(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】ワークライフバランス支援システム、その方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220928BHJP
【FI】
G06Q30/02 322
(21)【出願番号】P 2017203352
(22)【出願日】2017-10-20
【審査請求日】2020-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】大月 梨沙
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-259856(JP,A)
【文献】特開2008-257608(JP,A)
【文献】特開2001-344536(JP,A)
【文献】特開2003-141427(JP,A)
【文献】特開2005-078301(JP,A)
【文献】特開2001-350868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業又は国若しくは地方公共団体(以下、企業等)におけるワークライフバランス施策を支援するワークライフバランス支援システムであって、
カード会社のシステムが、
前記企業等と提携店舗の提携登録を受け付ける提携登録受付部と、
前記企業等と前記提携店舗の組み合わせごとに、前記企業等の従業員のワークライフバランスのための施策として前記従業員に付与されたワークライフバランス・ポイントの少なくとも時間帯を含む使用条件を定めたワークライフバランス条件を格納するワークライフバランス条件格納部と、
前記従業員が前記提携店舗において、前記カード会社のカードで決済する際に、前記ワークライフバランス条件に合致するか否かを判定するワークライフバランス条件判定部と、
前記ワークライフバランス条件に合致すると判定され、前記ワークライフバランス・ポイントを使用したことを前記企業等に通知するワークライフバランス・ポイント通知部と、
を備えることを特徴とするワークライフバランス支援システム。
【請求項2】
企業又は国若しくは地方公共団体(以下、企業等)におけるワークライフバランス施策を支援するワークライフバランス支援システムであって、
前記企業等と提携する提携店舗のシステムが、
前記企業等ごとに、前記企業等の従業員のワークライフバランスのための施策として前記従業員に付与されたワークライフバランス・ポイントの少なくとも時間帯を含む使用条件を定めたワークライフバランス条件を前記企業等のシステムと共有し、
前記従業員が前記提携店舗において、前記企業等の従業員であることを示すカードを提示した際に、前記ワークライフバランス条件に合致するか否かを判定するワークライフバランス条件判定部と、
前記ワークライフバランス条件に合致すると判定され、前記ワークライフバランス・ポイントを使用したことを前記企業等に通知するワークライフバランス・ポイント通知部と、
を備えることを特徴とするワークライフバランス支援システム。
【請求項3】
企業又は国若しくは地方公共団体(以下、企業等)におけるワークライフバランス施策を支援するワークライフバランス支援システムであって、
前記企業等のシステムが、
提携店舗ごとに前記企業等の従業員のワークライフバランスのための施策として前記従業員に付与されたワークライフバランス・ポイントの少なくとも時間帯を含む使用条件を定めたワークライフバランス条件を格納するワークライフバランス条件格納手段と、
前記従業員が前記提携店舗において、前記企業との従業員であることを示すカードを提示した際に、前記提携店舗のシステムが前記ワークライフバランス条件を前記企業等のシステムと共有し、当該使用条件に合致すると判定したことに応じて、前記ワークライフバランス・ポイントが使用されたことを前記提携店舗
のシステムから受信するワークライフバランス・ポイント使用量受信手段と、
を備えることを特徴とするワークライフバランス支援システム。
【請求項4】
前記ワークライフバランス条件を前記提携店舗又は前記
カードを発行したカード会社に送信する手段を、更に備えることを特徴とする請求項3に記載のワークライフバランス支援システム。
【請求項5】
前記カードは、カード決済機能付社員証であり、前記カード決済機能付社員証が前記企業等の入退館ゲートを通過した際に入退館時刻が記録され、前記入退館時刻を前記ワークライフバランス条件の判定条件に含むことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のワークライフバランス支援システム。
【請求項6】
前記ワークライフバランス条件は、前記提携店舗の比較的空いている時間帯に適用可能とすることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のワークライフバランス支援システム。
【請求項7】
前記ワークライフバランス条件は、前記従業員の属性によって変化させることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載のワークライフバランス支援システム。
【請求項8】
前記従業員の自宅
及び家族を、仮想的な提携店舗とみなし、前記企業等のシステムの提携店舗管理部に登録可能とし、前記従業員が家族サービスを行ったときに
、前記企業等のシステムが当該家族からの情報を受け付けるこことを特徴とする請求項
3から7までのいずれか1項に記載のワークライフバランス支援システム。
【請求項9】
企業又は国若しくは地方公共団体(以下、企業等)におけるワークライフバランス施策を支援するための方法であって、
