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特許7146819製造設備を稼働させるための方法およびその製造設備の構成
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  • 特許-製造設備を稼働させるための方法およびその製造設備の構成 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】製造設備を稼働させるための方法およびその製造設備の構成
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20220927BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019566141
(86)(22)【出願日】2018-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 AT2018060108
(87)【国際公開番号】W WO2018218265
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】A50462/2017
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】522273654
【氏名又は名称】ケバ インダストリアル オートメーション ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ハーラルト フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ペトルジェルカ
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ シュトゥンマー
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター バイルグニー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス コブラー
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-156645(JP,A)
【文献】特開2006-268445(JP,A)
【文献】特開2004-164357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造設備(1)を稼働させるための方法であって、前記製造設備(1)は、
それぞれが機能制御部(3)を有する少なくとも2台の製造機械(2)と、
データ送信をするために前記機能制御部(3)に連結されている少なくとも1台の中央コンピュータ(5)と、
前記製造設備(1)内で無線ネットワークを提供するための少なくとも1つの無線局(9)であって、データ送信をするために前記少なくとも1台の中央コンピュータ(5)に連結されている無線局(9)と、
前記無線ネットワークからデータを受信してグラフィック表示するための受信部(10)および表示部(7)を有する少なくとも1つの携帯表示装置(6)と、を有し、
前記製造機械(2)の前記機能制御部(3)により前記製造機械(2)に関する状態情報が前記中央コンピュータ(5)に送信され、
前記製造機械(2)のうちの1台への携帯表示装置(6)の近接が検出されることで、当該携帯表示装置(6)が少なくとも一時的に前記製造機械(2)のうちの1台に割り当てられ、
前記製造機械(2)に関する前記状態情報に基づき、少なくとも携帯表示装置(6)が割り当てられている製造機械(2)についての前記状態情報のグラフィック表現を前記中央コンピュータ(5)が算出し、
前記状態情報の前記グラフィック表現のデータが、前記製造機械(2)に割り当てられている前記携帯表示装置(6)に前記無線ネットワークを介して送信され、製造機械の操作者が前記グラフィック表現を読み取れるように当該携帯表示装置(6)の前記表示部(7)に表示され、
前記製造機械(2)のうちの1台への携帯表示装置(6)の割当てに際し、当該携帯表示装置(6)に関する情報として前記表示部(7)の大きさおよび解像度ならびに操作部の有無が照会されて当該情報が前記中央コンピュータ(5)に送信され、前記中央コンピュータ(5)が当該情報に基づき当該携帯表示装置(6)用に調整されたグラフィック表現を出力し、
前記少なくとも1台の中央コンピュータ(5)にて、前記状態情報を表示するために現時点で携帯表示装置(6)が割り当てられている製造機械(2)のみについての前記状態情報の前記グラフィック表現が算出されることを特徴とする方法。
【請求項2】
製造設備(1)を稼働させるための方法であって、前記製造設備(1)は、
それぞれが機能制御部(3)を有する少なくとも2台の製造機械(2)と、
データ送信をするために前記機能制御部(3)に連結されている少なくとも1台の中央コンピュータ(5)と、
前記製造設備(1)内で無線ネットワークを提供するための少なくとも1つの無線局(9)であって、データ送信をするために前記少なくとも1台の中央コンピュータ(5)に連結されている無線局(9)と、
前記無線ネットワークからデータを受信してグラフィック表示するための受信部(10)および表示部(7)を有する少なくとも1つの携帯表示装置(6)と、を有し、
