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特許7146884ビデオゲーム処理プログラム及びビデオゲーム処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】ビデオゲーム処理プログラム及びビデオゲーム処理システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/56 20140101AFI20220927BHJP
   A63F 13/35 20140101ALI20220927BHJP
【FI】
A63F13/56
A63F13/35
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020203410
(22)【出願日】2020-12-08
(65)【公開番号】P2022090854
(43)【公開日】2022-06-20
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】308033283
【氏名又は名称】株式会社スクウェア・エニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100188662
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100177895
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 一範
(72)【発明者】
【氏名】坂田 新平
(72)【発明者】
【氏名】三宅 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】ボエダ ゴティエ
(72)【発明者】
【氏名】マルティンス グスタボ
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-146574(JP,A)
【文献】特開2012-016523(JP,A)
【文献】特開2020-185208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24,13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されたオブジェクトについて所定の選択基準に基づいてキャラクタの前記オブジェクトに関するアクションを選択する処理をサーバに実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、
前記サーバに、
前記キャラクタが既に選択基準を記憶している1以上のオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)の中から、当該キャラクタが新規に取得したオブジェクト(以下、新規オブジェクト)に類似する類似オブジェクトを抽出する抽出機能と、
少なくとも前記類似オブジェクトと前記新規オブジェクトとで共通して設定されたアクションについて、前記新規オブジェクトに関連付けて記憶させる前記選択基準における各アクションの選択確率を、前記類似オブジェクトに関連付けて記憶された前記選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定する継承機能と
を実現させるビデオゲーム処理プログラム。
【請求項2】
前記サーバに、
前記キャラクタが前記オブジェクトに対してアクションを実行した際に、そのアクションに対する評価に基づいて、当該オブジェクトに関する前記選択基準における各アクションの選択確率を更新して記憶させる選択基準更新機能を更に実現させる
請求項1記載のビデオゲーム処理プログラム。
【請求項3】
前記継承機能は、前記類似オブジェクトと前記新規オブジェクトにおいて共通して実行可能なアクションの選択確率について継承処理を実行する
請求項1又は請求項2記載のビデオゲーム処理プログラム。
【請求項4】
前記抽出機能は、前記新規オブジェクトと1以上の前記選択基準記憶済オブジェクトのそれぞれとの間で、少なくとも1以上の項目からなるオブジェクトの性質について1以上の項目の一致度からオブジェクト間の類似度を算出して、類似度の高さに基づいて前記類似オブジェクトを抽出する
請求項1から請求項3の何れかに記載のビデオゲーム処理プログラム。
【請求項5】
通信ネットワークと、サーバと、ユーザ端末とを備え、少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されたオブジェクトについて所定の選択基準に基づいてキャラクタの前記オブジェクトに関するアクションを選択する処理を行うためのビデオゲーム処理システムであって、
前記キャラクタが既に選択基準を記憶している1以上のオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)の中から、当該キャラクタが新規に取得したオブジェクト(以下、新規オブジェクト)に類似する類似オブジェクトを抽出する抽出手段と、
少なくとも前記類似オブジェクトと前記新規オブジェクトとで共通して設定されたアクションについて、前記新規オブジェクトに関連付けて記憶させる前記選択基準における各アクションの選択確率を、前記類似オブジェクトに関連付けて記憶された前記選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定する継承手段と
を含むビデオゲーム処理システム。
【請求項6】
少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されたオブジェクトについて所定の選択基準に基づいてキャラクタの前記オブジェクトに関するアクションを選択する処理をユーザ端末に実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、
前記ユーザ端末に、
前記キャラクタが既に選択基準を記憶している1以上のオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)の中から、当該キャラクタが新規に取得したオブジェクト(以下、新規オブジェクト)に類似する類似オブジェクトを抽出する抽出機能と、
少なくとも前記類似オブジェクトと前記新規オブジェクトとで共通して設定されたアクションについて、前記新規オブジェクトに関連付けて記憶させる前記選択基準における各アクションの選択確率を、前記類似オブジェクトに関連付けて記憶された前記選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定する継承機能と
を実現させるビデオゲーム処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の少なくとも1つは、少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されたオブジェクトについて何れのアクションを選択するかを決定するための所定の選択基準に基づいてキャラクタのアイテムに関するアクションを選択するキャラクタ行動制御の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオゲームにおいてキャラクタの行動を人工知能(AI)によって自動制御することが行われてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数のオブジェクトを使用する電子ゲームに関するプレイヤのゲーム進行履歴を示し、複数のオブジェクトの使用結果を含むゲームログに基づいて、各オブジェクトの特徴を表す特徴ベクトルを学習する表現学習部と、ゲームログと、表現学習部が学習した各前記オブジェクトの特徴ベクトルとを少なくとも用いて、電子ゲームをプレイする人工知能エージェントに、複数のオブジェクトの使用に関する戦略を学習させる戦略学習部と、を備えることを特徴とする情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-095973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ビデオゲームにおいて、アイテム(オブジェクト)に対して少なくとも1以上の使用用途を設定して、その使用用途に応じたアクションをキャラクタが実行可能に設定する場合がある。例えば、「日本刀」というアイテムに対して、「振り下ろす」というアクション、「突く」というアクション、「(槍投げのように)投げる」というアクション、「(鞘に入れたまま)振り回す」というアクション等を実行可能に設定することが考えられる。このような少なくとも1以上のアクションを実行可能なアイテムをキャラクタが取得した場合に、キャラクタに対して何れのアクションを実行させるかを決定するためのアルゴリズムは様々に設定可能であるが、例えば、何れのアクションを選択するかを選択確率に基づいて決定するようにすることが考えられる。
