(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】液体吐出装置及び配線部材
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20220928BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220928BHJP
B41J 2/155 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/01 301
B41J2/155
(21)【出願番号】P 2018178870
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100182051
【氏名又は名称】松川 直宏
(72)【発明者】
【氏名】垣内 徹
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-194306(JP,A)
【文献】特開2006-245562(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0106954(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/14
B41J 2/01
B41J 2/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の平面に沿って第1方向に配置された複数の液体吐出モジュールと、
前記複数の液体吐出モジュールに共通に接合された配線部材とを備え、
前記配線部材は、
前記所定の平面に沿って前記第1方向に並んだ状態で、前記複数の液体吐出モジュールにそれぞれ接合された複数の接合部と、
複数の枝部であって、
前記複数の接合部から前記所定の平面に沿って前記第1方向と直交する第2方向にそれぞれ延びる複数の第1部分と、
前記所定の平面から離れる第3方向にそれぞれ延びる複数の第2部分と、
前記複数の第1部分の、前記第2方向における前記複数の接合部とは反対側の複数の第1端部と、前記複数の第2部分の、前記第3方向における前記所定の平面に近い側の複数の第2端部とにそれぞれ繋がる複数の折り曲げ部分とを有する、複数の枝部と、
前記複数の第2部分の、前記第3方向における前記所定の平面から遠い側の複数の第3端部に共通に繋がる幹部とを有し、
前記複数の枝部の各々の前記第1方向の幅は、前記幹部の前記第1方向の幅よりも小さいことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記配線部材は、前記複数の接合部のうち前記第1方向に隣り合う2つの接合部どうしを繋げる少なくとも一つのリンク部をさらに備え、
前記複数の接合部と前記少なくとも一つのリンク部により、前記第1方向に連続して延びるブリッジ部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記ブリッジ部には、前記複数の液体吐出モジュールに対して共通の駆動信号を供給するための駆動信号配線が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記駆動信号配線は、それぞれが前記第1方向に延びる2つの駆動信号配線として形成され、
前記2つの駆動信号配線は、前記第2方向には重ならないことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記複数の枝部の各々には、前記複数の液体吐出モジュールのうちの少なくとも一つの液体吐出モジュールに対して定電位信号を供給するための、定電位配線が配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記複数の枝部の各々には、前記複数の液体吐出モジュールのうちの一つの液体吐出モジュールに対して制御信号を供給するための、制御配線が配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記複数の枝部の各々の前記第1方向の幅は、前記第1部分の前記第2方向の長さと前記第2部分の前記第3方向の長さの和よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記複数の液体吐出モジュールの各々は、前記所定の平面に沿って、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第4方向に延びていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記複数の液体吐出モジュールの各々は、前記所定の平面に沿って前記第4方向に配置された複数の圧電素子を有する請求項8に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記複数の液体吐出モジュールの各々は、前記複数の圧電素子に重ねられ、前記複数の圧電素子と電気的に接続されたドライバICを有することを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置及び配線部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、第1方向に並べられた複数のヘッドチップと、複数のヘッドチップによるインクの吐出を制御する制御基板と、複数のヘッドチップと制御基板とを電気的に接続するフレキシブル配線基板とを備える液体吐出装置が知られている。この液体吐出装置において、フレキシブル配線基板は、第1方向と直交する第2方向に延び第1方向の幅が広い第1部分と、第2方向に延び第1方向の幅が第1部分よりも狭い第2部分とを有する。第1部分の先端は複数に枝分かれしており、複数の枝分かれ部分がそれぞれ、複数のヘッドチップに接続されている。