IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エシコン エルエルシーの特許一覧

特許7146783屈曲したアンビル先端部、角度付けられたステープルカートリッジ先端部、及び組織把持機構を有する外科用ステープラ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】屈曲したアンビル先端部、角度付けられたステープルカートリッジ先端部、及び組織把持機構を有する外科用ステープラ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20220927BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019544717
(86)(22)【出願日】2018-02-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 US2018017931
(87)【国際公開番号】W WO2018152083
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】15/435,631
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】ベイバー・ダニエル・エル
(72)【発明者】
【氏名】ショーウォルター・ジョセフ・ピー
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03123950(EP,A1)
【文献】特表2006-525090(JP,A)
【文献】特表2016-508415(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0374373(US,A1)
【文献】米国特許第05452837(US,A)
【文献】特開昭51-098462(JP,A)
【文献】国際公開第2004/096057(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0239043(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/068
17/072
17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)本体部分と、
(b)前記本体部分から遠位方向に延在するシャフトと、
(c)前記シャフトと連通しているエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、開放構成と閉鎖構成との間で移動可能であり、前記エンドエフェクタが、組織を圧縮し、ステープル留めし、かつ切断するように動作可能であり、前記エンドエフェクタが、
(i)1つ以上のステープルを保持するように構成されたカートリッジであって、前記カートリッジが、ステープルデッキと、前記エンドエフェクタの長手軸に対して前記エンドエフェクタの下部つかみ具の下端方向に角度付けられた表面を有する鼻部分と、を含み、前記角度付けられた表面が、弾性パッドを含む、カートリッジ、及び
(ii)近位本体部分と、前記本体部分から遠位方向に延在する先端部と、を含む剛性アンビルであって、前記先端部が、前記エンドエフェクタの長手軸に対して前記エンドエフェクタの下部つかみ具の下端方向に屈曲した構成を含み、前記先端部は、前記エンドエフェクタが前記エンドエフェクタ内に組織が存在しない前記閉鎖構成にあるときに前記パッドと接触するように構成された突出部を更に含む、剛性アンビル、を含む、エンドエフェクタと、を備え、
前記エンドエフェクタが、第1の複数の把持機構と、第2の複数の把持機構と、を更に含み、前記第1の複数の把持機構のそれぞれが前記カートリッジの前記ステープルデッキの長手方向に沿って延在し、前記第2の複数の把持機構のそれぞれが前記鼻部分の前記角度付けられた表面上に均等な間隔で位置付けられ、前記第1及び第2の複数の把持機構が、前記閉鎖構成にあるときに前記エンドエフェクタの間につかまれた組織に接触するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記カートリッジの前記鼻部分が、第1の鈍い端部を含み、前記アンビルの前記先端部が、第2の鈍い端部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エンドエフェクタが前記閉鎖構成にあるときに、前記第2の鈍い端部が、前記第1の鈍い端部と長手方向に整列される、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記ステープルデッキが、第1の平面を画定し、前記先端部が、第2の平面を画定する内面を含み、前記鼻部分の前記角度付けられた表面が、第3の平面を画定し、前記第2の平面前記第3の平面が、前記エンドエフェクタが前記閉鎖構成にあるときに、接することなく、平行ではない、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の平面と前記第1の平面との第1の交点によって形成される第1の角度が、前記第3の平面と前記第1の平面との第2の交点によって形成される第2の角度よりも大きい、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記突出部が、球状凸面を含む、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記鼻部分の前記角度付けられた表面が、前記先端部の前記球状凸面に相補的な凹部を含む、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記カートリッジの前記ステープルデッキが、マルチレベルステープルデッキを含む、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
切開創をより小さくすることで、術後の回復時間及び合併症を低減させ得ることから、一部の状況では、従来の開腹外科用デバイスよりも内視鏡外科用器具が好ましい場合がある。このため、内視鏡外科用器具の中には、トロカールのカニューレを通して所望の手術部位に遠位エンドエフェクタを配置するのに適したものがある。これらの遠位エンドエフェクタは、様々な形で組織と係合して診断又は治療効果を得ることができる(例えば、エンドカッター、把持具、カッター、ステープラ、クリップアプライヤ、アクセス装置、薬物/遺伝子治療送達装置、及び超音波、RF、レーザなどを使用するエネルギー送達装置など)。内視鏡外科用器具は、エンドエフェクタとハンドル部分との間に、臨床医によって操作されるシャフトを含み得る。このようなシャフトは、所望の深さへの挿入及びシャフトの長手方向軸を中心とした回転を可能にし、それにより患者の体内でエンドエフェクタの位置付けを行うことを容易とする。エンドエフェクタの位置付けは、エンドエフェクタをシャフトの長手方向軸に対して選択的に関節動作させるか又は別様に偏向させることを可能にする、1つ以上の関節ジョイント又は機構を含めることによって更に容易に行うことができる。
【0002】
内視鏡外科用器具の例として、外科用ステープラが挙げられる。このようなステープラのいくつかは、組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、組織層を通してステープルを打ち込むことによって、組織層の切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的にシールするように動作可能である。あくまで例示の外科用ステープラが、1989年2月21日に発行された、「Pocket Configuration for Internal Organ Staplers」と題する、米国特許第4,805,823号、1995年5月16日に発行された、「Surgical Stapler and Staple Cartridge」と題する、米国特許第5,415,334号、1995年11月14日に発行された、「Surgical Stapler Instrument」と題する、米国特許第5,465,895号、1997年1月28日に発行された、「Surgical Stapler Instrument」と題する、米国特許第5,597,107号、1997年5月27日に発行された、「Surgical Instrument」と題する、米国特許第5,632,432号、1997年10月7日に発行された、「Surgical Instrument」と題する、米国特許第5,673,840号、1998年1月6日に発行された、「Articulation Assembly for Surgical Instruments」と題する、米国特許第5,704,534号、1998年9月29日に発行された、「Surgical Clamping Mechanism」と題する、米国特許第5,814,055号、2005年12月27日に発行された、「Surgical Stapling Instrument Incorporating an E-Beam Firing Mechanism」と題する、米国特許第6,978,921号、2006年2月21日に発行された、「Surgical Stapling Instrument Having Separate Distinct Closing and Firing Systems」と題する、米国特許第7,000,818号、2006年12月5日に発行された、「Surgical Stapling Instrument Having a Firing Lockout for an Unclosed Anvil」と題する、米国特許第7,143,923号、2007年12月4日に発行された、「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multi-Stroke Firing Mechanism with a Flexible Rack」と題する、米国特許第7,303,108号、2008年5月6日に発行された、「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multistroke Firing Mechanism Having a Rotary Transmission」と題する、米国特許第7,367,485号、2008年6月3日に発行された、「Surgical Stapling Instrument Having a Single Lockout Mechanism for Prevention of Firing」と題する、米国特許第7,380,695号、2008年6月3日に発行された、「Articulating Surgical Stapling Instrument Incorporating a Two-Piece E-Beam Firing Mechanism」と題する、米国特許第7,380,696号、2008年7月29日に発行された、「Surgical Stapling and Cutting Device」と題する、米国特許第7,404,508号、2008年10月14日に発行された、「Surgical Stapling Instrument Having Multistroke Firing with Opening Lockout」と題する、米国特許第7,434,715号、2010年5月25日に発行された、「Disposable Cartridge with Adhesive for Use with a Stapling Device」と題する、米国特許第7,721,930号、2010年10月21日に公開された、「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」と題する、米国特許出願公開第2010/0264193号、及び2012年9月20日に公開された、「Motor-Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」と題する、米国特許出願公開第2012/0239012号に開示されている。上に引用した米国特許及び米国特許出願公開のそれぞれの開示内容を参照により本明細書に援用するものとする。
【0003】
上述した外科用ステープラは、内視鏡処置において使用されるものとして記載されているが、このような外科用ステープラは、開口処置及び/又は他の非内視鏡処置でも使用することができることを理解されたい。あくまで例としてであるが、トロカールをステープラの導管として使用しない胸部外科手術では、外科用ステープラを開胸術によって患者の肋骨の間に挿入して1つ以上の臓器に到達させることもできる。このような処置では、肺につながる血管を切断及び閉鎖するためにステープラが使用される場合もある。例えば、臓器につながる血管を、胸腔から臓器を切除する前にステープラによって切断し閉鎖することができる。当然のことながら、外科用ステープラは、様々なその他の状況及び処置において使用され得る。
【0004】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書に組み込まれその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【0006】
図1】例示的な関節動作外科用ステープル留め器具の斜視図を示す。
図2図1の器具の側面図を示す。
図3図1の器具の開放されたエンドエフェクタの斜視図を示す。
図4A】発射ビームが近位位置にある、図3の線4-4に沿って取られた、図3のエンドエフェクタの側面断面図を示す。
図4B】発射ビームが遠位位置にある、図3の線4-4に沿って取られた、図3のエンドエフェクタの側面断面図を示す。
図5図3の線5-5に沿って取られた、図3のエンドエフェクタの端断面図を示す。
図6図3のエンドエフェクタの分解斜視図を示す。
図7】組織に位置付けられ、かつ組織内で1回作動された後の、図3のエンドエフェクタの斜視図を示す。
図8】角度付けられたアンビル及び角度付けられたカートリッジを有する、代替の変形形態のエンドエフェクタの斜視図を示す。
図9図8のエンドエフェクタの拡大側面図を示す。
図10図8のエンドエフェクタの拡大上面図を示す。
図11】開放構成で示される湾曲したアンビル先端部を有するエンドエフェクタの別の代替の変形形態の遠位部分の斜視図を示す。
図12図11のエンドエフェクタの側面図を示す。
図13図11のエンドエフェクタの側面図であるが、閉鎖構成で示されている。
図14図13のエンドエフェクタの遠位部分の拡大側面図を示す。
図15図12の線15-15に沿って取られた、図11のエンドエフェクタのアンビルの断面図を示す。
図16図12の線15-15と同様の断面線に沿って取られた、図11のエンドエフェクタのアンビルの代替の変形形態の断面図を示す。
