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特許7147069アプリケータロール、タイヤ部品サービサー、およびストリップをドラムに貼付するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】アプリケータロール、タイヤ部品サービサー、およびストリップをドラムに貼付するための方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/26 20060101AFI20220927BHJP
   B29D 30/30 20060101ALI20220927BHJP
   B65H 20/12 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
B29D30/26
B29D30/30
B65H20/12
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2021539054
(86)(22)【出願日】2021-02-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 NL2021050097
(87)【国際公開番号】W WO2021167448
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-08-31
(31)【優先権主張番号】2024951
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】595090635
【氏名又は名称】ヴェーエムイー ホーランド ベー. ヴェー.
【氏名又は名称原語表記】VMI HOLLAND B. V.
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(74)【代理人】
【識別番号】100219933
【弁理士】
【氏名又は名称】元川 信輔
(72)【発明者】
【氏名】アントニー スロッツ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリック セオドア ポストゥムス
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特公昭53-024707(JP,B1)
【文献】米国特許第03533618(US,A)
【文献】国際公開第2012/072932(WO,A1)
【文献】西独国特許出願公開第02740609(DE,A)
【文献】特開2001-315219(JP,A)
【文献】特開2019-038144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/26
B29D 30/30
B65H 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラムにストリップを貼付するためのアプリケータロールであって、
前記アプリケータロールは、回転軸を中心に回転可能であると共に前記回転軸を中心に円周方向に延在する保持面を画定する外輪を備え、前記アプリケータロールは、前記ストリップを前記保持面に吸引して保持するために、前記保持面上に前記円周方向に配置された複数の吸引口を備え、前記アプリケータロールは、前記保持面上の前記ストリップの一部に追従するために、前記回転軸を中心に前記外輪の内側で回転可能な従動子を更に備え、前記従動子は、前記外輪に沿った保持円弧内で前記円周方向に延在すると共に真空源に接続可能なチャンバを画定し、前記従動子は、前記外輪とは独立して前記回転軸を中心に、前記チャンバが前記保持円弧内の前記複数の吸引口のうちの1つまたは複数の吸引口と空気連通して配置される前記外輪上の第1の保持位置まで回転可能であり、前記従動子は、前記外輪上の前記第1の保持位置に留まりながら、前記回転軸を中心に前記外輪と共に回転するように配置され、前記従動子は、前記外輪上の前記第1の保持位置に前記従動子を固定するための第1の固定要素を備える、
アプリケータロール。
【請求項2】
前記従動子は、第1の回転方向および前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に、前記外輪とは独立して前記回転軸を中心に回転可能である、
請求項1に記載のアプリケータロール。
【請求項3】
前記従動子は、前記第1の固定要素が前記外輪への前記従動子の固定を終了したときに、前記外輪とは独立して前記回転軸を中心に自由に回転可能である、
請求項1または2に記載のアプリケータロール。
【請求項4】
前記第1の固定要素は、前記外輪に当接する第1の固定位置と、前記外輪から離間した第1の後退位置との間で移動可能であり、前記外輪への前記従動子の固定は、前記第1の固定位置における前記第1の固定要素と前記外輪との間の摩擦によって達成される、
請求項1~3のいずれか一項に記載のアプリケータロール。
【請求項5】
前記従動子は、第2の固定位置で前記外輪に当接するように配置された第2の固定要素を備える、
請求項4に記載のアプリケータロール。
【請求項6】
前記第2の固定位置は、前記第1の固定位置と正反対である、
請求項5に記載のアプリケータロール。
【請求項7】
前記チャンバは、前記第1の固定要素内に形成される、
請求項1~6のいずれか一項に記載のアプリケータロール。
【請求項8】
前記チャンバは、前記第1の固定要素内に形成され
前記第1の固定位置において、前記第1の固定要素は、前記保持円弧の外側にある前記複数の吸引口のうちのいずれか1つの前記吸引口と連通しないように前記チャンバを密封し、前記第1の後退位置において、前記チャンバは、前記保持円弧の外側にある前記複数の吸引口のうちの前記吸引口と自由に連通する、
請求項4に記載のアプリケータロール。
【請求項9】
前記第1の固定要素は、シリンダと、前記シリンダ内で前記第1の固定位置と前記第1の後退位置との間で移動可能なピストンとを備え、前記ピストンは、前記第1の固定位置で前記外輪に接触するための制動面を備える、
請求項4に記載のアプリケータロール。
【請求項10】
前記アプリケータロールは、前記外輪に接続された側壁を備え、前記第1の固定要素は、前記側壁を介して前記外輪上の前記第1の保持位置に前記従動子を固定するように配置される、
請求項1~9のいずれか一項に記載のアプリケータロール。
【請求項11】
前記第1の固定要素は、前記側壁と当接する第1の固定位置と、前記回転軸に平行な軸方向に前記側壁から離間した第1の後退位置との間で移動可能であり、前記外輪への前記従動子の固定は、前記第1の固定位置における前記第1の固定要素と前記側壁との間の摩擦によって達成される、
請求項10に記載のアプリケータロール。
【請求項12】
前記従動子は、開始角度位置と、前記回転軸を中心に前記開始角度位置に対してオフセットされた終了角度位置とを有し、前記従動子は、前記開始角度位置から前記終了角度位置まで前記外輪と共に回転するように配置される、
請求項1~11のいずれか一項に記載のアプリケータロール。
【請求項13】
前記終了角度位置は、前記開始角度位置からのオフセットが、前記回転軸を中心に少なくとも30度である、
請求項12に記載のアプリケータロール。
【請求項14】
前記終了角度位置は、前記開始角度位置からのオフセットが、180度未満である、
請求項12または13に記載のアプリケータロール。
【請求項15】
前記従動子は、前記開始角度位置から前記終了角度位置まで前記外輪と一緒に回転した後、前記外輪とは独立して前記開始角度位置に戻るように配置されている、
請求項12~14のいずれか一項に記載のアプリケータロール。
【請求項16】
前記従動子は、前記開始角度位置から前記終了角度位置まで第1の回転方向に回転するように配置され、前記アプリケータロールは、前記従動子を前記開始角度位置に戻るように前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に付勢する付勢部材を備える、
請求項15に記載のアプリケータロール。
【請求項17】
前記アプリケータロールは、前記従動子が前記開始角度位置を超えて前記第2の回転方向へ回転しないようにするためのストッパ要素を備える、
請求項16に記載のアプリケータロール。
【請求項18】
前記従動子は、前記チャンバが垂直に上方を向いているゼロ位置を有しており、前記開始角度位置は、前記ゼロ位置からのオフセットが3度~20度である、
請求項12~17のいずれか一項に記載のアプリケータロール。
【請求項19】
前記外輪は、1回転または複数回転の間、前記従動子とは独立して前記回転軸を中心に回転可能であり、前記従動子は、前記外輪が前記従動子に対して前記回転軸を中心に少なくとも1回転する間、前記外輪上の前記第1の保持位置に対してオフセットされた前記外輪上の第2の保持位置まで前記回転軸を中心に回転可能である、
請求項1~18のいずれか一項に記載のアプリケータロール。
【請求項20】
