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特許7146802フィルタを有するカプセルを作製するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】フィルタを有するカプセルを作製するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/804 20060101AFI20220927BHJP
   B29C 51/14 20060101ALI20220927BHJP
   B29C 51/42 20060101ALI20220927BHJP
   B29C 51/08 20060101ALI20220927BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
B65D85/804
B29C51/14
B29C51/42
B29C51/08
B29C51/10
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019555857
(86)(22)【出願日】2018-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 IB2018052397
(87)【国際公開番号】W WO2018189632
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】102017000041430
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】504201132
【氏名又は名称】サロング ソシエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア、バルトーリ
(72)【発明者】
【氏名】ダビデ、カピティーニ
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特表昭63-500713(JP,A)
【文献】特開2003-191264(JP,A)
【文献】国際公開第2016/067128(WO,A1)
【文献】特表2014-532595(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0141128(US,A1)
【文献】国際公開第2013/171663(WO,A1)
【文献】特表2000-502001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/804
B29C 51/14
B29C 51/42
B29C 51/08
B29C 51/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料調製用製品の受容に適したフィルタ要素(13)を収容する本体(12)を有するカプセルを作製するための方法であって、
‐熱可塑性材料からなる第1フィルム(6)とフィルタ材料からなる第2フィルム(8)とを、前記第2フィルム(8)を前記第1フィルム()に重ね合わせた状態で、成形型(1)に供給方向(F2)に従って供給するステップであって、前記成形型(1)は、複数のキャビティ(3)が存在する下側半型(2)と、それぞれが各キャビティ(3)に対応する複数の延伸要素(5)であって前記供給方向(F2)に対して垂直な方向(F1)において可動である延伸要素(5)を有する上側半型(4)と、を備える、ステップと、
‐前記成形型(1)の上流に配置された予熱器(10)によって、前記可塑性材料からなる第1フィルム(6)を軟化温度まで予熱するステップと、
‐前記下側半型(2)と前記上側半型(4)とを、それらが前記熱可塑性材料からなる第1フィルム(6)及び前記フィルタ材料からなる第2フィルム(8)を間に固定保持するまで互いに近付けることで前記成形型(1)を閉鎖するステップと、
‐前記キャビティ(3)において、前記カプセルの前記本体(12)と前記各フィルタ要素(13)とを、前記延伸要素(5)を使用して同時に成形するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記成形型(1)を閉鎖する前に、前記延伸要素(5)が前記熱可塑性材料からなる第1フィルム(6)に重ね合わされた前記フィルタ材料からなる第2フィルム(8)に接触して前記熱可塑性材料からなる第1フィルム(6)及び前記フィルタ材料からなる第2フィルム(8)を部分的に変形させるまで、前記延伸要素(5)を前記下側半型(2)に向けて移動させる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成形ステップは、前記延伸要素(5)を前記下側半型(2)の前記キャビティ(3)内部に進入させて、前記カプセルの前記本体(12)及び前記各フィルタ要素(13)の予備成形を同時に実施するステップを備える、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記成形型(1)の下流に配置された少なくとも1つの供給手段(11)によって、前記第1フィルム(6)及び前記第2フィルム(8)を前記前進方向(F2)において前進移動させるとともに前記前進方向(F2)に対して張った状態に維持する、
