IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キャムテック リミテッドの特許一覧

特許7146857ディープラーニングに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するための方法およびシステム
<>
  • 特許-ディープラーニングに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するための方法およびシステム 図1
  • 特許-ディープラーニングに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するための方法およびシステム 図2
  • 特許-ディープラーニングに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するための方法およびシステム 図3
  • 特許-ディープラーニングに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するための方法およびシステム 図4
  • 特許-ディープラーニングに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するための方法およびシステム 図5A
  • 特許-ディープラーニングに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するための方法およびシステム 図5B
  • 特許-ディープラーニングに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するための方法およびシステム 図6A
  • 特許-ディープラーニングに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するための方法およびシステム 図6B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】ディープラーニングに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20220927BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220927BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G06T7/00 350C
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020126825
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2021174980
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】63/015,101
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/932,717
(32)【優先日】2020-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520278952
【氏名又は名称】キャムテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ブザグロ,ダニエル アイザック
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-124591(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0188840(US,A1)
【文献】特開2001-135692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G06T 7/00
G01N 21/00
G01N 21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハの欠陥を分類および検査するコンピュータ実装方法であって、
1つ以上のイメージングユニットを提供することと、
計算ユニットを提供することと、
前記1つ以上のイメージングユニットによって検査中の半導体ウェーハ上の1つ以上のダイから撮影された複数の画像を受信することであって、前記複数の画像は複数のイメージングモダリティを用いて取り込まれることと、
1つ以上の機械学習(ML)モデルを提供することであって、前記1つ以上のMLモデルは前記計算ユニットに関連づけられた少なくともコンピュータプロセッサ、データベースおよびメモリに関連づけられていることと、
前記複数の画像を複数のMLモデルから前記1つ以上の(ML)モデルに提供することであって、前記コンピュータプロセッサは前記半導体ウェーハに存在する1つ以上の欠陥を特定して1つ以上の欠陥クラスに分類し、前記複数のMLモデルは有向非巡回グラフ(DAG)アーキテクチャで構成されており、前記DAGアーキテクチャ内の各ノードはMLモデルを表し、前記1つ以上のMLモデルは前記DAGアーキテクチャ内のルートノードとして構成されていることと
を含み、
前記複数のMLモデルは前記半導体ウェーハ内の1つ以上のダイの1つ以上の欠陥を分類するようにトレーニングされるように構成されており、前記トレーニングは、
前記データベースに記憶されている、前記半導体ウェーハの複数のラベル付けされた画像および複数の参照画像を複数のMLモデルから前記1つ以上のMLモデルに提供することと、
前記複数の参照画像のうちの対応する参照画像を用いて前記複数のラベル付けされた画像を1つ以上の欠陥クラスに分類するように前記複数のMLモデルの各MLモデルを構成することと、
前記1つ以上の欠陥クラスを記憶することと、
前記1つ以上のダイをイメージングすることによって半導体ウェーハ上に含まれる1つ以上のダイを欠陥について検査することと、
前記1つ以上のダイの画像を前記1つ以上の欠陥クラスのうちの任意の1つ以上に一致させることを試みることと、
前記1つ以上のダイと前記1つ以上の欠陥クラスとの間に一致が存在する場合に前記1つ以上の一致するダイを欠陥として分類することと、
前記1つ以上の欠陥ダイの特定を伝送して欠陥として拒絶することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上のMLモデルには前記複数のイメージングモダリティのうちの1つのイメージングモダリティに属する複数の画像および複数のラベル付けされた画像が提供されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のMLモデルはそれぞれ、教師ありモデル、半教師ありモデルおよび教師なしモデルのうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のモダリティは、X線イメージング、内部亀裂イメージング(ICI)、グレースケールイメージング、白黒イメージングおよびカラーイメージングのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のMLモデルはディープラーニングモデルである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のラベル付けされた画像は前記1つ以上の欠陥クラスに関するラベルを含み、