前記保持円弧は、180度未満の円弧長を有する、
請求項1~19のいずれか一項に記載のアプリケータロール。
【請求項21】
前記保持円弧は、前記複数の吸引口のうちの5つ以下の吸引口が一度に前記チャンバと空気連通するように選択された円弧長を有する、
請求項1~20のいずれか一項に記載のアプリケータロール。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載のアプリケータロールを備える
タイヤ部品サービサー。
【請求項23】
前記タイヤ部品サービサーは、前記外輪の回転を駆動するために前記外輪に結合される第1の制御要素を備える、
請求項22に記載のタイヤ部品サービサー。
【請求項24】
前記従動子は、前記外輪上の前記第1の保持位置に前記従動子を固定するための第1の固定要素を備え、前記タイヤ部品サービサーは、前記第1の固定要素を制御するための第2の制御要素を備える、
請求項23に記載のタイヤ部品サービサー。
【請求項25】
前記タイヤ部品サービサーは真空源を備え、前記チャンバは前記真空源に接続可能である、
請求項22~24のいずれか一項に記載のタイヤ部品サービサー。
【請求項26】
前記チャンバに部分真空または圧縮空気を選択的に供給するように配置されたポンプユニットを更に備える、
請求項22~24のいずれか一項に記載のタイヤ部品サービサー。
【請求項27】
前記タイヤ部品サービサーは、前記ストリップを押出し方向に押し出すための押出機ダイを有する押出機を更に備え、前記アプリケータロールは、押出機方向に前記押出機ダイのすぐ下流に配置される、
請求項22~26のいずれか一項に記載のタイヤ部品サービサー。
【請求項28】
前記アプリケータロールの前記回転軸は、前記押出機ダイに対して固定位置にある、
請求項27に記載のタイヤ部品サービサー。
【請求項29】
前記従動子は、開始角度位置と、前記回転軸を中心に前記開始角度位置に対してオフセットされた終了角度位置とを有し、前記従動子は、前記開始角度位置から前記終了角度位置まで前記外輪と一緒に回転するように配置され、前記従動子は、前記開始角度位置から前記終了角度位置まで前記外輪と一緒に回転した後に前記外輪とは独立して前記開始角度位置に戻るように配置され、前記タイヤ部品サービサーは、制御可能なアクチュエータを備え、前記制御可能なアクチュエータは、前記開始角度位置から前記終了角度位置まで前記外輪と一緒に回転した後に前記外輪とは独立して前記終了角度位置から前記開始角度位置まで前記従動子を能動的に戻すために前記従動子の一部に直接に係合するように配置される、
請求項22に記載のタイヤ部品サービサー。
【請求項30】
請求項1~21のいずれか一項に記載のアプリケータロールを使用してドラムにストリップを貼付する方法であって、
前記方法は、前記外輪とは独立して前記従動子を前記回転軸を中心に前記外輪上の前記第1の保持位置まで回転させるステップを含む、
方法。
【請求項31】
前記方法は、第1の回転方向および前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に、前記外輪とは独立して前記従動子を前記回転軸を中心に回転させるステップを更に含む、
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記方法は、前記外輪上の前記第1の保持位置に留まりながら、前記従動子を前記外輪と共に前記回転軸を中心に回転させるステップを更に含む、
請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記従動子は、開始角度位置と、前記回転軸を中心に前記開始角度位置に対してオフセットされた終了角度位置とを有し、前記方法は、前記従動子を前記外輪と共に前記開始角度位置から前記終了角度位置まで回転させるステップを更に含む、
請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記方法は、前記開始角度位置から前記終了角度位置まで前記外輪と共に回転した後に、前記外輪とは独立して前記従動子を前記開始角度位置に戻すステップを更に含む、
請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記方法は、1回転または複数回転の間、前記外輪を前記従動子とは独立して前記回転軸を中心に回転させるステップと、前記外輪が前記従動子に対して前記回転軸を中心に少なくとも1回転する間、前記従動子を、前記外輪上の前記第1の保持位置に対してオフセットされた前記外輪上の第2の保持位置まで、前記回転軸を中心に回転させるステップとを更に含む、
請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記ストリップは、前記第1の保持位置で前記保持面上に供給される先端部を有し、前記方法は、前記先端部を前記第1の保持位置で前記保持面に保持するために、前記第1の保持位置で前記先端部を前記従動子で追従するステップを更に含む、
請求項30~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ストリップは、前記第2の保持位置で前記保持面上に供給される後端部を有し、前記方法は、前記第2の保持位置で前記後端部を前記保持面に保持するために、前記第2の保持位置で前記後端部を前記従動子で追従するステップを更に含む、
請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケータロール、タイヤ部品サービサー、およびストリップをドラムに貼付するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第2740609号明細書は、貼付される層のための中間運搬装置として作用するアプリケータを開示しており、周囲の吸盤は真空源に接続可能である。アプリケータは、ドラム本体と外側シェルに交互に取り付けられた2つの隔壁によって円周方向に密封された環状チャンバを囲む外側シェルを有する。環状チャンバは真空源に接続されている。層の先端部がアプリケータ上に移動すると、外側シェルが回転する間、ドラム本体は静止状態に保たれ、したがって、層が外側シェルの周りに供給されるのと同じ速度で2つの隔壁が徐々に離れていく。したがって、アプリケータの吸盤は、隔壁によって画定されるように、外側シェルの徐々に増加する円周領域に沿ってのみ、真空源に接続される。このようにして、アプリケータの覆われていない領域における圧力ロスを防止することができる。
【0003】
アプリケータは、層を成形ドラムに移送させる前に、貼付された層の全長を保持する。次いで、アプリケータを反対方向に回転させて、貼付された層をアプリケータから成形ドラム上に移送させ、それにより、移送される貼付された層に応じて真空源に接続された円周領域を徐々に減少させる。このように、アプリケータは、貼付された層の中間保存およびその後の移送を容易にしており、したがって、いわゆる移送ホイールまたは移送ドラムとして作用する。
【0004】
国際公開第2012/072932号明細書は、前記タイヤ部品を製造ドラムに移送させる前に、前記タイヤ部品を受け入れて一時的に支持するための移送装置を開示している。移送装置は、円筒状支持部材を備え、その円周の周りには複数の吸盤が配置されている。吸盤は、円筒状支持部材と一緒に回転すると共にハウジングを画定する中央リングに接続される。移送装置は、ハウジング内に固定されると共に、ハウジングを、真空源に接続された外側チャンバと圧縮空気が供給される内側チャンバとに分割するプラグを更に備える。円筒状支持部材がハウジング内のプラグに対して回転すると、吸盤は、回転のほとんどの部分で外側チャンバに接続され、内側チャンバには一時的にしか接続されず、この時点で真空との接続が一時的に中断されて、圧縮空気と置き換えられ、それぞれの吸盤に保持されていたタイヤ部品が分離される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
独国特許出願公開第2740609号明細書による既知のアプリケータの欠点は、貼付された層全体を先端部から後端部まで徐々に保持してから、貼付された層全体を後端部から先端部まで逆の順序で徐々に解放することしかできないことである。換言すれば、既知のアプリケータは、貼付された層の後端部がアプリケータに到達する前に、同じ貼付された層の先端部を解放して成形ドラムに移送すること、および/または同じ貼付された層の先端部および後端部を独立して保持および解放することができない。したがって、回転に依存した周方向の領域の増減は、連続的な貼付プロセス、即ち、貼付層をアプリケータ上に保存する代わりに、ストリップを直接的に成形ドラムに貼付するためにアプリケータが同じ方向に連続的に回転する貼付プロセスに対しては、機能しない。
【0006】
