装に関する政府の規準の一部を満たしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2012/0255624号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、排水性及び水緩衝性を有する道路舗装としての堤防用排水ブロックを提供しようとするものである。また、本発明は、排水性及び水緩衝性を有する舗装として都市部で使用され得る排水ブロックを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、堤防又は都市環境で使用するための排水ブロックが提供され、この排水ブロックは、4つの側面と、ベースと、スラブと前記ベースとを接続する単一のステムとを備えており、当該ステムは、前記スラブの最小断面積及び前記ベースの最小断面積よりも小さい断面積を有し、それにより、前記スラブと前記ベースとの間に水緩衝空間を形成している。また、前記スラブの前記4つの側面の各々が、単一のスペーシング突出部を含む。本明細書において、用語「最小(smallest)」及び「最小(minimum)」は互換的に使用される。本明細書における用語「断面積」は、前記ブロックの中央長手方向軸に対して垂直の水平面(単数又は複数)に含まれる断面積を意味する。「中央長手方向軸」は、本明細書において、前記ブロックの最長寸法に沿った中央軸を意味する。
【0006】
前記スペーシング突出部は任意の数の方法で構成されてもよく、例えば、単一のスペーシング突出部は、複数のサブ突出部を含んでもよい。好ましくは、前記スペーシング突出部は面を有し、この面は、前記側面の表面に沿った面に対して平行な面上に延在する。これにより、2つの前記ブロックが互いに隣接して配置されたときに、第1のブロックの前記スラブの1つの側面の前記単一のスペーシング突出部が、第2のブロックの前記スラブの1つの側面の前記単一のスペーシング突出部に接触する。この結果、スラブ排水開口部が前記2つのブロックの前記2つのスラブ間に、前記接触しているスペーシング突出部の両側にて形成される。前記スペーシング突出部の両側におけるこのような排水間隙が、ほぼ長手方向断面を有する。前記スラブと前記ベースとの間の前記中空の空間は、表面の水を受け入れて水をゆっくりと地面に放出することにより緩衝させ、又は、受け入れられた表面の水の方向を変えるためのものである。本明細書において「表面の水」とは、降雨、又は、水域(天然又は人工の)からの波から発生される任意の流体を意味する。
【0007】
例示的な実施形態において、前記排水ブロックは、20cm~60cmの間の高さを有し得る。前記排水ブロックの上述の水緩衝能力は、20cmブロックの場合の0.10m3/m2(又は100リットル/m2)~60cmブロックの場合の0.42m3/m2(又は420リットル/m2)である。これらの寸法の各々、及び水緩衝能力は、本発明の範囲から逸脱せずに、より小さくてもより大きくてもよい。前記排水ブロック間の前記中空の空間は、一般的に使用される下水道検査及び清掃装置により検査及び清掃されるように十分に大きい。
【0008】
一実施形態において、前記スラブの各側面上の前記単一のスペーシング突出部が、前記側面上に2つの凹部を形成又は画成し、当該2つの凹部の表面に沿って画成された面が、前記スペーシング突出部の表面に沿って画成された面に対して平行であり、これにより、4つのブロックがほぼ正方形の配列で互いに接続されたときに、ほぼ十字形の断面を有するスラブ排水開口部が前記4つのブロックの間に形成される。前記凹部は、前記側面の、スペーシング突出部を含まない部分により形成される。前記排水スペース(又は間隙)の寸法は、前記ブロックが都市環境で舗装として使用される場合に歩行者及び自転車がスラブの上を安全に通行可能なような寸法である。
【0009】
一実施形態において、前記スペーシング突出部は、凹部(すなわち、前記側面の、前記スペーシング突出部を含まない部分)に対する深さ又は厚さを有する。この深さ又は厚さは、ブロックが互いに隣接してして配置されたときに、要求される容量を所定時間内に排出するのに十分な寸法の排水間隙が形成されるような深さ又は厚さである。例示的な実施形態において、前記スペーシング突出部は4mmの深さ又は幅を有し、隣接する2つのスペーシング突出部により形成された排水間隙は8mmである。これが、有利なことに、歩行者及び自転車(及びその他の種類の交通)がスラブの上を危険なく安全に通行可能なように前記スペーシングの寸法を保持しつつ、排水が行われることを可能にする。
【0010】