前記複数のラベル付けされた画像はラベル付けモデルを用いて生成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載方法を実施するように構成された、1つ以上のプロセッサおよびメモリを備える計算ユニット。
【請求項8】
半導体ウェーハの欠陥を分類する方法であって、前記方法は、
1つ以上のイメージングユニットによって検査中の半導体ウェーハの複数の画像を取り込むことであって、前記複数の画像は複数のイメージングモダリティを用いて取り込まれることと、
前記複数の画像を複数の機械学習(ML)モデルのうちの1つ以上のMLモデルに提供し、前記半導体ウェーハ内の1つ以上の欠陥を特定して1つ以上の欠陥クラスに分類することであって、前記複数のMLモデルは有向非巡回グラフ(DAG)アーキテクチャで構成されており、前記DAGアーキテクチャ内の各ノードはMLモデルを表し、前記1つ以上のMLモデルは前記DAGアーキテクチャ内のルートノードとして構成されていることと
を含み、
前記複数のMLモデルは前記半導体ウェーハ内の1つ以上の欠陥を分類するようにトレーニングされており、前記トレーニングは、
前記複数のMLモデルから前記1つ以上のMLモデルにデータベースに記憶されている、前記半導体ウェーハの複数のラベル付けされた画像および複数の参照画像を提供することと、
前記複数の参照画像のうちの対応する参照画像を用いて前記複数のラベル付けされた画像を1つ以上の欠陥クラスに分類するように前記複数のMLモデルの各MLモデルを構成することと
を含む、方法。
【請求項9】
前記1つ以上のMLモデルには前記複数のイメージングモダリティのうちの1つのイメージングモダリティに属する複数の画像および複数のラベル付けされた画像が提供されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のMLモデルはそれぞれ、教師ありモデル、半教師ありモデルおよび教師なしモデルのうちの1つである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のモダリティは、X線イメージング、内部亀裂イメージング(ICI)、グレースケールイメージング、白黒イメージングおよびカラーイメージングのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のMLモデルはそれぞれディープラーニングモデルである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のラベル付けされた画像は前記1つ以上の欠陥クラスに関するラベルを含み、前記複数のラベル付けされた画像は前記半導体ウェーハの履歴画像を用いて生成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
後期融合技術または初期融合技術のうちの1つあるいはハイブリッド融合技術を使用して前記複数のモダリティから抽出された特徴を組み合わせる、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のMLモデルのそれぞれからの分類情報を用いて前記複数の画像を前記1つ以上の欠陥クラスに正確に分類することを含む後処理をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のMLモデルの出力情報に基づいて前記複数の画像を前記1つ以上の欠陥クラスに正確に分類することを含む後処理をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
半導体ウェーハの欠陥を分類および検査するためのシステムであって、前記システムは、
1つ以上のイメージングユニットによって検査中の半導体ウェーハ上の1つ以上のダイの複数の画像を取り込むように構成された1つ以上のイメージングユニットであって、前記複数の画像は複数のイメージングモダリティを用いて取り込まれる1つ以上のイメージングユニットと、
計算ユニットであって、前記計算ユニットは、少なくともコンピュータプロセッサ、データベースおよびメモリを備え、かつ、前記複数の画像を複数の機械学習(ML)モデルのうちの1つ以上のMLモデルに提供し、前記半導体ウェーハ上の1つ以上のダイにおける1つ以上の欠陥を特定して1つ以上の欠陥クラスに分類するように構成されており、前記複数のMLモデルは有向非巡回グラフ(DAG)アーキテクチャで構成されており、前記DAGアーキテクチャ内の各ノードはMLモデルを表し、前記1つ以上のMLモデルは前記DAGアーキテクチャ内のルートノードとして構成されている、計算ユニットと、
を備え、
前記複数のMLモデルは前記半導体ウェーハ内の1つ以上のダイの1つ以上の欠陥を分類するようにトレーニングされるように構成されており、前記計算ユニットは、
前記データベースに記憶されている、前記半導体ウェーハの複数のラベル付けされた画像および複数の参照画像を前記複数のMLモデルから前記1つ以上のMLモデルに提供し、
前記複数の参照画像のうちの対応する参照画像を用いて前記複数のラベル付けされた画像を1つ以上の欠陥クラスに分類するように前記複数のMLモデルの各MLモデルを構成し、
前記欠陥クラスを記憶し、かつ1つ以上のダイと前記1つ以上の欠陥クラスとの一致の存在に応じて検査中の1つ以上のダイをそれぞれ拒絶または承認する
ように構成されている、システム。
【請求項18】
前記1つ以上のイメージングユニットは、自動光学検査(AOI)装置、自動X線検査(AXI)装置、Joint Test Action Group(JTAG)装置および回路内試験(ICT)装置のうちの少なくとも1つを備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記計算ユニットは、ラベル付けモデルから前記1つ以上の欠陥クラスに関するラベルを含む前記複数のラベル付けされた画像を受信し、前記ラベル付けモデルは前記半導体ウェーハの履歴画像を用いて前記複数のラベル付けされた画像を生成する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