前記製造機械(2)の前記機能制御部(3)により前記製造機械(2)に関する状態情報が前記中央コンピュータ(5)に送信され、
前記製造機械(2)のうちの1台への携帯表示装置(6)の近接が検出されることで、当該携帯表示装置(6)が少なくとも一時的に前記製造機械(2)のうちの1台に割り当てられ、
前記製造機械(2)に関する前記状態情報に基づき、少なくとも携帯表示装置(6)が割り当てられている製造機械(2)についての前記状態情報のグラフィック表現を前記中央コンピュータ(5)が算出し、
前記状態情報の前記グラフィック表現のデータが、前記製造機械(2)に割り当てられている前記携帯表示装置(6)に前記無線ネットワークを介して送信され、製造機械の操作者が前記グラフィック表現を読み取れるように当該携帯表示装置(6)の前記表示部(7)に表示され、
前記製造機械(2)のうちの1台への携帯表示装置(6)の割当てに際し、当該携帯表示装置(6)に関する情報として前記表示部(7)の大きさおよび解像度ならびに操作部の有無が照会されて当該情報が前記中央コンピュータ(5)に送信され、前記中央コンピュータ(5)が当該情報に基づき当該携帯表示装置(6)用に調整されたグラフィック表現を出力し、
前記携帯表示装置(6)の前記表示部(7)はサブメニューを開いたり前記グラフィック表現を変更したりすることができる複数の入力ボタンが表示されるタッチパネルディスプレイであり、当該入力ボタンのうちの1つが操作されると、前記無線ネットワークを介して前記携帯表示装置(6)から前記中央コンピュータ(5)にコマンドが送信され前記製造機械(2)に関する前記状態情報の前記グラフィック表現が調整されることを特徴とする方法。
【請求項3】
製造設備(1)を稼働させるための方法であって、前記製造設備(1)は、
それぞれが機能制御部(3)を有する少なくとも2台の製造機械(2)と、
データ送信をするために前記機能制御部(3)に連結されている少なくとも1台の中央コンピュータ(5)と、
前記製造設備(1)内で無線ネットワークを提供するための少なくとも1つの無線局(9)であって、データ送信をするために前記少なくとも1台の中央コンピュータ(5)に連結されている無線局(9)と、
前記無線ネットワークからデータを受信してグラフィック表示するための受信部(10)および表示部(7)を有する少なくとも1つの携帯表示装置(6)と、を有し、
前記製造機械(2)の前記機能制御部(3)により前記製造機械(2)に関する状態情報が前記中央コンピュータ(5)に送信され、
前記製造機械(2)のうちの1台への携帯表示装置(6)の近接が検出されることで、当該携帯表示装置(6)が少なくとも一時的に前記製造機械(2)のうちの1台に割り当てられ、
前記製造機械(2)に関する前記状態情報に基づき、少なくとも携帯表示装置(6)が割り当てられている製造機械(2)についての前記状態情報のグラフィック表現を前記中央コンピュータ(5)が算出し、
前記状態情報の前記グラフィック表現のデータが、前記製造機械(2)に割り当てられている前記携帯表示装置(6)に前記無線ネットワークを介して送信され、製造機械の操作者が前記グラフィック表現を読み取れるように当該携帯表示装置(6)の前記表示部(7)に表示され、
前記製造機械(2)のうちの1台への携帯表示装置(6)の割当てに際し、当該携帯表示装置(6)に関する情報として前記表示部(7)の大きさおよび解像度ならびに操作部の有無が照会されて当該情報が前記中央コンピュータ(5)に送信され、前記中央コンピュータ(5)が当該情報に基づき当該携帯表示装置(6)用に調整されたグラフィック表現を出力し、
前記中央コンピュータ(5)の処理能力は前記製造機械(2)の前記状態情報の前記グラフィック表現を算出するために優先して使用され、処理能力が余った場合には前記中央コンピュータ(5)は他の計算処理にも使用されることを特徴とする方法。
【請求項4】
前記製造機械(2)のうちの1台への前記携帯表示装置(6)の前記近接は近接センサまたは射程が限定されたデータ送信手段により検出され、前記製造機械(2)は適当な近接検出手段(12)を有し、前記携帯表示装置(6)は適当な近接検出手段(13)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記製造機械(2)の前記近接検出手段(12)は近距離無線通信(NFC)の送信機で構成されており、前記携帯表示装置(6)で受信された信号の強度を求めることで前記携帯表示装置(6)と前記近接検出手段(12)との距離が求められることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記製造機械(2)の前記近接検出手段(12)はブルートゥース(登録商標)低エネルギー(BLE)といったブルートゥースのビーコンで構成されており、前記携帯表示装置(6)で受信された信号の強度を求めることで前記携帯表示装置(6)と前記近接検出手段(12)との距離が求められることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記製造機械(2)のそれぞれには近距離無線通信(NFC)の送信機またはブルートゥースのビーコンで構成された近接検出手段(12)が配置されており、前記携帯表示装置(6)への最も強い信号が検出された製造機械(2)に前記携帯表示装置(6)が割り当てられることを特徴とする、請求項またはに記載の方法。
【請求項8】