一実施形態において、前記ベースは4つの側面を有し、前記ベースの前記4つの側面の各々が単一のスペーシング突出部を含み、これにより、2つの前記ブロックが互いに隣接して配置されたときに、第1のブロックの前記ベースの1つの側面の前記単一のスペーシング突出部が、第2のブロックの前記ベースの1つの側面の前記単一のスペーシング突出部に接触し、それにより、ベース排水開口部を、前記接触しているスペーシング突出部の両側に形成する。前記ベースの各側面上の前記単一のスペーシング突出部が2つの凹部を前記側面上に画成し、当該2つの凹部の表面に沿って画成された面が、前記スペーシング突出部の表面に沿って画成された面に対して平行であり、これにより、4つのブロックがほぼ正方形の配列で互いに接続されたときに、ほぼ十字形の断面を有する排水開口部が前記4つのブロックの間に形成される。
【0011】
前記スペーシング突出部は、好ましくは、前記側面の長さに等しい長さを有する。前記スペーシング突出部の長さは、例えば、前記側面の長さの25%又は50%であってもよい。
【0012】
一実施形態において、前記スラブの前記スペーシング突出部は、前記ベースの前記スペーシング突出部に位置合わせされている。すなわち、前記スラブのスペーシング突出部の表面と前記ベースのスペーシング突出部の表面とは同一平面に含まれる。これは、流体の排出を容易にする。なぜなら、前記スラブにより形成された前記排出開口部が、前記ベースにより形成された前記排出開口部に位置合わせされるからである。
【0013】
代替的な実施形態において、前記スラブ上の前記スペーシング突出部は、前記ベース上の前記スペーシング突出部に合致せず、すなわち位置合わせされない。例えば、前記スペーシング突出部が前記ステムに対して挿入されてもよい。これは、前記緩衝機能又は能力の増大が望ましいブロックの用途の場合(前記ベースにより形成された前記排水間隙に到達するために、流体が前記スラブ領域から、より長い距離にわたって流れる必要があるため)、有利である。
【0014】
一実施形態において、前記ステムは、その延在部全体(すなわちベースとスラブとの間に延在されたステムの延在方向における該ステムの全長ないし全高)にわたって円形断面(前記ステムの中央長手方向軸に対して垂直な水平面(単数又は複数)に含まれると定義する)を有し、当該円形断面の最大長さは、前記スラブに向かって、及び前記ベースに向かってより大きくなり、それにより、前記スラブと前記ベースとの間に湾曲面を画成している。円形断面を有するステムの場合の前記断面最大長さは直径に等しい。これは有利なことに、前記ブロックを通過する流体の流れを、より滑らかにする。なぜなら、前記緩衝スペースの滑らかな湾曲形状が乱流を低減させるからである。また、この湾曲形状は、表面張力作用により前記スラブの排水空間から前記ベースの排水空間へと流体が下方にガイドされる利点も有する。
【0015】
一実施形態において、前記ステムは、その延在部全体にわたって楕円形断面(前記ステムの中央長手方向軸に対して垂直な水平面(単数又は複数)に含まれると定義する)を有し、この楕円形断面は最大長さを有し、当該最大長さは、前記スラブに向かって、及び前記ベースに向かってより大きくなり、それにより、前記スラブと前記ベースとの間に湾曲面を画成している。楕円形断面は、有利なことに、特にブロックがハーフブロックとして製造される場合、ステム内の実体をより多くするので、より大きく且つ十分な支持を提供する。
【0016】
一実施形態において、前記ステムは、その延在部全体にわたって矩形断面(前記ステムの中央長手方向軸に対して垂直な水平面(単数又は複数)に含まれると定義する)を有し、断面は最大長さを有し、当該最大長さは、前記スラブに向かって、及び前記ベースに向かってより大きくなり、それにより、前記スラブと前記ベースとの間に湾曲面を画成している。矩形断面は、有利なことに、ブロック又はハーフブロックの、より容易で且つより費用効率的な製造を可能にする。
【0017】
一実施形態において、前記ステムの前記断面の直径又は前記断面の最大長さは、前記スラブに向かって最大になっている。これは、前記排水ブロックが都市部で使用されたときに、交通負荷によるより多くの応力に適応することを可能にする。これに加えて、又はその代わりに、前記ステムの前記断面は、検査及び/又は洗浄装置のためのスペースを提供するために、前記ベースに向かって、より小さく(可能な限り小さく)なっている。
【0018】
