IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユーオーピー エルエルシーの特許一覧

<>
  • 特許-タービンを備えた蒸気再沸器 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】タービンを備えた蒸気再沸器
(51)【国際特許分類】
   F01K 7/22 20060101AFI20220927BHJP
   F01K 9/00 20060101ALI20220927BHJP
   F01K 17/02 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
F01K7/22 D
F01K9/00 F
F01K17/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020549649
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 US2019022428
(87)【国際公開番号】W WO2019178455
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-09-15
(31)【優先権主張番号】15/923,995
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、ジェームズ ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】フレイ、スタンレー ジョセフ
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-515074(JP,A)
【文献】米国特許第07267746(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 7/22
F01K 7/38
F01K 9/00
F01K 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンを備えた蒸気再沸器システムから電力を回収するためのプロセスであって、
再沸器内で処理ユニットからの入口液体プロセスストリームを蒸気相及び液相に変換すること、
入口及び出口を有する熱交換器を用いて、前記再沸器内の前記入口液体プロセスストリームを、蒸気のストリームによって加熱すること、
前記入口液体プロセスストリームを加熱する前に、前記蒸気のストリームの圧力をタービンによって低減することであって、圧力の低減後の前記蒸気は過熱蒸気を含み、前記タービンを通過した後の前記蒸気内の過熱の程度が20℃未満である、低減すること
前記入口液体プロセスストリームを加熱した後に、前記出口から凝縮水を回収すること、
前記タービン内で、タービンホイールを回転させることであって、前記タービンホイールが回転運動を発電機に伝えるように構成されていること、
前記タービンによって発電すること、
前記タービンによって生成された電気量に関する前記タービンからの情報を受信すること、
前記処理ユニットのスループットに関連する情報を受信すること、および
前記処理ユニットのスループットに関連する前記情報に部分的に基づいて、発電目標を判定することを備え、
前記タービンによって生成された前記電気量が前記発電目標を満たすか又は超え、前記プロセスはさらに、
前記蒸気のストリームを生成するヒータへの燃料の流れを低下させながら、前記処理ユニットのスループットを維持することを備える、プロセス。
【請求項2】
前記凝縮水をタービンに通過させることを更に備える、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、化学処理又は精製ユニットにおける再沸器、特に蒸気再沸器、特に、エネルギーを電気に変換するタービンを含む蒸気再沸器に関する。
【背景技術】
【0002】
化学的精製及び処理方法は、液体を再沸器によって蒸気に変換することを伴うことが多い。再沸器のための1つのそのような例は、チューブインシェル蒸気再沸器である。蒸気再沸器では、蒸気は、熱エネルギーをプロセス液に伝達することによって凝縮される。プロセス液は、熱エネルギーによって気化され、プロセス蒸気としてプロセスに戻され、例えば分画カラムでは、蒸気は、他の分子と相互作用し、分画カラム内の異なる成分に分離する。
【0003】
そのような再沸器は、多くの場合、再沸器に関連する様々なストリームの圧力又は温度を調整するために、1つ以上の制御弁を利用する。例えば、制御弁を利用して、蒸気ストリームの圧力を低下させて、再沸器内の熱交換器における蒸気の最終温度を制限する。更に、制御弁は、任意の過熱を除去するために蒸気と混合されるボイラ給水によって利用される。ボイラ給水は、はるかに高い圧力であるため、ボイラ水の圧力を低下させるために制御弁が必要となり、蒸気と混合されることを可能にする。更にまた、再沸器内で蒸気が熱交換器において凝縮されると、制御弁は、熱い凝縮水と共に利用されて、再沸器のデューティを調整する。
【0004】