カード会社のシステムが、
前記企業等と提携店舗との提携登録を受け付けるステップと、
前記企業等と前記提携店舗の組み合わせごとに、前記企業等の従業員のワークライフバランスのための施策として前記従業員に付与されたワークライフバランス・ポイントの少なくとも時間帯を含む使用条件を定めたワークライフバランス条件を格納するステップと、
前記従業員が前記提携店舗において、前記カード会社のカードで決済する際に、前記ワークライフバランス条件に合致するか否かを判定するステップと、
前記ワークライフバランス条件に合致すると判定され、前記ワークライフバランス・ポイントを使用したことを前記企業等及び前記提携店舗に通知するステップと、
を実行することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業等におけるワークライフバランス施策を支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ワークライフバランスが重要視されている。ワークライフバランス(Work-Life Balance、以下「WLB」と略すことがある。)とは、「仕事と生活の調和」と訳され、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を持ちながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる」ことを指す。そのため、2017年に日本国政府と経済界が提唱した個人消費喚起キャンペーンであるプレミアムフライデーがスタートしている。また、各企業でも長時間労働の削減のため、様々な施策を実施している。
【0003】
一方、多機能ICカードの普及が進んでいる。多機能ICカードとは、一枚のICカードに複数の機能を持たせたものである。例えば、クレジットカード機能に、キャッシュカード機能、交通系ICカード機能、ポイントカード機能、各種IDカード機能等を付加したものであり、それぞれのカードのサービスを、一枚のカードを提示するだけで受けることができる。
【0004】
具体的には、非特許文献1には、多機能ICカードを活用した社員証システムの運用が開始されていることが記載されている。このシステムによれば、各事業所に用途別に発行している社員証、食堂カード、入退出カードなどの形式及び内容を統一化し、情報システムのセキュリティ(安全性)基盤の整備や社内決済のキャッシュレス精算、給与計算事務処理工数の削減などを図り、サポート業務の簡素化・効率化を実現することができる。
【0005】
また、出願人においてもICカードの可能性に着目し、特許文献1において、カード決済を行ったユーザに対して、このユーザについて動的に設定された期間(ユーザやユーザが属する企業の意志で設定可能な期間、例えば、出勤の期間、出張の期間、休暇の期間等)に応じた適切な特典を与えることが可能な情報処理装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】日立製作所、“多機能ICカードを利用した社員証システム”、[online]、[平成29年9月17日検索]、インターネット、<URL:http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/1999/07/1999_07_07.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ワークライフバランスといって単に長時間労働をやめて早く帰りなさいと言われても、仕事が減るわけではないので、自分の裁量で工夫をして時間を捻出し、仕事密度を高める必要がある。長時間労働にも様々な理由があるが、実際に早く帰った時のメリット(規則正しい生活をすることで健康を保つ、自己の趣味を楽しむ時間を作る等)は目に見えないもので実感しづらい。また、プレミアムフライデーに関しては、早くも経済界から見直しの声が上がっている。
【0009】
そこで、発明者らは、現在のワークライフバランス施策の課題を解決すべく、前述したICカードの多機能性を利用して、企業等の従業員が早く帰った時のメリットを実感でき、企業等のワークライフバランスへの取り組みを支援する仕組みを考えるに至った。
【0010】
したがって、本発明では、上記のような課題にかんがみ、企業等におけるワークライフバランス施策を支援する仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、以下のような解決手段を提供する。
【0012】
(1)企業又は国若しくは地方公共団体(以下、企業等)におけるワークライフバランス施策を支援するワークライフバランス支援システムであって、カード会社のシステムが、前記企業等と提携店舗の提携登録を受け付ける提携登録受付部と、前記企業等と前記提携店舗の組み合わせごとに、前記企業等の従業員のワークライフバランスのための所定の特典を付与する条件を定めたワークライフバランス条件を格納するワークライフバランス条件格納部と、前記従業員が前記提携店舗において、前記カード会社のカードで決済する際に、前記ワークライフバランス条件に合致するか否かを判定するワークライフバランス条件判定部と、前記ワークライフバランス条件に合致すると判定され、前記所定の特典として前記企業等が定めたワークライフバランス・ポイントを使用又は付与したことを前記企業等及び前記提携店舗に通知するワークライフバランス・ポイント通知部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
