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特許7146983ソリッドステートマイクロ波発振器およびパワー増幅器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】ソリッドステートマイクロ波発振器およびパワー増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/21 20060101AFI20220927BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20220927BHJP
   H03F 3/60 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
H03F3/21
H03F3/68 220
H03F3/60
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021027148
(22)【出願日】2021-02-24
(62)【分割の表示】P 2017563262の分割
【原出願日】2016-05-11
(65)【公開番号】P2021101544
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-03-23
(31)【優先権主張番号】14/732,114
(32)【優先日】2015-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592053963
【氏名又は名称】エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ガルティ マルコ
(72)【発明者】
【氏名】モレッシ マルコ
(72)【発明者】
【氏名】クペロ ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】バロッチ パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ボッティ クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ガルティ フランセスコ
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-301135(JP,A)
【文献】米国特許第05896065(US,A)
【文献】実開昭63-102318(JP,U)
【文献】特開2006-203638(JP,A)
【文献】特開2001-044773(JP,A)
【文献】特開昭59-172816(JP,A)
【文献】特開2004-363919(JP,A)
【文献】特開2009-278513(JP,A)
【文献】JU-YOUNG KWACK et al.,1kW S-band Solid State rader amplifier,WAMICO N 2011 Conference Proceedings,米国,2011年06月13日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00-3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力パワー信号を受信するためおよび該入力パワー信号よりも高いパワーを有する出力パワー信号を供給するための第一のパワー増幅ユニット;
該第一のパワー増幅ユニットから該出力パワー信号を受信するため、および互いに同相である複数の分割パワー入力信号を生成するための、銅経路の組み合わせによってプリント回路板上にアセンブルされた少なくとも1つのウィルキンソン型スプリッタを含む、パワースプリッタユニットであって、該第一のパワー増幅ユニットとは異なる、パワースプリッタユニット
該互いに同相である複数の分割パワー入力信号を受信するための第二のパワー増幅ユニットであって、該第二のパワー増幅ユニットが、複数のパワー増幅器を含み、該第二のパワー増幅ユニットの該複数のパワー増幅器のそれぞれが、該複数の分割パワー入力信号の1つを受信するように、かつ複数の分割パワー出力信号の1つを供給するように構成されている、第二のパワー増幅ユニット;
該第二のパワー増幅ユニットの該複数のパワー増幅器の少なくとも1つを、少なくとも1つのウィルキンソンサスペンデッドラインパワーコンバイナを含むパワーコンバイナユニットに結合するための少なくとも1つのアイソレータユニットであって、該パワーコンバイナユニットは、該第二のパワー増幅ユニットおよび該パワースプリッタユニットとは異なる、少なくとも1つのアイソレータユニット;ならびに
該少なくとも1つのアイソレータユニットを介して該第二のパワー増幅ユニットから該複数の分割パワー出力信号を受信するため、および該複数の分割パワー出力信号を合わせて、少なくとも800Wであり、かつ2.0GHz~3.0GHzの周波数を有する統合パワー出力とするための該パワーコンバイナユニット
を備える、パワー増幅システム。
【請求項2】
前記パワーコンバイナユニットから前記統合パワー出力を受けるように、かつ該統合パワー出力を前記パワー増幅システムの出力として供給するように構成された方向性結合器
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第一のパワー増幅ユニットが、3つのパワー増幅装置を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第一のパワー増幅ユニットが、互いに直列に接続された少なくとも2つのパワー増幅器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
マイクロ波発振器の一部である、請求項1に記載のパワー増幅システム。
【請求項6】
前記パワースプリッタユニットが、第二のパワースプリッタ装置と第三のパワースプリッタ装置の両方に結合された第一のパワースプリッタ装置を含み、
前記第一のパワー増幅ユニットから前記出力パワー信号を受信するように構成された該第一のパワースプリッタ装置;
前記複数の分割パワー入力信号の第一のものを、前記第二のパワー増幅ユニットの前記複数のパワー増幅器の第一のものに供給するように、かつ該複数の分割パワー入力信号の第二のものを、該第二のパワー増幅ユニットの該複数のパワー増幅器の第二のものに供給するように構成された、該第二のパワースプリッタ装置;および
該複数の分割パワー入力信号の第三のものを、該第二のパワー増幅ユニットの該複数のパワー増幅器の第三のものに供給するように、かつ該複数の分割パワー入力信号の第四のものを、該第二のパワー増幅ユニットの該複数のパワー増幅器の第四のものに供給するように構成された、該第三のパワースプリッタ装置
を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第一のパワー増幅ユニットが、直列に配置された正確に3つのパワー増幅装置を含み;
前記パワースプリッタユニットが、正確に3つのパワースプリッタ装置を含み;
前記第二のパワー増幅ユニットが、並列に配置された正確に4つのパワー増幅器を含み;
前記少なくとも1つのアイソレータユニットが、正確に4つのアイソレータ装置を含み;かつ
前記パワーコンバイナユニットが、正確に3つのパワーコンバイナ装置を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記パワー増幅システムが、流体冷却チャネルを有するシールド金属ケース中に配置された、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記統合パワー出力が、2.40GHz~2.50GHzの周波数を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の分割パワー出力信号が、互いに実質的に同相である正確に4つの分割パワー出力信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
チャンバを少なくとも部分的に画定するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)素子を含む前記パワーコンバイナユニット;および
少なくとも部分的に該チャンバ中に配置された導体素子
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記パワーコンバイナユニットが出力コネクタと電気的に結合されており、かつ該パワーコンバイナユニットが冷却板に近接して配置されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第一のパワー増幅ユニットが、前記入力パワー信号を受信し、かつ前記出力パワー信号を供給し;
前記パワースプリッタユニットが、前記第一のパワー増幅ユニットから該出力パワー信号を受信し、かつ前記複数の分割パワー入力信号を生成し;
前記第二のパワー増幅ユニットが、該複数の分割パワー入力信号を受信し、かつ前記複数の分割パワー出力信号の1つを供給し;
前記少なくとも1つのアイソレータユニットが、該第二のパワー増幅ユニットの前記複数のパワー増幅器の少なくとも1つを前記パワーコンバイナユニットに結合し;かつ
該パワーコンバイナユニットが、該少なくとも1つのアイソレータユニットを介して該第二のパワー増幅ユニットから該複数の分割パワー出力信号を受信し、かつ該複数の分割パワー出力信号を合わせて統合パワー出力とする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記パワーコンバイナユニットのコンバイン部分が、前記複数の分割パワー入力信号のいずれか1つの波長の実質的半分の長さを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記パワーコンバイナユニットがチャンバを含み、該チャンバが、第一の誘電体として空気を含みかつ第二の誘電体としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)素子を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
パワー増幅システムを備え、該パワー増幅システムが、
入力パワー信号を受信するためおよび出力パワー信号を供給するための第一のパワー増幅ユニット;
該第一のパワー増幅ユニットから該出力パワー信号を受信するため、および互いに同相である複数の分割パワー入力信号を生成するための、銅経路の組み合わせによってプリント回路板上にアセンブルされた少なくとも1つのウィルキンソン型スプリッタを含む、パワースプリッタユニットであって、該第一のパワー増幅ユニットとは異なる、パワースプリッタユニット
該互いに同相である複数の分割パワー入力信号を受信するための4つのパワー増幅器を有する第二のパワー増幅ユニットであって、該第二のパワー増幅ユニットの該4つのパワー増幅器のそれぞれが、該複数の分割パワー入力信号の1つを受信するように、かつ複数の分割パワー出力信号の1つを供給するように構成されている、第二のパワー増幅ユニット;
該第二のパワー増幅ユニットの該4つのパワー増幅器の少なくとも1つを、少なくとも1つのウィルキンソンサスペンデッドラインパワーコンバイナを含むパワーコンバイナユニットに結合するための少なくとも1つのアイソレータユニットであって、該パワーコンバイナユニットは、該第二のパワー増幅ユニットおよび該パワースプリッタユニットとは異なる、少なくとも1つのアイソレータユニット;ならびに
