(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】付加的に適用されたコンバータを導体トラックと共に有する医療機器
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20220927BHJP
A61M 1/36 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
A61M1/16 111
A61M1/36 100
(21)【出願番号】P 2019551938
(86)(22)【出願日】2018-03-20
(86)【国際出願番号】 EP2018057011
(87)【国際公開番号】W WO2018172351
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-17
(31)【優先権主張番号】102017106403.6
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ハイデ、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ニコリック、デヤン
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04734184(US,A)
【文献】特表2004-512914(JP,A)
【文献】特開2010-258334(JP,A)
【文献】特表2010-532217(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0214504(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・硬質部を通じて、医療流
体をガイドするための流体通路を有する
少なくとも1つの硬質部と、
・
少なくとも1つのコンバータと、ここにおいて、前記コンバータは、前記医療流体の特徴を、それが前記流体通路のうちの1つに存在する間に測定するために配置され、
・
少なくとも1つの導電路と
を有し、
ここにおいて、前記コンバータの、または前記導電路の少なくとも第1の区間は、第1の付加的適用方法によって前記硬質部
上に適用される、または重ね合わされ、
前記コンバータの、または前記導電路の少なくとも第2の区間は、第2の
付加的適用方法によって前記硬質部
上に適用され、
前記第1
の付加的適用方法および前記第2の付加的適用方法は互いに異な
り、
ここにおいて、前記適用方法は、
・選択的レーザ溶融法(SLM)、
・選択的レーザ焼結法(SLS)、
・選択的加熱焼結法(SHS)、
・バインダジェット方式(結合剤による粉末材料の凝固)、
・電子ビーム溶融法(EBM)、
・熱溶解積層法(FDM、または熱溶融積層法(FFF))、
・アプリケーション溶着またはクラッディング、
・WDM(Wax Deposition Modeling)、
・コンタークラフティング、
・MPA(Metal Powder Application methods)、
・コールドガス噴射、
・光造形(SLA)+マイクロSLA、
・露光のためにデジタルライトプロセッシング(DLP)を使用する方法、
・液体複合材成形(LCM)、
・薄膜積層法(LOM)、
・金属の3Dスクリーンプリンティング、および
・光制御電気泳動堆積法、
のいずれか1つの方法である、
医療機器。
【請求項2】
前記第1、前記第2、または両方の適用方法は、導電性インクを適用することを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記第1、前記第2、または両方の適用方法は、テンプレートを用いない適用を含む、請求項1または2に記載の機器。
【請求項4】
前記医療機器は、複数のコンバータを備え、その各々は、その少なくとも一区間において、付加的適用方
法によって前記硬質部
上に適用される、請求項1~3のいずれか一項に記載の機器。
【請求項5】
前記第1、前記第2、または第3の付加的適用方法によって適用されている少なくとも1つの多極接続デバイスを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の機器。
【請求項6】
前記コンバータは
、導電率、圧力、張力、または電流を測定もしくは決定するように構成または設計されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の機器。
【請求項7】
少なくとも1つの導電コンタクトピンが前記硬質部に存在し、前記コンタクトピンは、前記コンバータまたは前記導電路と導電接続している、請求項1~6のいずれか一項に記載の機器。
【請求項8】
前記医療機器は血液カセットである、請求項1~7のいずれか一項に記載の機器。
【請求項9】
前記医療流体は血液である、請求項1~8のいずれか一項に記載の機器。
【請求項10】
前記第1の付加的適用方法は、プリンティング方法である、請求項4~9のいずれか一項に記載の機器。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一項に記載の医療機器を生産するための方法であって、
・医療流体のための流体システムを有する前記医療機器の硬質部を生産または提供することと、
・第1の付加的適用方
法によって、前記硬質部上に前記コンバータの、または導電路の少なくとも第1の区間を適用することと、
・第2の付加的適用方法によって前記硬質部上に前記コンバータの、または前記導電路の少なくとも第2の区間を適用することと
を行うステップを含み、
前記第1および前記第2の付加的適用方法は互いに異な
り、
ここにおいて、前記適用方法は、
・選択的レーザ溶融法(SLM)、
・選択的レーザ焼結法(SLS)、
・選択的加熱焼結法(SHS)、
・バインダジェット方式(結合剤による粉末材料の凝固)、
・電子ビーム溶融法(EBM)、
・熱溶解積層法(FDM、または熱溶融積層法(FFF))、
・アプリケーション溶着またはクラッディング、
・WDM(Wax Deposition Modeling)、
・コンタークラフティング、
・MPA(Metal Powder Application methods)、
・コールドガス噴射、
・光造形(SLA)+マイクロSLA、
・露光のためにデジタルライトプロセッシング(DLP)を使用する方法、
・液体複合材成形(LCM)、
・薄膜積層法(LOM)、
・金属の3Dスクリーンプリンティング、および
・光制御電気泳動堆積法、
のいずれか1つの方法である、
方法。
【請求項12】
前記第1、前記第2、または両方の適用方法は、導電性インクを適用することを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1、前記第2、または両方の適用方法は、テンプレートを用いない適用である、またはそれを含む、請求項
11または
12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの多極接続デバイスは、前記第1、前記第2、または第3の付加的適用方法によって適用される、請求項
11~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
・後処理ステップと、
・信号接続
の機械インターフェース上への付加的適用と、
・マルチ接続デバイス
の付加的適用と、
・付加的適用によって処理された前記医療機器の2つ以上の区間を組み合わせることと
