(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
B01D 35/02 20060101AFI20220927BHJP
B01D 29/11 20060101ALI20220927BHJP
B01D 29/66 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
B01D35/02 E
B01D29/10 510C
B01D29/10 520A
B01D29/10 520B
B01D29/38 520C
B01D29/38 510C
(21)【出願番号】P 2019547372
(86)(22)【出願日】2018-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2018054770
(87)【国際公開番号】W WO2018158230
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】102017001968.1
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500563201
【氏名又は名称】ハイダック プロセス テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ユルゲン リンゲン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン クライン
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル クライン
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン リン
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-017556(JP,A)
【文献】国際公開第2015/189774(WO,A1)
【文献】特表2016-520428(JP,A)
【文献】特開2015-199021(JP,A)
【文献】特表2008-507391(JP,A)
【文献】実公昭44-003740(JP,Y1)
【文献】特開2007-307465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-35/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ1つの濾材(27)を受容している少なくとも1つのフィルタインサート(19)からなる、特に潤滑油濾過のためのフィルタ装置であって、前記フィルタインサート(19)は、前記フィルタインサート(19)の壁部(63)によって画定された流体通過部(70)と、中空駆動シャフト(37)によってそれぞれ割り当て可能なフィルタインサート(19)の内側に沿って移動可能な少なくとも1つの洗浄ノズル(49)を有する逆洗装置とを備えている、フィルタ装置において、
各フィルタインサート(19、21)に対して少なくとも1対の洗浄ノズル(49)が設けられており、前記少なくとも1対の洗浄ノズル(49)は前記中空駆動シャフト(37)の軸方向の向きで互いに上下に配置された
2つの長手方向スロット(73、74)を有しており、前記
2つの長手方向スロット(73、74)は軸方向の向きに対して横断方向に互いにずらされていて、
前記
2つの長手方向スロット(73,74)を前記中空駆動シャフト(37)の内部に常に連通する流体路が、前記少なくとも1対の洗浄ノズル(49)に設けられており、
隣接して配置された洗浄ノズル(49)で一方の洗浄ノズル(49)の長手方向スロット(73)の少なくとも一部は割り当て可能なフィルタインサート(19、21)の少なくとも1つの流体通過部(70)と重なり、他方の洗浄ノズル(49)の長手方向スロット(74)は前記フィルタインサート(19、21)の前記流体通過部を画定する壁部(63)と重なるようにされていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
それぞれのフィルタインサート(19、21)は、前記フィルタインサート(19、21)の長手方向軸心に対して同心に配置された2つのハウジング壁(57、59)を有するフィルタハウジング(25)を備えており、前記ハウジング壁(57、59)の間に濾材(27)が延びており、前記ハウジング壁(57、59)は窓状の流体通過部(70)によって貫通されていることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
各対の洗浄ノズル(49)は一緒に、前記逆洗装置のモータ駆動可能な前記中空駆動シャフト(37)によって、それぞれ割り当て可能な円筒形フィルタインサート(19、21)の内側に沿って、フィルタハウジング(25)内の隣接して配置された流体通過部(70)を回転しながら相前後して通過することを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
