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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】媒体導管用の接続装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/088 20060101AFI20220927BHJP
【FI】
F16L37/088
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020552370
(86)(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2019057842
(87)【国際公開番号】W WO2019185783
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】102018107507.3
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513119118
【氏名又は名称】フォス オートモーティブ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】VOSS Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Leiersmuehle 2-6, D-51688 Wipperfuerth, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴァシュケヴィッツ, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲン, ヘラルド
(72)【発明者】
【氏名】クレー, アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】エンゲラルド, フランク
(72)【発明者】
【氏名】ヘス, ヨッヘム-アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ロゾウスキ, エヴェリン
(72)【発明者】
【氏名】ハトゥム, イハブ
(72)【発明者】
【氏名】ハスベルグ, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ブロムバッハ, ミヒャエル
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-510888(JP,A)
【文献】実開昭59-132318(JP,U)
【文献】特表2005-535845(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0008928(US,A1)
【文献】特開2014-137141(JP,A)
【文献】特開2000-104877(JP,A)
【文献】特開2010-007700(JP,A)
【文献】特開2006-242383(JP,A)
【文献】米国特許第05683117(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの連結エレメント(2)と、少なくとも一つのインサート部材(3)と、少なくとも一つの固定エレメント(4)とを備える媒体導管用の接続装置(1)であって、
前記連結エレメント(2)は、少なくとも一つの接続開口部(5)と、少なくとも一つの流体通路(6)とを有し、
前記インサート部材(3)は、前記接続開口部(5)内に少なくとも部分的に取付可能であり、前記固定エレメント(4)を用いて前記連結エレメント(2)に固定可能であり、
前記固定エレメント(4)は、前記連結エレメント(2)に移動可能に保持され、少なくとも一つの制御面(7)を有し、
前記インサート部材(3)を組立力の作用下で前記接続開口部(5)内へ取り付ける際に、前記インサート部材(3)は、前記固定エレメント(4)が復元力に対抗して開始位置から移動するように前記制御面(7)に作用し、前記復元力は、前記固定エレメント(4)の少なくとも部分的な弾性変形により生じ、および、
前記組立力が十分な場合に、前記インサート部材(3)は、前記制御面(7)に沿ってスライドして通り過ぎ、前記固定エレメント(4)は、前記復元力の作用により再び前記開始位置に移動しかつ前記インサート部材(3)を連結様式でロックし、
前記組立力が十分でない場合には、前記固定エレメント(4)は、前記復元力の作用下で前記開始位置に再び移動しかつ前記インサート部材()は、前記制御面(7)によって前記接続開口部(5)から少なくとも部分的に押し出され、
前記インサート部材(3)は、媒体導管用の結合インターフェース(8)を提供し、
前記固定エレメント(4)は、前記連結エレメント(2)の少なくとも一つの切欠(9)内にガイドされ、
前記切欠(9)は、少なくとも一つのウェブ(10)を有し、
前記少なくとも一つのウェブ(10)は、前記切欠(9)を取り囲む壁部が弱くなることを防止するように前記切欠(9)に広がり、
前記固定エレメント(4)は、少なくとも四つのラッチ面(12)を有し、
前記ラッチ面(12)は、ロックされた組立状態で、前記インサート部材(3)と前記連結様式で相互作用し、
前記固定エレメント(4)は、複数の突出部(22)を有し、各前記突出部(22)には、少なくとも一つの前記ラッチ面(12)と、少なくとも一つの前記制御面(7)とが形成されていることを特徴とする媒体導管用の接続装置(1)。
【請求項2】
