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特許7146825薄型外科用切断及びステープル留め器具で使用するための電気外科カートリッジ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】薄型外科用切断及びステープル留め器具で使用するための電気外科カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20220927BHJP
   A61B 17/072 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B17/072
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019572103
(86)(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 IB2018054256
(87)【国際公開番号】W WO2019003005
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】15/636,162
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウィデンハウス・タマラ
(72)【発明者】
【氏名】イェイツ・デビッド・シー
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0306968(US,A1)
【文献】国際公開第2015/038317(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2011/0306965(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0213357(US,A1)
【文献】特表2010-527704(JP,A)
【文献】特開2015-027434(JP,A)
【文献】特開2005-137916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0083784(US,A1)
【文献】特開2009-213878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
エンドエフェクタであって、
第1のジョーと、
前記第1のジョーに対して移動可能である第2のジョーと、
前記エンドエフェクタの中央部の高温ゾーンと、
前記エンドエフェクタの左側部の第1の冷却ゾーンと、
前記エンドエフェクタの右側部の第2の冷却ゾーンと、
を備える、エンドエフェクタと、
前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に画定された細長いスロットであって、前記細長いスロットが、前記細長いスロット内に切断部材を摺動可能に受容して、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に位置する組織を切断するように構成され、前記エンドエフェクタの前記中央部に位置する、細長いスロットと、
を備え、
前記高温ゾーンが、前記細長いスロットが延在する方向である長手方向に対して垂直である横方向における前記エンドエフェクタの中央部に位置し、前記第1の冷却ゾーンが、前記横方向における前記エンドエフェクタの左側部に位置し、前記第2の冷却ゾーンが、前記横方向における前記エンドエフェクタの右側部に位置し、
前記第1のジョーが、
前記高温ゾーン内の第1の絶縁層であって、前記細長いスロットの左側にある、第1の絶縁層と、
前記高温ゾーン内の第2の絶縁層であって、前記細長いスロットの右側にある、第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上の第1の電極層と、
前記第2の絶縁層上の第2の電極層であって、前記第1の電極層及び前記第2の電極層が、前記高温ゾーン内の前記組織に電気外科エネルギーを直接印加するように構成されている、第2の電極層と、
前記第1の冷却ゾーン内の第1のヒートシンク層と、
前記第2の冷却ゾーン内の第2のヒートシンク層と、
を備え、前記第1のヒートシンク層及び前記第2のヒートシンク層が、前記第1及び第2の冷却ゾーン内の前記組織を冷却するように構成されており、前記エンドエフェクタの中央部の前記高温ゾーン内の前記組織に熱を加えることができると共に、前記横方向における前記高温ゾーンの外側への熱拡散を最小限に抑えることができ、
前記第1のヒートシンク層及び前記第2のヒートシンク層のそれぞれが、組織接触面を備え、
前記第1の電極層及び前記第2の電極層のそれぞれが、前記第1のヒートシンク層及び前記第2のヒートシンク層の前記組織接触面と比較して高くなり、これにより、前記エンドエフェクタが、前記第1のヒートシンク層及び前記第2のヒートシンク層の前記組織接触面によって前記組織に印加される圧力よりも大きい圧力を、前記高温ゾーン内の前記第1の電極層及び前記第2の電極層によって前記組織に印加することができる、外科用器具。
【請求項2】
前記第1及び第2のヒートシンク層のそれぞれが、熱伝導性セラミック材料を含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記第1の電極層及び前記第2の電極層のそれぞれが、直接接触する金属電極を含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記第1の電極層及び前記第2の電極層のそれぞれが、フレックス回路を更に含み、前記直接接触する金属電極が前記フレックス回路上に蒸着されている、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層が、熱及び電気非伝導性材料を含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記第1の絶縁層が、前記第1の電極層に面する第1の面と、前記細長いスロットに面する第2の面とを含み、前記第1の面及び前記第2の面が、第1の縁部を画定し、前記第1の縁部が、蒸気を逃がすように面取りされている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記第2の絶縁層が、前記第2の電極層に面する第3の面と、前記細長いスロットに面する第4の面とを含み、前記第3の面及び前記第4の面が、第2の縁部を画定し、前記第2の縁部が、前記蒸気を逃がすように面取りされている、請求項に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記第1のジョーが、前記第1のヒートシンク層及び前記第2のヒートシンク層の下にチャネルを更に備える、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記チャネルが、熱伝導性金属材料を含み、前記チャネルが前記第1及び第2のヒートシンク層と直接接触して、前記第1及び第2の冷却ゾーン内の前記組織の冷却を促進する、請求項に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用器具に関し、また様々な状況において、組織をステープル留め及び切断するために設計された、外科用ステープル留め及び切断器具並びにそれらのステープルカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な開腹手術、内視鏡手術及び/又は腹腔鏡手術では、例えば、組織を、凝固、封着、及び/又は癒合することが望ましい場合がある。組織を封止する1つの手段は、組織内に熱的効果を引き起こすために、外科用器具のエンドエフェクタ、又はエンドエフェクタアセンブリ内に捕捉、又はクランプされた組織へエネルギー、例えば、電気エネルギーを印加することに依存する。様々な単極及び双極高周波(RF)外科用器具及び外科手術技法が、そのような目的で開発されてきた。概して、捕捉された組織に対するRFエネルギーの送達は、組織の温度を上昇させ、その結果、組織内のタンパク質を少なくとも部分的に変性させる可能性がある。コラーゲンなど、そのようなタンパク質は、例えば、タンパク質が復元する際に混合し、互いに溶着する、又は封止するタンパク性アマルガムに変性され得る。治療領域が時間を経て治癒するとき、この生物学的封止部分は、身体の創傷治癒過程によって再吸収され得る。
[先行技術文献]
[特許文献]米国特許出願公開第2011/0306968号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、外科用器具は、切断部材を摺動可能に受容するように構成されたエンドエフェクタを含む。エンドエフェクタは、第1のジョーと、第1のジョーに対して移動可能な第2のジョーと、エンドエフェクタの中央部の高温ゾーンと、エンドエフェクタの左側部の第1の冷却ゾーンと、エンドエフェクタの右側部の第2の冷却ゾーンと、を含む。第1のジョー及び第2のジョーは、細長いスロットをそれらの間に画定し、細長いスロット内に切断部材を摺動可能に受容して、第1のジョーと第2のジョーとの間に位置する組織を切断する。細長いスロットは、エンドエフェクタの中央部に位置する。第1のジョーは、高温ゾーン内の第1の絶縁層及び第2の絶縁層と、第1の絶縁層上の第1の電極層と、第2の絶縁層上の第2の電極層と、第1の冷却ゾーン内の第1のヒートシンク層と、第2の冷却ゾーン内の第2のヒートシンク層と、を含む。第1の絶縁層は、細長いスロットの左側にあり、第2の絶縁層は、細長いスロットの右側にある。第1の電極層及び第2の電極層は、高温ゾーン内の組織に電気外科エネルギーを直接印加するように構成されている。第1のヒートシンク層及び第2のヒートシンク層は、第1及び第2の冷却ゾーン内の組織を冷却して、横方向熱拡散を最小限に抑えるように構成される。
【0004】
一態様では、外科用器具は、ブレードを摺動可能に受容するように構成されたエンドエフェクタを含む。エンドエフェクタは、第1のジョーと、第1のジョーに対して移動可能な第2のジョーと、エンドエフェクタの中央部の高温ゾーンと、エンドエフェクタの左側部の第1の冷却ゾーンと、エンドエフェクタの右側部の第2の冷却ゾーンと、エンドエフェクタの遠位端の切開具先端部と、を含む。第1のジョー及び第2のジョーは、細長いスロットをそれらの間に画定して、細長いスロット内にブレードを摺動可能に受容して、第1のジョーと第2のジョーとの間に位置する組織を切断する。細長いスロットは、エンドエフェクタの中央部に位置する。第1のジョーは、高温ゾーン内の第1の絶縁層及び第2の絶縁層と、第1の絶縁層上の第1の電極層と、第2の絶縁層上の第2の電極層と、第1の冷却ゾーン内の第1のヒートシンク層と、第2の冷却ゾーン内の第2のヒートシンク層と、を含む。第1の絶縁層は、細長いスロットの左側にあり、第2の絶縁層は、細長いスロットの右側にある。第1の電極層及び第2の電極層は、高温ゾーン内の組織に電気外科エネルギーを直接印加するように構成されている。第1の電極層及び第2の電極層はそれぞれ、直接接触する金属電極を備え、第1のヒートシンク層及び第2のヒートシンク層は、第1及び第2の冷却ゾーン内の組織を冷却して、横方向熱拡散を最小限に抑えるように構成されている。
【0005】
上記の「発明の概要」はあくまで例示的なものに過ぎず、いかなる意味においても限定を目的としたものではない。上記に述べた例示的な態様及び特徴に加えて、更なる態様及び特徴が、図面及び以下の詳細な説明を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書に記載される態様の新規特徴は、添付の「特許請求の範囲」に具体的に記載される。しかし、これらの態様は、構成及び操作方法のいずれに関しても、以下の説明を添付図面と共に参照することによってより深い理解を得ることができる。
図1】本開示の一態様による、従来の外科用ステープル/締結具カートリッジ及び無線周波数(RF)カートリッジに関連して使用されるように構成された、交換式外科用ツールアセンブリに連結されたハンドルアセンブリを含む、外科用システムの斜視図である。
図2】本開示の一態様による、図1に示される外科用システムの分解斜視組立図である。
図3】本開示の一態様による、図1及び2のハンドルアセンブリ及び交換式外科用ツールアセンブリの一部の別の分解斜視組立図である。
図4】本開示の一態様による、図1~3の交換式外科用ツールアセンブリの近位部分の分解組立図である。
図5】本開示の一態様による、図1~5の交換式外科用ツールアセンブリの遠位部分の別の分解組立図である。
図6】本開示の一態様による、カートリッジとアンビルとの間に組織がクランプされた状態で内部にRFカートリッジを支持する、図1~5に示すエンドエフェクタの部分断面図である。
図7】本開示の一態様による、図6のアンビルの部分断面図である。
図8】本開示の一態様による、図1~5の交換式外科用ツールアセンブリの一部の別の分解組立図である。
図9】本開示の一態様による、図1及び2の交換式外科用ツールアセンブリ及びハンドルアセンブリの別の分解組立図である。
図10】本開示の一態様による、RFカートリッジ及び図1~5の交換式外科用ツールアセンブリの細長いチャネルの斜視図である。
図11】本開示の一態様による、ナイフ部材を有する、図10のRFカートリッジ及び細長いチャネルの一部の部分斜視図である。
図12】本開示の一態様による、図10の細長いチャネル内に設置され、フレキシブルシャフト回路構成の一部を示す、RFカートリッジの別の斜視図である。
図13】本開示の一態様による、図12の線13-13に沿った、図12のRFカートリッジ及び細長いチャネルの断面端面図である。
図14】本開示の一態様による、関節位置にあるエンドエフェクタを有する、図1及び5の交換式外科用ツールアセンブリの一部の上面断面図である。
図15】本開示の一態様による、搭載回路基板の構成及びRF発生器の構成の斜視図である。
図16A】本開示の一態様による、2枚の図面に及ぶ図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
図16B】本開示の一態様による、2枚の図面に及ぶ図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
図17】本開示の一態様による、ハンドルアセンブリ、電源アセンブリ、及びハンドルアセンブリと交換式シャフトアセンブリとの間のインターフェースを示す、図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
図18】本開示の一態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具の概略図である。
図19】本開示の一態様による、電気外科用エンドエフェクタの概略断面図である。
図20】本開示の一態様による、エンドエフェクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本出願の出願人は、本出願と同時に出願された以下の特許出願を所有しており、これらはそれぞれ、参照により全体を本明細書に組み込む。
【0008】
代理人整理番号END8184USNP/170063、発明者Jeffrey D.Messerlyらによる、2017年6月28日に出願された、発明の名称「SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAME」
【0009】
代理人整理番号END8183USNP/170064、発明者Jeffrey D.Messerlyらによる、2017年6月28日に出願された「SYSTEMS AND METHODS OF DISPLAYING SURGICAL INSTRUMENT STATUS」
【0010】
代理人整理番号END8190USNP/170065、発明者Jeffrey D.Messerlyらによる、2017年6月28日に出願された、発明の名称「SHAFT MODULE CIRCUITRY ARRANGEMENTS」
【0011】
代理人整理番号END8189USNP/170066号、発明者Jeffrey D.Messerlyらによる、2017年6月28日に出願された、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING CONTROL CIRCUITS FOR INDEPENDENT ENERGY DELIVERY OVER SEGMENTED SECTIONS」
【0012】
代理人整理番号END8185USNP/170067、発明者Jeffrey Messerlyらによる、2017年6月28日に出願された、発明の名称「FLEXIBLE CIRCUIT ARRANGEMENT FOR SURGICAL FASTENING INSTRUMENTS」
【0013】
代理人整理番号END8188USNP/170068号、発明者Jeffrey D.Messerlyらによる、2017年6月28日に出願された、発明の名称「SURGICAL SYSTEM COUPLEABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND HAVING A PLURALITY OF RADIO FREQUENCY ENERGY RETURN PATHS」
【0014】
代理人整理番号END8181USNP/170069号、発明者David C及びYatesらによる、2017年6月28日に出願された、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING CONTROL CIRCUITS FOR AN INDEPENDENT ENERGY DELIVERY OVER SEGMENTED SECTIONS」