該少なくとも1つのアイソレータユニットを介して該第二のパワー増幅ユニットから該複数の分割パワー出力信号を受信するため、および該複数の分割パワー出力信号を合わせて少なくとも800Wのパワーと2.40GHz~2.50GHzの周波数とを有する統合パワー出力とするための該パワーコンバイナユニット
を備える、マイクロ波発振ユニット。
【請求項17】
前記入力パワー信号を生成するように構成された位相ロックループモジュールを有する電源モジュールであって、前記第一のパワー増幅ユニットが該位相ロックループモジュールから該入力パワー信号を受信するように構成されている、電源モジュール
を備える、請求項16に記載のマイクロ波発振ユニット。
【請求項18】
流体冷却チャンネルを有するケース;
電源モジュール;
ユーザインターフェース;
RFデジタルシンセサイザ;および
RF出力ソケット
を備える、請求項16に記載のマイクロ波発振ユニット。
【請求項19】
以下の工程を含む、ソリッドステートパワー増幅システムからマイクロ波周波数範囲出力パワーを供給する方法:
第一のパワー増幅ユニットにより、入力パワー信号を受信する工程;
該第一のパワー増幅ユニットにより、該入力パワー信号よりも高いパワーを有する出力パワー信号を供給する工程;
銅経路の組み合わせによってプリント回路板上にアセンブルされた少なくとも1つのウィルキンソン型スプリッタを含むパワースプリッタユニットにより、該第一のパワー増幅ユニットから該出力パワー信号を受信する工程であって、該パワースプリッタユニットは、該第一のパワー増幅ユニットとは異なる、工程
該パワースプリッタユニットにより、互いに同相である複数の分割パワー入力信号を生成する工程;
第二のパワー増幅ユニットにより、該複数の同相である分割パワー入力信号を受信する工程であって、該第二のパワー増幅ユニットが、複数のパワー増幅器を含み、該第二のパワー増幅ユニットの該複数のパワー増幅器のそれぞれが、該複数の同相である分割パワー入力信号の1つを受信するように、かつ複数の分割パワー出力信号の1つを供給するように構成されている、工程;
少なくとも1つのアイソレータユニットにより、該第二のパワー増幅ユニットの該複数のパワー増幅器の少なくとも1つを、少なくとも1つのウィルキンソンサスペンデッドラインパワーコンバイナを含むパワーコンバイナユニットに結合する工程であって、該パワーコンバイナユニットは、該第二のパワー増幅ユニットおよび該パワースプリッタユニットとは異なる、工程
該パワーコンバイナユニットにより、該少なくとも1つのアイソレータユニットを介して該第二のパワー増幅ユニットから該複数の分割パワー出力信号を受信する工程;および
該パワーコンバイナユニットにより、該複数の分割パワー出力信号を合わせて、少なくとも800Wであり、かつ2.0GHz~3.0GHzの周波数を有する統合パワー出力とする工程。
【請求項20】
前記統合パワー出力をマイクロ波発振器からの出力として供給する工程
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
流体冷却チャネルを有するケース中に前記ソリッドステートパワー増幅システムを提供する工程
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第二のパワー増幅ユニットの前記複数のパワー増幅器が、正確に4つのパワー増幅器を含み、前記方法が、
並列配置されかつ前記パワースプリッタユニットと前記少なくとも1つのアイソレータユニットとの間に電気的に結合された該4つのパワー増幅器を提供する工程
を含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に明示的に組み入れられる、2015年6月5日に出願された「ソリッドステートマイクロ波発振器およびパワー増幅器(Solid State Microwave Generator and Power Amplifier)」と題する米国特許出願第14/732,114号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
パワー増幅装置は、マグネトロンまたは他の真空管を用いて、パワー入力に対して増幅されたパワー出力を達成することができる。そのような装置はこわれやすく、寿命が限られる。
【発明の概要】
【0003】
概要
少なくとも1つの局面はパワー増幅システムに関する。パワー増幅システムは、入力パワー信号を受信することができかつ出力パワー信号を供給することができる、第一のパワー増幅ユニットを備えることができる。出力パワー信号は、入力パワー信号よりも高いパワーを有する。パワー増幅システムは、第一のパワー増幅ユニットから出力パワー信号を受信することができかつ複数の分割パワー入力信号を生成することができる、パワースプリッタユニットを備えることができる。パワー増幅システムは、複数の分割パワー入力信号を受信することができる第二のパワー増幅ユニットを備えることができる。第二のパワー増幅ユニットは複数のパワー増幅器を含むことができる。第二のパワー増幅ユニットの複数のパワー増幅器のそれぞれは、複数の分割パワー入力信号の1つを受信することができ、複数の分割パワー出力信号の1つを供給することができる。パワー増幅システムは、第二のパワー増幅ユニットの複数のパワー増幅器の少なくとも1つをパワーコンバイナユニットに結合することができる少なくとも1つのアイソレータユニットを備えることができる。パワーコンバイナユニットは、少なくとも1つのアイソレータユニットを介して第二のパワー増幅ユニットから複数の分割パワー出力信号を受信することができ、かつ複数の分割パワー出力信号を合わせて統合パワー出力とすることができる。統合パワー出力は2.0GHz~3.0GHzの周波数を有することができる。
【0004】
いくつかの態様においては、方向性結合器が、パワーコンバイナユニットから統合パワー出力を受けることができる。方向性結合器はまた、統合パワー出力をパワー増幅システムの出力として供給することができる。第一のパワー増幅ユニットは3つのパワー増幅装置を含むことができる。たとえば、第一のパワー増幅ユニットは、互いに直列に接続された少なくとも2つのパワー増幅器を含むことができる。パワー増幅システムは無線周波数(RF)マイクロ波発振器の一部であることができる。
【0005】
いくつかの態様において、パワースプリッタユニットは、第二のパワースプリッタ装置と第三のパワースプリッタ装置の両方に結合された第一のパワースプリッタ装置を含む。第一のパワースプリッタ装置は、第一のパワー増幅ユニットから出力パワー信号を受信することができる。第二のパワースプリッタ装置は、複数の分割パワー出力信号の第一のものを、第二のパワー増幅ユニットの複数のパワー増幅器の第一のものに供給することができ、複数の分割パワー出力信号の第二のものを、第二のパワー増幅ユニットの複数のパワー増幅器の第二のものに供給することができる。第三のパワースプリッタ装置は、複数の分割パワー出力信号の第三のものを、第二のパワー増幅ユニットの複数のパワー増幅器の第三のものに供給することができ、複数の分割パワー出力信号の第四のものを、第二のパワー増幅ユニットの複数のパワー増幅器の第四のものに供給することができる。
【0006】
いくつかの態様において、第一のパワー増幅ユニットは、直列に配置された正確に3つのパワー増幅装置を含み、パワースプリッタユニットは正確に3つのパワースプリッタ装置を含み、第二のパワー増幅ユニットは、並列に配置された正確に4つのパワー増幅器を含み、少なくとも1つのアイソレータユニットは正確に4つのアイソレータ装置を含み、パワーコンバイナユニットは正確に3つのパワーコンバイナ装置を含む。いくつかの態様において、パワー増幅システムはシールド金属ケース中に配置され、シールド金属ケースは流体冷却チャネルを有する。いくつかの態様において、統合パワー出力は少なくとも800Wであり、2.40GHz~2.50GHzの周波数を有する。複数の分割出力パワー信号は、互いに実質的に同相である正確に4つの分割出力パワー信号を含むことができる。パワーコンバイナユニットは、チャンバを少なくとも部分的に画定するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)素子と、少なくとも部分的にチャンバ中に配置された導体素子とを含むことができる。パワーコンバイナユニットは、出力コネクタと電気的に結合されることができ、パワーコンバイナユニットは、冷却板に少なくとも部分的に近接して配置されることができる。
【0007】
いくつかの態様において、第一のパワー増幅ユニットは、入力パワー信号を受信し、出力パワー信号を供給する。パワースプリッタユニットは、第一のパワー増幅ユニットから出力パワー信号を受信することができ、複数の分割パワー入力信号を生成することができる。第二のパワー増幅ユニットは、複数の分割パワー入力信号を受信することができ、複数の分割パワー出力信号の1つを供給することができる。少なくとも1つのアイソレータユニットは、第二のパワー増幅ユニットの複数のパワー増幅器の少なくとも1つをパワーコンバイナユニットに結合することができる。パワーコンバイナユニットは、少なくとも1つのアイソレータユニットを介して第二のパワー増幅ユニットから複数の分割パワー出力信号を受信することができ、かつ複数の分割パワー出力信号を合わせて統合パワー出力とすることができる。
【0008】
少なくとも1つの局面は、パワー増幅システムを有するマイクロ波発振ユニットに関する。パワー増幅システムは、入力パワー信号を受信することができかつ出力パワー信号を供給することができる、第一のパワー増幅ユニットを備えることができる。パワー増幅システムは、第一のパワー増幅ユニットから出力パワー信号を受信することができかつ複数の分割パワー入力信号を生成することができる、少なくとも1つのパワースプリッタユニットを備えることができる。パワー増幅システムは、複数の分割パワー入力信号を受信することができる、4つのパワー増幅装置を有する第二のパワー増幅ユニットを備えることができる。第二のパワー増幅ユニットの4つのパワー増幅装置のそれぞれは、複数の分割パワー入力信号の1つを受信することができ、複数の分割パワー出力信号の1つを供給することができる。パワー増幅システムは、第二のパワー増幅ユニットの複数のパワー増幅器の少なくとも1つをパワーコンバイナユニットに結合することができる少なくとも1つのアイソレータユニットを備えることができる。パワーコンバイナユニットは、少なくとも1つのアイソレータユニットを介して第二のパワー増幅ユニットから複数の分割パワー出力信号を受信することができ、かつ複数の分割パワー出力信号を合わせて統合パワー出力とすることができる。統合パワー出力は、実質的に(たとえば+/-25%)1kWのパワーおよび2.40GHz~2.50GHzの周波数を有することができる。
【0009】
いくつかの態様において、マイクロ波発振器は、入力パワー信号を生成するように構成された位相ロックループモジュールを有する電源モジュールを備える。第一のパワー増幅ユニットは、位相ロックループモジュールから入力パワー信号を受信することができる。マイクロ波発振器は、流体冷却チャンネルを有するケース、電源モジュール、ユーザインターフェース、RFデジタルシンセサイザおよびRF出力ソケットを備えることができる。
【0010】