前記固定エレメント(4)は、少なくとも二つの前記制御面(7)を有することを特徴とする請求項1に記載の接続装置(1)。
【請求項3】
前記制御面(7)は、前記固定エレメント(4)の移動平面(B)に対して30°~50°の傾斜を有することを特徴とする請求項に記載の接続装置(1)。
【請求項4】
前記少なくとも一つの制御面(7)は、前記ラッチ面(12)に隣接して形成されていることを特徴とする請求項に記載の接続装置(1)。
【請求項5】
前記固定エレメント(4)は、前記連結エレメント(2)を少なくとも部分的に把持し、前記固定エレメント(4)の第一の端部領域(14)と第二の端部領域(15)とが互いに向かい合うように配置されことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の接続装置(1)。
【請求項6】
前記固定エレメント(4)の前記第一の端部領域(14)内及び/又は前記第二の端部領域(15)内に、少なくとも一つのガイド突出部(16)が形成され
前記ガイド突出部(16)は、前記開始位置から移動する際に、前記固定エレメント(4)を弾性変形するために、前記連結エレメント(2)の少なくとも一つの対応するガイド面(17)沿うようにスライドることを特徴とする請求項に記載の接続装置(1)。
【請求項7】
前記ガイド面(17)は、前記接続開口部(5)の中心軸(A)を中心とする仮想円に対して接線方向に位置設定されていることを特徴とする請求項6に記載の接続装置(1)。
【請求項8】
前記第一の端部領域(14)と前記第二の端部領域(15)とに相互作用する前記ガイド面(17)は、相互に反対方向に傾斜されていることを特徴とする請求項7に記載の接続装置(1)。
【請求項9】
前記復元力は、前記固定エレメント(4)の材料の選択により、及び/又は前記ガイド突出部(16)と前記ガイド面(17)との位置設定により調節されることを特徴とする請求項7または8に記載の接続装置(1)。
【請求項10】
前記固定エレメント(4)は少なくとも一つのラッチ突起(18)有し、
前記ラッチ突起(18)は、組立状態で、前記インサート部材(3)のラッチショルダ(19)と噛み合ことを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の接続装置(1)。
【請求項11】
前記少なくとも一つのラッチ突起(18)は、前記固定エレメント(4)において、少なくとも前記第一の端部領域(14)内又は少なくとも前記第二の端部領域(15)内にあることを特徴とする請求項10に記載の接続装置(1)。
【請求項12】
前記ラッチ突起(18)は、前記中心軸(A)に対して半径方向に移動可能であることを特徴とする請求項11に記載の接続装置(1)。
【請求項13】
前記インサート部材(3)は、少なくとも一つの平坦部(20)有し、
前記接続開口部(5)は、内周に少なくとも一つの対応する平坦部(21)有することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の接続装置(1)。
【請求項14】
前記インサート部材(3)は、少なくとも二つ又は四つの向かい合うように配置された前記平坦部(20)を有し、
前記接続開口部(5)は、少なくとも二つ又は四つの向かい合うように配置された前記平坦部(21)を有することを特徴とする請求項13に記載の接続装置(1)。
【請求項15】
前記固定エレメント(4)は、少なくとも一つの遮断エッジ(25)を有し、
前記遮断エッジ(25)は、組立状態で、前記連結エレメント(2)と前記連結様式で相互作用ることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の接続装置(1)。
【請求項16】
前記固定エレメント(4)は、前記開始位置に到達する際にラッチ音を生じることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の接続装置(1)。
【請求項17】
前記固定エレメント(4)は、少なくとも一つの側に、少なくとも一つの円周保護エッジ(26)を有ることを特徴とする請求項1から16までのいずれか1項に記載の接続装置(1)。
【請求項18】
前記連結エレメント(2)は、前記インサート部材(3)用に、少なくとも一つの位置設定表示手段(32)を有することを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の接続装置(1)。
【請求項19】
前記インサート部材(3)は、前記固定エレメント(4)の前記位置設定表示手段(32)と対応する少なくとも一つの位置設定表示手段(33)を有することを特徴とする請求項18に記載の接続装置(1)。
【請求項20】
少なくとも一つの回り止め(30)が、前記接続開口部(5)の領域内に設けられ
前記回り止め(30)は、前記連結エレメント(2)と前記連結様式でロック可能であり、前記連結エレメント(2)内に取り付けられるように構成された結合コネクタを固定するように構成されていることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の接続装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの連結エレメントと、少なくとも一つのインサート部材と、少なくとも一つの固定エレメントとを備え、連結エレメントは、少なくとも一つの接続開口部と、少なくとも一つの流体通路とを有し、インサート部材は、特に、接続開口部の中心軸に対して平行又は同軸に配向されている軸方向で、少なくとも部分的にこの接続開口部内に取付可能である、媒体導管用の接続装置に関する。インサート部材は、固定エレメントを用いて連結エレメントに固定可能である。
