(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】紫外線硬化型コーティング組成物、硬化被膜、被覆物
(51)【国際特許分類】
C09D 4/02 20060101AFI20220928BHJP
C09D 175/16 20060101ALI20220928BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20220928BHJP
【FI】
C09D4/02
C09D175/16
C09D7/63
(21)【出願番号】P 2018169342
(22)【出願日】2018-09-11
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2017181856
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】柏木 宏章
(72)【発明者】
【氏名】田中 諒
(72)【発明者】
【氏名】大西 崇之
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/013510(WO,A1)
【文献】特開平06-329731(JP,A)
【文献】国際公開第2016/002666(WO,A1)
【文献】特開2015-119106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジイソシアネート(a1)、ジオール(a2)及び水酸基含有単官能(メタ)アクリレート(a3)を、(a1)成分1モルに対して、(a2)成分を0.8~1モル及び(a3)成分を0.05~1モルで反応させてなるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)、環内に酸素原子を有する環状(メタ)アクリレート(B)、並びにチオール(C)を含有
し、
(B)成分が、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソランー4-イル)メチルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート及び(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である(ただし、(メタ)アクリロイルモルホリンを含有するものを除く)、紫外線硬化型コーティング組成物。
【請求項2】
(a2)成分が、ポリエステルジオールである請求項1の紫外線硬化型コーティング組成物。
【請求項3】
(A)成分及び(B)成分の含有比率が、固形分重量で(A)/(B)=20/80~80/20である請求項1
又は2の紫外線硬化型コーティング組成物。
【請求項4】
(C)成分が、3官能チオール及び/又は4官能チオールである請求項1~
3のいずれかの紫外線硬化型コーティング組成物。
【請求項5】
(C)成分が、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、0.1~5重量部である請求項1~
4のいずれかの紫外線硬化型コーティング組成物。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれかのコーティング組成物の硬化被膜。
【請求項7】
基材の少なくとも片面に請求項
6の硬化被膜を有する被覆物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型コーティング組成物、硬化被膜、被覆物に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット等のモバイル機器、デジタルカメラやオーディオ等のデジタル家電、無線機やモデムの通信機器等のIT関連の技術進歩に伴い、エレクトロニクス分野に用いられる紫外線硬化型コーティング組成物の需要が高まっている。例えば、スマートフォンでは、カバーガラス上に20μm程度の段差を有する加飾層が設けられているため、コーティング組成物としては、その段差に追従しながら密着させる性質が必要となる。また、有機EL素子では、コーティング組成物が封止剤として用いられ、長期に亘り、安定した発光特性を維持できるが、薄型デバイスに適用する場合には、ある程度の柔軟性が要求される。
【0003】
このような段差追従性、柔軟性を課題としたコーティング組成物の一例としては、例えば、不飽和二重結合を持つモノマーに対して、ウレタン結合を有し、かつ、ポリマー末端に不飽和二重結合を有する重量平均分子量が2万以上の高分子量体を特定量含む粘着剤組成物が公知である(特許文献1)。当該技術では、高分子量体の架橋間を長くすることで、柔軟性が付与され、温度をかけた際に、粘着剤が良好に流動する一方、柔らか過ぎると、室温で粘着剤が部材から流れ出てしまい、被膜の厚さが不均一となる等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、低臭気であり、室温では硬く、高温下では優れた流動性を有し、基材に対する密着性が良好となる紫外線硬化型コーティング組成物;当該コーティング組成物の硬化被膜、及び当該硬化被膜を有する被覆物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ポリウレタン(メタ)アクリレートと、併せて用いる(メタ)アクリレートの構造にそれぞれ着目して鋭意検討したところ、特定のポリウレタン(メタ)アクリレート、特定の環状(メタ)アクリレート及びチオールを含有する紫外線硬化型コーティング組成物が前記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の紫外線硬化型コーティング組成物、硬化被膜、被覆物に関する。
【0007】
