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  • 特許-ワイパー評価用器具及び評価方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】ワイパー評価用器具及び評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/36 20060101AFI20220928BHJP
   A47L 13/16 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
G01N33/36 Z
A47L13/16 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018097724
(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2019203734
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100214226
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博文
(72)【発明者】
【氏名】定盛 淳
(72)【発明者】
【氏名】二杉 憲司
(72)【発明者】
【氏名】中島 亮
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-045764(JP,A)
【文献】特開2012-208080(JP,A)
【文献】特開2012-141320(JP,A)
【文献】特開2003-166924(JP,A)
【文献】特開平09-119067(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0110925(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/36
A47L 13/16
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパーの発塵性を評価するために用いられる、ワイパー評価用器具であって、
前記ワイパー評価用器具は、平面が略長方形の板状であり、
前記ワイパー評価用器具は、厚み方向に貫通する複数の開口を有し、前記開口の口径は、5mm以上20mm以下であり、
前記ワイパー評価用器具の、長辺の長さは100mm以上400mm以下、短辺の長さは90mm以上300mm以下であり、
前記複数の開口は、前記ワイパー評価用器具に6個以上80個以下配置され、
前記複数の開口は、前記ワイパー評価用器具の長辺方向中心線を境界とした長辺方向両側にそれぞれ同数配置され、
前記長辺方向中心線を境界として、長辺方向の一方側に配置された複数の開口のうち、前記長辺方向中心線に最も近い開口と、長辺方向の他方側に配置された複数の開口のうち、前記長辺方向中心線に最も近い開口と、の長辺方向平行線上の離間距離が、20mm以上300mm以下であり、
前記長辺方向中心線を境界として、長辺方向の両側に同数配置された前記複数の開口が、それぞれ、長辺方向平行線上に等間隔で配置され、かつ、短辺方向平行線上に等間隔で配置されており、
前記長辺方向中心線を境界とした長辺方向の両側において、長辺方向及び短辺方向に一列に配置される開口の数が、それぞれ等しく、
前記長辺方向中心線を境界とした長辺方向の他方側において、前記他方側の複数の開口よりも長辺方向の外側に、持ち手用の穴を有し、
前記ワイパー評価用器具の全体が黒色であり、
少なくとも前記ワイパー評価用器具の表面に、帯電防止剤を含有し、
前記ワイパー評価用器具の材質が、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂又はアクリル樹脂の群から選択されるいずれか一種である、ワイパー評価用器具。
【請求項2】
請求項1に記載のワイパー評価用器具の、前記長辺方向中心線を境界とした長辺方向の両側に一枚ずつワイパーを同面積でそれぞれ接触させ、それぞれ0.5kgf/cm以上2.0kgf/cm以下であり、かつ、同等の力で擦りつけ、複数の開口を通して下方に落下した塵の量を、各々のワイパーにおいて測定する、ワイパーの発塵性の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパーの発塵性を評価するために用いられる、ワイパー評価用器具及び該評価用器具を用いたワイパーの発塵性の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイパーは主に拭き取り作業に用いられ、拭き取る対象物に応じた吸着量や掻き取り性とともに、使用場所(例えば、クリーンルーム等)においては、低発塵性であることも求められる。特に、木材パルプを含むワイパーでは、抄紙機でのクレーピングやエンボス加工により、シート表面に凸凹を付与する技術が用いられており、これらの工程によりパルプ繊維間の結合が解かれ、繊維が抜けやすくなることによって、発塵が多くなる傾向が見られ、発塵性の評価を行うことが重要となる。従来、ワイパーの発塵性評価に用いる発塵装置には、JIS B 9923に規定されているシェーキング法及びタンブリング法が知られており、特許文献1にはシェーキング法で発塵量を測定したクリーンルーム用ワイパーが記載されている。また、特許文献2には、クリーンルーム内で用いる材料の評価を行う評価装置及び評価方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-119067号公報