国際公開第2012/072932号明細書による移送装置の欠点は、能動的な周方向の領域を、タイヤ部品を保持するために実際に吸引が必要な場所に限定することができないことである。したがって、タイヤ部品の一部のみが移送装置の限られた周方向領域に沿って保持される連続的な貼付プロセスでは、移送装置の覆われていない領域がかなりの圧力ロスを引き起こすことになる。更にまた、ハウジングのチャンバの角度位置を、様々なプロセス条件、即ち、タイヤ部品(の一部)の角度ピックアップの変動および/または第2の保持位置の変動など、に適応するように調整できない。
【0007】
本発明の目的は、アプリケータロール、タイヤ部品サービサー、およびストリップをドラムに貼付するための方法を提供することであり、アプリケータロールは連続貼付プロセスで使用することができ、および/または連続貼付プロセスの柔軟性を改善することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、本発明は、ドラムにストリップを貼付するためのアプリケータロールを提供し、アプリケータロールは、回転軸を中心に回転可能であると共に回転軸を中心に円周方向に延在する保持面を画定する外輪を備え、アプリケータロールは、ストリップを保持面に吸引して保持するために、保持面上に円周方向に配置された複数の吸引口を備え、アプリケータロールは、保持面上のストリップの一部に追従するために、回転軸を中心に外輪の内側で回転可能な従動子を更に備え、従動子は、外輪に沿った保持円弧内で円周方向に延在すると共に真空源に接続可能なチャンバを画定し、従動子は、外輪とは独立して回転軸を中心に、チャンバが前記保持円弧内の複数の吸引口のうちの1つまたは複数の吸引口と空気連通して配置される外輪上の第1の保持位置まで回転可能である。
【0009】
従動子は、外輪上の第1の保持位置に留まりながら、回転軸を中心に外輪と共に回転するように配置されるのが好ましい。したがって、従動子は、ストリップの一部を第1の保持位置で外輪に保持し、次いで、外輪の回転によってドラムに向かって搬送されるストリップの保持部分に追従することができる。
【0010】
より好ましくは、従動子は、外輪上の第1の保持位置に従動子を固定するための第1の固定要素を備える。従動子を外輪に対して固定することにより、従動子が外輪と同じ方向および同じ速度で回転することを確実にすることができる。更にまた、従動子は、単に外輪にタグ付けできるため、それ自体の回転駆動手段を必要としない。
【0011】
従動子は、外輪とは独立して配置することができる。従動子は、例えば、外輪と同じ方向に、反対方向に、または外輪に対して異なる回転速度で回転することができる。したがって、外輪に沿った特定の位置に吸引または圧縮空気を供給するために、前記従動子によって画定されるチャンバを自由におよび/または独立して配置することができる。したがって、アプリケータロールは、特定のプロセス条件に容易に適合させることができ、即ち、前記外輪上のカスタマイズ可能な第1の保持位置でストリップの一部を保持面に保持し、外輪上のカスタマイズ可能な第2の保持位置でストリップの前記一部を解放し、および/または外輪の限られた時間または限られた回転、即ち、完全な1回転未満の間のみストリップの前記一部を保持することができる。保持円弧の円弧長は、ストリップの一部が保持される保持面の長さに限定してもよい。したがって、圧力ロスまたは真空ロスを防止することができる。
【0012】
結果として、本発明による従動子は、ストリップの一部をアプリケータロールに保持するときに、特に、外輪が連続的に同一方向に回転してストリップを成形ドラムに直接貼付する連続貼付プロセスの間、柔軟性を高めることができる。
【0013】
好ましくは、従動子は、第1の回転方向および前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に、外輪とは独立して回転軸を中心に回転可能である。したがって、従動子は、外輪と共に更に回転する必要なく、その初期位置に戻すことができる。これは、外輪が同じ方向に連続的に回転する連続貼付プロセスの場合に特に有用である。したがって、外輪とは独立して従動子を迅速に再配置することができる。
【0014】
更なる実施形態では、従動子は、第1の固定要素が外輪への従動子の固定を終了したときに、外輪とは独立して回転軸を中心に自由に回転可能である。したがって、固定が終了すると、従動子を外輪に対して再配置することができる。
【0015】
更なる実施形態では、第1の固定要素は、外輪に当接する第1の固定位置と、外輪から離間した第1の後退位置との間で移動可能であり、外輪への従動子の固定は、第1の固定位置における第1の固定要素と外輪との間の摩擦によって達成される。外輪を物理的に当接させることにより、従動子と外輪との摩擦固定を比較的容易に行うことができる。
【0016】
好ましくは、従動子は、第2の固定位置で外輪に当接するように配置された第2の固定要素を備える。したがって、従動子を外輪に対してより確実に固定することができる。更にまた、第2の固定要素は、第1の固定要素によって外輪に加えられる力を少なくとも相殺することができる。
【0017】
その特定の実施形態では、第2の固定位置は、第1の固定位置とは正反対である。したがって、従動子は、2つの正反対の方向に、即ち、それぞれの固定要素を広げて外輪と当接接触させることによって固定することができる。第1の固定要素が外輪に及ぼす力は、第2の固定要素が外輪に及ぼす力によって相殺することができる。
【0018】
更なる実施形態では、チャンバは第1の固定要素内に形成される。したがって、チャンバは、第1の固定位置と第1の後退位置との間での第1の固定要素の移動に従って、外輪の方向に移動したり、外輪から離れる方向に移動したりすることができる。
【0019】
その一実施形態では、第1の固定位置において、第1の固定要素は、保持円弧の外側にある複数の吸引口のうちのいずれか1つの吸引口と連通しないようにチャンバを密封し、第1の後退位置において、チャンバは、保持円弧の外側にある複数の吸引口のうちの吸引口と自由に連通する。したがって、チャンバは、従動子が外輪に固定されると、保持円弧内の吸引口のみと連通するように自動的に密封される。
【0020】
更なる実施形態では、第1の固定要素は、シリンダと、前記シリンダ内で第1の固定位置と第1の後退位置との間で移動可能なピストンとを備え、ピストンは、第1の固定位置で外輪に接触するための制動面を備える。ピストンは、駆動流体、即ち、空気圧または油圧によってシリンダ内で移動させることができる。
【0021】
更なる実施形態では、従動子は、回転軸に対して第1の固定要素を支持するための従動子本体を備える。従動子本体を、例えば、アプリケータロールが取り付けられたシャフト上に設置するように配置してもよい。
【0022】
別の実施形態では、従動子は、外輪の内側に同心円状に収められる内側ディスクの形状を有する従動子本体を備える。したがって、内側ディスクは、外輪を支持することができ、従動子に対する外輪の回転を案内するためのガイドとして機能することができる。
【0023】
別の実施形態では、従動子は、開始角度位置と、回転軸を中心に開始角度位置に対してオフセットされた終了角度位置とを有し、従動子は、開始角度位置から終了角度位置まで外輪と共に回転するように配置される。したがって、少なくとも開始角度位置と終了角度位置との間で、従動子を外輪と同じ速度および同じ方向に回転させることができる。したがって、ストリップの一部は、少なくとも前記外輪が開始角度位置から終了角度位置まで回転する間、外輪上の第1の保持位置に保持され得る。
【0024】
その一実施形態では、終了角度位置は、開始角度位置からのオフセットが、回転軸を中心として少なくとも30度、好ましくは少なくとも60度である。したがって、ストリップの一部は、明記されたように少なくとも外輪の最小角度変位の間、外輪上の第1の保持位置に保持され得る。
【0025】
その更なる実施形態では、終了角度位置は、開始角度位置からのオフセットが180度未満、好ましくは120度未満である。したがって、ストリップの一部は、明記されたように外輪の最大角度変位の間のみ、外輪上の第1の保持位置に保持され得る。
【0026】
その更なる実施形態では、従動子は、開始角度位置から終了角度位置まで外輪と共に回転した後、外輪とは独立して開始角度位置に戻るように配置される。従動子は、同じ速度または異なる速度で外輪と同じ方向に更に回転してもよいし、反対の回転方向に戻してもよい。開始角度位置と終了角度位置との間のオフセットが180度未満である場合、従動子を反対の回転方向に戻す方が速くなり得る。
【0027】
好ましくは、従動子は、開始角度位置から終了角度位置まで第1の回転方向に回転するように配置され、アプリケータロールは、従動子を第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に付勢して開始角度位置に戻るための付勢部材を備える。したがって、従動子と外輪との間の共回転が終了すると、従動子は、付勢部材によって開始角度位置に戻るように自動的に付勢される。例えば、第1の固定要素の実施形態では、従動子と外輪との固定を解除すると、従動子が開始角度位置に戻る。これは、受動的付勢部材以外に、従動子を開始角度位置に戻すための能動的な回転駆動手段が不要であるという利点を有する。