前記製造機械(2)に割り当てられた入力装置(4)を介して前記操作者により前記機能制御部(3)に操作コマンドが入力され、当該操作コマンドが入力された結果がリアルタイムで前記携帯表示装置(6)に表示されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記操作者が前記携帯表示装置(6)にログインするか認証されており、前記製造機械(2)のうちの1台への携帯表示装置(6)の割当てに際し、前記操作者に関する情報が照会されて前記中央コンピュータ(5)に送信され、前記中央コンピュータ(5)が前記操作者の認証結果に基づき当該携帯表示装置(6)用に調整されたグラフィック表現を出力することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記携帯表示装置(6)に所定の操作部がある場合には、前記製造機械(2)の前記機能制御部(3)への制御情報の送信にも当該操作部が使用されることを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記射程が限定されたデータ送信手段により前記携帯表示装置(6)から前記製造機械(2)に前記制御情報が直接送信されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記製造機械(2)に関する前記状態情報が一定時間ごとに前記中央コンピュータ(5)に送信されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
製造設備(1)であって、
それぞれが機能制御部(3)を有する少なくとも2台の製造機械(2)と、
少なくとも一方向のデータ送信をするために前記機能制御部(3)に連結されている少なくとも1台の中央コンピュータ(5)と、
前記製造設備(1)内で無線ネットワークを提供するための少なくとも1つの無線局(9)であって、少なくとも一方向のデータ送信をするために前記少なくとも1台の中央コンピュータ(5)に連結されている無線局(9)と、
前記無線ネットワークからデータを受信するための受信部(10)を有し受信データをグラフィック表示する少なくとも1つの携帯表示装置(6)と、を有し、
前記携帯表示装置(6)および/または前記製造機械(2)は当該携帯表示装置(6)を所定の製造機械(2)に割当て可能な割当て部(11)を有し、
前記製造機械(2)のうちの1台への携帯表示装置(6)の割当てに際し、当該携帯表示装置(6)に関する情報として表示部(7)の大きさおよび解像度ならびに操作部の有無を照会して当該情報を前記中央コンピュータ(5)に送信でき、前記中央コンピュータ(5)が当該情報に基づき当該携帯表示装置(6)用に調整されたグラフィック表現を出力できるように構成され
前記少なくとも1台の中央コンピュータ(5)にて、状態情報を表示するために現時点で携帯表示装置(6)が割り当てられている製造機械(2)のみについての状態情報のグラフィック表現が算出されることを特徴とする製造設備(1)。
【請求項14】
製造設備(1)であって、
それぞれが機能制御部(3)を有する少なくとも2台の製造機械(2)と、
少なくとも一方向のデータ送信をするために前記機能制御部(3)に連結されている少なくとも1台の中央コンピュータ(5)と、
前記製造設備(1)内で無線ネットワークを提供するための少なくとも1つの無線局(9)であって、少なくとも一方向のデータ送信をするために前記少なくとも1台の中央コンピュータ(5)に連結されている無線局(9)と、
前記無線ネットワークからデータを受信するための受信部(10)を有し受信データをグラフィック表示する少なくとも1つの携帯表示装置(6)と、を有し、
前記携帯表示装置(6)および/または前記製造機械(2)は当該携帯表示装置(6)を所定の製造機械(2)に割当て可能な割当て部(11)を有し、
前記製造機械(2)のうちの1台への携帯表示装置(6)の割当てに際し、当該携帯表示装置(6)に関する情報として表示部(7)の大きさおよび解像度ならびに操作部の有無を照会して当該情報を前記中央コンピュータ(5)に送信でき、前記中央コンピュータ(5)が当該情報に基づき当該携帯表示装置(6)用に調整されたグラフィック表現を出力できるように構成され、
前記携帯表示装置(6)の前記表示部(7)はサブメニューを開いたり前記グラフィック表現を変更したりすることができる複数の入力ボタンが表示されるタッチパネルディスプレイであり、当該入力ボタンのうちの1つが操作されると、前記無線ネットワークを介して前記携帯表示装置(6)から前記中央コンピュータ(5)にコマンドが送信され前記製造機械(2)に関する状態情報のグラフィック表現が調整されることを特徴とする製造設備(1)。
【請求項15】
製造設備(1)であって、
それぞれが機能制御部(3)を有する少なくとも2台の製造機械(2)と、
少なくとも一方向のデータ送信をするために前記機能制御部(3)に連結されている少なくとも1台の中央コンピュータ(5)と、
前記製造設備(1)内で無線ネットワークを提供するための少なくとも1つの無線局(9)であって、少なくとも一方向のデータ送信をするために前記少なくとも1台の中央コンピュータ(5)に連結されている無線局(9)と、
前記無線ネットワークからデータを受信するための受信部(10)を有し受信データをグラフィック表示する少なくとも1つの携帯表示装置(6)と、を有し、
前記携帯表示装置(6)および/または前記製造機械(2)は当該携帯表示装置(6)を所定の製造機械(2)に割当て可能な割当て部(11)を有し、