を行うステップのうちの少なくとも1つを含む、請求項
11~
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記後処理ステップは、導電路に対して達成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記後処理ステップは、他の材料のさらなる機能層の適用、絶縁、研磨、また研削である、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
・前記硬質部が生産された射出成形プロセス中またはその後に前記硬質部の中にコンタクトピンを適用すること
を行うステップを含む、請求項
11~
17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
・それぞれ少なくとも1つの区間において交差する少なくとも2つの導電路を適用することと、
・両方の導電路間に絶縁層を適用することと
を行うステップを含む、請求項
11~
18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
・前記導電路のうちの少なくとも1つ上に遮蔽層を適用すること
を行うステップを含む、請求項
11~
19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記付加的適用はプリンティングであり、または前記第1の付加的適用方法はプリンティング方法である、請求項11~20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の医療機器に関する。本発明は、さらに、請求項9のプリアンブルに記載の、医療機器のための生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の血液処理装置は、血液が処理または一時的に蓄積される、血液処理のための少なくとも1つの医療機器、例えば血液カセットに接続される。血液カセットとして具現化される医療機器は、DE102009018664A1から既知である。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、さらなる医療機器を特定することである。さらに、かかる機器のための生産方法が提示される。
【0004】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する医療機器、および請求項9に記載の特徴を有する方法によって達成され得る。
【0005】
よって、少なくとも1つの硬質部内を、または硬質部を通じて、医療流体、特に血液を導通するための完全または不完全な流体通路を有する硬質部を有する医療機器が、本発明によって特定される。
【0006】
本医療機器はさらに、少なくとも1つのコンバータを備える。コンバータは、医療流体または別の流体の特徴を、当該流体が流体通路に存在している間に測定するために配置される。代替的または追加的に、コンバータは、医療機器の特徴を測定するため、または、例えば医療機器にかけられる外圧もしくは内圧の影響を測定するために配置される。
【0007】
コンバータは、その少なくとも1つの区間において、付加的適用方法(additive application method)、好ましくはプリンティング方法によって、硬質部に直接または間接的に適用される。
【0008】
本医療機器はさらに、少なくとも1つの導電路を備える。
【0009】
コンバータの、または導電路の少なくとも第2の区間は、第2の付加的適用方法によって硬質部に適用される。
【0010】
第1および第2の付加的適用方法は互いに異なる。
【0011】
本発明による方法は、本発明による医療機器の生産に特に役立つ。本方法は、医療流体のための流体通路、流体システム、またはそれらの区間を備える医療機器の硬質部を生産または提供することを含む。
【0012】
本方法はさらに、第1の付加的適用方法、好ましくはプリンティング方法によって、硬質部にコンバータの、または導電路の少なくとも第1の区間を適用することを含む。
【0013】
さらに、本方法は、第2の付加的適用方法によって硬質部にコンバータの、または導電路の少なくとも第2の区間を適用することを含む。
【0014】
本発明による処理装置は、医療機器の多極接続デバイスとの接続のための少なくとも1つの多極コネクタを備える。
【0015】
本発明による処理装置は、多極コネクタによって受信される信号を受信および処理するように構成され得る。
【0016】
本発明による処理装置は、本発明による医療機器に接続され得る。
【0017】
本明細書における実施形態のすべてにおいて、「~であり得る」および「~を有し得る」等の表現の使用は、それぞれ、「好ましくは~である」または「好ましくは~を有する」等と同義であり、本発明による一実施形態を例示することを意図している。
【0018】
本発明による実施形態は、上述または以下の特徴のうちの1つまたはいくつかを備え得る。このように、本明細書で言及される特徴は、そのいずれの組合せにおいても、当業者が具体的な組合せを技術的に不可能と認識しない限り、本発明による実施形態の主題であり得る。さらに本発明による実施形態は、従属請求項に記載の主題である。
【0019】
数値を表す語が本明細書で言及されるときはいつでも、当業者はそれらを数値の下限の表示として認識または理解するであろう。それが当業者を明白な矛盾に導かない限り、当業者は、例えば「1つ」という指定が「少なくとも1つ」を包含すると理解するであろう。この理解はまた、当業者にとって明白に技術的に可能であるときはいつでも、数値を表す語、例えば「1つ」が、代替的に「ちょうど1つ」を意味し得るという解釈として、本発明によって同等に包含される。両方が本発明によって包含され、本明細書では使用されるすべての数値を表す語に適用される。
【0020】
「上部」および「下部」という情報は、不確かな場合、それぞれの構成要素の、その意図された使用中の位置を指す、絶対的または相対的な空間情報として当業者によって理解されるべきである。
【0021】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、硬質部(本明細書では、硬質体または基体とも表示)および/またはチューブ等のようなその付属品は、通常射出成形プロセスによって生産される部分として理解されるべきであり、それゆえ本明細書では医療機器の「硬質」体と称され、ここにおいて、当該硬質体は、比較的「軟質」のフィルムによって被覆され得る。硬質部は、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PA、ABS、PMMA、PC、PVC、または当業者に十分に既知である他のポリマー、もしくは他の材料から作られ得る。それは、特に、例えばセラミックのような絶縁体材料から作られ得る。
【0022】
「センサ」および「センサ配列」(sensor arrangement)という用語は、本明細書の範囲内において、コンバータ、信号送信構成要素、および/または評価ユニットを備える、またはそれから成るシステムについて同義に使用される。それによりコンバータは、好ましくは、測定媒体と接触している機器側に設けられたセンサの一区間として理解されるべきである。同様にセンサ配列に属する信号送信構成要素は、それらの測定の結果を評価ユニットに転送し、これは、先行技術では通常、機械側に設けられている。