後期融合技術または初期融合技術のうちの1つあるいはハイブリッド融合技術を使用して前記複数のモダリティから抽出された特徴を組み合わせる、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記計算ユニットは、前記複数のMLモデルの出力を後処理するようにさらに構成されており、前記計算ユニットは前記複数のMLモデルのそれぞれからの分類情報を用いて前記複数の画像を前記1つ以上の欠陥クラスに正確に分類する、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年4月24日に出願された米国仮出願第63/015,101号の利点および優先権を主張する。
【0002】
本開示は一般に、半導体用途のためのニューラルネットワークに関する。特に本開示は、限定されるものではないが、ディープラーニングネットワークに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
一般に半導体基板(すなわちウェーハ)製作技術は、半導体デバイスの益々多くの特徴および複数のレベルを半導体ウェーハのより小さい表面積に組み込むために常に改良されている。従って、益々多くの特徴を半導体ウェーハのより小さい表面積の中に組み込むのを可能にするために(すなわち、より高性能の半導体ウェーハを達成するために)より精緻なフォトリソグラフィー/リソグラフィープロセスを半導体ウェーハ製作のために使用することができる。従って半導体ウェーハ上の潜在的な欠陥のサイズは、益々多くの特徴が組み込まれているためにミクロンからサブミクロンの範囲になる場合がある。またウェーハの欠陥は、例えばウェーハの実質的かつ物理的現象から生じる欠陥や誤ったイベント/ニューサンス欠陥であってもよい(すなわち、ニューサンスはウェーハ上の凹凸または誤った欠陥であってもよいが重要な欠陥ではない)。
【0004】
従来通りに半導体ウェーハの欠陥は、高倍率光学系または走査電子顕微鏡(SEM)のうちの少なくとも1つを用いてウェーハのより高解像度の画像を得ることに基づいて検査することができる。ウェーハの欠陥のより高解像度の画像は、厚さ、粗さおよびサイズなどの欠陥の異なるパラメータを決定するために生成することができる。さらに従来のシステムは、物理的バージョンのウェーハ全体を多様なエネルギー源(例えば光または電子)で走査し、それにより物理的バージョンのウェーハの実際の画像を生成するように構成することができるイメージングシステムを開示している。また異常検出および欠陥分類のために欠陥画像を参照画像と比較することにより欠陥領域を決定することができる。従来のシステムはウェーハにおける異常検出および欠陥分類のために単一のディープラーニングモデルを使用することができる。しかし従来のシステムは、ウェーハに対応する欠陥画像の異なる側面/モダリティを検討することによりウェーハの欠陥を正確に決定することはできない。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、ディープラーニングネットワークに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するための方法およびシステムを提供する。本明細書中の実施形態は、分類決定を行うためにウェーハ欠陥画像のいくつかのモダリティ間の相乗効果を使用する。さらにモダリティの混合を追加することにより、カラー画像、内部亀裂イメージング(ICI)画像、白黒画像などの異なる提供源から情報を得て欠陥画像を分類することができる。モダリティの混合に加えて、参照画像(例えばゴールデンダイ画像)を各モダリティのために使用してもよい。各モダリティ画像に提供される参照画像の利点は、欠陥画像の関連する基礎となるリソグラフィーではなく欠陥それ自体に集中することにある。さらに参照画像をディープラーニングモデルのトレーニングプロセスに提供してもよく、これはディープラーニングモデルの収束のために必要とされるラベル付けされた画像の数およびトレーニングエポック(すなわち、全データセットをディープラーニングニューラルネットワーク内でフォワードおよびバックワードの両方に通す場合)を著しく減少させることができる。
【0006】
本明細書中の実施形態はディープラーニングモデルの組み合わせとして有向非巡回グラフ(DAG)を利用することができ、かつ各ディープラーニングは欠陥ウェーハ画像を用いて問題の異なる態様またはウェーハの欠陥の異なるモダリティを処理することができる。さらにディープラーニングモデルごとに、任意の数のモデルおよび複数の異なる画像を有するDAGを作り出すことができる。さらに後処理決定モジュールは、欠陥が調査される画像の2つの態様および欠陥が調査される画像の得られたラベルなどのパラメータ、DAGの各ディープラーニングモデルからの値、および欠陥の計測情報(メタデータ)またはスキャナ装置において以前に収集された計測情報(メタデータ)を組み合わせるように構成されていてもよい。ディープラーニングモデルを含むDAGは、ディープラーニングネットワークに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を正確に分類するために使用することができる。
【0007】
本開示において開示されている特徴は、製作中にウェーハ欠陥画像の複数のモダリティを分析することにより欠陥を正確に検出し、かつウェーハの欠陥を分類するのを助ける。
【0008】
一態様では、半導体ウェーハの欠陥を分類および検査するコンピュータ実装方法は、1つ以上のイメージングユニットを提供することと、計算ユニットを提供することと、1つ以上のイメージングユニットによって検査中の半導体ウェーハ上の1つ以上のダイから撮影された複数の画像を受信することであって、複数の画像は複数のイメージングモダリティを用いて取り込まれることと、1つ以上の機械学習(ML)モデルを提供することであって、1つ以上のMLモデルは計算ユニットに関連づけられた少なくともコンピュータプロセッサ、データベースおよびメモリに関連づけられていることと、複数の画像を複数のMLモデルから1つ以上の(ML)モデルに提供し、コンピュータプロセッサは半導体ウェーハに存在する1つ以上の欠陥を特定して1つ以上の欠陥クラスに分類することであって、複数のMLモデルは有向非巡回グラフ(DAG)アーキテクチャで構成されており、DAGアーキテクチャ内の各ノードはMLモデルを表し、1つ以上のMLモデルはDAGアーキテクチャ内のルートノードとして構成されていることとを含み、複数のMLモデルは半導体ウェーハ内の1つ以上のダイの1つ以上の欠陥を分類するようにトレーニングされるように構成されており、当該トレーニングは、データベースに記憶されている、半導体ウェーハの複数のラベル付けされた画像および複数の参照画像を複数のMLモデルのうちの1つ以上のMLモデルに提供することと、複数の参照画像のうちの対応する参照画像を用いて複数のラベル付けされた画像を1つ以上の欠陥クラスに分類するように複数のMLモデルの各MLモデルを構成することと、1つ以上の欠陥クラスを記憶することと、1つ以上のダイをイメージングすることによって半導体ウェーハ上に含まれる1つ以上のダイを欠陥について検査することと、1つ以上のダイの画像を1つ以上の欠陥クラスのうちの任意の1つ以上に一致させることを試みることと、1つ以上のダイと1つ以上の欠陥クラスとの間に一致が存在する場合に1つ以上の一致するダイを欠陥として分類することと、1つ以上の欠陥ダイの特定を伝送して欠陥として拒絶することとを含む。
