(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】低温抽出飲料を調製するための自動コーヒーメーカーおよびプロセス
(51)【国際特許分類】
A47J 31/00 20060101AFI20220927BHJP
A23F 3/16 20060101ALI20220927BHJP
A23F 5/24 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
A47J31/00 302
A23F3/16
A23F5/24
(21)【出願番号】P 2020517971
(86)(22)【出願日】2018-09-26
(86)【国際出願番号】 US2018052926
(87)【国際公開番号】W WO2019067595
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-05-27
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510053422
【氏名又は名称】シャークニンジャ オペレーティング エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー、ジョシュア ディ.
(72)【発明者】
【氏名】キュンペル、ジェレミー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウォリザー、マシュー エドワード
(72)【発明者】
【氏名】トラン、キャサリン バオ-ゴック
(72)【発明者】
【氏名】クラーク、ジャック ディ.
(72)【発明者】
【氏名】スカルセッラ、エドワード ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、イーサン ティ.
(72)【発明者】
【氏名】ウッドロウ、チャド ピー.
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-080698(JP,A)
【文献】国際公開第2016/164796(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0183713(US,A1)
【文献】特開平11-244150(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338522(US,A1)
【文献】国際公開第2015/073732(WO,A1)
【文献】特開2008-295398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
A23F 3/00- 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温抽出飲料を調製する方法であって、
飲料抽出システム内に低温抽出飲料に関連する風味剤を提供すること、
前記低温抽出飲料を調製するための複数の
連続的な浸漬サイクルを含む抽出サイクルを特定すること、
前記抽出サイクルを実施すること
を含み、前記抽出サイクルを実施することが、
前記複数の連続的な浸漬サイクルの各々の間に所定の長さの時間の間、30℃~50℃の温度を有する所定量の水内に前記風味剤を浸漬すること、
ここで、前記所定の長さの時間は、より長い浸漬を定義して次に漸進的に短い浸漬を定義するように前記複数の連続的な浸漬サイクルの各々と共に漸進的に減少し、
所定量の水を排出することを含み、前記複数の
連続的な浸漬サイクルの各々は、前記風味剤の浸漬と、前記所定量の水の排出とを含む、方法。
【請求項2】
前記所定量の水の前記温度が、前記風味剤に依存する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
調製される飲料の量および提供される風味剤のタイプのうちの少なくとも一つを選択することをさらに含み、前記抽出サイクルは、前記調製される飲料の量および前記提供される風味剤のタイプのうちの少なくとも一つを選択することに応答して特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記風味剤が、少なくともコーヒーおよび茶から選択され、前記選択された風味剤がコーヒーであるとき、前記所定量の水が第一の温度を有し、前記選択された風味剤が茶であるとき、前記所定量の水が第二の温度を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第二の温度が前記第一の温度よりも高い、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第一の温度が38℃~42℃である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第二の温度が48℃~52℃である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記抽出サイクルが、前記所定量の水を加熱機構内で加熱することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記加熱機構の温度が、前記風味剤に提供される前記所定量の水の温度と実質的に等しい、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
