(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】複数の突起部を内側表面に設けたラッパーを含む喫煙物品
(51)【国際特許分類】
A24D 1/02 20060101AFI20220927BHJP
A24D 1/22 20200101ALI20220927BHJP
A24F 42/60 20200101ALI20220927BHJP
【FI】
A24D1/02
A24D1/22
A24F42/60
(21)【出願番号】P 2021094282
(22)【出願日】2021-06-04
(62)【分割の表示】P 2017549478の分割
【原出願日】2016-03-30
【審査請求日】2021-07-05
(32)【優先日】2015-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】マルガ アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/118024(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/142079(WO,A1)
【文献】米国特許第5099861(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/02
A24D 1/08
A24D 1/22
A24F 42/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品であって、
可燃性熱源と;
前記可燃性熱源の下流にあるエアロゾル形成基体と;
前記可燃性熱源の少なくとも後方部分および前記エアロゾル形成基体の少なくとも前方部分を囲むラッパーと、を含み、
内側に延びる複数の突起部が、前記可燃性熱源を覆う前記ラッパーの内側表面に提供され、
前記内側に延びる複数の突起部が、前記可燃性熱源を覆う前記ラッパーの前記内側表面の表面積のうちの約10パーセント~約70パーセントを占め、
前記エアロゾル形成基体を覆う前記ラッパーの内側表面に、内側に延びる複数の突起部をさらに含む、
前記喫煙物品。
【請求項2】
前記内側に延びる複数の突起部が、前記可燃性熱源を覆う前記ラッパーの前記内側表面の表面積のうちの約20パーセント~約65パーセントを占める、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項3】
前記ラッパーの前記内側表面に提供された前記内側に延びる複数の突起部が、前記可燃性熱源と直接接触した、請求項1または2に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記ラッパーの前記内側表面に提供された前記内側に延びる複数の突起部が、中間材料の1つ以上の層によって前記可燃性熱源から半径方向に分離された、請求項1または2に記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記複数の突起部の各々の高さが、少なくとも約10マイクロメートルである、請求項1~4のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記内側に延びる複数の突起部の各々の高さが、約100マイクロメートル以下である、請求項1~5のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記内側に延びる複数の突起部の各々の最大断面積が、約70平方マイクロメートル~約0.35平方ミリメートルである、請求項1~6のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記内側に延びる複数の突起部が、1平方ミリメートルあたり少なくとも約0.5個の内側に延びる突起部という密度を有するパターンで、前記ラッパーの前記内側表面に提供される、請求項1~7のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項9】
前記内側に延びる複数の突起部が、前記可燃性熱源の長さの少なくとも約25パーセントを覆う前記ラッパーの内側表面に提供される、請求項1~8のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項10】
前記内側に延びる複数の突起部が、円錐台形または角錐台形である、請求項1~9のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項11】
前記内側に延びる複数の突起部が、前記ラッパーを変形させることによって形成される、請求項1~10のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項12】
前記内側に延びる複数の突起部が、前記ラッパーをエンボス加工、スタンピング、またはプレスすることによって形成される、請求項11に記載の喫煙物品。
【請求項13】
前記ラッパーが、熱伝導材料の1つ以上の層と熱絶縁材料の1つ以上の層とを含むラミネート材料で形成される、請求項1~12のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項14】
前記ラッパーが、熱伝導材料の単一の外層と熱絶縁材料の単一の内層とを含むラミネート材料で形成される、請求項13に記載の喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃性熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル形成基体と、可燃性熱源の少なくとも後方部分およびエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分を囲むラッパーと、を含む喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱される多くの喫煙物品が、当業界において提唱されてきた。このような「加熱式」喫煙物品の1つの目的は、従来的な紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解によって生成されるタイプの周知の有害な煙成分を低減することである。加熱式喫煙物品の公知の1つのタイプでは、可燃性熱源から、可燃性熱源の下流に位置する物理的に離れたエアロゾル形成基体への熱の移動によりエアロゾルが生成される。喫煙中、揮発性化合物は可燃性熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、喫煙物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物が冷えるにつれて、これらは、凝縮してユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成する。
【0003】
許容可能なエアロゾルを得るのに十分な、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への伝導性熱伝達を確保するために、加熱式喫煙物品の可燃性熱源の少なくとも後方部分およびエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分の周りに、熱伝導性要素を含めることは周知である。例えば、WO-A2-2009/022232号では、可燃性熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル形成基体と、可燃性熱源の後方部分およびエアロゾル形成基体の隣接する前方部分の周りにあり、それと直に接触する熱伝導性要素とを備えた喫煙物品を開示している。熱伝導性要素およびエアロゾル発生基体は、紙巻たばこ用紙の外側ラッパーによって囲まれている。使用時、エアロゾル形成基体の前方部分は、隣接した可燃性熱源の後方部分および熱伝導性要素を通して伝導加熱される。
【0004】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱される喫煙物品において、エアロゾル形成基体において達成される温度は、知覚的に許容されるエアロゾルを生成する能力に有意な影響を及ぼす。ユーザーへのエアロゾル送達を最適化するために、一定の範囲内でエアロゾル形成基体の温度を維持することが典型的には望ましい。可燃性熱源と、可燃性熱源の下流に位置するエアロゾル形成基体とを備える喫煙物品において、喫煙物品の使用中に、エアロゾル形成基体に対して可燃性熱源が動くことに起因して、エアロゾル形成基体の温度が所望の範囲外に低下し、それによって、喫煙物品の性能に影響を与えるおそれがある。例えば、エアロゾル形成基体の温度が低下し過ぎる場合、それはユーザーに送達されるエアロゾルの一貫性および量に不利に影響を与えうる。
【0005】
可燃性熱源を加熱式喫煙物品内の所定の位置に保持する多数の方法が、当該技術分野において提案されてきた。例えば、EP-A1-2 550 879号では、少なくとも1つの金属の層および1つの紙の層を含む多層管部材と、管部材の内側表面と少なくとも部分的に直接密着するように管部材の末端部分に配置された炭素熱源であって、点火された際に熱を放出する該炭素熱源と、炭素熱源に隣接するように管部材内に配置された喫煙香味放出源と、炭素熱源を該末端部分と直接接触させたまま、該末端部分に対して炭素熱源を保持する保持部と、を含む喫煙物品を開示している。
図4に示す実施形態では、保持部は、内側表面に、保持部の内側表面上で軸方向に延びる複数の軸方向突起部を備えている。EP-A1-2 550 879号では、こうした軸方向突起部を備えた保持部が、より確実に炭素熱源を保持することができると開示している。しかしながら、EP-A1-2 550 879号の
図4に示す実施形態では、軸方向突起部は、保持部の内側表面のごくわずかな部分のみに設けられ、保持部の内側表面と比較して相当高い高さを持つ。その結果、保持部の内側表面の残部と炭素熱源との間の空気ギャップが、多層管部材の少なくとも1つの金属の層による炭素熱源から喫煙香味放出源への伝導性熱伝達に、ひいては喫煙物品の性能に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
可燃性熱源からエアロゾル形成基体への伝導性熱伝達に、ひいては喫煙物品の性能に悪影響を及ぼさず、または該悪影響を低減しつつ、可燃性熱源の保持を改善した加熱式喫煙物品を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0007】
本発明によると、可燃性熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル形成基体と、可燃性熱源の少なくとも後方部分およびエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分を囲むラッパーと、を含む喫煙物品であって、内側に延びる複数の突起部が、可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面に設けられ、および内側に延びる複数の突起部が、可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面の表面積のうちの約10パーセント~約70パーセントを占める、該喫煙物品が提供される。
【0008】
