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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/16 20060101AFI20220927BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20220927BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20220927BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20220927BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20220927BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
H03K17/16 H
H03K17/687 F
H02M7/48 E
H02M1/08 A
H01L25/04 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020523636
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(86)【国際出願番号】 JP2019020747
(87)【国際公開番号】W WO2019235267
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】P 2018106986
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石松 祐司
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/086054(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0002445(US,A1)
【文献】国際公開第2014/192298(WO,A1)
【文献】特開2016-82281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L25/00-25/18
H02M1/08-1/096
H02M7/48-7/5395
H03K17/16
H03K17/687-17/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧が供給される第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子に接続される第1端子、グランドに接続される第2端子、及び制御端子を有する第2スイッチング素子とを含むインバータ回路と、
前記第1スイッチング素子を制御する第1制御回路と、
前記第2スイッチング素子を制御する第2制御回路と、
前記インバータ回路とは離間して設けられ、前記第2制御回路が搭載され、かつ前記第2制御回路と電気的に接続された出力端子及び入力端子を有する集積回路素子と、
前記制御端子と前記出力端子とを電気的に接続する制御用ワイヤと、
前記第2スイッチング素子の第2端子の電圧変動に基づく前記第2端子と前記制御端子との間の電圧の変動を抑制する制限部と、を備え
前記制限部は、前記制御用ワイヤとは別に設けられ、前記入力端子と前記第2端子とを電気的に接続する制限用ワイヤを含む
半導体装置。
【請求項2】
前記第2制御回路は、駆動信号を出力する駆動信号出力回路を有し、
前記半導体装置は、前記駆動信号出力回路と前記制御端子とを電気的に接続するものであって前記駆動信号が伝送される制御経路を備え、
前記制限部は、前記制御経路と前記第2スイッチング素子の第2端子とを電気的に接続する制限経路を有し、
前記制御用ワイヤは、前記制御経路の一部を構成し、
前記制限用ワイヤは、前記制限経路の一部を構成している
請求項に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記制御経路は、前記集積回路素子内に設けられ、前記駆動信号出力回路と前記出力端子とを電気的に接続する出力配線を有し、
前記制限経路は、前記集積回路素子内に設けられ、前記集積回路素子の前記入力端子と前記出力配線とを電気的に接続する制限配線を有する
請求項に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記制限部は、前記制限経路に設けられたダイオードを有し、
前記ダイオードのアノードは、前記第2スイッチング素子の第2端子に電気的に接続され、
前記ダイオードのカソードは、前記駆動信号出力回路に電気的に接続されている
請求項又はに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ダイオードは、前記集積回路素子に搭載され、かつ前記制限配線に設けられている
請求項を引用する請求項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ダイオードは、前記集積回路素子内において前記駆動信号出力回路の周囲に配置されている
請求項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2制御回路は、前記駆動信号出力回路を制御する論理回路をさらに有し、
前記集積回路素子において前記駆動信号出力回路は、前記論理回路よりも前記第2スイッチング素子側に配置され、
前記ダイオードは、前記駆動信号出力回路に対して前記第2スイッチング素子側に配置されている
請求項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2スイッチング素子は、前記第2端子としてのグランド電極パッドと、前記制御端子としての制御電極パッドと、を含み、
前記制御用ワイヤは、前記集積回路素子の前記出力端子と、前記制御電極パッドとに接続され、
前記制限用ワイヤは、前記グランド電極パッドと前記集積回路素子の前記入力端子とに接続されている
請求項のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記グランド電極パッドには、該前記グランド電極パッドを前記グランドに接続するための電力用ワイヤが接続され、
前記制限用ワイヤの径は、前記電力用ワイヤの径よりも小さい
請求項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記制限用ワイヤは、平面視において、前記グランド電極パッドにおける前記電力用ワイヤが接続される箇所よりも前記集積回路素子寄りの箇所に接続されている
請求項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記インバータ回路は、互いに並列に接続された第1インバータ回路、第2インバータ回路、及び第3インバータ回路を含み、
前記制限部は、第1制限部、第2制限部、及び第3制限部を含み、
前記第1制限部は、前記第1インバータ回路における第2スイッチング素子の第2端子の電圧変動に基づく前記第1インバータ回路における第2スイッチング素子の第2端子と制御端子との間の電圧の変動を抑制し、
前記第2制限部は、前記第2インバータ回路における第2スイッチング素子の第2端子の電圧変動に基づく前記第2インバータ回路における第2スイッチング素子の第2端子と制御端子との間の電圧の変動を抑制し、
前記第3制限部は、前記第3インバータ回路における第2スイッチング素子の第2端子の電圧変動に基づく前記第3インバータ回路における第2スイッチング素子の第2端子と制御端子との間の電圧の変動を抑制する
請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2制御回路は、集積回路素子に実装され、
前記第2制御回路は、前記第1インバータ回路の第2スイッチング素子を制御する第3制御回路、前記第2インバータ回路の第2スイッチング素子を制御する第4制御回路、及び前記第3インバータ回路の第2スイッチング素子を制御する第5制御回路を有し、
前記第1インバータ回路の第2スイッチング素子、前記第2インバータ回路の第2スイッチング素子、及び前記第3インバータ回路の第2スイッチング素子はそれぞれ、平面視において矩形状に形成され、前記第2端子としてのグランド電極パッドと、前記制御端子としての制御電極パッドと、を有し、
前記集積回路素子は、前記第3制御回路と電気的に接続された第1入力端子及び第1出力端子、前記第4制御回路と電気的に接続された第2入力端子及び第2出力端子、並びに前記第5制御回路と電気的に接続された第3入力端子及び第3出力端子とを有し、
前記半導体装置は、
前記第1インバータ回路の第2スイッチング素子が実装されている第1フレームと、
前記第2インバータ回路の第2スイッチング素子が実装されている第2フレームと、
前記第3インバータ回路の第2スイッチング素子が実装されている第3フレームと、
前記第1インバータ回路の第2スイッチング素子の制御電極パッドと前記第1出力端子とを接続する第1制御用ワイヤと、
前記第1インバータ回路の第2スイッチング素子のグランド電極パッドと前記第1入力端子とを接続する第1制限用ワイヤと、
前記第2インバータ回路の第2スイッチング素子の制御電極パッドと前記第2出力端子とを接続する第2制御用ワイヤと、
前記第2インバータ回路の第2スイッチング素子のグランド電極パッドと前記第2入力端子とを接続する第2制限用ワイヤと、
前記第3インバータ回路の第2スイッチング素子の制御電極パッドと前記第3出力端子とを接続する第3制御用ワイヤと、
前記第3インバータ回路の第2スイッチング素子のグランド電極パッドと前記第3入力端子とを接続する第3制限用ワイヤと、
を備え、
前記第1フレーム、前記第2フレーム、及び前記第3フレームは、互いに離間して配置されるとともに、前記第1フレーム及び前記第3フレームが前記第2フレームを挟むように、前記第3制御回路、前記第4制御回路、及び前記第5制御回路の配列方向に沿って並べられ、
平面視において前記配列方向と直交する方向において前記第2フレームが前記集積回路素子と対向するように前記第2フレームが配置されている
請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1インバータ回路、前記第2インバータ回路、及び前記第3インバータ回路のそれぞれの第2スイッチング素子の制御電極パッドは、平面視において当該第2スイッチング素子の四隅のいずれか1箇所に形成され、
前記第1インバータ回路の第2スイッチング素子及び前記第3インバータ回路の第2スイッチング素子の少なくとも一方は、当該第2スイッチング素子の制御電極パッドが前記集積回路素子に近づくように、前記第2インバータ回路の第2スイッチング素子の配置姿勢とは異なる配置姿勢により配置されている
請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第2スイッチング素子に流れる電流は、30A未満である
請求項1~13のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第2スイッチング素子は、SiCMOSFETである
請求項1~14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源電圧が供給される第1スイッチング素子と第1スイッチング素子と直列に接続される第2スイッチング素子とを有するインバータ回路と、各スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路とをリードフレームに実装することにより、1つのパッケージに集積された半導体装置が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-82281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記半導体装置では、第2スイッチング素子とリードフレームとはボンディングワイヤにより電気的に接続されている。このボンディングワイヤのインダクタンスの影響により印加される負バイアスによって第2スイッチング素子の電気的特性が変動するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、電気的特性の変動を抑制することができる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する半導体装置は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を含むインバータ回路と、第1制御回路と、第2制御回路と、制限部と、を含む。前記第1スイッチング素子には電源電圧が供給される。前記第2スイッチング素子は、前記第1スイッチング素子に接続される第1端子、グランドに接続される第2端子、及び制御端子を有する。前記第1制御回路は、前記第1スイッチング素子を制御する。前記第2制御回路は、前記第2スイッチング素子を制御する。前記制限部は、前記第2スイッチング素子の第2端子の電圧変動に基づく前記第2端子と前記制御端子との間の電圧の変動を抑制する。
【0007】
上記課題を解決する半導体装置は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を含むインバータ回路と、制限部と、を含む。前記第1スイッチング素子には電源電圧が供給される。前記第2スイッチング素子は、前記第1スイッチング素子に接続される第1端子、グランドに接続される第2端子、及び制御端子を有する。前記制限部は、前記第1スイッチング素子のオン時に前記第2スイッチング素子の第2端子の電位の変動を抑制する。
【発明の効果】
【0008】
上記半導体装置によれば、電気的特性の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の半導体装置の電気的構成を示すブロック図。
図2】半導体装置の内部の配置構成を示す平面図。
図3】半導体装置の斜視図。
図4】半導体装置の底面図。
図5図2の5-5線に沿った断面図。
図6図2の6-6線に沿った断面図。
図7図2の一部の拡大図。
図8図7の8-8線に沿った断面図。
図9図2の一部の拡大図。
図10図9の10-10線に沿った断面図。
図11】MOSFETの構造を示す断面図。
図12】半導体装置の一部の詳細な電気的構成を示す回路図。
図13】第2実施形態の半導体装置の一部の詳細な電気的構成を示す回路図。
図14】半導体装置の集積回路素子の一部の素子配置を示す模式平面図。
図15】第3実施形態の半導体装置の内部の配置構成の一部を拡大した平面図。
図16】第4実施形態の半導体装置の電気的構成を示すブロック図。
図17】半導体装置の内部の配置構成を示す平面図。
図18A】ダイオードの構造を示す断面斜視図。
図18B】ダイオードの構造を示す断面図。
図19】第4実施形態の作用を説明するための図であり、駆動部の電気的な接続構成を示す回路図。
図20】第5実施形態の半導体装置の電気的構成を示すブロック図。
図21】半導体装置の内部の配置構成を示す平面図。
図22】変形例の半導体装置の内部の配置構成の一部を拡大した平面図。
図23】変形例の半導体装置の内部の配置構成の一部を拡大した平面図。
図24】変形例の半導体装置の内部の配置構成の一部を拡大した平面図。
図25】変形例の半導体装置の内部の配置構成の一部を拡大した平面図。
図26】変形例の半導体装置の内部の配置構成の一部を拡大した平面図。
図27】変形例の半導体装置の内部の配置構成の一部を拡大した平面図。
図28】変形例の半導体装置の内部の配置構成の一部を拡大した平面図。
図29】変形例の半導体装置の内部の配置構成を示す平面図。
図30】変形例の半導体装置の内部の配置構成を示す平面図。
図31】変形例の半導体装置の内部の配置構成を示す平面図。
図32】変形例の半導体装置の内部の配置構成の一部を拡大した平面図。
図33】変形例の半導体装置の内部の配置構成を示す平面図。
図34】変形例のMOSFETの構造を示す断面図。
図35】変形例のMOSFETの構造を示す断面図。
図36】変形例のダイオードの構造を示す断面図。
図37】変形例の半導体装置の電気的構成を示すブロック図。
図38図37の半導体装置の内部の配置構成を示す平面図。
図39】変形例の半導体装置の内部の配置構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、半導体装置の各実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す各実施形態は、技術的思想を具体化するための構成や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに限定するものではない。以下の各実施形態は、種々の変更を加えることができる。
【0011】
本明細書において、「部材Aが部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bとが物理的に直接的に接続される場合、並びに、部材A及び部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合を含む。
【0012】
同様に、「部材Cが部材Aと部材Bとの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cとが直接的に接続される場合、並びに、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cとが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合を含む。
【0013】
(第1実施形態)
図1に示すように、半導体装置1は、モータ2を駆動するインバータ回路を構成するものであり、3つのインバータ回路である第1インバータ回路10U、第2インバータ回路10V、及び第3インバータ回路10Wを有する駆動部10と、駆動部10を制御する制御回路20とを備える。各インバータ回路10U,10V,10Wは、互いに並列に接続されている。モータ2の一例は、3相ブラシレスモータである。
【0014】
各インバータ回路10U,10V,10Wは、第1スイッチング素子11と第2スイッチング素子12とを含む。第1スイッチング素子11及び第2スイッチング素子12は直列に接続されている。第1スイッチング素子11は、電源電圧が供給される第1端子、第2スイッチング素子12に接続される第2端子、及び制御端子を有する。第2スイッチング素子12は、第1スイッチング素子11の第2端子に接続される第1端子、グランドに接続される第2端子、及び制御端子を有する。第1スイッチング素子11及び第2スイッチング素子12の一例は、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)である。以降では、第1インバータ回路10Uの第1スイッチング素子11をMOSFET11Uとし、第2インバータ回路10Vの第1スイッチング素子11をMOSFET11Vとし、第3インバータ回路10Wの第1スイッチング素子11をMOSFET11Wとして説明する。また、第1インバータ回路10Uの第2スイッチング素子12をMOSFET12Uとし、第2インバータ回路10Vの第2スイッチング素子12をMOSFET12Vとし、第3インバータ回路10Wの第2スイッチング素子12をMOSFET12Wとして説明する。本実施形態では、MOSFET11U~11W,12U~12Wは、Nチャネル型MOSFETが用いられている。MOSFET11U~11Wのそれぞれのドレインは第1スイッチング素子11の第1端子の一例であり、MOSFET11U~11Wのそれぞれのソースは第1スイッチング素子11の第2端子の一例であり、MOSFET11U~11Wのそれぞれのゲートは第1スイッチング素子11の制御端子の一例である。MOSFET12U~12Wのそれぞれのドレインは第2スイッチング素子12の第1端子の一例であり、MOSFET12U~12Wのそれぞれのソースは第2スイッチング素子12の第2端子の一例であり、MOSFET12U~12Wのそれぞれのゲートは第2スイッチング素子12の制御端子の一例である。
【0015】
MOSFET11UとMOSFET12Uとは互いに直列に接続されている。すなわちMOSFET11UのソースとMOSFET12Uのドレインとが互いに接続されている。これらMOSFET11UのソースとMOSFET12Uのドレインとの間のノードNは、モータ2のU相コイル(図示略)と電気的に接続されている。
【0016】
MOSFET11VとMOSFET12Vとは互いに直列に接続されている。すなわちMOSFET11VのソースとMOSFET12Vのドレインとが互いに接続されている。これらMOSFET11VのソースとMOSFET12Vのドレインとの間のノードNは、モータ2のV相コイル(図示略)と電気的に接続されている。
【0017】
MOSFET11WとMOSFET12Wとは互いに直列に接続されている。すなわちMOSFET11WのソースとMOSFET12Wのドレインとが互いに接続されている。これらMOSFET11WのソースとMOSFET12Wのドレインとの間のノードNは、モータ2のW相コイル(図示略)と電気的に接続されている。
【0018】
MOSFET11U~11Wのドレインは、互いに接続されている。MOSFET11U~11Wのドレインは、外部電源に電気的に接続されている。MOSFET12U~12Wのソースは互いに接続されている。MOSFET12U~12Wのソースは、グランドGNDに接続されている。MOSFET11U~11Wのゲート及びMOSFET12U~12Wのゲートはそれぞれ、制御回路20に電気的に接続されている。
【0019】
MOSFET11U~11W及びMOSFET12U~12Wのそれぞれに流れる電流は、30A未満であることが好ましい。本実施形態では、MOSFET11U~11W及びMOSFET12U~12Wのそれぞれに流れる電流は、15A程度である。
【0020】
制御回路20は、MOSFET11U~11Wのゲート及びMOSFET12U~12Wのゲートにそれぞれ駆動信号を出力する駆動信号出力回路の一例であるドライブ回路21と、ドライブ回路21を制御する論理回路22と、ドライブ回路21及び論理回路22のうちの高電位ブロックの駆動電源を生成するブートストラップ回路23とを有する。制御回路20は、MOSFET11U~11W及びMOSFET12U~12Wのそれぞれに対応したドライブ回路21、論理回路22、及びブートストラップ回路23を有する。
【0021】
ドライブ回路21は、高電位側のMOSFET11U~11Wのゲートを制御するドライブ回路21UU,21VU,21WUと、低電位側のMOSFET12U~12Wのゲートを制御するドライブ回路21UL,21VL,21WLとを有する。
【0022】
ドライブ回路21UUは、MOSFET11Uのゲートと電気的に接続され、そのゲートに駆動信号を出力する。ドライブ回路21VUは、MOSFET11Vのゲートと電気的に接続され、そのゲートに駆動信号を出力する。ドライブ回路21WUは、MOSFET11Wのゲートと電気的に接続され、そのゲートに駆動信号を出力する。
【0023】
ドライブ回路21ULは、MOSFET12Uのゲートと電気的に接続され、そのゲートに駆動信号を出力する。ドライブ回路21VLは、MOSFET12Vのゲートと電気的に接続され、そのゲートに駆動信号を出力する。ドライブ回路21WLは、MOSFET12Wのゲートと電気的に接続され、そのゲートに駆動信号を出力する。
【0024】
論理回路22は、高電位側のMOSFET11U~11Wのゲートを制御するドライブ回路21UU,21VU,21WUを制御する論理回路22UU,22VU,22WUと、低電位側のMOSFET12U~12Wのゲートを制御するドライブ回路21UL,21VL,21WLを制御する論理回路22UL,22VL,22WLとを有する。
【0025】
論理回路22UUは、ドライブ回路21UUと電気的に接続され、ドライブ回路21UUがMOSFET11Uのゲートに出力する駆動信号を生成するための信号をドライブ回路21UUに出力する。論理回路22VUは、ドライブ回路21VUと電気的に接続され、ドライブ回路21VUがMOSFET11Vのゲートに出力する駆動信号を生成するための信号をドライブ回路21VUに出力する。論理回路22WUは、ドライブ回路21WUと電気的に接続され、ドライブ回路21WUがMOSFET11Wのゲートに出力する駆動信号を生成するための信号をドライブ回路21WUに出力する。
【0026】
論理回路22ULは、ドライブ回路21ULと電気的に接続され、ドライブ回路21ULがMOSFET12Uのゲートに出力する駆動信号を生成するための信号をドライブ回路21ULに出力する。論理回路22VLは、ドライブ回路21VLに電気的に接続され、ドライブ回路21VLがMOSFET12Vのゲートに出力する駆動信号を生成するための信号をドライブ回路21VLに出力する。論理回路22WLは、ドライブ回路21WLと電気的に接続され、ドライブ回路21WLがMOSFET12Wのゲートに出力する駆動信号を生成するための信号をドライブ回路21WLに出力する。
【0027】
ブートストラップ回路23は、第1ブートストラップ回路23U、第2ブートストラップ回路23V、及び第3ブートストラップ回路23Wを有する。各ブートストラップ回路23U,23V,23Wは、互いに共通の構成であり、ブートダイオード及びブートキャパシタが直列に接続された構成を有する。
【0028】
第1ブートストラップ回路23Uは、MOSFET11Uのソースと、ドライブ回路21UU及び論理回路22UUとに電気的に接続されている。第1ブートストラップ回路23Uは、ドライブ回路21UU及び論理回路22UUの駆動電圧を生成する。
【0029】
第2ブートストラップ回路23Vは、MOSFET11Vのソースと、ドライブ回路21VU及び論理回路22VUとに電気的に接続されている。第2ブートストラップ回路23Vは、ドライブ回路21VU及び論理回路22VUの駆動電圧を生成する。
【0030】
第3ブートストラップ回路23Wは、MOSFET11Wのソースと、ドライブ回路21WU及び論理回路22WUとに電気的に接続されている。第3ブートストラップ回路23Wは、ドライブ回路21WU及び論理回路22WUの駆動電圧を生成する。