【背景技術】
【0002】
媒体導管用の接続装置は、先行技術において多数の実施形態において公知である。この種の接続装置の場合に、接続開口部は、接続装置の流体通路と媒体導管との結合のために用いられる。例えば、連結エレメントの接続開口部内に、いわゆる圧入カートリッジが差し込まれる。この圧入カートリッジは、接続開口部内で連結エレメントと強固に接続され、かつ媒体導管用の結合インターフェース、例えば結合コネクタ用の収容部を提供する。
【0003】
「媒体導管」の用語は、原則的に、ガス又は液体のような任意の流動媒体及び/又は圧力媒体用の導管結合であると解釈される。媒体導管は、原則的に、管状導管又はホース状導管、並びに媒体の案内用のシステムの一部であるそれらの接続エレメント及び結合エレメントである。特に、この種の媒体導管は、プラスチックから製造されている。
【0004】
先行技術から公知の接続装置は、しばしば多大な組立の手間がかかり、及び/又は圧力印加のための必要な保持力の付与に適していない。このことが接続装置の損傷を引き起こしかねない。さらに、先行技術から公知の接続装置は、組立の誤りを引き起こしやすいことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の基礎となる課題は、組立の手間が軽減され、大きな保持力が付与され、かつ組立の誤りの危険を低減する接続装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴部の特徴により解決される。つまり、固定エレメントは、特に接続開口部の中心軸に対して、好ましくはこの接続開口部の中心軸が平面法線である仮想移動平面内で、連結エレメントに移動可能に保持されていて、かつ固定エレメントは、少なくとも一つの制御面を有する。インサート部材を組立力の作用下で接続開口部内へ取り付ける際に、固定エレメントは、固定エレメントがインサート部材をロックする開始位置から復元力に反して、特に接続開口部の中心軸に対して、好ましくは移動平面内で移動するように、インサート部材が制御面に作用する。
【0007】
インサート部材の取付により引き起こされる固定エレメントの移動に対抗する復元力は、特にこの移動によって引き起こされる、固定エレメントの少なくとも部分的な弾性変形により生じる。特に、組立力が十分な場合には、インサート部材は制御面に沿ってスライドして通り過ぎる。その結果、固定エレメントは、復元力の作用下で対抗して再び開始位置の方向に移動し、インサート部材を連結様式(interlocking manner)でロックする。その結果、固定エレメントは、開始位置に存在し、インサート部材の組立により中間位置で一時的にたわみ、復元力の作用下で再び開始位置に引き続き移動する。その際、インサート部材は、連結様式でロックされる。
【0008】
組立力は、通常では70N~90N、特に約80Nである。この組立力の場合に、インサート部材は、連結エレメント及び/又は固定エレメントを確実にロックすることが保証されている。固定エレメントの復元力は、30N~60Nである。
【0009】
接続開口部の中心軸に対して実質的に平行に作用する組立力は、インサート部材が制御面に沿ってスライドして又は制御面を通り過ぎてスライドすることができ、かつ固定エレメントの反対方向への移動が解除されるまで、少なくとも組立力の制御面に作用する部分が復元力を上回れば十分である。この場合、組立力の部分は、制御面を介して固定エレメントに伝達され、かつ移動平面内での固定エレメントの移動を引き起こす。この移動は、また固定エレメントの変形に原因があり、それにより復元力が生じる。接続開口部の中心軸は、固定エレメントの移動平面に対する平面法線である。組立力は、全体として、制御面上での固定エレメントの押しずらし(変位)を引き起こすためにも、取付の際のインサート部材及び固定エレメントでの摩擦力並びにインサート部材の封止手段についての変形力を克服するためにも十分に大きくなければならない。
【0010】
組立力及び/又は組立力の適用時間は、インサート部材が制御面に沿ってスライドして、制御面を通り過ぎてスライドすることができるほど、固定エレメントが制御面上を移動しないならば不十分である。この場合に、固定エレメントを復元力の作用下で再び開始位置に移動させし、かつインサート部材を制御面によって接続開口部から少なくとも部分的に再び押し出すように、復元力は、好適に調節及び選択される。それにより、組立の誤りをすぐに認識できることが保証される。
【0011】
復元力は、この場合に、例えば、固定エレメントの材料の選択及び/又は固定エレメントの変形の度合いに関して、固定エレメントがそれ自体ブロックする中間位置のままに留まらないように、選択され、好適に調節されている。したがってつまり、固定エレメントは、組立が正しい場合には、開始位置にありかつインサート部材をロックするか、又は固定エレメントは、たわんだ後に再び開始位置にありかつ取付方向に反してインサート部材を、接続開口部の中心軸に沿って、再び接続開口部から押し出す。
【0012】
接続装置の第一の実施態様によると、固定エレメントは、少なくとも二つの制御面を有することが予定されている。特に、制御面は、固定エレメントの移動平面に対して30°~50°の傾斜を有することが予定されている。固定エレメントに対する均一な力の伝達のために、二つの(特に隣り合って配置された)制御面が提供される場合が好ましい。好ましくは、制御面は、同一に形成されかつ同一に傾斜している。
【0013】
