(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】固形製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 9/24 20060101AFI20220928BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20220928BHJP
A61K 31/09 20060101ALI20220928BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
A61K9/24
A61K31/192
A61K31/09
A61K47/38
(21)【出願番号】P 2018094628
(22)【出願日】2018-05-16
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】P 2017101775
(32)【優先日】2017-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石井 和寛
(72)【発明者】
【氏名】東 梢
(72)【発明者】
【氏名】西島 正道
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-204296(JP,A)
【文献】特表2009-514989(JP,A)
【文献】特開2009-029813(JP,A)
【文献】特表2009-519326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00
A61K 47/00
A61K 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの放出制御層を有する多層錠であって、
多層錠の表面は上下両面とも凸R形状であり、
前記放出制御層は、融点が120℃以下の低融点薬物または1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物と、水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤を含み、かつ、その放出制御層の上下両面のうち少なくとも一方は凹R形状であることを特徴とする
、放出制御製剤である多層錠。
【請求項2】
融点が120℃以下の低融点薬物が、イブプロフェン又はグアイフェネシンである請求項1に記載の多層錠。
【請求項3】
1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物が、ロキソプロフェンナトリウム水和物である請求項1に記載の多層錠。
【請求項4】
水性液体と接すると膨張する放出制御基剤が、ハイドロゲルを形成する高分子である請求項1に記載の多層錠。
【請求項5】
ハイドロゲルを形成する高分子が、2%水溶液20℃において粘度が2.5mPa・s以上である、請求項4に記載の多層錠。
【請求項6】
ハイドロゲルを形成する高分子がヒプロメロースである請求項4又は5に記載の多層錠。
【請求項7】
ヒプロメロースのメトキシ基含量が19~24質量%であり、かつ、ヒドロキシプロポキシ基含量が4~12質量%である、請求項6に記載の多層錠。
【請求項8】
水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤の含有量が、その放出制御基剤が含まれる放出制御層多層錠全体の質量に対して15質量%以上85質量 %以下である、請求項1または4に記載の多層錠。
【請求項9】
錠剤直径/R値(曲率半径)が0.01より大きく2未満である、請求項1~8のいずれかに記載の多層錠。
【請求項10】
非放出制御層を有する、請求項1~9のいずれかに記載の多層錠。
【請求項11】
1日1回又は2回服用型である、請求項1~
10のいずれかに記載の多層錠。
【請求項12】
非コーティング錠である、請求項1~
11のいずれかに記載の多層錠。
【請求項13】
下杵の型面上に、多層錠中の各層を順次積層し、上杵によって打錠する工程を有する
放出制御製剤である多層錠の製造方法であって、
多層錠の表面は上下両面とも凸R形状であり、
水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤を含まない層を圧縮する工程の後に、
融点が120℃以下の低融点薬物または1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物と、水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤を含む層を圧縮する工程を有することを特徴とする、前記多層錠の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低融点薬物又は水和水を有する薬物を放出制御層に含む、錠剤表面が凸R形状を有する多層錠に関する。
【背景技術】
【0002】
放出制御製剤は、製剤からの薬物放出速度を制御することで血中における薬物濃度をコントロールし薬効を持続させることができる。これにより、1日の投薬回数を低減できることから、服薬アドヒアランス及びQOLの向上が期待される。
放出制御製剤には大きくリザーバー型とマトリックス型がある。リザーバー型製剤は主に放出制御膜をコーティングすることにより薬物の放出を制御する。レペタブ型、スパスタブ型、スパンスル型、顆粒型が属する。放出制御膜を構成する基剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート 、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、メタクリル酸メチル・メタクリル酸共重合体、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネートおよびポリビニルアセテートフタレート(特許文献1)やアクリル酸アルキル-メタクリル酸アルキルコポリマーが用いられている(特許文献2)。マトリックス型製剤は水の浸入による有効成分や放出制御基剤の溶解、拡散、膨潤等に伴って有効成分を徐々に放出する制御であり、放出制御基剤として、親水性高分子を用いたハイドロゲル基剤(特許文献3~6)やエチルセルロースやアクリル酸系の疎水性高分子、硬化油、高級アルコールなどのワックス類を用いることが提唱されている(非特許文献1)。ワックスマトリックス型、グラデュメット型、ロンタブ型、スパンタブ型などが属する。