【0031】
なお、本実施形態では、ドライブ回路21UU,21VU,21WU及び論理回路22UU,22VU,22WUは、第1スイッチング素子11を制御する第1制御回路の一例である。ドライブ回路21UL,21VL,21WL及び論理回路22UL,22VL,22WLは、第2スイッチング素子12を制御する第2制御回路の一例である。またドライブ回路21UL及び論理回路22ULは、第1インバータ回路の第2スイッチング素子12(MOSFET12U)を制御する第3制御回路の一例である。ドライブ回路21VL及び論理回路22VLは、第2インバータ回路の第2スイッチング素子12(MOSFET12V)を制御する第4制御回路の一例である。ドライブ回路21WL及び論理回路22WLは、第3インバータ回路の第2スイッチング素子12(MOSFET12W)を制御する第5制御回路の一例である。
【0032】
図2図6を参照して、半導体装置1の構成の一例について説明する。
半導体装置1は、リード30、放熱部材40、及び封止樹脂50(図2では二点鎖線)をさらに備える。半導体装置1は、封止樹脂50が駆動部10及び制御回路20(ともに図1参照)を封止することにより1パッケージ化されている。半導体装置1は、平面視において矩形状に形成されている。以降の説明において、半導体装置1の長手方向を第1方向Xと規定し、半導体装置1の平面視において第1方向Xと直交する方向を第2方向Yと規定し、第1方向X及び第2方向Yの両方と直交する方向を第3方向Zと規定する。第3方向Zは、半導体装置1の厚さ方向とも言える。
【0033】
図3に示すように、半導体装置1(封止樹脂50)の第1方向Xの寸法DXは、60mm以下であることが好ましい。半導体装置1(封止樹脂50)の第2方向Yの寸法DYは、35mm以下であることが好ましい。半導体装置1(封止樹脂50)の第3方向Zの寸法DZは、6mm以下であることが好ましい。本実施形態の半導体装置1では、第1方向Xの寸法DXが約57mmであり、第2方向Yの寸法DYが約30mmであり、第3方向Zの寸法DZが約5mmである。
【0034】
図3に示すとおり、封止樹脂50は、扁平となる矩形状に形成されている。封止樹脂50は、例えば黒色のエポキシ樹脂からなる。封止樹脂50は、表面50A、裏面50B、第1側面50C、第2側面50D、第3側面50E、及び第4側面50Fを有する。表面50A及び裏面50Bは、第1方向X及び第2方向Yに沿った平面であり、第1方向Xが長手方向となる略長方形である。第1側面50Cは封止樹脂50の第1方向Xの一方側の側面であり、第2側面50Dは封止樹脂50の第1方向Xの他方側の側面である。第1側面50C及び第2側面50Dは、第2方向Y及び第3方向Zに沿った平面であり、第2方向Yが長手方向となる略長方形である。第3側面50Eは封止樹脂50の第2方向Yの一方側の側面であり、第4側面50Fは封止樹脂50の他方側の側面である。第3側面50E及び第4側面50Fは、第1方向X及び第3方向Zに沿った平面であり、第1方向Xが長手方向となる略長方形である。封止樹脂50には、4つの第1凹部51及び2つの第2凹部52が設けられている。4つの第1凹部51は、第3側面50Eから第2方向Yに凹み、かつ第3方向Zにおいて封止樹脂50を貫通するように形成されている。4つの第1凹部51は、第3側面50Eにおける第1側面50C寄りの部分に対して、第1方向Xにおいて間隔を空けて設けられている。第2凹部52は、封止樹脂50の第1側面50Cの第2方向Yの中央と、封止樹脂50の第2側面50Dの第2方向Yの中央とに設けられている。第2凹部52は、第1方向Xに凹み、かつ第3方向Zにおいて封止樹脂50を貫通するように形成されている。
【0035】
図4に示すように、封止樹脂50の裏面50Bには、放熱部材40が露出している。放熱部材40は、例えばセラミックスからなる。放熱部材40の露出面40Aの形状は、第1方向Xが長手方向となる長方形である。
【0036】
図2に示すように、リード30は、MOSFET11U~11W及びMOSFET12U~12Wと、制御回路20(図1参照)とを支持し、かつこれらMOSFET11U~11W及びMOSFET12U~12Wの導通経路を構成する導通支持部材である。リード30は、例えば金属製の板材料に対して打ち抜き等の切断加工及び曲げ加工により形成されている。リード30の材料の一例は、銅(Cu)である。リード30の厚さは、例えば約0.42mmである。
【0037】
リード30は、フレーム31、各フレーム32U,32V,32W、複数の制御フレーム33、複数の制御フレーム34、第1グランドフレームの一例であるフレーム35U、第2グランドフレームの一例であるフレーム35V、及び第3グランドフレームの一例であるフレーム35Wを有する。また、本実施形態のリード30は、MOSFET11U及びMOSFET12Lと電気的に接続していない、所謂ノンコネクションとなる補助フレーム36を有する。フレーム31、及び各フレーム32U,32V,32Wは、第1方向Xに間隔を空けて並べて配置されている。複数の制御フレーム33及び複数の制御フレーム34は、第1方向Xに間隔を空けて並べて配置されている。複数の制御フレーム33及び複数の制御フレーム34は、フレーム31、及び各フレーム32U,32V,32Wと第2方向Yにおいて間隔を空けて並べて配置されている。つまり、複数の制御フレーム33及び複数の制御フレーム34は、第2方向Yにおいて封止樹脂50の第3側面50E側に寄って配置されている。フレーム35U,35V,35Wは、第1方向Xにおいて各フレーム32U,32V,32Wに対してフレーム31とは反対側に配置されている。フレーム35U,35V,35Wは、第2方向Yにおいて封止樹脂50の第4側面50F側に寄って配置されている。補助フレーム36は、封止樹脂50の第1側面50C側の端部かつ第4側面50F側に配置されている。補助フレーム36は、第4側面50Fから突出する端子部を有する。
【0038】
フレーム31は、MOSFET11U~11Wのドレインと外部電源とを電気的に接続するためのリードフレームであり、アイランド部31a、端子部31b、及び接続部31cを有する。アイランド部31a、端子部31b、及び接続部31cは一体的に形成されている。アイランド部31aは、第1方向Xが長手方向となる矩形状に形成されている。アイランド部31aには、MOSFET11U~11Wが実装されている。端子部31bは、封止樹脂50の第4側面50Fから突出している。接続部31cは、アイランド部31aと端子部31bとを接続している。接続部31cは、アイランド部31aの第2方向Yの端子部31b側の端部から端子部31bに向けて延びている。端子部31bは、封止樹脂50から突出している。端子部31bは、封止樹脂50から第2方向Yに延びた後に第3方向Zに延びるL字状に形成されている(図3参照)。なお、アイランド部31a、端子部31b、及び接続部31cが個別に形成され、互いに接合されてフレーム31が形成されてもよい。
【0039】
第1フレーム32Uは、MOSFET12Uのドレインと、半導体装置1により駆動する電気機器(例えばモータ2)とを電気的に接続するためのリードフレームである。本実施形態の第1フレーム32Uは、モータ2のU相コイル(図示略)と電気的に接続される。第2フレーム32Vは、MOSFET12Vのドレインと、半導体装置1により駆動する電気機器(例えばモータ2)とを電気的に接続するためのリードフレームである。本実施形態の第2フレーム32Vは、モータ2のV相コイル(図示略)と電気的に接続される。第3フレーム32Wは、MOSFET12Wのドレインと、半導体装置1により駆動する電気機器(例えばモータ2)とを電気的に接続するためのリードフレームである。本実施形態の第3フレーム32Wは、モータ2のW相コイル(図示略)と電気的に接続される。各フレーム32U,32V,32Wは、概ね同一形状として形成され、アイランド部32a、端子部32b、及び接続部32cを有する。アイランド部32a、端子部32b、及び接続部32cは一体的に形成されている。アイランド部32aは、第2方向Yが長手方向となる矩形状に形成されている。各フレーム32U,32V,32Wのアイランド部32aの第1方向Xにおけるサイズ(幅寸法)は、フレーム31のアイランド部31aの第1方向Xにおけるサイズ(幅寸法)の1/3程度である。第1フレーム32Uのアイランド部32aには、MOSFET12Uが実装されている。第2フレーム32Vのアイランド部32aには、MOSFET12Vが実装されている。第3フレーム32Wのアイランド部32aには、MOSFET12Wが実装されている。
【0040】
各フレーム32U,32V,32Wの端子部32bは、封止樹脂50の第4側面50Fから突出している。各端子部32bは、封止樹脂50から第2方向Yに延びた後に第3方向Zに延びるL字状に形成されている(図3参照)。
【0041】
第1フレーム32Uの接続部32cは、第1フレーム32Uのアイランド部32aにおいて、第2方向Yにおける封止樹脂50の第4側面50F側の端部かつ第1方向Xにおけるフレーム31側の端部から端子部32bに向けて延びている。接続部32cにおける封止樹脂50の第4側面50F側の部分には、第1方向Xに延びる平面視矩形状のワイヤ接合部32fが設けられている。なお、図2に示すとおり、第2フレーム32Vの接続部32c及び第3フレーム32Wの接続部32cもそれぞれ、第1フレーム32Uの接続部32cと同様の形状である。また、アイランド部32a、端子部32b、及び接続部32cが個別に形成され、互いに接合されて各フレーム32U,32V,32Wが形成されてもよい。
【0042】
制御フレーム33は、フレーム33BU,33BV,33BW、各フレーム33U,33V,33W、フレーム33C、及びフレーム33Sを有する。
フレーム33Sは、集積回路素子25Hを支持するためのリードフレームである。集積回路素子25Hの一例では、制御回路20の高電位ブロック回路がチップ化されたものである。本実施形態では、制御回路20の高電位ブロック回路は、第1制御回路を含む。すなわち高電位ブロック回路は、ドライブ回路21UU,21VU,21WU及び論理回路22UU,22VU,22WU(ともに図1参照)を含む。フレーム33Sは、アイランド部33aと、アイランド部33aから封止樹脂50の第1側面50C側に向けて第1方向Xに沿って延びる第1アーム部33bと、第1アーム部33bの封止樹脂50の第1側面50C側の端部から第2方向Yに延びる第2アーム部33cと、第2アーム部33cから延びる端子部33dとを有する。アイランド部33a、第1アーム部33b、第2アーム部33c、及び端子部33dは、一体的に形成されている。
【0043】
アイランド部33aは、第1方向Xが長手方向となる長方形に形成されている。アイランド部33aの第2方向Yのサイズは、第1アーム部33bの第2方向Yのサイズよりも大きい。アイランド部33aの第1方向Xのサイズは、フレーム31のアイランド部31aの第1方向Xのサイズよりも小さい。アイランド部33aは、第2方向Yにおいてフレーム31のアイランド部31aと隙間を空けて配置されている。アイランド部33aは、第1方向Xにおいてフレーム31のアイランド部31aの第1方向Xの概ね中央に位置している。より詳細には、アイランド部33aは、その中央位置が第1方向Xにおいてアイランド部31aの第1方向Xの中央よりも僅かに第1フレーム32Uとは反対側となるように位置している。アイランド部33aには、集積回路素子25Hが実装されている。
【0044】
第1アーム部33bは、フレーム33BUよりも封止樹脂50の第1側面50C側まで延びている。第1アーム部33bには、複数の凹部33eが第1方向Xに沿って設けられている。本実施形態の複数の凹部33eは、平面視において円形であり、断面視において湾曲した底部を有する。第2アーム部33cは、封止樹脂50の第1側面50C付近に位置している。より詳細には、第2アーム部33cは、4つの第2凹部52のうち最も第1側面50C側の第2凹部52と第1側面50Cとの間に位置している。第2アーム部33cの第1方向Xのサイズ(幅寸法)は、第1アーム部33bの第2方向Yのサイズ(幅寸法)よりも小さい。端子部33dは、封止樹脂50から第2方向Yに突出している。端子部33dの第1方向Xのサイズ(幅寸法)は、第2アーム部33cの幅寸法と等しい。なお、アイランド部33a、第1アーム部33b、及び第2アーム部33cが個別に形成され、互いに接合されてフレーム33Sが形成されてもよい。
【0045】
フレーム33BU,33BV,33BW、フレーム33U,33V,33W、及びフレーム33Cは、フレーム33Sのアイランド部33aを取り囲むように配置されている。
フレーム33BU,33BV,33BWは、制御電源(図示略)とブートストラップ回路23(図1参照)とを電気的に接続するためのリードフレームである。フレーム33U,33V,33Wは、半導体装置1の外部に設けられたゲート駆動回路(図示略)に接続するためのリードフレームである。ゲート駆動装置は、駆動信号を発生させるためのゲート信号電圧をフレーム33U,33V,33Wに印加する。フレーム33Cは、集積回路素子25Hに電力を供給するためのリードフレームである。
【0046】
第1ブートフレーム33BUは、第1方向Xにおいてフレーム33Sのアイランド部33aと隙間を空けて対向し、かつ第2方向Yにおいてフレーム33Sの第1アーム部33bと隙間を空けて対向している。フレーム33BUは、フレーム33BV及びフレーム33BWよりも封止樹脂50の第1側面50C側に配置されている。
【0047】
フレーム33BV及びフレーム33BWは、フレーム33Sのアイランド部33aよりも封止樹脂50の第3側面50E側に位置している。フレーム33BVは、第2方向Yにおいてフレーム33Sのアイランド部33aと間隔を空けて対向し、かつ第2方向Yにおいてフレーム33BUと間隔を空けて隣り合うように配置されている。フレーム33BWは、第2方向Yにおいてフレーム33Sのアイランド部33aと間隔を空けて対向し、かつ第2方向Yにおいてフレーム33BVと間隔を空けて隣り合うように配置されている。フレーム33BVは、第1方向Xにおいてフレーム33BUとフレーム33BWとの間に位置している。
【0048】
フレーム33BUは、アイランド部33f及び端子部33gを有する。アイランド部33f及び端子部33gは一体的に形成されている。フレーム33BV及びフレーム33BWもそれぞれ、フレーム33BUと同様に、アイランド部33f及び端子部33gを有する。フレーム33BUのアイランド部33fの面積は、フレーム33BVのアイランド部33fの面積及びフレーム33BWのアイランド部33fの面積よりも大きい。フレーム33BUのアイランド部33fは、フレーム33BVのアイランド部33fから第2方向Yに沿って第1アーム部33b側に延びた部分を有する。フレーム33BVのアイランド部33f及びフレーム33BWのアイランド部33fにはそれぞれ、第2凹部52に対応した切欠部が設けられている。
【0049】
フレーム33BUのアイランド部33fには、第1ブートストラップ回路23Uのブートダイオード24Uが半田等により実装されている。ブートダイオード24Uは、フレーム33BUのアイランド部33fにおいてフレーム33BVのアイランド部33f寄りに位置している。ブートダイオード24Uは、半導体チップにより形成されている。ブートダイオード24Uには、表面電極となるカソード電極と、裏面電極となるアノード電極とが設けられている。フレーム33BUは、ブートダイオード24Uのアノード電極と電気的に接続されている。
【0050】
フレーム33BVのアイランド部33fには、第2ブートストラップ回路23Vのブートダイオード24Vが半田等により実装されている。ブートダイオード24Vは、フレーム33BVのアイランド部33fにおいてフレーム33BUのアイランド部33f寄りに位置している。ブートダイオード24Vは、半導体チップにより形成されている。ブートダイオード24Vには、表面電極となるカソード電極と、裏面電極となるアノード電極とが設けられている。フレーム33BVは、ブートダイオード24Vのアノード電極と電気的に接続されている。
【0051】
フレーム33BWのアイランド部33fには、第3ブートストラップ回路23Wのブートダイオード24Wが半田等により実装されている。ブートダイオード24Wは、フレーム33BWのアイランド部33fにおいてフレーム33BVのアイランド部33fとは第1方向Xの反対側の端部に位置している。ブートダイオード24Wは、半導体チップにより形成されている。ブートダイオード24Wには、表面電極となるカソード電極と、裏面電極となるアノード電極とが設けられている。フレーム33BWは、ブートダイオード24Wのアノード電極と電気的に接続されている。
【0052】
フレーム33BU,33BV,33BWの端子部33gは、封止樹脂50の第3側面50Eから突出している。フレーム33BU,33BV,33BWの端子部33gは、第2方向Yに延びた後、第3方向Zに延びるL字状に形成されている(図3参照)。フレーム33BUの端子部33gとフレーム33BVの端子部33gとの第1方向Xの間には第1凹部51が位置し、フレーム33BVの端子部33gとフレーム33BWの端子部33gとの第1方向Xの間には第1凹部51が位置している。つまり、第1方向Xにおいて4つの第1凹部51と、フレーム33BU,33BV,33BWの端子部33gとは交互に配置されている。
【0053】
フレーム33U,33V,33W、及びフレーム33Cはそれぞれ、平面視において略L字状に形成されている。フレーム33U及びフレーム33Vは、第2方向Yにおいてフレーム33Sのアイランド部33aよりも封止樹脂50の第3側面50E側に位置している。フレーム33V,33W、及びフレーム33Cは、第1方向Xにおいてフレーム33Sのアイランド部33aよりも封止樹脂50の第2側面50D側に位置している。フレーム33W及びフレーム33Cの一部は、第1方向Xにおいてフレーム33Sのアイランド部33aと隙間を空けて対向している。フレーム33Uは、第2方向Yにおいてフレーム33Sのアイランド部33aと隙間を空けて対向し、かつ、フレーム33BWと第1方向Xに隙間を空けて対向して配置されている。フレーム33Vは、フレーム33Uに対して第1方向X及び第2方向Yに間隔を空けて対向している。フレーム33Wは、フレーム33Vに対して第1方向X及び第2方向Yに間隔を空けて対向している。フレーム33Cは、フレーム33Wに対して第1方向X及び第2方向Yに間隔を空けて対向している。第1方向Xにおけるフレーム33Uとフレーム33Vとの間の隙間の大きさと、フレーム33Vとフレーム33Wとの間の隙間の大きさとは互いに等しい。第1方向Xにおいて、フレーム33Wとフレーム33Cとの間の隙間の大きさは、フレーム33Vとフレーム33Wとの間の隙間の大きさよりも大きい。
【0054】
フレーム33U,33V,33W及びフレーム33Cにおいてそれぞれ、封止樹脂50の第3側面50Eから突出する端子部は、封止樹脂50から第2方向Yに延びた後に第3方向Zに延びるL字状に形成されている(図3参照)。
【0055】
制御フレーム34は、フレーム34U,34V,34W、フレーム34CV、フレーム34S、及びフレーム34A,34B,34C,34Dを有する。
フレーム34Sは、集積回路素子25Lを支持するとともに、集積回路素子25Lを接地させるためのリードフレームである。集積回路素子25Lの一例では、制御回路20の低電位ブロック回路がチップ化されたものである。本実施形態では、制御回路20の低電位ブロック回路は、第2制御回路を含む。すなわち低電位ブロック回路は、ドライブ回路21UL,21VL,21WL及び論理回路22UL,22VL,22WL(ともに図1参照)を含む。フレーム34Sは、平面視において略T字状に形成されている。詳述すると、フレーム34Sは、アイランド部34a、端子部34b、接続部34c、及び延長部34dを有する。アイランド部34a、端子部34b、接続部34c、及び延長部34dは、一体的に形成されている。
【0056】
アイランド部34aは、第1方向Xが長手方向となる矩形状に形成されている。第1方向Xにおいて、アイランド部34aの中央位置と、第2フレーム32Vのアイランド部32aの中央位置とは互いに等しい。アイランド部34aの第1方向Xのサイズは、アイランド部32aの第1方向Xのサイズよりも大きい。アイランド部34aにおける封止樹脂50の第2側面50D側の端部は、第3フレーム32Wのアイランド部32aにおける封止樹脂50の第1側面50C側の端部と第2方向Yにおいて対向している。アイランド部34aにおける封止樹脂50の第1側面50C側の端部は、第1フレーム32Uのアイランド部32aにおける封止樹脂50の第2側面50D側の端部と第2方向Yにおいて対向している。またアイランド部34aの第1方向Xのサイズは、フレーム33Sのアイランド部33aの第1方向Xのサイズよりも大きい。アイランド部34aの第2方向Yのサイズは、アイランド部33aの第2方向Yのサイズよりも小さい。
【0057】
アイランド部34aには、集積回路素子25Lが実装されている。集積回路素子25Lは、アイランド部34aにおいて第3フレーム32Wのアイランド部32a寄りに配置されている。より詳細には、集積回路素子25Lは、その第2方向Yの端縁が、アイランド部34aにおける第3フレーム32Wのアイランド部34a側の端縁と第2方向Yにおいて同じ位置となるようにアイランド部34aに配置されている。第1方向Xにおいて、集積回路素子25Lの中央位置と第3フレーム32Wのアイランド部34aの中央位置とは互いに等しい。集積回路素子25Lの第1方向Xのサイズは、集積回路素子25Hの第1方向Xのサイズと概ね等しい。集積回路素子25Lの第2方向Yのサイズは、集積回路素子25Hの第2方向Yのサイズよりも小さい。アイランド部34aにおいて集積回路素子25Lの第1方向Xの両側には、複数の凹部34eが設けられている。本実施形態の複数の凹部34eは、平面視において円形であり、断面視において湾曲した底部を有する。
【0058】
接続部34cは、アイランド部34aと端子部34bとを接続している。接続部34cは、アイランド部34aにおける封止樹脂50の第1側面50C側の端部かつ第3側面50E側の端部から第2方向Yに沿って延びている。接続部34cは、フレーム33Cと第1方向Xに隙間を空けて対向するように設けられている。接続部34cとフレーム33Cとの第1方向Xの隙間の大きさは、フレーム33Cとフレーム33Wとの第1方向Xの隙間の大きさと概ね等しい。延長部34dは、アイランド部34aにおける封止樹脂50の第1側面50C側の端部かつ第4側面50F側の端部から第1方向Xに沿って延びている。延長部34dの先端は、第1方向Xにおいてフレーム33Sのアイランド部33aと隙間を空けて対向している。延長部34dは、第2方向Yにおいて、第1フレーム32Uのアイランド部32aと、フレーム31のアイランド部31aにおける封止樹脂50の第2側面50D寄りの部分とのそれぞれに隙間を空けて対向している。延長部34dは、第2方向Yにおいて制御フレーム33のフレーム33Cと隙間を空けて対向している。端子部34bは、封止樹脂50の第3側面50Eから突出している。端子部34bは、第2方向Yに延びた後、第3方向Zに延びるL字状に形成されている(図3参照)。
【0059】
フレーム34U,34V,34W、フレーム34CV、及びフレーム34A,34B,34C,34Dは、フレーム34Sのアイランド部34aを取り囲むように配置されている。フレーム34U,34V,34W、フレーム34CV、及びフレーム34Aは、第2方向Yにおいてフレーム34Sのアイランド部34aよりも封止樹脂50の第3側面50E側に配置されている。フレーム34B,34C,34Dは、第1方向Xにおいてフレーム34Sのアイランド部34aよりも封止樹脂50の第2側面50D側に配置されている。
【0060】
フレーム34U,34V,34Wは、半導体装置1の外部に設けられたゲート駆動回路(図示略)に接続するためのリードフレームである。ゲート駆動装置は、駆動信号を発生させるためのゲート信号電圧をフレーム34U,34V,34Wに印加する。フレーム34CVは、集積回路素子25Lに電力を供給するためのリードフレームである。フレーム34Aは、半導体装置1に異常が発生した場合に異常信号を出力するためのリードフレームである。フレーム34Bは、各フレーム32U,32V,32Wに印加された電圧のうちの少なくとも1つが高電圧の印加端(又はこれに準ずる高電位端)にショートした状態を検出するためのリードフレームである。フレーム34Cは、集積回路素子25Lを接地させるためのリードフレームである。フレーム34Dは、ノンコネクションとなるリードフレームである。
【0061】
フレーム34Uにおける封止樹脂50内の部分(接続部)は、第2方向Yに沿って延びており、その先端部に向かうにつれて第1方向Xのサイズ(幅寸法)が小さくなる。フレーム34V,34W、フレーム34CV、及びフレーム34A,34Bにおける封止樹脂50内の部分はそれぞれ、封止樹脂50の第3側面50Eに向かうにつれて第2側面50Dに向けて傾斜している。フレーム34V,34W、フレーム34CV、及びフレーム34A,34Cにおける封止樹脂50内の部分はそれぞれ、その先端部に向かうにつれて第1方向Xのサイズ(幅寸法)が小さくなる。フレーム34Dは、第1方向Xに延びる第1部分と第2方向Yに延びる第2部分とからなるL字状に形成されている。フレーム34Dの第1部分は、その先端部に向かうにつれて第2方向Yのサイズ(幅寸法)が小さくなる。フレーム34C,34Dの第1部分は、フレーム34U,34V,34W、フレーム34CV、及びフレーム34A,34Bに比べ、幅広に形成されている。フレーム34C,34Dにはそれぞれ、複数の凹部34fが設けられている。本実施形態の複数の凹部34fは、複数の凹部34eと同形状である。すなわち複数の凹部34fは、平面視において円形であり、断面視において湾曲した底部を有する。
【0062】
フレーム34U,34V,34W、フレーム34CV、及びフレーム34A,34B,34C,34Dはそれぞれ、封止樹脂50の第3側面50Eから突出して、第2方向Yに延びた後、第3方向Zに延びるL字状に形成された端子部を有する。フレーム34U,34V,34W、フレーム34CV、及びフレーム34A,34B,34C,34Dの端子部は、第1方向Xにおいて互いに隙間を空けて並べて配置されている。
