(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】触媒錯体
(51)【国際特許分類】
C08G 65/10 20060101AFI20220927BHJP
C08G 64/32 20060101ALI20220927BHJP
B01J 37/06 20060101ALI20220927BHJP
B01J 31/22 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
C08G65/10
C08G64/32
B01J37/06
B01J31/22 Z
(21)【出願番号】P 2019560741
(86)(22)【出願日】2018-05-10
(86)【国際出願番号】 US2018032045
(87)【国際公開番号】W WO2018209069
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-28
(32)【優先日】2017-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】スティールマン、デイビッド ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】バッブ、デイビッド エイ.
(72)【発明者】
【氏名】デピッカ―、ジュースト
(72)【発明者】
【氏名】カイパー、ジャスミン
(72)【発明者】
【氏名】ローゼン、マリー エス.
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第01/004177(WO,A1)
【文献】特表2013-536286(JP,A)
【文献】特開2006-077248(JP,A)
【文献】特表2005-520892(JP,A)
【文献】特表2014-504660(JP,A)
【文献】Green Chemistry,2012年,14,1168-1177
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
C08G 64/00-64/42
C08G 65/00-65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒錯体を生成する方法であって、
a)出発溶液を形成することであって、前記出発溶液が、i)水および液体脂肪族アルコールのうちの少なくとも一方を含む溶媒と、前記溶媒中に溶解した、ii)M
2金属シアノメタレート基を有するシアノメタレート化合物およびiii)前記シアノメタレート化合物と反応して、水不溶性のM
1金属シアノメタレートを形成する、M
1金属塩と、を含み、前記出発溶液が、シアノメタレート化合物1モル当たり0.01~10モルの、前記M
1金属塩とは異なるiii)少なくとも1つのM
3金属化合物をさらに含有し、前記M
3金属化合物が、
アルミニウム、ハフニウム、ガリウム、インジウムおよび鉄から選択されるM
3金属の化合物であり
、前記M
3金属が、少なくとも1つのアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、リン酸エステル、チオリン酸エステル、アミド、酸化物、シロキシド、水素化物、カルバメート、もしくは炭化水素アニオンに結合し、前記M
3金属化合物が、ハロゲン化物アニオンを含まない、出発溶液を形成することと、
b)前記シアノメタレート化合物とM
1金属塩とを反応させて、M
1金属シアノメタレートを含む水不溶性触媒錯体を形成することと、を含
み、
前記M
1
金属が、Zn
2+
、Fe
2+
、Co
2+
、Ni
2+
、Mo
4+
、Mo
6+
、Al
3+
、V
4+
、V
5+
、Sr
2+
、W
4+
、W
6+
、Mn
2+
、Sn
2+
、Sn
4+
、Pb
2+
、Cu
2+
、La
3+
、およびCr
3+
から選択され、
前記M
2
金属が、Fe
3+
、Fe
2+
、Co
3+
、Co
2+
、Cr
2+
、Cr
3+
、Mn
2+
、Mn
3+
、Ir
3+
、Ni
2+
、Rh
3+
、Ru
2+
、V
4+
、V
5+
、Ni
2+
、Pd
2+
、およびPt
2+
から選択される、方法。
【請求項2】
水および液体錯化剤のうちの少なくとも一方を含む洗浄液で前記水不溶性触媒錯体を洗浄するステップc)をさらに含む、請求項1に記載の
方法。
【請求項3】
前記触媒錯体を乾燥させて固体を形成するステップd)をさらに含む、請求項1または2に記載の
方法。
【請求項4】
M
1が、亜鉛であり、前記シアノメタレート化合物が、ヘキサシアノコバルテート化合物である、請求項1~3のいずれかに記載の
方法。
【請求項5】
M
3が、アルミニウム、ハフニウム、インジウム
、またはガリウムのうちの1つ以上である、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記M
3金属化合物が、(a)M
3金属酸化物に対する前駆体であって、ステップa)および/またはステップb)の条件下で反応してM
3金属酸化物を形成する、前駆体、ならびに(b)粒子状のM
3金属酸化物からなる群から選択される、請求項1~
5のいずれかに記載の
方法。
【請求項7】
前記M
3金属化合物が、M
3金属酸化物である、請求項1~
6のいずれかに記載の
方法。
【請求項8】
前記M
3金属化合物が、M
3金属アルコキシドである、請求項1~
7のいずれかに記載の
方法。
【請求項9】
前記出発溶液が、前記M
3金属化合物1モル当たり少なくとも5モルの水を含有する、請求項1~
8のいずれかに記載の
方法。
【請求項10】
ステップa)における前記液体脂肪族アルコールが、C3~C6アルカノールを含む、請求項1~
9のいずれかに記載の
方法。
【請求項11】
ステップc)における前記液体
錯化剤が、C3~C6アルカノール、および最大8,000g/モルの数平均分子量を有するポリエーテルアルコールからなる群から選択される、請求項
2~
10のいずれかに記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、とりわけ、アルキレンオキシドの重合およびアルキレンオキシドとCO2などのカーボネート前駆体との共重合に有用な金属触媒に関する。
【0002】
ポリ(アルキレンオキシド)は、重合触媒の存在下で1つ以上のアルキレンオキシドを重合することにより、世界的に大量に生成されている。それらはポリウレタンを生成するための重要な原料であり、他の用途の中でもとりわけ界面活性剤および工業溶剤として使用される。主要な重合触媒は、アルカリ金属水酸化物またはアルコキシド、および一般に複金属シアン化物(DMC)触媒と呼ばれる特定の金属錯体である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複金属シアン化物触媒は、特定の利点を有する。複金属シアン化物触媒は、プロピレンオキシドの転位を強力に触媒してプロペニルアルコールを形成しない。したがって、DMC触媒を使用して作製されたポリエーテルポリオールは、望ましくない単官能性ポリマーの量が少ない傾向がある。加えて、通常、DMC触媒残留物は、生成物から除去する必要がない。そうすることで、アルカリ金属触媒を使用するときに必要な中和および触媒除去ステップを回避できる。
【0004】
しかしながら、DMC触媒は、特定の不利な点を有する。DMC触媒は、重合条件下でアルキレンオキシドにさらされた後、「活性化」して急速重合が始まるまでの潜伏期間を示す。別の重要な問題は、高濃度のヒドロキシル基の存在下では、DMC触媒の性能が不活発になることである。このため、DMC触媒は、低分子量の生成物を作製するとき、および低当量のスターターから始まる半バッチ式プロセスにおいて、好まれない。
【0005】
米国特許第9,040,657号は、DMC触媒およびマグネシウム、第3族~第15族金属、またはランタニド系列化合物の存在下でポリエーテルモノオールまたはポリオールを生成する方法を開示しており、マグネシウム、第3族~第15族金属、またはランタニド系列金属は、少なくとも1つのアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、リン酸エステル、チオリン酸エステル、アミド、シロキシド、水素化物、カルバメートまたは炭化水素アニオンと結合しており、マグネシウム、第3族~第15族金属、またはランタニド系列金属化合物は、ハロゲン化物アニオンを含まない。この技術は、高濃度のヒドロキシル基にさらされたとき、活性化時間の短縮および触媒性能の改善において非常に効果的である。しかしながら、触媒システムの第2の成分を重合反応に追加するには、保管および計量のための追加の機器を必要とする。必要とされる量が少ないため、第2の成分の追加を正確に制御することは困難である。
【0006】
Subhaniらは、Eur.J.Inorg.Chem.2016,1944-1949において、TiO2-DMCハイブリッド触媒、およびプロピレンオキシドと二酸化炭素とを共重合してポリカーボネートを形成する際のそれらの使用について説明している。同様にポリカーボネート生成用のハイブリッドSiO2-DMC触媒もまた、Dienesらによる、GreenChem.2012,14,1168において説明されている。
【0007】
米国特許第6,780,813号は、Zn(II)、Fe(II)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、V(IV)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)またはCr(III)のうちの少なくとも1つの水溶性塩の液体溶液と、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Ni(II)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)またはV(V)のうちの少なくとも1つの水溶性金属シアン化物塩または少なくとも1つのアルカリもしくはアルカリ土類金属シアン化物酸の少なくとも1つの溶液とを分配するために、通常使用されない追加の機器、すなわち、ジェット分散機を使用しながらDMC触媒分散液を形成するステップを含むDMC触媒を調製するプロセスを開示する。ジェット分散機などの特殊な機器を使用せずに触媒に添加剤を導入できるような改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一態様において、触媒錯体を生成する方法であって、
a)出発溶液を形成することであって、出発溶液が、i)水および液体脂肪族アルコールのうちの少なくとも一方を含む溶媒と、溶媒中に溶解した、ii)M2金属シアノメタレート基を有するシアノメタレート化合物およびiii)シアノメタレート化合物と反応して、水不溶性のM1金属シアノメタレートを形成する、M1金属塩と、を含み、出発溶液が、シアノメタレート化合物1モル当たり0.01~10モルの、M1金属塩とは異なるiii)少なくとも1つのM3金属化合物をさらに含有し、M3金属化合物が、チタンではないM3金属の化合物であり、M3金属が、マグネシウム、チタン以外の第3族~第15族金属、またはランタニド系列金属のうちの1つ以上から選択され、M3金属が、少なくとも1つのアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、リン酸エステル、チオリン酸エステル、アミド、酸化物、シロキシド、水素化物、カルバメート、もしくは炭化水素アニオンに結合し、M3金属化合物が、ハロゲン化物アニオンを含まない、出発溶液を形成することと、
b)シアノメタレート化合物とM1金属塩を反応させて、水不溶性M1金属シアノメタレートを含む触媒錯体を形成することと、を含む、方法である。
【0009】
本発明はまた、前述のプロセスで作製された触媒錯体でもある。
【0010】
本発明はまた、以下の式:
M1
b[M2(CN)r(X1)t]c[M5(X2)6]d・nM4
xA1
y・pM3
wA2
z
に対応し、式中、
M1およびM4が、それぞれZn2+、Fe2+、Co+2+、Ni2+、Mo4+、Mo6+、Al+3+、V4+、V5+、Sr2+、W4+、W6+、Mn2+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Cu2+、La3+、およびCr3+から独立して選択される金属イオンを表し、