低温抽出飲料を調製する方法であって、
飲料抽出システムの抽出バスケット内に低温抽出飲料に関連する風味剤を提供すること、
複数の
連続的な浸漬サイクルを含む抽出サイクルを選択すること、
所定の長さの時間の間、ある量の水内に前記風味剤を浸漬すること、
ここで、前記所定の長さの時間は、より長い浸漬を定義して次に漸進的に短い浸漬を定義するように前記複数の連続的な浸漬サイクルの各々と共に漸進的に減少し、
前記飲料抽出システムから前記量の水を排出すること
を含み、前記複数の
連続的な浸漬サイクルの各々は、前記風味剤の前記浸漬と、前記量の水を排出とを含む、方法。
【請求項11】
一つまたは複数のパラメータが、前記複数の
連続的な浸漬サイクルの間で変化する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記水の量が、前記複数の
連続的な浸漬サイクルの各々と共に漸進的に減少する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記所定の長さの時間の間、前記量の水内に前記風味剤を浸漬することが、前記所定の長さの時間の間、浸漬弁を閉位置に保持することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の
連続的な浸漬サイクルの各々が、前記量の水を前記風味剤から排出することを可能にするために、前記所定の長さの時間の後に前記浸漬弁を開くことをさらに含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
調製される量および提供される風味剤のタイプのうちの少なくとも一つを選択することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記抽出サイクルが、前記調製される量および前記提供される風味剤のタイプのうちの少なくとも一つを選択することに応答して選択される、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
各浸漬サイクルの前記水の量および前記所定の長さの時間が、前記選択された抽出サイクルに基づいて予め決定される、請求項
15に記載の方法。
【請求項18】
前記風味剤の構成および粉砕サイズのうちの少なくとも一つを選択することをさらに含み、前記抽出サイクル内の前記浸漬サイクルの合計数が、前記風味剤の前記構成および前記粉砕サイズのうちの前記少なくとも一つに依存する、請求項
15に記載の方法。
【請求項19】
低温抽出飲料を調製する方法であって、
複数の
連続的な浸漬サイクルを含む抽出サイクルを選択することであって、
前記複数の
連続的な浸漬サイクルの各々が、
低温抽出飲料に関連する風味剤をある量の水内に
前記複数の連続的な浸漬サイクルの各々の間に所定の長さの時間の間、浸漬すること、
前記複数の連続的な浸漬サイクルの各々の間に前記風味剤から前記量の水をパージすることを含む、前記選択すること、
前記抽出サイクルを実行して、前記複数の
連続的な浸漬サイクルの各々の間に前記量の水を排出すること
を含
み、
前記所定の長さの時間は、より長い浸漬を定義して次に漸進的に短い浸漬を定義するように前記複数の連続的な浸漬サイクルの各々と共に漸進的に減少する、方法。
【請求項20】
前記風味剤から前記量の水をパージすることが、重力を介して所定量の水を排出することを含む、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記風味剤および前記量の水が抽出バスケット内に含まれ、前記量の水をパージすることが、前記抽出バスケット内の圧力を増加させるために圧力源を動作させることさらに含む、請求項
19に記載の方法。
【請求項22】
前記抽出バスケットが、前記圧力源が動作する時に隣接した構成要素に対して封止される、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
前記風味剤および前記量の水が抽出バスケット内に含まれ、前記風味剤から前記量の水をパージすることが、前記抽出バスケットの開口部を露出させるために浸漬弁を開くことをさらに含む、請求項
19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的な実施形態は、飲料を抽出するためのシステムおよび方法、より具体的には、低温抽出飲料を調製するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抽出物質と周囲温度または冷却された温度の液体と組み合わせて高温の液体を使用して、幅広い種類の抽出技術が開発されてきた。異なる結果の飲料を製造するために、異なる抽出技術を使用することができる。低温抽出技術の一つの形態は、フィルタ装置内に保持されたある量のコーヒーグラインドを、コーヒーグラインドに分配された周囲温度または冷却された液体と組み合わせて使用する。この技術は、最終的な抽出されたコーヒーのバッチを生産するために、約12~24時間かかり相当に時間を費やし得る。この技術では、長時間、バケツなどの大ボリュームの容器で挽いたコーヒーを液に浸し、または漬けて、浸した期間後に水抜きおよびフィルタリングが必要となる。この技術により、使用される時間の前に大量のコーヒーを作ることにより、予測不可能性および廃棄物が生じることがある。別の低温抽出技術は、水がコーヒーグラインドおよび収集容器への後続の分配のためのフィルタを通過する際に、水のコーヒーグラインドとの接触時間を制限するために、長期間にわたりコーヒーグラインド上への周囲温度のまたは冷却された水の制御された低速分配またはドリップ分配を使用する。