(2)企業又は国若しくは地方公共団体(以下、企業等)におけるワークライフバランス施策を支援するワークライフバランス支援システムであって、前記企業等と提携する提携店舗のシステムが、前記企業等ごとに、前記企業等の従業員のワークライフバランスのための所定の特典を付与する条件を定めたワークライフバランス条件を格納するワークライフバランス条件格納部と、前記従業員が前記提携店舗において、前記企業等の従業員であることを示すカードを提示した際に、前記ワークライフバランス条件に合致するか否かを判定するワークライフバランス条件判定部と、前記ワークライフバランス条件に合致すると判定され、前記所定の特典として前記企業等が定めたワークライフバランス・ポイントを使用又は付与したことを前記企業等に通知するワークライフバランス・ポイント通知部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
(3)企業又は国若しくは地方公共団体(以下、企業等)におけるワークライフバランス施策を支援するワークライフバランス支援システムであって、前記企業等のシステムが、前記企業等と提携する提携店舗のサービスを利用する際に前記企業等の従業員に所定の特典を付与する条件を前記提携店舗とあらかじめ定めたワークライフバランス条件を格納するワークライフバランス条件格納手段と、前記所定の特典としてワークライフバランス・ポイントを付与するワークライフバランス・ポイント付与手段と、前記従業員が前記提携店舗において、前記企業等の従業員であることを示すカードを提示した際に、前記ワークライフバランス条件に合致すると判定されたことに応じて、前記ワークライフバランス・ポイントが使用されたことを前記提携店舗又は前記カードのカード会社から受信するワークライフバランス・ポイント使用量受信手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
(4)上記(3)の構成において、前記ワークライフバランス条件を前記提携店舗又は前記カード会社に送信する手段を、更に備えることを特徴とする。
【0016】
(5)上記(1)から(4)までの構成において、前記カードは、カード決済機能付社員証であり、前記カード決済機能付社員証が前記企業等の入退館ゲートを通過した際に入退館時刻が記録され、前記入退館時刻を前記ワークライフバランス条件の判定条件に含むことを特徴とする。
【0017】
(6)上記(1)から(5)までの構成において、前記ワークライフバランス条件は、前記提携店舗の比較的空いている時間帯に適用可能とすることを特徴とする。
【0018】
(7)上記(1)から(6)までの構成において、前記ワークライフバランス条件は、前記従業員の属性によって変化させることを特徴とする。
【0019】
(8)前記従業員上記(1)から(7)までの構成において、の自宅を仮想的な提携店舗として登録可能とすることを特徴とする。
【0020】
(9)企業又は国若しくは地方公共団体(以下、企業等)におけるワークライフバランス施策を支援するための方法であって、カード会社のシステムが、前記企業等と提携店舗との提携登録を受け付けるステップと、前記企業等と前記提携店舗の組み合わせごとに、前記企業等の従業員のワークライフバランスのための所定の特典を付与する条件を定めたワークライフバランス条件を格納するステップと、前記従業員が前記提携店舗において、前記カード会社のカードで決済する際に、前記ワークライフバランス条件に合致するか否かを判定するステップと、前記ワークライフバランス条件に合致すると判定され、前記所定の特典として前記企業等が定めたワークライフバランス・ポイントを使用又は付与したことを前記企業等及び前記提携店舗に通知するステップと、を実行することを特徴とする。
【0021】
(10)上記(9)に記載の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、企業等におけるワークライフバランス施策を支援する仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係るワークライフバランス支援システムの基本概念を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るワークライフバランス支援システムの機能構成を示す図である。
【
図3】WLBポイント管理部の詳細な機能を示す図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係るワークライフバランス支援システムの機能構成を示す図である。
【
図5】従業員情報DBに格納される従業員情報の具体例を示す図である。
【
図6】従業員情報DBに格納される従業員入退館記録の具体例を示す図である。
【
図7】WLB条件格納部に格納されるWLB条件テーブルの具体例を示す図である。
【
図8】カード会社システムにおけるWLB処理を示す図である。
【
図9】従業員に通知される店舗オファー周知手段の具体例を示す図である。
【
図10】従業員のWLBポイント消化状況を監督者に表示する画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。また、機能構成の図において、機能ブロック間の矢印は、データの流れ方向、又は処理の流れ方向を表す。
【0025】
(基本概念)
図1は、本発明の実施形態に係るワークライフバランス支援システム(以下、本システムと呼ぶ)の基本概念を示す図である。本システムは、企業等(企業又は国若しくは地方公共団体)のワークライフバランスに対する施策を支援するためのシステムであり、企業等の従業員に対する労働時間の管理や福利厚生の一環として利用される。以下、企業等を単に「企業」と呼ぶことにする。
【0026】