M2およびM5が、それぞれFe3+、Fe2+、Co3+、Co2+、Cr2+、Cr3+、Mn2+、Mn3+、Ir3+、Ni2+、Rh3+、Ru2+、V4+、V5+、Ni2+、Pd2+、およびPt2+から独立して選択される金属イオンを表し、
M3が、少なくとも1つのマグネシウム、第3族~第15族金属、またはチタンを除くランタニド系列金属イオンを表し、
X1が、M2イオンと配位するシアン化物以外の基を表し、
X2が、M5イオンと配位するシアン化物以外の基を表し、
A1が、ハロゲン化物、ナイトレート、スルフェート、カーボネート、シアン化物、オキサレート、チオシアネート、イソシアネート、パークロレート、イソチオシアネート、アルカンスルホネート、アリーレンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、またはC1-4カルボキシレートを表し、
A2が、少なくとも1つのアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、アミド、酸化物、シロキシド、水素化物、カルバメート、または炭化水素アニオンを表し、
b、c、およびdが、それぞれ静電的に中性の錯体を反映する数であるが、bおよびcがそれぞれゼロよりも大きいことを条件とし、
xおよびyが、金属塩M3
xA1
yの電荷のバランスをとる整数であり、
rが、4~6の整数であり、
tが、0~2の整数であり、
nが、0~20の数であり、
Pが、0.002~10であり、
wおよびzが、金属塩M3
zA2
zの電荷のバランスをとる整数であるが、wが1~4であることを条件とする、水不溶性触媒錯体である。
【0011】
別の態様における本発明は、M1
b[M2(CN)r(X1)t]c相およびM3金属酸化物相の両方を有するハイブリッド粒子を含む、粒子状の水不溶性触媒錯体であって、
M1が、Zn2+、Fe2+、Co+2+、Ni2+、Mo4+、Mo6+、Al+3+、V4+、V5+、Sr2+、W4+、W6+、Mn2+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Cu2+、La3+、およびCr3+から独立して選択される金属イオンを表し、
M2が、Fe3+、Fe2+、Co3+、Co2+、Cr2+、Cr3+、Mn2+、Mn3+、Ir3+、Ni2+、Rh3+、Ru2+、V4+、V5+、Ni2+、Pd2+、およびPt2+から独立して選択される金属イオンを表し、
M3が、少なくとも1つのマグネシウム、第3族~第15族金属、またはチタンを除くランタニド系列金属イオンを表し、
X1が、M2イオンと配位するシアン化物以外の基を表し、
bおよびcが、それぞれ静電的に中性な錯体を反映する数であり、
rが、4~6の整数であり、
tが、0~2の整数である、粒子状の水不溶性触媒錯体である。
【0012】
別の態様における本発明は、水不溶性のヘキサシアノコバルト酸亜鉛の粒子とM3金属酸化物の粒子との物理的混合物を含む触媒錯体であって、M3金属酸化物粒子が、ヘキサシアンコバルト酸亜鉛により提供されるコバルト1モル当たり0.002~10モルのM3金属を提供する量で存在し、さらに、M3金属酸化物粒子が、ガス収着法を使用して測定される際、少なくとも1m2/gの表面積を有する、触媒錯体である。
【0013】
本発明の様々な態様の触媒錯体は、高濃度のヒドロキシル基の存在下でさえ、迅速に活性化し、非常に良好な性能を示すことが見出された。それらは、例えば、プロセスがジェット分散機、ループ反応器、および/または追加の供給ラインなどの特殊な機器の使用を回避するように、単純化されたプロセスにおいて効果的に調製される。さらに、触媒錯体は、米国特許第9,040,657号に説明される触媒システムに非常に匹敵した性能を示すが、米国特許第9,040,657号に記載のプロセスの場合のように、別個の添加剤を導入する目的のためにポリエーテル生成プロセスに追加の機器を追加する必要を回避する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】先行技術の触媒を使用したプロピレンオキシド重合の反応器圧力およびプロピレンオキシド供給速度対時間のグラフ表示を示す(比較試料C)。
【
図2】本発明の触媒錯体を使用したプロピレンオキシド重合の反応器圧力およびプロピレンオキシド供給速度対時間のグラフ表示を示す(実施例1)。
【
図3】本発明の触媒錯体を使用したプロピレンオキシド重合の反応器圧力およびプロピレンオキシド供給速度対時間のグラフ表示を示す(実施例12)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
いくつかの実施形態における触媒錯体は、出発材料を含有する溶液が調製され、特定の出発材料が反応して触媒錯体が出発溶液から沈殿する沈殿プロセスで調製される。概して、例えば、米国特許第3,278,457号、同3,278,458号、同3,278,459号、同3,404,109号、同3,427,256号、同3,427,334号、同3,427,335号、および同5,470,813号において説明されているようなDMC触媒を生成するための方法は、それらの触媒を調製するために使用される出発溶液にM3金属化合物を組み込むことにより、そのような実施形態の触媒錯体を作製するように適合させることができる。
【0016】
溶媒は、水および液体脂肪族アルコールのうちの少なくとも一方を含む。溶媒は、出発シアノメタレート化合物およびM1金属化合物がその中で溶解できるものである。溶媒は、M3金属化合物の溶媒であってもなくてもよい。
【0017】
溶媒は、例えば、水、n-プロパノール、イソ-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、例えば最大12個の炭素原子を有する他のアルケンモノアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、または1つ以上のヒドロキシル基および例えば最大8000g/モルの分子量を有する他のポリエーテルであり得る。これらのうち、3~6個の炭素原子を有する脂肪族モノアルコール、特に、t-ブタノールが好ましい。特に好ましいのは、水と、混合物に存在する相対比率で水に溶解できる液体脂肪族アルコールとの、25:75~90:10の体積比の混合物(特に、3~6個の炭素原子を有する脂肪族モノアルコール、最も好ましくはt-ブタノール)である。
【0018】
出発溶液は、出発シアノメタレート化合物およびM1金属化合物の別個の溶液を形成して、それらを組み合わせることにより便利に形成される。M3金属化合物は、これらの別個の溶液の一方または他方、好ましくはM1金属化合物溶液に便利に添加される。出発溶液を組み合わせるには、混合を伴う必要がある。概して、シアノメタレート化合物溶液をM1金属化合物の溶液に混合することが好ましく、好ましくは、シアノメタレート化合物溶液を徐々に添加することにより、M1金属化合物が常に過剰に存在するようにすることが好ましい。
【0019】
シアノメタレート化合物を超過するM1金属化合物を提供することが好ましい。いくつかの実施形態において、M1金属化合物対シアノメタレート化合物のモル比は、少なくとも2:1、好ましくは少なくとも3:1、または少なくとも5:1である。この比は、例えば、最大20:1または最大15:1であり得る。
【0020】
出発溶液は、反応前に、シアノメタレート化合物1モル当たり0.01~10モルのM3金属化合物を含有する。より少ない量では、触媒錯体の性能の改善にはつながらない。より多い量では、触媒の性能を改善しないばかりか、実際、性能を低下させる傾向がある。
【0021】
シアノメタレート化合物およびM1金属化合物は、反応して、水不溶性のM1金属シアノメタレートを含む触媒錯体を形成する。この反応は、室温(23℃)付近の温度またはわずかに高い温度で自然に進行する。したがって、特別な反応条件を必要としない。温度は、例えば、0~60℃であり得る。好ましい温度は、20~50℃または25~45℃である。沈殿が起こるまで攪拌を続けることが好ましく、沈殿は概して溶液の外観の変化により示される。溶媒が蒸発しない限り、反応圧力は特に重要ではない。10~10,000kPaの圧力が好適であり、50~250kPaの圧力が完全に好適である。反応時間は、30分~24時間以上であり得る。
【0022】
場合によっては、触媒調製ステップ中にM3金属化合物が反応し得る。例えば、特定のM3金属化合物は、触媒調製中に水と反応して、対応する金属酸化物を形成し得る。いくつかの実施形態では、M3金属化合物またはその反応生成物(特にM3金属化合物)は、M1金属化合物およびシアノメタレート化合物の反応生成物と一緒に、M1
B[M2(CN)r(X1)t]c相およびM3金属酸化物相の両方を有するハイブリッド粒子を形成する。
【0023】
沈殿した触媒は錯化剤で処理されることが好ましい。これは、沈殿した触媒を錯化剤または錯化剤の水溶液で1回以上洗浄することにより便利に行われる。錯化剤成分は、出発溶液に関して前述したようなアルコール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、グリシジルエーテル、グリコシド、多価アルコールカルボキシレート、ポリアルキレングリコールソルビタンエステル、胆汁酸または塩、カルボン酸エステルまたはそのアミド、シクロデキストリン、有機ホスフェート、ホスファイト、ホスホネート、ホスホナイト、ホスフィネート、ホスフィナイト、イオン性表面または界面活性化合物、および/またはα,β-不飽和カルボン酸エステルのうちの少なくとも1つを含み得る。例示的な実施形態では、有機錯化剤は、n-プロパノール、イソ-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、例えば最大12個の炭素原子を有する他のアルケンモノアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、または1つ以上のヒドロキシル基および例えば最大8000g/モルの分子量を有する他のポリエーテルのうちの1つ以上である。
【0024】
そのように作製された触媒錯体は、出発溶液または任意の洗浄液から便利に回収され、乾燥され、必要に応じて挽砕されまたは粉砕されて、触媒錯体を、例えば、100μm以下の体積平均粒径を有する粉末に還元する。乾燥は、加熱および/または真空の適用により実施され得る。
【0025】
M1金属化合物は、好ましくは水溶性である。それは、典型的には、M1金属および1つ以上のアニオンの塩である。そのような塩は、式M1
xA1
yを有してもよく、式中、x、A1、およびyは、前述のとおりである。好適なアニオンA1としては、塩化物、臭化物、およびヨウ化物などのハロゲン化物、ナイトレート、スルフェート、カーボネート、シアン化物、オキサレート、チオシアネート、イソシアネート、パークロレート、イソチオシアネート、メタンスルホネートなどのアルカンスルホネート、p-トルエンスルホネートなどのアリーレンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)、およびC1-4カルボキシレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な実施形態では、アニオンA1は、アルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、リン酸エステル、チオリン酸エステル、アミド、酸化物、シロキシド、水素化物、カルバメート、または炭化水素アニオンのいずれでもない。M1金属は、Zn2+、Fe2+、Co+2+、Ni2+、Mo4+、Mo6+、Al+3+、V4+、V5+、Sr2+、W4+、W6+、Mn2+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Cu2+、La3+、およびCr3+のうちの1つ以上である。Zn2+は、好ましいM1金属である。ZnCl2は、好ましいM1金属化合物である。
【0026】
シアノメタレート化合物は、M2(CN)r(X1)tアニオンを含み、r、X1、およびtは、前述のとおりである。rは、好ましくは6であり、tは、好ましくはゼロである。M2金属は、Fe3+、Fe2+、Co3+、Co2+、Cr2+、Cr3+、Mn2+、Mn3+、Ir3+、Ni2+、Rh3+、Ru2+、V4+、V5+、Ni2+、Pd2+、およびPt2+のうちの1つ以上である。M2金属は、好ましくはFe3+またはCo3+であり、Co3+が特に好ましい。シアノメタレート化合物は、好ましくはアルカリ金属またはアンモニウム塩であるが、対応するシアノメタリック酸も使用され得る。ヘキサシアノコバルト酸カリウムは、特に好ましいシアノメタレート化合物である。