各対の洗浄ノズル(49)に対する前記中空駆動シャフト(37)は、割り当て可能なフィルタハウジング(25)に向かって突出した案内手段(77、78)を有しており、前記案内手段(77、78)内にそれぞれの洗浄ノズル(49)が長手方向移動可能に案内されて突入係合し、前記洗浄ノズル(49)はエネルギー蓄積手段(82)によってフィルタハウジング(25)の内側に押し付けられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記エネルギー蓄積手段は弾性的に作用するシールリング(82)から形成され、前記シールリング(82)はその一方の側で前記中空駆動シャフト(37)に支持され、他方の側でそれぞれの洗浄ノズル(37)に支持されていることを特徴とする、請求項4に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
1対の洗浄ノズル(49)が1つの構造ユニット内にまとめられており、前記洗浄ノズル(49)はそれぞれ半径方向内側にある横断面(75)で案内手段(77、78)を介して前記中空駆動シャフト(37)内に開口し、それぞれ半径方向外側にある横断面で長手方向スロット(73、74)内に開口しており、前記長手方向スロット(73、74)はその寸法がそれぞれ通過すべき流体通過部(70)の形状に適合されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
前記フィルタハウジング(25)の支持体(51、53)から形成された両ハウジング壁(57、59)は、端面で互いに向き合う端部が、未濾過液を受容するための流体室を包囲する環状閉鎖部材(64、65)によって閉じられていること、及び両支持体(51、53)の間でフィルタハウジング(25)は、好ましくは内側支持リング(66)と外側支持リング(67)によって形成された環状隔壁によって貫通されていることを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項8】
閉鎖部材(64、65)とこれらの間にあるフィルタハウジング(25)の隔壁(66、67)との間で、各ハウジング壁(57、59)に対する長手方向ウェブ(61、63)が延びていて、長手方向ウェブ(61、63)は間にフィルタハウジング(25)内の窓状に形成された流体通過部(69、70)をケージ状に包囲していることを特徴とする、請求項2~4、7のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
洗浄ノズル対(49)の両長手方向スロット(73、74)は互いにずらされていて、前記流体通過部のケージ構成と組み合わせて一方の洗浄ノズル(49)を介して常に流路が少なくとも部分的に、好ましくは完全に開放されている間、他方の洗浄ノズル(49)を介して流路が少なくとも部分的に、好ましくは完全に閉鎖されているようになっており、逆洗装置の前記中空駆動シャフト(37)が連続的に回転すると、常に清浄側(13)から1対の両洗浄ノズル(49)の一方の連続した貫流が起こることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項10】
それぞれの洗浄ノズル対(49)に隣接する、ケージ構成の内側の長手方向ウェブ(63)は半径方向に対して傾斜位置を有しており、その結果として前記長手方向ウェブ(63)はフィルタインサート(19、21)の各流体通過部(70)に、洗浄ノズル対(49)のそれぞれの長手方向スロット(73、74)の流入方向に対して所定の角度だけ傾いた流動方向を指定することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項11】
濾過はそれぞれのフィルタインサート(19、21)の内側から外側へ行われること、それぞれのフィルタインサート(19、21)の逆洗は外側から内側へ実施されていること、及びその際に発生する逆洗流量は逆洗装置を介してフィルタ装置から排出可能であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項12】
それぞれのフィルタインサート(19、21)は、未濾過液用の流体入口(7)と、濾過液用の流体出口(11)と、それぞれの逆洗流量のための流出口(47)とを有する装置ハウジング(1、3、5)内に静止して配置されていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項13】
同一部材である複数のフィルタインサート(19、21)が互いに上下に配置されてエレメントインサート一式を形成していること、及び個々のフィルタインサート(19、21)が互いに分離不可能に、好ましくは接着によって結合されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項14】