本明細書に使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱に応じて放出することができる基体を記述するために使用される。本発明による喫煙物品のエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルは、見えても、または見えなくてもよく、蒸気(例えば、気状である物質の微粉は室温にて通常、液体または固体である)、ならびに気体および凝縮された蒸気の液体の液滴を含んでもよい。
【0009】
エアロゾル形成基体は、揮発性化合物を加熱に応じて放出できる材料を含むプラグまたはセグメントの形態であってもよく、それはラッパーによって取り囲まれてエアロゾルを形成することができる。エアロゾル形成基体がこのようなプラグまたはセグメントの形態である場合、ラッパーを含むプラグまたはセグメントの全体は、エアロゾル形成基体であると見なされる。
【0010】
本明細書に使用される場合、「遠位」、「上流」および「前方」、ならびに「近位」、「下流」および「後方」という用語は、喫煙物品の構成要素または構成要素の部分の相対的位置を記述するために使用される。本発明による喫煙物品は、使用において、ユーザーへの送達のために喫煙物品を出るエアロゾルが通る近位端を含む。喫煙物品の近位端はまた、口側の端と呼ばれることもある。使用において、ユーザーは喫煙物品によって生成されるエアロゾルを吸入するために、喫煙物品の近位端において吸い込む。
【0011】
可燃性熱源は喫煙物品の遠位端に位置するか、またはそれに近接する。喫煙物品の口側の端は、喫煙物品の遠位端の下流にある。また、喫煙物品の近位端は喫煙物品の下流端と呼ばれてもよく、また、喫煙物品の遠位端は喫煙物品の上流端と呼ばれてもよい。本発明による喫煙物品の構成要素または構成要素の部分は、喫煙物品の近位端と喫煙物品の遠位端との間のそれらの相対的位置に基づいて互いの上流または下流にあると記述されてもよい。
【0012】
可燃性熱源は、前端面と、対向した後端面とを有する。可燃性熱源の前端面は可燃性熱源の上流端にある。可燃性熱源の上流端は喫煙物品の近位端から最も遠い可燃性熱源の末端である。可燃性熱源の後端面は可燃性熱源の下流端にある。可燃性熱源の下流端は喫煙物品の近位端に最も近い可燃性熱源の末端である。
【0013】
本明細書に使用される場合、「長軸方向」という用語は、喫煙物品の近位端と対向した遠位端との間の方向を記述するために使用される。
【0014】
本明細書に使用される場合、「長さ」という用語は、喫煙物品の長軸方向での喫煙物品の構成要素の最大寸法を記述するために使用される。それは、喫煙物品の近位端と対向した遠位端との間の方向における最大寸法である。
【0015】
「半径方向」という用語は、本明細書に使用される場合、長軸方向に対して垂直な方向を記述するために使用される。すなわち、喫煙物品の近位端と対向した遠位端との間の方向に対して垂直な方向である。
【0016】
「直径」という用語は、本明細書に使用される場合、喫煙物品の半径方向での喫煙物品の構成要素の最大寸法を記述するために使用される。
【0017】
「内側表面」および「外側表面」という用語は、本明細書に使用される場合、それぞれ、喫煙物品の構成要素の半径方向に最も内側の表面、および半径方向に最も外側の表面を記述するために使用される。
【0018】
以下にさらに説明するように、可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる複数の突起部は、有利にも、可燃性熱源を直接的または間接的に掴むことによって、可燃性熱源を喫煙物品内の所定の位置に保持するのに役立つ。
【0019】
「掴む」および「掴むこと」という用語は、本明細書に使用される場合、喫煙物品の一構成要素と他の構成要素との間の相対的な動きを阻止するように、その喫煙物品の一構成要素を保持することを記述するために使用される。
【0020】
内側に延びる複数の突起部は、可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面の表面積のうちの約10パーセント~約70パーセントを占める。隆起した複数の突起部が占める、可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面の表面積の割合は、以下の式で与えられる。
【0021】
【0022】
【数2】
は可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面の全表面積であり、
【0023】
【数3】
は可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面に設けられた隆起した複数の突起部の各々の基部断面積であり、これは、高倍率の光学顕微鏡で得られた画像を画像処理することによって測定される。
【0024】
有利なことには、ラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる複数の突起部と可燃性熱源との間の直接的または間接的な接触は、喫煙物品の良好な性能を得るのに十分な可燃性熱源からエアロゾル形成基体への伝導性熱伝達を維持するのに役立つ。
【0025】
内側に延びる複数の突起部は、可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面の表面積のうちの約20パーセント~約65パーセントを占めることが好ましい。
【0026】
内側に延びる複数の突起部の各々の高さは、高倍率の光学顕微鏡で得られた画像を画像処理することによって測定した場合、約300マイクロメートル以下であることが好ましく、約100マイクロメートル以下であることがより好ましく、約80マイクロメートル以下であることが最も好ましい。
【0027】
本明細書に使用される場合、「高さ」という用語は、ラッパーの内側表面に垂直な方向に内側に延びる複数の突起部の内向きの長さを記述するために使用される。
【0028】
内側に延びる複数の突起部の各々の高さは、約10マイクロメートル以上であることが好ましく、約20マイクロメートル以上であることがより好ましく、約40マイクロメートル以上であることが最も好ましい。
【0029】
内側に延びる複数の突起部の各々の高さは、約10マイクロメートル~約300マイクロメートル、約10マイクロメートル~約100マイクロメートル、または約10マイクロメートル~約80マイクロメートルであってもよい。
【0030】
例えば、内側に延びる複数の突起部の各々の高さは、約20マイクロメートル~約300マイクロメートル、約20マイクロメートル~約100マイクロメートル、または約20マイクロメートル~約80マイクロメートルであってもよい。特定の実施形態では、内側に延びる複数の突起部の各々の高さは、約40マイクロメートル~約300マイクロメートル、約40マイクロメートル~約100マイクロメートル、または約40マイクロメートル~約80マイクロメートルであってもよい。
【0031】
内側に延びる複数の突起部の各々の最大断面積は、高倍率の光学顕微鏡で得られた画像を画像処理することによって測定した場合、約100平方マイクロメートル~約0.35平方ミリメートルであることが好ましい。特定の実施形態では、内側に延びる複数の突起部の各々の最大断面積は、約0.01平方ミリメートル~約0.3平方ミリメートルである。
【0032】
ラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる隣接した突起部間の間隔は、高倍率の光学顕微鏡で得られた画像を画像処理することによって測定した場合、約20マイクロメートル以上であることが好ましく、約50マイクロメートル以上であることがより好ましい。
【0033】
本明細書に使用される場合、「間隔」という用語は、ラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる隣接した突起部の基部間の最小距離を記述するために使用される。
【0034】
ラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる隣接した突起部間の間隔は、約1.5ミリメートル以下であることが好ましく、約1ミリメートル以下であることがより好ましい。
【0035】
ラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる隣接した突起部間の間隔は、約10マイクロメートル~約1.5ミリメートル、または約10マイクロメートル~約1ミリメートルであってもよい。特定の実施形態では、ラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる隣接した突起部間の間隔は、約50マイクロメートル~約1.5ミリメートル、または約50マイクロメートル~約1ミリメートルであってもよい。
【0036】
内側に延びる複数の突起部は、ラッパーの内側表面に規則的なパターンで設けられてもよい。
【0037】
本明細書に使用される場合、「規則的なパターン」という用語は、内側に延びる突起部の規則的な配列を含むパターンを記述するために使用される。
【0038】
例えば、内側に延びる複数の突起部は、ラッパーの内側表面に、規則的な縞模様のパターン、規則的な格子縞もしくは正方形のパターン、規則的な六角形のパターン、または任意の他の規則的な幾何学的パターンで設けられてもよい。
【0039】
別の方法として、内側に延びる複数の突起部は、ラッパーの内側表面に不規則的なパターンで設けられてもよい。
【0040】
本明細書に使用される場合、「不規則的なパターン」という用語は、内側に延びる突起部の非反復またはランダム配列を含むパターンを記述するために使用される。
【0041】
内側に延びる複数の突起部は、1平方ミリメートルあたり少なくとも約0.5個の内側に延びる突起部という密度を有するパターンで、可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面にあることが好ましい。
【0042】
例えば、特定の実施形態では、内側に延びる複数の突起部は、可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面に、1平方ミリメートルあたり少なくとも約0.75個の内側に延びる突起部、1平方ミリメートルあたり少なくとも約1個の内側に延びる突起部、または1平方ミリメートルあたり少なくとも約2個の内側に延びる突起部という密度を有するパターンで設けられてもよい。
【0043】
可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる複数の突起部は、可燃性熱源と直接接触していてもよい。有利なことには、こうした実施形態では、内側に延びる複数の突起部が可燃性熱源を直接的に掴み、それにより喫煙物品内で可燃性熱源を保持するのに役立つ。
【0044】
別の方法として、可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる複数の突起部は、1つ以上の中間の構成要素によって可燃性熱源から半径方向に分離されていてもよい。
【0045】
本明細書に使用される場合、「半径方向に分離」という用語は、内側に延びる複数の突起部と可燃性熱源とが直接接触しないように、内側に延びる複数の突起部が可燃性熱源から半径方向に間隙を介することを意味するのに使用される。
【0046】
例えば、ラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる複数の突起部は、接着剤、熱伝導材料(アルミニウムなど)、熱絶縁材料(紙など)、他の包装材料、またはこれらの組み合わせからなる1つ以上の介在層によって、可燃性熱源から半径方向に分離されていてもよい。
【0047】
