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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】水密で堅固なモータ懸架装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20220927BHJP
   H02K 5/124 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K5/124
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022506904
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2020071452
(87)【国際公開番号】W WO2021023603
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】19190303.8
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】エイケルカンプ マルクス フランシスクス
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン バーグ レネ
(72)【発明者】
【氏名】シャリッグ ミシェル アラン アウレリウス
(72)【発明者】
【氏名】ザイルストラ マルセル ヒルコ
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ ハロルド
(72)【発明者】
【氏名】ロータート ロブ
(72)【発明者】
【氏名】ハーグスマ ヘンドリック クラース
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-157401(JP,A)
【文献】特開2008-252981(JP,A)
【文献】実開昭56-129162(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 5/124
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気装置の筐体に対する堅固且つ水密な装着のためのモータ懸架装置であって、
装着されるべきモータのステータが固定的に接続可能なモータ固定要素と、前記モータ懸架装置は、
封止懸架要素と、
モータ軸封止部と、
を有し、前記封止懸架要素は、電気装置の筐体に対する前記封止懸架要素の流体密封接続を提供するよう構成され、
前記モータ軸封止部は、前記封止懸架要素に流体密封接続された第1の封止面を持ち、
前記モータ軸封止部は、装着されるべき前記モータの回転軸を流体密封に受容するよう構成された第2の封止面を持ち、前記回転軸は、接続されるべき器具の往復運動を駆動するよう構成され、
前記モータ固定要素は、前記モータ固定要素の外周面の少なくとも一部に沿って、前記回転軸の長手延在方向に略垂直であり且つ前記往復運動の方向に略平行な第1の方向において堅固な、前記電気装置の前記筐体の内周面に対する接続を形成するよう構成された、モータ懸架装置において、
前記堅固な接続は、第1の接続部及び第2の接続部を有し、前記第1の接続部と前記第2の接続部とは、装着されるべき前記モータの回転軸に対して互いに反対側にあることを特徴とする、モータ懸架装置。
【請求項2】
前記モータ固定要素は、装着されるべき前記モータの回転軸に垂直なプレートの形を持ち、前記第1及び第2の接続部の一方と装着されるべき前記モータの回転軸との間の線を横切る少なくとも1つの貫通スロットを有し、それにより、前記回転軸の長手延在方向に略垂直であり且つ前記往復運動の方向に略垂直な方向における、前記モータ固定要素に対して装着されるべき前記モータと、前記電気装置の前記筐体と、の間の弾性接続を可能とする、請求項1に記載のモータ懸架装置。
【請求項3】
前記モータ固定要素は、前記電気装置の前記筐体の対応するそれぞれ突出部又は凹部を堅固に収容するよう構成された、少なくとも1つの凹部又は突出部を有し、対応する前記突出部を堅固に収容する前記少なくとも1つの凹部は、前記モータ固定要素の前記外周面の少なくとも一部に沿って、前記電気装置の前記筐体の内周面に対する堅固な接続の少なくとも一部を形成する、請求項1又は2に記載のモータ懸架装置。
【請求項4】
前記モータ固定要素は、前記電気装置の前記筐体の対応する突出部を収容するための、前記外周面に沿って対称的に配置された少なくとも2つの凹部を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモータ懸架装置。
【請求項5】
