IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イ, ムン キの特許一覧

特許7146990鏡を利用した透明なめがね型ディスプレイ
<>
  • 特許-鏡を利用した透明なめがね型ディスプレイ 図1
  • 特許-鏡を利用した透明なめがね型ディスプレイ 図2
  • 特許-鏡を利用した透明なめがね型ディスプレイ 図3
  • 特許-鏡を利用した透明なめがね型ディスプレイ 図4
  • 特許-鏡を利用した透明なめがね型ディスプレイ 図5
  • 特許-鏡を利用した透明なめがね型ディスプレイ 図6
  • 特許-鏡を利用した透明なめがね型ディスプレイ 図7
  • 特許-鏡を利用した透明なめがね型ディスプレイ 図8
  • 特許-鏡を利用した透明なめがね型ディスプレイ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】鏡を利用した透明なめがね型ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20220927BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021047046
(22)【出願日】2021-03-22
(62)【分割の表示】P 2019565245の分割
【原出願日】2018-05-05
(65)【公開番号】P2021103321
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】10-2017-0065748
(32)【優先日】2017-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0050301
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514164982
【氏名又は名称】イ, ムン キ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】イ, ムン キ
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-097215(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0293358(US,A1)
【文献】特表平10-511190(JP,A)
【文献】特開2013-222211(JP,A)
【文献】国際公開第2015/111944(WO,A1)
【文献】特開2013-044836(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0070104(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 - 27/02
H04N 5/64
H04N 13/344
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
めがね型ディスプレイにおいて、
眼前に位置し、視線方向に光を放出する準透明ディスプレイと、
前記準透明ディスプレイから視線方向に放出された光を、目側に反射させる光学モジュールと、
を含むが、
前記準透明ディスプレイの各ピクセルは、三原色のうち1色の光を放出し、前記ピクセルの目側面には、前記三原色のうち1色の光を光学モジュール側に反射させる二色性反射コーティング、または前記三原色のうち1色の光を吸収するカラー吸収コーティングを含むことを特徴とする、めがね型ディスプレイ。
【請求項2】
前記光学モジュールは、
半鏡と、
前記半鏡の目に向かう側に配置される凸レンズと、
前記半鏡の視線方向側に配置される凹レンズと、
が含まれることを特徴とする、請求項1に記載のめがね型ディスプレイ。
【請求項3】
前記準透明ディスプレイから放出された光のうち第1偏光だけ視線方向に通過させる第1偏光フィルタと、
前記第1偏光フィルタを通過した第1偏光の偏光軸を回転させる偏光軸回転第1手段と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のめがね型ディスプレイ。
【請求項4】
前記凹レンズの視線方向側に配置され、外部から入射される光のうち第1偏光または第2偏光だけ目側に通過させる第2偏光フィルタであり、第1偏光と第2偏光は、互いに偏光方向が直交する、第2偏光フィルタと、