【0027】
M3金属化合物は、チタンおよびケイ素、ならびに1つ以上のアニオンを除く、2010年版IUPAC元素周期表の第3族~第15族のいずれかに含まれる金属M3の化合物である。M3金属は、例えば、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、テルル、スズ、鉛、ビスマス、および58(セリウム)~71(ルテチウム)の原子番号を有するものを含むランタニド系列金属が含まれ得る。
【0028】
好ましいM3金属には、イットリウム、ジルコニウム、ノビウム、タングステン、コバルト、スカンジウム、バナジウム、モリブデン、ニッケル、亜鉛、およびスズが含まれる。ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、マンガン、およびインジウムがより好ましい。
【0029】
M3金属または半金属化合物は、溶媒に不溶性であってもよく、または可溶性の場合は、触媒錯体の調製中に反応して、触媒錯体の一部となる不溶性反応生成物を形成してもよい。M3金属または半金属はまた、シアノメタレート基を還元しない、あるいはM1金属化合物とシアノメタレート化合物が反応してM1金属シアノメタレートを形成することを防がないことが好ましい。
【0030】
M3金属化合物のアニオンは、例えば、アルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、リン酸エステル、チオリン酸エステル、アミド、酸化物、シロキシド、水素化物、カルバメート、および/または炭化水素アニオンのうちの1つ以上であり得る。例示的な実施形態には、酸化物、ヒドロカルビル、酸化物および/またはアルコキシドイオンが含まれる。アニオンは、ハロゲン化物アニオンまたはシアン化物アニオンではない。
【0031】
「アルコキシド」アニオンとは、-O-Rの形態を有する化学種を意味し、Rは、アルキル基または置換アルキル基であり、ヒドロキシル水素を除去した後に、HO-Rの形態を有するアルコール化合物の共役塩基である。これらのアルコールは、13~25以上の範囲のpKa値を有する。いくつかの実施形態では、アルコキシドイオンは、1~20個(例えば、1~6個および/または2~6個)の炭素原子を含有し得る。アルキル基または置換アルキル基は、直鎖状、分岐状、および/または環状であり得る。好適な置換基の例としては、例えば、追加のヒドロキシル基(アルコキシドの形態であり得る)、エーテル基、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、カーボネート基、シリル基、フェニルおよびアルキル置換フェニルなどの芳香族基、ならびにハロゲンが挙げられる。このようなアルコキシドイオンの例としては、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、n-プロポキシド、n-ブトキシド、sec-ブトキシド、t-ブトキシド、およびベンジルオキシが挙げられる。R基は、1個以上のヒドロキシル基を含有してもよく、および/または1個以上のエーテル結合を含有してもよい。アルコキシドイオンは、以下に説明されるスターター化合物のような、重合中に存在するスターター化合物の(1個以上のヒドロキシル基水素を除去した後の)残基に対応し得る。アルコキシドイオンは、ポリエーテルモノオールまたはポリエーテルポリオールから1つ以上のヒドロキシル水素を除去することにより形成されるアルコキシドであり得る。いくつかの実施形態におけるそのようなアルコキシドは、1つ以上のヒドロキシル水素原子の除去後、アルコキシル化反応から得られるポリエーテルモノオールもしくはポリエーテルポリオール生成物の残基、またはスターター化合物およびアルコキシル化反応の生成物の分子量の中間の分子量を有するポリエーテルの残基に対応する。
【0032】
「アリールオキシ」アニオンとは、-O-Arの形態を有する化学種を意味し、Arは、芳香族基または置換基であり、ヒドロキシル水素を除去した後に、HO-Arの形態を有するフェノール化合物に対応する。これらのフェノール化合物は、例えば、約9~約12のpKaを有し得る。そのようなアリールオキシアニオンの例としては、フェノキシドおよび環置換フェノキシドが挙げられ、環置換基は、例えば、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、およびアルコキシルを含む。環置換基(複数可)は、もし存在する場合、フェノール基に対してオルト位、パラ位、および/またはメタ位のうちの1つ以上に存在し得る。フェノキシドアニオンはまた、ビスフェノールA、ビスフェノールF、および様々な他のビスフェノールなどのポリフェノール化合物、1,1,1-トリス(ヒドロキシフェニル)エタン、ならびに1-ナフトールなどの縮合環芳香族の共役塩基も含む。
【0033】
「カルボキシレート」アニオンとは、1~24個(例えば、2~18個および/または2~12個)の炭素原子を含有するカルボキシレートを意味する。カルボキシレートは、脂肪族または芳香族であり得る。脂肪族カルボン酸は、置換基を含有し得る。そのような例としては、ヒドロキシル基(アルコキシドの形態であり得る)、エーテル基、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、カーボネート基、シリル基、フェニルおよびアルキル置換フェニルなどの芳香族基、ならびにハロゲンが挙げられる。脂肪族カルボキシレートアニオンの例としては、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、2-エチルヘキサノエート、n-オクタノエート、デカノエート、ラウレートおよび他のアルカノエート、ならびにハロゲン置換アルカノエート、例えば2,2,2-トリフルオロアセテート、2-フルオロアセテート、2,2-ジフルオロアセテート、2-クロロアセテート、2,2,2-トリクロロアセテートが挙げられる。芳香族カルボキシレートの例としては、ベンゾエート、アルキル置換ベンゾエート、ハロ置換ベンゾエート、4-シアノベンゾエート、4-トリフルオロメチルベンゾエート、サリチレート、3,5-ジ-t-ブチルサリチレート、およびサブサリチレートが挙げられる。いくつかの実施形態では、そのようなカルボキシレートイオンは、1~6(例えば、3~5)のpKaを有するカルボン酸の共役塩基であり得る。
【0034】
「アシル」アニオンとは、例えば、アルデヒド、ケトン、アセチルアセトネート、カーボネート、エステル、またはエノールの形態を有する同様の化合物を含むカルボニル基を含有する化合物の共役塩基を意味する。これらの例は、アセトアセトネートおよびブチルアセトアセトネートなどのβ-ジケト化合物である。
【0035】
「ホスフェート」アニオンとは、式-O-P(O)(OR1)2を有するホスフェートアニオンを意味し、式中、R1は、アルキル、置換アルキル、フェニル、または置換フェニルである。「チオホスフェート」アニオンとは、1個以上の酸素が硫黄で置換されている対応する構造を有するチオホスフェートアニオンを意味する。ホスフェートおよびチオホスフェートは、リン酸エステルおよびチオリン酸エステルなどのエステルアニオンであってもよい。
【0036】
「ピロホスフェート」アニオンとは、P2O7
4-アニオンを意味する。
【0037】
「アミド」アニオンとは、窒素原子が負電荷を帯びているイオンを意味する。アミドイオンは、概して、-N(R2)2の形態をとり、式中、R2基は、独立して水素、アルキル、アリール、トリアルキルシリル、トリアリールシリルである。アルキル基は、直鎖状、分岐状、または環状であってもよい。これらの基のいずれも、エーテルまたはヒドロキシルなどの置換基を含有し得る。2つのR2基はともに環構造を形成してもよく、その環構造は不飽和であってもよく、かつ/または環内に(アミド窒素に加えて)1個以上のヘテロ原子を含有してもよい。
【0038】
「酸化物」アニオンとは、原子状酸素のアニオン、すなわち、O2-を意味する。
【0039】
「シロキシド」アニオンとは、式(R3)3SiO-を有するシラノエートを意味し、R3基は、独立して水素またはアルキル基である。
【0040】
「水素化物」アニオンとは、水素のアニオン、すなわち、H-を意味する。
【0041】
「カルバメート」アニオンとは、アニオン-OOCNH2を意味する。
【0042】
「炭化水素」アニオンとは、負電荷が炭素原子に存在する脂肪族、脂環式、および/または芳香族アニオンを含む、ヒドロカルビルアニオンを意味する。ヒドロカルビルアニオンは、典型的には30を超えるpKa値を有する炭化水素の共役塩基である。ヒドロカルビルアニオンはまた、不活性置換基を含有し得る。芳香族ヒドロカルビルアニオンでは、フェニル基および置換フェニル基が使用され得る。脂肪族ヒドロカルビルアニオンは、例えば、1~12個(例えば、2~8個)の炭素原子を含有するアルキル基であり得る。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、シクロペンタジエニル、およびt-ブチルアニオンなどはすべて有用である。
【0043】
添加剤化合物に使用するための化合物の例としては、以下が含まれるが、これらに限定されない:
a)ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ジベンジルマグネシウムなどのマグネシウムアルキル;マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド、マグネシウムイソプロポキシド、マグネシウムt-ブトキシド、マグネシウムsec-ブトキシドなどのマグネシウムアルコキシド;マグネシウムフェノキシド、およびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているマグネシウムフェノキシドなどのマグネシウムアリールオキシド;ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、2-エチルヘキサン酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸マグネシウムなどのカルボン酸マグネシウム;マグネシウムジメチルアミド、マグネシウムジエチルアミド、マグネシウムジフェニルアミド、マグネシウムビス(トリメチルシリル)アミドなどのマグネシウムアミド;酸化マグネシウム、マグネシウムアセチルアセトネート、およびマグネシウムt-ブチルアセチルアセトネート;
b)スカンジウムメトキシド、スカンジウムエトキシド、スカンジウムイソプロポキシド、スカンジウムt-ブトキシド、スカンジウムsec-ブトキシドなどのスカンジウムアルコキシド;酸化スカンジウム;スカンジウムフェノキシド、およびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているスカンジウムフェノキシドなどのスカンジウムアリールオキシド;ギ酸スカンジウム、酢酸スカンジウム、プロピオン酸スカンジウム、2-エチルヘキサン酸スカンジウム、安息香酸スカンジウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸スカンジウムなどのカルボン酸スカンジウム;サリチル酸スカンジウム;スカンジウムアセチルアセトネート、およびスカンジウムt-ブチルアセチルアセトネート;
c)イットリウムメトキシド、イットリウムエトキシド、イットリウムイソプロポキシド、イットリウムt-ブトキシド、イットリウムsec-ブトキシドなどのイットリウムアルコキシド;酸化イットリウム;イットリウムフェノキシド、およびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているイットリウムフェノキシドなどのイットリウムアリールオキシド;ギ酸イットリウム、酢酸イットリウム、プロピオン酸イットリウム、2-エチルヘキサン酸イットリウム、安息香酸イットリウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸イットリウム、サリチル酸イットリウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸イットリウムなどのカルボン酸イットリウム;イットリウムジメチルアミド、イットリウムジエチルアミド、イットリウムジフェニルアミド、イットリウムビス(トリメチルシリル)アミドなどのイットリウムアミド;イットリウムアセチルアセトネート、およびイットリウムt-ブチルアセチルアセトネート;