【0003】
従って、低温抽出飲料を効率的に抽出することができる飲料抽出システムが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
一つの実施形態によれば、低温抽出飲料を調製する方法は、風味剤(flavorant)を提供すること、低温抽出飲料を調製するための抽出サイクルを識別すること、前述の抽出サイクルを実行することを含む。前述の抽出サイクルを実行することは、約30℃~約50℃の温度を有する所定量の水中に前述の風味剤を浸漬することを含む。
【0005】
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の所定量の水の前述の温度は、前述の風味剤に依存する。
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、調製される飲料の量および提供される風味剤のタイプのうちの少なくとも一つを選択することをさらに含み、前述の抽出サイクルは、前述の調製される飲料の量および前述の提供される風味剤のタイプのうちの少なくとも一つを選択することに応答して特定される。
【0006】
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の風味剤が、少なくともコーヒーおよび茶から選択され、前述の選択された風味剤がコーヒーであるとき、前述の所定量の水が第一の温度を有し、前述の選択された風味剤が茶であるとき、前述の所定量の水が第二の温度を有する。
【0007】
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の第二の温度が前述の第一の温度よりも高い。
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の第一の温度は約38℃~約42℃である。
【0008】
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の第二の温度は約48℃~約52℃である。
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の抽出サイクルは、前述の所定量の水を加熱機構内で加熱することをさらに含む。
【0009】
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の加熱機構の温度は、前述の風味剤に提供される前述の所定量の水の温度と実質的に等しい。
別の実施形態によれば、低温抽出飲料を調製する方法は、風味剤を提供すること、複数の浸漬サイクルを含む抽出サイクルを選択すること、前述の風味剤を所定の長さの時間の間、ある量の水内に浸漬することを含む。前述の複数の浸漬サイクルの各々は、前述の風味剤の前述の浸漬を含む。
【0010】
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の一つまたは複数のパラメータは複数の浸漬サイクルの間で変化する。
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の所定の長さの時間は、前述の複数の浸漬サイクルの各々と共に漸進的に減少する。
【0011】
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の量の水は前述の複数の浸漬サイクルの各々と共に漸進的に減少する。
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の風味剤を、前述の所定の長さの時間の間、前述の量の水内に浸漬することが、前述の所定の長さの時間の間、浸漬弁を閉位置に保持することをさらに含む。
【0012】
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の複数の浸漬サイクルの各々が、前述の量の水を前述の風味剤から排出することを可能にするために、前述の所定の長さの時間の後に前述の浸漬弁を開くことをさらに含む。
【0013】
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、調製される量および提供される風味剤のタイプのうちの少なくとも一つを選択することをさらに含む。
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の抽出サイクルが、前述の調製される量および前述の提供される風味剤のタイプのうちの少なくとも一つを選択することに応答して選択される。
【0014】
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、各浸漬サイクルの前述の水の量および前述の所定の長さの時間が、前述の選択された抽出サイクルに基づいて予め決定される。
