(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】発射体発射装置
(51)【国際特許分類】
F41B 11/646 20130101AFI20220927BHJP
【FI】
F41B11/646
(21)【出願番号】P 2022512305
(86)(22)【出願日】2020-08-17
(86)【国際出願番号】 US2020046660
(87)【国際公開番号】W WO2021034760
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-03-22
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522066791
【氏名又は名称】トリコード ソリューションズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ウィッツィグルーター,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ペディチーニ,クリストファー
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-318297(JP,A)
【文献】特開2011-2200(JP,A)
【文献】米国特許第5261384(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0338751(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109211001(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0193993(US,A1)
【文献】米国特許第7984708(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41B 11/646
F41B 11/64
F41B 11/643
F41B 11/00
F41B 11/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射体発射装置であって、
電源と、
前記電源に電気的に接続されたモータと、
前記電源から前記モータへの電力供給を制御するように構成された制御回路と、
シリンダであって、前記シリンダ内にガス室を画定するように前記シリンダ内を往復運動可能なピストンを含み、前記ガス室はガスを収容できるシリンダと、
前記モータによって駆動され、前記ピストンに動作可能に結合され、前記ガス室内のガスを圧縮するために前記ピストンを前記シリンダ内で往復運動させるように構成されたバレルカム装置と、
ガススプリングであって、前記バレルカム及びピストンが往復運動させられると、前記ガススプリングが作動されるように、前記ピストン及びバレルカムに結合されたガススプリングと、
ブリーチアセンブリであって、
バレル、
前記バレル上に構成され、発射体を前記バレル内に受け入れることを可能にするように適合された発射体入口ポート、及び
ボルト、
を備えたブリーチアセンブリと
を備え、
前記ガス室内に受け入れられたガスは、前記バレルカムの回転により前記ピストンによって圧縮され、その結果前記圧縮されたガスは前記ガス室から前記バレル内に放出され、それによって前記圧縮されたガスは前記バレル内で膨張し、それによって前記発射体が前記バレルから発射される、
発射体発射装置。
【請求項2】
歯車減速機構をさらに備え、前記歯車減速機構は前記モータの回転運動を前記バレルカム装置に伝達することができる、請求項1に記載の発射体発射装置。
【請求項3】
前記ボルトを第1の位置と第2の位置との間で移動するために前記ボルトに結合されたボルト駆動機構をさらに備える、請求項1に記載の発射体発射装置。
【請求項4】
前記ボルト駆動機構が、
前記ボルトを前記第1の位置へ移動するように構成されたスプリング、及び
前記ボルトを前記第2の位置へ移動するようにバレルカム装置に動作可能に結合された第2のカム、
を備える、請求項3に記載の発射体発射装置。
【請求項5】
前記装置の動作サイクル中に前記制御回路が前記ピストン及び又はカムの少なくとも1つの位置を決定することを可能にするように構成された少なくとも1つのセンサをさらに備える、請求項1に記載の発射体発射装置。
【請求項6】
前記ガス室に結合された速度制御手段をさらに備え、前記速度制御手段はガスを前記ガス室から放出することを可能にするために調整されることができ、それにより前記発射体の速度を調整する、請求項1に記載の発射体発射装置。
【請求項7】
前記ガススプリングがさらに、前記モータのトルクを前記バレルカムに伝達して、前記バレルカムが回転すること及び直線的に並進して前記ガススプリングを作動することを可能にするローラをさらに備える、請求項1に記載の発射体発射装置。
【請求項8】
静止カムフォロワをさらに備え、前記カムフォロワは前記バレルカムが回転するときに前記バレルカムの直線運動を強制するために前記バレルカムに接触し、それによって前記ガススプリングを作動する、請求項1に記載の発射体発射装置。
【請求項9】
ワンウェイクラッチをさらに備え、前記ワンウェイクラッチは前記バレルカム装置の回転を一方向のみ可能にする、請求項1に記載の発射体発射装置。
【請求項10】
発射体発射装置であって、
電源と、
前記電源に電気的に接続されたモータと、
シリンダであって、前記シリンダ内を往復運動可能なピストンを備え、前記ピストンは前記シリンダ内にガス室を画定するシリンダと、
ガススプリングと、