【0028】
より好ましくは、アプリケータロールは、従動子が開始角度位置を超えて第2の回転方向へ回転しないようにするためのストッパ要素を備える。ストッパ要素を、例えば、前記従動子が開始角度位置にあるときに付勢部材および/または従動子の回転に物理的に当接および/または阻止するように戦略的に配置してもよい。
【0029】
更なる実施形態では、従動子は、チャンバが垂直に上方を向いているゼロ位置を有しており、開始角度位置は、ゼロ位置からのオフセットが3度~20度である。この開始角度位置は、ストリップの最初の部分、即ち、先端部を押出機から直接、確実におよび/またはしっかりとピックアップするのに便利である可能性がある。特に、従動子は、押出機ダイに向かってわずかに傾斜していてもよく、前記押出機ダイに可能な限り近い1つまたは複数の吸引口と連通して、前記押出機ダイに可能な限り近い先端部を保持することができる。
【0030】
別の実施形態では、外輪は、1回転または複数回転する間、従動子とは独立して回転軸を中心に回転可能であり、従動子は、外輪が従動子に対して回転軸を中心に少なくとも1回転する間、外輪上の第1の保持位置に対してオフセットされた外輪上の第2の保持位置まで、回転軸を中心に回転可能である。第1の保持位置は、ストリップの先端部が最初に外輪上に支持されるか、または外輪に取り付けられる位置に対応することができる。したがって、従動子は、前記第1の保持位置において外輪にタグ付けされるとき、ストリップの先端部に追従することができる。次いで、先端部を解放し、ストリップの本体をドラムに向けて移行させるために外輪を更に数回転させる。ストリップは、最終的に押出機またはその近くで切断され、それによって後端部が形成される。第2の保持位置は、ストリップの前記後端部が最初に外輪上に支持されるか、または外輪に貼付される位置に対応してもよい。したがって、従動子は、前記第2の保持位置において外輪にタグ付けされるとき、ストリップの前記後端部に追従することができる。第2の保持位置は、回転軸を中心とする外輪の1つまたは複数の完全な1回転だけオフセットされている場合、外輪上の第1の保持位置と少なくとも部分的に重なってもよい。
【0031】
別の実施形態では、保持円弧は、180度未満、好ましくは90度未満、より好ましくは45度未満の円弧長を有する。したがって、外輪の円周に沿ったチャンバの長さは、貼付プロセス中にストリップによって実際に覆われる領域に限定することができる。これは、ストリップが外輪の外周のごくわずかな部分に沿ってのみ支持される連続貼付プロセスにおいて特に有用である。したがって、プロセス中にストリップによって覆われていないチャンバと吸引口との間の空気連通を防止することによって、前記覆われていない吸引口を通る圧力ロスまたは真空ロスを防止することができる。
【0032】
別の実施形態では、保持円弧は、複数の吸引口のうちの5つ以下の吸引口が、好ましくは複数の吸引口のうちの3つ以下の吸引口が、より好ましくは複数の吸引口のうちの2つ以下の吸引口が一度にチャンバと空気連通するように選択された円弧長を有する。したがって、チャンバによって「活性化」される、即ち、前記チャンバと空気連通する吸引口の数は、吸引口の総数と比較して非常に限定される。ストリップの一部、即ち、その先端部または後端部を、非常に正確に保持することができる。
【0033】
第2の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様によるアプリケータロールを備えるタイヤ部品サービサーを提供する。
【0034】
タイヤ部品サービサーは、前述の実施形態で説明したように、すべてまたは選択されたフィーチャを有するアプリケータロールを含んでもよい。したがって、タイヤ部品サービサーは、同じまたは同様の技術的利点を有する。
【0035】
好ましくは、タイヤ部品サービサーは、前記外輪の回転を駆動するために前記外輪に結合された第1の制御要素を備える。したがって、第1の制御要素は、外輪の回転を能動的に制御および/または駆動することができる。
【0036】
特定の一実施形態では、従動子は、外輪上の第1の保持位置に従動子を固定するための第1の固定要素を備え、タイヤ部品サービサーは、第1の固定要素を制御するための第2の制御要素を備える。前述したように、第1の固定要素は、従動子は外輪にタグ付けされることを可能にし、それ自体の能動的な回転駆動手段を必要としない。
【0037】
特許請求されていない第3の態様によれば、本発明は、ドラムにストリップを貼付するためのアプリケータロールを備えるタイヤ部品サービサーを提供し、アプリケータロールは、回転軸を中心に回転可能であると共に回転軸を中心に円周方向に延在する保持面を画定する外輪を備え、アプリケータロールは、ストリップを保持面に吸引して保持するために、保持面上に円周方向に配置された複数の吸引口を備え、アプリケータロールは、保持面上のストリップの一部に追従するために、回転軸を中心に外輪の内側で回転可能な従動子を更に備え、従動子は、外輪に沿った保持円弧内で円周方向に延在すると共に真空源に接続可能なチャンバを画定し、従動子は、外輪とは独立して回転軸を中心に、チャンバが前記保持円弧内の複数の吸引口のうちの1つまたは複数の吸引口と空気連通して配置される外輪上の第1の保持位置まで回転可能であり、タイヤ部品サービサーは、前記外輪の回転を駆動するために前記外輪に結合された第1の制御要素を備え、タイヤ部品サービサーは、従動子の回転を駆動するために従動子に結合された第2の制御要素を備える。この実施形態では、従動子および外輪は、別個の制御要素、即ち、2つの回転駆動部によって個別に駆動される。これは、従動子の角度位置を外輪とは独立して能動的に制御できるという利点を有する。外輪と共に従動子を回転させる間、2つの制御要素を同期させて従動子と外輪とを一体となって回転させることができる。代替的に、必要に応じて、小さなおよび/または可変の速度差を導入してもよい。
【0038】
更なる実施形態では、タイヤ部品サービサーは、第1の制御要素および第2の制御要素に動作可能に接続された制御ユニットを更に備え、制御ユニットは、従動子が外輪上の第1の保持位置に留まりながら、回転軸を中心に外輪と共に回転するように、第1の制御要素および第2の制御要素を制御するように構成される。制御ユニットは、例えば、第1の固定要素を制御するか、または前述の両方の制御要素を同期して回転するように制御してもよい。
【0039】
好ましくは、タイヤ部品サービサーは、アプリケータロール上のストリップの存在を検出するためのセンサを更に備え、制御ユニットは、センサに動作可能に接続され、センサから受信した信号に応答して第1の制御要素および/または第2の制御要素を制御するように構成される。センサは、ストリップ、即ち、先端部の存在が外輪上の第1の保持位置で検出された場合にのみ、プロセスが開始されることを保証することができる。
【0040】
別の実施形態では、タイヤ部品サービサーは真空源を備え、チャンバは前記真空源に接続可能である。好ましくは、タイヤ部品サービサーは、チャンバに部分真空または圧縮空気を選択的に供給するように配置されたポンプユニットを更に備える。真空源および圧力源は、同じ源、即ち、逆にすることができるポンプであってもよい。代替的に、供給源間を選択的に切り替えるために弁ブロックを挟んで2つのポンプを使用してもよい。したがって、同じチャンバを使用して、ストリップの一部を保持するか、またはストリップの一部を解放することができ、即ち、吸引口を介して一気に圧縮空気を供給し、それによってストリップの一部を外輪から吹き飛ばすことができる。
【0041】
別の実施形態では、タイヤ部品サービサーは、ストリップを押出し方向に押し出すための押出機ダイを有する押出機を更に備え、アプリケータロールは、押出機方向に押出機ダイのすぐ下流に配置される。したがって、アプリケータロールを使用して、ストリップが押出機を出るとすぐにストリップをピックアップして保持することができる。
【0042】
好ましくは、アプリケータロールの回転軸は、押出機ダイに対して固定位置にある。したがって、アプリケータロールは、ストリップをドラムに直接貼付するように配置される。これは、最初にストリップの全長を収集し、次いでサービサーから離れて成形ドラムに向けて移送し、サービサーとは独立してストリップ全体を成形ドラムに移送する移送ホイールとは異なる。
【0043】
タイヤ部品サービサーの更なる実施形態では、従動子は、開始角度位置と、回転軸を中心に開始角度位置に対してオフセットされた終了角度位置とを有し、従動子は、開始角度位置から終了角度位置まで外輪と一緒に回転するように配置され、従動子は、開始角度位置から終了角度位置まで外輪と一緒に回転した後に外輪とは独立して開始角度位置に戻るように配置され、タイヤ部品サービサーは、制御可能なアクチュエータを備え、制御可能なアクチュエータは、開始角度位置から終了角度位置まで外輪と一緒に回転した後に、外輪とは独立して終了角度位置から開始角度位置まで従動子を能動的に戻すために従動子の一部に直接に係合するように配置される。したがって、従動子の戻りを制御することによって、前記終了角度位置に対する従動子の速度および/または位置決めをより正確に制御することができる。