【0063】
グランドとなるフレーム35U,35V,35Wは、MOSFET12U~12Wのソースを接地させるためのリードフレームである。フレーム35U,35Vはそれぞれ、アイランド部35a及び端子部35bを有する。フレーム35Wは、アイランド部35a、端子部35b、及び接続部35cを有する。フレーム35U,35Vにおいて、アイランド部35a及び端子部35bは一体的に形成されている。フレーム35Wにおいてアイランド部35a、端子部35b、及び接続部35cは一体的に形成されている。
【0064】
フレーム35U,35Vのアイランド部35aは、封止樹脂50の第4側面50F近傍、すなわち第2方向Yにおいて各フレーム32U,32V,32Wのワイヤ接合部32fと同じ位置に配置されている。フレーム35Wのアイランド部35aは、第1方向Xにおいて第3フレーム32Wのアイランド部32aと同じ位置に配置されている。すなわち、フレーム35Wのアイランド部35aは、第2方向Yにおいてフレーム35U,35Vのアイランド部35aよりも封止樹脂50の第3側面50E側に配置されている。封止樹脂50の第4側面50F側から見て、フレーム35Wのアイランド部35aの一部は、フレーム35Vのアイランド部35aと重なるように配置されている。フレーム35U,35Vのアイランド部35aは、第3フレーム32Wのアイランド部32aよりも封止樹脂50の第4側面50F側に配置されている。フレーム35Uのアイランド部35aは、平面視において第1方向Xが長手方向となる矩形状に形成されている。フレーム35Vのアイランド部35aは、平面視において略正方形に形成されている。フレーム35Uのアイランド部35aの第2方向Yのサイズとフレーム35Vのアイランド部35aの第2方向Yのサイズとは互いに等しい。フレーム35Uのアイランド部35aの第1方向Xのサイズは、フレーム35Vのアイランド部35aの第1方向Xのサイズよりも大きい。フレーム35Wのアイランド部35aは、第2方向Yが長手方向となる矩形状に形成されている。フレーム35Wのアイランド部35aの第2方向Yのサイズは、フレーム35Uのアイランド部35aの第2方向Yのサイズよりも大きい。フレーム35Wのアイランド部35aの面積は、フレーム35Uのアイランド部35aの面積よりも大きい。接続部35cは、第1方向Xにおいてアイランド部35aの封止樹脂50の第2側面50D側の端部かつ第4側面50F側の端部から第2方向Yに沿って延びている。
【0065】
フレーム35U,35V,35Wの端子部35bは、封止樹脂50の第4側面50Fから突出している。フレーム35Uの端子部35bは、フレーム35Uのアイランド部35aにおける封止樹脂50の第2側面50D側の端部に接続されている。フレーム35Vの端子部35bは、フレーム35Vのアイランド部35aにおける第1方向Xの中央に接続されている。フレーム35Wの端子部35bは、接続部35cに接続されている。各端子部35bは、第2方向Yに延びた後、第3方向Zに延びるL字状に形成されている。
【0066】
図5に示すように、フレーム31のアイランド部31aは、放熱部材40に接合されている。フレーム31の接続部31cは、第3方向Zにおいて放熱部材40から離間して配置されている。フレーム33S及びフレーム33BWは、フレーム31のアイランド部31aよりも封止樹脂50の表面50A側に位置している。フレーム33S及びフレーム33BWは、第3方向Zにおいて放熱部材40から離間して配置されている。図5では図示していないが、フレーム33S及びフレーム33BW以外の制御フレーム33もフレーム31よりも封止樹脂50の表面50A側に位置するように、すなわち第3方向Zにおいて放熱部材40から離間するように配置されている。
【0067】
図6に示すように、第2フレーム32Vのアイランド部32aは、放熱部材40に接合されている。なお、図6は、第2フレーム32V及び複数の制御フレーム33の断面構造を示している。第2フレーム32Vの接続部32cは、第3方向Zにおいて放熱部材40から離間して配置されている。フレーム34S及びフレーム34Uは、第2フレーム32Vよりも封止樹脂50の表面50A側に位置している。フレーム34S及びフレーム34Uは、各フレーム32U,32V,32Wよりも封止樹脂50の表面50A側に位置している。図6では図示していないが、第1フレーム32U及び第3フレーム32Wのアイランド部32aはそれぞれ、放熱部材40に接合されている。また第1フレーム32U及び第3フレーム32Wの接続部32cはそれぞれ、第3方向Zにおいて放熱部材40から離間して配置されている。フレーム34S及びフレーム34U以外の制御フレーム34は、各フレーム32U,32V,32Wよりも封止樹脂50の表面50A側に位置するように、すなわち第3方向Zにおいて放熱部材40から離間するように配置されている。
【0068】
次に、図7及び図8を参照して、フレーム31の詳細な構成及びMOSFET11Uの配置について説明する。
フレーム31には、MOSFET11U~11W等の集積回路素子が実装可能な領域である素子実装領域Rseが形成されている。素子実装領域Rseは、第1方向Xが長手方向となる矩形状の領域であり、素子実装領域Rseとアイランド部31aの他の部分とは溝部31dによって区切られている。素子実装領域Rseは、第2方向Yにおいてアイランド部31aの制御フレーム33側寄りとなるように形成されている。また素子実装領域Rseは、溝部31eによって6個の領域Ra1~Ra6に区画されている。6個の領域Ra1~Ra6は、素子実装領域Rseを第1方向Xに3個及び第2方向Yに2個分割することにより形成されている。3個の領域Ra1~Ra3は、第2方向Yにおいて素子実装領域Rseのうちの複数の制御フレーム33側に形成される領域である。3個の領域Ra4~Ra6は、第2方向Yにおいて素子実装領域Rseのうちの接続部31c側に形成される領域である。図7に示すとおり、領域Ra1と領域Ra4とは第2方向Yに沿って並べられ、領域Ra2と領域Ra5とは第2方向Yに沿って並べられ、領域Ra3と領域Ra6とは第2方向Yに沿って並べられている。領域Ra2は、第1方向Xにおいて領域Ra1と領域Ra3との間に位置している。領域Ra1は領域Ra2よりも封止樹脂50の第1側面50C側に位置し、領域Ra3は領域Ra2よりも封止樹脂50の第2側面50D側に位置している。領域Ra1~Ra3はそれぞれ、第2方向Yが長手方向となる矩形状の領域である。領域Ra1~Ra3の第1方向Xのサイズは互いに等しく、領域Ra1~Ra3の第2方向Yのサイズは互いに等しい。領域Ra4~Ra6はそれぞれ、第2方向Yが長手方向となる矩形状の領域である。領域Ra4~Ra6の第1方向Xのサイズは互いに等しく、領域Ra4~Ra6の第2方向Yのサイズは互いに等しい。領域Ra1~Ra3の第1方向Xのサイズは、領域Ra4~Ra6の第1方向Xのサイズと等しい。領域Ra1~Ra3の第2方向Yのサイズは、領域Ra4~Ra6の第2方向Yのサイズよりも大きい。
【0069】
領域Ra1には、MOSFET11Uが実装されている。このMOSFET11Uは、第2方向Yにおいて領域Ra1の制御フレーム33側寄りに位置している。領域Ra2には、MOSFET11Vが実装されている。このMOSFET11Vは、第2方向Yにおいて領域Ra2の制御フレーム33側寄りに位置している。領域Ra3には、MOSFET11Wが実装されている。このMOSFET11Wは、第2方向Yにおいて領域Ra3の制御フレーム33側寄りに位置している。MOSFET11Uの第2方向Yの位置、MOSFET11Vの第2方向Yの位置、及びMOSFET11Wの第2方向Yの位置は互いに等しい。領域Ra4~Ra6には、MOSFET11U~11Wとは異なる半導体素子が実装可能である。本実施形態では、領域Ra4~Ra6には、半導体素子が実装されていない。
【0070】
図7に示すように、MOSFET11U,11Vは、第2方向Yから見て、集積回路素子25Hと重なるように配置されている。一方、MOSFET11Wは、集積回路素子25Hよりも第2側面50D側に配置されている。またMOSFET11Uは、MOSFET11Uのうちの第1側面50C側の端部が集積回路素子25Hのうちの第1側面50C側の端縁よりも第1側面50C側となるように配置されている。
【0071】
アイランド部31aにおいて素子実装領域Rse以外の部分には、第3方向Zに凹む複数の凹部31fが設けられている。複数の凹部31fは、第1方向X及び第2方向Yにおいてマトリクス状に配置されている。本実施形態の複数の凹部31fは、平面視において円形であり、断面視において湾曲した底部を有する。
【0072】
MOSFET11U~11W及びMOSFET12U~12Wは、同じMOSFETが用いられている。
MOSFET11Uは、平面視において矩形状の半導体チップにより形成されている。MOSFET11Uは、第2方向Yが長手方向となるように配置されている。MOSFET11Uの第1方向Xのサイズは、領域Ra1の第1方向Xのサイズよりも小さい。MOSFET11Uの表面にはソース電極パッド11s及びゲート電極パッド11gが設けられ、MOSFET11Uの裏面にはドレイン電極パッド11d(図8参照)が設けられている。これにより、フレーム31は、MOSFET11Uのドレインと電気的に接続されている。MOSFET11Uとアイランド部31aとの接合に用いられる半田SD(図8参照)は、溶融状態を経て硬化することにより、MOSFET11Uとアイランド部31aとを接合する。図7から分かるとおり、半田SDは、MOSFET11Uの周囲に僅かにはみ出ている。MOSFET11Uのソース電極パッド11s、ドレイン電極パッド11d、及びゲート電極パッド11gは、例えばアルミニウム(Al)、またはアルミニウム合金からなる。アルミニウム合金としては、例えばAl-Cu、Al-Si-Cu等が挙げられる。なお、MOSFET11V,11Wの形状、サイズ、及び構造と、アイランド部31aへの接続構造とは、MOSFET11Uと同じである。
【0073】
MOSFET11Uのソース電極パッド11sは、MOSFET11Uの表面の殆どを占めている。MOSFET11Uのゲート電極パッド11gは、MOSFET11Uの表面の四隅のうちの第1方向Xにおける封止樹脂50の第1側面50C側かつ第2方向Yの制御フレーム33側の隅に設けられている。MOSFET11Uのソース電極パッド11sには、ゲート電極パッド11gを避けるように切欠部が形成されている。MOSFET11Uのゲート電極パッド11gは、第2方向Yが長手方向となる矩形状に形成されている。
【0074】
図8に示すように、フレーム31のアイランド部31aと放熱部材40とは、接着剤AHによって接合されている。接着剤AHは、アイランド部31aにおける放熱部材40と対向する面の全体に亘り塗布されている。すなわちアイランド部31aにおける放熱部材40と対向する面の全体と放熱部材40とは、接着剤AHを介して接触している。接着剤AHは、セラミックスからなる放熱部材40と銅(Cu)からなるアイランド部31aとを適切に接合するとともに、比較的良好な熱伝導性を有するものが好ましく、例えば熱伝導性に優れた樹脂製の接着剤が用いられる。
【0075】
次に、図9及び図10を参照して、各フレーム32U,32V,32Wの詳細な構成及びMOSFET12U~12Wの配置について説明する。
第1フレーム32Uのアイランド部32a、第2フレーム32Vのアイランド部32a、及び第3フレーム32Wのアイランド部32aは、第2方向Yにおける接続部32c側の端部の形状が互いに異なる。第1フレーム32Uのアイランド部32aには、第2フレーム32Vの接続部32cとの干渉を防ぐための切欠部32dが形成されている。第2フレーム32Vのアイランド部32aには、第3フレーム32Wの接続部32cとの干渉を防ぐための切欠部32eが形成されている。一方、第3フレーム32Wのアイランド部32aには切欠部が形成されていない。
【0076】
各フレーム32U,32V,32Wにはそれぞれ、フレーム31と同様に、素子実装領域Rseが形成されている。各フレーム32U,32V,32Wの素子実装領域Rseはそれぞれ、同じ形状の領域である。素子実装領域Rseは、第2方向Yが長手方向となる矩形状の領域である。各フレーム32U,32V,32Wの素子実装領域Rseの第2方向Yのサイズは、フレーム31の素子実装領域Rseの第2方向Yのサイズと等しい。各フレーム32U,32V,32Wの素子実装領域Rseの第1方向Xのサイズは、フレーム31の素子実装領域Rseの第1方向Xのサイズの1/3程度である。つまり、各フレーム32U,32V,32Wの素子実装領域Rseの第1方向Xのサイズは、フレーム31の素子実装領域Rseの第1方向Xのサイズと等しい。
【0077】
各フレーム32U,32V,32Wの素子実装領域Rseとアイランド部32aの他の部分とは溝部32gによって区切られている。また素子実装領域Rseは、溝部32hによって6個の領域Ra7及びRa8に区画されている。領域Ra7及び領域Ra8は、第2方向Yに並べて配置されている。領域Ra7は、第2方向Yにおいて素子実装領域Rseの複数の制御フレーム34側に形成される領域である。領域Ra7は、第2方向Yが長手方向となる矩形状の領域である。領域Ra7のサイズは、フレーム31の素子実装領域Rseの領域Ra1~Ra3のそれぞれのサイズと等しい。領域Ra8のサイズは、フレーム31の素子実装領域Rseの領域Ra4~Ra6のそれぞれのサイズと等しい。つまり、領域Ra7の面積は領域Ra8の面積よりも大きく、領域Ra7の第2方向Yのサイズは領域Ra8の第2方向Yのサイズよりも大きい。
【0078】
第1フレーム32Uの領域Ra7には、MOSFET12Uが実装されている。このMOSFET12Uは、第2方向Yにおいて第1フレーム32Uの領域Ra7の制御フレーム34寄りに位置している。第2フレーム32Vの領域Ra7には、MOSFET12Vが実装されている。このMOSFET12Vは、第2方向Yにおいて第2フレーム32Vの領域Ra7の制御フレーム34寄りに位置している。第3フレーム32Wの領域Ra7には、MOSFET12Wが実装されている。このMOSFET12Wは、第2方向Yにおいて第3フレーム32Wの領域Ra7の制御フレーム34寄りに位置している。MOSFET12Uの第2方向Yの位置、MOSFET12Vの第2方向Yの位置、及びMOSFET12Wの第2方向Yの位置は互いに等しい。
【0079】
各フレーム32U,32V,32Wの領域Ra8は、MOSFET12U~12Wとは異なる半導体素子が実装可能である。本実施形態では、各フレーム32U,32V,32Wの領域Ra8には、半導体素子が実装されていない。
【0080】
アイランド部32aにおいて素子実装領域Rse以外の部分、すなわちアイランド部32aにおいて素子実装領域Rseを取り囲む部分には、複数の凹部32iが設けられている。本実施形態の複数の凹部32iは、凹部31fと同形状であり、平面視において円形であり、断面視において湾曲した底部を有する。
【0081】
MOSFET12Uは、平面視において矩形状の半導体チップにより形成されている。MOSFET12Uは、第2方向Yが長手方向となるように配置されている。MOSFET12Uは、上述のように、MOSFET11Uと同じ半導体チップが用いられているため、MOSFET12Uの第1方向X及び第2方向Yのサイズは、MOSFET11U~11Wの第1方向X及び第2方向Yのサイズと等しい。つまり、MOSFET12Uの第1方向Xのサイズは、各領域Ra7の第1方向Xのサイズよりも小さい。MOSFET12Uの表面にはソース電極パッド12s及びゲート電極パッド12gが設けられ、MOSFET12Uの裏面にはドレイン電極パッド12d(図10参照)が設けられている。これにより、第1フレーム32Uは、第1フレーム32Uに実装されたMOSFET12Uのドレインと電気的に接続されている。第1フレーム32Uのアイランド部32aとMOSFET12Uとの接合に用いられる半田SD(図10参照)は、溶融状態を経て硬化することにより、MOSFET12Uとアイランド部32aとを接合する。
【0082】
第2フレーム32Vは、第2フレーム32Vに実装されたMOSFET12Vのドレインと電気的に接続されている。第3フレーム32Wは、第3フレーム32Wに実装されたMOSFET12Wのドレインと電気的に接続されている。MOSFET12V,12Wと各フレーム32V,32Wのアイランド部32aとの接合構造は、MOSFET12Uと第1フレーム32Uのアイランド部32aとの接合構造と同じである。
【0083】
なお、MOSFET12U~12Wのソース電極パッド12sの形状は、MOSFET11Uのソース電極パッド11sの形状と等しく、MOSFET12U~12Wのゲート電極パッド12gの形状は、MOSFET11Uのゲート電極パッド11gの形状と等しい。MOSFET12U~12Wのソース電極パッド12s及びゲート電極パッド12gは、例えば金(Au)からなる。MOSFET12U~12Wのドレイン電極パッド12dは、例えば金(Au)又は銀(Ag)からなる。
【0084】
図10に示すように、各フレーム32U,32V,32Wのアイランド部32aと放熱部材40とは、接着剤AHによって接合されている。接着剤AHは、各フレーム32U,32V,32Wのアイランド部32aにおける放熱部材40と対向する面の全体に亘り塗布されている。すなわち各フレーム32U,32V,32Wのアイランド部32aにおける放熱部材40と対向する面の全体と放熱部材40とは、接着剤AHを介して接触している。接着剤AHは、セラミックスからなる放熱部材40と銅(Cu)からなる各フレーム32U,32V,32Wのアイランド部32aとを適切に接合するとともに、比較的良好な熱伝導性を有するものが好ましく、例えば熱伝導性に優れた樹脂製の接着剤が用いられる。
【0085】
図2に示すように、リード30と、MOSFET11U~11W及びMOSFET12U~12Wと、集積回路素子25H,25Lとは、ワイヤボンディングによって互いに電気的に接続されている。詳述すると、半導体装置1は、リード30とMOSFET11U~11Wとをそれぞれ接続する高電位側の電力用ワイヤを有する。この高電位側の電力用ワイヤは、第1電力用ワイヤの一例である第1ワイヤ60U、第2電力用ワイヤの一例である第2ワイヤ60V、及び第3電力用ワイヤの一例である第3ワイヤ60Wを含む。また半導体装置1は、リード30とMOSFET12U~12Wとをそれぞれ接続する低電位側の電力用ワイヤを有する。この低電位側の電力用ワイヤは、第4電力用ワイヤの一例である第1ワイヤ61U、第5電力用ワイヤの一例である第2ワイヤ61V、及び第6電力用ワイヤの一例である第3ワイヤ61Wを含む。また半導体装置1は、集積回路素子25HとMOSFET11U~11Wとを接続する複数のワイヤ62と、集積回路素子25H,25Lと複数の制御フレーム33,34とを接続する複数のワイヤ62とを有する。本実施形態では、各ワイヤ60U,60V,60Wは、ウェッジボンディングによって、リード30とMOSFET11U~11Wとに接続されている。また各ワイヤ61U,61V,61Wは、ウェッジボンディングによって、リード30とMOSFET12U~12Wとに接続されている。また本実施形態では、複数のワイヤ62は、ボールボンディングによって、集積回路素子25H,25Lと複数の制御フレーム33,34とを接続している。また半導体装置1は、MOSFET12U~12Wと集積回路素子25Lとを接続する制御用ワイヤの一例である第1ワイヤ62U、第2ワイヤ62V、及び第3ワイヤ62Wと、制限用ワイヤの一例である第1ワイヤ63U、第2ワイヤ63V、及び第3ワイヤ63Wとを有する。図9に示すとおり、各ワイヤ63U,63V,63Wは、各ワイヤ62U,62V,62Wとは別に設けられている。本実施形態では、各ワイヤ62U,62V,62W及び各ワイヤ63U,63V,63Wは、ボールボンディングによって集積回路素子25LとMOSFET12U~12Wとを接続している。
【0086】
各ワイヤ60U,60V,60W,61U,61V,61Wはそれぞれ例えばアルミニウム(Al)からなり、各ワイヤ62,62U,62V,62W及び各ワイヤ63U,63V,63Wはそれぞれ例えば金(Au)からなる。各ワイヤ60U,60V,60W,61U,61V,61Wのワイヤ径は、互いに等しい。各ワイヤ62,62U,62V,62Wのワイヤ径は、互いに等しい。各ワイヤ63U,63V,63Wのワイヤ径は互いに等しい。各ワイヤ62,62U,62V,62Wのワイヤ径及び各ワイヤ63U,63V,63Wのワイヤ径は互いに等しい。各ワイヤ60U,60V,60W,61U,61V,61Wのワイヤ径は、各ワイヤ62,62U,62V,62Wのワイヤ径及び各ワイヤ63U,63V,63Wのワイヤ径よりも大きい。各ワイヤ60U,60V,60W,61U,61V,61Wのワイヤ径は、各ワイヤ62,62U,62V,62Wのワイヤ径及び各ワイヤ63U,63V,63Wのワイヤ径の10倍程度である。各ワイヤ60U,60V,60W,61U,61V,61Wのワイヤ径の一例は、400μmである。各ワイヤ62,62U,62V,62Wのワイヤ径及び各ワイヤ63U,63V,63Wのワイヤ径の一例は、38μmである。
【0087】
1本の第1ワイヤ60Uは、MOSFET11Uのソース電極パッド11sと、第1フレーム32Uのワイヤ接合部32fとを接続している。1本の第2ワイヤ60Vは、MOSFET11Vのソース電極パッド11sと、第2フレーム32Vのワイヤ接合部32fとを接続している。1本の第3ワイヤ60Wは、MOSFET11Wのソース電極パッド11sと、第3フレーム32Wのワイヤ接合部32fとを接続している。これらワイヤ60U,60V,60Wは、互いに概ね平行している。第1ワイヤ60Uは、素子実装領域Rseの領域Ra5を通過して第1フレーム32Uのワイヤ接合部32fに接続されている。第2ワイヤ60Vは、素子実装領域Rseの領域Ra6及び第1フレーム32Uの接続部32cを通過して第2フレーム32Vのワイヤ接合部32fに接続されている。第3ワイヤ60Wは、第1フレーム32Uの素子実装領域Rseの領域Ra8及び第2フレーム32Vの接続部32cを通過して第3フレーム32Wのワイヤ接合部32fに接続されている。
【0088】
MOSFET11U~11Wのそれぞれのソース電極パッド11sと、集積回路素子25Hとがそれぞれ1本のワイヤ62によって接続されている。MOSFET11U~11Wのそれぞれのゲート電極パッド11gと集積回路素子25Hとがそれぞれ1本のワイヤ62によって接続されている。
【0089】
図7に示すように、第1ワイヤ60UにおけるMOSFET11Uのソース電極パッド11sとの接続部分は、第1ワイヤ60Uの他の部分と比較して太くなっている。この接続部分は、第2方向YにおいてMOSFET11Uのゲート電極パッド11gのうちのソース電極パッド11s側の端縁よりも集積回路素子25H側に設けられている。すなわち、第1ワイヤ60UにおけるMOSFET11Uのソース電極パッド11sとの接続部分は、第1方向Xから見て、MOSFET11Uのゲート電極パッド11gと重なるように設けられ、ゲート電極パッド11gの第2方向Yの一方側の端縁を跨ぐように延びている。またこの接続部分は、MOSFET11Uの第1方向Xの中心を示す中心線(一点鎖線)よりも第2側面50D側に設けられている。
【0090】
第2ワイヤ60VにおけるMOSFET11Vのソース電極パッド11sとの接続部分は、第2ワイヤ60Vの他の部分と比較して太くなっている。この接続部分は、第2方向YにおいてMOSFET11Vのゲート電極パッド11gのうちのソース電極パッド11s側の端縁よりも集積回路素子25H側に設けられている。すなわち、第2ワイヤ60VにおけるMOSFET11Vのソース電極パッド11sとの接続部分は、第1方向Xから見て、MOSFET11Vのゲート電極パッド11gと重なるように設けられ、ゲート電極パッド11gの第2方向Yの一方側の端縁を跨ぐように延びている。またこの接続部分は、MOSFET11Vの第1方向Xの中心を示す中心線(一点鎖線)よりも第2側面50D側に設けられている。
【0091】
第3ワイヤ60WにおけるMOSFET11Wのソース電極パッド11sとの接続部分は、第3ワイヤ60Wの他の部分と比較して太くなっている。この接続部分は、第2方向YにおいてMOSFET11Wのゲート電極パッド11gのうちのソース電極パッド11s側の端縁よりも集積回路素子25H側に設けられている。すなわち、第3ワイヤ60WにおけるMOSFET11Wのソース電極パッド11sとの接続部分は、第1方向Xから見て、MOSFET11Wのゲート電極パッド11gと重なるように設けられ、ゲート電極パッド11gの第2方向Yの一方側の端縁を跨ぐように延びている。またこの接続部分は、MOSFET11Wの第1方向Xの中心を示す中心線(一点鎖線)よりも第2側面50D側に設けられている。
【0092】
集積回路素子25Hは、フレーム33BU,33BV,33BWと、各ブートダイオード24U,24V,24Wとのそれぞれとワイヤ62によって接続されている。詳述すると、集積回路素子25Hと、フレーム33BU,33BV,33BWのアイランド部33fとはそれぞれ2本のワイヤ62によって接続されている。集積回路素子25Hと、フレーム33BU,33BV,33BWのカソード電極とはそれぞれ1本のワイヤ62によって接続されている。
【0093】
集積回路素子25Hと、フレーム33U,33V,33Wとはそれぞれ1本のワイヤ62によって接続されている。集積回路素子25Hと、フレーム33Cとは3本のワイヤ62によって接続されている。集積回路素子25Hと、制御フレーム34のフレーム34Sにおける延長部34dとは2本のワイヤ62によって接続されている。
【0094】
図2に示すように、1本の第1ワイヤ61Uは、MOSFET12Uのソース電極パッド12sと、フレーム35Uとを接続している。1本の第2ワイヤ61Vは、MOSFET12Vのソース電極パッド12sと、フレーム35Vとを接続している。1本の第3ワイヤ61Wは、MOSFET12Wのソース電極パッド12sと、フレーム35Wとを接続している。これらワイヤ61U,61V,61Wは、互いに概ね平行している。第1ワイヤ61Uは、第2フレーム32Vの素子実装領域Rseの領域Ra8及び第3フレーム32Wの接続部32cを通過してフレーム35Uに接続されている。第2ワイヤ61Vは、第3フレーム32Wの素子実装領域Rseの領域Ra8を通過してフレーム35Vに接続されている。第3ワイヤ61Wは、第3フレーム32Wの素子実装領域Rseの領域Ra8よりも領域Ra7側を通過してフレーム35Wに接続されている。