前記モータによって駆動される直線運動変換器であって、前記ピストンに動作可能に結合され、前記ガス室内のガスを圧縮するために前記ピストンを前記シリンダ内で往復運動させるように構成された直線運動変換器と、
ブリーチアセンブリであって、
バレル、
前記バレル上に構成され、発射体を受け入れるように適合された発射体入口ポート、及び
前部及び後部を含むボルト、
を備えたブリーチアセンブリと
を備え、
前記ガス室内に受け入れられたガスは、前記作動されたガススプリングによって圧縮され、
前記バレル内で膨張する前記圧縮されたガスが、前記発射体を前記バレルから発射させる、
発射体発射装置。
【請求項11】
前記直線運動変換器がバレルカム、スライダクランク装置、ラックアンドピニオン装置、送りねじ装置及びクランクシャフトアンドコネクティングロッド装置のうちの1つである、請求項10に記載の発射体発射装置。
【請求項12】
歯車減速機構をさらに備え、前記歯車減速機構は前記モータの回転運動を前記直線運動変換器に伝達することができる、請求項10に記載の発射体発射装置。
【請求項13】
前記ボルトを第1の位置と第2の位置との間で移動させるために前記ボルトに結合されたボルト駆動機構をさらに備える、請求項10に記載の発射体発射装置。
【請求項14】
前記ボルト駆動機構が、
前記ボルトを前記第1の位置へ移動するように構成されたスプリング、及び
前記ボルトを前記第2の位置へ移動するように前記直線運動変換器に動作可能に結合されたボルトカム、
を備える、請求項13に記載の発射体発射装置。
【請求項15】
前記制御回路が、前記直線運動変換器のストローク中の前記シリンダ内の前記ピストンの位置、及び前記装置の動作サイクルの所定の位置の少なくとも1つを決定することを可能にするように構成された少なくとも1つのセンサをさらに備える、請求項10に記載の発射体発射装置。
【請求項16】
前記装置の前記ガススプリングがロッドシールをさらに備える、請求項10に記載の発射体発射装置。
【請求項17】
発射体発射装置であって、
電源と、
前記電源に結合されたモータと、
シリンダであって、前記シリンダ内を往復運動可能なピストンを備え、前記ピストンは前記シリンダ内にガス室を画定するシリンダと、
前記モータによって駆動される直線運動変換器であって、前記ピストンに動作可能に結合され、前記ガス室内のガスを圧縮するために前記ピストンを前記シリンダ内で往復運動させるように構成された直線運動変換器と、
ブリーチアセンブリであって、
バレル、
前記バレル上に構成され、発射体を受け入れるように適合された発射体入口ポート、
ボルト、
前記ボルトを第1の位置に移動するために前記ピストンに結合された磁石、及び
前記ボルトが前記磁石によって解放されると前記ボルトを第2の位置に移動するためのボルトスプリング
を備えたブリーチアセンブリと
を備え、
前記ガス室内に受け入れられたガスは圧縮され、
前記バレル内で膨張する前記圧縮されたガスが、前記発射体を前記バレルから発射させる、
発射体発射装置。
【請求項18】
前記直線運動変換器がバレルカム、スライダクランク装置、ラックアンドピニオン装置、送りねじ装置及びクランクシャフトアンドコネクティングロッド装置のうちの1つである、請求項17に記載の発射体発射装置。
【請求項19】
歯車減速機構をさらに備え、前記歯車減速機構は前記モータの回転運動を前記直線運動変換器に伝達することができる、請求項17に記載の発射体発射装置。
【請求項20】
前記制御回路が、前記直線運動変換器のストローク中の前記シリンダ内の前記ピストンの少なくとも1つの位置、及び前記装置の動作サイクルの所定の位置を決定することを可能にするように構成された少なくとも1つのセンサをさらに備える、請求項17に記載の発射体発射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年8月22日に提出された係属中の米国仮特許出願第62/890,465号の非仮出願であり、米国特許法第119条の下でその優先権を主張するものであり、前記仮特許出願の開示内容は参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は概して、機械的発射体発射装置に関し、より詳細には、電気モータにより駆動される直線運動変換器によって圧縮されたガスによって作動する発射体発射装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
エアライフル、空気銃、ペレットライフル、ペイントボールガン及びそれらに類するものなどの発射体発射装置の分野では、発展が見られている。ペイントボールガンは、長年にわたって周囲に存在しており、長年にわたって多数の進化的な変化が見られる。ペレット、BB弾、ペイントボールなどの発射体を発射する最も一般的な機構は、圧縮ガス又はスプリングのエネルギーを利用する。しかしながら、これらの発射体を発射するための従来技術において、様々な機構が記載されている。そのような機構は、炭酸ガスシリンダ又は他の高圧貯蔵タンクの形態の貯蔵された圧縮ガスの使用、発射体を押すために空気を圧縮するピストンを押すための強力なスプリングの使用、その後の放出のために空気を加圧するハンドポンプの使用、及びバレルから発射体を押すためのソレノイドプランジャ又は遠心力などの直接作用手段の使用を含む。上記のような機構は一般に、以下に説明するような多くの欠点を抱えている。
【0004】