請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記閉鎖ステップの間に、前記第1フィルム(6)及び前記第2フィルム(8)は、所定ゾーン(15)において一体に溶接される、
請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
圧縮空気を前記成形型(1)に供給することにより、前記可塑性材料からなる第1フィルム(6)を前記フィルタ材料からなる第2フィルム(8)から離間させ、前記熱可塑性材料及び前記フィルタ材料の両者を、各キャビティ(3)において、それらが前記各カプセル本体(12)及びこれに対応する前記フィルタ要素(13)の最終形状となるまで変形させる、
請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記成形型(1)への圧縮空気の供給中又は供給後に前記熱可塑性材料からなる第1フィルム(6)が前記フィルタ材料からなる第2フィルム(8)から離間したとき、前記延伸要素(5)は、下向きの追加ストロークを実施して前記カプセルの前記本体(12)の内部で前記フィルタ要素(13)の深さを増加させる、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記熱可塑性材料からなる第1フィルム(6)及び前記フィルタ材料からなる第2フィルム(8)の両者を、前記予熱器(10)により予熱して互いに押圧させることにより、前記成形型(1)への供給前に一体に溶接させる、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
圧縮空気を前記成形型(1)に供給することにより、前記熱可塑性材料及び前記フィルタ材料の両者を、各キャビティ(3)において、それらが前記各カプセル本体(12)及びこれに対応する前記フィルタ要素(13)の最終形状となるまで変形させる、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記カプセル本体(12)及び前記各フィルタ要素(13)の前記成形ステップの最後に、前記成形型(1)を開放するステップと、前記成形型(1)から前記各フィルタ要素(13)を有するカプセル本体(12)を前記供給手段(11)を用いて取り出すステップと、を更に備える、
請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記熱可塑性材料(6)は、堆肥にできる材料である、
請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
飲料調製用製品の受容に適したフィルタ要素(13)を収容する本体(12)を有するカプセルを作製するための装置であって、前記装置は、複数のキャビティ(3)が存在する下側半型(2)と、それぞれが各キャビティ(3)に対応する複数の延伸要素(5)であって方向(F1)において可動である延伸要素(5)を有する上側半型(4)とを備えた成形型(1)を備えた装置において、
‐前記方向(F1)に対して垂直である前進方向(F2)において可動である供給手段(11)であって、熱可塑性材料からなる第1フィルム(6)及びフィルタ材料からなる第2フィルム(8)を同時に前記成形型(1)に供給し、これらを張った状態に維持するための供給手段(11)と、
‐少なくとも前記熱可塑性材料からなる第1フィルム(6)を、これが前記成形型(1)に供給される前に予熱するための予熱器(10)と、
を更に備えることを特徴とする、装置。
【請求項13】
前記成形型(1)は導管(14)を有し、圧縮空気が前記成形型(1)に前記導管(14)を介して供給可能である、
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記供給手段は、グリッパ要素(11)又はカテナリ要素を備える、
請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記予熱器は、加熱プレート(10)又は加熱ランプを備える、
請求項12乃至14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記フィルタ材料からなる第2フィルム(8)は、前記熱可塑性材料からなる第1フィルム(6)とともに前記予熱器(10)によって予熱されるように配置される、