【0015】
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の風味剤の構成および粉砕サイズのうちの少なくとも一つを選択することをさらに含み、前述の抽出サイクル内の前述の浸漬サイクルの合計数が、前述の風味剤の前述の構成および前述の粉砕サイズのうちの前述の少なくとも一つに依存する。
【0016】
別の実施形態によれば、低温抽出飲料を調製する方法は、複数の浸漬サイクルを含む抽出サイクルを選択すること、前述の抽出サイクルを実行することを含む。前述の複数の浸漬サイクルの各々は、前述の風味剤をある量の水内に所定の長さの時間の間、浸漬すること、前述の風味剤から前述の量の水をパージすることを含む。
【0017】
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の風味剤から前述の量の水をパージすることは、重力を介して前述の所定量の水を排出することを含む。
【0018】
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の風味剤および前述の量の水が抽出バスケット内に含まれ、前述の量の水をパージすることが、前述の抽出バスケット内の圧力を増加させるために圧力源を動作させることさらに含む。
【0019】
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の抽出バスケットが、前述の圧力源が動作する時に隣接した構成要素に対して封止される。
上述の一つまたは複数の特徴、または代替としてさらなる実施形態では、前述の風味剤および前述の量の水が抽出バスケット内に含まれ、前述の量の水を前述の風味剤からパージすることが、前述の抽出バスケットの開口部を露出させるために浸漬弁を開くことをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付図面は、本開示のいくつかの態様を含み、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【
図1】一実施形態による飲料抽出装置の概略図である。
【
図2】別の実施形態による飲料抽出装置の概略図である。
【
図3】一実施形態による飲料抽出装置の概略図である。
【
図4】一実施形態による浸漬サイクルのフロー図である。
【
図5】一実施形態による、抽出されたコーヒーの濃さ(%TDS)と抽出率(%)を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明は、図面を参照しながら、本開示の実施形態について、利点および特徴とともに説明する。
本明細書に開示される態様および実施形態は、低温抽出飲料を調製するためのシステムおよび方法を含む。本開示は、抽出されたコーヒーまたは紅茶飲料を調製するため参照により本明細書に記載されているが、その他の抽出された飲料の調製は本開示の範囲内である。本明細書で使用される場合、「コーヒー」という用語は、コーヒー豆から抽出され、水中に溶解された固体を含む飲料を意味する。
【0022】
ここで
図1~3を参照すると、低温抽出飲料を調製するよう構成されたシステムの例が示されている。図示した非限定的実施形態では、飲料抽出システム20は、ハウジングおよび水貯蔵部24を含む。水貯蔵部24は、例えば、コーヒーなどの飲料を抽出するために望ましい量の水を貯蔵するように構成され、一部の実施形態では、使用を容易にするためにハウジング22の残りの部分に取り外し可能なように結合され得る。しかし、システム20が水貯蔵部24を含まない実施形態も本明細書で意図されている。こうした実施形態では、システム20は、水源(図示せず)に接続され、要求に応じて望ましい量の水を受けるように構成され得る。
【0023】
システム20はさらに、コーヒーグラインド(挽いたコーヒー)または茶葉などの風味剤Fが収容され得る抽出チャンバ28を有する略中空の抽出バスケット26を含む。一実施形態では、抽出チャンバ28は、風味剤の包装済みカートリッジを受けるように構成される。「カートリッジ」という用語は、任意のカプセル、ポッド、サシェ、ラッパーまたは飲料抽出システムで使用するのに適した材料を含むその他の容器またはケースを包含するために使用される。別の方法として、または追加的に、抽出バスケット26は、ルースな(包装されていない)風味剤との使用に適合し得る。一つの実施形態では、抽出チャンバ28は、飲料抽出プロセスの間にルースな風味剤と併せてともに使用されるように、使い捨てまたは永久フィルタ(図示せず)を受けるように構成される。
【0024】
抽出バスケット26の出口端30は典型的に、風味剤Fで注入された水が抽出チャンバ28から排出される開口部32を含む。一実施形態では、出口端30に隣接して配置される浸漬弁34は、例えば、風味剤Fを水内に浸漬することを可能にするために、開口部32を選択的に封止し、抽出チャンバ28内に水を保持するように動作可能である。浸漬弁34は、例えば、アクチュエータ36などの任意の適切な手段によって開位置と閉位置の間で動作し得る。
【0025】