本システムでは、企業のワークライフバランス施策として、従業員に対して一定のワークライフバランス・ポイント(以下、「WLBポイント」と呼ぶ)が付与される。所定の時間帯(例えば、企業の定時退社時刻又はコアタイム終了時刻から2時間程度以内)に、指定の提携店舗で、社員証などの従業員識別カードを提示すると、その提携店舗でワークライフバランス特典(以下、「WLB特典」と呼ぶ)が受けられる。WLBポイントは、このWLB特典として、提携店舗での利用代金の一部又は全部として使用することができる。また、提携店舗は、WLB特典として、同じ利用料金で時間延長などのサービスを提供してよい。なお、ここで使用される従業員識別カードは、その企業の従業員であることが特定可能な情報(従業員ID、生年月日、氏名など)が含まれていれば、社員証でなくともよい。また、カードでの決済機能を備えていることが好ましく、例えば、クレジットカードなどの決済機能を備えたカード決済機能付社員証であってもよい。
【0027】
なお、WLBポイントは、企業から付与される方式でなく、従業員が提携店舗においてカードを提示した際に、今回の利用がWLB条件に合致すると判定されたことに応じてカド会社から付与される方式であってもよい。また、WLBポイントを利用料金に充当してもよいし、WLBポイントが一定量貯まると、店舗での割引券等と交換できるようにしてもよい。また、WLBポイント方式ではないが、店舗での利用料金を従業員が立て替えておき、その利用実績を保存し、保存しておいた利用実績について後述のWLB条件に合致するかどうかチェックした上で後日、企業が補てんする方式をとってもよい。
【0028】
また、提携店舗とは、ワークライフバランスに関する契約を企業と締結した店舗であり、その企業の従業員のワークライフバランス向上のために好ましいと考えられる業種の店舗(例えば、趣味、習い事、健康促進のためのサービスを提供する店舗)である。より具体的には、出勤前後に立ち寄ることが可能な、英会話教室、ヨガ教室、料理教室、スポーツジム、バッティングセンター、打ちっ放しゴルフセンター、美容室、理髪店、マッサージ店、ネイルサロン店などが考えられる。また、出勤前後に限らず、休日のリフレッシュや家族サービスなどに適した施設(例えば、野球場、サッカー場、ゴルフ場、テーマパーク、遊園地、動物園、植物園、水族館、プール、スーパー銭湯、その他のレジャー施設)であってもよい。場合によっては、買物を楽しむための店舗や飲食店の一部を含んでもよい。
【0029】
本システムでは、企業とカード会社が、前述したように、企業の従業員であることを識別可能なICカード、例えば、クレジットカード機能付社員証の発行契約を結ぶ。クレジットカード機能付社員証は、従業員の身分証明書、企業の入退館ゲートの通過許可証、社内の食堂やカフェテリアなどの決済手段として使えるほか、一般の店舗で、クレジットカードとしても使用できる。なお、カード決済機能は、クレジットカードだけでなく、電子マネーカードやデビットカードであってもよい。
【0030】
企業は、前述したようなサービスを提供する店舗と提携契約を結び、その店舗のサービスを利用する際に、企業の従業員のワークライフバランスの向上に寄与すると考えられる条件を定めた「WLB条件」(ワークライフバランス条件)を設定する。WLB条件は、例えば、マッサージ店であれば、平日の夕方までの時間帯に、その従業員の利用に対しては、特別割引を行うなどの特典を提供する条件を定めたものである。ここで設定したWLB条件はカード会社にも通知され、カード会社は、企業と提携店舗の組み合わせごとのWLB条件をカード会社のシステムのWLB条件格納部に格納しておく。又は、提携店舗は、自店に関するWLB条件を、店舗のWLB条件格納部に格納しておいてもよい。あるいは、WLB条件格納部を企業のシステム側に備えて、カード会社/提携店舗と共有するようにしてもよい。
【0031】
従業員が、定時退社後やフレックスのコアタイム後の退社後などに、従業員識別機能付決済カード(例えばクレジットカード機能付社員証)を提携店舗で提示すると、企業ID、従業員IDを含むカード情報及び店舗IDがカード会社に送られ、従業員及び提携店舗がカード会社から認証を受け、あらかじめその店舗と企業で設定したWLB条件に合致しているか否かが判定される。WLBポイントは、企業が毎年一定量を従業員に付与するものとするが、従業員が提携店舗においてカードを提示した際に、今回の利用がWLB条件に合致すると判定されたことに応じて、WLBポイントが使用(消費)される。また、WLB条件に合致している場合は、その旨が提携店舗に通知され、通知を受けた店舗ではWLB条件で定められた所定の特典として、WLBポイント以外の、例えば、利用料金割引、無料時間延長サービス、クーポン券の発行などのサービスを提供するようにしてもよい。なお、WLB施策のサービスに要する提携店舗又はカード会社の経費(WLB経費)は、企業側が負担するものとする。
【0032】
このようにすることで、従業員にとっては、早く帰ることのメリットが実感でき、早く帰ることへの抵抗感も少なくなる。すなわち、ワークライフバランスを考慮した生活をすることを会社として推奨しているので、WLBポイントを使用(消化)するための早帰りは大義名分となる。また、企業にとっては、従業員の福利厚生の向上や従業員の健康のための労働時間管理を行うことができ、場合によっては無駄な残業を減らすことにもつながる。また、提携店舗にとっては、企業の従業員を呼び込む契機となり、また、提携店舗にとっては比較的空いている時間帯の利用をワークライフバランス条件とすれば、その時間帯を有効活用できる。また、カード会社にとっては、社会的貢献をしつつ新たなサービスを提供することで、カード会員や加盟店を増やすことができる。