炭酸ガスなどの貯蔵された圧縮ガスを利用する機構では、タンク、ガスチャンバ、キャニスタなどの貯蔵手段が必要である。貯蔵手段の使用は、貯蔵手段にガスを充填し、貯蔵手段に基づく発射体発射装置を運搬するという面倒な方法を伴う。さらに、このような貯蔵手段の使用は、発射体の安全な発射のために貯蔵された圧縮ガスの圧力を下げるために、レギュレータ、蒸発室、及び他の制御装置などの追加の機器を必要とする。このような追加の機器の必要性は、発射体発射装置のコストと複雑さを増大させる。貯蔵手段を使用する典型的な発射体発射装置において、発射体の速度は、貯蔵手段の温度に大きく依存し変化する。例えば、炭酸ガスの圧力は、炭酸ガスを含有するキャニスタの温度に依存する。さらに、大量の圧縮ガスを貯蔵した貯蔵手段は、貯蔵手段の故障により圧縮ガスが急に放出されることにより、潜在的な安全上の危険を引き起こす可能性がある。
【0005】
米国特許第6,516,791号明細書、同第6,474,326号明細書、同第5,727,538号明細書及び同第6,532,949号明細書は、発射体発射装置、特に銃の信頼性を向上させる、高圧ガス供給のポーティング及び制御の様々な方法を記載している。高圧ガス供給の制御は、例えば、バレル内の発射体の装填を容易にするためにボルトに送達される空気流、及びバレルから発射体を押し出す空気流などの空気流を区別することによって達成される。しかしながら、上記の米国特許はいずれも、大量の高圧ガスを銃内に貯蔵するという大きな不都合と安全上の潜在的危険性に悩まされている。さらに、これらの銃は、貯蔵された圧縮ガスの、推進方法により駆動される機構と結合された電子制御を組み合わせており、これは銃に使用される機構の固有の複雑さを増す傾向があり、また、コストと信頼性の問題を増加させる傾向がある。
【0006】
多くの異なるタイプのペレット、「BB弾」又は空気銃においてかなり長い間使用されてきた別の機構は、スプリングにエネルギーを蓄積する基本原理を有し、このスプリングは、その後、ガス、特に大気中に存在する空気を急速に圧縮するために解放される。この非常に圧縮された気体は、スプリングがピストンに作用することで発生し、発射体を高速でバレルから押し出す。このような機構の問題点としては、連続したショットの間にスプリングを「コック」する必要があり、それによってこのような銃が単発装置又は発射速度の低い銃に制限されることが挙げられる。さらに、スプリングの巻き戻しは、2重の反動効果をもたらす。第1の反動はスプリングの最初の前方移動によるものであり、第2の反動はスプリングがピストンをシリンダの端に激突させるときのものである(すなわち、前方反動)。
【0007】
スプリングを含む一般的な銃は、かなりのメンテナンスが必要であり、空撃ち(発射体なし)の場合、機構が損傷しやすい。最後に、このような「コッキング」に必要な労力は、しばしば相当なものであり、多くの個人にとって困難なものであり得る。これらの銃への言及は、米国特許第3,128,753号明細書、同第3,212,490号明細書、同第3,523,538号明細書、及び同1,830,763号明細書に見出される。また、ピストンを駆動するスプリングをコックするために電気モータを使用することを含め、上記の機構にさらなる変形が長年にわたって試みられてきた。この変形は、米国特許第4,899,717号明細書及び同第5,129,383号明細書に紹介されている。この変形は、コッキング労力の問題を解決するが、得られる空気銃は、依然として、複雑な機構、2重反動効果、及びこのようなスプリングピストンシステムに関連するメンテナンスの問題に悩まされている。スプリングを巻くためにモータを使用するさらなる機構は、Huに発行された米国特許第5,261,384号明細書及び同第6,564,788号明細書に記載されている。
【0008】
Huの特許には、スプリングを圧縮するモータが開示されており、モータはピストンに接続されている。スプリングがピストンを駆動して空気を圧縮し、発射体をバレルから押し出すように、スプリングは素早く解放される。この実践形態は依然として、スプリングピストンシステムに固有の同様の限界に悩まされている。Huは、上記の特許の中で、スプリングを巻くためにモータを使用することを記載している。具体的には、発射体を高速でバレルから押し出すためには、発射体に対して空気をスプリングで素早く圧縮する必要がある。そのためには、ピストンが解放されるときに空気を素早く圧縮するための強力なスプリングが必要である。このようなシステムのスプリングは、高い応力を受ける機械的な要素であり、破損しやすく、また空気銃の重量を重くする。Huの特許のさらなる欠点は、全負荷時にスプリングがラックピニオンから解放されるため、歯車の歯先が激しいチップローディングを受けることである。このため、機構、特に歯車の歯に大きな応力と摩耗が生じる。これは市販されているそれらの銃の主要な不満点であり、この機構の主要な信頼性の問題である。
【0009】
このタイプの機構のさらなる欠点は、より大きな発射体又は高い発射速度を必要とする発射体の発射のために、はるかに増加した摩耗及び前方反動が発生することであり、これはピストンがシリンダの前端に衝突する結果である。空撃ちでは、ピストンがシリンダの面に衝突するため、機構が破損する可能性がある。Huは、空気をバレル内に導き、発射体入口ポートへの流入を最小限に抑える必要があるため、事実上すべての玩具銃に共通するブリーチシャットオフの使用について記載している。さらに、Huは、上記の特許において、特に空気圧縮弁を組み込んでいない。これは、その後の放出のためにピストンが空気を圧縮するための制限弁である。したがって、前方反動、高い摩耗、及び低出力は、この種の機構における欠点である。同様の言及は、米国特許第1,447,458号明細書に見ることができ、これは、空気を圧縮して発射体を推進するために、スプリングを巻き、次にピストンへ送達することを示す。この場合、装置は非携帯用である。
【0010】
