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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】スラストころ軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/58 20060101AFI20220928BHJP
   F16C 19/30 20060101ALI20220928BHJP
   F16C 33/64 20060101ALI20220928BHJP
   F16C 25/08 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
F16C33/58
F16C19/30
F16C33/64
F16C25/08 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018093201
(22)【出願日】2018-05-14
(65)【公開番号】P2019199889
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 康太郎
(72)【発明者】
【氏名】中島 義仁
【審査官】日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-33420(JP,A)
【文献】特開平11-22738(JP,A)
【文献】米国特許第5110223(US,A)
【文献】米国特許第4892424(US,A)
【文献】米国特許第3913994(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00-19/56,33/30-33/66
F16C 21/00-27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射状に配置された複数のころと、
前記複数のころを転走可能に保持する複数のポケットを有する環状の保持器と、
前記複数のころが転走する軌道面が形成された環状の軌道盤と、を備え、
前記軌道盤は、前記軌道面を有しかつ前記保持器の軸方向一方側に配置された円環状で板状の軌道部と、前記軌道部の径方向における外方又は内方のいずれか一方の端部から軸方向他方側に延び、前記保持器を係止する複数の係止部と、を有し、
前記係止部は、
前記軌道部から前記軸方向他方側に延びる第1突出部と、
前記第1突出部の前記軸方向他方側の端部から、前記第1突出部の延在方向から前記径方向における前記ころ側かつ前記軸方向他方側に延在する第2突出部と、
前記第2突出部の前記第1突出部と反対側の端部から、さらに前記径方向における前記ころ側に突出する第3突出部と、を有
前記第1突出部と前記保持器とは軸方向に重ならず、前記第1突出部と前記軌道部とが前記保持器を挟み込まず、
前記第2突出部と前記保持器とが軸方向に重なる、
スラストころ軸受。
【請求項2】
前記軌道盤は、前記径方向における外方又は内方のいずれか一方の端部から前記軸方向他方側に延びる円筒状のつばを有し、
前記つばには、周方向に離間しかつ前記軸方向他方側に開口する切欠きの対が複数対形成されており、
前記係止部は、前記対をなす前記切欠きの間における前記つばを塑性変形させたものである、
請求項1に記載のスラストころ軸受。
【請求項3】
前記係止部は、前記軌道部の前記径方向における外方の端部から前記軸方向他方側に延びるように形成されており、
前記第2突出部は、前記径方向の内方かつ前記軸方向他方側に延在するように形成され、
前記第3突出部は、前記第2突出部の前記第1突出部と反対側の端部から、さらに前記径方向の内方に突出して形成されている、
請求項1または2に記載のスラストころ軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のころを保持器によって放射状に保持したスラストころ軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
スラストころ軸受は、例えば車両のトランスミッションにおいて非回転部材と回転部材との間に介挿され、軸受中心軸の軸方向のスラスト力を受けながら回転部材の回転を円滑にするために用いられる。スラストころ軸受は、放射状に配置された複数のころと、複数のころを転走可能に保持する複数のポケットを有する環状の保持器と、保持器の軸方向一方側に配置され、複数のころが転走する軌道面が軸方向に対して垂直に形成された環状の軌道盤と、を備えている。軌道盤は、軌道面を有する円環状で板状の軌道部と、軌道部の径方向外方又は内方のいずれか一方の端部から軸方向他方側に延びる円筒状のつばと、を有している。
【0003】