前記エレメントインサート一式は逆洗装置(37、49)と共に全体として交換可能に装置ハウジング(1、3、5)内に受容されていることを特徴とする、請求項13に記載のフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ1つの濾材を受容している少なくとも1つのフィルタインサートからなる、特に潤滑油濾過のためのフィルタ装置であって、このフィルタインサートが、フィルタインサートの壁部によって画定された流体通過部と、中空駆動シャフトによってそれぞれ割り当て可能なフィルタインサートの内側に沿って移動可能な少なくとも1つの洗浄ノズルを有する逆洗装置を備えているものに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の運転安全性と寿命のために、潤滑油の申し分のない性状が非常に重要である。特に例えば海運用途において重油で運転されるディーゼルエンジンの連続運転は、潤滑油の性状に格別高い要求を課すので、そのような用途では潤滑油を浄化するためのフィルタ装置の使用が不可欠である。これに関して先行技術は、フィルタインサートの交換時期の間のより長い運転時間を可能にし、それにより保守費用を少なく抑えるために、フィルタインサートの逆洗が可能なフィルタ装置を利用する。これに関する先行技術の例として特許文献1(独国実用新案第202016003089号明細書)は、冒頭に記載した種類のフィルタ装置を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国実用新案第202016003089号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、特に逆洗動作中の特に有利な動作特性を特徴とする、冒頭に記載した種類のフィルタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、特許請求項1の特徴をその全体において有するフィルタ装置によって解決される。
【0006】
請求項1の特徴部によれば、本発明の本質的な特性は、各フィルタインサートに対して少なくとも1対の洗浄ノズルが設けられており、この洗浄ノズルはこの駆動シャフトの軸方向の向きで互いに上下に配置された長手方向スロットを有しており、この長手方向スロットは軸方向の向きに対して横断方向に互いにずらされていて、隣接して配置された洗浄ノズルで一方の洗浄ノズルの長手方向スロットの少なくとも一部は割り当て可能なフィルタインサートの少なくとも1つの流体通過部と重なり、他方の洗浄ノズルの長手方向スロットの少なくとも一部は前記フィルタインサートの前記流体通過部を画定する壁部と少なくとも部分的に重なるようにされていることにある。
【0007】
流体通過部でフィルタインサートの壁部によって画定された逆洗流に利用可能な流路のうち、この配置構成においてはそれぞれ一方の流体通過部が開いている間、接続する流体通過部における流路は閉じている。その結果、洗浄ノズル対が連続的に回転すると、逆洗ノズルが重なり合うことにより逆洗流が互いに合流して、連続的な逆洗流量が生じる。この脈動減衰逆洗のおかげで、反復流動遮断によって引き起こされる、それぞれの洗浄ノズルに対する脈動的な力の作用も回避される。各フィルタインサートに対して1対の洗浄ノズルが互いにずらして設けられているので、単一のフィルタインサートしか使用されないフィルタ装置でも有利な脈動減衰が達成可能である。
【0008】
有利な実施形態では、それぞれのフィルタインサートは、このフィルタインサートの長手方向軸心に対して同心に配置された2つのハウジング壁を有するフィルタハウジングを備えており、前記ハウジング壁の間に濾材が延びており、ハウジング壁は窓状の流体通過部によって貫通されている。
【0009】
有利には、各対の洗浄ノズルは一緒に、逆洗装置のモータ駆動可能な駆動シャフトによって、それぞれ割り当て可能な円筒形フィルタインサートの内側に沿って、フィルタハウジング内の隣接して配置された流体通過部を回転しながら相前後して通過するように配置構成されている。
【0010】
特に有利な実施形態では、各対の洗浄ノズルに対する駆動シャフトは、割り当て可能なフィルタハウジングに向かって突出した案内手段を有しており、この案内手段内にそれぞれの洗浄ノズルが長手方向移動可能に案内されて突入係合し、この洗浄ノズルはエネルギー蓄積手段によってフィルタハウジングの内側に押し付けられている。そうすることによってそれぞれの特に洗浄ノズル対を駆動シャフトに特に確実かつ柔軟に支持することが実現可能であり、案内装置によって傾いたり締め付けられたりして動けなくなることが防止されている。
【0011】
エネルギー蓄積手段は有利には、弾性的に作用するシールリングから形成され、このシールリングはその一方の側で駆動シャフトに支持され、他方の側でそれぞれの洗浄ノズルに支持されている。
【0012】