再沸器は、それらの意図された目的を達成するが、制御弁は、ストリームの圧力低下に関連するエネルギー損失源である。具体的には、制御弁において、機械的エネルギーは、熱力学的に断熱され、非常に不可逆的なプロセスで弁によって消散される。そのような不可逆的プロセスでエネルギーが除去されるため、回収せずに圧力低下を介してエネルギーが失われる。
【0005】
制御弁にわたる圧力低下は不可逆的であるため、弁の入口よりも大量の過熱を伴うより低い圧力蒸気をもたらす。熱交換器表面積の有用性を最大化する目的で、蒸気は、熱交換器表面積を最小化するために、熱交換器に入ると直ちに凝縮される必要がある。例えば20℃を超えるような大量の過熱では、大量の交換器表面積が、蒸気からの顕熱除去のゆっくりとした熱伝達に関与する。熱交換器における蒸気の迅速な凝縮を確実にするために、蒸気過熱を最小化するために、いくらかの水が制御弁の下流の蒸気に添加される。この水の添加は、システムにコストを追加するため、最小化されるか又は排除されることが望ましい。
【0006】
制御弁にわたって消散されるエネルギーに戻ると、この消散エネルギーは、多くの場合、システムに加えられるエネルギーに関連する。したがって、回収を伴わずにエネルギーを除去するためにエネルギーを供給することのみに関連するプロセスにおいて、固有の非効率性が存在する。過去には、このエネルギーを回収するコストは、正当化されていなかった。しかしながら、エネルギー効率の向上及び温室効果ガス排出の低減の義務が増加するのに伴い、これらの見落とされがちな非効率性の排除は、これらの新たな義務に対処する手段を提供する。更に、この非効率性は、プロセッサが動作コストを低下させ、したがって利益を増加させるための機会である。
【0007】
したがって、再沸器からエネルギーを回収するための有効且つ効率的な装置及びプロセスが必要とされている。更に、そのような装置及びプロセスでは、プロセッサが追加されたエネルギーを除去する非効率性を分析し、処理/精製ユニットの全体的なスループットに影響を与えることなく、追加されたエネルギーを最小化するために処理条件を調整することを可能にすることが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、従来の再沸器に関連する1つ以上の欠点を解消することを試みる。具体的には、本発明によれば、再沸器内の制御弁は、タービンに置き換えられる。タービンにより、再沸器ユニットによって同じ圧力低下が達成される。しかしながら、制御弁とは異なり、タービンは、除去されたエネルギーを、処理ユニット内の他の場所で利用される電気エネルギーに変換し、過熱除去のためにより少ない水しか必要としない蒸気から過熱の大部分を除去する。タービン後の蒸気ラインにおける過熱量を20℃未満の過熱まで、最も好ましくは5℃未満の過熱まで低減することが好ましい。したがって、タービンは、従来の制御弁に勝る利点を提供する。上述した再沸器において、タービンは、除去されるエネルギー量に関する情報を提供することができる。この情報は、プロセスに加えられるエネルギーの量を低減する様々な処理条件の調整を判定するために利用されることができる。これは、プロセッサが、処理ユニットのスループットを低減することなく、処理ユニットをより効率的に動作させることを可能にする。
【0009】
本発明は、少なくとも1つの態様において、以下により、タービンを備えた蒸気再沸器システムから電力を回収するためのプロセスを提供することを特徴とすることができる:再沸器において入口液体プロセスストリームを蒸気相及び液相に変換すること;入口及び出口を有する熱交換器を用いて、再沸器内の入口液体プロセスストリームを、蒸気のストリームによって加熱すること;入口液体プロセスストリームを加熱する前に、蒸気のストリームの圧力をタービンによって低減すること;入口液体プロセスストリームを加熱した後に、出口から凝縮水を回収すること;タービン内で、タービンホイールを回転させることであって、タービンホイールが回転運動を発電機に伝えるように構成されていること;及びタービンによって発電すること。
【0010】
第2の態様では、本発明は、一般に、以下により、タービンを備えた蒸気再沸器から電力を回収するためのプロセスを提供することを特徴とすることができる:液体プロセスストリームを再沸器に通すこと;蒸気のストリームを再沸器内に配置された熱交換器に通すこと;再沸器内の液体プロセスストリームを蒸気のストリームによって加熱すること;熱交換器から凝縮水のストリームを回収すること;液体プロセスストリーム及び液体プロセスストリームの蒸気部分を含む混合ストリームを再沸器から回収すること;凝縮水回収ライン内、蒸気供給ライン内、又はその双方に配置された少なくとも1つのタービンによって蒸気のストリームの流れ又は圧力を制御すること;及び少なくとも1つのタービンによって発電すること。
【0011】
