(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】医療アラームを表示するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20220927BHJP
A61B 5/091 20060101ALI20220927BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20220927BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20220927BHJP
A61M 16/01 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
A61M16/00 370Z
A61B5/091
A61B5/1455
A61B5/00 102A
A61M16/01 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020201016
(22)【出願日】2020-12-03
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】10 2019 008 406.3
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】308011030
【氏名又は名称】ドレーゲルヴェルク アクチェンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Draegerwerk AG & Co.KGaA
【住所又は居所原語表記】Moislinger Allee 53-55,Luebeck,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エドガー イゼ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ゲーマン
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスチャン フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】アンディ ケアン
(72)【発明者】
【氏名】コンラディン ヴィントホースト
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-072473(JP,A)
【文献】特表2016-534841(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0032149(US,A1)
【文献】特開2014-179091(JP,A)
【文献】特表2005-516644(JP,A)
【文献】特表2018-521714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
A61B 5/091
A61B 5/1455
A61B 5/00
A61M 16/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器(1、1.2
)と、
少なくとも1つの患者セン
サ(2.1.1~2.2.2、3、4、6)と、
信号処理ユニット(5、5.2、51)と、
情報をユーザに視覚的に出力するための出力ユニット(7.7.1、52)と、
を含む装置であって、
前記患者センサまたはすべての患者センサ(2.1.1~2.2.2、3、4、6)は、それぞれ、前記医療機器(1、1.2)に接続された患者(P)においてまたは前記患者(P)内で出現する少なくとも1つの量を測定可能であり、
前記信号処理ユニット(5,5.2、51)は、以下のように構成されており、すなわち自動的に、
前記患者センサまたは前記少なくとも1つの患者センサ(2.1.1~2.2.2、3、4、6)から測定値を受信し、
受信した前記測定値の評価により少なくとも1つの信号(VT、MV、RR、SpO2)を生成し、
少なくとも1つの予め定められたアラーム判定基準(MV low, SpO2 low)が充足されているか否か判定し、ただし、予め定められた前記アラーム判定基準またはすべてのアラーム判定基準(MV low, SpO2 low)は、前記信号処理ユニット(5、5.2、51)により生成可能な前記信号またはそれぞれ少なくとも1つの信号(VT、MV、RR,SpO2)に関係しており、
前記アラーム判定基準または1つのアラーム判定基準(MV low, SpO2 low)が充足されているという判定に対する応答として、アラーム(12、12.1、12.2、34、35)および前記アラームが出現した時点を検出し、ただし、前記アラーム判定基準(MV low, SpO2 low)の前記充足は、前記アラームの発生を意味しており、
前記出力ユニット(7、7.1、52)を制御する、
ように構成されており、
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、さらに、前記出力ユニット(7、7.1、52)を制御するように構成されていて、制御された前記出力ユニット(7、7.1、52)は、少なくとも一時的に以下のことを同時に表示し、すなわち、
予め定められた全期間(T)内で検出されたアラームの時系列の表示であるアラーム全体系列(16
)、ただし前記アラーム全体系列(16)の表示は、時間軸表示方向(ZR)に延在しており、
前記アラーム全体系列(16)内で示される、予め定められた参照時間ウィンドウ(T1)内で検出されたアラームの表示である、アラーム参照区間(26
)、ただし前記参照時間ウィンドウ(T1)は、前記全期間(T)のうちの1つの区間であり、
信号推移表示(10)またはアラーム参照系列(18)、あるいは信号推移表示(10)およびアラーム参照系列(18)
を表示し、
前記アラーム参照区間(26)の表示は、前記時間軸表示方向(ZR)に延在しており、
前記アラーム参照区間(26)は、前記全期間(T)に対し相対的な前記参照時間ウィンドウ(T1)の時間的ポジショニングの表示である、ポジショニング表示を提供し、
前記信号推移表示(10)は、前記参照時間ウィンドウ(T1)内で生成された前記信号または少なくとも1つの信号(VT、MV、RR、SpO2)の個々の時間推移の表示であり、
前記アラーム参照系列(18)は、前記参照時間ウィンドウ(T1)内に出現しているアラー
ムから成る系列の表示であり、
前記信号推移表示(10)および前記アラーム参照系列(18)は、前記時間軸表示方向(ZR)に延在しており、
前記信号推移表示(10)のための時間スケールおよび前記アラーム参照系列(18)のための時間スケールは、前記アラーム全体系列(16)のための時間スケールおよび前記アラーム参照区間(26)のための時間スケールよりも精細である、
装置。
【請求項2】
少なくとも2つの異なるアラーム形式(MV low, RR high)が予め定められており、
すべてのアラーム形式は、それぞれ1つの予め定められたアラーム判定基準(MV low, SPO2 low)により規定されており、
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、ユーザによるアラーム(12)の選択を捕捉するように構成されており、
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、さらに、アラーム(12)の選択後に前記出力ユニット(7、7.1、52)を制御するように構成されていて、制御された前記出力ユニット(7、7.1、52)は、前記アラーム全体系列(16)内および/または前記アラーム参照区間(26)内および/または前記アラーム参照系列(18)内において、選択された前記アラーム(12)と同じアラーム形式(MV low)に属する他のすべてのアラーム(12.1、12.2)を、表示される残りのアラーム(34、35)に比べ強調して表示する、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、前記出力ユニット(7、7.1、52)を制御するように構成されていて、制御された前記出力ユニット(7、7.1、52)は、
前記アラーム全体系列(16)と前記アラーム参照区間(26)とを、同じ時間スケールで表示し、
前記アラーム参照区間(26)を、前記アラーム全体系列に対し相対的に時間的に正しくポジショニングして表示する、
請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、前記出力ユニット(7、7.1、52)を制御するように構成されていて、
制御された前記出力ユニット(7、7.1、52)は、前記信号推移表示(10)内および/または前記アラーム参照区間(26)内および/または前記アラーム参照系列(18)内において、前記参照時間ウィンドウ(T1)内に位置する参照時点(t0)を表示し、
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、表示された前記参照時点(t0)を変更するためのユーザ入力を捕捉するように構成されており、
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、前記参照時点(t0’、t0’’)を変更するための前記ユーザ入力の捕捉後に、
変更された前記参照時点(t0’、t0’’)が前記参照時間ウィンドウ(T1)内に位置していなければ、前記参照時間ウィンドウ(T1)または前記参照時点(t0)を、変更された前記参照時点(t0’、t0’’)が前記参照時間ウィンドウ(T1)内に位置するように変更し、
前記信号推移表示(10)内および/または前記アラーム参照区間(26)内および/または前記アラーム参照系列(18)内において、変更された前記参照時点(t0’、t0’’)を表示する
ように構成されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、以下のように構成されている、すなわち
前記信号推移表示(10)内および/または前記アラーム参照区間(26)内および/または前記アラーム参照系列(18)内に表示されているアラーム(12)の、ユーザによる選択を捕捉し、
アラーム(12)の選択後、選択された前記アラーム(12)が出現した時点(t0’、t0’’)を、前記参照時点(t0)を変更するためのユーザ入力として使用し、
選択された前記アラーム(12)が出現した前記時点(t0’、t0’’)を、変更された前記参照時点(t0’、t0’’)として使用する
ように構成されている、
請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、以下のように構成されている、すなわち、
前記信号推移表示(10)内および/または前記アラーム参照区間(26)内および/または前記アラーム参照系列(18)内に表示されているアラーム(12)の、ユーザによる選択を捕捉し、
アラーム(12)の選択後、前記信号推移表示(10)内および/または前記アラーム参照区間(26)内および/または前記アラーム参照系列(18)内に表示されており、かつ選択された前記アラーム(12)と同じ形式のものである他のすべてのアラームを、強調して表示する
ように構成されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、前記参照時間ウィンドウ(T1)を変更するためのユーザ入力を捕捉し、
捕捉後、前記参照時間ウィンドウ(T1)を変更するために、前記出力ユニット(7、7.1、52)を制御するように構成されていて、制御された前記出力ユニット(7、7.1、52)は、
前記アラーム参照区間(26)および前記信号推移表示(10)および/または前記アラーム参照系列(18)を、前記参照時間ウィンドウ(T1)の変更に整合し、
前記アラーム全体系列(16)をそのままにしておく、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、前記出力ユニット(7、7.1、52)を制御するように構成されていて、制御された前記出力ユニット(7、7.1、52)は、アラーム記述系列(11)を表示し、
前記アラーム記述系列(11)は、前記アラーム全体系列(16)内に表示されている前記時系列に属するアラームから成るシーケンスについて、それぞれ1つのテキストアラーム記述(31)を含み、
前記アラーム記述系列(11)が延在しているリスト方向(LR)は、前記時間軸表示方向(ZR)に対し垂直であり、
すべてのアラーム記述(31)の個々の記載方向(SR)は、前記リスト方向(LR)に対し垂直である、
請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、前記出力ユニット(7、7.1、52)を制御するように構成されていて、制御された前記出力ユニット(7、7.1、52)は、
前記アラーム参照系列(18)と、
誘導要素(32)および被誘導要素(33)を有する相関インジケータ(32、33)と、
を表示し、
前記誘導要素(32)は、前記アラーム記述系列(11)内の1つのアラーム記述(31)を指し、
前記被誘導要素(33)は、前記アラーム参照系列(18)内において前記アラーム記述(31)に関係しているアラームを指し、
または
前記誘導要素(32)は、前記アラーム参照系列(18)内の1つのアラームを指し、
前記被誘導要素(33)は、前記アラーム記述系列(11)内において前記アラームに関係しているアラーム記述(31)を指す、
請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、空間的に互いに分離されている第1の信号処理装置(5、5.2)および第2の信号処理装置(51)を含み、
前記第1の信号処理装置(5、5.2)は、前記医療機器(1、1.2)に配属されており、以下のように構成されている、すなわち、
測定値を受信し、
前記信号または少なくとも1つの信号(VT、MV、RR、SpO2)を生成し、
前記アラーム判定基準または1つのアラーム判定基準(MV low, SpO2 low)が充足されているか否かを判定し、
アラーム(12、12.1、12.2、34、35)および前記アラーム(12、12.1、12.2、34、35)が出現した時点を検出し、
前記第2の信号処理装置(51)にメッセージを伝達し、ただし前記メッセージは、前記アラーム(12、12.1、12.2、34、35)および前記時点に関する情報を含む
ように構成されており、
前記第2の信号処理装置(51)は、前記出力ユニット(52)を制御するように構成されていて、制御された前記出力ユニット(52)は、
前記アラーム全体系列(16)と、
前記アラーム参照区間(26)と、
前記時間的ポジショニングの表示と、
前記信号推移表示(10)および/または前記アラーム参照系列(18)と、
を表示する、
請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
アラーム(12、12.1、12.2、34、35)を生成し、ユーザへ情報を視覚的に出力する出力ユニット(7、7.1、52)上に前記アラームを表示する方法であって、
前記出力ユニット(7、7.1、52)は、
医療機器(1、1.2
)と、
少なくとも1つの患者セン
サ(2.1.1~2.2.2、3、4、6)と、
信号処理ユニット(5、5.2、51)と、
を付加的に含む装置の構成部分であり、
前記患者センサまたはすべての患者センサ(2.1.1~2.2.2、3、4、6)は、それぞれ、前記医療機器(1、1.2)に接続された患者(P)においてまたは前記患者(P)内で出現する少なくとも1つの量を測定可能であり、
前記方法は、前記信号処理ユニット(5、5.2、51)が以下のことを自動的に行うステップを含み、すなわち、
前記患者センサまたは前記少なくとも1つの患者センサ(2.1.1~2.2.2、3、4、6)から測定値を受信し、
受信した前記測定値の評価により少なくとも1つの信号(VT、MV、RR、SpO2)を生成し、
少なくとも1つの予め定められたアラーム判定基準(MV low, SpO2 low)が充足されているか否か判定し、ただし、予め定められた前記アラーム判定基準またはすべてのアラーム判定基準(MV low, SpO2 low)は、前記信号処理ユニット(5、5.2、51)により生成された前記信号またはそれぞれ少なくとも1つの信号(VT、MV、RR,SpO2)に関係しており、