図17図11のエンドエフェクタのアンビルの代替の変形形態の部分斜視図を示す。
図18図11のエンドエフェクタのアンビルの別の代替の変形形態の部分斜視図を示す。
図19】協働する剛性のアンビル先端部及びカートリッジ先端部機構を有するエンドエフェクタの代替の変形形態の遠位部分の拡大側面図を示す。
図20】カートリッジ上に追加の把持機構を組み込み、剛性の屈曲した先端部を有するアンビルと共に使用される、エンドエフェクタの代替の変形形態の遠位部分の拡大側面図を示す。
図21図20のエンドエフェクタのカートリッジの遠位部分の拡大斜視図を示す。
図22】開放構成で示される湾曲したアンビル先端部を有する、エンドエフェクタの代替の変形形態の遠位部分の斜視図を示す。
【0007】
図面は、いかなる方法でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方法で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明は、示される正確な配置に限定されない点が理解される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものとみなされるべきである。
【0009】
I.例示的な外科用ステープラ
図1図7は、外科的処置を行うために、図1に描写されるような非関節動作状態で、トロカールカニューレを通って患者内の手術部位まで挿入するように寸法決めされている、例示の外科用ステープル留め及び切断器具(10)を示している。単なる例として、患者の腹部内に、患者の2本の肋骨の間に、又はその他の部位に、そのようなトロカールを挿入し得る。一部の状況では、器具(10)は、トロカールなしで使用される。例えば、開胸又は他の種類の切開によって、器具(10)を直接挿入してもよい。本発明の実施例の器具(10)は、シャフト(22)に結合しているハンドル部分(20)を含む。シャフト(22)は、関節動作ジョイント(11)内で遠位方向に終端し、エンドエフェクタ(12)と更に連結されている。本明細書では、「近位」及び「遠位」といった用語は、器具(10)のハンドル部分(20)を把持している臨床医を基準として使用されていることを理解されたい。したがって、エンドエフェクタ(12)は、より近位にあるハンドル部分(20)に対して遠位にある。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「垂直」及び「水平」といった空間的用語は、図面に対して使用されている点も更に理解されるであろう。しかしながら、外科器具は、多くの配向及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0010】
いくつかの変形形態では、シャフト(22)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する、米国特許出願公開第2014/0239038号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され得る。単に更なる一例として、シャフト(22)は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2015年10月1日に公開された、「Surgical Instrument Comprising a Sensor System」と題する、米国特許公開第2015/0272575号の教示の少なくともいくつかに従ってハンドル部分(20)から取り外し可能であってもよい。いくつかの他の変形形態では、シャフト(22)、はハンドル部分(20)から取り外し可能ではない。シャフト(22)の他の好適な構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0011】
関節動作ジョイント(11)及びエンドエフェクタ(12)が、トロカールのカニューレ通路を通って一旦挿入されると、関節動作ジョイント(11)は、図1に幻影で描写されるように、関節動作制御部(13)によって遠隔に関節動作することができ、その結果、エンドエフェクタ(12)を、シャフト(22)の長手方向軸線(LA)から所望の角度(α)に偏向することができる。エンドエフェクタ(12)は、そのようにして、所望の角度から又は他の理由で、臓器の背後に到達するか又は組織に近づくことができる。いくつかの変形形態では、関節動作ジョイント(11)は、単一の平面に沿ってエンドエフェクタ(12)を偏向することができる。その他のいくつかの形態においては、関節動作ジョイント(11)は、1つより多くの平面に沿ってエンドエフェクタを偏向することができる。関節動作ジョイント(11)及び関節動作制御部(13)は、本明細書で引用される多数の引用文献のうちのいずれかの教示に従って構成されてよい。あるいは、関節動作ジョイント(11)及び/又は関節動作制御部(13)は、他の任意の好適な構成を有していてもよい。単なる例として、関節動作制御部(13)は、シャフト(22)の長手方向軸線(LA)に直交する軸を中心に回転するノブとして代わりに構成されてもよい。
【0012】
いくつかの変形形態では、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年11月17日に発行された、「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する、米国特許第9,186,142号の教示のうちの少なくともいくつかに従って、関節接合部(11)及び/又は関節接合制御部(13)が構成され動作可能である。関節動作ジョイント(11)はまた、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する、米国特許出願公開第2014/0239038号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され動作可能であり得る。関節動作ジョイント(11)及び関節動作制御部(13)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0013】
本例のエンドエフェクタ(12)は、下側つかみ具(16)及び枢動可能なアンビル(18)を含む。いくつかの変形形態では、下部つかみ具(16)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する、米国特許出願公開第2014/0239044号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成されている。アンビル(18)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する、米国特許出願公開第2014/0239042号の教示のうちの少なくともいくつか、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する、米国特許出願公開第2014/0239036号の教示のうちの少なくともいくつか、及び/又はその開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する、米国特許出願公開第2014/0239037号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され得る。下部つかみ具(16)及びアンビル(18)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0014】
ハンドル部分(20)は、ピストル把持部(24)及び閉鎖トリガー(26)を含む。閉鎖トリガー(26)は、ピストル把持部(24)に向かって枢動可能であり、エンドエフェクタ(12)の下部つかみ具(16)に向かってアンビル(18)のクランプすなわち閉鎖を行うことができる。かかるアンビル(18)の閉鎖は、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(33)を介してもたらされ、その両方とも、ピストル把持部(24)に対する閉鎖トリガー(26)の枢動に応じてハンドル部分(20)に対して長手方向に移動する。閉鎖管(32)は、シャフト(22)の長さに沿って延在し、閉鎖用リング(33)は、関節動作ジョイント(11)の遠位に位置付けられている。関節動作ジョイント(11)は、閉鎖管(32)から閉鎖用リング(33)までの長手方向の運きを伝達/伝動するように動作可能である。
【0015】
ハンドル部分(20)はまた、発射トリガー(28)を含む。細長部材(図示せず)は、シャフト(22)を通って長手方向に延在し、発射トリガー(28)の作動に応じて、ハンドル部分(20)から発射ビーム(14)まで長手方向の発射動作を伝達する。以下で更に詳細に説明されるように、発射ビーム(14)が遠位に移動することにより、エンドエフェクタ(12)においてクランプされた組織のステープル留め及び切断が行われる。その後、トリガー(26、28)を解放して、エンドエフェクタ(12)から組織を解放することができる。
【0016】
図3図6は、数多くの機能を実行するためにEビーム形態の発射ビーム(14)を取り入れているエンドエフェクタ(12)を示す。Eビーム形態は、単なる例示としての一例であることを理解されたい。発射ビーム(14)は、他の任意の好適な形態を有していてもよく、それには非Eビーム形態が含まれるが、これに限定されるものではない。図4A及び図4Bに最もわかりやすく示されるように、発射ビーム(14)は、横断方向に配向された上方ピン(38)と、発射ビームキャップ(44)と、横断方向に配向された中間ピン(46)と、遠位方向に提示された切断縁部(48)と、を含む。上方ピン(38)は、アンビル(18)の長手方向アンビルスロット(42)内に位置付けられ、長手方向アンビルスロット(42)内を移動可能である。発射ビームキャップ(44)は、下部つかみ具(16)を通って形成された下部つかみ具スロット(45)(図4Bに図示)を通って延在する発射ビーム(14)を有することによって、下部つかみ具(16)の下面に摺動可能に係合する。中間ピン(46)は、発射ビームキャップ(44)と協働する下部つかみ具(16)の上面に摺動可能に係合する。これにより、発射ビーム(14)は、発射中に、エンドエフェクタ(12)の間隔を肯定的に取る。
【0017】
一部の非Eビーム形態の発射ビーム(14)は、上方ピン(38)、中間ピン(46)、及び/又は発射ビームキャップ(44)が欠けていてもよい。器具(10)のいくつかのかかる変形形態は、閉鎖用リング(33)又はその他の機構に単に依存して、発射ビーム(14)が遠位位置へと前進する間、閉鎖位置までアンビル(18)を枢動させ、閉鎖位置にアンビル(18)を保持してもよい。あくまで一例として、発射ビーム(14)及び/又は関連するロックアウト機構は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する、米国特許出願公開第2014/0239041号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され動作可能であり得る。発射ビーム(14)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0018】
図3は、近位に位置付けられている本例の発射ビーム(14)と、開放位置まで枢動されたアンビル(18)と、を示しており、下部つかみ具(16)のチャネル内に、未使用のステープルカートリッジ(37)を着脱可能に装着できる。図5及び図6に最もわかりやすく示されるように、この例のステープルカートリッジ(37)は、上部デッキ(72)を提示し、下部カートリッジトレー(74)と連結されている、カートリッジ本体(70)を含む。図3に最もわかりやすく示されるように、垂直スロット(49)が、ステープルカートリッジ(37)の一部を通じて形成されている。やはり図3に最もわかりやすく示されるように、3列のステープル開口部(51)が、垂直スロット(49)の片側の上部デッキ(72)を貫通して形成され、別の3列のステープル開口部(51)の組が、垂直スロット(49)の他方の側の上部デッキ(72)を貫通して形成されている。勿論、任意の他の好適なステープルの列数(例えば、2列、4列、その他の列数)が提供されてもよい。再度図4A図6を参照すると、楔形スレッド(41)及び複数のステープルドライバ(43)は、カートリッジ本体(70)とトレー(74)との間に捕捉されており、楔形スレッド(41)は、ステープルドライバ(43)に近位に位置付けられている。楔形スレッド(41)は、ステープルカートリッジ(37)内で長手方向に移動可能であり、一方、ステープルドライバ(43)は、ステープルカートリッジ(37)内で垂直に移動可能である。ステープル(47)はまた、カートリッジ本体(70)内部で、対応するステープルドライバ(43)の上に配置されている。特に、各ステープル(47)は、ステープルドライバ(43)によってカートリッジ本体(70)内部で垂直方向に打ち込まれることで、付随するステープル開口部(51)からステープル(47)を外へと打ち出す。図4A図4B、及び図6に最もわかりやすく示されるように、楔形スレッド(41)は、楔形スレッド(41)がステープルカートリッジ(37)を通って遠位方向に駆動されるにつれてステープルドライバ(43)を上方に促す、傾斜したカム表面を提示する。
【0019】
いくつかの変形形態では、ステープルカートリッジ(37)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する、米国特許出願公開第2014/0239042号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され動作可能である。追加的に又は代替的に、ステープルカートリッジ(37)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する、米国特許出願公開第2014/0239044号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され動作可能であってもよい。ステープルカートリッジ(37)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0020】
