(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】流動物が収容されているパッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
B65B 3/00 20060101AFI20220927BHJP
B65D 65/42 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
B65B3/00
B65D65/42
(21)【出願番号】P 2021197927
(22)【出願日】2021-12-06
(62)【分割の表示】P 2016237820の分割
【原出願日】2016-12-07
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】清藤 晋也
(72)【発明者】
【氏名】岡本 耕太
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】丹生 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 知之
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/010534(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/175378(WO,A1)
【文献】特許第6651319(JP,B2)
【文献】特開2016-5966(JP,A)
【文献】国際公開第2016/170884(WO,A1)
【文献】特開2015-151131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 3/00
B65D 65/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体内に流動物が充填されているパッケージの製造方法において、
前記容器本体内面に、前記流動物とは非混和性の潤滑液をスプレーコートして該潤滑液の被覆層を形成し、
前記被覆層が形成されている容器本体の内部に、ヘッドスペースを残すようにして前記流動物を充填し、
前記流動物を前記容器本体内に充填した後、前記容器本体に充填された流動物の上端の周縁に前記潤滑液を供給する、
ことを特徴とするパッケージの製造方法。
【請求項2】
前記流動物が、100mPa・s(25℃)以上の粘度を有する粘稠物質である請求項1に記載のパッケージの製造方法。
【請求項3】
前記流動物を前記容器本体内に充填した後の前記潤滑液の供給を、前記容器本体のヘッドスペースに、前記潤滑液をスプレーコートすることにより行う請求項1に記載のパッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動物が収容されている容器本体からなるパッケージに関するものであり、より詳細には、容器本体の内面には、流動物に対する滑り性を向上させるための潤滑液の被覆層が形成されているパッケージの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチック容器は、成形が容易であり、安価に製造できることなどから、各種の用途に広く使用されている。特に、容器壁の内面が低密度ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂で形成され且つダイレクトブロー成形で成形されたボトル形状のオレフィン系樹脂容器は、内容物を絞り出し易いという観点から、ケチャップなどの粘稠なスラリー状或いはペースト状の内容物を収容するための容器として好適に使用されている。
【0003】
また、粘稠な内容物を収容するボトルでは、該内容物を速やかに排出するため、或いはボトル内に残存させることなくきれいに最後まで使いきるために、ボトルを倒立状態で保存しておかれる場合が多い。従って、ボトルを倒立させたときには、粘稠な内容物がボトル内壁面に付着残存せずに、速やかに落下するという特性が望まれている。
【0004】
このような要求を満足するボトルとして、例えば、特許文献1には、一次粒子平均径が3~100nmの疎水性酸化物微粒子が内面に付着している容器が提案されている。
また、特許文献2には、平均粒径が1μm~20μmの樹脂粒子により形成された樹脂膜の表面に平均粒径が5nm~100nmの酸化物微粒子が分散付着している構造の撥水性膜が表面に形成されている蓋体が提案されている。
【0005】
上記の特許文献で提案されている技術は、何れも内容物が接触する面に微細な凹凸を形成し、微細な凹凸面により撥水性(疎水性)を発現させている。即ち、この凹凸面を形成する材料の疎水性に加え、凹凸面に存在する空隙中に空気層が形成され、この空気層は容器を形成する材料よりも撥水性が高く、この結果、水性の内容物に対する非付着性が高められるというものである。