【0033】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係るワークライフバランス支援システムの機能構成を示す図である。この図では、本サービスを提供するための、企業システム20、カード会社の提携店舗システム30、カード会社システム40の機能構成についてより詳しく説明する。
【0034】
図2で示すように、企業システム20は、提携店舗を管理する提携店舗管理部21と、企業への入退館時刻を検知する入退館ゲート22と、入退館ゲート22からの従業員の入退館時刻を取得して管理する従業員入退館管理部23と、従業員情報を格納した従業員情報DB24と、従業員がWLB条件(ワークライフバランス条件)に合致して提携店舗を利用した情報をカード会社から取得して管理し、従業員やその上司にワークライフバランス行動に対する特典であるポイント(WLBポイント)の利用状況を通知するWLBポイント管理部25(ワークライフバランス・ポイント管理部)と、を備えている。なお、従業員情報DB24に格納されるデータの具体例については後述する。
【0035】
提携店舗システム30は、企業と提携契約を結んだ際に、その提携情報を登録する提携企業登録部31と、提示された顧客のカード情報を読み取り、カード会社に送信して認証を受け、カード決済処理を行う店舗端末35を備えている。
【0036】
カード会社システム40は、カード決済を処理するカード決済部41と、企業と提携店舗の提携登録情報(WLB登録情報)を受け付け、提携企業/店舗DB43に登録する提携登録受付部42と、カード決済の際に、提携企業/店舗DB43に格納されるWLB条件格納部44からWLB条件(ワークライフバランス条件)を読み出し、今回のカード利用がWLB条件に合致するか否かを判定するWLB条件判定部45(ワークライフバランス条件判定部)と、WLB条件に合致する場合に、WLBポイントでの支払を処理するWLBポイント支払処理部46と、従業員がWLB条件に合致する利用を提携店舗で行って、WLBポイントを使用したこと、又は従業員が提携店舗においてカードを提示した際に、今回の利用がWLB条件に合致すると判定されたことに応じて提携店舗システム30及び企業システム20にその旨を通知するWLBポイント通知部47(ワークライフバランス・ポイント通知部)と、を備えている。
【0037】
また、企業システム20が、あらかじめ合意したWLB条件を作成し、提携店舗又はカード会社に、送信する手段(WLB条件共有手段)を設け、従業員が提携店舗においてカードを提示した際に、今回の利用がWLB条件に合致すると判定されたことに応じて、WLBポイントの使用量の通知を受信する手段(後述のWLBポイント使用量受信手段)を備えるようにしてもよい。WLB条件は、企業側で定めたものに基づいて提携店舗と合意してもよいし、提携店舗側からの提案に基づいて合意してもよい。後者の場合、店舗で新しくできたサービスについても、いち早くWLB条件に加えることができる。なお、WLB条件格納部44に格納されるデータの具体例については後述する。
【0038】
本実施形態によれば、退社時に入退館ゲート22を通過した従業員は、WLB条件で設定された所定時間内に提携店舗でクレジットカード機能付社員証(以下、カード10と呼ぶ)を提示すると、企業ID、従業員IDを含むカード情報がカード会社システム40のカード決済部41に送信される。その際、退館時刻とカード提示時刻を含むカード利用情報がWLB条件判定部45に受け渡され、WLB条件判定部45は、カード利用情報から、WLB条件に定められた時間条件に合致しているかを判定する。例えば、WLB条件に、その企業の定時退社時刻(例えば17時)から1.5時間以内と規定されている場合は、退社時刻が17時以降で、かつカード提示時刻が18時半より前であれば、WLB条件に合致すると判定される。また、フレックス制を採用している企業の場合は、コアタイムの終了時刻(例えば15時)から1.5時間以内にカードを提示した場合にも、WLB条件に合致すると判定される。
【0039】
したがって、早い時刻に退社しても、寄り道をしてから提携店舗を利用したような場合はWLB条件に合致しないこともある。なお、上記の例では、時間情報だけでWLB条件の判定を行ったが、従業員の属性(年齢、性別など)を判定条件に加えてもよい。例えば、提携店舗が美容室やネイルサロンの場合、女性従業員のみが対象とWLB条件に定められていれば、性別も判定条件となる。また、提携店舗が飲食店の場合、食べ歩きを趣味として登録している従業員のみを対象としてもよい。したがって、この場合は、趣味も判定条件となる。ただし、飲み会などは対象外とし、飲食店での利用時間や利用料金には制限を設けてもよい。
【0040】
WLBポイント支払処理部46は、カードの利用金額を一部又は全部をWLBポイントで支払うことを可能にする処理である。具体的には、WLBポイントを所定のルールで金額に換算し、カードの利用額を換算された金額分減額する。例えば、提携店舗での利用金額が3000円であり、1WLBポイントが100円とした場合、10WLBポイントを使用すると、カード利用者に対する請求額は2000円となる。使用したWLBポイントに相当する金額は、企業がカード会社に支払う。
【0041】