【0003】
また、放出制御製剤は、大きくシングルユニット型とマルチプルユニット型に分類される。シングルユニット型の多くは、消化管内で投与剤形が保たれたまま徐々に薬物を放出する。ワックスマトリックス型、グラデュメット型、レペタブ型、ロンタブ型、スパンタブ型などがある。マルチプルユニット型では、投与された錠剤やカプセル剤が速やかに崩壊して顆粒を放出し、放出された顆粒が徐放性を示す。スパスタブ型、スパンスル型、顆粒型などがある(非特許文献2)。
【0004】
ところで、多層錠は、組成の違う2層以上が一つの錠剤として成形されているもので、混合すると配合変化を起こす薬物を配合する場合や、有効成分を2つ以上の層に分け、薬物の放出性をコントロールするなどの目的で用いられている。製造は、最初の組成物を入れ軽く圧縮し、次の組成物を入れ軽く圧縮するという操作を繰り返し、最後に通常の錠剤と同じ圧力で打錠するのが一般的である。また、錠剤の形状に関しては、服用性コンプライアンスの観点から凸R形状を有するものが望ましい。
【0005】
今までに、低融点物質や水和水を有する物質を2層に分けた多層錠が報告されている(特許文献7)。多層錠の製造において、打錠障害の一つである層間亀裂や層間剥離の問題があることが知られており、この問題を解決する方法として、いずれか一層に特定の物性を有する低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含めることで、多層錠における層間剥離を抑制できることが報告されている(特許文献8)。また、使用する賦形剤の比表面積や見かけ密度を限定することで、成形性を向上させたり、隣接する層に特定の成分を配合することで層間剥離を抑制することが報告されている(特許文献9~11)。また、互いに接する層を形成する粉粒体の平均粒子径の比率を1:2から1:50にすることにより、層間剥離を抑制するなどの方法もあることが報告されている(特許文献12)。しかしながら、これらの方法はいずれも処方成分やその配合、打錠用顆粒の物性を変更しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-292427号公報
【文献】特開2007-223927号公報
【文献】特開昭63-215620号公報
【文献】特開昭62-120315号公報
【文献】WO1998/041210号
【文献】特開平6-330524号公報
【文献】WO96/001781号
【文献】特開2008-280251号公報
【文献】特開平5-163138号公報
【文献】特開2003-144528号公報
【文献】特開2016-204296号公報
【文献】特開2000-336027号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】医薬品製剤化方法と新技術、シーエムシー出版、p89、(2007)
【文献】公益社団法人日本薬学会 薬学用語解説
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、放出制御層に低融点物質または1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物を配合した凸R形状を有する多層錠を製造し、長期間保存したところ、層間亀裂及び層間剥離の問題が大きくなることを見出した。本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、放出制御層に低融点薬物または水和水を含有する薬物を含む凸R形状を有する多層錠について、層間亀裂及び層間剥離を生じない優れた多層錠及びその製造方法を提供するものである。
【0009】
本発明者らが鋭意検討した結果、放出制御層の上下両面のうちの少なくとも一方を凹R形状とすることで、層間に発生する亀裂と剥離を抑制し、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は
(1)少なくとも一つの放出制御層を有する多層錠であって、
多層錠の表面は上下両面とも凸R形状であり、
前記放出制御層は、融点が120℃以下の低融点薬物または1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物と、水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤を含み、かつ、その放出制御層の上下両面のうち少なくとも一方は凹R形状であることを特徴とする多層錠、
(2)融点が120℃以下の低融点薬物が、イブプロフェン又はグアイフェネシンである(1)に記載の多層錠、
(3)1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物が、ロキソプロフェンナトリウム水和物である(1)に記載の多層錠、
(4)水性液体と接すると膨張する放出制御基剤が、ハイドロゲルを形成する高分子である(1)に記載の多層錠、
(5)ハイドロゲルを形成する高分子が、2%水溶液20℃において粘度が2.5mPa・s以上である、(4)に記載の多層錠、
(6)ハイドロゲルを形成する高分子がヒプロメロースである(4)又は(5)に記載の多層錠、
(7)ヒプロメロースのメトキシ基含量が19~24質量%であり、かつ、ヒドロキシプロポキシ基含量が4~12質量%である、(6)に記載の多層錠、
(8)水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤の含有量が、その放出制御基剤が含まれる放出制御層全体の質量に対して15質量%以上85質量%以下である、(1)または(4)に記載の多層錠、
(9)錠剤直径/R値(曲率半径)が0.01より大きく2未満である、(1)~(8)のいずれかに記載の多層錠、
(10)非放出制御層を有する、(1)~(9)のいずれかに記載の多層錠、