【0095】
図9に示すように、第1ワイヤ61UにおけるMOSFET12Uのソース電極パッド12sとの接続部分は、第1ワイヤ61Uの他の部分と比較して太くなっている。この接続部分は、第2方向YにおいてMOSFET12Uのゲート電極パッド12gのうちのソース電極パッド12s側の端縁よりも集積回路素子25H側に設けられている。すなわち、第1ワイヤ61UにおけるMOSFET12Uのソース電極パッド12sとの接続部分は、第1方向Xから見て、MOSFET12Uのゲート電極パッド12gと重なるように設けられ、ゲート電極パッド12gの第2方向Yの一方側の端縁を跨ぐように延びている。またこの接続部分は、MOSFET12Uの第1方向Xの中心を示す中心線(一点鎖線)よりも第2側面50D側に設けられている。
【0096】
第2ワイヤ61VにおけるMOSFET12Vのソース電極パッド12sとの接続部分は、第2ワイヤ60Vの他の部分と比較して太くなっている。この接続部分は、第2方向YにおいてMOSFET12Vのゲート電極パッド12gのうちのソース電極パッド12s側の端縁よりも集積回路素子25H側に設けられている。すなわち、第2ワイヤ61VにおけるMOSFET12Vのソース電極パッド12sとの接続部分は、第1方向Xから見て、MOSFET12Vのゲート電極パッド12gと重なるように設けられ、ゲート電極パッド12gの第2方向Yの一方側の端縁を跨ぐように延びている。またこの接続部分は、MOSFET12Vの第1方向Xの中心を示す中心線(一点鎖線)よりも第2側面50D側に設けられている。
【0097】
第3ワイヤ61WにおけるMOSFET12Wのソース電極パッド12sとの接続部分は、第3ワイヤ61Wの他の部分と比較して太くなっている。この接続部分は、第2方向YにおいてMOSFET12Wのゲート電極パッド12gのうちのソース電極パッド12s側の端縁よりも集積回路素子25H側に設けられている。すなわち、第3ワイヤ61WにおけるMOSFET12Wのソース電極パッド12sとの接続部分は、第1方向Xから見て、MOSFET12Wのゲート電極パッド12gと重なるように設けられ、ゲート電極パッド12gの第2方向Yの一方側の端縁を跨ぐように延びている。またこの接続部分は、MOSFET12Wの第1方向Xの中心を示す中心線(一点鎖線)よりも第2側面50D側に設けられている。
【0098】
第1制御用ワイヤの一例である1本の第1ワイヤ62Uは、第1フレーム32Uに実装されたMOSFET12Uのゲート電極パッド12gと、集積回路素子25Lとを接続している。第2制御用ワイヤの一例である1本の第2ワイヤ62Vは、第2フレーム32Vに実装されたMOSFET12Vのゲート電極パッド12gと、集積回路素子25Lとを接続している。第3制御用ワイヤの一例である1本の第3ワイヤ62Wは、第3フレーム32Wに実装されたMOSFET12Wのゲート電極パッド12gと、集積回路素子25Lとを接続している。これらワイヤ62U,62V,62Wのそれぞれの一方の端部は、集積回路素子25LにおけるMOSFET12U~12W側の端部にそれぞれ接続されている。なお、各ワイヤ62U,62V,63Wの本数は、1本に限定されず、複数本であってもよい。
【0099】
第1制限用ワイヤの一例である1本の第1ワイヤ63Uは、第1フレーム32Uに実装されたMOSFET12Uのソース電極パッド12sと、集積回路素子25Lとを接続している。第2制限用ワイヤの一例である1本の第2ワイヤ63Vは、第2フレーム32Vに実装されたMOSFET12Vのソース電極パッド12sと、集積回路素子25Lとを接続している。第3制限用ワイヤの一例である1本の第3ワイヤ63Wは、第3フレーム32Wに実装されたMOSFET12Wのソース電極パッド12sと、集積回路素子25Lとを接続している。これらワイヤ63U,63V,63Wのそれぞれの一方の端部は、集積回路素子25LにおけるMOSFET12U~12W側の端部にそれぞれ接続されている。なお、各ワイヤ63U,63V,63Wの本数は、1本に限定されず、複数本であってもよい。
【0100】
第1方向Xにおいて、第1ワイヤ63Uは第1ワイヤ62Uと隣り合うように配置され、第2ワイヤ63Vは第2ワイヤ62Vと隣り合うように配置され、第3ワイヤ63Wは第3ワイヤ62Wと隣り合うように配置されている。詳述すると、第1ワイヤ62Uは、第1ワイヤ63Uよりも第2フレーム32V側に配置されている。第1ワイヤ62U及び第1ワイヤ63Uはそれぞれ集積回路素子25Lの四隅のうちの第1フレーム32U側の隅に接続されている。第2ワイヤ63Vは、第2ワイヤ62Vよりも第3フレーム32W側に配置されている。第2ワイヤ62V及び第2ワイヤ63Vはそれぞれ集積回路素子25Lの第1方向Xの中央部よりも第3フレーム32W側の部分に接続されている。第3ワイヤ62Wは、第3ワイヤ63Wよりも第2フレーム32V側に配置されている。第3ワイヤ62W及び第3ワイヤ63Wのそれぞれの一方の端部は、集積回路素子25Lにおいてフレーム34Dに接続されるワイヤ62における集積回路素子25Lとの接続位置よりも第2フレーム32V側の部分に接続されている。
【0101】
集積回路素子25Lとフレーム34U,34V,34Wとはそれぞれ1本のワイヤ62によって接続されている。集積回路素子25Lとフレーム34CVとは2本のワイヤ62によって接続されている。集積回路素子25Lとフレーム34A,34B,34Dとはそれぞれ1本のワイヤ62によって接続されている。集積回路素子25Lとフレーム34Cとは2本のワイヤ62によって接続されている。フレーム34Dに接続されたワイヤ62の一方の端部は、集積回路素子25Lにおける第2方向Yのフレーム34D側の端部に接続されている。
【0102】
〔MOSFETの構造〕
図11を参照して、MOSFET11U~11W及びMOSFET12U~12Wの詳細な構造について説明する。なお、MOSFET11U~11W及びMOSFET12U~12Wは同一構造であるため、以下ではMOSFET11Uの構造について説明し、MOSFET11V,11W及びMOSFET12U~12Wについては説明を省略する。
【0103】
MOSFET11Uは、SiC(シリコンカーバイト:炭化ケイ素)基板70を備える。SiC基板70には、N型不純物が高濃度(例えば、1e18~1e21cm-3)にドーピングされている。SiC基板70は、その表面70A(上面)がSi面であり、その裏面70B(下面)がC面である。
【0104】
SiC基板70の表面70Aには、SiC基板70よりもN型不純物が低濃度にドーピングされたSiCからなる、N型のエピタキシャル層71が積層されている。エピタキシャル層71は、SiC基板70上に、所謂エピタキシャル成長によって形成されている。Si面である表面70A上に形成されるエピタキシャル層71は、Si面を成長主面として成長させられる。したがって、成長により形成されるエピタキシャル層71の表面71Aは、SiC基板70の表面70Aと同様にSi面である。
【0105】
エピタキシャル層71におけるSi面側の部分(表層部)とは反対側のC面側の部分(基層部)は、その全域がエピタキシャル成長後のままの状態が維持された、N型のドレイン領域72をなしている。ドレイン領域72のN型不純物濃度は、例えば1e15~1e17cm-3である。
【0106】
一方、エピタキシャル層71の表層部には、P型のボディ領域73が形成されている。ボディ領域73は、エピタキシャル層71の表面71A側(Si面側)からドレイン領域72に接している。ボディ領域73のP型不純物濃度は、例えば1e16~1e19cm-3である。
【0107】
エピタキシャル層71には、ゲートトレンチ74が表面71Aから掘り下がって形成されている。ゲートトレンチ74は、図11では図示しないが、一定の間隔を空けて複数形成され、それらが互いに平行をなして同一方向(図11の紙面に垂直な方向、以下、この方向を「ゲート幅に沿う方向」と称する場合がある)に延び、例えば、ストライプ構造をなしている。
【0108】
各ゲートトレンチ74は、互いに間隔を空けて対向し、それぞれが表面71Aに対して直交する平面上の一対の側面74aと、表面71Aに対して平行な部分を有する底面74bとを有する。ゲートトレンチ74は、ボディ領域73を層厚方向に貫通し、その最深部(底面74b)がドレイン領域72に達している。
【0109】
ゲートトレンチ74の内面及びエピタキシャル層71の表面71Aには、ゲートトレンチ74の内面(側面74a及び底面74b)全域を覆うように、ゲート絶縁膜75が形成されている。ゲート絶縁膜75は、窒素(Ni)を含有する酸化膜、例えば窒素含有ガスを用いた熱酸化により形成される窒化酸化シリコン膜からなる。ゲート絶縁膜75における窒素含有量(窒素濃度)は、例えば0.1~10%である。
【0110】
ゲート絶縁膜75は、ゲートトレンチ74の底面74b上の部分(絶縁膜底部75a)の厚さT2が、側面74a上の部分(絶縁膜側部75b)の厚さT1よりも小さい。具体的には、絶縁膜側部75bの厚さT1に対する絶縁膜底部75aの厚さT2の比(絶縁膜底部75aの厚さT2/絶縁膜側部75bの厚さT1)が、0.3~1.0であり、好ましくは、0.5~1.0である。絶縁膜側部75bの厚さT1は、例えば300~1000Åであり、絶縁膜底部75aの厚さT2は、例えば150~500Åである。
【0111】
ゲート絶縁膜75内には、ゲート電極76が埋設されている。ゲート電極76は、ゲート絶縁膜75の内側をN型不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコン材料で埋め尽くすことにより形成されている。
【0112】
ボディ領域73の表層部には、ゲートトレンチ74に対してゲート幅と直交する方向(図11における左右方向)の両側に、N型のソース領域77が形成されている。ソース領域77は、ドレイン領域72のN型不純物濃度よりも高く、N型不純物が高濃度にドーピングされた領域である。ソース領域77のN型不純物濃度は、例えば1e18~1e21cm-3である。ソース領域77は、ゲートトレンチ74に隣接する位置においてゲート幅に沿う方向に延びている。
【0113】
また、エピタキシャル層71には、その表面71Aからゲート幅と直交する方向におけるソース領域77の中央部を貫通し、ボディ領域73に接続されるP型のボディコンタクト領域78が形成されている。ボディコンタクト領域78は、ボディ領域73のP型不純物濃度よりも高く、P型不純物が高濃度にドーピングされた領域である。ボディコンタクト領域78のP型不純物濃度は、例えば1e18~1e21cm-3である。
【0114】
すなわち、ゲートトレンチ74及びソース領域77は、ゲート幅と直交する方向に交互に設けられ、それぞれゲート幅に沿う方向に延びている。そしてソース領域77上に、ソース領域77に沿ってゲート幅と直交する方向に隣接する単位セル間の境界が設定されている。ボディコンタクト領域78は、ゲート幅と直交する方向に隣接する2つの単位セル間に跨って少なくとも1つ以上設けられている。またゲート幅に沿う方向に隣接する単位セル間の境界は、各単位セルに含まれるゲート電極76が一定のゲート幅を有するように設定されている。
【0115】
エピタキシャル層71上には、酸化シリコン(SiO)からなる層間絶縁膜79が積層されている。層間絶縁膜79及びゲート絶縁膜75には、ソース領域77及びボディコンタクト領域78の表面を露出させるコンタクトホール80が形成されている。
【0116】
層間絶縁膜79上には、ソース配線81が形成されている。ソース配線81は、コンタクトホール80を介してソース領域77及びボディコンタクト領域78にコンタクト(電気的に接続)されている。ソース配線81は、ソース領域77及びボディコンタクト領域78とのコンタクト部分にポリシリコン層82を有し、ポリシリコン層82上にメタル層83を有している。
【0117】
ポリシリコン層82は、不純物がドーピングされたドープトポリシリコンを用いて形成されたドープ層であり、例えば、1e19~1e21cm-3の高濃度で不純物がドーピングされた高濃度ドープ層であることが好ましい。ポリシリコン層82をドープ層(高濃度ドープ層を含む)として形成するときの不純物としては、リン(P)や砒素(As)などのN型不純物、ホウ素(B)などのP型不純物を用いることができる。また、ポリシリコン層82は、コンタクトホール80を埋め尽くしている。このようなポリシリコン層82の厚さは、コンタクトホール80の深さにより異なるが、例えば5000~1000Åである。
【0118】
メタル層83は、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、又はそれらの合金及びそれらを含有するメタル材料を用いて形成されている。メタル層83は、ソース配線81の最表層をなし、例えば第1ワイヤ60Uなどが接続(ボンディング)される。また、メタル層83の厚さは、例えば1~5μmである。
【0119】
ソース配線81において、ポリシリコン層82とメタル層83との間には、チタン(Ti)を含有する中間層84が介在されている。中間層84は、チタンを含有する層の単層もしくはその層を有する複数の層からなる。チタンを含有する層は、チタン、窒化チタン(TiN)などを用いて形成することができる。また中間層84の厚さは、例えば200~500nmである。
【0120】
このようなポリシリコン層82、中間層84、及びメタル層83を有するソース配線81は、ポリシリコン(ポリシリコン層82)、チタン(中間層84)、窒化チタン(中間層84)、及びアルミニウム(メタル層83)が順に積層される積層構造(Po-Si/Ti/TiN/Al)であることが好ましい。
【0121】
SiC基板70の裏面70Bには、ドレイン配線85が形成されている。ドレイン配線85は、SiC基板70にコンタクト(電気的に接続)されている。ドレイン配線85は、SiC基板70とのコンタクト部分にポリシリコン層86を有し、ポリシリコン層86上にメタル層87を有している。
【0122】
ポリシリコン層86は、ポリシリコン層82を構成する材料と同様のものを用いて形成することができる。またポリシリコン層86の厚さは、例えば1000~2000Åである。
【0123】
メタル層87は、メタル層83を構成する材料と同様のものを用いて形成することができる。メタル層87は、ドレイン配線85の最表層をなし、例えばSiC基板70がフレーム31のアイランド部31aに実装されるとき、アイランド部31aに接合される。またメタル層87の厚さは、例えば0.5~1μmである。
【0124】
ドレイン配線85において、ポリシリコン層86とメタル層87との間には、チタン(Ti)を含有する中間層88が介在されている。中間層88は、中間層84を構成する材料と同様のものを用いて形成することができる。
【0125】
ゲート電極76には、層間絶縁膜79に形成されたコンタクトホール(図示略)を介して、ゲート配線89がコンタクト(電気的に接続)されている。
ソース配線81とドレイン配線85との間(ソース-ドレイン間)に所定の電位差を発生させた状態で、ゲート配線89に所定の電圧(ゲート閾値電圧以上の電圧)が印加されることにより、ゲート電極76からの電界によりボディ領域73におけるゲート絶縁膜75との界面近傍にチャネルが形成される。これにより、ソース配線81とドレイン配線85との間に電流が流れ、MOSFET11Uがオン状態となる。
【0126】
〔低電位ブロック回路の構成〕
図12を参照して、制御回路20のうちの低電位ブロック回路の回路構成について説明する。図12は、低電位ブロック回路の回路構成の一例である。
【0127】
図12に示すように、集積回路素子25Lは、第1出力端子25au、第2出力端子25av、第3出力端子25aw、第1入力端子25bu、第2入力端子25bv、及び第3入力端子25bwを有する。第1出力端子25au及び第1入力端子25buは、制御回路20(詳細には、制御回路20のドライブ回路21UL)と電気的に接続されている。第2出力端子25av及び第2入力端子25bvは、制御回路20(詳細には、制御回路20のドライブ回路21VL)と電気的に接続されている。第3出力端子25aw及び第3入力端子25bwは、制御回路20(詳細には、制御回路20のドライブ回路21WL)と電気的に接続されている。
【0128】
第1出力端子25auは、第1ワイヤ62Uを介してMOSFET12Uのゲートと接続されている。第1入力端子25buは、第1ワイヤ63Uを介してMOSFET12Uのソースと接続されている。第2出力端子25avは、第2ワイヤ62Vを介してMOSFET12Vのゲートと接続されている。第2入力端子25bvは、第2ワイヤ63Vを介してMOSFET12Vのソースと接続されている。第3出力端子25awは、第3ワイヤ62Wを介してMOSFET12Wのゲートと接続されている。第3入力端子25bwは、第3ワイヤ63Wを介してMOSFET12Wのソースと接続されている。
【0129】
ドライブ回路21ULは、出力段となるソース接地回路21aを有する。ソース接地回路21aは、Pチャネル型MOSFETとなる第1MOSFET21bと、Nチャネル型MOSFETとなる第2MOSFET21cとを有する。第1MOSFET21bのソースは電源電圧端子(フレーム34CV)と電気的に接続され、第1MOSFET21bのドレインは第2MOSFET21cのドレインに接続されている。第1MOSFET21bのゲート及び第2MOSFET21cのゲートは共通に接続されている。ドライブ回路21ULは、第1MOSFET21bのドレインと第2MOSFET21cのドレインとの間のノードN1と集積回路素子25Lの第1出力端子25auとを接続する出力配線21dと、ソース接地回路21aの第2MOSFET21cのソースと集積回路素子25Lの第1入力端子25buとを接続する制限配線21eとを有する。出力配線21d及び制限配線21eはそれぞれ、集積回路素子25L内に設けられている。より詳細には、出力配線21d及び制限配線21eは、第2方向Yにおいて、ソース接地回路21aよりも第1出力端子25au及び第1入力端子25bu側に設けられている。ドライブ回路21ULにおけるソース接地回路21aの第2MOSFET21cは、制限配線21e、第1入力端子25bu、及び第1ワイヤ63Uを介してMOSFET12Uのソースと電気的に接続されている。
【0130】
ドライブ回路21VL及びドライブ回路21WLの構成は、ドライブ回路21ULの構成と同じである。ドライブ回路21VLの出力配線21dは、第1MOSFET21bのドレインと第2MOSFET21cのドレインとの間のノードN1と集積回路素子25Lの第2出力端子25avとを接続している。ドライブ回路21VLの制限配線21eは、ソース接地回路21aの第2MOSFET21cのソースと集積回路素子25Lの第2入力端子25bvとを接続している。ドライブ回路21VLにおけるソース接地回路21aの第2MOSFET21cは、制限配線21e、第2入力端子25bv、及び第2ワイヤ63Vを介してMOSFET12Vのソースと電気的に接続されている。ドライブ回路21WLの出力配線21dは、第1MOSFET21bのドレインと第2MOSFET21cのドレインとの間のノードN1と集積回路素子25Lの第3出力端子25awとを接続している。ドライブ回路21WLの制限配線21eは、ソース接地回路21aの第2MOSFET21cのソースと集積回路素子25Lの第3入力端子25bwとを接続している。ドライブ回路21WLにおけるソース接地回路21aの第2MOSFET21cは、制限配線21e、第3入力端子25bw、及び第3ワイヤ63Wを介してMOSFET12Vのソースと電気的に接続されている。
【0131】
このように、半導体装置1は、ドライブ回路21ULとMOSFET12Uのゲート(制御端子)とを電気的に接続する第1制御経路RC1と、ドライブ回路21VLとMOSFET12Vのゲート(制御端子)とを電気的に接続する第2制御経路RC2と、ドライブ回路21WLとMOSFET12Wのゲート(制御端子)とを電気的に接続する第3制御経路RC3とを有する。
【0132】
第1制御経路RC1は、ドライブ回路21ULの駆動信号をMOSFET12Uのゲートに伝送するものである。第1制御経路RC1は、ドライブ回路21ULの出力配線21dと第1ワイヤ62Uとを有する。すなわち第1ワイヤ62Uは、第1制御経路RC1の一部を構成している。
【0133】
第2制御経路RC2は、ドライブ回路21VLの駆動信号をMOSFET12Vのゲートに伝送するものである。第2制御経路RC2は、ドライブ回路21VLの出力配線21dと第2ワイヤ62Vとを有する。すなわち第2ワイヤ62Vは、第2制御経路RC2の一部を構成している。
【0134】
第3制御経路RC3は、ドライブ回路21WLの駆動信号をMOSFET12Wのゲートに伝送するものである。第3制御経路RC3は、ドライブ回路21WLの出力配線21dと第3ワイヤ62Wとを有する。すなわち第3ワイヤ62Wは、第3制御経路RC3の一部を構成している。
【0135】
また半導体装置1は、第1制御経路RC1とMOSFET12Uのソース(第2端子)とを電気的に接続する第1制限経路RS1と、第2制御経路RC2とMOSFET12Vのソース(第2端子)とを電気的に接続する第2制限経路RS2と、第3制御経路RC3とMOSFET12Wのソース(第2端子)とを電気的に接続する第3制限経路RS3とを有する。
【0136】
第1制限経路RS1は、ドライブ回路21ULの制限配線21eと第1ワイヤ63Uとを有する。すなわち第1ワイヤ63Uは、第1制限経路RS1の一部を構成している。第2制限経路RS2は、ドライブ回路21VLの制限配線21eと第2ワイヤ63Vとを有する。すなわち第2ワイヤ63Vは、第2制限経路RS2の一部を構成している。第3制限経路RS3は、ドライブ回路21WLの制限配線21eと第3ワイヤ63Wとを有する。すなわち第3ワイヤ63Wは、第3制限経路RS3の一部を構成している。
【0137】
論理回路22UL,22VL,22WLはそれぞれ、RSフリップフロップ回路22a等を有する。RSフリップフロップ回路22aは、セット信号が入力されるセット端子(S端子)、リセット信号が入力されるリセット端子(R端子)、及び出力信号を出力する出力端子(Q端子)を有する。RSフリップフロップ回路22aは、セット信号の立下りエッジをトリガとして出力信号をハイレベルにセットし、リセット信号の立下りエッジをトリガとして出力信号をローレベルにセットする。RSフリップフロップ回路22aは、各MOSFET21b,21cのゲートに電気的に接続され、出力信号をゲートに出力する。各MOSFET21b,21cは、RSフリップフロップ回路22aの出力信号に基づいて相補的にオンオフする。これにより、駆動信号が生成され、出力配線21dを介して駆動信号をMOSFET12Lのゲートに出力する。
【0138】
本実施形態の作用について説明する。
半導体装置1は、MOSFET12Uのソース-ゲート間電圧の変動を抑制する制限部を備える。より詳細には、図12に示すように、半導体装置1は、制限部として第1制限部CV1を備える。第1制限部CV1は、MOSFET12Uのソースの電圧変動に基づくMOSFET12Uのソース-ゲート間電圧の変動を抑制する機構であり、第1制限経路RS1を有する。
【0139】
第1制限部CV1(第1制限経路RS1)により、ドライブ回路21ULのソース接地回路21aの第2MOSFET21cのソースとMOSFET12Uのソースとが電気的に接続されるため、MOSFET11Uがオンするときの電流変化dI/dt、及びMOSFET12Uのソースに接続された第1ワイヤ61Uのインダクタンスに起因して、MOSFET12Uのソース電位が浮き上がったとしても、ドライブ回路21ULのソース接地回路21aの第2MOSFET21cのソース電位が追従して浮き上がるため、MOSFET12Uのゲート-ソース間電圧が負の値になることが抑制される。その結果、MOSFET12Uのしきい値電圧Vthの変動が抑制される。その結果、第1インバータ回路10Uの間欠動作を繰り返しても、MOSFET12Uのしきい値電圧Vthの変動率の増加が抑制される。
【0140】
また半導体装置1は、制限部として、第2制限部CV2、及び第3制限部CV3を備える。第2制限部CV2は、MOSFET12Vのソースの電圧変動に基づくMOSFET12Vのソース-ゲート間電圧の変動を抑制する機構であり、第2制限経路RS2を有する。第3制限部CV3は、MOSFET12Wのソースの電圧変動に基づくMOSFET12Wのソース-ゲート間電圧の変動を抑制する機構であり、第3制限経路RS3を有する。この構成によれば、MOSFET12V,12Lについても、MOSFET12Uと同様に、MOSFET12L,12Lのしきい値電圧Vthの変動率の増加がそれぞれ抑制される。
【0141】
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1-1)半導体装置1は、第1制限部CV1(第1制限経路RS1)、第2制限部CV2(第2制限経路RS2)、及び第3制限部CV3(第3制限経路RS3)を備える。この構成によれば、MOSFET12Uのソース電位が変動してもこのMOSFET12Uのゲート電位が追従して変動するため、MOSFET12Uのソース-ゲート間電圧の変動が抑制される。MOSFET12Vのソース電位が変動してもこのMOSFET12Vのゲート電位が追従して変動するため、MOSFET12Vのソース-ゲート間電圧の変動が抑制される。MOSFET12Wのソース電位が変動してもこのMOSFET12Wのゲート電位が追従して変動するため、MOSFET12Wのソース-ゲート間電圧の変動が抑制される。したがって、MOSFET12U~12Wのそれぞれについて、しきい値電圧Vthの変動を抑制することができる。
【0142】