このようなスラストころ軸受として、運搬時や組み付け時の取り扱いを容易とするために、軌道盤と保持器とが分離しにくい構造とされたものがある(例えば、特許文献1参照)。また、軌道盤と保持器の分離を抑制するために、軌道盤のつばの縁部に、プレス加工によりステーキングと呼称される凸状の係止部を形成したスラストころ軸受がある。係止部を形成することにより、軌道盤から離脱する方向の保持器の軸方向の動きを規制し、軌道盤と保持器の分離を抑制することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-33420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、係止部(ステーキング)を成形する際に、係止部の先端部に引張応力が発生し、係止部の先端に割れが発生してしまう場合があった。特に、例えば直径80mm以上と径が大きいスラストころ軸受においては、寸法ばらつきが大きく保持器と軌道盤の隙間も大きくなってしまうため、軌道盤と保持器の分離を抑制するために係止部の突出量を大きく設定する必要があり、係止部先端に割れが発生しやすい。
【0006】
係止部の割れの発生は、外観不良になると共に、熱処理時等に破片が分離して脱落するおそれもある。そのため、係止部先端に割れが発生したスラストころ軸受は廃棄するしかなく、廃棄コスト削減のために改善が求められていた。
【0007】
そこで、本発明は、保持器を係止することにより保持器の分離を抑制する軌道盤の係止部先端に割れが発生しにくいスラストころ軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、放射状に配置された複数のころと、前記複数のころを転走可能に保持する複数のポケットを有する環状の保持器と、前記複数のころが転走する軌道面が形成された環状の軌道盤と、を備え、前記軌道盤は、前記軌道面を有しかつ前記保持器の軸方向一方側に配置された円環状で板状の軌道部と、前記軌道部の径方向における外方又は内方のいずれか一方の端部から軸方向他方側に延び、前記保持器を係止する複数の係止部と、を有し、前記係止部は、前記軌道部から前記軸方向他方側に延びる第1突出部と、前記第1突出部の前記軸方向他方側の端部から、前記第1突出部の延在方向から前記径方向における前記ころ側かつ前記軸方向他方側に延在する第2突出部と、前記第2突出部の前記第1突出部と反対側の端部から、さらに前記径方向における前記ころ側に突出する第3突出部と、を有前記第1突出部と前記保持器とは軸方向に重ならず、前記第1突出部と前記軌道部とが前記保持器を挟み込まず、前記第2突出部と前記保持器とが軸方向に重なる、スラストころ軸受を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保持器を係止することにより保持器の分離を抑制する軌道盤の係止部先端に割れが発生しにくいスラストころ軸受を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係るスラストころ軸受を示す図であり、(a)は断面図、(b)はそのA部拡大図である。
図2】保持器の平面図である。
図3】ハウジング軌道盤を示す図であり、(a)は保持器側から見た平面図、(b)はハウジング軌道盤の一部を示す斜視図である。
図4】ハウジング軌道盤の製造方法を説明する説明図である。
図5】本発明の一変形例に係るスラストころ軸受を示す図であり、(a)は断面図、(b)はそのD部拡大図である。
図6】軸軌道盤を示す図であり、(a)は保持器側から見た平面図、(b)は軸軌道盤の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1乃至図6を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0012】
(スラストころ軸受1の全体構成)
図1は、本実施の形態に係るスラストころ軸受を示す図であり、(a)は断面図、(b)はそのA部拡大図である。
【0013】
図1に示すように、スラストころ軸受1は、放射状に配置された複数の円柱状のころ2と、複数のころ2を転走可能に保持する環状の保持器3と、保持器3の軸方向一方側(図1(a)における下側)に配置され、複数のころ2が転走する軌道面4aが形成された環状の軌道盤としてのハウジング軌道盤4と、を備えている。
【0014】
このスラストころ軸受1は、例えば車両のトランスミッションや産業機械において回転部材と非回転部材との間に介挿され、保持器3に保持された複数のころ2の転走により、軸方向のスラスト力を受けながら回転部材の回転を円滑にするものである。
【0015】
(保持器3の構成)
図2は、保持器3の平面図である。図1及び図2に示すように、保持器3は、複数のころ2を保持する複数のポケット3aの径方向の外側に形成された外側環状体31と、ポケット3aの径方向の内側に形成された内側環状体32と、外側環状体31と内側環状体32とを径方向に連結する複数の柱33とを一体に備える。外側環状体31及び内側環状体32は同心状に形成されて対をなし、柱33と共にポケット3aを形成する。
【0016】
保持器3には、放射状に配置された複数のころ2を転走可能に保持するように、複数のころ2と同数の複数(本実施の形態では24個)のポケット3aが放射状に形成されている。ポケット3aは、保持器3の径方向に沿って長辺が延び、保持器3を厚さ方向(軸方向)貫通する略長方形状の貫通孔である。
【0017】
外側環状体31は、軸方向に対して垂直に延設された円環状で板状の第1垂直部311と、第1垂直部311の径方向外方の端部から軸方向一方側(ハウジング軌道盤4側)に延設された短円筒状の筒状部312と、筒状部312の先端部(第1垂直部311と反対側の端部)から径方向外側に延設された円環状で板状の第2垂直部313と、を一体に有する。第1及び第2垂直部311,313と筒状部312との接続部分は、図1(b)に示す断面において丸みを帯びた形状に形成されている。