更に第3の態様では、本発明は、広義には、再沸器内で液体ストリームを沸騰させるための装置を提供することを特徴とすることができる。装置は、液体プロセスストリームを受容するように構成された少なくとも1つの入口と、液体プロセスストリーム及び液体プロセスストリームの蒸気部分を含む混合ストリームを提供するように構成された少なくとも1つの出口とを有する容器を含む。装置は、シェル内に配設され且つ液体プロセスストリームが熱交換器内の蒸気から熱を吸収することを可能にするように構成された熱交換器を更に含む。更に、熱交換器の出口と連通する凝縮水回収ラインと、熱交換器の入口と連通する蒸気供給ラインとが存在する。装置は、発電機に回転運動を伝えるように構成されたタービンホイールを備える少なくとも1つのタービンであって、凝縮水回収ライン内、蒸気供給ライン内、又はその双方に配置される、少なくとも1つのタービンを含む。
【0012】
その全てが任意の方法で組み合わせることができる、本発明の更なる態様、実施形態、及び詳細は、以下の本発明の詳細な説明に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の1つ以上の例示的な実施形態は、添付の図1と併せて以下に記載される。
図1】本発明の1つ以上の態様において利用される再沸器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述したように、本発明の様々な実施形態では、圧力低下からエネルギーを回収するための1つ以上のタービンを備える再沸器が使用される。電気エネルギーの形態のエネルギーは、処理ユニット内の他の場所で使用される。更に、タービンによって生成される電気エネルギー量に関連する情報を使用して、処理ユニットのスループット以外の処理条件を調整し、処理ユニットのより効率的な動作を提供する。
【0015】
これらの一般原理を念頭に置いて、以下の説明が限定することを意図するものではないことを理解しながら本発明の1つ以上の実施形態について説明する。
【0016】
図1は、処理ユニット(図示せず)のための少なくとも1つの入口14と少なくとも1つの出口18とを備える容器12を備える外部再沸器システム10を示す。液体プロセスストリーム16は、入口14を介して容器12内に通され、典型的には液体部分と蒸気部分との2相混合物である混合プロセスストリーム20が出口18を介して容器12から回収される。
【0017】
容器12の内部には、容器12内の液体が熱を吸収することを可能にするように構成された熱交換器22がある。熱交換器22は、入口24及び出口26を含む。本発明の様々な態様では、熱交換器の入口24は、蒸気供給ライン28から蒸気を受け取る。蒸気は、プロセス液に伝達される熱エネルギーを提供する。凝縮水は、熱交換器22の出口26と連通する凝縮水回収ライン30を介して熱交換器22から回収される。熱交換器22が蒸気から熱を吸収することを可能にする限り、熱交換器22の任意の特定の構成を本発明を実施するために使用することができる。例えば、熱交換器は、シェル12内に延在する1つ以上の管を含んでもよい。熱交換器22は、容器12の内部にあってもよく(図示されるように)、又は容器12に外部接続されてもよい。
【0018】
最初に記載したように、従来の再沸器では、蒸気が熱交換器22に供給される前、且つ凝縮水が熱交換器22から回収された後に、制御弁が様々なストリームの圧力を調整するために利用される。本発明によれば、制御弁を使用する代わりに、タービン32、34、36が再沸器内に設けられて、必要とされる圧力低下及び流量制御を生じさせ、圧力低下に関連する一部のエネルギーを回収することを可能にする。
【0019】
例えば、図に示される実施形態では、タービン32は、蒸気供給ライン28内に位置する。このタービン32は、過剰な熱が熱交換器22に導入されることを回避するために蒸気の圧力を低下させる。更に、ボイラ給水供給ライン38は、ボイラ給水の圧力が低下するにつれてエネルギーを回収するタービン34を含む。ボイラ給水の圧力が低下すると、ボイラ給水は、蒸気供給ライン28内の蒸気と混合されて蒸気から任意の過熱を除去し、熱交換器22に供給される蒸気の温度を更に制御する。特に、タービン32を制御弁とは対照的に使用する結果として、ボイラ給水供給ライン38の使用は、互いに大幅に低減又は排除されることができる。最後に、タービン36はまた、凝縮器の圧力低下に関連するエネルギーを回収して、交換器のデューティを調整し、低圧凝縮水回収システムに通過させるために、凝縮水回収ライン30にも位置する。3つのタービン32、34、36を有する再沸器10の図示された構成は、本質的に例示的であることが意図されることを理解されたい。他の構成が利用されてもよい。
【0020】
タービン32、34、36の具体的な構成はまた、本発明の実施に特に重要ではない。例示的なタービン及びその詳細は、全て参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,625,125号、同第4,694,189号、同第4,754,156号及び同第9,203,969号に記載されている。明確にするために、凝縮水回収ライン30内のタービン36は、他のタービン32、34が同様の要素を含むことを理解しながら説明される。
【0021】
