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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】効果持続型消毒剤及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 33/12 20060101AFI20220927BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20220927BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220927BHJP
   A01N 65/10 20090101ALI20220927BHJP
   A01N 65/38 20090101ALI20220927BHJP
   A01N 65/36 20090101ALI20220927BHJP
   A01N 65/20 20090101ALI20220927BHJP
【FI】
A01N33/12 101
A01P1/00
A01P3/00
A01N65/10
A01N65/38
A01N65/36
A01N65/20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021058848
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】521134787
【氏名又は名称】Koronashi株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】孔 慶岩
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103719174(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102273488(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、プロピレングリコール、植物複合抽出物、及びEDI純水を含む効果持続型消毒剤であって、
前記効果持続型消毒剤の総重量に対して、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、及びドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリドの合計含有量は0.1-1wt%であり、プロピレングリコールの含有量は0.5-1wt%であり、植物複合抽出物の含有量は0.1-0.5wt%であり、残部はEDI純水であり、
ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリドの重量比は(1.5-40):(1.5-40):1であり、
前記植物複合抽出物は、ツボクサ抽出物、センナリホオズキ抽出物、グレープフルーツ抽出物およびネムノキ抽出物からなる、ことを特徴とする、効果持続型消毒剤。
【請求項2】
前記植物複合抽出物は、ツボクサ抽出物と、センナリホオズキ抽出物と、グレープフルーツ抽出物と、ネムノキ抽出物とを(3-5):(1-3):(4-6):1の重量比で混合してなるものであることを特徴とする、請求項1に記載の効果持続型消毒剤。
【請求項3】
ジデシルジメチルアンモニウムブロミドにヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド及びプロピレングリコールを順に加え、拌した後、均一に混合し、EDI純水とツボクサ抽出物、センナリホオズキ抽出物、グレープフルーツ抽出物およびネムノキ抽出物を含む植物複合抽出物とを加え、さらに均一に撹拌した後、効果持続型消毒剤を得ることを特徴とする、効果持続型消毒剤の調製方法。
【請求項4】
前記ツボクサ抽出物の調製方法は、
ツボクサを粉砕し、ツボクサ粉末に濃度が35-60wt%のエタノール水溶液を加えて溶解し、前記ツボクサ粉末と前記エタノール水溶液との重量比が1:(2-6)であり、20-45℃で15-30min撹拌し、次に酸性プロテアーゼと、乳酸菌と、β-メルカプトエタノールとを(5-10):(1-2):1の質量比で混合して調製された複合酵素を加え、pHを4.5-5.5に調整し、45-60℃で1.5-3.5h撹拌し、酵素分解液を得るステップ(1)と、
ステップ(1)の酵素分解液を温度30-50℃、パワー75-90wで1.5-2.5h超音波処理し、濾過し、得られた濾液を濃縮し、ツボクサ抽出物を得るステップ(2)と、
を含むことを特徴とする、請求項3に記載の効果持続型消毒剤の調製方法。
【請求項5】
前記ツボクサ粉末と前記複合酵素との重量比は100:(0.5-5)であることを特徴とする、請求項4に記載の効果持続型消毒剤の調製方法。
【請求項6】
前記センナリホオズキ抽出物の調製方法は、