【文献】特開2003-45764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1や特許文献2に記載された評価方法では、実際のクリーンルームに近い環境下で測定するために、大掛かりな装置が必要となり、正確に測定することは可能であったものの、測定及び評価に手間取る場合があった。また、複数のワイパーの発塵性の評価を比較する場合は、測定ごとに塵を清掃して測定前の環境に戻さなければならず、比較に余計な時間が必要であった。
【0005】
したがって、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ワイパーの発塵性の評価を正確かつ簡便に行うことができ、さらに、複数のワイパーの発塵性の比較も短時間で簡便に行うことができる、ワイパー評価用器具及び該ワイパー評価用器具を用いたワイパーの発塵性の評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、平面が略長方形の板状であるワイパー評価用器具において、厚み方向に貫通する複数の開口を設け、さらに、開口の口径及び配置を工夫することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0007】
(1)本発明の第1の態様は、ワイパーの発塵性を評価するために用いられる、ワイパー評価用器具であって、前記ワイパー評価用器具は、平面が略長方形の板状であり、前記ワイパー評価用器具は、厚み方向に貫通する複数の開口を有し、前記開口の口径は、5mm以上20mm以下であり、前記ワイパー評価用器具の、長辺の長さは100mm以上400mm以下、短辺の長さは90mm以上300mm以下であり、前記複数の開口は、前記ワイパー評価用器具に6個以上80個以下配置され、前記複数の開口は、前記ワイパー評価用器具の長辺方向中心線を境界とした長辺方向両側にそれぞれ同数配置され、前記長辺方向中心線を境界として、長辺方向の一方側に配置された複数の開口のうち、前記長辺方向中心線に最も近い開口と、長辺方向の他方側に配置された複数の開口のうち、前記長辺方向中心線に最も近い開口と、の長辺方向平行線上の離間距離が、20mm以上300mm以下である、ワイパー評価用器具である。
【0008】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載のワイパー評価用器具であって、前記長辺方向中心線を境界として、長辺方向の両側に同数配置された前記複数の開口が、それぞれ、長辺方向平行線上に等間隔で配置され、かつ、短辺方向平行線上に等間隔で配置されており、前記長辺方向中心線を境界とした長辺方向の両側において、長辺方向及び短辺方向に一列に配置される開口の数が、それぞれ等しいことを特徴とするものである。
【0009】
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載のワイパー評価用器具であって、前記長辺方向中心線を境界とした長辺方向の他方側において、前記他方側の複数の開口よりも長辺方向の外側に、持ち手用の穴を有することを特徴とするものである。
【0010】
(4)本発明の第4の態様は、(1)~(3)のいずれかに記載のワイパー評価用器具であって、前記ワイパー評価用器具の全体が黒色であることを特徴とするものである。
【0011】
(5)本発明の第5の態様は、(1)~(4)のいずれかに記載のワイパー評価用器具であって、少なくとも前記ワイパー評価用器具の表面に、帯電防止剤を含有することを特徴とするものである。
【0012】
(6)本発明の第6の態様は、(1)~(5)のいずれかに記載のワイパー評価用器具であって、前記ワイパー評価用器具の材質が、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂又はアクリル樹脂の群から選択されるいずれか一種であることを特徴とするものである。
【0013】
(7)本発明の第7の態様は、(1)~(6)のいずれかに記載のワイパー評価用器具の、前記長辺方向中心線を境界とした長辺方向の両側に一枚ずつワイパーを同面積でそれぞれ接触させ、それぞれ0.5kgf/cm以上2.0kgf/cm以下であり、かつ、同等の力で擦りつけ、複数の開口を通して下方に落下した塵の量を、各々のワイパーにおいて測定する、ワイパーの発塵性の評価方法である。
【発明の効果】
【0014】
したがって、本発明によれば、ワイパーの発塵性の評価を正確かつ簡便に行うことができ、さらに、複数のワイパーの発塵性の比較も短時間で簡便に行うことができる、ワイパー評価用器具及び該ワイパー評価用器具を用いたワイパーの発塵性の評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のワイパー評価用器具の斜視図である。