【0023】
本発明によるいくつかの実施形態では、本明細書の意味における「ラインシーケンス(line sequence)」とは、空間範囲および医療機器における機能、トポロジ、材料に関するそれぞれの特定の条件を有する局所環境として理解されるべきである。
【0024】
「ラインシーケンス」という用語は、導通のために使用される異なる構造の要素のシーケンスであり得る。ラインシーケンスは、ライン全体の一区間、導電路、ライン区間、または同様のものであり得る。
【0025】
例えば、それは、信号を生成および/または導通するための構造またはラインルーティングに関する異なる条件が、使い捨て品の異なる地点で満たされる必要があるということであり得る。それゆえ、それぞれのライン区間について異なる技術的解決法を選択することが有利であり得る。これらの技術的解決法は、詳細に既知であり得る。本発明では、それらが好適に組み合わされる。このようにして、異なる範囲の要件(ラインシーケンス)が一ライン区間内に存在し得、それのために適切な技術的解決法(例えばセンサへの貫通接触、平坦な接続部のためのスクリーンプリンティング、マルチ接続デバイスに対する3Dおよびテンプレートフリー)が選択される。
【0026】
適用された経路/構造は、部分的に異なるタスクを有するが、それらはすべて最も広範な意味において単に「経路」にすぎない。ここにおいて、それぞれの区間は各々、本明細書ではラインシーケンスと称される。よって、例えば第1のシーケンス(これもまたそれ自体は単にレーンであり得る)は、ひずみを抵抗変化に変換し得、これは、信号において反映されることができる。このレーンは、幾分薄く蛇行形状で可撓性があり、任意選択で、空間的曲面上に設けられる。ある特定のプロセスパラメータが、基本的にこの目的のために意図または提供され得、それらは、部分的に初歩的であり得る(例えばインクの使用、次元、ひずみ挙動、電気絶縁、遮蔽(EMC)等)。
【0027】
第2のラインシーケンスでは、「収集地点」(これは次に第3のラインシーケンスとして理解され得る)に信号を「トランスポート」または導通することのみが関係している。当該第2および第3のラインシーケンスのそれぞれの特徴は、根本的に互いに異なり得る。それらは、もはや3次元的に湾曲している必要はなく、それゆえスクリーンプリンティングまたは同様のものによって適用され得る。同じことが「収集地点」に適用される。これらの特徴は、機械的接触に対する修正されたロバスト性によって決定される(例えば、より薄い、より強い…)。
【0028】
例えば第1のラインシーケンスは、最初にコンバータ自体を表す。ここで、ある特定の地点、またはある特定の地点の局所環境において、測定されるパラメータが、記録され、電磁的に移行可能なパラメータに変換される。このパラメータは、最初に測定地点の局所環境から導出される。
【0029】
第2のラインシーケンスは、例えばマルチ接続デバイスまでの、例えば、医療機器にわたる概ね平坦なラインである。
【0030】
第3のラインシーケンスは、例示的にマルチ接続デバイス自体、および機械側へのその接続部である。それゆえ第1の接続は、例えば、第1のラインシーケンス(センサ/コンバータ)と第2のラインシーケンス(平坦な信号ライン)との間で行われ得る。よって、第2の接続は、例示的に、第2のラインシーケンス(平坦な信号ライン)と第3のラインシーケンス(マルチ接続デバイス)との間で行われ得る。
【0031】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、適用方法は、導電性インクを適用することを含む、またはそれから成る。
【0032】
導電性インクは、ここでは、共に適切に密に適用された場合に、例えば、特に信号が送信され得る導電路(本明細書では電極とも称される)のような機能経路を形成する、例えばナノ粒子またはマイクロ粒子を有する流体を意味すると理解される。本発明のコンテキストでは、導電性インク以外の材料または凝集状態もまた考慮または含まれ得る。理想として導電性インクは生物学的適合性があり得るが、そうでなくてもよい。追加的または代替的に、生細胞、蛋白質等が、導電性があるようにしたインクの一部であり得る。
【0033】
導電性インクまたは代替的な材料は、任意の凝集状態で使用され得る。いくつかの実施形態では、凝集状態は、本発明のコンテキストの範囲内で、バイオマーカが組み込まれた固体または液体のハイドロゲルを意味すると理解され得る。凍結した(すなわち固体)物質またはマイクロカプセル化した活性成分/試薬も処理され得る。経路はまた、昇華/凝結によって気相から分離され得る。
【0034】
導電性インクはここでは、例えば、炭素導電ポリマー、金属粒子、および/またはその組合せを備える液体、さらに金属化されたインクとも理解されるべきである。
【0035】
技術水準から既知のエアロゾルジェットプリンティング技法(これについてはEP2559656A1参照)は、付加的適用および特にプリンティングのための一例であるとみなされる。そこに開示されている技法およびその技法を実施するための説明されている機器は、特に、プリンティングプロセス中の運動のための必要数の自由度を可能にする、ノズル先端部の幾何学的設計にもより、この目的に好適である。
【0036】
本発明は、当然ながらエアロゾルジェットの使用に限定されるものではない。当業者は、特に導電性インクが本明細書において適用され得る、すべてのアディティブおよび/またはテンプレートフリープリンティング方法(additive and/or template-free printing method)が、本発明によって含まれることを認識する。
【0037】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、適用方法は、いくつかの層での適用を含む。
【0038】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、適用方法は、1つの同じ適用方法に属する一連または連続の独立した適用方法もしくはステップを含む。
【0039】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、付加的適用は、いわゆる付加製造(additive manufacturing)または一般の生産方法を含む。
【0040】
特に以下の方法が、本明細書では理解されるべきである。
・選択的レーザ溶融法(SLM)、
・選択的レーザ焼結法(SLS)、
・選択的加熱焼結法(SHS)、
・バインダジェット方式(結合剤による粉末材料の凝固)、
・電子ビーム溶融法(EBM)、
・熱溶解積層法(FDM、または熱溶融積層法(FFF))、
・アプリケーション溶着またはクラッディング(application welding or cladding)、
・WDM(Wax Deposition Modeling)、
・コンタークラフティング(Contour Crafting)、
・MPA(Metal Powder Application methods)、
・コールドガス噴射(Cold Gas Injection)、
・光造形(SLA)+マイクロSLA、
・露光のためにデジタルライトプロセッシング(DLP)を使用する方法、
・液体複合材成形(LCM)、
・薄膜積層法(LOM)、
・金属の3Dスクリーンプリンティング、および
・光制御電気泳動堆積法。