(11)放出制御製剤である、(1)~(10)のいずれかに記載の多層錠、
(12)1日1回又は2回服用型である、(1)~(11)のいずれかに記載の多層錠、
(13)非コーティング錠である、(1)~(12)のいずれかに記載の多層錠、
(14)下杵の型面上に、多層錠中の各層を順次積層し、上杵によって打錠する工程を有する多層錠の製造方法であって、 上下の杵の形状は凹R形状であり、
水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤を含まない層を圧縮する工程の後に、
融点が120℃以下の低融点薬物または1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物と、水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤を含む層を圧縮する工程を有することを特徴とする、前記多層錠の製造方法、
である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、低融点薬物または1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物を放出制御層に含む多層錠において、層間に生じる亀裂や剥離を抑制することができ、飲みやすさや掴み易さ、見た目といった商品性の高い多層錠の提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本願発明の多層錠の断面図を示す。図の斜線部分は放出制御層である。図のうち、rは錠剤直径を、Rは曲率半径を示す。曲率半径は、錠剤表面が曲線性を示すとき、その局所的な曲がり具合を円に近似したときの、円の半径である。
【
図2】(a)は放出制御層の一方の面が、凹R形状であり、もう一方の面が凸R形状である多層錠の断面図であり、斜線部は放出制御層である。(b)は放出制御層の断面図を示す。
【
図3】(c)は放出制御層の面が、上下両面とも凸R形状である多層錠の断面図であり、斜線部は放出制御層である。(d)は放出制御層の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の多層錠は、融点120℃以下の低融点薬物又は1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物の放出制御を行う目的で、多層錠の少なくとも一層に放出制御層を有する。
【0014】
本発明の放出制御基剤としては、水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤であれば制限されないが、好ましくはハイドロゲルを形成する高分子である。
ハイドロゲルを形成する高分子物質としては、例えば2%水溶液20℃の粘度が2.5mPa・s以上、他の態様として2%水溶液20℃の粘度が140000mPa・s以下、更なる態様として、1%水溶液25℃の粘度が7mPa・s以上、1%水溶液25℃の粘度が15000mPa・s以下、更に他の態様として、10%水溶液30℃の粘度が100mPa・s以上、10%水溶液30℃の粘度が180mPa・s以下となるものが好ましい。なお、本発明のハイドロゲルを形成する高分子物質の粘度は、本発明の多層錠中にハイドロゲルを形成する高分子物質を複数含む場合は、複数組み合わせて混合した場合の粘度を指す。よって、単一成分の粘度が上記の粘度範囲から外れるものであっても、当該粘度範囲内の粘度となるように適宜組み合わせて使用することができる。また、ハイドロゲルを形成する高分子物質の分子量は、例えば、5万以上、他の態様として5万以上800万以下、更なる態様として5万以上500万以下、更に他の態様として5万以上200万以下である。本発明の多層錠においては、融点が120℃以下の低融点薬物又は1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物の放出が制御されるよう、ハイドロゲルを形成する高分子として用いる高分子の種類、粘度、量を適宜調節すればよい。
【0015】
本発明で用いられる水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤の具体例としては、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルファー化デンプン、カルボキシビニルポリマーおよびポリエチレンオキサイド等が挙げられる。
【0016】
ヒプロメロース(以下、HPMCと略記する場合がある)としては、例えば、METOLOSE 90SH-100SR(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:80-120mPa・s)、METOLOSE 90SH-4000SR(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:3000-5600mPa・s)、METOLOSE 90SH-15000SR(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:11250-21000mPa・s)、METOLOSE 90SH-100000SR(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:75000-140000mPa・s)、METOLOSE SB-4(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:約4mPa・S)、TC-5R(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:約5.2-7.0mPa・S)、TC-5S(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:約12.5-17.5mPa・S)、TC-5M(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:約3.6-5.1mPa・S)、TC-5E(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:2.5-3.5mPa・S)、METOLOSE 