図4A及び図4Bに描写されるように、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(33)を遠位方向に前進させることによってエンドエフェクタ(12)が閉鎖された状態で、発射ビーム(14)は、次いで、上方ピン(38)を長手方向アンビルスロット(42)に入れることによって、アンビル(18)と係合して前進する。プッシャブロック(80)(図5に図示)は、発射ビーム(14)の遠位端に位置し、かつ、発射トリガー(28)が作動した際、発射ビーム(14)がステープルカートリッジ(37)を通って遠位方向に前進するにつれてプッシャブロック(80)が楔形スレッド(41)を遠位方向に押すように、楔形スレッド(41)と係合するように構成されている。かかる発射中に、発射ビーム(14)の切断縁部(48)は、ステープルカートリッジ(37)の垂直スロット(49)に入り、ステープルカートリッジ(37)とアンビル(18)との間にクランプされている組織を切断する。図4A及び図4Bに示すように、中間ピン(46)及びプッシャブロック(80)は共に、ステープルカートリッジ(37)内の垂直スロット(49)内に入ることによって、ステープルカートリッジ(37)を作動させ、楔形スレッド(41)をステープルドライバ(43)との上向きのカム接触へと駆動すると、ステープル(47)は、ステープル開口部(51)を通って外へと打ち込まれ、アンビル(18)の内面のステープル成形ポケット(53)(図3に図示)と接触する。図4Bは、組織の切断及びステープル留めが完了した後、遠位方向に完全に移動した発射ビーム(14)を示す。ステープル成形ポケット(53)は、図4A図4Bの図から意図的に省略されているが、図3にはステープル成形ポケット(53)が示されていることを理解されたい。また、アンビル(18)は、図5の図から意図的に省略されていることも理解されたい。
【0021】
図7は、組織(90)を通した1回のストロークを通じて作動されたエンドエフェクタ(12)を示している。図示されるように、切断縁部(48)(図7では不明瞭)は、組織(90)を切断しており、一方、ステープルドライバ(43)は、切断縁部(48)が作り出した切断線の各側で、組織(90)を通して3本の交互の列のステープル(47)を打ち込んでいる。この例では、全てのステープル(47)が切断線とほぼ平行に配向されているが、ステープル(47)は、任意の好適な配向で位置付けされ得る点を理解されたい。本例では、第1のストロークが完了した後にエンドエフェクタ(12)をトロカールから引き抜き、使用済みのステープルカートリッジ(37)を新しいステープルカートリッジと交換してから、エンドエフェクタ(12)を再びトロカールを通じて挿入して、ステープル留めする部位に到達させて更なる切断及びステープル留めを行う。所望の量の切断及びステープル(47)が与えられるまで、このプロセスを繰り返すことができる。トロカールを通した挿入及び引き抜きを容易にするためにはアンビル(18)を閉鎖する必要があり得、ステープルカートリッジ(37)の交換を容易にするためにはアンビル(18)を開放する必要があり得る。
【0022】
各作動ストロークの間に、ステープル(47)が組織を通して打ち込まれるのとほぼ同時に、切断縁部(48)が組織を切断することができる点を理解されたい。本例において、切断縁部(48)は、ステープル(47)の打ち込みよりもごくわずかに遅れて進むので、ステープル(47)は、切断縁部(48)が組織の同じ領域を通過する直前に組織を通して打ち込まれるが、この順序を逆にすることができる点、又は切断縁部(48)が、隣接するステープルと直接的に一緒に動いてもよい点を理解されたい。図7は、2層(92、94)の組織(90)で作動しているエンドエフェクタ(12)を示しているが、エンドエフェクタ(12)は、1層の組織(90)、又は2層(92、94)を超える組織を通して作動され得る点を理解されたい。また、切断縁部(48)が形成する切断線に隣接するステープル(47)の成形及び位置付けにより、切断線において組織を実質的にシールすることができ、これにより、切断線での出血及び/又は他の体液の漏出を低減又は防止することができる点も理解されたい。また、図7は、ほぼ扁平で、付着された平面な2層(92、94)の組織で作動しているエンドエフェクタ(12)を示しているが、エンドエフェクタ(12)は、血管、胃腸管の一部分などの管状構造に交差して作動してもよいことを理解されたい。したがって、図7は、エンドエフェクタ(12)の企図される使用方法の何らの制限について説明しているものとして考慮されるべきではない。器具(10)を使用することができる様々な好適な状況及び処置は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0023】
一変形形態において、器具(10)は、発射ビーム(14)の電動制御を提供する。発射ビーム(14)の電動制御を提供するために使用され得る例示的な構成要素は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する、米国特許出願公開第2014/0239043号に示され記載されている。前述に加えて又は前述の代わりに、少なくとも電動制御の一部は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年7月3日に発行された、「Motor-Driven Surgical Instrument」と題する、米国特許第8,210,411号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成されてよい。前述に加えて又は前述の代わりに、発射ビーム(14)を駆動させるように動作可能な機構は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0239012号の教示のうちの少なくともいくつかに従って、及び/又はその開示もまた参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0239012号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成されてよい。発射ビーム(14)の電動化を提供するための他の好適な構成要素、機構、及び構成は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかになるであろう。他のいくつかの変形形態では、発射ビーム(14)の手動駆動が提供されて、モータが省かれてもよいことも理解されるべきである。単なる例として、発射ビーム(14)は、本明細書で引用される任意のその他の特許/特許公報の教示の少なくともいくつかの教示に従って作動することができる。
【0024】
器具(10)はまた、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する、米国特許出願公開第2014/0239043号に示され記載されている、ロックアウトスイッチ及びロックアウト指示器を含んでもよい。加えて、ロックアウトスイッチ及び/又はロックアウト指示器、並びに関連する構成要素/機能性は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年1月12に発行された、「Electronic Lockouts and Surgical Instrument Including Same」と題する、米国特許第7,644,848号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成されてよい。
【0025】
器具(10)はまた、「緊急救済(bailout)」機構として機能するように構成された手動戻りスイッチ(116)を含んで、操作者が発射ストローク中に発射ビーム(14)の近位方向への後退を即座に開始することができる。つまり、手動戻りスイッチ(116)は、発射ビーム(14)が部分的にしか遠位方向に前進していない場合に手動で作動できる。手動戻りスイッチ(116)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する、米国特許出願公開第2014/0239043号の教示のうちの少なくともいくつかに従って更なる機能性を提供し得る。
【0026】
器具(10)の操作を説明する際に、「枢動する」という用語(及び「枢動」を基体とした類義語)の使用は、必ずしも固定軸を中心とした枢動運動を必要とすると理解されるべきではない。いくつかの変形形態では、アンビル(18)は、アンビル(18)が下部つかみ具(16)に向かって動く際に細長スロット又はチャネルに沿って摺動するピン(又は同様の機構)によって画定される軸を中心として枢動する。かかる変形形態では、枢軸がスロット又はチャネルによって画定される経路に沿って移動する一方で、アンビル(18)も同時にその枢軸を中心として枢動する。追加的に又は代替的に、まず枢軸がスロット/チャネルに沿って摺動し、次いで枢軸がスロット/チャネルに沿ってある一定の距離を摺動した後、アンビル(18)が枢軸を中心として枢動してもよい。そのような摺動/並進枢動運動は、「枢動」、「枢動する」、「枢動の」、「枢動可能な」、「枢動している」などの用語内に包含されることを理解されたい。当然のことながら、いくつかの変形形態は、固定されたままでありかつスロット又はチャネルなどの内側を並進しない軸を中心としたアンビル(18)の枢動運動を提供し得る。
【0027】
器具(10)は、以下の教示のうちのいずれかに従って構成され動作可能であり得ることを理解されたい:米国特許第4,805,823号、同第5,415,334号、同第5,465,895号、同第5,597,107号、同第5,632,432号、同第5,673,840号、同第5,704,534号、同第5,814,055号、同第6,978,921号、同第7,000,818号、同第7,143,923号、同第7,303,108号、同第7,367,485号、同第7,380,695号、同第7,380,696号、同第7,404,508号、同第7,434,715号、同第7,721,930号、米国特許出願公開第2010/0264193号、及び/又は同第2012/0239012号。上述のように、それらの特許及び公報のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。器具(10)に提供され得る更なる例示的な改変を、以下でより詳細に述べる。以下の教示を器具(10)に組み込むことができる様々な好適な方法が、当業者には明らかであろう。同様に、以下の教示を本明細書で引用される特許/公報の様々な教示と組み合わせることができる様々な好適な方法は、当業者には明らかであろう。また、以下の教示は、本明細書に引用される特許に教示される器具(10)又はデバイスに限定されない点も理解されたい。以下の教示は、外科用ステープラとして分類されない器具を含む様々な他の種類の器具にも容易に応用可能である。以下の教示を適用することができる様々な他の好適なデバイス及び状況は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかになるであろう。
【0028】
II.可視化、引込、及び収集機構を有する例示的なエンドエフェクタ
いくつかの例では、ユーザにエンドエフェクタ(12)のより良好な可視化をもたらすことが望まれ得る。特に、エンドエフェクタ(12)が手術部位に挿入される際、ユーザは、処置中に器具(10)のシャフト(22)を回転させる場合がある。その結果、エンドエフェクタ(12)もまた、回転する。エンドエフェクタ(12)が回転する際、手術部位を目視できることがユーザにとって望まれ得る。例えば、ユーザは、組織(90)とエンドエフェクタ(12)との間の境界面又は接触面を見たいと望む場合がある。エンドエフェクタ(12)はハンドル部分(20)に対して長手方向軸線(LA)を中心に回転できるため、ユーザは、アンビル(18)ではなく、エンドエフェクタの下部つかみ具(16)が見えるように、手術部位を見ることができる。あるいは、ユーザがエンドエフェクタ(12)を見る際、アンビル(18)がユーザに見えるように、エンドエフェクタ(12)を回転させることができる。図1の器具(10)において可能であるもの以上に手術部位の視認性をユーザに提供することが望まれ得る。例えば、流体を輸送している血管を切断し、ステープル留めを行ういくつかの外科的処置の場合には、アンビル(18)及び下部つかみ具(16)が、切断されるべき血管を完全に覆っていることが目視確認でき、1回の作動で血管を完全に切断かつステープル留めできることが望まれ得る。つまり、ユーザは、血管の一部分のみを切断及びステープル留めすることを回避したいと望む場合がある。したがって、アンビル(18)及び下部つかみ具(16)が血管を完全にクランプできるように、エンドエフェクタ(12)が手術部位内に適切に位置付けられたことがユーザにわかるような、目視によるモニタリング及び/又はフィードバックの手段が望まれ得る。手術部位をモニタリングする1つの考えられる方法として、下部つかみ具(16)及びアンビル(18)の遠位先端部に隣接する区域の可視性を改善することが挙げられる。更に、エンドエフェクタ(12)の遠位端の可視化が望ましい場合があるだけでなく、アンビル(18)が下部つかみ具(16)に向かって閉鎖する際にアンビル(18)の遠位端がアンビル(18)と下部つかみ具(16)との間の空間内に組織(例えば、大血管)を近位方向に付勢するように構成されるように、エンドエフェクタ(12)を構成することが望ましい場合がある。
【0029】
図8は、アンビル(218)及び下部つかみ具(216)を含む例示のエンドエフェクタ(212)を示す。エンドエフェクタ(212)は、器具(10)のエンドエフェクタ(12)の代わりに使用され得ることが理解されよう。エンドエフェクタ(212)は、器具(10)と一体的に形成されてもよいし、あるいは、器具(10)のエンドエフェクタ(12)と互換的であってもよい。
【0030】
アンビル(218)は、下部つかみ具(216)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(218)及び下部つかみ具(216)は、図1に示すアンビル(18)及び下部つかみ具(16)によって行われるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。エンドエフェクタ(212)は、図3に示すカートリッジ(37)と同様に、下部つかみ具(216)内に定置されるように動作可能なカートリッジ(237)を更に備える。
【0031】
