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特許7146875高分子組成物および、それから作成された繊維または不織布
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】高分子組成物および、それから作成された繊維または不織布
(51)【国際特許分類】
   C08L 53/02 20060101AFI20220927BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20220927BHJP
   D01F 6/30 20060101ALI20220927BHJP
   D04H 3/007 20120101ALI20220927BHJP
   D04H 3/16 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
C08L53/02
C08L23/00
D01F6/30
D04H3/007
D04H3/16
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020186057
(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公開番号】P2021091874
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】62/932,731
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517415584
【氏名又は名称】ティエスアールシー・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】TSRC Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156122
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】シウ・タイ-イー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・フォン-ユー
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ・ユー-チュアン
(72)【発明者】
【氏名】スン・ダー-カイ
(72)【発明者】
【氏名】ティン・チン
【審査官】谷合 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-034625(JP,A)
【文献】特開2006-152525(JP,A)
【文献】特表2009-504928(JP,A)
【文献】特開平06-002220(JP,A)
【文献】特開2005-272528(JP,A)
【文献】特開2007-154013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 53/02
C08L 23/00
D01F 6/30
D04H 3/007
D04H 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維または不織布材料に用いる高分子組成物であって、以下:ビニル芳香族系コポリマーを含み、前記ビニル芳香族系コポリマーは、式A1-B-A2で表示され、式中、ブロックA1およびブロックA2は、同一または相違するビニル芳香族ブロックであり、ブロックA1およびブロックA2のピーク分子量は3,800~4,800であり、ブロックBは水素化共役ジエンブロックであり、前記ビニル芳香族系コポリマーの共役ジエンモノマーの含有量中、ビニル基構造の含有量は32 重量%~50 重量%であり、前記ビニル芳香族系コポリマーの溶融流動指数は20 g/10分~60 g/10分 (230℃, 2.16 kg)であって、前記ビニル芳香族系コポリマーのピーク分子量の範囲が62,000~74,000であって、前記ビニル芳香族系コポリマーがスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマーであり;および、前記高分子組成物の総重量を基準として、0~30 重量%のオレフィン系高分子を含む、高分子組成物。
【請求項2】
前記ビニル芳香族系コポリマーのビニル芳香族モノマー含量が16 重量%~28 重量%である、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項3】
前記ビニル芳香族系コポリマーの共役ジエンモノマー含有量中、前記ビニル基構造の含有量が32重量%~45重量%である、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項4】
前記ビニル芳香族系コポリマーの溶融流動指数が30 g/10分~50 g/10分 (230℃, 2.16 kg)である、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項5】