60SH-50(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:40.0-60.0mPa・S)、METOLOSE 60SH-4000(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:3000-5600mPa・S)、METOLOSE 60SH-10000(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:7500-14000mPa・S)、METOLOSE 65SH-50(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:40.0-60.0mPa・S)、METOLOSE 65SH-400(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:320-480mPa・S)、METOLOSE 65SH-1500(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:1125-2100mPa・S)、METOLOSE 65SH-4000(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:3000-5600mPa・S)が挙げられる。また、本発明のヒプロメロースは、メトキシ基含量が19~24質量%、ヒドロキシプロポキシ基含量が4~12質量%が好ましい。
【0017】
ヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCと略記する場合がある)としては、例えば、HPC-SSL(商品名、日本曹達(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:2.0-2.9mPa・S)、HPC-SL(商品名、日本曹達(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:3.0-5.9mPa・S)、HPC-L(商品名、日本曹達(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:6.0-10.0mPa・S)、HPC-M(商品名、日本曹達(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:150-400mPa・S)、HPC-H(商品名、日本曹達(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:1000-4000mPa・S)などのヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を挙げることができる。
【0018】
メチルセルロース(以下、MCと略記する場合がある)としては、例えば、METOLOSE SM-4(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:3.2-4.8mPa・s)、METOLOSE SM-15(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:12.0-18.0mPa・s)、METOLOSE SM-25(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:20.0-30.0mPa・s)、METOLOSE SM-100(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:80.0-120.0mPa・s)、METOLOSE SM-400(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:320-480mPa・s)、METOLOSE SM-1500(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:1125-2100mPa・s)、METOLOSE SM-4000(商品名、信越化学工業(株)製)(20℃における2%水溶液の粘度:3000-5600mPa・s)が挙げられる。
【0019】
カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下、CMCNaと略記することがある)としては、例えば、サンローズF-30MC(商品名、日本製紙(株)製)(25℃における1%水溶液の粘度:250-350mPa・s)、サンローズF-150MC(商品名、日本製紙(株)製)(平均分子量:20万、25℃における1%水溶液の粘度:1200-1800mPa・s)、サンローズF-600MC(商品名、日本製紙(株)製)(25℃における1%水溶液の粘度::6000-8000mPa・s)、サンローズF-1000MC(商品名、日本製紙(株)製)(平均分子量:42万、25℃における1%水溶液の粘度:8000-12000mPa・s)、サンローズF-1400MC(商品名、日本製紙(株)製)(25℃における1%水溶液の粘度:粘度:12000-15000mPa・s(1%水溶液25℃))、サンローズF-300MC(商品名、日本製紙(株)製)(平均分子量:30万、25℃における1%水溶液の粘度:粘度:2500-3000mPa・s)が挙げられる。
【0020】
ヒドロキシエチルセルロース(以下、HECと略記することがある)としては、例えば、HECダイセルSE850(商品名、ダイセル(株)製)(平均分子量:148万、25℃における1%水溶液の粘度:粘度:2400-3000mPA・S)、HECダイセルSE900(商品名、ダイセル(株)製)(平均分子量:156万、25℃における1%水溶液の粘度:粘度:4000-5000mPa・s)が挙げられる。
【0021】
アルファー化デンプンとしては、例えば、SWELSTAR MX-1(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
【0022】