【0006】
また、選択されたアクションの実行結果の評価に基づいて選択確率を変化させる学習を行うことも考えられる。
【0007】
このようなアイテムに対するアクションの選択確率に関する学習は、従来は、アイテム毎に行われていた。すなわち、「日本刀」について学習が進んだ状態において同様に扱えそうな「木刀」を初めて取得した場合、「木刀」に対して「日本刀」での学習を活用することはできず、改めて「木刀」について最初から学習を行う必要があった。すなわち、学習が進んだアイテムと類似性の高いアイテムを取得した場合に、ユーザは類似性が高いことから同様に使用してほしいと期待するが、そのアイテムは初めて取得したものであり学習が進んでいないことからユーザの期待するアクションを実行できず、ユーザから見たときにキャラクタの行動が不自然なものに感じてしまうおそれがあった。
【0008】
本発明の少なくとも1つの実施形態の目的は、新規オブジェクトについての選択基準を、類似オブジェクトの選択基準に基づいて設定することが可能なビデオゲーム処理プログラム及びビデオゲーム処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
非限定的な観点によると、本発明の一実施形態に係るビデオゲーム処理プログラムは、少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されたオブジェクトについて所定の選択基準に基づいてキャラクタの前記オブジェクトに関するアクションを選択する処理をサーバに実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、前記サーバに、前記キャラクタが既に選択基準を記憶している1以上のオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)の中から、当該キャラクタが新規に取得したオブジェクト(以下、新規オブジェクト)に類似する類似オブジェクトを抽出する抽出機能と、少なくとも前記類似オブジェクトと前記新規オブジェクトとで共通して設定されたアクションについて、前記新規オブジェクトに関連付けて記憶させる前記選択基準における各アクションの選択確率を、前記類似オブジェクトに関連付けて記憶された前記選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定する継承機能とを実現させることを特徴とする。
【0010】
非限定的な観点によると、本発明の一実施形態に係るビデオゲーム処理システムは、通信ネットワークと、サーバと、ユーザ端末とを備え、少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されたオブジェクトについて所定の選択基準に基づいてキャラクタの前記オブジェクトに関するアクションを選択する処理を行うためのビデオゲーム処理システムであって、前記キャラクタが既に選択基準を記憶している1以上のオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)の中から、当該キャラクタが新規に取得したオブジェクト(以下、新規オブジェクト)に類似する類似オブジェクトを抽出する抽出手段と、少なくとも前記類似オブジェクトと前記新規オブジェクトとで共通して設定されたアクションについて、前記新規オブジェクトに関連付けて記憶させる前記選択基準における各アクションの選択確率を、前記類似オブジェクトに関連付けて記憶された前記選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定する継承手段とを含むことを特徴とする。
【0011】
非限定的な観点によると、本発明の一実施形態に係るビデオゲーム処理プログラムは、少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されたオブジェクトについて所定の選択基準に基づいてキャラクタの前記オブジェクトに関するアクションを選択する処理をユーザ端末に実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、前記ユーザ端末に、前記キャラクタが既に選択基準を記憶している1以上のオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)の中から、当該キャラクタが新規に取得したオブジェクト(以下、新規オブジェクト)に類似する類似オブジェクトを抽出する抽出機能と、少なくとも前記類似オブジェクトと前記新規オブジェクトとで共通して設定されたアクションについて、前記新規オブジェクトに関連付けて記憶させる前記選択基準における各アクションの選択確率を、前記類似オブジェクトに関連付けて記憶された前記選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定する継承機能とを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願の各実施形態により1または2以上の不足が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するビデオゲーム処理システムの構成の例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理の例を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理におけるサーバ側の動作の例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理におけるユーザ端末側の動作の例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。
図7】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理の例を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。
図9】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理の例を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。
図11】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理の例を示すフローチャートである。
図12】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。
図13】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理の例を示すフローチャートである。
図14】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理において利用する情報の一例を説明するための説明図である。
図15】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理において利用する情報の一例を説明するための説明図である。
図16】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理において利用する情報の一例を説明するための説明図である。
図17】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理において利用する情報の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の例について図面を参照して説明する。なお、以下で説明する各実施形態の例における各種構成要素は、矛盾等が生じない範囲で適宜組み合わせ可能である。また、ある実施形態の例として説明した内容については、他の実施形態においてその説明を省略している場合がある。また、各実施形態の特徴部分に関係しない動作や処理については、その内容を省略している場合がある。さらに、以下で説明する各種フローを構成する各種処理の順序は、処理内容に矛盾等が生じない範囲で順不同である。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するビデオゲーム処理システムの構成の例を示すブロック図である。図1に示すように、ビデオゲーム処理システム100は、ビデオゲーム処理サーバ10(サーバ10)と、ビデオゲーム処理システム100のユーザが使用するユーザ端末(20,201~20N(Nは任意の整数)とを含む。なお、ビデオゲーム処理システム100の構成はこれに限定されず、単一のユーザ端末を複数のユーザが使用する構成としてもよいし、複数のサーバを備える構成としてもよい。