1.ジイソシアネート(a1)、ジオール(a2)及び水酸基含有単官能(メタ)アクリレート(a3)を、(a1)成分1モルに対して、(a2)成分を0.8~1モル及び(a3)成分を0.05~1モルで反応させてなるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)、環内に酸素原子を有する環状(メタ)アクリレート(B)、並びにチオール(C)を含有する紫外線硬化型コーティング組成物。
【0008】
2.(a2)成分が、ポリエステルジオールである前項1の紫外線硬化型コーティング組成物。
【0009】
3.(B)成分が、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソランー4-イル)メチルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート及び(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレートからなる群より選ばれる1種である、前項1又は2の紫外線硬化型コーティング組成物。
【0010】
4.(A)成分及び(B)成分の含有比率が、固形分重量で(A)/(B)=20/80~80/20である前項1~3のいずれかの紫外線硬化型コーティング組成物。
【0011】
5.(C)成分が、3官能チオール及び/又は4官能チオールである前項1~4のいずれかの紫外線硬化型コーティング組成物。
【0012】
6.(C)成分が、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、0.1~5重量部である前項1~5のいずれかの紫外線硬化型コーティング組成物。
【0013】
7.前項1~6のいずれかのコーティング組成物の硬化被膜。
【0014】
8.基材の少なくとも片面に前項7の硬化被膜を有する被覆物。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る紫外線硬化型コーティング組成物は、低臭気であり、室温では硬く、高温下では優れた流動性を有し、基材に対する密着性が良好となる。前記の効果を有するため、当該コーティング組成物は、例えば、偏光板、液晶パネルや有機ELパネル等のコーティング剤、発光素子、受光素子、光電変換素子や光伝送関連部品等の接着剤又は封止剤等に適用可能であり、特に封止剤として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の紫外線硬化型コーティング組成物は、特定のポリウレタン(メタ)アクリレート(A)(以下、(A)成分という)、環内に酸素原子を有する環状(メタ)アクリレート(B)(以下、(B)成分という)及びチオール(C)(以下、(C)成分という)を含有する。
【0017】
(A)成分は、紫外線硬化型コーティング組成物の基材に対する密着性に優れ、また硬化被膜とすることで、高温時の流動性にも優れたものにする成分であり、ジイソシアネート(a1)(以下、(a1)成分という)、ジオール(a2)(以下、(a2)成分という)及び水酸基含有単官能(メタ)アクリレート(a3)(以下、(a3)成分という)を反応させてなるものである。
【0018】
(a1)成分としては、特に限定されず、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイルビス(メチレン)ジイソシアナート、水添キシレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられ、これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも、硬化被膜の透明性の点から脂肪族ジイソシアネート及び/又は脂環族ジイソシアネートが好ましく、脂環族ジイソシアネートがより好ましい。
【0019】
(a2)成分としては、特に限定されず、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。
【0020】
ポリエーテルジオールとしては、特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれらの共重合体等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用しても良い。また市販品としては、例えば、アデカポリエーテルポリオール1000、アデカポリエーテルポリオール2000(以上、ADEKA(株)製)、及びPTMG650、PTMG1000及びPTMG2000(以上、三菱化学(株)製)等が挙げられる。
【0021】
ポリエステルジオールとしては、特に限定されず、ジオールと多塩基酸との重縮合物等が挙げられる。ジオールとしては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレングリコールまたはプロピレングリコール付加物等が挙げられる。また、多塩基酸としては、特に限定されず、例えば、アジピン酸、マレイン酸、コハク酸、しゅう酸、フマル酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の二塩基酸;無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多塩基酸;これらに対応する無水物やその誘導体およびダイマー酸、水添ダイマー酸等が挙げられる。なお、当該エステル化反応には、必要に応じて公知の触媒を使用しても良く、例えば、ジブチルスズオキサイドやオクチル酸第一スズなどのスズ化合物やテトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のアルコキシチタン等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用しても良い。
【0022】
ポリカーボネートジオールとしては、特に限定されず、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のジオールとホスゲンとの反応物等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用しても良い。