しかるに、このような微細な凹凸面を形成した場合では、水性の内容物に対する非付着性が高められるものの、内容物と微細な凹凸面が常時接触する場合、微細な凹凸面の凹部では水分の凝縮が非常におこりやすく、水分凝縮により凹部が埋まるためにその滑り性が悪化していく問題があり、さらなる滑り性の向上が求められている。
【0006】
また、特許文献3には、内面に凹凸が形成されており、この凹凸に液体を安定に保持させた容器が提案されている。かかる容器は、凹凸の毛管現象を利用して容器内面に液体の層を安定に保持し、この液体の層により、内容物に対する滑り性を向上させるというものである。
しかしながら、かかる技術では、容器内面に凹凸を形成する手段に難がある。即ち、かかる凹凸は、毛管現象により液体を保持するものであるため、そのピッチが極めて小さく、ピッチに対して、凹凸の高さがかなり高いという形態を有する。このような形態でなければ、毛管力が支配的にならず、重力により液体が落下してしまうからである。しかるに、このような形態の凹凸は、容器本体を成形した後の後加工、例えば、凹凸形成用の微粒子が分散された液を吹き付けたり或いはエッチング等の手段により形成されるものである。このため、ボトルなどの形態を有する容器では、容器成形後の凹凸形成のための工程が極めて煩雑となってしまい、コスト等の大幅な増大を免れない。
【0007】
一方、本発明者等は、特許文献4により、上記の問題が解決された容器を提案している。かかる容器も、内面に凹凸が形成されており、このような凹凸の内面に潤滑液の液層が形成されており、この液層を利用して、容器内容物に対する滑り性を向上させるという点では、上記の特許文献3の技術と同じである。
しかるに、この特許文献4は、液層の表面に局部的に突出している部分を形成していること、具体的には、容器内面の凹凸が液層表面に反映されており、容器内面の凸部に対応して、液層表面に局部的に突出ている部分を形成している点に、重要な特徴を有している。即ち、ここで形成されている液層は、容器内面を濡らす程度の薄層であり、このような液層が形成されている部分を容器内容物が流れるとき、容器内容物は、液層(局部的に突出している部分)と、局部的に突出している液層間に存在している空気層とに接触して流れることとなり、これにより、単に液層と接触させて容器内容物を流す場合に比して、より優れた滑り性が発揮されるというものである。
【0008】
上記特許文献4の技術は、容器内容物に対する滑り性を大きく向上させ得ることは勿論であるが、注目すべきは、容器内面の凹凸を、容器成形後の後加工によらず、容器内面を形成する樹脂に粗面化剤となる微粒子を混合して容器を成形することにより作製できることである。即ち、かかる凹凸は、容器内面が濡れる程度の液体が保持されればよく、凹凸間に液体を保持するような毛管力を発現させるものではないため、そのピッチは大きく、例えば凹凸の高さよりも大きいものである。この結果、このような凹凸は、容器内面を形成する樹脂にある程度の量の粗面化用の微粒子を混合して成形を行うことにより形成させることができ、容器成形後の面倒な後加工を必要とせず、生産性、製造コスト等の点で大きな利点を有している。
【0009】
しかしながら、本発明者等が開発した上記特許文献4の技術においても、課題が残されている。
即ち、特許文献4の技術では、容器内面の潤滑液の液層が極めて薄い層であるため、容器内面に潤滑液をスプレー噴霧して液層を形成するという手段に適しておらず、容器内面を形成する樹脂に潤滑液を混合して容器を成形するという内添手段によって液層が形成される。即ち、容器内面を形成する樹脂層からのブリーディングにより液層が形成されるわけである。
このような内添手段は、確かに薄い液層の形成には有利であるが、内面全体に均一な厚みで形成し難く、部分的に液層が存在しない部分が形成されたり、場合によっては、内面の凹凸が液体保持力を有していないため、部分的に過剰な厚みの液層が形成されてしまうことがあり、このため、内容物に対する滑り性にバラつきが生じ易く、さらなる改善が必要である。
【0010】
勿論、上記の液層を容器内面に潤滑液をスプレー噴霧することにより形成することは可能であるが、この場合には、液層を形成する液量が過剰となってしまい、スプレー噴霧後、内容物の充填に先立って、容器を倒立させて過剰な量の潤滑液を排出する工程が必要となってしまう。即ち、潤滑液の無駄使いや無駄な工程の存在などの点で、スプレー噴霧による手段を採用することができない。
【0011】
また、本発明者らは、先に容器本体の内面全体に渡って凹凸が形成されており、凹凸面が潤滑液で被覆されているパッケージを提案した(PCT/JP2016/076260)。このパッケージでは、凹凸面により潤滑液が保持されており、且つ、正立に保持された状態において、該容器本体内に収容されている流動物の上端面の周縁部には、前記潤滑液の液溜りが形成されていることを特徴としている。このようなパッケージでは、該潤滑液による流動物に対する滑り性が安定して発揮され、その速やかな排出が可能であると共に、コストの増大などを生じることなく容易に製造することができる。