前記アラーム判定基準または1つのアラーム判定基準(MV low, SpO2 low)が充足されているという判定に対する応答として、アラーム(12、12.1、12.2、34、35)および前記アラーム(12、12.1、12.2、34、35)が出現した時点を検出し、ただし、前記アラーム判定基準(MV low, SpO2 low)の前記充足は前記アラーム(12、12.1、12.2、34、35)の発生を意味しており、
前記出力ユニット(7、7.1、52)を制御し、
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、前記出力ユニット(7、7.1、52)を制御し、前記出力ユニット(7、7.1、52)は、少なくとも一時的に以下のことを同時に表示し、すなわち、
予め定められた全期間(T)内で検出されたアラームの時系列の表示であるアラーム全体系列(16
)、ただし前記アラーム全体系列(16)の表示は、時間軸表示方向(ZR)に延在しており、
前記アラーム全体系列(16)内で示される、予め定められた参照時間ウィンドウ(T1)内で検出されたアラームの表示である、アラーム参照区間(26
)、ただし前記参照時間ウィンドウ(T1)は、前記全期間(T)のうちの1つの区間であり、
信号推移表示(10)またはアラーム参照系列(18)、あるいは信号推移表示(10)およびアラーム参照系列(18)
を表示し、
前記アラーム参照区間(26)の表示は、前記時間軸表示方向(ZR)に延在しており、
前記アラーム参照区間(26)は、前記全期間(T)に対し相対的な前記参照時間ウィンドウ(T1)の時間的ポジショニングの表示である、ポジショニング表示を提供し、
前記信号推移表示(10)は、前記参照時間ウィンドウ(T1)内で生成された前記信号または少なくとも1つの信号(VT、MV、RR、SpO2)の個々の時間推移の表示であり、
前記アラーム参照系列(18)は、前記参照時間ウィンドウ(T1)内に出現しているアラー
ム、から成る系列の表示であり、
前記信号推移表示(10)および前記アラーム参照系列(18)は、前記時間軸表示方向(ZR)に延在しており、
前記信号推移表示(10)のための時間スケールおよび前記アラーム参照系列(18)のための時間スケールは、前記アラーム全体系列(16)のための時間スケールおよび前記アラーム参照区間(26)のための時間スケールよりも精細である、
方法。
【請求項12】
信号処理ユニット(5、5.2、51)において実行可能なコンピュータプログラムであって、
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、
医療機器(1、1.2
)と、
少なくとも1つの患者セン
サ(2.1.1~2.2.2、3、4、6)と、
信号処理ユニット(5、5.2、51)と、
ユーザへ情報を視覚的に出力する出力ユニット(7、7.1、52)と、
を付加的に含む装置の構成部分であり、
前記患者センサまたはすべての患者センサ(2.1.1~2.2.2、3、4、6)は、それぞれ、患者(P)においてまたは前記患者(P)内で出現する少なくとも1つの量を測定可能であり、
前記コンピュータプログラムは、前記信号処理ユニット(5、5.2、51)において実行されると、
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)が、前記患者センサまたは少なくとも1つの患者センサ(2.1.1~2.2.2、3、4、6)から測定値を受信し、前記出力ユニット(7、7.1、52)を制御したときに、
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)が請求項11記載の方法を実施するように動作する、
コンピュータプログラム。
【請求項13】
信号処理ユニット(5、5.2、51)において実行可能な命令を含む信号シーケンスであって、
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)は、
医療機器(1、1.2
)と、
少なくとも1つの患者セン
サ(2.1.1~2.2.2、3、4、6)と、
信号処理ユニット(5、5.2、51)と、
ユーザへ情報を視覚的に出力する出力ユニット(7、7.1、52)と、
を付加的に含む装置の構成部分であり、
前記患者センサまたはすべての患者センサ(2.1.1~2.2.2、3、4、6)は、それぞれ、患者(P)においてまたは前記患者(P)内で出現する少なくとも1つの量を測定可能であり、
前記信号シーケンスは、前記信号処理ユニット(5、5.2、51)において実行されると、
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)が、前記患者センサまたは少なくとも1つの患者センサ(2.1.1~2.2.2、3、4、6)から測定値を受信し、前記出力ユニット(7、7.1、52)を制御したときに、
前記信号処理ユニット(5、5.2、51)が請求項11記載の方法を実施するように動作する、
信号シーケンス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器、信号処理ユニット、出力ユニット、および好ましくは入力ユニットを備えた装置に関し、この場合、信号処理ユニットは、少なくとも1つの患者センサの測定値を受信し、アラームを検出して出力ユニットを制御し、この場合、制御された出力ユニットは、視覚的に情報をユーザに出力可能であり、さらにこの場合、任意選択的な入力ユニットがユーザ入力を捕捉可能である。さらに本発明は、かかる装置を用いて医療情報を表示する方法に関する。
【0002】
独国特許出願公開第102016001139号明細書には、供給装置および表示装置15を備えた呼吸システムについて記載されている。時間軸19に沿って、相前後する時点に対し発生源マーカ23が表示される。発生源マーカ23は以下のようにポジショニングされている。すなわち、時間軸19からのこの発生源マーカ23の間隔と、時間軸と境界線21との間の間隔との比が、第1の発生源パラメータと、第1の発生源パラメータと第2の発生源パラメータとの合計から第1の負荷パラメータを減算したものとの比に等しくなるように、ポジショニングされている。
【0003】
米国特許出願公開第2014/0275819号明細書には、1人の患者のそれぞれ1つの生理学的パラメータを監視する複数のセンサを備えた患者監視装置(medical monitoring device)が示されている。信号処理ユニット(processing circuitry 204)は、複数のセンサから測定値を受信し、出力ユニット(displays 202を備えたdevice200)ならびにアラーム発生ユニット(alarm mechanism 216)を制御する。画面上には、患者のそれぞれ1つの生理学的パラメータを表す種々の信号の個々の時間推移が描写され、正常値から逸脱した値の場合には、alarm marker shadingsおよびalarm marker linesが個々の時点に表示される。ユーザは、表示される期間をずらすことができ、かつ表示を拡大することができる。
【0004】
患者を監視(patient monitoring)するための、および医療アラームを表示するための装置および方法は、米国特許出願公開第2003/0200117号明細書、米国特許出願公開第2005/0038332号明細書、米国特許出願公開第2008/0078390号明細書、米国特許出願公開2011/0138311号明細書、米国特許出願公開第2013/0246089号明細書、米国特許出願公開第2018/0277243号明細書、および米国特許出願公開第2018/0300919号明細書にも記載されている。
【0005】
本発明の課題は、医療機器、出力ユニットおよび信号処理ユニットを含む装置、ならびに出力ユニットにアラームを表示する方法を提供することであり、その際、出力ユニットの表示面が検出されるアラームの個数に比べて狭くても、多数のアラームをエルゴノミックに表示することができるようにしたい。
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を備えた装置および請求項11の特徴を備えた方法によって解決される。従属請求項には有利な実施形態が記載されている。本発明による装置の有利な実施形態は、有用であるかぎりは、本発明による方法の有利な実施形態でもあり、その逆も成り立つ。
【0007】
本発明による装置は、医療機器、特に呼吸器または麻酔装置、を含む。この医療機器は、少なくとも1つの患者センサ、好ましくは複数の患者センサ、を含み、またはこの医療機器を、少なくとも一時的に少なくとも1つの患者センサに接続することができる。この患者センサまたはすべての患者センサは、患者においてまたは患者内で出現する少なくとも1つの量を、好ましくは患者の少なくとも1つの生体パラメータを、そのつど測定することができる。
【0008】
本発明による装置はさらに出力ユニットを含み、このユニットはユーザへ情報を視覚的に、例えば画面上で、出力することができる。さらにこの装置は、データ処理を行う信号処理ユニットを含み、このユニットは出力ユニットを制御することができ、好ましくはユーザ入力を捕捉することができる。
【0009】
信号処理ユニットは、前記患者センサまたは少なくとも1つの患者センサが生成した測定値を受信することができる。信号処理ユニットは受信した測定値を評価することで、この信号処理ユニットは少なくとも1つの信号を生成することができる。この信号は、患者においてまたは患者内で出現する時間的に可変の量と相関しており、例えば自発呼吸または心拍または血中酸素含有量または吐出された患者の呼気内のCO2含有量に関する量と相関している。好ましくは、信号処理ユニットは複数の信号を生成することができ、このために好ましくはさまざまな患者センサの測定値を処理することができる。
【0010】
少なくとも1つのアラーム判定基準が予め定められている。予め定められた前記アラーム判定基準は、またはいずれのアラーム判定基準も、信号処理ユニットが前記患者センサまたは少なくとも1つの患者センサの測定値から導出可能な前記信号または少なくとも1つの信号に関係している。
【0011】
信号処理ユニットは、予め定められた前記アラーム判定基準または少なくとも1つのアラーム判定基準が充足されているか否かを、自動的に判定することができる。この判定のために信号処理ユニットは、生成された前記信号またはそれぞれ少なくとも1つの信号を評価することができる。この場合、予め定められた種々のアラーム判定基準は、それぞれ異なる信号に関係している可能性があり、または同じ信号に関係している可能性もある。
【0012】
前記アラーム判定基準または1つのアラーム判定基準が充足されていると信号処理ユニットが判定したならば、そのとき信号処理ユニットは自動的にアラームを検出している。アラームが発生するのは、少なくとも1つの信号が特定の時点で予め定められたアラーム判定基準を充足したときである。信号処理ユニットは、このアラームと、アラーム判定基準が充足され、つまりはアラームが出現した時点とを、検出することができる。同じアラーム判定基準が何度も、つまりそれぞれ異なる時点で、充足される可能性がある。同じ信号に対して、少なくとも2つの異なるアラーム判定基準を予め定めることができ、したがってこれらのアラーム判定基準は同時に、またはそれぞれ異なる時点で、充足される可能性がある。前記アラーム判定基準または1つのアラーム判定基準が充足されて、このイベントが検出されるたびに、信号処理ユニットは新たに1つのアラームを検出する。いずれのアラーム判定基準も、それぞれ1つのアラーム形式を規定している。いずれのアラームも、それぞれ1つのアラーム形式に属している。同じアラーム判定基準が何度も、つまりそれぞれ異なる時点で、充足される可能性がある。この場合には、相前後して複数の同種のアラーム形式が出現している。
【0013】
信号処理ユニットは出力ユニットを制御することができ、それにより制御された出力ユニットは、少なくとも一時的に種々の表示を同時に示し、つまり同時に少なくとも以下の表示を示す。すなわち、
・アラーム全体系列、
・アラーム参照区間、
・ポジショニング表示および
信号推移表示またはアラーム参照系列、あるいは信号推移表示およびアラーム参照系列。
【0014】
アラーム全体系列は、予め定められた全期間内に検出されたアラームの時系列を示す。好ましくは、アラーム全体系列は、全期間内に検出された全アラームを示し、しかも好ましくはグラフで示す。
【0015】
アラーム参照区間は、予め定められ好ましくは可変の参照時間ウィンドウ内で検出された、アラームの時系列を示す。この参照時間ウィンドウは、全期間のうちの1つの区間つまり一部分である。全期間のうち少なくとも1つの別の部分は、参照時間ウィンドウ内には位置していない。アラーム参照区間は、アラーム全体系列のうちの1つの区間である。
【0016】
アラーム全体系列もアラーム参照区間も、出力ユニットにおいて同じ時間軸表示方向で延在している。多くの適用事例において、これは画面上の水平表示方向であり、しかも左から右に向かう方向であり、または右から左に向かう方向でもある。垂直方向表示も可能である。
【0017】
アラーム参照区間は参照時間ウィンドウ内のアラームを示し、付加的にポジショニング表示を提供する。このポジショニング表示は、全期間に対し相対的に参照時間ウィンドウが時間的にどのようにポジショニングされているのかを示す。
【0018】
信号推移表示は、生成された前記信号または少なくとも1つの信号の時間推移を示し、しかも参照時間ウィンドウ内の信号の個々の時間推移を示す。
【0019】
アラーム参照系列は、参照時間ウィンドウ内で検出されたアラームの1つの系列を示し、好ましくは参照時間ウィンドウ内で検出されたいずれのアラームも示す。
【0020】
制御された出力ユニットは、アラーム全体系列、提供されるポジショニング表示を伴うアラーム参照区間、ならびに信号推移表示および/またはアラーム参照系列を、少なくとも一時的に同時に表示する。
【0021】
アラーム全体系列も信号推移表示もアラーム参照系列も、同じ時間軸表示方向で延在している。
【0022】
信号推移表示のための時間スケールは、アラーム全体系列のための時間スケールよりも精細であり、かつアラーム参照区間のための時間スケールよりも精細である。同様にアラーム参照系列のための時間スケールも、アラーム全体系列のための時間スケールよりも精細であり、かつアラーム参照区間のための時間スケールよりも精細である。
【0023】
アラーム参照区間もアラーム参照系列も、参照時間ウィンドウに関係している。ただしアラーム参照系列は、アラーム参照区間よりも精細な時間スケールを有する参照時間ウィンドウ内のアラームを示す。アラーム参照区間によってユーザは、参照時間ウィンドウ内で出現したアラームを、全期間内で出現しているアラームと比較しやすくなる。
【0024】
この場合に考えられるのは、信号推移表示およびアラーム参照系列のために単一の比較的精細な時間スケールを使用し、アラーム全体系列およびアラーム参照区間のために単一の比較的粗い時間スケールを使用する、ということである。それぞれ異なる2つよりも多くの時間スケールも考えられる。
【0025】
用語「比較的精細な時間スケール」について以下で定義する。この用語は、例えば地図や市街図など地理的表示のための「比較的精細な描画縮尺」に対応する。「比較的精細な時間スケール」の反対は「比較的粗い時間スケール」である。
【0026】
信号推移表示もアラーム参照系列も、出力ユニットの表示面上で時間軸表示方向へそれぞれ特定の空間的拡がりを占有する。用語「時間スケール」とは、表示される期間に対する空間的拡がりの比率のことであると解され、例えば単位はmm/秒、cm/分またはinch/分、あるいはcm/時またはinch/時である。比較的精細な時間スケールを有する表示の場合、同じ期間が、比較的粗い時間スケールの場合よりも広い空間的拡がりで時間軸表示方向に表示される。換言すれば、時間スケールAが時間スケールBよりも精細であるのは、時間スケールAによる表示が、時間スケールBによる表示よりも広い空間的拡がりで同じ期間を表示する場合である。
【0027】
まさに医療分野では一方では、多数のアラームを出力ユニットにおいてただ1つの表示で示すことがしばしば望まれる。観察者は、アラームの時間的展開および時間的頻度に関する概要を得る目的で、このような包括的な表示を利用することができる。他方、ユーザは、表示されたものを認識できるようにしたく、出力ユニットの表示面が占有し得る最大可能な拡がりは、医療経過に対する要求を満たすために、かつ/またはもはやスペースを利用できないという理由で、しばしば制約されている。本発明は、互いに相反するこのような要求にもかかわらず、比較的見通しがよくかつエルゴノミックに、本発明による装置の医療機器の内部状態を出力ユニット上で示すことができるようにする目的で、1つの手法を呈示する。