前記ビニル芳香族系コポリマーの秩序-無秩序相転移温度が200℃~220℃である、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項6】
ブロックA1およびブロックA2のピーク分子量が4,400~4,700である、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項7】
ブロックBの水素化率が90%以上である、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項8】
前記高分子組成物の50%降伏応力が0.49 MPaまたはそれより大きい、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項9】
前記高分子組成物の永久ひずみ率が25%またはそれより小さい、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項10】
前記オレフィン系ポリマーは、オレフィン系ホモポリマー、オレフィン系コポリマー、またはそれらの組合せである、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項11】
前記オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマーまたはプロピレン系ポリマーから選択される、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項12】
オレフィン系ポリマーは、高密度ポリエチレン、イソタクチックポリプロピレン、エチレン-α-オレフィンコポリマーまたはそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項13】
前記オレフィン系ポリマーの含有量が、前記高分子組成物の総重量を基準として20重量%を超えない、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項14】
前記高分子組成物が、前記オレフィン系ポリマーを含まない、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項15】
前記オレフィン系ポリマーの含有量が、前記高分子組成物の総重量を基準として0 重量%より大きく、前記高分子組成物の溶融流動指数が20 g/10分~60 g/10分 (230℃, 2.16 kg)である、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項16】
さらに、加工助剤を含む、請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項17】
前記加工助剤は、可塑剤、溶融強度向上剤、抗酸化剤、粘着防止剤、滑剤、軟化剤、相溶化剤、帯電防止剤、またはそれらの組合せである、請求項16に記載の高分子組成物。
【請求項18】
請求項1~17のいずれかに記載の高分子組成物から製造される繊維。
【請求項19】
少なくとも不織繊維層の多層構造を含む不織布であって、前記不織繊維層が請求項1~17のいずれかに記載の高分子組成物から製造される、不織布。
【請求項20】
前記不織繊維層がスパンボンド法またはメルトブロー法で形成される、請求項19に記載の不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子組成物、特に、ビニル芳香族系コポリマーを含む高分子組成物、および、その繊維または不織布へのアプリケーションに関連する。
【背景技術】
【0002】
不織布は、ビニル芳香族系コポリマーの実施可能なアプリケーションである。一般に、不織布は、ポリプロピレンを原料として用いて紡績し、容射設備で加工して不織布とするが、この種の不織布は、ストレッチ性すなわち伸縮性がない。近年、衛生用品の高透気性および弾性性能への要求が高まり、そのため、ストレッチ性不織布を開発すれば、このアプリケーションでの需要を充足することができる。米国特許第9,963,585号は、繊維合成に用いられる熱可塑性スチレンエラストマーを開示し、それは優れた弾性特性を有する。このようなエラストマーは加工過程において、エラストマーの流動特性が良くないので、加工成形が難しく、そのため、高流動性ポリオレフィンを添加するか、加工温度を上げて、順調に加工成形しやすくする必要がある。しかしながら、高流動性ポリオレフィンを添加することによって不織布/繊維の優れた弾性特性を喪失し;高い加工温度下では、押し出した繊維が互いに粘着して不織布の品質を悪くして、順調に加工することができない。
【0003】