特に有利な実施形態では、1対の洗浄ノズルが1つの構造ユニット内にまとめられており、これらの洗浄ノズルはそれぞれ半径方向内側にある横断面で案内手段を介して中空駆動シャフト内に開口し、それぞれ半径方向外側にある横断面で長手方向スロット内に開口しており、この長手方向スロットはその寸法がそれぞれ通過すべき流体通過部の形状に適合されている。
【0013】
有利には、フィルタハウジングの支持体から形成された両ハウジング壁は、端面で互いに向き合う端部が、未濾過液を受容するための流体室を包囲する環状閉鎖部材によって閉じられており、及び両支持体の間でフィルタハウジングは、好ましくは内側支持リングと外側支持リングによって形成された環状隔壁によって貫通されている。有利にはこの場合、フィルタハウジングを形成する構造部材は、PA6などのプラスチック射出成形品から形成することができる。
【0014】
閉鎖部材とこれらの間にあるフィルタハウジングの隔壁との間で、各ハウジング壁に対する長手方向ウェブが延びることができ、これらの長手方向ウェブは間にフィルタハウジング内の窓状流体通過部をケージ状に包囲している。
【0015】
この場合、洗浄ノズル対の両長手方向スロットは互いにずらされていて、流体通過部のケージ構成と組み合わせて一方の洗浄ノズルを介して常に流路が少なくとも部分的に、好ましくは完全に開放されている間、他方の洗浄ノズルを介して流路が少なくとも部分的に、好ましくは完全に閉鎖されているようにすることができ、逆洗装置の駆動シャフトが連続的に回転すると、常に清浄側から1対の両洗浄ノズルの一方の連続した貫流が起こる。
【0016】
特に有利には、それぞれの洗浄ノズル対に隣接する、ケージ構成の内側の長手方向ウェブは半径方向に対して傾斜位置を有しており、その結果として前記長手方向ウェブはフィルタインサートの各流体通過部に、洗浄ノズル対のそれぞれの長手方向スロットの流入方向に対して所定の角度だけ傾いた流動方向を指定する。このことは汚れの分離を促進する、フィルタ媒体を通る斜めの流動経路をもたらす。
【0017】
有利には、濾過はそれぞれのフィルタインサートの内側から外側へ行われる、それぞれのフィルタインサートの逆洗は外側から内側へ実施されており、その際に発生する逆洗流量は逆洗装置を介してフィルタ装置から排出可能であり、それぞれのフィルタインサートは、未濾過液用の流体入口と、濾過液用の流体出口と、それぞれの逆洗流のための流出口とを有する装置ハウジング内に静止して配置されている。
【0018】
特に有利には、同一部材である複数のフィルタインサートが互いに上下に配置されてエレメントインサート一式を形成しており、個々のフィルタインサートが互いに分離不可能に、好ましくは接着によって結合されている。
【0019】
この場合に特に有利には、エレメントインサート一式が逆洗装置と共に全体として交換可能に装置ハウジング内に受容されているように配置構成されている。
【0020】
以下に本発明を図面に示した実施形態に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明によるフィルタ装置の実施形態の縦断面を簡略化して示す概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のフィルタインサートを有する装置部分の
図1と比較して拡大した縦断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態の駆動シャフト上にある付属の案内手段を有する1対の洗浄ノズルの拡大した分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2の切断線A-Aによるフィルタインサートの部分断面図である。
【
図7】
図7は、フィルタインサートのフィルタハウジングの構成要素の斜視図である。
【
図8】
図8は、フィルタインサートのフィルタハウジングの構成要素の斜視図である。
【
図9】
図9は、フィルタインサートのフィルタハウジングの構成要素の斜視図である。
【
図10】
図10は、フィルタインサートのフィルタハウジングの構成要素の斜視図である。
【
図11】
図11は、
図7~
図10に示す構成要素から組み立てられたフィルタハウジングの上面から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明によるフィルタ装置の
図1に示されている実施形態は、円筒形のハウジング本体1を有する装置ハウジングを備えており、図面で上側の端部はハウジングカバー3によって閉じられ、下側の端部は底部5によって閉じられている。底部5の近傍には側方入口7があり、これを通って未濾過液が汚染側を形成する空間9内に流入可能である。入口7の上方で上側ハウジングカバー3の近傍には側方出口11があり、これを通って濾過液が清浄側を形成する空間13から流出可能である。汚染側空間9とその上にある汚染側空間13は、スクリーンプレート15によって互いに隔離されている。スクリーンプレート15は