【0015】
代理人整理番号END8187USNP/170070号、発明者Tamara Widenhouseらによる、2017年6月28日に出願された、発明の名称「SURGICAL END EFFECTOR FOR APPLYING ELECTROSURGICAL ENERGY TO DIFFERENT ELECTRODES ON DIFFERENT TIME PERIODS」
【0016】
代理人整理番号END8186USNP/170072、発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、2017年6月28日に出願された、発明の名称「SURGICAL END EFFECTOR TO ADJUST JAW COMPRESSION」
【0017】
代理人整理番号END8224USNP/170073号、発明者Jason L Harrisらによる、2017年6月28日に出願された、発明の名称「CARTRIDGE ARRANGEMENTS FOR SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENTS WITH LOCKOUT DISABLEMENT FEATURES」
【0018】
代理人整理番号END8229USNP/170074号、発明者Jeffrey D.Messerlyらによる、2017年6月28日に出願された、発明の名称「SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENTS WITH DUAL POWER SOURCES」
【0019】
電気外科用装置は、多くの外科手術で使用され得る。電気外科用装置は、組織を処置するために組織に電気エネルギーを印加することができる。電気外科用装置は、1つ以上の電極を備えるエンドエフェクタを遠位に取り付けた器具を備えていてもよい。エンドエフェクタは、組織に電流が導入されるように組織に対して配置することができる。電気外科用装置は、単極又は双極動作に合わせて構成され得る。単極動作中、電流は、エンドエフェクタ上の活性(又はソース)電極によって組織内に導入され、戻り電極を通って戻すことができる。戻り電極は、接地パッドであってもよく、患者の身体上の離れた場所に配置されてもよい。双極動作中、電流は、エンドエフェクタの活性電極及び戻り電極によってそれぞれ、組織に導入され、組織から戻すことができる。
【0020】
エンドエフェクタは、2つ以上のジョー部材を含んでもよい。ジョー部材の少なくとも1つは、少なくとも1つの電極を有してもよい。少なくとも1つのジョーは、組織を受容する対向するジョーから離間した位置から、ジョー部材間の空間が第1の位置の空間よりも小さくなる位置まで移動可能である。可動ジョーの移動により、ジョー間に保持された組織を圧縮することができる。組織を通じて流れる電流によって発生する熱が、ジョーの動きによって達成される圧縮と組み合わされて、組織内及び/又は組織間に止血封止を形成することができ、よって、例えば血管を封止するうえで特に有用となり得る。エンドエフェクタは、切断部材を備えてもよい。切断部材は、組織を切除するために、組織及び電極に対して移動可能である。
【0021】
電気外科用装置はまた、ステープリング装置などの組織を一緒にクランプするための機構、及び/又は組織ナイフなどの組織を切り離すための機構を含んでもよい。電気外科用装置は、治療を受けている組織に近接してエンドエフェクタを配置するためのシャフトを含んでもよい。シャフトは、直線状であっても曲線状であってもよく、屈曲可能であっても屈曲不能であってもよい。直線状の屈曲可能なシャフトを含む電気外科用装置では、シャフトは、シャフトの制御された屈曲を可能にするための1つ以上の関節接合部を有してもよい。そのような接合部は、直線状の非屈曲式シャフトを有する電気外科用装置を使用して治療されている組織に容易にアクセスできないときに、本電気外科用装置のユーザが、シャフトに対して、ある角度をなしてエンドエフェクタを組織と接触させて配置することを可能にし得る。
【0022】
電気外科用装置によって印加される電気エネルギーは、ハンドピースと連通する発生器によって、器具へと伝達することができる。電気エネルギーは、無線周波数(「RF」)エネルギーの形態であってもよい。RFエネルギーは、200キロヘルツ(kHz)~1メガヘルツ(MHz)の周波数範囲であり得る電気エネルギーの一形態である。印加中、電気外科用器具は、組織を通じて低周波数RFエネルギーを伝送することができ、これはイオン撹拌又は摩擦、すなわち抵抗加熱を生じさせ、これによって組織の温度を増加させることができる。上記の処置の影響を受ける組織と周囲組織との間にはっきりとした境界が形成されるため、外科医は、隣接する非標的組織を犠牲にすることなく、高度な正確性及び制御性で手術することができる。RFエネルギーの低動作温度は、軟組織を除去、収縮、又は成形しながら、同時に血管を封止するために有用である。RFエネルギーは、主にコラーゲンから構成されかつ熱に接触した際に収縮する、結合組織に対して特に良好に作用する。
【0023】
RFエネルギーは、EN60601-2-2:2009+A11:2011,Definition 201.3.218-HIGH FREQUENCYに記載される周波数範囲であり得る。例えば、単極RF用途における周波数は、典型的には、5MHz未満に制限され得る。しかしながら、双極RF用途においては、周波数は、略どのような周波数であってもよい。200kHz超の周波数は、典型的には、低周波数の電流の使用から生じる神経及び筋肉の不必要な刺激を避けるために、単極用途に使用され得る。神経筋刺激の可能性が、許容可能なレベルにまで緩和されたことをリスク分析が示す場合、より低い周波数が双極用途に使用され得る。高周波数漏洩電流に関連する問題を最小限に抑えるために、5MHz超の周波数は、通常使用されない。しかしながら、より高い周波数は、双極用途の場合には使用され得る。一般に、10mAが、組織への熱効果の下側閾値であると認識されている。
【0024】
図1及び2は、種々の異なる外科処置を実施するために使用され得る、モータ駆動外科用システム10を示す。図示される構成では、外科用システム10は、ハンドルアセンブリ500に動作可能に連結された交換式外科用ツールアセンブリ1000を備える。別の外科用システムでは、交換式外科用ツールアセンブリ1000はまた、ロボット制御又は自動外科用システムのツール駆動アセンブリと共に効果的に使用され得る。例えば、本明細書で開示する外科用ツールアセンブリ1000は、種々のロボットシステム、器具、構成要素及び方法、例えば、限定されないが、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,072,535号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」に開示されるものと共に使用されてもよい。
【0025】
図示される態様では、ハンドルアセンブリ500は、臨床医が把持及び操作することができるピストルグリップ部分504を含むハンドルハウジング502を備えてもよい。以下で簡潔に論じられるように、ハンドルアセンブリ500は、交換式外科用ツールアセンブリ1000の対応部分へ、種々の制御運動を発生させて適用するように構成された複数の駆動システムを動作可能に支持する。図2に示されるように、ハンドルアセンブリ500は、複数の駆動システムを動作可能に支持するハンドルフレーム506を更に含んでよい。例えば、ハンドルフレーム506は、「第1」又は閉鎖駆動システム(全体が510で示される)を動作可能に支持することができ、このシステムは、交換式外科用ツールアセンブリ1000に開閉運動を適用するために使用され得る。少なくとも1つの形態では、ハンドルフレーム506によって枢動可能に支持される閉鎖駆動システム510は、閉鎖トリガ512の形態のアクチュエータを含んでもよい。このような構成により、臨床医が閉鎖トリガ512を操作することが可能になり、これにより、臨床医がハンドルアセンブリ500のピストルグリップ部分504を把持する場合に、閉鎖トリガ512は、開始位置又は「非作動」位置から「作動」位置へ、より具体的には完全圧縮位置又は完全作動位置へと、容易に枢動できるようになっている。使用中、閉鎖駆動システム510を作動させるために、臨床医は、閉鎖トリガ512を、ピストルグリップ部分504に向かって押し下げる。全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第14/226,142号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING A SENSOR SYSTEM」、現在は米国特許出願公開第2015/0272575号に更に詳細に記載されるように、臨床医が閉鎖トリガ512を完全に押し下げ、「完全に」閉じたストロークを達成するとき、閉鎖駆動システム510は、閉鎖トリガ512を、完全に押し下げられた位置又は完全に作動した位置にロックするように構成されている。臨床医が閉鎖トリガ512をロック解除して非作動位置へと付勢させるように所望する場合、臨床医は、単純に、閉鎖解放ボタンアセンブリ518を作動させ、これにより、閉鎖トリガを非作動位置まで戻すことが可能である。閉鎖解放ボタンアセンブリ518はまた、閉鎖トリガ512の位置を追跡するために、ハンドルアセンブリ500内のマイクロコントローラと連通する種々のセンサと相互作用するように構成されてもよい。閉鎖開放ボタンアセンブリ518の構成及び操作に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2015/0272575号に見出すことができる。
【0026】
少なくとも1つの形態では、ハンドルアセンブリ500及びハンドルフレーム506は、取り付けられた交換式外科用ツールアセンブリの対応する部分に発射運動を適用するように構成されている、本明細書で発射駆動システム530と呼ばれる別の駆動システムを動作可能に支持していてもよい。米国特許出願公開第2015/0272575号に詳細に記載されるように、発射駆動システム530は、ハンドルアセンブリ500のピストルグリップ部分504内に位置する電動モータ505を使用してもよい。様々な形態では、モータ505は、最大回転数が例えば約25,000RPMのブラシ付きDC駆動モータであってもよい。別の構成では、モータ505としては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステップモータ、又は任意の他の好適な電動モータが挙げられ得る。モータ505は、電源522によって給電されてもよく、電源522は、一形態では、取り外し可能なパワーパックを備えてもよい。パワーパックは、その中にある複数のリチウムイオン(「LI」)又は他の好適なバッテリを支えてもよい。直列に接続され得る多数のバッテリが、外科用システム10のための電源522として使用されてもよい。加えて、電源522は、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0027】
電動モータ505は、長手方向に移動可能な駆動部材540(図3)を、モータの極性に応じて遠位方向及び近位方向で軸方向に駆動させるように構成されている。例えば、モータ505が、1つの回転方向に駆動すると、長手方向に移動可能な駆動部材540は、遠位方向「DD」に軸方向に駆動することになる。モータ505が、反対の回転方向に駆動すると、長手方向に移動可能な駆動部材540は、近位方向「PD」に軸方向に駆動することになる。ハンドルアセンブリ500は、スイッチ513を含んでもよく、スイッチ513は、電源522によって電動モータ505に適用される極性を逆転させるか、又は他の様式でモータ505を制御するように構成されてもよい。ハンドルアセンブリ500はまた、駆動部材の位置及び/又は駆動部材の移動方向を検出するように構成されている単数又は複数のセンサ(図示せず)を含んでもよい。モータ505の作動は、閉鎖トリガ512に隣接し、ハンドルアセンブリ500に枢動可能に支持される発射トリガ(図示せず)によって制御可能である。発射トリガは、非作動位置と作動位置との間を枢動させてもよい。発射トリガは、ばね又はその他の付勢構成により非作動位置へと付勢させることができ、これにより、臨床医が発射トリガを解放する場合に、発射トリガがばね又は付勢装置により非作動位置へと枢動され得る、又は別の方法で戻され得る。少なくとも1つの形態では、発射トリガは、閉鎖トリガ512の「機外」に位置付けられ得る。米国特許出願公開第2015/0272575号に記載されるように、ハンドルアセンブリ500には、発射トリガの不注意による作動を防ぐために、発射トリガ安全ボタン(図示せず)が設けられていてもよい。閉鎖トリガ512が非作動位置にある場合、安全ボタンは、ハンドルアセンブリ500の中に入っており、臨床医は、安全ボタンに容易にアクセスすることができず、発射トリガの作動を防ぐ安全位置と、発射トリガが発射し得る発射位置との間で安全ボタンを移動させることができない。臨床医が閉鎖トリガ512を押圧すると、安全ボタン及び発射トリガが下方に枢動して、臨床医による操作が可能になる。
【0028】
少なくとも1つの形態では、長手方向に移動可能な駆動部材540には、モータと相互作用する対応する駆動ギヤ配列(図示せず)との噛合係合のために、歯542のラックが形成される。図3を参照されたい。これらの特徴に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2015/0272575号に見出すことができる。しかしながら、少なくとも1つの構成では、長手方向に移動可能な駆動部材540は、不注意なRFエネルギーから保護するために絶縁される。少なくとも1つの形態はまた、臨床医が長手方向に移動可能な駆動部材540を手動で引っ込め、モータ505を使用できないようにすることが可能なように構成された、手動で作動可能な「緊急」アセンブリを含む。緊急アセンブリは、着脱可能なドア部550の下のハンドルアセンブリ500内に格納されたレバー又は緊急ハンドルアセンブリを含んでもよい。図2を参照されたい。レバーは、駆動部材の歯とのラチェット機構と係合するように、手動で枢動されるように構成され得る。従って、臨床医は、緊急離脱ハンドルアセンブリを使用して駆動部材540を近位方向「PD」にラチェットで作動させることにより、駆動部材を手動で後退させることができる。開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,608,045号、発明の名称「POWERED SURGICAL CUTTING AND STAPLING APPARATUS WITH MANUALLY RETRACTABLE FIRING SYSTEM」は、本明細書にて開示された種々の外科用ツールアセンブリのうちの1つと共に用いることができる緊急離脱構成並びにその他の構成要素、配列、及びシステムを開示している。
【0029】
図示される態様では、交換式外科用ツールアセンブリ1000は、第1のジョー1600と第2のジョー1800とを備える外科用エンドエフェクタ1500を含む。一構成では、第1のジョー1600は、従来の(機械的)外科用ステープル/締結具カートリッジ1400(図4)又は無線周波数(RF)カートリッジ1700(図1及び2)を動作可能に支持するように構成された細長いチャネル1602を備える。第2のジョー1800は、細長いチャネル1602に対して枢動可能に支持されるアンビル1810を備える。アンビル1810は、閉鎖駆動システム510を作動させることによって、開放位置と閉鎖位置との間で細長いチャネル1602内に支持された外科用カートリッジに向かう、及び外科用カートリッジから離れるように選択的に移動され得る。図示される構成では、アンビル1810は、シャフト軸線SAを横断する枢動軸線を中心にして選択的に枢動するように、細長いチャネル1602の近位端部に枢動可能に支持される。閉鎖駆動システム510が作動すると、関節コネクタ1920に取り付けられた近位閉鎖部材又は近位閉鎖管1910は、遠位に軸方向移動し得る。
【0030】
図4を参照すると、関節コネクタ1920は、関節コネクタ1920の遠位端から遠位方向に突出して、エンドエフェクタ閉鎖スリーブ又は遠位閉鎖管セグメント1930に、移動可能に連結される上部及び下部突起部1922、1924を含む。図3を参照されたい。遠位閉鎖管セグメント1930は、上部突起部1932と、近位端から近位方向に突出する下部突起部(図示せず)と、を含む。上部二重枢動リンク1940は、関節コネクタ1920と遠位閉鎖管セグメント1930の上部突起部1922、1932の対応する穴とそれぞれ係合する近位及び遠位ピン1941、1942を含む。同様に、下部二重枢動リンク1944は、関節コネクタ1920と遠位閉鎖管セグメント1930の下部突起部1924の対応する穴とそれぞれ係合する近位及び遠位ピン1945、1946を含む。
【0031】
更に図4を参照すると、図示される実施例では、遠位閉鎖管セグメント1930は、アンビル1810の対応部分に対応する正のジョー開口機構又はタブ1936、1938を含み、遠位閉鎖管セグメント1930が近位方向PDに開始位置まで後退させられるときにアンビル1810に開放運動を適用する。アンビル1810の開閉に関する更なる詳細は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された、代理人整理番号END8208USNP/170096号の米国特許出願、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT WITH POSITIVE JAW OPENING FEATURES」に見出すことができる。