本発明者らは、このようなパッケージについて、更に検討を推し進めた結果、容器本体内に収容される流動物の濡れ性等の特性と、容器本体内面を被覆している潤滑液の濡れ性等の特性の間に一定の関係にある場合には、容器本体内面を粗面としなくとも、流動物の容器本体からの排出性を著しく向上させ得るという極めて意外な知見を見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2010-254377号公報
【文献】特許第4878650号
【文献】特表2015-510857号公報
【文献】特許第5673870号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、流動物が収容されている容器本体からなり、該容器本体の内面が潤滑液で被覆されており、流動物の排出性が極めて高く、コストの増大などを生じることなく容易に製造すること可能なパッケージの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
即ち、本発明によれば、容器本体内に流動物が充填されているパッケージの製造方法において、
前記容器本体内面に、前記流動物とは非混和性の潤滑液をスプレーコートして該潤滑液の被覆層を形成し、
前記被覆層が形成されている容器本体の内部に、ヘッドスペースを残すようにして前記流動物を充填し、
前記流動物を前記容器本体内に充填した後、前記容器本体に充填された流動物の上端の周縁に前記潤滑液を供給する、
ことを特徴とするパッケージの製造方法が提供される。
【0015】
本発明のパッケージの製造方法においては、前記流動物が、100mPa・s(25℃)以上の粘度を有する粘稠物質であることが好適である。また、前記流動物を前記容器本体内に充填した後の前記潤滑液の供給を、前記容器本体のヘッドスペースに、前記潤滑液をスプレーコートすることにより行うことも好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明により製造されるパッケージは、容器本体の正立状態において、容器本体内に収容されている流動物の上端面の周縁部に、潤滑液の液溜りが形成されていることが第一の特徴である。
即ち、このような潤滑液の液溜りが流動物の上端周縁部に形成されているため、容器本体を傾けて流動物を排出する際、この流動物は、常に、潤滑液と接触しながら排出されることを意味する。しかも、本発明において、容器本体の内面には潤滑液の被覆層が形成されている。この結果、本発明により製造されるパッケージでは、流動物に接触している潤滑液は流動物と一体に挙動し、容器本体を正立状態に復帰させると、流動物と一体に容器本体の内面に沿って流れ戻り、排出されずに残存した流動物と接触した状態で容器本体内に存在することとなる。
かくして本発明によれば、流動物(内容物)を繰り返し排出した場合でも常に安定した滑り性が発揮される。
【0017】
また、上記の潤滑液の液溜りは、ヘッドスペース部分の内面(平滑面)を被覆している潤滑液の落下により形成される。このことから理解されるように、容器本体の内面を被覆する潤滑液の層は、過剰な量の潤滑液を、内容物充填後に、容器本体の内面にスプレー噴霧することによって形成できる。即ち、粗面化剤を樹脂に内添して容器内面に凹凸を形成したり、或いは後加工によって容器内面に凹凸を形成する等の手段を採用する必要は無く、容器本体内面に潤滑液をスプレー噴霧するという容易な手段で潤滑液の被覆層を形成することができ、凹凸の程度を均一にするなどの煩雑でコストのかかる手段を用いず、至って容易な手段で、潤滑液の特性が安定に発揮されるパッケージが得られる。
【0018】
さらに、本発明においては、前記潤滑液の前記内面に対する接触角が前記流動物の前記内面に対する接触角よりも小さいことが第2の特徴である。
即ち、本発明では、上述したような液溜りが形成されていると同時に、容器本体内に収容される流動物と容器本体内面を被覆している潤滑液とが上記の関係を満足するように選択されていることにより、容器本体を傾けて流動物を排出する場合、傾けられた容器本体の上部側に位置する内面から流動物が速やかに剥離して落下することとなる。即ち、流動物に対する剥離性が高められており、上述した滑り性と相俟って、著しく優れた排出性を発現させることができる。
【0019】
本発明のパッケージは、容器本体内に収容される流動物の種類に応じて上記の関係を満足するように適宜の潤滑液を選択して使用することにより、流動物に対する滑り性を安定に向上させることができるので、特に粘稠な液体、例えば100mPa・s(25℃)以上の粘度を有する粘稠物質(ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシングなど)の収容に好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のパッケージの要部及び流動物を排出するときの状態を示す概略断面図(下部(滑る側))。