少なくとも1つの局面は、ソリッドステートパワー増幅システムからマイクロ波周波数範囲出力パワーを供給する方法に関する。方法は、第一のパワー増幅ユニットにより、入力パワー信号を受信する工程を含むことができる。方法は、第一のパワー増幅ユニットにより、出力パワー信号を供給する工程を含むことができる。出力パワー信号は、入力パワー信号よりも高いパワーを有することができる。方法は、パワースプリッタユニットにより、第一のパワー増幅ユニットから出力パワー信号を受信する工程、およびパワースプリッタユニットにより、複数の分割パワー入力信号を生成する工程を含むことができる。方法は、第二のパワー増幅ユニットにより、複数の分割パワー入力信号を受信する工程を含むことができる。第二のパワー増幅ユニットは複数のパワー増幅器を含むことができる。第二のパワー増幅ユニットの複数のパワー増幅器のそれぞれは、複数の分割パワー入力信号の1つを受信することができ、複数の分割パワー出力信号の1つを供給することができる。方法は、少なくとも1つのアイソレータユニットにより、第二のパワー増幅ユニットの複数のパワー増幅器の少なくとも1つをパワーコンバイナユニットに結合する工程を含むことができる。方法は、パワーコンバイナユニットにより、少なくとも1つのアイソレータユニットを介して第二のパワー増幅ユニットから複数の分割パワー出力信号を受信する工程を含むことができる。方法は、パワーコンバイナユニットにより、複数の分割パワー出力信号を合わせて2.0GHz~3.0GHzの周波数を有する統合パワー出力とする工程を含むことができる。
【0011】
いくつかの態様において、方法は、統合パワー出力をマイクロ波発振器からの出力として供給する工程を含む。本方法はまた、流体冷却チャネルを有するケース中にソリッドステートパワー増幅システムを提供する工程を含むことができる。いくつかの態様において、第二のパワー増幅ユニットの複数のパワー増幅器は正確に4つのパワー増幅器を含み、方法は、並列配置されかつパワースプリッタユニットと少なくとも1つのアイソレータユニットとの間に電気的に結合された4つのパワー増幅器を提供する工程を含む。
【0012】
少なくとも1つの局面はパワー増幅システムに関する。パワー増幅システムは、入力パワー信号を受信するためおよび出力パワー信号を供給するための手段を備えることができる。出力パワー信号は、入力パワー信号よりも高いパワーを有することができる。パワー増幅システムは、出力パワー信号を受信するためおよび複数の分割パワー入力信号を生成するための手段を備えることができる。パワー増幅システムは、複数の分割パワー入力信号を受信するためおよび複数の分割パワー出力信号を供給するための手段を備えることができる。パワー増幅システムは、第二のパワー増幅ユニットの複数のパワー増幅器の少なくとも1つを結合するための手段を備えることができる。パワー増幅システムは、少なくとも1つのアイソレータユニットを介して第二のパワー増幅ユニットから複数の分割パワー出力信号を受信するためおよび複数の分割パワー出力信号を合わせて統合パワー出力とするための手段を備えることができる。統合パワー出力は2.0GHz~3.0GHzの周波数を有することができる。
【0013】
[本発明1001]
入力パワー信号を受信するためおよび該入力パワー信号よりも高いパワーを有する出力パワー信号を供給するための第一のパワー増幅ユニット;
該第一のパワー増幅ユニットから該出力パワー信号を受信するため、および複数の分割パワー入力信号を生成するためのパワースプリッタユニット;
該複数の分割パワー入力信号を受信するための第二のパワー増幅ユニットであって、該第二のパワー増幅ユニットが、複数のパワー増幅器を含み、該第二のパワー増幅ユニットの該複数のパワー増幅器のそれぞれが、該複数の分割パワー入力信号の1つを受信するように、かつ複数の分割パワー出力信号の1つを供給するように構成されている、第二のパワー増幅ユニット;
該第二のパワー増幅ユニットの該複数のパワー増幅器の少なくとも1つをパワーコンバイナユニットに結合するための少なくとも1つのアイソレータユニット;ならびに
該少なくとも1つのアイソレータユニットを介して該第二のパワー増幅ユニットから該複数の分割パワー出力信号を受信するため、および該複数の分割パワー出力信号を合わせて2.0GHz~3.0GHzの周波数を有する統合パワー出力とするための該パワーコンバイナユニット
を備える、パワー増幅システム。
[本発明1002]
前記パワーコンバイナユニットから前記統合パワー出力を受けるように、かつ該統合パワー出力を前記パワー増幅システムの出力として供給するように構成された方向性結合器
を備える、本発明1001のシステム。
[本発明1003]
前記第一のパワー増幅ユニットが、3つのパワー増幅装置を含む、本発明1001のシステム。
[本発明1004]
前記第一のパワー増幅ユニットが、互いに直列に接続された少なくとも2つのパワー増幅器を含む、本発明1001のシステム。
[本発明1005]
マイクロ波発振器の一部である、本発明1001のパワー増幅システム。
[本発明1006]
前記パワースプリッタユニットが、第二のパワースプリッタ装置と第三のパワースプリッタ装置の両方に結合された第一のパワースプリッタ装置を含み、
前記第一のパワー増幅ユニットから前記出力パワー信号を受信するように構成された該第一のパワースプリッタ装置;
前記複数の分割パワー出力信号の第一のものを、前記第二のパワー増幅ユニットの前記複数のパワー増幅器の第一のものに供給するように、かつ該複数の分割パワー出力信号の第二のものを、該第二のパワー増幅ユニットの該複数のパワー増幅器の第二のものに供給するように構成された、該第二のパワースプリッタ装置;および
該複数の分割パワー出力信号の第三のものを、該第二のパワー増幅ユニットの該複数のパワー増幅器の第三のものに供給するように、かつ該複数の分割パワー出力信号の第四のものを、該第二のパワー増幅ユニットの該複数のパワー増幅器の第四のものに供給するように構成された、該第三のパワースプリッタ装置
を含む、
本発明1001のシステム。
[本発明1007]
前記第一のパワー増幅ユニットが、直列に配置された正確に3つのパワー増幅装置を含み;
前記パワースプリッタユニットが、正確に3つのパワースプリッタ装置を含み;
前記第二のパワー増幅ユニットが、並列に配置された正確に4つのパワー増幅器を含み;
前記少なくとも1つのアイソレータユニットが、正確に4つのアイソレータ装置を含み;かつ
前記パワーコンバイナユニットが、正確に3つのパワーコンバイナ装置を含む、
本発明1001のシステム。
[本発明1008]
流体冷却チャネルを有するシールド金属ケース中に配置された前記パワー増幅システム
を含む、本発明1001のシステム。
[本発明1009]
前記統合パワー出力が、少なくとも800Wであり、かつ2.40GHz~2.50GHzの周波数を有する、本発明1001のシステム。
[本発明1010]
前記複数の分割出力パワー信号が、互いに実質的に同相である正確に4つの分割出力パワー信号を含む、本発明1001のシステム。
[本発明1011]
チャンバを少なくとも部分的に画定するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)素子を含む前記パワーコンバイナユニット;および
少なくとも部分的に該チャンバ中に配置された導体素子
を備える、本発明1001のシステム。
[本発明1012]
前記パワーコンバイナユニットが出力コネクタと電気的に結合されており、かつ該パワーコンバイナユニットが冷却板に近接して配置されている、本発明1011のシステム。
[本発明1013]
前記第一のパワー増幅ユニットが、前記入力パワー信号を受信し、かつ前記出力パワー信号を供給し;
前記パワースプリッタユニットが、前記第一のパワー増幅ユニットから該出力パワー信号を受信し、かつ前記複数の分割パワー入力信号を生成し;
前記第二のパワー増幅ユニットが、該複数の分割パワー入力信号を受信し、かつ前記複数の分割パワー出力信号の1つを供給し;
前記少なくとも1つのアイソレータユニットが、該第二のパワー増幅ユニットの前記複数のパワー増幅器の少なくとも1つを前記パワーコンバイナユニットに結合し;かつ
該パワーコンバイナユニットが、該少なくとも1つのアイソレータユニットを介して該第二のパワー増幅ユニットから該複数の分割パワー出力信号を受信し、かつ該複数の分割パワー出力信号を合わせて統合パワー出力とする、
本発明1001のシステム。
[本発明1014]
前記パワーコンバイナユニットのコンバイン部分が、前記複数の分割パワー入力信号のいずれか1つの波長の実質的半分の長さを有する、本発明1001のシステム。
[本発明1015]
前記パワーコンバイナユニットがチャンバを含み、該チャンバが、第一の誘電体として空気を含みかつ第二の誘電体としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)素子を含む、本発明1001のシステム。
[本発明1016]
パワー増幅システムを備え、該パワー増幅システムが、
入力パワー信号を受信するためおよび出力パワー信号を供給するための第一のパワー増幅ユニット;
該第一のパワー増幅ユニットから該出力パワー信号を受信するため、および複数の分割パワー入力信号を生成するためのパワースプリッタユニット;
該複数の分割パワー入力信号を受信するための4つのパワー増幅器を有する第二のパワー増幅ユニットであって、該第二のパワー増幅ユニットの該4つのパワー増幅器のそれぞれが、該複数の分割パワー入力信号の1つを受信するように、かつ複数の分割パワー出力信号の1つを供給するように構成されている、第二のパワー増幅ユニット;
該第二のパワー増幅ユニットの該4つのパワー増幅器の少なくとも1つをパワーコンバイナユニットに結合するための少なくとも1つのアイソレータユニット;ならびに
該少なくとも1つのアイソレータユニットを介して該第二のパワー増幅ユニットから該複数の分割パワー出力信号を受信するため、および該複数の分割パワー出力信号を合わせて少なくとも750Wのパワーと2.40GHz~2.50GHzの周波数とを有する統合パワー出力とするための該パワーコンバイナユニット
を備える、マイクロ波発振ユニット。
[本発明1017]
前記入力パワー信号を生成するように構成された位相ロックループモジュールを有する電源モジュールであって、前記第一のパワー増幅ユニットが該位相ロックループモジュールから該入力パワー信号を受信するように構成されている、電源モジュール
を備える、本発明1016のマイクロ波発振器。
[本発明1018]
流体冷却チャンネルを有するケース;
電源モジュール;
ユーザインターフェース;
RFデジタルシンセサイザ;および
RF出力ソケット
を備える、本発明1016のマイクロ波発振器。
[本発明1019]
以下の工程を含む、ソリッドステートパワー増幅システムからマイクロ波周波数範囲出力パワーを供給する方法:
第一のパワー増幅ユニットにより、入力パワー信号を受信する工程;
該第一のパワー増幅ユニットにより、該入力パワー信号よりも高いパワーを有する出力パワー信号を供給する工程;
パワースプリッタユニットにより、該第一のパワー増幅ユニットから該出力パワー信号を受信する工程;
該パワースプリッタユニットにより、複数の分割パワー入力信号を生成する工程;
第二のパワー増幅ユニットにより、該複数の分割パワー入力信号を受信する工程であって、該第二のパワー増幅ユニットが、複数のパワー増幅器を含み、該第二のパワー増幅ユニットの該複数のパワー増幅器のそれぞれが、該複数の分割パワー入力信号の1つを受信するように、かつ複数の分割パワー出力信号の1つを供給するように構成されている、工程;
少なくとも1つのアイソレータユニットにより、該第二のパワー増幅ユニットの該複数のパワー増幅器の少なくとも1つをパワーコンバイナユニットに結合する工程;