米国特許第7,910,208号および米国特許第8,003,209号は、高流動性スチレンコポリマーの使用およびその配合を提供し、その材料は、弾性不織布の高速生産の進行を可能にするために、二成分スパンボンド設備を組み合わせることが必要である。しかしながら、二成分スパンボンド設備は希少であり、一般的な不織布製造には応用されていない。一方、これらの特許は、70~85重量%の高ビニル構造を有する弾性体は、弾性回復力(負荷軽減)の性能を犠牲にして、弾性性能が不十分であることを記載する。さらに、台湾第I641636号特許は、繊維に適応できるビニル芳香族系コポリマー組成物は、流動性不足という欠点を有することを記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ひとつの態様において、本発明は、繊維および不織布に用いる高分子組成物であって、ひとつのビニル芳香族系コポリマーおよび、前記高分子組成物の総重量を基準として、0から30重量%のオレフィン系高分子を含み、前記ビニル芳香族系コポリマーは、良好な流動特性を有するビニル芳香族系コポリマーである、高分子組成物を提供する。
【0005】
もうひとつの態様において、本発明は、前述したように、繊維および不織布に用いるための高分子組成物を提供し、前記ビニル芳香族系コポリマーは式A1-B-A2で表され、式中、ブロックA1とブロックA2とは、同じまたは異なるビニル芳香族ブロックであり、ブロックA1またはブロックA2は、3,800~4,800にピーク分子量を有し、ブロックBは、水素化共役ジエンブロックである。前記ビニル芳香族系コポリマーの共役ジエンモノマー含量中、ビニル構造の含量は32重量%~50重量%であり、かつ、前記ビニル芳香族系コポリマーの溶融流動指数 (MFI)は、20 g/10分~60 g/10分 (230℃, 2.16 kg)である。
【0006】
もうひとつの態様において、本発明は、前記高分子組成物で形成された繊維および不織布を提供し、特に、弾性を有する繊維および不織布は、衛生材料および織物へのアプリケーションに供する。
【0007】
本発明は、さらに、その他の問題を解決するその他の側面を含み、上記各側面を併せて、詳細は以下の実施例の中で説明する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好ましい実施例を示し、さらに、本発明の方法、特徴および利点を説明する。ただし、それらは、本発明の範囲を制限するために用いるのではなく、本発明の範囲を包含しつつ、本発明の範囲は、付随する特許請求の範囲を基準とする。本発明の内容を不明確にすることを回避するために、以下、周知の構成要素、関連する材料およびそれに関連する処理技術の説明は省略する。
【0009】
本発明における各特性の測定方法
【0010】
ビニル芳香族系コポリマーのビニル芳香族モノマー含量:当業者に周知の測定方法である、核磁気共鳴分析装置を使用して測定する。
【0011】
ビニル芳香族系コポリマーの共役ジエンモノマー含量中ビニル構造含有量:当業者に周知の測定方法である、核磁気共鳴分析装置を使用して測定する。
【0012】
ビニル芳香族系コポリマーのビニル芳香族ブロックのピーク分子量/重量平均分子量、ビニル芳香族系コポリマーのピーク分子量/重量平均分子量:当業者に周知の測定方法である、ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して測定する。
【0013】
ビニル芳香族系コポリマーのビニル芳香族ブロックの真の分子量、ビニル芳香族系コポリマーの真の分子量:当業者に周知の測定方法である、ゲル浸透クロマトグラフィー-光散乱法を使用して測定する。
【0014】
ビニル芳香族系コポリマーの共役ジエンブロックの水素化率:当業者に周知の測定方法である、核磁気共鳴分析装置を使用して測定する。
【0015】
ビニル芳香族系コポリマーの両ブロック含量:当業者に周知の測定方法である、核磁気共鳴分析装置を使用して測定する。
【0016】
秩序-無秩序相転移温度 (order-disorder transition temperature, ODT):当業者に周知の測定方法である、動的力学解析 (DMA)のためのA Instruments ARES-II装置で行い測定する。
【0017】
溶融流動指数 (melt flow index, MFI): ASTM D1238スタンダードに準拠して測定する。
【0018】
200 %ピーク応力 (peak stress): ASTM D882スタンダードに準拠して測定する。
【0019】
50%弾性回復力、または50%降伏応力 (MPa): ASTM D882スタンダードに準拠して測定する。弾性回復力は、回復過程中の試料が維持する強度値を表すので、弾性回復力が高いほど弾性が高くなる。
【0020】
永久ひずみ率 (permanent set):ASTM D882スタンダードに準拠した測定。永久ひずみ率が低いほど、弾性が高くなる。
【0021】
ビニル芳香族系コポリマー
【0022】