【0016】
サーバ10と複数のユーザ端末20,201~20Nは、それぞれインターネットなどの通信ネットワーク30に接続されている。なお、図示しないが、複数のユーザ端末20,201~20Nは、通信業者によって管理される基地局と無線通信回線によるデータ通信を行うことによって、通信ネットワーク30と接続する。
【0017】
ビデオゲーム処理システム100は、サーバ10と複数のユーザ端末20,201~20Nとを備えることにより、ユーザの操作に応じて各種処理を実行するための各種機能を実現する。
【0018】
サーバ10は、ビデオゲーム処理システム100の管理者によって管理され、複数のユーザ端末20,201~20Nに対して各種処理に関する情報を提供するための各種機能を有する。本例において、サーバ10は、WWWサーバなどの情報処理装置によって構成され、各種情報を格納する記憶媒体を備える。サーバ10の構成は、制御部や通信部などコンピュータとして各種処理を行うための一般的な構成を備えていれば特に限定されない。以下、サーバ10のハードウェア構成の例について簡単に説明する。
【0019】
図1に示すように、サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101と、メモリ102と、記憶装置103とを少なくとも備える。
【0020】
CPU101は、各種の演算および制御を行う中央処理装置である。また、サーバ10がGPU(Graphics Processing Unit)を備える場合には、各種の演算および制御の一部をGPUによって行うようにしてもよい。サーバ10は、適宜メモリ102に読み出したデータを用いてビデオゲームの制御に必要な各種の情報処理をCPU101にて実行し、得られた処理結果を必要に応じて記憶装置103に記憶させる。
【0021】
記憶装置103は、各種情報を格納する記憶媒体としての機能を有する。記憶装置103の構成は特に限定されないが、複数のユーザ端末20,201~20Nそれぞれにかかる処理負荷を軽減させるといった観点から、ビデオゲームの制御に必要な各種情報を全て記憶可能な構成であることが好ましい。このような例には、HDDやSSDがある。ただし、各種情報を記憶する記憶部は、サーバ10がアクセス可能な状態で記憶領域を備えていればよく、例えば専用の記憶領域をサーバ10の外部に有する構成とされていてもよい。
【0022】
図2は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。この図2に示すサーバ10Aは、サーバの構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、サーバ10Aは、抽出部11と、継承部12とを少なくとも備える。
【0023】
抽出部11は、キャラクタが既に選択基準を記憶している1以上のオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)の中から、当該キャラクタが新規に取得したオブジェクト(以下、新規オブジェクト)に類似する類似オブジェクトを抽出する機能を有する。
【0024】
ここで、選択基準とは、少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されたオブジェクトをキャラクタに使用させる際にキャラクタに実行させるアクションを選択するための基準のことをいう。選択基準は、オブジェクトに設定された1以上のアクションのそれぞれに対して設定された選択確率によって定めることが考えられる。本例では、キャラクタごとに各オブジェクトについての選択基準を記憶させることを前提としている。
【0025】
また、オブジェクトとは、ビデオゲームに登場する仮想的な物を意味する。特に、本例でのオブジェクトは、キャラクタにより使用されるものが対象となる。そして、オブジェクトには、少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されており、実行可能なアクションが複数存在する場合には、この選択基準に基づいてキャラクタに実行させるアクションを決定することになる。アクションとしては、例えば、「投げる」、「食べる」、「燃やす」といったものが設定される。
【0026】
また、キャラクタとは、ビデオゲームに登場し行動するものを意味する。キャラクタには、ユーザ操作に基づいて行動するものやユーザ操作にかかわらず自律的に行動するものがあるが、本例でのキャラクタは、少なくともオブジェクトに対するアクションの選択に関しては、ユーザ操作にかかわらず自律的に選択するものとする。自律的に行動するキャラクタは特に限定されず、ビデオゲームにおいてユーザの操作を完全に受け付けないノンプレイヤキャラクタ(NPC)でもよいし、一部ユーザの操作を受付ける状況が存在し、その他の状況ではユーザの操作を受け付けないキャラクタでもよい。自律的に行動するキャラクタの例には、周囲のオブジェクトを自律的に認識し意思決定及び行動を行うものがある。
【0027】
また、キャラクタが既に選択基準を記憶しているオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)とは、後述する継承処理によって選択基準を記憶したオブジェクトのほか、何らかのビデオゲーム内のイベント等に基づいて選択基準の新規記憶若しくは更新がなされたことのあるオブジェクトのことをいう。ここで、イベントとは、ビデオゲームの内部処理にて所定条件が成立することで発生する情報処理のことを指す場合と、ビデオゲームのストーリー上においてキャラクタなどに発生する出来事のことを指す場合の両方が含まれる。また、ビデオゲームの初期設定として、あるキャラクタにとっては最初から選択基準記憶済オブジェクトとして扱うオブジェクトが存在してもよい。このように、イベント以外の条件に基づいて選択基準記憶済オブジェクトとして扱うオブジェクトを含ませるために「イベント等」としている。これに対して、新規オブジェクトとは、選択基準の新規記憶及び更新が行われていないオブジェクトのことをいう。すなわち、初期設定として選択基準を備えていない状況かつ選択基準の新規記憶が行われていないオブジェクト、若しくは、初期設定として記憶された選択基準について一度も更新が行われていないオブジェクトのことを新規オブジェクトと表現している。また、選択基準の新規記憶及び更新が行われていないオブジェクトを新規オブジェクトと定義しているが、ビデオゲーム内での条件付けによって、選択基準の新規記憶及び更新行ったオブジェクトであっても、新規オブジェクトとして扱うようにしてもよい。
【0028】
また、オブジェクトについての類似とは、オブジェクトが備える性質について、対比する2つのオブジェクトの間での共通点が多い状態をいい、類似オブジェクトとは、類似の度合いが所定の基準を満たしたオブジェクトのことをいう。この抽出部11では、キャラクタが新規に取得した新規オブジェクトと類似する選択基準記憶済オブジェクトを類似オブジェクトとして抽出する処理を実行する。類似と判定するための条件は、適宜設定可能である。
【0029】
継承部12は、少なくとも類似オブジェクトと新規オブジェクトとで共通して設定されたアクションについて、新規オブジェクトに関連付けて記憶させる選択基準における各アクションの選択確率を、類似オブジェクトに関連付けて記憶された選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定する機能を有する。
【0030】
継承処理は、新規オブジェクトの選択基準を類似オブジェクトの選択基準に基づいて設定する処理である。具体的な処理内容は類似オブジェクトの選択基準に基づいて設定するものであればどのような手法であってもよい。例えば、新規オブジェクトの選択基準における各アクションの選択確率が、類似オブジェクトの選択基準における各アクションの選択確率に近づくような処理が考えられる。具体的な例としては、少なくとも共通して設定されたアクションについて、類似オブジェクトの選択基準における各アクションの選択確率を示す値を、新規オブジェクトの選択基準における各アクションの選択確率の値に加算して、その後に選択確率の値の総和が100%となるように正規化処理を行うといった処理が考えられる。継承処理実行後の新規オブジェクトの選択基準は、そのキャラクタに関する新規オブジェクトの選択基準として記憶装置103に記憶させる。なお、新規オブジェクトは、選択基準を初期設定として備える構成であってもよいし、選択基準を備えておらず継承処理によってはじめて選択基準が記憶される構成であってもよい。継承部12による継承処理は、キャラクタがオブジェクトを取得したタイミングで実行するようにしてもよいし、キャラクタがオブジェクトに対するアクションを選択する直前のタイミングで実行するようにしてもよく、所定の継承処理の開始条件成立時に実行される。
【0031】