空気を加圧するためにハンドポンプを使用する追加の機構は、下位モデルの装置でよく使用される。このような機構の使用は、十分な発射体の発射速度のために十分な空気供給を蓄積するために、2回から10回の間で空気をポンピングする必要があることに悩まされる。このため、この場合も、ペイントボールガンなどの銃は、遅い発射速度に制限される。さらに、空気が圧縮されるときと、圧縮された空気が発射体に放出されるときとの間の遅延のために、発射体の発射速度にばらつきが生じる。
【0011】
さらに、米国特許第2,568,432号明細書及び同第2,834,332号明細書には、ソレノイドを用いてピストンを直接動かし、空気を圧縮して発射体をバレルから発射させる機構が記載されている。この機構は、銃を発射するために手動でチャンバをポンピングするという明白な問題を解決する一方で、この機構を組み込んだ装置は、圧縮された空気に十分なエネルギーを蓄えることができないことに悩まされる。ここでソレノイドは非効率的な装置であり、その動作により圧縮空気の非常に限られた量のエネルギーしか変換することができない。さらに、この機構はスプリングピストン機構と同様に圧縮空気を直接発射体に当てるため、空気が圧縮され始めると発射体が動き出す。このため、ソレノイドが圧縮空気にエネルギーを蓄えることができる時間は非常に短く、したがってこれらの装置は低エネルギー銃向けである。
【0012】
設計を改善するために、圧縮ストロークの間に発射体の著しい移動を防止するために、ピストンは極めて速い時間枠で作動しなければならない。この結果、ピストン質量が停止しなければならないので、望ましくない2重反動効果をもたらすスプリングピストン設計に類似した非常に適したピストン質量になる。さらに、この機構が空撃ちに見舞われると、空気がバレルを介して大気に伝達され、機構に損傷を与える。このアプローチの別の変形が米国特許第1,375,653号明細書に開示されており、これはピストンに対して作用するソレノイドの代わりに内燃機関を使用するものである。これは、十分なパワーの問題を解決するものであるが、内燃機関を使用することは、燃焼駆動銃となるため、もはやエアライフルとは見なされなくなる。さらに、内燃機関の使用は、複雑さや発射シーケンスの制御の困難さなど、前述の欠点に悩まされる。
【0013】
Swisherに発行された米国特許第4,137,893号明細書及び同第2,398,813号明細書は、貯蔵タンクに結合された空気圧縮機を使用する空気銃を開示し、この貯蔵タンクは、次に空気銃に結合される。これは2重反動効果の問題を解決するが、この構成は、空気を圧縮する非効率性と大きなタンク容積の要件のために、依然として携帯用システムには適していない。このタイプの空気銃は、既存のペイントボールガンとよく似ており、空気は空気タンクから供給され、必要に応じて圧縮されることはない。このような方法で空気を使用することは非効率的であり、圧縮空気のエネルギーの多くが冷却によって空気タンクを通して環境に失われるため、携帯用には適さない。圧縮空気のエネルギーの40%以上(圧縮比による)が熱として蓄積され、空気が冷却されると仕事をするために失われる。さらに、発射体の発射速度が制御されるように空気タンクからの空気圧を調節するために、さらなる複雑さと費用が必要とされる。上述した機構の変形例として、米国特許第1,743,576号明細書に記載されているような直接空気圧縮機の使用がある。この場合も、圧縮手段と発射体の間の空気の体積が大きいため、圧縮空気のエネルギー、特に圧縮熱の多くが失われ、非効率的な動作につながる。さらに、米国特許第1,743,576号明細書は、連続作動装置を教示しているが、この装置は、かなりのロック時間(発射を開始するために引き金を引いてから発射体がバレルから離れるまでの時間)と、半自動モード又は単発モードで作動できないことに悩まされる。さらに、この機構の欠点は、通常の動作中に逆止弁の解放と再着座によって引き起こされる圧縮空気の脈動特性を含む。
【0014】
米国特許第1,343,127号明細書と同第2,550,887号明細書には、発射体への直接機械的作用を利用する機構が開示されている。このアプローチの制限は、エネルギーの伝達が衝撃ハンマーと発射体の間で極めて速く行われなければならないので、高い発射体速度を達成することが困難であることを含む。さらにこの機構には、ソレノイドのプランジャが停止し、次の発射体のために戻ってくるため、大きな衝撃を吸収する必要があるなどの制限がある。このため、2重反動や前方反動が発生する。ソレノイドプランジャは移動質量のかなりの割合を占めるので(すなわち、ソレノイドプランジャはしばしば発射体の重量を超える)、この種の装置は非常に非効率的であり、おもちゃなどの目的のために低エネルギー空気銃で必要とされるものなど、低速度に限定される。この方法の変形は、米国特許第4,694,815号明細書に開示されたものを含み、この場合、衝撃ハンマーは、発射体に接触するスプリングによって駆動される。スプリングは電気モータを介して「コック」されるが、やはり、これは先に述べた制限を克服するものではない。
【0015】
現在利用可能な発射体発射装置のすべては、以下の欠点のうちの1つ又は複数に悩まされている。これらの欠点は限定することなく以下を含む。スプリングのコッキング又は空気室のポンプアップによる手動操作、これらの発射体発射装置において単一発射、半自動機構、バースト又は自動モードを選択的に実行することの難しさ。さらに、安全上の危険性である高圧ガス又は炭酸ガスシリンダの補充、輸送及び使用に関連する不便さ、安全性及び一貫性の問題。さらに欠点は以下を含む。一般的な空気圧縮機から供給される圧縮空気に関連する、これらの発射体発射装置の非携帯性及び低効率。電気的に作動するスプリングピストン設計などのスプリングピストンに関連する前方反動効果、高い摩耗、及び空撃ち損傷。スプリングピストン設計の電気的な巻き取り及び解放に関連する複雑な機構は、信頼性の問題を有する高価な機構に帰結する。また、発射体に対する圧縮空気の非効率的な使用及び/又は結合は、発射体を高速で発射する能力を制限する。