(1-2)第1制限経路RS1の一部を構成する第1ワイヤ63Uは、MOSFET12Uのソース電極パッド12sに接続されている。これにより、MOSFET12Uのソース側として、このMOSFET12Uのソース電極パッド12sに接続された第1ワイヤ61UよりもMOSFET12Uのソース側の電位を取り出すことができる。これにより、第1ワイヤ61Uのインダクタンスの影響を抑制したMOSFET12Uのゲート-ソース間電圧でMOSFET12Uを制御することができる。また第2制限経路RS2の一部を構成する第2ワイヤ63Vは、MOSFET12Vのソース電極パッド12sに接続されている。第3制限経路RS3の一部を構成する第3ワイヤ63Wは、MOSFET12Wのソース電極パッド12sに接続されている。このように、第2ワイヤ63V及び第3ワイヤ63Wが第1ワイヤ63Uと同様の構成であるため、第1ワイヤ63Uと同様の効果が得られる。
【0143】
加えて、MOSFET12U~12Wと集積回路素子25Lとの間の距離は、フレーム35U,35V,35Wと集積回路素子25Lとの間の距離よりも短いため、MOSFET12U~12Wのソースと集積回路素子25Lとを接続する各ワイヤ62U,62V,62Wの長さ及び各ワイヤ63U,63V,63Wの長さをそれぞれ短くすることができる。したがって、各ワイヤ62U,62V,62Wのインダクタンスの影響及び各ワイヤ63U,63V,63Wのインダクタンスの影響をそれぞれ低減することができる。
【0144】
(1-3)MOSFET12Uは、第2方向Yにおいて第1フレーム32Uの素子実装領域Rseの領域Ra7における集積回路素子25L側の端部に配置されている。これにより、MOSFET12Uと集積回路素子25Lとの間の距離が短くなるため、このMOSFET12Uと集積回路素子25Lとを接続する第1ワイヤ62Uの長さ及び第1ワイヤ63Uの長さをそれぞれ短くすることができる。したがって、第1ワイヤ62Uのインダクタンスの影響及び第1ワイヤ63Uのインダクタンスの影響を低減することができる。また、MOSFET12Vは、第2方向Yにおいて第2フレーム32Vの素子実装領域Rseの領域Ra7における集積回路素子25L側の端部に配置されている。MOSFET12Wは、第2方向Yにおいて第3フレーム32Wの素子実装領域Rseの領域Ra7における集積回路素子25L側の端部に配置されている。このような構成により、第1ワイヤ62U及び第1ワイヤ63Uと同様に、各ワイヤ62V,62Wの長さ及び各ワイヤ63V,63Wの長さをそれぞれ短くすることができるため、各ワイヤ62V,62Wのインダクタンスの影響及び各ワイヤ63V,63Wのインダクタンスの影響をそれぞれ低減することができる。
【0145】
(1-4)第1ワイヤ63Uは、MOSFET12Uのソース電極パッド12sにおける集積回路素子25L寄りの部分に接続されている。第2ワイヤ63Vは、MOSFET12Vのソース電極パッド12sにおける集積回路素子25L寄りの部分に接続されている。第3ワイヤ63Wは、MOSFET12Wのソース電極パッド12sにおける集積回路素子25L寄りの部分に接続されている。このような構成により、各ワイヤ63U,63V,63Wの長さを短くすることができる。したがって、各ワイヤ63U,63V,63Wのインダクタンスの影響を低減することができる。
【0146】
(1-5)各ワイヤ63U,63V,63Wは、第2方向Yにおいて集積回路素子25LのMOSFET12U~12W側の端部に接続されている。これにより、各ワイヤ63U,63V,63Wの長さを短くすることができる。したがって、各ワイヤ63U,63V,63Wのインダクタンスの影響を低減することができる。
【0147】
(1-6)各フレーム32U,32V,32Wにはそれぞれ、素子実装領域Rseを形成する溝部32g,32hが形成されている。これにより、MOSFET12U~12Wが素子実装領域Rseの領域Ra7に実装されるとき、半田SDが素子実装領域Rseを超えて広がることを抑制することができる。溝部32g,32hの端縁は、溶融した半田SDが向かってきたと仮定した場合、表面張力の作用により、半田SDが溝部32g,32hを超えることを抑制し、溶融した半田SDを溝部32g,32hに留まらせる効果を期待できる。溝部32g,32hがMOSFET12U~12Wをそれぞれ全周に亘り取り囲むように形成されているため、半田SDの広がりを一層抑制することができる。なお、フレーム31の溝部31d,31eも溝部32g,32hと同様の構成であるため、MOSFET11U~11Wが素子実装領域Rseに実装されるときに半田SDが素子実装領域Rseを超えて広がることを抑制することができる。
【0148】
(1-7)フレーム31には複数の凹部31fが設けられ、各フレーム32U,32V,32Wには複数の凹部32iが設けられている。この構成によれば、これら凹部31f,32iに封止樹脂50が入り込むことにより、フレーム31及び各フレーム32U,32V,32Wに対する封止樹脂50の接合強度を高めることができる。したがって、封止樹脂50がフレーム31及び各フレーム32U,32V,32Wから剥離することを抑制することができる。
【0149】
(1-8)素子実装領域Rseには凹部31f,32iが設けられていない。これにより、半田SDによるMOSFET11U~11Wのフレーム31への接合、及び半田SDによるMOSFET12U~12Wの各フレーム32U,32V,32Wへの接合を適切に行うことができる。加えて、フレーム31の凹部31fは、素子実装領域Rseを取り囲むように配置されている。これにより、封止樹脂50がMOSFET11U~11Wを取り囲んでフレーム31のアイランド部31aに対して強固に接合される。また各フレーム32U,32V,32Wの凹部32iは、素子実装領域Rseを取り囲むように配置されている。これにより、封止樹脂50がMOSFET12U~12Wを取り囲んで各フレーム32U,32V,32Wのアイランド部33aに対して強固に接合される。このように、封止樹脂50においてMOSFET11U~11W及びMOSFET12U~12Wに通じる空隙が封止樹脂50の剥離に起因して生じることを抑制することができる。したがって、MOSFET11U~11W及びMOSFET12U~12Wの絶縁状態を良好に保持することができる。
【0150】
(第2実施形態)
図13及び図14を参照して、第2実施形態の半導体装置1について説明する。本実施形態の半導体装置1は、第1実施形態の半導体装置1と比較して、ドライブ回路21UL,21VL,21WLの構成が異なる。なお、以下の説明において、第1実施形態の半導体装置1の構成と共通する構成には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0151】
図13に示すように、第1制限部CV1は、第1制限経路RS1に設けられたダイオード13を有する。第2制限部CV2は、第2制限経路RS2に設けられたダイオード13を有する。第3制限部CV3は、第3制限経路RS3に設けられたダイオード13を有する。各ダイオード13は、集積回路素子25Lに搭載されている。詳述すると、第1制限部CV1のダイオード13は、ドライブ回路21ULの制限配線21eに設けられている。このダイオード13のアノードは第1入力端子25buに電気的に接続され、カソードはドライブ回路21ULの出力配線21dのノードN2に電気的に接続されている。第2制限部CV2のダイオード13は、ドライブ回路21VLの制限配線21eに設けられている。このダイオード13のアノードは第2入力端子25bvに電気的に接続され、カソードはドライブ回路21VLの出力配線21dのノードN2に電気的に接続されている。第3制限部CV3のダイオード13は、ドライブ回路21WLの制限配線21eに設けられている。このダイオード13のアノードは第3入力端子25bwに電気的に接続され、カソードはドライブ回路21WLの出力配線21dのノードN2に電気的に接続されている。
【0152】
図14に示すとおり、集積回路素子25Lにおいて、ドライブ回路21UL、ドライブ回路21VL、及びドライブ回路21WLは、第1方向Xに沿って並べられている。すなわちドライブ回路21UL、ドライブ回路21VL、及びドライブ回路21WLは、集積回路素子25Lの長手方向に沿って並べられている。ここで、ドライブ回路21UL、ドライブ回路21VL、及びドライブ回路21WLが並べられる方向(第1方向X)は、第3制御回路、第4制御回路、及び第5制御回路の配列方向の一例である。
【0153】
第1制限部CV1のダイオード13は、ドライブ回路21ULのソース接地回路21aの周囲に配置されている。より詳細には、第1制限部CV1のダイオード13は、第2方向Yにおいてドライブ回路21ULのソース接地回路21aよりも第1出力端子25au及び第1入力端子25bu側すなわちMOSFET12U側に配置されている。
【0154】
第2制限部CV2のダイオード13は、ドライブ回路21VLのソース接地回路21aの周囲に配置されている。より詳細には、第2制限部CV2のダイオード13は、第2方向Yにおいてドライブ回路21VLのソース接地回路21aよりも第2出力端子25av及び第2入力端子25bv側すなわちMOSFET12V側に配置されている。
【0155】
第3制限部CV3のダイオード13は、ドライブ回路21WLのソース接地回路21aの周囲に配置されている。より詳細には、第3制限部CV3のダイオード13は、第2方向Yにおいてドライブ回路21WLのソース接地回路21aよりも第3出力端子25aw及び第3入力端子25bw側すなわちMOSFET12W側に配置されている。
【0156】
本実施形態の作用について説明する。各インバータ回路10U,10V,10Wにおける作用は同じであるため、第1インバータ回路10Uにおける作用について説明し、第2インバータ回路10V及び第3インバータ回路10Wにおける作用の説明を省略する。
【0157】
第1インバータ回路10UのMOSFET11Uがオンするとき、MOSFET11Uに流れる電流の変化dI/dt、及びMOSFET12Uに接続される第1ワイヤ61Uのインダクタンスに起因してMOSFET12Uのソース電位が浮き上がる。これに伴い、MOSFET12Uのソースに接続された第1ワイヤ63U及び集積回路素子25Lの制限配線21eを介してドライブ回路21ULの出力配線21dの電位が高くなる。したがって、MOSFET12Uのゲート-ソース間電圧が負の値になることが抑制されるため、MOSFET12Uのしきい値電圧Vthの変動を抑制することができる。
【0158】
本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果が得られる。
(2-1)ドライブ回路21UL,21VL,21WLの制限配線21eにはそれぞれダイオード13が設けられている。これにより、MOSFET12U~12Wがオンするときにドライブ回路21UL,21VL,21WLの出力電圧によってMOSFET12U~12Wのソース電位が高くなることが抑制される。したがって、MOSFET12U~12Wのそれぞれに流れる電流を高精度に制御することができる。
【0159】
(2-2)第1制限部CV1のダイオード13は、ドライブ回路21ULのソース接地回路21aよりも第1出力端子25au及び第1入力端子25bu側に配置されている。第2制限部CV2のダイオード13は、ドライブ回路21VLのソース接地回路21aよりも第2出力端子25av及び第2入力端子25bv側に配置されている。第3制限部CV3のダイオード13は、ドライブ回路21WLのソース接地回路21aよりも第3出力端子25aw及び第3入力端子25bw側に配置されている。これにより、ドライブ回路21UL,21VL,21WLの制限配線21eの長さを短くすることができ、制限配線21eのインダクタンスの影響を低減することができる。
【0160】
(2-3)各ダイオード13が集積回路素子25L内に設けられている。この構成によれば、各ダイオード13が集積回路素子25Lとは別の半導体チップとして設けられた構成と比較して、半導体装置1の小型化を図ることができる。
【0161】
(第3実施形態)
図9及び図15を参照して、第3実施形態の半導体装置1について説明する。本実施形態の半導体装置1は、第1実施形態の半導体装置1と比較して、MOSFET12Uの配置態様が異なる。なお、以下の説明において、第1実施形態の半導体装置1の構成と共通する構成には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0162】
図9に示すように、第1実施形態では、各フレーム32U,32V,32Wに実装されたMOSFET12U~12Wのそれぞれの向き(配置姿勢)は同じである。図9のMOSFET12U~12Wは、第2方向Yが長手方向となるように各フレーム32U,32V,32Wに実装されている。この場合、各フレーム32U,32V,32Wのうち最もフレーム31側に配置される第1フレーム32UのMOSFET12Uの第1ワイヤ62Uの長さ及び第1ワイヤ63Uの長さがそれぞれ長くなる。
【0163】
そこで、本実施形態では、図15に示すように、第1フレーム32Uに実装されたMOSFET12Uの向き(配置姿勢)が、第2フレーム32Vに実装されたMOSFET12V及び第3フレーム32Wに実装されたMOSFET12Wの向き(配置姿勢)と異なる。詳述すると、第1フレーム32UのMOSFET12Uは、第1方向Xが長手方向となるように第1フレーム32Uに実装されている。さらにMOSFET12Uは、そのゲート電極パッド12gが集積回路素子25Lに接近するように第1フレーム32Uに実装されている。より詳細には、MOSFET12Uは、そのゲート電極パッド12gがMOSFET12Uの表面において第1方向XのMOSFET12V側かつ第2方向Yのフレーム34側となるように第1フレーム32Uに実装されている。
【0164】
また本実施形態では、MOSFET12Uのソース電極パッド12sと集積回路素子25Lとを接続する第1ワイヤ63Uと、MOSFET12Uのゲート電極パッド12gと集積回路素子25Lとを接続する第1ワイヤ62Uとの配置が異なる。詳述すると、第1ワイヤ62Uは、第1ワイヤ63Uよりも第2フレーム32V側に配置されている。第1ワイヤ62Uは、ソース電極パッド12sにおけるゲート電極パッド12gと第1方向Xに隣り合い、かつフレーム33側の領域に接続されている。
【0165】
本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果が得られる。
(3-1)第1フレーム32Uに実装されたMOSFET12Uは、そのゲート電極パッド12gが集積回路素子25Lに接近するように第1フレーム32Uに配置されるため、ゲート電極パッド12gと集積回路素子25Lとを接続する第1ワイヤ62Uの長さを短くすることができる。したがって、第1ワイヤ62Uのインダクタンスの影響を低減することができる。
【0166】
(第4実施形態)
図16図17図18A、及び図18Bを参照して、第4実施形態の半導体装置1について説明する。本実施形態の半導体装置1は、第1実施形態の半導体装置1の制限部に代えて、MOSFET11U~11Wのオン時にMOSFET12U~12Wのソースの電位の変動を抑制する制限部が設けられた点が異なる。なお、以下の説明において、第1実施形態の半導体装置1の構成と共通する構成には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0167】
図16に示すように、半導体装置1は、第1実施形態の制限部としての第1制限部CV1、第2制限部CV2、及び第3制限部CV3(ともに図14参照)に代えて、制限部としての第1制限部CP1、第2制限部CP2、及び第3制限部CP3を有する。
【0168】
第1制限部CP1は、MOSFET11Uのオン時にMOSFET12Uのソースの電位の変動を抑制する機構である。第1制限部CP1は、第1インバータ回路10Uの第2スイッチング素子に接続された第6ダイオードの一例である第1ダイオード14Uを有する。第1ダイオード14Uのアノードは、MOSFET12Uのソースに接続され、第1ダイオード14Uのカソードは、このMOSFET12Uのドレインに接続されている。
【0169】
第2制限部CP2は、MOSFET11Vのオン時にMOSFET12Vのソースの電位の変動を抑制する機構である。第2制限部CP2は、第2インバータ回路10Vの第2スイッチング素子に接続された第7ダイオードの一例である第2ダイオード14Vを有する。第2ダイオード14Vのアノードは、MOSFET12Vのソースに接続され、第2ダイオード14Vのカソードは、このMOSFET12Vのドレインに接続されている。
【0170】
第3制限部CP3は、MOSFET11Wのオン時にMOSFET12Wのソースの電位の変動を抑制する機構である。第3制限部CP3は、第3インバータ回路10Wの第2スイッチング素子に接続された第8ダイオードの一例である第3ダイオード14Wを有する。第3ダイオード14Wのアノードは、MOSFET12Wのソースに接続され、第3ダイオード14Wのカソードは、このMOSFET12Wのドレインに接続されている。
【0171】
各ダイオード14U,14V,14Wの一例は、ショットキバリアダイオードである。本実施形態では、第1ダイオード14Uは、その順方向電圧VfがMOSFET12Uのボディダイオードの順方向電圧よりも低くなるように構成されている。第2ダイオード14Vは、その順方向電圧VfがMOSFET12Vのボディダイオードの順方向電圧よりも低くなるように構成されている。第3ダイオード14Wは、その順方向電圧がMOSFET12Wのボディダイオードの順方向電圧よりも低くなるように構成されている。図17に示すように、各ダイオード14U,14V,14Wはそれぞれ、半導体チップにより形成されている。第1ダイオード14Uは第1フレーム32Uの領域Ra8に実装され、第2ダイオード14Vは第2フレーム32Vの領域Ra8に実装され、第3ダイオード14Wは第3フレーム32Wの領域Ra8に実装されている。各ダイオード14U,14V,14Wは、領域Ra8における第2方向Yの封止樹脂50の第4側面50F寄りに位置している。
【0172】
各ダイオード14U,14V,14Wは、表面電極であるアノード電極パッド14aと、裏面電極であるカソード電極とを有する。第1ダイオード14Uのカソード電極は、半田等により第1フレーム32Uに電気的に接続されている。第2ダイオード14Vのカソード電極は、半田等により第2フレーム32Vに電気的に接続されている。第3ダイオード14Wのカソード電極は、半田等により第3フレーム32Wに電気的に接続されている。
【0173】
図17に示すように、第1制限部CP1は、第1ワイヤ61Uと、第1ワイヤ61Uとは別に設けられた第4ダイオード用ワイヤの一例である第1ダイオード用ワイヤ64Uとをさらに有する。第1ワイヤ61Uは、第1フレーム32UのMOSFET12Uのソース電極パッド12sと、フレーム35Uのアイランド部35aとを接続している。第1ワイヤ61Uは、第2フレーム32Vの第2ダイオード14V及び第3フレーム32Wの接続部32cを通過してフレーム35Uに接続されている。第1ダイオード用ワイヤ64Uは、第1ダイオード14Uのアノード電極パッド14aと、フレーム35Uのアイランド部35aとを接続している。第1ダイオード用ワイヤ64Uは、フレーム32Vの接続部32c及びフレーム32Wの接続部32cを通過してフレーム35Uに接続されている。フレーム35Uのアイランド部35aにおいて、第1ワイヤ61Uが接続される位置と第1ダイオード用ワイヤ64Uが接続される位置とは互いに異なる。より詳細には、第1ワイヤ61Uがフレーム35Uのアイランド部35aに接続される位置は、第1ダイオード用ワイヤ64Uがフレーム35Uのアイランド部35aに接続される位置よりも第3フレーム32Wの接続部32c側に位置している。
【0174】
第2制限部CP2は、第2ワイヤ61Vと、第2ワイヤ61Vとは別に設けられた第5ダイオード用ワイヤの一例である第2ダイオード用ワイヤ64Vとをさらに有する。第2ワイヤ61Vは、第2フレーム32VのMOSFET12Vのソース電極パッド12sと、フレーム35Vのアイランド部35aとを接続している。第2ワイヤ61Vは、第3フレーム32Wの第3ダイオード14Wを通過してフレーム35Vに接続されている。第2ダイオード用ワイヤ64Vは、第2ダイオード14Vのアノード電極パッド14aと、フレーム35Vのアイランド部35aとを接続している。第2ダイオード用ワイヤ64Vは、フレーム32Wのアイランド部32aのうちの接続部32c側の端部を通過してフレーム35Vに接続されている。フレーム35Vのアイランド部35aにおいて、第2ワイヤ61Vが接続される位置と第2ダイオード用ワイヤ64Vが接続される位置とは互いに異なる。より詳細には、第2ワイヤ61Vがフレーム35Vのアイランド部35aに接続される位置は、第2ダイオード用ワイヤ64Vがフレーム35Vのアイランド部35aに接続される位置よりもフレーム35Uのアイランド部35a側に位置している。
【0175】
第3制限部CP3は、第3ワイヤ61Wと、第3ワイヤ61Wとは別に設けられた第6ダイオード用ワイヤの一例である第3ダイオード用ワイヤ64Wとをさらに有する。第3ワイヤ61Wは、第3フレーム32WのMOSFET12Wのソース電極パッド12sと、フレーム35Wのアイランド部35aとを接続している。第3ワイヤ61Wは、フレーム32Wの第3ダイオード14Wよりも領域Ra7側の部分を通過してフレーム35Wに接続されている。第3ダイオード用ワイヤ64Wは、第3ダイオード14Wのアノード電極パッド14aと、フレーム35Wのアイランド部35aとを接続している。フレーム35Wのアイランド部35aにおいて、第3ワイヤ61Wが接続される位置と第3ダイオード用ワイヤ64Wが接続される位置とは互いに異なる。より詳細には、第3ワイヤ61Wがフレーム35Wのアイランド部35aに接続される位置は、第3ダイオード用ワイヤ64Wがフレーム35Wのアイランド部35aに接続される位置よりも第3フレーム32Wのアイランド部32a側に位置している。
【0176】
各ダイオード用ワイヤ64U,64V,64Wは例えばアルミニウム(Al)からなる。各ダイオード用ワイヤ64U,64V,64Wのワイヤ径は互いに等しい。各ダイオード用ワイヤ64U,64V,64Wのワイヤ径は、各ワイヤ61U,61V,61Wのワイヤ径と等しい。
【0177】
〔第1~第3ダイオードの構造〕
次に、図18A及び図18Bを参照して、各ダイオード14U,14V,14Wの構造の一例について説明する。なお、各ダイオード14U,14V,14Wの構造は互いに同じであるため、以下では第1ダイオード14Uの構造について説明し、第2ダイオード14V及び第3ダイオード14Wの構造の説明を省略する。
【0178】
第1ダイオード14Uは、N型(例えば、N型不純物濃度が1e18~1e21cm-3)のシリコン基板90を備える。シリコン基板90の裏面には、その全域を覆うようにカソード電極91が形成されている。カソード電極91は、N型のシリコンとオーミック接触する金属(例えば、金(Au)、ニッケル(Ni)、シリサイド、コバルト(Co)シリサイド等)からなる。
【0179】
シリコン基板90の表面には、シリコン基板90よりも低濃度のN型(例えば、N型不純物濃度が1e15~1e17cm-3)のエピタキシャル層92(半導体層)が積層されている。エピタキシャル層92の厚さは、例えば2μm~20μmである。
【0180】
エピタキシャル層92の表面には、例えば酸化シリコン(Si0)からなるフィールド絶縁膜93が積層されている。フィールド絶縁膜93の厚さは、例えば1000Å以上、好ましくは、7000Å~40000Åである。なお、フィールド絶縁膜93は、窒化シリコン(SiN)等の他の絶縁物から形成されてもよい。
【0181】
フィールド絶縁膜93は、エピタキシャル層92の中央部を露出させる開口94が形成されている。エピタキシャル層92の中央部の表層部には、複数のトレンチ95が、エピタキシャル層92を表面から掘り下げることで形成されている。各トレンチ95は、所定方向に沿って延びる縦溝である。トレンチ95の底面は、エピタキシャル層92の表面に沿った平面である。このため、各トレンチ95の断面は、略矩形状である。本実施形態では、7つのトレンチ95が所定の間隔を隔てて平行に延びている。すなわち7つのトレンチ95は、平面視においてストライプ状に形成されている。
【0182】
エピタキシャル層92の表層部において、隣接するトレンチ95に挟まれた部分には、メサ部96が形成されている。トレンチ95が略矩形状の断面を有する場合、それに応じて、メサ部96は、略矩形状の断面を有する。各メサ部96は、隣接する一対のトレンチ95の底面の各一側縁から、例えば略垂直に立ち上がる一対の側壁面(トレンチ95の側壁面)と、それらの一対の側壁面間を結合する天面(エピタキシャル層92の表面)とを有する。
【0183】
エピタキシャル層92上には、アノード電極97が形成されている。アノード電極97は、フィールド絶縁膜93の開口94内を埋め尽くし、フィールド絶縁膜93における開口94の周縁部98を覆うように、当該開口94の外方へ張り出している。すなわち、フィールド絶縁膜93の周縁部98は、エピタキシャル層92及びアノード電極97により、全周に亘ってその上下両側から挟まれている。フィールド絶縁膜93の周縁部98を覆うアノード電極97の、フィールド絶縁膜93の開口94の端部からのはみ出し量は、例えば10μm以上、好ましくは、10μm~100μmである。
【0184】
アノード電極97は、フィールド絶縁膜93の開口94内でエピタキシャル層92に接合されたショットキメタル99と、このショットキメタル99に積層されたコンタクトメタル100とを含む多層構造(本実施形態では2層構造)を有する。
【0185】
ショットキメタル99は、N型のシリコンとの接合によりショットキ接合を形成する金属(例えば、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)等)からなる。本実施形態のショットキメタル99は、チタンが用いられている。ショットキメタル99は、トレンチ95の内壁面(底面及び一対の側壁面)を含むエピタキシャル層92の表面に接するように形成されている。このため、ショットキメタル99は、全てのトレンチ95の内壁面及びトレンチ95外においてエピタキシャル層92の表面に接している。また、ショットキメタル99は、各トレンチ95の内壁面の全域を覆い、かつトレンチ95外にまで連続して延びている。つまり、ショットキメタル99は、フィールド絶縁膜93の開口94から露出されているエピタキシャル層92の表面に対して、その全域を完全に覆うように接合されている。本実施形態のショットキメタル99は、トレンチ95の底面に接する底面部99aと、トレンチ95の側壁面(メサ部96の側壁面)に接する側面部99bと、メサ部96の天面に接する天面部99cとを含む。