本発明は、優良な流動特性を有するビニル芳香族系コポリマーを提供する。前記ビニル芳香族系コポリマーは式A1-B-A2で表示され、式中、ブロックA1とブロックA2は同一または相違するビニル芳香族ブロックであり、ブロックA1またはブロックA2のピーク分子量は3,800~4,800であり、ブロックBは水素化共役ジエンブロックである。前記ビニル芳香族系コポリマーの共役ジエンモノマー含量中ビニル構造の含量は、32重量%~50重量%であり、45重量%またはそれよりも小さく、例えば、32重量%~45重量%であり、さらに好ましくは32重量%~42重量%であり、特に好ましくは36重量%~40重量%である。前記ビニル芳香族系コポリマーの溶融流動指数 (MFI)は、20g/10分~60 g/10分 (230℃, 2.16 kg)であり、好ましくは30 g/10分~50 g/10分 (230℃, 2.16 kg)であり、特に好ましくは35 g/10分~45 g/10分 (230℃, 2.16 kg)である。前記ビニル芳香族系コポリマーの50%降伏応力は、0.49 MPaまたはそれよりも大きい。前記ビニル芳香族系コポリマーの永久ひずみ率は25%またはそれよりも小さい。好ましい実施例において、前記ビニル芳香族系コポリマーのビニル芳香族モノマー含量は、16重量%~28重量%であり、好ましくは18重量%~26重量%であり、またはさらに好ましくは20重量%~24重量%である。好ましい実施例において、ブロックBは、水素化率が90%より小さな水素化共役ジエンブロックであり、さらに好ましくは、水素化率が95%よりも大きな水素化共役ジエンブロックである。好ましい実施例によれば、前記ビニル芳香族系コポリマーの秩序-無秩序相転移温度 (ODT)は、200℃~220℃である。好ましい実施例において、前記ビニル芳香族系コポリマーのピーク分子量の好ましい範囲は62,000~74,000であり、さらに好ましい範囲は64,000~72,000であって;および、前記ピーク分子量に対応する真の分子量の好ましい範囲は38,000~46,000であり、さらに好ましい範囲は40,000~44,000であり;ここに、前記ビニル芳香族系コポリマーのピーク分子量および重量平均分子量の好ましい範囲と、さらに好ましい範囲とは相同する。好ましい実施例によれば、ブロックA1またはブロックA2のピーク分子量の好ましい範囲は、3,800~4,800であり、さらに好ましい範囲は4,400~4,700であり;ここに、ブロックA1またはブロックA2のピーク分子量、真の分子量および重量平均分子量の範囲は同じである。
【0023】
ブロックA1またはブロックA2は、ビニル芳香族ブロックであり、ビニル芳香族モノマーの誘導体であってもよく、これらのビニル芳香族モノマーの実例は以下の項目から選択することができる:スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、t-ブチルスチレン、ジメチルスチレン、メトキシスチレン、シクロヘキシルスチレン、ビニルフェニレン、1-ビニル-5-ヘキシルナフタレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、2,4-ジイソプロピルスチレン、5-t-ブチル-2-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、t-ブトキシスチレン、4-プロピルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン、N-4-ビニルフェニル-N,N-ジメチルアミン、(4-ビニルフェニル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノメチルスチレン、N,N-ジメチルアミノエチルスチレン、N,N-ジエチルアミノメチルスチレン、N,N-ジエチルアミノエチルスチレン、ビニルジメチルベンゼン、ビニルピリジン、ジフェニルビニル、2,4,6-トリメチルスチレン、α-メチル-2,6-ジメチルスチレン、α-メチル-2,4-ジメチルスチレン、β-メチル-2,6-ジメチルスチレン、β-メチル-2,4-ジメチルスチレン、インデン、t-アミノ基含有ジフェニルビニルおよび上記いずれかの組合せ。ブロックA1とブロックA2とは、同一または相違するビニル芳香族ブロックである。ブロックBは、繰り返し率が少なくとも90%の繰り返し共役ジエンブロックであり、それらのモノマーの実例は、以下の項目から選択することができる:1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソペンタジエン)、2-メチル-1,3-ペンタジエン、2-ヘキシル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ペンタジエン、2-p-メチルフェニル-1,3-ブタジエン、2-ベンジル-1,3-ブタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ヘキサジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、3-フェニル-1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジベンジル-1,3-ブタジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、ミルセンおよび上記いずれかの組合せ。
【0024】