【0028】
本発明によれば、少なくとも1つの比較的精細な時間スケールと少なくとも1つの比較的粗い時間スケールとが使用され、つまり信号推移表示およびアラーム参照系列のために比較的精細な時間スケールが、アラーム全体系列およびアラーム参照区間のために比較的粗い時間スケールがそれぞれ使用される。使用される出力ユニットが、比較的僅かな寸法および/または比較的僅かな解像度を有する場合であっても、例えば比較的僅かな画素(ピクセル)しか有していない場合であっても、より詳細な前記時間スケールまたは1つの時間スケールによるいずれの表示によっても、多くのケースではある1つの状況を依然として比較的迅速に知覚できるように、かつ/または十分詳細に、表示することができる。比較的粗い前記時間スケールまたは1つの時間スケールによるいずれの表示によっても、多くのケースではいっそう多くの個数のアラームを同時に表示することができる。まさに医療用の装置における信号処理ユニットは、患者に関係しており単一の表示内で示されるのが望ましい多数のアラームを、比較的短い期間内に頻繁に検出する。まさに医療の状況においては、患者にとって危険になり得る、または起こり得るリスクに対する指標となるあらゆる状態が表示されなければならない。
【0029】
本発明によれば、比較的精細な時間スケールによる少なくとも1つの表示と、比較的粗い時間スケールによる少なくとも1つの表示とが、出力ユニットに同時に示される。このような特徴によって、種々の時間スケールを切り替える必要性がなくなり、したがってユーザインタラクション、作業時間およびユーザの注意喚起が不要となり、しかも多くのケースでは、ユーザインタラクションに起因して必要となる出力ユニットの消毒も、さらには多くの実施形態では計算時間も省かれる。特に、参照時間ウィンドウ内への「ズーミング」、および参照時間ウィンドウから出て全期間へと再び戻る「ズーミング」が不要となる。むしろ本発明によれば、それぞれ異なる少なくとも2つの時間スケールによる複数の表示が、同じ表示ユニットに同時に示される。しかも、アラーム参照区間により提供されるポジショニング表示によって、参照時間ウィンドウが全期間に対し相対的にどのようにポジショニングされているのかが示される。かかるポジショニング表示は、それぞれ異なる2つの時間スケールを単純に切り替える場合であるならば設けられていない。
【0030】
制御された出力ユニットは、全期間内に出現しているアラームの系列と、参照時間ウィンドウ内のアラームの系列とを、同時に表示する。好ましくは、アラーム全体系列は少なくとも、全期間内に示されるいずれのアラームも示す。アラーム参照区間は、参照時間ウィンドウ内で検出されたアラーム、好ましくは全アラーム、を示す。これにより、全期間と対比してアラーム参照区間内で極めて多くの、または極めて僅かな、または平均的に多くのアラームが出現している、ということを迅速に認識することができる。
【0031】
本発明によれば、出力ユニットはポジショニング表示を用いることで、時間的に全期間に対し相対的に参照時間ウィンドウがどのようにポジショニングされているのかを示す。このポジショニング表示は、アラーム参照区間とアラーム全体系列とを用いることで提供され、このことは好ましくは、アラーム参照区間がアラーム全体系列に対し時間的に相対的にポジショニングされて表示されるようにして行われ、特に好ましくは、アラーム全体系列のうち参照時間ウィンドウに関係している区間が強調されるようにして行われる。例えば、アラーム全体系列のうち参照時間ウィンドウに属する区間の周囲にボックスが設定され、したがってこのボックスによりアラーム参照区間が示される。本発明により提供されるポジショニング表示によって観察者は、参照時間ウィンドウに関係している前記表示を、またはいずれの表示も、時間的に分類しやすくなり、かつ/またはアラーム全体系列と比較しやすくなる。しかもアラーム参照区間は、参照時間ウィンドウ内のアラーム、好ましくは全アラーム、を示す。アラーム参照区間によって、必須ではないけれども、表示されたアラームに加えて、別個の表示において相対的な時間的ポジショニングを示すことができ、または数値による時間表記を表示することができる。これによって、時間的ポジショニングを別個に表示することに比べて、スペースが節約される。
【0032】
本発明によれば、信号処理ユニットは出力ユニットを制御することができ、それにより制御された出力ユニットは、信号推移表示および/またはアラーム参照系列ならびにアラーム全体系列を表示する。信号推移表示は、参照時間ウィンドウ内における少なくとも1つの信号の時間推移を示す。アラーム全体系列は、全期間内のアラームの時系列を示す。同時に示されるこのような表示によってユーザは、アラームおよびその展開についての説明を見つけやすくなり、しかもその際にユーザインタラクションによって種々の表示を切り替える必要がない。アラーム参照系列は、参照時間ウィンドウ内のアラームの系列を示す。好ましくは、信号推移表示の拡がりおよびアラーム参照系列の拡がりは、時間軸表示方向で見て、アラーム全体系列の拡がりと少なくとも同じ大きさである。
【0033】
以上要約すると、本発明による装置および本発明による方法は、全アラームおよび信号時間推移が同じ時間スケールで表示される装置および方法と比べて、また、ユーザがユーザインタラクションによりそれぞれ異なる時間スケールを有する種々の表示を切り替えなければならない装置および方法と比べても、より高度なエルゴノミクスをもたらす。このようなより高度なエルゴノミクスは、特に比較的小さい出力ユニットの場合に重要である。本発明による装置および本発明による方法によって、種々の表示、特にそれぞれ異なる時間スケールを有する表示、を切り替える必要がなくなる。この効果によってもエルゴノミクスが高められる。
【0034】
本発明によれば、参照時間ウィンドウは全期間のうちの1つの区間である。1つの実施形態において、参照時間ウィンドウの長さは、全期間の長さの最大で70%であり、好ましくは最大で50%、特に好ましくは最大で35%、とりわけ最大で10%である。この実施形態によって、参照時間ウィンドウ内に出現しているアラームおよび/または信号推移を、比較的詳細に表示することができる一方、アラーム全体系列内の全アラームを表示することができる。しかも、全期間に比べて比較的短い参照時間ウィンドウの時間的ポジショニングを表示させることができる。これらすべては、切り替えるためにユーザインタラクションが必要とされることなく、出力ユニットに同時に示される。必須ではないが、参照時間ウィンドウを数値表記で表示することができる。かかる数値表記は、グラフィック表記のように迅速に把握することはできない。
【0035】
好ましくは、参照時間ウィンドウの時間的ポジショニングは、全期間に対し相対的に可変である。特に、参照時間ウィンドウと目下の時点との間に時間的な隔たりが生じるように、参照時間ウィンドウをずらすことができる。好ましくは、アラーム参照区間、アラーム参照系列および信号推移表示は、参照時間ウィンドウの変化に自動的に整合される。
【0036】
本発明によれば、信号処理ユニットは出力ユニットを制御することができ、それにより制御された出力ユニットは信号推移表示および/またはアラーム参照系列を表示する。1つの実施形態において、制御された出力ユニットは、信号推移表示もアラーム参照系列も表示する。好ましくは、信号推移表示およびアラーム参照系列は、比較的精細な同じ時間スケールに関係しており、好ましくは互いに適正な時間にポジショニングされている。制御された出力ユニットが信号推移表示だけを、またはアラーム参照系列だけを、表示することも可能である。別の実施形態において、制御された表示ユニットが信号推移表示またはアラーム参照系列を、例えば相応のユーザ入力に応じて選択的に表示する。
【0037】
好ましくは、信号推移表示およびアラーム参照系列は、比較的精細な同じ時間スケールで同時に表示され、同じ時間軸表示方向に延在している。特に好ましくは、信号推移表示は、出力ユニットにおいてアラーム参照系列に対し相対的に、適正な時間にポジショニングされている。このような共通の、好ましくは適正な時間にポジショニングされた表示によって、どの信号値がアラーム参照系列内に示されるアラームを引き起こしたのかを、さらにこのアラームおよびこのアラームを引き起こした信号値が、時間的にどこにポジショニングされているのかを、ユーザが迅速に把握しやすくなる。
【0038】
好ましくは、アラーム全体系列およびアラーム参照区間は、比較的粗い同じ時間スケールで表示される。好ましくは、アラーム参照区間は、この区間がアラーム全体系列に対し相対的に適正な時間にポジショニングされるように、表示されている。これによってユーザは、全期間に対し相対的な参照時間ウィンドウの時間的ポジショニングと、全期間内のアラームに対し相対的な参照時間ウィンドウ内のアラームの時間的ポジショニングとを、把握しやすくなる。
【0039】
本発明によれば制御された出力ユニットは、アラーム参照区間がアラーム全体系列に対し相対的に時間的にどのようにポジショニングされているのかを表示し、しかもポジショニング表示を用いることでこのことを表示する。1つの実施形態において、アラーム参照区間は、アラーム全体系列の一部として、好ましくはアラーム全体系列内に強調されて表示され、これによって相対的なポジショニングが表示される。この実施形態によれば、時間的ポジショニングを表示するために、出力ユニットにおいて付加的なスペースが必要とされない。
【0040】
別の実施形態において、アラーム参照区間はアラーム全体系列とは別個に表示されるが、この別の実施形態の場合も、好ましくは適正な時間にポジショニングされており、両方の表示はその間同時に一緒に表示される。適正な時間にポジショニングすることにより、相対的な時間的ポジショニングが示される。制御された出力ユニットが、全期間に対する時間軸を出力ユニットに表示し、この時間軸において参照時間ウィンドウをマーキングして表示する、ということも可能である。
【0041】
本発明によれば、出力ユニットは、アラーム参照区間がアラーム全体系列に対し相対的に時間的にどのようにポジショニングされているのかを示す。好ましくは、時間的ポジショニングのこのような表示は、グラフィック表示である。これによってユーザは、数値による時間表記を読まず済むようになり、頭で評価することがなくなり、かつ/または評価する必要がなくなる。グラフィックによるポジショニング表示を用いることで、アラーム全体系列に対し相対的なアラーム参照区間の時間的ポジショニングを、考えられる他の表示よりも迅速かつ直感的にユーザが把握できるようになる。
【0042】
本発明によれば、信号処理ユニットは出力ユニットを制御することができ、それにより制御された出力ユニットは、アラームの少なくとも2つの時系列を表示し、つまりアラーム全体系列とアラーム参照区間とを表示する。アラーム全体系列は、全期間内で出現しているアラームを示し、アラーム参照区間は、アラーム全体系列のうち参照時間ウィンドウ内に出現しているアラームを示す。好ましくは、アラーム全体系列およびアラーム参照区間は、比較的粗い同じ時間スケールで表示される。特に好ましくは、制御された出力ユニットはアラーム参照区間を、例えばアラーム全体系列内で強調して、アラーム全体系列のうちの1つの区間として表示する。この実施形態によれば、アラーム参照区間がアラーム全体系列とは空間的に分離されて表示される表示と比べて、出力ユニットにおけるスペースが節約される。とはいえアラーム参照区間を、アラーム全体系列とは分離して表示することも可能である。
【0043】
好ましくは、装置はさらに、例えばタッチスクリーンなどユーザ入力を捕捉可能な入力ユニットを含む。この入力ユニットを用いることでユーザは特に、表示されたアラームを選択し、参照時間ウィンドウを変更することができる。特にユーザは、参照時間ウィンドウを全期間内であちこちにずらして、所望の時点にポジショニングすることができる。
【0044】
この実施形態の1つの発展形態において、信号処理ユニットは、表示されたアラームのユーザによる選択を捕捉することができる。表示されたこのアラームが全期間内にはあるけれども参照時間ウィンドウ内にはない、という場合がある。ある1つのアラームの選択後、信号処理ユニットは出力ユニットを制御することができ、それにより参照時間ウィンドウが自動的にずらされ、選択されたアラームが今度は参照時間ウィンドウ内に位置するようになる。
【0045】
好ましくは、ユーザは、アラーム全体系列内および/またはアラーム参照区間内またはアラーム参照系列内で示されるアラームを選択することができる。1つのアラームの選択後、制御された出力ユニットは、選択されたアラームに関する少なくとも1つの情報を表示することができる。例えば以下の情報のうちの少なくとも1つが表示される。すなわち、
・充足されたものとして検出されアラームを引き起こしたアラーム判定基準のテキスト記述、
・アラームが検出された時点、
・このアラームが存在していた継続時間、
・アラームの適合度の記号、
・アラームを引き起こした少なくとも1つの信号値、
・アラームを引き起こした信号に対し予め定められた目標範囲、その際にアラームは好ましくはこの目標範囲外の信号値によりトリガされる。
【0046】
本発明によれば、少なくとも1つのアラーム判定基準が予め定められる。好ましくは、それぞれ異なる少なくとも2つのアラーム判定基準が予め定められる。いずれのアラーム判定基準も、それぞれ1つのアラーム形式を定義している。同じアラーム判定基準が繰り返し、つまりそれぞれ異なる時点で、充足される可能性がある。このケースでは、相前後して複数の同種のアラーム形式が検出されている。つまり全体で、それぞれ異なる少なくとも2つのアラーム形式が定義される。予め定められた1つのアラーム判定基準が充足され検出されている場合であれば、配属されたアラーム形式の1つのアラームが生じており、検出されている。
【0047】
信号処理ユニットは、ユーザによるアラームの選択を捕捉することができる。信号処理ユニットがアラームの選択を捕捉した後、この信号処理ユニットは出力ユニットを制御することができ、それにより制御された出力ユニットは以下のことを表示する。すなわち、アラーム全体系列内および/またはアラーム参照区間内および/またはアラーム参照系列内において、選択されたアラームと同じアラーム形式に属する他のいずれのアラームも、表示されている残りのアラームに比べ強調されて表示される。
【0048】
1つの好ましい実施形態において、信号処理ユニットはある1つのアラームの選択を、このユニットが他のアラームの選択を捕捉するまでの間にわたり、そのまま維持する。アラームのこの選択は、好ましくは特に、参照時間ウィンドウまたはもっとあとで説明する参照時点が、ユーザ入力に基づき変更された場合であっても、そのまま維持され、とりわけ好ましくは、選択されたアラームが、参照時間ウィンドウがずらされる前には参照時間ウィンドウ内に位置しており、その後はもはやそこに位置していない場合であっても、そのまま維持される。
【0049】
本発明によれば、信号処理ユニットは出力ユニットを制御し、それにより制御された出力ユニットは、すべてが参照時間ウィンドウに関係している信号推移表示、アラーム参照区間および/またはアラーム参照系列を表示する。この参照時間ウィンドウは、全期間のうちの1つの区間つまり一部分である。表示されるアラーム全体系列は、全期間に関係している。1つの好ましい実施形態において、信号処理ユニットは、参照時間ウィンドウを変更するための、特にそれをずらすための、またはその長さを変更するための、ユーザ入力を捕捉することができる。ユーザがユーザ入力によって、参照時間ウィンドウの時間長を変化させることで、好ましくは、比較的精細な前記時間スケールまたはいずれの時間スケールも変化し、これは特に参照時間ウィンドウの空間的拡がりが同じまま維持される場合である。時間スケールが同じまま維持され、空間的拡がりが時間長の変化に整合されるようにすることもできる。これに対し、参照時間ウィンドウを単にずらすだけでは、比較的精細な前記時間スケールは、またはいずれの時間スケールも、変化しないままである。信号処理ユニットが参照時間ウィンドウの要求された変更を捕捉した後、信号処理ユニットは出力ユニットを制御する。相応に制御された出力ユニットは、アラーム参照区間ならびに信号推移表示および/またはアラーム参照系列を、変更された参照時間ウィンドウに合わせて自動的に整合する。
【0050】
ともかくも、変更された参照時間ウィンドウも全期間内に完全に位置している場合であるならば、制御された出力ユニットは表示されたアラーム全体系列を何も変化させない。これに対し、変更された参照時間ウィンドウが全期間内に完全には位置していないケースでは、信号処理ユニットは、全期間および/または参照時間ウィンドウを変化させて、その後では再び参照時間ウィンドウが完全に全期間内に位置するようにし、表示されたアラーム全体系列を相応に整合する。あるいは信号処理ユニットは、エラーメッセージを出力させる。