一実施形態において、前記ブロックはモノリシックである。すなわち、前記ブロックの全体がモノリシック要素として製造される。これは、金型を使用することにより達成され得る。モノリシックに又は一体的に形成されたブロックは、ブロックにより覆われ又は舗装されるべき領域又は地形上での組立時間を短縮するため、有利である。本明細書において、「モノリシック」とは、単一の材料片から形成されるブロックを意味する。
【0019】
別の実施形態において、前記スラブと前記ベースとは同一の高さを有する。前記スラブ及び前記ベースの高さは、例えば40cm又は45cmであり得る。前記スラブと前記ベースとが異なる厚さを有してもよく、例えば、前記スラブの高さが45cmで、前記ベースの高さが40cmであってもよい。このような実施形態は、特に都市環境に適しているであろう。都市環境では、波及び波の力を受けず、前記ブロックにより提供される抵抗がそれほど高い必要がないからである。都市環境においては、ベースとスラブの重量がほぼ等しいことを特徴とするブロックが、十分に安定的である。
【0020】
一実施形態において、前記ベースの高さは前記スラブの高さよりも高い。これは、有利なことに、より大きい抵抗(特には、堤防、又は、波及び波の力にさらされ得るその他の任意の領域での使用に適した抵抗)を有するブロックを提供する。また、これは、地形の傾斜又は坂を考慮して、変位に対するより大きい抵抗が必要な場合にも有利である。
【0021】
一実施形態において、前記ベースは、前記ベースを上側ベース部(上側ベースセクション)と下側ベース部(下側ベースセクション)とに分割する周方向溝を有する。この溝は、小さい割栗石を詰めたときに、前記ブロックの固定を有利に高める。このような実施形態は、堤防での使用に特に適しているであろう。前記サブセクションは、互いに完全には分離されていない。
【0022】
さらなる実施形態において、前記上側ベース部(前記周方向溝により形成されるような)は、前記上側サブセクションと同一の高さを有し得るスペーシング突出部を有する。これは、有利なことに、前記ブロック間の位置合わせの指標として機能するため、覆われるべき領域における前記ブロックの組立を容易にする。また、特には、前記上側ベース部のスペーシング突出部(単数又は複数)が、前記スラブの前記スペーシング突出部と同一の深さを有する場合、前記空間が、前記スラブ上に設けられた前記スペーシング突出部により形成されることを補助する。
【0023】
本発明の別の態様によれば、ストリップ排水ブロックが提供される。このストリップ排水ブロックは、スラブと、ベースと、前記スラブと前記ベースとを接続する複数のステムとを備え、当該複数のステムの各々が、前記スラブ及び前記ベースの最小断面積よりも小さい断面積を有する。前記スラブ及び前記ベースは、各々、2つの長手方向面を含み、各長手方向面が、複数のスペーシング突出部を含む。このようなブロックは、より大きい寸法により、組立又は所定領域の舗装が容易になるため、有利である。前記複数のステムは、任意の個数のステムを含み、例えば、少なくとも2つのステムを含み得る。或いは、前記複数のステムは、少なくとも3つのステムを含み得る。好ましくは、前記複数のステムは、少なくとも4つ~5つのステムを含み得る。これは、有利なことに、排水ブロック舗装の組立に必要な時間を短縮する。特に、5つ又は少なくとも5つのステムを有するブロック(又はハーフブロック)が、より強固で且つ製造がより容易である。
【0024】
一実施形態において、前記ストリップ排水ブロックの前記複数のステムの各々が、その延在部全体にわたって円形の断面(本明細書において「断面」は、前記ステムの中央長手方向軸に対して垂直な水平面(単数又は複数)に含まれるものと定義される)を有し、当該円形断面の直径は、前記ベースに向かって、及び前記スラブに向かって、より大きくなり、それにより、前記スラブと前記ベースとの間に湾曲面を画成している。これは、有利なことに、前記ブロックを通過する流体の流れを、より滑らかにする。なぜなら、前記緩衝スペースの滑らかな湾曲形状が乱流を低減させるからである。また、この湾曲形状は、表面張力作用により、前記スラブの排水空間から前記ベースの排水空間へと流体が下方にガイドされる利点も有する。
【0025】
代替的な実施形態において、前記ストリップ排水ブロックの前記複数のステムの各々が、その延在部全体にわたって楕円形の断面(本明細書において「断面」は、前記ステムの中央長手方向軸に対して垂直な水平面(単数又は複数)に含まれるものと定義される)を有し、この楕円形断面は最大長さを有し、当該最大長さは、前記ベースに向かって、及び前記スラブに向かってより大きくなり、それにより、前記スラブと前記ベースとの間に湾曲面を画成している。湾曲形状が、前記スラブに加えられる負荷を効率的に方向付ける。これは、前記ブロックに加えられる圧力が分散されるからであり、この分散とは、前記圧力のより高い領域においては材料を維持しながら材料を可能な限り節約できるような分散である。