カルボキシビニルポリマーとしては、例えば、カーボポール71G(商品名、Lubrizol Advanced Materials製)(pH7.5における0.5%酢酸エチル溶液の粘度:4000-11000mPa・s)、カーボポール971P(商品名、Lubrizol Advanced Materials製)(pH7.5における0.5%酢酸エチル溶液の粘度:4000-11000mPa・s)、カーボポール981(商品名、Lubrizol Advanced Materials製)(pH7.5における0.5%酢酸エチル溶液の粘度:4000-10000mPa・s)、カーボポール941(商品名、Lubrizol Advanced Materials製)(粘度:4000-10000mPa・s)、カーボポール934(商品名、Lubrizol Advanced Materials製)(粘度:30500-39400mPa・s)、カーボポール934P(商品名、Lubrizol Advanced Materials製)(粘度:29400-39400mPa・s)が挙げられる。
【0023】
ポリエチレンオキサイド(以下、PEOと略記する場合がある)としては、例えば、Polyox WSR-308(商品名、DOW社製)(平均分子量:800万、25℃における1%水溶液の粘度:10000-15000mPa・s)、Polyox WSR-303(商品名、DOW社製)(平均分子量:700万、25℃における1%水溶液の粘度:10000-15000mPa・s)、Polyox WSR Coagulant(商品名、DOW社製)(平均分子量:500万、25℃における1%水溶液の粘度:5500-7500mPa・s)、Polyox WSR-301(商品名、DOW社製)(平均分子量:400万、25℃における1%水溶液の粘度:1650-5500mPa・s]、Polyox WSR-N-60K(商品名、DOW社製)(平均分子量:200万、25℃における2%水溶液の粘度:2000-4000mPa・s)、Polyox WSR-N-12K(商品名、DOW社製)(平均分子量:100万、25℃における2%水溶液の粘度:400-800mPa・s)、Polyox WSR-1105(商品名、DOW社製)(平均分子量:90万、25℃における5%水溶液の粘度:8800-17600mPa・s)、Polyox WSR-205(商品名、DOW社製)(平均分子量:60万、25℃における5%水溶液の粘度:4500-8800mPa・s)、Polyox WSR-N-750(商品名、DOW社製)(平均分子量:30万、25℃における5%水溶液の粘度:600-1200mPa・s)、Polyox WSR-N-80(商品名、DOW社製)(平均分子量:20万、25℃における5%水溶液の粘度:55-90mPa・s)、Polyox WSR-N-10(商品名、DOW社製)(平均分子量:10万、25℃における5%水溶液の粘度:12-50mPa・s)が挙げられる。
なお、本発明の粘度は第十七改正日本薬局方に基づき測定される。
【0024】
本発明の多層錠中における水性液体と接すると膨張する放出制御基剤の含有量は、その放出制御基剤を含む放出制御層全体に対して本発明の課題が大きくなる15質量%以上が好ましく、また、上限値について特に限定されるものではないが、通常85質量%である。より好ましい含有量は、20質量%~70質量%である。また、本発明の多層錠全体に対しては5質量%以上70質量%以下が好ましい。水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤は、1種または2種以上適宜組合せて使用可能である。また、異なるロットを組み合わせて使用しても良い。
【0025】
本発明の多層錠中における融点が120℃以下の低融点薬物としては、例えばイブプロフェン、グアイフェネシンが挙げられ、1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物としてはロキソプロフェンナトリウム水和物等が挙げられる。なお、ロキソプロフェンナトリウム水和物は、1分子構造内に2分子の水和水を含む薬物である。融点が120℃以下の低融点薬物または1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物の含有量は、その薬効を示す量であれば特に限定されるものではないが、本発明の多層錠全体に対して通常5~85質量%である。また、本発明の水性液体と接すると膨張する放出制御基剤と融点が120℃以下の低融点薬物または1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物は同一の放出制御層に含まれることが必要であるが、同一の放出制御層に含まれてさえいれば、他の層に含まれることを妨げるものではない。本発明の多層錠において、融点が120℃以下の低融点薬物又は1分子構造内に1分子以上の水和水を含む薬物を含むと、低融点薬物の溶解あるいは水分の影響により、放出制御層がより膨張しやすく、層間の亀裂や剥離の問題が高まるが、本発明の多層錠とすることによりこの問題は解消される。
【0026】
本発明の多層錠の剤形は、錠剤に限定されるが、素錠に加え、フィルムコーティング錠及び糖衣錠を包含するが、フィルムコーティングしない非コーティング錠剤が好ましい。コーティングしなくても、層間亀裂及び層間剥離を抑制することができるからである。それぞれ必要に応じて有効成分、賦形剤、結合剤、崩壊剤、フィルムコーティング剤、滑沢剤、抗酸化剤、香料、および着色剤等の慣用の製剤添加剤を適当量配合しても良い。
【0027】
本発明で用いられる多層錠の表面の形状は、上面、下面とも凸R形状である。
図1に示したように、錠剤表面が曲線を描くとき、R形状を有するといい、その曲率半径Rは、錠剤表面の局所的な曲がり具合を円に近似したときの、円の半径ある。錠剤表面に2つ以上の曲率半径を有する場合、数値の大きいR値を使用する。
【0028】
本願発明において、錠剤直径/R値(曲率半径)により定義される多層錠表面の曲がり具合は、0.01より大きく2未満が好ましい。なお、R値(曲率半径)は、医薬品製剤技術、シーエムシー出版、p209、(2002)に記載されている。
【0029】