【0016】
従って、先行技術のすべての利点を含み、そこに内在する欠点を克服する発射体発射装置の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0017】
先行技術に内在する前述の欠点に鑑み、本開示の一般的な目的は、先行技術のすべての利点を含み、そこに内在する欠点を克服する、発射体発射装置を提供することである。
【0018】
上記の目的に照らして、本開示の一態様において、発射体発射装置が提供される。発射体発射装置は、電源、モータ、制御回路、シリンダ、ピストン、ギアボックス、バレルカム、ガススプリング、及びブリーチアセンブリを含む。モータは、電源に電気的に接続されている。制御回路は、電源からモータへの電力供給を制御するように構成される。バレルカムは、モータによって駆動される。バレルカムは、ピストンに動作可能に結合され、ピストンをシリンダ内で往復運動させ、ガススプリングを作動するように構成されている。ガススプリングが完全に作動されると、バレルカムはピストンを解放し、シリンダ内に圧力を発生させる。ピストンがシリンダ内で往復運動することにより、シリンダ内にガスが収容されるガス室が画定される。
【0019】
ブリーチアセンブリは、バレル、少なくとも1つの発射体入口ポート、及びボルトを含む。発射体入口ポートは、バレル上に構成され、バレル内に発射体を受け入れるように適合されている。ボルトは前部及び後部を含む。ボルトは、追加のバレルカムに動作可能に結合され、第1の位置と第2の位置との間を往復することが可能である。第1の位置では、ボルトは、ボルトの前部が発射体入口ポートを遮断するようにバレル内に部分的に受け入れられるように構成され、第2の位置では、ボルトは、発射体が発射体入口ポートからバレルに入ることを可能にするように構成される。ガス室内に受容されたガスは、ピストンバレルカム装置の一回転でピストンによって圧縮される。圧縮されたガスは、ガス室からバレル内に放出され、それによって、圧縮されたガスがバレル内で膨張し、それに応じて、バレルカム装置の一回転で発射体がバレルから発射される。
【0020】
一実施形態において、装置は、装置から発射される発射体の速度を調整するための速度制御手段を備える。一実施形態において、速度制御手段は、ガス室に動作可能に結合されるブリードバルブを備える。ブリードバルブは、ガス室からガスを放出させることができ、それによって、ガス室内の圧力を低下させ、それに応じて、装置によって発射される発射体の速度を調節することができる。
【0021】
別の態様において、本開示は、電源と、モータと、制御回路と、シリンダと、ピストンと、ギアボックスと、バレルカムと、磁気的に作動するボルト装置とを含む、発射体発射器具を提供する。モータは、電源に電気的に接続されている。制御回路は、電源からモータへの電力供給を制御するように構成されている。バレルカムとピストンアセンブリは、モータによって駆動される。少なくとも1つの磁石が、ピストンに動作可能に結合され、ボルトをブリーチ内で往復運動させて、発射体が発射体入口ポートからバレルに入ることを可能にするように構成されている。ピストンがシリンダ内を往復するとき、ボルトのストローク端に達するまでボルトを引いて開ける。このとき磁石が離脱し、ボルトスプリングがボルトを前に押し出し、発射体を装填し、バレルを密閉する。
【0022】
ブリーチアセンブリは、バレル、発射体入口ポート、及びボルトを含む。発射体入口ポートは、バレル上に構成され、発射体を受け入れるように適合されている。ボルトは、前部と後部とを含む。ボルトは、直線運動変換器に動作可能に結合され、第1の位置と第2の位置との間を往復することが可能である。第1の位置において、ボルトは、ボルトの前部が発射体入口ポートを遮断するようにバレル内に部分的に受け入れられるように構成され、第2の位置において、ボルトは、発射体が発射体入口ポートからバレルに入ることを可能にするように構成される。圧縮弁装置は、シリンダとバレルの間に動作可能に配置される。
【0023】
これらは、本開示の他の態様と共に、本開示を特徴付ける新規性の様々な特徴と共に、本明細書に添付された特許請求の範囲において具体的に指摘され、本開示の一部を構成している。本開示、その動作上の利点、及びその使用によって達成される特定の目的のより深い理解のために、本開示の例示的な実施形態が示されている添付の図面及び記載事項を参照されたい。
【0024】
本開示の利点及び特徴は、添付の図面と併せて読まれる以下の詳細な記載及び請求項を参照することにより、より深く理解されるであろう。図面中、同様の要素は同様の記号で識別される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の例示的な実施形態による、発射体発射装置の等角図を示す。
【
図2】本開示の例示的な実施形態による、発射体発射装置の縦断面図を示す。
【
図3】本開示の例示的な実施形態による、発射体発射装置の部分断面図を示す。
【
図4】本開示の例示的な実施形態による、ガススプリング、バレルカム及びピストン構成の等角図及び断面図を示す。
【
図5】本開示の例示的な実施形態による、ピストンの解放及び発射体の発射後の動作サイクルの部分等角図を示す。
【