【0041】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、適用方法は、テンプレートを用いない適用(template-free application)を含む、またはそれである。これは、第1、第2、および/またはさらなる適用方法もしくはこれらの組合せに適用される。
【0042】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、テンプレートを用いない適用は、マスクもテンプレートも使用することのない適用として理解されるべきである。
【0043】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、適用方法は、特にそれぞれの連続的方法においてではなく、テンプレートインクプリンティングでも、インクステンシルプリンティングでも、スクリーンプリンティングでも、フォトリソグラフィプロセスでもない。
【0044】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、テンプレートを用いない適用は、その後除去される必要がある任意の補助層またはベゼルの放棄と理解されるべきである。
【0045】
テンプレートを使用して適用することは、本明細書では、コーティングされてはいけないエリアの、好適な形態でのシャドウイングまたは保護シェーディングと理解され得る。かかる適用は、例えば、ベゼル(例えばスクリーンプリンティング、スプレイラッカリング等)によって、またはラッカーテンプレート(例えばウェハ、プリント回路基板等)によって行われる。
【0046】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、医療機器は、複数すなわち2つ以上のコンバータを備え、その各々は、その少なくとも1つの区間において、付加的適用方法(またはいくつかの付加的適用方法)、好ましくはプリンティング方法(単数または複数)によって硬質部に直接または間接的に適用される。
【0047】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、1つのセンサ配列または複数のセンサ配列のさらなる区間が、好ましくは同じ適用方法を使用することによって付加的に適用されている。
【0048】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、付加的適用方法によって適用された1つのセンサ配列または複数のセンサ配列の区間は、同じ生産ステップで適用されている。
【0049】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、付加的適用方法によって適用された区間は、少なくとも1つのコンバータに加えて、少なくとも導電路、電極、多極接続デバイス、またはそれぞれそれらのいくつかを備える。
【0050】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、コンバータ(単数または複数)は、導電率、濃度、圧力、電圧、または電流を測定もしくは決定するために配置または構成される。
【0051】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、適用方法は、2次元または3次元的な適用をもたらし、および/または付加的適用方法によって適用されたコンバータならびに/もしくはさらなる区間は、適用方法によって2次元または3次元的に適用されている。
【0052】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、少なくとも1つの多極接続デバイスもまた、第1の適用方法を用いて、または第1の適用方法と同時に適用されている。
【0053】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、第1の適用方法に追加して、第2の適用方法ではない別の適用方法が、付加的適用方法によって適用されている第1の区間を適用するために使用されており、係る生産ステップが、本発明による方法によって企図され得る。
【0054】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、第2の適用方法に追加して、第1の適用方法ではない別の適用方法が、付加的適用方法によって適用されている第2の区間を適用するために使用されており、係る生産ステップが、本発明による方法によって企図され得る。
【0055】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、第1、第2、またはさらなる区間は、例えば導電性ポリマーによる、例えば2成分プリンティングとして、適用されている。
【0056】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、医療機器は、少なくとも1つのコンタクトピンを備える。後者は、硬質部に少なくとも部分的に配置され、コンバータまたはコンバータに接続された導電路と導電接続している。
【0057】
コンタクトピンは、金属ピンまたは金属区間であり得る、またはそれをそれぞれ備え得る。
【0058】
コンタクトピンは、射出成形された生産品であり得る。それは、例えば2成分射出成形によって生産され得る。それは、例えば導電性ポリマー、金属性粒子、または他の導電性材料を備え得る。
【0059】
コンタクトピンは、硬質部の生産中またはその後に適用され得る、または適用済みであり得る。
【0060】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、本方法はさらに、例えば他の材料のさらなる機能層の適用、絶縁、研磨、研削、機械インターフェースへの信号接続部の、例えばプリンティングによる付加的適用、マルチ接続デバイスの、例えばプリンティングによる付加的適用、付加的適用によって処理された医療機器の2つ以上の区間の組み合わせのような、特に導電路または電極に対して実行される後処理ステップのうちの少なくとも1つを含む。
【0061】
コンタクトピンは、硬質部が生産された射出成形プロセス中に硬質部に組み込まれ得る、または組み込み済みであり得る。
【0062】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、医療機器は血液カセットである。それは血液処理中の単回使用のために提供され得る。
【0063】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、本方法は、少なくとも1つの区間において互いに交差する少なくとも2つの導電路の適用を含む。それはさらに、それら導電路間に絶縁層を適用することを含む。
【0064】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、本方法は、導電路のうちの少なくとも1つに遮蔽層を適用することを含む。
【0065】
絶縁層および遮蔽層の両方は、導電路として適用され得る。
【0066】
導電路(本明細書では信号導体とも称される)とマルチ接続デバイスの両方が、1つまたはいくつかのアディティブ・テンプレートフリープリンティング技法で平面的(すなわち2次元的)または3次元的に適用され得る。ここでも、導電路のための上述のような1つまたは複数の後処理ステップが任意選択で含まれる。