【0009】
別の態様では、1つ以上のMLモデルには複数のイメージングモダリティのうちの1つのイメージングモダリティに属する複数の画像および複数のラベル付けされた画像が提供されている。さらに複数のMLモデルはそれぞれ、教師ありモデル、半教師ありモデルおよび教師なしモデルのうちの1つである。
【0010】
さらなる態様では、複数のモダリティは、X線イメージング、内部亀裂イメージング(ICI)、グレースケールイメージング、白黒イメージングおよびカラーイメージングのうちの少なくとも1つを含む。さらに複数のMLモデルはディープラーニングモデルである。
【0011】
さらに別の態様では、複数のラベル付けされた画像は1つ以上の欠陥クラスに関するラベルを含み、複数のラベル付けされた画像はラベル付けモデルを用いて生成されている。
【0012】
さらなる態様では、本発明の計算ユニットは上記方法工程を実施するように構成された1つ以上のプロセッサおよびメモリを備える。
【0013】
一態様では、半導体ウェーハの欠陥を分類する方法は、1つ以上のイメージングユニットによって検査中の半導体ウェーハの複数の画像を取り込むことであって、複数の画像は複数のイメージングモダリティを用いて取り込まれることと、複数の画像を複数の機械学習(ML)モデルのうちの1つ以上のMLモデルに提供し、半導体ウェーハ内の1つ以上の欠陥を特定して1つ以上の欠陥クラスに分類することであって、複数のMLモデルは有向非巡回グラフ(DAG)アーキテクチャで構成されており、DAGアーキテクチャ内の各ノードはMLモデルを表し、1つ以上のMLモデルはDAGアーキテクチャ内のルートノードとして構成されていることとを含み、複数のMLモデルは半導体ウェーハ内の1つ以上の欠陥を分類するようにトレーニングされており、当該トレーニングは、データベースに記憶されている、半導体ウェーハの複数のラベル付けされた画像および複数の参照画像を複数のMLモデルのうちの1つ以上のMLモデルに提供することと、複数の参照画像のうちの対応する参照画像を用いて複数のラベル付けされた画像を1つ以上の欠陥クラスに分類するように複数のMLモデルの各MLモデルを構成することとを含む。
【0014】
別の態様では、1つ以上のMLモデルには複数のイメージングモダリティのうちの1つのイメージングモダリティに属する複数の画像および複数のラベル付けされた画像が提供されている。さらに複数のMLモデルはそれぞれ、教師ありモデル、半教師ありモデルおよび教師なしモデルのうちの1つである。複数のモダリティは、X線イメージング、内部亀裂イメージング(ICI)、グレースケールイメージング、白黒イメージングおよびカラーイメージングのうちの少なくとも1つを含む。複数のMLモデルはそれぞれディープラーニングモデルである。
【0015】
なおさらなる態様では、複数のラベル付けされた画像は1つ以上の欠陥クラスに関するラベルを含み、複数のラベル付けされた画像は半導体ウェーハの履歴画像を用いて生成されている。後期融合技術または初期融合技術のうちの1つあるいはハイブリッド融合技術を使用して複数のモダリティから抽出された特徴を組み合わせる。複数のMLモデルのそれぞれからの分類情報を用いて複数の画像を1つ以上の欠陥クラスに正確に分類することを含む後処理ことをさらに含む。
【0016】
一態様では、半導体ウェーハの欠陥を分類および検査するためのシステムは、1つ以上のイメージングユニットによって検査中の半導体ウェーハ上の1つ以上のダイの複数の画像を取り込むように構成された1つ以上のイメージングユニットであって、複数の画像は複数のイメージングモダリティを用いて取り込まれる1つ以上のイメージングユニットと、少なくともコンピュータプロセッサ、データベースおよびメモリを備え、かつ複数の画像を複数の機械学習(ML)モデルのうちの1つ以上のMLモデルに提供し、半導体ウェーハ上の1つ以上のダイにおける1つ以上の欠陥を特定して1つ以上の欠陥クラスに分類するように構成された計算ユニットであって、複数のMLモデルは有向非巡回グラフ(DAG)アーキテクチャで構成されており、DAGアーキテクチャ内の各ノードはMLモデルを表し、1つ以上のMLモデルはDAGアーキテクチャ内のルートノードとして構成されている計算ユニットとを備え、複数のMLモデルは半導体ウェーハ内の1つ以上のダイの1つ以上の欠陥を分類するようにトレーニングされるように構成されており、計算ユニットは、データベースに記憶されている、半導体ウェーハの複数のラベル付けされた画像および複数の参照画像を複数のMLモデルのうちの1つ以上のMLモデルに提供し、複数の参照画像のうちの対応する参照画像を用いて複数のラベル付けされた画像を1つ以上の欠陥クラスに分類するように複数のMLモデルの各MLモデルを構成し、かつ次いで欠陥クラスを記憶し、かつ1つ以上のダイと1つ以上の欠陥クラスとの一致の存在に応じて検査中の1つ以上のダイをそれぞれ拒絶または承認するように構成されている。
【0017】
別の態様では、1つ以上のイメージングユニットは、自動光学検査(AOI)装置、自動X線検査(AXI)装置、Joint Test Action Group(JTAG)装置、および回路内試験(ICT)装置のうちの少なくとも1つを備える。さらに計算ユニットは、ラベル付けモデルから1つ以上の欠陥クラスに関するラベルを含む複数のラベル付けされた画像を受信し、ラベル付けモデルは半導体ウェーハの履歴画像を用いて複数のラベル付けされた画像を生成する。
【0018】
さらに別の態様では、後期融合技術または初期融合技術のうちの1つあるいはハイブリッド融合技術を使用して複数のモダリティから抽出された特徴を組み合わせる。計算ユニットは、複数のMLモデルの出力を後処理するようにさらに構成されており、計算ユニットは複数のMLモデルのそれぞれからの分類情報を用いて複数の画像を1つ以上の欠陥クラスに正確に分類する。
【0019】
本開示の実施形態それ自体ならびにその好ましい使用形態、さらなる目的および利点は、添付の図面と共に解釈される場合に例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって最も良く理解される。1つ以上の実施形態について添付の図面を参照しながら単なる一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示のいくつかの実施形態に係る、ディープラーニングネットワークに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するためのシステムのブロック図を示す。