【
図2】本発明のパッケージの要部及び流動物を排出するときの状態を示す概略断面図(上部(剥離する側))。
【
図3】本発明のパッケージにおける容器本体の最も好適な形態であるダイレクトブローボトルの全体の形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<パッケージの構造及び機能>
図1および
図2を参照して、本発明のパッケージは、内部に流動物3が収容された容器本体1からなるものであり、特に
図1(A)および
図2(A)に示されているように、正立状態において、容器本体1の上端は、シール箔5によりシールされており、適宜、蓋体(図示せず)により閉じられており、流動物3の上端面と容器本体1の上端(シール箔5)との間にはヘッドスペース7が形成されている。
【0022】
上記のような容器本体1の好適例は、ダイレクトブローボトルであり、この形態は、
図3に示されている。
図3において、全体として10で示されるダイレクトブローボトル(
図1および
図2の容器本体1に相当)は、螺条を備えた首部11、肩部13を介して首部11に連なる胴部壁15及び胴部壁15の下端を閉じている底壁17を有しており、その上端の開口部は、前記の流動物3(
図3では図示せず)を充填した後に、アルミ箔等のシール部材19(
図1のシール箔5に相当)によって閉じられ、さらにキャップ20が螺子装着されてシール性が確保されるものとなっている。
かかるボトル10は、粘稠な流動物の収容に好適に使用され、胴部壁15をスクイズすることにより、内部に収容された粘稠な物質を排出するというものである。
【0023】
再び
図1および
図2に戻って、容器本体1(例えば
図3のダイレクトブローボトル10)の内面1aは、粗面であってもよいし、平滑面であってもよい。図の例では、平滑面で示されている。このような平滑面1aは、流動物3に対する滑り性を向上させる潤滑液30で被覆されており、流動物3と容器本体1の内面1aとの間には、潤滑液30が介在している。
本発明では、潤滑液30の内面1aに対する接触角が流動物3の内面1aに対する接触角よりも小ささくなるように、潤滑液30及び流動物3が選択されている。
【0024】
上記のような基本構造を有する本発明のパッケージでは、
図1(A)および
図2(A)に示されているように、容器本体1の正立状態において、流動物3の上端面の周縁部に潤滑液30の液溜り31が形成されている。即ち、正立状態では、流動物3よりも上方に位置するヘッドスペース7部分の内面1aを被覆している潤滑液30が流れ落ちることにより、潤滑液30の液溜り31が形成されるわけである。従って、ヘッドスペース7部分に位置している内面1a’を被覆している潤滑液30の厚みは、流動物30と容器内面1aとの間に挟まれている部分の潤滑液30の厚みよりも薄くなっている。
本発明では、上記のようにして形成されている液溜り31により、流動物3の排出に際して、安定して優れた滑り性が発揮されることとなる。
【0025】
例えば、この流動物3を排出するには、
図1(B)に示されているように、シール箔5を引き剥がした後、容器本体1を傾けるが、これにより、液溜り31を形成している潤滑液30は、ヘッドスペース7部分の内面1a(1a’)に沿って容器本体1の上端部分に流れ落ちる。この状態で流動物3が排出されるが、この時には
図1(C)に示されているように、液溜り31を形成している潤滑液30の流れ落ちにより、ヘッドスペース7に対応する部分の内面1a’には、潤滑液30の薄い膜30aが形成されており、このような潤滑液30の薄い膜30aに接触しながら流動物3が潤滑液30の一部と共に排出、あるいは潤滑液30の薄い膜30a上を滑ることとなり、これにより、安定して優れた滑り性が発揮されることとなる。
また、一定量の流動物3を排出した後、容器本体1を正立状態に復帰させると、潤滑液30が受ける流動抵抗は小さいため、速やかに容器本体1の内部に流れ落ち、潤滑液30と共に、排出されなかった流動物3は容器本体1の内部に速やかに落下していくこととなる。
さらに、流動物3の排出後、そのまま容器本体1を正立状態に保持していくと、経時と共に、ヘッドスペース7部分の潤滑液30が次第に落下し、再び、
図1(A)に示されるように流動物3の上端面周縁部に液溜り31が形成されることとなり、次に流動物3を排出するときも、初期と同様に速やかに排出することができる。
【0026】
このような本発明のパッケージでは、潤滑液30の下地となる容器本体1の内面1aに対する接触角が流動物の内面1aに対する接触角よりも小さく、潤滑液30の流動抵抗が極めて小さい。従って、容器本体1内に収容されている流動物3は、潤滑液30と共に速やかに容器本体1内から排出させることができ、流動物が粘稠な物質であったとしても、容器本体1内に残存することなく、排出することができる。
【0027】
一方で、流動物3を排出するために容器本体1を傾けた際の、流動物3と容器本体1が剥離する側(即ち、容器本体1の内面1aの上部側)の挙動を見ると、