【0023】
上記の(a2)成分の中でも、硬化被膜が室温時に硬く、高温時に優れた流動性を有する点からポリエステルジオールが好ましい。
【0024】
(a2)成分の物性は、特に限定されず、例えば、数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算値、以下同様)が、通常、400~5000程度であり、好ましくは500~2000程度である。また、(a2)成分の平均水酸基数も、特に限定されず、通常1~3個程度、好ましくは1~2個程度である。
【0025】
(a2)成分の使用モル量としては、通常は、(a1)成分1モルに対して、0.8~1モルであり、好ましくは0.9~1モルである。0.8モル未満であると、硬化被膜の高温時の流動性が低下しやすく、1モルを超えると、硬化被膜の室温時の硬化性が低下しやすい。
【0026】
(a3)成分としては、特に限定されず、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート、4-ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも、硬化被膜の高温時での流動性の点から全炭素数5~10のものが好ましい。
【0027】
(a3)成分の使用モル量としては、通常は、(a1)成分1モルに対して、0.05~1モルであり、好ましくは0.2~0.7モルである。0.05モル未満であると、硬化被膜の高温時の流動性が低下しやすく、1モルを超えると、硬化被膜の室温時の硬化性が低下しやすい。
【0028】
(A)成分は、特に限定されず、各種公知の方法により製造されるものであり、例えば、(a1)成分と(a2)成分とを反応させてウレタンプレポリマー(以下、(A’)成分)を製造し、次いで、(A’)成分と(a3)成分を反応させることにより得られる。反応条件としては、特に限定されず、通常は温度が60~90℃程度、時間が0.5~3時間程度である。
【0029】
なお、(A)成分の製造は、いずれも無溶剤下で行っても良いが、後述する(B)成分の存在下で行うこともできる。
【0030】
(A)成分の他の物性としては、特に限定されないが、重量平均分子量が、2000~40000程度が好ましく、5000~20000程度がより好ましい。
【0031】
(B)成分としては、環内に酸素原子を有する環状(メタ)アクリレートであれば、特に限定されず、例えば、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート等のオキセタン環を有する(メタ)アクリレート;(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソランー4-イル)メチルアクリレート、(2-オキソー1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルメタクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン等のジオキソラン環を有する(メタ)アクリレート;環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、1,3-ジオキサンー5,5-ジメタノールジアクリレート等のジオキサン環を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも、紫外線硬化型コーティング組成物の低臭気、及び基材に対する優れた密着性の点から、(2-メチルー2-エチルー1,3-ジオキソランー4-イル)メチルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート及び(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレートからなる群より選ばれる1種が好ましく、市販品としては、「MEDOL-10」((2-メチルー2-エチルー1,3-ジオキソランー4-イル)メチルアクリレート、大阪有機化学工業(株)製)、「ビスコート#200」(環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、大阪有機化学工業(株)製)、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート(商品名:「OXE-30」、大阪有機化学工業(株)製)、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート(商品名:「OXE-10」、大阪有機化学工業(株)製)等を入手できる。
【0032】
(B)成分の含有量は、特に限定されないが、硬化被膜の高温時での流動性に優れる点から、(A)成分との含有比率にして、固形分重量で(A)/(B)=20/80~80/20程度である。また同様の点から、好ましくは(A)/(B)=30/70~60/40程度である。
【0033】
(C)成分としては、特に限定されず、各種公知のものを使用でき、種類としては単官能チオール、多官能チオール等が挙げられる。
【0034】
単官能チオールとしては、特に限定されず、例えば、1-ノナンチオール、tert-ノナンチオール、1-ドデカンチオールメルカプタン、tert-ドデカンチオール等が挙げられる。
【0035】