図2】本開示のいくつかの実施形態に係る、ウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するためのディープラーニングモデルのうちの1つとして使用することができるマルチモーダル後期融合ディープラーニングモデルのブロック図を示す。
図3】本開示のいくつかの実施形態に係る、ウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するためのディープラーニングモデルのうちの1つとして使用することができるマルチモーダルハイブリッド融合ディープラーニングモデルのブロック図を示す。
図4】本開示のいくつかの実施形態に係る、ウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するためのディープラーニングモデルのうちの1つとして使用することができるマルチモーダル初期融合ディープラーニングモデルのブロック図を示す。
図5a】本開示のいくつかの実施形態に係る、一連のディープラーニングモデルを用いたDAGトポロジの概略図を示す。
図5b】本開示のいくつかの実施形態に係る、DAGにおけるフローパスを定めるディープラーニングモデルのそれぞれからの例示的な得られたラベルの概略図を示す。
図6a】本開示のいくつかの実施形態に係る、ディープラーニングネットワークに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するための方法を示すフローである。
図6b】本開示のいくつかの実施形態に係る、ウェーハ欠陥画像の欠陥メタデータが電子装置に記憶されていない場合に欠陥のメタデータを表す特徴を計算するための方法を示すフローチャートである。
【0021】
上記図は本開示の実施形態を例示のためにのみ示すものである。当業者であれば以下の説明から、本明細書に記載されている開示の原理から逸脱することなく本明細書中に示されている構造および方法の他の実施形態を用いることができることを容易に認識するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上記は、以下の本開示の詳細な説明をより良く理解することができるようにするために本開示の特徴および技術的利点を大まかに概説したものである。開示されている概念および具体的な実施形態を本開示の同じ目的を実施するために修正するか他の構造を設計するための基礎として容易に利用できることが当業者によって理解されるはずである。
【0023】
その編成および動作方法の両方に関する本開示の特徴であると考えられる新規な特徴は、さらなる目的および利点と共に、添付の図に関連して考察した場合に以下の説明からより良く理解されるであろう。但しこれらの図はそれぞれ例示および説明のためにのみ提供されており、本開示の限界の定義として意図されていないことは明白に理解されるはずである。
【0024】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に係る、ディープラーニングネットワークに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するためのシステム100のブロック図を示す。
【0025】
本開示全体を通して使用される「ウェーハ」という用語は一般に、半導体もしくは非半導体材料から形成された基板を指す。例えば半導体もしくは非半導体材料としては、限定されるものではないが、単結晶シリコン、ヒ化ガリウムおよびリン化インジウムなどが挙げられる。ウェーハは1つ以上の層を含んでいてもよく、そのような層としては例えば限定されるものではないが、レジスト、誘電材料、導電材料および半導電材料などが挙げられる。例えばウェーハ上に形成されている1つ以上の層はパターン形成されていてもパターン形成されていなくてもよい。例えばウェーハは、それぞれが繰り返し可能なパターン形成された特徴を有する複数のダイを含んでいてもよい。そのような材料の層の形成および処理により完全なデバイスを得ることができる。さらに本明細書で使用される「表面欠陥」または「欠陥」という用語は、完全にウェーハ(例えば粒子)の上面の上に位置している欠陥および部分的にウェーハの上面の下に位置しているか完全にウェーハの上面の下に位置している欠陥の両方を指す。従って欠陥分類はウェーハなどの半導体材料およびウェーハ上に形成された材料には特に有用であり得る。さらに表面欠陥と表面下欠陥とを区別することは、ベアシリコンウェーハ、絶縁体上のシリコン(SOI)膜、歪みシリコン膜および誘電体膜には特に重要であり得る。本明細書中の実施形態を使用して、炭化シリコン、炭素ドープされた二酸化シリコン、絶縁体上のシリコン(SOI)、歪みシリコンおよびシリコン含有誘電体膜などの、シリコンを含有するかその上に形成されたシリコン含有層を有するウェーハを検査することができる。
【0026】
図1の実施形態では、システム100はイメージング装置102および電子装置104を備える。イメージング装置102は通信ネットワーク106を介して電子装置104に関連づけられている。通信ネットワーク106は有線ネットワークまたは無線ネットワークであってもよい。一例ではイメージング装置102は、限定されるものではないが、自動光学検査(AOI)装置、自動X線検査(AXI)装置、Joint Test Action Group(JTAG)装置および回路内試験(ICT)装置などのうちの少なくとも1つであってもよい。イメージング装置102は、限定されるものではないが、光源108、カメラレンズ110、欠陥検出モジュール112および画像記憶ユニット126のうちの少なくとも1つを備える。例えば、イメージング装置102に関連づけられている欠陥検出モジュール112は、限定されるものではないが、シリコンノジュール(すなわち突起)、引っ掻き傷、汚れならびに開回路、短絡および半田の薄化などの寸法欠陥などのうちの少なくとも1つなどのウェーハの複数の表面特徴欠陥を検出することができる。さらにイメージング装置102は全ての外観検査を行うことができるため、欠陥検出モジュール112は正しくない部品、欠損している部品および不正確に配置された部品を検出することもできる。
【0027】
さらに電子装置104は、限定されるものではないが、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ハンドヘルドデバイス、ファブレット、ラップトップ、コンピュータ、携帯情報端末(PDA)、ウェアラブル計算装置、仮想/拡張表示装置およびIoT装置などのうちの少なくとも1つであってもよい。電子装置104は、記憶ユニット116、プロセッサ118および入力/出力(I/O)インタフェース120をさらに備える。さらに電子装置104はディープラーニングモジュール122を備える。ディープラーニングモジュール122は、電子装置104にイメージング装置102から得られたウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類させる。また電子装置104は、ディープラーニングネットワークを用いてウェーハの欠陥を分類するためのアプリケーション管理フレームワークを備えていてもよい。アプリケーション管理フレームワークは、ディープラーニングネットワークに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類する動作を実行するための異なるモジュールおよびサブモジュールを備えていてもよい。さらに当該モジュールおよびサブモジュールは、ソフトウェアモジュールまたはハードウェアモジュールのうちの少なくとも1つまたはその両方を含むことができる。