【0044】
第4の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様によるアプリケータロールを使用してドラムにストリップを貼付するための方法を提供し、該方法は、外輪とは独立して従動子を回転軸を中心に外輪上の第1の保持位置まで回転させるステップを含む。
【0045】
本方法は、アプリケータロールの実際的な実施に関するものであり、したがって、アプリケータロールおよびその実施形態と同じまたは同様の技術的利点を提供し、以下では繰り返さない。
【0046】
一実施形態では、本方法は、第1の回転方向および第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に、外輪とは独立して従動子を回転軸を中心に回転させるステップを更に含む。
【0047】
別の実施形態では、本方法は、外輪上の第1の保持位置に留まりながら、従動子を外輪と共に回転軸を中心に回転させるステップを更に含む。
【0048】
別の実施形態では、従動子は、開始角度位置と、回転軸を中心に開始角度位置に対してオフセットされた終了角度位置とを有し、本方法は、従動子を外輪と共に開始角度位置から終了角度位置まで回転させるステップを更に含む。
【0049】
好ましくは、本方法は、開始角度位置から終了角度位置まで外輪と共に回転した後に、外輪とは独立して従動子を開始角度位置に戻すステップを更に含む。
【0050】
別の実施形態では、本方法は、1回転または複数回転の間、外輪を従動子とは独立して回転軸を中心に回転させるステップと、外輪が従動子に対して回転軸を中心に少なくとも1回転する間、従動子を、外輪上の第1の保持位置に対してオフセットされた外輪上の第2の保持位置まで回転軸を中心に回転させるステップとを更に含む。
【0051】
別の実施形態では、ストリップは、第1の保持位置で保持面上に供給される先端部を有し、本方法は、前記第1の保持位置で前記先端部を保持面に保持するために、第1の保持位置で先端部を従動子で追従するステップを更に含む。
【0052】
好ましくは、ストリップは、第2の保持位置で保持面上に供給される後端部を有し、本方法は、前記第2の保持位置で前記後端部を保持面に保持するために、第2の保持位置で後端部を従動子で追従するステップを更に含む。
【0053】
特許請求されていない第5の態様によれば、本発明は、ドラムにストリップを貼付するためのアプリケータロールを提供し、アプリケータロールは、回転軸を中心に回転可能であると共に回転軸を中心に円周方向に延在する保持面を画定する外輪を備え、アプリケータロールは、ストリップを保持面に吸引して保持するために、保持面上に円周方向に配置された複数の吸引口を備え、アプリケータロールは、外輪の内側に沿って円弧長を有する保持円弧内で円周方向に延在すると共に真空源に接続可能なチャンバを更に備え、チャンバは、前記保持円弧内の複数の吸引口のうちの1つまたは複数の吸引口と空気連通して配置され、円弧長は、180°未満、好ましくは90°未満、より好ましくは45°未満である。
【0054】
本発明の第5の態様によるアプリケータロールは、外輪の円周に沿ったチャンバの長さを、貼付プロセス中にストリップによって実際に覆われる領域に制限することができるという利点を有する。これは、ストリップが外輪の外周のごくわずかな部分に沿ってのみ支持される連続貼付プロセスにおいて特に有用である。したがって、プロセス中にストリップによって覆われていないチャンバと吸引口との間の空気連通を防止することによって、前記覆われていない吸引口を通る圧力ロスまたは真空ロスを防止することができる。チャンバは、例えば、ストリップがダイからアプリケータロール上に供給される位置、即ち、押出機ダイに可能な限り近い位置から、ストリップがドラムに移送される位置、即ち、いわゆる「タック位置」まで延在してもよい。これらの点は、典型的には、アプリケータロールの回転軸を中心として90度だけオフセットされている。
【0055】
特許請求されていない第6の態様によれば、本発明は、ストリップをドラムに貼付するためのアプリケータロールを提供し、アプリケータロールは、回転軸を中心に回転可能であると共に回転軸を中心に円周方向に延在する保持面を画定する外輪を備え、アプリケータロールは、ストリップを保持面に吸引して保持するために、保持面上に円周方向に配置された複数の吸引口を備え、アプリケータロールの直径は、30cm未満、好ましくは20cm未満、最も好ましくは15cm未満である。
【0056】
寸法が小さいため、本発明の第6の態様によるアプリケータロールは、押出機ダイの押出機方向のすぐ下流のタイヤ部品サービサーに取り付けることができる。したがって、アプリケータロールを使用して、ストリップが押出機を出るとすぐにストリップをピックアップして保持することができる。アプリケータロールは、その円周の一部に沿ってのみストリップを保持し、次いで前記ストリップをドラム上に直接貼付する。本発明の第6の態様によるアプリケータロールの周囲は、ストリップの全長を支持するには不十分である。したがって、アプリケータロールは、移送ドラムまたはホイールとして使用することができない。
【0057】
本発明の第5の態様および第6の態様によるアプリケータロールは、前述の本発明の第1、第2、第3および第4の態様の実施形態のいずれか1つと組み合わせることができる。
【0058】
第7の態様によれば、本発明は、ドラムにストリップを貼付するためのアプリケータロールを備えるタイヤ部品サービサーを提供し、アプリケータロールは、回転軸を中心に回転可能であると共に回転軸を中心に円周方向に延在する保持面を画定する外輪を備え、アプリケータロールは、ストリップを保持面に吸引して保持するために、保持面上に円周方向に配置された複数の吸引口を備え、アプリケータロールは、保持面上のストリップの一部に追従するために、回転軸を中心に外輪の内側で回転可能な従動子を更に備え、従動子は、外輪に沿った保持円弧内で円周方向に延在すると共に真空源に接続可能なチャンバを画定し、従動子は、外輪とは独立して回転軸を中心に、チャンバが前記保持円弧内の複数の吸引口のうちの1つまたは複数の吸引口と空気連通して配置される外輪上の第1の保持位置まで回転可能であり、タイヤ部品サービサーは、前記外輪の回転を駆動するために前記外輪に結合された第1の制御要素を備え、従動子は、外輪上の第1の保持位置に従動子を固定するための第1の固定要素を備え、タイヤ部品サービサーは、第1の固定要素を制御するための第2の制御要素を備え、タイヤ部品サービサーは、第1の制御要素および第2の制御要素に動作可能に接続された制御ユニットを更に備え、制御ユニットは、従動子が外輪上の第1の保持位置に留まりながら、回転軸を中心に外輪と一緒に回転するように、第1の制御要素および第2の制御要素を制御するように構成され、タイヤ部品サービサーは、アプリケータロール上のストリップの存在を検出するためのセンサを更に備え、制御ユニットは、センサに動作可能に接続され、センサから受信した信号に応答して、第1の制御要素および/または第2の制御要素を制御するように構成される。
【0059】
センサは、ストリップ、即ち、先端部の存在が外輪上の第1の保持位置で検出された場合にのみ、プロセスが開始されることを保証することができる。
【0060】
第8の態様によれば、本発明は、ドラムにストリップを貼付するためのアプリケータロールを備えたタイヤ部品サービサーを提供し、アプリケータロールは、回転軸を中心に回転可能であると共に回転軸を中心に円周方向に延在する保持面を画定する外輪を備え、アプリケータロールは、ストリップを保持面に吸引して保持するために、保持面上に円周方向に配置された複数の吸引口を備え、アプリケータロールは、保持面上のストリップの一部に追従するために、回転軸を中心に外輪の内側で回転可能な従動子を更に備え、従動子は、外輪に沿った保持円弧内で円周方向に延在すると共に真空源に接続可能なチャンバを画定し、従動子は、外輪とは独立して回転軸を中心に、チャンバが前記保持円弧内の複数の吸引口のうちの1つまたは複数の吸引口と空気連通して配置される外輪上の第1の保持位置まで回転可能であり、タイヤ部品サービサーは、ストリップを押出し方向に押し出すための押出機ダイを有する押出機を更に備え、アプリケータロールは、押出機方向に押出機ダイのすぐ下流に配置される。
【0061】
したがって、アプリケータロールを使用して、ストリップが押出機を出るとすぐにストリップをピックアップして保持することができる。
【0062】
本発明の第7の態様および第8の態様に係るタイヤ部品サービサーは、前述の第1、第2、第3、第4、第5および第6の態様の実施形態のいずれとも組み合わせることができる。