図6】本開示の例示的な実施形態による、発射体がブリーチに入ることを可能にするために後退するボルトを示す動作サイクルの部分等角図である。
【
図7】本開示の例示的な実施形態による、バレルカムがガススプリングを作動している間にボルトが引き込まれた状態を示す動作サイクルの部分等角図である。
【
図8】本開示の例示的な実施形態による、第2のバレルカムがボルトを解放した後、及びガススプリングが完全に作動されている間の動作サイクルの部分的等角図を示す。
【
図9】本開示の例示的な実施形態による、
図8の断面図を示す。
【
図10】本開示の例示的な実施形態による、回転の位置を決定するセンサの位置を示す。
【
図11】本開示の例示的な実施形態による、磁気ボルト装置のために構成されたブリーチアセンブリの縦断面図を示す。
【
図12】本開示の例示的な実施形態による、ピストンに結合された磁石を有するバレルカム及びピストンの等角図を示す。
【
図13】本開示の例示的な実施形態による、ピストンの解放後、及び磁気ボルト装置を利用した発射体の発射後の動作サイクルを示す部分等角図である。
【
図14】本開示の例示的な実施形態による、ピストンが後退してガススプリングを作動する際に磁気ボルトが後退することを示す動作サイクルの部分等角図を示す。
【
図15】本開示の例示的な実施形態による、磁石がボルトを解放した後、及びガススプリングが完全に作動されている間の動作サイクルの部分等角図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
同様の参照番号は図面のいくつかの見た目の記載を通して同様の部品を指す。
【0027】
説明のために本明細書に詳細に記載された例示的な実施形態は、構造及び設計において多くの変形の対象となる。しかしながら、本開示は、図示及び記載されるような特定の発射体発射装置に限定されないことが強調されるべきである。状況が好都合を示唆又は示すとき、様々な省略及び等価物の置換が企図されるが、これらは、本開示の請求項の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その適用又は実施を網羅することが意図されることが理解される。
【0028】
本明細書における「第1」、「第2」及び同様の用語は、順序、数量、重要性を示すものではなく、ある要素を他の要素と区別するために使用され、本明細書における「a」及び「an」という用語は、数量の限定を示すものではなく、言及されるアイテムの少なくとも1つの存在を示すものである。
【0029】
本開示は、ペレット、BB弾、矢、ダーツ、及びペイントボールなどの発射体を発射するための発射体発射装置を提供する。発射体発射装置は、モータによって駆動される直線運動変換器と、直線運動変換器に結合され、シリンダ内で往復運動可能なピストンと、ガススプリングと、ブリーチアセンブリとの構成であり得る。直線運動変換器によって往復運動が引き起こされるピストンは、シリンダ内でガスを圧縮し、この圧縮ガスは、ブリーチアセンブリのバレルに伝達される。圧縮ガスは、発射体(この発射体はバレル内に装填されている)を、高い速度(又は本明細書の他の箇所に記載されているように調整された速度)で発射するために、ブリーチアセンブリのバレル内で膨張する。
【0030】
図1は、本開示の例示的な実施形態による、発射体発射装置1000の等角図である。発射体発射装置1000は、スタートスイッチ、電源、モータ101、制御回路、歯車減速機構102、シリンダ105、直線運動変換器110(本明細書中、直線運動変換器110はバレルカムであるので、以下「直線運動変換器110」は「バレルカム110」と交換可能に呼ばれる)、ガススプリング100、ハンドル103及びブリーチアセンブリ128を含む。発射体発射装置1000は、直線運動変換器110に結合されたピストン109の往復運動に起因してシリンダ105内で圧縮されたガスの助けを借りてブリーチアセンブリ128のバレル104から発射体を発射することができる。
図2は、例示的な装置1000の断面図を示す。
【0031】
発射体発射装置1000の動作サイクルは、装置の起動スイッチのONを押すことで開始することができる。電源は、制御回路を介してモータ101に電力を供給するように構成されている。具体的には、モータ101は、制御回路を介して電源に電気的に接続されている。制御回路は、発射装置1000の発射体発射装置1000の動作サイクルを開始する目的でモータ101に電力を接続することが可能な任意の電子ベースの装置であり得る。制御回路は、さらに、発射体発射装置1000の動作サイクルが完了した後、モータ101への電力を切断することが可能である。本明細書中、発射体発射装置1000の動作サイクルとは、起動スイッチONを一旦押下することにより、発射体発射装置1000のバレル104から発射体を発射することに関与する動作を示す。モータ101は、電源がONにされると、回転運動を生じ、モータ101の回転運動は、歯車減速機構102を介して、直線運動変換器110の運動に伝達される。
【0032】
図1に示すような本開示の例示的な実施形態では、歯車減速機構102は、遊星歯車及びリングギアなどの複数の歯車を含む。歯車減速機構102は、モータ101の回転運動を直線運動変換器110の運動に移行するように構成される。本明細書中、例示的な表現のため、歯車は
図1において遊星歯車として表されている。しかしながら、歯車は、ヘリカルギア、ベベルギア及びフェースギアなどの他のタイプの歯車を含み得ることは、当業者には明らかであろう。さらに、歯車減速機構102は、モータ101の回転運動を直線運動変換器110の運動に移行することができる複数のそのような歯車又はそのような歯車の組み合わせを含み得る。