【0032】
図5に示されるように、少なくとも1つの構成では、交換式外科用ツールアセンブリ1000は、ノズルアセンブリ1240を動作可能に支持するツールシャーシ1210を備えたツールフレームアセンブリ1200を含む。開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された、代理人整理番号END8209USNP/170097の米国特許出願、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT WITH AXIALLY MOVABLE CLOSURE MEMBER」に更に詳細に記載されるように、ツールシャーシ1210及びノズル構造1240は、ツールシャーシ1210に対するシャフト軸線SAを中心とした外科用エンドエフェクタ1500の回転を容易にする。このような回転移動は、図1の矢印Rによって表される。図4及び5にも示されるように、交換式外科用ツールアセンブリ1000は、近位閉鎖管1910を動作可能に支持し、外科用エンドエフェクタ1500に連結されたスパインアセンブリ1250を含む。様々な状況において、組立を容易にするために、スパインアセンブリ1250は、スナップ機構、接着剤、溶接などによって互いに相互接続される、上部スパインセグメント1251及び下部スパインセグメント1252から作製されてもよい。組み立てられた形態では、スパインアセンブリ1250は、ツールシャーシ1210内に回転可能に支持される近位端1253を含む。一構成では、例えば、スパインアセンブリ1250の近位端1253は、ツールシャーシ1210内に支持されるように構成されたスパインベアリング(図示せず)に取り付けられる。かかる配置により、スパインアセンブリ1250をツールシャーシ1210に対してシャフト軸線SAを中心に選択可能に回転させることができて、ツールシャーシに対するスパインアセンブリ1250の回転可能な取り付けが容易になる。
【0033】
図4に示されるように、上部スパインセグメント1251は、上部ラグ装着機構1260で終端し、下部スパインセグメント1252は、下部ラグ装着機構1270で終端する。上部ラグ装着機構1260は、ラグスロット1262が形成されており、このラグスロットは、上部装着リンク1264を内部に取り付けるように適合されている。同様に、下部ラグ装着機構1270は、ラグスロット1272を有して形成され、このラグスロットは、下部装着リンク1274を内部に取り付けるように適合されている。上部装着リンク1264は、シャフト軸線SAからオフセットされた枢動ソケット1266を内部に含む。枢動ソケット1266は、細長いチャネル1602の近位端部1610に取り付けられたチャネルキャップ又はアンビル保持部1630上に形成された枢動ピン1634を回転可能に受容するように適合されている。下部装着リンク1274は、細長いチャネル1602の近位端部1610に形成された枢動孔1611に受容されるように適合された下部枢動ピン1276を含む。下部枢動ピン1276及び枢動孔1611は、シャフト軸線SAからオフセットされている。下部枢動ピン1276は、枢動ソケット1266と垂直に位置合わせされて、外科用エンドエフェクタ1500がシャフト軸線SAに対して関節運動し得る関節軸線AAを画定する。図1を参照されたい。関節軸線AAはシャフト軸線SAを横断するが、少なくとも1つの構成では、関節軸線AAはそこから横方向にオフセットされ、シャフト軸線SAと交差しない。
【0034】
図5を参照すると、近位閉鎖管1910の近位端1912は、近位閉鎖管セグメント1910内の環状溝1915内に着座するコネクタ1916によって閉鎖シャトル1914に回転可能に連結されている。閉鎖シャトル1914は、ツールシャーシ1210内で軸方向に移動するように支持され、ツールシャーシ1210がハンドルフレーム506に連結されたときに閉鎖駆動システム510と係合するように構成された一対のフック1917を有する。ツールシャーシ1210は、ツールシャーシ1210をハンドルフレーム506に解放可能にラッチするためのラッチアセンブリ1280を更に支持する。ツールシャーシ1210及びラッチアセンブリ1280に関する更なる詳細は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された、代理人整理番号END8209USNP/170097、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT WITH AXIALLY MOVABLE CLOSURE MEMBER」に見出すことができる。
【0035】
ハンドルアセンブリ500内の発射駆動システム530は、交換式外科用ツールアセンブリ1000内で動作可能に支持される発射システム1300に動作可能に連結されるように構成されている。発射システム1300は、発射駆動システム530によって適用される対応する発射運動に応答して、遠位方向及び近位方向に軸方向移動するように構成された中間発射シャフト部分1310を含んでもよい。図4を参照されたい。図5に示されるように、中間発射シャフト部分1310の近位端1312には、発射シャフト取付ラグ1314が形成され、この発射シャフト取付ラグは、ハンドルアセンブリ500内の発射駆動システム530の長手方向に移動可能な駆動部材540の遠位端の取付クレードル544(図3)に着座されるように構成されている。かかる構成は、発射駆動システム530の作動時、中間発射シャフト部分1310の軸方向移動を容易にする。図示される実施形態では、中間発射シャフト部分1310は、遠位切断部分又はナイフバー1320に取り付けられるように構成されている。図4に示されるように、ナイフバー1320は発射部材又はナイフ部材1330に接続されている。ナイフ部材1330は、組織切断ブレード1334を動作可能に支持するナイフ本体1332を備える。ナイフ本体1332は、アンビル係合タブ又は機構1336と、チャネル係合機構又は脚部1338(図8)と、を更に含んでもよい。アンビル係合機構1336は、ナイフ部材1330がエンドエフェクタ1500を通って遠位方向に前進する際に、アンビル1810に更なる閉鎖運動を加えるように機能し得る。
【0036】
図示される例では、外科用エンドエフェクタ1500は、関節システム1360によって関節軸線AAを中心にして選択的に関節運動可能である。一形態では、関節システム1360は、関節リンク1380に枢動可能に連結された近位関節駆動器1370を含む。特に図4で最も良く分かるように、オフセット取付ラグ1373は、近位関節駆動器1370の遠位端1372に形成される。枢動孔1374は、オフセット取付ラグ1373内に形成され、関節リンク1380の近位端1381に形成された近位側リンクピン1382を枢動可能に受容するように構成されている。関節リンク1380の遠位端1383は、細長いチャネル1602の近位端部1610に形成されたチャネルピン1618を内部に枢動可能に受容するように構成された枢動孔1384を含む。従って、近位関節駆動器1370の軸方向移動は、細長いチャネル1602に関節運動を加えることによって、外科用エンドエフェクタ1500を、関節軸線AAを中心にスパインアセンブリ1250に対して関節運動させる。様々な状況下で、近位関節駆動器1370が近位又は遠位方向に移動させられていないとき、近位関節駆動器1370は関節ロック1390によって所定位置に保持され得る。関節ロック1390の例示的な形態に関する更なる詳細は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された、代理人整理番号END8217USNP/170102の米国特許出願、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING AN ARTICULATION SYSTEM LOCKABLE TO A FRAME」に見出すことができる。
【0037】
上記に加えて更に、交換式外科用ツールアセンブリ1000は、近位関節駆動器1310を発射システム1300に選択的かつ解放可能に連結するように構成することができるシフタアセンブリ1100を含む。図5に示されるように、例えば、一形態では、シフタアセンブリ1100は、発射システム1300の中間発射シャフト部分1310の周囲に位置付けられたロックカラー又はロックスリーブ1110を含み、ロックスリーブ1110は、ロックスリーブ1110が近位関節駆動器1370を発射部材アセンブリ1300に連結させる係合位置と、近位関節駆動器1370が発射部材アセンブリ1300に動作可能に連結されていない係合解除位置と、の間で回転され得る。ロックスリーブ1110が係合位置にあるとき、発射部材アセンブリ1300の遠位方向移動により、近位関節駆動器1370を遠位方向に移動させることができ、それに対応して、発射部材アセンブリ1300の近位方向移動により、近位関節駆動器1370を近位方向に移動させることができる。ロックスリーブ1110が係合解除位置にあるとき、発射部材アセンブリ1300の移動は近位関節駆動器1370に伝達されず、その結果、発射部材アセンブリ1300は、近位関節駆動器1370から独立して移動することができる。様々な状況下で、近位関節駆動器1370は、近位関節駆動器1370が発射部材アセンブリ1300によって近位又は遠位方向に移動させられていないとき、関節ロック1390によって所定の位置に保持され得る。
【0038】
図示される構成では、発射部材アセンブリ1300の中間発射シャフト部分1310は、2つの対向する平坦な側面を有して形成され、内部に駆動ノッチ1316が形成される。図5を参照されたい。図5で更に分かるように、ロックスリーブ1110は、中間発射シャフト部分1310を受容するように構成された長手方向アパーチャを含む、円筒状又は少なくとも略円筒状の本体を備える。ロックスリーブ1110は、径方向に対向する内向きのロック突出部を備えることができ、ロック突出部は、ロックスリーブ1110が1つの位置にあるとき、中間発射シャフト部分1310内の駆動ノッチ1316の対応する部分内に係合受容され、別の位置にあるとき、駆動ノッチ1316内に受容されず、それによって、ロックスリーブ1110と中間発射シャフト1310との間の相対的な軸方向移動を可能にする。図5で更に分かるように、ロックスリーブ1110は、近位関節駆動器1370の近位端のノッチ1375内に移動可能に受容されるようにサイズ決めされたロック部材1112を更に含む。かかる構成により、ロックスリーブ1110は、近位関節駆動器1370内のノッチ1375との係合のための適所に留まっている又はノッチ1375と係合している間、中間発射シャフト部分1310と係合及び係合解除するように中間発射シャフト部分1310をわずかに回転させる。例えば、ロックスリーブ1110が係合位置にある場合、ロック突出部は、中間発射シャフト部分1310の駆動ノッチ1316内に配置されるため、遠位方向押出力及び/又は近位方向引張力が発射部材アセンブリ1300からロックスリーブ1110へと伝達され得る。次いで、このような軸方向の押出運動又は引張運動は、ロックスリーブ1110から近位関節駆動器1370に伝達され、それによって外科用エンドエフェクタ1500を関節運動させる。実際には、発射部材アセンブリ1300、ロックスリーブ1110、及び近位関節駆動器1370は、ロックスリーブ1110が係合(関節)位置にあるときに共に移動する。一方、ロックスリーブ1110が係合解除位置にあるとき、ロック突出部は、中間発射シャフト部分1310の駆動ノッチ1316内に受容されず、その結果、遠位方向押出力及び/又は近位方向引張力が発射部材アセンブリ1300からロックスリーブ1110(及び近位関節駆動器1370)に伝達され得ない。
【0039】
図示される例では、係合位置と係合解除位置との間のロックスリーブ1110の相対移動は、近位閉鎖管1910と連動するシフタアセンブリ1100によって制御することができる。更に図5を参照すると、シフタアセンブリ1100は、ロックスリーブ1110の外周に形成されたキー溝内に摺動可能に受容されるように構成されたシフタキー1120を更に含む。かかる構成により、シフタキー1120は、ロックスリーブ1110に対して軸方向に移動することを可能にする。開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された代理人整理番号END8209USNP/170097、米国特許出願、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT WITH AXIALLY MOVABLE CLOSURE MEMBER」に更に詳細に記載されるように、シフタキー1120の一部分は、近位閉鎖管部分1910内のカム開口部(図示せず)とカム的に相互作用するように構成されている。また、図示される例では、シフタアセンブリ1100は、近位閉鎖管部分1910の近位端部に回転可能に受容されるスイッチドラム1130を更に含む。シフタキー1120の一部は、スイッチドラム1130内の軸方向スロットセグメントを通って延在し、スイッチドラム1130の弧状スロットセグメント内に移動可能に受容される。スイッチドラムトーションばね1132は、スイッチドラム1130に取り付けられ、ノズルアセンブリ1240の一部と係合して、シフタキー1120の一部が近位閉鎖管部分1910内のカム開口部の端部に到達するまで、スイッチドラム1130を回転させるように働くねじりバイアス又は回転を加える。この位置にあるとき、スイッチドラム1130は、シフタキー1120にねじりバイアスをかけることができ、それによって、中間発射シャフト部分1310との係合位置までロックスリーブ1110を回転させる。この位置はまた、近位閉鎖管1910(及び遠位閉鎖管セグメント1930)の非作動構成にも対応する。
【0040】
一構成では、例えば、近位閉鎖管1910が非作動構成にある(アンビル1810が、細長いチャネル1602に装着されたカートリッジから離間した開放位置にある)とき、中間発射シャフト部分1310の作動は、近位関節駆動器1370の軸方向移動をもたらして、エンドエフェクタ1500の関節運動を容易にする。いったん外科用エンドエフェクタ1500を所望の配向に関節運動させたら、ユーザは次に、近位閉鎖管部分1910を作動させてもよい。近位閉鎖管部分1910の作動により、遠位閉鎖管セグメント1930が遠位方向に移動して、最終的にアンビル1810に閉鎖運動を加える。この近位閉鎖管部分1910の遠位移動により、カム開口部がシフタキー1120のカム部分とカム的に相互作用することによって、シフタキー1120がロックスリーブ1110を作動方向に回転させる。ロックスリーブ1110がそのように回転すると、ロック突出部が、中間発射シャフト部分1310内の駆動ノッチ1316から係合解除される。かかる構成では、発射駆動システム530は、近位関節駆動器1370を作動させることなく、中間発射シャフト部分1310を作動させることができる。スイッチドラム1130及びロックスリーブ1110の動作に関する更なる詳細、並びに本明細書に記載される様々な交換式外科用ツールアセンブリと共に使用され得る代替の関節運動及び発射駆動構成は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/803,086号、現在は米国特許出願公開第2014/0263541号、及び米国特許出願第15/019,196号に見出すことができる。
【0041】
図5及び15にも示されるように、交換式外科用ツールアセンブリ1000は、ノズルアセンブリ1240を回転させることによって、シャフト軸線SAを中心にしたツールシャーシ1210に対するシャフト及びエンドエフェクタ1500の回転移動を容易にしつつ、外科用エンドエフェクタ1500へ及び/又は外科用エンドエフェクタ1500から電力を伝導し、及び/又は外科用エンドエフェクタ1500へ及び/又は外科用エンドエフェクタ1500から信号を伝達し、搭載回路基板1152に戻すように構成され得るスリップリングアセンブリ1150を備えることができる。図15に示されるように、少なくとも1つの構成では、搭載回路基板1152は、例えば、ハンドルアセンブリ500又はロボットシステムコントローラ内で支持されるマイクロプロセッサ560と通信するハウジングコネクタ562(図9)とインターフェースをとるように構成された搭載コネクタ1154を含む。スリップリングアセンブリ1150は、搭載回路基板1152とインターフェースをとる近位コネクタ1153とインターフェースをとるように構成されている。スリップリングアセンブリ1150及び関連するコネクタに関する更なる詳細は、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/803,086号、現在は米国特許出願公開第2014/0263541号、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/019,196号、及び米国特許出願第13/800,067号、現在は米国特許出願公開第2014/0263552号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」に見出され得る。
【0042】