各タービン32、34、36は、タービンホイール40を通過する流体ストリームの流れによって生成された回転運動を発電機44に伝達するか、又は伝えるように構成されたブレード42を有するタービンホイール40を備える。発電機44は、一般に、タービンホイール40と連通する第1の巻線46と、第1の巻線46を包囲し且つ第1の巻線46に対して静止した第2の巻線48とを含む。理解されるように、第1の巻線46の回転は、第2の巻線46に電流を生じさせる。更に、タービン32、34、36は、タービン32、34、36によって発生された電気量を計測するように構成されたプロセッサ50と、タービン32、34、36によって生成された電気量に関連する情報を処理ユニットの制御センター56におけるコンピュータ54に送信するように構成された送信機52と、を備えてもよい。
【0022】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明に係るプロセスは、ガスプロセスストリームの一部を1つ以上の可変抵抗タービンを介して導き、ガスプロセスストリームの流量を制御し、任意選択的に、そこから発電することと、電力回収タービンを出るガスがガス相内に残留するようにガスプロセスストリームの圧力及び温度を制御することと、いくつか挙げると、可変ノズルタービン、入口可変ガイドベーン、又は直接連結された可変電気負荷を使用して流量を測定するか若しくは流量を制御するか又はその双方を行い、タービンを通過する流れに対する抵抗を変化させることと、を備える。また、可変抵抗タービンの回転に対する抵抗は、タービン上で回転している磁石(単数又は複数)からの磁界内にある外部可変負荷電気回路によって変化させることができる。より多くの負荷が回路上に置かれると、タービンの回転に対するより高い抵抗が存在する。これは、ひいては、タービンにわたってより多くの圧力低下を与え、プロセスストリームの流れを遅くする。装置内のアルゴリズムはまた、タービンRPM及び回路上の負荷を測定することによって、装置を通る実際の流れを計算することができる。回転流に対する抵抗はまた、可変位置入口ガイドベーンによって変化させることができる。いくつかの実施形態では、電力は、発電回路上のガイドベーン又は可変負荷のいずれかによって可能にされる流れに対する可変抵抗を有する電力回収タービンを介して生成される。ガイドベーン位置、電力出力及びRPMを使用して実際の流れを計算するためのアルゴリズムを使用することができる。
【0023】
タービンの遅い制御応答が問題である場合、タービンの使用は、遅い応答又は「緩い」制御点用途に限定される。遅い応答の用途は、変化の半分が完了するまでに、少なくとも1秒、更にはそれ以上、例えば10秒、少なくとも1分、少なくとも10分、又は1時間以上からなる、新たな(又は目標の)状態が元の(又は開始時の)状態とは少なくとも10%異なる場合に元の(又は開始時の)定常状態条件からの新たな(又は目標の)定常状態条件(例えば、温度、圧力、流量)間の中間(すなわち、差の50%)に到達するまでの応答時間を有するように想定される。
【0024】
本発明の様々な態様に係るプロセスでは、プロセス流体は、再沸器10内で液相から混合液/蒸気相に変換される。変換に必要な熱は、蒸気供給ライン28内の蒸気によって熱交換器22に供給される。熱交換器22では、プロセス液によって蒸気から熱が吸収され、蒸気を凝縮させ、プロセス液を気化させる。凝縮水は、熱交換器22の出口26から回収される。
【0025】
蒸気を熱交換器22に通す前に、蒸気がタービン32を通過することによって蒸気の圧力が低下する。タービン32内では、そこを通過する蒸気は、タービンホイール40を回転させ、既知のように、発電機44を介して発電する。追加的に、及び代替的に、凝縮水回収ライン内の凝縮水の圧力は、同じ又は同様の方法で発電もするタービン36によって低減される。更にまた、蒸気と混合されたボイラ給水は、ボイラ給水の圧力を低下させるためにタービン34を通過して、同じ又は同様の方法で発電もする。圧力低下のために制御弁を利用するプロセスとは異なり、本発明は、圧力低下によって除去されたエネルギーの一部の電気への変換を提供する。
【0026】
本発明は、プロセス制御システムを用いて実装されることができる。本明細書に開示される実施形態に関連して説明されるプロセス制御システムは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)若しくは他のプログラム可能な論理デバイス、別個のゲート若しくはトランジスタロジック、別個のハードウェア構成要素、又は本明細書に記載される機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせを備えるコンピュータ上で実装又実行されることができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよく、又はプロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、若しくはステートマシンであってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、2つ以上のマイクロプロセッサ、又は前述の任意の他の組み合わせであってもよい。