図2(B)で示されているように、まず流動物3が容器本体1から離れる方向に重力が働く。このとき液溜まり31は傾斜により内面1aに沿って容器本体1の上端部分に流れ落ちる力も働くが、それと同時に流動物3が移動してできた空隙を埋めるように内面1a上に流れ込もうとする。その結果、
図2(C)に示されているように潤滑液30は流動物3と容器本体1の間に入り込み、流動物3と容器本体1は容易に剥離する。液溜まり31が小さい或いはない場合には、上記に説明したような流動物3と容器本体1との間への流れ込みが起きないため剥離性が著しく低い。
【0028】
このように
図1および
図2で説明した通り、潤滑液の液溜まりが形成されていることで、滑り性と剥離性の向上の相乗効果により、安定して優れた排出が可能となる。
【0029】
<容器本体1>
本発明において、上述した容器本体1は、その内面1aが平滑面で示されているが、上記のような挙動が阻害されない限り、粗面となっていてもよい。
【0030】
容器本体1の内面1aを形成する材料は特に制限されず、熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂、ガラス、金属など用途・内容物に応じて選択して使用することができるが、潤滑液30の過度の消費を抑制するという点で、熱可塑性樹脂により形成されていることが好適である。
熱可塑性樹脂としては、容器の形態に成形可能なものであれば特に制限されないが、一般的には、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中或いは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテンなどのオレフィン系樹脂や、これらのオレフィン類の共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート等のポリエステル樹脂が好ましく、これらは容器外面の形成にも好適である。
特に、この容器本体1を、
図3に示されているようなダイレクトブローボトルとして使用する場合には、内容物の絞り出しに適しているという点で、低密度ポリエチレンや直鎖低密度ポリエチレンに代表されるオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
【0031】
また、上記の熱可塑性樹脂により形成される容器本体1の内面1aは、粗面である必要はないため、この熱可塑性樹脂には、粗面化剤として機能するような無機材料等の配合は必要はないが、この内面1aを、粗面と平滑面とから形成されていてもよい。
容器を傾けて流動物を排出させるさい、流動物が動き始めるきっかけを促すために、滑り性を発現する面を粗面、剥離性を発現する面を平滑面、即ち、下側の面を粗面として、下側に対向する面を平滑面とすることもできる。
粗面は粗面化剤として機能するようなシリカなどの無機材料等を内面樹脂に配合してもよい。配合する 粒子としては、平均粒子径が上記範囲にある限り特に制限されないが、一般的には、例えば酸化チタン、アルミナ、シリカ等の金属酸化物粒子、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、カーボンブラックなどの炭素系微粒子、ポリメチル(メタ)アクリレートや、ポリエチレン、ポリオルガノシルセスキオキサンに代表されるシリコーン粒子などから成る有機微粒子が代表的であり、これらは、シランカップリング剤やシリコーンオイル等により疎水化処理されていてもよい。本発明においては、ダイレクトブロー成形に代表される押出成形によっても実施可能であるため、溶融成形後に粒子径が保持できれば良く、例えば、疎水化処理されている微細粒子、特に疎水性シリカ、ポリメチルメタクリレート硬化物、超高分子量ポリエチレン、ポリオルガノシルセスキオキサン、シリコーン粒子が好適に使用される。
【0032】
さらに、本発明において、容器本体1は、上記の熱可塑性樹脂の単層構造であってもよいし、多層構造とすることも可能である。
【0033】
例えば、容器本体1の内面層と外面層との間に、中間層として、ガスバリア性樹脂層を形成し、酸素等のガス透過による内容物3の劣化を抑制することができる。
【0034】
上記のガスバリア性樹脂としては、エチレン・ビニルアルコール共重合体(エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物)、芳香族ポリアミド及び環状ポリオレフィンなどが代表的であり、中でもエチレン・ビニルアルコール共重合体は、特に優れた酸素バリア性を示すため、最も好適である。
上記のようなエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、一般に、エチレン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%のエチレン-酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が好適である。