前記突出部及び前記凹部の少なくとも1つは、対応する収容する凹部及び突出部を自己センタリングするための傾斜面を持つ、請求項3又は4に記載のモータ懸架装置。
【請求項6】
前記封止懸架要素は、筐体封止部のための封止面を持ち、前記モータ懸架装置は、筐体封止部を有し、前記筐体封止部は、前記電気装置の前記筐体に対する、前記封止懸架要素の流体密封接続を提供するよう構成された、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のモータ懸架装置。
【請求項7】
前記封止懸架要素の前記封止面は、外周封止面であり、前記筐体封止部は、前記封止懸架要素の前記外周封止面と対応する前記筐体の内周面との間の圧縮可能なOリングである、請求項6に記載のモータ懸架装置。
【請求項8】
前記封止懸架要素の前記外周封止面は、前記電気装置の前記筐体の対応して凹状の形状とされた内周面に対する前記Oリングの均一な圧縮のための、連続的に凸状の形状とされた外周面を持つ楕円形状を持つ、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のモータ懸架装置。
【請求項9】
前記モータ軸封止部は、前記第1の封止面に対向する、前記モータ固定要素を受容するための当接面を有し、前記モータ軸封止部は、圧縮され、それにより前記封止懸架要素と前記モータ固定要素との間で固定される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のモータ懸架装置。
【請求項10】
前記モータ懸架装置は、前記第1の方向における前記筐体における前記モータの低減された振動を伴う直線往復運動への、前記回転軸の回転運動の変換を可能とするため、前記第1の方向における前記電気装置の前記筐体に対する、装着されるべき前記モータの堅固な接続を提供するよう構成された、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のモータ懸架装置。
【請求項11】
前記モータ懸架装置は、前記筐体における前記モータの流体密封な封入を提供し、前記モータ懸架装置の外に長手方向に延在し、前記第1の方向における並進に対して並進的に固定された回転軸を提供するよう構成された、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のモータ懸架装置。
【請求項12】
前記電気装置は、ステータ及び回転軸を持つモータを有し、前記モータの前記ステータは、前記モータ固定要素に装着され、前記回転軸は、前記モータ軸封止部の前記第2の封止面により流体密封に受容された、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のモータ懸架装置。
【請求項13】
前記モータ固定要素及び該モータ固定要素に形成された貫通スロットは、回転軸からそれぞれの接続部への方向に、前記電気装置の前記筐体よりも高い変形性を持ち、これにより、装着されるべき前記モータの前記回転軸にかけられる横方向の力が、前記筐体の前記内周面ではなく、前記モータ固定要素を変形させる、請求項12に記載のモータ懸架装置。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の電気装置を有し、前記モータの前記回転軸に駆動可能に接続された切断具を更に有し、前記切断具の主切断方向は、対向する第1及び第2の接続部を接続する線を横切る、毛切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気装置の筐体にモータを堅固且つ水密に取り付けるためのモータ懸架装置、電気装置の筐体にモータを堅固且つ水密に取り付けるためのモータ懸架装置を有する電気装置、及び電気装置の筐体にモータを堅固且つ水密に取り付けるためのモータ懸架装置を有する電気装置を有する毛切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
要素の往復運動、例えばトリマの切断要素で動作する電気装置では、モータ出力軸の回転運動が往復運動に変換される。往復運動に抗して作用する摩擦及び力は、往復運動の方向に沿ってモータ出力軸上に力をもたらす。電気装置の水密性を目的とし、且つ内部構成要素をシールドするために、モータの回転軸と電気装置の筐体との間に柔軟なシールを配置することができる。多くの場合、1つ以上のゴムシールが、装置の内部を水から遮蔽するために使用される。ゴムシールは駆動系剛性の一部である。それは、切断要素の固定部分が接続される筐体と、切断要素の可動部分が接続されるモータ及び/又はモータ軸との間に配置される。シールの柔軟性は、所望の水密性を作り出すために必要とされる。特に、回転運動が直線運動に変換される場合、斯かるシールは、異なる荷重条件下での直線運動がどれだけ強く、明確に定義されているかに負の影響を及ぼすことができる。シールのこの柔軟性により、駆動系の構造は剛性が低くなり、その結果、往復運動の方向に沿ったモータ出力軸の振動運動が生じる。このことは、特に高負荷条件下での往復運動のストロークの損失をもたらし得る。斯かる装置の典型的な例は、あごひげトリマ及び毛クリッパのような毛カッティング装置であるが、歯ブラシ、ミキサーのような台所用具、電気のこぎり、ガーデニング又は生け垣の切断装置及びのこぎりのような他の用具にもこの欠点がある。