制御面は、凸形又は凹形に湾曲していることも予定されている。いずれの場合でも、制御面は、接続開口部の中心軸に対して平行方向で制御面に向かう力が、特にこの力が直交する方向に向いた移動平面内で、固定エレメントの移動を引き起こすように形成されている。
【0014】
接続装置の別の実施態様によると、固定エレメントは、連結エレメントの少なくとも一つの切欠(凹部)内にガイドされていることが予定されている。この切欠は、接続開口部を少なくとも部分的に取り囲む。この切欠は、接続開口部を取り囲む壁部を少なくとも部分的に及び/又は完全に貫通する。好ましくは、安定性の理由から、この切欠は少なくとも一つのウェブ、好ましくは二つ~五つのウェブを有し、かつこのウェブ又はこれらのウェブは切欠を安定化するように延びることが予定されている。
【0015】
このウェブ又はこれらのウェブは、切欠を取り囲む壁部が、切欠の領域内で弱くなりすぎることを防ぎ、かつ特に接続開口部の中心軸に対して平行な方向で、壁部の残りの領域が分離されることを防ぐ。好ましくは、少なくとも一つのウェブ、特に二つのウェブ、有利に四つのウェブは、これらのウェブにより、固定エレメントの可動性が制限され、特にこのウェブ又はこれらのウェブが中間位置の状態を定義するように配置されていることも予定されている。中間位置では、インサート部材は、制御面に沿ってスライドすることができる。その結果、引き続き、制御面にもはや力はかからず、それにより、復元力が固定エレメントを開始位置に移動させる。
【0016】
特に保持力を高めるために、接続装置の別の実施態様によると、固定エレメントが、少なくとも二つ、特に少なくとも四つ、有利に少なくとも六つのラッチ面(snap-in surface)を有する。これらのラッチ面は、組立状態で、連結様式でインサート部材と相互作用し、特にインサート部材の固定カラーと相互作用することが予定されている場合に有利であることが判明した。
【0017】
インサート部材の取付の際に、これらのラッチ面は、インサート部材がこれらのラッチ面を通り過ぎてスライドすることができるように、固定エレメントと共に押しずらされる。この場合、インサート部材は、制御面を過ぎてスライドし、固定エレメントが復元力の作用下で再び固定エレメントの開始位置に移動するように深く接続開口部内に取り付けられている場合、ラッチ面は、インサート部材(特にインサート部材の固定カラー)と連結様式で相互作用し、かつインサート部材が、接続開口部の中心軸に対して平行方向(特に組立方向に反する方向)に押し出されることを防ぐ位置に移動される。好ましくは、ラッチ面が、開始位置で、接続開口部を取り囲む連結エレメントの壁部内の切欠を貫通するように、ラッチ面が配置されている。
【0018】
接続装置の別の実施態様は、少なくとも一つのラッチ面が固定エレメントの突出部(lug)に形成されていて、この突出部には制御面も形成されていることを予定する。好ましくは、制御面は、ラッチ面に隣接して形成されている。好ましくは、固定エレメントは、少なくとも二つ又は多数の突出部を有し、各々の突出部に、少なくとも一つのラッチ面及び/又は少なくとも一つの制御面が形成されている。好ましくは、突出部の片側にラッチ面が形成されていて、突出部の向かい合う側に制御面が形成されている。制御面の傾斜により、制御面は、特にラッチ面に隣接して形成されている。
【0019】
接続装置の別の実施態様によると、固定エレメントは、連結エレメントと、ひいては組立状態では取り付けられたインサート部材とを、少なくとも部分的に把持(囲む)するように、形成されている。つまり、固定エレメントの第一の端部領域と第二の端部領域とが、特に接続開口部の中心軸の向かい合う側に、互いに向かい合って配置されているように形成されていることが予定されている。このために、固定エレメントは、平面図で、実質的にC形の断面を有する場合が有利であることが判明した。固定エレメントは、例えば、二つの(特に湾曲した)脚部と、脚部を結合する一つの(特に湾曲した)背部とを有する。したがって、固定エレメントは、平面図で、250°~270°の角度を有する円弧にわたって延びる。
【0020】
固定エレメントは、連結エレメントを少なくとも部分的に把持し、特にC形に形成されていることにより、固定エレメントの両方の端部領域は、開始位置から移動する際に、互いに離れるように広がり、それにより復元力が少なくとも部分的に引き起こされる。
【0021】
この関連で、別の実施形態によると、固定エレメントの第一の端部領域内及び/又は第二の端部領域内に少なくとも一つのガイド突出部が形成され、好ましくは、各々の端部領域に少なくとも二つのガイド突出部が形成されていることが予定されている場合が特に有利であることが判明した。一つのガイド突出部又は複数のガイド突出部は、組立状態で、好ましくは両方の端部領域内で、接続開口部の中心軸に対して平行な方向において、上側又は下側に向かう方向に延びている。
【0022】
これらのガイド突出部に対応して、連結エレメントは、各々のガイド突出部用にそれぞれガイド面を有し、固定エレメントが開始位置から移動する際に、特定のガイド突出部がこのガイド面に沿うようにスライドする。開始位置では、ガイド突出部は、好ましくはガイド面に面一に当接している。ガイド突出部それ自体の構造的配置及び構成及びガイド面に対する位置により、開始位置から出発して、移動平面内で移動する際、固定エレメントの弾性変形の度合いを決定し、それにより復元力の大きさを調節することができる。有利に、これらのガイド面は、中心軸及び接続開口部を中心とした仮想円に対して実質的に接線方向に配向されていることが予定されている。
【0023】