【0051】
1つの好ましい実施形態において、制御された出力ユニットは付加的に、参照時間ウィンドウ内に位置する参照時点を示す。この参照時点は、信号推移表示内および/またはアラーム参照区間内および/またはアラーム参照系列内に表示される。好ましくは、制御された出力ユニットは付加的に、この参照時点における少なくとも1つの信号の値を示し、特に好ましくは、信号推移表示内に表示された少なくとも1つの、またはそれどころかすべての信号の個々の値を示す。
【0052】
信号処理ユニットは、表示された参照時点をユーザが変更する、特にずらす、ために用いられるユーザ入力を捕捉することができる。このユーザ入力は、時点の数値入力を含むことができ、または画面上に表示された参照時点に対するシンボルをずらすステップも含むことができる。かかるユーザ入力に対する応答として、信号処理ユニットは出力ユニットを制御することができる。応答として制御された出力ユニットは、信号推移表示内および/またはアラーム参照区間内および/またはアラーム参照系列内に、変更された参照時点を表示し、好ましくは、変更された参照時点における前記信号値またはすべての信号値を表示する。
【0053】
変更された参照時点が、参照時点の変更前に用いられた参照時間ウィンドウ外に位置しているケースであれば、信号処理ユニットは好ましくは付加的に参照時間ウィンドウを、ユーザ入力に従い変更された参照時点が変更された参照時間ウィンドウ内に位置するように変更する。別の実施形態において、信号処理ユニットは、変更されないままにしておかれた参照時間ウィンドウの境界に参照時点を移す。さらに別の実施形態において、信号処理ユニットは、エラーメッセージを出力させる。それに基づきユーザは、参照時間ウィンドウまたは参照時点を変更することができる。
【0054】
この実施形態の1つの発展形態において、信号処理ユニットは、変更された参照時点にアラームが出現しており検出されているか否かをチェックする。変更された参照時点においてアラームが出現しており検出されているケースであるならば、信号処理ユニットはこのアラームを選択されたアラームとして使用する。必ずしも、このアラームをそのまま選択しなくてもよい。
【0055】
この実施形態の1つの変形実施形態において、ユーザは最初に1つのアラームを選択することができる。本発明による装置は、ユーザによる1つのアラームのこのような選択を捕捉することができる。1つのアラームの選択が捕捉されたステップによって、このアラームが出現した時点が参照時点として使用されるステップがトリガされる。選択されたアラームが以前には参照時間ウィンドウ外に位置していたケースであれば、選択されたアラームが今度は参照時間ウィンドウ内に位置するように、参照時間ウィンドウがずらされる。しかも好ましくは、この参照時点における信号推移表示の少なくとも1つの信号の個々の値が表示される。この実施形態によって、ユーザはただ1回のインタラクションで、アラームの時点における状況についての概要を得ることができる。
【0056】
アラームを選択させる実施形態を、参照時点を選択させる実施形態と組み合わせることができる。これによってユーザに対し、2つの異なるインタラクションの可能性が与えられる。
【0057】
本発明によれば、制御された出力ユニットは、全期間に関係しているアラーム全体系列と、アラーム参照区間と、さらに任意選択的に、参照時間ウィンドウに関係しているアラーム参照系列とを表示する。好ましくは、制御された出力ユニットは、アラーム全体系列内および/またはアラーム参照区間内および/またはアラーム参照系列内に、それぞれ1つのシンボルを用いてすべてのアラームを表示する。この実施形態によれば、アラームのテキスト記述と比べてスペースが節約され、さらにユーザは表示された状況をより迅速に把握できるようになる。
【0058】
この実施形態の1つの発展形態において、予め定められたいずれのアラーム判定基準にも、つまりは考えられるいずれのアラーム形式にも、それぞれ1つの予め定められたシンボルが割り当てられている。制御された出力ユニットは、1つのアラームに対するシンボルとして、アラーム判定基準つまりはこのアラームのアラーム形式に割り当てられているシンボルを表示する。複数の同種のアラームは、個々の出現時点によって区別される。
【0059】
1つの実施形態において、いずれのアラーム形式にも異なるシンボルが割り当てられている。多くのケースにおいていっそう見通しのよい1つの変形実施形態は、以下の実施形態である。すなわち、いずれのアラーム判定基準にもそれぞれ1つの適合度が割り当てられている。いずれの適合度にもそれぞれ1つのシンボルが割り当てられている一方、それぞれ異なる適合度にはそれぞれ異なるシンボルが割り当てられている。したがってこの好ましい実施形態の場合には、同じ適合度のそれぞれ異なるアラーム判定基準に、同じシンボルが割り当てられている。出力ユニットにおいて、アラームがアラーム形式のシンボルによって適正な時間に表示される。いずれのアラーム判定基準にも、つまりはいずれのアラーム形式にも、それぞれ1つの固有の特別なシンボルが割り当てられている実施形態と比べて、この実施形態によれば、必要とされるシンボルの個数が低減される。しかも関連するアラームをより迅速に認識することができる。1つの実施形態において、制御された出力ユニットはユーザ入力に応じて、適合度に対するシンボルまたはアラーム形式に対するシンボルを示す。
【0060】
本発明によれば、制御された出力ユニットは、全期間に関係しているアラーム全体系列と、アラーム参照区間と、さらに任意選択的に、参照時間ウィンドウに関係しているアラーム参照系列とを表示する。好ましくは、制御された出力ユニットは付加的にアラーム記述系列を表示する。このアラーム記述系列は、アラームシーケンスのアラームごとに、それぞれ1つのテキストアラーム記述を含む。このアラームシーケンスは、アラーム全体系列内に表示されるアラームの時系列に属し、好ましくはアラーム参照系列のシーケンスに属する。テキストアラーム記述はリスト方向に延在している。このリスト方向は好ましくは、時間軸表示方向に対し垂直であり、例えば上から下に向かっている。アラーム記述系列内のすべてのテキストアラーム記述の個々の記載方向は、リスト方向に対し垂直であり、したがって2次元表示であれば時間軸表示方向に対し平行である。
【0061】
好ましくは、1つのアラームのテキストアラーム記述は、以下の情報のうちの少なくとも1つを含む。すなわち、
・このアラームが属するアラーム形式のテキスト記述、
・このアラーム形式に対するシンボル、
・このアラームが検出された時点、
・このアラームが存在していた継続時間、
・このアラームの適合度の記号、
・このアラームを引き起こした少なくとも1つの信号値。
【0062】
いま述べた実施形態によれば、表示されたアラーム記述系列は、アラームシーケンスのアラームごとに、それぞれ1つのテキストアラーム記述を含む。好ましくは、信号処理ユニットは、アラーム記述系列内にアラーム記述が表示されるアラームのシーケンスを変更したいというユーザ入力を、つまり別のアラームシーケンスが表示されるようにしたいというユーザ入力を、捕捉することができる。かかる変更の捕捉後、信号処理ユニットは出力ユニットを制御し、それにより制御された出力ユニットは、変更されたシーケンスのアラームに対するアラーム記述を、好ましくはやはりリスト方向で表示する。
【0063】
アラーム記述系列による実施形態の1つの発展形態において、信号処理ユニットは、アラーム記述の選択を捕捉することができ、その際、選択されたアラーム記述がアラーム記述系列内に表示される。選択されたこのアラーム記述は、全期間内に検出されているアラームに属しており、好ましくは参照時間ウィンドウ内のアラームに属している。好ましくは、信号処理ユニットは、選択されたアラーム記述が関係しているアラームを、選択されたアラームとして使用する。特に、信号処理ユニットは、選択されたアラームと同じアラーム形式に属する他のいかなるアラームも、表示されている残りのアラームに比べ強調して表示する。
【0064】
アラーム記述系列による実施形態のさらに別の発展形態において、信号処理ユニットは、参照時間ウィンドウ内で検出されていたアラームを有するアラーム参照系列と、相関インジケータと、を表示する。相関インジケータは、誘導要素および被誘導要素を含む。
【0065】
この発展形態の第1の択一的実施形態において、誘導要素は、アラーム記述系列内の1つのアラーム記述に関係している。被誘導要素は、このアラーム記述が関係している、アラーム参照系列内および/またはアラーム参照区間内のアラームに関係している。この発展形態の第2の択一的実施形態において、誘導要素は、アラーム参照系列内および/またはアラーム参照区間内の1つのアラームに関係しており、被誘導要素は、このアラームが関係している、アラーム記述系列内のアラーム記述に関係している。
【0066】
この実施形態によれば、アラーム参照系列内の1つのアラームについて、配属されたアラーム記述を見つけやすくなり、またはこれとは逆に1つのアラーム記述について、配属されたアラームをアラーム参照系列内で見つけやすくなる。例えばユーザ入力に基づき誘導要素が別のアラーム記述または別のアラームを指すならば、被誘導要素がそれに応じて付随する。
【0067】
本発明によれば、制御された出力ユニットは、信号推移表示および/またはアラーム参照系列を表示し、これらは双方ともに参照時間ウィンドウに関係している。信号処理ユニットは、予め定められたアラーム判定基準が充足されているか否かを、自動的にチェックする。1つの好ましい実施形態において、信号処理ユニットは出力ユニットを制御し、それにより出力ユニットは以下のことを表示する。すなわち、信号推移表示に表示された参照時間ウィンドウ内の信号推移が、少なくとも1つの予め定められたアラーム判定基準を充足しているケースであれば、出力ユニットはこの表示において、このアラーム判定基準が充足されている状態をもたらした、表示された信号推移の区間、および/または全期間内および/または参照時間ウィンドウ内の時間区間を強調する。例えば出力ユニットは、信号推移のうち、この信号に対し予め定められた目標範囲の外側にある区間を強調表示し、かつ/または参照時間ウィンドウのうち、信号の値が目標範囲外にある区間を強調表示する。この目標範囲をまえもって予め定めておいてもよいが、あるいは時間的に可変としてもよく、信号処理ユニットにより計算されたものとしてもよい。
【0068】
この実施形態によってユーザは、表示されたアラームをより精密に検査しやすくなり、その際に必ずしもテキスト記述を出力ユニットに表示させなくてもよい。この実施形態は、テキスト記述とは異なり、多くのケースでは出力ユニットにおいて付加的なスペースを必要としない。
【0069】
本発明による装置は、1つの信号処理ユニットと1つの出力ユニットとを含む。1つの実施形態において、この信号処理ユニットは2つの信号処理装置に分割されており、これらの装置は好ましくは空間的に互いに離間されていて、データを介した接続を通して互いに接続されている。第1の信号処理装置は、患者センサから測定値を受信し、少なくとも1つの信号を生成し、アラーム判定基準が充足されているか否かをチェックし、アラームを検出するように構成されている。第2の信号処理装置は、第1の信号処理装置から信号およびアラーム推移に関する情報を受信し、出力ユニットを制御するように構成されている。
【0070】
好ましくは、第1の信号処理装置は医療機器の1つの構成部分であり、またはこの医療機器に配属されており、検出されたアラームは、一時的にこの医療機器に接続されている患者に関係している。第2の信号処理装置は、医療機器および第1の信号処理装置とは空間的に分離されており、少なくとも一時的に第1の信号処理装置とデータを介して接続された状態にある。この場合、第1の信号処理装置が付加的に医療機器の出力ユニットを制御し、好ましくはそれにより医療機器の出力ユニットが上述のように動作する、というようにすることができる。さらにこの場合、第2の信号処理装置が複数の第1の信号処理装置に接続されており、特に好ましくは種々の医療機器の信号処理装置に接続されている、というようにすることができる。第2の信号処理装置および/または第2の信号処理装置により制御される出力ユニットは、例えば中央に配置されている。
【0071】
この実施形態の1つの発展形態において、装置は少なくとも2つの医療機器を備えたシステムに属しており、これらの医療機器は、データネットワークを介して少なくとも一時的に互いに接続されている。これらの医療機器のうちの少なくとも2つは、ここで説明したように構成された第1の信号処理装置をそれぞれ含む。第1の信号処理装置各々は、アラームおよびその時点に関するメッセージを、第2の信号処理装置へ伝達するように動作する。例えば第1の信号処理装置各々は、同じ中央データ記憶装置への書き込みアクセスを少なくとも一時的に有し、自身が検出したアラームに関する情報を、この中央データ記憶装置へ書き込む。
【0072】
第2の信号処理装置は、これら両方の第1の信号処理装置とそれぞれデータを介して接続された状態にあり、例えばこのことは、第2の信号処理装置が中央データ記憶装置への読み出しアクセスを少なくとも一時的に有し、アラームに関する情報を読み出す、というようにして行われる。第2の信号処理装置は出力ユニットを制御し、それにより出力ユニットは、一方の医療機器から、または他方の医療機器から、選択的に読み出されたアラームおよび任意選択的にその他の患者データを表示する。制御された出力ユニットが両方の医療機器のアラームを同時に表示する、というようにすることもできる。
【0073】
かくして、第2の信号処理装置および出力ユニットは、複数の第1の医療機器を監視するための中央システムとして機能する。
【0074】
次に、複数の実施例に基づき本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】少なくとも一時的に人工的に呼吸させられる患者と、呼吸器と、使用される患者センサとを概略的に示す図である。
【
図3】アラーム選択前の画面下方領域におけるアラーム概要表示を、拡大した形態で示す図である。
【
図4】アラーム参照系列において参照時間ウィンドウ内に位置するアラームの選択に対する応答、さらにこの選択に対する1つの応答を示す図である。
【
図5】アラーム参照系列において参照時間ウィンドウ内に位置するアラームの選択に対する応答、さらにこの選択に対する1つの応答を示す図である。
【
図6】アラーム選択後の
図3のアラーム概要表示を示す図である。
【
図7】どのようにして参照時間ウィンドウがずらされ、さらにどのようにして参照時間ウィンドウの前に位置するアラームが選択されるのかを示す図である。
【
図8】どのようにして参照時間ウィンドウがずらされ、さらにどのようにして参照時間ウィンドウの前に位置するアラームが選択されるのかを示す図である。
【
図9】どのようにして参照時間ウィンドウがずれされ、さらにどのようにして参照時間ウィンドウの前に位置するアラームが選択されるのかを示す図である。
【
図10】どのようにしてアラーム記述が挿入されるのかを示す図である。
【
図11】どのようにしてアラーム記述が挿入されるのかを示す図である。
【
図12】複数のアラーム記述を拡大表示で示す図である。
【
図13】アラームが関係している信号の時間推移が表示されないときに、どのようにしてアラームが選択されるのかを示す図である。
【
図14】アラーム記述系列において参照時間ウィンドウ内に位置するアラームの選択に対する応答を示す図である。
【
図15】アラーム記述系列の変形形態を示す図である。
【
図16】アラーム記述系列の変形形態を示す図である。
【
図17】アラーム記述系列の変形形態を示す図である。
【
図18】アラーム記述系列において参照時間ウィンドウの前に位置するアラームの選択に対する応答を示す図である。
【
図19】アラーム記述系列において参照時間ウィンドウの前に位置するアラームの選択に対する応答を示す図である。
【
図20】アラーム参照系列においてアラームを表示するために、どのようにして相関インジケータが用いられるのかを示す図である。
【
図21】アラーム参照系列においてアラームを表示するために、どのようにして相関インジケータが用いられるのかを示す図である。
【
図22】アラーム参照系列においてアラームを表示するために、どのようにして相関インジケータが用いられるのかを示す図である。
【