【0003】
中国実用新案CN202858906Uは、第1のシールリングと第2のシールリングを備えた撹拌機の多段密封構造を開示している。
【0004】
中国特許CN102638122Bは、ホルダ、ロータユニット及び2つのベアリングを備えた被駆動剪断モータを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回転軸によって駆動される移動機能を有し、水密性を必要とする電気器具においては、解決策が必要である。これらの理由のために、上述の欠点を被らないモータ懸架装置を有することが有利であろう。
【0006】
本発明の目的は、改善された性能を有する電気装置の筐体にモータを堅固且つ水密に取り付けるためのモータ懸架装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決され、更なる実施例が従属請求項に組み込まれる。
【0008】
記載された実施例は、電気装置の筐体にモータを堅固且つ水密に取り付けるためのモータ懸架装置に関するものと同様であり、電気装置は、電気装置の筐体にモータを堅固且つ水密に取り付けるためのモータ懸架装置を有し、電気装置は、電気装置の筐体にモータを堅固且つ水密に取り付けるためのモータ懸架装置を有する電気装置を有する。相乗効果は、実施例の異なる組み合わせから生じ得るが、それらは詳細に説明されないかもしれない。
【0009】
更に、方法に関する本発明の全ての実施例は、記載されたステップの順序で実行されても良いが、このことは、方法のステップの唯一の必須の順序である必要はないことに留意されたい。ここで提示される方法は、以下で明示的に言及されない限り、それぞれの方法の実施例から逸脱することなく、開示されたステップの別の順序で実行することができる。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、モータを電気装置の筐体に堅固且つ水密に取り付けるためのモータ懸架装置が提供される。モータ懸架装置は、取り付けられるモータのステータが固定的に接続可能であるモータ固定要素と、封止懸架要素と、モータ軸封止部とを有する。封止懸架要素は、封止懸架要素の電気装置の筐体への流体密着接続を提供するように構成される。モータ軸封止部は、封止懸架要素に流体密に接続された第1の封止面を有し、モータ軸封止部は、取り付けられるモータの回転軸を流体密に受け入れるように適合された第2の封止面を有する。回転軸は、接続される工具の往復運動を駆動するように構成されている。モータ固定要素は、モータ固定要素の外周面の少なくとも一部に沿って、回転軸の長手方向の延長線の方向に実質的に垂直で且つ往復運動の方向に実質的に平行な第1の方向において剛性を有する電気装置の筐体の内周面への接続部を形成するように構成される。剛性接続部は、第1接続部及び第2接続部を備え、第1接続部及び第2接続部は、搭載されるモータの回転軸に対して互いに対向している。
【0011】
モータ懸架装置は、モータ固定要素と、封止懸架要素と、モータ軸封止部と、を有する。モータ固定要素は、モータに接続され、モータ固定要素の、回転軸と垂直な方向の電気装置の筐体への堅固な接続を提供する。モータ固定要素及びモータは、モータ固定要素の外周面の一部がモータの筐体の内周面の一部と剛結して形成されるように、モータの筐体に挿入することができる。封止懸架要素は、電気装置の筐体に流体密着接続を提供する。また、封懸架要素は、モータ軸封止部の第1の封止面に流体密に接続されており、モータ軸封止部の第2の封止面は、モータの回転軸に流体密に接続されている。
【0012】
モータ固定要素は、例えば、モータのねじ穴に嵌合する1つ又は複数のねじ又は突出部によって、回転軸に平行な軸の周りのモータ及びモータ固定要素の相対回転を防止するために、モータに接続することができる。更に、モータ固定要素は、少なくとも第1の方向において、モータの筐体への堅固な接続を提供する。この第1の方向は、回転軸に駆動可能に連結されている切断具の往復運動の方向であっても良く、回転軸に略垂直であって、往復運動の方向に略平行であっても良い。略垂直又は略平行とは、任意の方向における最大15度の偏差を含むものと理解されるべきである。
【0013】