また、本発明の放出制御層の上下両面の形状は、少なくとも一方は凹R形状である。すなわち、上下両面とも凹R形状であってもよいし、一方が凹R形状でありもう一方が凸R形状であってもよい。このうち好ましいのは、一方が凹R形状でありもう一方が凸R形状である。本願発明の放出制御層を特定の形状の多層錠とすることにより、層間亀裂や層間剥離は抑制される。
【0030】
本発明の多層錠は、円形状の錠剤に限定されるものではなく、錠剤の表面が曲線を描いていれば、オーバル形状、三角形状や四角形状の錠剤などであってもよい。
【0031】
また、本発明の多層錠は、少なくとも1層は融点が120℃以下の低融点薬物又は1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物と水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤を含む放出制御層であり、その他の層として水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤を含まない放出制御層や、非放出制御層(必ずしも薬物を配合しなくてもよい)等を設けることができる。本発明では、徐放性と速効性の双方の特性を付与するために、別の層として非放出制御層を設けるのが好ましい。非放出制御層には、即効性が要求される鎮痛薬等を配合することができる。
【0032】
本発明の多層錠の製造方法としては、非放出制御層と放出制御層を有する二層錠を製造する場合、非放出制御層には薬物と結晶セルロース等の賦形剤を混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを添加、混合し、1層目の非放出制御層の打錠用粉体を打錠用製造機に充填する。放出制御層には、融点が120℃以下の低融点薬物又は1分子構造内に水和水1分子以上有する薬物と水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤と結晶セルロース等の賦形剤を混合し、さらにステアリン酸マグネシウムを添加、混合し、2層目の放出制御層の打錠用粉体を打錠用製造機に充填する。次に、1層目の非放出制御層の打錠用粉体を標準的な円形の臼に充填し、粉体を標準的な凸R形状の錠剤を成形するための杵で圧縮した後、2層目の放出制御層の打錠用粉体を臼に充填し、再度圧縮することで多層錠が得られる。このとき、多層錠の表面は上下両面とも凸R形状であり、放出制御層は非放出制御層と接する面は凹R形状であり反対側の面は凸R形状の多層錠となる。
【0033】
以下、製造例、対照例、実施例、比較例及び試験例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【0034】
(実施例1)
打錠用粉体A全体に対し、結晶セルロース30.7質量%、乳糖61.0質量%、CMS-Na4.9質量%、軽質無水ケイ酸2.9質量%、黄色5号0.1質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.5質量%添加・混合し、打錠用粉体A(非放出制御層)を得た。
別に、打錠用粉体B全体に対し、イブプロフェン35.0質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製、)52.3質量%、結晶セルロース9.3質量%、軽質無水ケイ酸2.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.5質量%添加・混合し、打錠用粉体B(放出制御層)を得た。
次に、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮した後、2層目として打錠用粉体B107mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。得られた二層錠の表面は、上下両面もR凸形状であり、放出制御層の上下面の形状は、一方が凸R形状、一方が凹R形状を有する。
【0035】
(比較例1)
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体B107mgを充填し圧縮した後、2層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、両方が凸R形状を有する。
【0036】
(実施例2)
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値12mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮した後、2層目として打錠用粉体B107mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、一方が凸R形状、一方が凹R形状を有する。
【0037】
(比較例2)
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値12mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体B107mgを充填し圧縮した後、2層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、両方が凸R形状を有する。
【0038】
(比較例3)
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R形状を有さない平面形の杵を用い、1層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮した後、2層目として打錠用粉体B107mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。
【0039】
(比較例4)
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R形状を有さない平面形の杵を用い、1層目として打錠用粉体B107mgを充填し圧縮した後、2層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。
【0040】