図23】さらに以前に検出されたアラームがどのようにして表示されるのかを示す図である。
【
図24】さらに以前に検出されたアラームがどのようにして表示されるのかを示す図である。
【
図25】参照時間ウィンドウをずらして、以前に検出されたアラームを表示させるための、ユーザインタラクションの別の手法を示す図である。
【
図26】参照時間ウィンドウをずらして、以前に検出されたアラームを表示させるための、ユーザインタラクションの別の手法を示す図である。
【
図27】参照時間ウィンドウをずらして、以前に検出されたアラームを表示させるための、代替実施形態を示す図である。
【
図28】参照時間ウィンドウをずらして、以前に検出されたアラームを表示させるための、代替実施形態を示す図である。
【
図29】アラームを選択するためのユーザインタラクションの別の手法を示す図である。
【
図30】アラームを選択するためのユーザインタラクションの別の手法を示す図である。
【
図31】参照時点をずらすためのユーザインタラクションのさらに別の手法を示す図である。
【
図32】参照時点をずらすためのユーザインタラクションのさらに別の手法を示す図である。
【
図33】参照時点をずらすためのユーザインタラクションのさらに別の手法を示す図である。
【
図34】参照時点をずらすためのユーザインタラクションのさらに別の手法を示す図である。
【
図35】どのようにしてアラームに対する説明が表示されるのかを示す図である。
【
図36】どのようにしてアラームに対する説明が表示されるのかを示す図である。
【
図37】どのようにしてさらに別の信号が選択されるのか、さらにどのようにしてその時間推移が付加的に表示されるのかを示す図である。
【
図38】どのようにしてさらに別の信号が選択されるのか、さらにどのようにしてその時間推移が付加的に表示されるのかを示す図である。
【
図39】どのようにしてさらに別の信号が選択されるのか、さらにどのようにしてその時間推移が付加的に表示されるのかを示す図である。
【
図40】比較的小さい画面によるさらに別の実施形態において、アラーム選択前の状況を示す図である。
【
図41】
図40による実施形態において、目下のアラームが表示される様子を示す図である。
【
図42】
図40による実施形態において、アラーム記述系列が表示される様子を示す図である。
【
図43】
図40による実施形態において、波形抜粋ビューが表示される様子を示す図である。
【
図44】
図40による実施形態において、平滑化された信号推移が表示される様子を示す図である。
【
図45】
図40による実施形態において、信号推移が数値で表示される様子を示す図である。
【
図46】
図40による実施形態において、アラームに対するフィルタがセットされる様子を示す図である。
【
図47】2つの医療機器と中央信号処理ユニットとを備えた例示的なシステムを示す図である。
【0076】
実施例では、画面と信号処理ユニットとを備えた呼吸器のために本発明が適用される。
【0077】
図1には、患者Pが食道Spおよび横隔膜Zwと共に示されており、この場合、患者Pは呼吸器1により人工的に呼吸させられ、患者の口の前でコネクションピース3に接続されている。
【0078】
患者Pの皮膚上で、患者Pの心臓の近くには測定電極の第1のセット2.1.1および2.1.2が、横隔膜Zwの近くには測定電極の第2のセット2.2.1および2.2.2が配置されており、さらに図示されていないアース用の電極も配置されている。これらの測定電極2.1.1~2.2.2の測定値およびアース電極の測定値から、電気的な呼吸信号および/または電気的な心臓信号を導出することができ、それらは患者Pの呼吸筋活動もしくは心筋活動を表す。
【0079】
任意選択的に、食道Sp内および横隔膜Zwの近くに、空気圧センサ6例えばカテーテルまたはバルーンが設けられている。この空気圧センサ6の測定値から空気圧信号を導出することができ、この信号は、食道Sp内の圧力Pes(pressure in esophagus)を表し、気道内の圧力と相関している。例えば呼吸器1内に配置されているさらに別の好ましくは空気圧のセンサの測定値から、コネクションピース3における気道圧力Paw(pressure in airway)を導出することができる。任意選択的に、光学センサ4が患者Pの体の幾何学的形状を測定する。光学センサ4の測定値から、つまり測定された体の幾何学的形状から、患者Pの肺の時間的に変化する充填状態に対する尺度を導出することができる。
【0080】
図1に示されている呼吸器1は、コネクションピース3と、情報を視覚的な形態でユーザに出力可能なタッチパネル型画面7を備えた出力ユニットとを含む。この呼吸器1は、患者Pの人工呼吸を実施する。これに加え、任意選択的な付加的な入力ユニットがデータ処理マウス37によって示される。
【0081】
データ処理を行う呼吸器1の信号処理ユニットは、センサ2.1.1~2.2.2、3、4、6から測定値を受信し、これらの測定値を用いて患者関連信号を計算して、選択された信号が画面7上に表示されるようにする。信号処理ユニット5は、画面7のためのプロセッサを制御し、これによって画面7上に、種々の信号の時間推移およびさらに別の情報が表示されるようにする。画面7およびこのプロセッサは、実施例の出力ユニットに属する。
【0082】
かかる患者関連信号についての例は、以下の信号である。すなわち、
・VT("ventilation"、換気量、これは1回の呼吸中、吸い込み時に患者Pの肺の中に流れる呼吸気量であり、単位は[ml])、
・MV(" minute volume"、単位時間あたりに肺に供給される呼吸気量、単位は[リットル/分])、
・RR(" Respiratory Rate"、患者Pの呼吸頻度、これはもっぱら呼吸器1での人工呼吸時には予め設定され、かつ/または患者Pが自発呼吸しているときには測定され、好ましくは呼吸の流れがその方向をどのくらいの頻度で変化させるのかを計数するようにして測定される)、
・HR("Heart Rate"、心拍数、これは例えば1分あたりの電気的な心臓信号またはEMG信号のRピークの回数として測定され、単位は[1/分])、および
・SpO2、血中酸素含有量、これはパルスオキシメータにより測定される。
【0083】
信号処理ユニット5は、センサから、例えば
図1に示したセンサ2.1.1~2.2.2、3、4、6から測定値を受信し、測定値から患者関連信号を生成する。信号VT(呼吸気量)は、信号処理ユニット5が1回の呼吸中のそれぞれ異なる時点での呼吸気流を表す複数の測定値にわたり積分を行うことで、計算される。信号MV(供給される呼吸気の量)は信号VTから、例えば適切な平均化により、または1分の長さの信号VTの信号区間から、計算される。
【0084】
画面7を呼吸器1の構成部分とすることができ、または呼吸器1から空間的に分離することもでき、例えばスマートフォンまたはその他の携行可能な機器に属するものとすることができる。信号処理ユニット5も、呼吸器1から空間的に分離することができ、例えば携行可能な機器に属するものとすることができる。
【0085】
ユーザは入力を行うことができ、それによって画面7上の表示を変更することができ、これについてはもっとあとで説明する。好ましくは、画面7はタッチパネル型画面(Tochscreen)として構成されており、ユーザは、画面7上に表示された要素にタッチして、例えば画面7の上で指を動かすことによって、ずらすことができる。ここで同様に考えられるのは、呼吸器1または空間的に分離された携行可能な機器が、付加的な入力ユニットを含むことであり、例えばマウス37および/またはキーボードまたは音声入力を認識するユニットを含むことである。
【0086】
信号処理ユニット5はアラームを検出することができる。検出可能ないずれのアラームも、信号処理ユニット5が測定値の評価により生成した少なくとも1つの信号に関係している。この信号が少なくとも1つのサンプリング時点において、かつ/または予め定められた最短期間よりも長い期間にわたり、予め規定されたアラーム判定基準を充足したならば、アラームが発生し、自動的に検出される。
【0087】
好ましくは、患者Pに配置されたセンサ2.1.1~2.2.2、3、4、6の測定値に依存して生成される患者関連信号ごとに、それぞれ目標範囲が予め定められており、この目標範囲内に信号値が存在するのが望ましい。この目標範囲を時間的に一定とすることができ、または使用中、測定値に依存して計算することができ、したがって時間的に可変とすることができる。この信号に対するアラーム判定基準が充足されるのは、少なくともn1個のサンプリング時点で、信号の値が目標範囲の下限を下回ったときである。さらに別のアラーム判定基準が充足されるのは、少なくともn2個のサンプリング時点で、信号の値が目標範囲の上限を上回ったときである。個数n1およびn2は予め定められており、これらを等しくしてもよいし、または互いに異ならせてもよい。信号の時間的変化または変化速度が、予め定められた変化限界を上回ったときにも、アラーム判定基準を充足することができる。
【0088】
信号処理ユニット5は、少なくとも1つの患者関連信号が予め定められたアラーム判定基準を充足しているか否かを、継続的に、例えば予め定められたサンプリング周波数でチェックする。好ましくは、信号処理ユニット5は信号ごとに、その信号に対して予め定められたアラーム判定基準が充足されているか否かをチェックする。このことが当てはまるならば、信号処理ユニット5は特定のアラーム形式のアラームを検出する。充足されたと検出されたアラーム判定基準は、検出されたアラームがどのアラーム形式であるのかを規定している。信号処理ユニット5は、アラーム形式と、そのアラームが出現した時点またはそのアラームが出現した最も早い時点とを検出する。当然ながら、同じアラーム形式のアラームが何度も相前後して出現する可能性がある。いずれのアラームも、アラーム形式と出現時点とによって特徴づけられている。
【0089】
信号処理ユニット5は特に患者関連信号を、例えば目標範囲の限界など予め定められた限界値と比較し、信号値が上限値を上回っているかまたは下限値を下回っているならば、患者関連アラームを生成する。
【0090】
逸脱した患者関連信号に起因するアラームについての一例は、" Pressure high"であり、この場合、気道圧力Paw(周囲圧力に対する圧力差)が予め定められた上限値を上回っており、例えば27mbarとなっている。さらに別の例は"MV low"であり、この場合、肺内に供給される呼吸気量が下限値を下回っており、例えば毎分3.65リットルとなっている。さらに別のアラームが発生するのは、呼吸頻度が上限を上回っているときである("RR high")。
【0091】
信号処理ユニット5は、呼吸器1のシステム状態も監視して、例えばアラーム「バッテリ充電状態低下」など、機器技術アラームを生成することができる。このアラームがトリガされるのは、呼吸器1のバッテリの充電状態が低下して、このバッテリが、定置された電圧供給網の一時的な停電または電圧供給網からの呼吸器1の切断に対し、十分に長い時間にわたって切り抜けることができないほどになっている場合である。さらに別の機器技術アラームが発せられるのは例えば、センサが有効な測定値を供給できないときである。
【0092】
信号処理ユニット5は、ユーザの入力を捕捉し処理することができる。信号処理ユニット5は、捕捉されたユーザ入力に応じて画面7を制御して、画面7がユーザ入力に対する応答としてさまざまな表示を示すようにする。これについてはあとで説明する。
【0093】
図2には、画面7の部分領域の例示的な初期区分が示されている。画面7のこれ以外の表示に対しては、本発明は好ましくは使用されない。例えば画面7の以下の領域が表示される。すなわち、
・画面7の中央の信号推移領域10内に、図示の状況では、3つの信号VT、MVおよびRRの時間推移が表示される。ユーザは、どの信号について時間推移が表示されるのかを設定することができる。
・信号値領域13内において、中央の信号推移領域10の右側に、参照時点t0(ここでは14:00)、ならびにこの参照時点t0での3つの信号の値VT(350ml)、MV(毎分4.94リットル)およびRR(毎分14)が表示される。図示の状況では、目下の時点(Now)が参照時点t0であり、したがって目下の時刻が表示され、これは時間が進むにつれて変化する。
・画面7の下方領域には、アラーム概要表示14が表示される。このアラーム概要表示14は、参照時間軸15と、複数のアラームから成るアラーム全体系列16と、アラーム参照区間26とを含み、これについてはあとで詳しく説明する。
【0094】
信号推移領域10内に表示される3つの信号VT、MV、RRの3つの時間推移は、このケースでは12:00~14:00に及ぶ参照時間ウィンドウT1に関係している。アラーム概要表示14における参照時間軸15は、この参照時間ウィンドウT1に関係している。表示されている3つの信号の時間推移VT、MV、RRも、同様に参照時間軸15に関係しており、参照時間ウィンドウT1内での信号の個々の推移を示している。
【0095】
画面7上の参照時点ライン20は参照時間軸15に対し垂直であり、変化する可変の参照時点t0を指していて、
図2に示した状況では、これは目下の時点14:00である。この参照時点ライン20も、同様に参照時間軸15に関係している。最初は、参照時点t0は目下の時点であり、つまりここでは14:00である。ユーザは、これよりも早い時点を変更された参照時点t0として予め定めることができ、これについてはもっとあとで説明する。
【0096】
アラーム概要表示14において参照時間軸15の下方に、複数のさまざまなアラームが表示される。いずれのアラームも1つの信号に関係しており、図示された実施例では、信号MVまたは信号VTまたは信号RRに関係しており、予め定められたアラーム判定基準が充足されていると検出される。予め定められたいずれのアラーム判定基準も、それぞれ1つのアラーム形式を規定しており、例えば、「信号MVは低すぎる」("MV low")または「信号RRは高すぎる」("RR high")というアラーム形式を規定している。
【0097】
参照時間軸15の下方に位置するアラーム全体系列16には、アラームの時系列が表示される。このアラーム全体系列16は、患者Pの治療中の全期間Tに関係しており、ここで全期間Tは、参照時間軸15により表示される参照時間ウィンドウT1よりも長い。つまり参照時間ウィンドウT1は、全期間Tのうちの1つの区間である。参照時間軸15の時間スケールは、アラーム全体系列16の時間スケールよりも精細である。アラーム全体系列16は、参照時間軸15を使用するのではなく、全体時間軸を使用し、これは1つの実施形態では、画面7上でスペースを節約する目的で、表示されずかつ数値による時間表記によって記述されない。この全体時間軸は、同じ期間を参照時間軸15よりも僅かなスペースで示しており、したがって全期間Tに対する全体時間軸は好ましくは、全期間Tが参照時間ウィンドウT1よりも長いにもかかわらず、参照時間ウィンドウT1に対する参照時間軸15と同じ長さである。必然的に全体時間軸は、参照時間軸15よりも粗い時間スケールを使用する。
【0098】
1つの実施形態において、アラーム全体系列16は常に表示される。アラーム全体系列によって、治療の全期間にわたる概要が提供され、ユーザがそのまま別の参照時間ウィンドウT1を選択できるようになる。別の実施形態において、アラーム全体系列16は、ユーザ入力に応じて挿入され、または隠される。
【0099】
このアラーム全体系列16のアラーム参照区間26は、どのアラーム形式が参照時間ウィンドウT1内でいつ出現したのか、さらに参照時間ウィンドウT1が期間T内でどのように配置されているのか、を示している。つまりアラーム概要表示14は、アラーム参照区間26とアラーム全体系列16とによって、全期間Tのどの区間が目下、参照時間ウィンドウT1を占めているのかを示しており、したがってポジショニング表示を示している。この区間は可変である。アラーム参照区間26のために、この実施例では全体時間軸が使用される。
【0100】
図示されている実現形態において、アラーム参照区間26は、アラーム全体系列16のうちの1つの区間であり、このことによって画面7上でスペースが節約される。アラーム参照区間26が、アラーム全体系列16から空間的に分離されて表示されるようにすることも可能である。したがって参照時間ウィンドウT1内で出現するいずれのアラームも、この異なる実現形態では2つ表示され、つまり1つはアラーム全体系列16内に、1つはアラーム参照区間26内に表示される。
【0101】