センナリホオズキを粉砕し、センナリホオズキ粉末に濃度が70-90wt%のエタノール水溶液を加えて溶解し、前記センナリホオズキ粉末と前記エタノール水溶液との重量比が1:(2-6)であり、得られたセンナリホオズキ溶液を加熱還流抽出した後、濾過し、得られた濾液を濃縮し、センナリホオズキ抽出物を得ることを含むことを特徴とする、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の効果持続型消毒剤の調製方法
【請求項7】
前記グレープフルーツ抽出物の調製方法は、
グレープフルーツを粉砕した後、グレープフルーツ粉末を濃度が70-90wt%のエタノール水溶液に溶解し、前記グレープフルーツ粉末と前記エタノール水溶液との重量比が(0.5-1):1であり、得られたグレープフルーツ溶液を順に発酵、濾過し、得られた濾液を濃縮し、グレープフルーツ抽出物を得ることを含むことを特徴とする、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の効果持続型消毒剤の調製方法。
【請求項8】
前記発酵に用いる微生物剤は、乳酸菌と、酢酸菌と、酵母菌とを(3-5):(1-2):1の重量比で混合して調製されたものであることを特徴とする、請求項7に記載の効果持続型消毒剤の調製方法。
【請求項9】
前記発酵の条件は、温度20-40℃、時間35-50日であることを特徴とする、請求項8に記載の効果持続型消毒剤の調製方法。
【請求項10】
前記ネムノキ抽出物の調製方法は、
ネムノキを粉砕し、ネムノキ粉末に濃度が75-85wt%のエタノール水溶液を加えて溶解し、前記ネムノキ粉末と前記エタノール水溶液との重量比が1:(2-6)であり、得られたネムノキ溶液を加熱還流抽出した後、濾過し、得られた濾液を濃縮し、ネムノキ抽出物を得ることを含むことを特徴とする、請求項3乃至9のいずれか1項に記載の効果持続型消毒剤の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消毒剤の技術分野に関し、具体的には効果持続型消毒剤及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消毒剤は主に、電波媒介上の病原性微生物を殺して無害にし、病原性微生物を人体から排除し、感染症の伝播経路を遮断し、感染症を制御する目的を達成するために使用されている。
【0003】
市販されている消毒剤は種類が多いが、ほとんど以下の欠陥を有する。
1、消毒効果が持続しない。
2、刺激性を有する。
3、消毒効果が悪く、分解しやすい。
【0004】
中国特許出願公告第103719174Aには、「原料は、花卉成分、漢方薬添加剤成分、ステアリン酸ナトリウム、脂肪酸ポリオキシエチレンエーテル、エタノール及び脱イオン水」を含むことが開示されている。しかし、天然成分を使用するので毒性が比較的低く、静菌効果も比較的高いが、調製方法が複雑で、静菌持続時間が短く、複数回繰り返して使用する必要がある。
【0005】
中国特許出願公告第102273488Aには、「新生態酸素を用いる高速特効殺菌消毒剤は、重量比でドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、グリセロール、海藻抽出物、過酸化水素、アルキルフェノールポリオキシエチレンエーテル、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、カラゲナン、アラビアガム、プロピレングリコールアルギネート、ラウリル硫酸ナトリウム、及び水からなる」が開示されている。この殺菌消毒剤は、抗菌効果が比較的高いが、抗菌時間が短く、多種類の化学薬剤を使用するため、毒性や刺激性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】中国特許出願公告第103719174A
【文献】中国特許出願公告第102273488A
【発明の概要】
【0007】
本発明は、従来技術の殺菌消毒剤の抗菌時間が短いという欠陥を克服するために、環境に優しく、無毒で、除菌効率が高く、静菌持続時間が長い効果持続型消毒剤を提供することを目的とする。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のある態様は、
ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、プロピレングリコール、植物複合抽出物、及びEDI純水を含む効果持続型消毒剤であって、前記効果持続型消毒剤の総重量に対して、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、及びドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリドの合計含有量は0.1-1wt%であり、プロピレングリコールの含有量は0.5-1wt%であり、植物複合抽出物の含有量は0.1-0.5wt%であり、残部はEDI純水であり、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリドの重量比は(1.5-40):(1.5-40):1であり、前記植物複合抽出物は、ツボクサ抽出物、センナリホオズキ抽出物、グレープフルーツ抽出物およびネムノキ抽出物からなる。