複数のユーザ端末20,201~20Nは、それぞれ、ユーザによって管理され、例えば携帯電話端末やPDA(Personal Digital Assistants)、携帯型ゲーム装置や所謂ウェアラブルデバイスなどのネットワーク配信型のゲームを行うことが可能な通信端末によって構成される。なお、ビデオゲーム処理システム100が含み得るユーザ端末の構成は上述した例に限定されず、ユーザが合成画像を認識し得る構成であればよい。ユーザ端末の構成の他の例には、各種通信端末を組み合わせたものやパーソナルコンピュータ、据置型ゲーム装置がある。
【0032】
また、複数のユーザ端末20,201~20Nは、それぞれ、通信ネットワーク30に接続し、サーバ10との通信を行うことにより各種処理を実行するためのハードウェア(例えば、座標に応じたブラウザ画面やゲーム画面を表示する表示装置など)及びソフトウェアを備える。なお、複数のユーザ端末20,201~20Nそれぞれは、サーバ10を介さずに互いに直接通信を行うこともできる構成とされていてもよい。
【0033】
次に、本例のビデオゲーム処理システム100(システム100)の動作について説明する。
【0034】
図3は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理の例を示すフローチャートである。本例におけるゲーム処理では、ユーザ端末のユーザの操作に応じてビデオゲームの進行を制御することと関連する処理が行われる。以下、サーバ10Aとユーザ端末20とが、ゲーム処理を実行する場合を例にして説明する。
【0035】
ゲーム処理は、例えば、新規オブジェクトについての継承処理の開始条件が成立した場合に開始される。サーバ10Aは、新規オブジェクトについての継承処理の開始条件が成立した場合、先ず、新規オブジェクトに類似する類似オブジェクトを抽出する(ステップS11)。そして、サーバ10Aは、類似オブジェクトの選択基準から新規オブジェクトの選択基準への継承処理を実行する(ステップS12)。そして、サーバ10Aは、継承処理実行後の新規オブジェクトの選択基準を記憶させるとともに、ユーザ端末20に対して継承処理が実行されたことに基づく影響を反映させるためのデータ送信を実行する。そして、ユーザ端末20は、継承処理後のデータを受信して、必要に応じて、所定の表示装置に対して継承処理が反映されたゲーム画面を表示させて(ステップS13)、処理を終了する。
【0036】
図4は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理におけるサーバ側の動作の例を示すフローチャートである。ここでは、システム100におけるサーバ10Aの動作について改めて説明する。
【0037】
ゲーム処理は、例えば、新規オブジェクトについての継承処理の開始条件が成立した場合に開始される。サーバ10Aは、新規オブジェクトについての継承処理の開始条件が成立した場合、先ず、新規オブジェクトに類似する類似オブジェクトを抽出する(ステップS101)。そして、サーバ10Aは、類似オブジェクトの選択基準から新規オブジェクトの選択基準への継承処理を実行して(ステップS102)、処理を終了する。
【0038】
図5は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理におけるユーザ端末側の動作の例を示すフローチャートである。以下、ユーザ端末20が、単体でゲーム処理を実行する場合を例にして説明する。なお、ユーザ端末20の構成については、サーバ10から各種情報を受信することを除きサーバ10の構成と同様の機能を備えるものであるため、重複説明を避ける観点から記載を省略する。
【0039】
ゲーム処理は、例えば、新規オブジェクトについての継承処理の開始条件が成立した場合に開始される。ユーザ端末20は、新規オブジェクトについての継承処理の開始条件が成立した場合、先ず、新規オブジェクトに類似する類似オブジェクトを抽出する(ステップS201)。そして、ユーザ端末20は、類似オブジェクトの選択基準から新規オブジェクトの選択基準への継承処理を実行して(ステップS202)、処理を終了する。
【0040】
以上に説明したように、第1の実施形態の一側面として、ビデオゲームの進行においてキャラクタを制御するサーバ10Aが、抽出部11と、継承部12とを備え、キャラクタが既に選択基準を記憶している1以上のオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)の中から、当該キャラクタが新規に取得したオブジェクト(以下、新規オブジェクト)に類似する類似オブジェクトを抽出し、少なくとも類似オブジェクトと新規オブジェクトとで共通して設定されたアクションについて、新規オブジェクトに関連付けて記憶させる選択基準における各アクションの選択確率を、類似オブジェクトに関連付けて記憶された選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定するようにしたので、新規オブジェクトについての選択基準を、類似オブジェクトの選択基準に基づいて設定することが可能となる。
【0041】
すなわち、既に選択基準を記憶させてある既存のオブジェクトである類似オブジェクトの選択基準を、新規オブジェクトの選択基準に継承することで、新規オブジェクトにおけるアクションの選択される傾向(選択確率)を、類似オブジェクトにおけるアクションの選択される傾向(選択確率)に近づけることが可能となるので、新規オブジェクトであっても既存オブジェクトと類似性が高いオブジェクトについては既存オブジェクトと同様にキャラクタが使用できてほしいというユーザの期待に応える処理を実現することができる。
【0042】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。この図6を用いて、ビデオゲーム処理サーバ10の例であるビデオゲーム処理サーバ10B(サーバ10B)について説明する。本例において、サーバ10Bは、選択基準更新部13と、抽出部11と、継承部12とを少なくとも備える。
【0043】
選択基準更新部13は、キャラクタがオブジェクトに対してアクションを実行した際に、そのアクションに対する評価に基づいて、当該オブジェクトに関する選択基準における各アクションの選択確率を更新して記憶させる機能を有する。
【0044】
ここで、アクションに対する評価とは、キャラクタが実行したアクションによるゲーム環境(ワールド)への影響やゲームプレイ結果への影響等について、ゲームシステムやユーザが行う価値判断のことをいう。評価は、ゲームシステムが自動的に実行するものであってもよいし、ユーザが行うものであってもよい。評価は、例えば、実行したアクションのゲームへの影響をスコア化して評価する手法や、ユーザがアクションについてポジティブな評価又はネガティブな評価を選択する手法など、様々な手法を採用し得る。
【0045】
選択基準の更新処理は、評価に基づいた更新であれば様々な手法を採用可能であるが、例えば、キャラクタが実行したアクションの評価が所定基準より高い場合には当該アクションの選択確率が高くなるように更新し、キャラクタが実行したアクションの評価が所定基準より低い場合には当該アクションの選択確率が低くなるように更新することが考えられる。また、キャラクタが実行したアクションの選択確率を変更する際には、他のアクションの選択確率も調整する必要がある。なお、選択基準更新部13における更新処理のタイミングは、オブジェクトに対してアクションが実行された直後である必要はなく、ビデオゲーム内の所定のイベントのタイミングや、ユーザがアクションについて評価を行ったタイミングなど、所定のタイミングに適宜設定可能である。
【0046】
図7は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理の例を示すフローチャートである。本例におけるゲーム処理では、ユーザ端末のユーザの操作に応じてビデオゲームの進行を制御することと関連する処理が行われる。以下、サーバ10Bとユーザ端末20とが、ゲーム処理を実行する場合を例にして説明する。なお、サーバ10Bとユーザ端末20それぞれの動作を示すフローチャートについては、重複説明を避ける観点から記載を省略する。
【0047】
ゲーム処理は、例えば、新規オブジェクトについての継承処理の開始条件が成立した場合に開始される。サーバ10Bは、新規オブジェクトについての継承処理の開始条件が成立した場合、先ず、新規オブジェクトに類似する類似オブジェクトを抽出する(ステップS21)。そして、サーバ10Bは、選択基準更新部13において更新処理が行われた類似オブジェクトの選択基準から新規オブジェクトの選択基準への継承処理を実行する(ステップS22)。そして、サーバ10Bは、継承処理実行後の新規オブジェクトの選択基準を記憶させるとともに、ユーザ端末20に対して継承処理が実行されたことに基づく影響を反映させるためのデータ送信を実行する。そして、ユーザ端末20は、継承処理後のデータを受信して、必要に応じて、所定の表示装置に対して継承処理が反映されたゲーム画面を表示させて(ステップS23)、処理を終了する。