図3は、企業システム20のWLBポイント管理部25の機能の詳細を説明するための図である。図示するように、WLBポイント管理部25は、提携店舗ごとに合意したWLB条件を格納するデータベースであるWLB条件DB250A(ワークライフバランス条件格納手段)と、WLBポイントの利用状況を管理するデータベースであるWLBポイント管理DB250Bと、を備える。また、WLBポイント管理部25は、WLB条件DB250Aに格納されたWLB条件を、提携店舗システム30又はカード会社システム40に適宜送信するWLB条件送信手段251と、を備える。なお、企業システム20側のWLB条件DB250Aを、カード会社システム40又は提携店舗システム30と共有するようにしてもよい。もちろん、各社が合意すれば、WLB条件を臨機応変に変更することができる。
【0042】
ここで、WLB条件DB250Aには、提携店舗と合意し、あらかじめ定められたWLB条件が格納されているものとする。また、WLB条件送信手段251は、送信するWLB条件に、従業員の退館時刻など、WLB条件の判定に関わる情報を提携店舗又はカード会社に送信する。このようにすることで、提携店舗又はカード会社に、その日、特定の従業員がWLB条件に合致していることをリアルタイムに判断させることができる。なお、退館時刻は当日のものだけでなく、その従業員の普段の退館時刻も含めることが望ましい。このようにすることで、例えば、普段は22時に退館しているような従業員が20時に退館して提携店舗を利用したような場合であっても、WLB条件に合致すると判断されることがある。残業の多い従業員が普段より早く帰ることはワークライフバランスの向上に寄与するからである。もちろん、もっと早い時刻に退館して提携店舗を利用すれば、その店舗でのタイムサービス等を受けることもできる可能性もあるので、その場合、2重のメリットを受けることができる。
【0043】
また、WLBポイント管理部25は、WLBポイントの使用申込を従業員端末から受け付けるWLBポイント使用申込受付手段252と、WLB条件に合致したサービスを従業員が利用した際に、WLBポイントの使用量(ポイント数)を提携店舗システム30/カード会社システム40から受信するWLB使用量受信手段253と、使用したWLBポイントに相当する金額を提携店舗システム30/カード会社システム40に支払うWLBポイント使用相当額支払手段254と、を備えている。また、WLBポイント管理部25は、所定の特典として、例えば、従業員に毎年一定のWLBポイントを付与するWLBポイント付与手段255と、従業員の上司等の監督者の端末に、WLBポイントの消化状況を表示するWLBポイント消化状況表示手段256と、WLBポイントの使用が少ない従業員に対しては、当該監督者の指示又はシステムの自動判断により、WLBポイントの使用を誘導するメッセージ等を従業員端末に通知するWLBポイント使用誘導通知手段257と、提携店舗システム30又はカード会社システム40からWLB促進のための特典オファーを受信する店舗オファー受信手段258と、従業員端末に受信した店舗オファーを周知させるための店舗オファー周知手段259と、を備えている。このようにすることで、企業は、従業員のWLBポイントの利用状況を把握することができる。なお、店舗オファー受信手段258と、店舗オファー周知手段259の具体例については後述する。
【0044】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係るワークライフバランス支援システムの機能構成を示す図である。第1の実施形態では、カード会社が主体となってWLB条件を判定するようにしたが、第2の実施形態では、提携店舗側でWLB条件を判定するようにしたものである。以下、第1の実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0045】
第2の実施形態では、提携店舗システム30に、提携企業と情報を送受信し、提携情報を登録するための提携企業登録部31と、定められたWLB条件を格納するWLB条件格納部32と、WLB特典のためのWLB条件を判定するWLB条件判定部33と、WLB特典の利用があったことを提携企業に通知するため、その旨を提携企業登録部31に受け渡すWLBポイント通知部34と、カード決済の場合、カード10のカード利用情報を読み込みWLB条件判定部33に受け渡し、その判定結果を受け取って従業員に提示する店舗端末35とを備える。各部の機能は、第1の実施形態の場合とほぼ同様なので、個々の機能の詳細な説明は省略する。ただし、第2の実施形態における提携店舗は、必ずしもカード加盟店でなくともよく、その場合は、カード決済でなく現金決済となる。
【0046】
上記のように第2の実施形態では、提携店舗が独自のシステムを有していることが必要となるが、逆に言えば、提携店舗が、カード会社に依存せず、独自のサービスを提供することができる。例えば、WLBポイントの使用又は付与をカード会社のシステムに依存せず処理したり、現金で決済したり、従来の店舗でよく行われている紙媒体の店舗ポイントカードを利用したり、一定の店舗ポイントが貯まれば、現金割引や無料時間延長サービスを行ったりするなどのWLB特典を自前で提供することができる。
【0047】
なお、第1の実施形態と第2の実施形態は、それぞれ単独で実施してもよいし、両者を組み合せて実施してもよい。また、クレッジットカードで支払う場合は、発明者らが出願/登録済の特開2012-58974号公報に記載の商品購入支援方法と組み合せることも可能である。その場合、提携店舗から割引料金が提供されることを見越して、現在のカード利用可能額(カード利用限度額から未清算のカード利用請求額を引いた額)を従業員に通知するようにしてもよい。
【0048】
図5は、従業員情報DB24に格納される従業員情報の具体例を示す図である。