該パワーコンバイナユニットにより、該少なくとも1つのアイソレータユニットを介して該第二のパワー増幅ユニットから該複数の分割パワー出力信号を受信する工程;および
該パワーコンバイナユニットにより、該複数の分割パワー出力信号を合わせて2.0GHz~3.0GHzの周波数を有する統合パワー出力とする工程。
[本発明1020]
前記統合パワー出力をマイクロ波発振器からの出力として供給する工程
を含む、本発明1019の方法。
[本発明1021]
流体冷却チャネルを有するケース中に前記ソリッドステートパワー増幅システムを提供する工程
を含む、本発明1019の方法。
[本発明1022]
前記第二のパワー増幅ユニットの前記複数のパワー増幅器が、正確に4つのパワー増幅器を含み、前記方法が、
並列配置されかつ前記パワースプリッタユニットと前記少なくとも1つのアイソレータユニットとの間に電気的に結合された該4つのパワー増幅器を提供する工程
を含む、本発明1021の方法。
これらおよび他の局面および態様を以下で詳細に説明する。前記情報および以下の詳細な説明は、様々な局面および態様の実例を含み、請求項に係る局面および態様の性質および特性を理解するための概観または枠組みを提供する。図面は、実例ならびに様々な局面および態様のさらなる理解を提供し、本明細書に組み入れられ、その一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付図面は、一定の拡大縮小率で描かれることを意図したものではない。様々な図中、類似の参照番号および呼称は類似の要素を示す。見やすくするため、各図面中、すべてのコンポーネントが標識されているわけではない。
図1】少なくとも1つの態様の例示的なパワー増幅システムを示す。
図2】少なくとも1つの態様のパワー増幅システムを備えるマイクロ波発振器の例示的な上面図を示す。
図3】少なくとも1つの態様のマイクロ波発振ユニットの例示的な下面図を示す。
図4】少なくとも1つの態様の、パワーコンバイナユニットを備えるパワー増幅システムの例示的なコンポーネントを示す。
図5】少なくとも1つの態様の、ソリッドステートパワー増幅システムからマイクロ波周波数範囲出力パワーを供給する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
上記で提起し、以下さらに詳細に説明する様々な概念は、数多くの方法のいずれかで実現され得る。数、単位、大きさまたは他の値、たとえばパワーレベル、周波数、長さまたは位相を参照しての語「実質的に」または程度を表す他の類似語の使用は、任意の特定された数、単位、大きさ、長さまたは値から+/-25%の範囲を示す。「実質的に」は常に明示的に述べられるわけではないが、ワット、ミリワットもしくはデシベルミリワット(dBm)単位の特定のパワーレベル(数による)を参照する、または特定の周波数、周波数範囲、インピーダンスもしくは位相特性を参照する本明細書における例は、特定のパワーレベル、周波数、範囲、インピーダンスまたは位相度(すなわち+/-5%)ならびに任意の特定されたパワーレベル、周波数、範囲または位相度から+/-25%の範囲の両方を含む。
【0016】
本開示のシステムおよび方法は概して、マイクロ波発振器のためのソリッドステートパワー増幅システムに関する。パワー増幅システムは、たとえば、2.40GHz~2.50GHzのマイクロ波周波数範囲で実質的に1kW(+/-25%)の出力パワーを供給することができる。パワー増幅システムは、入力パワー信号を受信する第一のパワー増幅ユニットを備えることができる。第一のパワー増幅ユニットは、たとえば、直列に配置された3つのパワー増幅装置(たとえばトランジスタ)を含むことができる。
【0017】
第一のパワー増幅ユニットからの出力パワー信号は、たとえば、実質的に等しいパワーおよび互いに同相であることができる4つの分割パワー入力信号を生成することができるパワースプリッタユニットに供給されることができる。4つ(または他の数)の分割パワー入力信号は第二のパワー増幅ユニットに供給されることができる。たとえば、第二のパワー増幅ユニットは4つのパワー増幅器(たとえばトランジスタ)を含むことができ、4つのパワー増幅器のそれぞれが、4つの分割パワー入力信号の1つを受信することができ、かつ4つの実質的に等しい(+/-25%)実質的に同相(+/-25%)の分割パワー出力信号を生成することができる。
【0018】
分割パワー出力信号は、たとえば少なくとも1つのアイソレータユニットを介して第二のパワー増幅ユニットからパワーコンバイナユニットに供給されることができる。パワーコンバイナユニットは、4つ(または他の数)の分割パワー出力信号を合わせてまたは一緒に結合して、たとえば実質的に2.450GHzのマイクロ波周波数範囲を有する、たとえば実質的に1kWの統合パワー出力とすることができる。パワーコンバイナユニットは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)箔または他の絶縁材料によって少なくとも部分的に画定または包囲されたチャンバを含むことができる。銅導電素子が少なくとも部分的にチャンバ内に配置される(たとえば吊される)ことができる。PTFEまたは他の絶縁材料が、銅導電素子をチャンバ中の定位置、たとえば、周囲の内面から等距離にあるチャンバ中の定位置に固定する支持体、すなわちパワー増幅システムの電気的アースを形成することができ、銅導電素子はより高い電位でマイクロ波エネルギーを運ぶ。
【0019】
パワー増幅システムはマイクロ波発振ユニットの一部であることができる。たとえば、パワー増幅システムは、電気シールド特性および流体冷却チャネルを有するケース内に配置された少なくとも1つのコンポーネントまたは装置を備えることができる。冷却チャネル(または他のヒートシンク)は、熱を分散させるために、コンポーネントの中でもとりわけコンバイナユニットまたはアイソレータユニットに少なくとも部分的に近接して配置されることができる。マイクロ波発振ユニットはまた、1つまたは複数の電源モジュールユーザインターフェース、入力ソケットまたは出力ソケットを備えることができるか、またはそれに結合することができる。
【0020】
図1は例示的なパワー増幅システム100を示す。パワー増幅システム100は、たとえば、マグネトロンまたは真空管ではなくトランジスタまたは他のソリッドステート装置を用いて、パワー入力に対して増幅されたパワー出力を達成する、少なくとも1つのソリッドステートパワー増幅システムまたは装置を備えることができる。パワー増幅システム100は、無線周波数(RF)マイクロ波発振器のようなマイクロ波発振器の一部であることができる。たとえば、パワー増幅システム100は、たとえば2.4GHz~2.5GHzのISMバンドのマイクロ波周波数範囲で実質的に(たとえば+/-25%)1kWまたはそれ以上の統合パワー出力を少なくとも40%のエネルギー変換効率AC>RFで達成することができる。
【0021】
パワー増幅システム100は、たとえば外部入力パワーモジュールから少なくとも1つの入力パワー信号105を受信することができる。入力パワー信号は、たとえば1mW(0dBm)であることができる。少なくとも1つの第一のパワー増幅ユニット110が、入力パワー信号105を受信することができ、出力パワー信号115を供給することができる。出力パワー信号115は、入力パワー信号105よりも高いパワーであることができる。たとえば、第一のパワー増幅ユニット110は、1mW(0dBm)の入力パワー信号105を受信することができ、35.5W(45.5dBm)の出力パワー信号115を供給することができる。
【0022】
第一のパワー増幅ユニット110は、トランジスタのような少なくとも1つのパワー増幅装置120を含むことができる。パワー増幅装置120は、高い周波数ででも低い損失および信号ひずみで作動し、少なくとも1つの第二のパワー増幅ユニット160のゲートドライブに十分なパワーを供給する、信号増幅器集積回路とパワートランジスタとのカスケード配置のミックスを含むことができる。
【0023】
いくつかの態様において、第一のパワー増幅ユニット110は、直列に配置された3つのパワー増幅装置(たとえばトランジスタ)120を含む。パワー増幅装置120は、入力パワー信号105を個々におよび集合的に増幅することもできる。たとえば、第一のパワー増幅装置120は、1mW(0dBm)の入力パワー信号105を受信することができ、かつ6.3mW(8dBm)の出力パワーを供給することができる。第二のパワー増幅器120は、6.3mWのパワー信号を入力として受信しこのパワーを増幅して631mW(28dBm)の出力を供給することができる。第三のパワー増幅装置120は、631mWのパワー信号を入力として受信しこのパワーを増幅して35.5W(45.5dBm)の出力パワー信号115を供給することができる。
【0024】
第一のパワー増幅ユニット110のパワー増幅装置120は、同じタイプのトランジスタ(または他のパワー増幅装置)であることもできるか、または互いに異なるタイプのトランジスタであることもできる。第一のパワー増幅ユニット110は、トランジスタのサイズまたはパワー増幅特性に基づいて、または入力パワー信号105のレベルに基づいて、任意の数のパワー増幅装置120を含むことができる。たとえば、第一のパワー増幅ユニット110は1~9つのトランジスタまたは他のパワー増幅装置120を含むことができる。いくつかの態様において、パワー増幅ユニット110は、互いに直列に接続された少なくとも2つのパワー増幅装置120を含む。第一のパワー増幅ユニット110が2つ以上のパワー増幅装置120を含む場合、パワー増幅装置120は、直列、並列または他の配置で整列させることができる。
【0025】
パワー増幅システム100は、少なくとも1つのパワースプリッタユニット125を備えることができる。パワースプリッタユニット125は、出力パワー信号115を受信し(たとえば第一のパワー増幅ユニット110から)、少なくとも1つの分割パワー入力信号130を生成することができる。たとえば、パワースプリッタユニット125は、3つのパワースプリッタ装置、たとえば、第一のパワースプリッタ装置135、第二のパワースプリッタ装置140、および第三のパワースプリッタ装置145を含むことができる。これらの装置は、独立した装置であることもできるか、または1つのパワースプリッタ装置、たとえば1入力4出力(one to four)パワースプリッタ装置の異なる部分であることもできる。第一のパワースプリッタ装置135は、第一のパワー増幅ユニット110から入力としてパワー信号115を受信することができ、第一の内部パワー入力150を第二のパワースプリッタ装置140に供給することができ、また、第二の内部パワー入力155を第三のパワースプリッタ装置145に供給することができる。第二のパワースプリッタ装置140は、第一の内部パワー入力150から2つの分割パワー入力信号130を生成することができ、第三のパワースプリッタ装置145は、第二の内部パワー入力155から2つの分割パワー入力信号130を生成することができる。分割パワー入力信号130は、パワー、位相または振幅に関して互いに実質的に等しいものであることができる。たとえば、各分割パワー入力信号130は、実質的に7.2W(38.6dBm)のパワーレベルを有することができ、互いに実質的に同相(たとえば+/-25%)であることができる。
【0026】