前記第2偏光フィルタを通過した偏光の偏光軸を回転させる偏光軸回転第2手段と、
をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のめがね型ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視野角が広い透明なめがね型ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、仮想現実または拡張現実の映像を出力することができる透明なめがね型ディスプレイに関する技術である。
【0003】
現在、オキュラスリフトのような仮想現実用めがね型ディスプレイが発売開始されている。
【0004】
そのようなめがね型ディスプレイは、視野角が広い代わりに、装置の体積が大きく、不透明であるという短所がある。それとは別に、マイクロソフト社から、ホロレンズという透明なめがね型ディスプレイを販売を開始したが、視野角が狭いという問題がある。
【0005】
前述の技術の狭い視野角問題を解決するための技術として、米国特許出願番号US14/749,568(Head Mounted Augmented Reality Display)がある。前記米国特許出願技術は、図1のように、準透明(semi transparent)ディスプレイDSから放射された光が、凹状半鏡(half mirror)CMで反射されたところを目で見ることができるディスプレイ技術である。準透明ディスプレイDSは、目の方には、光を放出せず、凹状半鏡側(視線方向側)だけに光を放出する透明ディスプレイである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのような技術は、凹状半鏡の曲率半径が固定されており、凹状半鏡によって反射されて結ばれる映像の像と目との距離が固定される。そのように、映像と目との距離が固定されれば、両目の収斂角度と、目の焦点距離とが一致せず(それを、vergence-accommodation conflictという)、目に疲れを誘発する問題(それを、本発明においては、問題1とする)がある。
【0007】
本発明は、前記米国特許技術の凹状鏡によって反射されて結ばれた映像と、目との距離を調節することができるめがね型ディスプレイを提供し、問題1を解決することを目的とする。
【0008】
また、前記米国特許は、目の方に光を直接放射させないようにするために、ディスプレイに円偏光光源を使用したり、不透明なディスプレイのピクセル間距離を広げ、その間に、目で凹状鏡を見ることができる微細な多数の孔を形成したりしている。しかし、円偏光光源ディスプレイは、求め難く、微細な孔を形成すれば、ピクセルの密度が低くなり、映像の解像度が低くなるという問題がある(それを、本発明においては、問題2とする)。
【0009】
本発明は、前記米国特許技術の準透明ディスプレイの解像度を高める技術を提供し、問題2を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述の問題1を解決するために、凹状半鏡の凹状面(目側)に凸レンズを追加し、凹状半鏡の凸状面(視線方向)に凹レンズを追加するものの、前記凸レンズと凹レンズとを重ねて見れば、まさしく透明なガラスを介して見るように、レンズ効果がなくなるように、2つのレンズの焦点距離は、同じであり、符号が反対であり、2つのレンズは、偏光の種類により、屈折率が異なる異方性レンズであることを特徴とする。
【0011】
そして、準透明ディスプレイと前記凸レンズとの間には、偏光フィルムと偏光軸とを回転させることができる偏光軸回転手段が追加され、準透明ディスプレイから凹状鏡側に放出された光のうち、特定偏光だけ、前記偏光フィルムを通過した後、前記偏光軸回転手段を通過しながら偏光軸が回転し、凸レンズを通過する。このとき、通過する光の偏光軸の回転程度に対して、凸レンズの収斂屈折率が異なるので、偏光軸を回転させる程度を電気的に調節すれば、凸レンズの収斂程度を調節することができ、凸レンズと凹状鏡とを通過して結ばれる映像と目との距離を調節することができる。
【0012】
また、本発明は、前述の問題2を解決するために、透明ディスプレイの目に向かう側には、その面から目側に向けて放射される光を凹状鏡側に反射させることができる二色性カラーフィルタ、液晶シャッタまたはメムス(mems)シャッタを含む準透明ディスプレイを提供することを特徴とする。該二色性カラーフィルタは、特定色を反射させ、それ以外の色は、通過させるフィルタを意味する。