前記製造機械(2)のうちの1台への携帯表示装置(6)の割当てに際し、当該携帯表示装置(6)に関する情報として表示部(7)の大きさおよび解像度ならびに操作部の有無を照会して当該情報を前記中央コンピュータ(5)に送信でき、前記中央コンピュータ(5)が当該情報に基づき当該携帯表示装置(6)用に調整されたグラフィック表現を出力できるように構成され、
前記中央コンピュータ(5)の処理能力は前記製造機械(2)の状態情報のグラフィック表現を算出するために優先して使用され、処理能力が余った場合には前記中央コンピュータ(5)は他の計算処理にも使用されることを特徴とする製造設備(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2台の製造機械がある製造設備を稼働させるための方法およびその製造設備の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ特許出願公開第102015013147号明細書には、機械の操作を補助するシステムが記載されている。このシステムは、少なくとも1人のユーザが持つ少なくとも1つの携帯端末上に表示可能な、機械のデータを入力かつ/または出力するための少なくとも1つのマンマシンインタフェースを有する。そのインタフェースは、好ましくは、各携帯端末の画面に表示可能なグラフィカルユーザインタフェースと、各携帯端末上でまたは各携帯端末と協働して実行可能な制御部とを有する。
米国特許出願公開第2013/024542号明細書には、機械を操作する同様のシステムが記載されている。
複数の製造機械が配置された製造設備が従来技術で知られている。各製造機械は、その製造機械を制御するための機能制御部を有し、入力端末と表示装置も有する。各製造機械に配置されたコンピュータによりその製造機械の機能状態を表す視覚的な表示が算出され、その製造機械の表示装置に表示される。
【発明の概要】
【0003】
従来技術で知られた製造設備には、多数のコンピュータや表示装置があるために製造設備内の製造機械に多くのメンテナンスが必要であり、障害が発生し易くかつ費用がかかるという不都合がある。加えて、コンピュータは製造機械内で熱を発生させるので費用を掛けて冷却しなければならず、また工業用に設計されたコンピュータを使用しなければならない。
【0004】
本発明の課題は、従来技術の不都合を解消し、かつ可能な限り単純な構成の製造設備およびそれを稼働させるための方法を提供することである。
【0005】
この課題は特許請求の範囲に記載の製造設備およびそれを稼働させるための方法により解決される。
【0006】
本発明によれば、製造設備を稼働させるための方法が提供される。その製造設備は、それぞれが機能制御部を有する少なくとも2台の製造機械と、データ送信をするために機能制御部に連結されている少なくとも1台の中央コンピュータと、製造設備内で無線ネットワークを提供するための少なくとも1つの無線局であって、データ送信をするために少なくとも1台の中央コンピュータに連結されている無線局と、無線ネットワークからデータを受信してグラフィック表示するための受信部および表示部を有する少なくとも1つの携帯表示装置とを有する。その方法は次の工程を含む。
・製造機械の機能制御部により製造機械に関する状態情報が中央コンピュータに送信され、
・製造機械のうちの1台への携帯表示装置の近接が検出されることで、その携帯表示装置が少なくとも一時的に製造機械のうちの1台に割り当てられ、
・製造機械に関する状態情報に基づき、少なくとも携帯表示装置が割り当てられている製造機械についての状態情報のグラフィック表現を中央コンピュータが算出し、
・状態情報のグラフィック表現のデータが、製造機械に割り当てられている携帯表示装置に無線ネットワークを介して送信され、製造機械の操作者がグラフィック表現を読み取れるようにその携帯表示装置の表示部に表示される。
【0007】
本発明の方法には、ある製造機械の状態情報を可視化するための演算がその製造機械で直接行われず、その場所で製造機械から分かれた中央コンピュータにより複数の製造機械についての可視化のための計算処理が行われるという利点がある。このため、各製造機械が専用のコンピュータを必要としないので、製造機械の構成を単純化することができ、それにより、製造機械に障害が発生し難くなり、製造コストが削減される。加えて、各製造機械が専用の表示装置を必要とせず、複数の製造機械を同一の表示装置に連結させることができ、それにより必要な表示装置の台数も減らすことができる。したがって、全体として、製造設備内のリソースの費用あるいは製造設備を稼働させるときのエネルギー消費量を可能な限り抑えることができる。加えて、本発明による製造設備の稼働時には、中央コンピュータを空調設備の整ったサーバルームに収容して冷却するとともに環境による影響から保護することができる。加えて、中央コンピュータは従来の製造機械の場合のような高価な工業用のコンピュータである必要はなく、市販のPCを使用することができる。
【0008】
さらに、製造機械のうちの1台への携帯表示装置の近接は近接センサまたは射程が限定されたデータ送信手段により検出され、製造機械は適当な近接検出手段を有し、携帯表示装置は適当な近接検出手段を有することが好ましい。この場合、この手法により携帯表示装置を製造機械に確実に割り当てることができるので、割り当てられた製造機械の有効範囲内に携帯表示装置があるときにその製造機械に関する視覚表現のデータだけが提供されるという利点がある。このことは機械の安全性を損なわないために特に重要である。