モータ軸封止部と共に封止懸架要素は、筐体内のモータの流体密封筐体を提供し、モータ軸と筐体との間の流体密封性を保証し、モータの回転軸はモータ軸封止部から延びている。封止懸架装置要素と筐体は、筐体封止部と流体密に接続された2つの別々の部品とすることができる。しかしながら、封止懸架要素と筐体とを1つの単一部品として一体化することもできる。
【0014】
モータ固定要素と筐体との間の堅固な接続は、モータ固定要素の反対側の少なくとも2つの接続部を介して可能とすることができる。接続部は、モータの回転軸が第1の接続部と第2の接続部との間の線に垂直であるようにして、モータ固定要素の外周面に位置させることができる。堅固な接続が設けられた第1の方向は、第1及び第2の接続部の間の線に垂直であり、回転軸に垂直である。
【0015】
本発明の一実施例においては、モータ固定要素は、搭載されるモータの回転軸線に垂直なプレートの形態を持ち、第1及び第2の接続部のうちの1つとモータの回転軸線との間のラインに横切る少なくとも1つの貫通スロットと、モータ固定要素に搭載されるモータと電気装置の筐体との間の、回転軸線の長手方向延長線の方向に実質的に垂直で且つ往復運動の方向に実質的に垂直な方向の弾性接続を可能にするために搭載されるモータの回転軸線との間の少なくとも1つの貫通スロットと、を有する。
【0016】
モータ固定要素は、回転軸に対して垂直に延在するプレートの形状を有することができる。第1の方向に平行な2つの貫通スロットであって、それぞれ、回転軸の両側でモータの回転軸と接続部との間に位置する2つの貫通スロットは、第1の接続部から第2の接続部までの線の方向において、モータ固定要素のある程度の柔軟性を提供する。斯くして、モータは、切断具の往復運動に垂直で且つ回転軸に垂直な方向に筐体に柔軟に装着されることができ、一方、該接続は、切断具の往復運動の第1の方向に剛性を有することができる。この柔軟性は、モータ固定要素と筐体との間の少なくとも2つの接続部分に良好な嵌合があることを確実にし、その結果、接続が第1の方向に剛直である一方で、モータ固定要素が筐体が変形するような過度の圧力を筐体に及ぼさないようにする。筐体に過度の圧力を加えると、筐体が変形し、封止懸架装置要素と筐体の接続部の液密性が劣化する可能性がある。この変形を避けることにより、流体密封性を向上させることができる。
【0017】
本発明の一実施例においては、モータ固定要素は、少なくとも1つの凹部又は突出部をそれぞれ備え、前記電気装置の筐体の対向する突出部又は凹部をそれぞれ緊密に収容するように構成され、前記少なくとも1つの凹部は、前記それぞれの突出部を緊密に収容することにより、前記電気装置の前記筐体の内周面への前記堅固な接続の少なくとも一部が、前記モータ固定要素の外周面の少なくとも一部に沿って形成される。
【0018】
モータ固定要素の筐体への堅固な接続は、少なくとも接続部によって行うことができる。モータ固定要素の外周面は、筐体の内周面に接続することができる。この接続は、突出部を収容する凹部によって行うことができる。この突出部は、凹部内に延在することができ、それによって、或る方向に堅固な接続部を形成する一方で、別の方向に或る程度の柔軟性を残すことができる。凹部は、モータ固定要素内に位置させることができ、突部は、筐体に位置させることができ、又は凹部は、筐体に位置させることができ、突部は、モータ固定要素に位置させることができる。
【0019】
本発明の一実施例においては、モータ固定要素は、電気装置の筐体のそれぞれの突出部を収容するために、外周面に沿って対称に分布する少なくとも2つの凹部を有する。
【0020】
該2つの凹部は、モータ固定要素の外周面の反対側に位置させられても良い。これらの凹部には筐体の外周面の突起が収容されている。
【0021】
本発明の実施例においては、突出部及び凹部のうちの少なくとも1つは、それぞれが収容する凹部及び突出部を自己センタリングするための傾斜面を有する。
【0022】
モータ固定要素の凹部及び筐体の突出部は、台形状又は三角形状とすることができる。本発明のこの実施例においては、台形又は三角形の傾斜面は、第1及び第2の固定部の間の線の方向におけるモータ固定要素の柔軟性と組み合わせて、凹部内の突出部の自己センタリングをもたらすことができる。これにより、筐体に圧力をかけすぎて筐体が変形し、流体密封の封止部から圧力が解放されることなく、少なくとも2つの接続部に間隙を設けることなく、良好な嵌合が確保される。
【0023】
本発明の一実施例においては、封止懸架要素は、筐体封のための封止面を有し、モータ懸架装置は、筐体封止部を更に含み、筐体封止部は、電気装置の筐体への封止懸架要素の流体密接続を提供するように構成される。
【0024】
封止懸架要素の流体密封は、筐体封止部によって達成され、筐体封止部は、封止懸架要素の封止面と筐体の内周面との間に位置する。
【0025】
本発明の実施例において、封止懸架要素の封止面は、外周封止面であり、筐体封止部は、封止懸架要素の外周封止面と筐体の対応する内周面との間で圧縮可能であるOリングである。