d)テトラエチルハフニウム、テトラブチルハフニウム、テトラベンジルハフニウムなどのハフニウムアルキル;酸化ハフニウム;ハフニウムテトラメトキシド、ハフニウムテトラエトキシド、ハフニウムテトライソプロポキシド、ハフニウムテトラ-t-ブトキシド、ハフニウムテトラ-sec-ブトキシドなどのハフニウムアルコキシド;ハフニウムフェノキシド、およびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているハフニウムフェノキシドなどのハフニウムアリールオキシド;ギ酸ハフニウム、酢酸ハフニウム、プロピオン酸ハフニウム、2-エチルヘキサン酸ハフニウム、安息香酸ハフニウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸ハフニウム、サリチル酸ハフニウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸ハフニウムなどのカルボン酸ハフニウム;ハフニウムテトラ(ジメチルアミド)、ハフニウムテトラ(ジエチルアミド)、ハフニウムテトラ(ジフェニルアミド)、ハフニウムテトラ((ビストリメチルシリル)アミド)などのハフニウムアミド;ハフニウムアセチルアセトネート、およびハフニウムt-ブチルアセチルアセトネート;
e)テトラエチルジルコニウム、テトラブチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウムなどのジルコニウムアルキル;酸化ジルコニウム;ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ-t-ブトキシド、ジルコニウムテトラ-sec-ブトキシドなどのジルコニウムアルコキシド;ジルコニウムフェノキシド、およびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているジルコニウムフェノキシドなどのジルコニウムアリールオキシド;ギ酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、プロピオン酸ジルコニウム、2-エチルヘキサン酸ジルコニウム、安息香酸ジルコニウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸ジルコニウム、サリチル酸ジルコニウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸ジルコニウムなどのカルボン酸ジルコニウム;ジルコニウムテトラ(ジメチルアミド)、ジルコニウムテトラ(ジエチルアミド、ジルコニウムテトラ(ジフェニルアミド)、ジルコニウムテトラ((ビストリメチルシリル)アミド)などのジルコニウムアミド;ジルコニウムアセチルアセトネート、およびジルコニウムt-ブチルアセチルアセトネート;
f)バナジウムメトキシド、バナジウムエトキシド、バナジウムイソプロポキシド、バナジウムt-ブトキシド、バナジウムsec-ブトキシドなどのバナジウムアルコキシド;酸化バナジウム;バナジウムオキソトリス(メトキシド)、バナジウムオキソトリス(エトキシド)、バナジウムオキソトリス(イソプロポキシド)、バナジウムオキソトリス(t-ブトキシド)、バナジウムオキソトリス(sec-ブトキシド)などのバナジウムオキソトリス(アルコキシド);バナジウムフェノキシド、およびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているバナジウムフェノキシドなどのバナジウムアリールオキシド;ギ酸バナジウム、酢酸バナジウム、プロピオン酸バナジウム、2-エチルヘキサン酸バナジウム、安息香酸バナジウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸バナジウム、サリチル酸バナジウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸バナジウムなどのカルボン酸バナジウム;バナジウムトリス(アセチルアセトネート)、およびバナジウムトリス(t-ブチルアセチルアセトネート);バナジウムオキソビス(アセチルアセトネート);
g)ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛、ジベンジル亜鉛などのアルキル亜鉛;酸化亜鉛;エチル亜鉛イソプロポキシドなどのアルキル亜鉛アルコキシド;亜鉛メトキシド、亜鉛エトキシド、亜鉛イソプロポキシド、亜鉛t-ブトキシド、亜鉛sec-ブトキシドなどの亜鉛アルコキシド;亜鉛フェノキシド、およびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている亜鉛フェノキシドなどの亜鉛アリールオキシド;ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸亜鉛などのカルボン酸亜鉛;亜鉛ジメチルアミド、亜鉛ジエチルアミド、亜鉛ジフェニルアミド、亜鉛(ビストリメチルシリル)アミドなどの亜鉛アミド;亜鉛アセチルアセトネート、および亜鉛t-ブチルアセチルアセトネート;
h)トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリベンジルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム化合物;アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリ-t-ブトキシド、アルミニウムトリ-sec-ブトキシドなどのアルミニウムアルコキシド;アルミニウムフェノキシド、およびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているアルミニウムフェノキシドなどのアルミニウムアリールオキシド;酸化アルミニウム;ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、2-エチルヘキサン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸アルミニウム;アルミニウムトリス(ジメチルアミド)、アルミニウムトリス(ジエチルアミド)、アルミニウムトリス(ジフェニルアミド)、アルミニウムトリス(ジ(トリメチルシリル)アミド)などのアルミニウムアミド;アルミニウムアセチルアセトネート;アルミニウムt-ブチルアセチルアセトネート;ならびにジエチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムイソプロポキシド、ジメチルアルミニウムイソプロポキシド、メチルアルミノキサン、テトラエチルジアルミノキサンなどのアルキルアルミニウムオキシドおよびアルコキシド;
i)トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリブチルガリウム、トリベンジルガリウムなどのトリアルキルガリウム化合物;酸化ガリウム;ガリウムトリメトキシド、ガリウムトリエトキシド、ガリウムトリイソプロポキシド、ガリウムトリ-t-ブトキシド、ガリウムトリ-sec-ブトキシドなどのガリウムアルコキシド;ガリウムフェノキシド、およびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているガリウムフェノキシドなどのガリウムアリールオキシド;ギ酸ガリウム、酢酸ガリウム、プロピオン酸ガリウム、2-エチルヘキサン酸ガリウム、安息香酸ガリウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸ガリウム、サリチル酸ガリウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸ガリウムなどのカルボン酸ガリウム;ガリウムトリス(ジメチルアミド)、ガリウムトリス(ジエチルアミド)、ガリウムトリス(ジフェニルアミド)、ガリウムトリス(ジ(トリメチルシリル)アミド)などのガリウムアミド;ガリウムアセチルアセトネート;ガリウムt-ブチルアセチルアセトネート;ならびにジエチルガリウムエトキシド、ジメチルガリウムエトキシド、ジエチルガリウムイソプロポキシド、およびジメチルガリウムイソプロポキシドなどのアルキルガリウムアルコキシド;
j)トリメチルインジウムのようなトリアルキルインジウム化合物;酸化インジウム;インジウムメトキシド、インジウムエトキシド、インジウムイソプロポキシド、インジウムt-ブトキシド、インジウムsec-ブトキシドなどのインジウムアルコキシド;インジウムフェノキシド、およびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているインジウムフェノキシドなどのインジウムアリールオキシド;ギ酸インジウム、酢酸インジウム、プロピオン酸インジウム、2-エチルヘキサン酸インジウム、安息香酸インジウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸インジウム、サリチル酸インジウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸インジウムなどのカルボン酸インジウム;アセチルアセトネートインジウム;ならびにt-ブチルアセチルアセトネートインジウム;
k)リン酸第一スズ;ピロリン酸第一スズ、酸化第一スズ;酸化第二スズ;第一スズメトキシド、第一スズエトキシド、第一スズイソプロポキシド、第一スズt-ブトキシド、第一スズsec-ブトキシドなどの第一スズアルコキシド;第一スズフェノキシドおよびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている第一スズフェノキシドなどの第一スズアリールオキシド;ギ酸第一スズ、酢酸第一スズ、プロピオン酸第一スズ、2-エチルヘキサン酸第一スズ、安息香酸第一スズ、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸第一スズ、サリチル酸第一スズ、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸第一スズなどのカルボン酸第一スズ;第一スズアセチルアセトネート;ならびに第一スズt-ブチルアセチルアセトネート;
k)リン酸マンガン;ピロホスフェート、酸化マンガン;マンガンメトキシド、マンガンエトキシド、マンガンイソプロポキシド、マンガンt-ブトキシド、マンガンsec-ブトキシドなどのマンガンアルコキシド;マンガンフェノキシド、およびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているマンガンフェノキシドなどのマンガンアリールオキシド;ギ酸マンガン、酢酸マンガン、プロピオン酸マンガン、2-エチルヘキサン酸マンガン、安息香酸マンガン、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸マンガンなどのカルボン酸マンガン、サリチル酸マンガン、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸マンガン;マンガンアセチルアセトネート;ならびにマンガンt-ブチルアセチルアセトネート;
m)いずれの場合もMo(IV)または(MoVI)化合物である、リン酸モリブデン;ピロリン酸モリブデン、酸化モリブデン;モリブデンメトキシド、モリブデンエトキシド、モリブデンイソプロポキシド、モリブデンt-ブトキシド、モリブデンsec-ブトキシドなどのモリブデンアルコキシド;モリブデンフェノキシド、およびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているモリブデンフェノキシドなどのモリブデンアリールオキシド;ギ酸モリブデン、酢酸モリブデン、プロピオン酸モリブデン、2-エチルヘキサン酸モリブデン、安息香酸モリブデン、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸モリブデンなどのカルボン酸モリブデン、サリチル酸モリブデン、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸モリブデン;モリブデンアセチルアセトネート;ならびにモリブデンt-ブチルアセチルアセトネートなどのMo(IV)および/またはMo(VI)化合物を含む、モリブデン化合物;