図8図10で見ることができるように、アンビル(218)は、細長形状を有し、ここではアンビル(218)の遠位部分がカートリッジ(237)に向かって角度付けられている。アンビル(218)の遠位部分は、アンビル(218)の最遠位先端部(219)がカートリッジ(237)よりも更に遠位に長手方向に延在するように、カートリッジ(237)に向かって角度付けられている。しかし、いくつかの変形形態では、遠位先端部(219)は、長手方向にカートリッジ(237)と等しい距離まで延在してもよく、又はカートリッジ(237)上の最遠位点よりも近位に延在してもよい。更に、アンビル(218)は、緩斜面によってカートリッジ(237)に向かって角度付けられている。図10で最もわかりやすく示されるように、アンビル(218)は、アンビル(218)の最遠位先端部(219)に近づくにつれて先細りになる側面(241)を含む。単なる例として、アンビル(218)は、図8においては、反転したスキー先端部と同様な形状にされている。アンビル(218)の角度付けられた形状により、エンドエフェクタ(212)を手術部位へより容易に挿入できる。例えば、アンビル(218)の緩斜面又は反転したスキー先端部形状は、アンビル(218)が組織に接触する際、若しくは組織を通って動く際、非外傷性の組織偏向表面を提供することができる。このような非外傷性の組織偏向は、アンビル(218)が下部つかみ具(216)に向かって閉鎖するにつれて、組織(例えば、大血管)をアンビル(218)と下部つかみ具(216)との間の空間内に近位方向に付勢することを含み得る。一旦手術部位に配置されると、アンビル(218)の角度付けられた形状はまた、エンドエフェクタ(212)のより良好な操作性、及び外科手術部位における解剖学的構造に対するエンドエフェクタ(212)の遠位端のより良好な視認性を提供し得る。アンビル(218)の他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0032】
カートリッジ(237)は、組織内に打ち込むための、図4Aに示すステープル(47)と同様のステープルを保持するように動作可能である。図9に示されるように、カートリッジ(237)の遠位端は、三角形の外形を有する。特に、カートリッジ(237)の遠位端は、先細り上面(239)及び先細り下面(238)を備える。加えて、カートリッジ(237)の遠位端は、各側に先細りの側面(243)を含む。本実施例では、カートリッジ(237)の各先細り側面(243)は、アンビル(218)の側面(241)によって提示される先細りとほぼ整列する。したがって、図10に示されるように、カートリッジ(237)の側面(243)は、アンビル(218)の側部(241)を越えてエンドエフェクタ(212)の長手方向軸(LA)から外方に延在しない。先細り上面(239)及び先細り下面(238)は、カートリッジ(237)の最遠位端につながる。先細り下面(238)は、視線(240)を画定し、そのためエンドエフェクタ(212)が手術部位に一旦挿入されると、ユーザは、視線(240)に沿って見ることができる。視線(240)は、先細り下面(238)の縁部に沿って延在する。先細り下面(238)の平面形状は、ユーザがアンビル(218)の遠位先端部(219)を可視化できる、かつ/又はほぼ可視化できるように動作可能であり得ることが理解されよう。特に、視線(240)は、エンドエフェクタ(212)を通って長手方向に延在する長手方向軸線(LA)と交差して、視野角(θ)を形成する。
【0033】
視野角(θ)により、ユーザが遠位先端部(219)に対して有する相対的視認性を確立できる。特に、ユーザは、視野角(θ)の範囲内で、視線(240)と長手方向軸線(LA)との交点を通過する任意の視線に沿って、遠位先端部(219)を正面から見ることができる。例えば、視野角(θ)が増加するにつれて、ユーザは、近位の観点から遠位先端部(219)のすぐ前の区域のより大きい視認性を有することになるが、視野角(θ)が減少すると、ユーザは、近位の観点から遠位先端部(219)の前方の区域のより低い視認性を有する。いくつかの変形形態では、視野角(θ)は、90度を超える角度を画定する。加えて、いくつかの変形形態では、視野角(θ)は、135度を超える角度を画定する。視野角(θ)の他の好適な角度は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。例示された変形形態では、ユーザは、一般に、視線(240)に沿って又は視野角(θ)の範囲内のいくつかの他の視線に沿って見るため、ユーザは、視線及び視野角(θ)の範囲内の任意の区域に沿った視認性を有する。遠位先端部(219)の下面は、長手方向軸線(LA)と視線(240)との交点の視認性を補助するために更にわずかに丸みを帯びている。
【0034】
組織(90)が、閉鎖されたカートリッジ(237)とアンビル(218)との間にクランプされると、ユーザは、視線(240)に沿って又は視野角(θ)の範囲内のどこかから見て、例えば、アンビル(218)がどこで組織(90)をクランプしたかを正確に確認することができる。更に、ユーザは、組織がエンドエフェクタ(212)の端部を越えてはみ出さないように、組織がアンビル(218)とカートリッジ(237)との間で完全にクランプされているかどうかを判定することができるであろう。ユーザは、組織(90)に対するアンビル(218)とカートリッジ(237)との間のクランプの質も可視化できる。
【0035】
いくつかの例では、組織(90)をクランプする前に、クランプ中に、又はクランプした後に、エンドエフェクタ(212)を回転させてもよいことが理解されよう。その結果、アンビル(218)の先細りの形状はまた、遠位先端部(219)の、又は実質的に隣接する遠位先端部(219)の、より見やすい視界を提供することができる。カートリッジ(237)の先細り下面(238)に沿ったアンビル(218)の先細りにより、非外傷的に、エンドエフェクタ(212)を組織へ更に容易に挿入することができる。更に、エンドエフェクタ(212)の先細り端部によって、トロカール又はエンドエフェクタ(212)を手術部位に導入するように動作可能な他のデバイスを通してエンドエフェクタ(212)を嵌合させることがより容易であり得る。例えば、一旦遠位先端部(219)がトロカールに嵌合されると、先細り下面(238)及びアンビル(218)の先細り形状は、引込部をもたらして、エンドエフェクタ(212)の残りの部分をトロカール内に誘導することができる。本明細書の教示を考慮すると、当業者は、アンビル(218)の両側(241)及びカートリッジ(237)の各側(243)の先細りの設計によって視認性及び操作性を向上させることができることを更に理解するであろう。
【0036】
前述に加えて、エンドエフェクタ(212)及びエンドエフェクタ(212)を組み込んだ器具(10)の変形形態は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年11月17日に発行された、「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する、米国特許第9,186,142号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する、米国特許出願公開第2014/0239041号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月13日に発行された、「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する、米国特許第9,517,065号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する、米国特許出願公開第2014/0239036号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する、米国特許出願公開第2014/0239043号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する、米国特許出願公開第2014/0239037号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する、米国特許出願公開第2014/0239038号、及びその開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された、「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する、米国特許出願公開第2014/0239044号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され動作可能であり得る。更なる修正形態が、エンドエフェクタ(212)に組み込まれ得るが、それについては後で更に詳しく説明する。
【0037】
III.剛性の屈曲したアンビル先端部を有する例示的なエンドエフェクタ
上述したように、エンドエフェクタ(212)の遠位端構成は、エンドエフェクタ(12)の遠位端構成とは異なり、異なる構成のエンドエフェクタ(212)は、異なる潜在的利点を提供する。具体的には、エンドエフェクタ(212)の遠位端構成は、エンドエフェクタ(212)の遠位端と隣接する解剖学的構造との間の関係の改善された操作性及び改善された視認性を提供し得る。加えて、エンドエフェクタ(212)の遠位端構成は、アンビル(218)が下部つかみ具(216)に向かって閉鎖される際に、アンビル(218)と下部つかみ具(216)との間の空間内に組織を近位方向に付勢することによって組織収集効果を提供し得る。いくつかの例では、アンビル(218)と同様のアンビルの屈曲した遠位端構成を有するエンドエフェクタを提供することが望ましい場合があり、一方、カートリッジ(37)の遠位端構成と同様の遠位端構成を有するカートリッジも有する。アンビル(218)と同様のアンビル、及びカートリッジ(37)と同様のカートリッジを有するハイブリッドエンドエフェクタを提供することによって、アンビルの屈曲した遠位部分は、比較的急な屈曲角度を有し得、これは、本明細書に記載されるような組織収集効果を更に促進し得る。以下の説明は、アンビル(218)の構造的態様及びカートリッジ(37)の構造的態様を、他の構造的機構と共に組み合わせる、エンドエフェクタの例を提供する。
【0038】
A.例示的なアンビル及びカートリッジの配向
図11図13は、アンビル(318)と、下部つかみ具(316)と、を含む例示的なエンドエフェクタ(312)を示す。エンドエフェクタ(312)は、器具(10)のエンドエフェクタ(12)の代わりに使用され得ることが理解されよう。エンドエフェクタ(312)は、器具(10)と一体的に形成されてもよいし、あるいは、器具(10)のエンドエフェクタ(12)と互換的であってもよい。アンビル(318)は、下部つかみ具(316)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(318)及び下部つかみ具(316)は、図1に示すアンビル(18)及び下部つかみ具(16)によって行われるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。エンドエフェクタ(312)は、図3に示すカートリッジ(37)と同様に、下部つかみ具(316)内に配置されるように動作可能なカートリッジ(337)を更に備える。
【0039】
アンビル(318)は、アンビル(18)のステープル成形ポケット(53)と同様のステープル成形ポケット(353)を含む。アンビル(318)は、アンビル(18)のアンビルスロット(42)と同様のアンビルスロット(342)を更に含む。アンビル(318)は、アンビル(318)がその遠位端に屈曲した先端部(319)を含むという点で、アンビル(18)とは異なる。本明細書で使用されるとき、「屈曲した」、「角度付けられた」、及び「湾曲した」などの用語は、エンドエフェクタの構成要素の遠位端構成を指すときに、互いに同義であるものとして読まれるものとする。換言すれば、用語「屈曲した」及び「湾曲した」(及びその変形形態)は、角度を共に画定する2つの直線状の機構間の関係を含み得、そのため、用語「屈曲した」及び「湾曲した」(及びそれらの変形形態)は、必ずしも弧に沿って延在する構成要素を必要とするものとして読まれるべきではない。本実施例において、先端部(319)は偏向可能ではなく、したがって先端部(319)はその形状を維持する。別の方法で説明すれば、本実施例の先端部(319)は、剛性である。本実施例において、アンビル(318)及び関連する先端部(319)は、金属から構成されるが、プラスチック、セラミック、及びその他の材料などの他の材料を使用してもよいことは、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかになるであろう。
【0040】
先端部(319)は、鈍い端部(321)を有する外面(320)を含む。先端部(319)の近位に、アンビル(318)は、直線状の様態で延在する本体部分(322)を含む。例示される実施例では、本体部分(322)は、アンビル(318)の大部分が直線状であるように、アンビル(318)の大部分を形成する。図12を参照すると、アンビル(318)は、先端部(319)に沿った内面(324)と、ステープル成形ポケット(353)が位置する本体部分(322)に沿った下面(326)と、を更に含む。本実施例では、屈曲した又は角度付けられた構成を有する先端部(319)では、外面(320)及び内面(324)は、アンビル(318)の直線状の本体部分(322)及び下面(326)に対して角度付けられている。
【0041】
エンドエフェクタ(312)のカートリッジ(337)は、遠位先端部(339)を含む。先端部(339)は、角度付けられた表面(341)と、鈍い端部(343)と、湾曲した下面(344)と、を含む。図13及び図14に示されるように、エンドエフェクタ(312)が閉鎖されているとき、鈍い端部(321)は、カートリッジ(337)の鈍い端部(343)と一様に長手方向に位置付けられる。この様態で、鈍い端部(321)及び鈍い端部(343)は、同じ長手方向位置で終端する(例えば、鈍い端部(321)及び鈍い端部(343)は、エンドエフェクタ(312)の長手方向軸を通って垂直に延在する同じ平面で終端する)。本明細書の教示を考慮すれば、他の実施例では、エンドエフェクタ(312)が閉鎖されているときに、鈍い端部(321)がカートリッジ(337)の鈍い端部(343)に対して近位方向に位置し得ることが、当業者には明らかになるであろう。同様に、いくつかの他の例では、エンドエフェクタ(312)は、エンドエフェクタ(312)が閉鎖されているときに、アンビル(318)の鈍い端部(321)がカートリッジ(337)の鈍い端部(343)に対して遠位方向に延在するように構成されてもよい。また、本明細書の教示を考慮すれば、他の実施例では、鈍い端部(321、343)の一方又は両方が、鈍い構成を有さないように修正されてもよく、又は鈍い構成を有さずに鈍いカバー若しくはシールドによって保護されてもよいことが、当業者には明らかになるであろう。
【0042】
図14は、閉鎖位置で示されるエンドエフェクタ(312)の遠位端の拡大図を示す。図示されるように、閉鎖位置において、内面(324)は、エンドエフェクタ(312)の遠位端で角度付けられた表面(341)に部分的に接触する。エンドエフェクタ(312)が閉鎖されたときに、内面(324)と角度付けられた表面(341)との間には、内面(324)及び角度付けられた表面(341)に沿ってより近位に間隙又は空間(345)が存在する。図11に示されるように、カートリッジ(337)は、上部デッキ(372)を含む。図14に示されるように、上部デッキ(372)は、平面(P1)を画定する。同様に、内面(324)は、平面(P2)を画定し、角度付けられた表面(341)は、平面(P3)を画定する。図14に更に示されるように、エンドエフェクタ(312)の遠位端は、垂直軸(VA)を画定する。垂直軸(VA)は、上部デッキ(372)によって画定される平面(P1)にほぼ直交する。