【0009】
さらに、製造機械の近接検出手段を近距離無線通信(NFC)の送信機で構成し、携帯表示装置で受信された信号の強度を求めることで携帯表示装置と近接検出手段との距離を求めてもよい。この場合、そうしたNFCの送信機の射程は限定されているので、携帯表示装置が製造機械の近くにあるときだけその製造機械に連結されることが保証されるという利点がある。
【0010】
あるいは、製造機械の近接検出手段をブルートゥース(登録商標)低エネルギー(BLE)といったブルートゥースのビーコンで構成し、携帯表示装置で受信された信号の強度を求めることで携帯表示装置と近接検出手段との距離を求めてもよい。この場合、そうしたブルートゥースのビーコンは安価であり、加えて製造機械と携帯表示装置の間の距離を正確に求められるという利点がある。
【0011】
製造機械のそれぞれには近距離無線通信(NFC)の送信機またはブルートゥースのビーコンで構成された近接検出手段を配置し、携帯表示装置への最も強い信号が検出された製造機械に携帯表示装置を割り当ててもよく、こうした実施形態も有利である。この手法により、携帯表示装置をより確実に正しい製造機械に割り当てることができる。
【0012】
別の実施例では、例えば無線LANである無線局を使用して携帯表示装置の位置を求めてもよい。異なる無線局からの信号強度を評価することで、製造設備内での携帯表示装置の絶対位置を同様に求めることができる。
【0013】
発展形態によれば、製造機械に割り当てられた入力装置を介して操作者が機能制御部に操作コマンドを入力し、その操作コマンドが入力された結果をリアルタイムで携帯表示装置に表示してもよい。この手法により、製造機械を入力装置で操作し、入力された操作コマンドを携帯表示装置で可視化することができる。携帯表示装置で可視化させることで、入力装置は表示部を有する必要がなく、むしろ単純な表示器で十分になる。
【0014】
さらに、製造機械のうちの1台への携帯表示装置の割当てに際し、その携帯表示装置に関する情報として特に表示部の大きさおよび解像度ならびに非常停止ボタンおよび/または動作許可ボタンといった操作部の有無を照会してその情報を中央コンピュータに送信し、中央コンピュータがその情報に基づきその携帯表示装置用に調整されたグラフィック表現を出力することが好ましい。この場合、この手法により様々な携帯表示装置の使用が可能になり、可視化のための情報を携帯表示装置の種類に合わせて正しく調整できるという利点がある。
【0015】
加えて、操作者が携帯表示装置にログインするか認証されており、製造機械のうちの1台への携帯表示装置の割当てに際し、操作者に関する情報が照会されて中央コンピュータに送信され、中央コンピュータが操作者の認証結果に基づきその携帯表示装置用に調整されたグラフィック表現を出力してもよい。この場合、この手法により様々な権限のレベルを様々な操作者に与えられるという利点がある。このため、安全性に関する操作コマンドあるいは設定の権限を操作者のうちで限られた範囲の人だけに留保した状態にすることができる。この手法により、加えて、あるグループの人は製造機械についての一般的な状態データを見ることができるだけで、例えば詳細設定は呼び出せないように実現することができる。
【0016】
さらに、携帯表示装置に所定の操作部がある場合には、製造機械の機能制御部への制御情報の送信にもその操作部を使用してもよい。この場合、携帯表示装置を、機械のデータの表示用だけでなく、同時に、製造機械にコマンドを入力するための入力端末としても使用できるという利点がある。特に、製造機械の初期設定を変更するために携帯表示装置を使用することもできる。さらに、操作部を有するそうした携帯表示装置を製造機械に動作コマンドを入力するためにも使用することができる。
【0017】
特定の実施形態によれば、射程が限定されたデータ送信手段により携帯表示装置から製造機械に制御情報を直接送信してもよい。この手法により、可能な限り短い経路かつリアルタイムで携帯表示装置から製造機械にデータを送信することができる。加えて、この手法により、操作者が製造機械の有効範囲内にいるときだけその製造機械を操作できることが保証される。操作者がその有効範囲の外にいたとすると、データの送信は、射程が限定されたデータ送信手段では受信されないのでできないだろう。それにより、操作者が自分の近くにない製造機械を意図せずに操作しないことが保証されるので、製造設備の安全性をさらに高めることができる。
【0018】
有利な発展形態によれば、少なくとも1台の中央コンピュータにて、状態情報を表示するために現時点で携帯表示装置が割り当てられている製造機械のみについての状態情報のグラフィック表現を算出してもよい。この場合、この手法により処理能力を削減できることに加えて、製造設備を稼働させるときのエネルギーも削減できるという利点がある。このため、例えば、100台の製造機械がある製造設備で10台の携帯表示装置だけを使用し、それに応じて、ある携帯表示装置に現在連結されている10台の製造機械だけについて携帯表示装置への表示用に製造機械のデータの視覚表現を算出すればよいようにすることも可能である。
【0019】