特定の実施形態では、ラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる複数の突起部は、可燃性熱源に接着された、または取り付けられた1つ以上の中間の構成要素によって、可燃性熱源から半径方向に分離されていてもよい。
【0048】
例えば、ラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる複数の突起部は、接着剤、熱伝導材料(アルミニウムなど)、熱絶縁材料(紙など)、他の包装材料、またはこれらの組み合わせからなる1つ以上の介在層によって、可燃性熱源から半径方向に分離されていてもよい。
【0049】
有利なことには、こうした実施形態では、内側に延びる複数の突起部が、可燃性熱源に取り付けられた1つ以上の中間の構成要素を直接的に掴む。したがって、内側に延びる複数の突起部は、可燃性熱源を間接的に掴み、喫煙物品内で可燃性熱源を保持するのに役立つ。
【0050】
ラッパーは、可燃性熱源の少なくとも後方部分とエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分とを囲む。内側に延びる複数の突起部は、可燃性熱源の少なくとも一部を覆うラッパーの内側表面に設けられ、それにより、内側に延びる複数の突起部が可燃性熱源を直接的または間接的に掴むようになる。複数の突起部が設けられた、可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面の長さ、したがって、内側に延びる複数の突起部により直接的または間接的に掴まれる可燃性熱源の長さは、内側に延びる複数の突起部および喫煙物品の特定の配置によって異なりうる。
【0051】
内側に延びる複数の突起部は、好ましくは可燃性熱源の長さの少なくとも約25パーセント、より好ましくは可燃性熱源の少なくとも約30パーセントを覆うラッパーの内側表面に設けられる。言い換えれば、複数の突起部が設けられた、可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面の長さは、可燃性熱源の長さのうちの少なくとも25パーセントが内側に延びる複数の突起部により直接的または間接的に掴まれる長さであることが好ましく、可燃性熱源の長さのうちの少なくとも30パーセントが内側に延びる複数の突起部により直接的または間接的に掴まれる長さであることがより好ましい。
【0052】
可燃性熱源が可燃性熱源の長さの一部分に沿って内側に延びる複数の突起部により直接的または間接的に掴まれるように、複数の突起部が可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面に設けられてもよい。例えば、可燃性熱源の長さの一部分であって、可燃性熱源の後端面から可燃性熱源の長さに沿った位置まで、可燃性熱源の後端面と前端面との間の距離の少なくとも約25パーセントまたは少なくとも約30パーセント延びた該一部分に沿って内側に延びる複数の突起部により、可燃性熱源が直接的または間接的に掴まれるように、複数の突起部が可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面に設けられてもよい。
【0053】
別の方法として、可燃性熱源の長さのうちの長軸方向に間隙を介した2つ以上の部分に沿って内側に延びる複数の突起部により、可燃性熱源が直接的または間接的に掴まれるように、複数の突起部が可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面に設けられてもよい。例えば、可燃性熱源の長さの長軸方向に間隙を介した2つ以上の部分であって、合わせて可燃性熱源の長さのうちの少なくとも25パーセントまたは少なくとも約30パーセントの長さを有する該2つ以上の部分に沿って内側に延びる複数の突起部により、可燃性熱源が直接的または間接的に掴まれるように、複数の突起部が可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面に設けられてもよい。
【0054】
可燃性熱源が可燃性熱源の周囲全体の周りを内側に延びる複数の突起部により直接的または間接的に掴まれるように、複数の突起部が可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面に設けられることが好ましい。こうした実施形態では、複数の突起部が、可燃性熱源の周囲に1つ以上のリングを形成してもよい。
【0055】
しかしながら一方で、可燃性熱源が可燃性熱源の周囲の一部のみの周りを内側に延びる複数の突起部により直接的または間接的に掴まれるように、複数の突起部が可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面に設けられてもよい。
【0056】
内側に延びる複数の突起部は、任意の適切な形状を有してもよい。
【0057】
内側に延びる複数の突起部の各々の基部断面積は、内側に延びる複数の突起部の各々の先端部断面積よりも大きいことが好ましい。
【0058】
内側に延びる複数の突起部は、尖鋭または尖頭の先端部を有してもよい。例えば、内側に延びる複数の突起部は、円錐形または角錐形であってもよい。
【0059】
別の方法として、内側に延びる複数の突起部は、実質的に平坦な先端部または湾曲した先端部を有してもよい。例えば、内側に延びる複数の突起部は、半球形、円錐台形、または角錐台形であってもよい。
【0060】
内側に延びる複数の突起部は、半径方向内側に延びていてもよい。
【0061】
代替的に、内側に延びる複数の突起部のうちの1つ以上が、喫煙物品の下流端に向かって内側に延びていてもよい。すなわち、内側に延びる複数の突起部の1つ以上が、その先端部がその基部の下流になるように内側に延びていてもよい。有利なことには、こうした実施形態では、喫煙物品の下流端に向かって内側に延びる1つ以上の突起部が、可燃性熱源の上流への動きに対して抵抗を強めるかかりとして働くことができる。
【0062】
別の方法として、または加えて、内側に延びる複数の突起部のうちの1つ以上が、喫煙物品の上流端に向かって内側に延びていてもよい。すなわち、内側に延びる複数の突起部の1つ以上が、その先端部がその基部の上流になるように内側に延びていてもよい。有利なことには、こうした実施形態では、喫煙物品の上流端に向かって内側に延びる1つ以上の突起部が、可燃性熱源の下流への動きに対して抵抗を強めるかかりとして働くことができる。
【0063】
内側に延びる複数の突起部は、ラッパーと一体型であってもよい。こうした実施形態では、内側に延びる複数の突起部は、ラッパーを変形させることによって形成されてもよい。例えば、内側に延びる複数の突起部は、ラッパーをエンボス加工、スタンピング、またはプレスすることによって形成されてもよい。
【0064】
あるいは別の方法として、内側に延びる複数の突起部は、ラッパーと非一体型であってもよい。こうした実施形態では、内側に延びる複数の突起部は、ラッパーの内側表面に直接的または間接的に接着されるか、あるいは取り付けられてもよい。
【0065】
特定の好ましい実施形態では、内側に延びる複数の突起部は、ラッパーと一体型であり、ラッパーを変形させることによって形成される。
【0066】
特定の特に好ましい実施形態では、内側に延びる複数の突起部は、ラッパーと一体型であり、ラッパーをエンボス加工することによって形成される。こうした実施形態では、内側に延びる複数の突起部は、例えば、ラッパーをピンアップ/ピンアップエンボス加工、シャドウエンボス加工、または、ワッフルエンボス加工することにより形成されてもよい。
【0067】
本発明による喫煙物品は、可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面のみに、内側に延びる複数の突起部を含んでもよい。
【0068】
別の方法として、本発明による喫煙物品はまた、エアロゾル形成基体を覆うラッパーの内側表面に、内側に延びる複数の突起部をさらに含んでもよい。
【0069】
エアロゾル形成基体を覆うラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる複数の突起部は、エアロゾル形成基体を直接的または間接的に掴むことによって、有利にも、エアロゾル形成基体を喫煙物品内の所定の位置に保持するのに役立つ。
【0070】
可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる複数の突起部が、エアロゾル形成基体と直接接触していてもよい。
【0071】
別の方法として、エアロゾル形成基体を覆うラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる複数の突起部は、1つ以上の中間の構成要素によってエアロゾル形成基体から半径方向に分離されていてもよい。
【0072】
可燃性熱源を覆うラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる複数の突起部に関連して上述した随意的および好ましい特徴は、エアロゾル形成基体を覆うラッパーの内側表面に設けられた内側に延びる複数の突起部にも同様に当てはまりうる。
【0073】
ラッパーは任意の適切な物質で形成されうる。
【0074】
ラッパーは、熱絶縁材料の1つ以上の層、熱伝導材料の1つ以上の層、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0075】
適切な熱伝導材料は、金属(例えばアルミニウム、スチール、鉄および銅)、および金属合金を含むが、これらに限定されない。適切な熱絶縁材料は紙、セラミックおよび金属酸化物を含むが限定されない。
【0076】
特定の実施形態では、ラッパーは、熱伝導材料の1つ以上の層および熱絶縁材料の1つ以上の層を含むラミネート材料で形成される。
【0077】
一定の好ましい実施形態において、ラッパーは、熱伝導材料の単一の層および熱絶縁材料の単一の層を含むラミネート材料で形成される。一定の特に好ましい実施形態で、ラッパーは、半径方向に外側にある熱伝導材料の単一の層、および半径方向に内側にある熱絶縁材料の単一の層を含む、ラミネート材料で形成される。例えば、特に好ましい一実施形態において、ラッパーは、半径方向に外側にあるアルミニウムの単一の層と、半径方向に内側にある紙の単一の層とを含む。
【0078】
他の好ましい実施形態では、ラッパーは熱伝導材料の単一の層で形成される。例えば、好ましい一実施形態では、ラッパーはアルミニウムの単一の層を含む。
【0079】
ラッパーの厚さは、約5マイクロメートル~約100マイクロメートルであるのが好ましく、約5マイクロメートル~約80マイクロメートルであるのがより好ましい。
【0080】
好ましくは、ラッパーは、約2マイクロメートル~約50マイクロメートル、より好ましくは約4マイクロメートル~約30マイクロメートルの厚さを有する熱伝導材料の1つ以上の層を含む。
【0081】
一定の好ましい実施形態において、ラッパーは、半径方向に外側にある約5マイクロメートル~約7マイクロメートルの厚さを有するアルミニウムの単一の層と、半径方向に内側にある紙の単一の層とを含む。
【0082】
他の好ましい実施形態において、ラッパーは、約15マイクロメートル~約25マイクロメートルの厚さを有するアルミニウムの単一の層を含む。
【0083】
ラッパーは、可燃性熱源の少なくとも後方部分とエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分とを囲む。
【0084】