【0067】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、本方法はさらに、本明細書に説明される付加的適用によって処理された医療機器の2つ以上の区間または構成要素を組み合わせることを含む。
【0068】
本発明によるいくつかの例示的な実施形態では、本発明による医療機器は、チューブ、チュービングシステム、チュービングセット、血液カセット、またはそれらのそれぞれの部分である。
【0069】
本発明の意味における「医療流体」は、各医療用液体および/または各医療ガスならびに任意の組合せを含む。流体は好ましくは血液である。
【0070】
本発明による医療機器は、例えばプラスチック材料で作られた、使い捨て構成要素または使い捨て物品であり得る。
【0071】
本発明による医療機器は、射出成形プロセスによって生産され得る。
【0072】
本発明による医療機器は、液体および/またはガス接続部、半開流路および/またはチャンバを有し得る。膜またはホイルのような1つまたは複数の被覆要素が、流路およびチャンバを閉じ、および/または封止するのに役立ち得る。
【0073】
医療機器が使用される血液処理は、例えば透析法、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、および同様のものであり得る。
【0074】
本発明によるある特定の例示的な実施形態では、医療機器は血液カセットである。かかる例における硬質部は、カセットボディまたはカセット本体またはチューブ区間である。
【0075】
本発明によるある特定の例示的な実施形態では、医療機器はさらに、ポンプチューブセグメントの有無にかかわらず、蠕動ポンプのためのポンプチューブセグメントのための少なくとも2つのコネクタを備える。
【0076】
本発明によるある特定の例示的な実施形態では、医療機器は、シングルニードル滅菌膜を有する。
【0077】
本発明によるある特定の例示的な実施形態では、装置は、ひずみゲージ(DMSセンサ)を備える。グラウンドの変形は、導電性シーケンスまたは測定経路の長さの変化をもたらし、それらの抵抗を変化させる。代替的に、圧電特性を有する材料、例えばPVDF(ポリマー)または圧電セラミックもまたプリンティングされることができる。圧電効果の助けにより、好ましくは(迅速な)圧力変化または振動が測定されることになる。
【0078】
本発明によるある特定の例示的な実施形態では、処理装置は、血液処理装置、特にアフェレシス装置または透析装置、特に血液濾過装置、血液透析濾過装置、濾過装置、または体外ガス交換のための装置である。
【0079】
本発明によるある特定の例示的な実施形態では、処理装置は、例えばポンプもしくはバルブのようなアクチュエータ、および/またはこれらのアクチュエータを通して医療機器に対して作用するための機械的もしくは非機械的インターフェースを備える。
【0080】
本発明によるある特定の例示的な実施形態では、処理装置の多極コネクタは、それによって医療機器に電気電圧が供給される電圧ラインを備える。電気供給は、データ読出しのため、および医療機器のセンサを動作させるために使用され得る。
【0081】
本発明におけるコンバータの例は、特に以下のものを含む。
1)容量性測定のためのコンバータ:2つの導電面間に誘電体が置かれる。測定される特性は、誘電体の誘電率との相互作用を有し、コンデンサ特性によって決定され得る。このタイプのコンバータを用いると、とりわけ次のことが決定され得る:導電率、レベル(液体の充填レベルまたは存在)、圧力、距離(近接センサ)。
2)抵抗性測定のためのコンバータ:ワイヤに対する外的影響がその抵抗に影響を及ぼす。このタイプのコンバータを用いると、とりわけ次のことが決定され得る:温度、圧力(ひずみゲージDMS)、重さ、力、経路、コンタクト(はい、いいえ)。
3)圧電効果に基づくコンバータ:ピエゾドット(piezodot)(例えばPVDF)が、測定セルの表面上にプリンティングされる。測定原理は、圧力受信、すなわち外圧を張力に直接変換することに基づくか、または、送信における受信機として第2のピエゾドットを用いて、もしくは1つのみのピエゾドットを用いた反射に基づいて、密度測定(振幅)または超音波(空間測定(実行時間)を生成することに基づく。このタイプのコンバータを用いると、とりわけ次のことが決定され得る:気泡検出、流れ測定、血液検出、空間測定(水中マイクロフォン、張力モニタリングのための適用されたピエゾ圧力センサを有するスクリュー参照)。
4)磁気誘導コンバータ:流れまたは導電率を測定するための既知の使い捨てMIDセンサ、―この変形例において、電極は使い捨て品に挿入されたりコーティングされたりしないが、プリンティングされる。センサの原理は、例えばWO2011/113838に説明されている。
5)光コンバータ:測定表面上に試薬がプリンティングされる。それは、外部から、または同様のプリンティングされた光エミッタ(ダイオード)によって、照射される。反射、吸収、発光、蛍光の観点で試薬の特性は、測定されるパラメータに依存する。情報は、対応する強度を検出する光検出器によって取得され得る。ここにおいて、光検出器は、好ましくは機械側に据えられ得、変換された信号は、光導体を介してマルチ接続デバイスに、およびそこから機械側に送信される。このタイプのコンバータを用いると、とりわけ次のことが決定され得る:温度による変色、圧力、化学変化、pH、pO2、グルコール濃度(ハイドロゲルオプトロード)。
【0082】
本発明の実施形態の一部または全部は、上述または以下に言及される利点の1つまたは複数を有し得る。
【0083】
血液処理のための現代の医療システムは、通常、(いわゆる「機械側」の)血液処理装置と、それに取り付け可能な(いわゆる「機器側」の)医療機器とを備える。医療機器が使い捨て品である場合、本明細書ではいわゆる「使い捨て品側」とも称される。本発明は使い捨て品に限定されるものではないが、使い捨て医療機器も、それに限定されることなく例示的に参照される。血液処理セッションのために使用される使い捨て品は、それらが患者の血液と接触した、または接触した可能性があるので、血液処理セッション後に、衛生の理由から廃棄される。
【0084】
処理をモニタリングするために、パラメータを使い捨て物品上または医療機器上で測定する、もしくは後者に対して作用する、センサおよびアクチュエータが必要とされる。
【0085】
使い捨て品自体の機能化、すなわち使い捨て品における特定のパラメータをモニタリングするために必要なそれぞれのセンサすべての一体化は、比較的高価なセンサ構成要素が各使用後に廃棄されることになるので、これまでのところ経済的に利益にならないことが判明している。それゆえ医療血液処理のための従来の使い捨て品は、本質的に血液が通過または流れるためのチューブから成っており、通常、非常に簡易である。上述の理由から、それらは通常、センサを携えない。
【0086】
これらのセンサおよびアクチュエータは、その結果、技術水準では大部分が機械側に設けられている。そこから、それらは、複数のセンサおよび/またはアクチュエータインターフェースを介して医療機器に影響を及ぼす、またはそれと相互作用する。これらのインターフェースは一般に、形状因子または設計を決定し、先行技術の医療システムを所望の通りに小さく具現化できないという事実につながる。
【0087】
これに対して、本発明はここで初めて、医療機器および使い捨て品の機能化の、コスト効率が良く経済的な代替物を提供することを可能にする。これは、使用される血液処理システムの小型化を有利に可能にする。それらの小型化は、とりわけ、それが体外搬送および水力学に必要とされる体外血液量および動力の両方の低減に寄与するので望ましい。