本明細書に開示される交換式外科用ツールアセンブリ1000の例示的なバージョンは、標準的(機械的)外科用締結具カートリッジ1400又はカートリッジ1700と関連して使用されてもよく、カートリッジ1700は、ナイフ部材による組織の切断を容易にし、無線周波数(RF)エネルギーを使用して切断組織を封止するように構成されている。再び図4を参照すると、従来の又は標準的な機械式のカートリッジ1400が示されている。かかるカートリッジ構成は既知であり、細長いチャネル1602内に取り外し可能に受容され支持されるようなサイズ及び形状を有するカートリッジ本体1402を備えてもよい。例えば、カートリッジ本体1402は、細長いチャネル1602とのスナップ係合で取り外し可能に保持されるように構成されてもよい。カートリッジ本体1402は、内部でのナイフ部材1330の軸方向移動に適応する細長いスロット1404を含む。カートリッジ本体1402は、中央に配置された細長いスロット1404の各側に列をなして位置合わせされた複数のステープル駆動器(図示せず)を内部に動作可能に支持する。駆動器は、カートリッジ本体1402の上部デッキ面1410を通って開放された対応ステープル/締結具ポケット1412と関連付けられる。ステープル駆動器のそれぞれは、1つ以上の外科用ステープル又は締結具(図示せず)を支持する。スレッドアセンブリ1420は、カートリッジ本体1402の近位端内に支持され、カートリッジ1400が新しく未発射であるときの開始位置において、駆動器及び締結具の近位に位置する。スレッドアセンブリ1420は、複数の傾斜した又は楔形のカム1422を含み、各カム1422は、スロット1404の側面に位置する締結具又は駆動器の特定のラインに対応する。スレッドアセンブリ1420は、ナイフ部材がアンビルとカートリッジデッキ面1410との間にクランプされた組織を通って遠位方向に駆動される際に、ナイフ部材1330によって接触及び駆動されるように構成されている。駆動器がカートリッジデッキ面1410に向かって上方に駆動されると、その上に支持された締結具は、アンビルとカートリッジとの間にクランプされる組織を通ってステープルポケット1412から外へ駆動される。
【0043】
更に図4を参照すると、少なくとも1つの形態のアンビル1810は、横方向に突出する一対のアンビルトラニオン1822を有するアンビル装着部分1820を含み、これらのトラニオンは、細長いチャネル1602の近位端部1610の直立壁1622に形成された対応するトラニオンクレードル1614内に枢動可能に受容される。アンビルトラニオン1822は、チャネルキャップ又はアンビル保持部1630によって、対応するトラニオンクレードル1614内に枢動可能に保持される。アンビル装着部分1820は、シャフト軸線SAを横切る固定アンビル枢動軸を中心にした選択的枢動移動のために、細長いチャネル1602上で移動可能又は枢動可能に支持される。図6及び7に示されるように、少なくとも1つの形態では、アンビル1810は、例えば、導電性金属材料から作製され、一連の締結具形成ポケット1814を形成したステープル形成下面1813を有するアンビル本体1812を含み、締結具形成ポケットは、内部にナイフ部材1330を摺動可能に収容するように構成された中央のアンビルスロット1815の両側に形成される。アンビルスロット1815は、発射中にナイフ部材1330上のアンビル係合機構1336を収容するために、アンビル本体1812を通って長手方向に延在する上部開口部1816に対して開口する。従来の機械的外科用ステープル/締結具カートリッジ1400が細長いチャネル1602内に設置されるとき、ステープル/締結具は、組織Tを通って駆動され、対応する締結具形成ポケット1814と接触する。アンビル本体1812は、例えば、設置の容易性を促進するために、上部に開口部を有してもよい。アンビルキャップ1818は、アンビル本体に挿入され、アンビル本体1812に溶接されて開口部を包囲し、アンビル本体1812全体の剛性を向上させることができる。図7に示されるように、RFカートリッジ1700に関連したエンドエフェクタ1500の使用を容易にするために、締結具形成下面1813の組織対向セグメント1817は、その上に電気絶縁材料1819を有してもよい。
【0044】
図示される構成では、交換式外科用ツールアセンブリ1000は、概して1640として指定される発射部材ロックアウトシステムを備えて構成される。図8を参照されたい。図8に示されるように、細長いチャネル1602は底面又は底部1620を含み、そこから2つの直立側壁1622が突出する。中央に配置された長手方向チャネルスロット1624は、底部1620を通って形成され、ナイフ部材1330の軸方向移動を促進する。チャネルスロット1624は、ナイフ部材1330上のチャネル係合機構又は脚部1338を収容する長手方向通路1626に開口する。通路1626は、チャネル係合機構又は脚部1338の対応部分と係合するように機能する、2つの内側に延在する棚部1628を画定するように機能する。発射部材ロックアウトシステム1640は、チャネルスロット1624の各側に位置する近位開口部1642を含み、各近位開口部は、ナイフ部材1330が開始位置にあるときにチャネル係合機構又は脚部1338の対応部分を受容するように構成されている。ナイフロックアウトばね1650は、細長いチャネル1602の近位端1610内に支持され、ナイフ部材1330を下方に付勢する役割を果たす。図8に示されるように、ナイフロックアウトばね1650は、ナイフ本体1332上の対応する中央チャネル係合機構1337と係合するように構成された2つの遠位端ばねアーム1652を含む。ばねアーム1652は、中央チャネル係合機構1337を下方に付勢するように構成されている。よって、開始(未発射位置)にあるとき、ナイフ部材1330は、チャネル係合機構又は脚部1338が細長いチャネル1602の対応する近位開口部1642内に受容されるように、下方に付勢される。ロック位置にあるとき、ナイフ1330を遠位方向に前進させるように試みた場合、中央チャネル係合機構1137及び/又は脚部1338は、細長いチャネル1602上の直立棚部1654と係合し(図8及び11)、ナイフ1330は発射され得ない。
【0045】
更に図8を参照すると、発射部材ロックアウトシステム1640は、発射部材本体1332の遠位端に形成又は支持されたロック解除アセンブリ1660を更に含む。ロック解除アセンブリ1660は、スレッドアセンブリ1420が未発射の外科用ステープルカートリッジ1400内の開始位置にあるとき、スレッドアセンブリ1420に形成されたロック解除機構1426と係合するように構成された遠位方向に延在する棚部1662を含む。よって、未発射の外科用ステープルカートリッジ1400が細長いチャネル1602内に適切に設置されると、ロック解除アセンブリ1660上の棚部1662が、スレッドアセンブリ1420上のロック解除機構1426と接触して、ナイフ部材1330を上方に付勢する役割を果たすことで、中央チャネル係合機構1137及び/又は脚部1338がチャネル底部1620から直立棚部1654を離して、細長いチャネル1602を通るナイフ部材1330の軸方向の通過を容易にする。部分的に発射されたカートリッジ1400が細長いチャネルに意図せず装着されている場合、スレッドアセンブリ1420は開始位置にはなく、ナイフ部材1330はロック位置に留まる。
【0046】
以下、交換式外科用ツールアセンブリ1000のハンドルアセンブリ500への取り付けについて、図3及び9を参照して記載する。連結プロセスを開始するために、臨床医は、ツールシャーシ1210上に形成された先細取付部分1212がハンドルフレーム506のダブテールスロット507と位置合わせされるように、交換式外科用ツールアセンブリ1000のツールシャーシ1210をハンドルフレーム506の遠位端の上方に又は隣接して位置付けられてもよい。次いで、臨床医は、先細取付部分1212をハンドルフレーム506の遠位端の対応するダブテール受け入れスロット507と「動作可能に係合」した状態で着座させるように、外科用ツールアセンブリ1000をシャフト軸線SAに垂直な設置軸IAに沿って移動させてもよい。その際、中間発射シャフト部分1310上の発射シャフト取付ラグ1314もまた、ハンドルアセンブリ500内の長手方向に移動可能な駆動部材540のクレードル544内に着座され、閉鎖リンク514上にあるピン516の部分が、閉鎖シャトル1914の対応するフック1917内に着座される。本明細書で使用するとき、2つの構成要素の文脈における「動作可能な係合」という用語は、それら2つの構成要素が互いに十分に係合され、それにより、作動運動をそれらに適用すると、構成要素が意図される行為、機能、及び/又は手順を実施し得ることを意味する。また、このプロセスの間、外科用ツールアセンブリ1000上の搭載コネクタ1154は、例えば、ハンドルアセンブリ500又はロボットシステムコントローラ内で支持されるマイクロプロセッサ560と通信するハウジングコネクタ562に連結される。
【0047】
通常の外科的処置の間、臨床医は、標的組織にアクセスするため、トロカール又は患者の他の開口部を通じて、外科用エンドエフェクタ1500を手術部位へと導入し得る。そうする際、臨床医は、典型的には、シャフト軸線SA(非関節状態)に沿って外科用エンドエフェクタ1500を軸方向に位置合わせする。いったん外科用エンドエフェクタ1500がトロカールポートを通過した後、例えば、臨床医は、エンドエフェクタ1500を関節運動させて、標的組織に隣接させ、有利に位置決めする必要があり得る。これはアンビル1810を標的組織上で閉鎖する前であるため、閉鎖駆動システム510は非作動状態を保つ。この位置にあるとき、発射駆動システム530が作動すると、近位関節駆動器1370へ関節運動が適用される。エンドエフェクタ1500が所望の関節位置に到達すると、発射駆動システム530は非作動状態であり、関節ロック1390は、関節位置に外科用エンドエフェクタ1500を保持し得る。次に、臨床医は、閉鎖駆動システム510を作動させて、アンビル1810を標的組織上で閉鎖することができる。かかる閉鎖駆動システム510の作動により、シフタアセンブリ1100は、近位関節駆動器1370を中間発射シャフト部分1310から分離することができる。従って、いったん標的組織が外科用エンドエフェクタ1500内に捕捉されると、臨床医は再び発射駆動システム530を作動させて、発射部材1330を外科用ステープル/締結具カートリッジ1400又はRFカートリッジ1700を通じて軸方向に前進させて、クランプされた組織を切断し、ステープル/締結具を切断組織T内に発射することができる。また、他の閉鎖及び発射駆動構成やアクチュエータ構成(携帯型の手動、及び自動又はロボット型の両方)を採用して、本開示の範囲から逸脱することなく、閉鎖システムの構成要素、関節システムの構成要素、及び/又は外科用ツールアセンブリ1000の発射システムの構成要素の軸方向移動を制御することができる。
【0048】
上記のように、外科用ツールアセンブリ1000は、従来の機械的外科用ステープル/締結具カートリッジ1400及びRFカートリッジ1700と関連して使用されるように構成されている。少なくとも1つの形態では、RFカートリッジ1700は、凝固電流が電流路内の組織に送達される間、アンビル1810とRFカートリッジ1700との間でクランプされた組織のナイフ部材1330による機械的切断を容易にすることができる。電流を使用して組織を機械的に切断及び凝固させるための他の構成は、例えば、米国特許第5,403,312号、同第7,780,663号、及び米国特許出願第15/142,609号、発明の名称「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WITH ELECTRICALLY CONDUCTIVE GAP SETTING AND TISSUE ENGAGING MEMBERS」に開示されており、当該引例の開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。かかる器具は、例えば、止血を改善し、外科的複雑性だけでなく手術時間を低減することができる。
【0049】
図10~12に示されるように、少なくとも1つの構成では、RF外科用カートリッジ1700は、細長いチャネル1602内に取り外し可能に受容及び支持されるようなサイズと形状を有するカートリッジ本体1710を含む。例えば、カートリッジ本体1710は、細長いチャネル1602とのスナップ係合で取り外し可能に保持されるように構成されてもよい。様々な構成において、カートリッジ本体1710は、工学熱可塑性材料などのポリマー材料、例えば、液晶ポリマー(LCP)VECTRA(商標)から作製されてもよく、細長いチャネル1602は金属から製作されてもよい。少なくとも1つの態様において、カートリッジ本体1710は、カートリッジ本体を通って長手方向に延在して、ナイフ1330の長手方向の移動に対応する、中央に配置された細長いスロット1712を含む。図10及び11に示されるように、一対のロックアウト係合後端部1714が、カートリッジ本体1710から近位方向に延在する。各ロックアウト係合後端部1714は、チャネル底部1620の対応する近位開口部1642内に受容されるようにサイズ決めされたロックアウトパッド1716が、下側に形成されている。従って、カートリッジ1700が、細長いチャネル1602内に適切に設置されると、ロックアウト係合後端部1714は開口部1642及び棚部1654を覆い、発射の準備が整ったロック解除位置にナイフ1330を保持する。
【0050】
図10~13を参照すると、図示された例では、カートリッジ本体1710は、中央に配設された隆起電極パッド1720を有して形成される。図6で特に分かるように、細長いスロット1712は、電極パッド1720の中心を通って延在し、パッド1720を左側パッドセグメント1720L及び右側パッドセグメント1720Rに分割する役割を果たす。右側フレキシブル回路アセンブリ1730Rは、右側パッドセグメント1720Rに取り付けられ、左側フレキシブル回路アセンブリ1730Lは、左側パッドセグメント1720Lに取り付けられる。少なくとも1つの構成では、例えば、右側フレキシブル回路1730Rは、RF目的のための広い単数又は複数の導電体と、右側パッド1720Rに取り付けられた右側絶縁体シース/部材1734Rに支持される、取り付けられる、又は埋め込まれる従来のステープリング目的のための薄い導電体と、を含み得る複数の導電体1732Rを備える。加えて、右側フレキシブル回路アセンブリ1730Rは、「位相1」近位右側電極1736R及び「位相2」遠位右側電極1738Rを含む。同様に、左側フレキシブル回路アセンブリ1730Lは、RF目的のための広い単数又は複数の導電体と、左側パッド1720Lに取り付けられた左側絶縁体シース/部材1734Lに支持される、取り付けられる、又は埋め込まれる従来のステープリング目的のための薄い導電体と、を含み得る複数の導電体1732Lを備える。加えて、左側フレキシブル回路アセンブリ1730Lは、「位相1」近位左側電極1736Lと「位相2」遠位左側電極1738Lを含む。左側及び右側導電体1732L、1732Rは、カートリッジ本体1710の遠位端部に装着された遠位マイクロチップ1740に取り付けられる。一構成では、例えば、右側及び左側フレキシブル回路1730R、1730Lのそれぞれが、約0.025インチの全幅「CW」を有してもよく、電極1736R、1736L、1738R、1738Rのそれぞれが、例えば、約0.010インチの幅「EW」を有する。図13を参照されたい。しかしながら、他の態様では、他の幅/サイズが企図され使用されてもよい。
【0051】
少なくとも1つの構成では、RFエネルギーが、供給リード線402を通じて従来のRF発生器400によって外科用ツールアセンブリ1000に供給される。少なくとも1つの構成では、供給リード線402は、雄プラグアセンブリ406を含み、この雄プラグアセンブリは、搭載回路基板1152上のセグメント化RF回路1160に取り付けられた対応する雌コネクタ410に差し込まれるように構成される。図15を参照されたい。かかる構成は、発生器400から供給リード線402を巻き上げずにノズルアセンブリ1240を回転させることによって、ツールシャーシ1210に対するシャフト軸線SAを中心としたシャフト及びエンドエフェクタ1500の回転移動を容易にする。搭載オン/オフ電力スイッチ420は、RF発生器をオン及びオフにするために、ラッチアセンブリ1280及びツールシャーシ1210上に支持される。ツールアセンブリ1000がハンドルアセンブリ500又はロボットシステムに動作可能に連結されると、搭載セグメント化RF回路1160は、コネクタ1154及び562を介してマイクロプロセッサ560と通信する。図1に示されるように、ハンドルアセンブリ500は、封止の進捗状況、ステープル留め、ナイフの位置、カートリッジの状態、組織、温度などに関する情報を見るための表示画面430を更に含んでもよい。図15でも分かるように、スリップリングアセンブリ1150は、ステープル留め関連の行為を行う複数の細い導電体1166と、RF目的に使用される広い導電体1168と、を含み得るフレキシブルシャフト回路ストリップ又はアセンブリ1164を含む遠位コネクタ1162とインターフェースをとる。図14及び15に示されるように、フレキシブルシャフト回路ストリップ1164は、ナイフバー1320を形成する積層プレート又はバー1322の間で中央に支持される。かかる構成は、ナイフ部材1330がクランプされた組織を通って遠位に前進することを可能にするように十分の硬さを保ちつつ、エンドエフェクタ1500の関節運動中にナイフバー1320及びフレキシブルシャフト回路ストリップ1164の十分な屈曲を容易にする。
【0052】