分割パワー入力信号130は、出力パワー信号115よりも低いパワーを有することができる。たとえば、パワースプリッタユニット125によるパワー信号の分割中にこうむるパワー損失のせいで、出力パワー信号115(パワースプリッタユニット125によって入力として受信されるもの)は35.5W(45.5dBm)であることができ、4つの分割出力パワー信号130のそれぞれは7.2W(38.6dBm)であることができる。パワースプリッタユニット125は、損失を最小化し、第一のパワー増幅ユニット125の出力と第二のパワー増幅ユニット160の入力との間でインピーダンス整合を達成するように設計された厚さ、幅および長さを有する銅経路の組み合わせによってプリント回路板上にアセンブルされた少なくとも1つのウィルキンソン型スプリッタを含むことができる。
【0027】
パワー増幅システム100は少なくとも1つの第二のパワー増幅ユニット160を備えることができる。第二のパワー増幅ユニット160は、少なくとも1つの分割パワー入力信号130を受信することができ、かつ少なくとも1つの分割パワー出力信号165を供給することができる。第二のパワー増幅ユニット160は複数のパワー増幅器170を含むことができる。たとえば、各パワー増幅器170は、少なくとも1つのトランジスタまたは他のソリッドステート装置である、またはそれを含むことができる。いくつかの態様において、第二のパワー増幅ユニット160は4つのパワー増幅器170を含む。4つのパワー増幅器170は、たとえば並列に配置されることができる。第二のパワー増幅ユニット160は、他の数のパワー増幅器170、たとえば2つ、3つ、6つ、8つまたは他の数のパワー増幅器170を含むことができる。任意の数のパワー増幅器170を並列に配置することができる。第二のパワー増幅ユニット160のパワー増幅器170のそれぞれは、複数の分割パワー入力信号130の1つを入力として受信することができ、複数の分割パワー出力信号165の1つを出力として生成または供給することができる。
【0028】
たとえば、パワー増幅器170の1つは、7.2W(38.6dBm)のパワーレベルを有する分割パワー入力信号130の1つを受信することができ、229W(53.6dBm)のパワーレベルを有する分割パワー出力信号165の1つを供給することができる。分割パワー出力信号165のそれぞれは、同じまたは実質的に同じ特性を有することができる。たとえば、第二のパワー増幅ユニット160は4つのパワー増幅器170を含むことができ、4つのパワー増幅器のそれぞれが合計4つの分割パワー出力信号165の1つを供給する。4つの分割パワー出力信号165は、実質的に同相であることができ、実質的に同じ振幅および実質的に同じパワーを有することができる。たとえば、分割パワー出力信号165は、分割パワー出力信号165のそれぞれに実質的に229W(53.6dBm)のパワーレベルを有することができる。4つ(または他の数)のパワー増幅器170は、3つ(または他の数)のパワー増幅装置120と比べて異なるパワー増幅または他の特性を有する異なるトランジスタまたは他の装置であることができる。パワー増幅器170およびパワー増幅装置120は、異なるタイプのトランジスタであることもできるか、または同じタイプのトランジスタであることもできる。パワー増幅器170は、パワー増幅器170から出力として供給される分割パワー出力信号165とで位相関係(たとえば実質的に同相)を維持することができる。パワー増幅器170は、ISMバンド用途、たとえばマイクロ波バンド周波数に適したものであることができる。たとえば、パワー増幅器170(たとえばトランジスタ)は、2.45GHzで、100W~500Wの出力パワー、10dB~20dBのゲインおよび少なくとも55%の効率で作動することができる。パワー増幅器170は、ケース、たとえばセラミックケースまたはプラスチックケースを含むことができる。
【0029】
いくつかの構成において、1つのパワー増幅装置120またはパワー増幅器170に関して最大限のパワー能力、たとえば250Wを仮定すると、4つのパワー増幅装置170を並列に配置して、1000Wの集合的出力パワー(250W×4つのパワー増幅装置=合計1000W)を得ることができる。いくつかの例において、各パワー増幅装置170は、400Wまたは実質的に400Wの能力を有することができる。直列配置を使用して信号を繰り返し増幅すると、1つのパワー増幅装置から最大限のパワーを得ることができる。たとえば、パワー増幅装置120を直列に配置する場合、1mW入力信号105を、出力パワー信号115として、6.3mW、次いで630mW、次いで35.5Wに増幅することができる。この例においては、35.5W出力信号115の1/4(約8W)を、分割パワー入力信号130として、並列に配置された4つのパワー増幅器170のそれぞれに供給することができる。8Wの分割パワー入力信号130のそれぞれが4つの実質的に230Wの分割パワー出力信号165の1つに増幅されることができ、それらを合わせて統合パワー出力187を供給することができる。
【0030】
いくつかの態様において、第一のパワースプリッタ装置135は、第一のパワー増幅ユニット120から出力パワー信号115を受信し、第一の内部パワー入力150を第二のパワースプリッタ装置140に供給する。第二のパワースプリッタ装置140は、複数の分割出力信号130を複数のパワー増幅器170の第一のものに供給することができ、複数の分割パワー出力信号130の第二のものを複数のパワー増幅器170の第二のものに供給することができる。第三のパワースプリッタ装置145は、複数の分割パワー出力信号130の第三のものを複数のパワー増幅器170の第三のものに供給することができ、複数の分割パワー出力信号130の第四のものを複数のパワー増幅器170の第四のものに供給することができる。
【0031】
パワー増幅システム100は、少なくとも1つのアイソレータユニット175および少なくとも1つのパワーコンバイナユニット180を備えることができる。アイソレータユニット175は概して、第二のパワー増幅ユニット160(またはその個々のパワー増幅器170)から一方向のマイクロ波または無線周波数(RF)パワーを少なくとも1つのパワーコンバイナユニット180に供給することができる。これは、第二のパワー増幅ユニット160、パワースプリッタユニット125または第一のパワー増幅ユニット110を、負荷不整合状態に関連する悪影響から保護することができる。アイソレータユニット175は、パワー増幅器170の少なくとも1つをパワーコンバイナユニット180に結合することができる。たとえば、アイソレータユニット175は、第二のパワー増幅ユニット160からのパワーをパワーコンバイナユニット180に供給するために、第二のパワー増幅ユニット160の少なくとも1つのパワー増幅器170をパワーコンバイナユニット180の少なくとも1つのコンポーネントに電気的に接続することができる。いくつかの態様において、アイソレータユニット175は4つのアイソレータ装置185を有し、4つのアイソレータ装置185のそれぞれがパワー増幅器170の1つをパワーコンバイナユニット180に結合することができる。各アイソレータ装置185は、擬似負荷に結合された専用の擬似負荷ポート186を有することができる。アイソレータユニット175は、各パワー増幅器170のために1つのアイソレータ装置185を含むことができる。たとえば、2つのパワー増幅器170を有するパワー増幅システム100もまた、2つのアイソレータ装置185を有することができる。
【0032】
いくつかの態様において、アイソレータ装置185は、3つのポートを有するサーキュレータである。たとえば、アイソレータ装置185は、第二のパワー増幅ユニット160から分割パワー出力信号165を受信するための入力ポート、分割パワー出力信号をパワーコンバイナユニット180に供給するための出力ポートおよび擬似負荷ポート186を含むことができる。擬似負荷ポート186は、たとえば、50オームの負荷を運ぶことができ、たとえば、連続動作モードにおける逆方向パワー状態の間、アイソレータ装置185から逆方向パワーを吸収し、放散させる(たとえば熱として)ことができる。アイソレータ装置185は、パワー増幅システム100のコンポーネントを互いに電気的に結合することができるプリント回路板上にアセンブルされることができる。アイソレータユニット175およびパワーコンバイナユニット180は、たとえば逆方向パワーが順方向パワー特性に実質的に影響しないよう、20dBを超える指向性を提供することができる。いくつかの態様において、指向性は30dBよりも大きい。アイソレータ装置185はまた、2ポート型または4ポート型の装置を含むこともできる。
【0033】
アイソレータユニット175は、第二のパワー増幅ユニット160からの分割パワー出力信号165をパワーコンバイナユニット180に供給することができる。アイソレータユニット175を介するこの送信中、いくらかのパワー損失が生じ得る。たとえば、アイソレータ装置185によって入力として受信される分割パワー出力信号165は229W(53.6dBm)のパワーレベルを有することができ、同じアイソレータ装置185によって出力される分割パワー出力信号165は209W(53.2dBm)のパワーレベルを有することができる。2つ以上のアイソレータ装置185を有するアイソレータユニット175の場合、アイソレータ装置185によって受信され、アイソレータ装置185から供給される分割パワー出力信号165は、同じ(すなわち+/-5%)または実質的に同じ(すなわち+/-25%)特性、たとえば周波数、位相、振幅またはパワー特性を有することができる。アイソレータ装置185は、3つのポートを有する少なくとも1つのドロップインケースサーキュレータを含むことができる。ポートの端子はプリント回路板に溶接または電気的に接続されることができる。アイソレータ装置185は、20dBよりも大きいIN-OUTアイソレーションを達成することができ、少なくとも300Wの単位パワー条件下で作動することができる。アイソレータ装置185は、波伝播方向に基づいて特定のポートにエネルギーを選択的に送るためにフェライト技術を用いる3ポート導波管コンポーネントを含むことができる。アイソレータ装置185に再進入する逆方向パワーを受ける1つのポート(たとえば第三のポート)が、逆方向パワーからのエネルギーを放散させることができるプリント抵抗器の形態の少なくとも1つの擬似負荷186に接続されることができる。
【0034】
パワーコンバイナユニット180は、アイソレータユニット175から、またはアイソレータユニット175を介して第二のパワー増幅ユニット160から、1つまたは複数の分割パワー出力信号165を受信することができる。パワーコンバイナユニット180は、受信した複数の分割パワー信号165を合わせて統合パワー出力187とすることができる。たとえば、4入力1出力(four to one)パワーコンバイナユニット180が、アイソレータユニット175出力から、209W(53.2dBm)のパワーレベルをそれぞれが有する4つの分割パワー出力信号165を受信することができ、かつそれら4つの分割パワー出力信号165を合わせて、813W(59.1dBm)のパワーレベルを有する統合パワー出力とすることができる。この例において、813Wは実質的に1KWとみなすことができる。いくつかの態様において、統合パワー出力のパワーレベルは少なくとも750W(58.8dBm)である。
【0035】