【0009】
さらに、前記効果持続型消毒剤の総重量に対して、前記ジデシルジメチルアンモニウムブロミドの含有量は0.2wt%であり、前記ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドの含有量は0.2wt%であり、前記ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリドの含有量は0.1wt%であり、プロピレングリコールの含有量は1wt%であり、前記植物複合抽出物の含有量は0.5wt%であり、残部はEDI純水である。さらに、前記植物複合抽出物は、ツボクサ抽出物と、センナリホオズキ抽出物と、グレープフルーツ抽出物と、ネムノキ抽出物とを(3-5):(1-3):(4-6):1の重量比で混合してなる。
【0010】
本発明の他の態様は効果持続型消毒剤の調製方法である。当該効果持続型消毒剤の調製方法は、ジデシルジメチルアンモニウムブロミドにヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド及びプロピレングリコールを順に加え、ゆっくりと撹拌した後、均一に混合し、EDI純水とツボクサ抽出物、センナリホオズキ抽出物、グレープフルーツ抽出物およびネムノキ抽出物を含む植物複合抽出物とを加え、さらに均一に撹拌した後、効果持続型消毒剤を得ることを特徴とする。
【0011】
前記ツボクサ抽出物の調製方法は、
ツボクサを粉砕し、ツボクサ粉末に濃度が35-60wt%のエタノール水溶液を加えて溶解し、前記ツボクサ粉末と前記エタノール水溶液との重量比が1:(2-6)であり、20-45℃で15-30min撹拌し、次に酸性プロテアーゼと、乳酸菌と、β-メルカプトエタノールとを(5-10):(1-2):1の質量比で混合して調製された複合酵素を加え、pHを4.5-5.5に調整し、45-60℃で1.5-3.5h撹拌し、酵素分解液を得るステップ(1)と、
ステップ(1)の酵素分解液を温度30-50℃、パワー75-90wで1.5-2.5h超音波処理し、濾過し、得られた濾液を濃縮し、ツボクサ抽出物を得るステップ(2)と、
を含む。
【0012】
さらに、前記ツボクサ粉末と前記複合酵素との重量比は100:(0.5-5)である。
【0013】
さらに、前記センナリホオズキ抽出物の調製方法は、
センナリホオズキを粉砕し、センナリホオズキ粉末に濃度が70-90wt%のエタノール水溶液を加えて溶解し、前記センナリホオズキ粉末と前記エタノール水溶液との重量比が1:(2-6)であり、得られたセンナリホオズキ溶液を加熱還流抽出した後、濾過し、得られた濾液を濃縮し、センナリホオズキ抽出物を得ることを含む。
【0014】
さらに、前記グレープフルーツ抽出物の調製方法は、
グレープフルーツを粉砕した後、グレープフルーツ粉末を濃度が70-90wt%のエタノール水溶液に溶解し、前記グレープフルーツ粉末と前記エタノール水溶液との重量比が(0.5-1):1であり、得られたグレープフルーツ溶液を順に発酵、濾過し、得られた濾液を濃縮し、グレープフルーツ抽出物を得ることを含む。
【0015】
さらに、前記発酵に用いる微生物剤は、乳酸菌と、酢酸菌と、酵母菌とを(3-5):(1-2):1の重量比で混合して調製されたものである。さらに、前記発酵の条件は、温度20-40℃、時間35-50日である。
【0016】
さらに、前記ネムノキ抽出物の調製方法は、
ネムノキを粉砕し、ネムノキ粉末に濃度が75-85wt%のエタノール水溶液を加えて溶解し、前記ネムノキ粉末と前記エタノール水溶液との重量比が1:(2-6)であり、得られたネムノキ溶液を加熱還流抽出した後、濾過し、得られた濾液を濃縮し、ネムノキ抽出物を得ることを含む。
【0017】
本発明は以下の有益な効果を有する。
本発明の効果持続型消毒剤は毒性が低く、除菌効率が高い。特に本発明の効果持続型消毒剤に植物複合抽出物を特定の比率で加えることにより、その静菌持続時間が長く、30日にも達するとともに、毒性が低く、除菌効率がより高く、特に黄色ブドウ球菌、グラム陰性細菌、エンテロコッカス・ファエカリス及びカンジダ・アルビカンスの全てに対して極めて強い殺滅及び抑制効果を有し、最も抑制時間は30日にも達することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明で使用される原料
ジデシルジメチルアンモニウムブロミド:済南栄広化工有限公司から購入された。
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド:山東穗泰生物科技有限公司から購入された。
ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド:シ博沃森環保科技有限公司から購入された。
他の一般的な試薬、酵素および微生物剤も市販品である。
【0019】
実施例1
ツボクサ抽出物の調製方法
ツボクサを粉砕した後、得られたツボクサ粉末に濃度が50wt%のエタノール水溶液を加えて溶解した。前記ツボクサ粉末とエタノール水溶液との重量比は1:3であった。その後、35℃で25min撹拌し、次に複合酵素(ツボクサ粉末と複合酵素との重量比は100:0.5である。複合酵素は、酸性プロテアーゼと、乳酸菌と、β-メルカプトエタノールとを8:1.5:1の重量比で混合して調製される。以下同じ。)を加え、pHを5に調整し、55℃で2h撹拌し、酵素分解液を得た。酵素分解液を温度45℃、パワー80wで2h超音波処理し、濾過し、得られた濾液を濃縮し、ツボクサ抽出物を得た。
【0020】
センナリホオズキ抽出物の調製方法
センナリホオズキを粉砕し、得られたセンナリホオズキ粉末に濃度が85wt%のエタノール水溶液を加えて溶解した。センナリホオズキ粉末とエタノール水溶液との重量比は1:3であった。その後、得られたセンナリホオズキ溶液を2h加熱還流抽出した後、濾過し、濾液を濃縮し、センナリホオズキ抽出物を得た。
【0021】
グレープフルーツ抽出物の調製方法
グレープフルーツを粉砕した後、得られたグレープフルーツ粉末を濃度が70wt%のエタノール水溶液を加えた。グレープフルーツ粉末とエタノール水溶液との重量比は0.8:1であった。得られたグレープフルーツ溶液にグレープフルーツの重量の3%の微生物剤(乳酸菌と、酢酸菌と、酵母菌とを4:1.5:1の重量比で混合して調製されたもの)を加え、30℃で45日発酵させ、濾過した。得られた濾液を濃縮し、グレープフルーツ抽出物であった。
【0022】
ネムノキ抽出物の調製方法
ネムノキを粉砕し、得られたネムノキ粉末に80wt%のエタノール溶液を加えて溶解した。ネムノキ粉末とエタノール水溶液との重量比は1:3であった。得られたネムノキ溶液を5h加熱還流抽出した後、濾過し、得られた濾液を濃縮し、ネムノキ抽出物を得た。
【0023】
植物複合抽出物は、ツボクサ抽出物と、センナリホオズキ抽出物と、グレープフルーツ抽出物と、ネムノキ抽出物とを3:2:5:1の重量比で混合して調製された。
【0024】
効果持続型消毒剤は、重量でジデシルジメチルアンモニウムブロミド0.2wt%、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド0.2wt%、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド0.1wt%、プロピレングリコール1wt%、植物複合抽出物0.5wt%、残部EDI純水を原料として調製された。
【0025】
効果持続型消毒剤の調製方法は以下のステップを含む。
上記の配合比で原料ジデシルジメチルアンモニウムブロミドを秤取し、さらに配合比でヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド及びプロピレングリコールを順に加え、10分間ゆっくりと撹拌した後、配合比でEDI純水及び植物複合抽出物を加え、再度3分間撹拌した後、上記効果持続型消毒剤を得た。
【0026】
表1は、実施例1の消毒剤で消毒した後の異なる時間における同じ環境での各細菌の総数に対する影響(CFU/ml)×10を示す。
【0027】
実施例2
ツボクサ抽出物の調製方法
ツボクサを粉砕した後、得られたツボクサ粉末に濃度が40wt%のエタノール水溶液を加えて溶解し、前記ツボクサ粉末とエタノール水溶液との重量比が1:3であった。その後、30℃で15min撹拌し、次に複合酵素(実施例1と同様)を加え、pHを4.5に調整し、40℃で1.5h撹拌し、酵素分解液を得た。酵素分解液を温度30℃、パワー75wで1.5h超音波処理し、濾過し、得られた濾液を濃縮し、ツボクサ抽出物を得た。
【0028】
センナリホオズキ抽出物の調製方法
センナリホオズキを粉砕し、得られたセンナリホオズキ粉末に濃度が70wt%のエタノール水溶液を加えて溶解し、センナリホオズキ粉末とエタノール水溶液との重量比は1:4であった。その後、得られたセンナリホオズキ溶液を3h加熱還流抽出した後、濾過し、濾液を濃縮し、センナリホオズキ抽出物を得た。
【0029】
グレープフルーツ抽出物の調製方法
グレープフルーツを粉砕した後、得られたグレープフルーツ粉末を濃度が80wt%のエタノール水溶液を加え、グレープフルーツ粉末とエタノール水溶液との重量比は0.5:1であった。得られたグレープフルーツ溶液にグレープフルーツの重量の2%の微生物剤(乳酸菌と、酢酸菌と、酵母菌とを3:2:1の重量比で混合して調製されたもの)を加え、30℃で45日発酵させ、濾過した。得られた濾液を濃縮し、グレープフルーツ抽出物であった。
【0030】