可燃性熱源およびエアロゾル形成基体に対するラッパーの位置および範囲は、喫煙の間のエアロゾル形成基体の加熱を制御するために調整されてもよい。特に、上流方向および下流方向における可燃性熱源およびエアロゾル形成基体に対するラッパーの範囲は、喫煙物品のエアロゾル送達プロファイルを調整するために調整されてもよい。
【0085】
特定の実施形態では、ラッパーは可燃性熱源の前方部分を囲まない。
【0086】
他の実施形態では、ラッパーは可燃性熱源の全長を囲む。こうした実施形態では、好ましくは、ラッパーは、切れ目、穿孔線もしくは他の虚弱線、またはティアテープを含み、可燃性熱源の前方部分を囲うラッパーの一部を、消費者が可燃性熱源の点火前に取り外せるようにする。
【0087】
ラッパーにより囲まれる可燃性熱源の後方部分の長さは、約2ミリメートル~約8ミリメートルであることが好ましく、約3ミリメートル~約5ミリメートルであることがより好ましい。
【0088】
ラッパーによって囲まれていない可燃性熱源の前方部分の長さは、約4ミリメートル~約15ミリメートルであることが好ましく、約5 ミリメートル~約8ミリメートルであることがより好ましい。
【0089】
特定の好ましい実施形態において、ラッパーは、エアロゾル形成基体の全長を囲む。このような実施形態では、ラッパーの下流端は、エアロゾル形成基体の下流端と整列してもよい。あるいは、ラッパーは、下流方向にエアロゾル形成基体を超えて延びていてもよい。
【0090】
しかしながら、他の実施形態において、ラッパーは、エアロゾル形成基体の前方部分のみを囲んでいてもよい。このような実施形態では、エアロゾル形成基体は、下流方向にラッパーを超えて延びている。
【0091】
ラッパーの外側表面は、喫煙物品の外部に見えてもよい。すなわち、ラッパーの外側表面は、喫煙物品の外側表面の全て、または一部を形成してもよい。
【0092】
例えば、特定の実施形態では、ラッパーは、半径方向に外側にあるアルミニウムなどの熱伝導材料の単一の層と、半径方向に内側にある紙などの熱絶縁材料の単一の層とを含んでもよく、ここで、半径方向に外側にある熱伝導材料の層は、喫煙物品の外部に見える。
【0093】
別の方法として、本発明による喫煙物品は、ラッパーを覆う半径方向に外側にある材料の1つ以上の層をさらに含んでもよい。例えば本発明による喫煙物品は、ラッパーを囲む、接着剤、熱伝導材料(アルミニウムなど)、熱絶縁材料(紙など)、他の包装材料、またはこれらの組み合わせからなる1つ以上の層をさらに含んでもよい。
【0094】
例えば、特定の実施形態では、ラッパーは、アルミニウムなどの熱伝導材料の単一の層を含む内側ラッパーであってもよく、喫煙物品は、半径方向に外側にあるアルミニウムなどの熱伝導材料の単一の層と、半径方向に内側にある紙など熱絶縁材料の単一の層とを含む外側ラッパーによって囲まれていてもよい。
【0095】
本発明による喫煙物品は、ブラインド可燃性熱源を含むことが好ましい。
【0096】
本明細書に使用される場合、「ブラインド」という用語は、可燃性炭素質熱源の前端面から後端面まで延びるいかなる気流チャネルも含まない可燃性熱源を記述するために使用される。本明細書に使用される場合、「ブラインド」という用語は、可燃性熱源の前端面から可燃性炭素質熱源の後端面まで延びる1つ以上の気流チャネルを含む可燃性熱源を記述するためにも使用され、その場合、可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体バリアとの間の不燃性の実質的に不通気性のバリアは、空気が可燃性熱源の長さに沿って1つ以上の気流チャネルを通して引き出されるのを阻止する。
【0097】
本明細書に使用される場合、「気流チャネル」という用語は、ユーザーの吸入用に引き出されうる空気が通る、可燃性熱源の長さに沿って延びるチャネルを記述するために使用される。
【0098】
ブラインド可燃性熱源を備える本発明による喫煙物品は、可燃性熱源の下流に1つ以上の空気吸込み口を備え、これは、ユーザーの吸入用に喫煙物品を通って引き出されうる空気が通る1つ以上の気流経路の中へと空気を引き出すためのものである。
【0099】
本明細書に使用される「空気吸込み口」という用語は、喫煙物品に引き出されうる空気が通る穴、切れ込み、スロットまたはその他の開口部を記述するために使用される。
【0100】
使用において、ユーザーの吸入用にブラインド可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品の1つ以上の気流経路に沿って引き出された空気は、ブラインド可燃性熱源に沿ったいかなる気流チャネルをも通過しない。ブラインド可燃性熱源を通しての任意の気流チャネルの欠如は、ユーザーがたばこを吸う間のブラインド可燃性熱源の燃焼の活性化を有利に実質的に阻止または抑制する。これは、ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル形成基体の温度におけるスパイクを実質的に阻止または抑制する。
【0101】
ブラインド可燃性熱源の燃焼の活性化を阻止または抑制すること、およびそのようにしてエアロゾル形成基体における過剰な温度上昇を阻止または抑制することによって、激しくたばこを吸う状況下でエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解が有利に回避されうる。加えて、主流エアロゾルの組成物へのユーザーのたばこを吸う状況の影響は、有利に最小にされ、または減少されうる。
【0102】
また、ブラインド可燃性熱源の封入は、ブラインド可燃性熱源の点火および燃焼の間に形成される燃焼および分解生成物並びにその他の材料が、その使用中、本発明による喫煙物品を介して吸い込まれる空気に入るのを有利に実質的に阻止または抑制しうる。これは、ブラインド可燃性熱源がブラインド可燃性熱源の点火または燃焼を補助するために1つ以上の添加剤を含む場合、特に有利である。
【0103】
ブラインド可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品において、ブラインド可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達は、伝導によって主に生じ、強制対流によるエアロゾル形成基体の加熱は最小にされる、または減少される。これは、本発明による喫煙物品の主流エアロゾルの組成物へのユーザーのたばこを吸う状況の影響を最小にする、または減少させるのに有利に役立ちうる。
【0104】
本発明による喫煙物品は、ユーザーによる吸入のために空気を引き出させない1つ以上の閉じた、または遮断された通路を含むブラインド可燃性熱源を含んでもよいことが認識されるであろう。
【0105】
例えば、本発明による喫煙物品は、ブラインド可燃性熱源の長さに沿って途中までのみブラインド可燃性熱源の上流端にて前面から延びる1つ以上の閉じた通路を含むブラインド可燃性熱源を含んでもよい。
【0106】
1つ以上の閉じた空気通路の封入は、空気からの酸素に曝露されるブラインド可燃性熱源の表面積を増加させ、ブラインド可燃性熱源の点火および燃焼の持続を有利に容易にしうる。
【0107】
あるいは、本発明による喫煙物品は、非ブラインド可燃性熱源を含んでいてもよい。
【0108】
本発明による喫煙物品は、非ブラインド可燃性熱源を含んでいてもよい。
【0109】
本明細書に使用される場合、「非ブラインド」という用語は、可燃性熱源の前端面から後端面まで延びる少なくとも1つの気流チャネルを含む可燃性熱源を記述するために使用される。
【0110】
本明細書に使用される場合、「密閉される」という用語は、非ブラインド可燃性熱源の内部を通って延び、非ブラインド可燃性熱源によって囲まれる気流チャネルを記述するために使用される。
【0111】
別の方法としてまたは追加的に、1つ以上の気流チャネルは1つ以上の密閉されていない気流チャネルを含んでもよい。例えば、1つ以上の気流チャネルは1つ以上の溝、または非ブラインド可燃性熱源の外部に沿って延びるその他の密閉されていない気流チャネルを含んでもよい。
【0112】
1つ以上の気流チャネルは、1つ以上の密閉された気流チャネル、1つ以上の密閉されていない気流チャネル、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0113】
本発明による喫煙物品は、例えば、可燃性熱源の前面から後端面まで延びる1つ、2つ、または3つの気流チャネルを備えた非ブラインド可燃性熱源を含みうる。
【0114】
一定の好ましい実施形態において、本発明による喫煙物品は、可燃性熱源の前面から後端面まで延びる単一の気流チャネルを備えた非ブラインド可燃性熱源を含みうる。例えば、本発明による喫煙物品は、可燃性熱源の前面から後端面まで延びる、実質的に中央にあるまたは軸方向の単一の気流チャネルを備えた非ブラインド可燃性熱源を含みうる。
【0115】
ユーザーによる吸入のために引き出されうる空気が通る1つ以上の気流チャネルに加えて、本発明による喫煙物品は、空気がユーザーによる吸入のために引き出されない1つ以上の閉じた、または遮断された通路を含む非ブラインド可燃性熱源を含んでもよいことが認識されるであろう。
【0116】
例えば、本発明による喫煙物品は、可燃性熱源の前面から後端面まで延びる1つ以上の気流チャネルと、非ブラインド可燃性熱源の前面から可燃性熱源の長さに沿って途中までのみ延びる1つ以上の閉じた通路と、を含む非ブラインド可燃性熱源を含んでもよい。
【0117】
1つ以上の閉じた空気通路の封入は、空気からの酸素に曝露される非ブラインド可燃性熱源の表面積を増加させ、非ブラインド可燃性熱源の点火および燃焼の持続を有利に容易にしうる。
【0118】
非ブラインド可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品は、非ブラインド可燃性熱源と、非ブラインド可燃性熱源の前面から後端面に延びる1つ以上の気流チャネルとの間に不燃性の実質的に不通気性のバリアをさらに含んでもよい。
【0119】
非ブラインド可燃性熱源と、非ブラインド可燃性熱源の前面から後端面に延びる1つ以上の気流チャネルとの間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含めることは、引き込まれた空気が1つ以上の気流チャネルを通過する際に、非ブラインド可燃性熱源の点火および燃焼時に形成される燃焼生成物および分解生成物が1つ以上の気流チャネルを通って喫煙物品に引き込まれた空気に入ることを、都合良く実質的に阻止または抑制しうる。これは、非ブラインド可燃性熱源が、非ブラインド可燃性熱源の点火または燃焼を補助するために1つ以上の添加剤を含む場合、特に有利である。
【0120】
非ブラインド可燃性熱源と1つ以上の気流チャネルとの間のバリアは、非ブラインド可燃性熱源に接着またはその他の方法で貼り付けうる。
【0121】
一定の好ましい実施形態では、バリアは1つ以上の気流チャネルの内側表面の上に提供される不燃性の実質的に不通気性のバリア被覆を備える。このような実施形態では、バリアは1つ以上の気流チャネルの少なくとも実質的に内側表面全体の上に提供されるバリア被覆を備えることが好ましい。バリアは1つ以上の気流チャネルの内側表面全体の上に提供されるバリア被覆を備えることがより好ましい。
【0122】
本明細書で使用される場合、「被覆」という用語は、可燃性熱源を覆い、それに接着する材料の層を描写するために使用される。
【0123】
その他の実施形態では、バリア被覆は1つ以上の気流チャネルへのライナーの挿入によって提供されてもよい。例えば、1つ以上の気流チャネルが非ブラインド可燃性熱源の内部を通って延びる1つ以上の密閉された気流チャネルを含む場合、不燃性の実質的に不通気性の中空管は1つ以上の気流チャネルのそれぞれに挿入されてもよい。