上述したガスバリア性樹脂は、それぞれ単独で使用することもできるし、2種以上がブレンドされていてもよい。また、内面層や外面層との接着性を高めるたるために、ガスバリア性が損なわれない範囲で、ポリエチレン等のポリオレフィンがガスバリア性樹脂にブレンドされていてもよい。
【0035】
また、上記のようなガスバリア性樹脂層を中間層として設ける場合には、内面層或いは外面層との接着性を高め、デラミネーションを防止するために、これらの層とガスバリア性樹脂層との間に接着剤樹脂層を設けることが好ましい。
このような接着樹脂層の形成に用いる接着剤樹脂はそれ自体公知であり、例えば、カルボニル基(>C=O)を主鎖若しくは側鎖に1乃至100meq/100g樹脂、特に10乃至100meq/100g樹脂の量で含有する樹脂、具体的には、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸もしくはその無水物、アミド、エステルなどでグラフト変性されたオレフィン樹脂;エチレン-アクリル酸共重合体;イオン架橋オレフィン系共重合体;エチレン-酢酸ビニル共重合体;などが接着性樹脂として使用される。
【0036】
さらに、上記のような多層構造においては、この容器本体1を成形する際に生じるバリなどのスクラップ樹脂が内層或いは外層形成用のバージンの樹脂に配合されたリプロ層を形成することもできる。
【0037】
上述した各層は、当該層に要求される特性が発揮されるように、それ自体公知の厚みに設定される。また、各層を形成するための樹脂には、各層の特性を損なわない範囲で、酸化防止剤、界面活性剤、着色剤などの添加剤が適宜配合されていてもよい。
【0038】
容器本体1は、内面1aを潤滑液30で被覆したとき、液溜り31を形成し得る限りにおいて、種々の形態を有していてよく、例えば、ボトル或いはカップの形態を有していてよい。
このような容器本体1は、前述した各層を形成する樹脂を用いての押出成形によりプリフォームを形成した後、ブロー成形、プラグアシスト成形、真空成形等の後加工により所定の容器形状に賦形することにより製造される。
特に本発明では、この容器本体1は、
図3に示されているような粘稠な流動物の排出に適したダイレクトブローボトルの形態を有していることが最適である。このようなダイレクトブローボトルは、押出成形によりチューブ形状のプリフォームを成形し、このプリフォームの一端をピンチオフして閉じ、次いで、エア等のブロー流体をプリフォーム内に吹き込んでボトル形状に賦形することにより製造される。
【0039】
<潤滑液30及び流動物3>
上記のような流動物3が収容されている容器本体1からなる本発明のパッケージにおいては、上記のようにして得られる容器本体1の内面1aを潤滑液30で被覆し、次いで、ヘッドスペース7が形成されるように流動物3が充填される。
【0040】
上記の潤滑液30としては、容器本体1内に充填される流動物3の種類に応じて、適宜の表面特性を有するものが使用されるが、かかる潤滑液30は、当然、流動物3と非混和性であることが必要である。本発明において、流動物3と非混和性であるとは、流動物3と接触しても即座に分子分散せずに、潤滑液30として存在することを意味する。さらに、大気圧下での蒸気圧が小さい不揮発性の液体、例えば沸点が200℃以上の高沸点液体でなければならない。揮発性液体を用いた場合には、容易に揮散して経時と共に消失し、流動物3に対する滑り性を向上させることが困難となってしまうからである。
【0041】
このような潤滑液30の具体例としては、上記のような高沸点液体であることを条件とし、且つ内面1aに対する接触角が流動物3の内面1aに対する接触角よりも小さいことを条件として、種々のものを挙げることができるが、特に表面張力が、滑り性の対象となる流動物3と大きく異なるものほど、潤滑効果が高く、本発明には好適である。
例えば、流動物3が水や水を含む親水性物質である場合には、表面張力が10乃至40mN/m、特に16乃至35mN/mの範囲にある液体を潤滑液30として用いることが好ましく、フッ素系液体、フッ素系界面活性剤、シリコーンオイル、脂肪酸トリグリセライド、各種の植物油などが代表的である。この植物油としては、大豆油、菜種油、オリーブオイル、米油、コーン油、べに花油、ごま油、パーム油、ひまし油、アボガド油、ココナッツ油、アーモンド油、クルミ油、はしばみ油、サラダ油などが好適に使用できる。また、上記の液体をブレンドして用いてもよい。
また、上記の中から選択される潤滑液は、内面1aに対する濡れ性が高いこと(内面1aに対する接触角が小さいこと)が好ましく、また、液溜まり31を構成する潤滑液は、内面1aを被覆している潤滑液と異なっているものであってもよい。
なお、本発明でいう接触角(contact angle)とは、固体内表面と液体と気体が接触しているとき、この3相の接触する境界線において液体面が固体面と成す角度をいう。