図2に示すように、汚染側と清浄側との間にシーリングを形成する、図示しないシールエレメント用の座をなす全周環状溝17を有している。スクリーンプレート15はまた、
図2に別々に示されている3つの上下に重ねたフィルタインサート19、21及び23のための支持部材も形成している。これらのフィルタインサートのうち、下部のフィルタインサート19及び21は、濾材27と、
図3から
図6に詳細に示されている逆洗装置とを備えたフィルタハウジング25を有する。これらのフィルタインサート19、21のフィルタハウジング25は、
図7~
図12により詳細に示されている。最上部フィルタインサート23は、フィルタハウジング29内に一群のバイパス弁31と粗フィルタ33を有する。最上部フィルタインサート23のハウジング29の上端部は、バイパスカバー35によって閉じられている。
【0023】
フィルタインサート19、21内の逆洗装置は、中空シャフトとして形成された駆動シャフト37に取り付けられている。駆動シャフト37は、スクリーンプレート15における支承部39で別の中空シャフト41に接続し、中空シャフト41の下端部はピボット軸受43を形成してパイプソケット45内に突入係合している。パイプソケット45は底部5から出発して汚染側空間9内に延びている。パイプソケット45は、フィルタインサート19及び21内の駆動シャフト37を起点とする、逆洗流量用に設けられた流動経路を、底部5における流出口47まで延ばしている。通常のように流出口47に付属している逆洗弁は
図1では省略されており、この種の装置では通常の公知の回転駆動装置も省略されているが、この回転駆動装置は中空シャフト41との回転連結により逆洗装置の駆動シャフト37を回転させる。それ自体公知の方法でモータ駆動装置又は圧力媒体によって作動する駆動装置を設けることができる。逆洗装置は、下部フィルタインサート19、21の各々に1対の洗浄ノズル49を有しており、各対は
図1及び
図2に示すように180°ずらした回転位置で、軸方向で互いに上下に位置するように駆動シャフト37に取り付けられている。洗浄ノズル49の細部は、
図3~
図6に最も明確に示されており、これについて以下に詳述する。
【0024】
両下部フィルタインサート19及び21の同一部材として形成されたフィルタハウジング25の細部は、
図7~
図12から最も明確に見て取ることができる。フィルタハウジング25は、
図7に別個に示されている上部支持体51と、
図10に別個に示されている下部支持体53とを有する。両支持体51、53は、
図10に下部支持体53について最も明確に示されているように、ハウジング長手方向軸心に対して同心に延びて間に間隙55(
図10)を形成する2つのハウジング壁を有しており、外側のハウジング壁は57、内側のハウジング壁は59で示されている。各ハウジング壁57、59は、多数の長手方向ウェブ61、63からなるリングによって形成されており、
図7及び
図10では見やすくするためにそれらのうちの若干だけ番号を付してある。上部支持体51の長手方向ウェブ61、63は、環状体によって形成された上側閉鎖部材64から下方に延びている。同様に下部支持体53の長手方向ウェブ61、63は、やはり環状体によって形成された下側閉鎖部材65を起点としている。フィルタハウジング25は、上部支持体51と下部支持体53との間の間隙55にそれぞれ受容されている濾材27によって完成する。濾材27は少なくとも1つのフィルタ層からなるプリーツ付きフィルタマット条からなり、その両外側には格子構造として形成されたそれぞれ1つの支持層がある。有利な例で濾過精度は25~34μmの範囲にある。上部支持体51と下部支持体53との間隙55にそれぞれの濾材27を挿入した後でフィルタハウジング25を組み立てるために、
図8に示す内側支持リング66を内側長手方向ウェブ63の端部に取り付け、
図9に示す外側支持リング67を外側長手方向ウェブ61の自由端に当接するように取り付けることによって隔壁が形成される。
図7~
図10に別個に示されている、場合によっては耐油性コーティングを施したPA6などのプラスチック材料から射出成形された部材は、次に例えば溶接又は好ましくは接着によって互いに固く接合される。
【0025】
支持体51、53から組み立てられたフィルタハウジング25において、下部支持体53若しくは上部支持体51の縦方向ウェブ61、63は互いに一直線になるように位置合わせされているので、隣接するウェブ61間にそれぞれ外側の流体通過部69が形成され、及び内側の長手方向ウェブ63間にそれぞれ内側の流体通過部70が形成されており、
図11及び
図12ではそれぞれ部分的にのみ番号が付されている。2つのフィルタインサート19、21が上下に配置されているこの実施形態では、フィルタインサート19及び21のフィルタハウジング25が互いに固く結合されている。この目的のために、下部フィルタハウジング25の上側閉鎖部材64は上部フィルタハウジング25の下側閉鎖部材65と接着されている。
【0026】