n)いずれの場合もCo(II)および/またはCo(III)化合物である、リン酸コバルト;ピロリン酸コバルト、酸化コバルト;コバルトメトキシド、コバルトエトキシド、コバルトイソプロポキシド、コバルトt-ブトキシド、コバルトsec-ブトキシドなどのコバルトアルコキシド;コバルトフェノキシド、およびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているコバルトフェノキシドなどのコバルトアリールオキシド;ギ酸コバルト、酢酸コバルト、プロピオン酸コバルト、2-エチルヘキサン酸コバルト、安息香酸コバルト、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換された安息香酸コバルトなどのカルボン酸コバルト、サリチル酸コバルト、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸コバルト;コバルトアセチルアセトネート;ならびにコバルトt-ブチルアセチルアセトネートなどのコバルト(II)および/またはCo(III)化合物;
o)リン酸タングステン;ピロリン酸タングステン、酸化タングステン;タングステンメトキシド、タングステンエトキシド、タングステンイソプロポキシド、タングステンt-ブトキシド、タングステンsec-ブトキシドなどのタングステンアルコキシド;タングステンフェノキシド、およびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているタングステンフェノキシドなどのタングステンアリールオキシド;ギ酸タングステン、酢酸タングステン、プロピオン酸タングステン、2-エチルヘキサン酸タングステン、安息香酸タングステン、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸タングステンなどのカルボン酸タングステン、サリチル酸タングステン、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸タングステン;タングステンアセチルアセトネート;ならびにタングステンt-ブチルアセチルアセトネートなどのタングステン化合物;ならびに
p)いずれの場合もFe(II)および/またはFe(III)化合物である、リン酸鉄;ピロリン酸鉄、酸化鉄;鉄メトキシド、鉄エトキシド、鉄イソプロポキシド、鉄t-ブトキシド、鉄sec-ブトキシドなどの鉄アルコキシド;鉄フェノキシド、およびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている鉄フェノキシドなどの鉄アリールオキシド;ギ酸鉄、酢酸鉄、プロピオン酸鉄、2-エチルヘキサン酸鉄、安息香酸鉄、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸鉄などのカルボン酸鉄、サリチル酸鉄、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸鉄;鉄アセチルアセトナート;ならびに鉄t-ブチルアセチルアセトネートなどの鉄(II)および/または鉄(III)化合物。
【0044】
いくつかの実施形態における本発明の触媒錯体(上記のプロセスにおいて調製されたものを含む)は、以下の式:
M1
b[M2(CN)r(X1)t]c[M5(X2)6]d・nM4
xA1
y・pM3
wA2
z
に対応し、式中、変数は前述のとおりである。M1およびM4は、それぞれ最も好ましくは亜鉛である。M2およびM5は、それぞれ最も好ましくは鉄またはコバルト、特にコバルトである。M3およびA2は、好ましくはM3金属化合物に関して上記に説明したとおりである。rは、最も好ましくは6であり、tは、最も好ましくはゼロである。dは、最も好ましくは0~1である。組み合わされたM1およびM4金属対組み合わされたM2およびM5金属のモル比は、好ましくは0.8:1~20:1である。M3金属対組み合わされたM2およびM5金属のモル比は、例えば、X線蛍光(XRF)法により決定される場合、0.002~10であり得る。触媒錯体中の金属の比は、触媒調製プロセスにおいて使用される比とは実質的に異なり得ることに留意されたい。
【0045】
前述のプロセスの式は、触媒錯体のM1
b[M2(CN)r(X1)t]c[M5(X2)6]d、M4
xA1
y、およびM3
wA2
z成分間の特別な結晶形態または他の空間的もしくは化学的関係を示すことを意図するものではない。本発明の特定の触媒錯体の走査型透過電子顕微鏡分析は、そのような実施形態において、触媒錯体の少なくともいくつかが、M1
b[M2(CN)r(X1)t]c相、およびM3金属酸化物(すなわち、M3
wOz相)の両方を有するハイブリッド粒子を含むことを明らかにした。M4
xA1
y相は、存在する場合、M1
b[M2(CN)r(X1)t]c相の粒子上に少なくとも部分的に存在すると考えられている。そのようなハイブリッド粒子に加えて、触媒錯体は、M1
b[M2(CN)r(X1)t]c相の粒子、またはM1
b[M2(CN)r(X1)t]c[M5(X2)6]d・nM4
xA1
y相の粒子のみ、およびM4
xA1
y相の他の粒子のみを含有してもよい。M3金属のいくつかは、M1
b[M2(CN)r(X1)t]c相、またはM1
b[M2(CN)r(X1)t]c[M5(X2)6]d・nM4
xA1
y相に組み込まれてもよい。
【0046】
特定の実施形態において、本発明の触媒錯体は、水不溶性亜鉛ヘキサシアノコバルト酸亜鉛の粒子とM3金属酸化物の粒子との物理的混合物を含み、M3金属酸化物粒子は、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛により提供されるコバルト1モル当たり0.002~10モルのM3金属を提供する量で存在し、さらに、M3金属酸化物粒子は、ガス収着法を使用して測定される際、少なくとも1m2/gの表面積を有する。M3金属酸化物粒子の表面積は、少なくとも10m2/g、または少なくとも100m2/gであり得、例えば、最大300m3/g以上であり得る。それらの体積平均粒子サイズは、100μm以下、25μm以下、1μm以下、または500nm以下であり得る。そのような物理的混合物は、例えば、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛の固体粒子を形成して、それらをM3金属酸化物粒子と組み合わせることにより作製することができる。これは、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛が沈殿した後、亜鉛ヘキサシアノコバルト酸亜鉛の調製プロセスの任意の段階において行うことができる。例えば、最終的な乾燥の前に、沈殿したヘキサシアノコバルト酸亜鉛を水および/またはリガンドで1回以上洗浄することが一般的である。M3金属酸化物は、そのような洗浄ステップ中にヘキサシアノコバルト酸亜鉛と組み合わせることができる。
【0047】
本発明の前述の態様のいずれかの触媒錯体は、アルキレンオキシドを重合してポリエーテルを作製し、アルキレンオキシドを二酸化炭素と共重合してポリカーボネートを生成するのに有用である。ポリエステルポリオールはまた、本発明の触媒錯体を重合触媒として使用して生成することもできる。触媒錯体を使用して作製されたポリエーテルには、界面活性剤、および工業用溶媒または潤滑剤用途に有用なモノアルコール、ならびにポリウレタンなどのポリマーを生成するのに有用な原料などのポリオールが含まれる。例としては、ポリエーテルモノオールおよびポリオールが含まれ、これらにはポリエーテルカーボネートモノオールおよびポリオールなどのポリエーテルハイブリッドモノオールおよびポリオール、ならびにポリエーテルエステルモノオールおよびポリオールが含まれる。
【0048】
ポリエーテルを、本発明に従い、(1)触媒錯体をアルコールまたはカルボキシル含有スターター化合物と組み合わせることと、(2)アルキレンオキシドを添加して重合混合物を形成することと、次いで(3)重合混合物を重合条件にさらすことと、を含むプロセスにおいて便利に調製する。ポリカーボネートを作製するとき、重合ステップ中に二酸化炭素が存在する。
【0049】
スターター化合物の主な機能は、分子量制御を提供し、ポリエーテル生成物が有するであろうヒドロキシル基の数を確立することである。ヒドロキシル含有スターター化合物は、1個以上(例えば、2個以上)のヒドロキシル基と、12個以上ものヒドロキシル基を含有する場合がある。例えば、ポリウレタン用途に使用するポリオールを生成するためのスターターは、通常、分子あたり2~8個のヒドロキシル基を有するであろう。いくつかの実施形態において、スターター化合物は、2~4個、または2~3個のヒドロキシル基を有するであろう。他の実施形態において、スターター化合物は、4~8個、または4~6個のヒドロキシル基を有するであろう。スターター化合物は、互いに対して1,2または1,3位にある少なくとも2つのヒドロキシル基を有し得る(ヒドロキシル基のうちの1つが「1」位として結合している炭素原子を取る)。スターター化合物の混合物が使用できる。
【0050】
スターター化合物は、モノオールまたはポリオール生成物のヒドロキシル当量よりも少ないヒドロキシル当量を有するであろう。スターター化合物は、30~500以上のヒドロキシル当量を有し得る。当量は、最大500、最大250、最大125、および/または最大100であり得る。
【0051】
例示的なスターターには、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、フェノール、ビスフェノールAまたは1,1,1-トリス(ヒドロキシフェニル)エタンなどのポリフェノール系スターター、アルコキシレート(エトキシレートおよび/またはプロポキシレートなど)、重合生成物のヒドロキシル当量よりも小さいヒドロキシル当量を有するこれらのうちのいずれかが含まれるが、これらに限定されない。スターター化合物はまた、水であってもよい。特にスターターを塩基の存在下で調製する場合(グリセリンの場合によくあるように)、スターターは少量の酸で中和されるか、少量の酸を含有する場合がある。酸が存在する場合、例えば、米国特許第6,077,978号に記載されているように、スターターの重量に基づいて約10~100ppmの量で存在し得る。米国特許出願公開第2005/0209438号に記載されているように、酸を、スターターの重量に基づいて100~1000ppmなど、いくらか多量に使用することができる。スターターを触媒錯体と組み合わせる前または後に、酸をスターターに添加してもよい。
【0052】
特定のスターターには、特有の利点がある。トリエチレングリコールは、ポリエーテルジオールを生成するためのバッチ式および半バッチ式プロセスにおける使用に特に良好なスターターであると見なされている。トリプロピレングリコールおよびジプロピレングリコールもまた、本発明の触媒錯体と組み合わせて使用するのに特に良好なスターターであると見なされている。
【0053】
アルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、2,3-プロピレンオキシド、1,2-ブタンオキシド、2-メチル-1,2-ブタンオキシド、2,3-ブタンオキシド、テトラヒドロフラン、エピクロロヒドリン、ヘキサンオキシド、スチレンオキシド、ジビニルベンゼンジオキシド、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、またはその他の重合可能なオキシランであり得る。ポリエーテルの作製に好ましいアルキレンオキシドは、1,2-プロピレンオキシド、または少なくとも40重量%(好ましくは少なくとも80重量%)のプロピレンオキシド、および最大60重量%(好ましくは最大20重量%)のエチレンオキシドの混合物である。
【0054】
本発明に従ってポリカーボネートを作製する場合、好ましいアルキレンオキシドは、プロピレンオキシド、またはプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの混合物である。ポリカーボネートは、例えば、炭酸結合の形態で1~20重量%、特に1~15重量%、または2~10重量%のCO2を含有してもよい。
【0055】