多官能チオールとしては、特に限定されず、例えば、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,7-ヘプタンジチオール、1,8-オクタンジチオール、1,9-ノナンジチオール、トリアジンジチオール、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、3-メルカプトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルチオール、1,3-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、テトラエチレングリコール-ビス(3-メルカプトプロピオネート)等の2官能チオール;トリアジントリチオール、1,2,3-プロパントリチオール、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等の3官能チオール;ペンタエリスリトールテトラキスチオグルコレートペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)等の4官能チオール等が挙げられる。
【0036】
これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも、硬化被膜の高温時での流動性に優れる点から、多官能チオールが好ましく、3官能チオール及び/又は4官能チオールがより好ましく、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)が特に好ましい。
【0037】
(C)成分の含有量としては、特に限定されないが、硬化被膜の高温時での流動性に優れる点から、固形分重量で、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、0.1~5重量部程度である。また同様の点から、好ましくは0.5~2重量部程度である。
【0038】
本発明の紫外線硬化型コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分、を混合することで製造できる。混合温度、各成分の混合方法及び添加順序については、特に限定されない。
【0039】
また、コーティング組成物の粘度を調整する目的で、必要に応じて、有機溶剤を配合しても良い。有機溶剤としては、特に限定されず、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0040】
本発明の紫外線硬化型コーティング組成物は、紫外線を照射するに際して、光重合開始剤を配合する。光重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、オキシムエステル化合物等の光重合開始剤、アミンやキノン等の光増感剤等が挙げられ、より具体的には、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、1,2-オクタンジオン1-[4-(フェニルチオ)-2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(o-アセチルオキシム)等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。
【0041】
光重合開始剤の含有量としては、特に限定されないが、紫外線硬化型コーティング組成物の硬化性の点から、(A)成分~(C)成分の合計100重量部に対して、通常は0.05~15重量部程度、好ましくは0.5~10重量部程度、より好ましくは0.5~5重量部程度である。
【0042】
本発明の紫外線硬化型コーティング組成物は、必要に応じて、表面調整剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、無機フィラー、シランカップリング剤、コロイダルシリカ、レベリング剤、消泡剤、光増感剤、スリップ剤、湿潤剤、防錆剤等の添加剤を含めても良い。
【0043】
本発明の硬化被膜は、前記紫外線硬化型コーティング組成物を硬化させたものである。
【0044】
本発明の硬化被膜は特に限定されず、本発明の紫外線硬化型コーティング組成物を基材に塗工し、紫外線を照射することにより得られる。
【0045】
基材としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、シクロオレフィンポリマー(COPフィルム)、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等のプラスチックフィルム;金属、木材、紙、ガラス、スレート等が挙げられる。
【0046】
塗工方法としては、特に限定されず、例えば、アプリケーター、バーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、グラビアコーター等が挙げられる。紫外線硬化型コーティング組成物の塗工量も特に限定されず、通常は、乾燥後の重量で0.1~20g/m2程度となるように塗工する。
【0047】
紫外線の光源としては、特に限定されず、例えば、キセノンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、無電極ランプ、LEDランプ等が挙げられる。また、紫外線の照射強度も特に限定されず、通常、100~1000mJ/cm2程度である。また、紫外線を照射した後は、完全に硬化させる目的に、必要に応じて加熱させても良い。
【0048】
本発明の被覆物は、基材の少なくとも片面に本発明の硬化被膜を有するものである。基材、硬化方法等は前述と同様である。
【実施例】
【0049】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら各例に限定されるものではない。なお、各例中、部及び%は特記しない限り全て重量基準である。
【0050】
合成例1((A-1)成分の製造)