【0033】
本明細書中、直線運動変換器110はバレルカム(以下、「バレルカム110」という)として表されているが、当業者には、直線運動変換器110は、モータ101の回転運動を任意の要素の直線往復運動に変換する任意の適切な機構であり得ることは明らかであろう。例えば、直線運動変換器は、ラックアンドピニオン装置、送りねじ装置及びクランクシャフトアンドコネクティングロッド装置などの他の装置を含み得る。
【0034】
バレルカム装置は、バレルカム110(例えば、
図4及び
図5に示す)及び固定フォロワアセンブリ108(例えば、
図3及び
図5に示す)を含む。フォロワアセンブリ108は、フォロワ130(例えば
図5に示す)及びフォロワ軸受129(例えば
図9に示す)を含む。一実施形態において、装置は、静止カムフォロワをさらに含み、このカムフォロワは、バレルカムが回転すると直線運動を強制するためにバレルカムに接触し、それによってガススプリングを作動することができる。
【0035】
バレルカム110はさらにピストン109(例えば、
図5及び
図9に示す)に結合され、ピストン109はシリンダ105内に部分的に配置される。バレルカム110の回転により、固定フォロワアセンブリ108がバレルカム110上を転動する際に、バレルカム110及びピストン109がシリンダ105内で往復運動することが可能となる。
【0036】
バレルカム110とピストン109は、例えば
図6に示すように、ガススプリング100にさらに結合される。ガススプリング100は、バレルカム110とピストン109がシリンダ105内を往復運動する際に作動される。ガススプリング100は、ガススプリングシリンダ117、ガススプリングエンドキャップ及び充填口118、ガススプリングシール119及びガススプリングピストン120(例えば、
図4に示す)から構成されている。ガススプリングピストン120は、ピストン109に動作可能に結合される。ガススプリングシリンダ117は、その中にガスを収容することが可能である。ガススプリングシリンダ117は、100及び5000psiの範囲内で加圧される。一実施形態において、ガススプリングは、ガススプリングのピストン上に配置されたロッドシールをさらに備える。
【0037】
次に、
図3、
図5、
図6、
図7及び
図8を参照すると、ブリーチアセンブリ128は、ブリーチ107及びボルト106から構成される。発射体がブリーチアセンブリに入ることを可能にするために、ボルト106は、ブリーチ107内で往復運動しなければならない。ボルト106の往復運動は、ボルト駆動機構によって達成される。一実施形態において、この機構は、ボルト106をボルトロッド113に結合することを含む。一実施形態において、機構は、ボルトロッド113がボルトフォロアアセンブリ112に動作可能に結合されることをさらに含む。一実施形態において、ボルトフォロアアセンブリ112は、ボルトアセンブリスプリング116によって前方に付勢され得る。ボルト106、ボルトロッド113、及びボルトフォロアアセンブリ112は、すべて動作可能に結合され、一緒に動く。一実施形態において、ボルトフォロアアセンブリ112は、第2の直線運動変換器と接触している。例示的な実施形態では、第2の直線運動変換器は、ボルトバレルカム111を備える。ボルトバレルカム111、ガススプリング100、バレルカム110、及びピストン109は、すべて一緒に回転することが可能である。ボルトバレルカムが回転すると、ボルトフォロアアセンブリ112、ボルトロッド113及びボルト106を往復運動させて、発射体がブリーチ107に入ることを可能にし、その後、ガススプリング100がその蓄積エネルギーを解放して発射体を発射する前にブリーチ内にボルトを封じ込める。
【0038】
図4を参照すると、例示的なガススプリング100が描かれている。ガススプリングピストン120は、ピストン109に結合される。
図4はまた、ピストン109のバレルカム110への結合を描いている。また、ガススプリング100は、駆動ローラ121を組み込み得る。駆動ローラ121は、バレルカム110と係合して、バレルカム110の回転及び直線往復の両方を可能にし得る。例えば、ローラ121は、モータのトルクをバレルカムに伝達して、バレルカムが回転すること及び直線的に並進してガススプリングを作動することを可能にし得る。ガススプリング100が回転すると、バレルカム110はフォロワアセンブリ108(例えば、
図5、6、7及び8に示す)と接触し、バレルカム110をシリンダ105内で直線的にスライドさせる。この運動は、バレルカム110がフォロワ130から離脱するまでガススプリング100を作動し、それによってピストン109とバレルカム110がガススプリング100から離れ、ピストン109の前で空気を圧縮することを可能にする。この圧縮された空気は、ボルト106及びバレル104を通って移動し、発射体を発射する。
【0039】
本開示の好ましい実施形態において、例示的な全サイクルが、
図5、6、7及び8に描かれている。
図5は、発射体が発射された直後の本開示の動作要素を描写している。ガススプリング100は作動されておらず、ボルト106はバレル104内に封じ込められている。ガススプリング100がギアボックス102及びモータ101を介して
図6で回転し始めると、フォロワ130がバレルカム110上を転動し、ガススプリング100を作動し始める。また、ボルトバレルカム111が回転し、ボルトフォロアアセンブリ112を往復運動させる。これによりボルトアセンブリスプリング116が作動され、ボルト106を直線的に動かし、ブリーチ107を開き、発射体を進入させることができる。
図7は、要素が回転するときのサイクルを継続する。