ネムノキ抽出物の調製方法
ネムノキを粉砕し、得られたネムノキ粉末に75wt%のエタノール溶液を加えて溶解し、ネムノキ粉末とエタノール水溶液との重量比は1:3であった。得られたネムノキ溶液を6h加熱還流抽出した後、濾過し、得られた濾液を濃縮し、ネムノキ抽出物を得た。
【0031】
植物複合抽出物は、ツボクサ抽出物と、センナリホオズキ抽出物と、グレープフルーツ抽出物と、ネムノキ抽出とを3:2:5:1の重量比で混合して調製された。
【0032】
効果持続型消毒剤は、重量でジデシルジメチルアンモニウムブロミド0.4wt%、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド0.09wt%、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド0.01wt%、プロピレングリコール0.5wt%、植物複合抽出物0.5wt%、残部EDI純水を原料として調製された。
【0033】
効果持続型消毒剤の調製方法は以下のステップを含む。
配合比で原料ジデシルジメチルアンモニウムブロミドを秤取し、配合比でヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド及びプロピレングリコールを順に加え、10分間ゆっくりと撹拌した後、配合比でEDI純水及び植物複合抽出物を加え、再度5分間撹拌した後、上記効果持続型消毒剤を得た。
【0034】
表2は、実施例2の消毒剤により消毒した後の異なる時間における同じ環境での各細菌の総数に対する影響(CFU/ml)×10を示す。
【0035】
実施例3
ツボクサ抽出物の調製方法
ツボクサを粉砕した後、得られたツボクサ粉末に濃度が60wt%のエタノール水溶液を加えて溶解し、前記ツボクサ粉末とエタノール水溶液との重量比が1:6であった。その後、45℃で30min撹拌し、次に複合酵素(実施例1と同様)を加え、pHを5.5に調整し、60℃で3.5h撹拌し、酵素分解液を得た。酵素分解液を温度50℃、パワー90wで2.5h超音波処理し、濾過し、得られた濾液を濃縮し、ツボクサ抽出物を得た。
【0036】
センナリホオズキ抽出物の調製方法
センナリホオズキを粉砕し、得られたセンナリホオズキ粉末に濃度が90wt%のエタノール水溶液を加えて溶解し、センナリホオズキ粉末とエタノール水溶液との重量比は1:3であった。その後、得られたセンナリホオズキ溶液を2h加熱還流抽出した後、濾過し、濾液を濃縮し、センナリホオズキ抽出物を得た。
【0037】
グレープフルーツ抽出物の調製方法
グレープフルーツを粉砕した後、得られたグレープフルーツ粉末を濃度が75wt%のエタノール水溶液を加え、グレープフルーツ粉末とエタノール水溶液との重量比は1:1であった。得られたグレープフルーツ溶液にグレープフルーツの重量の5%の微生物剤(乳酸菌と、酢酸菌と、酵母菌とを5:1:1の重量比で混合して調製されたもの)を加え、30℃で45日発酵させ、濾過した。得られた濾液を濃縮し、グレープフルーツ抽出物であった。
【0038】
ネムノキ抽出物の調製方法
ネムノキを粉砕し、得られたネムノキ粉末に85wt%のエタノール溶液を加えて溶解し、ネムノキ粉末とエタノール水溶液との重量比は1:3であった。得られたネムノキ溶液を5h加熱還流抽出した後、濾過し、得られた濾液を濃縮し、ネムノキ抽出物を得た。
【0039】
植物複合抽出物は、ツボクサ抽出物と、センナリホオズキ抽出物と、グレープフルーツ抽出物と、ネムノキ抽出物とを3:2:4:1の重量比で混合して調製された。
【0040】
効果持続型消毒剤は、重量でジデシルジメチルアンモニウムブロミド0.5wt%、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド0.4wt%、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド0.1wt%、プロピレングリコール1wt%、植物複合抽出物0.2wt%、残部EDI純水を原料として調製された。
【0041】
効果持続型消毒剤の調製方法は以下のステップを含む。
配合比で原料ジデシルジメチルアンモニウムブロミドを秤取し、さらに配合比でヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド及びプロピレングリコールを順に加え、10分間ゆっくりと撹拌した後、配合比でEDI純水及び植物複合抽出物を加え、さらに4分間撹拌した後、上記効果持続型消毒剤を得た。
【0042】
表3は、実施例3の消毒剤により消毒した後の異なる時間における同じ環境での各細菌の総数に対する影響(CFU/ml)×10を示す。
【0043】
比較例1
実施例1の植物複合抽出物をツボクサ抽出物とセンナリホオズキ抽出物を3:2の重量比で混合した植物複合抽出物(含有割合が実施例1と同じ)に変更した以外、実施例1と同様に対照効果持続型消毒剤を調製した。
【0044】