撹拌装置、冷却器、滴下ロ-ト、温度計を備えた反応装置に数平均分子量1000のポリエステルポリオール(アジピン酸とエチレングリコールとの反応物、DIC(株)製、商品名:『ポリライトOD-X-286』)78.1部、イソホロンジイソシアネート17.4部を仕込んだ後、系内温度が40℃になるまで昇温し、2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加えた。80℃で1.5時間撹拌後、得られた反応物に2-ヒドロキシエチルアクリレート4.5部、さらに30分後に2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加え、80℃でさらに2時間撹拌を続けた。IRスペクトルでイソシアネート基の吸収2270cm-1が消滅したことを確認し、(A-1)成分を得た。(A-1)成分の重量平均分子量は9000であった。
【0051】
合成例2((A-2)成分の製造)
撹拌装置、冷却器、滴下ロ-ト、温度計を備えた反応装置に数平均分子量1000のポリエステルポリオール(アジピン酸とエチレングリコールとの反応物、DIC(株)製、商品名:『ポリライトOD-X-286』)81.5部、1,6-ヘキサンジイソシアネート13.7部を仕込んだ後、系内温度が40℃になるまで昇温し、2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加えた。80℃で1.5時間撹拌後、得られた反応物に2-ヒドロキシエチルアクリレート4.7部、さらに30分後に2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加え、80℃でさらに2時間撹拌を続けた。IRスペクトルでイソシアネート基の吸収2270cm-1が消滅したことを確認し、(A-2)成分を得た。(A-2)成分の重量平均分子量は9000であった。
【0052】
合成例3((A-3)成分の製造)
撹拌装置、冷却器、滴下ロ-ト、温度計を備えた反応装置に数平均分子量550のポリエステルポリオール(アジピン酸とエチレングリコールとの反応物、三井化学(株)製、商品名:『タケラックU-550』)66.2部、イソホロンジイソシアネート26.8部を仕込んだ後、系内温度が40℃になるまで昇温し、2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加えた。80℃で1.5時間撹拌後、得られた反応物に2-ヒドロキシエチルアクリレート7.0部、さらに30分後に2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加え、80℃でさらに2時間撹拌を続けた。IRスペクトルでイソシアネート基の吸収2270cm-1が消滅したことを確認し、(A-3)成分を得た。(A-3)成分の重量平均分子量は8000であった。
【0053】
合成例4((A-4)成分の製造)
撹拌装置、冷却器、滴下ロ-ト、温度計を備えた反応装置に数平均分子量700のポリエーテルポリオール(ポリプロピレングリコール、旭硝子(株)製、商品名:『EXCENOL720』)71.4部、イソホロンジイソシアネート22.7部を仕込んだ後、系内温度が40℃になるまで昇温し、2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加えた。80℃で1.5時間撹拌後、得られた反応物に2-ヒドロキシエチルアクリレート5.9部、さらに30分後に2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加え、80℃でさらに2時間撹拌を続けた。IRスペクトルでイソシアネート基の吸収2270cm-1が消滅したことを確認し、(A-4)成分を得た。(A-4)成分の重量平均分子量は8000であった。
【0054】
合成例5((A-5)成分の製造)
撹拌装置、冷却器、滴下ロ-ト、温度計を備えた反応装置に数平均分子量500のポリカーボネートポリオール(1,6-ヘキサンジオールの反応物、宇部興産(株)製、商品名:『UH-50』)64.1部、イソホロンジイソシアネート28.5部を仕込んだ後、系内温度が40℃になるまで昇温し、2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加えた。80℃で1.5時間撹拌後、得られた反応物に2-ヒドロキシエチルアクリレート7.4部、さらに30分後に2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加え、80℃でさらに2時間撹拌を続けた。IRスペクトルでイソシアネート基の吸収2270cm-1が消滅したことを確認し、(A-5)成分を得た。(A-5)成分の重量平均分子量は8000であった。
【0055】
合成例6((A-6)成分の製造)
撹拌装置、冷却器、滴下ロ-ト、温度計を備えた反応装置に数平均分子量1000のポリエステルポリオール(アジピン酸とエチレングリコールとの反応物、DIC(株)製、商品名:『ポリライトOD-X-286』)76.0部、イソホロンジイソシアネート16.9部を仕込んだ後、系内温度が40℃になるまで昇温し、2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加えた。80℃で1.5時間撹拌後、得られた反応物に2-ヒドロキシエチルアクリレート7.1部、さらに30分後に2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加え、80℃でさらに2時間撹拌を続けた。IRスペクトルでイソシアネート基の吸収2270cm-1が消滅したことを確認し、(A-6)成分を得た。(A-6)成分の重量平均分子量は10000であった。
【0056】
合成例7((A-7)成分の製造)
撹拌装置、冷却器、滴下ロ-ト、温度計を備えた反応装置に数平均分子量1000のポリエステルポリオール(アジピン酸とエチレングリコールとの反応物、DIC(株)製、商品名:『ポリライトOD-X-286』)80.3部、イソホロンジイソシアネート17.8部を仕込んだ後、系内温度が40℃になるまで昇温し、2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加えた。80℃で1.5時間撹拌後、得られた反応物に2-ヒドロキシエチルアクリレート1.9部、さらに30分後に2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加え、80℃でさらに2時間撹拌を続けた。IRスペクトルでイソシアネート基の吸収2270cm-1が消滅したことを確認し、(A-7)成分を得た。(A-7)成分の重量平均分子量は10000であった。