【0063】
本明細書に記載および図示された様々な態様およびフィーチャは、可能な限り個別に適用することができる。これらの個々の態様、特に、添付の従属請求項に記載された態様およびフィーチャは、分割特許出願の主題とすることができる。
【0064】
本発明は、添付の概略図に示される例示的な実施形態に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】本発明の第1の実施形態によるアプリケータロールの等角図を示す。
図2A-H】ストリップをドラムに貼付する方法のステップ中の、図1によるアプリケータロールを備えるタイヤ部品サービサーの側面断面図を示す。
図3】アプリケータロールが代替的な始動構成にある、図2Aによるタイヤ部品サービサーの側面断面図を示す。
図4】本発明の第2の実施形態による代替アプリケータロールの側面断面図を示す。
図5】本発明の第3の実施形態による更なる代替アプリケータロールの側面断面図を示す。
図6図2Aによるタイヤ部品サービサーの正面断面図を示す。
図7】本発明の第4の実施形態による更なる代替アプリケータロールを備えた代替タイヤ部品サービサーの正面断面図を示す。
図8】本発明の第5の実施形態による更なる代替アプリケータロールの正面断面図を示す。
図9】本発明の第6の実施形態による更なる代替アプリケータロールの正面断面図を示す。
図10】本発明の第7の実施形態による更なる代替アプリケータロールの側面断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1図3は、本発明の第1の例示的な実施形態による、ストリップSをドラム、特に、タイヤ成形ドラムDに貼付するためのアプリケータロール、即ち、アプリケータロール1を示す。
【0067】
図2A図2Hおよび図3は、タイヤ成形ステーション、特に、タイヤ部品サービサー700の一部としてのアプリケータロール1を示す。タイヤ部品サービサー700は、ストリップSを押出し方向Eに押し出すための押出機ダイ750を有する押出機705を備える。アプリケータロール1は、押出機方向Eにおいて押出機ダイ750のすぐ下流に位置する。
【0068】
タイヤ部品サービサー700は、アプリケータロール1上のストリップSの存在を検出するためのセンサ704と、ストリップSを押出機ダイ750またはその近傍で長さに切断するためのナイフ406とを更に備える。
【0069】
図2A図2Hは、ストリップSを形成し、前記ストリップSをドラムDに貼付するための方法のステップを示す。図2Bに示すように、ストリップSは、該方法の前のサイクル中にストリップSの前の長さを切断することによって形成される先端部LEを有する。次いで、アプリケータロール1を回転させて、ストリップSの長さをドラムDに貼付する。押出機405がストリップSの予め設定された長さを押し出すと、ナイフ406が作動して、図2Fに示すように、ストリップSを長さに切断し、それによって後端部TEが形成される。ストリップSは、好ましくはエラストマー材料、即ち、ゴムから作製され、完成したタイヤ部品としてドラムDに、またはストリップ巻取り方法の間にそれ自体公知の方法でドラムD上にタイヤ部品を形成するための原料として貼付することができる。
【0070】
本発明は、アプリケータロール1の構成に関するものであり、以下でより詳細に説明する。
【0071】
図1に示すように、アプリケータロール1は、回転軸Xを中心に回転可能な外輪2を備える。アプリケータロール1は、回転軸Xでシャフト9上に回転可能に支持され得る。外輪2は、回転軸Xを中心に円周方向Cに延在する保持面20を画定する。貼付中、外輪2は第1の回転方向R1に駆動され、それによってストリップSをドラムDに向けて供給する。この例示的な実施形態では、保持面20は円筒形または実質的に円筒形、好ましくは真っ直ぐな円筒形である。アプリケータロール1には、ストリップSを保持面20に吸引によって保持するために、保持面20上に円周方向Cに配置された複数の吸引口21が設けられる。好ましくは、吸引口21は、保持面20の円周に沿って均等に配置される。図示の例示的な実施形態では、吸引口21は細長い形状の吸盤へと広がる。代替的に、異なる幾何学的形状、即ち、円形または非円形の吸盤を使用してもよい。各吸引口21は、それぞれの吸盤の中心または中央に配置される。
【0072】
外輪2におけるアプリケータロール1の直径は、30cm未満、好ましくは20cm未満、最も好ましくは15cm未満である。したがって、アプリケータロール1は、図2Aに示すように、押出機ダイ750のすぐ下流で押出機方向Eに取り付けることができる。
【0073】
図2A図2Hに示すように、アプリケータロール1は、回転軸Xを中心に外輪2の内側または内部で回転可能な従動子3を更に備える。従動子3は、この例示的な実施形態では、内輪または内側ディスクの形状を有する従動子本体30を備える。前記内側ディスクは、外輪2の内側で同心円状に収まり、外輪2の回転中に回転軸Xに対して前記外輪2を支持する。なお、従動子本体30は、ディスク状でなくてもよい。代替的に、従動子本体30は、ディスクの一部分または円弧のみで構成されていてもよいし、異なる形状、即ち、スポークで構成されていてもよく、必要な場合にのみ外輪2および/または従動子3の部品を支持する。
【0074】
図2Aに最もよく見られるように、従動子3は、外輪2に沿って円弧長Lを有する保持円弧A内で円周方向Cに延在するチャンバ4を画定する。円弧長Lは、アプリケータロール1の全周に比べて相対的に小さい。この特定の実施形態では円弧長Lは30度未満である。チャンバ4は、図6に概略的に示すように、ポンプユニット900に接続可能である。ポンプユニット900は、(-)で概略的に示されるように、(部分的な)真空源として、または(+)で概略的に示されるように、圧縮空気源として作動できる。ポンプユニット900を逆にして、(部分的な)真空と圧縮空気とを切り替えることができる。ポンプユニット900はまた、一方が(部分的な)真空用で、他方が圧縮空気用である2つのポンプと、この2つのポンプを切り替えることができる弁とを備えてもよい。したがって、チャンバ4から空気を選択的に吸引したり、またはチャンバ4に空気を供給したりして、それぞれ、吸引によってストリップSを保持し、または過圧によって前記ストリップを吹き飛ばしたりできる。
【0075】
従動子3は、外輪2とは独立して、第1の回転方向R1および/または第1の回転方向R1とは反対の第2の回転方向R2に回転可能である。より具体的には、従動子3は、少なくとも図2Aおよび図2Eに示すような開始角度位置H1から図2Cおよび図2Gに示すような終了角度位置H2までの範囲で回転可能であるように配置される。この例示的な実施形態では、開始角度位置H1は、チャンバ4が垂直上方を向く位置であるゼロ位置H0に対応する。この例示的な実施形態では、終了角度位置H2は、回転軸Xを中心として、回転軸Xに対して、または回転軸Xに関連して、開始角度位置H1に対して約90度だけオフセットされている。
【0076】
従動子3は、保持面20上のストリップSの一部、特に、図2B図2Dの先端部LEおよび図2F図2Hの後端部TEに追従するように配置または構成される。ストリップSの追従中、従動子3は、図2Aおよび図2Eに示すような開始角度位置H1から、図2Cおよび図2Gに示すような終了角度位置H2まで、同じ速度で、実質的に同じ速度で、または外輪2と共に回転するように構成または配置される。従動子3が先端部LEまたは後端部TEに追従していないとき、従動子3は、外輪2とは独立して回転することができ、即ち、図2Cおよび図2Gに示すような従動子3の終了角度位置H2から、図2Aまたは図2Eに示すような従動子3の開始角度位置H1に戻ることができる。戻り回転は、第1の回転方向R1または第2の回転方向R2であってもよい。
【0077】
従動子3は、外輪2とは独立して回転軸Xを中心に外輪2上をまたは外輪2に沿って、チャンバ4が前記保持円弧A内の複数の吸引口21のうちの1つまたは複数の吸引口21と空気連通して配置される第1の保持位置P1まで回転可能である。図2Aに示す実施形態では、チャンバ4は、第1の保持位置P1でのみ吸引口21のうちの1つに接続する。第1の保持位置P1は、図2Bに示すように、先端部LEが最初に押出機ダイ450のすぐ下流のアプリケータロール1に貼付されるかまたはアプリケータロール1によって支持される位置に対応する。図2Bでは、第1の保持位置P1は、開始角度位置H1およびゼロ位置H0と位置合わせがなされる。代替的に、図3に示すように、第1の保持位置P1は、一度に2つ以上の吸引口21と連通するように、角度ゼロ位置H0に対してわずかに後方に傾斜していてもよい。前記円弧長Lに沿ってより多くの吸引口21と連通するようにチャンバ4の円弧長Lを長くしてもよい。
【0078】