【0042】
本発明においては、内面1a上に潤滑液30の被覆層を形成し且つ液溜り31を形成するため、一定量の余剰の潤滑液30が収容されていることが重要である。余剰の潤滑液は、流動物を充填後或いは、充填前に添加してもよい。添加する方法としては、噴霧、溶融樹脂と同時に押し出す、内容品と同時に吐出する、樹脂内添加によるブリーディングなどがある。特に、容器本体1の内面1aを被覆する潤滑液と液溜り31を形成する潤滑液との種類が異なる場合には、液溜り31を形成する潤滑液は、余剰分として後から施されることとなる。
即ち、本発明においては、上記の潤滑液30を用いて容器本体1の内面1aを被覆するが、流動物3を充填したときに、ヘッドスペース7に面している流動物3の周縁部に液溜り31が形成されるように(
図1(A)参照)、過剰量の潤滑液30を容器本体1の内面11aに施すことにより、かかる被覆が行われる。
即ち、
図1(A)に示されているように、流動物3が充填されている容器本体1が正立状態に保持されたとき、ヘッドスペース7に対面する部分に位置している内面1a(1a’)から潤滑液30が垂れ落ちるように、過剰の潤滑液30で内面1aの全体を被覆しておくか、場合によっては、流動物充填後、余剰の潤滑液を供給する。
【0043】
このために、この潤滑液30をスプレー噴霧により、容器本体1の内面全体に塗布することが必要であり、例えば、その塗布量は、余剰分を含め、平均して、0.1g/m2以上、特に0.1~10g/m2程度とするのがよい。このような塗布量とすることにより、平滑面1aが完全に潤滑液30で覆われた状態となる。
従って、液溜り31が形成される限り、内面1aは粗面であってもよい。
【0044】
尚、過剰量の潤滑液30で内面1aの全体を被覆することができる限りにおいて、潤滑液30のスプレー噴霧は、容器本体1を正立状態に保持した状態で行ってもよいし、倒立状態に保持した状態で行ってもよい。
【0045】
上記のようにして潤滑液30を塗布した後、正立状態に保持され且つ過剰の潤滑液30で内面全体が被覆されている容器本体1の内部に、流動物3が、所定の充填用パイプから、ヘッドスペース7を残すように供給される。(場合によっては、余剰分の潤滑液が流動物3の充填後に施される。)
【0046】
即ち、上記のように流動物3を充填したとき、ヘッドスペース7に対応する部分の内面1a(1a’)を被覆している潤滑液30が垂れ落ち、流動物3の上端面の周縁部分に液溜り31を形成することが可能となるわけである。従って、
図1(A)に示されているように、液溜り31よりも上方部分の潤滑液30の厚みは、先にも述べたように、流動物3の側面と平滑面1aとの間に存在する潤滑液30厚みに比して薄くなっている。
【0047】
上記のようにして充填される流動物3は、先にも述べたように、潤滑液30と表面張力が大きく異なるものであり(内面1aに対する接触角が潤滑液30よりも大きい)、特に粘度(25℃)が100mPa・s以上の粘稠な流体、具体的には、ケチャップ、水性糊、蜂蜜、各種ソース類、マヨネーズ、マスタード、ドレッシング、ジャム、チョコレートシロップ、乳液等の化粧液、液体洗剤、シャンプー、リンス等である。即ち、流動物3の種類に応じて適宜の潤滑液30を使用して液溜り31を形成しておくことにより、容器を傾斜或いは倒立させることにより、これらの粘稠な流動物3を速やかに排出できるからである。
例えば、ケチャップ、各種ソース類、蜂蜜、マヨネーズ、マスタード、ジャム、チョコレートシロップ、乳液などは、水分を含む親水性物質であり、潤滑液30としては、シリコーンオイル、グリセリン脂肪酸エステル、食用油などの食品添加物として認可されている油性液体の中から選択されることが好ましい。
【0048】
上記のようにしてヘッドスペース7を残すようにして流動物3を充填し且つ潤滑液30の液溜り31を形成した後、シール箔5をヒートシールにより施し、適宜、蓋体を装着することにより、本発明のパッケージが得られる。
【実施例】
【0049】
本発明を次の実施例にて説明する。
尚、以下の実施例等で行った各種の特性、物性等の測定方法及び容器本体(ボトル)は次の通りである。
【0050】
<容器本体>
下記の層構成を有する、容量約500mLの多層ダイレクトブローボトルを公知の手法により成形し、下記の実験に用いた。
ボトルA;5種9層ダイレクトブロー多層ボトル
層構成:
内層/接着層/液拡散抑制層/接着層/メイン層/接着層/酸素バリア層/接着層/外層
内層:低密度ポリエチレン
接着層:酸変性ポリエチレン
液拡散抑制層:エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)
メイン層:低密度ポリエチレン(LDPE)
酸素バリア層:エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)
外層:低密度ポリエチレン(LDPE)
ボトルB;5種9層ダイレクトブロー多層ボトルB
層構成:
内層/接着層/液拡散抑制層/接着層/メイン層/接着層/酸素バリア層/接着層/外層
内層:平均粒子径が5μmのシリカが5重量%配合されている低密度ポリエチレン
接着層:酸変性ポリエチレン
液拡散抑制層:エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)
メイン層:低密度ポリエチレン(LDPE)
酸素バリア層:エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)
外層:低密度ポリエチレン(LDPE)
【0051】
<潤滑液>
中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)
表面張力:28.8mN/m(23℃)
粘度:33.8mPa・s(23℃)
沸点:210℃以上
引火点:242℃(参考値)
尚、液体の表面張力は固液界面解析システムDropMaster700(協和界面科学(株)製)を用いて23℃にて測定した値を用いた。また、液体の表面張力測定に必要な液体の密度は、密度比重計DA-130(京都電子工業(株)製)を用いて23℃で測定した値を用いた。また、潤滑液の粘度は音叉型振動式粘度計SV-10((株)エー・アンド・デイ製)を用いて23℃にて測定した値を示した。
【0052】
<流動物>
マヨネーズ様粘稠性食品
粘度:499Pa・s(0.1sec-1)、
94Pa・s(1sec-1)、
0.30Pa・s(1000sec-1)
尚、粘度の測定にはレオメーター(ARES、ティー・エイ・インスツルメント製)を用いた。パラレルプレートのジオメトリ、ギャップ0.5mmにて定常流法で測定した値を示した。
【0053】
<潤滑液の液溜りの作成>
流動物をボトル内に200g充填し、流動物の上端面の周縁部に潤滑液(MCT)を数滴垂らし、液溜まりを作成した。また後述する剥離性試験のために、周縁部の一部分(周縁部の約1/4の区画)にのみ潤滑液(MCT)を垂らして局所的に液溜まりを作成した。
【0054】
<流動物の滑り性試験>
潤滑液の液溜まりを作成した後、室温下(25℃)において、正立状態のボトルを約45°傾けた際の内容物の滑り性を内容物がボトル口部側に滑り落ちきる時間により評価した。評価基準は次のとおりである。
○:滑り落ちきる時間が、5分未満である。
△:滑り落ちきる時間が、5分以上10分未満である。
×:滑り落ちきる時間が、10分以上である。
<流動物の剥離性試験>
上述の方法で局所的に液溜まりを作成したボトルを用い、室温下(25℃)において、正立状態のボトルを液溜まりの部分が上側になるようにして約45°傾け、内容物の剥離正を評価した。評価基準は次の通りである。
○:瞬時に剥離する。
×:剥離しない。または剥離する時間が10分以上である。
【0055】
<実験例1>
容器本体として、ボトルA(5種9層ダイレクトブロー多層ボトル)を用意した。
ボトルAの内面にエアブラシを用いたエアスプレー法で、潤滑液として中鎖脂肪酸トリグリセリドを表1に示す量となるように塗布した。内面に潤滑液が塗布されたボトルを用いて、前述の、潤滑液の液溜りの作成、および、流動物の滑り性試験、流動物の剥離性試験を行った。結果をまとめて表1に示す。なお、潤滑液の低密度ポリエチレン表面に対する接触角は、流動物よりも小さい。
【0056】
<実験例2>
潤滑液の液溜りの作成をしなかったこと以外は実験例1と同様にして、流動物の滑り性試験、流動物の剥離性試験を行った。結果をまとめて表1に示す。
【0057】
<実験例3>
内層用樹脂として、平均粒子径が5μmのシリカが5重量%配合されている低密度ポリエチレンを用いた以外は、実験例1と同様にして、成形されたボトルB(5種9層ダイレクトブロー多層ボトル)を用意した。
このボトルについて、上記と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0058】
<実験例4>
ボトルAの内面にエアブラシを用いたエアスプレー法で、潤滑液として中鎖脂肪酸トリグリセリドを塗布しなかったことと、潤滑液の液溜りの作成をしなかったこと以外は実験例1と同様にして、流動物の滑り性試験、流動物の剥離性試験を行った。結果をまとめて表1に示す。
【0059】
【0060】
表1より、ボトル内面が潤滑液で被覆されている実験例1~3において、潤滑液の液溜まりを作成した実験例1、3では滑り性、剥離性共が良好であったのに対し、液溜まりを作成しなかった実験例2では劣ることがわかる。
また液膜を被覆せず、液溜まりも作成しない実験例4は滑り性、剥離性共に不良である。
以上のことから、液膜を被覆し、液溜まりを作成することで滑り性、剥離性共に良好となり、相乗効果で内容物を容易に排出させることが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1:容器本体
1a:容器本体1の内面
3:流動物
5:シール箔
7:ヘッドスペース
30:潤滑液
31:液溜り