【0043】
上述の構成を有する図14を参照すると、エンドエフェクタ(312)が閉鎖されているときに内面(324)が角度付けられた表面(341)に部分的に接触する場合、内面(324)は、垂直軸(VA)に対して角度付けられた表面(341)と比較して急である。例えば、これは、平面(P2)と垂直軸(VA)との交点に形成された角度(a4)によって示され、垂直軸(VA)は、平面(P3)と垂直軸(VA)との交点に形成された角度(a3)と比較して小さく又はそれ以下になっている。角度付けられた表面(341)と比較した内面(324)に関連付けられているこのより急な配向はまた、平面(P3)と平面(P1)との交点に形成された角度(a2)と比較して小さい又はそれ以下である、平面(P2)と平面(P1)との交点に形成された角度(a1)によっても示される。
【0044】
本実施例では、内面(324)は、上述のように上部デッキ(372)によって画定される平面である平面(P1)と約35度の角度(a1)を形成する。それと比較して、角度付けられた表面(341)は、平面(P1)と約25度の角度(a2)を形成する。したがって、本実施例では、内面(324)は、角度付けられた表面(341)及び平面(P1)によって形成又は画定される角度(a2)よりも約10度大きい角度(a1)を平面(P1)と形成又は画定する。それとは反対に、これは、角度付けられた表面(341)が、内面(324)及び平面(P1)によって形成又は画定される角度(a1)よりも約10度小さい角度付けられた表面(a2)を平面(P1)と形成又は画定すると言うことができる。
【0045】
また、本実施例では、内面(324)は、上述のようにエンドエフェクタ(312)の遠位端によって画定される軸である垂直軸(VA)と約55度の角度(a4)を形成する。それと比較して、角度付けられた表面(341)は、約65度の角度(a3)を垂直軸(VA)と形成する。したがって、本実施例では、内面(324)は、角度付けられた表面(341)及び垂直軸(VA)によって形成又は画定される角度(a3)よりも約10度小さい角度(a4)を垂直軸(VA)と形成又は画定する。それとは反対に、これは、角度付けられた表面(341)が、内面(324)及び垂直軸(VA)によって形成又は画定される角度(a4)よりも約10度大きい角度(a3)を垂直軸(VA)と形成又は画定すると言うことができる。本明細書の教示を考慮すれば、上述の角度を修正するための先端部(319、339)に対する様々な修正が、当業者には明らかになるであろう。
【0046】
B.例示的なアンビルの長手方向スロット及び下面
いくつかの例では、屈曲した先端部を有するアンビルを用いて、アンビルのスロット及び下面に特定の修正を行って、切断及びステープル留めに対して可能な強化を提供することができる。いくつかのそのような修正形態又は修正されたアンビルが以下に説明されており、他のものは、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかになるであろう。
【0047】
図15は、アンビルスロット(342)を示すアンビル(318)の断面図を示す。図示されるように、スロット(342)は、断面において部分的な「I」形状を含む。この様態で、スロット(342)は、側方部分(347)及び上部ハット部分(355)を含む。上述の発射ビーム(14)と同様の発射ビーム(314)は、上述のように、発射ビーム(14)がスロット(42)内に位置付け可能であるのと同じ様態で、スロット(342)内に位置付け可能である。図15の例示された実施例に示されるように、上方ピン(338)は、上方ピン(338)がスロット(342)の側方部分(347)内に位置付け可能であるように、矩形の外形を含む。加えて、発射ビーム(314)は、上部ハット部分(355)内に部分的に延在する。発射ビーム(314)及びエンドエフェクタ(312)は、エンドエフェクタ(12)及び発射ビーム(14)に関して上述したのと同じ方法で、切断及びステープル留め動作を達成するように動作可能である。
【0048】
図15の例示された実施例に示されるように、アンビル(318)は、アンビル(318)の各外側に沿って、長手方向に延在する段差部分(349)を更に含む。各段差部分(349)は、本実施例では、1列のステープル成形ポケット(353)を含む。段差部分(349)は、アンビル(318)の下面(326)が段差部分(349)及び下方部分(351)を含むように構成されている。図15に示されるように、下方部分(351)は、長手方向に延在するアンビルスロット(342)の各側に沿って存在し、下方部分(351)は各々、2列のステープル成形ポケット(353)を含む。上述の様態において、段差部分(349)は、アンビル(318)下面(326)の下方部分(351)から垂直方向にオフセットされ、かつそれと平行である。本明細書の教示を考慮すれば、アンビル(318)の下面(326)、特に段差部分(349)及び下方部分(351)の他の構成が、当業者には明らかになるであろう。例えば、いくつかの実施例では、下面(326)の構成は、カートリッジ(337)の上部デッキ(372)の構成を補完する。例えば、カートリッジ(337)は、隆起部分が垂直にオフセットされた段差部分(349)と一致するマルチレベル上部デッキ(372)を有してもよい。
【0049】
図16は、エンドエフェクタ(312)と共に使用するための別の例示的なアンビル(418)の断面図を示す。アンビル(418)は、本明細書に記載される断面を除いて、全ての点でアンビル(318)と同様である。このようにして、アンビル(318)は、図15に示される断面の代わりに、以下に説明されるアンビル(418)の断面を組み込むように変更されてもよい。アンビル(418)は、アンビルスロット(442)を含む。図示されるように、スロット(442)は、断面内に部分的な「I」形状を含む。スロット(442)の部分的な「I」形状は、アンビルスロット(342)に対して図15に示されるものから修正されている。アンビルスロット(442)の場合、スロット(442)は、側方部分(447)及び上部ハット部分(455)を含む。側方部分(347)は、直線状の端部を有する外形の矩形形状を有するが、側方部分(447)は、湾曲した端部を有する。上述の発射ビーム(14)と同様の発射ビーム(414)は、上述のように、発射ビーム(14)がスロット(42)内に位置付け可能であるのと同じ様態で、スロット(442)内に位置付け可能である。図16の例示される実施例に示されるように、上方ピン(438)は、スロット(442)の側方部分(447)と一致する外形を含み、それによって上方ピン(438)は、スロット(442)の側方部分(447)内に位置付け可能である。加えて、発射ビーム(414)は、上部ハット部分(455)内に部分的に延在するが、上述のように、発射ビーム(314)及び図15の上部ハット部分(355)と比較してより小さい程度まで延在する。発射ビーム(414)及びエンドエフェクタ(312)は、エンドエフェクタ(12)及び発射ビーム(14)に関して上述したのと同じ方法で、切断及びステープル留め動作を達成するように動作可能である。
【0050】
アンビル(418)及びスロット(442)では、上部ハット部分(455)のクリアランスは、上部ハット部分(455)が側方部分(447)から延在する距離によって表される。アンビル(418)及びスロット(442)では、上部ハット部分(455)のクリアランスは、上部ハット部分(355)のクリアランスと比較して小さい。アンビル(318)の側方部分(347)とアンビル(418)の側方部分(447)との間の別の違いは、側方部分(347)の幅が側方部分(447)の幅よりも大きいことである。側方部分(347、447)のこの幅は、上述のように、対応するピン(338、438)を受容し保持するための側方部分(337、447)内の経路を画定する。
【0051】
アンビル(418)はまた、図15及び図16に示されるように、アンビル(418)がアンビル(318)でのような段差部分(349)を欠いているという点で、アンビル(318)とは異なる。代わりに、アンビル(418)は、均一に平面の下面(426)を含み、スロット(442)が、下面(426)を2つの側部に分割し、各側は3列のステープル成形ポケット(453)を有する。更に、アンビル(318)と比較して、アンビル(418)は、アンビル(418)の上面から下面(426)までの距離がアンビル(318)の同じ距離と比較して小さい、わずかに薄い外形を含む。本明細書の教示を考慮すれば、他の変形形態において、アンビル(418)は、寸法に関して修正されてもよく、及び/又は下面(426)を変更して、アンビル(318)の段差部分(349)と同じ又は同様の段差部分を含むようにしてもよいことが、当業者には明らかになるであろう。
【0052】
C.例示的なアンビル先端部
いくつかの例では、可能な更なる組織捕捉効果をもたらすために、アンビルの先端部に修正を行うことができる。いくつかのそのような修正形態又は修正されたアンビル先端部が以下に説明されており、他のものは、本明細書の教示を考慮して当業者には明らかになるであろう。
【0053】
図17は、アンビル(318)の代わりにエンドエフェクタ(312)と共に使用可能な別の例示的なアンビル(518)を示す。アンビル(518)は、上述の屈曲した先端部(319)と同様の屈曲した先端部(519)を含む。先端部(519)は、上述の内面(324)と同様の内面(524)を含む。しかしながら、屈曲した先端部(519)は、その遠位端に突出部(521)を更に含む。突出部(521)は、使用時に、内面(524)からカートリッジ(337)に向かって延在する。突起部(521)は、エンドエフェクタ(312)が閉鎖されているときに、カートリッジ(337)の先端部(339)の角度付けられた表面(341)と接触するように構成された平坦面(523)を備える。突出部(521)は、リップ(525)を更に含む。リップ(525)は、先端部(519)の幅全体にわたって横方向に延在する。
【0054】
エンドエフェクタ(312)が閉鎖されたときに、突出部(521)は、組織捕捉を促進し、組織がエンドエフェクタ(312)の遠位端から外へ移動するのを防止するように動作可能である。例として、突出部(521)は、先端部(519)とカートリッジ(337)の先端部(339)との間の直接接触を提供するが、同時に、上述のように、接触区域に近位の間隙又は空間(345)を提供する。空間(345)は、エンドエフェクタ(312)の遠位端から遠位方向に絞り出されないように、組織が収集され得る領域を提供する。アンビル(518)をその突出部(521)と共に使用する例では、間隙又は空間(345)は、突出部(521)のないアンビルの先端部の例と比較してより大きくてもよい。換言すれば、いくつかの実施例では、必ずしも全ての実施例で必須ではないが、エンドエフェクタ(312)が閉鎖されたときに、先端部(339)との接触によって、突出部(521)は、内面(524)によって画定される平面が上部デッキ(372)によって画定される平面(P1)と形成する角度を減少させるように構成されている。したがって、内面(524)は、上部デッキ(372)に対するカートリッジ(337)の角度付けられた表面(341)と比較して、上部デッキ(372)に対して急である。
【0055】
先端部(519)は、アンビル(518)の本体部分(522)への挿入物として更に随意に構成されている。本実施例では、長手方向スロット(542)は、先端部(519)の近位部材を受容するように構成された開口部(527)で終端し、そのため先端部(519)はアンビル(518)の本体部分(522)への剛性挿入物である。アンビル本体部分内に挿入可能な湾曲したアンビル先端部を有するいくつかの追加の例示的なエンドエフェクタは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された、「Surgical Stapler with Insertable Distal Anvil Tip」と題する、米国特許出願[代理人整理番号END8116USNP.0641882]、及びその開示が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された、「Surgical Stapler with Cooperating Distal Tip Features on Anvil and Staple Cartridge」と題する、米国特許出願[代理人整理番号END8117USNP.0641884]に記載されている。当然ながら、他の変形形態では、先端部(519)は、アンビル(518)と1つの部品として形成され、挿入物ではない。そのような場合、開口部(527)は省略されてもよい。
【0056】
図18は、アンビル(318)の代わりにエンドエフェクタ(312)と共に使用可能な別の例示的なアンビル(618)を示す。アンビル(618)は、上述の屈曲した先端部(319)と同様の屈曲した先端部(619)を含む。先端部(619)は、上述の内面(324)と同様の内面(624)を含む。しかしながら、屈曲した先端部(619)は、その遠位端に突出部(621)を更に含む。突出部(621)は、使用時に、内面(624)からカートリッジ(337)に向かって延在する。突出部(621)は、エンドエフェクタ(312)が閉鎖されたときに、カートリッジ(337)の先端部(339)の角度付けられた表面(341)と接触するように構成された球根状凸面(623)を含む。
【0057】
エンドエフェクタ(312)が閉鎖されたときに、突出部(621)は、組織捕捉を促進し、組織がエンドエフェクタ(312)の遠位端から外へ移動するのを防止するように動作可能である。例として、突出部(621)は、先端部(619)とカートリッジ(337)の先端部(339)との間の直接接触を提供するが、同時に、上述のように、接触区域に近位の間隙又は空間(345)を提供する。空間(345)は、エンドエフェクタ(312)の遠位端から遠位方向に絞り出されないように、組織が収集され得る領域を提供する。アンビル(618)をその突出部(621)と共に使用する例では、間隙又は空間(345)は、突出部(621)のないアンビルの先端部の例と比較してより大きくてもよい。換言すれば、いくつかの実施例では、必ずしも全ての実施例で必須ではないが、エンドエフェクタ(312)が閉鎖されたときに、先端部(339)との接触によって、突出部(621)は、内面(624)によって画定される平面が上部デッキ(372)によって画定される平面(P1)と形成する角度を減少させるように構成されている。したがって、内面(624)は、上部デッキ(372)に対するカートリッジ(337)の角度付けられた表面(341)と比較して、上部デッキ(372)に対して急である。