【0057】
合成例8((A-8)成分の製造)
撹拌装置、冷却器、滴下ロ-ト、温度計を備えた反応装置に数平均分子量1000のポリエステルポリオール(アジピン酸とエチレングリコールとの反応物、DIC(株)製、商品名:『ポリライトOD-X-286』)75.7部、イソホロンジイソシアネート21.0部を仕込んだ後、系内温度が40℃になるまで昇温し、2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加えた。80℃で1.5時間撹拌後、得られた反応物に2-ヒドロキシエチルアクリレート3.3部、さらに30分後に2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加え、80℃でさらに2時間撹拌を続けた。IRスペクトルでイソシアネート基の吸収2270cm-1が消滅したことを確認し、(A-8)成分を得た。(A-8)成分の重量平均分子量は11000であった。
【0058】
合成例9((A-9)成分の製造)
撹拌装置、冷却器、滴下ロ-ト、温度計を備えた反応装置に数平均分子量1000のポリエステルポリオール(アジピン酸とエチレングリコールとの反応物、DIC(株)製、商品名:『ポリライトOD-X-286』)77.3部、イソホロンジイソシアネート17.2部を仕込んだ後、系内温度が40℃になるまで昇温し、2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加えた。80℃で1.5時間撹拌後、得られた反応物に4-ヒドロキシブチルアクリレート5.6部、さらに30分後に2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加え、80℃でさらに2時間撹拌を続けた。IRスペクトルでイソシアネート基の吸収2270cm-1が消滅したことを確認し、(A-9)成分を得た。(A-9)成分の重量平均分子量は10000であった。
【0059】
比較合成例1((D-1)成分の製造)
撹拌装置、冷却器、滴下ロ-ト、温度計を備えた反応装置に数平均分子量1000のポリエステルポリオール(アジピン酸とエチレングリコールとの反応物、DIC(株)製、商品名:『ポリライトOD-X-286』)87.1部、イソホロンジイソシアネート12.9部を仕込んだ後、系内温度が40℃になるまで昇温し、2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加えた。80℃で1.5時間撹拌後、IRスペクトルでイソシアネート基の吸収2270cm-1が消滅したことを確認し、(D-1)成分を得た。(D-1)成分の重量平均分子量は9,000であった。
【0060】
比較合成例2((D-2)成分の製造)
撹拌装置、冷却器、滴下ロ-ト、温度計を備えた反応装置に数平均分子量1000のポリエステルポリオール(アジピン酸とエチレングリコールとの反応物、DIC(株)製、商品名:『ポリライトOD-X-286』)69.0部、イソホロンジイソシアネート23.0部を仕込んだ後、系内温度が40℃になるまで昇温し、2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加えた。80℃で1.5時間撹拌後、得られた反応物に2-ヒドロキシエチルアクリレート8.0部、さらに30分後に2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加え、80℃でさらに2時間撹拌を続けた。IRスペクトルでイソシアネート基の吸収2270cm-1が消滅したことを確認し、(D-2)成分を得た。(D-2)成分の重量平均分子量は9,000であった。
【0061】
比較合成例3((D-3)成分の製造)
撹拌装置、冷却器、滴下ロ-ト、温度計を備えた反応装置に数平均分子量1000のポリエステルポリオール(アジピン酸とエチレングリコールとの反応物、DIC(株)製、商品名:『ポリライトOD-X-286』)61.3部、イソホロンジイソシアネート20.4部を仕込んだ後、系内温度が40℃になるまで昇温し、2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加えた。80℃で1.5時間撹拌後、得られた反応物に2-ヒドロキシエチルアクリレート3.6部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、ビスコート#300)14.7部、さらに30分後に2-エチルヘキサン酸スズ0.04部を加え、80℃でさらに2時間撹拌を続けた。IRスペクトルでイソシアネート基の吸収2270cm-1が消滅したことを確認し、(D-3)成分を得た。(D-3)成分の重量平均分子量は11,000であった。
【0062】
実施例1
(A-1)成分を50部、(B)成分として、(2-メチルー2-エチルー1,3-ジオキソランー4-イル)メチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名:『MEDOL-10』)50部、(C)成分として、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)1部を加えて室温で混合し、紫外線硬化型コーティング組成物を得た。
【0063】
実施例2~19、比較例1~6
実施例1と同様の方法で、表1に示す組成となるように混合し、紫外線硬化型コーティング組成物をそれぞれ得た。
【0064】
<臭気>
実施例1~19及び比較例1~6の紫外線硬化型コーティング組成物の臭気を官能評価した。