【0027】
プロセス制御システムに関連するプロセスのステップは、ハードウェアに直接含まれるアルゴリズム、5つのプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、又は2つの組み合わせで具現化されてもよい。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能ディスク、CD-ROM、又は当該技術分野において既知の任意の他の形態の記憶媒体内に存在してもよい。例示的な記憶媒体は、記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むプロセッサと通信する。これは、プロセッサと一体であるか、又はプロセッサを備える記憶媒体を含む。プロセッサ及び記憶媒体は、ASIC内に存在してもよい。ASICは、ユーザ端末に存在してもよい。あるいは、プロセッサ及び記憶媒体は、ユーザ端末内の別個の構成要素として存在してもよい。これらの装置は、単に、コンピュータ可読記憶媒体の例示的な非限定的な例であることを意図するにすぎない。プロセッサ及び記憶媒体又はメモリはまた、典型的には、入力チャネル、制御ロジックのプロセッサ、制御システム内の出力チャネル及び制御センター内のオペレータステーションの間など、異なる構成要素、コンピュータプロセッサなどの間の有線又は無線通信を可能にするハードウェア(例えば、ポート、インターフェース、アンテナ、増幅器、信号プロセッサなど)と通信する。
【0028】
コンピュータ及びプロセッサに対する通信とは、情報又はデータを送信及び受信する能力を指す。データ又は情報の送信は、(例えば、Wi-Fi又はBluetoothによる)無線送信又は(例えば、イーサネットRJ45ケーブル又はUSBケーブルを使用する)有線送信とすることができる。無線送信の場合、無線送受信機(例えば、Wi-Fi送受信機)は、各プロセッサ又はコンピュータと通信する。送信は、コンピュータの要求において、コンピュータからの要求に応答して、又は他の方法で自動的に実行されることができる。データは、任意の組み合わせでプッシュ、プル、フェッチなどされることができ、又は任意の他の方法で送信及び受信されることができる。
【0029】
したがって、本発明によれば、プロセス制御システムは、タービン32、34、36によって生成された電気量に関するタービン32、34、36からの情報を受信することが想定される。タービン32、34、36は、生成した電気量を(プロセッサ50を介して)判定することが想定される。あるいは、情報を受信するプロセス制御システムは、タービン32、34、36によって生成された電気量を判定する。いずれの構成においても、タービン32、34、36によって生成された電気量が、制御センター56内のコンピュータ54に関連する少なくとも1つの表示画面58上に表示される。処理ユニットが複数のタービン32、34、36を備える場合、プロセス制御システムは、タービン32、34、36のそれぞれによって生成された電気量に関連する情報を受信することが更に想定される。プロセス制御システムは、タービン32、34、36のそれぞれに関連する情報に基づいて生成された総電力を判定し、少なくとも1つの表示画面58上に生成された総電力を表示する。生成された総電力は、個々のタービン32、34、36によって生成される電力量の代わりに、又はそれと共に表示されてもよい。
【0030】
上述したように、タービン32、34、36によって回収される電気エネルギーは、多くの場合、処理ユニット内のストリームに加えられたストリームからエネルギーを除去する結果である。したがって、本発明に係るプロセスは、蒸気(単数又は複数)に加えられるエネルギーを低下させるために調整されるように処理ユニットに関連する様々な処理条件を提供することが想定される。
【0031】
例えば、シミュレーションが、特定の単位供給及び製品速度に対して最適な性能で利用可能な回収された電気エネルギーの量を判定するために実行される。そして、この回収された電気エネルギーの量は、最適な動作点において、この同じ量の供給物及び製品のために、タービン36を通る流れを、再沸器10内で使用される蒸気量まで低減するための基準となる。
【0032】
プロセス制御システムは、処理ユニットのスループットに関連する情報を受信し、電気が典型的には処理ユニット全体に加えられるエネルギーを表すため、タービン(単数又は複数)の目標発電値を判定することが想定される。目標発電値の判定は、電気が所定レベル又はその付近にあるときに行われてもよい。換言すれば、生成された電気量が所定レベルを満たすか又は超える場合、プロセス制御システムは、1つ以上の処理条件を判定して、目標発電値に到達するまで発生する電気量を調整及び低下させることができる。
【0033】
したがって、プロセス制御システムは、処理ユニットに関連する様々な処理条件に対する1つ以上の変化を分析して、再沸器10のタービンによって回収されるエネルギー量を低下させる。好ましくは、処理条件は、処理ユニットのスループットを調整することなく調整される。これは、処理ユニットが同じスループットを有することができるが、同じスループットに関連するより低い動作コストを有することを可能にする。プロセス制御システムは、少なくとも1つの表示画面58上に生成された目標発電値と総電力との間の差を計算及び表示することができる。