【0018】
内側環状体32は、中心軸Oと平行な軸方向に対して垂直に延設された円環状で板状の垂直部321と、垂直部321の内周側の端部から軸方向一方側(ハウジング軌道盤4側)に延設された短円筒状の筒状部322と、を一体に有する。垂直部321と筒状部322との接続部分は、図1(b)に示す断面において丸みを帯びた形状に形成されている。
【0019】
外側環状体31の第1垂直部311と内側環状体32の垂直部321とは、軸方向における同じ位置に同軸に配置されている。また、外側環状体31の筒状部312と内側環状体32の筒状部322とは、垂直部311,321から軸方向の同じ方向に延出されている。柱33は、外側環状体31の第1垂直部311と内側環状体32の垂直部321とを連結している。
【0020】
(ハウジング軌道盤4の構成)
図3は、ハウジング軌道盤4を示す図であり、(a)は保持器3側から見た平面図、(b)はハウジング軌道盤4の一部を示す斜視図である。図1及び図3に示すように、ハウジング軌道盤4は、保持器3の軸方向一方側(図1(a)における下側)に配置され、軸方向に対して垂直な円環状で板状の軌道部41と、軌道部41の径方向外方の端部から軸方向他方側(図1(a)における上側)に延びる短円筒状のつば42と、を一体に有している。軌道部41は、保持器3の軸方向一方側に配置され、その保持器3側の面に複数のころ2が転走する軌道面4aを有している。
【0021】
ハウジング軌道盤4は、ころ2が転がる軌道面4aを構成する部材であるため、比較的硬質なものを用いることが望ましく、ロックウェル硬さ(HRC)が58以上のものを用いるとよい。ハウジング軌道盤4は、例えば、SAE1075やSK85等の炭素鋼板からなる。
【0022】
本実施の形態に係るスラストころ軸受1では、軌道盤としてのハウジング軌道盤4が、軌道部41の径方向外方の端部から軸方向他方側(図1(a)における上側)に延び、保持器3を係止する複数の係止部43を有している。
【0023】
本実施の形態では、つば42に、周方向に離間して形成されかつ軸方向他方側に開口する切欠き42aの対が複数対形成されている。係止部43は、対をなす2つの切欠き42aの間におけるつば42を塑性変形させて形成される。ここでは、周方向に等間隔に4つの係止部43(4対の切欠き42a)を形成しているが、係止部43の数や周方向位置については、これに限定されない。
【0024】
係止部43は、切欠き42aの対の間におけるつば42の先端側の一部を径方向内側へと折り曲げ、さらにその縁部にステーキングを施して形成されている。すなわち、係止部43は、軌道部41から軸方向他方側に延びる第1突出部431と、第1突出部431の軸方向他方側の端部から、径方向内側(ころ2側)かつ軸方向他方側に延在する第2突出部432と、第2突出部432の第1突出部431と反対側の端部から、さらに径方向内側(ころ2側)に突出する第3突出部433と、を有している。
【0025】
第1突出部431は、保持器3の径方向外方の端部(外側環状体31の第2垂直部313)の径方向外側に位置し、つば42と共に保持器3の回転をガイドするものである。例えば第1突出部431を省略し、つばを基端部から折り曲げて係止部43を形成した場合には、係止部43と軌道部41との間に保持器3が挟み込まれ動作不良を起こすおそれがある。つまり、第1突出部431を設けることで、係止部43と軌道部41との間に保持器3が挟み込まれることを抑止できる。
【0026】
第2突出部432は、軸方向に対して径方向内側に傾斜した部分である。第2突出部432を形成することで、係止部43のつば42からの径方向内方への突出量を大きくすることができ、第3突出部433の径方向内方への突出量を小さくしても、係止部43全体の径方向内側への突出量を大きくすることが可能となる。第2突出部432の軸方向に対する傾斜角度θは、例えば30°である。傾斜角度θの好適な範囲は、20°以上45°以下である。
【0027】
第3突出部433は、例えば加締めによって微小部分を変形させる所謂ステーキング加工により、第2突出部432の縁部を塑性変形させることで形成される。第2突出部432の内方への傾きのみでは、係止部43の弾性変形によって保持器3がハウジング軌道盤4から脱落するおそれがあるが、第3突出部433を有することにより、保持器3がハウジング軌道盤4からより脱落しにくくなる。
【0028】
第3突出部433は、第2突出部432の先端部(第1突出部431と反対側の端部)であって、かつ周方向における第2突出部432の中央部を、第2突出部432が延在する方向に対して垂直な方向(径方向内側かつ軸方向一方側)に突出させるように変形させて形成される。第3突出部433は、係止部43が弾性変形して保持器3がハウジング軌道盤4から脱落しそうになった際に保持器3を係止するものである。よって、保持器3がハウジング軌道盤4から脱落しようすると、係止部43の弾性変形による力(復元力)によって第3突出部433が保持器3に押し付けられる。そのため、第3突出部433の第2突出部432からの突出量は小さくてよい。