抽出バスケット26から、抽出された飲料は、直接または一つまたは複数の導管またはチャンバを通して、隣接した容器38に向けられる。飲料抽出システム20と併用するのに適した容器38の例には、例えば、カラフ、ハーフカラフ、トラベルマグ、カップまたはマグが含まれるが、これらに限定されない。
図1に図示した一実施形態では、抽出された飲料は、抽出バスケット26の出口端30に形成された開口部32から隣接した容器38へと重力を介して滴下するように構成され得る。
【0026】
別の実施形態では、
図2に示すように、圧力源40は、抽出チャンバ28と流体連通して配置され、注入された水を抽出バスケット26から押し出すように構成される。圧力源40の例には、例えば、抽出バスケット26の内部を加圧するように動作可能なモータ駆動の空気ポンプまたは圧力ポンプが含まれるが、これらに限定されない。こうした実施形態では、抽出バスケット26は、隣接した構成要素に対して概して封止され得る。さらに、抽出バスケット26の抽出チャンバ28と関連付けられた弁またはその他の通気機構(図示せず)は、圧力が抽出チャンバ28から大気に逃されるか、または解放されるように、抽出バスケット26と隣接した構成要素との間の封止を選択的に破るように動作され得る。弁(図示せず)は、下記により詳細に説明するように、圧力源40または飲料抽出システム20のコントローラに動作可能に連結され得る。
【0027】
水送達システム42は、水貯蔵部24から抽出バスケット26へ水を連通するように構成される。第一の水供給ラインまたは流体導管44は、水貯蔵部24の出口端とポンプ機構46との間に延びる。第二の水供給ライン48は、ポンプ機構の下流端を抽出バスケット26に接続する。ギアポンプ、蠕動ポンプ、ピストンポンプ、波ポンプ、およびダイアフラムポンプなどを含むがこれに限定されない任意の適切なタイプのポンプ機構46は、本開示の範囲内である。ポンプ機構46は、第一の供給ラインを通して貯蔵部から水を引き出し、第二の供給ライン48を介して抽出バスケット26の抽出チャンバ28に水を送達するための正圧のポンピング作用を提供する。
【0028】
水送達システム42は、水貯蔵部24から供給される水を抽出バスケット26へ送達する前に望ましい温度に加熱するよう動作可能な加熱機構50を含む。従って、加熱機構50は、ポンプ機構46と抽出バスケット26との間に概して配置される。一実施形態では、加熱機構50は、例えば、水が加熱機構46を通過する際に第二の供給ライン48内の水を加熱するように構成されたフロースルーヒータまたはボイラーである。しかしながら、一定量の水を保持するための空洞、および、例えば、空洞内に保持された水を加熱するための加熱要素(図示せず)を含む加熱機構などの、任意の適切な加熱機構50を水送達システムに含めることができる。
【0029】
一実施形態では、圧力逃し弁52は、加熱機構50および/または第二の供給ライン48と連通して配置される。圧力逃し弁52は、蒸気および/または水を逃がすことによってそこから圧力を解放するように選択的に動作可能である。図示した非限定的な実施形態では、圧力逃し弁52は、逃げた蒸気および水がシステム20内でリサイクルされ得るように、水貯蔵部24と流体連通して配置される。他の実施形態では、蒸気は、システム20に隣接する大気に排出され得る。
【0030】
ポンプ機構46は、所定の量の流体を、加熱機構50に、および従って調製される飲料のサイズに基づいて、抽出チャンバ28に供給するために、所定の時間の間、動作可能とし得る。別の方法として、または追加的に、流量計54を使用して、通過する流体の量を監視し得る。流量計は、
図1および2に示す通り、水貯蔵部24とポンプ機構46との間に位置してもよく、または別の方法として、水送達システム42内の別の位置に位置し得る。流量計54を通過する流体の量は、抽出バスケット26の抽出チャンバ28に供給される流体の量を表し得る。さまざまなタイプの流量計が、本開示の範囲内である。
【0031】
加熱機構50内で加熱された後、水は抽出バスケット26の抽出チャンバ28に送達される。図示した非限定的実施形態では、シャワーヘッド56は、抽出バスケット28の端部に直接隣接して位置付けられ、第二の供給ライン48から加熱された水を受けるように構成される。シャワーヘッド56は一般に、抽出チャンバ28内において風味剤Fの上に水を分配する複数の開口(図示せず)を含む。
【0032】
飲料抽出システム20は、ユーザから一つまたは複数の入力を受信するためのユーザインターフェース60を含む。一実施形態では、ユーザインターフェース60は、複数のサイズのうちの一つを選択するための、一つまたは複数のボタン、ノブ、または他の制御入力装置(図示せず)を含んでもよい。別の方法として、ユーザインターフェース60は、タッチスクリーンを含んでもよく、または電話またはタブレットなどのスマートデバイスを介して「アプリケーション」を介して入力を受信するよう構成され得る。選択可能な抽出サイズは、マグ(約6~約10オンス)、特大のマグ(約8~約12オンス)、トラベルマグ(約12~約16オンス)、特大のトラベルマグ(約16~約24オンス)、ハーフカラフ(約24~34オンス)、カラフ(約44~約54オンス)を含み得る(1オンスは約29.57ml)。ユーザインターフェースはさらに、コーヒーまたは茶(茶は、紅茶、ハーブ茶、ウーロン茶、白茶、緑茶、および美味茶を含む)などの複数のタイプの抽出される飲料の一つを選択し、および抽出スタイルを選択するための入力装置を含んでもよい。