【発明の効果】
【0013】
本発明による、鏡を利用した透明なめがね型ディスプレイは、透明であるので、拡張現実映像を出力すれば、周辺環境と拡張現実映像とを重ねて見ることができる。また、凹状半透明鏡外側に、液晶シャッタを追加し、シャッタを閉じれば、周辺を見ることができず、既存の仮想現実用めがね型ディスプレイとしても使用することができる。
【0014】
また、凹状鏡内側の凹状面に凸レンズを追加することにより、透明ディスプレイと凹状鏡との距離を短縮させ、凹状鏡の曲率半径を小さくし、装置の体積を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来技術の構成図である。
図2】本発明の構成図である。
図3】既存の透明なめがね型ディスプレイ構成図である。
図4】異方性レンズの偏光に係わる屈折性質を示した図面である。
図5】シャッタ配列の平面図である。
図6】偏光フィルムと偏光軸回転手段との詳細図である。
図7】偏光フィルムと偏光軸回転手段との詳細図である。
図8】可変焦点レンズを含む仮想現実用頭着用ディスプレイ構成図である。
図9図8の装置に、インデックスマッチング凹レンズを追加した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態1
本実施形態は、米国特許出願番号US14/749,568(Head Mounted Augmented Reality Display)の凹状鏡の曲率半径が固定されており、両目の収斂角度と、目の焦点距離とが一致せず(それを、vergence-accommodation conflictという)、目に疲れを誘発する問題(それを、本発明では、問題1とする)を解決することを目的とする。前記米国特許出願技術は、図1のように、準透明(semi transparent)ディスプレイDSから放射された光が、凹状半鏡(half mirror)CMで反射されたところを目で見ることができるディスプレイ技術である。該準透明ディスプレイは、目側には、光を放出せず、凹状半鏡側だけに光を放出するディスプレイである。
【0017】
前述の米国特許技術は、凹状半鏡の曲率半径が固定されており、凹状半鏡によって反射されて結ばれる映像の像と、目との距離が固定され、両目の収斂角度と、目の焦点距離とが一致せず(それを、vergence-accommodation conflictという)、目に疲れを誘発する問題がある。半鏡は、光の一部は、反射させ、一部は、通過させる鏡を意味する。
【0018】
本発明は、前記米国特許技術の、凹状鏡によって反射されて結ばれた映像と、目との距離を調節することができるめがね型ディスプレイを提供することを目的とする。
【0019】
本発明は、前述の問題を解決するために、図2のように、凹状半鏡MR、または鏡の凹状面(目側)に凸レンズCXを追加し、凹状半鏡の凸状面(視線方向)に、凹レンズCCを追加するものの、前述の凸レンズと凹レンズとを重ねて見れば、まさしく透明なガラスを介して見るように、レンズ効果がなくなるように、2つのレンズの焦点距離は、同じであり、符号が反対であり、2つのレンズは、偏光の種類により、屈折率が異なる異方性レンズであることを特徴とする。または、凸レンズだけ異方性レンズであり、凹レンズは、一般レンズでもよい。そして、凹状鏡の代わりに、偏平な鏡を使用してもよい。
【0020】
該異方性レンズは、例えば、ガラス板のような偏平な方解石板を、図2の、凸レンズと凹レンズとの形態に加工して構成することができる。そのようなレンズは、重さを軽くするために、フレネルレンズ形態によっても構成される。また、方解石の代わりに、特定方向に整列された液晶または異方性物質を、レンズ形態に加工して構成することもできる。
【0021】
異方性レンズを利用しためがね型ディスプレイに係わる技術は、次の論文に開示されている。
【0022】
参考文献1:
See-through Optical Combiner for Augmented Reality Head-Mounted Display: Index-Matched Anisotropic Crystal Lens
(Scientific Reports | 7: 2753 | DOI: 10.1038/s41598-017-03117-w)