上記から分かるように、前記ビニル芳香族系コポリマーは直鎖状ブロックコポリマーであり、その構造中、カップリング剤の残基は含まない。好ましい実施例において、前記ビニル芳香族系コポリマーの総重量に基づく前記ビニル芳香族系コポリマーの両ブロック含有量は、3重量%より低く、さらに好ましくは1重量%より低い。
【0025】
前記ビニル芳香族系コポリマーを生産する方法は、アニオン重合と水素化を包含する。アニオン重合プロセスに関して、好ましい選択枝は、有機リチウムのような有機アルカリ金属化合物を触媒開始剤として使用することを含み、適当な溶剤に、0℃から100℃の温度下、選択したモノマーを添加して、活性ポリマーを得る。分子鎖の末端は炭素-リチウムイオンを含むので、当該モノマーを添加すると分子鎖が会合成長によって重合が持続的に進行する。有機リチウム開始剤の具体例は、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、n-ペンチルリチウム、フェニルリチウム、メチルフェニルリチウム等を包含し、n-ブチルリチウムまたはsec-ブチルリチウムが好ましい。重合時の有機リチウム開始剤の用量は、得ようとするポリマーの分子量によって決定され、通常のモノマー全体の実際の消費量によって定められる。アニオン重合の方法は、米国特許第4,039,593号などに類似する文献を参考にすることができる。重合反応に適した溶剤は不活性有機溶剤を含み、それは重合反応中反応に関与しない溶剤を意味する。このような溶剤の実例は、ブタン、イソブタン、ペンタン、n-ペンタン、イソペンタン、2,2,4-トリメチルペンタン、イソヘキサン、n-ヘキサン、イソヘプタン、n-ヘプタン、イソオクタン、n-オクタンのような脂肪族炭化水素化合物;または、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタン、メチルシクロペンタンのようなシクロアルカン族;または、ベンゼン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼンベンゼンおよびプロピルベンゼン等の芳香族化合物を包含し、本発明の適用に好ましいのはシクロヘキサンである。
【0026】
水素化は重合反応の後で行われる。本発明の水素化ブロックコポリマーを調製するために用いる公知の方法は、チタンベースの触媒系を包含する適切な触媒または触媒前駆体、アルキルアルミニウムなどの適切な還元剤、およびリン酸塩のような適切な触媒安定剤を含む。水素化は、通常、0℃~200℃の温度範囲にて、かつ、1~90 kg/cm2の水素圧力範囲で行われる。触媒濃度の使用範囲は、通常、チタンベースの触媒の重量に基づいて、ポリマーの総固形分量の約10 ppmから約200 ppmである。水素化ブロックコポリマーを製造する方法は、米国特許第7,612,148号などに類する文献を参考にすることができる。
【0027】
ビニル芳香族系コポリマーの実施例-ポリマーA
【0028】
ポリマーAは、前記ビニル芳香族系コポリマーの例示的な実例であり、以下の方法で調製した。100 Lの反応器中に、48 kgのシクロヘキサンおよび120 gのTHF(テトラヒドロフラン)を添加する。9.50 gのNBL(n-ブチル基リチウム)を添加した後、690 gのスチレンモノマーを添加して反応を開始する。スチレン重合が完了した後、投入4.89 kgのブタジエンを添加する。ブタジエン重合が完了した後、690 gのスチレンを再添加する。スチレン重合が完了すると、SBSトリブロックコポリマーが形成され、このポリマーの重合をメタノールで停止する。上記で調製したSBSトリブロックコポリマーのポリマー溶液を1000g取り、それを耐圧水素化反応基に入れ、窒素環境下に維持する。室温にて、0.11 mlの安定剤を10 mlのシクロヘキサンに入れて溶解し;0.055 mlのビス(シクロペンタジエン)チタンジクロリドを10 mlのシクロヘキサンに分散させ;0.33 mlのトリイソブチルアルミニウムを10 mlのシクロヘキサンに入れて溶解する。上記溶液をSBSトリブロックコポリマーに添加する。水素ガスを圧力25 kg/cm2で注入し、80℃にて水素化を進行させる。SBSトリブロックコポリマーは、95%を超えるブタジエン二重結合が飽和するまで水素化する。生成されたポリマーは水中で沈殿してコロイド粒子を形成し、その後、乾燥させる。
【0029】
ビニル芳香族系コポリマーの実施例-ポリマーBおよびポリマーC
【0030】
ポリマーBおよびポリマーCの調製方法と、ポリマーAの調製方法とは類似し、ポリマーAの調製方法と比較すると、ポリマーBおよびポリマーCの調製方法では、NBL(n-ブチル基リチウム)の使用量を調整していることがわずかな違いである。ポリマーBと、ポリマーCとのスチレンブロックのピーク分子量(式A1-B-A2における、ブロックA1またはブロックA2のピーク分子量)を変更するが、その他の調製工程には大差ないので、繰り返さない。
【0031】
本発明ではないビニル芳香族系コポリマー-T-6014、ポリマーD、ポリマーEおよびポリマーF