【0186】
この場合、図18Bの太線で示すように、ショットキメタル99とエピタキシャル層92の表面との接合面(ショットキ接合面)Sは、フィールド絶縁膜93の開口94内の領域において、凹凸状の断面を有するように形成されている。このため、エピタキシャル層92の表面(図18Bにおいて水平方向に延びている部分)をその法線方向に沿う平面視におけるエピタキシャル層92の見かけ上の面積よりも、ショットキ接合面Sの面積が大きくなる。詳述すると、ショットキ接合面Sは、トレンチ95の底面に接する底面部S1と、トレンチ95の側壁面(メサ部96の側壁面)に接する側面部S2と、メサ部96の天面に接する天面部S3とを含む。トレンチ95が略矩形状の断面を有する場合には、トレンチ95が形成されていない場合と比べ、側面部S2の分だけ、ショットキ接合面Sの面積を大きくすることができる。
【0187】
エピタキシャル層92に接合されるショットキメタル99は、エピタキシャル層92を構成するシリコン半導体との間に、例えば0.52eV~0.9eVのショットキバリア(電位障壁)を形成する。また、本実施形態のショットキメタル99の厚さは、0.02μm~0.2μmである。
【0188】
コンタクトメタル100は、アノード電極97において、第1ダイオード14Uの最表面に露出して、第1ダイオード用ワイヤ64U(図17参照)等が接合される部分である。すなわちコンタクトメタル100は、アノード電極パッド14aを構成している。コンタクトメタル100は、例えばアルミニウム(Al)からなる。本実施形態のコンタクトメタル100の厚さは、例えば0.5μm~5μmである。コンタクトメタル100は、各トレンチ95の内壁面を覆っているショットキメタル99に接するように各トレンチ95に埋め込まれている。つまり、コンタクトメタル100は、ショットキメタル99の底面部99a、一対の側面部99b、及び天面部99cに接している。このため、コンタクトメタル100は、各トレンチ95のショットキメタル99に接する側において、凹凸状の断面を有するように形成されている。一方、コンタクトメタル100においてショットキメタル99と接する側とは反対側の表面は、エピタキシャル層92の表面(トレンチ95の内壁面を除く)に沿って平坦に形成されている。
【0189】
ショットキメタル99がチタンからなる場合、ショットキメタル99と、アルミニウムからなるコンタクトメタル100との間には、窒化チタン(TiN)層が介在されることが好ましい。窒化チタン層は、ショットキメタル99のチタンとコンタクトメタル100のアルミニウムとを接着させるとともに、チタンとアルミニウムとの間での導電性を確保し、さらにチタン及びアルミニウムの相互拡散を抑制するバリア層として機能する。このようなバリア層は、コンタクトメタル100の材料がショットキメタル99へと拡散することを抑制又は防止することにより、ショットキ接合面Sを保護する。
【0190】
第1ダイオード14Uの最表面には、表面保護膜(図示略)が形成されてもよい。この場合、表面保護膜の中央部には、コンタクトメタル100を露出させる開口が形成されることが好ましい。第1ダイオード用ワイヤ64U(図17参照)等の外部接続部材は、この開口を介してコンタクトメタル100に接合される。
【0191】
エピタキシャル層92の表層部には、ショットキメタル99に接するようにP型拡散層からなるガードリング101が形成されている。ガードリング101は、平面視において、フィールド絶縁膜93の開口94の内外に跨るように、開口94の輪郭に沿って形成されている。したがって、ガードリング101は、フィールド絶縁膜93の開口94の内方に張り出し、開口94内のショットキメタル99の終端部である外縁部99dに接する内側部分101aと、開口94の外方に張り出し、フィールド絶縁膜93の周縁部98を挟んでアノード電極97(周縁部98上のショットキメタル99)に対向する外側部分101bとを有する。ガードリング101のエピタキシャル層92の表面からの深さは、例えば0.5μm~8μmである。
【0192】
フィールド絶縁膜93の開口94の内外に跨って形成されたガードリング101は、フィールド絶縁膜93の周縁部98とショットキメタル99との境界部分をエピタキシャル層92側から覆っている。ガードリング101が無い場合、第1ダイオード14Uに逆バイアスが印加されたとき、境界部分に電界が集中し、リークが発生し易くなる。本実施形態の第1ダイオード14Uでは、上記境界部分をガードリング101が覆っていることにより、逆バイアスの印加時にガードリング101から広がる空乏層によって電界集中を緩和することができ、それに応じてリークを抑制することができる。したがって、第1ダイオード14Uの耐圧が向上する。
【0193】
図19を参照して、本実施形態の作用について説明する。なお、比較半導体装置は、各制限部CP1,CP2,CP3(各ダイオード14U,14V,14W及び各ダイオード用ワイヤ64U,64V,64W)を備えていない半導体装置である。
【0194】
比較半導体装置では、例えば、モータ2(図1参照)の駆動時において、MOSFET11UがオフするときにMOSFET12Uのボディダイオードを通じて回生電流が流れ、このときにMOSFET11Uがオンするとリカバリ電流がMOSFET12Uのボディダイオードに流れる。このとき、第1ワイヤ61Uのインダクタンスの影響により、MOSFET12Uのソース電位が浮き上がり、MOSFET12Uのゲート電位よりも高くなる、所謂負バイアスが発生する場合がある。
【0195】
この点、本実施形態の半導体装置1は、第1制限部CP1として、第1ダイオード用ワイヤ64Uと、第1ワイヤ61Uとが個別に設けられ、第1ダイオード用ワイヤ64Uがフレーム35Uのアイランド部35aに接続された構成を有する。このため、例えば、モータ2(図1参照)の駆動時において、MOSFET11Uがオンするとき、MOSFET12Uがオフすることにより生じる回生電流は、第1ダイオード14Uの順方向電圧VfがMOSFET12Uのボディダイオードの順方向電圧よりも低いため、第1ダイオード14Uを流れる。すなわち、この回生電流は、第1ワイヤ61Uを通じてMOSFET12Uのボディダイオードを流れない。したがって、MOSFET11Uのオン時の電流変化dI/dtと第1ワイヤ61Uのインダクタンスに起因して発生するMOSFET12Uのソース電位が浮き上がることが抑制される。したがって、MOSFET12Uの負バイアスの発生を抑制することができる。
【0196】
また、第2ダイオード用ワイヤ64V及び第2ワイヤ61Vと、第3ダイオード用ワイヤ64W及び第3ワイヤ61Wとは、第1ダイオード用ワイヤ64U及び第1ワイヤ61Uと同様の構成であるため、上述の作用と同様の作用を生じる。
【0197】
本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果が得られる。
(4-1)MOSFET12U~12Wに接続される各ワイヤ61U,61V,61Wと、各ダイオード用ワイヤ64U,64V,64Wとが個別に設けられることにより、MOSFET12U~12Wのソース電位の浮き上がりが抑制される。このため、MOSFET11Uがオンするときに、MOSFET12Uのゲート-ソース間電圧が負の値になることが抑制される。またMOSFET11Vがオンするときに、MOSFET12Vのゲート-ソース間電圧が負の値になることが抑制される。またMOSFET11Wがオンするときに、MOSFET12Wのゲート-ソース間電圧が負の値になることが抑制される。したがって、MOSFET12U~12Wのそれぞれについて、しきい値電圧Vthの変動を抑制することができる。
【0198】
(第5実施形態)
図20及び図21を参照して、第5実施形態の半導体装置1について説明する。本実施形態の半導体装置1は、第4実施形態の半導体装置1と比較して、MOSFET11U~11Wのそれぞれに逆並列に接続されたダイオードが追加された点が異なる。なお、以下の説明において、第4実施形態の半導体装置1の構成と共通する構成には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0199】
図20に示すように、半導体装置1は、MOSFET11Uとは別に設けられた第1ダイオード15Uと、MOSFET11Vとは別に設けられた第2ダイオード15V、及びMOSFET11Wとは別に設けられた第3ダイオード15Wを有する。第1ダイオード15UのアノードはMOSFET11Uのソースに接続され、第1ダイオード15UのカソードはMOSFET11Uのドレインに接続されている。第2ダイオード15VのアノードはMOSFET11Vのソースに接続され、第2ダイオード15VのカソードはMOSFET11Vのドレインに接続されている。第3ダイオード15WのアノードはMOSFET11Wのソースに接続され、第3ダイオード15WのカソードはMOSFET11Wのドレインに接続されている。なお、第1ダイオード15Uは、第1インバータ回路10Uの第1スイッチング素子とは別に設けられ、この第1スイッチング素子に電気的に接続された第3ダイオードの一例である。第2ダイオード15Vは、第2インバータ回路10Vの第1スイッチング素子とは別に設けられ、この第1スイッチング素子に電気的に接続された第4ダイオードの一例である。第3ダイオード15Wは、第3インバータ回路10Wの第1スイッチング素子とは別に設けられ、この第1スイッチング素子に電気的に接続された第5ダイオードの一例である。
【0200】
各ダイオード15U,15V,15Wの一例は、各ダイオード14U,14V,14Wと同様のショットキバリアダイオードである。図21に示すように、各ダイオード15U,15V,15Wはそれぞれ、半導体チップにより形成されている。第1ダイオード15Uはフレーム31の領域Ra4に実装され、第2ダイオード15Vは領域Ra5に実装され、第3ダイオード15Wは領域Ra6に実装されている。第1ダイオード15Uは、領域Ra6における第2方向Yの封止樹脂50の第4側面50F寄りに位置し、第2ダイオード15Vは、領域Ra7における第2方向Yの封止樹脂50の第4側面50F寄りに位置し、第3ダイオード15Wは、領域Ra6における第2方向Yの封止樹脂50の第4側面50F寄りに位置している。
【0201】
各ダイオード15U,15V,15Wは、表面電極であるアノード電極パッド15aと、裏面電極であるカソード電極とを有する。各ダイオード15U,15V,15Wのカソード電極は、半田等によりフレーム31に電気的に接続されている。
【0202】
第1ダイオード15Uのアノード電極パッド15aと、第1フレーム32Uのワイヤ接合部32fとは、第1ワイヤ60Uにより接続されている。第2ダイオード15Vのアノード電極パッド15aと、第2フレーム32Vのワイヤ接合部32fとは、第2ワイヤ60Vにより接続されている。第3ダイオード15Wのアノード電極パッド15aと、第3フレーム32Wのワイヤ接合部32fとは、第3ワイヤ60Wにより接続されている。
【0203】
図21に示すとおり、半導体装置1は、各ワイヤ60U,60V,60W、高電位側の第1ダイオード用ワイヤ65U、高電位側の第2ダイオード用ワイヤ65V、高電位側の第3ダイオード用ワイヤ65W、各ワイヤ61U,61V,61W、及び低電位側の各ダイオード用ワイヤ64U,64V,64Wを有する。各ワイヤ61U,61V,61W及び各ダイオード用ワイヤ64U,64V,64Wの構成及び接続態様は、第4実施形態と同様である。各ダイオード用ワイヤ64U,64V,64Wは、互いに概ね平行となるように設けられている。各ダイオード用ワイヤ65U,65V,65Wは、互いに概ね平行となるように設けられている。各ダイオード用ワイヤ64U,64V,64Wと、各ダイオード用ワイヤ65U,65V,65Wとは、互いに概ね平行となるように設けられている。
【0204】
1本の第1ワイヤ60Uは、MOSFET11Uのソース電極パッド11sと第1フレーム32Uのワイヤ接合部32fとを接続している。1本の第2ワイヤ60Vは、MOSFET11Vのソース電極パッド11sと第2フレーム32Vのワイヤ接合部32fとを接続している。1本の第3ワイヤ60Wは、MOSFET11Wのソース電極パッド11sと第3フレーム32Wのワイヤ接合部32fとを接続している。第1ワイヤ60Uは、第2ダイオード15Vのうちの第2ダイオード用ワイヤ65Vよりも第1ダイオード15U側を通過して第1フレーム32Uのワイヤ接合部32fに接続されている。第2ワイヤ60Vは、第3ダイオード15Wのうちの第3ダイオード用ワイヤ65Wよりも第2ダイオード15V側及び第1フレーム32Uの接続部32cを通過して第2フレーム32Vのワイヤ接合部32fに接続されている。第3ワイヤ60Wは、第1フレーム32Uの第1ダイオード14Uのうちの第1ダイオード用ワイヤ64Uよりも第3ダイオード15W側及び第2フレーム32Vの接続部32cを通過して第3フレーム32Wのワイヤ接合部32fに接続されている。
【0205】
第1ダイオード用ワイヤ65Uは、第1ワイヤ60Uとは別に設けられている。1本の第1ダイオード用ワイヤ65Uは、第1ダイオード15Uのアノード電極パッド15aとフレーム32Uのワイヤ接合部32fとを接続している。第1ワイヤ60Uが第1フレーム32Uのワイヤ接合部32fに接続される位置と、第1ダイオード用ワイヤ65Uが第1フレーム32Uのワイヤ接合部32fに接続される位置とは互いに異なる。詳述すると、第1ワイヤ60Uが第1フレーム32Uのワイヤ接合部32fに接続される位置は、第1ダイオード用ワイヤ65Uが第1フレーム32Uのワイヤ接合部32fに接続される位置よりも第2フレーム32Vのワイヤ接合部32f側に位置している。第1ダイオード用ワイヤ65Uは、フレーム31の接続部31cを通過して第1フレーム32Uのワイヤ接合部32fに接続されている。第2ダイオード用ワイヤ65Vは、第1フレーム32Uの接続部32cを通過して第2フレーム32Vのワイヤ接合部32fに接続されている。第3ダイオード用ワイヤ65Wは、第1フレーム32Uのアイランド部32a及び第2フレーム32Vの接続部32cを通過して第3フレーム32Wのワイヤ接合部32fに接続されている。
【0206】
第2ダイオード用ワイヤ65Vは、第2ワイヤ60Vとは別に設けられている。1本の第2ダイオード用ワイヤ65Vは、第2ダイオード15Vのアノード電極パッド15aと第2フレーム32Vのワイヤ接合部32fとを接続している。第2ワイヤ60Vが第2フレーム32Vのワイヤ接合部32fに接続される位置と、第2ダイオード用ワイヤ65Vが第2フレーム32Vのワイヤ接合部32fに接続される位置とは互いに異なる。詳述すると、第2ダイオード用ワイヤ65Vが第2フレーム32Vのワイヤ接合部32fに接続される位置は、第2ワイヤ60Vが第2フレーム32Vのワイヤ接合部32fに接続される位置よりも第1フレーム32Uのワイヤ接合部32f側に位置している。
【0207】
第3ダイオード用ワイヤ65Wは、第3ワイヤ60Wとは別に設けられている。1本の第3ダイオード用ワイヤ65Wは、第3ダイオード15Wのアノード電極パッド15aと第3フレーム32Wのワイヤ接合部32fとを接続している。第3ワイヤ60Wが第3フレーム32Wのワイヤ接合部32fに接続される位置と、第3ダイオード用ワイヤ65Wが第3フレーム32Wのワイヤ接合部32fに接続される位置とは互いに異なる。詳述すると、第3ダイオード用ワイヤ65Wが第3フレーム32Wのワイヤ接合部32fに接続される位置は、第3ワイヤ60Wが第3フレーム32Wのワイヤ接合部32fに接続される位置よりも第2フレーム32Vのワイヤ接合部32f側に位置している。
【0208】
各ダイオード用ワイヤ65U,65V,65Wは例えばアルミニウム(Al)からなる。各ダイオード用ワイヤ65U,65V,65Wのワイヤ径は互いに等しい。各ダイオード用ワイヤ65U,65V,65Wのワイヤ径は、各ワイヤ60U,60V,60Wのワイヤ径と等しい。なお、本実施形態によれば、第4実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0209】
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う半導体装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う半導体装置は、上記各実施形態以外に例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合せられた形態を取り得る。
【0210】
・第2~第5実施形態のうちの少なくとも2つを組み合せることができる。
・上記各実施形態において、各フレーム32U,32V,32Wに実装されたMOSFET12U~12Wのそれぞれの電極パッドの構造、及びMOSFET12U~12Wのそれぞれの向き(配置姿勢)は任意に変更可能である。例えば、MOSFET12U~12Wを以下の(A1)~(A4)のように変更してもよい。
【0211】
(A1)図22に示すように、MOSFET12U~12Wのゲート電極パッド12gの位置を封止樹脂50の第2側面50D側に配置してもよい。MOSFET12U~12Wのソース電極パッド12sはそれぞれ、ゲート電極パッド12gを避けるような切欠部を有する。図22に示すとおり、MOSFET12U,12Vは、第2方向Yが長手方向となるように配置されている。一方、MOSFET12Wは、第1方向Xが長手方向となるように配置されている。MOSFET12Wは、そのゲート電極パッド12gがフレーム34側に位置するように配置されている。MOSFET12Wは、集積回路素子25Lよりも第2側面50D側に配置されている。なお、図22では、MOSFET12Wは、第1方向Xにおいて領域Ra7の中央となるように配置されているが、これに限られず、例えばMOSFET12Wは、第1方向Xにおいて第2フレーム32V寄りに配置されてもよい。またMOSFET12Uは、第1方向Xにおいて領域Ra7の中央となるように配置されているが、これに限られず、例えばMOSFET12Uは、第1方向Xにおいて第2フレーム32V寄りに配置されてもよい。
【0212】
第1ワイヤ62U及び第1ワイヤ63Uはそれぞれ、集積回路素子25LにおけるMOSFET12Uの端部かつ第1フレーム32U側の端部付近に接続されている。第1ワイヤ62Uは、第1方向Xにおいて第1ワイヤ63Uよりも第2フレーム32V側に配置されている。第2ワイヤ62V及び第2ワイヤ63Vはそれぞれ、集積回路素子25Lの第1方向Xの中央部付近に接続されている。第2ワイヤ62Vは、第1方向Xにおいて第2ワイヤ63Vよりも第3フレーム32W側に配置されている。第3ワイヤ62W及び第3ワイヤ63Wはそれぞれ、集積回路素子25Lにおける第3フレーム32W側の部分に接続されている。第3ワイヤ63Wは、第1方向Xにおいて第3ワイヤ62Wよりも第2フレーム32V側に配置されている。
【0213】
(A2)図23に示すように、MOSFET12U~12Wはそれぞれ、ゲート電極パッド12gを2つ有する。またMOSFET12U~12Wの構造は互いに共通である。このため、一例としてMOSFET12Uの構造を説明し、MOSFET12V,12Wの構造の説明を省略する。MOSFET12Uの2つのゲート電極パッド12gは、MOSFET12Uの長手方向の端部に配置されている。MOSFET12Uの2つのゲート電極パッド12gは、MOSFET12Uの平面視において長手方向と直交する方向に間隔を空けて配置されている。MOSFET12Uのソース電極パッド12sは、2つのゲート電極パッド12gの間に延びる部分を有し、平面視において凸状に形成されている。
【0214】
図23に示すとおり、MOSFET12Vは、第2方向Yが長手方向となるように配置されている。MOSFET12U,12Wは、第1方向Xが長手方向となるように配置されている。MOSFET12Uは、そのゲート電極パッド12gが集積回路素子25Lに接近するように配置されている。より詳細には、MOSFET12Uは、そのゲート電極パッド12gが第2フレーム32V側となるように配置されている。MOSFET12Wは、そのゲート電極パッド12gが集積回路素子25Lに接近するように配置されている。より詳細には、MOSFET12Wは、そのゲート電極パッド12gが第2フレーム32V側となるように配置されている。このように、MOSFET12Uの向き(配置姿勢)とMOSFET12Wの向き(配置姿勢)とが互いに逆方向となる。
【0215】
第1ワイヤ62Uは、MOSFET12Uの2つのゲート電極パッド12gのうち集積回路素子25L側のゲート電極パッド12gに接続されている。第1ワイヤ63Uは、ソース電極パッド12sにおいて2つのゲート電極パッド12gの間の部分に接続されている。第1ワイヤ63Uは、第1方向Xにおいて第1ワイヤ62Uよりも第2フレーム32V側に配置されている。第2ワイヤ62Vは、2つのゲート電極パッド12gのうちの第3フレーム32W側のゲート電極パッド12gに接続されている。第2ワイヤ63Vは、ソース電極パッド12sにおいて2つのゲート電極パッド12gの間の部分に接続されている。このため、第2ワイヤ62Vは、第1方向Xにおいて第2ワイヤ63Vよりも第3フレーム32W側に配置されている。第3ワイヤ62Wは、2つのゲート電極パッド12gのうち集積回路素子25L側のゲート電極パッド12gに接続されている。第3ワイヤ63Wは、ソース電極パッド12sにおいて2つのゲート電極パッド12gの間の部分に接続されている。第3ワイヤ63Wは、第3ワイヤ62Wよりも第2フレーム32V側に配置されている。
【0216】
(A3)各フレーム32U,32V,32Wに実装されたMOSFET12U~12Wのそれぞれの向き(配置姿勢)は任意に変更可能である。一例では、図24に示すように、MOSFET12U~12Wの向き(配置姿勢)が互いに異なる。詳述すると、MOSFET12Uは、ゲート電極パッド12gが集積回路素子25Lに接近するように、かつMOSFET12Uの長手方向が第1方向X及び第2方向Yとは異なる方向に沿うように配置されている。MOSFET12Uの長手方向と第1方向Xとの成す角度θ1の一例は、80°である。MOSFET12Vは、その長手方向が第1方向Xに沿うように配置されている。MOSFET12Wは、ゲート電極パッド12gが集積回路素子25Lに接近するように、かつMOSFET12Wの長手方向が第1方向X及び第2方向Yとは異なる方向に沿うように配置されている。MOSFET12Wの長手方向と第1方向Xとの成す角度θ2の一例は、10°である。なお、角度θ1及び角度θ2は、0°以上かつ90°以下の範囲内で任意に変更可能である。図24では、角度θ1及び角度θ2が異なっていたが、角度θ1及び角度θ2が互いに等しくてもよい。
【0217】
第1ワイヤ62U及び第1ワイヤ63Uはそれぞれ、集積回路素子25LにおけるMOSFET12Uの端部かつ第1フレーム32U側の端部付近に接続されている。第1ワイヤ62Uは、第1方向Xにおいて第1ワイヤ63Uよりも第2フレーム32V側に配置されている。第2ワイヤ62V及び第2ワイヤ63Vはそれぞれ、集積回路素子25Lの第1方向Xの中央部付近に接続されている。第2ワイヤ63Vは、第1方向Xにおいて第2ワイヤ62Vよりも第3フレーム32W側に配置されている。第3ワイヤ62W及び第3ワイヤ63Wはそれぞれ、集積回路素子25Lにおける第3フレーム32W側の部分に接続されている。第3ワイヤ63Wは、第1方向Xにおいて第3ワイヤ62Wよりも第2フレーム32V側に配置されている。
【0218】
また、図24に示す変形例のMOSFET12U,12Wの向きをさらに図25に示すように変更してもよい。すなわち、図25に示すように、MOSFET12Uは、ゲート電極パッド12gが集積回路素子25Lから離間するように、かつMOSFET12Uの長手方向が第1方向X及び第2方向Yとは異なる方向に沿うように配置されている。MOSFET12Wは、ゲート電極パッド12gが集積回路素子25Lから離間するように、かつMOSFET12Wの長手方向が第1方向X及び第2方向Yとは異なる方向に沿うように配置されている。角度θ1の一例は、100°である。この場合、角度θ1は、90°以上かつ180°以下の範囲内で任意に変更可能である。
【0219】
第1ワイヤ62U及び第1ワイヤ63Uはそれぞれ、集積回路素子25LにおけるMOSFET12Uの端部かつ第1フレーム32U側の端部付近に接続されている。第1ワイヤ63Uは、第1方向Xにおいて第1ワイヤ62Uよりも第2フレーム32V側に配置されている。第3ワイヤ62W及び第3ワイヤ63Wはそれぞれ、集積回路素子25Lにおける第3フレーム32W側の部分に接続されている。第3ワイヤ62Wは、第1方向Xにおいて第3ワイヤ63Wよりも第2フレーム32V側に配置されている。
【0220】
またさらに図24に示す変形例と図25に示す変形例とを組み合せた状態のMOSFET12U~12Wとすることもできる。一例では、第1フレーム32Uに実装されたMOSFET12Uの向き(配置姿勢)は、図24に示すMOSFET12Uの向きであり、第3フレーム32Wに実装されたMOSFET12Wの向き(配置姿勢)は、図25に示すMOSFET12Wの向きである。
【0221】
また、フレーム31に実装されるMOSFET11U~11Wの向きについても同様に、図24及び図25のMOSFET12U~12Wの向きのように変更できる。一例では、図26に示すように、MOSFET11U~11Wの向き(配置姿勢)が互いに異なる。詳述すると、MOSFET11Uは、ゲート電極パッド12gが集積回路素子25Hに接近するように、かつMOSFET11Uの長手方向が第1方向X及び第2方向Yとは異なる方向に沿うように配置されている。MOSFET11Uの長手方向と第1方向Xとの成す角度θ1の一例は、80°である。MOSFET11Vは、その長手方向が第1方向Xに沿うように配置されている。MOSFET11Wは、ゲート電極パッド12gが集積回路素子25Hに接近するように、かつMOSFET11Wの長手方向が第1方向X及び第2方向Yとは異なる方向に沿うように配置されている。MOSFET11Wの長手方向と第1方向Xとの成す角度θ2の一例は、10°である。なお、角度θ1及び角度θ2は、0°以上かつ90°以下の範囲内で任意に変更可能である。図26では、角度θ1及び角度θ2が異なっていたが、角度θ1及び角度θ2が互いに等しくてもよい。