図3は、前記論文から抜粋したものであり、目の前の方解石レンズとインデックスマッチング物質からなる光学モジュールIMACLに、2種の互いに異なる偏光が通過する場合、1偏光は、収斂屈折するが、他の偏光は、屈折せず、まさしく偏平なガラス板を通過するように通過するところを示したものである。
【0023】
ここで、前記2種の互いに異なる偏光は、垂直偏光及び水平偏光でもある。本発明においては、そのような2種の線偏光を、第1偏光及び第2偏光と言う。
【0024】
方解石は、2種の第1偏光、第2偏光に対し、互いに異なる屈折率を有した物質である。そのうち、1つの屈折率(例えば、第2偏光が感じる屈折率)と同一物質を、第2偏光の屈折率にインデックスマッチングされた物質と言い、方解石凸レンズ表裏面に、図3のように、そのようなインデックスマッチング物質を充填し、偏平なガラス板のような光学モジュールIMACLに加工すれば、第1偏光は、そのような光学モジュールIMACLを通過すれば、収斂屈折するが、第2偏光は、ガラス板を通過するように、屈折せずにそのまま通過する。
【0025】
液晶を利用し、異方性レンズを作製する技術は、次の論文に掲示されている。
【0026】
参考文献2:
Polarization-Dependent Microlens Array Using Reactive Mesogen Aligned by Top-Down Nanogrooves for Switchable Three-Dimensional Applications
(Journal of the Optical Society of Korea Vol. 19, No. 3, June 2015, pp. 265-271,
ISSN: 1226-4776(Print) / ISSN: 2093-6885(Online)
DOI: http://dx.doi.org/10.3807/JOSK.2015.19.3.265
【0027】
図4は、前記論文から抜粋したものである。図4には、水平方向に整列された液晶凸レンズとインデックスマッチングされた物質からなる凹レンズが、偏平な板状に重なった光学モジュールに、互いに異なる偏光が通過すれば、1偏光は、収斂し、他偏光は、ガラス板のように屈折することなしに通過するところを示したものである。
【0028】
図2において、準透明ディスプレイOLと前記凸レンズCXとの間には、第1線偏光フィルムPOと、線偏光軸を回転させることができる偏光軸回転第1手段ROとが追加され、準透明ディスプレイから凹状鏡MR側に放出された光のうち、特定偏光(例えば、第1偏光)だけ前記偏光フィルムを通過した後、前記偏光軸回転手段を通過しながら偏光軸が回転し、凸レンズを通過する。このとき、通過する光の偏光軸の回転程度により、異方性物質から構成された凸レンズCXの収斂屈折率が異なるので、偏光軸を回転させる程度を電気的に調節すれば、凸レンズの収斂程度を調節することができ、凸レンズと凹状鏡とを通過して結ばれる準透明ディスプレイの映像と目との距離を調節することができる。
【0029】
偏光軸回転第1手段ROは、液晶ディスプレイから、カラーフィルタと偏光板とを除去するか、あるいはシャッタめがね式3Dディスプレイを見るときに着用するシャッタめがねレンズから、レンズ両側面に付着した偏光フィルムを除去しても構成される。
【0030】
シャッタめがねレンズは、透明な2枚の板の間に、よじれたネマチック液晶(twisted nematic liquid crystal)が充填されており、2枚の板内側面には、互いに垂直方向に配向膜が形成されており、透明電極がコーティングされている。該透明電極に電気信号を印加しなければ、そのようなシャッタめがねレンズを通過する偏光の偏光軸は、ねじれた液晶により、90°回転し、該透明電極に電気信号を印加すれば、通過する偏光の偏光軸は、変化がない。
【0031】
印加する電圧を連続して変化させれば、偏光軸の回転角度を連続して調節することができる。そのようなシャッタめがねレンズに印加する電圧を調節すれば、偏光軸の回転程度を調節することができる。
【0032】
そのように、第1偏光フィルム、偏光軸回転第1手段及び異方性レンズを使用し、焦点距離を変化させることができる可変焦点レンズを構成することができ、そのような可変焦点レンズを、準透明ディスプレイOLと半透明凹状鏡MRとの間に設け、準透明ディスプレイOLに出力された事物映像が遠くにあるように見えるようにすることもでき、近くにあるように見えるようにすることもできる。
【0033】