図10を再び参照すると、少なくとも1つの図示される構成では、細長いチャネル1602は、細長いチャネル1602の近位端1610から細長いチャネル底部1620内の遠位位置1623まで延在する凹部1621に支持されたチャネル回路1670を含む。チャネル回路1670は、電気的接触のために、フレキシブルシャフト回路ストリップ1164の遠位接触部分1169に接触する近位接触部分1672を含む。チャネル回路1670の遠位端1674は、チャネル壁1622の1つに形成された対応する壁凹部1625内に受容され、チャネル壁1622の上縁部1627の上に折り畳まれて取り付けられる。図10に示されるように、一連の対応する露出接点1676が、チャネル回路1670の遠位端1674に設けられる。図10で分かるように、フレキシブルカートリッジ回路1750の端部1752は、遠位マイクロチップ1740に取り付けられ、カートリッジ本体1710の遠位端部に取り付けられる。別の端部1754は、カートリッジデッキ面1711の縁部の上に折り畳まれ、チャネル回路1670の露出接点1676と電気的に接触するように構成された露出接点1756を含む。従って、RFカートリッジ1700が細長いチャネル1602内に設置されると、電極並びに遠位マイクロチップ1740は給電され、フレキシブルカートリッジ回路1750、フレキシブルチャネル回路1670、フレキシブルシャフト回路1164、スリップリングアセンブリ1150の間の接触を介して、搭載回路基板1152と通信する。
【0053】
図16A及び16Bは、本開示の一態様による、2枚の図面に及ぶ図1の外科用器具10の制御回路700のブロック図である。図16A及び16Bに示されるように、ハンドルアセンブリ702は、モータ駆動器715によって制御され、外科用器具10の発射システムによって採用され得るモータ714を含んでもよい。様々な形態において、モータ714は、例えば、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。別の構成では、モータ714としては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステップモータ、又は任意の他の好適な電動モータが挙げられ得る。モータ駆動器715は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)719を含むHブリッジ駆動器を備えてもよい。モータ714は、外科用器具10に制御電力を供給するためにハンドルアセンブリ500に解放可能に装着された電源アセンブリ706によって給電され得る。電源アセンブリ706は、バッテリを含むことができ、このバッテリは、外科用器具10に給電するための電源として使用され得る、直列に接続された複数のバッテリセルを備えてもよい。特定の状況下では、電源アセンブリ706のバッテリセルは、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。少なくとも1つの実施例では、バッテリセルは、電源アセンブリ706に別個に連結され得るリチウムイオンバッテリであってもよい。
【0054】
シャフトアセンブリ704が、インターフェースを介して安全コントローラ及び電源管理コントローラ716と通信し得るシャフトアセンブリコントローラ722を含む一方、シャフトアセンブリ704及び電源アセンブリ706はハンドルアセンブリ702に結合されている。例えば、インターフェースは、対応するシャフトアセンブリ電気コネクタとの連結係合のために1つ以上の電気コネクタを含み得る第1のインターフェース部分725と、対応する電源アセンブリ電気コネクタとの連結係合のために1つ以上の電気コネクタを含み得る第2のインターフェース部分727と、を備え、シャフトアセンブリ704及び電源アセンブリ706が、ハンドルアセンブリ702に結合されている間にシャフトアセンブリコントローラ722と電源管理コントローラ716との間の電気通信を可能にする。インターフェースを介して1つ以上の通信信号を送信して、取り付けられた交換式シャフトアセンブリ704の1つ以上の電力要件を電源管理コントローラ716に伝達することができる。それに応じて、電源管理コントローラは、取り付けられたシャフトアセンブリ704の電力要件に従って、以下により詳細に記載されているように、電源アセンブリ706のバッテリの電力出力を変調し得る。コネクタは、ハンドルアセンブリ702とシャフトアセンブリ704及び/又は電源アセンブリ706との機械的連結係合後に起動され得るスイッチを備えることにより、シャフトアセンブリコントローラ722と電源管理コントローラ716との間の電気通信を可能にする。
【0055】
特定の状況下では、インターフェースは、例えば、ハンドルアセンブリ702に存在するメインコントローラ717を介してかかる通信信号の経路を指定することにより、電源管理コントローラ716とシャフトアセンブリコントローラ722との間の1つ以上の通信信号の伝送を容易にし得る。他の状況下では、シャフトアセンブリ704及び電源アセンブリ706がハンドルアセンブリ702に連結されている間、インターフェースは、ハンドルアセンブリ702を介して電源管理コントローラ716とシャフトアセンブリコントローラ722との間の直接通信を容易にし得る。
【0056】
メインコントローラ717は、Texas Instrumentsの商標名ARM Cortexとして知られるものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、メインコントローラ717は、例えば、詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、1つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0057】
安全コントローラは、Texas Instrumentsの商標名Hercules ARM Cortex R4として知られている、TMS570及びRM4xなどの2つのマイクロコントローラベースファミリを備える安全マイクロコントローラプラットフォームであってよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0058】
電源アセンブリ706は、電源管理回路を含んでもよく、電源管理回路は、電源管理コントローラ716、電力変調器738、及び電流感知回路736を含み得る。電源管理回路は、シャフトアセンブリ704及び電源アセンブリ706がハンドルアセンブリ702に連結されている間、シャフトアセンブリ704の電力要件に基づいてバッテリの電力出力を変調するように構成され得る。例えば、電源管理コントローラ716は、電源アセンブリ706の電力出力の電力変調器738を制御するようにプログラムすることができ、電流感知回路736が、バッテリの電力出力に関するフィードバックを電源管理コントローラ716に提供するために電源アセンブリ706の電力出力を監視するように用いられるため、電源管理コントローラ716は、電源アセンブリ706の電力出力を調節して、所望の出力を維持することができる。電源管理コントローラ716及び/又はシャフトアセンブリコントローラ722はそれぞれ、多数のソフトウェアモジュールを記憶し得る1つ以上のプロセッサ及び/又はメモリユニットを備えることができる。
【0059】
特定の事例では、外科用器具10(図1~5)は、ユーザに感覚フィードバックを提供するためのデバイスを含み得る出力デバイス742を備えてよい。このような装置は、例えば、視覚的フィードバック装置(例えば、LCD表示画面、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカ、ブザー)又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を含んでもよい。特定の状況下では、出力デバイス742は、ハンドルアセンブリ702に含まれ得るディスプレイ743を備えてもよい。シャフトアセンブリコントローラ722及び/又は電源管理コントローラ716は、出力デバイス742を介して外科用器具10のユーザにフィードバックを提供し得る。インターフェースは、シャフトアセンブリコントローラ722及び/又は電源管理コントローラ716を出力デバイス742に接続するように構成され得る。その代わりに、出力デバイス742は、電源アセンブリ706と統合することができる。このような状況下では、出力デバイス742とシャフトアセンブリコントローラ722との間の通信は、シャフトアセンブリ704がハンドルアセンブリ702に連結されている間、インターフェースを介して成し遂げることができる。
【0060】
制御回路700は、電動外科用器具10の動作を制御するように構成された回路セグメントを備える。安全コントローラセグメント(セグメント1)は、安全コントローラ及びメインコントローラ717セグメント(セグメント2)を備える。安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717は、加速度セグメント、ディスプレイセグメント、シャフトセグメント、エンコーダセグメント、モータセグメント、及び電源セグメントなどの1つ以上の追加の回路セグメントと相互作用するように構成されている。回路セグメントはそれぞれ、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されてもよい。メインコントローラ717は、フラッシュメモリにも結合されている。メインコントローラ717は、シリアル通信インターフェースを更に備える。メインコントローラ717は、例えば、1つ以上の回路セグメント、バッテリ、及び/又は複数のスイッチに結合された、複数の入力を備える。セグメント化回路は、例えば、電動外科用器具10内のプリント回路基板アセンブリ(PCBA)など、任意の好適な回路によって実装されてもよい。プロセッサという用語は、本明細書で使用するとき、任意のマイクロプロセッサ、プロセッサ、コントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上に組み込んだ、他の基本コンピューティングデバイスを含むことが理解されるべきである。メインコントローラ717は、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラム可能なデバイスである。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。制御回路700は、本明細書に記載されるプロセスのうちの1つ以上を実行するように構成することができる。
【0061】
加速度セグメント(セグメント3)は加速度計を含む。加速度計は、電動外科用器具10の移動又は加速度を検出するように構成されている。加速度計からの入力は、スリープモードとの間での遷移、電動外科用器具の配向の識別、及び/又は外科用器具が落下したときの識別に使用され得る。いくつかの実施例では、加速度セグメントは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に結合されている。
【0062】
ディスプレイセグメント(セグメント4)は、メインコントローラ717に結合されたディスプレイコネクタを備える。ディスプレイコネクタは、ディスプレイの1つ以上の集積回路駆動器を介してメインコントローラ717をディスプレイに結合する。ディスプレイの集積回路駆動器は、ディスプレイと一体化されてもよい、及び/又は、ディスプレイとは別個に配置されてもよい。ディスプレイは、例えば、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、及び/又は任意の他の好適なディスプレイなど、任意の好適なディスプレイを含んでもよい。いくつかの実施例では、ディスプレイセグメントは、安全コントローラに結合されている。
【0063】
シャフトセグメント(セグメント5)は、外科用器具10(図1~5)に結合された交換式シャフトアセンブリ500用の制御装置、及び/又は交換式シャフトアセンブリ500に結合されたエンドエフェクタ1500用の1つ以上の制御装置を備える。シャフトセグメントは、メインコントローラ717をシャフトPCBAに結合するように構成されたシャフトコネクタを備える。シャフトPCBAは、強誘電性ランダムアクセスメモリ(FRAM)、関節スイッチ、シャフト解放ホール効果スイッチ、及びシャフトPCBA EEPROMを有する低電力マイクロコントローラを備える。いくつかの例では、シャフトPCBA EEPROMは、交換式シャフトアセンブリ500及び/又はシャフトPCBAに固有の1つ以上のパラメータ、ルーチン、及び/又はプログラムを備える。シャフトPCBAは、交換式シャフトアセンブリ500に結合されてもよい、及び/又は外科用器具10と一体であってもよい。いくつかの実施例では、シャフトセグメントは、第2のシャフトEEPROMを備える。第2のシャフトEEPROMは、電動外科用器具10と接続され得る1つ以上のシャフトアセンブリ500及び/又はエンドエフェクタ1500に対応する複数のアルゴリズム、ルーチン、パラメータ、及び/又は他のデータを含む。
【0064】
位置エンコーダセグメント(セグメント6)は、1つ以上の磁気角度回転位置エンコーダを備える。1つ以上の磁気角度回転位置エンコーダは、外科用器具10(図1~5)のモータ714、交換式シャフトアセンブリ500、及び/又はエンドエフェクタ1500の回転位置を識別するように構成されている。いくつかの実施例では、磁気角度回転位置エンコーダは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に結合されてもよい。
【0065】
モータ回路セグメント(セグメント7)は、電動外科用器具10(図1~5)の動作を制御するように構成されたモータ714を備える。モータ714は、1つ以上のHブリッジ電界効果トランジスタ(FET)とモータコントローラとを備えるHブリッジ駆動器によって、メインマイクロコントローラプロセッサ717に結合されている。Hブリッジ駆動器は、安全コントローラにも結合される。モータ電流センサは、モータの引き込み電流を測定するため、モータと直列に結合されている。モータ電流センサは、メインコントローラ717及び/又は安全コントローラと信号で通信している。いくつかの実施例では、モータ714は、モータ電磁干渉(EMI)フィルタに結合されている。
【0066】
モータコントローラは、第1のモータフラグ及び第2のモータフラグを制御して、モータ714の状態及び位置をメインコントローラ717に対して表示する。メインコントローラ717は、パルス幅変調(PWM)高信号、PWM低信号、方向信号、同期信号、及びモータリセット信号を、バッファを介してモータコントローラに供給する。電源セグメントは、各回路セグメントにセグメント電圧を提供するように構成されている。
【0067】
電力セグメント(セグメント8)は、安全コントローラに連結されたバッテリと、メインコントローラ717と、追加の回路セグメントと、を備える。バッテリは、バッテリコネクタ及び電流センサによってセグメント化回路に結合されている。電流センサは、セグメント化回路の合計引き込み電流を測定するように構成されている。いくつかの実施例では、1つ以上の電圧変換器が、既定の電圧値を1つ以上の回路セグメントに提供するように構成されている。例えば、いくつかの実施例では、セグメント化回路は、3.3V電圧変換器及び/又は5V電圧変換器を備えてもよい。ブースト変換器は、例えば13V以下など、既定量以下のブースト電圧を提供するように構成されている。ブースト変換器は、電力集約的動作の間、追加の電圧及び/又は電流を提供して、電圧低下又は低電力状態を防止するように構成されている。
【0068】
複数のスイッチは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されている。スイッチは、外科用器具10(図1~5)のセグメント化回路の動作を制御する、及び/又は外科用器具10の状態を示すように構成されてもよい。緊急離脱用の緊急離脱ドアスイッチ及びホール効果スイッチは、緊急離脱ドアの状態を示すように構成されている。例えば、左側関節左スイッチ、左側関節右スイッチ、左側関節中央スイッチ、右側関節左スイッチ、右側関節右スイッチ、及び右側関節中央スイッチなど、複数の関節運動スイッチは、交換式シャフトアセンブリ500(図1及び3)及び/又はエンドエフェクタ300(図1及び4)の関節運動を制御するように構成されている。左側反転スイッチ及び右側反転スイッチは、メインコントローラ717に結合されている。左側関節左スイッチ、左側関節右スイッチ、左側関節中央スイッチ、及び左側反転スイッチを備える左側スイッチは、左側フレックスコネクタによってメインコントローラ717に結合されている。右側関節左スイッチ、右側関節右スイッチ、右側関節中央スイッチ、及び右側反転スイッチを備える右側スイッチは、右側フレックスコネクタによってメインコントローラ717に結合されている。発射スイッチ、クランプ解放スイッチ、及びシャフト係合スイッチが、メインコントローラ717に結合されている。
【0069】
任意の好適な機械的、電気機械的、又はソリッドステートスイッチを用いて、複数のスイッチを任意の組み合わせで実装してもよい。例えば、スイッチは、外科用器具10(図1~5)と関連付けられた構成要素の動作、又は物体の存在によって操作されるリミットスイッチであってもよい。かかるスイッチは、外科用器具10と関連付けられた様々な機能を制御するために用いることができる。リミットスイッチは、1組の接点に機械的に連結されたアクチュエータからなる電気機械デバイスである。物体がアクチュエータと接触すると、デバイスは接点を動作させて、電気的接続を実行又は遮断する。リミットスイッチは、頑丈さ、設置し易さ、及び動作の信頼性故に、様々な用途及び環境で使用される。リミットスイッチは、物体の移動の有無、通過、位置決め、及び移動の終了を判定し得る。他の実装では、スイッチは、特に、ホール効果素子、磁気抵抗(MR)デバイス、巨大磁気抵抗(GMR)デバイス、磁力計などの磁場の影響下で動作するソリッドステートスイッチであってもよい。他の実装では、スイッチは、特に、光センサ、赤外線センサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作するソリッドステートスイッチであってもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合型FET、金属酸化膜半導体FET(MOSFET)、バイポーラなど)などのソリッドステートデバイスであってもよい。他の実装では、スイッチは、特に、非導電体スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