したがって、復元力は、固定エレメントの材料の選択、変形される領域内の固定エレメントの材料の厚み、及び/又はガイド突出部及びガイド面の位置設定によって調節可能である。
【0024】
別の実施態様によると、さらに、第一の端部領域と第二の端部領域と(特にそこに配置されたガイド突出部と)相互作用するガイド面が、それぞれ反対方向に傾斜していることを予定されている場合が有利であることが判明した。
【0025】
特に、固定エレメントの固定の安全性をさらに向上するために、別の実施態様によると、固定エレメントが、特に少なくとも第一の端部領域内及び/又は少なくとも第二の端部領域内で、それぞれ少なくとも一つのラッチ突起(snap-in protrusion)を有し、かつ各々のラッチ突起は、組立状態で、インサート部材のラッチショルダ内に噛み合い(嵌合し)、特に一つのラッチ突起又は複数のラッチ突起は、半径方向に移動可能であることが予定されている。ラッチ突起が、それぞれ固定エレメントの第一の端部領域及び第二の端部領域に配置されていることにより、このラッチ突起は、固定エレメントの移動により引き起こされる固定エレメントの脚部の変形の際に、同様に外側に向かって移動し、それによりインサート部材を取り付けることができる。固定エレメントが、再び開始位置の方向に移動する際に、固定エレメントの端部領域のラッチ突起は、好ましくは、接続開口部の中心軸に対して実質的に半径方向に移動し、かつこの場合にインサート部材に設けられたラッチショルダ内に連結様式で噛み合う。
【0026】
好ましくは、構造空間を低減するために、接続装置の他の実施態様によると、インサート部材は、少なくとも一つの平坦部、特に、外周に向かい合うように配置された少なくとも二つ又は四つの平坦部を有し、接続開口部は、少なくとも一つの対応する平坦部、特に、内周に向かい合うように配置された少なくとも二つ又は四つの平坦部を有することが予定されている。インサート部材は、一つの平坦部の場合には、一つの方向設定だけで、二つの平坦部の場合には、二つの方向設定で、接続開口部内に取付可能である。これは、インサート部材を接続開口部内に組み立てた後に、インサート部材の回転が防止されるという利点を有する。さらに、この平坦部により、コンパクトな接続装置の構造的造形(デザイン構成)が可能となる。
【0027】
固定エレメントの他の実施態様は、固定エレメントが少なくとも一つの遮断エッジを有し、特に、遮断エッジは、組立状態で、連結様式で連結エレメントと相互作用することを予定する。遮断エッジは、好ましくは、遮断エッジが、作動状態で、流体通路内に印加される圧力により、連結エレメントの少なくとも一つのエッジとの嵌合において、押圧されるように配置されている。したがって、遮断エッジは、圧力により作動する。さらに、遮断エッジは、固定エレメントに配置される。その結果、遮断エッジが連結エレメントのエッジと相互作用することにより、特に作動時に、固定エレメントの拡張、ひいては固定エレメントの意図しない脱落を防止する。好ましくは、固定エレメントに、少なくとも二つの(好ましくは少なくとも四つの)遮断エッジが設けられている。特に、遮断エッジは、向かい合うように固定エレメントに配置されている。
【0028】
さらに、遮断エッジが、固定エレメントの突出部に設けられていて、好ましくは制御面に隣接して形成されている場合に好ましいことが判明した。制御エッジは、例えば、ラッチ面に対して実質的に直交する方向に延びる。遮断エッジは、例えば、0.1mm~0.3mm、好ましくは0.2mmの高さを有する。遮断エッジの高さは、好ましくは接続開口部の中心軸Aに対して平行方向の延在に対応する。
【0029】
接続装置の組立の間の取扱は、別の実施態様によると、開始位置に到達するときはいつでもラッチ音が生じるように、固定エレメントが形成及び調節されていることにより簡素化される。ラッチ音により、組立工は、接続開口部内に取り付けられたインサート部材が決められたとおりに組み立てられていることを認識できる。ラッチ音は、例えば、特に連結エレメントと固定エレメントとの二つのエッジがスライドして外れることによるか、二つの面が打ち当たることにより生じる。
【0030】
固定エレメントと連結エレメントの間への、例えば汚れ、塗料又は異物の侵入は、別の実施態様によると、固定エレメントが少なくとも一方の側に少なくとも一つの円周方向の保護エッジを有することにより防がれる。保護エッジは、固定エレメントの基体を越えて延在し、この場合に、組立状態で、固定エレメントと連結エレメントの間の隙間をカバーする。それにより、塗装の際の塗料又は汚れの侵入を防ぐ。好ましくは、固定エレメントは、それぞれ向かい合う側に円周方向の保護エッジを有するので、固定エレメントと連結エレメントの間の両方の隙間はカバーされる。
【0031】
接続装置の組立は、連結エレメントが、インサート部材用の少なくとも一つの位置設定表示手段を有することにより簡素化される。インサート部材は、少なくとも一つの対応する位置設定表示手段を有するので、組立工は、インサート部材が一つの位置設定で取付可能であり、この位置設定では、2つの位置設定表示手段が互いに位置設定されている。好ましくは、連結エレメントとインサート部材とは、それぞれ二つの位置設定表示手段を有するので、インサート部材は、二つの位置設定で取付可能である。
【発明の効果】
【0032】