【0222】
図26に示す第1ワイヤ62U及び第1ワイヤ63Uはそれぞれ、集積回路素子25HにおけるMOSFET11U側の端部付近に接続されている。第1ワイヤ62Uは、第1方向Xにおいて第1ワイヤ63Uよりも第1側面50C側に配置されている。第2ワイヤ62V及び第2ワイヤ63Vはそれぞれ、集積回路素子25Hの第1方向Xの中央部付近に接続されている。第2ワイヤ63Vは、第1方向Xにおいて第2ワイヤ62Vよりも第2側面50D側に配置されている。第3ワイヤ62W及び第3ワイヤ63Wはそれぞれ、集積回路素子25HにおけるMOSFET11W側の部分に接続されている。第3ワイヤ63Wは、第1方向Xにおいて第3ワイヤ62Wよりも第2側面50D側に配置されている。
【0223】
また図27に示すように、MOSFET11Uは、ゲート電極パッド12gが集積回路素子25Hから離間するように、かつMOSFET11Uの長手方向が第1方向X及び第2方向Yとは異なる方向に沿うように配置されている。MOSFET11Wは、ゲート電極パッド12gが集積回路素子25Hから離間するように、かつMOSFET11Wの長手方向が第1方向X及び第2方向Yとは異なる方向に沿うように配置されている。角度θ1の一例は、100°である。この場合、角度θ1は、90°以上かつ180°以下の範囲内で任意に変更可能である。
【0224】
図27に示す第1ワイヤ62U及び第1ワイヤ63Uはそれぞれ、集積回路素子25HにおけるMOSFET11Uの端部付近に接続されている。第1ワイヤ63Uは、第1方向Xにおいて第1ワイヤ62Uよりも第1側面50C側に配置されている。第3ワイヤ62W及び第3ワイヤ63Wはそれぞれ、集積回路素子25Hにおける第2側面50D側の部分に接続されている。第3ワイヤ63Wは、第1方向Xにおいて第3ワイヤ62Wよりも第2側面50D側に配置されている。
【0225】
またさらに図26に示す変形例と図27に示す変形例とを組み合せた状態のMOSFET11U~11Wの向きとすることもできる。一例では、MOSFET11Uの向き(配置姿勢)は、図26に示すMOSFET11Uの向きであり、MOSFET11Wの向き(配置姿勢)は、図27に示すMOSFET11Wの向きである。
【0226】
(A4)MOSFET12U~12Wのそれぞれのゲート電極パッド12gの形状及び配置位置は任意に変更可能である。ゲート電極パッド12gの形状及び配置位置の変更に伴い、ソース電極パッド12sの形状が変更される。一例では、図28に示すように、ゲート電極パッド12gは、第1方向Xが長手方向となる矩形状に形成されている。ゲート電極パッド12gは、MOSFET12U~12Wのそれぞれの表面において第1方向Xの集積回路素子25L側の端部かつ第2方向Yの中央に位置している。ソース電極パッド12sの第1方向Xの集積回路素子25L側端部には、ゲート電極パッド12gを避けるように凹む凹部が形成されている。図28では、MOSFET12U~12Wは、その長手方向が第1方向Xに沿うように配置されている。なお、MOSFET12U~12Wの向き(配置姿勢)は任意に変更可能である。
【0227】
第1ワイヤ62U及び第1ワイヤ63Uはそれぞれ、集積回路素子25LにおけるMOSFET12Uの端部かつ第1フレーム32U側の端部付近に接続されている。第1ワイヤ63Uは、第1方向Xにおいて第1ワイヤ62Uよりも第2フレーム32V側に配置されている。第2ワイヤ62V及び第2ワイヤ63Vはそれぞれ、集積回路素子25Lの第1方向Xの中央部付近に接続されている。第2ワイヤ63Vは、第1方向Xにおいて第2ワイヤ62Vよりも第1フレーム32U側に配置されている。第3ワイヤ62W及び第3ワイヤ63Wはそれぞれ、集積回路素子25Lにおける第3フレーム32W側の部分に接続されている。第3ワイヤ63Wは、第1方向Xにおいて第3ワイヤ62Wよりも第2フレーム32V側に配置されている。
【0228】
図28に示すMOSFET12U~12Wのそれぞれのゲート電極パッド12g及びソース電極パッド12sの形状は、MOSFET11U~11Wのそれぞれのゲート電極パッド11g及びソース電極パッド11sに適用することができる。この場合、半導体装置1において、MOSFET11U~11W,12U~12Wにはそれぞれ、30A以上の電流を流すことができる。
【0229】
・上記第1~第3実施形態において、フレーム31及び各フレーム32U,32V,32Wの形状は任意に変更可能である。一例では、図29に示すようなフレーム31及び各フレーム32U,32V,32Wに変更してもよい。
【0230】
詳述すると、図29のフレーム31のアイランド部31aの第2方向Yのサイズは、上記第1~第3実施形態のフレーム31のアイランド部31aの第2方向Yのサイズよりも小さい。図29のアイランド部31aの素子実装領域Rseは、領域Ra1~Ra3を有し、領域Ra4~Ra6を有していない。
【0231】
図29の各フレーム32U,32V,32Wのアイランド部32aの第2方向Yのサイズはそれぞれ、上記第1~第3実施形態の各フレーム32U,32V,32Wのアイランド部32aの第2方向Yのサイズよりも小さい。図29のアイランド部32aの素子実装領域Rseは、領域Ra7を有し、領域Ra8を有していない。
【0232】
このような構成によれば、フレーム31及び各フレーム32U,32V,32Wの第2方向Yのサイズが小さくなることにより、半導体装置1の封止樹脂50の第2方向Yのサイズが小さくなる。したがって、半導体装置1の小型化及び軽量化を実現できる。
【0233】
・上記第1~第3実施形態において、MOSFET12U~12Wのソース電極パッド12sと集積回路素子25Lとを接続する各ワイヤ63U,63V,63Wの本数は任意に変更可能である。各ワイヤ63U,63V,63Wの本数は複数本であってもよい。例えば、各ワイヤ63U,63V,63Wの本数は2本であってもよい。また第1ワイヤ63Uの本数、第2ワイヤ63Vの本数、及び第3ワイヤ63Wの本数のうちの少なくとも1つが他と異なってもよい。
【0234】
・上記第5実施形態において、フレーム31のMOSFET11U~11W及び各ダイオード15U,15V,15Wを電気的に接続する接続態様は任意に変更可能である。例えば、MOSFET11U~11Wと各ダイオード15U,15V,15Wとの接続態様を、以下の(B1)及び(B2)のように変更してもよい。
【0235】
(B1)図30に示すように、MOSFET11Uと第1ダイオード15Uと第1フレーム32Uとが1本の第1ワイヤ60Uで接続されている。MOSFET11Vと第2ダイオード15Vと第2フレーム32Vとが1本の第2ワイヤ60Vで接続されている。MOSFET11Wと第3ダイオード15Wと第3フレーム32Wとが1本の第3ワイヤ60Wで接続されている。詳述すると、MOSFET11Uのソース電極パッド11sに接続された第1ワイヤ60Uは、第1ダイオード15Uのアノード電極パッド15aに接続するように第2方向Yに沿って延びている第1部分と、このアノード電極パッド15aと第1フレーム32Uのワイヤ接合部32fとを接続するように封止樹脂50の第4側面50Fに向かうにつれて第2側面50Dに向けて延びる第2部分とを有する。MOSFET11Vのソース電極パッド11sに接続された第2ワイヤ60Vは、第2ダイオード15Vのアノード電極パッド15aに接続するように第2方向Yに沿って延びている第1部分と、このアノード電極パッド15aと第2フレーム32Vのワイヤ接合部32fとを接続するように封止樹脂50の第4側面50Fに向かうにつれて第2側面50Dに向けて延びる第2部分とを有する。MOSFET11Wのソース電極パッド11sに接続された第3ワイヤ60Wは、第3ダイオード15Wのアノード電極パッド15aに接続するように第2方向Yに沿って延びている第1部分と、このアノード電極パッド15aと第3フレーム32Wのワイヤ接合部32fとを接続するように封止樹脂50の第4側面50Fに向かうにつれて第2側面50Dに向けて延びる第2部分とを有する。
【0236】
(B2)各ダイオード15U,15V,15Wのうち1つ又は2つを省略してもよい。またMOSFET11U~11Wに接続された各ワイヤ60U,60V,60Wの接続態様は任意に変更可能である。一例では、図31に示すように、半導体装置1から第1ダイオード15Uを省略している。MOSFET11Uのソース電極パッド11sに接続された第1ワイヤ60Uは、第1フレーム32Uのワイヤ接合部32fに接続されている。MOSFET11Vのソース電極パッド11sに接続された第2ワイヤ60Vは、図29と同様に、第2ダイオード15Vのアノード電極パッド15aに接続する第1部分と、アノード電極パッド15aと第2フレーム32Vのワイヤ接合部32fとを接続する第2部分とを有する。MOSFET11Wのソース電極パッド11sに接続された第3ワイヤ60Wは、第3フレーム32Wのワイヤ接合部32fに接続されている。第3ダイオード15Wのアノード電極パッド15aに接続された第3ダイオード用ワイヤ65Wは、第3フレーム32Wのワイヤ接合部32fに接続されている。
【0237】
・上記第3実施形態において、図32に示すように、各フレーム32U,32V,32WのMOSFET12U~12Wのソース電極パッド12sと集積回路素子25Lとをそれぞれ接続する各ワイヤ63U,63V,63Wを省略してもよい。この構成によっても第3実施形態の効果と同様の効果が得られる。
【0238】
・上記第5実施形態において、上記第3実施形態の構成、すなわち第1フレーム32UのMOSFET12Uの向き(配置姿勢)を変更した構成を適用してもよい。この場合、各ワイヤ61U,61V,61Wの接続態様を図33に示すように変更することもできる。詳述すると、MOSFET12Uとダイオード14Uとフレーム35Uとが1本の第1ワイヤ61Uで接続されている。MOSFET12Vと第2ダイオード14Vとフレーム35Vとが1本の第2ワイヤ61Vで接続されている。MOSFET12Wと第3ダイオード14Wとフレーム35Wとが1本の第3ワイヤ61Wで接続されている。より詳細には、MOSFET12Uのソース電極パッド12sに接続された第1ワイヤ61Uは、第1ダイオード14Uのアノード電極パッド14aに接続するように第2方向Yに沿って延びている第1部分と、このアノード電極パッド14aとフレーム35Uのアイランド部35aとを接続するように封止樹脂50の第4側面50Fに向かうにつれて第2側面50Dに向けて延びる第2部分とを有する。MOSFET12Vのソース電極パッド12sに接続された第2ワイヤ61Vは、第2ダイオード14Vのアノード電極パッド14aに接続するように第2方向Yに沿って延びている第1部分と、このアノード電極パッド14aとフレーム35Vのアイランド部35aとを接続するように封止樹脂50の第4側面50Fに向かうにつれて第2側面50Dに向けて延びる第2部分とを有する。MOSFET12Lのソース電極パッド12sに接続された第3ワイヤ61Wは、第3ダイオード14Wのアノード電極パッド14aに接続するように第2方向Yに沿って延びている第1部分と、このアノード電極パッド14aとフレーム35Wのアイランド部35aとを接続するように封止樹脂50の第4側面50Fに向かうにつれて第2側面50Dに向けて延びる第2部分とを有する。
【0239】
・上記各実施形態において、各フレーム32U,32V,32Wの素子実装領域Rseの領域Ra7及び領域Ra8が第2方向Yに離間して形成されてもよい。この場合、第2方向Yにおける領域Ra7と領域Ra8との間の部分に複数の凹部32iが形成されてもよい。またフレーム31についても同様に、素子実装領域Rseの領域Ra1~Ra3及び領域Ra4~Ra6が第2方向Yに離間して形成されてもよい。この場合、第2方向Yにおける領域Ra1~Ra3と領域Ra4~Ra6との間の部分に複数の凹部31fが形成されてもよい。
【0240】
・上記各実施形態において、MOSFET11U~11W,12U~12Wの構造は任意に変更可能である。例えば、MOSFET11U~11W,12U~12Wの構造を以下の(C1)及び(C2)のように変更してもよい。なお、MOSFET11U~11W,12U~12Wの構造が同じであるため、(C1)及び(C2)の構造の説明において、MOSFET11Uの構造について説明し、MOSFET11V,11W,12U~12Wの構造の説明を省略する。
【0241】
(C1)図34に示すように、MOSFET11Uは、N型(例えば、N型不純物濃度が1e18~1e21cm-3)のSiC基板110を備える。SiC基板110は、その表面110A(上面)がSi面であり、その裏面110B(下面)がC面である。
【0242】
SiC基板110上には、SiC基板110よりも低濃度のN型(例えば、N型不純物濃度が1e15~1e17cm-3)のSiCからなるエピタキシャル層111が積層されている。半導体層としてのエピタキシャル層111は、SiC基板110上に、所謂エピタキシャル成長によって形成されている。Si面である表面110A上に形成されているエピタキシャル層111は、Si面を成長主面として成長させられる。したがって、成長により形成されるエピタキシャル層111の表面111Aは、SiC基板110の表面110Aと同様にSi面である。
【0243】
エピタキシャル層111の表面111A側(Si面側)には、P型のボディ領域112が広範囲に亘ってウェル状に形成されている。ボディ領域112のP型不純物濃度は、1e16~1e19cm-3である。またエピタキシャル層111において、ボディ領域112よりもSiC基板110側(C面側)の領域は、エピタキシャル成長後のままの状態が維持されたN型のドレイン領域113(ドリフト領域)となっている。
【0244】
ボディ領域112内には、その表面111A側のほぼ全域にN型(例えば、N型不純物濃度が1e18~1e21cm-3)のソース領域114と、このソース領域114よりもSiC基板110側(下方)にP型(例えば、P型不純物濃度が1e18~1e21cm-3)のボディコンタクト領域115とが形成されている。ボディコンタクト領域115は、マトリクス状に多数形成されている。そして、個々のボディコンタクト領域115を貫通するようにソーストレンチ116がボディコンタクト領域115と同数形成されている。そしてソーストレンチ116が形成された各ボディコンタクト領域115を取り囲むように格子状のゲートトレンチ117が形成されている。これにより、エピタキシャル層111に、それぞれが電界効果トランジスタとして機能する単位セル118が多数形成されている。すなわち、単位セル118は、ボディコンタクト領域115がソーストレンチ116を取り囲むように形成されており、さらにそのボディコンタクト領域115を取り囲むようにボディ領域112が形成されている。そして、ボディ領域112におけるボディコンタクト領域115側の反対側は、ゲートトレンチ117の側面に露出している。また、単位セル118では、ゲートトレンチ117の深さ方向がゲート長方向であり、そのゲート長方向に直交する各単位セル118の周方向がゲート幅方向である。
【0245】
ソーストレンチ116及びゲートトレンチ117は、その両方がエピタキシャル層111の表面111Aからボディ領域112を貫通してドレイン領域113に達している。本実施形態では、ソーストレンチ116の深さとゲートトレンチ117深さとは、互いに等しい。またソーストレンチ116の側面116aとゲートトレンチ117の側面117aとの距離D1は、例えば0.5μm~3μmである。距離D1が0.5μm~3μmの範囲内であれば、各単位セル118をオンしたときの抵抗値(オン抵抗)の上昇を抑制することができ、ゲートトレンチ117の底部にかかる電界を緩和することができる。
【0246】
ゲートトレンチ117は、その底部におけるゲート幅に直交する方向(隣接する単位セル118との対向方向)の両端角部117bがドレイン領域113側に向かって湾曲し、互いに対向する側面117aと底面117cとが湾曲面を介して連続する断面U字状である。さらに、ソーストレンチ116は、ゲートトレンチ117と同様に、互いに対向する側面116aと底面116bとが湾曲面を介して連続する断面U字状である。これにより、単位セル118のターンオフ時に、ゲートトレンチ117の底部における両端角部117bに加わる電界を、両端角部117b以外の部分へ分散させることができる。したがって、後述するゲート絶縁膜120における底面117c上の部分(絶縁膜底部120a)の絶縁破壊を抑制することができる。
【0247】
ドレイン領域113において、ゲートトレンチ117の底面117cからその厚さ方向途中部に至る部分には、P型不純物(例えば、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)等)のインプランテーションにより形成されたインプラ層としてのインプラ活性層119が形成されている。インプラ活性層119は、平面視でゲートトレンチ117に重なる格子状に、隣接する単位セル118間の距離よりも幅狭な形状に形成されている。本実施形態のインプラ活性層119の深さは、例えば0.1μm~0.5μmである。
【0248】
インプラ活性層119は、エピタキシャル層111における周囲の領域(例えば、ドレイン領域113)よりも抵抗値が高い高抵抗層である。インプラ活性層119の抵抗値は、例えば、数十kΩ/□~数百kΩ/□である。またインプラ活性層119のP型不純物濃度は、例えば、1e16~1e21cm-3である。
【0249】
ゲートトレンチ117の内面には、その全域を覆うようにゲート絶縁膜120が形成されている。ゲート絶縁膜120は、窒素を含有する酸化膜、例えば窒素及び酸素を含有するガスを用いた熱酸化により形成される窒化酸化シリコン膜からなる。ゲート絶縁膜120における窒素含有量(窒素濃度)は、例えば、0.1~10%である。
【0250】
ゲート絶縁膜120は、ゲートトレンチ117の底面117c上の部分(絶縁膜底部120a)の厚さT4が、ゲートトレンチ117の側面117a上の部分(絶縁膜側部120b)の厚さT3よりも小さい。厚さT3に対する厚さT4の比(T4/T3)が、0.3~1.0であり、好ましくは、0.5~1.0である。厚さT3は、300~1000Åであり、厚さT4は、150~500Åである。ゲート絶縁膜120の内側をN型不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコン材料で埋め尽くすことにより、ゲートトレンチ117内にゲート電極121が埋設されている。
【0251】
エピタキシャル層111上には、酸化シリコン(SiO)からなる層間絶縁膜122が積層されている。層間絶縁膜122及びゲート絶縁膜120には、各単位セル118のソーストレンチ116及びソース領域114の表面を露出させるコンタクトホール123が形成されている。
【0252】
層間絶縁膜122上には、ソース配線124が形成されている。ソース配線124は、各コンタクトホール123を介して、全ての単位セル118のソーストレンチ116に一括して入り込み、各単位セル118においてソーストレンチ116の底側から順にドレイン領域113、ボディコンタクト領域115、及びソース領域114に接触している。つまり、ソース配線124は、全ての単位セル118に対して共通の配線となっている。そして、このソース配線124上には層間絶縁膜(図示略)が形成されており、その層間絶縁膜を介してソース配線124がソース電極パッド11sに電気的に接続されている。一方、ゲート電極パッド11gは、上記層間絶縁膜(図示略)上に引き回されたゲート配線(図示略)を介して、ゲート電極121に電気的に接続されている。
【0253】
ソース配線124は、エピタキシャル層111との接触側から順にポリシリコン層125、中間層126、及びメタル層127を有する。
ポリシリコン層125は、不純物がドーピングされたドープトポリシリコンを用いて形成されたドープ層であり、例えば1e19~1e21cm-3の高濃度で不純物がドーピングされた高濃度ドープ層である。ポリシリコン層125をドープ層(高濃度ドープ層を含む)として形成するときの不純物としては、窒素(N)、燐(P)、砒素(As)等のN型不純物、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)等のP型不純物を用いることができる。またポリシリコン層125の厚さは、例えば5000~10000Åである。
【0254】
本実施形態のポリシリコン層125は、コンタクトホール123内に露出する単位セル118の表面全域を覆うように形成され、ソーストレンチ116内でドレイン領域113、ボディコンタクト領域115、及びソース領域114に接触している。
【0255】
ソース配線124におけるドレイン領域113、ボディコンタクト領域115、及びソース領域114との接触層にポリシリコンを用いることにより、ソース配線124を、高濃度な不純物領域であるボディコンタクト領域115及びソース領域114の両方に対してオーミック接合させることができる。一方、低濃度なドレイン領域113に対しては、MOSFET11Uに内在するボディダイオード128(ボディ領域112とドレイン領域113との接合により形成されるPNダイオード)の拡散電位よりも接合障害の小さいヘテロジャンクション接合を形成することができる。
【0256】
ところで、MOSFET11Uに内在するボディダイオード128に電流が流れると、ボディ領域112からドレイン領域113に移動した正孔(ホール)がドレイン領域113内で電子と再結合し、その際に生じる結合エネルギーによって、エピタキシャル層111におけるSiC結晶の欠陥が面内に広がる場合がある。この結晶欠陥は抵抗値が高いので、結晶欠陥がゲートトレンチ117側に拡大すると、結晶欠陥が通常のトランジスタ動作の妨げとなり、オン抵抗が上昇するおそれがある。
【0257】
この点、図34に示すように、ポリシリコン層125とドレイン領域113との接触によりヘテロジャンクション接合が形成されていれば、ソース-ドレイン間に逆電圧がかかって、ボディダイオード128に電流が流れる状態になっても、ボディダイオード128側よりもヘテロジャンクション接合側に優先的に電流を流すことができる。その結果、SiCの結晶欠陥の拡大を抑制することができるため、オン抵抗の上昇を抑制することができる。
【0258】
中間層126は、ポリシリコン層125上に積層され、チタン(Ti)を含有する層の単層もしくはその層を有する複数の層からなる。チタンを含有する層は、チタン、窒化チタン(TiN)等を用いて形成することができる。また中間層126の厚さは、例えば200~500nmである。
【0259】
メタル層127は、中間層126上に積層され、例えばアルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、またはそれらの合金及びそれらを含有するメタル材料を用いて形成されている。メタル層127は、ソース配線124の最表層をなしている。またメタル層127の厚さは、1~5μmである。
【0260】
上記のようなポリシリコン層125、中間層126、及びメタル層127の組合せとしては、具体的には、Poly-Si(ポリシリコン層125)、Ti(中間層126)、TiN(中間層126)、及びAl(メタル層127)が順に積層される積層構造(Poly-Si/Ti/TiN/Al)を例示することができる。
【0261】
SiC基板110の裏面110Bには、その全域を覆うようにドレイン電極129が形成されている。このドレイン電極129は、全ての単位セル118に対して共通の電極となっている。ドレイン電極129としては、例えばSiC基板110側から順にチタン(Ti)及びアルミニウム(Al)が積層された積層構造(Ti/Al)を例示することができる。
【0262】
ソース電極パッド11s(ソース配線124)とドレイン電極129との間(ソース-ドレイン間)に所定の電位差を発生させた状態で、ゲート電極パッド11gに所定の電圧(ゲート閾値電圧以上の電圧)が印加されることにより、ゲート電極121からの電界によりボディ領域112におけるゲート絶縁膜120との界面近傍にチャネルが形成される。これにより、ソース配線124とドレイン電極129との間に電流が流れ、MOSFET11Uがオン状態となる。
【0263】
(C2)図35に示すように、MOSFET11Uは、N型のSiC基板130を備える。SiC基板130の表面130Aには、SiC基板130よりもN型不純物が低濃度にドーピングされたSiCからなるN型のエピタキシャル層131が積層されている。エピタキシャル層131の表面131Aは、例えばSiCの(0001)面で構成されている。
【0264】
エピタキシャル層131には、エピタキシャル成長後のままの状態が維持された、N型のドレイン領域132が形成されている。またエピタキシャル層131の表層部には、P型のボディ領域133が形成されている。ボディ領域133は、図35では図示しないが、一定の間隔を空けて複数形成され、それらが互いに平行をなして同一方向(図35の紙面に垂直な方向)に延び、例えばストライプ状、マトリクス状(行列状)に配置されている。そして互いに隣り合うボディ領域133の間において、ドレイン領域132が露出している。またボディ領域133の表層部には、その周縁から間隔を空けてN型のソース領域134が形成されている。
【0265】
エピタキシャル層131の表面131Aには、ドレイン領域132、ボディ領域133、及びソース領域134に跨るゲート絶縁膜135が形成されている。ゲート絶縁膜135は、例えば酸化シリコン(SiO)からなる。そしてゲート絶縁膜135上には、N型不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコンからなるゲート電極136が形成されている。ゲート電極136は、ゲート絶縁膜135を介してドレイン領域132、ボディ領域133、及びソース領域134に対向している。
【0266】
エピタキシャル層131上には、酸化シリコン(SiO)からなる層間絶縁膜137が積層されている。層間絶縁膜137上には、ソース配線138が形成されている。ソース配線138は、層間絶縁膜137に形成されたコンタクトホール139を介して、ボディ領域133及びソース領域134に電気的に接続されている。