【0070】
図17は、本開示の一態様による、ハンドルアセンブリ702と電源アセンブリ706との間、及びハンドルアセンブリ702と交換式シャフトアセンブリ704との間のインターフェースを示す、図1の外科用器具の制御回路700の別のブロック図である。ハンドルアセンブリ702は、メインコントローラ717、シャフトアセンブリコネクタ726、及び電源アセンブリコネクタ730を備えてもよい。電源アセンブリ706は、電源アセンブリコネクタ732、電源管理コントローラ716を含み得る電源管理回路734、電力変調器738、及び電流感知回路736を含むことができる。シャフトアセンブリコネクタ730、732は、インターフェース727を形成する。電源管理回路734は、交換式シャフトアセンブリ704及び電源アセンブリ706がハンドルアセンブリ702に連結されている間、交換式シャフトアセンブリ704の電力要件に基づいてバッテリ707の電力出力を変調するように構成することができる。例えば、電源管理コントローラ716は、電源アセンブリ706の電力出力の電力変調器738を制御するようにプログラムすることができ、電流感知回路736が、バッテリ707の電力出力に関するフィードバックを電源管理コントローラ716に提供するために、電源アセンブリ706の電力出力を監視するように用いられるため、電源管理コントローラ716は、電源アセンブリ706の電力出力を調節して、所望の出力を維持することができる。シャフトアセンブリ704は、シャフトアセンブリ704をハンドルアセンブリ702に電気的に結合するために、不揮発性メモリ721及びシャフトアセンブリコネクタ728に連結されたシャフトプロセッサ719を備える。シャフトアセンブリコネクタ726、728は、インターフェース725を形成する。メインコントローラ717、シャフトプロセッサ719、及び/又は電源管理コントローラ716は、本明細書に記載されるプロセスのうちの1つ以上を実装するように構成され得る。
【0071】
外科用器具10(図1~5)は、ユーザに感覚フィードバックを提供する出力デバイス742を備えてもよい。かかる装置は、視覚的フィードバック装置(例えば、LCD表示画面、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカ、ブザー)、又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を備えていてもよい。特定の状況下では、出力デバイス742は、ハンドルアセンブリ702に含まれ得るディスプレイ743を備えてもよい。シャフトアセンブリコントローラ722及び/又は電源管理コントローラ716は、出力デバイス742を介して外科用器具10のユーザにフィードバックを提供し得る。インターフェース727は、シャフトアセンブリコントローラ722及び/又は電源管理コントローラ716を出力デバイス742に接続するように構成され得る。出力デバイス742は、電源アセンブリ706と一体化させることができる。出力デバイス742とシャフトアセンブリコントローラ722との間の通信は、交換式シャフトアセンブリ704がハンドルアセンブリ702に連結されている間、インターフェース725を介して実現することができる。外科用器具10(図1図5)の動作を制御する制御回路700(図16A~16B及び6)について説明してきたが、次に、本開示では外科用器具10(図1図5)及び制御回路700の様々な構成を示す。
【0072】
図18は、本開示の一態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具600の概略図である。一態様では、外科用器具600は、Iビーム614などの変位部材の遠位方向の並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具600は、アンビル616、Iビーム614、RFカートリッジ609(破線で示される)と交換され得る取り外し可能なステープルカートリッジ618と、を備え得るエンドエフェクタ602を備える。エンドエフェクタ602、アンビル616、Iビーム614、ステープルカートリッジ618、及びRFカートリッジ609は、例えば、図1~15に関して本明細書に記載されるように構成されてもよい。開示の簡潔化及び明瞭化のため、本開示のいくつかの態様は、図18を参照して説明することができる。制御回路610、センサ638、位置センサ634、エンドエフェクタ602、Iビーム614、ステープルカートリッジ618、RFカートリッジ609、アンビル616などの図18に概略的に示される構成要素は、本開示の図1~17と関連して記載されることが理解されるであろう。
【0073】
従って、図18に概略的に表される構成要素は、図1~17に関連して説明される物理的及び機能的に等価な構成要素で容易に置換され得る。例えば、一態様では、制御回路610は、図16及び17に関連して示され説明される制御回路700として実装されてもよい。一態様では、センサ638は、特に、リミットスイッチ、電気機械デバイス、ソリッドステートスイッチ、ホール効果素子、磁気抵抗(MR)デバイス、巨大磁気抵抗(GMR)デバイス、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ638は、特に、光センサ、赤外線センサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作するソリッドステートスイッチであってもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合型FET、金属酸化膜半導体FET(MOSFET)、双極など)などのスリッドステートデバイスであってもよい。他の実装形態では、センサ638は、特に、非導電体スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。一態様では、位置センサ634は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決定システムを備える絶対位置決定システムとして実装されてもよい。位置センサ634は、制御回路700と連携して、絶対位置決めシステムを提供することができる。位置センサは、複数のホール効果素子を含んでもよく、ホール効果素子は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結される。一態様では、エンドエフェクタ602は、図1、2、及び4に関連して示され説明される外科用エンドエフェクタ1500として実装されてもよい。一態様では、Iビーム614は、組織切断ブレード1334を動作可能に支持するナイフ本体1332を備えるナイフ部材1330として実装されてもよく、図2~4、8、11、及び14に関連して図示及び説明されるように、アンビル係合タブ又は機構1336及びチャネル係合機構又は脚部1338を更に含んでもよい。一態様では、ステープルカートリッジ618は、図4に関連して示され説明される標準的(機械的)外科用締結具カートリッジ1400として実装されてもよい。一態様では、RFカートリッジ609は、図1、2、6及び10~13に関連して示され説明される無線周波数(RF)カートリッジ1700として実装されてもよい。一態様では、アンビル616は、図1、2、4、及び6に関連して示され説明されるアンビル1810を実装してもよい。これら及び他のセンサ構成は、全体が参照により本明細書に組み込まれる同一所有者の米国特許出願第15/628175号の、発明の名称「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」に記載されている。
【0074】
Iビーム614などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決定システム、センサ機構、及び位置センサ634として表される位置センサによって測定することができる。Iビーム614は長手方向に移動可能な駆動部材540に連結されているため、Iビーム614の位置は、位置センサ634を使用する長手方向に移動可能な駆動部材540の位置を測定することによって判定することができる。従って、以下の説明では、Iビーム614の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ634によって達成され得る。図16A及び16Bに記載の制御回路700などの制御回路610は、本明細書に記載されるIビーム614などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路610は、記載される方法で、単数若しくは複数のプロセッサにIビーム614などの変位部材を制御させる命令を実行するための、1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はその他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマ/カウンタ回路631は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路610に提供して、位置センサ634によって判定されたIビーム614の位置をタイマ/カウンタ回路631の出力と相関させることで、制御回路610は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるIビーム614の位置を判定することができる。タイマ/カウンタ回路631は、経過時間を測定する、外部イベントをカウントする、又は外部イベントを計時するように構成されてよい。
【0075】
制御回路610は、モータ設定点信号622を生成してもよい。モータ設定点信号622は、モータコントローラ608に提供されてもよい。モータコントローラ608は、本明細書で説明するように、モータ604にモータ駆動信号624を提供してモータ604を駆動するように構成された1つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ604は、図1に示されるモータ505などのブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ604の速度は、モータ駆動信号624に比例してもよい。いくつかの実施例では、モータ604はブラシレス直流(DC)電動モータであってもよく、モータ駆動信号624は、モータ604の1つ以上の固定子巻線に提供されるパルス幅変調(PWM)信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ608は省略されてもよく、制御回路610がモータ駆動信号624を直接生成してもよい。
【0076】
モータ604は、エネルギー源612から電力を受け取ることができる。エネルギー源612は、バッテリ、スーパーキャパシタ、又は任意の他の好適なエネルギー源612であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ604は、伝達装置606を介してIビーム614に機械的に連結され得る。伝達装置606は、モータ604をIビーム614に連結するための1つ以上のギヤ又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ634は、Iビーム614の位置を感知し得る。位置センサ634は、Iビーム614の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ634は、Iビーム614が遠位方向及び近位方向に並進する際に一連のパルスを制御回路610に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路610は、パルスを追跡して、Iビーム614の位置を判定してもよい。例えば、近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム614の動きを示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの実施例では、位置センサ634は省略されてもよい。モータ604がステップモータである場合、制御回路610は、モータ604が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、Iビーム614の位置を追跡することができる。位置センサ634は、エンドエフェクタ602内、又は器具の任意の他の部分に位置してもよい。
【0077】
制御回路610は、1つ以上のセンサ638と通信してもよい。センサ638は、エンドエフェクタ602上に位置付けられ、外科用器具600と協働して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ638は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ602の1つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ638は、1つ以上のセンサを含んでもよい。
【0078】
1つ以上のセンサ638は、クランプ状態の間のアンビル616における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ638は、アンビル616とステープルカートリッジ618との間の、圧縮組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ638は、アンビル616とステープルカートリッジ618との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、両者の間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0079】
センサ638は、閉鎖駆動システムによってアンビル616に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ以上のセンサ638は、閉鎖管1910(図1~4)とアンビル616との間の相互作用点に位置して、閉鎖管1910がアンビル616に加える閉鎖力を検出することができる。アンビル616に加えられる力は、アンビル616とステープルカートリッジ618との間に捕捉された組織部分が受ける組織圧縮を表し得る。1つ以上のセンサ638は、閉鎖駆動システムに沿った様々な相互作用点に配置されて、閉鎖駆動システムがアンビル616に加える閉鎖力を検出することができる。1つ以上のセンサ638は、図16A及び16Bに示されるように、プロセッサによって、クランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路610は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル616に加えられる閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0080】
電流センサ636を用いて、モータ604によって引き込まれる電流を測定することができる。Iビーム614を前進させるのに必要な力は、モータ604によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路610に提供される。
【0081】
RFエネルギー源400は、エンドエフェクタ602に結合され、RFカートリッジ609が、ステープルカートリッジ618の代わりにエンドエフェクタ602内に搭載されるときにはRFカートリッジ609に適用される。制御回路610は、RFカートリッジ609へのRFエネルギーの送達を制御する。
【0082】
バイポーラRF外科用器具の特定の構成では、外科用器具は、対向する第1及び第2のジョーを備えることができ、各ジョーは電極を含むことができる。使用中、エネルギーが対向するジョーの電極間、及び電極間に配置された組織を通って流れることができるように、組織がジョーの間に捕捉され得る。かかる器具は、不規則な又は厚い繊維性含有物を含む壁を有する解剖学的構造、異種の解剖学的構造の束、及び/又は実質的に厚い若しくは薄い解剖学的構造など、多くの種類の組織を封止する必要があり得る。
【0083】
一般に、電気外科エネルギーが電極を介して、外科用装置の電気外科用エンドエフェクタ内にクランプされた標的組織に印加されると、標的領域(例えば、電極付近)内の標的組織に加えられる熱は横方向に伝達されて、標的領域の外側の組織を損傷し、凝固組織の領域を標的領域から横方向に広げる場合がある。凝固区域の過剰な横方向の広がりは、多くの組織が損傷する結果、多くの回復時間を必要とする場合があるため、外科的処置を受ける患者にとって有害であり得る。更に、電気外科エネルギーを伝送するために使用される電極は、典型的には、電気及び熱絶縁材料上に配置されることがあるが、これは組織の過熱につながり、標的領域の外側組織への横方向熱拡散及び側方組織の損傷を引き起こし得る。
【0084】