【0124】
喫煙物品の所望の特徴および性能に応じて、バリアは熱伝導率が低くてもよく、または熱伝導率が高くてもよい。バリアは熱伝導率が低いことが好ましい。
【0125】
バリアの厚さは優れた喫煙性能を達成するように適切に調整してもよい。一定の実施形態では、バリアの厚さは約30マイクロメートル~約200マイクロメートルであってもよい。好ましい実施形態において、バリアは約30マイクロメートル~約100マイクロメートルの厚さを有する。
【0126】
バリアは、実質的に熱安定しており、点火および燃焼の間に非ブラインド可燃性熱源によって達成される温度で不燃性である1つ以上の適切な材料から形成されてもよい。適切な材料は当業界で周知であり、例えば粘土、金属酸化物(酸化鉄、アルミナ、チタニア、シリカ、シリカ-アルミナ、ジルコニアおよびセリアなど)、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、およびその他のセラミック材料またはこれらの組み合わせを含むが限定されない。
【0127】
バリアを形成しうる好ましい材料は粘土、ガラス、アルミニウム、酸化鉄およびこれらの組み合わせを含む。必要に応じて、二酸化炭素への一酸化炭素の酸化を促進する原料成分などの触媒原料成分は、バリアに組み込まれてもよい。適切な触媒原料成分は、例えば、白金、パラジウム、遷移金属およびこれらの酸化物を含むが限定されない。
【0128】
バリアが1つ以上の気流チャネルの内側表面の上に提供されるバリア被覆を備える場合、バリア被覆はUS-A-5,040,551号に記述された方法などの任意の適切な方法によって、1つ以上の気流チャネルの内側表面に塗布されてもよい。例えば、1つ以上の気流チャネルの内側表面は、バリア被覆の溶液または懸濁液で吹き付けられ、濡らされ、または塗装されてもよい。一定の好ましい実施形態において、バリア被覆は、可燃性熱源が押し出されるにつれて、WO-A2-2009/074870号に記述される方法によって1つまたは複数の気流チャネルの内側表面に塗られる。
【0129】
本発明による喫煙物品は、可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に、不燃性の実質的に不通気性のバリアをさらに備えてもよい。
【0130】
本発明による喫煙物品が、非ブラインド可燃性熱源と、可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアとを含む場合、バリアは、非ブラインド可燃性熱源の前面から後端面まで延びる1つ以上の気流チャネルを通って喫煙物品に入る空気が、喫煙物品を通って下流に引き出されるのを可能にすべきである。
【0131】
バリアは可燃性熱源の後端面およびエアロゾル形成基体の一方または両方に隣接してもよい。あるいは、バリアは可燃性熱源の後端面およびエアロゾル形成基体の一方または両方から間隙を介していてもよい。
【0132】
バリアは可燃性熱源の後端面およびエアロゾル形成基体の一方または両方に接着されても、または別途貼り付けられてもよい。
【0133】
一定の好ましい実施形態において、バリアは可燃性熱源の後端面に提供される不燃性の実質的に不通気性のバリア被覆を含む。このような実施形態では、バリアは少なくとも実質的に可燃性熱源の後端面全体に提供されるバリア被覆を含むことが好ましい。バリアは可燃性熱源の後端面全体に提供されるバリア被覆を含むことが、より好ましい。
【0134】
有利なことには、バリアは、エアロゾル形成基体が可燃性熱源の点火および燃焼の間に曝露される温度を制限し、そのため喫煙物品の使用中にエアロゾル形成基体の熱分解または燃焼を回避または低減するのを助ける。これは、可燃性熱源が可燃性熱源の点火を補助するため一つ以上の添加剤を含む場合に、特に有益である。
【0135】
エアロゾル形成基体は、可燃性熱源の後端面に、または可燃性熱源の後端面上に提供される不燃性の実質的に不通気性のバリア被覆に隣接しうる。
【0136】
その他の実施形態では、エアロゾル形成基体は、可燃性熱源の後端面と、または可燃性熱源の後端面上に提供される不燃性の実質的に不通気性のバリア被覆と間隙を介していてもよい。すなわち、エアロゾル形成基体と可燃性熱源の後端面との間にスペースまたはギャップがあってもよい。
【0137】
可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含めることは、喫煙物品の貯蔵中、可燃性熱源へのエアロゾル形成基体の構成要素の移動を、有利に実質的に阻止または抑制しうる。
【0138】
あるいは、または加えて、本発明による喫煙物品の可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含めることは、喫煙物品の使用中、可燃性熱源へのエアロゾル形成基体の構成要素の移動を都合良く実質的に阻止または抑制しうる。
【0139】
可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含めることは、エアロゾル形成基体が少なくとも1つのエアロゾル形成剤を含む場合、特に有利である。
【0140】
このような実施形態において、本発明による喫煙物品の可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含めることは、喫煙物品の貯蔵中および使用中、エアロゾル形成基体から可燃性熱源への少なくとも1つのエアロゾル形成剤の移動を都合良く阻止または抑制しうる。従って、喫煙物品の使用中の少なくとも1つのエアロゾル形成剤の分解は、都合良く実質的に回避または低減されうる。
【0141】
喫煙物品の望ましい特性および性能に応じて、可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間の不燃性の実質的に不通気性のバリアは、低い熱伝導率または高い熱伝導率を持ちうる。一定の実施形態では、バリアは、改良非定常平面熱源(MTPS)法を使用して測定される時に、23℃および50%の相対湿度にて、バルク熱伝導率が約0.1W毎メートルケルビン(W/(m・K))~約200W毎メートルケルビン(W/(m・K))である材料から形成されてもよい。
【0142】
バリアの厚さは優れた喫煙性能を達成するように適切に調整してもよい。一定の実施形態では、バリアの厚さは約10マイクロメートル~約500マイクロメートルであってもよい。
【0143】
バリアは、点火中および燃焼中、可燃性熱源が達した温度で実質的に熱安定しており不燃性である一つ以上の適切な材料から形成しうる。適切な材料は当業界で周知であり、粘土(例えば、ベントナイトおよびカオリナイトなど)、ガラス、ミネラル、セラミック材料、樹脂、金属、およびこれらの組み合わせが挙げられるがこれに限定されない。
【0144】
バリアを形成してもよい好ましい材料は、粘土およびガラスを含む。バリアを形成してもよいより好ましい材料は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、合金、アルミナ(Al2O3)、樹脂およびミネラル接着剤を含む。
【0145】
一定の好ましい実施形態において、バリアは可燃性熱源の後端面に提供されるベントナイトおよびカオリナイトの50/50の混合物を含む粘土コーティングを含む。その他の好ましい実施形態において、バリアは可燃性熱源の後端面に提供されるガラスコーティング、より好ましくは焼結ガラスコーティングを含む。
【0146】
一定の特に好ましい実施形態において、バリアは可燃性熱源の後端面に提供されるアルミニウムコーティングを含む。
【0147】
バリアは厚さが少なくとも約10マイクロメートルであることが好ましい。
【0148】
空気に対する粘土の浸透性はわずかなため、バリアが可燃性熱源の後端面に提供される粘土コーティングを含む実施形態において、粘土コーティングの厚さは少なくとも約50マイクロメートルであることがより好ましく、約50マイクロメートル~約350マイクロメートルであることが最も好ましい。
【0149】
バリアがアルミニウムなどの空気に対してより不浸透性である1つ以上の材料から形成される実施形態では、バリアはより薄くてもよく、一般に厚さが約100マイクロメートルよりも薄いことが好ましく、また厚さが約20マイクロメートルであることがより好ましい。
【0150】
バリアが可燃性熱源の後端面に提供されるガラスコーティングを含む実施形態において、ガラスコーティングの厚さは約200マイクロメートルよりも薄いのが好ましい。
【0151】
バリアの厚さを、顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)または当業界で周知の任意のその他の適切な測定方法を使用して測定してもよい。
【0152】
バリアが可燃性熱源の後端面に提供されるバリア被覆を含む場合、バリア被覆は、吹き付け塗装、蒸着、浸漬、物質移動(例えば、ブラッシングまたは糊付け)、静電沈着またはそれらの任意の組み合わせを含むが限定されない、当業界で周知の任意の適切な方法によって、可燃性熱源の後端面をカバーし、それに接着するように塗布されうる。
【0153】
例えば、バリア被覆は、可燃性熱源の後端面のおよそのサイズおよび形状にバリアを予め形成し、それを可燃性熱源の後端面に塗布して、少なくとも実質的に可燃性熱源の後端面全体をカバーし、該全体に接着することで作成しうる。別の方法として、バリア被覆は、それが可燃性熱源の後端面に塗布された後で、切断またはその他の方法で機械加工されうる。好ましい一実施形態では、アルミ箔が、可燃性熱源に糊付けまたはプレスされることにより可燃性熱源の後端面に塗布され、そのアルミ箔が少なくとも実質的に可燃性熱源の後端面全体(可燃性熱源の後端面全体であることが好ましい)をカバーし、該全体に接着するように、切断またはその他の方法で機械加工される。
【0154】
もう1つの好ましい実施形態において、1つ以上の適切なコーティング材料の溶液または懸濁液を可燃性熱源の後端面に塗布することによって、バリア被覆を形成する。例えば、バリア被覆は、1つ以上の適切なコーティング材料の溶液もしくは懸濁液中に可燃性熱源の後端面を浸漬することによって、または溶液もしくは懸濁液をブラッシングもしくは吹き付け塗装することによって、または1つ以上の適切なコーティング材料の粉末もしくは粉末混合物を可燃性熱源の後端面に静電沈着させることによって、可燃性熱源の後端面に塗布されてもよい。可燃性熱源の後端面上へ1つ以上の適切なコーティング材料の粉末または粉末混合物を静電沈着することによって、バリア被覆が可燃性熱源の後端面に塗布される場合、可燃性熱源の後端面は、静電沈着の前に水ガラスで前処理されるのが好ましい。好ましくは、バリア被覆は吹き付け塗装によって塗布される。
【0155】
バリア被覆は、可燃性熱源の後端面への1つ以上の適切なコーティング材料の溶液または懸濁液の単回の塗布により形成されうる。別の方法として、バリア被覆は、可燃性熱源の後端面への1つ以上の適切なコーティング材料の溶液または懸濁液の複数回の塗布により形成されうる。例えば、バリア被覆は、可燃性熱源の後端面への1つ以上の適切なコーティング材料の溶液または懸濁液の1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回または8回の連続する塗布により形成されうる。
【0156】
バリア被覆は、可燃性熱源の後端面への1つ以上の適切なコーティング材料の溶液または懸濁液の1~10回の塗布により形成されるのが好ましい。
【0157】
その後端面への1つ以上のコーティング材料の溶液または懸濁液の塗布後、バリア被覆を形成するために可燃性熱源を乾燥してもよい。