継続時間ウィンドウ30内に参照時間ウィンドウT1の時間長が表示され、ここでは2hが表示される。初期時間長は予め定められる。ユーザは、参照時間ウィンドウT1の時間長を変更することができ、このようにすることでも参照時間ウィンドウT1を変更することができる。例えばユーザは継続時間ウィンドウ30にタッチし、次いで例えばスライドコントローラによって、かつ/または続いて挿入されたキー"+"および"-"を用いて、かつ/または数値入力によって、新たな時間長を予め定めることができる。
【0102】
このアラーム参照区間26のアラーム形式、つまりは参照時間ウィンドウT1内で検出されたアラーム形式は、信号推移領域10の上方のアラーム参照系列18内に付加的に表示される。
【0103】
参照時間ウィンドウT1内で検出されたいずれのアラームも、アラーム全体系列16内およびアラーム参照系列18内に、対応するアラーム形式に対するシンボルによって表示される。アラーム参照系列18内に表示されるアラームの時点は、参照時間軸15を使用して表示される参照時間ウィンドウT1に関係している。したがって参照時間軸15は、アラーム参照系列18のためにも使用される。アラーム参照系列18は、同様に参照時間軸15にも関係しており、信号推移表示10と同じ比較的精細な時間スケールを使用する。
【0104】
1つの実施形態において、アラーム形式ごとにそれぞれ1つの固有のシンボルが予め定められ、いずれのアラームも、アラーム全体系列16内、アラーム参照系列18内およびアラーム参照区間26内に、アラーム形式に対するシンボルを用いて表示される。
【0105】
しかしながら多くの適用事例においては、見分けられるように表示させることのできるシンボルを十分に自由には使用できない。したがってこの実施例では、1つのアラームに対し、例えば「低」、「中」、「高」といった複数の可能な適合度が予め定められる。いずれのアラーム形式にも1つの適合度が割り当てられており、さらにいずれの適合度にも、例えば「低」には緑色円、「中」には黄色円、「高」には赤色円(つまり交通信号表示)といった1つのシンボルが割り当てられている。系列16、18および26内では、いずれのアラームも円またはその他のシンボルを用いて表示され、その際にこのシンボルの色および/または形状は、アラーム形式の適合度に依存する。アラーム形式"MV low"には、赤色円17.1で表示される適合度「高」が割り当てられており、アラーム形式"VT"には、緑色円17.2で表示される適合度「中」が割り当てられている(
図11を参照)。
【0106】
図3には、
図2のアラーム概要表示14が拡大された形態で示されている。ここには以下のことが示されている。すなわち、
・全期間Tをカバーするアラーム全体系列16、
・参照時間ウィンドウT1をカバーするアラーム参照区間26、この場合、明確にするため、黒く描かれた矩形の枠がアラーム参照区間26の周囲に設けられている、
・アラーム参照区間26が時間的にアラーム全体系列16内に、ひいては参照時間ウィンドウT1が全期間T内に、どのように配置されているのか、つまりこの実施例のポジショニング表示、
・参照時間ウィンドウT1に関係している参照時間軸15、これはアラーム参照区間26のために使用されるが、アラーム全体系列16のためには使用されない、
・参照時間ウィンドウT1の時間的継続を示す継続時間ウィンドウ30、および
・参照時間軸15上の参照時点t0。
【0107】
さらに
図3には、時間軸表示方向ZRが示されている。この時間軸表示方向ZRに、参照時間軸15、アラーム全体系列16およびアラーム参照区間26が延在している。時間軸表示方向ZRは、いっそう古い時点からいっそう新しい時点を指している。信号推移領域10内に表示される信号推移のx軸は、この時間軸表示方向ZRに対し平行である。図示の実施例では、時間軸表示方向ZRは右を指しているけれども、他の向きも同様に可能である。
【0108】
ユーザは表示されたアラーム12を選択する。このことをユーザはさまざまな手法で行うことができる。
図4には1つの可能性が示されている。すなわち、ユーザは、アラーム参照系列18内に表示されているアラーム12を、例えばユーザがこのアラーム12に対する表示に指でタッチするというようにして、選択する。丸19は、
図4において、さらに以下の図面において、ユーザによる個々の選択およびインタラクションを表す。表示されたアラーム12をユーザがどのようにして選択できるのかについてのさらに別の可能性は、あとで記載する。
【0109】
図4には、アラーム参照系列18内のアラーム12の選択が示されている。選択されたこのアラーム12は、アラーム形式"MV low"に属する。
【0110】
図5には、このアラーム12の選択によってどのような応答がトリガされるのかが示されている。すなわち、
・参照時点ライン20が、選択されたアラーム12の時点13:33にジャンプする。この時点が今度は参照時点t0である。
・信号値領域13に、選択されたアラーム12の時点(新たな参照時点t0、つまり13:33)、ならびにこの時点t0における3つの信号MV、VTおよびRRの個々の信号値(330ml、毎分3.65リットルもしくは毎分12)が表示される。
・アラーム参照系列18内およびアラーム全体系列16のアラーム参照区間26内に、参照時間ウィンドウT1内で検出されたアラームのそれぞれ1つの系列が表示される。アラーム12の選択に対する応答として、選択されたアラーム12と同じアラーム形式に属するさらに別のアラームが強調表示され、つまり表示された他のアラームと比較して強調される。この実施例では、時点12:03のアラーム12.1ならびに時点13:59のアラーム12.2が、選択されたアラーム12と同じアラーム形式"MV low"に属する。
図5では例示的に、同じアラーム形式"MV low"に属する全アラームが黒色で表示され、残りのアラームは黒縁付きの白色で表示される。
・これに加え、参照時間ウィンドウT1内で検出されたアラーム形式"MV low"のアラーム12、12.1、12.2は、アラーム全体系列16内に表示され、そこには参照時間ウィンドウT1外で検出されたさらに別のアラーム12.3が付加的に表示される。
・信号MVに対する目標範囲が予め定められており、またはランタイムに信号処理ユニット5により計算される。この目標範囲の下限21.1および上限21.2が表示される。ここに示されているように、下限21.1および/または上限21.2を時間的に可変とすることができる。
・下限21.1を下回り、このためアラーム形式"MV low"のアラームを引き起こす信号MVの区間が、強調されて表される。図示の実施例ではこれは、アラーム12に対する区間22、アラーム12.1に対する区間22.1、およびアラーム12.2に対する区間22.2である。例えば信号推移領域10内の3つの区間22、22.1、22.2は、別の背景色によって強調表示される。目標状態から逸脱した状態がどのくらいの長さにわたり持続したのかが、それぞれ表示される。選択されたアラーム12の時点、つまりは選択された参照時点t0は、図示の実施例の場合、信号MVが下限21.1を下回って降下した区間22の最初の時点である。
【0111】
図6には
図5の詳細な表示として、アラーム12が選択された後、
図3のアラーム概要表示14がどのように変化するのかが示されている。アラーム全体系列16内において、つまりはアラーム参照区間26内でも、アラーム形式"MV low"のアラーム12.1、12.2および12.3だけが強調されて(ここでは黒色)で目立つように表され、その他のアラームは強調されずに(ここでは黒縁付きの白色)表示される。この実施形態によれば、アラーム形式"MV low"の全アラームを、アラーム形式"MV low"に対し特別なシンボルを用いることなく、つまりアラーム"MV low"が強調されるだけというようにして、強調表示することができる。この場合、アラーム参照区間26内のどこに選択されたアラーム12が配置されているのか、ということがわかる。アラーム概要表示14は、選択されたアラーム12が時間的に全期間T内のどこに配置されているのかも示している。さらに、参照時間ウィンドウT1外に位置するアラーム12.3が示されている。
【0112】
図7および
図8には、どのようにしてユーザが以前の時間の参照時間ウィンドウT1を予め定めて、以前の参照時間ウィンドウT1内で同じ形式のアラームを選択するのかが示されている。全期間Tはそのまま変わらない。予め定められた以前の参照時間ウィンドウT1は、同じ形式のアラーム12.3が検出された時点を含むものとする。ユーザはアラーム参照区間26にタッチして、これを左に向かってアラーム12.3の時点の上にドラッグする(
図7の丸19および左を指す矢印を参照)。ユーザは、例えばアラーム全体系列16内の表示に指でタッチすることで、アラーム12.3を選択する(
図8を参照)。
【0113】
図9には、このユーザ入力に対する応答が示されている。すなわち、
・参照時点t0はここでは、アラーム12.3が出現した時点すなわち07:40である。
・アラーム12.3を引き起こした信号MVの区間22.3が強調表示される。
・参照時点ライン20はここでは、参照時点t0としてアラーム12.3の時点すなわち07:40を示す。
・信号値領域13内に、新たな参照時点t0およびこの参照時点t0での3つの信号VT、MVおよびRRの値が表示される。
・参照時間軸15上に、以前の参照時間ウィンドウT1が表示される。
・信号推移領域10はここでは、以前の参照時間ウィンドウT1内の3つの信号推移VT、MV、RRを示している。
・アラーム全体系列16はそのまま変わらない。
【0114】
これまで示してきた実施例の場合、ユーザはアラームを、アラーム全体系列16内またはアラーム参照区間26内において、アラーム形式に対するシンボルと時間的配置とを選択することによって、選択した。以下では、アラームを選択するための他の手法について示す。出発点はやはり、
図2に示される初期状況である。ユーザはシンボル23をクリックし、または他の手法で相応のユーザ入力を行う。このことは、
図10においてシンボル23周囲の丸19によって示唆される。
【0115】
図11に示されているように、これに対する応答としてアラーム記述系列11が付加的に表示され、しかもこれは信号推移領域10の左横に表示される。図示の実施例では、このアラーム記述系列11は、時間的に直接隣り合う最大N個の相前後するアラームから成るシーケンスのテキスト記述であり、この場合、個数Nは好ましくは、画面7の垂直方向寸法と好ましくは可変の文字サイズとに左右される。アラーム記述系列11は、このN個のアラーム記述を上から下に向かう順序で示し、その際にこのシーケンスにおいて時間的に最新のアラームのアラーム記述が上に示される。アラーム記述が水平方向の記載方向SRで表示されることを前提とするならば、いずれのアラーム記述もアラーム記述系列11内で同じ垂直方向スペースを占有する。
【0116】
アラーム記述系列11は、時間的に配列された複数のテキストアラーム記述から成るリストであり、この場合このリストは最大N個のアラームから成るシーケンスに関係しており、さらにこの場合、このアラームは全期間T内で検出されたものである。図示の実施例では、いくつかのアラームが参照時間ウィンドウT1内で検出されていて、例えば時点13:33にアラーム12が、さらに時点13:59にアラーム12.2が検出された。
【0117】
リストはリスト方向LRに延在している。このリスト方向LRは好ましくは、時間軸表示方向ZRに対し垂直である。図示の実施例の場合には、リスト方向LRは垂直である。アラームが新しくなればなるほど、そのアラーム記述は配列されたこのリスト11内でいっそう上に位置する。個々のアラーム記述の記載方向SRは、リスト方向LRに対し垂直であり、したがって2次元表示であれば、時間軸表示方向ZRに対し平行である。斜視的な、つまり立体的な表示も可能である。
【0118】
アラーム記述系列11を表示するステップの結果、この実施例では参照時間ウィンドウTが時間的に縮められる。時間スケールつまり表示スケールは、そのまま変わらないけれども、参照時間ウィンドウT1のために利用できるスペースが狭くなる。比較的精細な時間スケールはそのまま変わらない。アラーム記述系列11が表示された後、縮められた参照時間ウィンドウT1は12:20~14:00まで延在し、したがって約20分だけ短くなっている。これに応じて、アラーム参照区間26がアラーム全体系列16内で占有する割合が短くなる。よって、ポジショニング表示が自動的に変更される。
【0119】
アラーム記述系列11内に表示されるアラームは、12:00~14:00まで継続する元の参照時間ウィンドウT1内で検出されたものである。1つの実施形態において考えられるのは、アラーム記述系列11内に表示された1つのアラームが、12:20~14:00まで継続する縮められた参照時間ウィンドウT1内にはもはや位置していない、ということであり、これは例えば時点12:03におけるアラーム12.1である。
【0120】
ここで説明している実施形態が有用となるのは、例えば英語または独語であれば左から右へ、あるいはヘブライ語またはアラビア語であれば右から左へといったように、水平の記載方向を意図する言語で、テキスト記述が表示されるケースである。例えば伝統的な中国語または日本語などのように、垂直の記載方向を有する言語でテキスト記述が表示されるケースでは、表示が好ましくはそれ相応に整合される。例えば、時間軸表示方向ZRおよびテキストアラーム記述の記載方向SRが垂直に、リスト方向LRが水平に延在する。好ましくは、どの言語でテキスト出力を作成すべきであるのかをコンフィギュレーションすることができ、これによって記載方向ひいては時間軸表示方向ZRおよびリスト方向LRが規定される。
【0121】
画面7上に斜視的表示を示すことも可能であり、この場合、時間軸表示方向ZRとリスト方向LRと記載方向SRとによって、斜視的に表示される3次元のデカルト座標系が規定される。
【0122】
図示の実施例の場合、アラーム記述系列11はリスト方向LRで延在しており、この場合、シーケンスにおけるアラームのアラーム記述は、アラームが新しくなればなるほど、いっそう上に表示される。
【0123】
表示されるアラームごとに、それぞれ以下の情報が表示される。すなわち、
・アラーム形式のテキスト記述、例えば"MV low"または"RR high"、
・このアラーム形式の適合度に対するシンボル、
・アラームの個々の時点、厳密にはこのアラームが出現した最初の時点、
・任意選択的にアラームの個々の継続時間、好ましくは単位は[秒]、および
・任意選択的に、アラームの時点または期間において該当する信号の個々の値または目標範囲から逸脱した最大値。
【0124】
同じアラーム形式の複数のアラームが、表示された時間範囲内で出現する可能性があり、
図11に示した実施例の場合には、形式"MV low"のアラームが3回、形式"RR high"のアラームが7回、出現する。
【0125】
図12には、複数のアラーム記述が拡大表示で示されている。アラーム12に対する例示的なアラーム記述31は、以下の情報を含む。すなわち、
・アラーム12のアラーム形式"MV low"のテキスト記述"MV low"、
・時点 13:33、
・継続時間 2秒、
・アラーム12の時点での信号値 毎分3.65リットル、および
・アラーム形式"MV low"の適合度"「高」に対するシンボル17.1。
【0126】
図12にはさらに、アラーム記述系列11のリスト方向LR、ならびにテキストアラーム記述の記載方向SRが示される。記載方向SRはリスト方向LRに対し垂直である。
【0127】
図13には、アラーム形式"MV low"のアラームを選択するための別の出発点が示されている。信号推移領域10には、3つの信号SpO2、HRおよびRespの推移が表示され、ただし信号MVの推移は表示されない。ユーザは、アラーム参照系列18内でアラーム12を選択することができ、または以下で説明するような手法をとることができる。
【0128】
ユーザは、アラーム記述系列11内で、表示されたアラーム記述例えばアラーム12のアラーム記述を選択する。
図14には例示的に、アラーム12の選択によりどのような応答があるのかが示されている。すなわち、
・信号推移領域10に、参照時間ウィンドウT1内の信号VT、MVおよびRRの推移が表示される。
・参照時点ライン20が、選択されたアラーム12の時点13:33にジャンプし、その際にこの時点が今度は参照時点t0として機能する。
・信号値領域13に、選択されたアラーム12の時点t0(13:33)、ならびにこの参照時点t0における3つの信号MV、VTおよびRRの信号値(330ml、毎分3.65リットルもしくは毎分12)が表示される。