本開示の態様は、上記の問題に対処することができる。例示的な一態様では、エンドエフェクタは、第1のジョー(例えば、カートリッジ及びチャネル)と、第2のジョー(例えば、アンビル)と、エンドエフェクタの中央部の高温ゾーンと、エンドエフェクタの側面部の冷却ゾーンと、を含んでもよい。第1のジョー及び第2のジョーは、細長いスロットをそれらの間に画定してもよく、切断部材は、細長いスロット内に摺動可能に受容されて、第1のジョーと第2のジョーとの間に位置する組織を切断する。第1のジョーは、中央に配置された細長いスロットの各側に電気及び熱非伝導性絶縁層を含んでもよく、電気外科エネルギーを伝送するように構成された電極層は、高温ゾーン内の絶縁層に配置されてもよい。第1のジョーは、冷却ゾーン内の第1のジョーの側部に電気絶縁性及び熱伝導性ヒートシンク層を含んでもよい。ヒートシンク層は、組織がエンドエフェクタ内でクランプされたときに組織と直接接触し得る組織接触面を含んでもよい。ヒートシンク層は、高温ゾーン内の標的組織から高温ゾーンのすぐ外側の組織への熱伝達による損傷を最小限に抑えるために、冷却ゾーン内の組織の熱を外部領域に伝達することによって冷却ゾーン内の組織を冷却するように構成され得る。
【0085】
例示的な一態様では、第1のジョーは、電極層の下の細長いスロットの各側に隆起パッドを含んでもよい。隆起パッドによって、電極層をヒートシンク層の組織接触面よりも隆起させることができるため、横方向組織への熱拡散を低減しながら、より多くの圧力、及び最終的により多くの熱を、より正確に標的組織にのみ加えることができる。隆起パッドは、標的ゾーン(例えば、高温ゾーン)のすぐ外側の組織を冷却するヒートシンク層と組み合わせて、標的領域のすぐ外側の組織の温度を大幅に低下させることができるため、医師が過剰な横方向の熱拡散を伴わずに組織をより正確に封止することができる。
【0086】
例示的な態様では、絶縁層は、電極層に面する第1の面と細長いスロットに面する第2の面とによって画定される縁部を含んでもよく、この縁部は、組織の燃焼又は過熱を防止するために細長いスロットを通って蒸気を逃がすように面取りされて、過熱からの過剰な熱によって引き起こされ得る横方向の熱拡散を防止することができる。
【0087】
図19は、本開示の一態様による、エンドエフェクタ5500の概略断面図である。エンドエフェクタ5500は、第1のジョー5505と、第2のジョー5610と、を含んでもよい。例示的な一態様では、第1のジョー5505は、カートリッジ(例えば、カートリッジ5700)を内部に動作可能に支持するように構成された細長いチャネル5530(例えば、細長いチャネル1602)を含んでもよい。例示的な一態様では、第1のジョー5505及び第2のジョー5610は、それらの間にスロットを画定してもよい。切断部材(例えば、ブレード又はナイフ部材1330)は、スロット内に摺動可能に受容されて、エンドエフェクタ5500内にクランプされた組織を切断することができる。第1のジョー5505のスロットは、細長いスロット5560(例えば、細長いスロット1712)である。細長いスロット5560は、第1のジョー5505の近位端から延在してもよい。第2のジョー5610のスロットは、アンビルスロット5630(例えば、アンビルスロット1815)である。一実施例では、スロット5560、5630は、第1及び第2のジョー5505、5610の中心に配設され得る。別の実施例では、スロット5560、5630は、第1及び第2のジョー5505、5610内の任意の他の好適な場所に配置されてもよい。
【0088】
例示的な一態様では、第1のジョー5505は、第1の絶縁層5510L及び第2の絶縁層5510Rを含み得る。第1の絶縁層5510Lは、細長いスロット5560の左側にあってもよく、第2の絶縁層5510Rは、細長いスロット5560の右側にあってもよい。図示された実施例では、第1の絶縁層5510L、第2の絶縁層、及び細長いスロット5560は、第1のジョー5505の中央部に配設される。例示的な一態様では、ジョー5505、5610の中央部は、ジョー5505、5610の全体の部分の約1/3~1/2を覆い、その中心に位置してもよい。例示的な一態様では、第1の絶縁層5510L及び第2の絶縁層5510Rは、成形プラスチックなどの熱及び電気非伝導性材料を含み得る。
【0089】
例示的な一態様では、第1のジョー5505はまた、第1の絶縁層5510L上の第1の電極層5540L、及び第2の絶縁層5510R上の第2の電極層5540Rを含み得る。第1の電極層5540L及び第2の電極層5540Rは、組織(T)に電気外科エネルギー(例えば、RFエネルギー)を直接印加して、細長いスロット5560に沿って電極層5540L、5540Rに隣接する組織上に止血(凝固又は焼灼)線を形成するように構成されてもよい。第1の電極層5540L及び第2の電極層5540Rは、第1のジョー5505の中央部に配置されてもよい。例示的な一態様では、第1の電極層5540L及び第2の電極層5540Rは、直接接触する金属電極を含んでもよい。例示的な一態様では、第1の電極層5540L及び第2の電極層5540Rのそれぞれは、フレックス回路を更に含んでもよい。この場合、直接接触する金属電極は、フレックス回路上に蒸着され得る。例示的な一態様では、第1の電極層5540L及び第2の電極層5540Rは、第1及び第2の電極層5540L、5540Rの近傍に高温ゾーン5650を画定してもよい。図19に示されるように、高温ゾーン5650は、エンドエフェクタ5500(及び第1及び第2のジョー5505、5610)の中央部にあってもよい。
【0090】
例示的な一態様では、第1のジョー5505は、第1のジョー5505の左側部に第1のヒートシンク層5520L、及び第1のジョー5505の右側部に第2のヒートシンク層5520Rを含んでもよい。第1のヒートシンク層5520Lは、第1の組織接触面5525Lを含んでもよく、第2のヒートシンク層5520Rは、第2の組織接触面5525Rを含んでもよい。組織接触面5525L、5525Rは、組織(T)がエンドエフェクタ5500内にクランプされたときに、組織(T)と直接接触してもよい。例示的な一態様では、第1のヒートシンク層5520Lは、エンドエフェクタ5500(又は第1のジョー5505)の左側部に第1の冷却ゾーン5660を画定してもよく、第2のヒートシンク層5520Rは、エンドエフェクタ5500(又は第1のジョー5505)の右側部に第2の冷却ゾーン5670を画定してもよい。第1のヒートシンク層5520L及び第2のヒートシンク層5520Rは、第1及び第2の冷却ゾーン5560、5570内の組織(T)を冷却して、高温ゾーン5650内の組織から高温ゾーン5560の外側の組織への熱の伝達を最小限にするよう構成され、高温ゾーン5560のすぐ外側(及び最終的にはエンドエフェクタ5500のすぐ外側)の組織の損傷を防止することができる。例示的な一態様では、第1及び第2のヒートシンク層5520L、5520Rは、ヒートシンク層5520L、5520Rに隣接する組織から熱を放散させるために、セラミック材料(例えば、窒化アルミニウム)などの電気絶縁性の熱伝導性材料で作製されてもよい。
【0091】
例示的な一態様では、第1及び第2の絶縁層5510L、5510Rは、エンドエフェクタ5500の中心線Cから約0.01~0.10インチ離れていてもよい。例示的な一態様では、電極層5540L/5540Rと中心線Cとの間の水平距離5555は、約0.01インチ~0.10インチの範囲であってもよい。例示的な一態様では、第1及び第2のヒートシンク層5520L、5520Rは、中心線Cから約0.03~0.20インチ離れていてもよい。
【0092】
例示的な一態様では、第1の電極層5540L及び第1のヒートシンク層5520Lは、第1の電極層5540Lと第1のヒートシンク層5520Lとの間に第1の水平距離5545Lを画定してもよい。同様に、第2の電極層5540R及び第2のヒートシンク層5520Rは、第2の電極層5540Rと第2のヒートシンク層5520Rとの間に第2の水平距離5545Rを画定してもよい。第1及び第2の水平距離5545L、5545Rは、横方向の熱拡散が全く又はほとんどない薄型エンドエフェクタにとっての正確な組織封止を提供するように非常に小さくすることができる。例示的な一態様では、第1及び第2の水平距離5545L、5545Rは、0.00~約0.50インチの範囲、好ましくは約0.00~0.10インチの範囲、より好ましくは0.00~約0.03インチの範囲であってもよい。例示的な一態様では、第1及び第2の水平距離5545L、5545Rは、電極層5540L、5540Rの幅の半分未満であってもよい。別の例示的な態様では、第1及び第2の水平距離5545L、5545Rは、任意の他の好適な長さを有してもよい。
【0093】
例示的な一態様では、第1のジョー5505は、高温ゾーン5650内の第1の電極層5540L及び第2の電極層5540Rが組織(T)に加える圧力が、第1及び第2のヒートシンク層5520L、5520Rの組織接触面5525L、5525Rが組織に加える圧力よりも大きくなるように構成された特徴部を含んでもよい。例示的な一態様では、この機構は、第1の隆起パッド5550L及び第2の隆起パッド5550Rを備えてもよい。第1の隆起パッド5550L及び第2の隆起パッド5550Rは、組織接触面5525L、5525Rよりも第1の電極層5540L及び第2の電極層5540Rを隆起させることができるため、より多くの圧力、及び最終的にはより多くの熱を、より正確に、及びより低い横方向熱拡散で、標的組織(例えば、電極層5540L、5540Rに隣接する高温ゾーン5650内の組織)にのみ加えることができる。
【0094】
一般に、典型的な電極自体の厚さは、標的組織を圧縮するのに有効な圧力を提供するうえで薄すぎる場合があり、そのために、エネルギー及び熱は、より少ない横方向熱拡散で、標的組織内の中心に加えることができる。例示的な一態様では、隆起パッド5550L、5550Rは、電極層5540L、5540Rを含まなくてもよい。隆起パッド5550L、5550Rは、絶縁層5510L、5510R、又は絶縁層5510L、5510Rとヒートシンク層5520L、5520Rとの組み合わせを含み得る。別の例示的態様では、隆起パッド5550L、5550Rはまた、絶縁層5510L、5510R及び/又はヒートシンク層5520L、5520Rに加えて、電極層5540L、5540Rを含んでもよい。例示的な一態様では、隆起パッド5550L、5550Rの厚さ(例えば、電極層5540L、5540Rと組織接触面5525L、5525Rとの間の垂直距離)は、電極層5540L、5540Rの厚さの少なくとも3~5倍であってもよい。例示的な一態様では、隆起パッド5550L、5550Rの厚さは、約0.05インチ~0.10インチの範囲であってもよい。別の例示的な態様では、隆起パッド5550L、5550Rは、横方向熱拡散を低減するのに十分な任意の好適な厚さを有してもよい。
【0095】
例示的態様では、第1の絶縁層5510Lは、第1の電極層5540Lに面する第1の面5512Lと、細長いスロット5560に面する第2の面5514Lと、を含み得る。第1の絶縁層5510Lの第1の面5512L及び第2の面5514Lは、第1の縁部5570Lを画定し得る。同様に、第2の絶縁層5510Rは、第1の電極層5540Rに面する第1の面5512Rと、細長いスロット5560に面する第2の面5514Rと、を含み得る。第2の絶縁層5510Rの第1の面5512R及び第2の面5514Rは、第2の縁部5570Rを画定し得る。例示的な一態様では、第1の縁部55740L及び第2の縁部5570Rは、蒸気を細長いスロット5560を通って逃がすように面取りされて、側方組織損傷につながり得る組織の燃焼又は過熱を防止することができる。
【0096】
細長いチャネル5530は、絶縁層5510L、5510R及びヒートシンク層5520L、5520Rの下に形成されてもよい。例示的な一態様では、細長いチャネル5530は、熱伝導性金属材料を含み、第1及び第2のヒートシンク層5520L、5520Rと直接接触して、第1及び第2の冷却ゾーン5660、5670内の組織の冷却を促進することができる。例えば、組織から伝達されるヒートシンク層5520L、5520R内の熱は、金属チャネル5530に更に伝達されてもよく、これは、冷却ゾーン5660、5670内の組織の温度をより迅速に低減するのに役立ち得る。
【0097】
例示的な一態様では、凝固又は切断中、冷却ゾーン5660、5670内の組織の平均温度は、高温ゾーン5650内の組織の平均温度よりはるかに低くてもよい。凝固又は切断後、冷却ゾーン5660、5670内の組織の温度は、高温ゾーン5650内の組織の温度よりも迅速に低下し得る。
【0098】
例示的な一態様では、第2のジョー5610は、細長いチャネル5530に対して枢動可能に支持されるアンビルを備えてもよい。第2のジョー5610は、閉鎖駆動システム(例えば、閉鎖駆動システム510)を作動させることによって、開放位置と閉鎖位置との間で細長いチャネル5630内に支持された外科用カートリッジに向かって、及び外科用カートリッジから離れるように選択的に移動され得る。図19では、エンドエフェクタ5500は、組織(T)が第1のジョー5505と第2のジョー5610との間でクランプされている閉鎖位置にある。アンビルスロット5630は、図19に示されるように、アンビルスロット5630よりも広い上部開口部5640に開口してもよい。上部開口部は、例えば、発射中に切断部材(例えば、ナイフ部材1330)上のアンビル係合機構(例えば、アンビル係合機構1336)を収容するために、第2のジョー5610を通って長手方向に延在してもよい。第2のジョー5610はまた、アンビルスロット5630の各側に形成された締結具形成ポケット5620(例えば、締結具形成ポケット1814)を含んでもよい。
【0099】
図20は、本開示の一態様による、エンドエフェクタ5500の斜視図である。図20は、開放位置のエンドエフェクタ5500を示す。第2のジョー5610は、第1のジョー5505に対して移動可能である。第1のジョー5505は、細長いチャネル5530内に取り外し可能に受容及び支持されるようなサイズ及びび形状を有するカートリッジ5700を含んでもよい。例示的な一態様では、カートリッジ5700は、絶縁層5510L、5510R、ヒートシンク層5520L、5520R、及び電極層5540L、5540Rを含み得る。例示的な一態様では、図20に示されるように、第1の電極層5540Lの遠位端は、第2の電極層5540Rの遠位端に接続されてもよく、細長いスロット5560は、電極5540L、5540Rの中心を通って延在してもよい。別の例示的な態様では、第1の電極層5540Lは、第2の電極層5540Rとは離れていてもよい。第1のヒートシンク層5520Lの第1の組織接触面5525Lは、第1の電極層5540Lの左側に配置されてもよく、第2のヒートシンク層5520Rの第2の組織接触面5525Rは、第2の電極層5540Rの右側に配置されてもよい。
【0100】
第1のジョー5505は、第1のジョー5505の遠位部分にマイクロチップ5710を含んでもよい。マイクロチップ5710は、電極層5540L、5540Rを制御する(例えば、電気外科エネルギーを提供する)ように構成されてもよい。マイクロチップ5710は、フレキシブルカートリッジ回路5720(例えば、フレキシブルカートリッジ回路1750)に接続され、次にチャネル回路(例えば、チャネル回路1670)に接続され得る。第1のジョー5505は、遠位端5740に切開具電極5730を更に含んでもよい。切開具電極5730は、電気エネルギー源(例えば、RF発生器400)に接続されてもよく、組織を切開する及び/又は血液を凝固させるために、組織に電気外科エネルギー(RFエネルギー)を伝送するように構成されてもよい。切開具電極5730は、電極層5540L、5540Rから分離され、電極層5540L、5540Rとは別個に操作されてもよい。
【0101】
外科用器具の態様は、本明細書に開示される具体的な詳細を伴わずに実施することができる。一部の態様は、詳細ではなくブロック図として示されている。本開示の一部は、コンピュータメモリに記憶されたデータ上で動作する命令に関して提示されてもよい。一般的な意味で、当業者は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる、本明細書で説明する様々な態様は、様々な種類の「電気回路」から構成されるものと見なすことができる。従って、本明細書で使用されるとき、「電気回路」は、少なくとも1つの個々の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムで構成された汎用コンピューティングデバイス(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/又はデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成された汎用コンピュータ)を形成する電気回路、メモリデバイス(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路、及び/又は、通信デバイス(例えばモデム、通信スイッチ、又は光学電気機器)を形成する電気回路を含むが、これらに限定されない。これらの態様は、アナログ若しくはデジタル形式、又はこれらの組み合わせで実装されてもよい。
【0102】