携帯表示装置の表示部はサブメニューを開いたりグラフィック表現を変更したりすることができる複数の入力ボタンが表示されるタッチパネルディスプレイであり、その入力ボタンのうちの1つが操作されると、無線ネットワークを介して携帯表示装置から中央コンピュータにコマンドが送信され製造機械に関する状態情報のグラフィック表現が調整されてもよく、こうすると特に有利である。この手法により、中央コンピュータがそのグラフィック表現で予め設定したデータを携帯表示装置に表示できるだけでなく、操作者が様々な表現同士を切り換えたり関連するデータを表示させたりすることもできる。
【0020】
さらに、中央コンピュータの処理能力を製造機械の状態情報のグラフィック表現を算出するために優先して使用し、処理能力が余った場合には中央コンピュータを他の計算処理にも使用してもよい。この手法には、製造機械の状態情報を可視化するという主要タスクを中央コンピュータが実行することが保証されるという利点がある。その傍らで、この手法により、中央コンピュータを別の計算処理にも使用して中央コンピュータの稼働率を最適化することができる。好ましい実施形態では、この場合の中央コンピュータは、想定される最大数の携帯表示装置における可視化のための計算処理をできるように設計される。
【0021】
加えて、製造機械に関する状態情報を一定時間ごとに中央コンピュータに送信してもよい。この場合、この手法により製造機械の状態情報の視覚表現を規定の間隔で照会したり表示したりできるという利点がある。
【0022】
本発明によれば、製造設備は、それぞれが機能制御部を有する少なくとも2台の製造機械と、少なくとも一方向のデータ送信をするために機能制御部に連結されている少なくとも1台の中央コンピュータと、製造設備内で無線ネットワークを提供するための少なくとも1つの無線局であって、少なくとも一方向のデータ送信をするために少なくとも1台の中央コンピュータに連結されている無線局と、無線ネットワークからデータを受信するための受信部を有し受信データをグラフィック表示する少なくとも1つの携帯表示装置とを有する。携帯表示装置および/または製造機械はその携帯表示装置を所定の製造機械に割当て可能な割当て部を有する。
【0023】
本明細書では、単体のコンピュータに限らずネットワークで連結された複数のコンピュータも中央コンピュータとみなす。簡単のため、本明細書では中央コンピュータという用語だけを使用するが、その用語は、複数の製造機械からのデータのグラフィック表現を求めるための計算処理にまとめて使用されるすべての単体のコンピュータまたは連結された複数のコンピュータを意味する。
【0024】
本発明をよりよく理解できるように、以下の図面を参照して上記の内容をより詳細に説明する。
【0025】
各図には、大きく簡略化して模式的に表したものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】製造設備の想定される構成の実施例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
まず初めに、以下に記載する様々な実施形態では、同一の部分には同一の参照符号または同一の部材名が付されており、本明細書全体に含まれる開示は同一の参照符号または同一の部材名が付された同一の部分に準用できることに留意されたい。また、本明細書で選択された例えば上や下、横といった位置の記載はそこで説明され表示されている図に関するものであり、場所が変わればその新たな場所に準用することができる。
【0028】
図1は、複数の製造機械2がある製造設備1の模式的な構成を示す。製造設備1は、例えば製造機械2が設置されている機械工場でもよい。簡単のため4台の製造機械2だけを図示しているが、製造設備1内の製造機械はより多数でもよい。例えば、100台以上の製造機械2が製造設備1内に配置されていることが考えられる。
【0029】
製造機械2は従来技術で知られた様々な形態の機械でもよい。例えば、製造機械2は射出成形機であることが考えられる。各製造機械2は機能制御部3を有し、機能制御部3は、例えばその製造機械2内の作動装置を直接動作させるために使用することができる。
【0030】
また、機能制御部3は、製造機械2の操作者が機能制御部3に操作コマンドを入力するための入力装置4に連結されていてもよい。最も単純な形態では、入力装置4は、製造機械2を操作するためのファンクションキーのみを有してもよい。加えて、入力装置4は、例えば非常停止ボタンおよび/または動作許可ボタンを有してもよい。また、入力装置4は、製造機械2あるいは入力装置4の様々な状態を表示可能な少なくとも1つの簡単な表示要素を有してもよい。例えば、入力装置のファンクションキーの領域に、各ファンクションキーが押下されているか否かが分かるような表示器を直接形成することが考えられる。また、製造機械2に関する情報を表示可能な簡単な表示部を入力装置4に設けることも考えられる。
【0031】
さらに、各製造機械2はデータ送信をするために中央コンピュータ5に連結されている。各製造機械2と中央コンピュータ5との連結は、例えば有線のネットワーク8を介して実現することができる。あるいは、各製造機械2は、データ送信をするために無線のネットワーク8を介して中央コンピュータ5に連結されていることも考えられる。加えて、各製造機械2は、ネットワーク8を介して中央コンピュータ5にだけでなく互いにデータ送信をするために連結されていてもよい。このことは、無線でも有線でも同様に実現することができる。
【0032】