【0058】
先端部(619)は、アンビル(618)の本体部分(622)への挿入物として更に随意に構成されている。本実施例では、長手方向スロット(642)は、先端部(619)の近位部材を受容するように構成された開口部(627)で終端し、そのため先端部(619)はアンビル(618)の本体部分(622)への剛性挿入物である。アンビル本体部分内に挿入可能な湾曲したアンビル先端部を有するいくつかの追加の例示的なエンドエフェクタは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された、「Surgical Stapler with Insertable Distal Anvil Tip」と題する、米国特許出願第[代理人整理番号END8116USNP.0641882号]、及びその開示が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された、「Surgical Stapler with Cooperating Distal Tip Features on Anvil and Staple Cartridge」と題する、米国特許出願[代理人整理番号END8117USNP.0641884]に記載されている。当然ながら、他の変形形態では、先端部(619)は、アンビル(618)と1つの部品として形成され、挿入物ではない。そのような場合、開口部(627)は省略されてもよい。
【0059】
本明細書の教示を考慮すれば、それぞれのアンビル(318、518、618)の先端部(319、519、619)を修正して、均一な平坦面、又は上述のような1つ以上の突出部のいずれかを提供する他の方法が、当業者には明らかになるであろう。本明細書の教示を考慮することで理解されるように、アンビルの屈曲した先端部に関連付けられている角度、及び/又は上記の突出部のような更なる機構は、組織捕捉を補助することができ、これも上述のようなマーチング用途(marching applications)にも利益をもたらす。
【0060】
D.例示的なカートリッジのオプション
以下で更に説明するように、剛性の屈曲したアンビル先端部を組み込むエンドエフェクタでは、組織把持の向上は、協働機構を有するアンビル先端部及びカートリッジ鼻部を有するエンドエフェクタを使用して達成することができる。そのような協働機構は、切断及びステープル留め動作中に、クランプされた組織がエンドエフェクタの遠位端から遠位方向に移動することを防止するロック又は組織停止部を提供し得る。そのような協働機構はまた、協働機構が遠位端で係合又は接触することを感じることによって、組織、血管、又は管状構造を完全にクランプしたことをユーザに伝える触覚フィードバック機構として作用し得る。マーチング適用において、そのような協働機構は、(各々が組織に接触するそれぞれの協働機構とは対照的に)遠位端で係合又は接触する協働機構によって証明されるように、組織経路の端部にあることをユーザに伝えるためのフィードバック機構又は構造として同様に作用することができる。また、場合によっては、切断及びステープル留めに可能な強化をもたらすために、カートリッジ上部デッキ構成に修正を行ってもよい。いくつかのそのような修正形態又は修正されたカートリッジが以下に説明されており、他のものは、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかになるであろう。
【0061】
図19は、アンビル(718)と、下部つかみ具(716)と、カートリッジ(737)と、を含む、別の例示的なエンドエフェクタ(712)の遠位部分を示す。エンドエフェクタ(712)は、器具(10)のエンドエフェクタ(12)の代わりに使用され得ることが理解されよう。エンドエフェクタ(712)は、器具(10)と一体的に形成されてもよいし、あるいは、器具(10)のエンドエフェクタ(12)と互換的であってもよい。アンビル(718)は、下部つかみ具(716)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(718)及び下部つかみ具(716)は、図1に示すアンビル(18)及び下部つかみ具(16)によって行われるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。カートリッジ(737)は、図3に示されるカートリッジ(37)と同様に、下部つかみ具(716)内に配置されるように動作可能である。
【0062】
アンビル(718)は、上述の先端部(619)と同様の屈曲した先端部(719)を含み、先端部(719)は、球根状凸面(723)を含む。カートリッジ(737)は、表面(723)を補完するような形状にされたボール形状の切り欠き部すなわち凹部(725)を含む。本実施例では、先端部(719)の剛性の球根状表面(723)及び凹部(725)は、組織捕捉を促進するように構成された協働機構である。一変形形態において、エンドエフェクタ(712)は、エンドエフェクタ(712)が閉鎖されたときに、球根状表面(723)を有する剛性のアンビル先端部(719)がカートリッジ(737)に接触しないように構成されている。そのような場合、マーチング用途で組織をクランプするときに、アンビル先端部(719)の球根状表面(723)は、組織(90)を凹部(725)内に押し、組織(90)を圧縮下で保持して、切断及びステープル留め動作中に組織捕捉を固定することができる。更に他の変形形態では、エンドエフェクタ(712)は、クランプ時に球根状表面(723)が凹部(725)と接触するように構成されてもよい。そのような場合、マーチング用途で組織をクランプするときに、球根状表面(723)と凹部(725)との間の触覚的に検出された接触は、上述のマーチング操作における最終切断を検出するためのフィードバック機構として作用し得る。本明細書の教示を考慮すれば、球根状表面(723)及びボール形状の切り欠き部(725)以外の形状を使用して同様の機能性を提供することができ、そのような他の形状又は修正形態は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかになるであろう。
【0063】
図20は、上述のようなアンビル(718)及び下部つかみ具(716)を含む別の例示的なエンドエフェクタ(812)の遠位部分を示す。エンドエフェクタ(812)は、カートリッジ(837)を更に含む。エンドエフェクタ(812)は、器具(10)のエンドエフェクタ(12)の代わりに使用され得ることが理解されるであろう。エンドエフェクタ(812)は、器具(10)と一体的に形成されてもよいし、あるいは、器具(10)のエンドエフェクタ(12)と互換的であってもよい。アンビル(718)は、下部つかみ具(716)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(718)及び下部つかみ具(716)は、図1に示すアンビル(18)及び下部つかみ具(16)によって行われるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。カートリッジ(837)は、図3に示されるカートリッジ(37)と同様に、下部つかみ具(716)内に配置されるように動作可能である。
【0064】
アンビル(718)は、上述の先端部(619)と同様の屈曲した先端部(719)を含み、先端部(719)は、球根状表面(723)を含む。カートリッジ(837)は、パッド(825)が弾性であるように、可撓性エラストマーで構成されたパッド(825)を含む。本実施例では、先端部(719)の剛性の球根状表面(723)及びパッド(825)は、組織捕捉を促進するように構成された協働機構である。組織が存在しない一変形形態において、又はクランプされた組織がエンドエフェクタ(812)の直線部分内のみに位置付けられたときに、エンドエフェクタ(812)は、エンドエフェクタ(812)が閉鎖されたときに球根状表面(723)を有する剛性のアンビル先端部(719)がカートリッジ(837)に接触し、具体的には、図20に示されるように、球根状表面(723)がパッド(825)に接触するように構成されている。他の例では、マーチング用途で組織をクランプするときに、アンビル先端部(719)の球根状表面(723)は、組織(90)をパッド(825)に対して圧縮して、切断及びステープル留め動作中に確実な組織捕捉を提供することができる。そのようなマーチング用途では、組織切断線の終わりにあるときに、球根状表面(723)とパッド(825)との間の接触をユーザが感じることができ、そのためこれらの構造は、上述のように、マーチング用途における最終切断を検出するためのフィードバック機構として作用し得る。更に他の変形形態では、エンドエフェクタ(812)は、組織が存在するかどうかを問わずクランプするときに、球根状表面(723)がパッド(825)に接触しないように構成されてもよい。本明細書の教示を考慮すると、球根状表面(723)以外の形状及びパッド(825)以外の機構を使用して同様の機能性を提供することができ、そのような他の形状、機構、又は修正形態は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には明らかになるであろう。
【0065】
図21は、カートリッジ(837)の拡大図を示している。この例示された変形形態に示されるように、カートリッジ(837)は、カートリッジ(837)の鼻部分(829)上に位置している複数の隆起した機構(827)を含む。本実施例において、鼻部分(829)は、カートリッジ(837)の遠位先端部(839)を含み、これはカートリッジ(837)の上部デッキ(872)と平行に延在する下部デッキ部分(831)と共に角度付けられている。隆起した機構(827)は、一般に、鼻部分(829)の上面を覆い、かつ均等に間隔を取られている。本実施例では、隆起した機構(827)は剛性であり、また突出する円筒状部材を含むが、他の変形形態では、隆起した機構(827)は、剛性の隆起バンプであってもよく、又は鼻部分(829)の上面から突出する任意の他の好適な形状を有することができる。図21に示されるように、隆起した機構(827)は、一般に、上述のように可撓性であるパッド(825)を取り囲む。更にいくつかの他の形態では、鼻部分(829)の表面に複数の凹部又はエッチングを有することによって、表面テクスチャを鼻部分(829)に施してもよい。
【0066】
カートリッジ(837)は、カートリッジ(837)の上部デッキ(872)上に位置している複数の隆起した機構(833)を更に含む。隆起した機構(833)は、垂直スロット(849)の両方のスライドに沿って延在する。本実施例では、隆起した機構(833)は剛性であり、組織の把持の向上を提供する。隆起した機構(827、833)の両方は把持機構と呼ぶことができることを理解されたい。隆起した機構(833)は、部材の各々が互いに対向するU形状部材の対として例示された変形形態で構成されている。本明細書の教示を考慮すれば、隆起した機構(833)の他の形状及び構成は、当業者には明らかになるであろう。更に、本実施例は、両方の隆起した機構(827、833)を有するカートリッジ(837)を示しているが、他の変形形態では、カートリッジ(837)は隆起した機構(827)のみを有してもよい。更に他の変形形態では、カートリッジ(837)は、隆起した機構(833)のみを有してもよい。更に、他の変形形態では、カートリッジ(837)は、例えばカートリッジ(37)と同様に隆起した機構(827、833)を有していなくてもよい。
【0067】
図22は、アンビル(918)と、下部つかみ具(916)と、カートリッジ(937)と、を含む、別の例示的なエンドエフェクタ(912)を示す。エンドエフェクタ(912)は、器具(10)のエンドエフェクタ(12)の代わりに使用され得ることが理解されるであろう。エンドエフェクタ(912)は、器具(10)と一体的に形成されてもよいし、あるいは、器具(10)のエンドエフェクタ(12)と互換的であってもよい。アンビル(918)は、下部つかみ具(916)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(918)及び下部つかみ具(916)は、図1に示すアンビル(18)及び下部つかみ具(16)によって行われるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。カートリッジ(937)は、図3に示されるカートリッジ(37)と同様に、下部つかみ具(916)内に配置されるように動作可能である。あるいは、エンドエフェクタ(912)が器具(10)の残りの部分から取り外し可能であるいくつかの変形形態では、カートリッジ(937)は、下部つかみ具(916)内に永久的に固定されていてもよい。
【0068】
図22に示されるように、エンドエフェクタ(912)は、上述のエンドエフェクタ(312)の構成と同様に、屈曲した先端部(919)を有するアンビル(918)を、カートリッジ(937)の遠位先端部(939)に沿って角度付けられた表面(941)を有するカートリッジ(937)と組み合わせる。本実施例では、エンドエフェクタ(912)は、更なる機構、具体的にはカートリッジ(937)のマルチレベルステープルデッキ(972)を含む。図示された変形形態では、マルチレベルステープルデッキ(972)は、カートリッジ(937)を長手方向に二分する垂直スロット(949)の各側に沿って配置された3つのレベルを含む。各側の外側レベル(973)は、カートリッジ(937)の表面に沿って長手方向に延在する1列のステープル開口部(951)を含む。各側の内側レベル(975)は、カートリッジ(937)の表面に沿って長手方向に延在する1列のステープル開口部(951)を含む。最後に、外側レベル(973)と内側レベル(975)との間の各側の中間レベル(977)は、カートリッジ(937)の表面に沿って長手方向に延在する1列のステープル開口部(951)を含む。図示されるように、マルチレベルステープルデッキ(972)の外側レベル(973)は、中間レベル(977)からオフセットされている。マルチレベルステープルデッキ(972)の中間レベル(977)は、内側レベル(975)からオフセットされている。本実施例では、レベルのオフセットは、垂直スロット(949)に近づくにつれて、あるレベルから次のレベルにステップアップする階段状に構成されている。本明細書の教示を考慮すれば、マルチレベルステープルデッキ(972)を構成する他の方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0069】