連結エレメント内に取り付けられた結合コネクタの位置設定は、好ましくは、別の実施態様によると、連結エレメントが少なくとも一つの回り止めを有し、かつ回り止めは連結様式で連結エレメントとロック可能であることにより決定することができる。このため、回り止めは、接続開口部の領域内で、連結エレメントに嵌め込まれ、かつ連結様式でロックされる。連結様式でロックは、このロックが、中心軸Aを中心としたトルクを伝達することができるように形成されている。結合コネクタは、その回転方向の位置設定を決定するために、連結様式で回り止めと相互作用する。
【0033】
本発明の更なる有利な実施形態は、以下の図面の説明及び従属請求項から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、接続装置の実施例の斜視図を示す。
【0035】
図2図2は、接続装置の実施例の詳細図を示す。
【0036】
図3図3は、接続装置の実施例の平面図を示す。
【0037】
図4a図4aは、固定エレメントの実施例の異なる見方による図を示す。
図4b図4bは、固定エレメントの実施例の異なる見方による図を示す。
図4c図4cは、固定エレメントの実施例の異なる見方による図を示す。
【0038】
図5図5は、接続装置の実施例の詳細図を示す。
【0039】
図6図6は、接続装置の実施例の部分断面図を示す。
【0040】
図7図7は、接続装置の実施例の斜視図を示す。
【0041】
図8a図8aは、固定エレメントの実施例の異なる見方による図を示す。
図8b図8bは、固定エレメントの実施例の異なる見方による図を示す。
【0042】
図9図9は、接続装置の実施例の断面図を示す。
【0043】
図10図10は、図9の部分Bの拡大図を示す。
【0044】
図面の異なる図において、同じ部材には同じ符号が付けられている。
【発明を実施するための形態】
【0045】
引き続く説明について、本発明は、実施例に限定されるものではなく、かつここに記載された特徴の組合せの全ての又はいくつかの特徴に限定されるものではなく、むしろこの/各々の実施例の各々の個別の部分的特徴が、これに関連して記載されたそれ自体の他の全ての部分的特徴から切り離しても、他の実施例の任意の特徴と組み合わせても、本発明の主題にとって重要であることが請求される。
【0046】
図1は、接続装置1の実施例を斜視図を示す。接続装置1は、少なくとも一つの連結エレメント2を有し、この連結エレメント2は、この実施例の場合に、T形ジョイント部分として構成されている。接続装置1は、さらに少なくとも一つのインサート部材3と、図4a~図4cに別々に示された固定エレメント4とを有する。この実施例の場合に、連結エレメント2は、三つの接続開口部5を有し、これらの接続開口部5は、図2に例示的に示された流体通路6への結合を作り出すことを可能にする。
【0047】
図1に例示的に示されたインサート部材3は、接続装置1内に取付可能でかつ図4a~図4cで示された固定エレメント4を用いて連結エレメント2に固定可能である。インサート部材3は、媒体導管用の結合インターフェース8、例えば(図示されていない)結合コネクタ用の収容部(凹部)を提供する。
【0048】
固定エレメント4は、図3及び図5に示された開始位置(この開始位置では、インサート部材3が取り付けられた場合にインサート部材3の連結様式でロックも行われる)と、図2及び図6に示された中間位置(この中間位置では、インサート部材3は、接続開口部5内により深く取り付けることができる)との間で移動可能に連結エレメント2に保持されている。固定エレメント4は、図4a~図4cによると、個別の部品として構成されていて、連結エレメント2に移動可能に固定される。
【0049】
図4a~図4cによると、固定エレメント4は、二つの制御面7を有し、これらの制御面は、図3図5及び図6によると、組立状態で、連結エレメント2と、インサート部材3と相互作用可能に接続開口部5内に配置されている。
【0050】
図1によるインサート部材3が、組立力Mの作用下で、接続開口部5の中心軸Aに対して平行に接続開口部5内へ取り付けられる場合、インサート部材3及び/又は組立力Mは、図3図5及び図6によると、固定エレメント4が、図3及び図5による開始位置から、仮想移動平面Bで、矢印Rの方向に移動されるように、制御面7に作用する。固定エレメント4が中心軸Aに対して開始位置から移動することにより、固定エレメント4は、少なくとも部分的に弾性変形され、それによりこの移動に対抗する復元力が生じる。
【0051】
組立力Mが十分な場合には、インサート部材3は、制御面7に接してスライドして通り過ぎるので、力がもはや制御面7に作用せずかつ固定エレメント4は、引き続き復元力の作用下で再びその開始位置に移動し、かつインサート部材3に連結様式でロックすることができる。組立力Mが十分でない場合には、インサート部材3は、復元力の作用下で、固定エレメント4の制御面7によって少なくとも部分的に、接続開口部5から組立方向に対抗する方向に再び押し出される。それにより、組立の誤りをすぐに認識することが保証される。
【0052】
固定エレメント4は、図2図5及び図6によると、連結エレメント2の切欠(凹部)9内にガイドされている。切欠9内には五つのウェブ10が配置されていて、これらのウェブは、切欠9を安定化するように橋渡しし、圧力が印加される際に、切欠9が、接続開口部5の中心軸Aに対して平行の方向に広がることを防ぐ。図6によると、縁部領域に配置されているウェブ10の側面11により、固定エレメント4の方向Rへの移動は、制限可能である。
【0053】