【0026】
封止懸架要素の封止面は、封止懸架要素の外周面上にあっても良い。従って、本発明の本実施例においては、封止面は、筐体の内周面とは反対側であり、筐体封止部としてのOリングは、封止懸架要素と筐体との間で圧縮することができる。
【0027】
本発明の一実施例においては、封止懸架要素の外側封止面は、Oリングを電気装置の筐体の対応する凹形状の内周面に均一に圧縮するための連続的に凸形状の外周を持つ楕円形状を有する。
【0028】
封止懸架要素の外周封止面は、曲率が常に同じ方向を持ち、端又は直線部分がないように、連続的に凸形状を持っても良い。筐体の内周面は、対応する連続的に凹状の形状を有することができ、これにより、本発明のこの実施例においては、Oリングを封止懸架要素の凸状面と筐体の凹状面との間で均一に圧縮することができる。
【0029】
本発明の一実施例においては、モータ軸封止部は、モータ固定要素を受け入れるための当接面を第1の封止面に対向させて備え、モータ軸封止部は、圧縮され、それによって、封止懸架要素とモータ固定要素との間に固定される。
【0030】
モータ軸封止部は、封止懸架要素とモータ固定要素との間で圧縮されることにより、封止懸架要素に固定され、接続されても良い。
【0031】
本発明の一実施例において、前記モータ懸架装置は、前記第1の方向における前記モータの振動を低減した直線往復運動への前記回転軸の回転運動の変換を可能にするために、前記第1の方向において前記電気装置の筐体に取り付けられる前記モータの堅固な接続を提供するように構成される。
【0032】
直線往復運動は、往復運動に平行な第1の方向において、モータの回転軸に対する力に帰着する。回転軸の振動を回避するためには、筐体への回転軸の接続は、第1の方向に対して剛性でなければならない。斯くして、ストロークの損失なく、また振動によるエネルギーの過度の損失なく、回転運動を往復運動に変換することができる。本発明のこの実施例の構成は、第1の方向への移動の方向において、最も高い力が加えられ得る方向が、モータの回転軸と筐体との間に堅固な接続が存在するようなものである。更に、本発明のこの実施例においては、モータ固定要素の筐体への接続は、筐体の変形をもたらす可能性があるいかなる力も筐体に加えない。
【0033】
本発明の一実施例においては、モータ懸架装置は、筐体内にモータの流体密封筐体を提供し、モータ懸架装置から長手方向に延在し、第1の方向の並進に対して並進固定される回転軸を提供するように構成される。
【0034】
モータ懸架装置は、筐体内にモータの流体密封された封入を提供することができ、それによって、流体によって生じる損傷から電気部品を保護する。モータの回転軸は、モータ軸封止部のオリフィスを通って延在しても良く、一方、モータ軸封止部は、回転軸に流体密着接続を提供しても良い。
【0035】
本発明の別の態様によれば、前述の実施例のいずれかによるモータ懸架装置を有する電気装置が提供される。該電気装置は、ステータと回転軸とを有するモータを備え、モータのステータは、モータ固定要素に取り付けられ、回転軸は、モータ軸封止部の第2の封止面によって流体密に受け取られる。
【0036】
該電気装置は、本発明の前述の実施例で説明したようなモータ懸架装置を有しても良い。該電気装置は、ステータと回転軸とを備えたモータを更に有する。モータは、モータ固定要素に取り付けることができ、これにより、電気装置の筐体に接続され、第1の方向の堅固な接続が可能となる。
【0037】
本発明の一実施例においては、モータ固定要素及びその中に形成された貫通スロットは、回転軸からそれぞれの接続部への方向において、電気装置の筐体よりも高い変形性を有し、これにより、搭載されるモータの回転軸に加えられる横方向の力が、筐体の内周面ではなく、モータ固定要素を変形させる。
【0038】
モータ固定要素に形成されたスロットは、往復運動によって規定される、第1の方向に垂直な方向におけるモータ固定要素の筐体への弾性接続を提供する。しかしながら、スロットは、第1の方向に平行な方向の剛性を低下させない。斯くして、電気機器の筐体を変形させずに、筐体にモータ固定要素の第1の方向に堅固な接続部を設けることができる。斯くして、封止懸架要素は、筐体に流体密着接続を提供することができ、モータ軸封止部は、本発明の本実施例においては、モータの回転軸に流体密着接続を提供することができる。
【0039】
本発明の別の態様によれば、前述の実施例のいずれかによる電気装置を含む毛切断装置が提供される。毛切断装置は、モータの回転軸に駆動可能に接続された切断具を更に含み、切断具の主切断方向は、対向する第1及び第2の接続部分を接続する線に対して横切る。
【0040】