・アラーム記述系列11において、選択されたアラーム形式"MV low"の全アラーム12、12.1、12.2が、残りのアラームに比べて強調されて目立つように表され、例えばこれは、残りのアラームが薄く表示され、アラーム12、12.1、12.2だけが引き続きボールドで表示されるようにして行われる。
・アラーム参照系列18において、個々のアラーム形式に対するシンボルにより表示される時間ウィンドウ内のアラームの系列で、つまりここでは、アラーム形式"MV low"のアラームが他のアラームに比べて強調表示される。
・選択されたアラーム12はアラーム記述系列11内でも、同じ形式"MV low"のアラーム12.1、12.2よりも、例えば別の背景色によって強調されて目立つように表される。
・アラーム12のアラーム形式"MV low"が、このケースではアラーム形式に対する適合度が、別のシンボル17.3によって表示され、例えば丸ではなく矩形で表示される。
・アラーム全体系列16はそのまま変わらない。
【0129】
図15~
図17の変形実施形態の場合、アラーム記述系列11は、縮められた参照時間ウィンドウT1内に位置するアラームだけを示す。
図15は、アラーム記述系列11内のアラームが選択される前の状況を示す。
図16は、ユーザがアラーム12を選択した後の応答を示す。
【0130】
アラーム記述系列11の下方のスペース24は、アラーム記述系列11が相応に短いために、空白のままになっている。このスペース24に、全期間T内の以下のようなアラームの個数が記載される。すなわちそれらのアラームは、参照時間ウィンドウT1よりも前の時間に位置し、したがってアラーム記述系列11内には表示されず、かつ選択されたアラーム12と同じアラーム形式のものであり、このケースでは2つのアラーム(+2)である(
図16を参照)。
【0131】
ユーザは、この個数の表示を例えば指でクリックすることができる。これにより以前の時間のアラームが表示される(
図17を参照)。参照時間ウィンドウT1が変化し、このケースでは、11:50~13:35の期間へと変化し、このことは参照時間軸15においてわかるようになる。比較的精細な時間スケールはそのまま変わらない。参照時点t0はここでは12:03である。アラーム参照系列18は、相応にずらされて表示される。さらに2つのスペース24には、全期間T内で参照時間ウィンドウT1の前もしくは後に検出され、選択されたアラーム12と同じアラーム形式のものである、それぞれ1つの以前および以降のアラーム(+1)が、変更されたアラーム記述系列11内には表示されない、ということが表示される(
図17を参照)。
【0132】
図18の実施例の場合、ユーザは、時点12:03に検出されたアラーム12.1を選択する。このアラーム12.1は、目下の参照時間ウィンドウT1外に位置している。
図19には、この選択に対する応答が示されている。すなわち、
・参照時間軸15上に別の参照時間ウィンドウT1が示され、つまり11:55~13:35の期間が示される。選択されたアラーム12.1は、変更されたこの参照時間ウィンドウT1内に位置している。
・アラーム参照系列18内およびアラーム参照区間26内に表示されたアラームは、変更されたこの参照時間ウィンドウT1に関係している。
・参照時点t0はここでは、選択されたアラーム12.1の時点12:03である。信号値領域13内に、この参照時点t0およびこの参照時点t0での信号値が表示される。
・参照時点ライン20は、変更された参照時点t0にジャンプする。
・選択されたアラーム12.1は強調表示される。
・全期間Tおよびアラーム全体系列16はそのまま変わらない。
【0133】
図20~
図22には、相関インジケータがどのように使用されるのかが示されている。この相関インジケータによってユーザは、特定のアラームおよびこのアラームが出現した時点を、アラーム参照系列18内で見つけやすくなる。
【0134】
相関インジケータは、誘導要素32および被誘導要素33を含む。図示の実施例の場合、誘導要素32は右を指す三角形の形状であり、被誘導要素33は下または上を指す三角形の形状である。誘導要素32は、アラーム記述系列11内の最上位アラーム記述を常に指している。このアラーム記述は、参照時間ウィンドウT1内または参照時間ウィンドウT1外に位置する可能性があり、かつ目下選択されているかまたは選択されていない可能性があるアラームに関係している。被誘導要素33は、この最上位アラームに対するアラーム参照系列18内のシンボルを指している。被誘導要素33は誘導要素32を追従するように動作させられる。
【0135】
図20の実施例の場合、誘導要素32は最上位アラーム記述を指しており、これはアラーム12.2(アラーム形式"MV low"、時点13:59)に対するものである。これは
図11に示した状況でもある。被誘導要素33は、このアラーム12.2に対するアラーム参照系列18内のシンボルを指している。ユーザは、アラーム記述系列11内にアラーム記述が表示されるアラームのシーケンスを変更する。このことは、丸19および上を指す矢印によって示唆される。
【0136】
このユーザ入力に従い、アラーム34(アラーム形式"RR high"、時点13:55)が、アラーム記述系列11内の最上位アラームとなる(
図21を参照)。したがって誘導要素32は、アラーム34に対するアラーム記述を指している。被誘導要素33は、このアラーム34に対するアラーム参照系列18内のシンボルを指している。
【0137】
図22には、さらに別のユーザ入力の作用が示されている。誘導要素32は、アラーム35(アラーム形式"Apnea"、時点13:17)に対するアラーム記述を指している。被誘導要素33は、このアラーム35に対するアラーム参照系列18内のシンボルを指している。
【0138】
図20~
図22の実施例の場合、誘導要素32は、アラーム記述系列11内の最上位アラーム記述を常に指している。ここで考えられるのは、ユーザが誘導要素32をアラーム記述系列11内の別のアラーム記述へとずらすことができる、ということである。このようにした場合、被誘導要素33は、アラーム参照系列18内の対応するアラームを指す。誘導要素32がアラーム参照系列18内の1つのアラームを指しており、この誘導要素32をユーザが動かすことができる、ということも考えられる。被誘導要素33は、このアラームに対するアラーム記述系列11内のアラーム記述を指している。
【0139】
ユーザは、目下の参照時間ウィンドウT1内に出現しているどのアラームが、目下選択されているアラーム12.1と同じアラーム形式"MV low"に属しているのか、を表示させることができる。ユーザには、参照時間ウィンドウT1をずらす可能性が与えられる。
図23には、ユーザが目下選択されているアラーム12.1をアラーム記述系列11内で上に向かってドラッグする、ということが示されている。これによりアラーム記述系列11内において、このケースでは一番下の個所で、スペース24が空くことになる。このスペース24内に、全期間T内で参照時間ウィンドウT1の前に検出されていて、同様にアラーム形式"MV low"に属し、目下アラーム記述系列11内に表示されていないアラームの個数、このケースでは"+1"、が表示される。一番左下にあるスペース24のポジションによって、この付加的なアラームが、アラーム記述系列11内に表示されているアラームよりも前の時間に検出された、ということが示される。
【0140】
図示の実施例の場合、ユーザは、スペース24内に示されたインジケータをクリックする(
図23を参照)。スペース24内のインジケータ"+1"は、この実施例ではアラーム12.3に関係している。
図24には応答が示されている。すなわち、
・アラーム記述系列11が変更される。
・変更されたアラーム記述系列11内で、アラーム12.3が強調表示される。
・スペース24内において、いまや強調表示されたアラーム12.3よりも後の時間に、同じアラーム形式"MV low"の3つのさらに別のアラーム("+3")が検出された、ということが示される。したがってスペース24はいまや、表示されたアラームの上に位置している。
・参照時点ライン20は変更された参照時点t0にジャンプし、これはアラーム12.3の時点07:40である。
・参照時間軸15は、変更された参照時間ウィンドウT1を示しており、つまりアラーム12.3が位置する参照時間ウィンドウT1を示している。信号推移領域10内の信号推移、アラーム参照系列18およびアラーム参照区間26は、変更されたこの参照時間ウィンドウT1に関係しており、相応に変更される。
・信号値領域13内に、変更された参照時点t0=07:40およびこの参照時点t0での信号値が表示される。
・アラーム12.3に対する区間22.3は強調表示される。
・全期間Tおよびアラーム全体系列16はそのまま変わらない。
【0141】
スペース24内の個数インジケータ"+3"をユーザがクリックすると、
図23の表示が再び示される。
【0142】
図25および
図26には、表示された参照時間ウィンドウT1をずらすための別の手法が示されている。出発点はやはり、
図14に示される状況である。ユーザは、信号推移領域10内の信号推移MVの表示にタッチし、これを右に向かってドラッグし、その結果、参照時間ウィンドウT1は左に向かって、つまり以前の時点に向かってずれることになる。比較的精細な時間スケールは、やはりそのまま変わらない。このようにずらすことは、
図25において丸19および矢印によって示唆される。
【0143】
図26には、参照時間ウィンドウをこのようにずらしたことに対する応答が示されている。すなわち、
・参照時間軸15上に、ずらされた参照時間ウィンドウT1が表示される。
・アラーム参照系列18およびアラーム参照区間26が、変更後にこれらがずらされた参照時間ウィンドウT1に関係するように変更される。
・アラーム記述系列11内に、ずらされた参照時間ウィンドウT1に由来するアラームが表示される。
・アラーム12の選択および参照時点t0の設定はそのまま維持される。
・参照時点ライン20は、参照時間軸15上における参照時点t0の別のポジションに応じてずらされる。
【0144】
図27および
図28には代替実施形態が示されている。この代替実施形態の場合、アラーム記述系列11内には、縮められた参照時間ウィンドウT1内に位置するアラームだけが表示される。スペース24内に、同じアラーム形式のさらに別のアラームの個数が表示される。
【0145】
図29には、アラーム記述系列11内にアラーム記述が表示されるアラームシーケンスをユーザがどのように変更するのか、についての別の手法が示されている。これによってユーザは、アラーム形式、このケースではアラーム形式"RR high"、を選択できるようになる。出発点は、
図11に示される状況である。ユーザは、アラーム記述系列11内でアラーム、ここでは時点12:36におけるアラーム形式"VT"のアラーム、を探し出し、探し出されたこのアラームをアラーム記述系列11内で上に向かってドラッグする。このことは
図29において、丸19および上を指す矢印によって示唆される。
【0146】
図30には、ずらした後に生じた状況が示されている。アラーム記述系列11内には最上位アラームとして、時点13:55におけるアラーム形式"RR high"のアラーム34が示される。
【0147】
これまでの適用事例では参照時点t0は、目下の時点(ここでは14:00)であるかまたはアラームの時点であった。ユーザは、他の任意の参照時点t0を一時的に予め定めることもできる。好ましくは、以前に下したアラームの選択はそのまま維持される。さらに好ましくは、アラーム記述系列11内にアラーム記述が表示されるアラームのシーケンスがそのまま維持される。
【0148】
図31には、一時的な参照時点t0の設定について示されている。好ましくは垂直方向の参照時点ライン20は、カーソルとして機能する。ユーザはこの参照時点ライン20にタッチし、それを右に向かってずらして所望の時点上でホールドする。このことは
図31において、丸19および右を指す矢印により示唆される。
【0149】
一時的な参照時点t0としてユーザは、ずらしてホールドすることにより時点13:44を予め設定し、これは必ずしもアラームの時点ではない。
図32は、ユーザが参照時点ライン20をホールドしている場所を、円19によって示している。これに加えて、
図32には応答が示されている。すなわち信号値領域13内に、変更された参照時点t0およびこの参照時点t0での信号値が表示される。参照時間ウィンドウT1ならびにアラーム形式"MV low""の選択およびアラーム12の選択は、そのまま維持される。
【0150】
参照時点t0として、アラームの時点を設定し、それによってそのアラームを選択する、ということも可能である。
図33には1つの実施例が示されている。ユーザは参照時点ライン20をさらにずらし、アラーム12.2の時点である時点13:59を参照時点t0として選択した。好ましくは、ユーザは参照時点t0に対するライン20を、アラーム12.2の時点上でホールドする。このようなホールドは、
図33において丸19によって示唆される。
【0151】
以下の応答がトリガされる。すなわち、
・アラーム記述系列11内で、選択されたアラーム12.2が付加的に強調表示される。以前に下したアラーム12の選択はそのまま維持される。
・信号値領域13内には、やはり参照時点t0(ここでは13:59)およびこの参照時点t0での信号値が表示される。
・参照時間ウィンドウT1、参照時間軸15、ならびにアラーム参照系列18内およびアラーム参照区間26内の表示は、そのまま変わらない。
【0152】
1つの実施形態において、この参照時点t0は、ユーザが参照時点ライン20を対応する個所でホールドしている間だけ、選択されたまま維持される。ユーザは当然ながら参照時点ライン20をずらしてホールドすることができ、それに応じて表示が整合される。ユーザが参照時点ライン20をもはやホールドするのではなく、リリースしてしまえばただちに、最後に選択されていたアラームの時点が再び参照時点t0となる。これによって
図31に示した状況が、選択されたアラーム12と共に復元される。
【0153】
ユーザは、参照時点ライン20をアラーム12.2の時点へとずらして、そこでリリースすることもできる。
図34にはトリガされる応答が示されている。すなわち、
・アラーム12.2の時点が参照時点t0である。
・アラーム12の代わりにアラーム12.2が選択され、アラーム記述系列11内で強調されたものとして目立つように表される。
・以前に選択されていたアラーム12は、アラーム記述系列11内で強調されて目立つようには表されないが、このアラームは、今回選択されたアラーム12.2と同じアラーム形式のものであり、したがって他の形式のアラームとは異なるように表示され、つまりボールド文字で表示される。
【0154】
ユーザは、アラームに対する説明を表示させることができる。このことは
図35および
図36に示されている。
図35に示されている状況は、
図14にも示されるものと同じ状況である。ユーザはアラーム12を選択しており、このアラーム12が強調されて目立つように表される。
【0155】
ユーザは、アラーム記述系列11内のアラーム12の強調を選択し、このことは
図35において丸19によって示される。応答として、選択されたアラーム12の隣りに、2つのテキストウィンドウ27および28が表示される。テキストウィンドウ27内には、アラーム12に関する原因または説明が表示され、ここでは値が予め定められた下限21.1を下回った、ということが表示される。テキストウィンドウ28内には、原因を取り除くために考えられる対策が表示される。
【0156】
ユーザは、対応する信号またはそれ以外の信号の時間推移を、あるいは呼吸器1において設定することのできる量も、表示させることができる。このことは
図37および
図38に示されている。
【0157】
出発点はやはり、
図14の状況である。ユーザは、信号値領域13内のシンボル("+")を選択し、このことは
図37において丸19により表される。応答として選択メニュー29が表示され、これによって、2つのタブ("tab")および種々の信号の名前が選択のために提供される(
図38を参照)。第1のタブ"Measurement"によって、付加的に表示すべき患者関連信号を選択することができる。第2のタブ"Settings"によって、以前に選択され呼吸器1において設定可能な量が目下どのような値を有するのか、を表示させることができる。ただしこの実施例の場合、ユーザは、図示のユーザインタフェースにおいてはこの値を変更できず、そうではなく他の手法でしか、好ましくはじかに呼吸器1においてしか、変更できない。
【0158】
図示の実施例の場合には、第1のタブがアクティベートされている。ユーザは例えば信号SpO2を選択し、このことは
図38では丸19により表される。