また、異方性凸レンズと同一材質、またはインデックスマッチング物質で、凹レンズCCを構成し、凹状鏡外の視線方向側に、図2のように設ければ、外部事物を、まさしく透明なガラス窓を介して見るように見ることができるので、本発明の装置を使用すれば、拡張現実映像を出力することができる。
【0034】
その場合、凹レンズ外側には、図2のように、特定偏光(第1偏光または第2偏光)だけ目側に通過させる第2偏光フィルタPO2と、偏光軸回転第2手段RO2とをさらに含むのが望ましい。その理由は、外部事物で反射され、本発明のめがね型ディスプレイ装置に入射される光ELには、第1偏光と第2偏光とが混同しており、該2偏光が同時に異方性凸レンズCXを通過すれば、2偏光が異なるように屈折され、映像が二重に分離されたように見えてしまうからである。
【0035】
偏光軸回転第2手段RO2が必要な理由は、次の通りである。もし偏光軸回転第2手段RO2がなければ、外部から入射される光ELのうち、第2偏光フィルタPO2を通過した特定偏光は、偏光軸回転第1手段ROを通過しながら、偏光軸が回転することになるが、偏光軸回転第1手段ROに印加される電圧により、回転角度が随時変わることになる。それにより、第1偏光フィルムPOを通過する光の量が随時変わることになるので、外部事物の明るさが一定ではないという問題が生じる。そのような問題は、偏光軸回転第2手段RO2を追加し、適切な電圧を印加し、偏光軸回転第1手段ROが回転させる角度の反対方向の角度に、あらかじめ偏光軸を回転させればよい。すなわち、外部から入射される光ELが第1偏光フィルムPOを常時最大限通過するように、偏光軸回転第2手段に適切な電圧を印加することが望ましい。
【0036】
図6は、そのような動作原理を詳細に示したものである。図6において、2偏光フィルムPO,PO2は、いずれも垂直偏光だけ通過させる偏光フィルムであり、偏光軸回転第1手段ROは、透明ディスプレイOLから、第1偏光フィルムPOを通過して入射する垂直偏光の偏光軸を、反時計回り方向に、角度(AN)ほど回転させる。外部から入射される光ELのうち、第2偏光フィルムPO2を通過した垂直偏光は、偏光軸回転第2手段RO2を通過しながら、時計回り方向に、前記角度(AN)ほど回転する(ここで、時計回り方向と反時計回り方向は、光源から光が進む方向に向けて見たときの回転方向である)。それにより、該光は、偏光軸回転第1手段ROを通過すれば、垂直偏光になり、第1偏光フィルムPOを通過し、目に逹することができる。すなわち、図6のような構成の装置であるならば、偏光軸回転第1手段と偏光軸回転第2手段は、通過する垂直偏光を、角度サイズは、同じであり、方向だけ異なるように回転させれば、外部光ELが、最大限第1偏光フィルムを通過して目に逹するので、外部事物が最大限明るく見える。
【0037】
そのような第1偏光または第2偏光は、凹レンズ、凹面鏡、凸レンズを、まさしく透明なガラス板を通過するように、屈折することなしに通過して目に逹するので、本装置を着用すれば、外部事物を見ることができると同時に、透明ディスプレイの映像も見ることができる。
【0038】
図7のように、もし第2偏光フィルムが水平偏光だけ通過させるフィルムであるならば、偏光軸回転第2手段RO2は、入射される水平偏光の偏光軸を角度(90-AN)ほど反時計回り方向に回転させればよい。
【0039】
また、異方性凸レンズがいくら厚いとしても、電気信号を印加する偏光軸回転手段RO,RO1は、非常に薄く構成することができるので、低電圧で高速で偏光軸回転手段を駆動することができる。
【0040】
そのような偏光軸回転手段で偏光軸を回転させ、近い物体の映像と、遠い物体の映像とを交互に迅速に出力することができる。
【0041】
実施形態2
本実施形態は、前記米国特許出願番号US14/749、568(Head Mounted Augmented Reality Display)ディスプレイの解像度が低いという問題(問題2)を、次のように解決することを目的とする。
【0042】
前記実施形態1の偏光フィルムPO,PO2は、特定偏光だけ通過させる役割を行うが、吸収型偏光フィルムを使用することもでき、反射型偏光フィルムを使用することもできる。該反射型偏光フィルムは、特定偏光は、通過させ、それ以外の他の偏光は、反射させるフィルムであり、微細金属線(wire grid)を整列させて作ることができる。そのような反射型偏光フィルムを、図2の第1偏光フィルムPOに利用するならば、準透明ディスプレイは、例えば、透明OLEDでもあり、その各ピクセルの、眼球に向かう側には、そのピクセルが放出する光の色の光を反射させる二色性反射コーティングRCを施すことが望ましい。その場合、透明OLEDの各ピクセルは、例えば、三原色のうち1色の光を放出するように構成する。そのように、目側面に、二色性反射コーティングを施せば、透明OLEDのピクセルから目側に放出された光が、二色性コーティングによって凹状鏡側に反射するので、眩しさがない(眩しさを除去するために、透明ディスプレイのピクセルから目側に放出する光の色を吸収する吸収カラーコーティングを、透明ディスプレイの目側面に形成することもできる)。