モータの回転軸によって生成される往復運動を持つ防水製品の典型的な例は、例えば、ひげトリマ機、毛クリッパ、又はシェービング装置のような毛切断装置であるが、歯ブラシ、ミキサーのような台所用具及び電気ナイフ又は鋸、並びにガーデニング又は生け垣の切断装置及びのこぎりもある。それらは通常、往復運動を行う切断具の第1の部分を含み、それはモータの回転軸への接続によってもたらされる。切断具の第2の部分は、筐体に接続され、それによって、切断具の第1の部分の、切断具の第2の部分に対する第1の方向への移動を生じさせても良い。モータは上側から筐体に取り付けることができる。機器の形態や機能に応じて、モータを下側から筐体に取り付けることもできる。
【0041】
また、モータ固定要素と封止懸架要素を一体化するなど、要素の数を削減したモータ懸架装置を実現することができる。
【0042】
上記の態様のいずれかによって提供される利点は、他の態様の全てに等しく適用され、その逆も同様である。
【0043】
要約すると、本発明は、電気装置の筐体に対するモータの堅固且つ水密な装着のためのモータ懸架装置、斯かるモータ懸架装置を有する電気装置、及び斯かるモータ懸架装置を備えた電気装置を有する毛切断装置に関する。該モータ懸架装置は、モータ固定要素、封止懸架要素、及びモータ軸封止部を有する。該モータ軸封止部は、一方向における筐体に対するモータの堅固な接続を提供し、一方で該筐体を変形させないための別の方向における幾分かの柔軟性を提供する。該封止懸架要素は、該筐体に対する流体密封接続を提供するよう構成され、該モータ軸封止部は、該モータの回転軸に対する該封止懸架要素の流体密封接続を提供するよう構成される。
【0044】
上記の態様及び実施例は、以下に記載される実施例から明らかになり、それを参照して説明される。以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の第1の実施例による、モータを電気装置の筐体に堅固且つ水密に取り付けるためのモータ懸架装置の模式的な構成を示す。
図2】本発明の第2の実施例による、モータを電気装置の筐体に堅固且つ水密に取り付けるためのモータ懸架装置の模式的な構成を示す。
図3】本発明の第3の実施例による、電気装置の筐体にモータを堅固且つ水密に取り付けるためのモータ懸架装置を有する電気装置の模式的な構成を示す。
図4】本発明の第3の実施例による、電気装置の筐体にモータを堅固且つ水密に取り付けるためのモータ懸架装置を有する電気装置の第1の断面図を示す。
図5(A)】本発明の第3の実施例による、電気機器の筐体にモータを堅固且つ水密に取り付けるためのモータ懸架装置を有する電気装置の第2の断面図を示す。
図5(B)】本発明の第4の実施例による、電気機器の筐体にモータを堅固且つ水密に取り付けるためのモータ懸架装置を有する電気装置の断面図を示す。
図6】本発明の第5の実施例による、モータを電気装置の筐体に堅固且つ水密に装着するためのモータ懸架装置を有する電気装置を有する毛切断装置の模式的な構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、本発明の第1の実施例による、モータ160を電気装置200の筐体170に堅固且つ水密に装着するためのモータ懸架装置100の模式的な構成を示す。モータ懸架装置100は、モータ160に接続可能なモータ固定要素110、封懸架要素120、並びに第1の封止面131及び第2の封止面132を持つモータ軸封止部130を有する。第1の封止面131は封止懸架要素120に接続され、第2の封止面132はモータ160の回転軸161に接続可能である。モータ160は、第1の方向140において筐体170に堅固な接続を提供するように構成された、モータ固定要素110に接続可能である。封止懸架要素120は、筐体170に流体密着接続を提供するように構成される。
【0047】
図2は、本発明の第2の実施例による、モータ160を電気装置200の筐体170に堅固且つ水密に装着するためのモータ懸架装置400の模式的な構成を示す。本発明のこの実施例においては、封止懸架要素120は、筐体170の一体化部分である。
【0048】
図3は、本発明の第3の実施例による、モータ160を電気装置200の筐体170に堅固且つ水密に装着するためのモータ懸架装置100を有する電気装置200の模式的な構成を示す。モータ160のステータ162は、モータ固定要素110に接続されている。モータ固定要素110は、モータ160の回転軸161と直交する方向に、電気装置200の筐体170に堅固な接続を提供する。該堅固な接続は、モータ固定要素110の外周面111の少なくとも一部に沿って、電気装置の筐体170の内周面171に形成される。封止懸架要素120は、封止懸架要素120の封止面121と筐体170の内周面171との間で圧縮された筐体封止部(123)と共に筐体に流体密着して接続される。モータ軸封止部130は、第1の封止面131と封止懸架要素120と、及び第2の封止面132とモータ160の回転軸161とが流体密に接続されている。