図1から分かるように、ネットワークに連結されている複数台のコンピュータで中央コンピュータ5を構成してもよい。あるいは、中央コンピュータ5を1台のコンピュータで構成することも考えられる。中央コンピュータ5を例えば空調設備の整った専用の部屋に設置して過熱から守ってもよい。
【0033】
第1の実施例では、中央コンピュータ5を製造設備1内に、したがって機械工場内に配置してもよい。
【0034】
別の実施例では、中央コンピュータ5を例えばクラウド上で実現し、インターネット上で連結された様々なコンピュータで計算処理を分散して行うことも考えられる。
【0035】
これらのすべての実施例において、本明細書では、実際に使用されるコンピュータの台数に関わらず、常に中央コンピュータという。
【0036】
1台または複数台の中央コンピュータ5は例えば従来のPCで構成することができる。
【0037】
さらに、製造機械2の現在の状態情報を可視化するための携帯表示装置6が提供される。このために、携帯表示装置6は状態情報のグラフィック表示用の表示部7を有する。この場合、状態情報はネットワーク8を介して製造機械2の機能制御部3から中央コンピュータ5に送信される。中央コンピュータ5では、状態情報が加工され、内蔵の算出プログラムに従って製造機械2の現在の状態のグラフィック表現が算出される。続いてこのグラフィック表現は、中央コンピュータ5に連結されている無線局9を介して携帯表示装置6の受信部10に送信される。
【0038】
例えば、製造設備1内に配置されている無線LANのルータで無線局9を構成してもよい。この場合には特に、製造設備1内において中央コンピュータ5と携帯表示装置6の間で断絶のないデータ送信を実現できるように、製造設備1内に複数の無線局9を構成してもよい。
【0039】
さらに、携帯表示装置6および/または製造機械2は、携帯表示装置6をある製造機械2に割当て可能な、あるいは製造機械2と携帯表示装置6との間の距離を決定可能な割当て部11を有する。割当て部11は様々な方式で実現することができる。
【0040】
例えば、製造機械2に近接検出手段12を配置し、携帯表示装置6に近接検出手段13を配置することが考えられる。
【0041】
2つの近接検出手段12,13は例えばNFCチップで構成してもよい。携帯表示装置6がある製造機械2に近接したときに、近接検出手段12,13により携帯表示装置6をその製造機械2に一時的に割り当てることができる。この場合、近接検出手段12,13同士が互いに接続している間だけ携帯表示装置6の製造機械2への割当てを維持することが考えられる。この手法により、ある製造機械2の近くかまたは有効範囲内にその操作者がいる場合に必ずその製造機械2のデータのみを読み取れるという安全性の機能も実現することができる。
【0042】
別の実施例では、BLEビーコンで構成された近接検出手段12が少なくとも一部の製造機械2に配置されていることも考えられる。携帯表示装置6の近接検出手段13は、したがってブルートゥースの送信機で実現することができる。そうしたブルートゥース接続は数mの範囲内で可能である。
【0043】
さらに、携帯表示装置6がある製造機械2に既に接続していても、携帯表示装置6がその製造機械2の周囲の規定範囲内にあるときだけその製造機械2に割り当てられるように製造設備1を構成することも考えられる。これは安全上の理由から必要になり得る。
【0044】
上記のNFCおよびBLEの技術を使用すれば、携帯表示装置6と製造機械2との距離を求められる。携帯表示装置6の近接検出手段13が複数の製造機械2の近接検出手段12の射程内にあれば、三角測量により携帯表示装置6の位置も求められる。
【0045】
さらに、ビーコンを使用する場合には、ビーコンを各製造機械2に配置するのではなく、携帯表示装置6の位置を完全に求められるような間隔で分散させることも考えられる。
【0046】
さらに、例えば無線LANである無線局9を使用して携帯表示装置6の位置を求めてもよい。異なる無線局9からの信号強度を評価することで、製造設備1内での携帯表示装置6の絶対位置を同様に求めることができる。
【0047】
そうした実施例では、携帯表示装置6の受信部10が割当て部11あるいは近接検出手段13として同時に使用される。
【0048】
さらに別の実施例では、携帯表示装置6内に設けられた加速度センサにより携帯表示装置6の絶対位置を求めることも考えられる。
【0049】
さらに別の変形例では、上記の技術の組合せにより各携帯表示装置6の位置を求めることも考えられる。例えば、NFC、BLEまたは無線LANといった近接センサを使用して携帯表示装置6の位置を参照し、その後、携帯表示装置6内に設けられた加速度センサにより携帯表示装置6の位置を追跡してもよい。その後、一定時間ごとあるいは可能なときに、携帯表示装置6の位置を再度参照してもよい。この手法により、携帯表示装置6内の加速度センサのドリフトに起因して生じる位置ずれを補償することができる。
【0050】
以下では、製造設備1を稼働させるための方法をより詳細に説明する。
【0051】
機能制御部3により製造機械2の状態データが求められるか、あるいは製造機械2の作動装置が制御される。また、定期的にまたは動作に基づく時間間隔で、製造機械2の状態データがネットワーク8を介して中央コンピュータ5に送信される。
【0052】