【0033】
飲料抽出装置20の動作は、ポンプ機構46、流量計54、加熱機構50、浸漬弁34と関連付けられるアクチュエータ36、および一部の実施形態では、ユーザインターフェース60から受信した入力信号に応答する圧力源40に動作可能に連結されたコントローラ70によって制御される。コントローラ70は、一つまたは複数のまたはマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、または当分野に公知の電子コントローラの任意の他の形態を含み得る。一実施形態では、システムは、例えば、水送達システム42内の水の温度を測定するために、貯蔵部24、加熱機構50の入口および/または出口に隣接して位置する一つまたは複数の温度センサを含む。コントローラ70は、加熱機構50および従って抽出チャンバ28に供給される水が、所望の温度を有することを確保するために水送達システムを制御するように動作可能である。
【0034】
システム20を使用した低温抽出飲料の調製は、望ましい風味プロフィールを持つ飲料を生成するように構成される。
図4を参照すると、低温抽出コーヒーがシステム20から出力される実施形態では、抽出バスケット26から出力される低温抽出濃縮液は、約18%~22%の抽出率、約2.4%~約2.8%の総溶解固形分の割合(%TDS)を持つ。抽出された飲料は、全氷キューブで少なくとも半分充填された容器38内に受けいれられることが意図されている。従って、抽出された飲料の温度は、容器38内の氷の一部分を溶融させ、それによって容器38内の飲料を希釈する。その結果として、容器38内の飲める状態にある低温抽出飲料は、約1.9%~約2.1%の%TDS、および18%~22%の抽出率を有する。
【0035】
選択可能な風味剤およびサイズの各組み合わせについて低温抽出飲料を調製するための抽出サイクルに関連するさまざまなパラメータは、コントローラ70内に保存されおよび/またはそれによってアクセス可能である。各抽出サイクルに対する保存されたパラメータは、推奨される量の風味剤と関連付けられる。推奨されるまたは提案される量の風味剤は、調製される飲料のサイズだけでなく、使用されている風味剤のタイプにも依存する。例えば、1杯の低温抽出の紅茶を調製するために使用される風味剤の推奨量は、1杯の低温抽出の緑茶を調製するために使用される風味剤の推奨量とは異なってもよい。調製される飲料が低温抽出コーヒーである実施形態では、推奨される量の風味剤すなわちコーヒーグラインドは、調製される飲料のサイズに基づいてほぼ直線的にスケールされる。一実施形態では、9オンス(約266ml)のコーヒーを調製する時に推奨される風味剤の量は、およそ25グラム、および18オンス(約532ml)のコーヒーを調製する時に推奨される風味剤の量は、およそ50グラムである。
【0036】
抽出された飲料を調製するための各抽出サイクルに関連する保存されたパラメータは概して、浸漬サイクルの総数、水の温度、水の量、および各浸漬サイクルに対する浸漬期間を含む。低温抽出飲料の調製に関連する各抽出サイクルは、一つまたは複数の浸漬サイクルを含む。抽出サイクル内の浸漬の合計数は、飲料タイプ、抽出サイズ、および抽出スタイルを考え、望ましい風味プロフィールを達成するために調節できる。
【0037】
浸漬サイクル100のフロー図を
図5に示す。各々の浸漬サイクルは、まず、ブロック102に示すように、加熱機構50を所定の温度に加熱することを含む。次に、ブロック104に示されるように、水送達システム42の動作は、加熱機構50に水を提供するように開始される。ポンプ機構46は、水への熱伝達を最大化し、それによって所定の温度より下の水の量を最小化するよう意図された制御された流量で加熱機構50を通して水を移動させるように構成される。ポンプ機構46の動作は、所定量の加熱された水がブロック106に示される抽出バスケット26の抽出チャンバ28に送達されるまで続けられる。所定量の加熱された水が抽出チャンバ26に送達された後、ポンプ機構46および加熱機構50は非通電状態にされる。
【0038】
水が抽出チャンバ28に供給される際、浸漬弁34は閉位置にある。従って、水は抽出チャンバ28内に蓄積し、それによって風味剤が、水中に「浸漬する」のを可能にする。抽出チャンバ28への水の送達の後、ブロック108に示される所定の長さの間、浸漬弁34は閉じたままである。この浸漬時間が経過した後、浸漬弁34は、特定の時間にわたって開き、ブロック110に示す通り、風味剤注入水が抽出バスケット26の出口端30に形成された開口部32を通って隣接する容器38に排出するのが可能となる。前述の通り、注入された水は、重力を介して、または圧力源40の動作によって生成される空気パージに応答して排出され得る。
【0039】