【0034】
例えば、プロセス制御システムは、生成された総電力が所定レベルを超えることを認識してもよい。したがって、プロセス制御システムは、目標発電値を判定することができる。処理ユニットに典型的には関連する他のセンサ及びデータ収集装置から受信した他のデータ及び情報に基づいて、プロセスシミュレーションソフトウェアは、再沸器の蒸気に関連するヒータ内で消費された燃料量を低下させることができると判定してもよい。処理ユニットのスループットを維持しながら、ヒータ内で消費された燃料量を低下させる。これは、タービンによって生成された電気を低下させることができると共に、より低い燃費は、同じスループットのためのより低い動作コストを提供する。
【0035】
したがって、本発明が、処理ユニット内の他の場所で使用される形態に失われるエネルギーを変換するだけでなく、処理ユニットは、処理ユニット全体に関連するエネルギー入力を低下させ、よりエネルギー効率の高いプロセスを利用することによって利益を高める機会を提供する。
【0036】
その詳細は十分に当業者の知識の範囲内であり且つ本発明の実施形態を実践又は理解するためにその説明は必要ではないと考えられるため、ポンプ、フィルタ、冷却器などの様々な他の構成要素が図面に示されたことは、当業者によって認識及び理解されるべきである。
特定の実施形態
【0037】
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、この説明は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲を例示するものであり、限定するものではないことが理解されるであろう。
【0038】
本発明の第1の実施形態は、タービンを備えた蒸気再沸器システムから電力を回収するためのプロセスであって、再沸器において入口液体プロセスストリームを蒸気相及び液相に変換することと、入口及び出口を有する熱交換器を用いて、再沸器内の入口液体プロセスストリームを、蒸気のストリームによって加熱することと、入口液体プロセスストリームを加熱する前に、蒸気のストリームの圧力をタービンによって低減することと、入口液体プロセスストリームを加熱した後に、出口から凝縮水を回収することと、タービン内で、タービンホイールを回転させることであって、タービンホイールが回転運動を発電機に伝えるように構成されていること;及びタービンによって発電すること。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、凝縮水をタービンに通過させることを更に備える。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、入口液体プロセスストリームを加熱する前に、蒸気のストリームを水ストリームと混合することを更に備える。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービンを通過した後の蒸気内の過熱の程度が20℃未満である。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービンを通過した後の蒸気内の過熱の程度が5℃未満である。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、タービンによって生成された電気量に関するタービンからの情報を受信することと、タービンによって生成された電気量を少なくとも1つの表示画面に表示することと、を更に備える。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、プロセスストリームが処理ユニットからのものであり、プロセスが、処理ユニットのスループットに関連する情報を受信することと、処理ユニットのスループットに関連する情報に部分的に基づいて、発電目標を判定することと、を更に備える。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、発電目標に基づいて処理ユニットの少なくとも1つのプロセスパラメータを調整しながら、処理ユニットのスループットを維持することを更に備える。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、処理ユニットが、発電するようにそれぞれ構成された複数のタービンを備え、プロセスが、タービンのそれぞれによって生成された電気量に基づいて総発電値を判定することと、少なくとも1つの表示画面上に総発電値を表示することと、を備える。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、発電目標値とタービンによって生成された電気量との差を判定することと、少なくとも1つの表示画面上に差を表示することと、を更に備える。
【0039】