前述の説明は、1つ以上の機能及び/又は動作を含み得る、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例の使用を介したデバイス及び/又はプロセスの態様を記載している。このようなブロック図、フローチャート、又は実施例内の各機能及び/又は動作は、様々なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの実質的に任意の組み合わせによって、個々に及び/又は集合的に実装することができる。一態様では、本明細書に記載される主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラム可能論理デバイス(PLD)、回路、レジスタ及び/又はソフトウェア構成要素、例えば、プログラム、サブルーチン、論理、及び/又はハードウェア及びソフトウェア構成要素、論理ゲート、又は他の集積形式の組み合わせなどのソフトウェア構成要素を含む。その全部か一部かを問わず、本明細書で開示される形態のいくつかの態様は、1台以上のコンピュータ上で稼働する1つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、1つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、あるいは、それらの実質的に任意の組み合わせとして、集積回路において等価に実装することができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/又はファームウェアのコードを記述することは、本開示に鑑み当業者の技能の範囲内に含まれる。
【0103】
本明細書に記載される主題の機構は、多様な形式でプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載される主題の例示的な態様は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定の種類にかかわらず適用される。信号搬送媒体の例としては、以下の記録可能型の媒体、例えば、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなど、並びに伝送型の媒体、例えば、デジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、導電通信リンク、非導電通信リンク(例えば、送信機、受信機、送信ロジック、受信ロジックなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
これらの態様の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。これらの態様は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な態様を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されるものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0105】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
【0106】
実施例1.外科用器具であって、
エンドエフェクタであって、
第1のジョーと、第1のジョーに対して移動可能である第2のジョーと、エンドエフェクタの中央部の高温ゾーンと、エンドエフェクタの左側部の第1の冷却ゾーンと、エンドエフェクタの右側部の第2の冷却ゾーンと、第1のジョーと第2のジョーとの間に画定された細長いスロットであって、細長いスロットが、細長いスロット内に切断部材を摺動可能に受容して、第1のジョーと第2のジョーとの間に位置する組織を切断するように構成され、エンドエフェクタの中央部に位置する、細長いスロットと、
を備え、第1のジョーが、
高温ゾーン内の第1の絶縁層であって、細長いスロットの左側にある、第1の絶縁層と、高温ゾーン内の第2の絶縁層であって、細長いスロットの右側にある、第2の絶縁層と、第1の絶縁層上の第1の電極層と、第2の絶縁層上の第2の電極層であって、第1の電極層及び第2の電極層が、高温ゾーン内の組織に電気外科エネルギーを直接印加するように構成されている、第2の電極層と、第1の冷却ゾーン内の第1のヒートシンク層と、
第2の冷却ゾーン内の第2のヒートシンク層と、
を備え、第1のヒートシンク層及び第2のヒートシンク層が、第1及び第2の冷却ゾーン内の組織を冷却して、横方向の熱拡散を最小限に抑えるように構成されている、外科用器具。
【0107】
実施例2.第1及び第2のヒートシンク層のそれぞれが、熱伝導性セラミック材料を含む、実施例1に記載の外科用器具。
【0108】
実施例3.第1の電極層及び第2の電極層のそれぞれが直接接触する金属電極を含む、1つ以上の実施例1~実施例2の外科用器具。
【0109】
実施例4.第1の電極層及び第2の電極層のそれぞれが、フレックス回路を更に含み、直接接触する金属電極がフレックス回路上に蒸着される、実施例3に記載の外科用器具。
【0110】
実施例5.第1のヒートシンク層及び第2のヒートシンク層のそれぞれが組織接触面を備える、1つ以上の実施例1~実施例4の外科用器具。
【0111】
実施例6.第1の電極層及び第2の電極層のそれぞれが、第1のヒートシンク層及び第2のヒートシンク層の組織接触面と比較して高くなり、これにより、エンドエフェクタが、第1のヒートシンク層及び第2のヒートシンク層の組織接触面によって組織に印加される圧力よりも大きい圧力を、高温ゾーン内の第1の電極層及び第2の電極層によって組織に印加することができる、実施例5に記載の外科用器具。
【0112】
実施例7.第1の絶縁層及び第2の絶縁層が、熱及び電気非伝導性材料を含む、1つ以上の実施例1~実施例6の外科用器具。
【0113】
実施例8.第1の絶縁層が、第1の電極層に面する第1の面と、細長いスロットに面する第2の面とを含み、第1の面及び第2の面が第1の縁部を画定し、第1の縁部が、蒸気が逃がすように面取りされている、1つ以上の実施例1~実施例7の外科用器具。
【0114】
実施例9.第2の絶縁層が、第2の電極層に面する第3の面と、細長いスロットに面する第4の面とを含み、第3の面及び第4の面が第2の縁部を画定し、第2の縁部が、蒸気を逃がすように面取りされている、実施例8に記載の外科用器具。
【0115】
実施例10.第1のジョーが、第1及び第2のヒートシンク層の下にチャネルを更に備える、1つ以上の実施例1~実施例9の外科用器具。
【0116】
実施例11.チャネルが熱伝導性金属材料を含み、チャネルが第1及び第2のヒートシンク層と直接接触して、第1及び第2の冷却ゾーン内の組織の冷却を促進する、実施例10に記載の外科用器具。
【0117】
実施例12.外科用器具であって、
エンドエフェクタであって、
第1のジョーと、第1のジョーに対して移動可能である第2のジョーと、エンドエフェクタの中央部の高温ゾーンと、エンドエフェクタの左側部の第1の冷却ゾーンと、エンドエフェクタの右側部の第2の冷却ゾーンと、
エンドエフェクタの遠位端の切開具先端部と、
を備える、エンドエフェクタと、
第1のジョーと第2のジョーとの間に画定された細長いスロットであって、細長いスロットが、細長いスロット内にブレードを摺動可能に受容して、第1のジョーと第2のジョーとの間に位置する組織を切断するように構成され、エンドエフェクタの中央部に位置する、細長いスロットと、
を備え、第1のジョーが、
高温ゾーン内の第1の絶縁層であって、細長いスロットの左側にある、第1の絶縁層と、高温ゾーン内の第2の絶縁層であって、細長いスロットの右側にある、第2の絶縁層と、第1の絶縁層上の第1の電極層と、第2の絶縁層上の第2の電極層であって、第1の電極層及び第2の電極層が、高温ゾーン内の組織に電気外科エネルギーを直接印加するように構成され、第1の電極層及び第2の電極層のそれぞれが、直接接触する金属電極を含む、第2の電極層と、第1の冷却ゾーン内の第1のヒートシンク層と、
第2の冷却ゾーン内の第2のヒートシンク層と、
を備え、第1のヒートシンク層及び第2のヒートシンク層が、第1及び第2の冷却ゾーン内の組織を冷却して、横方向の熱拡散を最小限に抑えるように構成されている、外科用器具。
【0118】
実施例13.第1及び第2のヒートシンク層のそれぞれが、熱伝導性セラミック材料を含む、実施例12に記載の外科用器具。
【0119】
実施例14.第1の電極層及び第2の電極層のそれぞれが、フレックス回路を更に含み、直接接触する金属電極がフレックス回路上に蒸着されている、1つ以上の実施例12~実施例12に記載の外科用器具。
【0120】
実施例15.第1のヒートシンク層及び第2のヒートシンク層のそれぞれが組織接触面を備える、1つ以上の実施例12~実施例14に記載の外科用器具。
【0121】
実施例16.第1の電極層及び第2の電極層のそれぞれが、第1のヒートシンク層及び第2のヒートシンク層の組織接触面と比較して高くなり、これにより、エンドエフェクタが、第1のヒートシンク層及び第2のヒートシンク層の組織接触面によって組織に印加される圧力よりも大きい圧力を、高温ゾーン内の第1の電極層及び第2の電極層によって組織に印加することができる、実施例15に記載の外科用器具。
【0122】
実施例17.第1の絶縁層及び第2の絶縁層が、熱及び電気非伝導性材料を含む、1つ以上の実施例12~実施例16の外科用器具。
【0123】
実施例18.第1の絶縁層が、第1の電極層に面する第1の面と、細長いスロットに面する第2の面とを含み、第1の面及び第2の面は、第1の縁部を画定し、第1の縁部が、蒸気を逃がすように面取りされている、1つ以上の実施例12~実施例17の外科用器具。
【0124】
実施例19.第1のジョーが、第1及び第2のヒートシンク層の下にチャネルを更に備える、1つ以上の実施例12~実施例18に記載の外科用器具。
【0125】
実施例20.チャネルが熱伝導性金属材料を含み、チャネルが第1及び第2のヒートシンク層と直接接触して、第1及び第2の冷却ゾーン内の組織の冷却を促進する、実施例19に記載の外科用器具。
【0126】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
エンドエフェクタであって、
第1のジョーと、
前記第1のジョーに対して移動可能である第2のジョーと、
前記エンドエフェクタの中央部の高温ゾーンと、
前記エンドエフェクタの左側部の第1の冷却ゾーンと、
前記エンドエフェクタの右側部の第2の冷却ゾーンと、
を備える、エンドエフェクタと、
前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に画定された細長いスロットであって、前記細長いスロットが、前記細長いスロット内に切断部材を摺動可能に受容して、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に位置する組織を切断するように構成され、前記エンドエフェクタの前記中央部に位置する、細長いスロットと、
を備え、
前記第1のジョーが、
前記高温ゾーン内の第1の絶縁層であって、前記細長いスロットの左側にある、第1の絶縁層と、
前記高温ゾーン内の第2の絶縁層であって、前記細長いスロットの右側にある、第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上の第1の電極層と、
前記第2の絶縁層上の第2の電極層であって、前記第1の電極層及び前記第2の電極層が、前記高温ゾーン内の前記組織に電気外科エネルギーを直接印加するように構成されている、第2の電極層と、
前記第1の冷却ゾーン内の第1のヒートシンク層と、
前記第2の冷却ゾーン内の第2のヒートシンク層と、
を備え、前記第1のヒートシンク層及び前記第2のヒートシンク層が、前記第1及び第2の冷却ゾーン内の前記組織を冷却して、横方向の熱拡散を最小限に抑えるように構成されている、外科用器具。
(2) 前記第1及び第2のヒートシンク層のそれぞれが、熱伝導性セラミック材料を含む、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記第1の電極層及び前記第2の電極層のそれぞれが、直接接触する金属電極(direct contact metal electrode)を含む、実施態様1に記載の外科用器具。
(4) 前記第1の電極層及び前記第2の電極層のそれぞれが、フレックス回路を更に含み、前記直接接触する金属電極が前記フレックス回路上に蒸着されている、実施態様3に記載の外科用器具。
(5) 前記第1のヒートシンク層及び前記第2のヒートシンク層のそれぞれが、組織接触面を備える、実施態様1に記載の外科用器具。
【0127】
(6) 前記第1の電極層及び前記第2の電極層のそれぞれが、前記第1のヒートシンク層及び前記第2のヒートシンク層の前記組織接触面と比較して高くなり、これにより、前記エンドエフェクタが、前記第1のヒートシンク層及び前記第2のヒートシンク層の前記組織接触面によって前記組織に印加される圧力よりも大きい圧力を、前記高温ゾーン内の前記第1の電極層及び前記第2の電極層によって前記組織に印加することができる、実施態様5に記載の外科用器具。
(7) 前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層が、熱及び電気非伝導性材料を含む、実施態様1に記載の外科用器具。
(8) 前記第1の絶縁層が、前記第1の電極層に面する第1の面と、前記細長いスロットに面する第2の面とを含み、前記第1の面及び前記第2の面が、第1の縁部を画定し、前記第1の縁部が、蒸気を逃がすように面取りされている、実施態様1に記載の外科用器具。
(9) 前記第2の絶縁層が、前記第2の電極層に面する第3の面と、前記細長いスロットに面する第4の面とを含み、前記第3の面及び前記第4の面が、第2の縁部を画定し、前記第2の縁部が、前記蒸気を逃がすように面取りされている、実施態様8に記載の外科用器具。
(10) 前記第1のジョーが、前記第1のヒートシンク層及び前記第2のヒートシンク層の下にチャネルを更に備える、実施態様1に記載の外科用器具。
【0128】
(11) 前記チャネルが、熱伝導性金属材料を含み、前記チャネルが前記第1及び第2のヒートシンク層と直接接触して、前記第1及び第2の冷却ゾーン内の前記組織の冷却を促進する、実施態様10に記載の外科用器具。
(12) 外科用器具であって、
エンドエフェクタであって、
第1のジョーと、
前記第1のジョーに対して移動可能である第2のジョーと、
前記エンドエフェクタの中央部内の高温ゾーンと、
前記エンドエフェクタの左側部の第1の冷却ゾーンと、
前記エンドエフェクタの右側部の第2の冷却ゾーンと、
前記エンドエフェクタの遠位端の切開具先端部と、
を備える、エンドエフェクタと、
前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に画定された細長いスロットであって、前記細長いスロットが、前記細長いスロット内にブレードを摺動可能に受容して、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に位置する組織を切断するように構成され、前記エンドエフェクタの前記中央部に位置する、細長いスロットと、
を備え、
前記第1のジョーが、
前記高温ゾーン内の第1の絶縁層であって、前記細長いスロットの左側にある、第1の絶縁層と、
前記高温ゾーン内の第2の絶縁層であって、前記細長いスロットの右側にある、第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上の第1の電極層と、
前記第2の絶縁層上の第2の電極層であって、前記第1の電極層及び前記第2の電極層が、前記高温ゾーン内の前記組織に電気外科エネルギーを直接印加するように構成され、前記第1の電極層及び前記第2の電極層のそれぞれが、直接接触する金属電極を含む、第2の電極層と、
前記第1の冷却ゾーン内の第1のヒートシンク層と、
前記第2の冷却ゾーン内の第2のヒートシンク層と、
を備え、前記第1のヒートシンク層及び前記第2のヒートシンク層が、前記第1及び第2の冷却ゾーン内の前記組織を冷却して、横方向の熱拡散を最小限に抑えるように構成されている、外科用器具。
(13) 前記第1及び第2のヒートシンク層のそれぞれが、熱伝導性セラミック材料を含む、実施態様12に記載の外科用器具。
(14) 前記第1の電極層及び前記第2の電極層のそれぞれが、フレックス回路を更に含み、前記直接接触する金属電極が前記フレックス回路上に蒸着されている、実施態様12に記載の外科用器具。
(15) 前記第1のヒートシンク層及び前記第2のヒートシンク層のそれぞれが、組織接触面を備える、実施態様12に記載の外科用器具。
【0129】
(16) 前記第1の電極層及び前記第2の電極層のそれぞれが、前記第1のヒートシンク層及び前記第2のヒートシンク層の前記組織接触面と比較して高くなり、これにより、前記エンドエフェクタが、前記第1のヒートシンク層及び前記第2のヒートシンク層の前記組織接触面によって前記組織に印加される圧力よりも大きい圧力を、前記高温ゾーン内の前記第1の電極層及び前記第2の電極層によって前記組織に印加することができる、実施態様15に記載の外科用器具。
(17) 前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層が、熱及び電気非伝導性材料を含む、実施態様12に記載の外科用器具。
(18) 前記第1の絶縁層が、前記第1の電極層に面する第1の面と、前記細長いスロットに面する第2の面とを含み、前記第1の面及び前記第2の面が、第1の縁部を画定し、前記第1の縁部が、蒸気を逃がすように面取りされている、実施態様12に記載の外科用器具。
(19) 前記第1のジョーが、前記第1及び第2のヒートシンク層の下にチャネルを更に備える、実施態様12に記載の外科用器具。
(20) 前記チャネルが、熱伝導性金属材料を含み、前記チャネルが前記第1及び第2のヒートシンク層と直接接触して、前記第1及び第2の冷却ゾーン内の前記組織の冷却を促進する、実施態様19に記載の外科用器具。
図1
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