請求項12乃至15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記フィルタ材料からなる第2フィルム(8)は、前記熱可塑性材料からなる第1フィルム(6)とともに前記予熱器(10)によって予熱されるように配置され、
前記予熱器は前記加熱プレート(10)を備え、
前記加熱プレート(10)は、前記熱可塑性材料からなる第1フィルム(6)及び前記フィルタ材料からなる第2フィルム(8)に、それらの予熱ステップにおいて圧力を及ぼすことにより、前記第1フィルム(6)及び前記第2フィルム(8)を一体に溶接するように配置される、請求項15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱成形によりカプセル又は類似の容器を作製するための方法及び装置であって、カプセルは例えばコーヒーや茶等の飲料又は他の飲料を調製するための製品を収容するのに適した内側フィルタを有する方法及び装置に関する。カプセルは、フィルタ要素又は内側フィルタで密封された公知の使い捨てカプセルである。カプセルは、プラスチック材料から構成されたグラス又はカップ形状を有する外部容器又はケースであって、開放キャビティを規定する底壁と側壁とを有する外部容器又はケースを備えている。開放キャビティの開口は、ケースのキャビティの内部において、飲料が得られる製品を収容するフィルタ要素をシールするように、カバー要素によって密閉される。容器のカバー要素及び底壁は、一般に穿孔可能であって、これにより、圧力下で典型的には水である液体が(典型的にはカバー要素を介して)導入されること、及び前述の液体の透過により製品を介して得られる飲料を(典型的には底壁を介して)抽出することが可能となっている。
【0002】
製品を収容するための1つの上方に開放したキャビティを構成するような形状のフィルタは、容器の側壁にその上部周縁部においてシールされている。したがって、フィルタは、容器の内部を、製品を収容するとともに容器の(充填を可能にするように)上部開口を介してアクセス可能な1つの第1上方チャンバと、フィルタと容器の底壁及び/又は側壁との間に含まれて製品から得られた飲料を引き出すことを可能にする1つの第2下方チャンバと、に分割している。
【0003】
プラスチック材料からなるケースとフィルタ要素とは通常別個に作製され、1つの包装機において結合される。この包装機は、飲料調整製品の充填と、カプセルのカバー要素による閉鎖も行う。
【0004】
カプセルケースは、複数の作業ステーションを備えた熱成形装置において作製され得る。コイルから巻き出された熱成形可能なプラスチック材料からなるシートを、作業ステーションを介して適切な前進手段によって前進させる。
【0005】
動作ステーションは、一般に、加熱ステーション、成形ステーション、剪断ステーションを順次備えている。
【0006】
加熱ステーションにおいて、シート材料が、後に続く成形作業のために準備される。すなわち、シート材料は、その可塑性と変形性を高めるように、所定の軟化温度に達するまで加熱される。成形ステーションは1つの成形型を備え、その内部で、複数のケースを作製するように単数又は複数のパンチがシートをダイの各キャビティ内部で押圧する。剪断ステーションにおいて、1つの剪断要素がプラスチック材料シートを所定の切断アウトラインに沿って剪断することで、プラスチック材料に成形されたケースを分離する。
【0007】
或いは、カプセルケースは、1つの閉鎖型を備える射出成形装置において作製され得る。この場合、単独のカプセル又は、複数列又は二元アレイに沿って配置された複数のカプセルを作製するように、閉鎖型に溶融温度のプラスチック材料が高圧で射出される。
【0008】
フィルタペーパー又は不織布等の透過性材料で構成されるフィルタ要素は、コイルから巻き出された前述の材料のフィルムから切り出された材料の一部を適切に折り畳んで(典型的には円錐形又は切頭円錐形の)キャビティを形成することにより作製される。
【0009】
フィルタ要素は、包装機において、カプセルのそれぞれのケースに導入され、溶接によりこれに固定される。
【0010】
上述の製造方法は複雑且つ煩雑であり、包装機にカプセルを組み立てることができるステーション、換言すれば、フィルタ要素を各ケースに固定することができるステーションを設ける必要がある。
【0011】
フィルタ要素を引き出し、移動させ、次いで挿入するステップは、一度折り畳んで形を整えたフィルタ要素の脆弱性と不安定性を理由として特に重要である。組立ステーション手段は、フィルタ要素がカプセル内でダメージを受けたり変形したり又は不適切に配置されてカプセルが廃棄され結果として包装機の生産性が低下することがないことを保証するように、高度に精密且つ正確でなければならない。
【0012】
したがって、このような包装機は、カプセルをコーヒーや茶等の製品で充填するために一般的に使用される包装機より複雑且つ高価である。
【0013】