【0267】
ゲート電極136には、層間絶縁膜137に形成されたコンタクトホール(図示略)を介して、ゲート配線140が電気的に接続されている。またSiC基板130の裏面130Bには、ドレイン電極141が形成されている。
【0268】
ドレイン電極141に適当な大きさの正電圧を印加しつつ、ゲート電極136の電位を制御すると、ゲート電極136からの電界によりボディ領域133におけるゲート絶縁膜135との界面近傍にチャネルを形成することができる。これにより、ソース配線138とドレイン電極141との間に電流を流すことができる。
【0269】
・上記第4及び第5実施形態において、各ダイオード14U,14V,14W及び各ダイオード15U,15V,15Wの構造は任意に変更可能である。例えば、各ダイオード14U,14V,14W及び各ダイオード15U,15V,15Wの構造を図36に示すようなプレーナ型の構造に変更してもよい。なお、各ダイオード14U,14V,14W及び各ダイオード15U,15V,15Wの構造が同じであるため、以下の説明では第1ダイオード14Uの構造について説明し、その他のダイオード14V,14W,15U,15V,15Wの構造の説明を省略する。
【0270】
図36に示すように、第1ダイオード14Uは、N型(例えば、N型不純物濃度が1e18~1e21cm-3)のシリコン(Si)からなる半導体基板150を備える。半導体基板150の裏面150Bには、その全域を覆うようにカソード電極151が形成されている。カソード電極151は、N型のシリコンとオーミック接触する金属(例えば、金(Au)、ニッケル(Ni)、シリサイド、コバルト(Co)等)からなる。
【0271】
半導体基板150の表面150Aには、半導体基板150よりも低濃度のN型(例えば、N型不純物濃度が1e15~1e17cm-3)のシリコンからなるエピタキシャル層152が積層されている。エピタキシャル層152の厚さは、例えば2~10μmである。
【0272】
エピタキシャル層152の表面152Aには、酸化シリコン(SiO)からなるフィールド絶縁膜153が積層されている。フィールド絶縁膜153の厚さは、例えば1000Å以上、好ましくは、7000Å~40000Åである。フィールド絶縁膜153は、窒化シリコン(SiN)等の他の絶縁物からなってもよい。
【0273】
フィールド絶縁膜153には、エピタキシャル層152の中央部を露出させる開口153aが形成されている。フィールド絶縁膜153上には、アノード電極154が形成されている。アノード電極154は、フィールド絶縁膜153の開口153a内を埋め尽くし、フィールド絶縁膜153における開口153aの周縁部153bを上から覆うように、開口153aの外方に向けてフランジ状に張り出している。すなわちフィールド絶縁膜153の開口153aの周縁部153bは、エピタキシャル層152及びアノード電極154により、全周に亘って上下両側から挟まれている。
【0274】
図36のアノード電極154は、フィールド絶縁膜153の開口153a内でエピタキシャル層152に接合されたショットキメタル155と、ショットキメタル155に積層された電極メタル156との多層構造(図36では2層構造)を有する。
【0275】
ショットキメタル155は、N型のシリコンとの接合によりショットキ接合を形成する金属(例えば、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)等)からなる。エピタキシャル層152に接合されるショットキメタル155は、エピタキシャル層152を構成するシリコン半導体との間に、例えば0.52eV~0.9eVのショットキバリア(電位障壁)を形成する。ショットキメタル155の厚さは、例えば0.02~0.20μmである。
【0276】
電極メタル156は、アノード電極154において、第1ダイオード14Uの最表面に露出して、第1ダイオード用ワイヤ65U等が接合される部分である。すなわち電極メタル156は、アノード電極パッド14aを構成している。電極メタル156は、例えばアルミニウム(Al)からなる。電極メタル156の厚さは、ショットキメタル155よりも厚く、例えば0.5~5.0μmである。
【0277】
第1ダイオード14Uの最表面には、窒化シリコン(SiN)からなる表面保護膜157が形成されている。表面保護膜157の中央部には、電極メタル156を露出させる開口157aが形成されている。第1ダイオード用ワイヤ65U等は、開口157aを介して電極メタル156に接合される。
【0278】
エピタキシャル層152の表面152Aのうちエピタキシャル層152の表面152Aにショットキメタル155がショットキ接触している領域を活性領域158と規定し、活性領域158を取り囲んでいる領域を外周領域159と規定する。エピタキシャル層152の表層部には、活性領域158と外周領域159との境界部分に、エピタキシャル層152の表面152Aから掘り下げられた外周トレンチ160が形成されている。外周トレンチ160は、平面視で環状であり、活性領域158と外周領域159とを跨るようにそれらの境界に沿って形成されている。外周トレンチ160の底面は、エピタキシャル層152の表面152A及び半導体基板150の表面150Aに沿った平坦面を含む。このため、外周トレンチ160の断面は、略矩形状である。
【0279】
外周トレンチ160の内壁面(側面及び底面)の全域には、例えば酸化シリコン(SiO)からなる絶縁層161が形成されている。絶縁層161の厚さは、例えば0.2~0.5μmである。
【0280】
外周トレンチ160内には、ショットキメタル155に接続され、絶縁層161を介して外周トレンチ160の内壁面(側面及び底面を含む)の全域に対向するポリシリコンからなる導体162が設けられている。導体162は、絶縁層161が形成された外周トレンチ160内の空間部を埋め尽くすように設けられてもよいし、絶縁層161の内面に沿った膜状に形成されてもよい。このように第1ダイオード14Uは、ショットキメタル155がショットキ接触しているエピタキシャル層152の表面が平坦なプレーナ型ショットキバリアダイオードである。
【0281】
・上記第2実施形態において、集積回路素子25L内におけるダイオード13の位置は任意に変更可能である。ダイオード13は、各ドライブ回路21UL,21VL,21WLのソース接地回路21aの周囲にそれぞれ配置されることが好ましい。これにより、ダイオード13とソース接地回路21aの出力配線21dとを接続する制限配線21eの長さを短くすることができる。ダイオード13は、第2方向Yにおいて、各ドライブ回路21UL,21VL,21WLのソース接地回路21aと出力端子25a及び入力端子25bとの間に設けられることがさらに好ましい。これにより、制限配線21eの長さをさらに短くすることができる。また、ダイオード13は、集積回路素子25Lとは別の半導体チップとして設けられてもよい。
【0282】
・上記各実施形態では、第1インバータ回路10U、第2インバータ回路10V、及び第3インバータ回路10WのMOSFET11U~11W,12U~12Wを含む半導体装置1について説明したが、半導体装置1の構成はこれに限られない。例えば、図37及び図38に示すように、1つのインバータ回路を含む半導体装置1であってもよい。
【0283】
詳述すると、図37に示すように、半導体装置1は、駆動部10として1つのインバータ回路10Aと、制御回路20として1つのドライブ回路21A及び1つの論理回路22Aとを備える。インバータ回路10Aは、MOSFET11U及びMOSFET12Lを有する。MOSFET11Uのドレインは外部電源に接続され、MOSFET11UのソースはMOSFET12Lのドレインに接続されている。MOSFET12Lのソースは接地されている。ドライブ回路21Aはドライブ回路21AU及びドライブ回路21ALを有し、論理回路22Aは論理回路22AU及び論理回路22ALを有する。ドライブ回路21AUは、MOSFET11Uのゲートに接続され、そのゲートにゲート駆動信号を出力する。ドライブ回路21ALは、MOSFET12Lのゲートに接続され、そのゲートにゲート駆動信号を出力する。論理回路22AUは、ドライブ回路21AUに接続され、ドライブ回路21AUがゲート駆動信号を生成するための信号をドライブ回路21AUに出力する。論理回路22ALは、ドライブ回路21ALに接続され、ドライブ回路21ALがゲート駆動信号を生成するための信号をドライブ回路21ALに出力する。
【0284】
図38に示すように、半導体装置1では、MOSFET11U、MOSFET12L、及び、ドライブ回路21A及び論理回路22Aを含む集積回路素子25Aがそれぞれ半導体チップとして設けられている。半導体装置1は、MOSFET11U、MOSFET12L、及び制御回路20が実装されるリード200と、MOSFET11U、MOSFET12L、及び集積回路素子25Aを封止する封止樹脂220とを備える。封止樹脂220は、例えば黒色のエポキシ樹脂により形成され、平面視において矩形状に形成されている。封止樹脂220は、その長手方向に沿う側面として第1側面221及び第2側面222と、平面視において長手方向と直交する方向に沿う側面として第3側面223及び第4側面224とを有する。なお、以降の説明において、封止樹脂220の長手方向に沿う方向を「第1方向V」と規定し、平面視において第1方向Vと直交する方向を「第2方向W」と規定する。
【0285】
リード200は、フレーム201、フレーム205、制御フレーム209、及び複数の端子フレームとして第1~第6端子フレーム213~218を有する。フレーム201は第1方向Vにおいて封止樹脂220の一方の端(図35中の左端)である第1側面221側に配置され、フレーム205は第1方向Vにおいて封止樹脂220の他方の端(図35中の右端)である第2側面222側に配置されている。フレーム201及びフレーム205は、封止樹脂220の第2方向Wの中央において第1方向Vに沿って延びる中心線CLを中心とした線対称となるように形成されている。制御フレーム209及び第1~第6端子フレーム213~218は、第1方向Vにおいて封止樹脂220の一方の端(図35中の下端)である第4側面224側に配置されている。
【0286】
フレーム201は、MOSFET11Uのドレインと外部電源とを電気的に接続するためのリードフレームであり、VDC端子を構成している。フレーム201は、アイランド部202、端子部203、及び接続部204を有する。アイランド部202、端子部203、及び接続部204は一体的に形成されている。
【0287】
フレーム205は、MOSFET12Lのドレインと半導体装置1に電気的に接続される機器又は電子部品とを電気的に接続するためのリードフレームであり、出力端子(OUT端子)を構成している。フレーム205は、アイランド部206、端子部207、及び接続部208を有する。アイランド部206、端子部207、及び接続部208は一体的に形成されている。
【0288】
フレーム201のアイランド部202及びフレーム205のアイランド部206は、第2方向Wにおいて封止樹脂220の第3側面223寄りに配置され、第2方向Wにおいて並べて配置されている。アイランド部202及びアイランド部206は、平面視において第2方向Wが長手方向となる矩形状である。アイランド部202及びアイランド部206は、封止樹脂220の第3側面223を第2方向Wに向けて突出している。アイランド部202及びアイランド部206は、中心線CLを中心とした線対称形状である。
【0289】
フレーム201の接続部204は、アイランド部202における封止樹脂220の第1側面221側かつ第4側面224側の端部から第4側面224に向けて延びている。フレーム201の端子部203は、接続部204から第2方向Wに沿って延びている。端子部203及び接続部204は、フレーム205、制御フレーム209、及び第1~第6端子フレーム213~218よりも封止樹脂220の第1側面221側に配置されている。
【0290】
フレーム205の接続部208は、アイランド部206における封止樹脂220の第2側面222側かつ第4側面224側の端部から第4側面224に向けて延びている。フレーム205の端子部207は、接続部208から第2方向Wに沿って延びている。端子部207及び接続部208は、フレーム201、制御フレーム209、及び第1~第6端子フレーム213~218よりも封止樹脂220の第2側面222側に配置されている。
【0291】
制御フレーム209及び第1~第6端子フレーム213~218は、第2方向Wにおいてフレーム201のアイランド部202及びフレーム205のアイランド部206よりも封止樹脂220の第4側面224側に配置され、第2方向Wにおいてフレーム201の接続部204とフレーム205の接続部208との間に配置されている。
【0292】
制御フレーム209は、集積回路素子25Aを接地させるためのリードフレームであり、GND端子を構成している。制御フレーム209は、アイランド部210、端子部211、及び接続部212を有する。アイランド部210、端子部211、及び接続部212は一体的に形成されている。
【0293】
アイランド部210は、第1方向Vが長手方向となる矩形状に形成されている。アイランド部210は、第1方向Vにおいて封止樹脂220の第1側面221寄りに配置されている。アイランド部210は、第2方向Wにおいてフレーム201のアイランド部202及びフレーム205のアイランド部206と異なる位置に配置されている。詳述すると、アイランド部210は、アイランド部202及びアイランド部206よりも封止樹脂220の第4側面224側に配置され、第2方向Wから見てアイランド部202及びアイランド部206と重なる位置に配置されている。アイランド部210は、第2方向Wにおいてフレーム205の接続部208よりもフレーム201の接続部204寄りに配置されている。
【0294】
制御フレーム209の接続部212は、アイランド部210の第1方向Vの略中央から封止樹脂220の第4側面224に向けて延びている。制御フレーム209の端子部211は、接続部212における封止樹脂220の第4側面224側の端部から第2方向Wに沿って延びている。
【0295】
第1端子フレーム213は、MOSFET12Lのソースを接地させるためのリードフレームであり、PGND端子を構成している。第2端子フレーム214は、電源電圧VCCの印加端であるVCC端子を構成している。第3端子フレーム215は、OUT端子(フレーム205)に印加された電圧が高電圧の印加端(又はこれに準ずる高電位端)にショートした状態を検出する天絡検出端子(FOB端子)を構成している。第4端子フレーム216は、半導体装置1の外部のゲート駆動回路(図示略)からMOSFET11Uのゲートに入力されるゲート駆動信号電圧が印加されるHIN端子を構成している。第5端子フレーム217は、ゲート駆動回路からMOSFET12Lのゲートに入力されるゲート駆動信号電圧が印加されるLIN端子を構成している。第6端子フレーム218は、電源電圧VCCがブーストされたブースト電圧VBの印加端であるVB端子を構成している。
【0296】
第1端子フレーム213及び第4~第6端子フレーム216~218は、第1方向Vにおいて制御フレーム209の接続部212とフレーム205の接続部208との間に配置されている。第2端子フレーム214及び第3端子フレーム215は、第1方向Vにおいて制御フレーム209の接続部212とフレーム201の接続部204との間に配置されている。
【0297】
第1端子フレーム213は、第2方向Wが長手方向となる矩形状のアイランド部213aを有する。アイランド部213aは、第1方向Vにおいて制御フレーム209のアイランド部210とフレーム205の接続部208との間に配置されている。アイランド部213aは、第2方向Wにおいてフレーム205のアイランド部206と隣り合うように配置されている。第4~第6端子フレーム216~218は、第2方向Wにおいて制御フレーム209のアイランド部210及び第1端子フレーム213のアイランド部213aよりも封止樹脂220の第4側面224側に配置されている。第2端子フレーム214及び第3端子フレーム215は、制御フレーム209のアイランド部210よりも封止樹脂220の第4側面224側に配置されている。
【0298】
MOSFET11Uは、フレーム201のアイランド部202において封止樹脂220の第4側面224寄りの部分に半田等により実装されている。すなわち、MOSFET11Uのドレインは、フレーム201のアイランド部202に電気的に接続されている。MOSFET11Uは、そのゲート電極パッド11gが封止樹脂220の第1側面221側かつ第4側面224側となるように配置されている。
【0299】
MOSFET12Lは、フレーム205のアイランド部206において封止樹脂220の第4側面224寄りの部分に半田等により実装されている。すなわち、MOSFET12Lのドレインは、フレーム205のアイランド部206に電気的に接続されている。MOSFET12Lは、そのゲート電極パッド12gがMOSFET11U側かつ封止樹脂220の第4側面224側となるように配置されている。すなわち、図35では、MOSFET11Uの向き(配置姿勢)とMOSFET12Lの向き(配置姿勢)とが同じである。
【0300】
集積回路素子25Aは、制御フレーム209のアイランド部210に半田等により実装されている。集積回路素子25Aは、第2方向WにおいてMOSFET12LよりもMOSFET11U寄りに配置されている。
【0301】
MOSFET11Uのソース電極パッド11sとフレーム205とは、ワイヤ60により電気的に接続されている。これにより、MOSFET11UのソースとMOSFET12Lのドレインとが電気的に接続される。ワイヤ60は、フレーム205のアイランド部206におけるMOSFET12Lよりも封止樹脂220の第3側面223側の部分に接続されている。MOSFET11Uのソース電極パッド11sと集積回路素子25Aとはワイヤ62により接続され、MOSFET11Uのゲート電極パッド11gと集積回路素子25Aとはワイヤ62により接続されている。ゲート電極パッド11gに接続された制御用ワイヤ62は、ソース電極パッド11sに接続された制限用ワイヤの一例であるワイヤ63よりも封止樹脂220の第1側面221側に配置されている。
【0302】
MOSFET12Lのソース電極パッド12sと第1端子フレーム213のアイランド部213aとは、ワイヤ61により電気的に接続されている。ワイヤ61は、第1端子フレーム213のアイランド部213aに接続されている。MOSFET12Lのゲート電極パッド12gと集積回路素子25Aとはワイヤ62により接続され、MOSFET12Lのソース電極パッド12sと集積回路素子25Aとはセンスワイヤ63により接続されている。ゲート電極パッド12gに接続されたワイヤ62は、ソース電極パッド12sに接続されたワイヤ63よりもMOSFET11U側に配置されている。ワイヤ63は、集積回路素子25Aにおけるドライブ回路21ALにおけるソース接地回路21aの第2MOSFET21cのソースに制限配線21eを介して接続されている(図37参照)。これにより、上記第1実施形態の(1-1)の効果に準じた効果を得ることができる。
【0303】
また集積回路素子25Aは、ワイヤ62により、フレーム201、制御フレーム209、及び第1~第6端子フレーム213~218とそれぞれ接続されている。詳述すると、集積回路素子25Aとフレーム201の接続部204とが1本のワイヤ62により接続されている。集積回路素子25Aと制御フレーム209の接続部212とが1本のワイヤ62により接続されている。集積回路素子25Aと第1端子フレーム213におけるアイランド部213aよりも封止樹脂220の第4側面224側の部分とが1本のワイヤ62により接続されている。集積回路素子25Aと第2端子フレーム214とが2本のワイヤ62により接続されている。集積回路素子25Aと第3~第6端子フレーム215~218とがそれぞれ1本のワイヤ62により接続されている。
【0304】
図37及び図38に示すように、半導体装置1は、MOSFET12Lのソースの電圧変動に基づくこのMOSFET12Lのソース-ゲート間電圧の変動を抑制する制限部CVを備える。制限部CVは、制御経路RCとMOSFET12Lのソースとを電気的に接続する制限経路RSを有する。制限経路RSは、MOSFET12Lのソース電極パッド12sと集積回路素子25Aの入力端子25bとを接続するワイヤ63と、ドライブ回路21ALの制限配線21eとを有する。すなわち、ワイヤ63は、制限経路RSの一部を構成している。
【0305】
また半導体装置1は、ドライブ回路21ALとMOSFET12Lのゲートとを電気的に接続され、ドライブ回路21ALの駆動信号が伝送される制御経路RC(図37参照)を備える。制御経路RCは、MOSFET12Lのゲート電極パッド12gと集積回路素子25Aの出力端子25aとを接続するワイヤ62と、ドライブ回路21ALの出力配線21dとを有する。すなわち、MOSFET12Lのゲート電極パッド12gと出力端子25aとを接続するワイヤ62は、制御経路RCの一部を構成している。
【0306】
図38に示す変形例において、MOSFET12Lのソース電極パッド12sに接続されたワイヤ62とドライブ回路21ALの出力配線21dとの間にダイオード13を追加してもよい。これにより、上記第2実施形態の(2-1)の効果に準じた効果を得ることができる。なお、ダイオード13は、集積回路素子25Aの内部に設けられてもよいし、集積回路素子25Aとは個別の半導体チップとして設けられてもよい。
【0307】
図38に示す変形例において、MOSFET11U,12Lの向きは任意に変更可能である。一例では、図39に示すように、MOSFET11Uのゲート電極パッド11gが制御回路20に接近するようにMOSFET11Uの向きを変更する。詳述すると、MOSFET11Uのゲート電極パッド11gがMOSFET11Uの表面において制御回路20側かつMOSFET12L側に位置するようにMOSFET11Uが配置されている。この場合、制御回路20とMOSFET11Uのゲート電極パッド11gとを接続するワイヤ62は、制御回路20とMOSFET11Uのソース電極パッド11sとを接続するワイヤ62よりもMOSFET12L側に配置されている。なお、図39に示す変形例において、MOSFET12Lのソース電極パッド12sと制御回路20とを接続するワイヤ62を省略してもよい。
【0308】
・上記各実施形態において、MOSFET11U~11Wのフレーム31のアイランド部31aに対する向き(配置姿勢)は任意に変更可能である。例えば、MOSFET11Uのゲート電極パッド11gが集積回路素子25Hに接近するようにMOSFET11Uの向き(配置姿勢)を変更してもよい。この構成によれば、第3実施形態の効果に準じた効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0309】
1 半導体装置10A インバータ回路10U 第1インバータ回路10V 第2インバータ回路10W 第3インバータ回路11 第1スイッチング素子11U,11V,11W MOSFET(第1スイッチング素子)12 第2スイッチング素子12U,12V,12W MOSFET(第2スイッチング素子)12s ソース電極パッド(グランド電極パッド)12g ゲート電極パッド(制御電極パッド)13 ダイオード14U 第1ダイオード(第2ダイオード、第6ダイオード)14V 第2ダイオード(第2ダイオード、第7ダイオード)14W 第3ダイオード(第2ダイオード、第8ダイオード)15U 第1ダイオード(第1ダイオード、第3ダイオード)15V 第2ダイオード(第1ダイオード、第4ダイオード)15W 第3ダイオード(第1ダイオード、第5ダイオード)21 ドライブ回路(駆動信号出力回路)21UU ドライブ回路(第1制御回路)21VU ドライブ回路(第1制御回路)21WU ドライブ回路(第1制御回路)21UL ドライブ回路(第2制御回路、第3制御回路)21VL ドライブ回路(第2制御回路、第4制御回路)21WL ドライブ回路(第2制御回路、第5制御回路)21a ソース接地回路21d 出力配線21e 制限配線22 論理回路22UU 論理回路(第1制御回路)22VU 論理回路(第1制御回路)22WU 論理回路(第1制御回路)22UL 論理回路(第2制御回路、第3制御回路)22VL 論理回路(第2制御回路、第4制御回路)22WL 論理回路(第2制御回路、第5制御回路)25L 集積回路素子(第2制御回路の集積回路素子)25a 出力端子25au 第1出力端子(出力端子)25av 第2出力端子(出力端子)25aw 第3出力端子(出力端子)25b 入力端子25bu 第1入力端子(入力端子)25bv 第2入力端子(入力端子)25bw 第3入力端子(入力端子)32U 第1フレーム32V 第2フレーム32W 第3フレーム35U フレーム(グランドフレーム、第1グランドフレーム)35V フレーム(グランドフレーム、第2グランドフレーム)35W フレーム(グランドフレーム、第3グランドフレーム)60 ワイヤ60U 第1ワイヤ(第1電力用ワイヤ)60V 第2ワイヤ(第2電力用ワイヤ)60W 第3ワイヤ(第3電力用ワイヤ)61 ワイヤ61U 第1ワイヤ(第4電力用ワイヤ)61V 第2ワイヤ(第5電力用ワイヤ)61W 第3ワイヤ(第6電力用ワイヤ)62 制御用ワイヤ62U 第1ワイヤ62V 第2ワイヤ62W 第3ワイヤ63 ワイヤ(制限用ワイヤ)63U 第1ワイヤ(第1制限用ワイヤ)63V 第2ワイヤ(第2制限用ワイヤ)63W 第3ワイヤ(第3制限用ワイヤ)64U 第1ダイオード用ワイヤ(第4ダイオード用ワイヤ)64V 第2ダイオード用ワイヤ(第5ダイオード用ワイヤ)64W 第3ダイオード用ワイヤ(第6ダイオード用ワイヤ)65U 第1ダイオード用ワイヤ65V 第2ダイオード用ワイヤ65W 第3ダイオード用ワイヤRC 制御経路RC1 第1制御経路RC2 第2制御経路RC3 第3制御経路RS 制限経路RS1 第1制限経路RS2 第2制限経路RS3 第3制限経路CV 制限部CV1 第1制限部CV2 第2制限部CV3 第3制限部CP1 第1制限部CP2 第2制限部CP3 第3制限部
図1
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