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▶ クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

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  • 特許-圧力等化弁 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】圧力等化弁
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/68 20060101AFI20220927BHJP
   B60T 15/04 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
B60T13/68
B60T15/04 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021513453
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2019074228
(87)【国際公開番号】W WO2020053279
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】18193585.9
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503159597
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Schienenfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80,D-80809 Muenchen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーク ヘミングス
(72)【発明者】
【氏名】ナイジェル アンスティ
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン ペアー
【審査官】土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/027045(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第0304610(EP,A2)
【文献】欧州特許出願公開第0352522(EP,A1)
【文献】西独国特許出願公開第3430408(DE,A1)
【文献】特表2011-506162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/68
B60T 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキシリンダへの空気流を制御するように適合された鉄道車両用ブレーキシステムのためのブレーキ弁装置であって、それぞれが制御チャンバを有した保持弁(2)と通気弁(3)とを有しており、前記通気弁は膜弁であって、前記保持弁(2)と前記通気弁(3)とは、それぞれ保持ソレノイド弁(6)と通気ソレノイド弁(10)とによって操作されるブレーキ弁装置において、
前記通気弁(3)の弁膜の各表面にかかる圧力差を減じるために、前記通気弁(3)の前記弁膜の各表面にかかる圧力をブレーキシリンダ圧と等化できるようにするために、前記通気弁(3)の前記制御チャンバにさらなるソレノイド弁(9)が接続され
前記さらなるソレノイド弁(9)は、前記ブレーキシリンダ圧を受け取る
ことを特徴とする、ブレーキ弁装置。
【請求項2】
前記さらなるソレノイド(9)は、前記保持弁(2)の出口に流体連通されている、請求項1記載のブレーキ弁装置。
【請求項3】
前記さらなるソレノイド(9)は、前記通気ソレノイド弁(10)の入口に流体連通されている、請求項1または2記載のブレーキ弁装置。
【請求項4】
使用中のブレーキを解除するために、前記保持弁(2)の前記制御チャンバに供給圧力を適用することにより、かつ前記保持ソレノイド弁(6)に通電することにより、前記保持弁(2)は閉鎖状態に保持され、前記通気ソレノイド弁(10)に通電することにより前記通気弁(3)の前記制御チャンバを排気することによって、ブレーキシリンダ内のブレーキ圧は大気へと放出される、請求項1から3までのいずれか1項記載のブレーキ弁装置。
【請求項5】
使用中に、ブレーキの適用に続いて前記ブレーキシリンダ内の圧力を保持するために、前記保持ソレノイド弁(6)に通電して、前記保持弁(2)の前記制御チャンバへの供給圧力の適用を可能にすることにより、前記保持弁(2)は閉鎖され、次いで前記さらなるソレノイド弁(9)に通電することにより、前記通気弁(3)の前記弁膜の各表面にかかる圧力は、前記ブレーキシリンダ圧と等化される、請求項1からまでのいずれか1項記載のブレーキ弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両用の電空ブレーキシステムで使用するための弁に関する。
【0002】
鉄道車両用ブレーキシステムは、通常は7年程度であるメンテナンス間隔を有する他の空気式のブレーキシステムと比較して、極めて長い耐用期間を有することを特徴としている。ブレーキシステムは安全性が重要であるため、構成部品は、明らかな安全要件のためだけではなく、他の車両と比較して現場でのメンテナンスの実施が困難であるということによっても、この耐用期間を確実に達成する必要がある。
【0003】
この要件に加えて、特に旅客ルートにおける最新の列車には、車輪の滑走防止装置のような特徴を含むより高性能のブレーキシステムが求められている。車輪の滑走防止装置は、停止時間を減じるだけでなく、車輪滑走の際の軌道および車輪の損傷も減じ、安全性を損なうことなく、列車の高速化と省スペース化とを可能とするので、鉄道ネットワークのより多くの利用も促進する重要な安全向上措置である。
【0004】
欧州特許第3183147号明細書には、車輪の滑走防止装置を有した鉄道車両用ブレーキシステムで使用するための空気式膜弁が説明されている。この設計はブレーキシステムの設計において進歩性を示したが、通気弁膜が開くことができる速度には限界を有しており、これによりさらなる性能向上は制限されている。
【0005】
したがって、短縮された弁通気時間で動作することができる空気式弁の必要性がある。
【0006】
本発明によれば、鉄道車両用ブレーキシステムのためのブレーキ弁装置であって、ブレーキシリンダへの空気流を制御するように適合されていて、それぞれ制御チャンバを有した保持弁と通気弁とを有しており、通気弁は膜弁であって、保持弁と通気弁とは、各ソレノイド弁によって操作されており、膜にかかる圧力差を減じるために、通気弁膜にかかる圧力をブレーキシリンダ圧と等化できるようにするために、通気弁の制御チャンバにさらなるソレノイド弁が接続されているブレーキ弁装置が提供される。
【0007】
好適には、さらなるソレノイドは、保持膜弁の出口に流体連通されている。好適には、さらなるソレノイドは、通気ソレノイドの入口に流体連通されている。好適には、さらなるソレノイド弁は、ブレーキ圧を受け取る。
【0008】
システムは、ブレーキシリンダを加圧および放圧するために使用される2つの膜空気弁を有している。制御チャンバ内の圧力は、供給圧力に接続されたソレノイド弁によって制御されている。通気膜弁の制御チャンバにはさらなるソレノイド弁が接続されており、このさらなるソレノイド弁は、膜表面にかかる圧力差を減じるために、膜にかかる圧力をブレーキシリンダ圧と等化することができる。
【0009】
通気膜表面にかかる圧力の等化により、通気弁膜の開放に要する時間は明らかに減じられる。本発明の設計により、膜内に誘発される応力も大幅に減じられ、その結果、公知の解決手段と比較して動作耐用期間が延長される。
【0010】
以下に、本発明の実施例を図面につきさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による弁装置を概略的に示す図である。
図2】動作線図を示す図である。
【0012】
図1は、保持膜2と通気膜3とを有した弁ブロック1を備えた弁装置を概略的に示している。保持膜2の入口4は、チョークを介して供給圧力5に接続されていて、保持ソレノイド6によって操作される。
【0013】
保持ソレノイド6には、供給圧力5からの圧力が供給される。この供給圧力は、通気ソレノイド10に直列に接続されている等化ソレノイド9にも供給されている。等化ソレノイド9は、弁ブロック1に流体接続されていて、保持膜2の出口7からのブレーキ圧を受け取る。保持ソレノイドは、パイロット圧を保持膜2に供給し、保持膜は、ばね手段により閉鎖位置へと付勢される。
【0014】
保持膜2の出口7は、ブレーキシリンダ8への出口に流体連通されていて、さらに、等化ソレノイド9と、通気膜3の入口とに流体連通されている。通気膜は、通気ソレノイド10によってパイロット操作されて、通気膜の出口は、大気への排気部をなしている。
【0015】
ブレーキ解除の際は、保持ソレノイド弁6に通電することにより、保持膜の制御チャンバに供給圧力がかけられて、保持膜2は閉鎖状態に保持される。通気ソレノイド弁10の通電により、通気弁制御チャンバを排気することによって、ブレーキシリンダは、大気へと排気される。
【0016】
ブレーキがかけられると、通気ソレノイド弁10への通電をやめることにより、通気弁制御チャンバへ供給圧力5を加えることにより、通気膜3は閉じられる。保持ソレノイド弁6への通電をやめることにより、保持弁制御チャンバを排気することによって、保持弁膜2は開かれる。したがって、供給圧力5がブレーキシリンダへとかけられる。
【0017】
ブレーキの適用に続いてブレーキシリンダ内の圧力を保持するために、保持ソレノイド弁6の通電により、保持弁制御チャンバへの供給圧力5の付与が可能となり、保持膜2は閉じられる。次いで、等化ソレノイド弁9の通電により、通気弁膜3にかけられている圧力を、ブレーキシリンダ圧となるように等化することができる。
【0018】
ブレーキシリンダ内の圧力を排気するために、通気ソレノイド弁10を開放することにより、通気弁制御チャンバが排気される。制御チャンバがブレーキシリンダ圧と等化されているので、膜にかけられている差圧に依存する弁を開放するためにかかる時間は、従来技術の設計と比較して減じられている。
【0019】
排気状態から保持状態へと戻すために、通気ソレノイド弁10および等化ソレノイド弁9への通電をやめることにより、通気弁制御チャンバへ供給圧力を加えることにより、通気弁3は最初に閉じられる。一定の時間経過後、等化ソレノイド弁9の通電により、通気膜にかけられている圧力を等化することができる。保持適用から圧力等化までの間の時間は、弁膜のサイズと設計とに依存している。
【0020】
図2には、保持ソレノイドと等化ソレノイドとが、実質的に同時に通電されるソレノイド弁のための例示的な動作図が示されている。この場合、通気弁ソレノイドが通電されてから、一定期間T1後、等化弁の通電が遮断されて、通気膜操作後により高い圧力で通気を再び閉鎖する準備ができている。
【0021】
T2は、圧力を等化するために等化ソレノイドが作動させられる前に、より高い圧力で、通気膜が閉じられたことを確認するための継続時間である。温度により膜弁のゴムの挙動が変化するので、期間T1およびT2は、状況に応じて変更可能である。大気温度、大気圧、および大気湿度における例としての時間は60msである。
図1
図2