WO2013064988から、飲料用カプセルを作製するための方法及び装置が知られている。このようなカプセルは、カップ形状の外側剛体とフォイル蓋とを備える。外側剛体は、閉鎖した底部と剛体に沿って延びる凹部フィルタに連結された上方開口とを備え、一服分の製品の収容チャンバを形成している。フォイル蓋は、剛体の上方開口を、剛体の外縁部に沿って閉鎖する。
【0014】
この方法は、以下のステップを備えることを特徴とする。すなわち、
‐平坦なフィルタ片を剛体に配置するステップと、
‐平坦なフィルタ片を、剛体の少なくとも縁部において接合するステップと、
‐収容チャンバを規定するように、平坦片の塑性変形によってフィルタ片を剛体の内方に成形するステップと、
‐収容チャンバに一服分の製品を充填するステップと、
‐チャンバ及び剛性の外側体をフォイル蓋で閉鎖するステップ。
【0015】
また、この方法は、切断ユニットにより連続ストリップからフィルタ辺を切断するステップと、フィルタ片を剛体の開口上に移動するステップと、次いで接合手段によって平坦なフィルタ片を剛体の外縁部に溶接するステップとを備える。また、この方法は、成形ステップが、縁部付近の環状フィルタ部分を第1管状パンチによる延伸によって弾性変形させる1つの第1予備成形ステップと、フィルタの中央部分を第2パンチによって弾性変形させる第2完全成形ステップとを含むことを規定している。
【0016】
第1予備成形延伸ステップ及び第2完全成形ステップは、ホットパンチにより行われる。
【0017】
平坦なフィルタ片の剛体の外縁部への接着は、熱溶接接合手段又は接着ユニットの使用により生じる。
【0018】
WO2013064988に開示された方法において、フィルタ片をカプセルの本体に配置するステップが特に重要である。なぜならば、不適切な配置により、フィルタのカプセルの縁部への接着が損なわれ、カプセルの廃棄や生産性の低下を招き得るからである。
【0019】
WO2013064988によるカプセルを製造するための装置は、かなり複雑である。なぜならば、本装置は、フィルタ片を連続フィルタ材料ストリップから切断するための切断ステーションと、カプセルにフィルタを配置して固定するためのステーションと、フィルタを成形するための少なくとも1つのステーションとを備えるからである。更に、本装置を、カプセルの本体を成形するための機械に結合する必要がある。
【0020】
本出願の出願人名義のWO2013171663から、飲料を調製するための製品を受容するのに適したフィルタ要素を収容するケースを有するカプセルを作製するための方法及び装置が知られている。
【0021】
この方法は、以下のステップを備える。すなわち、
‐フィルタ材料からなるフィルムを、キャビティを有するケースに、前記キャビティの開口を覆うように設けるステップと、
‐前記フィルムで前記ケースをブロックするステップと、
‐フィルタ要素を成形獲得するように、前記キャビティに対面しつつ前記ケースにブロックされている前記フィルムの一部を加熱して延伸させるステップ。
【0022】
この装置は、フィルタ材料からなるフィルムをキャビティを有する少なくとも1つのケースに設けて前記キャビティの開口を覆うための重ね合わせ手段と、フィルタ材料からなるフィルムによりケースをブロックするためのブロック手段と、第1延伸ステーションに設けられた第1延伸手段であって、前記キャビティに対面しつつ前記ケースにブロックされているフィルタ材料からなるフィルムの一部を加熱して延伸させてフィルタ要素を得るための第1延伸手段と、第2延伸ステーションに設けられた第2延伸手段であって、フィルタ要素を更に延伸させて安定させる第2延伸手段と、を備える。
【0023】
WO2013171663に開示された装置も、かなり複雑である。なぜならば、本装置は、フィルタ材料からなるフィルムをカプセル本体に貼着するためのステーションと、フィルタ成形用の2つの別個のステーションとを備えるからである。更に、WO2013171663に開示された装置も、カプセルの本体を成形するための機械に結合する必要がある。
【発明の概要】
【0024】
本発明の目的は、飲料を生成するための一服分の製品を収容するチャンバを成形するようにカプセル本体のキャビティ内部で延在する凹部とを有する飲料用カプセルを作製するための方法及び装置を単純化することである。
【0025】
本発明の更なる目的は、カプセルの製造コストを削減し製品廃棄を最小にし得る方法及び装置を提供することである。
【0026】
本発明による方法及び装置の非限定的な一実施形態を、添付図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明による装置の概略図。
図2】本発明による方法の第1ステップを示す図1の装置の図。
図3】本発明による方法の第2ステップを示す図2の装置の図。
図4】本発明による方法の第3ステップを示す図3の装置の図。
図5】本発明による第4ステップを示す概略図。
図6】本発明による方法の変形例を示す概略図。