図2A図2B、および図2Cを比較すると、従動子3が外輪2に対して第1の位置P1に留まることが分かる。これは、従動子3を外輪2と同じ速度または回転速度で、および外輪2と同じ第1の回転方向R1に回転させることによって達成される。本発明のこの第1の例示的な実施形態では、従動子3は、外輪2に対して一時的または選択的に固定されるように配置され、その結果、従動子3および外輪2は、1つとしてまたは一体となって回転することができる。
【0079】
特に、従動子3は、外輪2において、外輪2に沿って、または外輪2上で従動子3を第1の保持位置P1に固定するための第1の固定要素31および第2の固定要素32を備える。この例示的な実施形態では、第2の固定要素32は、第1の固定要素31とは正反対の位置にある。第1の固定要素31は、図2B図2C図2Fおよび図2Gに示すように、外輪2に当接する第1の固定位置F1と、図2A図2D図2Eおよび図2Hに示すように、外輪2から離間した第1の後退位置G1との間で移動可能である。同様に、第2の固定要素32は、外輪2に当接する第2の固定位置F2と外輪2から離間した第1の後退位置G2との間で、第1の固定要素31とは反対方向に移動可能である。
【0080】
この例示的な実施形態では、従動子3のチャンバ4は、第1の固定要素31内に形成される。より具体的には、第1の固定要素31は、保持円弧Aの外側にある複数の吸引口21のうちのいずれか1つの吸引口21との連通からチャンバ4を密封する。一方、第1の固定要素31の第1の後退位置F1では、図2Aに示すように、チャンバ4は、保持円弧Aの外側にある複数の吸引口21のうちの吸引口21と自由に連通する。
【0081】
第2の固定要素32は、チャンバ4を有していない点でのみ第1の固定要素31と異なる。したがって、固定要素31、32の構造および機能を、第1の固定要素31のみを参照して以下に説明する。
【0082】
図2Aおよび図2Bを比較すると最もよく分かるように、第1の固定要素31は、シリンダ33と、第1の固定位置F1と第1の後退位置G1との間を前記シリンダ33内で移動可能なピストン34とを備える。ピストン34は、空気圧または油圧で駆動されてもよい。空気圧オプションでは、図6に概略的に示されるように、吸引または圧縮空気をチャンバ4にも供給する同じポンプユニット900の弁ブロックによって圧力を供給してもよい。代替的に、別個の駆動源が設けられてもよい(図示せず)。
【0083】
図2Bに示すように、ピストン34は、第1の固定位置F1で外輪2に接触するための制動面35を備える。具体的には、制動面35は、内向面または外輪2の内側に接触するように配置される。制動面35は、円周方向Cにおいて第1の固定要素31と外輪2との間に摩擦を発生させて、従動子3を外輪2に固定または保持するように配置される。したがって、一度固定された従動子3は、外輪2の回転に「タグ付け」または「便乗」することができる。したがって、従動子3自体は、その回転位置を制御するために能動的な回転駆動を必要としない。制動面35と外輪2との間の摩擦は、任意選択的に、制動面35に適切な高摩擦制動材料またはテクスチャを用いることによって改善することができる。
【0084】
1つの固定要素31は、外輪2に対して従動子3を固定するのに十分であり得ることが当業者には理解されよう。代替的に、3つ以上の固定要素31を使用してもよい。また、様々なタイプの固定要素31、32が想定でき、即ち、磁気固定要素、吸引固定要素、機械的インターロック固定要素などが想定できる。
【0085】
更にまた、図4は、本発明の第2の例示的な実施形態による代替アプリケータロール101を示し、これはチャンバ104が固定要素131、132ではなく従動子103の従動子本体130内に形成されている点でのみ、上述のアプリケータロール1とは異なる。したがって、固定要素131、132は、外輪2に対して従動子103を固定および解放することのみを目的とする。チャンバ104を密封するために、従動子本体130と外輪2との間に適切な密封部材(図示せず)を設けてもよい。
【0086】
例えば、図2Dおよび図2Hに示すように、固定要素31、32がそれぞれの後退位置G1、G2に後退すると、従動子3は、外輪2に対して自由におよび/または独立して回転可能であり、即ち、それぞれ図2Aおよび図2Eに示すように開始角度位置H1に戻る。
【0087】
図5は、本発明の第3の例示的な実施形態による代替アプリケータロール201を示しており、これは、従動子203の能動的な回転駆動がない場合に、従動子203を第2の回転方向R2に回転させて開始角度位置H1に戻るように付勢される、またはそのように促すことができる付勢部材205が設けられている点で、上述のアプリケータロール1とは異なる。好ましくは、代替アプリケータロール201は、ストッパ要素206を更に備えており、これは、従動子203が開始角度位置H1を超えて第2の回転方向R2へ回転しないようにする。
【0088】
図6に概略的に示すように、タイヤ部品サービサー700は、前記外輪2の回転を駆動するために外輪2に結合された第1の制御要素701と、固定要素31、32を制御するための第2の制御要素702とを備える。タイヤ部品サービサー700は、第1の制御要素701および第2の制御要素702に動作可能に接続された制御ユニット703を更に備える。第1の制御要素701は、例えば、外輪2の回転を能動的に駆動するための回転駆動装置であってもよい。第2の制御要素702は、ポンプユニット900と固定要素31、32との間の弁ブロックまたは導管であってもよい。制御ユニット703は、第1の制御要素401および第2の制御要素702を制御するように適合され、プログラムされ、構成され、配置され、および/またはソフトウェア若しくは命令を含む。特に、制御ユニット703は、第1の制御要素701を制御して外輪2を回転させ、第2の制御要素702を制御して従動子3を開始角度位置H1で外輪2に固定し、終了角度位置H2で従動子3を外輪2から解放するように配置される。したがって、従動子3は、外輪2上の第1の保持位置P1に留まりながら、開始角度位置H1と終了角度位置H2との間で外輪2と共に回転軸Xを中心に回転可能である。
【0089】
図7は、本発明の第4の実施形態による代替タイヤ部品サービサー800を示しており、このタイヤ部品サービサー800は、従動子303の回転を駆動するために従動子303に結合される第2の制御要素802を備えている点でのみ、前述のタイヤ部品サービサー700と異なっている。第2の制御要素802は、例えば、従動子303の回転を能動的に制御および/または駆動するために、外輪2の回転を制御および/または駆動する第1の回転駆動装置に加えて、第2の回転駆動装置であってもよい。したがって、従動子303の角度位置は、外輪2とは直接独立して制御することができ、従動子303は固定要素を必要としない。チャンバ304は、従動子本体330に直接形成することができる。制御ユニット803は、第1の制御要素801および第2の制御要素802に動作可能に接続され、外輪2および従動子303の回転を独立して制御および/または同期させる。この代替的な実施形態では、制御ユニット803は、制御要素801、802を制御して、少なくとも開始角度位置H1から終了角度位置H2まで同じ速度または実質的に同じ速度で外輪2および従動子303を回転および/または同期させるように適合され、プログラムされ、構成され、配置され、および/またはソフトウェア若しくは命令を含む。
【0090】
図8は、本発明の第5の実施形態による更なる代替タイヤアプリケータロール401を示し、これは、更なる代替タイヤアプリケータロール401が外輪402に接続された側壁423を備えるという点で、前述のアプリケータロール1、101、201、301とは異なる。固定要素431、432は、側壁423を介して、または側壁423に作用することによって、即ち、回転軸Xに平行な軸方向Bにおいて前記側壁423と接触または直接当接することによって、外輪402上の第1の保持位置または第2の保持位置に従動子403を固定する。特に、固定要素431、432は、固定要素31、32と同様の構成、即ち、シリンダおよび前記シリンダ内で移動可能なピストンを有する構成であってもよい。ピストンは、側壁423に接触し、側壁423とそれぞれの固定要素31、32との間に十分な摩擦を生成させて、従動子403を外輪402に対して固定角度位置に保持するように配置された制動面を有する。
【0091】
代替的に、固定要素は、機械的インターロックによって角度位置を保持するために、1つまたは複数の機械的インターロック要素、即ち、カム、ピンおよび/またはスロットを備えてもよい。
【0092】
図9は、本発明の第6の実施形態による更なる代替タイヤアプリケータロール501を示し、これは、外輪502に側壁523が設けられている点で、および固定要素531、532が側壁523を介してまたは側壁523に作用することによって外輪502上の第1の保持位置または第2の保持位置に従動子503を固定するという点で、前述のアプリケータロール1、101、201、301、401とは異なる。特に、固定要素531、532は、前記側壁523に磁力を及ぼす。より具体的には、固定要素531、532は、側壁523、したがって外輪502全体に対する従動子503の固定を制御するためにオンおよびオフに切り替えることができる電磁石であってもよい。