【0029】
ハウジング軌道盤4を形成する際には、まず、図4(a)に示すように、金属板を打ち抜いて、円環状で板状の基材40を形成する。この際、複数対の切欠き42aも形成しておく。その後、図4(a)に破線Bで示した位置で折り曲げ加工を行い、図4(b)に示すように、つば42を形成する。この際、係止部43となる部分のつば42についても、他の部分のつば42と同様の加工を行う。
【0030】
本実施の形態においては、つば42の折り曲げ加工に先立って複数対の切欠き42aが形成されているため、折り曲げ加工を容易に行うことが可能である。折り曲げ加工を容易とするため、それぞれの切欠き42aは、折り曲げの起点となる破線B(図4(a)参照)の位置よりも若干径方向内側まで延びるように(折り曲げ加工により湾曲される部分にかかるように)形成されることが望ましい。スラストころ軸受1は、車両のトランスミッション等で潤滑油の通り道に配置されることが多いので、潤滑油を留まらせず流動させることが求められるが、つば42に切欠き42aを形成することで、潤滑油の流動性を向上させることも可能になる。このように、切欠き42aは、係止部43を区画する役割と、つば42の折り曲げ加工を容易にする役割と、潤滑油の流動性を向上させる役割とを兼ねている。
【0031】
その後、図4(b)に破線Cで示す位置で、つば42の一部(切欠き42aの対の間の部分)を径方向内側に折り曲げると共に、第3突出部433の成形を行う。破線Cでの折り曲げ加工、及び第3突出部433の成形加工は、例えば放射型を有するプレス装置を用いたプレス成形により、同時に行うことが可能である。以上により、ハウジング軌道盤4が得られる。
【0032】
(変形例)
上記の実施の形態では、軌道部41の径方向外方の端部から軸方向に延びる短円筒状のつば42を有するハウジング軌道盤4を軌道盤として本発明を適用した場合について説明したが、図5及び図6に示すように、軌道部41の径方向内方の端部から軸方向に延びる短円筒状のつば42を有する軸軌道盤5を軌道盤として本発明を適用してもよい。軸軌道盤5を軌道盤とする場合、係止部43は、軌道部41から軸方向他方側(図5(a)の上側)に延びる第1突出部431と、第1突出部431の軸方向他方側の端部から、径方向外側(ころ2側)かつ軸方向他方側に延在する第2突出部432と、第2突出部432の第1突出部431と反対側の端部から、径方向外側(ころ2側)に突出する第3突出部433と、を有する。
【0033】
さらに、図示していないが、スラストころ軸受1は、ハウジング軌道盤4と軸軌道盤5の両方を有していてもよい。この場合、ハウジング軌道盤4と軸軌道盤5の両方に係止部43を形成してもよいし、どちらか一方のみに係止部43を形成してもよい。なお、製造公差等による影響は径方向外方においてより大きくなるため、ハウジング軌道盤4には係止部43を形成することが望ましいといえる。また、ハウジング軌道盤4と軸軌道盤5の一方のみに係止部43を形成する場合、他方のつば42の縁部に適宜ステーキングを施してもよい。
【0034】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した本実施の形態に係るスラストころ軸受1によれば、係止部43が、軌道部41から軸方向他方側に延びる第1突出部431と、第1突出部431の軸方向他方側の端部から、径方向におけるころ2側かつ軸方向他方側に延在する第2突出部432と、第2突出部432の第1突出部431と反対側の端部から、さらに径方向におけるころ2側に突出する第3突出部433と、を有している。このように構成することで、第3突出部433の突出量を小さくしても、保持器3の軌道盤からの脱落を抑制可能になる。そして、第3突出部433の突出量を小さくすることで、成形時に係止部43の先端に過度な引張り応力が発生してしまうことが抑制され、割れの発生を抑制することが可能になる。その結果、割れの発生による外観不良や、破片の発生を抑制することが可能になり、係止部43の割れによる廃却コストを削減することが可能になる。
【0035】
(付記)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、これらの実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0036】
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、切欠き42aがつば42と軌道部41との連結部分(湾曲部分)まで延びている場合について説明したが、これに限らず、切欠き42bは、少なくとも第2突出部432の基端部(第1突出部431との連結部分)まで延びていればよい。つまり、係止部43の第1突出部431は、その周囲のつば42と周方向に連結されていてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…スラストころ軸受 2…ころ
3…保持器 3a…ポケット
4…ハウジング軌道盤(軌道盤) 4a…軌道面
41…軌道部 42…つば
43…係止部 431…第1突出部
432…第2突出部 433…第3突出部
5…軸軌道盤(軌道盤)
図1
図2
図3
図4
図5
図6