(評価基準)
○:臭いを殆ど感じない。
△:臭いを感じる。
×:非常に強く臭いを感じる。
【0065】
<被覆物(1)の作製>
市販のポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:『コスモシャインA4100』、東洋紡(株)製)の表面に、実施例1の紫外線硬化型コーティング組成物をアプリケーターで硬化被膜の膜厚が25μmとなるように塗工した。その後、200W水銀ランプを用いて積算光量750mJ/cm2になるよう紫外線を照射して被覆物(1)を作製した。実施例2~19、比較例1~6の紫外線硬化型コーティング組成物についても同様に行った。得られた被覆物(1)で密着性を評価した。
【0066】
<密着性>
JIS K 5600-5-6に準拠して、碁盤目密着試験を行った。
セロハンテープ(商品名『LP-24』、ニチバン(株)製)を、指で上から押し付けるようにして被覆物(1)の硬化皮膜に密着させた後に剥離した。100マスの内、硬化被膜が全てのマス目で剥離していない場合を100/100、全てのマス目で剥離している場合を0/100とし、硬化膜が剥離していないマス目を数えた。
【0067】
<被覆物(2)の作製>
市販のセパレート用ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:『SP-PET3801BU』、三井化学(株)製)の表面に、実施例1の紫外線硬化型コーティング組成物をアプリケーターで硬化被膜の膜厚が25μmとなるように塗工した。その後、200W水銀ランプを用いて積算光量750mJ/cm2になるよう紫外線を照射して被覆物(2)を作製した。実施例2~19、比較例1~6の紫外線硬化型コーティング組成物についても同様に行った。得られた被覆物(2)で室温時の硬化性と高温時の流動性を評価した。
【0068】
<室温時の硬化性、高温時の流動性>
被覆物(2)からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、1cm×1cmに裁断した。裁断した硬化被膜を粘弾性測定機(装置名:『EXSTAR6000』、(株)エスエスアイ・ナノテクノロジー製)にセットし、液体窒素を用いて硬化被膜の温度が0℃になるまで冷却した。その後、周波数1Hz、昇温速度3℃/分の条件で昇温させ、温度25℃と50℃時点のtanδを計測した。
【0069】
(室温時の硬化性(25℃でのtanδ))
室温時の硬化性は、数値が小さいほど良好である。
【0070】
(高温時の流動性(50℃でのtanδ))
高温時の流動性は、数値が大きいほど良好である。
【0071】
【表1】
※(A)成分及び(B)成分の含有量については、固形分重量での(A)成分と(B)成分との含有比率で示す。
※(C)成分の含有量については、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対する重量で示す。
【0072】
表1における各記号は以下の成分を表す。
<ポリウレタン(メタ)アクリレート>
・A-1:製造例1のポリウレタンアクリレート
(モル比率)(a1)成分:(a2)成分:(a3)成分=1:1:0.5
・A-2:製造例2のポリウレタンアクリレート
(モル比率)(a1)成分:(a2)成分:(a3)成分=1:1:0.5
・A-3:製造例3のポリウレタンアクリレート
(モル比率)(a1)成分:(a2)成分:(a3)成分=1:1:0.5
・A-4:製造例4のポリウレタンアクリレート
(モル比率)(a1)成分:(a2)成分:(a3)成分=1:1:0.5
・A-5:製造例5のポリウレタンアクリレート
(モル比率)(a1)成分:(a2)成分:(a3)成分=1:1:0.5
・A-6:製造例6のポリウレタンアクリレート
(モル比率)(a1)成分:(a2)成分:(a3)成分=1:1:0.8
・A-7:製造例7のポリウレタンアクリレート
(モル比率)(a1)成分:(a2)成分:(a3)成分=1:1:0.2
・A-8:製造例8のポリウレタンアクリレート
(モル比率)(a1)成分:(a2)成分:(a3)成分=1:0.8:0.3
・A-9:製造例9のポリウレタンアクリレート
(モル比率)(a1)成分:(a2)成分:(a3)成分=1:1:0.5
・D-1:比較製造例1のポリウレタン(メタ)アクリレート
(モル比率)(a1)成分:(a2)成分=1:1.5
・D-2:比較製造例2のポリウレタンアクリレート
(モル比率)(a1)成分:(a2)成分:(a3)成分=1:0.7:0.7
・D-3:比較製造例3のポリウレタンアクリレート
(モル比率)(a1)成分:(a2)成分:(a3)成分=1:0.7:0.7
<酸素原子を有する環状(メタ)アクリレート>
・B-1:(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソランー4-イル)メチルアクリレート(商品名:「MEDOL-10」、大阪有機化学工業(株)製)
・B-2:環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(商品名:「ビスコート#200」、大阪有機化学工業(株)製)
・B-3:(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート(商品名:「OXE-10」、大阪有機化学工業(株)製)
<酸素原子を有さない(メタ)アクリレート>
・E-1:イソボルニルアクリレート
・E-2:シクロヘキシルアクリレート
<多官能チオール>
・C-1:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)
・C-2:1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン
・C-3:1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン