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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】フレクシャデバイス
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/04 20060101AFI20220927BHJP
   B23Q 1/54 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
F16C11/04 Z
F16C11/04 V
B23Q1/54
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021519559
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 US2019047782
(87)【国際公開番号】W WO2020086147
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】16/167,401
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ブラード,アンドリュー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ネフリン,ハンス ピー.
【審査官】糟谷 瑛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0129407(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0209475(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/00
B23Q 1/00
F16D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレクシャユニットであって:
カップラ本体;
前記カップラ本体を少なくとも部分的に取り囲むフレクシャ本体;及び
前記フレクシャ本体と前記カップラ本体とを互いに結合する単一の可撓性部材であり、軸線の周りの前記フレクシャ本体と前記カップラ本体との間の相対的な回転運動を容易にするように動作可能である、可撓性部材;
を含み、
前記カップラ本体は他のフレクシャユニットとの結合を容易にするように構成された1つ以上のインターフェース表面を備え、
前記カップラ本体の1つ以上のインターフェース表面が前記フレクシャ本体から突出し、前記フレクシャ本体は前記カップラ本体の周囲を取り囲む、
フレクシャユニット。
【請求項2】
前記可撓性部材は前記カップラ本体のスロットを通って延在する、請求項1に記載のフレクシャユニット。
【請求項3】
前記可撓性部材は、当該可撓性部材が前記他のフレクシャユニットと接触することを防止するために、前記インターフェース表面に対して凹んでいる、請求項1に記載のフレクシャユニット。
【請求項4】
前記フレクシャ本体は円形の外形を有する、請求項1に記載のフレクシャユニット。
【請求項5】
前記カップラ本体は円形の外形を有する、請求項1に記載のフレクシャユニット。
【請求項6】
前記可撓性部材はブレード構成を有する、請求項1に記載のフレクシャユニット。
【請求項7】
前記フレクシャ本体、前記カップラ本体及び前記可撓性部材は、モノリシック構造を形成する、請求項1に記載のフレクシャユニット。
【請求項8】
軸線に沿って互いに直列に連結された第1の複数のフレクシャユニットと第2の複数のフレクシャユニットとを有するフレクシャデバイスであって:
各前記フレクシャユニットは、
カップラ本体;
フレクシャ本体;及び
前記フレクシャ本体と前記カップラ本体とを互いに結合する単一の可撓性部材であり、前記フレクシャ本体と前記カップラ本体との間の軸線の周りの相対的な回転運動を容易にするように動作可能である、可撓性部材;
を含み、
前記第1の複数のフレクシャユニットの前記カップラ本体及び前記第2の複数のフレクシャユニットの前記カップラ本体は互いに固定的に結合され、前記第1の複数のフレクシャユニットの複数の前記フレクシャ本体は互いに固定的に結合され、前記第2の複数のフレクシャユニットの複数の前記フレクシャ本体は互いに固定的に結合され、
それにより、前記第1の複数のフレクシャユニットの前記フレクシャ本体は、前記第1及び第2の複数のフレクシャユニットの前記カップラ本体に対して前記軸線の周りで回転可能であり、前記第2の複数のフレクシャユニットの前記フレクシャ本体は、前記第1及び第2の複数のフレクシャユニットの前記カップラ本体に対して前記軸線の周りで回転可能であり、前記第2の複数のフレクシャユニットの前記フレクシャ本体に対する、前記第1の複数のフレクシャユニットの前記フレクシャ本体の前記軸線の周りの回転を容易に
別の第1の複数のフレクシャユニットをさらに備え、前記第1の複数のフレクシャユニットを前記別の第1の複数のフレクシャユニット から前記軸線に沿って分離するために、前記カップラ本体のうちの2つの間に結合されたブリッジコネクタをさらに備える、
フレクシャデバイス。
【請求項9】
前記第1の複数のフレクシャユニットのうちの少なくとも2つの前記可撓性部材は実質的に互いに垂直に配置され、かつ前記第2の複数のフレクシャユニットのうちの少なくとも2つの前記可撓性部材は実質的に互いに垂直に配置される、請求項8に記載のフレクシャデバイス。
【請求項10】
前記フレクシャ本体は前記カップラ本体を少なくとも部分的に取り囲む、請求項8に記載のフレクシャデバイス。
【請求項11】
多軸フレクシャデバイスであって:
第1支持ベース;
第2支持ベース;
中央カップラ;
第1軸線の周りの回転を容易にするように、前記第1支持ベース及び前記中央カップラを互いに回転可能に結合する第1フレクシャデバイス;
第2軸線の周りの回転を容易にするように、前記第2支持ベース及び前記中央カップラを互いに回転可能に結合する第2フレクシャデバイス;
を含み、
前記各フレクシャデバイスが、第1フレクシャ部と、第2フレクシャ部と、前記第1フレクシャ部及び前記第2フレクシャ部に結合されたフレクシャカップラとを備え、
前記第1フレクシャデバイスの前記第1フレクシャ部は、前記第1支持ベースと前記第1フレクシャデバイスの前記フレクシャカップラとの間の前記第1軸線の周りの相対的回転を容易にするように、前記第1支持ベースに結合され、前記第1フレクシャデバイスの前記第2フレクシャ部は、前記中央カップラと前記第1フレクシャデバイスの前記フレクシャカップラとの間の前記第1軸線の周りの相対的回転を容易にするように、前記中央カップラに結合され、かつ、
前記第2フレクシャデバイスの前記第1フレクシャ部は、前記第2支持ベースと前記第1フレクシャデバイスの前記フレクシャカップラとの間の前記第2軸線の周りの相対的回転を容易にするように、前記第2支持ベースに結合され、前記第2フレクシャデバイスの前記第2フレクシャ部は、前記中央カップラと前記第2フレクシャデバイスの前記フレクシャカップラとの間の前記第2軸線の周りの相対的回転を容易にするように、前記中央カップラに結合される、
多軸フレクシャデバイス。
【請求項12】
前記第1フレクシャ部及び前記第2フレクシャ部はそれぞれ、可撓性部材を備える、請求項11に記載の多軸フレクシャデバイス。
【請求項13】
前記各フレクシャデバイスは、複数のフレクシャ本体を備え、
前記フレクシャカップラは、複数のカップラ本体を備え、
前記各可撓性部材は、前記複数のカップラ本体のうちの1つに直接結合され、かつ前記複数のフレクシャ本体のうちの1つに直接結合されて、フレクシャユニットを形成し、
前記第1フレクシャデバイスの前記フレクシャ本体は、前記第1フレクシャデバイスを前記第1支持ベース及び前記中央カップラに結合し、
前記第2フレクシャデバイスの前記フレクシャ本体は、前記第2フレクシャデバイスを前記第2支持ベース及び前記中央カップラに結合する、
請求項12に記載の多軸フレクシャデバイス。
【請求項14】
前記可撓性部材は、実質的に互いに垂直に配置される第1可撓性部材及び第2可撓性部材を備える、請求項12に記載の多軸フレクシャデバイス。
【請求項15】
前記第1軸線と前記第2軸線が交差する、請求項11に記載の多軸フレクシャデバイス。
【請求項16】
前記第1軸線及び前記第2軸線が垂直である、請求項11に記載の多軸フレクシャデバイス。
【請求項17】
前記第1フレクシャ部は複数の第1フレクシャ部を含み、前記第2フレクシャ部は複数の第1フレクシャ部を含み、前記フレクシャカップラは複数のフレクシャカップラを含む、請求項11に記載の多軸フレクシャデバイス。
【請求項18】
前記第1フレクシャデバイスの前記複数のフレクシャカップラのうちの2つの間に結合され、前記第1フレクシャデバイスの前記複数の第1フレクシャ部のうちの少なくとも2つを前記第1軸線に沿って互いに分離する第1ブリッジコネクタ;及び
前記第2フレクシャデバイスの前記複数のフレクシャカップラのうちの2つの間に結合され、前記第2フレクシャデバイスの前記複数の第1フレクシャ部のうちの少なくとも2つを前記第2軸線に沿って互いに分離する第2ブリッジコネクタ;
をさらに含む請求項17に記載の多軸フレクシャデバイス。
【請求項19】
前記第1ブリッジコネクタ及び前記第2ブリッジコネクタはそれぞれ、当該第1ブリッジコネクタ及び当該第2ブリッジコネクタがそれぞれ前記第1軸線及び前記第2軸線の周りで干渉なく回転することを容易にするように構成された相補的凹部を備える、請求項18に記載の多軸フレクシャデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレクシャユニット、フレクシャデバイス及び多軸フレクシャデバイスに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
大きな角度と高い荷重伝達を有する2軸の枢動能力を必要とする機構は、典型的には、可動物体間の枢動を可能にするための、ボールベアリング又はブッシングを備えたユニバーサルジョイントカップラを利用する。しかしながら、いくつかの用途(例えば、ステアリングミラー又は走査ミラーのような高精度の機構)においては、ベアリング又はブッシュに典型的な摩耗、スロップ(slop)及び限られた寿命が、克服するのに非常に高価であり得る。
【0003】
フレクシャピボットが、精密用途におけるブッシングのベアリングの代替としてしばしば利用される。フレクシャピボットは、複数の機械的部材が、制限された角度範囲に亘り互いに対して、共通の軸線の周りに枢動することを可能にするデバイスである。角運動は、接触面の変位ではなく、弾性的なフレクシャ要素のたわみによって達成されるので、フレクシャピボットは、摩擦なしに作動し、したがって、潤滑を必要としない。従って、フレクシャピボットは、摩擦及び/又は潤滑の必要性が懸念される用途におけるベアリングの代替となり得る。
【0004】
本発明の特徴及び利点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかであり、添付の図面は、一例として、本発明の諸特徴を一緒に示している。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本開示の一例に従った多軸フレクシャデバイスの説明図である。
図2】本開示の一例に従った図1の多軸フレクシャデバイスの分解図である。
図3】本開示の一例に従った図1の多軸フレクシャデバイスの断面図である。
図4】本開示の一例に従った図1の多軸フレクシャデバイスの概略図である。
図5】本開示の一例に従った、図1の多軸フレクシャデバイスの中央カップラの断面図である。
図6】本開示の一例に従った、図1の多軸フレクシャデバイスに使用され、図1の多軸フレクシャデバイスの他の構成要素から分離された2つの単軸フレクシャデバイスの断面図である。
図7】本開示の別の例に従った多軸フレクシャデバイスの説明図である。
図8】本開示の一例に従った単軸フレクシャデバイスの説明図である。
図9A】本開示の一例に従ったフレクシャユニットの斜視図である。
図9B図9Aのフレクシャユニットの正面図である。
図10A】本開示の別の例に従ったフレクシャユニットの斜視図である。
図10B図10Aのフレクシャユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
次に、図示された例示的な実施形態を参照し、本明細書では、これを記述するために特定の言語を使用する。それにもかかわらず、本発明の範囲の制限は意図されていないことが理解されるであろう。
【0007】
本明細書において、「実質的に」という用語は、作用、特徴、特性、状態、構造、項目又は結果の完全又はほぼ完全な範囲又は程度を意味する。例えば、「実質的に」囲まれた対象は、その対象が完全に囲まれているか、ほぼ完全に囲まれていることを意味する。絶対的完全性からの正確な許容可能な逸脱の程度は、場合によっては、特定の文脈に依存することがある。しかし、一般的に、完全性の近さは、絶対的及び全体的な完全性が得られたかのように、全体的に同一の結果をもたらす。「実質的に」という用語は、作用、特徴、特性、状態、構造、項目若しくは結果の完全、又はこれらが欠如したほぼ完全を指すために、負の意味で使用される場合、同様に適用される。
【0008】
本明細書で使用される場合、「隣接」とは、2つの構造又は要素の近接を意味し、特に、「隣接」であると識別される要素は、近接するか又は接続され得る。このような要素は、必ずしも互いに接触することなく互いに近接又は接近していてもよい。正確な近接度は、特定の状況に依存する場合がある。
【0009】
本発明の概念の最初の概要は、以下に提供され、その後、特定の例は、後にさらに詳細に説明される。この最初の概要は、読者が実施例をより迅速に理解するのを助けることを意図したものであるが、実施例の主要な特徴又は本質的な特徴を識別することを意図したものではなく、また、クレームされた主題事項の範囲を限定することを意図したものでもない。
【0010】
フレクシャルピボットは、ベアリング又はブッシングの代わりとして機能することができるが、二軸デバイスに見られるフレクシャルピボットで典型的に利用可能な角度運動の範囲は限られており、いくつかの用途において問題を提起する可能性がある。より大きな角度移動(例えば±15度の大きさ)を有する2軸フレクシャデバイスを製造することができるが、これらは、同じ荷重を支持するようにスケーリングされた場合に、従来のフレクシャデバイス(例えば±5度の角度移動を提供する)と比較してはるかに大きい。非常に薄く長いフレクシャブレードが、大きな角度移動を提供することができるが、これらのフレクシャは、非常に低い圧縮荷重で座屈するので、これらのフレクシャが提供できる有用なアスペクト比及び角度移動には実用的な制限がある。かくして、特定の用途において、典型的なフレクシャデバイスと同様の荷重容量を有し、比較的大きな角度移動を提供する2軸フレクシャルピボットデバイスの利用可能性は利益をもたらすことができる。
【0011】
[課題を解決するための手段]
従って、ここで開示する多軸フレクシャデバイスは、典型的な多軸フレクシャデバイスの角度運動の範囲を越えて移動範囲を増加させ(例えば、各フレクシャデバイスについて±8度(合計±16度)、典型的なフレクシャデバイスの負荷容量と同様の負荷容量(いくつかの例では、1,000lbfの負荷容量)を提供する。多軸フレクシャデバイスは、第1支持ベース、第2支持ベース及び中央カップラを含むことができる。多軸フレクシャデバイスはまた、第1軸線の周りの回転を容易にするために、第1支持ベースと中央カップラとを互いに回転可能に結合する第1フレクシャデバイスと、第2支持ベースと中央カップラとを互いに回転可能に結合して、第2軸線の周りの回転を容易にする第2フレクシャデバイスとを含むことができる。各フレクシャデバイスは、第1フレクシャ部と、第2フレクシャ部と、第1フレクシャ部及び第2フレクシャ部に結合されたフレクシャカップラとを含むことができる。第1フレクシャデバイスの第1フレクシャ部は、第1支持ベースに結合することができ、それにより第1支持ベースと第1フレクシャデバイスのフレクシャカップラとの間の第1軸線の周りの相対的な回転が容易になる。第1フレクシャデバイスの第2フレクシャ部は、中央カップラに連結することができ、それにより中央カップラと第1フレクシャデバイスのフレクシャカップラとの間の第1軸線の周りの相対的な回転が容易になる。第2フレクシャデバイスの第1フレクシャ部は、第2支持ベースに結合することができ、それにより第2支持ベースと第2フレクシャデバイスのフレクシャカップラとの間の第2軸線の周りの相対的な回転が容易になる。第2のフレクシャデバイスの第2フレクシャ部は、中央カップラに連結されることができ、それにより中央カップラと第2フレクシャデバイスの第2フレクシャ部との間の第2軸線の周りの相対的な回転が容易になる。
【0012】
また、フレクシャユニットが開示され、これは、カップラ本体と、少なくとも部分的にカップラ本体を取り囲むフレクシャ本体と、フレクシャ本体及びカップラ本体を互いに結合する単一の可撓性部材とを含むことができる。可撓性部材は、フレクシャ本体とカップラ本体との間の軸線の周りの相対的な回転運動を容易にするように動作可能である。
【0013】
さらに、フレクシャデバイスが開示され、これは、軸線に沿って互いに直列に結合された第1の複数のフレクシャユニットと第2の複数のフレクシャユニットとを含むことができる。各フレクシャユニットは、カップラ本体と、フレクシャ本体と、フレクシャ本体及びカップラ本体を互いに結合する単一の可撓性部材とを有することができる。単一の可撓性部材は、フレクシャ本体とカップラ本体との間の軸線の周りの相対的な回転運動を容易にするように動作可能である。第1の複数のフレクシャユニット及び第2の複数のフレクシャユニットのカップラ本体は、互いに固定的に結合することができる。第1の複数のフレクシャユニットの複数のフレクシャ本体は、互いに固定的に結合することができる。第2の複数のフレクシャユニットの複数のフレクシャ本体は、互いに固定的に結合することができる。前記第1の複数のフレクシャユニットのフレクシャ本体は、前記第1の複数のフレクシャユニット及び前記第2の複数のフレクシャユニットの前記カップラ本体に対して前記軸線の周りで回転可能であり、前記第2の複数のフレクシャユニットの前記フレクシャ本体は、前記第1の複数のフレクシャユニット及び前記第2の複数のフレクシャユニットの前記カップラ本体に対して前記軸線の周りで回転可能であり、それにより前記第2の複数のフレクシャユニットの前記フレクシャ本体の、前記第1の複数のフレクシャユニットの前記フレクシャ本体の前記軸線の周りの回転を容易にする。
【0014】
本技術をさらに説明するために、図面を参照して実施例を提供する。図1を参照すると、多軸フレクシャデバイス100の一実施形態が図示されている。多軸フレクシャデバイス100の分解図を図2に、デバイス100の断面図を図3に、そしてデバイス100の概略図を図4に示す。多軸フレクシャデバイス100は、支持ベース110、120、中央カップラ130及びフレクシャデバイス140a、140b(合計4段の回転のためのそれぞれ2段の回転)を備えることができる。中央カップラ130は、図5に隔離され断面で示される。フレクシャデバイス140a、140bは、図6に隔離され断面で示される。フレクシャデバイス140aは、軸線150aの周りの回転を容易にするために、支持ベース110と中央カップラ130を互いに回転可能に結合することができる。フレクシャデバイス140bは、軸線150bの周りの回転を容易にするために、支持ベース120と中央カップラ130を互いに回転可能に結合することができる。一態様では、中央カップラ130は、軸線150a、150bが垂直になるように、フレクシャデバイス140a、140bと結合するように構成することができる。
【0015】
支持ベース110、120は、軸線150a、150bの周りで互いに相対的に回転する外部構成要素又は外部構造体111、121にそれぞれ結合されるように構成することができる。例えば、構造体121は、可動本体(例えば、ミラー)であってもよく、構造体111は、可動本体のベース又は支持構造であってもよい。支持ベース110、120は、構造体111、121の所望のパッケージング構成によって影響を受け得る、構造体111、121との結合を容易にするための任意の適切な構成を有することができる。図1に示された実施形態は、デバイス100の同じ側の構造体111、121とインターフェースするように構成された支持ベース110、120を示す。図7に示す代替の実施形態では、多軸屈曲デバイス100'は、デバイス100'の反対側のそれぞれの構造体111'、121'とインターフェースするように構成された支持ベース110'、120'を含むことができる。
【0016】
図1乃至図6をさらに参照すると、フレクシャデバイス140aは、2つのフレクシャ部141a、142a及びフレクシャ部141a、142aに連結されたフレクシャカップラ143aを備えることができる。フレクシャ部141aは、軸線150aの周りに支持ベース110とフレクシャカップラ143aとの間の相対的な回転を容易にするために、支持ベース110に(例えば、図2及び図3の112において)結合することができる。支持ベース110とフレクシャカップラ143aとの間に結合されたフレクシャ部141aは、軸線150aの周りの、フレクシャデバイス140aの回転の第1段を形成することができる。フレクシャ部142aは、中央カップラ130に(例えば、図2図3及び図5の131において)結合されて、軸線150aの周りの中央カップラ130とフレクシャカップラ143aとの間の相対的な回転を容易にすることができる。フレクシャカップラ143aと中央カップラ130との間に結合されたフレクシャ部142aは、軸線150aの周りのフレクシャデバイス140aの回転の第2段を形成することができる。いくつかの実施形態において、それぞれのフレクシャ部141a、142aによって提供される回転の第1段及び第2段は、それぞれ、軸線150aの周りの約±8度の回転移動を提供することができる。軸線150aの周りの支持ベース110と中央カップラ130との間の相対的な回転運動は、フレクシャデバイス140aの回転の第1段及び第2段の相対的な回転運動の合計である。かくして、いくつかの実施形態では、2段の回転を有するフレクシャデバイス140aは、軸線150aの周りの約±16度の回転移動を提供することができる。
【0017】
同様に、フレクシャデバイス140bは、2つのフレクシャ部141b、142bと、フレクシャ部141b、142bに連結されたフレクシャカップラ143bとを備えることができる。フレクシャ部141bは、軸線150bの周りの支持ベース120とフレクシャカップラ143bとの間の相対的な回転を容易にするために、支持ベース120に(例えば、図2の122において)結合することができる。支持ベース120とフレクシャカップラ143bとの間に結合されたフレクシャ部141bは、フレクシャデバイス140bの回転の第1段を形成することができる。フレクシャ部142bは、軸線150bの周りの中央カップラ130とフレクシャカップラ143bとの間の相対的な回転を容易にするために、中央カップラ130に(例えば、図2及び図5の132において)結合することができる。フレクシャカップラ143bと中央カップラ130との間に結合されたフレクシャ部142bは、軸線150bのまわりのフレクシャデバイス140bの回転の第2段を形成することができる。いくつかの実施形態では、それぞれのフレクシャ部141b、142bによって提供される第1段及び第2段の回転は、それぞれ、軸線150aの周りの約±8度の回転移動を提供することができる。軸線150bの周りの支持ベース120と中央カップラ130との間の相対的な回転運動は、フレクシャデバイス140bの回転の第1段及び第2段の相対的な回転運動の合計である。かくして、いくつかの実施形態では、2段の回転を有するフレクシャデバイス140bは、軸線150bの周りの約±16度の回転移動を提供することができる。
【0018】
単一軸のみの周りのフレクシャデバイスによって提供される2段階回転は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第8,556,533号に開示されている。本開示は、フレクシャカップラ143a、143bとそれぞれの支持ベース110、120との間の上述の構成における中央カップラ130を利用することによって、複数の軸線における2段の回転(より具体的には、複数の軸線の各々における2段の回転(例えば、直交軸線に沿って延びる2つのフレクシャデバイス140a及び140bをそれぞれ利用する合計4段の回転))を可能にする単一のフレクシャデバイスを提供する。
【0019】
図1に示す例では、多軸回転は、2つの単一軸2段フレクシャデバイス140a、140b(合計4段)を利用することによって達成される。一態様では、これらのフレクシャデバイス140a、140bは同一であって良い。図8には、代表的な2段フレクシャデバイス140が示されており、これは多軸フレクシャデバイス又は単軸フレクシャデバイスに含まれることができる。フレクシャデバイス140は、第1の複数のフレクシャデバイス101a~101dを備えることができ、これらは、フレクシャデバイス140を構成するためのモジュール式の「構成ブロック」とすることができる。代表的なフレクシャユニット101が図9A及び9Bに示されている。一般に、フレクシャユニット101は、カップラ本体160、フレクシャ本体161、及びフレクシャ本体161とカップラ本体160とを互いに連結する可撓性部材162を有することができる。
【0020】
図8に示すように、フレクシャユニット101a~101dは、軸線150に沿って(例えば、「積み重ね」に配置されて)機械的に互いに直列に連結することができる。以下にさらに詳細に説明するように、フレクシャユニット101a~101dは、フレクシャ部141、142(例えば、デバイス100のフレクシャ部141a~b、142a~b)及びフレクシャカップラ143(例えば、デバイス100のフレクシャカップラ143a~b)を形成し得る方法で結合することができる。かくして、フレクシャユニット101a~101dは、上述のように、軸線150の周りの2段回転を提供するように組み立てることができる。また、単一のフレクシャ部(例えば、フレクシャ部141)は、所与のフレクシャデバイスが単一又は複数段の回転のために構成されるかどうかにかかわらず、単独で、又は任意の適切なフレクシャピボット又はデバイスの任意の組み合わせで使用することができることも認識されるべきである。いくつかの実施形態では、フレクシャデバイス140は、第2の複数のフレクシャユニット101a'-d'を含むことができ、これは、フレクシャユニット101a-dの積み重ねと同一であって良い。例えば、フレクシャユニット101a'-d'は、フレクシャ部141'、142'(例えば、図2に示すデバイス100のフレクシャ部141a'-b'、142a'-b')及びフレクシャカップラ143'(例えば、図2に示すデバイス100のフレクシャカップラ143a'-b')を形成するために、機械的に互いに直列に連結され得る。かくして、フレクシャユニット101a'-d'は、上述のように、2段回転を提供するように組み立てることもできる。
【0021】
いくつかの実施形態では、フレクシャユニット101a'-d'は、ブリッジコネクタ170によってフレクシャユニット101a-dに結合され得る。ブリッジコネクタ170は、回転軸線(例えば、軸線150)に沿って、2つのフレクシャユニットを互いに分離又は離間するために、2つのフレクシャユニット(例えば、フレクシャユニット101d、101d'のカップラ本体)の間に結合され得る。一態様では、ブリッジコネクタ170は、凹部171を含むことができ、これは、フレクシャデバイス140が多軸フレクシャデバイスにおいて使用される場合に、2つのブリッジコネクタの同時ネスト(co-nesting)を可能にすることができる。例えば、図2及び図6に示すように、各フレクシャデバイス140a、140bのブリッジコネクタ170a、170bは、ブリッジコネクタ170b、170aの一部をそれぞれの軸線150a、150bから離れて位置するように構成された相補的凹部を有することができる。これにより、ブリッジコネクタ170b、170aと干渉することなく、ブリッジコネクタ170a、170bをそれぞれの軸線150a、150bのまわりで回転させることを容易にする。かくして、1つの態様において、図2及び図6に示すように、ブリッジコネクタ170a、170bは、軸線150a、150bが交差するように、フレクシャデバイス140a、140bの位置決めを可能にすることができる。
【0022】
図9A及び図9Bを参照すると、フレクシャユニット101の可撓性部材162(例えば、単一の可撓性部材)は、図8の軸線150のような軸線の周りで、フレクシャ本体161とカップラ本体160との間の相対的な回転運動を容易化するように動作可能であり得る。可撓性部材162は、図示の実施形態のようなブレード構成のような任意の適切な構成を有することができる。可撓性部材162は、本明細書に開示される原理が、広範囲のサイズ及び用途に適合するようにスケーラブルである可撓性ブレードユニットを提供するので、任意の適切な寸法を有することができる。
【0023】
フレクシャユニット101は、長方形、円形、楕円形等の任意の適切な外形又は一般プロファイルを有することができる。図9A及び9Bに示されるフレクシャユニット101の一般的な外形又はプロファイルは円形である。所与のフレクシャユニット101の一般的な外形又はプロファイルは、支持ベース110、120、及び/又は中央カップラ130の形状又は設計、空間制約などによって支配されることがある。いくつかの実施態様において、フレクシャ本体161は、カップラ本体160を少なくとも部分的に包囲することができる。図9A及び9Bに示す実施形態では、フレクシャ本体161は、カップラ本体160の周囲を包囲する(例えば、完全に包囲する)。この場合、フレクシャユニット101の形状又はプロファイルは、この実施形態では円形の外形を有するフレクシャ本体161によって、少なくとも部分的に画定することができる。フレクシャ本体161は、任意の適切な外形を有することができることが認識されるべきである。カップラ本体160もまた、任意の適切な外形を有することができる。いくつかの実施形態では、図9A及び9Bのように、カップラ本体160は、フレクシャ本体161の外形に対応する場合もしない場合もあるが、同様の円形の外形を有することができる。一態様では、可撓性部材162は、カップラ本体160のスロット167を通って延在することができる。この構成は、カップラ本体160の質量を回転軸線(例えば、図8の軸線150)の周りに効果的に中心合わせすることができ、これにより、任意の方向において実質的に同じで良好な軸線外れ剛性と、好ましい振動応答とを提供することができる。
【0024】
フレクシャユニット101は、任意の適切なプロセス又はプロセスの組み合わせを利用して任意の適切な方法で形成することができる。例えば、フレクシャユニット101は、機械加工、押出、鋳造、鍛造等によって形成することができる。機械加工プロセスの例としては、放電加工(EDM)、ウォータージェット切断、フライス削り(milling)、ブローチ削り(broaching)などが挙げられる。製造工程は、設計目的、許容要件、コスト等に基づいて選択することができる。ワイヤEDMプロセスは、厳しい公差に適合し、かつ、動作中に高度に応力が加わる可能性のあるフレクシャ表面を正確に制御することができる精密機械加工を提供することができる。フレクシャユニット101は、チタン又はスチールのような任意の適切な材料で作ることができる。
【0025】
一態様では、可撓性部材162は、カップラ本体160に直接結合され、フレクシャ本体161に直接結合されて、フレクシャユニット101を形成することができる。いくつかの実施態様において、フレクシャユニット101は、モノリシック又はワンピース構造とすることができる。例えば、フレクシャ本体161、カップラ本体160及びフレクシャユニット101の可撓性部材162は、単一のワークピース又は単一の材料アイテムから形成されるワンピース構造又はモノリシック構造を形成することができる。
【0026】
モジュール構成要素として、2つ以上のフレクシャユニット101を組み合わせて、フレクシャ部(例えば、図8のフレクシャ部141、141'、142、142')を形成することができる。代表的には、フレクシャユニット101は、可撓性部材162が交差構成(例えば、交差ブレード(cross blade)のフレクシャを形成するため)に配置されるように、配置される。例えば、可撓性部材162が、交差ブレード構成(図2のフレクシャユニットの配向を参照)を達成するために、互いに対して実質的に90度(すなわち、垂直又は直交)に方向付け又は配置されるように、2つ以上のフレクシャユニット101を回転又は「クロック」することができる。一態様では、フレクシャ部141a-b、141a-b'、142a-b、142a-b'のフレクシャユニット101は、実質的に同一であり得る。
【0027】
一態様では、複数のフレクシャユニット101の複数のカップラ本体160は、フレクシャカップラ(例えば、図8のフレクシャカップラ143、143')を形成するために一緒に結合され得る。フレクシャユニット101のカップラ本体160は、任意の適切な方法で互いに結合することができる。例えば、図2に示すように、フレクシャユニットは、締結具(fastener)180(例えば、ボルト、ネジ、ピン等)、ろう着材料(例えば、隣接するカップラ本体160間のろう着箔181)、接着材料、溶接材料等を用いて、互いに結合され得る。従って、カップラ本体160は、任意のタイプの締結具を受け入れるように構成された開口163を有することができる。
【0028】
図9A及び図9Bを参照すると、カップラ本体160は、隣接する構成要素(例えば、隣接するフレクシャユニット101のカップラ本体160)とインターフェースするために、カップラ本体160の両側にインターフェース表面164を含むことができる。代表的には、インターフェース表面164は平面である。一態様では、フレクシャユニット101の可撓性部材162は、隣接する構成要素(例えば、別のフレクシャユニット101、及び/又は、図8のブリッジコネクタ170など、フレクシャユニット101が結合され得る別の構造体又は構成要素)に接触することが防止されて、動作中の可撓性部材162の滑らかな制限の無い移動を容易にすることができる。例えば、可撓性部材162は、可撓性部材162が別のフレクシャユニット101などの隣接する構成要素と接触することを防止するために、カップラ本体160のインターフェース表面164に対して凹んでいる。言い換えれば、可撓性部材162の外方表面は、カップラ本体160のインターフェース表面164と同一平面状でもなく、同一平面上でもなく、少なくとも部分的にインターフェース表面164によって画定されるフレクシャユニット101の外部空間エンベロープ内に収容されてもよい。フレクシャ本体161は、以下により詳細に説明するように、支持ベース110、120及び中央カップラ130などの構成要素とインターフェースするように構成されたインターフェース表面165を含むことができる。
【0029】
2段回転を容易にするために、図8に示すように、フレクシャユニット101a~101dのカップラ本体160は、互いに固定的に結合されて、フレクシャカップラ(例えば、フレクシャカップラ143a~143b)として機能する剛性本体を形成することができる。また、フレクシャユニット101a'~d'のカップラ本体160は、互いに固定的に結合されて、フレクシャカップラ(例えば、フレクシャカップラ143a'~b')として機能する剛性本体を形成することもできる。必須ではないが、図示された実施形態では、フレクシャユニット101a~dのカップラ本体160とフレクシャユニット101a'~d'のカップラ本体160とは、ブリッジコネクタ170によって互いに固定的に結合され、それにより、フレクシャユニット101a~dのカップラ本体160と、101a'~d'のカップラ本体160とブリッジコネクタ170とは、フレクシャカップラとして機能する剛性本体を形成する。ブリッジコネクタ170は、締結具180及びろう着材料(例えば、ろう着箔181)を利用するなど、任意の適切な方法でカップラ本体160に結合することができる。必須ではないが、フレクシャデバイス140内のブリッジコネクタ170が、フレクシャユニット101a~dをフレクシャユニット101a'~d'に接続して、これらのフレクシャユニットのカップラ本体160が、軸線外れ剛性を増大させるための単一の剛性本体フレクシャカップラとして作用する。
【0030】
さらに、2段階の回転を容易にするために、フレクシャユニット101a~101bのフレクシャ本体161は、互いに固定的に結合されて、フレクシャ部141を形成することができ、フレクシャユニット101c~101dのフレクシャ本体161は、互いに固定的に結合されて、フレクシャ部142を形成することができる。同様に、フレクシャユニット101a'~b'のフレクシャ本体161は、互いに固定的に結合され、かくして、フレクシャ部141'を形成することができ、フレクシャユニット101c'~d'のフレクシャ本体161は、互いに固定的に結合され、かくして、フレクシャ部142'を形成することができる。故に、フレクシャユニット101a~b、101a'~b'のフレクシャ本体161は、フレクシャユニット101a~d、101a'~d'のカップラ本体160に対して軸線150の周りで回転可能であり、フレクシャユニット101c~d、101c'~d'のフレクシャ本体161は、フレクシャユニット101a~d、101a'~d'のカップラ本体160対して軸線150の周りで回転可能であり、それによりフレクシャユニット101c~d、101c'~d'のフレクシャ本体161に対する、フレクシャユニット101a~b、101a'~b'のフレクシャ本体161の軸線150の周りの回転を容易にし、2段階の回転を達成することができる。
【0031】
図1~6に全体的に又は部分的に示される多軸フレクシャデバイス100に関して、フレクシャ部141a、141a'を形成するフレクシャユニット101a~101b、101a'~101b'のフレクシャ本体161は、支持ベース110に固定的に結合されることができ(例えば、図2及び図3に示されるように、それぞれのインターフェース表面112、112'にあるフレクシャ本体インターフェース表面165を介して)、また、フレクシャ部142a、142a'を形成するフレクシャユニット101c~d、1~1c'~d'のフレクシャ本体161は、中央カップラ130に固定的に結合されることができる(例えば、図2及び図5に示されるように、それぞれのインターフェース表面131、131'にあるフレクシャ本体インターフェース表面165を介して)。同様に、フレクシャ部141b、141b'を形成するフレクシャユニット101a~b、101a'~b'のフレクシャ本体161は、支持ベース120に固定的に結合されることができ(例えば、図2に示すように、インターフェース表面122、122'におけるフレクシャ本体インターフェース表面165を介して)、フレクシャ部142b、142b'を形成するフレクシャユニット101c~d、101c'~d'のフレクシャ本体161は、中央カップラ130に固定的に結合され得る(例えば、図2及び図5に示すように、インターフェース表面132、132'におけるフレクシャ本体インターフェース表面165を介して)。かくして、多軸フレクシャデバイス100の図示された実施形態では、フレクシャデバイス140a、140bの「外側」フレクシャ部141a、141a'、141b、141b'は、それぞれの支持ベース110、120に接続することができ、「内側」フレクシャ部142a、142a'、142b、142b'は、中央カップラ130に接続することができる。
【0032】
フレクシャユニット101は、締結具(例えば、ボルト、ネジ、ピンなど)、ろう着材料、接着材料、溶接材料などを用いて、任意の適切な方法で、支持ベース110、120及び中央カップラ130に結合することができる。図9Aに示す一実施形態では、フレクシャユニット101は、フレクシャ本体161上の凹部表面166(例えば、2つのインターフェース表面165の間に凹みを有する)を含むことができる。凹部表面166は、少なくとも部分的に(例えば、流路を形成することによって)フレクシャ本体161の周りの液体結合材料(例えば、ろう着材料、接着剤など)の流れを促進するように構成されることができ、結合材料は、硬化されて、フレクシャユニット101を別の構成要素に結合することができる。図1図3に示すように、支持ベース110、120及び中央カップラ130はアクセスポート又は開口部151を含むことができ、アクセスポート又は開口部151は支持ベース110、120及び中央カップラ130の種々の結合インターフェース表面112、112'、122、122'、131、131'、132、132'へと延び、いったんフレクシャデバイス100の構成要素が組み立てられると、液体結合材料を受け取る。この時点で、液体結合材料をアクセスポート151へと分配することができ、フレクシャユニット101の凹部表面166は、フレクシャユニット101のフレクシャ本体161の周囲の液体結合材料の流れを促進し、フレクシャユニット101を支持ベース110、120及び中央カップラ130のインターフェース表面112、112、122'、131、131'、132、132'に結合することができる。いくつかの実施形態では、結合材料は、最初に、固体状態でアクセス開口部151に提供されてから、アクセス開口部151を通りフレクシャ本体161の周りを流れるように溶融しても良い。
【0033】
図9A及び図9Bに示すフレクシャユニット101は、カップラ本体160を少なくとも部分的に取り囲むフレクシャ本体161を有するが、フレクシャユニット101は、任意の適切なフレクシャ本体及びカップラ本体構成を有することができることが認識されるべきである。図10A及び図10Bは、本開示の別の例に従ったフレクシャユニット201を示す。図9A及び9Bのフレクシャユニット101と同様に、フレクシャユニット201は、カップラ本体260と、フレクシャ本体261と、フレクシャ本体261及びカップラ本体260を互いに連結する可撓性部材262とを含むことができる。一態様では、複数のフレクシャユニット201は、交差ブレード構成を有するフレクシャ部を達成するために、背中合わせに積み重ねることができる。さらに、複数のフレクシャユニット201が、フレクシャユニット101に関して上述した方法で連結され、単一の軸線又は複数の軸線の周りの2段階の回転を提供することができる。例えば、図8のフレクシャ部141、142と同様に、2対(2ペア)のフレクシャユニット201が、単一の軸線の周りの2つの構成要素の2段階の回転を提供するように構成することができる。この場合、各ペアのフレクシャユニット201は、図8のフレクシャ部141、142と同様のフレクシャ部を形成するために、クロスブレード形状に配置され得る。全ての4つのフレクシャユニット201のカップラ本体260は、上述のように、フレクシャカップラを形成するために、互いに固定的に結合され得る。フレクシャユニット201の一方のペアのフレクシャ本体261は、1つの外部構成要素に固定的に結合することができ、フレクシャユニット201の他方のペアのフレクシャ本体261は、他方の外部構成要素に固定的に結合することができ、2つの外部構成要素の相対的な回転を提供する。故に、フレクシャユニット201は、フレクシャユニット101に関して上述したのと同様の方法で利用でき、複数段の回転を提供するように構成されてもよいし、構成されていなくてもよい、単一軸又は多軸のフレクシャデバイスを構成することができる。図10A及び10Bに示されるフレクシャユニット201の実施形態では、フレクシャ本体261及びカップラ本体260が識別されているけれども、可撓性部材262の両端に連結されたいずれの本体も、本明細書に記載されるように、フレクシャ本体又はカップラ本体として機能し得ることが認識されるべきである。
【0034】
図面に例示されている実施例を参照し、本明細書では、これを記述するために特定の言語を使用した。それらによって、本技術の範囲の制限が意図されていないことが理解されるであろう。本明細書に示された特徴の変更及びさらなる修正、並びに本明細書に示された実施例の追加の適用は、本明細書の範囲内であると考えられる。
【0035】
本開示は、本明細書に記載されるいくつかの実施形態又は特徴が、本明細書に記載される他の実施形態又は特徴と組み合わせることができることを明示的に開示するものではないが、本開示は、当業者によって実施可能であると思われる任意のそのような組み合わせを記載するものとして読まれるべきである。本開示における「又は」の使用は、本明細書に別段の記載がない限り、非排他的な「又は」すなわち「及び/又は」を意味するものと理解されるべきである。
【0036】
さらに、記載された特徴、構造又は特徴は、1つ以上の例において、任意の適切な方法で組み合わせることができる。先の説明では、記載された技術の例を完全に理解するための様々な構成の例のような、多数の特定の詳細が提供された。しかしながら、当該技術は、特定の細部の1つ以上を伴わずに、又は他の方法、構成要素、装置などと共に実施することができることが認識されるであろう。他の例では、周知の構造又は動作は、技術の側面を不明瞭にすることを避けるために、詳細には示されないか、又は説明されない。
【0037】
主題事項は、構造的特徴及び/又は動作に特有の言語で説明されているが、添付の請求項において定義された主題事項は、必ずしも上述の特定の特徴及び動作に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、上述の特定の特徴及び作用は、請求項を実施する例示的な形態として開示される。記載された技術の精神及び範囲から逸脱することなく、多数の修正及び代替の構成を考案することができる。
【0038】
[実施態様項1]
フレクシャユニット(101,Fig.9)であって:
カップラ本体(160);
前記カップラ本体を少なくとも部分的に取り囲むフレクシャ本体(161);及び
前記フレクシャ本体と前記カップラ本体とを互いに結合する単一の可撓性部材(162)であり、軸線の周りの前記フレクシャ本体と前記カップラ本体との間の相対的な回転運動を容易にするように動作可能である、可撓性部材;
を含むフレクシャユニット。
[実施態様項2]
前記フレクシャ本体は前記カップラ本体の周囲を取り囲む、実施態様項1に記載のフレクシャユニット。
[実施態様項3]
前記可撓性部材は前記カップラ本体のスロット(167)を通って延在する、実施態様項1に記載のフレクシャユニット。
[実施態様項4]
前記カップラ本体は隣接構成要素とインターフェースするためのインターフェース表面(164)を備える、実施態様項1に記載のフレクシャユニット。
[実施態様項5]
前記可撓性部材は、当該可撓性部材が前記隣接構成要素と接触することを防止するために、前記インターフェース表面に対して凹んでいる、実施態様項4に記載のフレクシャユニット。
[実施態様項6]
前記フレクシャ本体は円形の外形を有する、実施態様項1に記載のフレクシャユニット。
[実施態様項7]
前記カップラ本体は円形の外形を有する、実施態様項1に記載のフレクシャユニット。
[実施態様項8]
前記可撓性部材はブレード構成を有する、実施態様項1に記載のフレクシャユニット。
[実施態様項9]
前記フレクシャ本体、前記カップラ本体及び前記可撓性部材は、モノリシック構造を形成する、実施態様項1に記載のフレクシャユニット。
[実施態様項10]
軸線(150)に沿って互いに直列に連結された第1の複数のフレクシャユニット(101c,101d)と第2の複数のフレクシャユニット(101a,101b)とを有するフレクシャデバイス(140,Figs.2,8,9)であって:
各前記フレクシャユニット(101c,101d,101a,101b)は、
カップラ本体(160);
フレクシャ本体(161);及び
前記フレクシャ本体と前記カップラ本体とを互いに結合する単一の可撓性部材(162)であり、前記フレクシャ本体と前記カップラ本体との間の軸線の周りの相対的な回転運動を容易にするように動作可能である、可撓性部材;
を含み、
前記第1の複数のフレクシャユニット(101c,101d)の前記カップラ本体(160)及び前記第2の複数のフレクシャユニット(101a,101b)の前記カップラ本体(160)は互いに固定的に結合され、前記第1の複数のフレクシャユニット(101c,101d)の複数の前記フレクシャ本体(161)は互いに固定的に結合され、前記第2の複数のフレクシャユニット(101a,101b)の複数の前記フレクシャ本体は互いに固定的に結合され、
それにより、前記第1の複数のフレクシャユニット(101c,101d)の前記フレクシャ本体(161)は、前記第1及び第2の複数のフレクシャユニットの前記カップラ本体(160)に対して前記軸線の周りで回転可能であり、前記第2の複数のフレクシャユニット(101a,101b)の前記フレクシャ本体(161)は、前記第1及び第2の複数のフレクシャユニットの前記カップラ本体(160)に対して前記軸線の周りで回転可能であり、前記第2の複数のフレクシャユニットの前記フレクシャ本体に対する、前記第1の複数のフレクシャユニットの前記フレクシャ本体の前記軸線の周りの回転を容易にする、
フレクシャデバイス。
[実施態様項11]
別の第1の複数のフレクシャユニット(101c’,101d’)をさらに備え、前記第1の複数のフレクシャユニット(101c,101d)を前記別の第1の複数のフレクシャユニット (101c’,101d’)から前記軸線に沿って分離するために、前記カップラ本体(160)のうちの2つの間に結合されたブリッジコネクタ(170)をさらに備える、実施態様項10に記載のフレクシャデバイス。
[実施態様項12]
前記第1の複数のフレクシャユニットのうちの少なくとも2つ(101c,101d)の前記可撓性部材(162)は実質的に互いに垂直に配置され、かつ前記第2の複数のフレクシャユニットのうちの少なくとも2つ(101a,101b)の前記可撓性部材(162)は実質的に互いに垂直に配置される、実施態様項10に記載のフレクシャデバイス。
[実施態様項13]
前記フレクシャ本体は前記カップラ本体を少なくとも部分的に取り囲む、実施態様項10に記載のフレクシャデバイス。
[実施態様項14]
多軸フレクシャデバイス(100, Figs.2,4)であって:
第1支持ベース(110);
第2支持ベース(120);
中央カップラ(130);
第1軸線(150a)の周りの回転を容易にするように、前記第1支持ベース及び前記中央カップラを互いに回転可能に結合する第1フレクシャデバイス(140a);
第2軸線(150b)の周りの回転を容易にするように、前記第2支持ベース及び前記中央カップラを互いに回転可能に結合する第2フレクシャデバイス(140b);
を含み、
前記各フレクシャデバイス(140a,140b)が、第1フレクシャ部(141a,141b)と、第2フレクシャ部(142a,142b)と、前記第1フレクシャ部及び前記第2フレクシャ部に結合されたフレクシャカップラ(143a,143b)とを備え、
前記第1フレクシャデバイス(140a)の前記第1フレクシャ部(141a)は、前記第1支持ベース(110)と前記第1フレクシャデバイス(140a)の前記フレクシャカップラ(143a)との間の前記第1軸線(150a)の周りの相対的回転を容易にするように、前記第1支持ベース(110)に結合され、前記第1フレクシャデバイス(140a)の前記第2フレクシャ部(142a)は、前記中央カップラ(130)と前記第1フレクシャデバイス(140a)の前記フレクシャカップラ(143a)との間の前記第1軸線(150a)の周りの相対的回転を容易にするように、前記中央カップラ(130)に結合され、かつ、
前記第2フレクシャデバイス(140b)の前記第1フレクシャ部(141b)は、前記第2支持ベース(120)と前記第1フレクシャデバイス(140b)の前記フレクシャカップラ(143b)との間の前記第2軸線(150b)の周りの相対的回転を容易にするように、前記第2支持ベース(120)に結合され、前記第2フレクシャデバイス(140b)の前記第2フレクシャ部(142b)は、前記中央カップラ(130)と前記第2フレクシャデバイス(140b)の前記フレクシャカップラ(143b)との間の前記第2軸線(150b)の周りの相対的回転を容易にするように、前記中央カップラ(130)に結合される、
多軸フレクシャデバイス。
[実施態様項15]
前記第1フレクシャ部(141a,b)及び前記第2フレクシャ部(142a,b)はそれぞれ、可撓性部材(162)を備える、実施態様項14に記載の多軸フレクシャデバイス。0
[実施態様項16]
前記各フレクシャデバイス(140a,b)は、複数のフレクシャ本体(161)を備え、
前記フレクシャカップラ(143a,b)は、複数のカップラ本体(160)を備え、
前記各可撓性部材(162)は、前記複数のカップラ本体のうちの1つに直接結合され、かつ前記複数のフレクシャ本体のうちの1つに直接結合されて、フレクシャユニット(101)を形成し、
前記第1フレクシャデバイス(140a)の前記フレクシャ本体(161)は、前記第1フレクシャデバイス(140a)を前記第1支持ベース(110)及び前記中央カップラ(130)に結合し、
前記第2フレクシャデバイス(140b)の前記フレクシャ本体(161)は、前記第2フレクシャデバイス(140b)を前記第2支持ベース(120)及び前記中央カップラ(130)に結合する、
実施態様項15に記載の多軸フレクシャデバイス。
[実施態様項17]
前記可撓性部材は、実質的に互いに垂直に配置される第1可撓性部材及び第2可撓性部材を備える、実施態様項15に記載の多軸フレクシャデバイス。
[実施態様項18]
前記第1軸線と前記第2軸線が交差する、実施態様項14に記載の多軸フレクシャデバイス。
[実施態様項19]
前記第1軸線及び前記第2軸線が垂直である、実施態様項14に記載の多軸フレクシャデバイス。
[実施態様項20]
前記第1フレクシャ部(141a,141b)は複数の第1フレクシャ部(101c,d,c’,d’)を含み、前記第2フレクシャ部(142a,142b)は複数の第1フレクシャ部(101c,d,c’,d’)を含み、前記フレクシャカップラは複数のフレクシャカップラを含む、実施態様項14に記載の多軸フレクシャデバイス。
[実施態様項21]
前記第1フレクシャデバイス(140a)の前記複数のフレクシャカップラ(143a)のうちの2つの間に結合され、前記第1フレクシャデバイス(140a)の前記複数の第1フレクシャ部(101c,d,c’,d’)のうちの少なくとも2つ(101d,101d’)を前記第1軸線(150a)に沿って互いに分離する第1ブリッジコネクタ(170a);及び
前記第2フレクシャデバイス(140b)の前記複数のフレクシャカップラ(143b)のうちの2つの間に結合され、前記第2フレクシャデバイス(140b)の前記複数の第1フレクシャ部(101c,d,c’,d’)のうちの少なくとも2つ(101d,101d’)を前記第2軸線(150b)に沿って互いに分離する第2ブリッジコネクタ(170b);
をさらに含む実施態様項20に記載の多軸フレクシャデバイス。
[実施態様項22]
前記前記第1ブリッジコネクタ及び前記第2ブリッジコネクタはそれぞれ、当該第1ブリッジコネクタ及び当該第2ブリッジコネクタがそれぞれ前記第1軸線及び前記第2軸線の周りで干渉なく回転することを容易にするように構成された相補的凹部を備える、実施態様項21に記載の多軸フレクシャデバイス。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B