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  • 特許-検品装置 図1
  • 特許-検品装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】検品装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
B65G1/137 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020100474
(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公開番号】P2021178732
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2020-06-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519083080
【氏名又は名称】株式会社シプソル
(72)【発明者】
【氏名】中村 仁
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-230913(JP,A)
【文献】特開2019-085208(JP,A)
【文献】特開2017-088345(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147612(WO,A1)
【文献】特開2018-005471(JP,A)
【文献】特開2005-015207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
G06T 7/00-7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出荷対象である一つ以上の被梱包物品がコンベア上に配置される梱包装置に向けて該コンベア上を移送されて出荷目録情報と一致するかを検品する検品装置であって、
前記コンベアの直上に配置され前記一つ以上の被梱包物品を撮影する撮影部であって、前記コンベア上に配置される前記梱包装置より上流側に配置される撮影部と、
商品の外観情報を商品種類ごとに格納したデータベース部と、
前記撮影部で撮影された前記一つ以上の被梱包物品と前記データベース部に格納した前記外観情報とを比較して前記出荷目録情報と前記一つ以上の被梱包物品とが一致するかを検品する画像比較部と
を備え、
前記データベース部は、前記画像比較部で比較する前記外観情報が格納されていない場合には、前記出荷目録情報に記載の商品情報を参照して、インターネットに公開されている商品情報から外観情報を取得して新たに蓄積することを特徴とする検品装置。
【請求項5】
前記撮影部により前記被梱包物品が撮影されるのは前記梱包装置による梱包の直前であることを特徴とする請求項1~請求項の何れかに記載の検品装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検品装置に関し、特に、物流業界での商品出荷時における検品作業に最適な検品装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TVやインターネットを利用した無店舗型の販売形態が普及し、顧客の様々なニーズに応じた商品を出荷する販売形態も多様化しつつある。
【0003】
また、商品出荷時には、各顧客が所望する商品が適正に出荷される状態となっているのかの検品が必要となってくる。
【0004】
ここで、検品には、商品コストを削減する観点から、人手を介さずに行う技術も考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1に開示の技術は、複数種類の出荷商品の重量と出荷商品を撮影したカメラ映像とを用いることによって、出荷商品の商品点数と商品配置とが適正であるのかを検品することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-210646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような先行技術文献に開示の検品装置にあっては、特定の商品が欠品していないのかを重量によって確認するとともに、全ての出荷商品が適正な配置となっているのかをサンプル画像とカメラ映像とを比較することで確認するようになっている。
【0008】
しかしながら、上述した従来技術にあっては、例えば、化粧品類のお試しセットなど、特定のセット商品にしか適用することができず、顧客ごとに異なる商品出荷に対応することができないという問題が生じていた。
【0009】
すなわち、多様化する商品出荷時において、セット販売のような一律の商品出荷時だけでなく、顧客ごとに異なる商品出荷に対しても人手に寄らずに検品作業をすることができれば、作業効率を向上しつつ商品コストの高騰を抑制することができる。
【0010】
本発明の課題は、上述のような課題を解決するために、出荷対象である一つ以上の被梱包物品が出荷目録情報と一致するかを人手に寄らずに検品することができ、作業効率を向上しつつ商品コストの高騰を抑制することができる検品装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る検品装置は、上記目的を達成のため、出荷対象である一つ以上の被梱包物品が出荷目録情報と一致するかを検品する検品装置であって、前記一つ以上の被梱包物品を撮影する撮影部と、商品の外観情報を商品種類ごとに格納したデータベース部と、前記撮影部で撮影された前記一つ以上の被梱包物品と前記データベース部に格納した前記外観情報とを比較して前記出荷目録情報と前記一つ以上の被梱包物品とが一致するかを検品する画像比較部とを備えるものである。