【0043】
図2において、透明ディスプレイOLには、3種類の光源を含むピクセルと、二色性カラー反射フィルタまたはカラー吸収フィルタとが表示されている。
【0044】
例えば、PRは、赤色光源を含むピクセルであり、PGは、緑色光源を含むピクセルであり、PBは、青色光源を含むピクセルである。
【0045】
そして、RRは、赤色を反射または吸収するフィルタであり、RGは、緑色を反射または吸収するフィルタであり、RBは、青色を反射または吸収するフィルタである。
【0046】
その場合、RRは、赤色以外の光は、通過させるフィルタであり、RGは、緑色以外の光は、通過させるフィルタであり、RBは、青色以外の光は、通過させるフィルタである。
【0047】
その場合、図2の偏光フィルムPOが反射型偏光フィルムであるならば、吸収型偏光フィルムより損失される光が減り、エネルギー効率が高くなる。すなわち、電力消費量が減り、めがね型ディスプレイを駆動するバッテリ使用時間が長くなる。
【0048】
そのような反射型または吸収型のカラーフィルタは、外部から入射される光EL(図2)の一部を遮断し、視野を暗くしてしまう短所がある。視野を明るくするためには、液晶シャッタまたはメムス(mems)シャッタを、透明ディスプレイの各ピクセルの目に向かう面に形成し、シャッタを閉じ、透明ディスプレイのピクセルから目に向かう光を遮断することもできる。
【0049】
メムスシャッタに係わる技術は、次の論文に掲示されている。
【0050】
参考文献3:
透明OLEDディスプレイのための広帯域反射マイクロシャッタブラインドパネル
(第18回韓国MEMS学術大会論文集4月7日-9日の論文)
その場合、各シャッタを、いずれも同時に閉じれば、透明ディスプレイから凹状鏡側に放出された光DLが凹状鏡RMによって反射された後、目に向かうとき、いずれも遮られるので、透明ディスプレイのピクセルを、2個または多数のグループに分け、グループ別に順次に光を放出し、光を放出するピクセルに接するシャッタだけ閉じるようにすることが望ましい。例えば、図5のように、透明ディスプレイの偶数番目ピクセルを第1グループG1に分けることができ、奇数番目ピクセルを第2グループG2に分けることができる。
【0051】
その場合、第1グループのピクセルに映像を出力し、光を放出させ、それに併行し、第1グループに属するピクセルに接する(すなわち、第1グループに属するピクセルと、目との間に存在)液晶シャッタまたはメムスシャッタを閉じ、第2グループに属するピクセルに接する(すなわち、第2グループに属するピクセルと目との間に存在)液晶シャッタまたはメムスシャッタを開く。
【0052】
次の瞬間には、それと反対に、第2グループのピクセルに映像を出力し、光を放出させ、それに併行し、第2グループに属するピクセルに接する液晶シャッタまたはメムスシャッタを閉じ、第1グループに属するピクセルに接する液晶シャッタまたはメムスシャッタを開く。そのような過程を迅速に反復する。図5は、透明ディスプレイOLの第1グループG1のシャッタは、閉じ、第2グループG2のシャッタは、開いたところを示したものである。液晶シャッタは、例えば、シャッタめがね式3Dディスプレイを見るときに着用するシャッタめがねのレンズのような構造にも構成される。また、メムスシャッタは、電気信号によって開いたり閉じたりする微細な板により、光を通過または遮断させるシャッタを意味する。
【0053】
そのような液晶シャッタやメムスシャッタは、それぞれのピクセルごとに構成されもし、隣接する多数(例えば、互いに隣接した2行2列のピクセル)のピクセルごとにも構成される。例えば、2行2列ピクセルごとにシャッタを構成すれば、そのシャッタを開けたり閉じたりするば、2行2列を構成する4個のピクセル領域を通過する光を同時に遮断させたり通過させたりすることができる。そのように、ピクセルと目との間に、カラーフィルタ、液晶シャッタまたはメムスシャッタを設ければ、ピクセル間の間隔を狭めることができ、映像の解像度を高めることができる。