固定エレメント4は、図2図3図4a、図4b、図4c、図5図6図8a及び図8bによると、六つのラッチ面12を有する。これらのラッチ面12は、図3及び図5による開始位置では、切欠9に噛み合い、インサート部材3が接続開口部5内へ十分な深さで取り付けられている場合に限り、特に接続開口部5の中心軸Aに対して平行の方向に、連結様式でインサート部材3と相互作用する。ラッチ面12は、図1図6図9及び図10によると、ラッチ面12が固定カラー13の上側で固定カラーと重なることで、インサート部材3の固定カラー13と相互作用する。ラッチ面12と制御面7とは、それぞれ固定エレメント4の合計で六つの突出部22に形成されている。これらの突出部22は、組立状態で、接続開口部5の中心軸Aの方向で、実質的に半径方向に延びる。
【0054】
図3図5及び図6によると、固定エレメント4は、連結エレメント2と、存在する場合には、インサート部材3とを少なくとも部分的に把持する。その結果、第一の端部領域14と第二の端部領域15とは(図4a~図4cも参照)、特に中心軸Aに関して、互いに向かい合うように配置されている。
【0055】
図4c、図6図8a及び図8bによると、平面図で実質的にC形の断面を有する固定エレメント4が形成されている。図4a~図4c、図5図6図8a及び図8bによると、第一の端部領域14内と第二の端部領域15内とに、それぞれ二つのガイド突出部16が形成されていて、これらのガイド突出部は、接続開口部5の中心軸Aに対して平行の方向で、上側及び下側に向かって平らに延びる。固定エレメント4が開始位置から方向Rに(特に中間位置の方向に)移動する場合、ガイド突出部16は、連結エレメント2の対応するガイド面17に接して外側に向かってスライドする。それにより、第一の端部領域14と第二の端部領域15とは、互い離れる方向に広がり、復元力が生じる。この復元力は、方向Rへ固定エレメント4の移動を反対に作用し、つまり方向Rに対抗するように作用する。
【0056】
ガイド面17は、例えば、図1及び図6に示されている。ガイド面17は、接続開口部5の中心軸Aを中心とする仮想円に対して実質的に接線方向に位置設定されている(特に、図5及び図6参照)。ガイド面17の傾斜の構造的変化によって、固定エレメント4の変形(特に、広がり)の度合い、及びそれにより復元力が調節可能である。ガイド面17が少なくとも部分的に湾曲していることも予定されている。
【0057】
特に、インサート部材3を、接続開口部5内に付加的に確保するために、図2図3図4a~図4c、図5図6図8a及び図8bによると、固定エレメント4は、その第一の端部領域14内とその第二の端部領域15内とに、それぞれラッチ突起18を有する。このラッチ突起は、組立状態で、それぞれこのために予定されるインサート部材3のラッチショルダ19(例えば、図6参照)に噛み合う。ラッチ突起18がラッチショルダ19内に連結様式で噛み合うことにより、インサート部材3は、付加的に接続開口部5内で確保される。第一の端部領域14と第二の端部領域15とは、固定エレメント4が開始位置から移動する際に、ガイド突出部16とガイド面17との間の相互作用により外側方向に広げられる(例えば、図5及び図6参照)。そのため、ラッチ突起18は、接続開口部5の中心軸Aに関して実質的に半径方向に向かってかつそれから離れる方向に移動される。図8a及び図8bの実施例によると、ラッチ突起18は、ガイド突出部16に形成されている。
【0058】
インサート部材3は、図1によると、二つの向かい合う側にそれぞれ一つの平坦部20を有し、これらの平坦部は、接続開口部5の内周の平坦部21に対応するように形成されている(例えば、図1図2図3及び図5参照)。インサート部材3は、互いに180°ずらして配置された二つの位置設定で接続開口部5内に取付可能である。
【0059】
図7は、接続装置1の実施例を斜視図で示す。接続装置1は、少なくとも一つの連結エレメント2を有し、この連結エレメントは、この実施例の場合に、三つの接続開口部5を有するT形ジョイント部分として形成されている。接続装置1は、さらに少なくとも一つのインサート部材3と、図7では例示的に取り付けられていない状態で示された二つの固定エレメント4とを有する。対応する固定エレメント4は、図8a及び図8bでも同様に別々に示されていて、この関係でより詳細に説明される。
【0060】
図7で例示的に示されたインサート部材3は、接続装置1内に取付可能であり、図示された又は図8a及び図8bに示された固定エレメント4を用いて連結エレメント2に固定可能である。インサート部材3は、媒体導管用の結合インターフェース8、例えば(図示されていない)結合コネクタ用の収容部を提供する。この実施例の場合に、接続開口部5は、四つの平坦部21を有する。これらの平坦部21は、インサート部材3の対応する平坦部20と相互作用し、かつ組立状態で傾き防止状態でかつ回転防止状態で接続開口部5内にインサート部材3を保持する。
【0061】
図7による固定エレメント4は、既に図3及び図5について説明したように、インサート部材3と相互作用するために、組立状態で移動可能に保持されている。固定エレメント4のラッチ面12は、インサート部材3の固定カラー13と連結様式で相互作用する。ガイド及び安定性の理由から、固定カラーの周囲に四つのウェブ23が分配されて配置されている。これらのウェブ23は、平坦部20の領域内に配置されている。
【0062】
図8a及び図8bの実施例による固定エレメント4は、全体で六つの突出部22を有し、この突出部の一方の側に制御面7が、他方の側にラッチ面12が配置されている。図8aによると、固定エレメント4は、二つのガイド突起24を有する。このガイド突起24は、連結エレメント2に対する固定エレメント4の移動をガイドするために用いられ、かつ連結エレメント2の、図7による相応するガイド切欠25a内にガイドされる。
【0063】