【0012】
ここで、商品の外観情報とは、外観をあらわす情報であって、例えば、商品に付された図柄情報、若しくは、形状情報、縦横寸法情報、縦横比率情報であってもよい。これにより、多様性の高い外観情報をデータベース部に蓄積することができる。
【0013】
また、商品に付された図柄には、例えば、パッケージの正面に印刷又はシール添付された、意匠上の絵、商品名・商品番号等の文字、の一部或いは全体を含ませてもよい。これにより、例えば、被撮影面となるパッケージの正面に2つ以上のバーコードが並記されている場合であっても、検品のために何れのバーコードを読み取ればよいのかといった混乱をきたすことなく、並記されたバーコードを単に図柄として扱うことが可能となる。
【0014】
さらに、画像比較部は、被梱包物品が複数である場合には、個別に比較を行ってもよいし、全体で行ってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、出荷対象である一つ以上の被梱包物品が出荷目録情報と一致するかを人手に寄らずに検品することができ、作業効率を向上しつつ商品コストの高騰を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】 本発明に係る検品装置を梱包システムに適用した一例のシステム図である。
図2】 本発明に係る検品装置の一実施の形態を示すブロック説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1に示すように、検品装置を含む梱包システムは、ベルトコンベア1によって搬送されてきた保形部材2に、例えば、顧客ごとの注文商品を出荷対象である一つ以上の被梱包物品3として移設するロボットアーム4と、保形部材2に移設された被梱包物品3を上方から撮影するデジタル方式の撮影カメラ等の撮影部5と、検品後の被梱包物品3を熱収縮性透明フィルム(図示せず)で梱包する梱包装置6と、を備えている。
【0019】
保形部材2は、被梱包物品3の損傷を保護する機能を備えているものであり、例えば、段ボールシート、厚紙、封筒その他複数折りが可能な紙の内面等にエアキャップを添付したシート材のように、出荷後の被梱包物品3を搬送している際の衝撃に対して同封した被梱包物品3を保護する機能を有しているものであれば、特に限定されるものではない。
【0020】
ここで、ロボットアーム4は、被梱包物品3を出荷目録情報(注文伝票・出荷伝票・納品書・請求書など)が記載されたシート7と対応付けして収納した籠8をベルトコンベア1と直交する方向から接近する方向に搬送するベルトコンベア9によって所定位置にてベルトコンベア1の保形部材2に移送する。
【0021】
したがって、ロボットアーム4は、保形部材2の上面にシート7を最初に移送したうえで、必要各商品を同一の保形部材2に移送する。
【0022】
ロボットアーム4は、ベルトコンベア1とベルトコンベア9との間で90°以上の回転が可能な基軸部4aと、シート7や被梱包物品3を個別に吸着するこをができるように上下左右前後方向に回動する2本以上の関節アーム部4b,4cとを備えている。
【0023】
ロボットアーム4は、ベルトコンベア9で搬送されてくる籠8に収納された被梱包物品3を個数等に応じて全て保形部材2に移送することができるように、コンピュータ制御されている。
【0024】
ここで、ロボットアーム4は、籠8に収納された被梱包物品3個数等の情報は、出荷目録情報(注文伝票・出荷伝票・納品伝票・請求伝票など)を利用したコンピュータ制御とするのが望ましい。
【0025】
出荷目録情報が記載されたシート7には、例えば、各種番号(伝票番号・バーコード・2次元バーコードなど)7aが印刷又は添付されており、これを読み取ることで出荷目録情報を利用したコンピュータ制御が可能となる。
【0026】
被梱包物品3を保形部材2に移設した後の空の籠8は、ロボットアーム4によって回収テーブル(ベルトコンベア等でもよい)10に移設され、回収可能となっている。
【0027】
図2に示すように、検品装置11は、撮影カメラ等の撮影部5と、撮影部5で撮影した画像を記憶するフレームメモリ12と、フレームメモリ12に記憶した画像を識別する画像識別部13と、商品の外観情報を商品種類ごとに格納したデータベース部14と、撮影部5で撮影された一つ以上の被梱包物品とデータベース部14に格納した商品の外観情報とを比較して出荷目録情報と一つ以上の被梱包物品とが一致するかを比較する画像比較部15と、画像比較部15の比較結果を判定する画像判定部16と、フレームメモリ12に記憶した画像を表示する表示部17と、出荷目録情報を記憶した記憶部18と、画像判定部16の判定結果をベルトコンベア1,9を含むコンベアシステム19に出力する出力部20と、出荷目録情報を記憶部18に記憶させる等の外部操作を行う外部コンピュータ21との接続やインターネット(クラウド)NTとの接続を制御する通信制御部22と、を備え、制御部23によって制御可能となっている。
【0028】