図7において、ボルトは完全に開いており、発射体がブリーチ107に入るのに十分な時間、開いた位置に維持される。この実施形態では、ボルト106は、少なくとも45度、好ましくは300度までの回転の間、その完全に開いた位置で維持される。(ボルト106をそのように維持するカムのこのセクションは、本明細書ではドウェルと呼ばれる)。一実施形態では、好ましいドウェルは180度より大きい。回転の各度は、バレルカム110が直線的に移動するにつれて、ガススプリング100をより多く作動させる。
図8において、ボルトフォロアアセンブリがボルトバレルカム111から離脱し、ボルトアセンブリスプリング116がボルト106を前進させて発射体を発射準備が整ったバレル104内に封じ込めることを可能にするとき、ボルトバレルカム111のドウェルは完了する。
図8は、ガススプリング100の最大作動状態を描いており、フォロワ130は、バレルカム110から離脱しようとしている。この作動状態は、
図9にも示されている。次の数度の回転でバレルカム110が解放され、ブリーチ107に向かって往復運動できるようになり、それによってピストン109の前の空気が圧縮されて発射体が発射される可能性がある。
【0040】
動作サイクルは、上述したシーケンスの間の任意の時点で停止させることができる。しかしながら、サイクルの好ましい停止点及び開始点は、
図7に描かれている。これは、ボルト106がサイクルの間に開放位置にあるため好ましい。サイクルが再開されるとき、サイクルを開始してからわずか数度の回転で発射体を発射することができるため、これはさらに好ましい。これにより、ユーザには感知できない経過時間が生じる。つまり、ユーザは発射体の発射が即座に行われたと解釈する。サイクルの開始から発射体の発射までの時間は、好ましくは120msec未満、より好ましくは50msec未満である。サイクルの停止は、
図10に示すようにセンサ22を使用することによって達成することができる。一実施形態では、センサは、サイクル内の予め決められた位置を決定し、制御回路に通信してモータから電力を除去し、サイクルを停止させる。サイクルが停止すると(
図7に見られるように)、バレルカム111は、フォロワ130と係合する位置にある間に停止する。この係合により、バレルカム111には、カムの回転を「バックドライブ」させようとする回転力が発生する。これを防ぐために、ワンウェイクラッチ115、又はバレルカム111の平坦部を用いて、その位置を保持する。ワンウェイクラッチ115は、モータ、ギアボックス又はガススプリング100を含む回転システムのどこにでも配置することができる。好ましい実施形態では、それは、
図3に描かれているように、ガススプリング100上に配置される。ワンウェイクラッチ115は、ローラクラッチ、スプラグクラッチ、ラチェット及び爪、又は移動止め等のうちの1つであり得る。
【0041】
本開示の別の実施形態では、ボルトは、カムの代わりに磁石と結合される。この実施形態は、
図11~
図15に描かれている。一実施形態において、装置は、ブリーチアセンブリを備える。ブリーチアセンブリは、バレルと、バレル上に構成された発射体入口ポートとを備えてもよく、発射体入口ポートは発射体を受け入れるように適合されている。一実施形態において、また本明細書でより詳細に記載されるように、ボルトは、ボルトを第1の位置に移動させるためにピストンに結合された磁石と、ボルトが磁石によって解放されるとボルトを第2の位置に移動させるボルトスプリングとを含み得る。
【0042】
図11は、ブリーチ107の内部に位置する磁石ボルト123を描いている。磁石ボルト123は、磁石ボルトスプリング124によって前方に(すなわち、バレルの方に)付勢される。磁石ボルト123の遠位端には、磁石ボルトプレート126がある。磁石ボルトプレート126とブリーチ107との間には、ボルトプレートバンパ125がある。この実施形態では、磁石127は、ピストン109に動作可能に結合されている。ピストンがその最も前方の位置にあるとき(
図13に描かれているように)、磁石127は磁石ボルトプレート126に引き付けられ、磁石ボルト123がピストン109と共に動くときに磁石ボルトスプリング124を作動するのに十分な力でそれらを一緒に保持する。ピストン109が移動してガススプリング100を作動するサイクルが続くと、磁石ボルト123が一緒に移動する(
図14に見られるように)。これにより、ブリーチ107内の磁石ボルト123が移動し、磁石ボルトスプリング124を作動して、発射体がブリーチ107に進入する。ピストン109がガススプリング100を作動し続けると、
図15に示すように、磁石127が磁石ボルトプレート126から離脱する。離脱すると、磁石ボルトスプリング124が磁石ボルト123を動かし、発射体を装填し、バレル104に封入する。この時点で、サイクルの残りの部分は、発射体を発射するために完了することができる。
【0043】
本開示の特定の実施形態の前述の記載は、例示及び記載の目的で提示されたものである。それらは、網羅的であることも、開示された正確な形態に本開示を限定することも意図しておらず、明らかに多くの修正及び変形が、上記の教示に照らして可能である。実施形態は、本開示の原理及びその実用的な適用を最もよく説明し、それによって当業者が、企図される特定の用途に適するように種々の修正を加えて本開示及び種々の実施形態を最もよく利用できるようにするために選択及び記載されたものである。状況が好都合を示唆又は示し得るとき、様々な省略及び等価物の置換が企図されるが、それらは、本開示の請求項の趣旨及び範囲から逸脱することなく適用又は実施を網羅することを意図していることが理解される。