一方、第2部分の第1部分と反対側の端部が、制御基板のコネクタに接続されている。つまり、複数のヘッドチップが、共通のフレキシブル配線基板を介して制御基板と接続されているため、制御基板のコネクタの数を減らすことができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の液体吐出装置において、フレキシブル配線基板は、複数のヘッドチップと制御基板とを接続する際、第1方向の幅が広い第1部分において、複数のヘッドチップから離れる方向に折り曲げられている。詳細には、フレキシブル配線基板は、第1部分において、第1方向に延びる折り曲げ線に沿って、折り曲げられている。このため、フレキシブル配線基板の折り曲げ性が低く、例えば、制御基板のコネクタに接続する際にフレキシブル配線基板に外力が作用した場合に、フレキシブル配線基板の枝分かれ部分と複数のヘッドチップとの接合部分が剥離する虞がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、フレキシブル配線基板の折り曲げ性が良く、フレキシブル配線基板とヘッドモジュールとの接合部分が剥離しにくい液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、所定の平面に沿って第1方向に配置された複数の液体吐出モジュールと、前記複数の液体吐出モジュールに共通に接合された配線部材とを備え、前記配線部材は、前記所定の平面に沿って前記第1方向に並んだ状態で、前記複数の液体吐出モジュールにそれぞれ接合された複数の接合部と、複数の枝部であって、前記複数の接合部から前記所定の平面に沿って前記第1方向と直交する第2方向にそれぞれ延びる複数の第1部分と、前記所定の平面から離れる第3方向にそれぞれ延びる複数の第2部分と、前記複数の第1部分の、前記第2方向における前記複数の接合部とは反対側の複数の第1端部と、前記複数の第2部分の、前記第3方向における前記所定の平面に近い側の複数の第2端部とにそれぞれ繋がる複数の折り曲げ部分とを有する、複数の枝部と、前記複数の第2部分の、前記第3方向における前記所定の平面から遠い側の複数の第3端部に共通に繋がる幹部とを有し、前記複数の枝部の各々の前記第1方向の幅は、前記幹部の前記第1方向の幅よりも小さいことを特徴とする液体吐出装置が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様に従えば、所定の方向に延びる幹部と、前記幹部の前記所定の方向の一方側の端部から、それぞれが前記所定の方向に延びる複数の枝部と、前記所定の方向と直交する直交方向に延びて、前記複数の枝部の前記所定の方向の一方側の複数の端部どうしを繋げるブリッジ部とを備え、前記複数の枝部の各々において、前記直交方向の幅は、前記所定の方向の長さよりも小さく、且つ、前記幹部の前記直交方向の幅よりも小さいことを特徴とする配線部材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るプリンタの概略的な平面図である。
【
図2】インクジェットプリンタの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】ラインヘッドに取り付けられたヘッドユニットの底面図である。
【
図5】液体吐出ヘッドの構成を示す図であって、配線基板とドライバICとを破断して圧電素子を露出させた状態で示す平面図である。
【
図6】圧電素子を駆動するための駆動信号が圧電素子に出力される回路構成を示す回路ブロック図である。
【
図7】配線基板に入力される電圧信号の波形図である。
【
図8】折り曲げる前のフレキシブル配線基板の平面形状を示す平面図である。
【
図9】フレキシブル配線基板における配線の配置を示す平面図である。
【
図10】フレキシブル配線基板がインクジェットプリンタに実装される際に、枝部が折り曲げられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<インクジェットプリンタ11の概略構成>
本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタ11(以下、「プリンタ11」と呼ぶ)の概略構成について、
図1を参照しつつ説明する。プリンタ11は、本発明の液体吐出装置の一例である。なお、以下に説明する実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更することができる。
図1は、プリンタ11が水平面に載置された状態を示している。以下では、
図1の紙面手前側をプリンタ11の「上方」、紙面向こう側をプリンタ11の「下方」と定義する。また、
図1に示す前後方向及び左右方向をそれぞれ、搬送方向及び装置幅方向と定義する。水平面は、本発明の所定の平面の一例である。搬送方向は、本発明の第2方向及び所定の方向の一例である。装置幅方向は本発明の第1方向及び直交方向の一例である。以下、前後、左右、上下の各方向語を適宜使用して説明する。
【0010】
図1に示すように、プリンタ11は、ラインヘッド13、プラテン14、搬送機構15、及びコントローラ100等を主に備えている。ラインヘッド13は、装置幅方向に沿って配置された複数のヘッドユニット20を有する。なお、本実施形態のラインヘッド13は、6個のヘッドユニット20を有している。複数のヘッドユニット20はそれぞれ同じ構成を有している。
図3に示すように、各ヘッドユニット20は、複数のヘッドモジュール23を有している。各ヘッドモジュール23は、液体吐出モジュールの一例である。各ヘッドモジュール23の下面には、複数のノズルNが開口している。
図3に示すように、複数のノズルNは、搬送方向及び装置幅方向と交差する、ノズル配列方向に沿って配列されている。ノズル配列方向は、本発明の第4方向の一例である。ヘッドユニット20の詳細については後述する。