統合パワー出力187はマイクロ波範囲の周波数を有することができる。たとえば、統合パワー出力187の周波数は2.0~3.0GHzであることができる。いくつかの態様において、統合パワー出力187の周波数は、少なくとも800Wのパワーレベルで、少なくとも2.0GHzまたは2.40GHz~2.50GHzである。いくつかの態様において、統合パワー出力187のパワーは500Wよりも大きい。パワー増幅システム100は、1mW(0dBm)の入力パワー信号105を増幅して、2.4GHz~2.5GHzの周波数範囲で1KW(60dBm)、+0.5/-1.0dBmまでの統合パワー出力187を生成することができる。たとえば、統合パワー出力187は、2.4GHz~2.5GHzの任意の周波数で、59.0dBm~60.5dBmまたは0.794kW~1.122kWの範囲であることができる。統合パワー出力187の周波数は915MHzまたは5GHzバンドを含むことができる。統合パワー出力187の周波数は800MHz~10GHzの範囲であることができる。1つの態様において、統合パワー出力187の周波数は900MHz~6000MHzである。
【0036】
パワー増幅システム100は、正確に4つの、4つよりも多い、または4つよりも少ない分割パワー出力信号165および正確に4つの、4つよりも多い、または4つよりも少ないパワー増幅器170またはアイソレータ装置175を備えることができる。いくつかの態様においては、1つのパワー増幅器170と1つのアイソレータ装置175との各対が、1つの分割パワー出力信号165を入力として受信し、出力として供給する。4つの分割パワー出力信号165をパワーコンバイナユニット180に供給する4つのアイソレータ装置175を有する例において、パワーコンバイナユニット180は、第一のパワーコンバイナ装置189、第二のパワーコンバイナ装置191および第三のパワーコンバイナ装置193を含むことができる。第一のパワーコンバイナ装置189および第二のパワーコンバイナ装置191は、それぞれ、2つの分割パワー出力信号165を入力として受信することができ、かつ内部パワー信号195を出力として第三のパワーコンバイナ装置193に供給することができる。この例において、第三のパワーコンバイナ装置193は2つの内部パワー信号195を入力として受信する。第三のパワーコンバイナ装置193は、2つ(または他の数)の内部パワー信号195を合わせて統合パワー出力187とすることができる。
【0037】
いくつかの態様において、パワーコンバイナユニット180は単一のユニットであることができ、パワーコンバイナ装置189、191、193は、別個の装置ではなく、パワーコンバイナユニット180のサブコンポーネントであることができる。パワーコンバイナユニット180は、正確に3つの、または3つよりも多い、もしくは3つよりも少ないパワーコンバイナ装置を含むことができ、図1の例におけるような二段配置で構成される必要はない。たとえば、パワーコンバイナユニット180は7つのパワーコンバイナ装置を三段配置で含むことができ、その場合、第一段の4つのパワーコンバイナ装置のそれぞれが2つの(合計8つの)分割パワー出力信号165を受信し、2つの分割パワー信号の各対を合わせて1つの(合計4つの)内部パワー信号195とする。4つの内部パワー信号195の2つが2つの第二段パワーコンバイナ装置のそれぞれに供給されることができ、それら第二段パワーコンバイナ装置のそれぞれが、それぞれの対の内部パワー信号195を合わせ、合計2つの内部パワー信号195を出力し、それらの内部パワー信号が1つの第三段パワーコンバイナ装置に供給され、その第三段パワーコンバイナ装置がそれらを合わせて統合パワー出力187を供給する。
【0038】
パワー増幅システム100は少なくとも1つの方向性結合器197を備えることができる。方向性結合器197は、パワーコンバイナユニット180から統合パワー出力187を受けることができ、パワー増幅システム100の出力として統合パワー出力187を供給することができる。方向性結合器197は、統合パワー出力187がパワー増幅システム100から出力として供給されることができるよう、また、たとえば出力ポートを介して方向性結合器197に入るパワーが分離されるよう、パワーを一方向的に出力ポートに結合することができる。この例においては、方向性結合器197に入るそのようなバックパワーは分離されることができ、パワー増幅システム100コンポーネントを損傷するのに十分な高さのレベルでパワーコンバイナユニット180またはシステム100の他のコンポーネントによって受けられることはできない。いくらかの損失が方向性結合器197と関連することはある。たとえば、方向性結合器197に供給される統合パワー出力187は813W(59.1dBm)のパワーレベルを有することができ、方向性結合器197から供給される統合パワー出力187は794W(59.0dBm)のパワーレベルを有することができる。
【0039】
いくつかの態様において、パワー増幅システム100は、実質的に400mm×400mmの物理的長さおよび幅寸法を有し、高さが実質的に51mm(2インチ)である。1つの態様において、長さは370mmであり、幅は360mmであり、高さは45mmである。
【0040】
図2は、パワー増幅システム100のコンポーネントの概略表現を含むマイクロ波発振ユニット200の例示的な上面図を示す。マイクロ波発振ユニット200は少なくとも1つのケース205を備えることができる。ケース205はパワー増幅システム100を収容または包囲することができる。ケース205は、金属ケースであることができ、かつ、パワー増幅システム100のコンポーネントまたはマイクロ波発振ユニット200の外部の他のコンポーネントを少なくとも部分的に保護するために、シールドされていることもできるか、またはシールドを提供することもできるか、またはシールドとして働くこともできる。マイクロ波発振ユニット200は、102mm×102mm×483mmまたは4インチ×4インチ×19インチの寸法を有することができ、19インチ表面がフロントまたはディスプレイパネルを備えることができる。いくつかの態様において、マイクロ波発振ユニット200は、長さ510mm、幅440mmおよび高さ82mmを有するキャビネットまたはラックの中に配置されることもできるか、またはその一部であることもできる。この例における寸法は、発振ユニット200、パワー増幅システム100および電源モジュール220を含むか、またはそれらを収容するのに十分である。
【0041】
図2の例においては、パワー増幅システム100のコンポーネントの概略形態の表現を提供するために、ケース205の上部またはカバーが除かれている。マイクロ波発振ユニット200は、少なくとも1つの入力コネクタ210および少なくとも1つの出力コネクタ215を備えることができる。入力コネクタ210は、入力パワー信号105を受信するため、およびパワー増幅システム100のコンポーネントに、たとえば第一のパワー増幅ユニット110に入力パワー信号105を供給するためのプラグまたはインターフェースを含むことができる。入力コネクタ210は、少なくとも1つの電源モジュール220からたとえば1mW(0dBm)の入力パワー信号105を受信することができる。電源モジュール220は、入力パワー信号105を生成することができる位相ロックループモジュールまたは回路を含むことができる。入力パワー信号105は、周波数が安定していることができ、周囲または背景温度変化に対して安定であることができる。第一のパワー増幅ユニット110は、たとえば入力コネクタ210を介して、電源モジュール220から入力パワー信号105を受信することができる。たとえば、同軸ケーブルが電源モジュール220を入力コネクタ210に接続することができる。電源モジュール220は、無線周波数(RF)デジタルシンセサイザまたは入力パワー信号105を生成する他のRF信号源を含むことができる。電源モジュール220は、マイクロ波発振ユニット200またはパワー増幅システム100の他のコンポーネント、たとえば第一のパワー増幅ユニット110または第二のパワー増幅ユニット160から切り離されていることができる。たとえば、電源モジュール220は、入力パワー信号105の周波数を1桁のミリ秒間隔で(100msを超える時間フレームではなく)変更するために時間フレームを制御するように、または自動周波数シフトによってオートチューニング能力を実現するように構成された中央処理ユニットを有するコンピューティング装置の一部であることができる。
【0042】
出力コネクタ215は、統合パワー出力187を受けるため、およびそれをマイクロ波発振ユニット200からの出力として供給するためのRF出力ソケット、RFコネクタ、7/16DINコネクタ、プラグ、またはインターフェースを含むことができる。方向性結合器197は、出力コネクタ215からの出力として統合パワー出力を受けるために出力コネクタ215に結合されることもできるか、またはパワーコンバイナユニット180と出力コネクタ215との間に電気的に結合されたケース205内に配置されることもできる。いくつかの態様において、パワーコンバイナユニット180は出力コネクタ215に電気的に結合されることができる。マイクロ波発振ユニット200はまた、少なくとも1つのユーザインターフェース(たとえば、ケース205の前面または側面パネル)および少なくとも1つのRFデジタルシンセサイザを備えることができる。
【0043】
図3はマイクロ波発振ユニット200の例示的な底面図を示す。ボトムパネル305およびケース205の他の部分が、1つまたは複数のファスナまたはリベット310(または他の締結手段、たとえばスポット溶接、接着剤接続、ラッチ、ねじまたはスナップ嵌めコンポーネント)を使用して締結または接続されてケース205を形成することができる。ケース205のボトムパネルまたは部分305は少なくとも1つの流体冷却チャネル315を含むことができる。流体チャネル315は、ケース205に一体化されたチャネル、トンネルまたは管を含むことができる。パワー増幅システム100のコンポーネントから熱を分散させるために、水または他の流体、たとえば冷媒が流体チャネル315中を流れる、またはその中に位置することができる。ケース205(またはボトムパネル305)は少なくとも1つの冷却板320を含むことができる。冷却板320は、流体冷却チャネル315の一部であることもできるか、または流体冷却チャネル315から独立したコンポーネントであることもできる。流体冷却チャネル315は、たとえばアルミニウム製であることができ、流体冷却チャネル315内の流体の導入、除去または流量を制御するための少なくとも1つの流体ポート317を有することができる。
【0044】
流体冷却チャネル315は、パワー増幅システム100のコンポーネントから最大限の熱流放散の区域のできるだけ近くを通過する位置で、たとえば、パワー増幅器170または加熱を受けやすいアイソレータ装置185の部分、たとえば擬似負荷区域にかけて、ケース205上に、またはケース205の一部として構成されることができる。流体冷却チャネル315は、流体冷却チャネル315中に配置された、またはその中を流れる水または他の流体に乱流を導入するために、湾曲部、内部隆起部、曲がり角またはコース変更323を含むことができる。乱流は、パワー増幅システム100のコンポーネントから流体冷却チャネル315を介する放熱を改善することができる。
【0045】
たとえば、ケース205(またはボトムパネル305)は、第一のパワー増幅ユニット110(またはそのパワー増幅装置120)に近接してボトムパネル305の一部分に配置された第一の冷却区域325を含むことができる。ケース205(またはボトムパネル305)はまた、たとえば、第二のパワー増幅ユニット160またはそのパワー増幅器170から熱を放散させるための第二の冷却区域330を含むことができる。ケース205(またはボトムパネル305)はまた、たとえば、少なくとも1つのアイソレータ装置185またはアイソレータユニット175の他の部分の少なくとも1つの擬似負荷ポート186から熱を放散させるための第三の冷却区域335を含むことができる。第一の冷却区域325、第二の冷却区域330および第三の冷却区域335はそれぞれ、1つまたは複数の流体冷却チャネル315または冷却板320の一部分を含むことができる。