【0093】
図10は、本発明の第7の実施形態による更なる代替タイヤ部品サービサー600を示し、これは、その付勢部材がアプリケータロール601の一部ではないという点で、前述のタイヤ部品サービサー700、800とは異なる。代わりに、付勢部材は、能動的に制御可能なアクチュエータ605によって形成され、この場合、空気圧または油圧シリンダ650および前記シリンダ650に対して移動可能なピストン651の形態である。従動子603は、ピストン651を受け入れるための凹部またはスロット636が設けられた従動子本体630を有する。したがって、ピストン651は、従動子本体630の一部に直接係合することができる。ピストン651の延伸および/または後退を制御することによって、従動子本体630の角度位置を制御することができる。この例示的な実施形態では、アクチュエータ605は、非動作時または非給電時、即ち、従動子603が開始角度位置H1から終了角度位置H2に回転する間、従動子603の回転に受動的に追従し、動作時または給電時、従動子603を開始角度位置H1に能動的に戻すように配置される。
【0094】
前のアプリケータロール1、101、201、301、401、501、601のいずれか1つを使用してストリップSをドラムDに貼付する方法を、図1図10を参照して以下に説明する。
【0095】
図2Aおよび図3は、ストリップSの先端部LEの押出前の状況を示す。アプリケータロール1内の従動子3は、開始角度位置H1に戻されているか、または開始角度位置H1に配置されている。外輪2は静止している。固定要素31、32は、それぞれの後退位置G1、G2に後退している。
【0096】
図2Bは、押出機405がストリップSの先端部LEをアプリケータロール1上に押し出した状況を示す。外輪2は、構成に応じて、静止したままであるか、またはわずかに回転して先端部LEを受け止めてもよい。先端部LEがチャンバ4と連通する1つまたは複数の吸引口21を覆うと、固定要素31、32はそれぞれの固定位置F1、F2に移動する。固定要素31、32は、センサ404からの信号に応答して制御され、先端部LEの存在または到着を検出することができる。代替的に、固定要素31、32は、先端部LEが1つまたは複数の吸引口21のそれぞれを覆うと途端に先端部LEが保持されるように、先端部LEの押し出し前にそれぞれの固定位置F1、F2に前から移動していてもよい。
【0097】
前述のステップ中の任意の時点で、ポンプユニット900(図6に示す)を作動させてチャンバ4から空気を吸い込み、したがって吸引によって先端部LEをアプリケータロール1に保持することができる。先端部LEが外輪2に保持される位置が第1の保持位置P1である。
【0098】
図2Cは、先端部LEが第1の保持位置P1に保持された状態で、外輪2が開始角度位置H1から終了角度位置H2に回転した後の状況を示す。ドラムDは、アプリケータロール1とは反対側の先端部LEに接触するように移動しており、これで先端部LEを引き受ける準備ができている。先端部LEがドラムD上に受け入れられる位置は、「タック位置」としても知られている。ドラムDには、タック位置でアプリケータロールから先端部LEを引き継ぐための保持手段、即ち、吸引口(図示せず)が設けられてもよい。従動子3は、外輪2の回転中は外輪2に固定されたままであるため、結果として、外輪2上の第1の保持位置P1に留まったまま、外輪2と一緒にまたは一体となって回転して終了角度位置H2に達することに注意すべきである。ここで、図6のポンプユニット900を反転させて、先端部LEをアプリケータロール1から解放または吹き飛ばしやすくするために、チャンバ4に圧縮空気を供給してもよい。
【0099】
図2Dは、固定要素31、32が再びそれぞれの後退位置G1、G2に後退して、外輪2に対する従動子3の固定を解除または終了する状況を示す。
【0100】
図2Eは、外輪2がストリップSの長さに応じて1回転または数回転かけて第1の回転方向R1に更に回転している間に、従動子3が第2の回転方向R2の開始角度位置H1に戻された状況を示す。
【0101】
ここで、図2A図2Eに示すステップは、後端部TEについて、前記後端部TEが最初に外輪2に貼付されるか、または外輪2上で支持される位置に対応する、外輪2の第2の保持位置P2上で繰り返される。図2F図2Hは、後端部TEの保持および解放のいくつかの重要な瞬間のみを示しているが、図2A図2Eのステップがここでも当てはまることが理解されよう。
【0102】
図2Fは、ナイフ406がストリップSを長さに切断し、後端部TEを形成した状況を示す。固定要素31、32は、再びそれぞれの固定位置F1、F2に移動して、従動子3を、後端部TEが外輪2上に位置する位置に対応する第2の保持位置P2で外輪2に固定している。この第2の保持位置P2は、先端部LEと後端部TEとの間のストリップSの長さに応じて、従動子3に対して外輪2が回転軸Xを中心として1回転または複数回転する間に、第1の保持位置P1に対してオフセットされてもよい。なお、第1の保持位置P1および第2の保持位置P2は、外輪2が1回または複数回の全回転をする間にオフセットされたとき、(部分的に)重なる可能性がある。
【0103】
図2Gに示す状況は、図2Cに示すステップに対応する。図2Hに示す状況は、図2Dに示す状況に対応する。ここで、図2Aに示すように、従動子3を再び開始角度位置H1に戻して、サイクル全体を繰り返してもよい。
【0104】
上記の説明は、好ましい実施形態の動作を説明するために含まれ、本発明の範囲を限定することを意味しないことを理解すべきである。上記の議論から、本発明の範囲に包含される多くの変形形態が当業者には明らかであろう。
【0105】
要約すると、本発明は、アプリケータロール1、101、201、301、401、501、601、タイヤ部品サービサー600、700、800、およびストリップSをドラムDに貼付するための方法に関する。アプリケータロール1、101、201、301、401、501、601は、回転軸Xを中心に回転可能であると共に保持面20を画定する外輪2を備え、アプリケータロール1、101、201、301、401、501、601には、ストリップSを保持面20に保持するための吸引口21が設けられ、アプリケータロール1、101、201、301、401、501、601は、保持面20上のストリップSの一部LE、TEに追従するように外輪2の内側で回転可能な従動子3、103、203、303、603を備え、従動子3、103、203、303、603は、外輪2に沿って円弧長Lの保持円弧A内で円周方向Cに延在するチャンバ4、104を画定し、従動子3、103、203、303、603は、外輪2上の第1の保持位置P1まで、外輪2とは独立して回転軸Xを中心に回転可能であり、チャンバ4、104が前記保持円弧A内の1つまたは複数の吸引口21と空気連通して配置される。
【符号の説明】
【0106】
1 アプリケータロール
2 外輪
20 保持面
21 吸引口
22 内面
3 従動子
30 従動子本体
31 第1の固定要素
32 第2の固定要素
33 シリンダ
34 ピストン
35 制動面
4 チャンバ
9 シャフト
101 代替アプリケータロール
103 従動子
130 従動子本体
131 第1の固定要素
132 第2の固定要素
103 従動子
104 チャンバ
201 更なる代替アプリケータロール
203 従動子
205 付勢部材
206 ストッパ要素
301 更なる代替アプリケータロール
303 従動子
330 従動子本体
304 チャンバ
401 更なる代替アプリケータロール
402 外輪
423 側壁
403 従動子
431 第1の固定要素
432 第2の固定要素
501 更なる代替アプリケータロール
502 外輪
503 従動子
523 側壁
531 第1の固定要素
532 第2の固定要素
600 タイヤ部品サービサー
601 更なる代替アプリケータロール
603 従動子
630 従動子本体
636 スロット
605 付勢部材
650 シリンダ
651 ピストン
700 タイヤ部品サービサー
701 第1の制御要素
702 第2の制御要素
703 制御ユニット
704 センサ
705 押出機
750 押出機ダイ
706 ナイフ
800 代替タイヤ部品サービサー
801 第1の制御要素
802 第2の制御要素
803 制御ユニット
900 ポンプユニット
A 保持円弧
B 軸方向
C 円周方向
E 押出し方向
F1 第1の固定位置
F2 第2の固定位置
G1 第1の後退位置
G2 第2の後退位置
H0 ゼロ位置
H1 開始角度位置
H2 終了角度位置
L 円弧長
LE 先端部
P1 第1の保持位置
P2 第2の保持位置
R1 第1の回転方向
R2 第2の回転方向
S ストリップ
TE 後端部
X 回転軸
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10