図7】本発明の別の変形例についての図1に対応する図。
図8】本発明の更に別の変形例についての図1に対応する図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に、飲料用カプセルを作製するための成形型1を示す。飲料用カプセルは、飲料を生成するための一服分の製品の収容チャンバを成形するようにカプセルの本体12の内部で延在する凹んだ断面を有するフィルタ要素13(図4)を有する。
【0029】
型1は、カプセル本体を成形することが意図された複数のキャビティ3が存在する下側半型2と、それぞれが各キャビティ3に対応する例えばパンチ等の複数の延伸要素5を有する上側半型4と、を備える。後述するように、複数の延伸要素5は、二重矢印F1で示す一方向において可動であり、熱可塑性材料及びフィルタ材料をそれぞれ延伸することによりカプセルの本体12及び各フィルタ要素13を成形することを意図している。図示例において、2つのキャビティ3を有する型1を示す。型1内におけるキャビティ3の個数は任意である理解されたい。
【0030】
型1には、例えば堆肥にできるプラスチック材料でもあり得る熱成形可能なプラスチック材料からなる第1フィルム6と、特に不織布織物であるフィルタ材料からなる第2フィルム8が供給される。第2フィルム8は、熱成形可能なプラスチック材料のストリップに重ね合わされるように配置される。
【0031】
熱成形可能なプラスチック材料からなる第1フィルムは、第1コイル7に巻回され得る。また、フィルタ材料からなる第2フィルム8は、第2コイル9に巻回されていてもよい。或いは、熱成形可能なプラスチック材料からなる第1フィルム6及びフィルタ材料からなる第2フィルム8は、同一のコイルに巻回されていてもよい。
【0032】
熱成形可能なプラスチック材料からなる第1フィルム6及びフィルタ材料からなる第2フィルム8を、上側半型4と下側半型2との間において、一方向において及び方向F1に対して垂直な矢印F2で示す前進方向において、共に前進移動させる。パンチ5は、方向F1に沿って可動である。前進方向F2及び方向F1に対して垂直な方向における第1フィルム6及び第2フィルム8の横手方向は、好適には実質的に同一である。前進方向F2に対して型1の上流には、例えば加熱プレート又は加熱ランプを含む一対の加熱要素を備えた予熱器が配置され、これによって第1フィルム6が、カプセル本体を成形するためのその後の変形を可能にする軟化温度まで加熱される。
【0033】
図示の実施形態において、熱成形可能なプラスチック材料からなる第1フィルム6のみを、一対の加熱要素10を通過させる。或いは、第2コイル9を加熱要素10の上流に配置することにより、フィルタ材料からなる第2フィルム8も加熱要素10を通過させて、フィルタ要素(図7)の成形時の変形を促進するように予熱することも可能である。両フィルムが同一コイル16(図8)に巻回されている場合、コイル16を加熱要素10の上流に配置することにより、両フィルムを加熱要素を通過させて予熱することができる。
【0034】
前進方向F2に対して型1の下流に、グリッパ要素11又はカテナリが配置されている。グリッパ要素11又はカテナリは、前進方向F2において両方向に移動可能であり、第1フィルム6及び第2フィルム8を前進移動させるとともにこれらを張った状態に保つように使用される。グリッパ要素11又はカテナリは、第1フィルム及び第2フィルム8の成形型1への供給手段として機能する。なぜならば、グリッパ要素11又はカテナリは、前進方向F2において移動しながら、第1フィルム6及び第2フィルム8をそれぞれのコイルから引き出すからである。
【0035】
フィルタ材料からなる第2フィルム8が予熱されていない場合、フィルタ材料13の成形時にフィルタ材料からなる第2フィルム8の変形を容易とすべく、予熱された熱可塑性材料からなる第1フィルム6がフィルタ材料からなる第2フィルム8を、両フィルムが型1に供給される間に加熱する。
【0036】
図1において、型1は、カプセル本体及び各フィルタの成形が開始される前の開放状態で示されている。
【0037】
図2は、カプセル本体12及びフィルタ要素13を成形する第1ステップを示す。下側半型2と上側半型4とは互いに近づけられている。また、パンチ5が熱可塑性材料からなる第1フィルム6及びフィルタ材料からなる第2フィルムに接触してこれらを部分的に変形させるまで、パンチ5を下側半型2に向かって移動させる。これにより、熱可塑性材料及びフィルタ材料のいわゆる「エンリッチメント」プロセスと呼ばれる、カプセルの本体12(図6)及びフィルタ要素13を所望のサイズ及び容積にしたがって成形するのに必要な以降の延伸又は深絞り作業において熱可塑性材料及びフィルタ材料が断裂したり摩耗して過度に薄くなったりすることを回避するプロセスを実施することで、第1フィルム6及び第2フィルム8の第1延伸が達成される。
【0038】