本発明の第2の実施形態は、タービンを備える蒸気再沸器から電力を回収するためのプロセスであって、液体プロセスストリームを再沸器に通すことと、蒸気のストリームを再沸器内に配置された熱交換器に通すことと、再沸器内の液体プロセスストリームを蒸気のストリームによって加熱することと、熱交換器から凝縮水のストリームを回収することと、液体プロセスストリーム及び液体プロセスストリームの蒸気部分を含む混合ストリームを再沸器から回収することと、凝縮水回収ライン内、蒸気供給ライン内、又はその双方に配置された少なくとも1つのタービンによって蒸気のストリームの流れ又は圧力を制御することと、少なくとも1つのタービンによって発電することと、を備える、プロセスである。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも1つのタービンが、凝縮水回収ライン内に配置され、第2のタービンが、蒸気供給ライン内に配置されている。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、蒸気供給ラインが、第2のタービンの下流で、給水ラインと連通している。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、給水ラインが、第3のタービンを含む。
【0040】
本発明の第3の実施形態は、再沸器内で液体ストリームを沸騰させるための装置であって、液体プロセスストリームを受容するように構成された少なくとも1つの入口と、液体プロセスストリームと液体プロセスストリームの蒸気部分とを含む混合ストリームを提供するように構成された少なくとも1つの出口と、を備えるシェルと、シェル内に配置され且つ液体プロセスストリームが熱交換器内の蒸気から熱を吸収することを可能にするように構成された熱交換器と、熱交換器の出口と連通する凝縮水回収ラインと、熱交換器の入口と連通する蒸気供給ラインと、発電機に回転運動を伝えるように構成されたタービンホイールを備える少なくとも1つのタービンであって、凝縮水回収ライン内、蒸気供給ライン内、又はその双方に配置された少なくとも1つのタービンと、を備える。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第3の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも1つのタービンが、凝縮水回収ライン内に配置され、第2のタービンが蒸気供給ライン内に配置されている。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第3の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも1つのタービンが、蒸気供給ライン内に配置されている。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第3の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも1つのタービンが、蒸気供給ライン内に配置され、装置が、タービンの下流の蒸気供給ラインと連通する給水ラインを更に備える。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第3の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、給水ライン内に配置された第2のタービンを更に備える。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第3の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも1つのタービンに関連する送信機を更に備え、送信機が、タービンによって生成された電気量に関連する情報を送信するように構成されている。
【0041】
更に説明することなく、前述の説明を用いて、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限に利用し、本発明の本質的な特性を容易に確認でき、本発明の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0042】
上記では、全ての温度は摂氏度で記載され、全ての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
【0043】
少なくとも1つの例示の実施形態が本発明の前述の詳細な説明において提示されてきたが、膨大な数の変形例が存在することを理解されたい。例示の実施形態又は複数の例示の実施形態は、あくまで例示であり、いかなるようにも本発明の範囲、適用性、又は構成を制限する意図がないこともまた理解されたい。むしろ、前述の詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を実装するための便利な指針を当業者に提供し、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態において説明される要素の機能及び配置において様々な変更がなされ得ることが理解される。
図1