【0026】
さらなる実施形態において、前記複数のステムの各々が、その延在部全体にわたって矩形の断面(本明細書において、「断面」は、前記ステムの中央長手方向軸に対して垂直な水平面(単数又は複数)に含まれるものと定義される)を有し、この矩形断面は最大長さを有し、当該最大長さは、前記ベースに向かって、及び前記スラブに向かって、より大きくなり、これにより、前記スラブと前記ベースとの間に湾曲面を画成している。湾曲形状が、前記スラブに加えられる負荷を効率的に方向付ける。これは、前記ブロックに加えられる圧力が分散されるからであり、この分散とは、前記圧力のより高い領域においては材料を維持しながら材料を可能な限り節約できるような分散である。
【0027】
さらなる実施形態において、前記複数のステムのうちの2つが、前記ブロックの2つの平坦な横方向端部を画成する外側ステムであり、この外側ステムは、半円形、半楕円形、又は半矩形の断面(上述のようなストリップ排水ブロックの、前記複数のステムの断面積により定義されるタイプによる)を含む。本明細書において、「半円形」の断面及び「半楕円形」の断面とは、円の半分の形状の断面及び楕円の半分の形状の断面を意味する。本明細書において、「半矩形」の断面とは、外側ステムの断面積が、外側ステムではないステムの断面積のほぼ半分であることを意味する。
【0028】
前記ブロックが2つの部分(すなわち2つのハーフブロック)で提供される場合、対応する外側ステムは、楔形状の断面(半円の半分に対応する)、又は、楕円の4分の1の形状の断面、又は、矩形の4分の1の形状の断面を有することになる。これらの形状は、ストリップ排水ブロックのタイプ(前記複数のステムの断面により定義される)によって決まる。排水ブロックの、外側ステムを含む横方向端部は、隣接するストリップ排水ブロックを接続するための面を提供する平坦な面により特徴付けられる。前記横方向端部は、好ましくは、隣接する2つのストリップ排水ブロック間の、より安定した接続が達成されるように平坦である。
【0029】
一実施形態において、前記複数のスペーシング突出部は、前記スラブ及び前記ベースに沿って凹部を画成する。本明細書において、用語「凹部」は、前記スラブ及び前記ベースの、スペーシング突出部を含まない部分(すなわち、これらの部分は前記スペーシング突出部に対して凹んでいる)を示すために用いられる。前記複数のスペーシング突出部の各々は、前記複数のステムの各々の最小断面の直径又は最大長さ以下の長さを有し得る。代替的に又は付加的に、前記複数のスペーシング突出部の各々は、前記ベース及びスラブの長手方向面の長さに対する比として定義される長さを有し、例えば、各スペーシング突出部は、前記スラブ又はベースの長手方向面の長さの15%の長さを有し得る。前記複数のスペーシング突出部の各々は、前記ベース及びスラブ上の前記凹部に対する、例えば3mmの深さ(又は厚さ)を有し得る。当該深さ又は厚さは、前記排水間隙又はスペーシングの所望の寸法に応じて、より大きくても又は小さくてもよい。間隙がより大きければ、排水速度が増大する。
【0030】
一実施形態において、前記複数のスペーシング突出部の各々が、前記複数のステムのうちの1つに位置合わせされている。或いは、前記スペーシング突出部は、前記ステムに位置合わせされないように配置されてもよい。例えば、前記スペーシング突出部は前記ステムに挿入されてもよい。前記スペーシング突出部の個数は前記ステムの個数に関連し得る。例えば、ストリップ排水ブロックにおいて、全体として、1つのステムごとに好ましくは2つのスペーシング突出部が設けられ、また、ストリップ排水ブロックにおいて、ハーフブロックとして、1つのステムごとに1つのスペーシング突出部が設けられる。これが、隣接するブロックを離間させるのに十分な能力を提供する。
【0031】
一実施形態において、本発明による排水ブロックは、ジオポリマーコンクリートを含むコンクリートからつくられる。前記ブロック(及びハーフブロック)をコンクリートから製造することにより、より強いブロックが得られ、具体的には、トップ又はカバー層(例えば、排水砂又は他のそのようなトップ層)を必要とせずに舗装として使用され得るブロックが得られる。前記排水ブロックを基礎/下部構造として使用する場合、本発明によるブロックの強度のおかげで、前記排水ブロックを覆うトップ層又はカバー層の厚さは、公知のブロックでの場合よりもはるかに薄くてよい。前記ブロック及びハーフブロックを製造するためのその他の材料、例えば、焼粘土又はプラスチックを用いることも可能である。