【0046】
パワーコンバイナユニット180またはパワー増幅システム100の他のコンポーネント、たとえばパワー増幅装置120またはパワー増幅器170は、少なくとも1つの流体冷却チャネル315または少なくとも1つの冷却板320に少なくとも部分的に近接して配置されて、これらのコンポーネントから熱を分散させることができるようになっている。冷却板320は、ケース205、ボトムパネル305またはケース205もしくはボトムパネル305に取り付けられた別個のコンポーネントの一部であることができる。流体冷却チャネル315または冷却板320は、パワー増幅システム100のコンポーネントから熱を逃がすためまたは抜くためのヒートシンクを含むことができる。
【0047】
いくつかの態様において、ケース205は、電源モジュール220または他のAC/DC電源モジュール、中央処理ユニットおよびRFまたはマイクロ波デジタルシンセサイザを有するコンピューティング装置、パワー増幅システム100、ユーザインターフェース、たとえば、入力パワー信号105または統合パワー出力187の周波数を制御するためのユーザ入力を受けるための、ディスプレイパネル上のプッシュボタンまたは他のインターフェースを有するディスプレイのいずれかを含むことができる。ケース205は、ケース205の内部のパワー増幅システム100のRFパワー回路をケース205の内面に近接してシールドすることができ、ケース205の外面に近接して流体冷却チャネル315を画定または提供することができるシールド金属ケースを含む、またはそれであることができる。ケース205は、たとえば信号ひずみを低減または最小化するための相互接続回路を含むことができる。たとえば、相互接続回路は、アイソレータユニット185における信号ひずみを減らすことができ、回路の上部とボトムパネル305との間を通過することにより、第二のパワー増幅ユニット160における制御ループを閉じることができる。
【0048】
図4はパワー増幅システム100の例示的なパワーコンバイナユニット180を示す。パワーコンバイナユニット180は、アイソレータユニット175(またはそのアイソレータ装置185)の出力に配置または設置されることができる。アイソレータ装置185は、パワーコンバイナユニット180の一部とみなすこともできるか、またはパワーコンバイナユニット180とは別個であるとみなすこともできる。パワーコンバイナユニット180は、実質的な位相シフトを導入することなく、第二のパワー増幅ユニット160からたとえばアイソレータユニット175を介して出力された4つ(または他の数)の同相(たとえば+/-5°)または実質的に同相(たとえば+/-25%)の分割パワー出力信号165を合わせて1つの統合パワー出力187とすることができる。統合パワー出力187は、パワーコンバイナユニット180から出力コネクタ215に供給されることができる。とりわけ図1および図4を参照すると、パワーコンバイナユニット180は、3つの2-in-1コンバイナ、たとえば第一のパワーコンバイナ装置189、第二のパワーコンバイナ装置191および第三のパワーコンバイナ装置193を含むことができる。パワーコンバイナ装置はウィルキンソンサスペンデッドラインパワーコンバイナであることができる。たとえば、パワーコンバイナユニット180は、プリント回路板のプリント導体ではなく、物理的なサスペンデッドライン導体を含むことができる。パワーコンバイナユニットのパワーコンバイナ装置189、191、193の厚さ、長さおよび幅は、パワーコンバイナユニット180およびそのパワーコンバイナ装置への入力と出力との間のインピーダンス整合を提供することができる。
【0049】
パワーコンバイナユニット180は、たとえば、負荷不整合状態の間に生成された定常または定在波パワー信号を運ぶ、またはこうむることができる。定在波は、パワーコンバイナユニット180における順方向パワーと逆方向パワーとのベクトル和であることができる。たとえば、順方向パワー信号と逆方向パワー信号とが同相である場合、高いRF電圧を生成することができる。たとえば、RF電圧は、通常または目標の動作条件下では300Vであることができるが、順方向パワー信号と逆方向パワー信号との間の不整合状態の間には1kVまで上昇することができる。
【0050】
パワーコンバイナユニット180は少なくとも1つの導体405を含むことができる。導体405は少なくとも部分的に銅製であることができる。導体405の少なくとも一部が、少なくとも1つのチャンバ410中に吊される、または固定されることができる。チャンバ410は、空気または別の誘電体または誘電性ガス(たとえば窒素)を含むことができる。導体405は、少なくとも1つの絶縁体415によって定位置に保持されることができる。絶縁体415は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはPTFE箔もしくはシートを含むことができる。いくつかの態様において、パワーコンバイナユニットは、チャンバ410を少なくとも部分的に画定する少なくとも1つのPTFE素子(たとえば絶縁体415)を、少なくとも部分的にチャンバ410中に配置された導体とともに含む。絶縁体415はチャンバ410を絶縁することができる。吊された導体405は、たとえば、潜在的な負荷不整合または逆方向パワー状態に耐えることができる。チャンバ中に吊された、または配置された導体405の少なくとも一部分は、少なくとも1つの平坦面を有することもできるか、またはたとえば湾曲または円柱形のような他の形状であることもできる。パワーコンバイナユニット180はまた、導体405を定位置に固定することができる少なくとも1つの支持構造420を含むことができる。たとえば、支持構造420は、PTFE箔またはシートから製造された、またはそれによってコートされた少なくとも1つの円柱を含むことができる。パワーコンバイナユニット180は少なくとも1つのコネクタ導体425を含むことができる。コネクタ導体425は、導電性材料(たとえば1つまたは複数の導電性金属)製であることができ、導体405を出力コネクタ215に電気的に結合することができる。パワーコンバイナユニット180は少なくとも1つの冷却板430を含むことができる。冷却板(たとえばヒートシンク)は、パワーコンバイナユニット180を接地し、そのコンポーネントから熱を分散させることができる。冷却板430は、ケース205の一部、たとえばボトムパネル305の一部、流体冷却チャネル315の一部であることができる。冷却板430は、冷却板320の1つまたは複数を含むこともできるか、または冷却板320とは別個の素子であることもできる。
【0051】
パワーコンバイナユニット180は概して、負荷不整合または逆方向パワー状態によって引き起こされる電気的状態に耐えることができ、なおも、たとえば実質的な位相シフトなしで、統合パワー出力187を生成することができる。パワーコンバイナユニット180は、たとえば、チャンバ410内の空気誘電体による低い損失を提供することができ、また、たとえば、絶縁体415および支持構造420の絶縁性のせいで、大地に対して高い絶縁性を有することができる。チャンバ410は、第一の誘電体として空気を含み、第二の誘電体として(たとえば絶縁体415または支持構造420の一部として)PTFE材料を含むことができる。これらの誘電体は、導体405の近接のせいでおよびたとえば2.45GHzのマイクロ波周波数範囲で導体405に印加される(またはそれを通過する)RFパワーの波長のせいで導体405とパワーコンバイナユニット180の他のコンポーネントとの間で発生し得るアーク放電を最小化または防止することができる。この例において、パワーコンバイナユニット180およびコンポーネント、たとえばチャンバ410中に吊された導体405は、より低い周波数の波長に対し、マイクロ波周波数範囲と関連する、より小さい波長でさえ、統合パワー出力187を生成するとき、アーク放電を最小化または解消し、実質的な位相シフトを回避することができる。パワーコンバイナ装置189、191、103は、たとえば65mmの長さおよび10mmの高さを有することができ、チャンバ410の中央に導体405が吊されている。パワーコンバイナユニット180は、パワーコンバイナユニット180の幅がパワー増幅システム100の幅(パワー増幅システム100の側壁またはパネルの厚さを差し引いたもの)と同じになるよう、マイクロ波発振ユニット200のフットプリントに適合することができる。接地として働くことができる導体405と冷却板430との間の距離は、たとえば4.5mmであることができる。
【0052】
いくつかの態様において、パワーコンバイナユニット180は、分割パワー出力信号165または統合パワー出力187の波長の一部分である、複数の分割パワー出力信号165からのパワーを合わせる。たとえば、パワーコンバイナユニット180のコンバイン部分は、チャンバ410中に吊された導体405の部分を含むことができる。コンバイン部分は、分割パワー出力信号165または統合パワー出力187の波長の実質的半分の長さを有することができる。いくつかの態様において、チャンバ410(たとえばコンバイン部分)中の導体405の部分は空気中の1/4波長(λ/4)の倍数である。パワーコンバイナユニット180(または統合パワー出力187)の出力インピーダンスは50Ωまたは実質的に50Ωであることができる。いくつかの態様において、パワーコンバイナユニット180の出力インピーダンス(たとえば50Ω)は、第一のパワー増幅ユニット110、第二のパワー増幅ユニット160またはアイソレータユニット175の出力インピーダンスに実質的に一致する(たとえば+/-25%)。
【0053】
パワーコンバイナユニット180は、パワーコンバイナユニット180のコンポーネントへの電場応力を増す負荷不整合状態をこうむることができる。この応力が、コンダクタ405とパワーコンバイナユニット180の他のコンポーネント、たとえば冷却板430との間でアーク放電の形態で絶縁破壊を生じさせ得る。たとえば反射パワーによる絶縁破壊の発生を解消または最小化するために、パワーコンバイナユニット180は多重誘電体構成を含むことができる。たとえば、チャンバ410は、第一の誘電体(たとえば空気または別の気体)と、PTFE材料から作られた、またはそれによって覆われた第二の誘電体、たとえば絶縁体415とを含むことができる。いくつかの態様において、第二の誘電体(たとえば絶縁体415のPTFE材料)の絶縁破壊抵抗は第一の誘電体(チャンバ410中の空気)の絶縁破壊抵抗よりも大きい。
【0054】
図5は、パワー増幅システム100のようなソリッドステートパワー増幅システムからマイクロ波周波数範囲出力パワーを供給する方法500を示す。たとえば、ソリッドステートパワー増幅システム100は、流体冷却チャネル315を含み得るケース205の中に提供される、またはそれを提供されることができる。方法500は、入力パワーを受ける工程(行為505)を含むことができる。たとえば、第一のパワー増幅ユニット110が、入力コネクタ210を介して電源モジュール220から入力パワー信号105を受信することができる(行為505)。方法500は、出力パワー信号115を供給する工程(行為510)を含むことができる。たとえば、第一のパワー増幅ユニット110(またはそのコンポーネント、たとえば少なくとも1つのパワー増幅器120)が、少なくとも1つのパワースプリッタユニット125に出力パワー信号を供給することができる(行為510)。方法500はまた、出力パワー信号115を受信する工程(行為515)を含むことができる。たとえば、パワースプリッタユニット125またはそのコンポーネント、たとえば第一のパワースプリッタ装置135は、第一のパワー増幅ユニット110から出力パワー信号115を受信することができる(行為515)。