【0088】
上述の欠点を有する使い捨て品に個別のセンサ構成要素を一体化することによって機能化が試された技術水準とは対照的に、本発明は、上述のように、医療機器上にセンサ構成要素を効果的に配置するための解決法を提供する。
【0089】
本発明が、機器側に配置されるすべてのセンサ構成要素が同じ生産プロセスで一体化され得る方法を提供することも有利であり、これは生産労力をさらに低減し得る。
【0090】
本発明はそれにより、本発明による機器の完全な機能化または部分的のみの機能化を可能にし、当該機器はコンバータと共に廃棄されることができるが、コンバータが機器上に位置付けられる特定の方式により著しい経済的損害はない。
【0091】
例えば、コンバータに関して、部分的な機能化とは、コンバータの中心タスク、すなわち物理的、化学的、または他のパラメータもしくは値を検出すること、およびこのパラメータを電磁的に移行可能な代用値に変換することが、医療機器自体上で、侵襲的(すなわち血液または処理液と接触する)または非侵襲的のいずれかで行われることを意味すると理解される。しかしながら、より洗練された、例えば一体化された電気的コンポーネントを必要とする、例えば、信号の処理、および解釈、ならびにさらなるステップが、機械側で実施される。しかしながら、いくつかのケースでは、信号処理の一部または全部がまた、機械側で完全に実施され得る。本発明の後者の実施形態では、完全な機能化が言及され、少なくとも1つのセンサ配列または1つのセンサが、機器に完全に付加的に適用される。ここにおいて、センサ配列またはセンサの機器側構成要素は、上述のものと同じテンプレートフリー・アディティブ生産方法を使用して本発明にしたがって適用され得る。
【0092】
本発明でも提案されているように、使い捨て品が、個別の完全なセンサを装備したときに十分に機能化され得ることも有利である。本明細書で提示されるコンバータまたはセンサの他の構成要素を適用するための方法は、これを可能にする。
【0093】
それゆえ部分的な機能化、したがって機械側での信号の後処理および評価に必要な複合電子回路の残りは、同じアディティブ・テンプレートフリープリンティング技術によって適用されるそれぞれのセンサの大抵より簡易な設計の構成要素のみが機器上に配置されるという点で有利である。
【0094】
さらに、機能化は経済的に有利であり、これは、理想としては機器側に配置されるすべてのセンサ構成要素のための同じ生産ステップにおいて、同じ生産技術を共用することによって、生産が極めてコスト効率よく行われることができるからである。
【0095】
本発明による生産方法が好ましくは、アディティブ・テンプレートフリープリンティング方法であるので、例えば新たなセンサジオメトリを有する修正版の機器が、任意選択で、ソフトウェア内の対応するデータ記録を単純にローディングまたはインストールするだけでも生産され得る。射出成形による医療機器の生産であれば必要となる、例えば射出成形型の購入のような、生産ハードウェアの変更を行う必要はない。この態様も、製造を簡易化し、コスト効率を向上させる。
【0096】
従来の(非機能化)システムに対する本発明のさらなる利点は、例えば、測定される圧力状態が、機械側に配置され使い捨てでない測定膜に空気圧ラインを介してガイドされる既知の圧力センサを有する場合のような、測定される物理的または化学的パラメータが機械側に機械的にガイドされることが必要ないということである。液体から当該膜を保護するために、トランスデューサプロテクタ(TP)と称される、複合保護膜が定期的に必要とされる。よって本発明によれば、機械へのすべての機械的インターフェースは省略され得る。測定されるすべてのパラメータは、センサシステムの一体化された部分によって少なくともアナログ電磁信号(電流、電圧、光信号)に変換され得、機械側の処理および評価ユニットにこの形態のみで送信され得る。機器側のセンサシステム全体を結合するために、1つのみの対応するマルチチャネル電磁および/または光インターフェースが必要とされ(マルチ接続デバイス)、これは後者の著しい低減を可能にする。
【0097】
本発明はさらに、センサのコンバータから例えばマルチ接続デバイスへの信号の最適送信を可能にする。これは、ラインの安全性、生産速度、およびコストに関して、異なる接続部またはラインシーケンスと、導電路を適用するための最適技法の使用とを区別することによって行われる。さらに、本発明は、単一のラインシーケンス間の最適な接続を提供する。
【0098】
以下に、本発明が、添付図面を参照して説明される。図面では、同一の参照番号が、同様または同一の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1】本発明による医療機器を使用した血液処理のための医療システムを、部分的に機能化された使い捨て品として示す。
【
図2】本発明の第2の例示的な実施形態による医療機器を示す。
【
図3】本発明による機器の硬質部の内輪郭に沿ってテンプレートフリー・アディティブ方法によって3次元的に適用された2つのコンバータを示す。
【
図4】さらなる例示的な実施形態における本発明による機器の硬質部の一区間を、その2つの拡大図と共に示す。
【
図5a】ここでは例示的にトングのような、またはクランプのようなコネクタとして設計されている、例えば、本発明による機器に接続されることになる機械インターフェースを示す。
【
図5b】平面の多極接続デバイスとして設計された、
図5aの機械インターフェースの相手側を示す。
【
図5c】3次元の多極接続デバイスとして設計された、
図5aの機械インターフェースの相手側を示す。
【
図6a】本発明による機器の2つのラインの交差または重なりを示す。
【
図6b】区間における
図6aの例示の拡大された区間を示す。
【詳細な説明】
【0100】
図1は、医療機器200(つまり機器200)を有する血液処理装置100を非常に概略的かつ単に例示的に示す。
【0101】
機器200は、例示的に使い捨て品として設計されている。それは、アディティブ・テンプレートフリープリンティング方法によって部分的に機能化されたものである。
【0102】
本発明による血液処理装置100および機器200は、インターフェース300を介して信号通信して互いに接続される。
【0103】
機器200は、硬質部201を備える。センサ配列の複数部分、ここでは導電路203およびコンバータ205が、硬質部201上に設けられる。
【0104】
コンバータ205は全体として、本発明においては、第1の適用方法によって適用される第1の区間であると理解され得る。
【0105】
導電路203は全体として、本発明においては、第2の適用方法によって適用される第2の区間であると理解され得る。
【0106】
コンバータ205は、例えば圧力センサであり得る。それは硬質部201上にプリンティングされることができる。使い捨て品側で、それは、測定されるパラメータ、ここでは圧力を、アナログ電気信号に変換することのみできる。
【0107】
付加的にプリンティングされた導体203を介して、電気信号は、定義されたインターフェース300に導通され、これは、評価ユニットによって取得された結果を表示するためのモニタ101によって示されている機械側の評価ユニットに接続される。
【0108】