【0032】
T-6014、ポリマーD、ポリマーEおよびポリマーFの調製方法と、ポリマーAの調製方法とは類似し、ポリマーAの調製方法と比較すると、NBL(n-ブチル基リチウム)の使用量を調整し、スチレンとブタジエンとの使用比率を調整していることが主要な違いである。上記ポリマーのピーク分子量、スチレン含量およびスチレンブロックのピーク分子量を変更するが、その他の調製工程には大差ないので、繰り返さない。
【0033】
ポリマーA、ポリマーB、ポリマーCおよびその他の本発明ではないビニル芳香族系ポリマー(T-6014、ポリマーD、ポリマーE、ポリマーF、MD-1648 (Kraton社の商品))に関する特性を表1に示す。T-6014、ポリマーD、ポリマーEおよびポリマーF(スチレンブロックのピーク分子量が5000以上)と比較すると、ポリマーA、ポリマーBおよびポリマーCは、明らかに優れた流動指数(MFI)を示した。MD-1648のみ、非常に高い溶融流動指数を示したが、高い量のビニル基構造を有しているからであり、弾性性能が不足している。
【0034】
【表1】
【0035】
高分子組成物
【0036】
本発明は、優れた弾性/作業流動性の繊維/弾性不織布を製造するために使用することができる高分子組成物を提供する。ひとつの具体例によれば、本発明の高分子組成物は、少なくとも、ビニル芳香族系コポリマー、および前記高分子組成物の総重量を基準として、0~30 重量%(30 重量%を超えない)のオレフィン系高分子を含む。
【0037】
前記ビニル芳香族系コポリマーは、前記したポリマーA、ポリマーBまたはポリマーCで例示されるビニル芳香族系コポリマーであり得る。また、その他の具体例において、例えば、前記ビニル芳香族系コポリマーは、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマー (SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロックコポリマー (SEPS)、スチレン-エチレン-(エチレン-プロピレン)-スチレンブロックコポリマー (SEEPS)、またはそれらの組合せであり得、なかでも、好ましい具体例はSEBSである。
【0038】
オレフィン系ポリマーは、オレフィン系ホモポリマー、オレフィン系コポリマー、またはそれらの組合せである。例えば、オレフィン系ポリマーのモノマーは、好ましくは炭素数2~10のオレフィン、より好ましくは炭素数2~8のオレフィン、さらに好ましくは炭素数2~5のオレフィン、特に好ましくは炭素数2~4のオレフィンである。オレフィン系ポリマーのモノマーの例示は:エチレン、ブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノニル、1-デカン、イソブテン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、イソペンタジエン、テトラフルオロエチレン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクダデセン、1-エイコセン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-メチルシクロヘキセン、2-(2-メチルブチル)-1-シクロヘキセン、1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、5,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、3,7,11-トリメチル-1,6,10-オクタトリエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、1,6-ヘプタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、または1,10-ウンデカジエンなどである。
【0039】
好ましい具体例において、オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマーまたはプロピレン系ポリマーから選択される。エチレン系ポリマーは、エチレンをモノマーとする任意のいずれかのホモポリマーまたはコポリマーであり、例えば、ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニルコポリマー (EVA)、エチレン-アクリル酸ブチルコポリマー (EBA)、エチレン-アクリル酸エステル、エチレン-アクリル酸イオノマー、エチレン-ノルボルレンコポリマーなどの環状オレフィン系ポリマー、エチレン-α-オレフィンコポリマー(ブロックまたはランダム)であり、なかでも、エチレン-α-オレフィンコポリマーが好ましく選択される。ポリエチレン (PE)の例示として:高密度ポリエチレン、超高分子量高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等が挙げられる。