【0055】
方法500は、少なくとも1つの分割パワー入力信号130を生成する工程(行為520)を含むことができる。たとえば、パワースプリッタユニット125は、出力パワー信号115から4つ(または他の数)の分割パワー入力信号130を生成することができる(行為520)。方法500はまた、少なくとも1つの分割パワー入力信号130を受信する工程(行為525)を含むことができる。たとえば、第二のパワー増幅ユニット160が、少なくとも1つ(たとえば4つ)の分割パワー入力信号130を受信することができる(行為525)。いくつかの態様において、複数のパワー増幅器170の一つ一つが、複数の分割パワー入力信号130の1つを受信することができる(行為525)。方法500は、少なくとも1つの分割パワー出力信号165を供給する工程(行為530)を含むことができる。たとえば、第二のパワー増幅ユニット160が、1つまたは複数の分割パワー出力信号165を出力として供給することができる(行為530)。いくつかの態様においては、各パワー増幅器170が1つの分割パワー出力信号165を供給することができる(行為530)。たとえば、第二のパワー増幅ユニット160は、並列配置され少なくとも1つのパワースプリッタユニット125と少なくとも1つのアイソレータユニット175との間に電気的に結合された4つのパワー増幅器170を含むことができ、それらがそれぞれ1つまたは複数の分割出力信号165を出力として供給する(行為530)。
【0056】
方法500は、第二のパワー増幅ユニット160を少なくとも1つのパワーコンバイナユニット180に結合する工程(行為535)を含むことができる。たとえば、少なくとも1つのアイソレータユニット175(またはそのアイソレータ装置185)が、複数のパワー増幅器170の少なくとも1つをパワーコンバイナユニット180またはその少なくとも1つのパワーコンバイナ装置に電気的に結合することができる(行為535)。方法500はまた、少なくとも1つの分割パワー出力信号165を受信する工程(行為540)を含むことができる。たとえば、パワーコンバイナユニット180は、第二のパワー増幅ユニット160(またはそのパワー増幅器170)から少なくとも1つのアイソレータユニット175(またはそのアイソレータ装置)を介して少なくとも1つの(たとえば4つの)分割パワー出力信号165を受信することができる(行為540)。方法500は、分割パワー出力信号165を合わせて少なくとも1つの統合パワー出力187とする工程(行為545)を含むことができる。たとえば、パワーコンバイナユニット180は、少なくとも1つのパワーコンバイナ装置、たとえば、少なくとも2つの分割パワー出力信号165を合わせて統合パワー出力187とする(行為545)第一のパワーコンバイナ装置189を含むことができる。統合パワー出力187は、マイクロ波周波数範囲(たとえば2.0~3.0GHz)および少なくとも750W(58.7dBm)のパワーを有することができる。方法500は、統合パワー出力187を供給する工程(行為550)を含むことができる。たとえば、パワーコンバイナユニット180、方向性結合器197または出力コネクタ215の少なくとも1つが、パワー増幅システム100またはマイクロ波発振ユニット200からの出力として統合パワー出力187を供給することができる(行為550)。
【0057】
したがって、マイクロ波発振ユニット200のパワー増幅システム100は、複数の分割パワー出力信号165を合わせることにより、位相シフトによる実質的または許容し得ない損失なしで、不整合状態中に絶縁破壊を起こすことなく、パワー増幅システム100のコンポーネントを保護しながらも、少なくとも40%の比較的高い効率で、2.4GHz~2.5GHzのマイクロ波周波数範囲において実質的に1kWの所望の統合パワー出力187を達成するためのソリッドステート装置を備えることができる。
【0058】
パワー増幅システム100を備えるマイクロ波発振ユニット200は、2450MHzの公称周波数で1kWスケールの動作を達成するために、低パワーのマイクロ波装置(たとえばパワー増幅器170)を並列に備えることができる。パワーコンバイナユニット180のコンバイン部分(たとえば、導体405を含むチャンバ410の部分)が、低い損失を達成し、100%までの反射またはバックパワーに関連する電場応力に耐えることができる。パワーコンバイナユニット180は、マイクロ波の長さ未満またはマイクロ波の長さの一部分、たとえば、マイクロ波長の半分、1/4または1/4超の寸法を維持するコンバイン部分(またはコンバイン経路)との絶縁破壊を回避するために、多材料誘電体絶縁(たとえば空気およびPTFE)を含むことができる。
【0059】
図面には操作が特定の順序で示されているが、そのような操作は、示される特定の順番または順序で実行される必要はなく、また図示されるすべての操作が実行される必要もない。本明細書に記載される動作は異なる順序で実行されることができる。上記態様における様々なシステムコンポーネントの分離は、すべての態様においてそのような分離を要するものと理解されるべきではない。
【0060】
語「コンピューティング装置」または「中央処理ユニット」は、たとえばプログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、チップ上のシステムもしくは複数のシステムまたは前記の組み合わせをはじめとする、データを処理するための様々な装置、デバイスおよび機械を包含することができる。装置は、専用の論理回路、たとえばFPGA(field programmable gate array)またはASIC(application specific integrated circuit)を含むことができる。装置はまた、ハードウェアに加えて、当該コンピュータプログラムの実行環境を創製するコード、たとえばプロセッサファームウェアを構成するコード、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームランタイム環境、仮想機械またはそれらの1つまたは複数の組み合わせを含むことができる。装置および実行環境は、様々な異なるコンピューティングモデルインフラストラクチャ、たとえばウェブサービス、分散コンピューティングおよびグリッドコンピューティングインフラストラクチャを実現することができる。コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、汎用または専用のマイクロプロセッサおよび任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。概して、プロセッサは、読み取り専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたは両方から命令およびデータを受ける。ユーザとの対話を提供するために、本明細書に記載される主題は、コンピューティング装置(たとえば、ユーザに情報を表示するための表示装置、たとえばモニタと、ユーザがマイクロ波発振ユニット200の、またはそれと関連したコンピュータに入力を供給することができるインターフェース(たとえばノブ、ダイアルまたはコントロール)を有する制御パネルとを有する、マイクロ波発振ユニット200の一部上で実現されることができる。
【0061】
いくつかの例示的な態様を説明したが、実例として提示された前記は例示的であり、限定的ではないということが明らかである。特に、本明細書に提示される例の多くは方法行為またはシステム要素の特定の組み合わせを含むが、そのような行為およびそのような要素は、他のやり方で組み合わされても同じ目的を達成し得る。1つの態様に関して記載された行為、要素および特徴は、他の態様における類似の役割から排除されることを意図したものではない。
【0062】
本明細書の中で使用される語句および用語は、説明のためのものであり、限定的であるとみなされるべきではない。本明細書における「を含む(including)」、「を含む(comprising)」、「を有する(having)」、「を含む(containing)」、「を含む(involving)」、「を特徴とする(characterized by)」、「を特徴とする(characterized in that)」、およびそれらの変形は、その前に挙げられた項目、その均等物およびさらなる項目だけでなく、その後に排他的に挙げられる項目からなる代替態様をも包含することを意図する。1つの態様において、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、記載された要素、行為またはコンポーネントの1つ、2つ以上の各組み合わせまたはすべてからなる。
【0063】
本明細書の中で単数形で参照されたシステムおよび方法の態様または要素または行為の任意の参照はまた、複数のこれらの要素を含む態様を包含し得、本明細書における複数形の態様または要素または行為の任意の参照は、単一の要素しか含まない態様をも包含し得る。単数形または複数形における参照は、開示されたシステムまたは方法、それらのコンポーネント、行為または要素を単一形または複数形に限定することを意図したものではない。任意の情報、行為または要素に基づく任意の行為または要素の参照は、行為または要素が少なくとも部分的に任意の情報、行為または要素に基づく態様を含み得る。
【0064】
本明細書に開示される任意の態様は、任意の他の態様と組み合わされてもよく、「ある態様」、「いくつかの態様」、「代替態様」、「様々な態様」、「1つの態様」などの参照は、必ずしも相互に排他的ではなく、その態様に関連して記載された特定の特徴、構造または特性が少なくとも1つの態様に含まれ得ることを示すことを意図したものである。本明細書の中で使用されるそのような語は必ずしもすべてが同じ態様を指すわけではない。任意の態様が、本明細書に開示される局面および態様と合致する任意のやり方で、任意の他の態様と包括的または排他的に組み合わされてもよい。
【0065】
「または」の参照は包括的と解釈され得、したがって、「または」を使用して記載される任意の語は、記載された語の1つ、2つ以上およびすべてのいずれかを示し得る。
【0066】
図面、詳細な説明、または任意の請求項における技術的特徴が参照符号を付されている場合、参照符号は、図面、詳細な説明および特許請求の範囲の理解しやすさを高めるために含まれたものである。したがって、参照符号またはその非存在のいずれも、任意の請求項要素の範囲に対する何らかの限定効果を及ぼすものではない。
【0067】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、それらの特徴を逸脱することなく、他の特定の形態に具現化され得る。たとえば、第二のパワー増幅ユニット160は、4つではなく、6つまたは8つのパワー増幅器170を含んでもよい。前記態様は、記載のシステムおよび方法を限定するものではなく、例示的である。したがって、本明細書に記載されるシステムおよび方法の範囲は、前記詳細な説明ではなく、以下の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内の変更はその中に包含される。
図1
図2
図3
図4
図5