この場合、機能制御部3がデータをプッシュ型のデータパケットの形態で能動的に中央コンピュータ5に送付することが考えられる。別の変形例では、中央コンピュータ5にプル型のデータパケットの形態で一定時間ごとに機能制御部3からデータが与えられることも考えられる。さらに別のモデルではデータをポーリング方式により送信することも考えられる。
【0053】
中央コンピュータ5では、送信された製造機械2の状態データを使用して、中央コンピュータ5で直接その状態データの視覚表現を算出することができる。この場合、現時点で携帯表示装置6が割り当てられている製造機械2のみについて状態データの視覚表現を算出してもよい。
【0054】
あるいは、すべての製造機械2について中央コンピュータ5で視覚表現を算出してもよい。
【0055】
算出された視覚表現は、続いて無線局9により携帯表示装置6に送信される。その際、携帯表示装置6が現時点で割り当てられている製造機械2についての視覚表現がその携帯表示装置6に送信される。
【0056】
第1の実施例では、状態情報の視覚表現を中央コンピュータ5から携帯表示装置6にビデオストリームの形態で送信することが考えられる。このため、携帯表示装置6により視覚表現の方式が影響を受けたり変更されたりするおそれはないと考えられる。
【0057】
別の実施例では、携帯表示装置6に選択ボタンを設けるかあるいは表示部7をタッチパネルディスプレイにして、例えばサブメニューを選択できるようにし、それにより製造機械2についての様々な方式の視覚表現を中央コンピュータ5で算出かつ携帯表示装置6で選択できるようにすることも考えられる。
【0058】
そうした方法の場合には、例えば市販のスマートホンまたはタブレットを携帯表示装置6として使用してもよい。特に、携帯表示装置6では操作コマンドを製造機械2に出力できないようにし、その代わりに、携帯表示装置6を純粋に状態データの可視化のために使用し、製造機械2への操作コマンドの入力は入力装置4で行ってもよい。
【0059】
製造機械2に関する状態情報の算出とグラフィック処理を携帯表示装置6で直接行わずに、データの算出を中央コンピュータ5で行うことで、携帯表示装置6の電池の持続時間を延ばすことができる。
【0060】
別の変形例では、制御ボタンあるいは非常停止スイッチも有する専用の表示兼入力装置で携帯表示装置6を構成することも考えられる。そうした入力装置は例えばKEBA社の製品KeTopでもよい。そうした携帯表示装置6により、製造機械2をその操作者が操作でき、同時に、製造機械2の視覚表現のデータを操作者に示すことができる。携帯表示装置6で製造機械2を操作するためには、近接検出手段12,13を介して製造機械2に操作コマンドを直接送信してもよい。それにより、携帯表示装置6が実際に製造機械2の近くにある間だけ、その製造機械2がその携帯表示装置6から操作コマンドを受信するように実現することができる。
【0061】
製造設備1の稼働は次のように進行させることができる。製造機械2に関する状態情報が中央コンピュータ5に送信され、必要に応じてそこで保存される。また、どの携帯表示装置6が製造設備1内で無線局9に接続されているかが中央コンピュータ5により監視される。携帯表示装置6が無線局9のうちの1つに最初に接続されるときには、携帯表示装置6は認証され、表示部の大きさや解像度といった携帯表示装置6に関するデータが必要に応じて中央コンピュータ5に送信される。
【0062】
ある携帯表示装置6が製造機械2のうちの1台から規定の距離に移動してその製造機械2の有効範囲内にあるときには、このことが中央コンピュータ5に通知される。中央コンピュータ5は、続いてその製造機械2についての状態情報の保存に加えてグラフィック表現の算出も開始する。
【0063】
続いて、そのグラフィック表現はその製造機械2に割り当てられている携帯表示装置6にストリームで送信される。ストリームの送信は携帯表示装置6がその製造機械2の規定領域内にある限り行うことができる。
【0064】
本実施例では想定される変形例を示しているが、本発明は記載された特定の変形例には限定されず、個々の変形例同士の様々な組合せが可能であり、具体的な発明を通じた技術的に取り扱うための教示に基づき当業者の能力の範囲内でこうした変形が可能であることに留意されたい。
【0065】
本発明の保護範囲は特許請求の範囲で定められている。しかしながら、特許請求の範囲を解釈するためには本明細書および図面が考慮され得る。図示され説明された様々な実施例からの個々の特徴または特徴の組合せは、それ自体が個別に発明としての解決手段となり得る。そうした個別の解決手段の基礎となる課題は本明細書から把握することができる。
【0066】
具体的な説明におけるすべての数値範囲の表示は、その任意かつすべての部分領域を含むものと理解すべきである。例えば、1~10という表示は、下限の1から上限の10までのすべての部分領域を、すなわち、例えば1~1.7や3.2~8.1、5.5~10といった下限が1以上でかつ上限が10以下のすべての部分領域を含むものと理解すべきである。
【0067】
形式上のこととして、最後に、構成をよりよく理解できるように、一部の部材は寸法通りに表示されておらず、かつ/あるいは拡大および/または縮小して表示されていることに留意されたい。
【符号の説明】
【0068】
1 製造設備
2 製造機械
3 機能制御部
4 入力装置
5 中央コンピュータ
6 携帯表示装置
7 表示部
8 ネットワーク
9 無線局
10 受信部
11 割当て部
12 製造機械の近接検出手段
13 表示装置の近接検出手段
図1