エチレン-α-オレフィンコポリマーの例示として:エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-1-ブテンコポリマー、エチレン-1-ヘキセンコポリマー、エチレン-1-ヘプテンコポリマー、エチレン-1-オクテンコポリマー、エチレン-4-メチル-1-ペンテンコポリマー、エチレン-1-ノニルコポリマー、エチレン-1-デカンコポリマー、塩化ポリエチレンアクリル-ブテンコポリマーまたはそれらの修飾物等が挙げられる。プロピレン系ポリマーは、プロピレンをモノマーとする任意のいずれかのホモポリマーまたはコポリマーであり、例えば、ポリプロピレン、塩化ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィンコポリマー(ブロックまたはランダム)である。プロピレン-α-オレフィンコポリマーの例示は:プロピレン-エチレンコポリマー、プロピレン-1-ブチレンコポリマー、プロピレン-1-ヘキセンコポリマー、プロピレン-1-ヘプテンコポリマー、プロピレン-1-オクテンコポリマー、プロピレン-4-メチル-1-ペンテンコポリマー、プロピレン-1-ノニルコポリマー、プロピレン-1-デセンコポリマー、プロピレン-ペンテンランダムコポリマー、プロピレン-エチレン-ペンテンランダムコポリマー、プロピレン-エチレン-ヘキセンランダムコポリマーなど、またはそれらの修飾物等が挙げられる。
【0040】
好ましい具体例において、オレフィン系ポリマーは、高密度ポリエチレン (HDPE)、イソタクチックポリプロピレン(イソタクチックPP)、エチレン-α-オレフィンコポリマー (POE)またはそれらの組合せから選択される。
【0041】
好ましい具体例において、前記高分子組成物の総重量を基準として、前記オレフィン系ポリマーの含有量は、20重量%を超えず、好ましくは15重量%を超えない。本発明は、オレフィン系ポリマーが添加されない具体例を含む。さらに、前記オレフィン系ポリマーの含有量が、前記高分子組成物の総重量を基準として、0重量%を超えるとき、すなわち、前記高分子組成物が前記オレフィン系ポリマーを含むとき、前記高分子組成物の溶融流動指数 (MFI)は20 g/10分~60 g/10分 (230℃, 2.16 kg)であり、好ましくは30 g/10分~50 g/10分 (230℃, 2.16 kg)である。前記高分子組成物の50%降伏応力は0.49 MPaまたはそれよりも大きい。前記高分子組成物の永久ひずみ率は25%またはそれよりも小さい。
【0042】
いくつかの具体例によれば、応用性を増進し、または、その物理的もしくは化学的性質を強化させるため、前記高分子組成物の総重量を基準として、高分子組成物は、さらに、7重量%より少ない加工助剤を含むことができる。前記加工助剤は、可塑剤、溶融強度増強剤、抗酸化剤、粘着防止剤、滑剤、柔軟剤、相溶剤もしくは抗静電剤またはそれらの組合せを包含する。
【0043】
高分子組成物の応用
【0044】
本発明は、繊維および不織布、特に、弾性を有する繊維及び不織布を形成するための高分子組成物を提供し、衛生材料および織物へのアプリケーションに供する。本発明は、優れた弾性および作業流動性を有する繊維および不織布を提供する。本発明の繊維は、前記高分子組成物から作成される。本発明の不織布は、少なくともひとつの不織繊維層を含む多層構造を有し、前記不織繊維層は、前記高分子組成物から作成され、ここに、前記不織繊維層は、スパンボンド法 (Spun bond, S)またはメルトブロー法 (Meltblown, M)によって形成される。スパンボンド法は、溶融した高分子組成物を押出し、引伸ばして連続フィラメントを形成した後、フィラメントをウェブ状に敷き詰め、次いで、フィラメントウェブを自己接着、熱接着、化学接着または機械補強方法で、フィラメントウェブを不織布に変える。メルトブロー法は、溶融した高分子組成物を押出機で高速熱風流れに投入して、超細繊維を形成し、かつ、収集器に吹き付けて堆積させて超細繊維ウェブ状構造を形成する。
【0045】
具体的にいえば、本発明の高分子組成物は、単撚または複撚押出機で配合して混合物を形成することができる。この混合物は、必要に応じて、造粒することできる。以下、本発明の高分子組成物を造粒後、機械物性を測定するための薄片を形成する具体例である。
【実施例
【0046】
実施例1
【0047】
実施例1の高分子組成物:ポリマーB 100重量%。この高分子組成物を、160~220℃にて二軸押出機に投入し、混練および造粒する。造粒物を射出機で、2 mm厚の試験片(長さと幅:12cm x12cm)に射出し、その後、試験片を射出し、成形機でホットプレスをして薄片(厚さ=200~300um)を形成した。加工温度160℃、予備加熱3分間で、排気2回、実際のホットプレスは4分間行った。フィルム裁断機を使用してホットプレス片から標準試験片(長さと幅:1 インチ x12 インチ)を切り出し、次いで、各種性能を測定した。結果を表2に示す。
【0048】
比較例 PP
【0049】