【0048】
以上に説明したように、第2の実施形態の一側面として、ビデオゲームの進行においてキャラクタを制御するサーバ10Bが、選択基準更新部13と、抽出部11と、継承部12とを備え、このうちの選択基準更新部13において、キャラクタがオブジェクトに対してアクションを実行した際に、そのアクションに対する評価に基づいて、当該オブジェクトに関する選択基準における各アクションの選択確率を更新して記憶させるようにしたので、評価に基づいて更新された類似オブジェクトの選択基準を新規オブジェクトの選択基準に対して継承させることが可能となる。
【0049】
すなわち、使用されることで更新処理が繰り返された類似オブジェクトの選択基準は、評価を反映した選択基準、いわゆる学習の進んだ選択基準となっており、これを新規オブジェクトの選択基準に継承することで、新規オブジェクトについても学習の進んだ選択基準に近い選択基準に基づいてアクションを選択できるので、新規オブジェクトであっても既存オブジェクトと類似性が高いオブジェクトについては既存オブジェクトと同様にキャラクタが使用できてほしいというユーザの期待に応える処理を実現することができる。
【0050】
[第3の実施形態]
図8は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。この図8を用いて、ビデオゲーム処理サーバ10の例であるビデオゲーム処理サーバ10C(サーバ10C)について説明する。本例において、サーバ10Cは、抽出部11と、継承部12Cとを少なくとも備える。
【0051】
継承部12Cは、類似オブジェクトと新規オブジェクトにおいて共通して実行可能なアクションの選択確率について継承処理を実行する機能を有する。すなわち、共通して実行可能なアクションについて、新規オブジェクトに関連付けて記憶させる選択基準における各アクションの選択確率を、類似オブジェクトに関連付けて記憶された選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定する。なお、共通して実行可能なアクションについて継承処理を実行する際に、共通外のアクションの選択確率が変動することを妨げるものではない。例えば、正規化処理を行った結果、共通外のアクションの選択確率が変化することはあり得るといえる。
【0052】
図9は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理の例を示すフローチャートである。本例におけるゲーム処理では、ユーザ端末のユーザの操作に応じてビデオゲームの進行を制御することと関連する処理が行われる。以下、サーバ10Cとユーザ端末20とが、ゲーム処理を実行する場合を例にして説明する。なお、サーバ10Cとユーザ端末20それぞれの動作を示すフローチャートについては、重複説明を避ける観点から記載を省略する。
【0053】
ゲーム処理は、例えば、新規オブジェクトについての継承処理の開始条件が成立した場合に開始される。サーバ10Cは、新規オブジェクトについての継承処理の開始条件が成立した場合、先ず、新規オブジェクトに類似する類似オブジェクトを抽出する(ステップS31)。そして、サーバ10Cは、類似オブジェクトと前記新規オブジェクトにおいて共通して実行可能なアクションについて、類似オブジェクトの選択基準から新規オブジェクトの選択基準への継承処理を実行する(ステップS32)。そして、サーバ10Cは、継承処理実行後の新規オブジェクトの選択基準を記憶させるとともに、ユーザ端末20に対して継承処理が実行されたことに基づく影響を反映させるためのデータ送信を実行する。そして、ユーザ端末20は、継承処理後のデータを受信して、必要に応じて、所定の表示装置に対して継承処理が反映されたゲーム画面を表示させて(ステップS33)、処理を終了する。
【0054】
以上に説明したように、第3の実施形態の一側面として、ビデオゲームの進行においてキャラクタを制御するサーバ10Cが、抽出部11と、継承部12Cとを備え、このうちの継承部12Cにおいて、類似オブジェクトと新規オブジェクトにおいて共通して実行可能なアクションの選択確率について継承処理を実行するようにしたので、類似オブジェクトと新規オブジェクトにおいて共通して実行可能なアクションについて類似オブジェクトの選択基準を新規オブジェクトの選択基準に対して継承させることが可能となる。
【0055】
すなわち、類似オブジェクトと新規オブジェクトにおいて共通して実行可能なアクションについて選択基準が継承されるようにすることで、類似オブジェクトと新規オブジェクトとで異なるアクションを備えているとしても、共通するアクションの選択確率について継承処理が実行されるので、共通するアクションについては、新規オブジェクトであっても既存オブジェクトと類似性が高いオブジェクトについては既存オブジェクトと同様にキャラクタが使用できてほしいというユーザの期待に応える処理を実現することができる。
【0056】
[第4の実施形態]
図10は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。この図10を用いて、ビデオゲーム処理サーバ10の例であるビデオゲーム処理サーバ10D(サーバ10D)について説明する。本例において、サーバ10Dは、抽出部11Dと、継承部12とを少なくとも備える。
【0057】
抽出部11Dは、新規オブジェクトと1以上の選択基準記憶済オブジェクトのそれぞれとの間で、少なくとも1以上の項目からなるオブジェクトの性質について1以上の項目の一致度からオブジェクト間の類似度を算出して、類似度の高さに基づいて類似オブジェクトを抽出する機能を有する。
【0058】
ここで、オブジェクトの性質とは、オブジェクトに備わった特徴を示す情報を意味する。オブジェクトの特徴を示す情報であればどのようなものであってもよいが、例えば、オブジェクトのサイズ、形状、重量などが考えられる。このようなオブジェクトの特徴を示す情報の種類ごとに項目を設定する。オブジェクト間の類似度の算出は、このように設定された項目毎に一致度を判定することによって行う。
【0059】
図11は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理の例を示すフローチャートである。本例におけるゲーム処理では、ユーザ端末のユーザの操作に応じてビデオゲームの進行を制御することと関連する処理が行われる。以下、サーバ10Dとユーザ端末20とが、ゲーム処理を実行する場合を例にして説明する。なお、サーバ10Dとユーザ端末20それぞれの動作を示すフローチャートについては、重複説明を避ける観点から記載を省略する。
【0060】
ゲーム処理は、例えば、新規オブジェクトについての継承処理の開始条件が成立した場合に開始される。サーバ10Dは、新規オブジェクトについての継承処理の開始条件が成立した場合、先ず、新規オブジェクトと1以上の選択基準記憶済オブジェクトのそれぞれとの間で、少なくとも1以上の項目からなるオブジェクトの性質について1以上の項目の一致度からオブジェクト間の類似度を算出して、類似度の高さに基づいて類似オブジェクトを抽出する(ステップS41)。そして、サーバ10Dは、類似オブジェクトの選択基準から新規オブジェクトの選択基準への継承処理を実行する(ステップS42)。そして、サーバ10Dは、継承処理実行後の新規オブジェクトの選択基準を記憶させるとともに、ユーザ端末20に対して継承処理が実行されたことに基づく影響を反映させるためのデータ送信を実行する。そして、ユーザ端末20は、継承処理後のデータを受信して、必要に応じて、所定の表示装置に対して継承処理が反映されたゲーム画面を表示させて(ステップS43)、処理を終了する。
【0061】
以上に説明したように、第4の実施形態の一側面として、ビデオゲームの進行においてキャラクタを制御するサーバ10Dが、抽出部11Dと、継承部12とを備え、このうちの抽出部11Dにおいて、新規オブジェクトと1以上の選択基準記憶済オブジェクトのそれぞれとの間で、少なくとも1以上の項目からなるオブジェクトの性質について1以上の項目の一致度からオブジェクト間の類似度を算出して、類似度の高さに基づいて前記類似オブジェクトを抽出するようにしたので、類似度に基づいて高精度に類似オブジェクトを抽出することが可能となる。
【0062】
すなわち、新規オブジェクトに対して継承元となる類似オブジェクトを類似度の高いものから抽出できるため、継承処理を行った後の新規オブジェクトに対するアクションの選択について類似オブジェクトに似た違和感の生じない継承が可能となる。
【0063】
[第5の実施形態]