【0032】
好ましい実施形態において、前記排水ブロックは、ハーフスラブ、ハーフステム、及びハーフベース、並びに1つの平坦面を各々が含む2つのハーフブロックから構成される。当該ハーフブロックは、それぞれの平坦面に沿って、前記排水ブロックの中央長手方向面に対して対称であるように互いに隣接して配置される。このように、2つのハーフ排水ブロックを接合することにより、1つの完全な排水ブロックが形成される。本明細書において、「2つのハーフブロックを接合する」とは、2つのハーフブロックをそれらの平坦面に沿って互いに隣接させて(セメントなどの接着剤を用いて又は用いずに)配置するという意味である。好ましくは、前記ハーフブロックは、接着剤を使用せずに隣接される。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、上述の排水ブロックを製造するための、金型を使用して前記排水ブロックを形成するステップを含む方法が提供される。これにより、ブロックの製造が容易になる。こうして、本明細書に記載する物理的及び寸法的態様に準拠した金型が準備され、この金型に、前記排水ブロックを形成するために選択された材料が充填される。
【0034】
さらなる実施形態において、前記排水ブロックは、2つのハーフブロックを(以上に定義したように)隣接させることにより形成され、前記ハーフブロックは、金型を使用することにより形成される。
【0035】
以下に本発明を、添付図面を参照しつつ、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1A】本発明の一態様による排水ブロックを示す図の1つである。
【
図1B】本発明の一態様による排水ブロックを示す図の1つである。
【
図1C】本発明の一態様による排水ブロックを示す図の1つである。
【
図2】本発明の一態様による排水ブロックを複数配置した状態の図である。
【
図3A】本発明の別の態様による排水ブロックを示す図の1つである。
【
図3B】本発明の別の態様による排水ブロックを示す図の1つである。
【
図3C】本発明の別の態様による排水ブロックを示す図の1つである。
【
図4】本発明による排水ブロックを複数配置した状態の図である。
【
図5A】本発明の一態様によるストリップ排水ブロックを示す図の1つである。
【
図5B】本発明の一態様によるストリップ排水ブロックを示す図の1つである。
【
図6A】本発明によるストリップ排水ブロックを示す図の1つである。
【
図6B】本発明によるストリップ排水ブロックを示す図の1つである。
【
図7A】本発明の別の態様によるストリップ排水ブロックを示す図の1つである。
【
図7B】本発明の別の態様によるストリップ排水ブロックを示す図の1つである。
【
図8A】本発明の別の態様によるストリップ排水ブロックを示す図の1つである。
【
図8B】本発明の別の態様によるストリップ排水ブロックを示す図の1つである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1Aは、本発明の一実施形態による排水ブロック100の不等角投影図を示す。排水ブロック100は、スラブ102
と、単一のステム104
と、ベース106
とを備えている。
図1Bは、排水ブロック100の側面図を示す。
図1Cは、排水ブロック100の別の側面図及び断面II-IIを示す。ステム
104の断面
が示されている。ブロック100は高さH1を有する。スラブ102は高さH2を有し、ベース106は高さH3を有する。図示されている実施形態において、スラブとベースとは同一の高さを有する(すなわち、H2=H3)。
また、図示されている実施形態において、ステム104は、スラブ102とベース106との間に延在されており、スラブ102とベース106とを接続する柱状の形状を有している。ステム104は、長さD及び幅Rにより特徴付けられる半楕円形の断面を有し、DはRよりも大きい。半楕円形の断面は、ほぼ中央の領域から、ベース106及びスラブ102の両方に向かって増大する。しかしその増大は、スラブ102に向かっての方が、より大きい。
【0038】
図2は、複数のブロック100の配列200を示す。図に見られるように、4つのブロック100をほぼ正方形の配列で隣接させると、ほぼ十字形の排水ギャップ又はスペース202が形成される。ブロックは、1つのブロックのスペーシング突出部が別のブロックのスペーシング突出部に隣接するように隣接される。この場合、1つのブロックのベース及びスラブの両方のスペーシング突出部が、別のブロックのベース及びスラブのそれぞれのスペーシング突出部に隣接する。