図4で示すように、従業員情報には、従業員の氏名、生年月日、性別、住所、家族構成、趣味などが格納され、従業員ID、所属部署ID、所属長従業員IDも格納される。さらに、その従業員がフレックスタイム適用の社員であるか否か、フレックスタイム適用の場合はそのコアタイム、従業員から申請のあった標準(デフォルト)の勤務開始時刻及び勤務終了時刻、過去の勤務時間の実績が格納される。勤務時間実績の毎月(又は毎週)の残業時間が制限値を超えると、そのことが従業員及び所属長に通知されるようにしてもよい。
【0049】
図6は、従業員情報DB24に格納される従業員入退館記録の具体例を示す図である。前述したように、社員証を持った従業員が企業の入退館ゲート22を通過するたびにその時刻が記録されるので、社員証がタイムカードの代りになる。したがって、企業システム20には、従業員の入退館の時刻が記録される。出社時、退社時の時刻だけでなく、食事などで外出する時刻も記録される。
【0050】
また、
図6の符号231、232の列で示すように、従業員入退館記録に、提携店舗システム30又はカード会社システム40から取得した、提携店利用時刻、行動ポイントを記録してもよい。この記録を見ることにより、企業側は、従業員のワークライフバランス施策の利用度を把握することができる。なお、この例の行動ポイントは、ワークライフバランスにふさわしい時間帯の提携店舗の利用(早い時間帯の利用)にはプラスのポイントが、逆にワークライフバランスにふさわしくない時間帯の提携店舗の利用(夜晩くの利用)には、マイナスのポイントが付与されるように設定されている。ここでいう「早い時間」とは、その従業員の普段の帰宅時間より早い時間であればよく、必ずしも定時退社時刻直後やフレックスのコアタイム時刻直後でなくともよい。また、行動ポイントは、WLBポイントに加算したり減算したりしてもよい。このようにすることで、ワークライフバランスにとってプラスとなる行動とマイナスとなる行動を区別することができる。
【0051】
図7は、ワークライフバランス条件格納部に格納される「WLB条件テーブル」の具体例を示す図である。WLB条件テーブルとは、WLB条件を分かりやすく表形式で表したものであり、ここでは提携店舗ごとに、提携企業各社と契約したWLB特典の例が示されている。もちろん、企業ごとに、各提携店舗とのWLB特典(又はWLBポイント)の契約を示したテーブルであってもよい。
【0052】
この例で示すように、同じ提携店舗であっても、WLB特典は提携企業によって変化する。例えば、符号441で示すWLB特典は、A社はタイム割引25%なのに対し、B社はタイム割引20%、C社はタイム割引15%となっている。この差は、提携企業の負担額又は経費の負担割合によって生じるものである。
【0053】
なお、符号442で示すように、従業員の自宅も仮想的な提携店舗として登録可能としてもよい。もちろん自宅ではWLBポイントは付与されないが、従業員が休みの前日等に疲れを残さないため早く帰宅し、その翌日の休日に家族サービスを行って、家族から特典サービス(大好物の料理や肩もみの提供など)が受けられれば、なによりも従業員のワークライフバランスの向上に寄与することになる。企業は、そのような家族から支援の情報の提供を受けるようにし、その場合は特別に、提携店舗管理部21に従業員の自宅、家族、WLB条件に相当する情報を登録し、WLBポイント管理部25で家族からの情報をメール等で受け付けるようにしてもよい。このようにすることで、従業員の家族も企業のワークライフバランス施策に協力することができる。
【0054】
以上説明した本システムの機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0055】
(処理フロー)
図8は、第1の実施形態におけるカード会社システム40におけるWLB処理のフローを示す図である。WLB処理とは、従業員がカード10を提示し、従業員にWLBポイントを使用又は付与されるまでの、カード会社システム40が行う一連の処理のことである。以下各ステップを逐次説明する。なお、この処理フロー図(フローチャート)においては、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序を入れ替えてもよい。
【0056】
ステップS10:顧客から提示されたカードのカード情報を読み出し、社員証カード(クレジットカード機能付社員証)であるか否かを判別する。社員証カードであれば、ステップS11に進み、社員証カードでなければ、ステップS20に進む。
【0057】
ステップS11:カードを提示された店舗が、その社員証を発行した企業の提携店舗であるか否かを判別する。提携店舗であれば、ステップS12に進み、提携店舗でなければ、ステップS20に進む。
【0058】
ステップS12:提携店舗のWLB条件を読み出し、今回の利用がその店舗のWLB条件に合致するか否かをチェックする。合致すればステップS13に進み、合致しなければ、ステップS15に進む。
【0059】
ステップS13:今回のカード利用でWLBポイントを使用するか、又はWLBポイントを付与するかを判別する。この判別は、企業との契約にしたがって行われる。WLBポイントの使用の場合は、ステップS14Aに進み、WLBポイントの付与の場合は、ステップS14Bに進む。
【0060】
ステップS14A:顧客が保有するWLBポイントを顧客が希望するポイント分だけ減らし、その分を代金の一部又は全部に充当する(保有WLBポイント使用処理)。その後、ステップS15に進む。なお、ステップS13、ステップS14の処理は、WLBポイントを支払時に使用可能であることが、カード会社と企業の契約によって定められている場合にのみ有効である。
【0061】
ステップS14B:顧客が利用したサービスに応じてWLBポイントを付与する(WLBポイント付与処理)。その後、ステップS15に進む。
【0062】