図12は、ビデオゲーム処理サーバ10の例であるビデオゲーム処理サーバ10E(サーバ10E)の構成を示すブロック図である。本例において、サーバ10Eは、選択基準更新部13Eと、抽出部11Eと、継承部12Eとを少なくとも備える。
【0064】
選択基準更新部13Eは、キャラクタがオブジェクトに対してアクションを実行した際に、そのアクションに対する評価に基づいて、当該オブジェクトに関する選択基準における各アクションの選択確率を更新して記憶させる機能を有する。
【0065】
ここで、アクションに対する評価とは、キャラクタが実行したアクションによるゲーム環境(ワールド)への影響やゲームプレイ結果への影響等について、ゲームシステムやユーザが行う価値判断のことをいう。評価は、ゲームシステムが自動的に実行するものであってもよいし、ユーザが行うものであってもよい。評価は、例えば、実行したアクションのゲームへの影響をスコア化して評価する手法や、ユーザがアクションについてポジティブな評価又はネガティブな評価を選択する手法など、様々な手法を採用し得る。
【0066】
選択基準の更新処理は、評価に基づいた更新であれば様々な手法を採用可能であるが、例えば、キャラクタが実行したアクションの評価が所定基準より高い場合には当該アクションの選択確率が高くなるように更新し、キャラクタが実行したアクションの評価が所定基準より低い場合には当該アクションの選択確率が低くなるように更新することが考えられる。また、キャラクタが実行したアクションの選択確率を変更する際には、他のアクションの選択確率も調整する必要がある。
【0067】
抽出部11Eは、キャラクタが既に選択基準を記憶している1以上のオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)の中から、当該キャラクタが新規に取得したオブジェクト(新規オブジェクト)に類似する類似オブジェクトを抽出する機能を有する。また、抽出部11Eは、新規オブジェクトと1以上の選択基準記憶済オブジェクトのそれぞれとの間で、少なくとも1以上の項目からなるオブジェクトの性質について1以上の項目の一致度からオブジェクト間の類似度を算出して、類似度の高さに基づいて類似オブジェクトを抽出する機能を有する。
【0068】
ここで、選択基準とは、少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されたオブジェクトをキャラクタに使用させる際にキャラクタに実行させるアクションを選択するための基準のことをいう。選択基準は、オブジェクトに設定された1以上のアクションのそれぞれに対して設定された選択確率によって定めることが考えられる。本例では、キャラクタごとに各オブジェクトについての選択基準を記憶させることを前提としている。
【0069】
また、オブジェクトとは、ビデオゲームに登場する仮想的な物を意味する。特に、本例でのオブジェクトは、キャラクタにより使用されるものが対象となる。そして、オブジェクトには、少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されており、実行可能なアクションが複数存在する場合には、この選択基準に基づいてキャラクタに実行させるアクションを決定することになる。アクションとしては、例えば、「投げる」、「食べる」、「燃やす」といったものが設定される。
【0070】
また、キャラクタとは、ビデオゲームに登場し行動するものを意味する。キャラクタには、ユーザ操作に基づいて行動するものやユーザ操作にかかわらず自律的に行動するものがあるが、本例でのキャラクタは、少なくともオブジェクトに対するアクションの選択に関しては、ユーザ操作にかかわらず自律的に選択するものとする。自律的に行動するキャラクタは特に限定されず、ビデオゲームにおいてユーザの操作を完全に受け付けないノンプレイヤキャラクタ(NPC)でもよいし、一部ユーザの操作を受付ける状況が存在し、その他の状況ではユーザの操作を受け付けないキャラクタでもよい。自律的に行動するキャラクタの例には、周囲のオブジェクトを自律的に認識し意思決定及び行動を行うものがある。
【0071】
また、キャラクタが既に選択基準を記憶しているオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)とは、後述する継承処理によって選択基準を記憶したオブジェクトのほか、何らかのビデオゲーム内のイベント等に基づいて選択基準の新規記憶若しくは更新がなされたことのあるオブジェクトのことをいう。ここで、イベントとは、ビデオゲームの内部処理にて所定条件が成立することで発生する情報処理のことを指す場合と、ビデオゲームのストーリー上においてキャラクタなどに発生する出来事のことを指す場合の両方が含まれる。また、ビデオゲームの初期設定として、あるキャラクタにとっては最初から選択基準記憶済オブジェクトとして扱うオブジェクトが存在してもよい。このように、イベント以外の条件に基づいて選択基準記憶済オブジェクトとして扱うオブジェクトを含ませるために「イベント等」としている。これに対して、新規オブジェクトとは、選択基準の新規記憶及び更新が行われていないオブジェクトのことをいう。すなわち、初期設定として選択基準を備えていない状況かつ選択基準の新規記憶が行われていないオブジェクト、若しくは、初期設定として記憶された選択基準について一度も更新が行われていないオブジェクトのことを新規オブジェクトと表現している。また、選択基準の新規記憶及び更新が行われていないオブジェクトを新規オブジェクトと定義しているが、ビデオゲーム内での条件付けによって、選択基準の新規記憶及び更新行ったオブジェクトであっても、新規オブジェクトとして扱うようにしてもよい。
【0072】
また、オブジェクトについての類似とは、オブジェクトが備える性質について、対比する2つのオブジェクトの間での共通点が多い状態をいい、類似オブジェクトとは、類似の度合いが所定の基準を満たしたオブジェクトのことをいう。この抽出部11Eでは、キャラクタが新規に取得した新規オブジェクトと類似する選択基準記憶済オブジェクトを類似オブジェクトとして抽出する処理を実行する。類似と判定するための条件は、適宜設定可能である。
【0073】
類似度の算出方法は様々に設定可能であるが、例えば、オブジェクトの性質に関する項目毎に一致度を0~100の範囲で算出して、項目毎の一致度を全項目分合計したものを項目数×100の値で除算することで類似度を算出する手法が考えられる。一例として、オブジェクトの性質に関する項目が「サイズ」、「重量」、「形状」の3つである場合の類似度は、類似度={サイズの一致度[0~100]+重量の一致度[0~100]+形状の一致度[0~100]}÷(100×3)、の式に基づいて算出する。
【0074】
また、類似オブジェクトとして抽出するための類似度について閾値を設定するようにしてもよい。抽出部11Eにおいて、対象オブジェクトについての新規オブジェクトとの類似度が所定の閾値以下である場合にはその対象オブジェクトを類似オブジェクトとして抽出しないようにしてもよい。また、抽出部11Eにおいて類似度に閾値を設ける構成ではなく、継承部12Eにおいて、抽出された類似オブジェクトの新規オブジェクトとの類似度が所定の閾値以下である場合には継承処理を実行しない構成としてもよい。
【0075】
継承部12Eは、少なくとも類似オブジェクトと新規オブジェクトとで共通して設定されたアクションについて、新規オブジェクトに関連付けて記憶させる選択基準における各アクションの選択確率を、類似オブジェクトに関連付けて記憶された選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定する機能を有する。
【0076】
継承処理は、新規オブジェクトの選択基準を類似オブジェクトの選択基準に基づいて設定する処理である。具体的な処理内容は類似オブジェクトの選択基準に基づいて設定するものであればどのような手法であってもよい。例えば、新規オブジェクトの選択基準における各アクションの選択確率が、類似オブジェクトの選択基準における各アクションの選択確率に近づくような処理が考えられる。具体的な例としては、少なくとも共通して設定されたアクションについて、類似オブジェクトの選択基準における各アクションの選択確率を示す値を、新規オブジェクトの選択基準における各アクションの選択確率の値に加算して、その後に選択確率の値の総和が100%となるように正規化処理を行うといった処理が考えられる。継承処理実行後の新規オブジェクトの選択基準は、そのキャラクタに関する新規オブジェクトの選択基準として記憶装置103に記憶させる。なお、新規オブジェクトは、選択基準を初期設定として備える構成であってもよいし、選択基準を備えておらず継承処理によってはじめて選択基準が記憶される構成であってもよい。
【0077】