【0049】
図4は、本発明の第3の実施例による、電気装置200の筐体170にモータ160を堅固且つ水密に装着するためのモータ懸架装置100を有する電気装置200の第1の断面図を示す。第1の断面図のレベルは、図3にA-Aで示されている。図4は、封止懸架要素120の封止面121と筐体170の内周面171との間で圧縮されている筐体封止部123を示している。図に明確には描かれていないが、封止面121及び内周面171は、直線部分を備えず、それぞれ凸状及び凹状の形状を有する。モータ軸封止部130は、封懸架要素120とモータ固定要素110との間に固定される。モータ160の回転軸161は、モータ軸封止部130のオリフィスを通って延在する。
【0050】
図5Aは、本発明の第3の実施例による電気装置200の筐体170にモータ160を堅固且つ水密に装着するためのモータ懸架装置100を有する電気装置200の第2の断面図を示す。第2の断面図のレベルは、図3においてB-Bにより示される。図5は、モータ固定要素110の電気装置200の筐体170への堅固な接続150を示す。第1の接続部151及び第2の接続部152は、モータ固定要素110の外周面111の反対側に位置している。各接続部(151、152)において、モータ固定要素110は、傾斜面155を有する台形状の凹部153を有する。これらの凹部153は、筐体170の内周面171に形成された対応する突出部154を収容し、それによって第1の方向140に剛体のある連結部を形成している。第1の方向140に平行に延在し、モータ160の回転軸161と第1の接続部151及び第2の接続部152との間にそれぞれ位置する2つの貫通スロット112が、モータ固定要素110に形成されている。斯くして、凹部153は、第1の接続部151から第2の接続部152までの線に沿って可撓性を有し且つ移動可能であり、筐体170の変形なく、モータ固定要素110の筐体170への堅固な接続が提供される。
【0051】
図5Bは、本発明の第4の実施例による、電気装置200の筐体170にモータ160を堅固且つ水密に装着するためのモータ懸架装置100を有する電気装置200の断面図を示す。図5Aとは対照的に、図5Bは、突出部157がモータ固定要素110に配置されており、凹部156が筐体170に配置されていることを示している。
【0052】
図6は、本発明の第5の実施例による、電気装置200の筐体170にモータ160を堅固且つ水密に取り付けるためのモータ懸架装置100を有する電気装置200を有する毛切断装置300の概略構成を示す。毛切断装置300は、モータ160の回転軸161に駆動可能に接続されている切断具310と、筐体170に接続されている櫛形320とを更に有する。筐体170は、毛切断装置300の筐体内に一体化されても良く、封止懸架要素120及び回転軸161を越えて延在しても良い。切断具310の主切断方向は、第1の方向140と平行である。
【0053】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されてきたが、斯かる図示及び説明は、説明するもの又は例示するものであり、限定するものではないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施例に限定されない。開示された実施例に対する他の変形は、図面、開示、及び従属請求項の研究から、請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、達成されることができる。
【0054】
請求項において、単語「有する(comprising)」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a又はan)」は、複数を排除するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項において再引用されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0055】
100、400モータ懸架装置
110 モータ固定要素
111 外周面
112 貫通スロット
120 封止懸架要素
121 封止面
123 筐体封止部
130 モータ軸封止部
131 第1の封止面
132 第2の封止面
140 第1の方向
150 堅固な接続
151 第1の接続部
152 第2の接続部
153 モータ固定要素の凹部
154 筐体の突起
155 傾斜面
156 筐体の凹部
157 モータ固定要素の突出部
160 モータ
161 回転軸
162 ステータ
170 筐体
171 内周面
200 電気装置
300 毛切断装置
310 切断具
320 櫛
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6