実施例1及び2、比較例1~4で製した錠剤を65℃1.5時間保存し、層間に生じる亀裂の発生率を確認した結果を表1に示す。なお、斜線部は放出制御層である。
【0041】
R形状を有さない平面系の杵を用いて製した錠剤においては亀裂は観察されなかったが(比較例3及び4)、R形状を有する杵を用い、放出制御層の上下両面を凸R形状とすると、亀裂が確認された(比較例1~2)。一方、放出制御層の上下面の形状を、一方が凸R形状、一方が凹R形状とした実施例1~2は、亀裂が発生しなかった。
【0042】
【0043】
(実施例3)
打錠用粉体C全体に対し、イブプロフェン35.0質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製、)15.0質量%、結晶セルロース46.7質量%、軽質無水ケイ酸2.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.5質量%添加・混合し、打錠用粉体C(放出制御層)を得た。
次に、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮した後、2層として打錠用粉体C107mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、一方が凸R形状、一方が凹R形状を有する。
【0044】
(比較例5)
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体C107mgを充填し圧縮した後、2層として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、両方が凸R形状を有する。
【0045】
(実施例4)
打錠用粉体D全体に対し、イブプロフェン35.0質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製、)19.9質量%、結晶セルロース41.7質量%、軽質無水ケイ酸2.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.5質量%添加・混合し、打錠用粉体D(放出制御層)を得た。
次に、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮した後、2層として打錠用粉体D107mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、一方が凸R形状、一方が凹R形状を有する。
【0046】
(比較例6)
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体D107mgを充填し圧縮した後、2層として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、両方が凸R形状を有する。
【0047】
実施例3及び4、比較例5及び6で製した錠剤を65℃1.5時間保存し、層間に生じる亀裂の発生率を確認した結果を表2に示す。
【0048】
R形状を有する杵を用い、放出制御層の上下両面とも凸R形状とすると、亀裂が確認された(比較例5~6)。しかし、放出制御層の上下両面の形状のを凹R面とした実施例3~4は、亀裂が発生しなかった。
【0049】
【0050】
(実施例5)
打錠用粉体E全体に対し、ロキソプロフェンナトリウム水和物15.9質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製、)52.3質量%、結晶セルロース28.5質量%、軽質無水ケイ酸2.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.5質量%添加・混合し、打錠用粉体E(放出制御層)を得た。
次に、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮した後、2層として打錠用粉体E107mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、一方が凸R形状、一方が凹R形状を有する。
【0051】
(比較例7)
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体E107mgを充填し圧縮した後、2層として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、両方が凸R形状を有する。
【0052】
(比較例8)
打錠用粉体F全体に対し、アセトアミノフェン44.4質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製、)52.3質量%、軽質無水ケイ酸2.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.5質量%添加・混合し、打錠用粉体F(放出制御層)を得た。
次に、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体F169mgを充填し圧縮した後、2層として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、両方が凸R形状を有する。
【0053】
実施例5、比較例7及び8で製した錠剤を65℃1.5時間保存し、層間に生じる亀裂の発生率を確認した結果を表3に示す。
【0054】
水和物であるロキソプロフェンナトリウム水和物を含有した製剤の場合、層間に亀裂が発生したが(比較例7)、放出制御層の形状を工夫したことにより実施例5において、処方を変更することなく層間の亀裂を抑制することができた。一方、アセトアミノフェン(融点169~172℃)を含有した製剤では、放出制御層の上下面の形状が両方凸R形状の場合であっても亀裂は発生しなかった(比較例8)。
【0055】
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明により、水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤を含んでいても、放出制御層の上下面の少なくとも一方を凹R形状とすることで、処方の変更無く亀裂発生率の低い多層錠を製することができる。