抽出サイクル内のシステム20によって実施される浸漬サイクルの総数は、風味剤の配置を含むいくつかの要因に基づいて変化するが、より具体的には、風味剤がルースであるか、またはカートリッジ内に配置されているかどうかに基づいて変化する。例えば、開いた抽出バスケット26のルースなグラインドを使用して低温抽出コーヒーを調製するための抽出サイクルは、概して、適切な抽出を達成するためにカートリッジを使用して低温抽出コーヒーを調製するための抽出サイクルよりも少ない浸漬サイクルを必要とする。同様に、葉茶の全体を使用した低温抽出茶の調製は、より多くの浸漬、または別の方法として、風味剤が茶バッグ内に配置された場合とは異なる数の浸漬を必要とし得る。さらに、浸漬サイクルの合計数はまた、その抽出に影響を与え得る風味剤の粉砕サイズに基づいて変化し得る。風味剤が細かい粉砕サイズを持つ実施形態では、風味はより大きいまたは粗い粉砕サイズを持つ風味剤よりも迅速に抽出される。従って、抽出サイクルは、望ましい風味プロフィールを達成するために使用される風味剤の構成(ルースなまたはカートリッジ内)およびサイズの両方を補正するように適合され得る。
【0040】
抽出サイクルが複数の浸漬サイクルを含む実施形態では、複数の浸漬サイクルの各々が同一であってもよく、または代替的に異なっていてもよい。一実施形態では、複数の浸漬サイクルを持つ飲料の調製の間、各々の浸漬サイクルの浸漬の長さは逐次的に減少し得る。より長い浸漬を使用して次に漸進的に短い浸漬を使用することで、結果的な飲料の風味プロフィールを高めることができる。一実施形態では、抽出チャンバ28に供給される水の量は、浸漬の長さに依存する。結果として、その水の量はまた、各浸漬サイクルで漸進的に減少し得る。しかし、浸漬は長さが等しく、水の量が等しく、順次増大する、または無作為に変化する実施形態も、本明細書で意図されている。
【0041】
さらに、低温抽出飲料の調製中に、抽出チャンバ28に送達される水の温度は、システム20によって製造される飲料の全体的味覚に影響を与え得る。水が冷たすぎる場合、風味剤からの抽出率は低い可能性があり、また別の方法として、水が高温である場合には、コーヒーグラインドから過度の酸味が放出され、茶葉から過度の渋味が放出され得る。低温抽出飲料の調製中、各浸漬サイクルに関連付けられた水温は、約30℃~約50℃である。一実施形態では、茶飲料の調製に関連する水温は、コーヒー飲料の調製に関連する水温、通常、約38℃~約42℃、例えば40℃よりも、概して温かく、例えば約48℃~約52℃(50℃など)である。低温抽出飲料の調製に複数の浸漬サイクルが必要である一実施形態では、それぞれの浸漬サイクルの温度は一定のままである。
【0042】
浸漬サイクルの総数、各浸漬サイクルの水温と浸漬の長さを含むパラメータの例を以下に、さまざまなサイズの低温抽出コーヒーの調製に対しては表1A~1Fで、およびさまざまなサイズの低温抽出紅茶の調製用に対しては表2A~2Cで示す。以下に示す抽出サイクルは、例としてのみ意図されている。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
本明細書に引用された刊行物、特許出願、および特許を含む全ての参考文献は、あたかも各参考文献が個別におよび具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に示されるのと同程度に、本明細書によって参照により組み込まれる。
【0053】
用語「一つの(a)」、「一つの(an)」、「前記(the)」および開示内容を説明する文脈中(特に、以下の特許請求の範囲における文脈中)の類似する指示対象は、本明細書中で特に示したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数および複数の両方を包含するものと解釈される。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含む(containing)」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンドの用語として解釈されるものとする(すなわち、「含むが、これに限定されない」を意味する)。本明細書の値の範囲の列記は、本明細書中で特に示さない限り、該範囲内の個々の値を個別に参照する簡略な方法として機能することが意図されるものであり、個々の値はそれぞれ本明細書に個別に記載されるものとして本明細書に組み込まれる。本明細書中で特に示したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、本明細書に記載の全ての方法は、任意の適切な順序で実行可能である。本明細書で設けられるありとあらゆる例、または例示的な言語(例えばなど)の使用は、単に本開示をよりよく明らかにするためのものであり、特にクレームされていない限り、本開示の範囲を制限するものではない。本明細書中のいずれの語句も、特許請求しない任意の要素を本開示の実施に必須であると示すとは解釈されない。
【0054】
本開示を実施するための発明者に公知の最良のモードを含む、本開示の例示的な実施形態を本明細書に記載する。これらの実施形態の変形は、前述の説明を読んで当業者にとって明らかとなり得る。発明者らは、当業者がこのような変形を適切なものとして採用することを期待しており、発明者は本開示を本明細書に特に記載されるもの以外に実施する意図を有する。従って、本開示は、適用法により許可されている特許請求の範囲に記載された主題の全ての修正および等価物を含む。さらに、本明細書に別段の指示がない限り、または別途文脈によって明らかに矛盾しない限り、その可能性のある全ての変形における上述の要素の任意の組み合わせは、本開示によって包含される。