本発明に従ってポリエーテルまたはポリカーボネートを作製するために使用される重合条件は、典型的には高温を含む。重合温度は、例えば、80~220℃(例えば、120~190℃)であり得る。重合反応は、通常、超大気圧で実施し得るが、大気圧またさらには亜大気圧で実施することもできる。
【0056】
合理的な重合速度を提供するのに十分な触媒錯体を使用することができるが、触媒のコストを削減し、かつ触媒レベルが十分に低い場合には、生成物から触媒残留物を除去する必要をなくすことができるので、合理的な重合速度に矛盾しない、できるだけ少ない触媒錯体を使用することが概して望ましい。触媒錯体の量は、生成物の重量に基づいて1~5000ppmであり得る。触媒錯体の量は、生成物の重量に基づいて、少なくとも2ppm、少なくとも5ppm、少なくとも10ppm、少なくとも25ppm、または最大500ppm、または最大200ppm、または最大100ppmであり得る。触媒錯体の量は、生成物の百万重量部当たり0.25~20、0.5~10、0.5~1、または0.5~2.5重量部のコバルトを提供するように選択され得る。
【0057】
重合反応は、遭遇する圧力および温度に好適な任意の種類の反応槽において実施することができる。連続式または半バッチ式プロセスにおいて、反応槽は、反応中にそれを通してアルキレンオキシドおよび追加のスターター化合物および触媒錯体を導入することができる、1つ以上の注入口を有するべきである。連続式プロセスにおいて、反応槽は、それを通して部分的に重合した反応混合物の一部を引き出すことができる、少なくとも1つの注出口を備えるべきである。半バッチ式操作において、反応中にアルキレンオキシド(ならびに任意選択で追加のスターターおよび触媒錯体)が添加されるが、通常、重合が完了するまで生成物は除去されない。スターター材料を注入するための複数の突端を有する管型反応器、ループ型反応器、および連続攪拌槽型反応器(CTSR)はすべて、連続式または半バッチ式操作に好適な種類の反応槽である。反応器は、反応混合物の温度を必要な範囲内に維持できるように、熱を供給するまたは除去する手段を備えるべきである。好適な手段には、熱流体用の様々な種類のジャケット、様々な種類の内部または外部ヒーターなどが挙げられる。連続的に引き出される生成物に対して実施される煮詰めるステップは、反応器において便利に実施され、それにより著しい逆混合が発生するのを防ぐ。パイプまたは管型反応器におけるプラグ流操作は、そのような煮詰めるステップを実施する好ましい手法である。
【0058】
前述のプロセスのいずれかにおいて得られた生成物は、総重量に基づいて、最大0.5重量%の未反応アルキレンオキシド、少量のスターター化合物およびそれらの低分子量アルコキシレート、ならびに少量の他の有機不純物および水を含有し得る。揮発性不純物は、得られたモノオールもしくはポリオールから蒸発する、または取り除かれるべきである。生成物は、典型的には、触媒残留物を含有する。生成物中にこれらの残留物を残すことは一般的であるが、必要に応じてこれらを除去してもよい。水分および揮発性物質は、ポリオールを取り除くことにより除去できる。
【0059】
触媒錯体およびその残留物は、必要に応じて、得られた生成物中に残してもよい。それらを最終生成物から除外する必要はない。
【0060】
本発明の触媒錯体を使用して生成されたポリエーテルは、とりわけポリウレタンベースの生成物を作製するのに有用であり得る。例示的なポリウレタンベースの生産には、発泡体(成形発泡体、スラブストック発泡体、高弾性発泡体、粘弾性発泡体、硬質発泡体など)、接着剤、密閉剤、被覆剤、エラストマー、複合材料などが含まれる。
【0061】
以下の実施例は、例示的な実施形態を説明するために提供されるが、その範囲を限定することを意図するものではない。すべての部およびパーセンテージは、別段指示がない限り、重量による。
【実施例】
【0062】
実施例1~4および比較試料A~C
実施例1を作製するには:塩化亜鉛(16.00グラム、117.4mmol)、tert-ブチルアルコール(20mL)、および脱イオン水(20mL)の混合物を、丸底フラスコ内で40℃に加熱する。続いて、アルミニウムsec-ブトキシド(表1に示される量)、およびHCl水溶液(48μL、0.001M)をフラスコに加え、混合物を周囲条件下で10分間攪拌する。次に、水(40mL)と事前に混合したヘキサシアノコバルト酸カリウム(3.44グラム、10.4mmol)の溶液を、2.5時間かけて滴下する。次いで、フラスコ内の混合物を、およそ20時間後に白色ゲルを形成するまで還流下で加熱する。得られたゲルを、水(60mL)およびtert-ブチルアルコール(60mL)内に分散し、15分間遠心分離(5000rpm)する。溶媒をデカントし、得られた材料を、水(60mL)およびtert-ブチルアルコール(60mL)の混合物内に再び分散する。得られた分散液を、55℃に35分間加熱し、次いで、15分間遠心分離(5000rpm)する。次いで、得られた材料を、蒸留水およびtert-ブチルアルコールの体積比50/50の混合物で4回洗浄し、tert-ブチルアルコール(120mL)を使用してもう1回洗浄する。洗浄した材料を、真空下で、70℃で一晩、一定圧力(10mbar未満)まで乾燥する。得られた乾燥固体を粉砕して、微粉末の形態の触媒試料を形成する。
【0063】
実施例2~4ならびに比較試料AおよびBを、調製物に添加するアルミニウムsec-ブトキシドの量が変化することを除き、同じ方法で作製する。比較試料Cを作製する際は、アルミニウムsec-ブトキシドを完全に除外する。このような様々な試料の触媒調製物に添加するコバルト:亜鉛:アルミニウムのモル比は、表1に示すとおりである。このプロセスにおけるコバルト:亜鉛:アルミニウムのモル比をXRFにより決定し、結果を表1に示す。
【表1】
【0064】
触媒実施例1~4ならびに比較試料A、BおよびCを使用して、半バッチ式プロセスにおいてポリエーテルポリオールを生成する。ジプロピレングリコール(475.4g)および142.0ミリグラムの触媒試料(生成物の予想質量に基づいて100ppmを提供するのに十分な量)を、7Lのユーハイム反応器に60℃で添加し、乾燥窒素下で50rpmで攪拌する。反応器を閉じ、100℃および400rpmに設定する。次いで、反応器内の雰囲気を乾燥窒素でパージし、真空を適用する。手順のこの部分を、さらに4回繰り返す。反応器を隔離し、160℃で1時間真空下に置き、出発材料を乾燥する。次いで、140gのプロピレンオキシドを、同じ温度で反応器に添加する。これにより、内部反応器圧力が約3barゲージ(304kPa)に上昇する(本明細書において報告するすべての圧力は、別段記載がない限り、ゲージ圧力である)。反応器内の圧力を、触媒の活性化が行われたことを示す圧力降下について継続的に監視する。反応器圧力が1bar(101kPa)に低下するのに必要な時間を、活性化時間として記録する。プロセス開始の40分後(または、触媒が40分後にまだ活性化していない場合には、触媒活性化時)、868.8gのプロピレンオキシドを160℃で反応に供給する。供給速度は、供給中に内部圧力が4bar(405kPa)に達しない限り、1時間の過程にわたって0~29g/分で直線的に増加し、達した場合は圧力が3.5bar(354kPa)に低下するまで供給速度を中断し、その時点で供給を再開する。したがって、プロピレンオキシド添加の最短時間は60分であり、これはプロピレンオキシドの供給中に反応器圧力が圧力限界に達しない場合にのみ得られる。プロピレンオキシドが完成した後、反応混合物を160℃で15分間消化する。次いで、真空を適用して、未反応のプロピレンオキシドを除去する。次いで、反応器を100℃に冷却し、200ppmの酸化防止剤を乾燥窒素下で反応混合物に添加する。次いで、生成物を周囲温度まで冷却し、収集する。バッチサイズは、いずれの場合もおよそ1421.8グラムである。生成物の分子量は400g/モルである。重合中、反応混合物のヒドロキシル含有量は、約20重量%~約4.25重量%に減少する。
【0065】
反応中、触媒の活性の兆候について、内部反応器圧力を監視する。これらの重合条件は、スターター(ジプロピレングリコール)の分子量が低いため、従来の複金属シアン化物触媒にとって難しい課題である。従来のDMC触媒は、高濃度のヒドロキシル基の存在下では劣った性能を示すが、これは、スターター分子量が低い場合などの、半バッチ式プロセスの初期段階中の場合である。このため、プロピレンオキシドの供給速度は、触媒の活性化後に徐々に上昇する。触媒活性、したがって重合速度は、生成物が分子量を増すにつれて増加すると予想され、これにより、プロピレンオキシドをより急速に消費し、したがってより急速に供給することが可能となる。
【0066】
図1は、比較試料Cの反応器圧力対時間(線1)およびプロピレンオキシド供給速度対時間(線21)のプロットである。線1のセクション2は、最初のプロピレンオキシド供給中の反応器圧力の増加を表す。圧力は、約3bar(303kPa)に増加する。それに続く、線1のセクション3に示される反応器圧力の緩やかな低下は、触媒が活性化する際のプロピレンオキシドの消費を示す。圧力が1bar(101kPa)に低下する時間を、プロセスの開始から約55分後である、点Aで示す。点Aを、触媒活性化時間と見なす。線1のセグメント4は、後続のプロピレンオキシドの供給が開始される際の圧力の増加を示す。
図1に示すように、反応器圧力は、30~40分で4bar(405kPa)の圧力限界に達する。その間、プロピレンオキシドの供給速度は10g/分ほどの速さに達するが、反応器圧力限界に達するときには、定期的に中断または減速する必要がある。
【0067】
線1のセグメント5は、プロセスの開始からおよそ200分にわたる期間の間、触媒の活性が非常に低いままであることを示す。この時間のほとんどすべての間、(線21により示すように)対応する期間中に2~7g/分の低い供給速度でのみプロピレンオキシドを供給することができ、供給速度を上げると、内部圧力限界を超えてしまう。触媒活性が実質的に増加するのは180~190分後のみであり、これによりプロピレンオキシドの供給速度を25~30g/分に増加させることができる。この時点で、線1のセグメント6により示すように、反応器圧力は急速な供給速度にもかかわらず大幅に低下する。反応のこの時点で、プロピレンオキシドは30g/分を超える速度で消費されている。供給されたプロピレンオキシドの全量(868.6グラム)を、プロセスの開始後210~220分で消費する。線1のセグメント7は、すべてのプロピレンオキシドが反応器に供給された後の最終消化ステップ中の反応器圧力を示す。
【0068】
図1は、これらの重合条件の厳しさを示している。スターターは低当量を有し、大量の分子量が得られるまで、反応の開始において高濃度で存在する。これらの条件は、触媒が活性化することさえ困難にし、触媒が活性化すると、これらの条件は、重合のほとんどの過程の間触媒の性能を不活発にする。これは、かなり高い濃度の触媒を使用しているにもかかわらずである。
【0069】
比較試料Aは、比較試料Cと同様の圧力曲線を示す。触媒の活性化は、65~70分を要する。プロピレンオキシドの供給速度は、プロセス開始後約180分まで5g/分以下に制限され、この時点で1分当たり30gを超えるプロピレンオキシドの急速重合が開始する。触媒への非常に少量のアルミニウムの添加は、触媒の性能にほとんど影響しない。
【0070】
図2は、実施例1の対応する圧力対時間(線1)およびプロピレンオキシド対時間(線21)のプロットを示す。参照番号は、
図1の対応する番号と同じ特徴を指す。この例では、線1のセグメント3により示されるように、触媒の活性化は非常に急速である。反応器圧力は、プロセスを開始してわずか10~15分後に1bar(101kPa)に低下し、プロピレンオキシドの供給が始まる前に0.5bar(50kPa)未満に低下し続ける。線1のセグメント4は、プロピレンオキシドの供給が開始されるときの圧力上昇を示す。プロピレンオキシドの供給速度が15~20g/分に増加すると、圧力は3.5~3.7bar(355~376kPa)に上昇する。比較試料Cで発生したよりもはるかに速いプロピレンオキシド供給速度の上昇にもかかわらず、内部圧力限界に決して達しないことに留意されたい。ピーク圧力をわずか約70分後に達成する。その後、プロピレンオキシドの急速重合により、プロピレンオキシドの供給速度がさらに増加するにもかかわらず、反応器圧力は急速に低下する(線1のセグメント6)。プロピレンオキシドはすべて、プロセスの開始から100分以内に供給される。