図39には、この選択に対する応答が示されている。すなわち、
・信号VT、MVおよびRRの時間推移に加えて、信号SpO2の時間推移が表示される。
・信号値領域13において付加的に、参照時点t0、ここでは13:33、における信号の値93が表示される。
【0159】
やはり、アラーム12、参照時間ウィンドウT1および参照時点t0の選択は、そのまま変わらない。
【0160】
図40には別の実施形態が示されており、この実施形態を、比較的狭い画面7.1上で、しかもアラームが選択される前の状況において、実現させることができる。同じ参照符号は、これまで述べてきたものと同じ意味を有する。目下の参照時間ウィンドウT1として、直前の30分~目下の時点t0までが用いられる。ここで表示されるのは、タッチによりアクティベートさせることのできる2つの操作要素である。すなわち、
・アラーム記述を挿入するかまたは隠すための操作要素23および
・以下で説明する直接入力を可能にする操作要素38。
【0161】
図41の状況の場合にはフィールド39内に、21:15である参照時点t0に出現したアラーム、すなわちアラーム形式"SpO2 low"のアラーム40、が表示される。表示されている信号推移の目下の信号値が、領域44内に表示される。
【0162】
ユーザは、操作要素38またはフィールド39を操作する。
図42には、この入力に対する応答が示されている。今回挿入された画面7.1上の列41に、複数の操作要素が表示される。このときアラーム参照区間26が表示される。これに加え、アラーム記述系列11が垂直方向に表示され、最新のアラーム40が最上位の個所にある。画面7.1上のスペースを節約する目的で、
図40の状況では信号推移領域10により占有されていたスペースに、アラーム記述系列11が表示される。最新のアラーム40は、21:14:50に出現した。
【0163】
同じアラーム形式"SpO2 low"のアラーム40.1は、21:03:45に出現した。ユーザはこのアラーム40.1を選択しており、このことは縁で囲うことで示唆される。これに加え、さらに別のアラームが示され、例えば21:05:15の"Bradycardie"、20:58:45のイベントマーキングすなわち"Marked Event"、および患者Pにおいて行われる特別な処置、例えば搬送(21:00:00に終了している"Transport docked")、が示される。イベントマーキングはユーザによって手動でセットされたが、その目的は、このようにして特別な状況を記録して留めておくためである。ユーザは、あとでこの特別な状況を分析することができる。1つの実施形態において、ユーザは、この特別な状況に対しテキストコメントを入力することができる(図示せず)。さらに、ここでも相関インジケータの誘導要素32および被誘導要素33が表示される(
図20~
図22も参照)。
【0164】
ユーザは、画面7.1上に表示されたアラーム記述系列11の区間を、上に向かって、または下に向かって、順次進ませることができる(「スクロール」)。この場合、目下のアラーム参照区間26内には示されていないアラームが、誘導要素32の個所に達したならば、このアラームが今度は参照時間ウィンドウT1内に位置するように、参照時間ウィンドウT1およびアラーム参照区間26が整合される。1つの実施形態において、この場合にも比較的精細な時間スケールはそのまま変わらない。
【0165】
図43の実施例の場合、ユーザは、アラーム記述系列11内のアラーム40.1の記述を選択した。これによって参照時点t0が、このアラーム40.1の時点すなわち21:03:45にジャンプする。これに加えユーザは、列41内の操作要素42を操作した。このことに対する応答として、信号推移領域内にいわゆる波形抜粋ビューが表示される。この信号推移領域の下に時間軸43が表示される。参照時点t0はこの時間軸43の中央に位置している。時間軸43の右横に表示された両方のルーペ内に"+"および"-"を有する操作要素をユーザが操作することで、ユーザは波形抜粋ビューの目下の時間分解能を変更することができる。アラーム参照区間26の右横にある操作要素"<"および">"を介して、ユーザは以前の時間および以降の時間の同じアラーム形式のアラームを選択することができ、それによって参照時点t0も参照時間ウィンドウT1もずらすことができる。
【0166】
図44には、さまざまな信号の推移がトレンド推移としてどのように表示されるのかが示されており、その際に1つの実施形態において、信号が事前に計算により平滑化される。トレンド推移の表示は、選択された時間分解能と、サンプリング周波数と、表示すべき画素(ピクセル)の個数とに依存する。信号推移は、30分遡る参照時間ウィンドウT1に関係している。中央の信号推移領域10の下に、この参照時間ウィンドウT1のための参照時間軸15が表示される。
【0167】
これに加え、
図44に示される状況の場合には領域13内に、21:03:45である参照時点t0に示された信号の値が表示される。参照時点t0でのSpO2に対する値は低すぎた(アラーム)。よって、信号値領域13内にアラーム40.1を表示する際に、参照時点t0での信号値SpO2=82の隣りに、SpO2に対する目標範囲の下限、ここでは値SpO2=90、も表示され、その際に下限に対する数字はアンダーラインが付されて表示されている。
【0168】
図45に示される表示の場合、信号推移が数値により表示される。この表示はやはり参照時間ウィンドウT1に関係しており、このウィンドウは目下の時点("Now")前の直前の30分を含む。参照時点t0はやはり21:03:45である。さらに別の信号値が、5分の時間ステップで数値により表示される。ユーザが、ラベル"5 min"を有するコントロールボタンにタッチすることで、このインターバルを変更することができる。
【0169】
図46には、どのアラームが表示されるのかを、ユーザがどのようにしてフィルタリングできるのかが示されている。例えばユーザは、以下のフィルタをセットし再び解除することができる。すなわち、
・特定のアラーム形式のアラームだけが表示され、例えばアラーム形式"SpO2 low"のアラームだけが表示される。
・特定の優先順位のアラームだけが表示され、例えば優先順位「中」またはそれよりも高い優先順位が割り当てられたアラーム形式を有するアラームだけが表示され、あるいは同様に「中」だけが割り当てられたアラーム形式を有するアラームだけが表示される。
・アラームが選択的に表示される、または表示されない。
・アラームの監視がスイッチオンされる、またはスイッチオフされる。
・選択的に、患者関連アラームだけが表示される、または付加的に機器側アラームが表示される。
・ユーザが手動で付加するイベントマーキングが選択的に表示される、または表示されない。かかるイベントマーキングの一例は、
図42における20:58:45の"Marked event"である。
・患者Pにおける特別な処置が選択的に表示される、または表示されない。一例は、21:00:00に終了している患者搬送("Transport docked")である(
図42を参照)。
【0170】
セットされたフィルタは、アラーム参照区間26内のどのアラームが示されるのかについても、アラーム記述系列11内のどのアラームが記述されるのかについても、作用を及ぼす。これに加え、どのくらい多くのアラームが目下出現しているのか(28個)、およびどのアラームが目下フィールド39内に表示されるのか(アラーム形式"SpO2 low"の時間的に最新のアラーム40)、についても表示される。
【0171】
これまで述べてきた実施形態は、固有の信号処理ユニット5および固有の出力ユニット7を含む医療機器1に関係している。信号処理ユニット5によって、アラームに関する情報が上述のようにしてこの出力ユニット7上で表示されるようになる。以下では例示的に、複数の医療機器のデータネットワークについて説明する。
【0172】
図47には例示的に、本発明による装置を含むシステムが示されている。このシステムは以下を含む。すなわち、
・
図1の出力ユニット7および信号処理ユニット5を備えた呼吸器1、
・さらに別の出力ユニット7.2およびさらに別の信号処理ユニット5.2を備えたさらに別の呼吸器1.2、この場合、さらに別の呼吸器1.2を
図1の呼吸器と同様に構成することができる、
・呼吸器1または呼吸器1.2へ測定値を伝達可能な患者センサ、
・両方の信号処理ユニット5および5.2が少なくとも一時的に書き込みアクセスを有する中央データ記憶装置50、
・中央データ記憶装置50へ少なくとも一時的に読み出しアクセスを有する中央信号処理ユニット51、さらに
・中央出力ユニット52。
【0173】
このシステムは、複数のさらに別の呼吸器および/または他の医療機器を含むこともできる。
【0174】
したがって両方の呼吸器1および1.2ならびに中央信号処理ユニット51は、データネットワークによって互いに接続されている。中央信号処理ユニット51は中央出力ユニット52を制御する。
【0175】
両方のローカルの信号処理ユニット5および5.2は、上述のように呼吸器1もしくは1.2の患者センサから測定値を受信し、信号を生成し、予め定められたアラーム判定基準が充足されているか否かをチェックし、アラームを検出し、さらにローカルの出力ユニット7もしくは7.2を制御する。これらのアラームは、呼吸器1もしくは1.2に関係している。ローカルの信号処理ユニット5および5.2は、検出されたアラームに関する情報を中央データ記憶装置50へ書き込む。中央信号処理ユニット51は、例えば予め定められたサンプリング周波数で、この中央データ記憶装置50を読み出す。中央信号処理ユニット51は、このユニットが中央データ記憶装置50から読み出した情報を評価し、両方の呼吸器1および1.2のアラームが、上述のようにして出力ユニット52上に表示されるようにする。
【0176】
1つの実施形態において、ユーザは、呼吸器1のアラームまたは呼吸器1.2のアラームを選択的に表示させることができる。別の実施形態において、両方の呼吸器1および1.2のアラームが、中央出力ユニット52上に同時に表示される。
【符号の説明】
【0177】
1 コネクションピース3、信号処理ユニット5および出力ユニット7を含む呼吸器
1.2 さらに別の信号処理ユニット5.2よびさらに別の出力ユニット7.2を含む呼吸器
2.1.1~2.2.2 患者Pの皮膚上に配置され患者センサとして機能する測定電極
3 患者Pの口の前のコネクションピース
4 患者Pの肺の充填状態を測定する光学センサ
5 出力ユニット7を制御する呼吸器1の信号処理ユニット
5.2 出力ユニット7.2を制御するさらに別の呼吸器1.2の信号処理ユニット
6 患者Pの食道Sp内の空気圧センサ
7 画面を含み信号処理ユニット5により制御される呼吸器1の出力ユニット
7.1 比較的狭い画面を有する出力ユニット
7.2 画面を含み信号処理ユニット5.2により制御されるさらに別の呼吸器1.2の出力ユニット
10 画面7の中央の信号推移領域、この領域内に3つの信号VT、MVおよびRRならびにさらに別の信号の時間推移が表示され、この領域は参照時間ウィンドウT1に関係している
11 画面7のアラーム記述系列、この系列内で垂直方向に複数のアラーム記述から成る系列が表示され、最新のアラームが最上位の個所にある
12 時点13:33でのアラーム形式"MV low"の選択されたアラーム
12.1 時点12:03でのアラーム形式"MV low"のアラーム
12.2 時点13:59でのアラーム形式"MV low"のアラーム
13 画面7の信号値領域、この領域内に参照時点t0およびこの参照時点t0で示された信号の値が表示される
14 画面7の下方領域におけるアラーム概要表示、この表示は、参照時間軸15と、アラーム参照区間26を含むアラーム全体系列16とを示す
15 アラーム概要表示14において参照時間ウィンドウT1のために表示される時間軸
16 アラーム概要表示14におけるアラーム全体系列、この系列内に、どの時点でどのアラーム形式のアラームが検出されたのかが表示され、この系列は、参照時間軸15の参照時間ウィンドウT1のためのアラーム参照区間26を含む
17.1 例えばアラーム形式"MV low"に割り当てられた適合度「高」に対するシンボル
17.2 例えばアラーム形式"VT"に割り当てられた適合度「中」に対するシンボル
17.3 選択されたアラーム12の適合度「高」に対するシンボル
18 画面7上のアラーム参照系列、この系列は、参照時間ウィンドウT1内に出現しているアラーム形式のシンボルの系列を示す
19 画面7上の領域、この領域をユーザがタッチし、それによってアラームを選択し、またはその他のユーザインタラクションを実施する
20 参照時点ライン、このラインは、参照時間軸15に関連させて参照時点t0を示し、カーソルとして機能する
21.1,21.2 時間的に可変である、信号MVに対する目標範囲の下限もしくは上限
22,22.1,... 下限21.1を下回って位置しており、アラーム12,12.1,...をトリガした信号MVの区間
23 アラーム記述を挿入するかまたは隠すための操作要素
24 さらに別のいくつのアラームが、目下選択されているアラームと同じアラーム形式に属し、かつ目下アラーム記述系列11内には表示されていないのかを示す表示
26 アラーム全体系列16のアラーム参照区間、この区間は、参照時間軸15の参照時間ウィンドウT1に関係しており、参照時間ウィンドウT1内に出現しているアラーム全体系列16のアラームを示し、参照時間ウィンドウT1に対するポジショニング表示を提供する
27 アラームの原因について説明するテキストフィールド
28 テキストフィールド27内に記述されたアラームの原因を取り除くために考えられる対策について説明するテキストフィールド
29 推移を表示したい付加的な患者関連信号または機器技術信号を選択するための選択メニュー
30 参照時間ウィンドウT1の期間を表示する継続時間ウィンドウ
31 アラーム12に対するアラーム記述
32 アラーム記述系列11内の最上位アラーム記述を指す相関インジケータの誘導要素
33 アラーム参照系列18内の対応するアラームを指す相関インジケータの被誘導要素
34 時点13:55でのアラーム形式"RR high"のアラーム
35 時点13:17でのアラーム形式"Apnea"のアラーム
37 データ処理マウス
38 直接入力を可能にする操作要素
39 アラームが表示されるフィールド
40 アラーム形式"SpO2 low"のアラーム
41 複数の操作要素を含む画面7上の列
42 波形抜粋ビューを表示させるための列41内の操作要素
43 波形抜粋ビューに対する時間軸
44 表示されている信号推移の目下の信号値が表示される領域
50 中央データ記憶装置、この記憶装置内に、医療機器1、1.2のローカルの信号処理ユニット5および5.2が、検出されたアラームに関する情報を書き込み、この記憶装置に対し、中央信号処理ユニット51は少なくとも一時的に読み出しアクセスを有する
51 データ記憶装置50に対する読み出しアクセスを有し、中央出力ユニット52を制御する中央信号処理ユニット
52 中央信号処理ユニット51により制御される中央出力ユニット
HR 中央の信号推移領域10内に表示される心拍数を表す信号、これは1分あたりのRピークの個数である
LR アラーム記述系列11が延在するリスト方向、これは時間軸表示方向ZRに対し垂直である
MV 中央の信号推移領域10内に表示される信号("minute volume")、これは肺に供給される呼吸気量であり、単位は[リットル/分]
RR 中央の信号推移領域10内に表示される患者Pの呼吸頻度(respiratory rate)
MV low アラーム形式であり、下限21.1を下回った信号のMVの値
P 呼吸器1により人工的に呼吸させられる患者
Sp 患者Pの食道
SpO2 相応のユーザ入力に従い中央の信号推移領域10内に表示される血中酸素含有量
SR リスト方向LRに対し垂直であるアラーム記述31の記載方向
T アラーム全体系列16に関係し参照時間ウィンドウT1を含む全期間
t0 参照時点ライン20によって表される可変の参照時点、これは目下の時点("now")または選択されたアラームの時点であり、またはユーザにより直接予め定められる
T1 参照時間ウィンドウ、このウィンドウには、アラーム参照区間26およびアラーム参照系列18の表示されたアラームが関係しており、全期間Tのうちの1つの区間である
VT 中央の信号推移領域10に表示される信号"Ventilation"、これは1回の呼吸で肺の中に流れる呼吸気量であり、単位は[ml]
ZR リスト方向LRに対し垂直である時間軸表示方向、この方向に参照時間軸15、アラーム全体系列16およびアラーム参照区間26が延在する
Zw 患者Pの横隔膜