【0054】
実施形態3
本実施形態は、前記実施形態1の可変焦点レンズ技術を、オキュラスcv1のような仮想現実用頭着用ディスプレイ(head mount display)に適用したところに係わるものである。現在の仮想現実用頭着用ディスプレイの眼前の凸レンズは、焦点距離が固定されており、両目の収斂角度と、目の焦点距離とが不一致である(それを、vergence-accommodation conflictと言う)問題があるが、本実施形態は、そのような問題を解決することを目的とする。
【0055】
前記目的を達成するために、本実施形態は、図8のように、既存の仮想現実用頭着用ディスプレイの凸レンズを、偏光種類により、屈折率が異なる異方性物質の凸レンズVLNで代替(または、既存レンズに、異方性物質の凸レンズを追加し、重ねて設ける)し、OLEDのようなディスプレイVDSの前には、特定偏光だけ目側に通過させる偏光フィルムVPOと、前記偏光フィルムを通過した偏光の偏光軸を回転させる偏光軸回転手段VROと、を含む。前記偏光フィルムは、光の損失を最小化させるために、反射型偏光フィルムにすることが望ましい。
【0056】
偏光軸回転手段VROに印加する電圧を変化させれば、偏光軸回転手段VROを通過する偏光の偏光軸を、所望するほど回転させることができ、そのような偏光は、異方性物質の凸レンズVLNを通過しながら、その偏光軸回転程度に対応するほど収斂屈折して目に逹する。そのような偏光軸回転手段VROに印加する電圧を、偏光軸回転手段VRO全体に同一に印加することもでき、偏光軸回転手段VROを、微細な多数の領域(例えば、ディスプレイのピクセルに対応する領域)に分け、各領域ごとに異なる電圧を印加することもできる。例えば、ディスプレイから遠くにある事物と、近くにある事物とを同時に出力するならば、遠くにある事物に重なった偏光軸回転手段VROの領域に印加する電圧と、近くにある事物に重なった偏光軸回転手段VROの領域に印加する電圧とを異ならせることにより、2つの領域から放出された光が、レンズVLNにおいて、互いに異なるほど収斂屈折するようにし、2つの物体の映像と、目との距離が異なるようにする。
【0057】
そのようなディスプレイVDSを、透明OLEDのような透明ディスプレイにし、透明ディスプレイに映像を出力しなければ、外部の光が目に逹することができる。しかし、外部の光が異方性物質の凸レンズVLNによって収斂屈折され、外部映像が網膜に焦点を結ぶことができない問題がある。
【0058】
外部物体を鮮明に見るならば、異方性物質の凸レンズVLNの前面または裏面、あるいは両面に、図3と類似するか、あるいは図9のように、屈折率マッチング物質からなる凹レンズVCCを付着させればよい。ここで、屈折率マッチングされた物質は、異方性凸レンズの第1偏光に係わる第1屈折率と、第2偏光に係わる第2屈折率とのうち1つの屈折率と同一屈折率の物質を意味する。そのように、屈折率マッチング物質からなる凹レンズVCCを付着させた異方性物質の凸レンズVLNを介して、第1偏光が通過すれば、収斂屈折するが、第2偏光は、まさしく透明なガラス板のように屈折されることなしに通過することができる。すなわち、透明ディスプレイに映像を出力するときは、偏光軸回転手段VROに第1電気信号を印加し、偏光軸を回転させ、第1偏光が目に逹するようにすれば、目は、ディスプレイ映像を見ることができる。そして、偏光軸回転手段VROに第2電気信号を印加し、偏光軸を回転させ、第2偏光が目に逹するようにすれば、目は、外部事物の映像を見ることができる。
【0059】
そのように、ディスプレイに映像を出力する状態と、出力していない状態とを交互に迅速に反復すれば、外部事物とディスプレイ映像とを重ねて見ることができる。ディスプレイに映像を鮮明に表示させるために、ディスプレイ外側には、シャッタ手段VST(例えば、液晶シャッタ)を追加し、ディスプレイに映像を出力する間には、シャッタを閉じ、外部光が目に逹することができないようにすることが望ましい。
[発明の条項]
[条項1]
めがね型ディスプレイにおいて、
眼前に位置し、視線方向に光を放出する準透明ディスプレイと、
前記準透明ディスプレイから放出された光のうち第1偏光だけ選択的に通過させる第1偏光フィルタと、
前記第1偏光フィルタを通過した第1偏光の偏光軸を回転させる偏光軸回転第1手段と、
前記偏光軸回転第1手段によって偏光軸が回転された偏光を、前記偏光軸の回転程度に対応する屈折率で収斂屈折させる異方性凸レンズと、