【0158】
バリア被覆が、その後端面への1つ以上の適切なコーティング材料の溶液または懸濁液の複数回の塗布により形成される場合、溶液または懸濁液の連続した塗布の間で可燃性熱源を乾燥する必要がありうる。
【0159】
別の方法として、または乾燥に加えて、可燃性熱源の後端面への1つ以上のコーティング材料の溶液または懸濁液の塗布後、バリア被覆を形成するために可燃性熱源上のコーティング材料を焼結してもよい。バリア被覆を焼結することは、バリア被覆がガラスまたはセラミック被覆である場合、特に好ましい。好ましくは、バリア被覆を約500℃~約900℃の温度にて、より好ましくは約700℃にて焼結する。
【0160】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体の周辺の周りに1つ以上の第1の空気吸込み口を含みうる。
【0161】
本発明による喫煙物品がエアロゾル形成基体の周辺の周りに1つ以上の第1の空気吸込み口を備える場合、使用時に、冷気が第1の空気吸込み口を通して喫煙物品のエアロゾル形成基体に引き込まれる。第1の空気吸込み口を通ってエアロゾル形成基体の中へと引き込まれた空気は、エアロゾル形成基体から喫煙物品を通って下流に通過し、その近位端を通って喫煙物品を出る。
【0162】
ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル形成基体の周辺の周りで1つ以上の第1の空気吸込み口を通って引き込まれた冷気は、エアロゾル形成基体の温度を都合良く低下させる。これは、ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル形成基体の温度におけるスパイクを有利にも実質的に阻止または抑制する。
【0163】
本明細書に使用される「冷気」という用語は、ユーザーがたばこを吸う際に可燃性熱源によって有意に加熱されない周囲空気を記述するために使用される。
【0164】
エアロゾル形成基体の温度におけるスパイクを阻止または抑制することによって、エアロゾル形成基体の周辺に1つ以上の第1の空気吸込み口を含むことは、激しくたばこを吸う状況下でエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解を回避または低減するのに有利に役立つ。加えて、エアロゾル形成基体の周辺の周りの1つ以上の第1の空気吸込み口の封入は、喫煙物品の主流エアロゾルの組成物におけるユーザーのたばこを吸う状況の影響を最小にする、または低減するのを都合良く助ける。
【0165】
一定の好ましい実施形態では、1つ以上の第1の空気吸込み口は、エアロゾル形成基体の下流端の近くに位置する。
【0166】
別の方法として、または1つ以上の第1の空気吸込み口に加えて、エアロゾル形成基体が可燃性熱源の後端面から間隙を介している実施形態では、本発明による喫煙物品は、可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に1つ以上の第2の空気吸込み口を備えうる。使用において、冷気は、第2の空気吸込み口を通って可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間のスペースに引き込まれる。第2の空気吸込み口を通って可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間のスペースに引き出される空気は、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間のスペースから喫煙物品を通って下流に通過し、その近位端を通って喫煙物品を出る。
【0167】
ユーザーがたばこを吸う間、可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間の1つ以上の第2の吸込み口を介して引き込まれた冷気は、エアロゾル形成基体の温度を都合良く低下させうる。これは、ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル形成基体の温度におけるスパイクを都合良く実質的に防止または阻止しうる。
【0168】
あるいは、または1つ以上の第1の空気吸込み口または1つ以上の第2の空気吸込み口に加えて、本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体の下流に1つ以上の第3の空気吸込み口を含みうる。
【0169】
当然のことながら、本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体の周辺の周りの1つ以上の第1の空気吸込み口か、可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間の1つ以上の第2の空気吸込み口か、エアロゾル形成基体の下流にある1つ以上の第3の空気吸込み口か、またはその任意の組み合わせを備えうる。
【0170】
空気吸込み口の数、形状、サイズおよび位置を、優れた喫煙性能を達成するように適切に調整してもよい。
可燃性熱源は、固体の可燃性熱源であることが好ましい。
可燃性熱源の長さは約7ミリメートル~約17 ミリメートルであることが好ましく、約7 ミリメートル~約15ミリメートルであることがより好ましく、約7ミリメートル~約13ミリメートルであることが最も好ましい。
可燃性熱源の直径は約5ミリメートル~約9 ミリメートルであることが好ましく、約7 ミリメートル~約8ミリメートルであることがより好ましい。
可燃性熱源の直径は実質的に一様であることが好ましい。
可燃性熱源は、適切な任意の可燃性燃料を含みうる。
可燃性熱源は炭素質熱源であることが好ましい。
【0171】
本明細書に使用される場合、「炭素質」という用語は、炭素を含む可燃性熱源を記述するために使用される。
【0172】
本発明による喫煙物品で使用するための可燃性炭素質熱源の炭素含有量は、可燃性熱源の乾燥質量で少なくとも約35パーセントであることが好ましく、少なくとも約40パーセントであることがより好ましく、少なくとも約45パーセントであることが最も好ましい。特定の実施形態では、本発明による喫煙物品で使用するための可燃性炭素質熱源の炭素含有量は、可燃性炭素質熱源の乾燥質量で少なくとも約60パーセント、または少なくとも約70パーセント、または少なくとも約80パーセントであってもよい。
【0173】
本発明による喫煙物品は、1つ以上の適切な炭素含有材料から形成される可燃性炭素質熱源を含んでもよい。
【0174】
1つ以上の結合剤を、1つ以上の炭素含有材料と組み合わせてもよい。1つ以上の結合剤の代わりに、またはそれに加えて、本発明による喫煙物品で使用するための可燃性熱源は、可燃性熱源の特性を向上させるために1つ以上の添加剤を含みうる。適切な添加剤は、可燃性熱源の圧密を促進する添加剤(例えば、焼結助剤)、可燃性熱源の点火を促進する添加剤(例えば、過塩素酸塩、塩素酸塩、硝酸塩、過酸化物、過マンガン酸塩、ジルコニウムおよびその組み合わせなどの酸化剤)、可燃性熱源の燃焼を促進する添加剤(例えば、カリウム、およびクエン酸カリウムなどのカリウム塩)、ならびに可燃性熱源の燃焼によって生成される1つ以上のガスの分解を促進する添加剤(例えば、CuO、Fe2O3およびAl2O3などの触媒)を含むが、これに限定されない。
【0175】
本発明による喫煙物品が可燃性熱源の後端面に提供されるバリア被覆を含む場合、このような添加剤は、可燃性熱源の後端面へのバリア被覆の塗布の前または後に可燃性熱源に組み込まれてもよい。
【0176】
一定の好ましい実施形態において、可燃性熱源は炭素および少なくとも1つの点火補助剤を含む可燃性炭素質熱源である。一つの好ましい実施形態において、可燃性熱源は、WO-A1-2012/164077号に記載されているように、炭素および少なくとも1つの点火補助剤を含む可燃性炭素質熱源である。
【0177】
本明細書に使用される用語「点火補助剤」は、材料によるエネルギーおよび酸素の一方または両方の放出速度が周囲酸素の拡散律速ではない場合、可燃性炭素質熱源の点火の間に、エネルギーおよび酸素の一方または両方を放出する材料を意味するために使用される。言い換えれば、可燃性炭素質熱源の点火の間の材料によるエネルギーおよび酸素の一方または両方の放出速度は大抵、周囲酸素が材料に到達することができる速度に非依存的である。また、本明細書に使用される用語「点火補助剤」は、可燃性炭素質熱源の点火の間、エネルギーを放出する元素金属を意味するために使用され、元素金属の点火温度は、約500℃より低く、および元素金属の燃焼の熱は、少なくとも約5 kJ/gである。
【0178】
本明細書に使用される場合、「点火補助剤」という用語は、カルボン酸のアルカリ金属塩(クエン酸アルカリ金属塩、酢酸アルカリ金属塩およびコハク酸アルカリ金属塩など)、ハロゲン化アルカリ金属塩(アルカリ金属塩化物塩など)、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属リン酸塩のアルカリ金属塩を含まないが、これらは炭素燃焼を調整すると考えられる。このようなアルカリ金属燃焼塩は、可燃性炭素質熱源の総重量に対して大量に存在する時にさえ、初期のたばこを吸う間に許容されるエアロゾルを産生するのに十分なエネルギーを可燃性炭素質熱源の点火の間に放出しない。
【0179】
可燃性熱源の点火および燃焼特性を有利に改善する一方、点火添加剤および燃焼添加剤の封入は、喫煙物品の使用中に望ましくない分解および反応産物を生じさせうる。例えば、その点火を補助するために可燃性熱源に含まれる硝酸塩の分解は、窒素酸化物の形成を生じうる。
【0180】
本発明による喫煙物品が非ブラインド可燃性炭素質熱源を含む場合、1つ以上の気流チャネルと非ブラインド可燃性炭素質熱源との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含めることは、本発明による喫煙物品に引き込まれた空気が1つ以上の気流チャネルを通って通過する際に、このような分解産物および反応産物が、1つ以上の気流チャネルを通って該引き込まれた空気に入ることを有利に実質的に阻止または抑制しうる。
【0181】
また、可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含めることは、このような分解産物および反応産物が本発明による喫煙物品を通って引き出された空気に入るのを有利に実質的に阻止または抑制しうる。
【0182】
本発明による喫煙物品に使用するための可燃性炭素質熱源は、1つ以上の結合剤および含まれる場合はその他の添加剤と1つ以上の炭素含有材料を混合し、所望の形に混合物を予め成形することで形成されるのが好ましい。1つ以上の炭素含有材料、1つ以上の結合剤および随意のその他の添加剤を含む混合物は、例えばスリップキャスティング、押出、射出成形および型圧縮またはプレスなどの任意の適切な周知のセラミック形成方法を使用して、所望の形に予め成形されうる。一定の好ましい実施形態において、混合物はプレスまたは押出またはそれらの組み合わせによって所望の形に予め成形される。
【0183】
1つ以上の炭素含有材料、1つ以上の結合剤およびその他添加剤の混合物は、細長いロッドに予め成形されることが好ましい。しかし、1つ以上の炭素含有材料、1つ以上の結合剤およびその他添加剤の混合物を、その他の所望の形に予め成形してもよいことが認識されるであろう。
【0184】