【0028】
従って本明細書に記載されている実施形態は、画像ベースのウェーハプロセス制御および歩留まり向上のために構成されている。例えば本明細書中の一実施形態は、ディープラーニングネットワークに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するためのシステムおよび方法に関する。
【0029】
一実施形態では、イメージング装置102は、イメージング装置102内に配置されているウェーハの画像を取り込むように構成されていてもよい。例えば当該画像は、検査画像、光もしくは電子ビーム画像、ウェーハ検査画像、光およびSEMを用いた欠陥レビュー画像、シミュレーション画像および設計レイアウトからの切り抜きなどの画像のうちの少なくとも1つを含んでもよい。さらにイメージング装置102は次いで、取り込まれた画像をイメージング装置102に関連づけられている画像記憶ユニット126に記憶するように構成されていてもよい。一実施形態では、イメージング装置102に通信接続された電子装置104は、イメージング装置102に関連づけられている画像記憶ユニット126に記憶されている画像を取り出すように構成されていてもよい。例えば当該画像は、白黒画像、カラー画像、内部亀裂イメージング(ICI)画像、AOI装置などのイメージング装置102を用いて以前にスキャンされた画像、画像記憶ユニット126または集中型記憶ユニット(図示せず)からの画像およびAOI装置などのイメージング装置102からリアルタイムで得られた画像などを含んでもよい。次いで電子装置104は、外部データベース(図示せず)または電子装置104に関連づけられている記憶ユニット116から、ウェーハの欠陥を含まない検査される画像を含むウェーハの同じスキャンされた領域を表している白黒参照画像、カラー参照画像、ICI参照画像のうちの少なくとも1つに対応する参照画像のうちの少なくとも1つをロードするように構成されている。さらに電子装置104は、関連するモダリティによる参照画像およびウェーハ画像をディープラーニングモジュール122に提供するように構成されている。本開示の一態様では、複数のディープラーニングモデルまたはディープラーニング分類器は、ウェーハの欠陥の異なる種類の分類によりトレーニングされていてもよい。複数のディープラーニングモデルまたはディープラーニング分類器は、限定されるものではないが、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)(例えば、LeNet、AlexNet、VGGNet、GoogleNetおよびResNetなど)、回帰型ニューラルネットワーク(RNN)、敵対的生成ネットワーク(GAN)、ランダムフォレストアルゴリズムおよびオートエンコーダなどのうちの少なくとも1つであってもよい。いくつかのディープラーニングモデルをトレーニングするという目的は、各モデルを欠陥のいくつかのモダリティの相乗効果により進行するように作り出すことができるというものである。従っていくつかのディープラーニングモデルは、類似性および非類似性に基づき欠陥の層により全ての欠陥の分類プロセスを個々にトレーニングするように作り出すことができる。別の例では、トレーニングプロセスおよび分類される画像の数を減らすために、モダリティ画像の各1つに対する参照画像を各ディープラーニングモデルのアーキテクチャに追加してもよい。トレーニングプロセスにおける参照画像は、検査される画像と参照画像との内部関係に関する情報をディープラーニングモジュール122に提供することによりディープラーニング内部パラメータのより速いチューニングまたはトレーニングを可能にする。さらに1つのウェーハのために特定の欠陥を分類するようにトレーニングされたディープラーニングモジュール122は、欠陥が異なるウェーハに現れた場合にトレーニングされた欠陥を動的に分類することができる。従って、トレーニングプロセスは基礎となるリソグラフィーなどの共通のイベントを捨てることができ、かつ実際の欠陥に集中することができる。
【0030】
一例では、ディープラーニングモデルは並列アーキテクチャまたはタンデムアーキテクチャとして接続されていてもよい。さらに電子装置104は、複数のディープラーニングモデルの有向非巡回グラフ(DAG)アーキテクチャを用いてウェーハ画像の分類決定を生成するように構成されていてもよい。例えばトレーニングされた複数のディープラーニングモデルをディープラーニングモジュール122から使用してもよく、かつその後にウェーハ画像欠陥の分類プロセスのために有向非巡回グラフ(DAG)アーキテクチャで接続してもよい。さらに電子装置104は、関連づけられたディレクトリおよびメタデータ結果(すなわち欠陥メタデータ)を含む分類されるウェーハ画像を外部データベースまたは電子装置104に関連づけられている記憶ユニット116に記憶するように構成されていてもよい。
【0031】
別の実施形態では、電子装置104は、外部データベースまたは電子装置104に関連づけられている記憶ユニット116から以前に計算および記憶された欠陥メタデータをロードするように構成されていてもよい。例えばメタデータは限定されるものではないが、欠陥のサイズ、欠陥のヒストグラム、欠陥の最大の色もしくは階調レベル値および欠陥の最小の色もしくは階調レベル値などの欠陥の異なる特徴を含む。電子装置104は、欠陥メタデータが記憶されていない場合に欠陥のメタデータを表す特徴を計算するように構成されていてもよい。次いで電子装置104は、検査される画像、参照画像および欠陥メタデータ(すなわち欠陥のメタデータ特徴)をトレーニングされたディープラーニングモデルに提供するように構成されていてもよい。従って電子装置104は、複数のディープラーニングモデルの有向非巡回グラフ(DAG)アーキテクチャを用いてウェーハ画像の分類決定を生成するように構成されていてもよい。さらに電子装置104は、関連づけられたメタデータ結果(すなわち欠陥メタデータ)を含む分類されるウェーハ画像を電子装置104に関連づけられている記憶ユニット116または外部データベースに記憶するように構成されていてもよい。
【0032】