図13は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理の例を示すフローチャートである。本例におけるゲーム処理では、ユーザ端末のユーザの操作に応じてビデオゲームの進行を制御することと関連する処理が行われる。以下、サーバ10Eとユーザ端末20とが、ゲーム処理を実行する場合を例にして説明する。なお、サーバ10Eとユーザ端末20それぞれの動作を示すフローチャートについては、重複説明を避ける観点から記載を省略する。
【0078】
ゲーム処理は、例えば、新規オブジェクトについての継承処理の開始条件が成立した場合に開始される。サーバ10Eは、新規オブジェクトについての継承処理の開始条件が成立した場合、先ず、新規オブジェクトと1以上の選択基準記憶済オブジェクトのそれぞれとの間で、少なくとも1以上の項目からなるオブジェクトの性質について1以上の項目の一致度からオブジェクト間の類似度を算出して、類似度の高さに基づいて類似オブジェクトを抽出する(ステップS51)。そして、サーバ10Eは、類似オブジェクトの選択基準から新規オブジェクトの選択基準への継承処理を実行する(ステップS52)。そして、サーバ10Eは、継承処理実行後の新規オブジェクトの選択基準を記憶させるとともに、ユーザ端末20に対して継承処理が実行されたことに基づく影響を反映させるためのデータ送信を実行する。そして、ユーザ端末20は、継承処理後のデータを受信して、必要に応じて、所定の表示装置に対して継承処理が反映されたゲーム画面を表示させて(ステップS53)、処理を終了する。
【0079】
次に、具体例に基づいて説明を行う。図14乃至図17は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理において利用する情報の一例を説明するための説明図である。図14は、キャラクタに対応付けて記憶される複数のアイテムの選択基準の一例を表している。第1キャラクタには、アイテムA、B、C、D・・・というように複数のアイテムについての選択基準が記憶されている。図14に示す例では、A~Dのアイテム毎に設定されたアクションが異なり、選択基準として各アクションに選択確率が設定されていることが分かる。また、各アイテムの選択基準は、アイテムを使用する毎に評価に基づいて更新が行われることで選択確率が変化していく。
【0080】
図15は、オブジェクトの性質を表したデータの一例として、アイテムデータの一例を表している。図15に示す例では、アイテムX~Zのそれぞれに対して、「名称」、「サイズ」、「重量」、「形状」」が性質管理するための情報として登録されている。この図15に示した例では、オブジェクトの性質について「サイズ」、「重量」、「形状」という3つの項目を備えており、3つの項目のそれぞれについて他のオブジェクトと比較して項目ごとの一致度を算出し、各項目の一致度から全体の類似度を算出する。
【0081】
図16は、アイテムの類似度の一例を表している。アイテムAに対する他のアイテムの類似度を表しており、同一アイテムであるアイテムA同士の比較は当然類似度100%となるが、他のアイテムとの比較結果としては、アイテムBが最も類似度が高い80%となっているため、この図16の例では、アイテムAの類似アイテムはアイテムBと判定されることになる。
【0082】
図17は、アイテムの選択基準の継承処理の一例を表している。この図17において、アイテムAはアイテムBの類似アイテムとして抽出された継承元アイテムであり、アイテムBは継承先アイテムである。また、この図17において、各アイテムにおいて選択確率にハッチングの掛かったアクションは、継承処理の説明のために記載したものであり、それぞれのアイテムに存在しないアクションを意味している。アイテムAとアイテムBは、それぞれ3つのアクションが設定してあるが、2つのアイテムに共通するアクションは「食べる」と「燃やす」の2つである。この図17の継承処理の例では、先ず、継承元アイテムと継承先アイテムで共通するアクションの選択確率を示す値を加算する。「食べる」と「燃やす」の2つについて単純に選択確率を示す値を加算すると、それぞれ選択確率の値が84%と53%になり、選択確率の合計値が170%と不正な値となる。そこで、合計値が100%となるように正規化処理を行うと、「食べる」と「燃やす」の2つの選択確率はそれぞれ49%と31%になる。結果として、継承先アイテムであるアイテムBの選択基準のうち、共通するアクションである「食べる」と「燃やす」の2つについては、継承前の初期設定値から継承元アイテムであるアイテムAの選択確率の値に近づいたといえる。
【0083】
また、継承処理の方法は図17の例に限定されるものではない。例えば、継承元アイテムと継承先アイテムとで共通するアクションについて、継承元アイテムの選択確率をそのまま継承先アイテムの選択確率として引き継ぐ手法であってもよい。図17の例に対して適用すると、継承処理後のアイテムBの「食べる」と「燃やす」の選択確率が50%と20%に設定されることになる。この場合に、選択確率の合計値が100%となるように正規化処理を行う必要があるので、共通しないアクションである「持ち上げる」の選択確率は30%に設定される。
【0084】
また、他の継承処理の方法としては、継承元アイテムと継承先アイテムとで共通するアクションについて、一番選択確率の高いアクションから順次選択確率が低くなる順番に、所定の固定ポイントを継承先アイテムの共通するアクションの選択確率の値に加算する手法であってもよい。また、継承元アイテムと継承先アイテムとで共通するアクションについて選択確率の相対的な大小関係を維持するような継承も考えられる。
【0085】
なお、継承処理を実行するタイミングとしては、キャラクタが新規オブジェクトを取得したタイミング(あるいは、取得はしないがそのオブジェクトに初めて接触したタイミング)であってもよいし、キャラクタが取得した新規オブジェクトについて実際に使用するタイミングであってもよい。
【0086】
以上に説明したように、第5の実施形態の一側面として、ビデオゲームの進行においてキャラクタを制御するサーバ10Eが、選択基準更新部13Eと、抽出部11Eと、継承部12Eとを備え、キャラクタが既に選択基準を記憶している1以上のオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)の中から、当該キャラクタが新規に取得したオブジェクト(新規オブジェクト)に類似する類似オブジェクトを抽出し、少なくとも類似オブジェクトと新規オブジェクトとで共通して設定されたアクションについて、新規オブジェクトに関連付けて記憶させる選択基準における各アクションの選択確率を、類似オブジェクトに関連付けて記憶された選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定するようにしたので、新規オブジェクトについての選択基準を、類似オブジェクトの選択基準に基づいて設定することが可能となる。
【0087】
すなわち、既に選択基準を記憶させてある既存のオブジェクトである類似オブジェクトの選択基準を、新規オブジェクトの選択基準に継承することで、新規オブジェクトにおけるアクションの選択される傾向(選択確率)を、類似オブジェクトにおけるアクションの選択される傾向(選択確率)に近づけることが可能となるので、新規オブジェクトであっても既存オブジェクトと類似性が高いオブジェクトについては既存オブジェクトと同様にキャラクタが使用できてほしいというユーザの期待に応える処理を実現することができる。
【0088】
以上に説明したように、本願の各実施形態により1または2以上の不足が解決される。なお、夫々の実施形態による効果は、非限定的な効果または効果の一例である。
【0089】
なお、上述した各実施形態では、複数のユーザ端末20,201~20Nとサーバ10は、自己が備える記憶装置に記憶されている各種制御プログラム(例えば、ビデオゲーム処理プログラム)に従って、上述した各種の処理を実行する。
【0090】
また、システム100の構成は上述した各実施形態の例として説明した構成に限定されず、例えばユーザ端末が実行する処理として説明した処理の一部または全部をサーバ10が実行する構成としてもよいし、サーバ10が実行する処理として説明した処理の一部または全部を複数のユーザ端末20,201~20Nの何れか(例えば、ユーザ端末20)が実行する構成としてもよい。また、サーバ10が備える記憶部の一部または全部を複数のユーザ端末20,201~20Nの何れかが備える構成としてもよい。すなわち、システム100におけるユーザ端末20とサーバ10のどちらか一方が備える機能の一部または全部を、他の一方が備える構成とされていてもよい。
【0091】
また、プログラムが、上述した各実施形態の例として説明した機能の一部または全部を、通信ネットワークを含まない装置単体に実現させる構成としてもよい。
【0092】
[付記]
上述した実施形態の説明は、少なくとも下記発明を、当該発明の属する分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができるように記載した。