本実施例では、カートリッジ(937)のマルチレベルステープルデッキ(972)は、エンドエフェクタ(812)に関して上述した隆起した機構(833)と同じ構成である複数の隆起した機構(953)を含む。上述のように、隆起した機構(953)は、改善された組織捕捉及び把持を提供するように構成されている。本実施例では、カートリッジ(937)は隆起した機構(953)を含むが、他の変形形態では、マルチレベルステープルデッキ(972)が各レベルに沿って平坦な表面を含むように、隆起した機構(953)は省略されてもよい。加えて、本実施例では、角度付けられた表面(941)は平坦であるように示されているが、他の変形形態では、角度付けられた表面(941)は、上述のように隆起した機構(827)を含んでもよい。本明細書の教示を考慮すれば、エンドエフェクタ(912)を構成するための他の方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0070】
IV.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲も限定することを目的としたものではないことを理解されたい。一切の棄権を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の継承者により、後日そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも必須なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして推定されるべきではない。
【実施例1】
【0071】
装置であって、(a)本体部分と、(B)本体部分から遠位方向に延在するシャフトと、(c)シャフトと連通しているエンドエフェクタであって、エンドエフェクタが、開放構成と閉鎖構成との間で移動可能であり、エンドエフェクタが、組織を圧縮し、ステープル留めし、かつ切断するように動作可能であり、エンドエフェクタが、(i)1つ以上のステープルを保持するように構成されたカートリッジであって、角度付けられた表面を有する鼻部分を含む、カートリッジ、(ii)近位本体部分と、本体部分から遠位方向に延在する先端部と、を含むアンビルであって、先端部が屈曲した構成を含む、アンビル、及び(iii)カートリッジのステープルデッキに沿って位置付けられた複数の把持機構であって、複数の把持機構が、閉鎖構成にあるときにエンドエフェクタの間につかまれた組織と接触するように構成されている、複数の把持機構を含む、エンドエフェクタと、を備える、装置。
【実施例2】
【0072】
屈曲した構成を含む先端部が、剛性である、実施例1に記載の装置。
【実施例3】
【0073】
カートリッジの鼻部分が、湾曲した下面を含む、実施例1及び2のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例4】
【0074】
カートリッジの鼻部分が、第1の鈍い端部を含み、アンビルの先端部が、第2の鈍い端部を含む、実施例1~3のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例5】
【0075】
エンドエフェクタが閉鎖構成にあるときに、第2の鈍い端部が、第1の鈍い端部と長手方向に整列される、実施例4に記載の装置。
【実施例6】
【0076】
先端部が、内面を含み、エンドエフェクタが閉鎖構成にあるときに、内面の遠位部分は、エンドエフェクタ内に組織が存在しないときにカートリッジの鼻部分の角度付けられた表面と接触するように構成されている、実施例1~5のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例7】
【0077】
先端部の内面が、角度付けられた構成を有する、実施例6に記載の装置。
【実施例8】
【0078】
エンドエフェクタが、エンドエフェクタ内に組織が存在しない閉鎖構成にあるときに、先端部の内面及びカートリッジの鼻部分の角度付けられた表面が、それらの間に空間を画定するように構成されている、実施例6及び7のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例9】
【0079】
ステープルデッキが、第1の平面を画定し、先端部が、第2の平面を画定する内面を含み、鼻部分の角度付けられた表面が、第3の平面を画定し、第2の平面及び第3の平面が、同一平面上にない、実施例1~8のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例10】
【0080】
第2の平面と第1の平面との第1の交点によって形成される第1の角度が、第3の平面と第1の平面との第2の交点によって形成される第2の角度よりも大きい、実施例9に記載の装置。
【実施例11】
【0081】
先端部の内面が、鼻部分の角度付けられた表面と比較して急である、実施例9及び10のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例12】
【0082】
アンビルの先端部が、先端部の遠位端に突出部を含む、実施例1~11のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例13】
【0083】
突出部は、エンドエフェクタが閉鎖構成にあるときに鼻部分の角度付けられた表面に接触するように構成された平坦部分を含む、実施例12に記載の装置。
【実施例14】
【0084】
突出部が、球根状部材を含む、実施例12に記載の装置。
【実施例15】
【0085】
鼻部分の角度付けられた表面が、先端部の球根状部材に相補的な機構を含む、実施例14に記載の装置。
【実施例16】
【0086】
カートリッジのステープルデッキが、マルチレベルステープルデッキを含む、実施例1~15のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例17】
【0087】
装置であって、(a)本体部分と、(b)本体部分から遠位方向に延在するシャフトと、(c)シャフトと連通しているエンドエフェクタであって、エンドエフェクタが、開放構成と閉鎖構成との間で移動可能であり、エンドエフェクタが、組織を圧縮し、ステープル留めし、かつ切断するように動作可能であり、エンドエフェクタが、(i)1つ以上のステープルを保持するように構成されたカートリッジであって、カートリッジが、ステープルデッキと、角度付けられた表面を有する鼻部分と、を含み、角度付けられた表面が、弾性パッドを含む、カートリッジ、及び(ii)近位本体部分と、本体部分から遠位方向に延在する先端部と、を含む剛性アンビルであって、先端部が、屈曲した構成を含み、先端部は、エンドエフェクタがエンドエフェクタ内に組織が存在しない閉鎖構成にあるときにパッドと接触するように構成された突出部を更に含む、剛性アンビル、を含む、エンドエフェクタと、を備える装置。
【実施例18】
【0088】
エンドエフェクタが、カートリッジのステープルデッキに沿って位置付けられた第1の複数の把持機構と、鼻部分の角度付けられた表面に沿って位置付けられた第2の複数の把持機構と、を更に含み、第1及び第2の複数の把持機構が、閉鎖構成にあるときにエンドエフェクタの間につかまれた組織に接触するように構成されている、実施例17に記載の装置。
【実施例19】
【0089】
アンビルが、複数のステープル成形ポケットを含む下面を含み、下面が、少なくとも1つの段差部分を更に含む、実施例17及び18のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例20】
【0090】
装置であって、(a)本体部分と、(b)本体部分から遠位方向に延在するシャフトと、(c)シャフトと連通しているエンドエフェクタであって、エンドエフェクタが、開放構成と閉鎖構成との間で移動可能であり、エンドエフェクタが、組織を圧縮し、ステープル留めし、かつ切断するように動作可能であり、エンドエフェクタが、(i)1つ以上のステープルを保持するように構成されたカートリッジであって、カートリッジが、ステープルデッキと、鼻部分と、を含み、鼻部分が、角度付けられた表面を含み、ステープルデッキが、閉鎖構成にあるときにエンドエフェクタの間につかまれた組織に接触するように構成された複数の把持機構を含む、カートリッジ、及び(ii)近位本体部分と、本体部分から遠位方向に延在する先端部と、を含むアンビルであって、先端部が、屈曲した構成を含み、本体部分が、発射ビームのピンを受容するように構成された湾曲した端部を有する側方部分を有する部分的な「I」形状外形を有する長手方向スロットを含む、アンビル、を含む、エンドエフェクタと、を備える、装置。
【0091】
V.その他
本明細書に記載の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現要素、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示を考慮すれば、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかになるであろう。このような修正及び変形形態は、特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0092】
また、本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された、「Surgical Stapler End Effector with Varying Deck Height and Tissue Gripping Features」と題する、米国特許出願[代理人整理番号END8113USDP.0641895]の様々な教示と容易に組み合わせることができることも理解されたい。本明細書の教示を米国特許出願[代理人整理番号END8113USDP.0641895]の教示と組み合わせることができる様々な適切な方法が当業者には明らかになるであろう。
【0093】
また、本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された、「Circular Surgical Stapler End Effector with Varying Deck Height and Tissue Gripping Features」と題する、米国特許出願[代理人整理番号END8114USDP.0641876]の様々な教示と容易に組み合わせることができることも理解されたい。本明細書の教示を米国特許出願[代理人整理番号END8114USDP.0641876]の教示と組み合わせることができる様々な好適な方法が当業者には明らかになるであろう。
【0094】
また、本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された、「Surgical Stapler with Elastically Deformable Tip」と題する、米国特許出願[代理人整理番号END8115USNP.0641880]の様々な教示と容易に組み合わせることができることも理解されたい。本明細書の教示を米国特許出願[代理人整理番号END8115USNP.0641880]の教示と組み合わせることができる様々な好適な方法が当業者には明らかになるであろう。
【0095】
また、本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された、「Surgical Stapler with Insertable Distal Anvil Tip」と題する、米国特許出願[代理人整理番号END8116USNP.0641882]の様々な教示と容易に組み合わせることができることも理解されたい。本明細書の教示を米国特許出願[代理人整理番号EN8116USDP.0641882]の教示と組み合わせることができる様々な好適な方法が当業者には明らかになるであろう。
【0096】
また、本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された、「Surgical Stapler with Cooperating Distal Tip Features on Anvil and Staple Cartridge」と題する、米国特許出願[代理人整理番号END8117USNP.0641884]の様々な教示と容易に組み合わせることができることも理解されたい。本明細書の教示を米国特許出願[代理人整理番号END8117USNP.0641884]の教示と組み合わせることができる様々な好適な方法が当業者には明らかになるであろう。
【0097】
また、本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された、「Surgical Stapler with Bent Anvil Tip and Angled Staple Cartridge Tip」と題する、米国特許出願[代理人整理番号END8118USDP.0641887]の様々な教示と容易に組み合わせることができることも理解されたい。本明細書の教示を米国特許出願[代理人整理番号END8118USDP.0641887]の教示と組み合わせることができる様々な好適な方法が当業者には明らかになるであろう。
【0098】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるいかなる特許、公報、又はその他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれるものとするが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の文献、又はそれらの一部は、組み込まれる文献と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲でしか組み込まれないものとする。