成形後、特に押出後、細長いロッドまたはその他の所望の形を、その含水量を減少させるために乾燥させ、次いで、存在する場合には1つ以上の結合剤を炭化するのに、また細長いロッドまたはその他の形状における任意の揮発物を実質的に除去するのに十分な温度にて非酸化大気において熱分解させるのが好ましい。細長いロッドまたはその他は約700℃~約900℃にすることが望ましい。
【0185】
有利なことに、本発明による喫煙物品における使用のための可燃性炭素質熱源は、約0.6g/cm3~約1g/cm3の見掛け密度を有する。
【0186】
本発明による喫煙物品における使用のための可燃性炭素質熱源の質量は、約300 mg~約500 mgであることが有利であり、約400 mg~約450 mgであることがより好ましい。
【0187】
エアロゾル形成基体は固体のエアロゾル形成基体でもよい。固体のエアロゾル形成基体は、例えば、加熱に反応して揮発性化合物を放出することができる材料の粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲティストランド、細片またはシートのうちの1つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、容器に入っていない形態にしてもよく、または適切な容器またはカートリッジ内に提供してもよい。
【0188】
別の方法として、エアロゾル形成基体は、固体および液体の両方の構成要素を含みうる。
【0189】
エアロゾル形成基体はニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は、たばこを含むことがより好ましい。
【0190】
本発明による喫煙物品は、少なくとも1つのエアロゾル形成剤および加熱に反応して揮発性化合物を放出することができる材料を含む、エアロゾル形成基体を含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は、湿潤剤、風味剤、結合剤およびそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、その他の添加剤および成分を含んでもよい。
【0191】
少なくとも1つのエアロゾル形成剤は、使用において、密度の高い安定したエアロゾルの形成を促進し、喫煙物品の使用温度で熱分解に対して実質的に抵抗のある任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物としうる。適切なエアロゾル形成剤は当業界で周知であり、例えば、多価アルコール、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセタート、ジアセタートまたはトリアセタートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含む。本発明による喫煙物品における使用のための好ましいエアロゾル形成剤は、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、および最も好ましいグリセリンなどの多価アルコールまたはこれらの混合物である。
【0192】
加熱に反応して揮発性化合物を発することができる材料は、植物由来材料の装填でもよい。加熱に反応して揮発性化合物を発することができる材料は、均質化した植物由来材料の装填でもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、植物に由来する1つ以上の材料を含んでもよく、たばこ、茶(例えば緑茶)、ハッカ、月桂樹、ユーカリ、バジル、セージ、ビジョザクラ、およびタラゴンを含むが限定されない。
【0193】
加熱に反応して揮発性化合物を発することができる材料は、たばこ由来材料の装填であることが好ましく、均質化したたばこ由来材料の装填であることが最も好ましい。
【0194】
エアロゾル形成基体は、紙またはその他のラッパーによって取り囲まれる加熱に反応して揮発性化合物を発することができる材料を含むプラグまたはセグメントの形態としうる。前述のように、エアロゾル形成基体がこのようなプラグまたはセグメントの形態である場合、任意のラッパーを含むプラグまたはセグメントの全体はエアロゾル形成基体であると見なされる。
【0195】
エアロゾル形成基体の長さは約5ミリメートル~約20ミリメートルであることが好ましく、約6 ミリメートル~約15ミリメートルであることがより好ましく、約7ミリメートル~約12ミリメートルであることが最も好ましい。
【0196】
特定の好ましい実施形態では、エアロゾル形成基体はプラグラップに包まれるたばこ由来材料のプラグを備える。特に好ましい特定の実施形態では、エアロゾル形成基体はプラグラップに包まれる均質化したたばこ由来材料のプラグを備える。
【0197】
本発明による喫煙物品は、可燃性熱源の前端面を少なくとも部分的にカバーするように構成されたキャップをさらに備えてもよく、キャップは、可燃性熱源の点火の前に可燃性熱源の前端面を露出するように取り外し可能である。有利なことには、キャップは、喫煙物品の使用前に可燃性熱源を保護する。
【0198】
本明細書に使用される場合、「キャップ」という用語は、可燃性熱源の前端面を含む、喫煙物品の遠位端を実質的に囲む保護カバーを記述するために使用される。
【0199】
例えば、本発明による喫煙物品は、喫煙物品の遠位端に虚弱線において取り付けられた取り外し可能キャップを含んでもよく、WO-A1-2014/086998号に記述されるように、キャップはラッパーによって囲まれる材料の円柱状プラグを備える。
【0200】
本発明による喫煙物品は、その近位端に位置するマウスピースを備えることが好ましい。
【0201】
マウスピースは低濾過効率のマウスピースであることが好ましく、非常に低い濾過効率のマウスピースであることがより好ましい。マウスピースは単一のセグメントであっても、または構成要素マウスピースであってもよい。あるいは、マウスピースはマルチセグメントマウスピースであっても、または複数構成要素マウスピースであってもよい。
【0202】
マウスピースは、適切な周知の濾過材料を含む1つ以上のセグメントを含むフィルターを含んでもよい。適切な濾過材料は当業界で周知であり、酢酸セルロースおよび紙を含むが、これらに限定されない。別の方法としてまたは追加的に、マウスピースは吸収剤、吸着剤、風味剤、およびその他のエアロゾル変性剤および添加剤またはその組み合わせを含む1つ以上のセグメントを含みうる。
【0203】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体とマウスピースとの間に移動要素またはスペーサー要素をさらに含むことが好ましい。
【0204】
移動要素はエアロゾル形成基体およびマウスピースの一方または両方に隣接してもよい。あるいは、移動要素はエアロゾル形成基体およびマウスピースの一方または両方から間隙を介していてもよい。
【0205】
移動要素の封入は、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達によって生成されるエアロゾルの冷却を有利に可能にする。移動要素の包含は、喫煙物品の全長を、移動要素の長さの適切な選択により所望の値、例えば従来の紙巻たばこの長さに類似した長さに調整することも有利に可能にする。
【0206】
移動要素の長さは、約7ミリメートル~約50ミリメートル、例えば約10 ミリメートル~約45ミリメートル、または約15ミリメートル~約30ミリメートルであってもよい。移動要素の長さは、喫煙物品の所望の全長および喫煙物品内のその他の構成要素の存在および長さに依存して、その他の長さであってもよい。
【0207】
移動要素は少なくとも1つの端の開いた管状中空体を備えることが好ましい。このような実施形態では、使用において、喫煙物品の中へと引き込まれる空気は、それがエアロゾル形成基体からマウスピースまで喫煙物品を通って下流に通過する時に、少なくとも1つの端の開いた管状中空体を通って通過する。
【0208】
移動要素は、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱の移動によって生成されるエアロゾルの温度で実質的に熱安定している1つ以上の適切な材料から形成される少なくとも1つの端の開いた管状中空体を含んでいてもよい。適切な材料は当業界で周知であり、紙、ボール紙、プラスチック、前述の酢酸セルロース、セラミックおよびこれらの組み合わせを含むが限定されない。
【0209】
別の方法としてまたは追加的に、本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体とマウスピースとの間にエアロゾル冷却要素または熱交換器を含んでもよい。エアロゾル冷却要素は複数の長軸方向に延びる流路を含んでもよい。
【0210】
エアロゾル冷却要素は、金属箔、高分子材料および実質的に非多孔性の紙またはボール紙から成る群より選択される材料シートの集合体を含んでもよい。一定の実施形態では、エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロース(CA)およびアルミ箔から成る群より選択される材料シートの集合体を含んでもよい。
【0211】
一定の好ましい実施形態では、エアロゾル冷却要素は、ポリ乳酸(PLA)またはMater-Bi(登録商標)の等級(デンプンベースのコポリエステルの市販のファミリー)などの生物分解性高分子材料のシートの集合体を含んでもよい。
【0212】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体の下流に1つ以上のエアロゾル修飾剤を含んでもよい。例えば、本発明による喫煙物品のマウスピース、移動要素、およびエアロゾル冷却要素のうちの1つ以上は、1つ以上のエアロゾル修飾剤を含んでもよい。
【0213】
適切なエアロゾル修飾剤は、風味剤、および化学感覚剤を含むが限定されない。
【0214】
本明細書に使用される場合、「風味剤」という用語は、使用中に、喫煙物品のエアロゾル形成基体によって生成されるエアロゾルに味覚または芳香の一方または両方を与える任意の薬剤を記述するために使用される。
【0215】
本明細書に使用される場合、「化学感覚剤」という用語は、使用において、味覚受容体または嗅覚受容体細胞による知覚以外、またはそれに追加した手段によってユーザーの口、または嗅空洞において知覚される任意の薬剤を記述するために使用される。化学感覚剤の知覚は、三叉神経、舌咽神経、迷走神経またはこれらのいくつかの組み合わせのいずれかを経て、典型的には「三叉神経応答」を経る。典型的には、化学感覚剤は、辛い、香辛料のきいた、冷却するまたは和らげる感覚として知覚される。
【0216】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体の下流に、風味剤および化学感覚剤である1つ以上のエアロゾル修飾剤を含んでもよい。例えば、本発明による喫煙物品のマウスピース、移動要素およびエアロゾル冷却要素の1つ以上は、冷却する化学感覚効果を提供するメントールまたは別の風味剤を含んでもよい。
【0217】
本発明による喫煙物品は、望ましい任意の長さを持ちうる。例えば、本発明による喫煙物品の全長は約65ミリメートル~約100ミリメートルとしうる。
【0218】
本発明による喫煙物品は、望ましい任意の直径を持ちうる。例えば、本発明による喫煙物品の直径は約5ミリメートル~約12ミリメートルとしうる。
【0219】
本発明による喫煙物品は、マウスピースを備えた再利用可能なホルダーに挿入するように配置されてもよい。こうした実施形態では、エアロゾル形成基体は、喫煙物品の下流端に位置しうる。こうした実施形態では、喫煙物品は、可燃性熱源と、エアロゾル形成基体と、ラッパーとを含みうる。上述した例えば移動要素、エアロゾル冷却要素、またはフィルターなどの追加的な構成要素は、例えば再利用可能なホルダーの一部として提供されてもよい。