【0039】
図3Aは、堤防で使用するためのブロック300の不等角投影図を示す。ブロック300は、スラブ302、単一のステム304、及び、ベース306を備えている。ベース306は、周方向溝308により上側ベース部306aと下側ベース部306bとに分割されている。上側ベース部306aは、その4つの面のうちの2つの面上にスペーシング突出部310を有する。
【0040】
図3Bは、ブロック300の側面図を示す。
図3Cは、別の側面図、及び、面II-IIに沿った断面図を示す。ブロック300は、上側ベース部306aの4つの面のうちの2つの面上にスペーシング突出部310を有する。ブロック300は高さH5を有し、スラブは高さH6を有する。ベースは高さH7を有し、上側ベース部はH7aを有し、下側ベース部は高さH7bを有する。ステムは高さH8を有する。周方向溝が、高さH9及び深さDを有する。ステム304は中央水平面に対して対称であり、中央領域からスラブ302及びベース306に向かって寸法が等しく増大している。
【0041】
図4は、複数のブロック300を配列した状態を示す。図に見られるように、4つのブロック300をほぼ正方形の配列で隣接させると、ほぼ十字形の排水ギャップ又はスペース402が、スラブのスペーシング突出部によって形成されることになる。ブロックは、1つのブロックのスペーシング突出部が別のブロックのスペーシング突出部に隣接するように隣接される。この場合、各ブロックのベースは2つのスペーシング突出部310のみを有し、これらの突出部310は、上側ベース部306aの対向面上に配置されている。
【0042】
図5Aは、本発明の一実施形態によるストリップ排水ハーフブロック500を示す。ブロック500は、スラブ502とベース504との間に配置された4つの離間されたステム506を含む。ベース及びスラブは、それぞれ、ステム506に位置合わせされたスペーシング突出部510及びスペーシング突出部512を有する。スラブは、2つの長手方向面502を有し、ベースは2つの長手方向面504を有する。
図5Bは、ブロック500の他側を示す。ブロック500は、高さHS1及び長さLS1を有する。
【0043】
図6Aは、スラブ606及びベース608を有するストリップ排水ハーフブロック600を示し、スラブ606が2つの長手方向面614を有し、ベース608が2つの長手方向面616を有する。複数のステム603がスラブ606とベース608との間に配置されている。この実施形態において、ストリップブロックは、2つの外側ステム604a,604bを有し、また、2つの平坦な横方向端部602を有する。スラブ606はその長手方向面の1つに沿ってスペーシング突出部612を有し、ベース608はその長手方向面の1つに沿ってスペーシング突出部610を有する。
図6Bは、ストリップハーフブロック600の他側を示している。
【0044】
図7Aは、ベース706及びスラブ702を有するストリップ排水ブロック700を示す。複数のステム704がスラブ702とベース706との間に配置されている。スラブは2つの長手方向面712を有し、ベースは2つの長手方向面714を有する。複数のスペーシング突出部710及び708が、前記長手方向面に沿って配置されている。
図7Bは、ブロック700の他側を示している。
【0045】
図8Aは、ベース806及びスラブ802を有するストリップ排水ブロック800を示す。合計で5つのステム804がスラブ802とベース806との間に配置されている。スラブは2つの長手方向面812を有し、ベースは2つの長手方向面814を有する。複数のスペーシング突出部810及び808が前記長手方向面に沿って配置されている。
図8Bは、ブロック800の他側を示している。
【0046】
本発明を、図面に示したような多数の例示的な実施形態に関して説明してきた。幾つかの部分又は要素の修正及び代替的な実施が可能であり、それらは、添付の特許請求の範囲で定義される保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
100 排水ブロック
102 スラブ
104 ステム
106 ベース
300 ブロック
306a 上側ベース部
306b 下側ベース部
308 周方向溝
310 スペーシング突出部
502 スラブ
504 ベース
602 横方向端部
604a 外側ステム
604b 外側ステム