機械側で、信号は、AD(アナログ・デジタル)コンバータまたはADコンバータ(つまりADC)103によってデジタル化されることができる。後処理ステップ(フィルタリング、平滑化、フーリエ変換、ゼロフィリング等)が、最終評価および解釈より前に行われ得る。これらのすべての任意選択のステップが、例えば評価ユニットにおいて実行されることができる。
【0109】
図2は、本発明の第2の例示的な実施形態による医療機器200を示す。
【0110】
医療機器200は、ここでもまた、3つの異なるコンバータ207、209、および211を有する、部分的に機能化された使い捨て品である。
【0111】
ここで、
図2および以下の図は、一方では適用されたコンバータ207、209、および211の例を、他方では導電路212の例を各々示し、ここにおいて、コンバータおよび導体路212は、異なる適用方法によって適用済みであり得る。代替的に、一方のコンバータ207、209、および211のうちの少なくとも1つ、ならびに他方の導電路212のうちの1つは、それぞれ、1つより多くの適用方法と、および少なくとも第1および第2の適用方法とによって適用済みであり得る。
【0112】
導電率を測定するためのコンバータ207が、
図2の左上に例示的に配置されている。簡易化された本図では、当該コンバータは、機器200の流体導通流路202の内部にある、本発明によるアディティブ・テンプレートフリープリンティング方法によって適用された2つの導電路から成る。
【0113】
他の2つのコンバータ209、211は、圧力センサの例示的な実施形態を示す。これらは、機器200の流体導通流路またはチューブ202の、内輪郭(コンバータ209参照)または外輪郭(コンバータ211参照)上にひずみゲージとして配置されることができる。
【0114】
コンバータ209、211の他に、
図2は、インターフェース300に向かう導電路212および接触部217を有する電磁信号ガイド、ここでは例示的に多極接続デバイス214を例示的に示す。信号ラインに向かう導体路212は、特に同じ生産ステップにおいて、同じアディティブ・テンプレートフリー方法を用いて硬質部201の平面上に適用され得る。
【0115】
しかしながら、上述の意味において、非平面(3次元)ラインがルーティングするまたは走る、もしくは(対応して絶縁された)ラインの交差もまた可能である。
【0116】
導電路212および接触部217は、コンバータ207、209、211の適用のあとに続く、例えば第2の生産ステップにおいて、第2の同様のアディティブ・テンプレートフリープリンティング方法によって適用され得る。測定されるパラメータを、例えばそれ自体が導電路212によって機械インターフェース300にガイドされる電磁信号に変換するそれぞれのコンバータ207、209、211のロケーションからの信号を導通するために使用される、導電路212の全体は、導電性ポリマーの2成分射出成形によって適用される個別部分も含むことができる。
【0117】
図3は、2つのコンバータ207、210を示し、その各々は、1つまたはいくつかのテンプレートフリー・アディティブ方法によって流体通路202の内輪郭に沿って医療機器200の硬質部201における流路の形態で3次元的に適用されている。
【0118】
2つのコンバータ207、210は、例えば、共通/共有の導電率センサの電極であり得る。それらはまた、異なって測定するセンサのコンバータでもあり得る。
【0119】
図3は、それぞれのコンバータ207、210を、それぞれそれらの電極と導通方式で接続する、すなわちそれらを続いている導電路に電気接続する2つの異なる可能性を示す。
【0120】
かかる続いている導電路は、典型的には、第2のラインシーケンス(本図には図示せず)の平坦な導電路である。左側の電極は、流路の内輪郭に適用された同じ方法によって結合される。これは、例えば、カセットの半分の流路が開いているときに(図示)、電極の端部を流路のエッジを越えて当該カセットの表面にガイドすることによって実施され得る。
【0121】
図3の右側の例では、いわゆる貫通接続によるコンバータ210の結合が示される。この目的のために、コンタクトピン218(
図4に拡大して図示)が、硬質部201の一区間を貫通して、例えば血液カセットの半分を貫通してガイドされる。硬質部201の片側では、コンタクトピン218は、コンバータ210に導電接続される。硬質部201の反対側では、コンタクトピン218は、第2のラインシーケンス(本図には図示せず)の平坦な接続部につながる。
【0122】
1つの実施形態では、コンタクトピン218は、硬質部201の生産中に射出成形によってコーティングまたは被覆される金属ピンまたは別の金属体であり得る。
【0123】
コンタクトピン218は、代替的に、例えば第2の射出ステップで射出成形を使用して生産され得る。このいわゆる2成分射出成形では、導電性材料、例えば金属性粒子を多く含む導電性ポリマーまたは成形材料が、コンタクトピン218の射出中に使用される。最後に、コンタクトピン218はまた、この目的のために設けられた通路にその後挿入され得る。
【0124】
図4は、いくつかの拡大図で、貫通接続として本明細書に説明される実施形態を示す。それは、例えば2成形射出成形によって可能にされた貫通接続を示す。
【0125】
図5aは、トング301の形態の、ここでは例示的にトングのような、またはクランプのようなコネクタとして設計された、機械インターフェース300を示す。プラグコネクタとしても設計され得るコネクタは、それを機器200のそれぞれの接触部に取り付けまたは適用したときに血液処理装置100(図示せず)のそれぞれのモニタリングデバイスまたは評価ユニットへの導電接続を確立するように具現化される。例えば、アナログの電磁的に移行可能な信号は、本発明による部分的に機能化された機器200から血液処理装置100に送られ得る。
【0126】
図5bおよび
図5cは、異なる視点での機器200側にある、
図5aのトング301の可能な相手側を示す。
図5bは、例として、平坦な多極接続デバイス214、すなわち導電路212が、多極接続デバイス214の表面またはマルチプル接続デバイス214のエリアにある硬質部201の表面上だけにプリンティングされているのを示す。よって多極接続デバイスは、平面、すなわち2次元的にプリンティングされている。当該多極接続デバイス214は、テンプレートフリー・アディティブ方法、およびスクリーンプリンティングまたは同様のもののような古典的な方法の両方によって適用され得る。
【0127】
図5cは、3次元プリンティングを用いた実施形態における多極接続デバイス214を示し、すなわち、導電路は、端面においてエッジの周りをガイドされ、多極接続デバイス214を携える硬質部201の区間の端面(ここでは例示的に全体)も被覆する。
【0128】
この実施形態は、偶発的な切断の恐れがある、機械的に応力がかけられた状況の場合に、特に改善された接触部の安全性を提供し得る。この実施形態の3次元プリンティングは、好ましくは、テンプレートフリー・アディティブ方法を用いて実施される。
【0129】
コンバータからの信号が事前に通過した、第2のラインシーケンス、すなわち平面接続部への多極接続デバイス214の結合は、直接接続をプリンティングすることによって上述のように実施され得る。さらに、ある特定の状況では、貫通接続による上記結合も可能である。
【0130】
図6aおよび
図6bは、本発明のさらなる態様を示し、これは好ましくは、例えば、上記第2のラインシーケンスにおいて、および/または平坦な導電路と共に使用される。
【0131】
これらの接続部(本明細書では平面と表示)では、機器200の個別/単一のコンバータ(