図3に、本発明による方法の第2ステップを示す。第1フィルム及び第2フィルム8を下側半型2と上側半型4との間に固定保持した状態で、型1は閉鎖されている。パンチ5をキャビティ3内に進入させて、カプセルの本体12及びフィルタ要素13の予備成形を同時に行う。
【0039】
熱可塑性材料からなる第1フィルム6及びフィルタ材料からなる第2フィルム8が下側半型2と上側半型4との間に固定保持されると、熱可塑性材料及びフィルタ材料は所定ゾーン15において一体に溶接される。これは、加熱プレート10によって加熱された熱可塑性材料が軟化状態にあると同時に2つの半型により圧力が加えられることで、フィルタ材料に対する熱可塑性材料の溶接が行われることによる。熱可塑性材料とフィルタ材料との溶接を保証するために2つの半型を加熱する必要がないことに留意されたい。これにより、大幅な省エネが可能となる。
【0040】
図4に、本発明による方法の第3ステップを示す。圧縮空気が、例えば上側半型4に設けられた入口チャネル14を介して型1に注入される。空気の注入を図4において矢印Aで示す。フィルタ材料からなる第2フィルム8を通過した圧縮空気は、熱可塑性材料からなる第1フィルム6を第2フィルム8から離間させ、且つ熱可塑性材料及びフィルタ材料の両者を、それらが各キャビティ3において各カプセルの本体12及びフィルタ要素13の最終形状になるまで変形させる。
【0041】
型への圧縮空気の注入中又は注入後、熱可塑性材料の第1フィルムがフィルタ材料からなる第2フィルム8から離間したときに、パンチ5の下向きの追加ストロークを実施して、カプセルの本体12の内部でフィルタ要素13の深さを増加させることができる。
【0042】
図5に、各フィルタ要素13を有するカプセル本体12の成形の最終ステップを示す。型1は開放されて、各フィルタ要素13を有する成形済みのカプセル本体が型1から取り出されている。型1は、次の成形サイクルへの準備が整っている。
【0043】
図6に、材料の「エンリッチメント」プロセスが省略された本発明による方法の変形例を示す。本発明による方法の本変形例では、図6に示す第1ステップにおいて、熱可塑性材料からなる第1フィルム6及びフィルタ材料からなる第2フィルム8が、所定ゾーン15で一体に溶接される。上述のように、熱可塑性材料をフィルタ材料に溶接するために2つの半型を加熱する必要はない。その後、第2ステップにおいて、図3で説明したのと同様に、パンチ5をキャビティ3に進入させてカプセルの本体12及びフィルタ要素13の予備成形を行う。
【0044】
第3ステップにおいて、図4で説明したのと同様に、熱可塑性材料からなる第1フィルム6をフィルタ材料からなる第2フィルム8から分離させて、熱可塑性材料及びフィルタ材料の両者をそれらが各キャビティ3において各カプセルの本体12及びフィルタ要素13の最終形状になるまで変形させるように、圧縮空気を上側半型4に導入する。
【0045】
最後に、図5で説明したように、型1を開放し、そこから各フィルタ要素13を有する成形済みのカプセル本体12を取り出す。
【0046】
各フィルタ要素13を有するカプセル本体12を成形型1から取り出した後、剪断ステーション(図示せず)に向けて送る。剪断ステーションで、カプセル本体12を、剪断により互いに分離させる。剪断は、熱可塑性材料6とフィルタ材料8とが一体に溶接されているゾーンで実施してもよいし、これら2つの材料が一体に溶接されていないゾーンで実施してもよい。後者の場合、剪断オフカットにおいて熱可塑性材料をフィルタ材料から簡単に分離することができるため、オフカットの廃棄が容易になる。
【0047】
本発明によれば、カプセル本体12及びフィルタ要素13の成形が単一の型において同時に実施されるため、各フィルタ要素13を有するカプセル本体12を成形するためのプロセス及び成形装置が大幅に単純化される。これにより、製造時間及び設備コストが顕著に削減される。なぜならば、カプセル本体12とフィルタ要素13と成形するための別個のステーションを設ける必要がないからである。
【0048】
カプセル本体12と各フィルタ要素13とを同時に成形することにより、従来技術で公知の方法及び装置に対して製品廃棄が最小限に低減される。熱可塑性材料からなる第1フィルム6とフィルタ材料からなる第2フィルム8とが一緒に加熱される場合、加熱プレート10を使用して加熱プレート10によって圧力を加えることで、両フィルムをこれらが成形型1に到達する前に一体に溶接可能であることに留意されたい。
【0049】
これにより、一体に接合された熱可塑性材料からなる第1フィルム6及びフィルタ材料からなる第2フィルム8は、カプセル本体12及びフィルタ要素13の成形中に、パンチの作用と圧縮空気の作用の両方によって同じ変形を受ける。したがって、カプセル本体12と実質的に同一の形状及びサイズを有するフィルタ要素13を得ることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8