図1のセグメント5に対応する線1のセグメントが存在しないことに留意されたい。触媒実施例1では、反応器の内部限界に達するのを回避するためにプロピレンオキシドの供給速度を制限する必要はない。この試験の非常に厳しい条件にもかかわらず、このような優れた結果が達成される。実際、プロピレンオキシドの供給速度を増加させることにより、これらの条件下でこの触媒を使用してさらに速い重合を得ることができる。これらのデータはまた、これらの厳しい条件下であっても、より低い触媒濃度を使用できることを示唆する。
【0071】
実施例1~4および比較試料A~C各々についての活性化時間、急速重合までの時間、およびプロピレン供給を完了する時間は、表2に示すとおりである。
【表2】
【0072】
表2のデータからわかるように、従来のDMC触媒(比較試料C)の性能は、活性化時間が長く、急速重合が開始されてすべてのプロピレンオキシドが供給されるまでに長い時間がかかることを特徴とする。比較試料Aは、触媒調製物への非常に少量のアルミニウム化合物の添加が触媒性能に実質的に影響しないことを示す。
【0073】
しかしながら、実施例1~4は、触媒に添加されるアルミニウムの量がコバルト1モル当たり約0.003~約5.2モルの範囲内(特に、コバルト1モル当たり0.003~約3モルの範囲内)であるとき、触媒活性化速度および重合速度の両方において非常に著しい増加を示している。活性化時間が減少し、重合速度が劇的に増加する。
【0074】
比較試料Bは、アルミニウムの量が増加しすぎると、まるでこれらの大量のアルミニウムの存在が触媒毒として作用しているかのように、触媒活性が失われることを示している。
【0075】
実施例5~9
実施例5~9は、実施例1と同様に作製されるが、アルミニウムsec-ブトキシドは、それぞれの場合に、表3に記載の33.6mmolのM
3金属化合物で置き換えられる。調製物中および触媒生成物中で測定されたCo:Zn:M
3金属のモル比を、表3に示す。いずれの場合も、先行する実施例に関して説明したポリオール生成プロセスにおいて、触媒を評価する。活性化時間、急速重合の開始までの時間、およびプロピレンオキシドの添加を完了する時間は、表3に示すとおりである。
【表3】
【0076】
実施例5~9のすべては、短い活性化時間および/または急速重合の開始までのより短い時間を示す。特に留意すべきは、ハフニウム、ガリウム、およびインジウムで修飾された触媒であり、これらはすべて、短い活性化時間を提供するだけでなく、これらの実験において使用されるよりもさらに速いプロピレンオキシド供給速度も可能にする。これらの3つの場合(上記の実施例1~4の場合)、PO供給速度はこれらの実験において行われるよりもかなり速く上昇し、そのためPO供給の完了がさらに速くなり、全体のプロセスサイクル時間が短くなる。
【0077】
実施例10~12
実施例10~12は、実施例1と同様に作製されるが、アルミニウムsec-ブトキシドは、それぞれの場合に、表4に記載の33.6mmolのM3金属化合物で置き換えられる(ただし比較試料Fの場合は16.8mmol、および比較試料Hの場合は11.2mmol)。調製物中および触媒生成物中で測定されたCo:Zn:M3金属のモル比を、表4に示す。
【0078】
いずれの場合も、活性化時間および急速なPO重合の開始までの時間の推定を可能にする代替のポリオール生成プロセスにおいて、触媒を評価する。
【0079】
ジプロピレングリコール(475.4g)および十分な触媒試料(生成物の予想質量に基づいて100ppmを提供するのに十分な量)を、7Lのユーハイム反応器に60℃で添加し、乾燥窒素下で50rpmで攪拌する。反応器を閉じ、攪拌しながら100℃に設定する。次いで、反応器内の雰囲気を、乾燥窒素で1回以上パージする。次いで、反応器に窒素を充填して大気圧(絶対圧)にする。次いで、77.4gのプロピレンオキシドを、同じ温度で反応器に添加する。これにより、内部反応器圧力が、約3barゲージ(305kPa)に上昇する。反応器内の圧力を、触媒の活性化が行われたことを示す圧力降下について継続的に監視する。反応器圧力が1~1.5bar(101~151kPa)に低下するのに必要な時間を、活性化時間として記録する。触媒が活性化すると、868.8gのプロピレンオキシドを160℃で反応に供給する。供給速度は、供給中に内部圧力が4.5bar(456kPa)に達しない限り、1時間の過程にわたって0~最大5mL/分で直線的に増加し、達した場合は圧力が4bar(405kPa)に低下するまで供給速度を減速し、その時点で供給速度が再び増加する。プロピレンオキシドが完成した後、反応混合物を160℃で15分間消化する。次いで、真空を適用して、未反応のプロピレンオキシドを除去する。次いで、反応器を100℃に冷却し、乾燥窒素下で200ppmの酸化防止剤を反応混合物に添加する。次いで、生成物を周囲温度まで冷却し、収集する。バッチサイズは、いずれの場合もおよそ1422グラムである。
【0080】
図3は、実施例12の反応器圧力対時間(線11)およびプロピレンオキシド供給速度(線21)のプロットである。実施例10~12の重合プロセスは(先の実施例のように真空下ではなく)窒素下で実施されるため、反応器圧力対時間曲線の形状は、
図1に関して説明したものとは多少異なる。線21のセクション12は、最初のプロピレンオキシド供給中の反応器圧力の増加を表しており、この間、プロピレンオキシド供給速度は5mL/分である(線21のセグメント22)。このステップ中、圧力は約65psig(448kPa)に増加する。それに続く、線11のセクション13に示される反応器圧力の緩やかな低下は、触媒が活性化する際のプロピレンオキシドの消費を示す。圧力が2bar(202kPa)に低下する時間を、プロセスの開始から約33分後である、点Aで示す。点Aを、触媒活性化時間と見なす。線11のセグメント14は、後続のプロピレンオキシドの供給が開始される際の圧力の増加を示す。線11のセグメント14により示すように、反応器圧力は、反応器圧力がプロセスの開始から約1時間後に4bar(405kPa)の圧力限界に達するまで(線11上の点B)、プロピレンオキシドの供給速度がおよそ20分間の期間にわたって0~2mL/分で段階的に上昇するにつれて、ほぼ直線的に増加する。この期間中、プロピレンオキシドが消費される速度は供給速度よりも低い。したがって、供給速度は、反応器圧力を反応器圧力限界よりわずかに低く維持する速度まで低下する。この期間は、線11のセグメント15に対応する。約20分間のこの期間中、プロピレンオキシドの供給速度は、約30分間にわたって1~3ml/分で緩やかにしか増加し得ない。線11のセグメント15は、プロセスの開始からおよそ90分にわたる期間の間、触媒の活性が不活発なままであることを示す。急速重合の開始を、プロセスの開始から約90分後に、線11の点Cで示す。この時点の後、線11のセグメント16(圧力)および線21のセグメント26(供給速度)により示されるように、プロピレンオキシドの供給速度が5mL/分に急速に上昇しても、反応器圧力は低下する。反応のこの時点およびその後では、プロピレンオキシドは5mL/分を超える速度で消費されている。
図3に示される反応器圧力には窒素分圧が含まれており、プロセスの開始時ではわずか1bar(101kPa)であるが、反応器が満杯になりヘッドスペースの容積が減少するにつれて着実に増加する。反応器圧力は、線11のセグメント17により示される期間の間に約25psig(172kPa)の一定値に達する。この値は、ほぼ完全に窒素分圧によるもので、この時点でのプロピレンオキシド分圧はゼロに近い。この時点で、重合速度は、必要に応じて実質的により高い速度でプロピレンオキシドを供給することができるような速度である。供給されたプロピレンオキシドの全量を、プロセスの開始後110分で消費する。線11のセグメント18は、すべてのプロピレンオキシドが反応器に供給された後の最終消化ステップ中の反応器圧力を示す。プロセスのこの段階中のこの圧力は、ヘッドスペース内に窒素が存在するため、ほぼ全体である。
【0081】
活性化時間および急速重合の開始までの時間は、表4に示すとおりである。
【表4】
【0082】
実施例10~12のすべてが、比較試料Cよりも活性化が速く、急速重合の開始が早いことを示している。
【0083】
実施例13~19および比較試料D~H
ヘキサシアノコバルト酸亜鉛触媒錯体の調製。塩化亜鉛(48.00グラム、352.1mmol)、tert-ブチルアルコール(60mL)、および脱イオン水(60mL)の混合物を、丸底フラスコ内で40°Cに加熱する。水性HCl(144μL、0.001M)をフラスコに添加し、混合物を周囲条件で10分間攪拌する。次に、水(80mL)と事前に混合されたヘキサシアノコバルト酸カリウム(10.37グラム、31.2mmol)の溶液を、2.5時間かけて滴下する。次いで、混合物を、(およそ20時間後に)白色ゲルを形成するまで還流下で加熱する。得られたゲルを、水(180mL)およびtert-ブチルアルコール(180mL)内に分散し、次いで、15分間遠心分離(5000rpm)する。溶媒をデカントし、得られた材料を水(180mL)およびtert-ブチルアルコール(180mL)の混合液内に再び分散する。得られた分散液を、55℃に35分間加熱し、次いで、15分間遠心分離(5000rpm)する。次いで、得られた材料を、蒸留水およびtert-ブチルアルコールの体積比50/50の混合物で4回洗浄し、次いで、tert-ブチルアルコール(180mL)でもう1回洗浄する。洗浄した材料を、真空下で、60℃で一晩、一定圧力(10mbar未満)まで乾燥する。得られた乾燥固体を粉砕して、微粉末の形態のDMC触媒試料を形成する。これを比較試料Dと呼ぶ。
【0084】
実施例13~19および比較試料E~Hを作製するために、比較試料Dの1グラム分量を、表5に示すように、t-ブタノールおよびM3金属化合物の混合物中でスラリー化する。比較試料Dの量は、およそ0.2グラムまたは約3.39ミリモルのコバルトを提供するのに十分な量である。得られたスラリーを再び遠心分離し、以前のように乾燥させて粉砕する。それぞれの場合の結果は、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体の粒子およびM3金属化合物の粒子の物理的混合物である。2つの粒子タイプの凝集がいくらか存在する場合がある。
【0085】
実施例13~19および比較試料D~Hを、実施例1~4に関して説明された重合方法を使用して、活性化時間および急速重合の開始までの時間について評価する。結果を、表5に示す。
【表5】
【0086】
実施例14~19は、比較試料Dよりも短い活性化時間および/または急速重合の開始時間を示す。アンチモン、カルシウム、銅、およびバリウム化合物を含有する触媒混合物は、対照よりもさらに劣った性能を示す。
【0087】
実施例20および比較試料I
比較試料I:260分子量のグリセリンプロポキシレート(115.6g)を、実施例10~12において説明される一般的な重合条件を使用して、84.4グラムのプロピレンオキシドでプロプロキシ化する。触媒は、0.3g(生成物の予想質量に基づいて150ppmを提供するのに十分な量)の市販のヘキサシアノコバルト酸亜鉛触媒錯体である。275分経過しても触媒は活性化しない。
【0088】
実施例20を、約155m2/グラムの表面積を有する酸化アルミニウム0.168gをジプロピレンオキシドおよびヘキサシアンコバルト酸亜鉛の混合物に添加することを除いて、同様に実施する。触媒は約35分後に活性化し、急速重合の開始は約110分後でさえ発生する。約425の分子量を有するポリエーテルトリオールを得る。
【0089】
実施例20の条件は、三官能性スターターの使用および生成物の低当量(約140)のために、先の実施例の条件よりもさらに厳しい。重合プロセスの終了時でさえ、ヒドロキシル濃度は12%である。
【0090】
実施例21
0.046gの触媒実施例3を、130.6gの700分子量グリセリン開始ポリ(プロピレンオキシド)中に懸濁し、120分間超音波処理し、130℃で90分間窒素下で乾燥する。次いで、反応器に70psig(483kPa)のCO2を4回詰め、その後、毎回圧力を解放する。反応器の内容物を145℃に加熱し、CO2で60psig(414kPa)に加圧する。次いで、14.8gのPOを添加する。圧力が低下して60psig(414kPa)に戻ると、反応器圧力が98psig(676kPa)に達するまでCO2を反応器に供給し、その時点で反応器の温度は110℃になる。次いで、POおよびCO2を、圧力が103psig(710kPa)に達するまで反応器に共供給する。次いで、POの添加を、1分当たり1mLの速度で続ける。反応器圧力を、CO2の添加により、98~103psig(676~710kPa)にわたる圧力帯で制御する。このプロセスを、反応器に合計294mLのPOを供給するまで維持する。その後、反応器を室温まで冷却し、圧力を抜き、反応器を窒素でパージする。