表4は、比較例1の消毒剤により消毒した後の異なる時間における同じ環境での各細菌の総数に対する影響(CFU/ml)×10を示す。
【0045】
比較例2
実施例1の植物複合抽出物をツボクサ抽出物とネムノキ抽出物を3:2の重量比で混合した植物複合抽出物(含有割合が実施例1と同じ)に変更した以外、実施例1と同様に対照効果持続型消毒剤を調製した。
【0046】
表5は、比較例2の消毒剤により消毒した後の異なる時間における同じ環境での各細菌の総数に対する影響(CFU/ml)×10を示す。
【0047】
比較例3
実施例1の植物複合抽出物をセンナリホオズキ抽出物とネムノキ抽出物を2:2の重量比で混合した植物複合抽出物(含有割合が実施例1と同じ)に変更した以外、実施例1と同様に対照効果持続型消毒剤を調製した。
【0048】
表6は、比較例3の消毒剤により消毒した後の異なる時間における同じ環境での各細菌の総数に対する影響(CFU/ml)×10を示す。
【0049】
比較例4
実施例1の植物複合抽出物を同じ含有割合のセンナリホオズキ抽出物に変更した以外、実施例1と同様に対照効果持続型消毒剤を調製した。
表7は、比較例4の消毒剤により消毒した後の異なる時間における同じ環境での各細菌の総数に対する影響(CFU/ml)×10を示す。
【0050】
比較例5
実施例1の植物複合抽出物を同じ含有割合のツボクサ抽出物に変更した以外、実施例1と同様に対照効果持続型消毒剤を調製した。
【0051】
表8は、比較例5の消毒剤により消毒した後の異なる時間における同じ環境での各細菌の総数に対する影響(CFU/ml)×10を示す。
【0052】
比較例6
実施例1の植物複合抽出物を同じ含有割合のネムノキ抽出物に変更した以外、実施例1と同様に対照効果持続型消毒剤を調製した。
【0053】
表9は、比較例6の消毒剤により消毒した後の異なる時間における同じ環境での各細菌の総数に対する影響(CFU/ml)×10を示す。
【0054】
比較例7
実施例1の植物複合抽出物を同じ含有割合のプロピレングリコールに変更した以外、実施例1と同様に対照効果持続型消毒剤を調製した。
【0055】
表10は、比較例7の消毒剤により消毒した後の異なる時間における同じ環境での各細菌の総数に対する影響(CFU/ml)×10を示す。
【0056】
表1-10から分かるように、実施例1-3の静菌効果及び静菌持続時間は比較例1-7よりも明らかに高く、実施例1及び2の静菌持続時間はいずれも20日達し、実施例3の静菌持続時間は30日にも達した。最も主な原因は、この4種類の植物抽出物が互いに促進作用を奏するためである。2種類の植物抽出物を配合する比較例1-3も、1種類の植物抽出物を単独で使用する比較例4-6も、静菌持続時間が実施例1-3よりも遥かに少なかった。比較例4-6の静菌持続時間はわずか10日であり、実施例3の静菌持続時間よりも20日短かった。
【0057】
静菌効果では、実施例1-3の消毒1日後の静菌効果は、比較例1-6よりも明らかに高く、実施例1-3は、4種類の細菌に対して比較的高い効果を有した。単一種類の植物抽出物を単独して使用するか又は2種類の植物抽出物を配合して使用する比較例1-6は、4種類の細菌を同時に抑制する高い効果を達成できなかった。比較例7から分かるように、植物抽出物を加えない消毒剤は、静菌持続時間が短いだけでなく、静菌効果も植物抽出物を加えた消毒剤よりも低かった。
【0058】
なお、上記内容は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するものではない。上記実施例により本発明を詳しく説明したが、当業者は、上記各実施例に記載の技術的解決策を修正し、又は一部の技術的技術を同等置換することができる。本発明の思想及び原則の範囲内で行われる任意の修正、同等置換、改良などのはいずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【要約】      (修正有)
【課題】環境に優しく、無毒で、除菌効率が高く、静菌持続時間が長い効果持続型消毒剤を提供する。
【解決手段】ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、プロピレングリコール、植物複合抽出物、及びEDI純水を含む効果持続型消毒剤であって、前記消毒剤の総重量に対して、ジデシルジメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、及びドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリドの合計含有量は0.1-1wt%であり、プロピレングリコールの含有量は0.5-1wt%であり、植物複合抽出物の含有量は0.1-0.5wt%であり、残部はEDI純水であり、前記植物複合抽出物は、ツボクサ抽出物、センナリホオズキ抽出物、グレープフルーツ抽出物およびネムノキ抽出物からなる、ことを特徴とする、効果持続型消毒剤である。
【選択図】なし