フレームメモリ12は、撮影部5で撮影した1フレーム分の画像データを記憶するようになっている。記憶した画像データは画像識別部13によって識別される。ここで、画像識別部13は、データベース部14に格納した商品の外観情報から、どの商品が保形部材2に載置されているのかを特定することができる。例えば、撮影部5で撮影した結果が図2(B)に示すように、被梱包物品3が商品A、B,Cであった場合、その外観(形状、寸法、縦横比率など)から商品A,B,Cである旨を識別する。識別した被梱包物品3が商品A,B,Cである旨の情報は、画像比較部15に出力される。
【0029】
同時に、制御部23は、シート7に印刷(又は添付)された各種番号(伝票番号・バーコード・2次元バーコードなど)7aを画像識別部13で読み取らせ、記憶部18に記憶した顧客情報等から被梱包物品3の品目を特定するための出荷目録情報を取得する。
【0030】
画像比較部15は、画像識別部13で特定した被梱包物品3(例えば、商品A,B,C)と、記憶部18に記憶した出荷目録情報とを比較する。
【0031】
画像判定部16は、画像比較部15で比較した比較結果に基づいて、撮影部5で撮影した梱包直前の被梱包物品3としての商品A,B,Cが出荷目録情報と一致するか否かを判定する。
【0032】
制御部23は、画像判定部16の判定結果が一致すると判定した場合、梱包直前の被梱包物品3を梱包装置6によってフィルム梱包するよう出力部20に対してコンベアシステム19の稼働を継続させる。
【0033】
一方、制御部23は、画像判定部16の判定結果が一致すると判定しなかった場合、出力部20に対してコンベアシステム19の稼働を停止させるとともに、検品エラーを報知する。このエラー報知は、表示部17に標示をしてもよいし、図示しないブザー等を鳴動させてもよい。
【0034】
ところで、画像識別部13、画像比較部15、画像判定部16は、各機能を個別に抜き出したもので、一つの制御部23で識別・比較・判定の各機能を実行してもよい。
【0035】
これにより、例えば、図2(B)に示すように被梱包物品3が商品A,B,Cの場合、図2(C)に示すように、被梱包物品3が商品A,A,C,Cの場合、図2(D)に示すように、被梱包物品3が商品A,A,D,Cの場合、といった非一定の梱包対象が被梱包物品の場合であっても、梱包対象である顧客ごとの発送商品と一致しているのか否かの検品を人手に寄らずに実行することができる。
【0036】
なお、データベース部14に蓄積される外観情報は、一つの撮影部5によって上方から被梱包物品3を撮影したものに対応するだけでなく、被梱包物品3の上方と側方(縦側及び横側の2面の両方を含ませてもよい)とから2次元的に撮影し、商品高さを識別・比較・判定対象に含めてもよい。
【0037】
また、例えば、新商品が被梱包物品3に含まれており、データベース部14にその外観情報が蓄積されていなかった場合には、通常の辺艇ではエラー(不一致)となってしまう可能性がある。
【0038】
そこで、制御部23は、欠品や重複ではなく、比較のための外観情報がデータベース部14に含まれていない商品(例えば、商品D)が存在していた場合、通信制御部22を介してインターネットNTに接続し、記憶部18に記憶したシート7の出荷目録情報を参照して、メーカーや商品番号に対応する商品を検索して商品に付された図柄、若しくは、商品の形状・縦横寸法・縦横比率等の外観情報を取得することによって、外観情報を新たに作成することができる。
【0039】
制御部23は、新たに作成した外観情報を追加することによって、外部コンピュータ21を用いてオペレータ等が外観情報を追加入力操作することなく、学習機能として利用することも可能である。
【0040】
ここで、画像比較部15(又は、制御部23)が用いる商品の外観情報とは、外観をあらわす情報であって、例えば、商品に付された図柄情報、若しくは、形状情報、縦横寸法情報、縦横比率情報であってもよい。これにより、多様性の高い外観情報をデータベース部14に蓄積することができる。
【0041】
また、商品に付された図柄には、例えば、商品のパッケージの正面に印刷又はシール添付された、意匠上の絵、商品名・商品番号等の文字、の一部或いは全体を含ませてもよい。これにより、例えば、被撮影面となるパッケージの正面に2つ以上のバーコードが並記されている場合であっても、検品のために何れのバーコードを読み取ればよいのかといった混乱をきたすことなく、並記されたバーコードを単に図柄として扱うことが可能となる。
【0042】
さらに、画像比較部15(又は、制御部23)は、被梱包物品3が複数である場合には、個別に比較を行ってもよいし、全体で行ってもよい。
【0043】
また、被梱包物品3は、ロボットアーム4によってベルトコンベア9からベルトンベア1に移設されるものとして説明したが、例えば、ベルトコンベア9に、商品種類等に対応して上流側で分岐されたコンベアユニットを用いる、あるいは、作業者の人手により行う、など、ロボットアーム4を廃止してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 ベルトコンベア
2 保形部材
3 被梱包物品
4 ロボットアーム
4a 基軸部
4b 関節アーム部
5 撮影部
6 梱包装置
7 シート
8 籠
9 ベルトコンベア
11 検品装置
12 フレームメモリ
13 画像識別部
14 データベース部
15 画像比較部
16 画像判定部
17 表示部
18 記憶部
19 コンベアシステム
20 出力部
21 外部コンピュータ
22 通信制御部
23 制御部
図1
図2