【0091】
GPCおよびIR分析は、生成物が1.06の多分散指数を有する2031g/モルの数平均分子量を有することと、生成物の96.7重量%が4.43重量%のCO2を含有するポリオールからなり、生成物の残りの3.3重量%が炭酸プロピレンであることとを明らかにする。
なお、本発明は、以下の実施形態を包含するものとする。
[1]触媒錯体を生成する方法であって、
a)出発溶液を形成することであって、前記出発溶液が、i)水および液体脂肪族アルコールのうちの少なくとも一方を含む溶媒と、前記溶媒中に溶解した、ii)M
2
金属シアノメタレート基を有するシアノメタレート化合物およびiii)前記シアノメタレート化合物と反応して、水不溶性のM
1
金属シアノメタレートを形成する、M
1
金属塩と、を含み、前記出発溶液が、シアノメタレート化合物1モル当たり0.01~10モルの、前記M
1
金属塩とは異なるiii)少なくとも1つのM
3
金属化合物をさらに含有し、前記M
3
金属化合物が、チタンではないM
3
金属の化合物であり、前記M
3
金属が、マグネシウム、チタン以外の第3族~第15族金属、またはランタニド系列金属のうちの1つ以上から選択され、前記M
3
金属が、少なくとも1つのアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、リン酸エステル、チオリン酸エステル、アミド、酸化物、シロキシド、水素化物、カルバメート、もしくは炭化水素アニオンに結合し、前記M
3
金属化合物が、ハロゲン化物アニオンを含まない、出発溶液を形成することと、
b)前記シアノメタレート化合物とM
1
金属塩とを反応させて、M
1
金属シアノメタレートを含む水不溶性触媒錯体を形成することと、を含む、方法。
[2]水および液体錯化剤のうちの少なくとも一方を含む洗浄液で前記水不溶性触媒錯体を洗浄するステップc)をさらに含む、前記[1]に記載のプロセス。
[3]前記触媒錯体を乾燥させて固体を形成するステップd)をさらに含む、前記[1]または[2]に記載のプロセス。
[4]M
1
が、亜鉛であり、前記シアノメタレート化合物が、ヘキサシアノコバルテート化合物である、前記[1]~[3]のいずれかに記載のプロセス。
[5]M
3
が、チタン、バリウム、アンチモン、またはカルシウムではない、前記[1]~[4]のいずれかに記載のプロセス。
[6]M
3
が、チタン、バリウム、アンチモン、カルシウム、スズ、または亜鉛ではない、前記[1]~[5]のいずれかに記載のプロセス。
[7]M
3
が、チタン、バリウム、アンチモン、カルシウム、スズ、亜鉛、鉄、バナジウム、マグネシウム、タングステン、またはスカンジウムではない、前記[1]~[6]のいずれかに記載のプロセス。
[8]M
3
が、アルミニウム、ハフニウム、インジウム、マンガン、またはガリウムのうちの1つ以上である、前記[1]~[7]のいずれかに記載のプロセス。
[9]前記M
3
金属化合物が、(a)M
3
金属酸化物に対する前駆体であって、ステップa)および/またはステップb)の条件下で反応してM
3
金属酸化物を形成する、前駆体、ならびに(b)粒子状のM
3
金属酸化物からなる群から選択される、前記[1]~[8]のいずれかに記載のプロセス。
[10]前記M
3
金属化合物が、M
3
金属酸化物である、前記[1]~[9]のいずれかに記載のプロセス。
[11]前記M
3
金属化合物が、M
3
金属アルコキシドである、前記[1]~[10]のいずれかに記載のプロセス。
[12]前記出発溶液が、前記M
3
金属化合物1モル当たり少なくとも5モルの水を含有する、前記[1]~[11]のいずれかに記載のプロセス。
[13]ステップa)における前記液体脂肪族アルコールが、C3~C6アルカノールを含む、前記[1]~[12]のいずれかに記載のプロセス。
[14]ステップc)における前記液体脂肪族アルコールが、C3~C6アルカノール、および最大8,000g/モルの数平均分子量を有するポリエーテルアルコールからなる群から選択される、前記[1]~[13]のいずれかに記載のプロセス。
[15]前記[1]~[14]のいずれかに記載のプロセスにおいて形成された、触媒錯体。
[16]前記M
2
金属1モル当たり0.002~10モルの前記M
3
金属を含有する、前記[15]に記載の水不溶性触媒錯体。
[17]以下の式:
M
1
b
[M
2
(CN)
r
(X
1
)
t
]
c
[M
5
(X
2
)
6
]
d・
nM
4
x
A
1
y・
pM
3
w
A
2
z
に対応し、式中、
M
1
およびM
4
が、それぞれZn
2+
、Fe
2+
、Co
+2+
、Ni
2+
、Mo
4+
、Mo
6+
、Al
+3+
、V
4+
、V
5+
、Sr
2+
、W
4+
、W
6+
、Mn
2+
、Sn
2+
、Sn
4+
、Pb
2+
、Cu
2+
、La
3+
、およびCr
3+
から独立して選択される金属イオンを表し、
M
2
およびM
5
が、それぞれFe
3+
、Fe
2+
、Co
3+
、Co
2+
、Cr
2+
、Cr
3+
、Mn
2+
、Mn
3+
、Ir
3+
、Ni
2+
、Rh
3+
、Ru
2+
、V
4+
、V
5+
、Ni
2+
、Pd
2+
、およびPt
2+
から独立して選択される金属イオンを表し、
M
3
が、少なくとも1つのマグネシウム、第3族~第15族金属、またはチタンを除くランタニド系列金属イオンを表し、
X
1
が、前記M
2
イオンと配位するシアン化物以外の基を表し、
X
2
が、前記M
5
イオンと配位するシアン化物以外の基を表し、
A
1
が、ハロゲン化物、ナイトレート、スルフェート、カーボネート、シアン化物、オキサレート、チオシアネート、イソシアネート、パークロレート、イソチオシアネート、アルカンスルホネート、アリーレンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、またはC
1-4
カルボキシレートを表し、
A
2
が、少なくとも1つのアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、アミド、酸化物、シロキシド、水素化物、カルバメート、または炭化水素アニオンを表し、
b、c、およびdが、それぞれ静電的に中性の錯体を反映する数であるが、bおよびcがそれぞれゼロよりも大きいことを条件とし、
xおよびyが、金属塩M
3
x
A
1
y
の電荷のバランスをとる整数であり、
rが、4~6の整数であり、
tが、0~2の整数であり、
nが、0~20の数であり、
pが、0.002~10であり、
wおよびzが、金属塩M
3
z
A
2
z
の電荷のバランスをとる整数であるが、wが1~4であることを条件とする、前記[15]または[16]に記載の水不溶性触媒錯体。
[18]M
1
およびM
4
が、亜鉛であり、M
2
およびM
5
が、コバルトであり、M
3
が、アルミニウム、ガリウム、ハフニウム、インジウム、およびマンガンから選択される、前記[17]に記載の水不溶性触媒。
[19]以下の式:
M
1
b
[M
2
(CN)
r
(X
1
)
t
]
c
[M
5
(X
2
)
6
]
d・
nM
4
x
A
1
y・
pM
3
w
A
2
z
に対応し、式中、
M
1
およびM
4
が、それぞれZn
2+
、Fe
2+
、Co
+2+
、Ni
2+
、Mo
4+
、Mo
6+
、Al
+3+
、V
4+
、V
5+
、Sr
2+
、W
4+
、W
6+
、Mn
2+
、Sn
2+
、Sn
4+
、Pb
2+
、Cu
2+
、La
3+
、およびCr
3+
から独立して選択される金属イオンを表し、
M
2
およびM
5
が、それぞれFe
3+
、Fe
2+
、Co
3+
、Co
2+
、Cr
2+
、Cr
3+
、Mn
2+
、Mn
3+
、Ir
3+
、Ni
2+
、Rh
3+
、Ru
2+
、V
4+
、V
5+
、Ni
2+
、Pd
2+
、およびPt
2+
から独立して選択される金属イオンを表し、
M
3
が、少なくとも1つのマグネシウム、第3族~第15族金属、またはチタンを除くランタニド系列金属イオンを表し、
X
1
が、前記M
2
イオンと配位するシアン化物以外の基を表し、
X
2
が、前記M
5
イオンと配位するシアン化物以外の基を表し、
A
1
が、ハロゲン化物、ナイトレート、スルフェート、カーボネート、シアン化物、オキサレート、チオシアネート、イソシアネート、パークロレート、イソチオシアネート、アルカンスルホネート、アリーレンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、またはC
1-4
カルボキシレートを表し、
A
2
が、少なくとも1つのアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、アミド、酸化物、シロキシド、水素化物、カルバメート、または炭化水素アニオンを表し、
b、c、およびdが、それぞれ静電的に中性の錯体を反映する数であるが、bおよびcがそれぞれゼロよりも大きいことを条件とし、
xおよびyが、金属塩M
3
x
A
1
y
の電荷のバランスをとる整数であり、
rが、4~6の整数であり、
tが、0~2の整数であり、
nが、0~20の数であり、
pが、0.002~10であり、
wおよびzが、金属塩M
3
z
A
2
z
の電荷のバランスをとる整数であるが、wが1~4であることを条件とする、水不溶性触媒錯体。
[20]M
1
およびM
4
が、亜鉛であり、M
2
およびM
5
が、コバルトであり、M
3
が、アルミニウム、ガリウム、ハフニウム、インジウム、およびマンガンから選択される、前記[19]に記載の水不溶性触媒錯体。
[21]M
1
b
[M
2
(CN)
r
(X
1
)
t
]
C
相およびM
3
金属酸化物相の両方を有するハイブリッド粒子を含む、粒子状の水不溶性触媒錯体であって、
M
1
が、Zn
2+
、Fe
2+
、Co
+2+
、Ni
2+
、Mo
4+
、Mo
6+
、Al
+3+
、V
4+
、V
5+
、Sr
2+
、W
4+
、W
6+
、Mn
2+
、Sn
2+
、Sn
4+
、Pb
2+
、Cu
2+
、La
3+
、およびCr
3+
から独立して選択される金属イオンを表し、
M
2
が、Fe
3+
、Fe
2+
、Co
3+
、Co
2+
、Cr
2+
、Cr
3+
、Mn
2+
、Mn
3+
、Ir
3+
、Ni
2+
、Rh
3+
、Ru
2+
、V
4+
、V
5+
、Ni
2+
、Pd
2+
、およびPt
2+
から独立して選択される金属イオンを表し、
M
3
が、少なくとも1つのマグネシウム、第3族~第15族金属、またはチタンを除くランタニド系列金属イオンを表し、
X
1
が、前記M
2
イオンと配位するシアン化物以外の基を表し、
bおよびcが、それぞれ静電的に中性な錯体を反映する数であり、
rが、4~6の整数であり、
tが、0~2の整数である、粒子状の水不溶性触媒錯体。
[22]前記M
1
b
[M
2
(CN)
r
(X
1
)
t
]
c
相が、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛相である、前記[21]に記載の粒子状の水不溶性触媒錯体。
[23]M
3
が、アルミニウム、ガリウム、ハフニウム、インジウム、およびマンガンから選択される、前記[21]または[22]に記載の粒子状の水不溶性触媒錯体。
[24]前記M2金属1モル当たり0.0~2~10モルの前記M
3
金属を含有する、前記[21]~[23]のいずれかに記載の粒子状の水不溶性触媒錯体。
[25]水不溶性のヘキサシアノコバルト酸亜鉛の粒子とM
3
金属酸化物の粒子との物理的混合物を含む触媒錯体であって、前記M
3
金属酸化物粒子が、前記ヘキサシアンコバルト酸亜鉛により提供されるコバルト1モル当たり0.002~10モルのM
3
金属を提供する量で存在し、さらに、前記M
3
金属酸化物粒子が、ガス収着法を使用して測定される際、少なくとも1m
2
/gの表面積を有する、触媒錯体。
[26]ポリカーボネートを生成するための方法であって、ヒドロキシル含有スターターと、少なくとも1つのアルキレンオキシドと、二酸化炭素と、前記[15]~[25]のいずれかに記載の触媒錯体と、を含む、反応混合物を形成する、方法。