図8a及び図8bの実施例の場合には、固定エレメント4は、全体で四つの遮断エッジ25を有する。これらの遮断エッジ25は、固定エレメント4の領域内に配置されていて、この固定エレメントが開始位置から外側に移動する際にリバウンドする。遮断エッジ25は、特に、それぞれの制御面7に隣接するように形成されている。遮断エッジ25の機能は、図10により詳細に説明されている。
【0064】
固定エレメント4は、図8aによると、保護エッジ26を有し、この保護エッジは、両方のガイド突出部16の間を円周方向に延びる。この保護エッジ26は、組立状態で、固定エレメント4と連結エレメント2との間の隙間に汚れ又は塗料が侵入することを防ぎ、かつそれにより固定エレメント4の可動性も保証する。
【0065】
図9は、三つの接続開口部5内に取り付けられた三つのインサート部材3を備えた図7による連結エレメント2の実施例を示す。連結エレメント2は、保持エレメント34を有する。この保持エレメント34は、金属製のブラケットとして形成されていてかつ組立開口部27を有する。保持エレメント34は、脚部28が連結エレメント2の切欠29内に差し込まれ、連結エレメント2の固定のために用いられる。インサート部材3は、それらのそれぞれの開始位置にある固定エレメント4により保持される。ラッチ面12は、この場合、それぞれのインサート部材3の固定カラー13と連結様式で相互作用する。図9によるインサート部材3は、それぞれ唯一のシール(ガスケット)35を有し、このシールは組立状態で接続開口部5内に密に当接する。
【0066】
図10は、図9による領域Bの拡大図を示す。インサート部材3は、連結エレメント2の接続開口部5内で、固定カラー13と固定エレメント4のラッチ面12との相互作用により保持される。作動状態では、インサート部材3は、当接する圧力により、接続開口部5から、図10によると上側に向かう方向に押し出される。固定エレメント4は、それに対抗するように作用する。それにより、固定エレメント4の遮断エッジ25は、連結エレメントと噛み合うように押圧される。それにより、遮断エッジ25は、固定エレメント4が横方向に、図10によると左側に逃れることを抑制する。それにより、作動安定性が高められる。遮断エッジ25は、固定エレメント4が意図せず拡張することを防ぐ。さらに、外側に保護エッジ26が形成されていて、この保護エッジが、固定エレメント4と連結エレメント2との間に汚れが侵入するのを防ぐ。保護エッジ26の存在により、遮断エッジ25が、内側に作用できることが保証されている。というのも、固定エレメント4は、異物による妨害なしに、連結エレメント2に当接することができ、かつ遮断エッジ25がその遮断効果を達成するためである。
【0067】
図9及び図10によると、接続開口部5の領域内に、回り止め30が取り付けられている。この回り止め30は、(図示されていない)結合コネクタの回転方向の位置設定及び固定を可能にする。回り止め30は、連結様式で連結エレメント2にロックされている。さらに、この回り止め30は、中心軸Aを中心とするトルクを伝達するために、連結エレメント2のショルダ31と相互作用する。
【0068】
図7によると、接続開口部5の縁部領域内で、円周上で向かい合って二つの位置設定表示手段32が配置されている。連結エレメント2の位置設定表示手段32が、インサート部材3の対応する位置設定表示手段33と面一になる場合に、インサート部材は、接続開口部5内に取り付けるために位置合わせされている。
【0069】
連結エレメント2は、図1図3図7及び図9によると、ここでは例えば、三つのインサート部材3を取り付けるための三つの接続開口部5を備えた実質的にT形のジョイント部分として形成されている。他の実施形態、例えば、線形又はL形のジョイント部分も同様に予定されている。さらに、特に、独国特許102017106676号明細書の刊行物によるプレート状のジョイントとしての連結エレメントの実施形態も予定され、この刊行物は、これにより明確に参照される。
【0070】
本発明は、図示されかつ説明された実施例に限定されるものではなく、本発明の意味範囲で均等である全ての実施態様も含む。これらの実施例は、組み合わせた形の全ての特徴に限定されるものではなく、むしろ各々の個々の特徴部分は、他の全ての特徴部分自体から切り離しても、発明の重要性を有することができることが明確に強調される。さらに、本発明は、請求項1に定義された特徴の組合せに限定されるものではなく、開示された全ての個々の特徴の所定の特徴の各々の任意の他の組合せにより定義されてもよい。これは、原則として、実際に請求項1の各々の個々の特徴を省く、及び/又はこの出願の他の箇所に開示された少なくとも一つの個々の特徴に置き換えることができることを意味する。
【符号の説明】
【0071】
1 接続装置
2 連結エレメント
3 インサート部材
4 固定エレメント
5 接続開口部
6 流体通路
7 制御面
8 結合インターフェース
9 切欠
10 ウェブ
11 側面
12 ラッチ面
13 固定カラー
14 第一の端部領域
15 第二の端部領域
16 ガイド突出部
17 ガイド面
18 ラッチ突起
19 ラッチショルダ
20 平坦部
21 平坦部
22 突出部
23 ウェブ
24 ガイド突起
25 遮断エッジ
26 保護エッジ
27 組立開口部
28 脚部
29 切欠
30 回り止め
31 ショルダ
32 連結エレメント2の位置設定表示手段
33 インサート部材3の位置設定表示手段
34 保持エレメント
35 シール
A 中心軸
B 移動平面
M 組立力
R 方向
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10