図2】本発明のワイパー評価用器具の平面図である。
図3】本発明のワイパー評価用器具を用いた、ワイパーの発塵性の評価方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付する。
【0017】
本発明のワイパー評価用器具1は、ワイパーの発塵性を評価するために用いられる器具であり、図1に示すように、平面が略長方形の板状の形状を有している。本明細書において、長辺方向とは、ワイパー評価用器具1の長辺に平行な方向を指し、図中Xで表す方向であり、短辺方向とは、長辺方向に対して直交し、ワイパー評価用器具1の短辺に平行な方向であり、図中Yで表す方向である。
【0018】
ワイパー評価用器具1の長辺の長さは、100mm以上400mm以下であることが好ましく、ワイパー評価用器具1の短辺の長さは、90mm以上300mm以下であることが好ましい。ワイパー評価用器具1の長辺及び短辺の長さを上記の範囲とすることにより、持ち運びが容易となり、ワイパーの発塵性の評価を簡便に行うことができるワイパー評価用器具1を得ることができる。
また、本発明のワイパー評価用器具1の厚みは、1mm以上5mm以下であることが好ましい。ワイパー評価用器具1の厚みを上記の範囲とすることにより、ワイパーの発塵性の評価を行うのに十分な強度のワイパー評価用器具を得ることができる。
【0019】
ワイパー評価用器具1に用いる樹脂の材質は、ポリカーボネート樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフタルアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等を使用できる。これらのなかでも、耐摩耗性に優れることから、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂又はアクリル樹脂の群から選択されるいずれか一種であることが好ましい。
また、ワイパーの発塵性の評価において、ワイパーから発生する塵を目立たせるために、ワイパー評価用器具1は全体が黒色であることが好ましい。
【0020】
さらに、ワイパー評価用器具1の表面に、静電気によってワイパー由来の塵が落下せずに付着することを防ぐために、少なくともワイパー評価用器具1の表面に、帯電防止剤を含有することが好ましい。具体的には、製造後のワイパー評価用器具1の表面に帯電防止剤を塗布することが好ましい。あるいは、ワイパー評価用器具1の材料である樹脂に、製造段階であらかじめ帯電防止剤を含有させることが好ましい。
帯電防止剤は、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び非イオン系界面活性剤のいずれも使用することができるが、なかでもカチオン系界面活性剤が好ましい。
【0021】
<複数の開口>
図2は、ワイパー評価用器具1の平面図である。ここで、ワイパー評価用器具1の一方の短辺を短辺2、他方の短辺を短辺3とし、同様に、一方の長辺を長辺4、他方の長辺を長辺5とする。本発明において、ワイパー評価用器具1の表面には、図2に示すように、長辺4の中間点と、長辺5の中間点を結んだ延長線上に延びる長辺方向中心線(図中Y-Y線)を境界とした長辺方向両側に、厚み方向に貫通する複数の開口10及び20がそれぞれ同数配置されている。複数の開口10及び20がそれぞれ同数配置されていることにより、複数のワイパーの発塵性の比較を簡便に行うことができる。
複数の開口10及び20の合計は、6個以上80個以下であり、20個以上50個以下であることが好ましい。6個以上80個以下であることにより、ワイパーの発塵性の評価を行うのに十分な量の塵が各開口より下方に落下する。
【0022】
各開口の形状は特に限定されないが、角を有する形状であると、ワイパーを擦りつける時にワイパーが引っ掛かり、ワイパーが破断するおそれがあることから、円形又は楕円形が好ましく、円形が特に好ましい。
また、複数の開口10及び20の各開口の口径は、5mm以上20mm以下であり、8mm以上15mm以下であることが好ましい。なお、ここでいう口径とは、各開口の、長辺方向の一端部と他端部との長辺方向平行線上の離間距離及び短辺方向の一端部と他端部との短辺方向平行線上の離間距離の双方を指す。ワイパーの発塵性の評価において、ワイパーをワイパー評価用器具1に擦りつける時に、各開口の円周状のエッジにより、ワイパー由来の発塵を生じさせることとなるが、各開口の口径が5mmより小さいと、各開口を通過する発塵が少なくなり、発塵性の評価が難しくなる。また、各開口の口径が20mmより大きいと、擦りつける力の調整が難しく、ワイパーが破断したり、発生する塵の量にばらつきが大きくなりやすい。
【0023】
複数の開口10及び20は、それぞれ、長辺方向平行線上に等間隔で配置され、かつ、短辺方向平行線上に等間隔で配置されていることが好ましい。複数の開口10及び20が長辺平行線上及び短辺平行線上に等間隔で配置されることにより、ワイパーの発塵性の評価において、ワイパーをワイパー評価用器具1に擦りつける時に、ワイパー評価用器具1の特定の部分に偏って擦りつける必要がなく、複数の開口10及び20に全面的に擦りつけることで、ワイパーの発塵性の評価を行うのに十分な量の塵が各開口より下方に落下する。また、複数の開口10及び20は、各開口の長辺方向平行線上の離間距離は、少なくとも10mm以上であることが好ましく、短辺方向平行線上の離間距離は、少なくとも10mm以上であることが好ましい。