また当該画像および欠陥メタデータは外部データベース(図示せず)に記憶されていてもよい。例えば外部記憶はディープラーニングモデル/分類器のトレーニングプロセスのために使用されてもよい。一例として外部データベース(または画像記憶ユニット126)に記憶されている画像は、白黒、カラー画像、ICI画像、AOI装置によって以前にスキャンされた画像、ウェーハ欠陥、誤ったイベントおよびニューサンス欠陥を含む画像であってもよい。当該画像は外部データベース(または画像記憶ユニット126)に記憶される前にラベル付けされていてもよい。外部データベース(または画像記憶ユニット126)に記憶されている画像中で発見された各欠陥のために、欠陥画像から抽出されたメタデータ特徴のセットは外部データベース(または画像記憶ユニット126)に記憶される。メタデータ欠陥特徴はユーザまたはAOIスキャナ結果によって提供されてもよい(あるいはメタデータ欠陥特徴は、ディープラーニング分類器のためにデータを取り出すために作り出されてもよい)。さらにカラー参照画像、白黒参照画像および/またはICI参照画像の参照を含む参照画像(例えばゴールデンダイ)は外部データベースに記憶されていてもよい。参照画像は同じウェーハの当該画像である。また外部データベースはディープラーニングモデルのトレーニングプロセスを実施するために使用されてもよい。
【0033】
本明細書中の実施形態は、分類決定のためにウェーハ欠陥画像のいくつかのモダリティ間の相乗効果を使用する。さらにモダリティの混合を追加することにより、カラー画像、ICI、白黒画像などの異なる提供源から情報を得て欠陥画像を分類してもよい。モダリティの混合に加えて、参照画像(例:ゴールデンダイ画像)を各モダリティのために使用してもよい。各モダリティ画像に提供される参照画像の利点は、欠陥画像の関連する基礎となるリソグラフィーではなく欠陥それ自体に集中することにある。この手法は処理パワー、メモリ利用を節約し、かつ時間を節約する。さらに参照画像をディープラーニングモデルのトレーニングプロセスに提供してもよく、これはディープラーニングモデルの収束のために必要とされるラベル付けされた画像の数およびトレーニングエポック(すなわち、全データセットをディープラーニングニューラルネットワーク内でフォワードおよびバックワードの両方に通す場合)を著しく減少させることができる。
【0034】
図2は、本開示のいくつかの実施形態に係る、ウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するためのディープラーニングモデルのうちの1つとして使用することができるマルチモーダル後期融合ディープラーニングモデルのブロック図を示す。
【0035】
一実施形態では、電子装置104は1つの単一のフォワードパスにおいて異なる画像センサによって取得された画像を統合するように構成されたマルチモーダル畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含む。マルチモーダル後期融合ディープラーニングモデルなどのディープラーニングモデルは、第1のディープラーニングモデルを用いたICI画像および第2のディープラーニングモデルを用いたカラー画像などの2つのセンサ画像を利用することができる。さらにマルチモーダルCNNモデルは、カラー画像およびICI画像を別々にエンコードし、かつ図2に示すように両方のCNNモデルの決定を組み合わせるためのCNNモデルを含む。トレーニングされたマルチモーダル後期融合ディープラーニングモデルを各モダリティを処理するために使用して、各モダリティのために別々に決定を行うのを可能にしてもよい。最後に、中央の分類層は別個のモダリティに基づく共通の決定を提供してもよい。
【0036】
図3は、本開示のいくつかの実施形態に係る、ウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するためのディープラーニングモデルのうちの1つとして使用することができるマルチモーダルハイブリッド融合ディープラーニングモデルのブロック図を示す。
【0037】
マルチモーダルハイブリッド融合ディープラーニングモデルなどのマルチモーダルCNNモデルは、カラー画像をエンコードするための第1のCNNモデルおよびICI画像をエンコードするための第2のCNNモデルならびにカラー欠陥画像およびICI欠陥画像の共同表現のための第3のCNNモデルを含んでいてもよい。第3/最後のCNNモデルは、分類決定を行う前にカラー画像とICI画像とのモーダル間の関係を学習してもよい。
【0038】
図4は、本開示のいくつかの実施形態に係る、ウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するためのディープラーニングモデルのうちの1つとして使用することができるマルチモーダル初期融合ディープラーニングモデルのブロック図を示す。
【0039】
マルチモーダル初期融合ディープラーニングモデルは、単一のマルチモーダル画像における共同特徴点を同時に処理することによる色欠陥画像およびICI欠陥画像の共同表現のためのCNNモデルを含んでいてもよい。
【0040】
図5aは、本開示のいくつかの実施形態に係る、一連のディープラーニングモデルを用いたDAGトポロジの概略図を示す。
【0041】
複数のディープラーニングモデルは、図5aに示すように、その基礎となる無向グラフが木であってもよいディープラーニングモデルの有向非巡回グラフ(DAG)になり得る多重木として接続することができる。複数のディープラーニングモデルは、マルチモーダル後期融合ディープラーニングモデル、マルチモーダルハイブリッド融合ディープラーニングモデル、マルチモーダル初期融合ディープラーニングモデル、単一の入力画像を用いるディープラーニングモデル、1つまたは2つの入力画像を用いるオートエンコーダおよび/または敵対的生成ネットワーク(GAN)ディープラーニングモデルを含むことができる。DAGは固有のトポロジカルオーダーを含んでいてもよく、かつ各ディープラーニングモデルをDAGのノードに位置づけることができる。さらに各ノードを1つまたはいくつかの以前のノードに接続し、かつ後で1つまたはいくつかのノードに直接接続してもよい。さらに、各ディープラーニングモデルの得られたラベルはDAGにおけるフローパスを定める。例えば「ラベル1」になる「モデル1」において得られた画像は、図5aに示すように評価のために続いて「モデル3」になる。
【0042】
一例として、図5bに示されている各モデルの得られたラベルを考察する。「モデル1」において得られたラベル「ラベル1:A」は0.9の確率値を有していてもよく、かつ「ラベル1:B」は0.1の確率値を有していてもよい。同様に、「モデル3」において得られたラベル「ラベル2:B」は0.2の確率値を有していてもよく、かつ「ラベル3:B」は0.7の確率値を有していてもよく、かつ「ラベル3:C」は0.1の確率値を有していてもよい。さらに、「モデル5」において得られたラベル「ラベル5:A」は0.1の確率値を有していてもよく、かつ「ラベル5:B」は0.1の確率値を有していてもよく、「ラベル5:C」は0.2の確率値を有していてもよく、かつ「ラベル5:D」は0.6の確率値を有していてもよい。DAGにおける各ディープラーニングモデルは固有なものであってもよく、かつ分類問題の特定の部分を取り扱うように設計されていてもよい。例えば、DAGにおける1つのディープラーニングモデルはResNetモデルであってもよく、別のものはGoogle Netであってもよく、かつ別のものはマルチモーダルディープラーニングモデルであってもよい。DAG経路の末端において、各画像を後処理モジュール(図5aに示されている)で評価してもよく、ここではこの画像とインタラクトされるディープラーニングモデルの結果に基づいて決定が行われてもよい。