図6には図示せず)の信号は、機器200の表面の上または下を多極接続デバイス214にガイドされ、そこからそれらは血液処理装置の制御または評価ユニットに送信されることができる。表面のトポロジおよび多極接続デバイス214の個別の接触部の割振りに依存して、それは個別のライン212、212’または接続部が交差することが必要であり得る。
【0132】
かかる交差または重なり220は、
図6aに示され、
図6bではまた拡大された区間に示される。
【0133】
かかる交差または重なり220は、好ましくは、例えば、上記第2のラインシーケンスに、および/または導電路と共に設けられ得る。そこでは、ほとんどの空間が平面接続で利用可能であるので、それは比較的少ない労力で実施されることができる。
【0134】
交差した導電路212、212’(つまり導体)は、本発明による方法を用いて実施するのが有利に容易であり、これは、それらが、例えば本明細書で言及されるテンプレートフリー・アディティブプリンティングを使用して層ごとに生産されることができるからである。
【0135】
原理上、導電路212、212’の両方は、基体層の表面に連続して適用され得る。絶縁層222が2つの導体間に適用され得、その結果、電磁信号は短絡回路によって妨害されない。
【0136】
この目的のために、第1の導電路212全体には、絶縁層222がオーバープリンティングまたはリプリンティングされ得、その結果、その全長において表面に対して電気的に絶縁される。
【0137】
代替的に、絶縁はまた、2つのライン212、212’の交差の地点/ロケーションにおいて直接的に実施されるだけでもあり得る。
【0138】
機器200が、カセットの第2の半分のような機器の第2の半分との接続を通して後の生産ステップで閉じられない、すなわち交差ラインの第2のライン212’が被覆されないままである場合、それにはまた、送信された信号を短絡回路から保護するために、かかる絶縁層が第2またはさらなるプリンティングステップにおいてもプリンティングされ得る。
【0139】
電磁妨害信号を通した誘導性または容量性結合から信号をさらに保護するために、遮蔽電位に置かれた導電層(図には図示せず)もまた、絶縁層の外周にプリンティングされることができる。
【0140】
代替的に、2つの交差ライン212、212’の各々はまた、それらの絶縁層222の外側に、かかる遮蔽層を有し得る。遮蔽層の各々は、さらなる絶縁層によって再び外側に対して電気的に絶縁され得る。これは、内側のマス層において、第2の交差する導電路212’が信号トランスポートのためにそこにわたって配置されるときに特に有利である。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
それぞれ、少なくとも、
・硬質部を通じて、医療流体、特に血液をガイドするための流体通路を有する1つの硬質部と、
・1つのコンバータと、ここにおいて、前記コンバータは、前記医療流体の特徴を、それが前記流体通路のうちの1つに存在する間に測定するために配置され、
・1つの導電路と
を有し、
ここにおいて、前記コンバータの、または前記導電路の少なくとも第1の区間は、第1の付加的適用方法によって前記硬質部に適用される、または重ね合わされ、
前記コンバータの、または前記導電路の少なくとも第2の区間は、第2の適用方法によって前記硬質部に適用され、
前記第1および前記第2の付加的適用方法は互いに異なる、医療機器。
[C2]
前記第1、前記第2、または両方の適用方法は、導電性インクを適用することを含む、C1に記載の機器。
[C3]
前記第1、前記第2、または両方の適用方法は、テンプレートを用いない適用を含む、C1または2に記載の機器。
[C4]
前記医療機器は、複数のコンバータを備え、その各々は、その少なくとも一区間において、付加的適用方法、好ましくはプリンティング方法によって前記硬質部に適用される、C1~3のいずれか一項に記載の機器。
[C5]
前記第1、前記第2、または第3の付加的適用方法によって適用されている少なくとも1つの多極接続デバイスを備える、C1~4のいずれか一項に記載の機器。
[C6]
前記コンバータは、例えば、導電率、圧力、張力、または電流を測定もしくは決定するように構成または設計されている、C1~5のいずれか一項に記載の機器。
[C7]
少なくとも1つの導電コンタクトピンが前記硬質部に存在し、前記コンタクトピンは、前記コンバータまたは前記導電路と導電接続している、C1~6のいずれか一項に記載の機器。
[C8]
前記医療機器は血液カセットである、C1~7のいずれか一項に記載の機器。
[C9]
C1~8のいずれか一項に記載の医療機器を生産するための方法であって、
・医療流体のための流体システムを有する前記医療機器の硬質部を生産または提供することと、
・第1の付加的適用方法、好ましくはプリンティング方法によって、前記硬質部上に前記コンバータの、または導電路の少なくとも第1の区間を適用することと、
・第2の付加的適用方法によって前記硬質部上に前記コンバータの、または前記導電路の少なくとも第2の区間を適用することと
を行うステップを含み、
前記第1および前記第2の付加的適用方法は互いに異なる、方法。
[C10]
前記第1、前記第2、または両方の適用方法は、導電性インクを適用することを含む、C9に記載の方法。
[C11]
前記第1、前記第2、または両方の適用方法は、テンプレートを用いない適用である、またはそれを含む、C9または10に記載の方法。
[C12]
少なくとも1つの多極接続デバイスは、前記第1、前記第2、または第3の付加的適用方法によって適用される、C9~11のいずれか一項に記載の方法。
[C13]
・例えば他の材料のさらなる機能層の適用、絶縁、研磨、研削のような、特に導電路に対して達成される、後処理ステップと、
・例えばプリンティングによる、前記信号接続の前記機械インターフェース上への付加的適用と、
・前記マルチ接続デバイスの、例えばプリンティングによる付加的適用と、
・付加的適用によって処理された前記医療機器の2つ以上の区間を組み合わせることと
を行うステップのうちの少なくとも1つを含む、C9~12のいずれか一項に記載の方法。
[C14]
・前記硬質部が生産された射出成形プロセス中またはその後に前記硬質部の中にコンタクトピンを適用すること
を行うステップを含む、C9~13のいずれか一項に記載の方法。
[C15]
・それぞれ少なくとも1つの区間において交差する少なくとも2つの導電路を適用することと、
・両方の導電路間に絶縁層を適用することと
を行うステップを含む、C9~14のいずれか一項に記載の方法。
[C16]
・前記導電路のうちの少なくとも1つ上に遮蔽層を適用すること
を行うステップを含む、C9~15のいずれか一項に記載の方法。
【符号の説明】
【0141】
100…血液処理装置
101…モニタ
103…ADコンバータ
200…医療機器の一例としての血液カセット
201…カセットボディまたはカセット本体、硬質部、硬質体
202…流体通路、流路、流れ流路
203…導電路、導体、または信号導体
205…コンバータ
207…コンバータ
209…コンバータ
210…コンバータ
211…コンバータとしてのDMS要素
212…導電路、導体、または信号導体
212’…導電路、導体、または信号導体
214…多極接続デバイス、多極コネクタ
217…接触部
218…コンタクトピン
220…導電路の交差または重なり
222…絶縁体、絶縁体層
300…インターフェース、機械インターフェース