【0099】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家により行われる従来の医療処置及び手術における用途のみではなく、ロボット支援された医療処置及び手術における用途をも有することができる。あくまで一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれ得る。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示が、以下のうちのいずれかの様々な教示と容易に組み合わされ得ることを認識するであろう:その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1998年8月11日に発行された、「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題する、米国特許第5,792,135号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1998年10月6日に発行された、「Remote Center Positioning Device with Flexible Drive」と題する、米国特許第5,817,084号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1999年3月2日に発行された、「Automated Endoscope System for Optimal Positioning」と題する、米国特許第5,878,193号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2001年5月15日に発行された、「Robotic Arm DLUS for Performing Surgical Tasks」と題する、米国特許第6,231,565号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2004年8月31日に発行された、「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」と題する、米国特許第6,783,524号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2002年4月2日に発行された、「Alignment of Master and Slave in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」と題する、米国特許第6,364,888号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2009年4月28日に発行された、「Mechanical Actuator Interface System for Robotic Surgical Tools」と題する、米国特許第7,524,320号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年4月6日に発行された、「Platform Link Wrist Mechanism」と題する、米国特許第7,691,098号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年10月5日に発行された、「Repositioning and Reorientation of Master/Slave Relationship in Minimally Invasive Telesurgery」と題する、米国特許第7,806,891号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年1月10日に公開された、「Automated End Effector Component Reloading System for Use with a Robotic System」と題する、米国特許出願公開第2013/0012957号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月9日に公開された、「Robotically-Controlled Surgical Instrument with Force-Feedback Capabilities」と題する、米国特許出願公開第2012/0199630号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年5月31日に公開された、「Shiftable Drive Interface for Robotically-Controlled Surgical Tool」と題する、米国特許出願公開第2012/0132450号、の開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月9日に公開された、「Surgical Stapling Instruments with Cam-Driven Staple Deployment Arrangements」と題する、米国特許出願公開第2012/0199633号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月9日に公開された、「Robotically-Controlled Motorized Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems Having Variable Actuation Speeds」と題する、米国特許出願公開第2012/0199631号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月9日に公開された、「Robotically-Controlled Surgical Instrument with Selectively Articulatable End Effector」と題する、米国特許出願公開第2012/0199632号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月9日に公開された、「Robotically-Controlled Surgical End Effector System」と題する、米国特許出願公開第2012/0203247号、2012年8月23日に公開された、「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する、米国特許出願公開第2012/0211546号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年6月7日に公開された、「Robotically-Controlled Cable-Based Surgical End Effectors」と題する、米国特許出願公開第2012/0138660号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月16日に公開された、「Robotically-Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題する、米国特許出願公開第2012/0205421号。
【0100】
上述のデバイスの変形形態は、1回の使用後に処分するように設計してもよいし、又はそれらは複数回使用するように設計してもよい。変形形態は、いずれか又は両方の場合において、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、デバイスのいくつかの変形形態は、再調整用の施設において、又は処置の直前にユーザによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0101】
単に一例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及びデバイスを、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置くことができる。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0102】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかとなるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載される構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0103】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)本体部分と、
(b)前記本体部分から遠位方向に延在するシャフトと、
(c)前記シャフトと連通しているエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、開放構成と閉鎖構成との間で移動可能であり、前記エンドエフェクタが、組織を圧縮し、ステープル留めし、かつ切断するように動作可能であり、前記エンドエフェクタが、
(i)1つ以上のステープルを保持するように構成されたカートリッジであって、角度付けられた表面を有する鼻部分を含む、カートリッジ、
(ii)近位本体部分と、前記本体部分から遠位方向に延在する先端部と、を含むアンビルであって、前記先端部が屈曲した構成を含む、アンビル、及び
(iii)前記カートリッジのステープルデッキに沿って位置付けられた複数の把持機構であって、前記複数の把持機構が、前記閉鎖構成にあるときに前記エンドエフェクタの間につかまれた組織と接触するように構成されている、複数の把持機構を含む、エンドエフェクタと、を備える、装置。
(2) 前記屈曲した構成を含む前記先端部が、剛性である、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記カートリッジの前記鼻部分が、湾曲した下面を含む、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記カートリッジの前記鼻部分が、第1の鈍い端部を含み、前記アンビルの前記先端部が、第2の鈍い端部を含む、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記エンドエフェクタが前記閉鎖構成にあるときに、前記第2の鈍い端部が、前記第1の鈍い端部と長手方向に整列される、実施態様4に記載の装置。
【0104】
(6) 前記先端部が、内面を含み、前記エンドエフェクタが前記閉鎖構成にあるときに、前記内面の遠位部分は、前記エンドエフェクタ内に組織が存在しないときに前記カートリッジの前記鼻部分の前記角度付けられた表面と接触するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記先端部の前記内面が、角度付けられた構成を有する、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記エンドエフェクタが、前記エンドエフェクタ内に組織が存在しない前記閉鎖構成にあるときに、前記先端部の前記内面及び前記カートリッジの前記鼻部分の前記角度付けられた表面が、それらの間に空間を画定するように構成されている、実施態様6に記載の装置。
(9) 前記ステープルデッキが、第1の平面を画定し、前記先端部が、第2の平面を画定する内面を含み、前記鼻部分の前記角度付けられた表面が、第3の平面を画定し、前記第2の平面及び前記第3の平面が、同一平面上にない、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記第2の平面と前記第1の平面との第1の交点によって形成される第1の角度が、前記第3の平面と前記第1の平面との第2の交点によって形成される第2の角度よりも大きい、実施態様9に記載の装置。
【0105】
(11) 前記先端部の前記内面が、前記鼻部分の前記角度付けられた表面と比較して急である、実施態様9に記載の装置。
(12) 前記アンビルの前記先端部が、前記先端部の遠位端に突出部を含む、実施態様1に記載の装置。
(13) 前記突出部は、前記エンドエフェクタが前記閉鎖構成にあるときに前記鼻部分の前記角度付けられた表面に接触するように構成された平坦部分を含む、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記突出部が、球根状部材を含む、実施態様12に記載の装置。
(15) 前記鼻部分の前記角度付けられた表面が、前記先端部の前記球根状部材に相補的な機構を含む、実施態様14に記載の装置。
【0106】
(16) 前記カートリッジの前記ステープルデッキが、マルチレベルステープルデッキを含む、実施態様1に記載の装置。
(17) 装置であって、
(a)本体部分と、
(b)前記本体部分から遠位方向に延在するシャフトと、
(c)前記シャフトと連通しているエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、開放構成と閉鎖構成との間で移動可能であり、前記エンドエフェクタが、組織を圧縮し、ステープル留めし、かつ切断するように動作可能であり、前記エンドエフェクタが、
(i)1つ以上のステープルを保持するように構成されたカートリッジであって、前記カートリッジが、ステープルデッキと、角度付けられた表面を有する鼻部分と、を含み、前記角度付けられた表面が、弾性パッドを含む、カートリッジ、及び
(ii)近位本体部分と、前記本体部分から遠位方向に延在する先端部と、を含む剛性アンビルであって、前記先端部が、屈曲した構成を含み、前記先端部は、前記エンドエフェクタが前記エンドエフェクタ内に組織が存在しない前記閉鎖構成にあるときに前記パッドと接触するように構成された突出部を更に含む、剛性アンビル、を含む、エンドエフェクタと、を備える、装置。
(18) 前記エンドエフェクタが、前記カートリッジの前記ステープルデッキに沿って位置付けられた第1の複数の把持機構と、前記鼻部分の前記角度付けられた表面に沿って位置付けられた第2の複数の把持機構と、を更に含み、前記第1及び第2の複数の把持機構が、前記閉鎖構成にあるときに前記エンドエフェクタの間につかまれた組織に接触するように構成されている、実施態様17に記載の装置。
(19) 前記アンビルが、複数のステープル成形ポケットを含む下面を含み、前記下面が、少なくとも1つの段差部分を更に含む、実施態様17に記載の装置。
(20) 装置であって、
(a)本体部分と、
(b)前記本体部分から遠位方向に延在するシャフトと、
(c)前記シャフトと連通しているエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、開放構成と閉鎖構成との間で移動可能であり、前記エンドエフェクタが、組織を圧縮し、ステープル留めし、かつ切断するように動作可能であり、前記エンドエフェクタが、
(i)1つ以上のステープルを保持するように構成されたカートリッジであって、前記カートリッジが、ステープルデッキと、鼻部分と、を含み、前記鼻部分が、角度付けられた表面を含み、前記ステープルデッキが、前記閉鎖構成にあるときに前記エンドエフェクタの間につかまれた組織に接触するように構成された複数の把持機構を含む、カートリッジ、及び
(ii)近位本体部分と、前記本体部分から遠位方向に延在する先端部と、を含むアンビルであって、前記先端部が、屈曲した構成を含み、前記本体部分が、発射ビームのピンを受容するように構成された湾曲した端部を有する側方部分を有する部分的な「I」形状外形を有する長手方向スロットを含む、アンビル、を含む、エンドエフェクタと、を備える、装置。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22