【0043】
図6aは、本開示のいくつかの実施形態に係る、ディープラーニングネットワークに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類するための方法600aを示すフローである。
【0044】
ブロック601では、ウェーハの画像をイメージング装置102によって取り込む。ブロック602では、イメージング装置102(図1)によって取り込まれた画像を画像イメージング装置102に関連づけられている画像記憶ユニット126(図1)に記憶する。ブロック603では、イメージング装置102に関連づけられている画像記憶ユニット126に記憶されている画像を電子装置104(図1)によって取り出す。ブロック604では、ウェーハの欠陥を含まない検査される画像を含むウェーハのスキャンされた同じ領域を表している白黒参照画像、カラー参照画像、ICI参照画像のうちの少なくとも1つに対応する参照画像のうちの少なくとも1つを電子装置104によって受信する。ブロック605では、電子装置104のディープラーニングモジュール122からの関連する期待されるモダリティ画像によりトレーニングされた複数のディープラーニングモデル/分類器を電子装置104によって使用する。ブロック606では、ウェーハ画像欠陥の分類プロセスのためにトレーニングされた複数のディープラーニングモデルを有向非巡回グラフ(DAG)アーキテクチャで電子装置104によって接続する。ブロック607では、複数のディープラーニングモデルの有向非巡回グラフ(DAG)アーキテクチャを用いてウェーハ画像の分類決定を電子装置104によって生成する。最後にブロック608では、関連づけられたメタデータ結果(すなわち欠陥メタデータ)を含む分類されるウェーハ画像を電子装置104によって外部データベースまたは電子装置104の記憶ユニット116に記憶する。
【0045】
図6bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、ウェーハ欠陥画像の欠陥メタデータが電子装置104に記憶されていない場合に欠陥のメタデータを表す特徴を形成するための方法600bを示すフローである。
【0046】
ブロック611では、以前に計算および記憶された欠陥メタデータを電子装置104によって外部データベースまたは電子装置104の記憶ユニット116から受信する。例えば当該メタデータは欠陥の異なる特徴、限定されるものではないが、欠陥のサイズ、欠陥のヒストグラム、欠陥の最大の色もしくは階調レベル値および欠陥の最小の色もしくは階調レベル値などを含む。ブロック612では、欠陥メタデータが記憶されていない場合に、欠陥のメタデータを表す特徴を電子装置104によって計算する。
【0047】
本明細書中の実施形態は、有向非巡回グラフ(DAG)をディープラーニングモデルの組み合わせとして利用することができ、かつ各ディープラーニングは欠陥ウェーハ画像を用いてウェーハにおける問題の異なる態様または欠陥の異なるモダリティを処理することができる。さらに、ディープラーニングモデルごとに任意の数のモデル、複数の異なる画像(例えば6つの画像)を有するDAGを作り出すことができる。さらに後処理決定モジュールは、欠陥が調査される画像の2つの態様および欠陥が調査される画像の得られたラベルなどのパラメータ、DAGの各ディープラーニングモデルからの値および欠陥またはスキャナ装置において以前に収集された計測情報(メタデータ)を組み合わせるように構成されていてもよい。ディープラーニングモデルを含むDAGは、ディープラーニングネットワークに基づきウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を正確に分類するために使用することができる。
【0048】
本明細書における実質的に任意の複数および/または単数の用語の使用に関して、当業者であれば文脈および/または用途に適当な場合には複数から単数および/または単数から複数に変換することができる。様々な単数/複数の置換が明確性のために本明細書に明示的に記載されている。
【0049】
一般に、本明細書で使用される用語は一般に「非限定」用語として意図されている(例えば、「~を含む」は「~を含むが、それらに限定されるものではない」と解釈されるべきであり、「~を有する」という用語は「少なくとも~を有する」と解釈されるべきであり、「~を含む」という用語は、「~を含むが、それらに限定されるものではない」などと解釈されるべきである)ということが当業者によって理解されるであろう。具体的な数の導入される請求項の記載が意図されているか否かが当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、詳細な説明は、請求項の記載を導入するための導入句「少なくとも1つ」および「1つ以上」の利用を含んでいる場合がある。但しそのような語句の使用は、同じ請求項が、導入句「1つ以上」または「少なくとも1つ」および「一」または「一つ」などの不定冠詞を含む場合であっても不定冠詞「一」または「一つ」による請求項の記載の導入によりそのような導入される請求項の記載を含むあらゆる特定の請求項が1つのそのような記載のみを含む発明に限定されることを暗示するものとして解釈されるべきではなく(例えば、「一」および/または「一つ」は典型的には「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味するように解釈されるべきであり)、同じことが請求項の記載を導入するために使用される定冠詞の使用に当てはまる。さらに、具体的な数の導入される請求項の記載が明示的に記載されている場合であっても、当業者であればそのような記載は典型的には少なくとも記載されている数を意味する(例えば、他の修飾子のない「2つの記載」のありのままの記載は典型的には少なくとも2つの記載または2つ以上の記載を意味する)ように解釈されるべきであることを認識するであろう。
【0050】
様々な態様および実施形態を本明細書に開示してきたが、他の態様および実施形態は当業者に明らかであろう。本明細書に開示されている各種態様および実施形態は例示のためのものであり、本発明を限定するものではなく、真の範囲および趣旨は以下の詳細な説明によって示されている。
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B