前記異方性凸レンズを通過した光を、さらに前記異方性凸レンズ側に反射させる反射手段と、
を含むことを特徴とする、めがね型ディスプレイ。
[条項2]
前記準透明ディスプレイの各ピクセルは、三原色のうち1色の光を放出し、前記ピクセルの目側面には、前記三原色のうち1色の光を反射手段側に反射させる二色性反射コーティング、または前記三原色のうち1色の光を吸収するカラー吸収コーティングを含むことを特徴とする、条項1に記載のめがね型ディスプレイ。
[条項3]
前記ディスプレイの反射手段は、目に向かう側が、凹状半鏡、または偏平な半鏡であることを特徴とする、条項1に記載のめがね型ディスプレイ。
[条項4]
前記めがね型ディスプレイは、前記凹状半鏡、または偏平な鏡の視線方向側に、凹レンズを含むことを特徴とする、条項3に記載のめがね型ディスプレイ。
[条項5]
前記めがね型ディスプレイは、
前記凹レンズの視線方向側に、特定偏光だけ目側に通過させる第2偏光フィルタと、
前記第2偏光フィルタを通過した前記特定偏光の偏光軸を回転させる偏光軸回転第2手段と、
を含むことを特徴とする、条項4に記載のめがね型ディスプレイ。
[条項6]
前記めがね型ディスプレイは、
前記準透明ディスプレイの各ピクセルの目側面には、各ピクセルごと、または多数の隣接したピクセルごとに、光を通過または遮断させることができるシャッタ手段を含むことを特徴とする、条項1に記載のめがね型ディスプレイ。
[条項7]
前記シャッタ手段は、液晶シャッタまたはメムスシャッタであることを特徴とする、条項6に記載のめがね型ディスプレイ。
[条項8]
めがね型ディスプレイにおいて、
眼前に位置し、視線方向に光を放出する準透明ディスプレイと、
前記準透明ディスプレイから視線方向に放出された光を、目側に反射させる光学モジュールと、
を含むが、
前記準透明ディスプレイの各ピクセルは、三原色のうち1色の光を放出し、前記ピクセルの目側面には、前記三原色のうち1色の光を光学モジュール側に反射させる二色性反射コーティング、または前記三原色のうち1色の光を吸収するカラー吸収コーティングを含むことを特徴とする、めがね型ディスプレイ。
[条項9]
前記光学モジュールは、
半鏡と、
前記半鏡の目に向かう側に配置される凸レンズと、
前記半鏡の視線方向側に配置される凹レンズと、
が含まれることを特徴とする、条項8に記載のめがね型ディスプレイ。
[条項10]
めがね型ディスプレイにおいて、
眼前に位置し、視線方向に光を放出する準透明ディスプレイと、
前記準透明ディスプレイから視線方向に放出された光を目側に反射させる光学モジュールと、を含むが、
前記準透明ディスプレイの各ピクセルの目側面には、各ピクセルごと、または多数の隣接したピクセルごとに、光を通過または遮断させることができるシャッタ手段を含むことを特徴とする、めがね型ディスプレイ。
[条項11]
前記光学モジュールは、
半鏡と、
前記半鏡の目に向かう側に配置される凸レンズと、
前記半鏡の視線方向に配置される凹レンズと、
が含まれることを特徴とする、条項10に記載のめがね型ディスプレイ。
[条項12]
前記シャッタ手段は、液晶シャッタまたはメムスシャッタであることを特徴とする、条項10に記載のめがね型ディスプレイ。
[条項13]
めがね型ディスプレイにおいて、
眼前に配置され、偏光の種類により、屈折率が異なる異方性凸レンズと、
前記異方性凸レンズ側に光を放出するディスプレイと、
前記ディスプレイから放出された光の第1偏光だけ目側に通過させる偏光フィルタと、
前記偏光フィルタを通過した偏光の偏光軸を回転させる偏光軸回転手段と、
を含むことを特徴とする、めがね型ディスプレイ。
[条項14]
前記偏光軸回転手段は、多数領域に分けられ、各領域に印加されたそれぞれの電気信号により、各領域ごとに異なる程度に偏光軸を回転させることを特徴とする、条項13に記載のめがね型ディスプレイ。
[条項15]
前記めがね型ディスプレイは、異方性凸レンズの第2偏光に係わる屈折率と同一屈折率の物質からなる凹レンズが、異方性凸レンズの前面または裏面、あるいは前裏面に含まれていることを特徴とする、条項13に記載のめがね型ディスプレイ。
[条項16]
前記めがね型ディスプレイは、
前記ディスプレイの視線方向側面には、光を遮断させたり通過させたりすることができるシャッタ手段を含むことを特徴とする、条項15に記載のめがね型ディスプレイ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9