比較例 PPの高分子組成物:イソタクチックポリプロピレン(イソタクチックPP: Yungsox PP-1352F、台塑公司)100重量%。その他の手順は、実施例1と同様である。結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
本発明の各表中で示すMFIは高分子組成物の流動性指標とみなされ、MFIが高いほど、流動性および加工性が良好であることを表している。本発明の各表中で示す50%降伏応力および永久ひずみ率は薄片の弾性指標とみなされ、50%降伏応力が高いほど、または、永久ひずみ率が低いほど、弾性が良好であることを表している。表2は、比較例PPのイソタクチックポリプロピレン薄片について永久ひずみ率および50%降伏応力を測定できなかったことを明示している。比較例PPと比較すると、実施例1のポリマーBの薄片は、より好ましい弾性を有していることが明確である。
【0052】
本発明の実施例2~8および比較例1~9の薄片の作成について、高分子組成物が実施例1と異なる以外、その他は、実施例1と同様である。
【0053】
【表3】
【0054】
表3の実施例1~実施例4から、高分子組成物中のイソタクチックポリプロピレン成分の増加に伴い、薄片の弾性が徐々に増加していることが分かる。高分子組成物がイソタクチックポリプロピレンを含まない場合、比較例1のポリマーT-6014薄片と比較して、実施例1のポリマーBの薄片がより良い弾性を有していた。高分子組成物が15重量%/30重量%イソタクチックポリプロピレンを含む場合、比較例2/比較例3のポリマーT-6014薄片と比較して、実施例2/実施例3のポリマーBの薄片はより良い弾性を有していた。高分子組成物が50重量%のイソタクチックポリプロピレンを含む場合、比較例4のポリマーT-6014薄片と実施例4のポリマーBの薄片の弾性は、明らかに弾性が良くなかった。なお、T-6014は、イソタクチックポリプロピレンの添加および未添加の場合で、MFIが低く、明らかに流動性が悪かった;しかしながら、ポリマーBは、適量のイソタクチックポリプロピレンを添加した場合でも、高いMFIを維持できた。このことから、ポリマーBは、適量のイソタクチックポリプロピレンを添加した場合、高流動性と高弾性を同時に備えるという利点を有することが分かった。
【0055】
【表4】
【0056】
表4を参照すると、高分子組成物がイソタクチックポリプロピレンを含まない場合、比較例5のポリマーMD-1648薄片と比較して、実施例5のポリマーAの薄片は、より良い弾性を有する。高分子組成物が30 重量%イソタクチックポリプロピレンを含む場合、比較例6のポリマーMD-1648薄片と比較して、実施例6のポリマーAの薄片は、より良い弾性を有する。詳しくは、ポリマーMD-1648は、高いビニル基含有量を有するため、ポリマーMD-1648にイソタクチックポリプロピレンを添加した後、弾性性能が大きく衰退し、アプリケーションの需要に適合しなくなった;しかしながら、ポリマーAはビニル基含有量が低いため、イソタクチックポリプロピレンを添加しても、良好な弾性を示した。このことから、ポリマーAに添加適量のイソタクチックポリプロピレンを添加した場合、高流動性と高弾性を同時に備えるという利点を有することが分かった。実施例7に至っては、高分子組成物中に添加30% Engage-8407(POE)を添加して、イソタクチックポリプロピレンを置換した結果、イソタクチックポリプロピレンを添加した実施例6と比較して、改用POE実施例7への変更は、薄片の弾性性能を向上することができ、より低い永久ひずみ率とより高い弾性回復力を獲得できた。Engage-8407は、ダウ社が製造したエチレン-α-オレフィンコポリマーである。
【0057】
【表5】
【0058】
上記したように、ポリマーD、ポリマーEおよびポリマーFと比較して、ポリマーA、ポリマーBおよびポリマーCは、明らかにより優れた溶融流動指数 (MFI)を有する。表5は、
ポリマーD、ポリマーEもしくはポリマーFを主とする高分子組成物または前記高分子組成物から得られた薄片(比較例7、比較例8および比較例9)と比較して、ポリマーA、ポリマーBもしくはポリマーCを主とする高分子組成物または前記高分子から得られた薄片(実施例5、実施例1および実施例8)は、高流動性と高弾性を同時に有するという利点を有している。上記の実験結果から分かるように、本発明の高分子組成物は高流動性という利点を有しているので、本発明の高分子組成物を繊維または不織布材料に用いると、加工性を向上させて、繊維または不織布材料を順調に作成することができ;さらに、本発明の高分子組成物の薄片の50%降伏応力および永久ひずみ率等の測定結果を見てみると、本発明の高分子組成物は高弾性という利点を有しているので、本発明の高分子組成物を繊維または不織布材料に用いると、繊維または不織布材料の弾性を向上させることができ、製品の要求性能に合致することが分かる。
【0059】
本発明は、上記の好ましい具体例で開示されているが、本発明はそれらに限定されず、当業者であれば、誰でも、本発明の精神および範疇から逸脱しない限り、変更および修飾することができ、本発明の保護範囲は、添付される特許請求の範囲に準じて定義されたものを基準とする。