[1]
少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されたオブジェクトについて所定の選択基準に基づいてキャラクタの前記オブジェクトに関するアクションを選択する処理をサーバに実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、
前記サーバに、
前記キャラクタが既に選択基準を記憶している1以上のオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)の中から、当該キャラクタが新規に取得したオブジェクト(以下、新規オブジェクト)に類似する類似オブジェクトを抽出する抽出機能と、
少なくとも前記類似オブジェクトと前記新規オブジェクトとで共通して設定されたアクションについて、前記新規オブジェクトに関連付けて記憶させる前記選択基準における各アクションの選択確率を、前記類似オブジェクトに関連付けて記憶された前記選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定する継承機能と
を実現させるビデオゲーム処理プログラム。
[2]
前記サーバに、
前記キャラクタが前記オブジェクトに対してアクションを実行した際に、そのアクションに対する評価に基づいて、当該オブジェクトに関する前記選択基準における各アクションの選択確率を更新して記憶させる選択基準更新機能を更に実現させる
[1]記載のビデオゲーム処理プログラム。
[3]
前記継承機能は、前記類似オブジェクトと前記新規オブジェクトにおいて共通して実行可能なアクションの選択確率について継承処理を実行する
[1]又は[2]に記載のビデオゲーム処理プログラム。
[4]
前記抽出機能は、前記新規オブジェクトと1以上の前記選択基準記憶済オブジェクトのそれぞれとの間で、少なくとも1以上の項目からなるオブジェクトの性質について1以上の項目の一致度からオブジェクト間の類似度を算出して、類似度の高さに基づいて前記類似オブジェクトを抽出する
[1]から[3]の何れかに記載のビデオゲーム処理プログラム。
[5]
前記抽出機能は、類似度の算出に用いる項目としてオブジェクトのサイズの項目を含み、オブジェクトのサイズの比較結果に基づいて当該項目の一致度を算出する
[4]に記載のビデオゲーム処理プログラム。
[6]
前記抽出機能は、類似度の算出に用いる項目としてオブジェクトの重量の項目を含み、オブジェクトの重量の比較結果に基づいて当該項目の一致度を算出する
[4]又は[5]に記載のビデオゲーム処理プログラム。
[7]
前記抽出機能は、類似度の算出に用いる項目としてオブジェクトの形状の項目を含み、オブジェクトの形状の比較結果に基づいて当該項目の一致度を算出する
[4]から[6]の何れかに記載のビデオゲーム処理プログラム。
[8]
前記継承機能は、抽出された前記類似オブジェクトの前記新規オブジェクトとの類似度が所定の閾値以下である場合には継承処理を実行しない
[4]から[7]の何れかに記載のビデオゲーム処理プログラム。
[9]
前記抽出機能は、対象オブジェクトの前記新規オブジェクトとの類似度が所定の閾値以下である場合には類似オブジェクトとして抽出しない
[4]から[7]の何れかに記載のビデオゲーム処理プログラム。
[10]
[1]から[9]のうち何れかに記載のビデオゲーム処理プログラムが前記サーバに実現させる機能のうち少なくとも1つの機能を、当該サーバと通信可能なユーザ端末に実現させるビデオゲーム処理プログラム。
[11]
通信ネットワークと、サーバと、ユーザ端末とを備え、少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されたオブジェクトについて所定の選択基準に基づいてキャラクタの前記オブジェクトに関するアクションを選択する処理を行うためのビデオゲーム処理システムであって、
前記キャラクタが既に選択基準を記憶している1以上のオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)の中から、当該キャラクタが新規に取得したオブジェクト(以下、新規オブジェクト)に類似する類似オブジェクトを抽出する抽出手段と、
少なくとも前記類似オブジェクトと前記新規オブジェクトとで共通して設定されたアクションについて、前記新規オブジェクトに関連付けて記憶させる前記選択基準における各アクションの選択確率を、前記類似オブジェクトに関連付けて記憶された前記選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定する継承手段と
を含むビデオゲーム処理システム。
[12]
前記サーバが、前記抽出手段と、前記継承手段とを含み、
前記ユーザ端末が、継承手段により記憶された前記新規オブジェクトに関する前記選択基準が用いられた結果を表すゲーム画面を表示装置の表示画面に出力する出力手段を含む
[11]記載のビデオゲーム処理システム。
[13]
少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されたオブジェクトについて所定の選択基準に基づいてキャラクタの前記オブジェクトに関するアクションを選択する処理をユーザ端末に実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、
前記ユーザ端末に、
前記キャラクタが既に選択基準を記憶している1以上のオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)の中から、当該キャラクタが新規に取得したオブジェクト(以下、新規オブジェクト)に類似する類似オブジェクトを抽出する抽出機能と、
少なくとも前記類似オブジェクトと前記新規オブジェクトとで共通して設定されたアクションについて、前記新規オブジェクトに関連付けて記憶させる前記選択基準における各アクションの選択確率を、前記類似オブジェクトに関連付けて記憶された前記選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定する継承機能とを
実現させるビデオゲーム処理プログラム。
[14]
少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されたオブジェクトについて所定の選択基準に基づいてキャラクタの前記オブジェクトに関するアクションを選択する処理を行うためのビデオゲーム処理方法であって、
前記キャラクタが既に選択基準を記憶している1以上のオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)の中から、当該キャラクタが新規に取得したオブジェクト(以下、新規オブジェクト)に類似する類似オブジェクトを抽出する抽出処理と、
少なくとも前記類似オブジェクトと前記新規オブジェクトとで共通して設定されたアクションについて、前記新規オブジェクトに関連付けて記憶させる前記選択基準における各アクションの選択確率を、前記類似オブジェクトに関連付けて記憶された前記選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定する継承処理と
を含むビデオゲーム処理方法。
[15]
通信ネットワークと、サーバと、ユーザ端末とを備えるビデオゲーム処理システムが、少なくとも1以上の使用用途(アクション)が設定されたオブジェクトについて所定の選択基準に基づいてキャラクタの前記オブジェクトに関するアクションを選択する処理を行うためのビデオゲーム処理方法であって、
前記キャラクタが既に選択基準を記憶している1以上のオブジェクト(選択基準記憶済オブジェクト)の中から、当該キャラクタが新規に取得したオブジェクト(以下、新規オブジェクト)に類似する類似オブジェクトを抽出する抽出処理と、
少なくとも前記類似オブジェクトと前記新規オブジェクトとで共通して設定されたアクションについて、前記新規オブジェクトに関連付けて記憶させる前記選択基準における各アクションの選択確率を、前記類似オブジェクトに関連付けて記憶された前記選択基準における各アクションの選択確率に基づいて設定する継承処理と
を含むビデオゲーム処理方法。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の実施形態の一つによれば、開発者の負担増加を抑える一方で、ビデオゲームにおいて所定の目的を達成するためのキャラクタの行動に多様性を持たせることを可能にするのに有用である。
【符号の説明】
【0094】
10 ビデオゲーム処理サーバ
20,201~20N ユーザ端末
11、11D、11E 抽出部
12、12C、12E 継承部
13、13E 選択基準更新部
14 部
30 通信ネットワーク
100 ビデオゲーム処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17