【0220】
喫煙物品が、マウスピースを備えた再利用可能なホルダーに挿入するように配置された他の実施形態では、喫煙物品は、例えば、上述した移動要素、エアロゾル冷却要素、またはフィルターなどの追加的な1つ以上の構成要素をエアロゾル形成基体の下流に含んでもよい。こうした追加的な構成要素は、例えば、再利用可能ホルダーに挿入可能であってもよい。
【0221】
喫煙物品が、マウスピースを備えた再利用可能なホルダーに挿入するように配置された実施形態では、喫煙物品の全長は、例えば、約10ミリメートル~約100ミリメートルとしうる。
【0222】
本発明による喫煙物品は周知の方法および機械を使用して組み立てられてもよい。
【0223】
すべての学術的および技術的な用語は本明細書で使用される場合、別途指定のない限り、当業界で一般に使用される意味を持つ。本明細書で提供した定義は、本明細書で頻繁に使用される一定の用語の理解を容易にするために提供されている。
【0224】
「好ましい」および「好ましくは」という用語は、ある一定の状況下である一定の利益をもたらす場合がある本発明の実施形態を意味する。好ましい特徴の組み合わせを含む、本発明による喫煙物品が特に好ましい。しかしながら、当然のことながら、同一またはその他の状況下で、他の実施形態もまた好ましい場合がある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを暗に意味するものではなく、特許請求の範囲から他の実施形態を除外することを意図しない。
本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0225】
【
図1】本発明による喫煙物品の実施形態の長軸方向の概略断面図を示す。
【
図2】キャップを取り外して可燃性熱源の前端面を露出した後の
図1の喫煙物品の概略斜視図を示す。
【
図3】ラッパーおよびチッピングペーパーを部分的にほどいてその下にある喫煙物品の構成要素を示した、
図2の喫煙物品の概略斜視図を示す。
【
図4】高倍率の光学顕微鏡で得られた実施例1のラッパーの画像を示す。
【
図5】高倍率の光学顕微鏡で得られた実施例2のラッパーの画像を示す。
【
図6】高倍率の光学顕微鏡で得られた実施例3のラッパーの画像を示す。
【
図7】高倍率の光学顕微鏡で得られた実施例4のラッパーの画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0226】
図1に示した本発明の実施形態による喫煙物品は、同軸配列で隣接する、取り外し可能キャップ100、可燃性炭素質熱源102、エアロゾル形成基体104、移動要素106、エアロゾル冷却要素108、スペーサー要素110、およびマウスピース112を含む。可燃性炭素質熱源102は、前端面114と、対向する後端面116とを有する。
【0227】
図1に示すように、取り外し可能キャップ100、ブラインド可燃性熱源102、エアロゾル形成基体104、および移動要素106は、1つに薄層形成されたラッパー120によって囲まれている。
【0228】
可燃性炭素質熱源102は、ブラインド炭素質可燃性熱源である。
図1に示すように、アルミ箔のディスクの形態の不燃性の実質的に不通気性のバリア122は、可燃性炭素質熱源102の後端面116とエアロゾル形成基体104との間に提供される。バリア122は、可燃性炭素質熱源102の後端面116上へアルミ箔のディスクをプレスすることによって可燃性炭素質熱源102の後端面116に適用され、可燃性炭素質熱源102の後端面116とエアロゾル形成基体104とに隣接する。
【0229】
エアロゾル形成基体104は、可燃性炭素質熱源102の後端面116に適用されるバリア122のすぐ下流に位置する。エアロゾル形成基体104は、プラグラップ126に包まれた、例えば、グリセリンなどのエアロゾル形成剤を含む均質化したたばこ由来材料124の円柱状プラグを備える。
【0230】
移動要素106はエアロゾル形成基体104のすぐ下流に位置し、円柱状の端の開いた中空のセルロースアセテートチューブ128を含む。
【0231】
エアロゾル冷却要素108は移動要素106のすぐ下流に位置し、例えば、ポリ乳酸などの生物分解性高分子材料のシートの集合体を備える。
【0232】
スペーサー要素110はエアロゾル冷却要素108のすぐ下流に位置し、円柱状の端の開いた中空の紙またはボール紙管を含む。
【0233】
マウスピース112はスペーサー要素110のすぐ下流に位置する。
図1に示すように、マウスピース112は、喫煙物品の近位端に位置し、フィルタープラグラップ132に包まれた、例えば濾過効率が非常に低い酢酸セルローストウなどの適切な濾過材料130の円柱状プラグを備える。
【0234】
図1に示すように、喫煙物品は、マウスピース112、スペーサー要素110、エアロゾル冷却要素108、およびラッパー120の下流端部を囲むチッピングペーパーの帯134をさらに備える。
【0235】
取り外し可能キャップ100は、喫煙物品の遠位端に位置し、グリセリンなどの水分を吸収する乾燥剤を備えた中央部分を含んでもよい。
図1に示すように、喫煙物品を囲む複数の穿孔を備えた虚弱線136が、可燃性炭素質熱源102を覆う1つに薄層形成されたラッパー120において該熱源の後方端付近に提供される。取り外し可能キャップ100は、虚弱線136の上流で、1つに薄層形成されたラッパー120の一部によって囲まれ、これに貼り付けられている。喫煙物品を使用するために、ユーザーは、取り外し可能キャップ100を親指と他の指の間に挟んで半径方向に圧迫することで、キャップ100を取り外す。取り外し可能キャップ100を圧迫することで、ラッパー120を局所的に破断するのに十分な力が虚弱線136に供給される。続いて、ユーザーは、取り外し可能キャップ100と、虚弱線136の上流にある1つに薄層形成されたラッパー120の一部とを、取り外し可能キャップ100をねじって虚弱線136の残りの部分を破断することによって取り外すことができる。
図2に示すように、取り外し可能キャップ100と、虚弱線136の上流にある1つに薄層形成されたラッパー120の一部とを取り外すことによって、可燃性炭素質熱源102の前方部分が露出し、ユーザーが可燃性熱源102に点火できるようになる。
【0236】
図1に示すように、周方向に配置された空気吸込み口138が、冷気(
図1に破線矢印によって示す)を移動要素6内に入れるように、1つに薄層形成されたラッパー120、移動要素106においてその上流端付近に設けられる。
【0237】
1つに薄層形成されたラッパー120は、半径方向に外側にある熱伝導材料の層140と、半径方向に内側にある熱絶縁材料の層142とを含む。内側に延びる複数の突起部(図示せず)が、1つに薄層形成されたラッパー120をエンボス加工することによって形成され、可燃性熱源102を覆う1つに薄層形成されたラッパー120の半径方向に内側にある熱絶縁材料の層142の内側表面に提供される。
【0238】
図1に示す実施形態では、内側に延びる複数の突起部は、可燃性熱源102の外側表面と直接接触している。一方、当然のことながら、本発明の他の実施形態(図示せず)では、内側に延びる複数の突起部が、可燃性熱源に接着された、または取り付けられた1つ以上の中間の構成要素によって、可燃性熱源から半径方向に分離されていてもよい。また当然のことながら、本発明の他の実施形態(図示せず)において、内側に延びる複数の突起部(図示せず)が、エアロゾル形成基体104を覆う1つに薄層形成されたラッパー120の半径方向に内側にある熱絶縁材料の層142の内側表面に提供されてもよい。
【0239】
使用時、ユーザーは、エアロゾル形成基体104を加熱する可燃性炭素質熱源102に点火してエアロゾルを生成する。ユーザーがマウスピース112で吸い込む時、空気(
図1に破線矢印によって示す)は、空気吸込み口138を通って移動要素106の中へと引き込まれる。
【0240】
エアロゾル形成基体104の前方部分は、可燃性炭素質熱源104の後端面116と、バリア122と、ラッパー120の半径方向に外側にある熱伝導材料の層140とを通して伝導によって加熱される。
【0241】
伝導によるエアロゾル形成基体104の加熱により、均質化したたばこ由来材料124のプラグからグリセリンならびにその他の揮発性化合物および半揮発性化合物が放出される。エアロゾル形成基体104から放出された化合物は、エアロゾルを形成し、これが空気吸込み口138を介して喫煙物品100のエアロゾル形成基体104に引き込まれる空気に混入される。引き込まれた空気および混入されたエアロゾル(
図1に破線矢印によって示す)は、移動要素106の円柱状の端の開いた中空のセルロースアセテートチューブ128、エアロゾル冷却要素108、およびスペーサー要素110の内部を通って下流に流れ、そこで冷却し凝縮する。冷却された引き込まれた空気および混入されたエアロゾルは、マウスピース112を通って下流に流れ、喫煙物品の近位端を通ってユーザーに送達される。可燃性炭素質熱源102の後端面116上の不燃性の実質的に不通気性のバリア122は、使用において、喫煙物品を通って引き込まれた空気が可燃性炭素質熱源102と直接接触しないように、喫煙物品を通って引き込まれた空気から可燃性炭素質熱源102を隔離する。
【0242】
使用において、1つに薄層形成されたラッパー120の半径方向に外側にある熱伝導材料の層140は、喫煙物品内で熱を保持して、エアロゾル形成基体104の温度を維持し、したがって連続かつ増強されたエアロゾル送達を促進にするのに役立つ。加えて、1つに薄層形成されたラッパー120の半径方向に外側にある熱伝導材料の層140は、熱がエアロゾル形成基体104のより大きな容積を通って分散されるように、エアロゾル形成基体104に沿って熱を伝達する。これは、より一貫したたばこを吸うごとのエアロゾル送達を提供するのに役立つ。
【0243】
有利なことに、可燃性炭素質熱源102を覆う1つに薄層形成されたラッパー120の半径方向に内側にある熱絶縁材料の層142の内側表面に設けられた内側に延びる複数の突起部は、可燃性熱源102を喫煙物品内の所定の位置に保持し、また喫煙物品の良好な性能を得るのに十分な可燃性熱源からエアロゾル形成基体への伝導性熱伝達を維持するよう促す。
【実施例】
【0244】
図1に示す本発明の実施形態による喫煙物品が、半径方向に外側にあるアルミニウムの層と半径方向に内側にある紙の層とを備えた1つに薄層形成されたラッパーを用いて、表1に示す寸法で組み立てられる。内側に延びる複数の突起部が、可燃性熱源を覆う1つに薄層形成されたラッパーそれぞれの半径方向に内側にある紙の層の内側表面に設けられる。内側に延びる複数の突起部は、1つに薄層形成されたラッパーをエンボス加工することによって形成される。
図4、
図5、
図6、および
図7は、高倍率の光学顕微鏡で得られた、1つに薄層形成されたラッパーの半径方向に内側にある紙の層の内側表面の画像であり、内側に延びる複数の突起部を示す。1つに薄層形成されたラッパーの各々の半径方向に内側にある紙の層の内側表面に設けられた複数の突起部の被覆割合、高さ、最大断面積、間隔、および密度を、
図4、
図5、
図6、および
図7に示す画像を画像処理することによって測定し、それらを表2に示す。
【0245】
【0246】
【0247】
上記の特定の実施形態および実施例は本発明を説明するが、本発明を限定するものではない。当然のことながら、本発明の他の実施形態を作成してもよく、また本明細書に記載した具体的な実施形態および実施例は網羅的なものでない。