既に述べたように、
図3~
図6は逆洗装置の細部を示しており、
図3と
図4では1対の洗浄ノズル49が駆動シャフト37の関連部分と共に別個に示されている。この対の洗浄ノズル49は組み合わされて、PA6などのプラスチック材料から射出成形された一体的な成形体に統合されている。駆動シャフト37から遠い方の端面には、軸方向で洗浄ノズル49の全高にわたって延びる正面板71があり、正面板71は運転時に駆動シャフト37が回転するとフィルタハウジング25の内側長手方向ウェブ63の内周のすぐ近傍で動く。このために正面板71は、内周の形状に適合したわずかな湾曲を有する。正面板71には上部洗浄ノズル49の入口として軸方向に延びる長手方向スロット73が形成され、側洗浄ノズル49の入口として同様に軸方向に延びる長手方向スロット74が形成されている。
【0027】
図3に示すように、長手方向スロット73、74は回転方向で互いにずれている。
図4~
図6に示されるように、洗浄ノズル49において長手方向スロット73、74の流体路は半径方向内側の管体75へ続いている。1対の洗浄ノズル49と駆動シャフト37との接続を形成するために、駆動シャフト37には、中空駆動シャフト37の内部に開口する上部チューブ77と下部チューブ78が取り付けられている。チューブ77、78は、これらに突入係合している管体75と共に、1対の洗浄ノズル49のための伸縮式案内装置を構成している。この案内装置は、洗浄ノズル49の管体75間で半径方向に延びる側方ガイドレール79(
図3参照)によって、チューブ77、78の間の案内路80内に突入係合する。
図4~
図6に示されるように、管体75の半径方向内側の流出端には、それぞれ半径方向内方に突出するカラー81があり、それぞれシールリング82のための当接面を形成している。シールリング82は弾性的に作用する材料からなり、そのためシーリングと並んで一種のエネルギー蓄積手段を形成して、案内装置によって伸縮自在に案内された洗浄ノズル49を半径方向外方に付勢する。
【0028】
運転時に入口7を通して供給された未濾過液は汚染側空間9に流入し、そこからスクリーンプレート15内に形成された貫通路を通ってフィルタインサート19及び21のフィルタハウジング25の内室に流入し、濾過過程でそれらの濾材27を内側から外側へ清浄側空間13に貫流し、そこから出口11を通って流出する。逆洗は、図示されない逆洗弁によって逆洗流出口47が開き、洗浄ノズル49が回転している状態で行われる。このとき流入する未濾過液の動作圧力、例えば0.8MPa(8バール)~1MPa(10バール)の範囲の油圧により、開いた逆洗流出口への圧力勾配に基づいて逆洗流量の体積流が生じる。洗浄ノズル49内部の流体路は駆動シャフト37に向かって長手方向スロット73、74の開口断面に対して拡大しており、このことが一種のベンチュリ効果をもたらして長手方向スロット73の間近の範囲における流速を高め、それが汚れの分離を促進する。
【0029】
図5と
図6との比較が示すように、長手方向スロット73、74の回転方向のずれは、
図5と
図6の表現で上側の長手方向スロット73が、フィルタハウジング25の長手方向ウェブ63に位置合わせされており、この洗浄ノズル49における流体路が閉じられている間、同時に他方の長手方向スロット74が流体通過部70(
図6)に位置合わせされているように選択されている。この配置構成では、逆洗過程は実質的に連続的であり、すなわち逆洗の実質的な脈動がない。同時にいかなる時点でも、1つの流体通過部70のみの全通過断面が利用可能であるので、逆洗流量の体積流は相応に制限されている。さらに
図5と
図6に示されているように、内側の長手方向ウェブ63は半径方向に対して傾斜した位置を有しているので、長手方向スロット73、74の貫流の流動方向は半径方向に対して斜めに進む。これにより折り畳まれた濾材27を入れた間隙55において、材料27の折り目がどちらかと言えば長辺側で貫流されているため、洗浄過程における洗浄が助長されている。
【0030】
上述のように、図示された実施形態ではフィルタインサート21の上方に第3のフィルタインサート23が配置されている。最上部フィルタインサート23のフィルタハウジング29は底板84(
図2)を有しており、底板84は隣接するフィルタインサート21の上側閉鎖部材64に、例えば接着によって固定されている。底板84には、駆動シャフト37の上端部に対するピボット軸受85と、最上部フィルタインサート22のフィルタハウジング29内にあるバイパス弁31のための弁開口部87が設けられている。これらは、弁開口部87を閉じる遮断位置に圧縮ばね91によって付勢されている弁体89を有する。フィルタインサート19、21の濾材27が詰まると、それによって弁開口部87が圧力で作動して開き、未濾過液はバイパスフィルタインサート23の内室に達し、粗フィルタ液33を通って流出して清浄側空間13に達する。これにより粗フィルタ33と共に安全装置が形成されており、濾材27が詰まった場合でも給油を可能にする。