また、複数の開口10及び20において、長辺方向及び短辺方向に一列に配置される開口の数は、それぞれ等しいことが好ましい。長辺方向及び短辺方向に一列に配置される開口の数がそれぞれ等しいことにより、複数のワイパーの発塵性の比較を簡便に行うことができる。
【0024】
また、複数の開口10のうち、ワイパー評価用器具1の短辺2に最も近い開口(図2中、開口11)から、ワイパー評価用器具1の短辺2までの離間距離は、少なくとも10mm以上であることが好ましく、また、複数の開口10及び20のうち、ワイパー評価用器具1の長辺4又は5に最も近い開口(図2中、開口11若しくは21、又は13若しくは22)から、ワイパー評価用器具1の長辺4又は5までの離間距離は、少なくとも10mm以上であることが好ましい。各離間距離を上記の範囲で調整することにより、ワイパーの発塵性の評価を行うのに十分な強度のワイパー評価用器具を得ることができる。
【0025】
また、長辺方向中心線を境界として、長辺方向の一方側、すなわち短辺2側に配置された複数の開口のうち、長辺方向中心線に最も近い開口(図2中、開口12)と、長辺方向の他方側、すなわち短辺3側に配置された複数の開口のうち、長辺方向中心線に最も近い開口(図2中、開口21)と、の長辺方向平行線上の離間距離が、20mm以上300mm以下であり、50mm以上150mm以下であることが好ましい。離間距離を上記の範囲で調整することにより、複数のワイパー由来の塵同士が混ざり合ったり、擦りつける最中に複数のワイパー同士が衝突したりすることなく、複数のワイパーの発塵性の比較を短時間で簡便に行うことができる。
【0026】
また、ワイパー評価用器具1は、長辺方向中心線を境界とした長辺方向の他方側、すなわち短辺3側において、複数の開口20よりも長辺方向の外側、すなわち短辺3側に、持ち手用の穴30を有することが好ましい。持ち手用の穴30を有することにより、ワイパー評価用器具1の持ち運びが容易となり、試験場所を選ばず、ワイパーの発塵性の評価を簡便に行うことができる。持ち手用の穴30の形状は特に限定されないが、手を入れ易い形状として、楕円形又は略長方形が好ましい。また、持ち手用の穴30の寸法は特に限定されないが、手をすぼめることなく入れられる大きさとして、短辺方向平行線上の寸法は、80mm以上280mm以下であることが好ましく、長辺方向平行線上の寸法は、20mm以上50mm以下であることが好ましい。
【0027】
図3は、ワイパー評価用器具1を用いるワイパーの発塵性の評価方法を図示したものである。評価方法は、持ち手用の穴30を用いて、手で保持したワイパー評価用器具1に、ワイパー40及び50を擦りつけることで行う。なお、ここで用いられるワイパーとは、医療現場、実験室、精密部品工場、食品加工場、給食センター、飲食店などの様々な場所で、機材や備品、容器包装の拭き取りや現場の清掃に使用されるシート状のものをいい、ワイパーの基材は天然繊維又は天然繊維と合成繊維の混合どちらでもよい。また、図3においてはワイパーをワイパー40とワイパー50の二枚用いているが、一枚のみのワイパーを用いてもよい。
【0028】
ワイパー評価用器具1の長辺方向の中心線を境界とした長辺方向の両側、すなわち複数の開口10及び20のそれぞれの上に、一枚ずつワイパーを同面積でそれぞれ接触させる。それぞれのワイパーを同面積で接触させることにより、複数のワイパーの発塵性の比較を正確に行うことができる。
そして、それぞれのワイパーを0.5kgf/cm以上2.0kgf/cm以下であり、かつ、同等の力で長辺方向に擦りつけることにより、複数の開口10及び20からワイパー40及び50由来の塵41及び51が下方に落下する。それぞれのワイパーを擦りつける力を0.5kgf/cm以上2.0kgf/cm以下であり、かつ、同等の力とすることにより、ワイパー40及び50が破断したり、発生する塵41及び51の量にばらつきが大きくなることなく、実際の拭き取り作業に近い力で、複数のワイパーの発塵性の比較を正確かつ簡便に行うことができる。なお同等の力で擦りつける方法としては、錘へ評価対象となるワイパーを巻付けて行う方法などがある。
【0029】
ワイパー40及び50をワイパー評価用器具1に擦りつけることにより複数の開口10及び20より下方に落下した、それぞれのワイパー由来の塵41及び51の量を測定することにより、各々のワイパーの発塵性を評価することができる。このとき、測定の対象とする塵41及び51の粒子径は、0.3μm以上10μm以下であることが好ましい。測定の対象とする塵41及び51の粒子径が0.3μm以上10μm以下であることにより、ワイパー由来の発塵をより正確に評価することができる。
【0030】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0031】
1 ワイパー評価用器具
2、3 短辺
4、5 長辺
10、20 複数の開口
11、12、13、21、22 開口
30 持ち手用の穴
40、50 ワイパー
41、51 塵
図1
図2
図3