ステップS15:社員証カードでのカード決済処理を行う。すなわち、クレジットカード機能を有している社員証カードの場合は、社員証カードの有効期限が超過していないか、カードの利用限度額を超過していないかを確認し(オーソリ処理)、社員証カードでの支払の決済を実行する。
【0063】
なお、第2の実施形態の処理フローの説明は省略するが、基本的には、WLB条件の判定処理、WLBポイントの使用又は付与、WLBポイント通知処理の主体が、カード会社システム40から提携店舗システム30になり、カードでの支払だけでなく、現金での支払も可能となる。また、WLBポイントと店舗独自ポイントとの交換も可能としてもよい。
【0064】
(画面)
図9は、企業の従業員に通知される店舗オファー周知手段259の具体例を示す図である。図示するように、この例の店舗オファー提示画面100では、企業の労務管理部などが、プレミアムフライデーに従業員にそのことを通知した画面であり、単に通知するだけでなく、その日に提携店舗で利用可能なWLB特典が示されている。この画面を見た従業員は、各店舗の特典を確認し、その店舗を利用する場合は、この画面から予約することもできる。また、この画面には、提携店舗の広告やホームページのリンクボタンなどを掲示してもよい。
【0065】
図10は、従業員のWLBポイント消化状況を、従業員の上司等の監督者が確認するための画面である。このWLBポイント消化状況画面200は、WLBポイント消化状況表示手段256の具体例であり、図示する画面では、従業員ごとに毎年付与されたWLBポイントの消化状況が消化率として棒グラフで表示されるようになっている。また、WLBポイント使用誘導通知手段257の具体例として、WLBポイントの消化率の悪い従業員に対しては、監督者の指示又はシステムの自動判断によって、WLBポイントの使用を誘導する通知201や店舗等からのオファー通知202のメッセージが従業員の端末に通知されるようにしてもよい。
【0066】
図9、
図10で示したような通知をすることで、従業員にとっては、会社のWLB施策が実感でき、早く帰ることの動機付けや大義名分を得ることになる。そして、なによりも費用を一部会社が負担してくれることで、早く帰ることのメリットを実感できる。
【0067】
(実施形態の効果)
本システムによれば、企業におけるワークライフバランス施策を支援する仕組みを提供することができる。この仕組みは、企業と提携店舗が提携し、従業員が提携店舗でワークライフバランスに資するサービスを受けた際に、WLBポイントを使って利用料金の割引などの特典を受けることができる。そのため、従業員は、企業のワークライフバランス施策のメリットを実感できる。
【0068】
この仕組みは、カード会社が主体となって行ってもよいし、提携店舗が主体となって行ってもよい。また、企業の中で従業員ごとのWLBポイントの使用を誘導したり使用状況を監督したりすることもできる。また、WLB条件の判定に関わる情報(退館時刻など)を提携店舗又はカード会社に送信することで、提携店舗又はカード会社に、その日、特定の従業員がWLB条件に合致していることをリアルタイムに判断させることができる。また、カードをクレジットカード等のカード決済機能付の社員証とすることで、従業員が入退館ゲートを通過した際の入退館時刻を記録し、WLB条件の判定条件とすることができる。また、WLB条件を提携店舗の比較的空いている時間帯に適用可能とすることで、提携店舗の空き時間を有効活用できる。また、WLB条件を従業員の属性によって変化させることができるので、個々の従業員に適したWLB施策を提供することができる。また、従業員の自宅を仮想的な提携店舗とすることもできるので、従業員の家族も企業のWLB施策に協力することもできる。
【0069】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲に限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0070】
なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、ワークライフバランス支援システムについて説明したが、本発明は、方法の発明(ワークライフバランス支援のための方法)又はコンピュータ・プログラムの発明(ワークライフバランス支援のためのプログラム)としても捉えることもできる。
【符号の説明】
【0071】
10 カード(カード決済機能付社員証)
20 企業システム
21 提携店舗管理部
22 入退館ゲート
23 従業員入退館管理部
24 従業員情報DB
25 WLBポイント管理部
250A WLB条件DB
250B WLBポイント管理DB
251 WLB条件送信手段
252 WLBポイント使用申込受付手段
253 WLB使用量受信手段
254 WLBポイント使用相当額支払手段
255 WLBポイント付与手段
256 WLBポイント消化状況表示手段
257 WLBポイント使用誘導通知手段
258 店舗オファー受信手段
259 店舗オファー周知手段
30 提携店舗システム
31 提携企業登録部
32 WLB条件格納部(提携店舗側)
33 WLB条件判定部(提携店舗側)
34 WLBポイント通知部(提携店舗側)
35 店舗端末
40 カード会社システム
41 カード決済部
42 提携登録受付部
43 提携企業/店舗DB
44 WLB条件格納部(カード会社側)
45 WLB条件判定部(カード会社側)
46 WLBポイント支払処理部
47 WLBポイント通知部(カード会社側)
100 店舗オファー提示画面
200 WLBポイント消化状況画面
201 WLBポイント使用誘導通知
202 店舗オファー通知