【0011】
プラテン14は、記録媒体12が載置される台であり、各ヘッドモジュール23の下面と対向して配置されている。搬送機構15は、プラテン14を搬送方向に挟むように配置された2つの搬送ローラ15a,15bと、搬送モータ15c(
図2参照)とを有する。2つの搬送ローラ15a,15bは、搬送モータ15cによって互いに同期して駆動される。搬送機構15は、2つの搬送ローラ15a,15bによって、プラテン14に載置された記録媒体12を搬送方向に搬送する。
【0012】
コントローラ100は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)110、ROM(Read Only Memory)120、RAM(Random Access Memory)130、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)140等を含む。ROM120には、CPU110が実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAM130には、プログラム実行時に必要なデータ(印刷データ等)が一時的に記憶される。ASIC140は、ラインヘッド13、搬送モータ15c等、プリンタ11の様々な装置あるいは駆動部と接続されている。また、ASIC140は、通信インターフェース150を介してPC等の外部装置160と接続されている。
【0013】
コントローラ100は、外部装置160から受信した印刷指示に基づいて、ラインヘッド13のヘッドユニット20や搬送モータ15c等を制御し、記録媒体12に画像等を印刷する印刷処理を実行する。この際、コントローラ100は、ラインヘッド13からインクを吐出させるための電気信号を、ヘッドユニット20へ供給する。なお、コントローラ100とヘッドユニット20との間は、電気信号が伝送されるフレキシブル配線基板70(
図3参照)によって、電気的に接続されている。
【0014】
上記の説明では、コントローラ100が行う各種処理は、CPU110が行うものとして説明したが、CPU110と、ASIC140との協動により行ってもよい。また、コントローラ100が複数のCPU110を備え、複数のCPU110によって処理を分担して行ってもよい。また、コントローラ100が複数のASIC140を備え、複数のASIC140によって処理を分担してもよい。あるいは、1つのASIC140が単独で処理を行ってもよい。
【0015】
<ヘッドユニット20>
図3に示すように、各ヘッドユニット20は、装置幅方向に平行な一組の対辺と、ノズル配列方向に平行な一組の対辺とからなる平行四辺形の外形を有する。各ヘッドユニット20は、装置幅方向に沿って並べられた6個のヘッドモジュール23を有する。各ヘッドモジュール23は、ノズル配列方向に延在する。6個のヘッドモジュール23はそれぞれ同じ構成を有しており、6個のヘッドモジュール23のそれぞれに対応した電気信号が、1個のフレキシブル配線基板70を介してそれぞれのヘッドモジュール23に伝送される。
【0016】
<ヘッドモジュール23>
図3に示すように、各ヘッドモジュール23の底面には、インクを吐出する複数のノズルNが形成されている。複数のノズルNは、ノズル配列方向と直交する方向に並ぶ2列のノズル列NR1,NR2を形成しており、各ノズル列はノズル配列方向に沿って形成されている。2列のノズル列NR1,NR2は、ノズル配列方向の位置がずれた状態で形成されている。なお、2列のノズル列NR1,NR2はそれぞれ、同じ数のノズルから形成されており、各ノズル列おいて、複数のノズルNは等間隔に形成されている。また、本実施形態では、1列のノズル列から2種類、2列のノズル列から4種類のインクが吐出されるように構成されている。例えば、ノズル列NR1からは、イエローインクとYシアンインクCが吐出され、ノズル列NR2からは、マゼンタインクMとブラックインクBkが吐出されるように構成されている。
【0017】
図4に示すように、ヘッドモジュール23は、インクの流路を形成する流路ユニット30と、ノズルNからインクを吐出させる液体吐出ヘッド40と、モジュールケース25とから構成されている。流路ユニット30と液体吐出ヘッド40とは、上下方向に積層された状態でモジュールケース25に取り付けられている。
【0018】
流路ユニット30は、下側から順に、複数のノズルNが形成されたノズル板31と、流路基板32と、圧力室基板33と、振動板41とを備える。ノズル板31と、流路基板32と、圧力室基板33と、振動板41とは、積層状態で互いに固定されている。流路ユニット30には、各ノズルNに連通するディセンダ35と、ディセンダ35に連通する圧力室36と、圧力室36に連通する液体供給路37と、液体供給路37に連通する共通液室38とが形成されている。このうち、ディセンダ35、圧力室36及び液体供給路37は各ノズルNに対応して形成されている。これに対し、1つのヘッドモジュール23には、4種類のインクにそれぞれ対応する4つの共通液室38が形成されており、各共通液室38は、同じ種類のインクを吐出する複数のノズルNと連通している。
【0019】
モジュールケース25は略箱状の部材である。モジュールケース25の内部には、図示しないインク供給源から、流路ユニット30における共通液室38にインクを導入するための、液体導入路39が形成されている。液体導入路39は、共通液室38と共に、流路ユニット30に複数並設された圧力室36に共通なインクが貯留される空間である。本実施形態では、4種類のインクに対応して4つの液体導入路39が形成されている。
【0020】
液体吐出ヘッド40は、下側から順に、圧電素子PZが形成された振動板41と、配線基板60と、所定の出力電圧を出力するドライバIC65とを備えている。つまり、配線基板60は、ドライバIC65と対向する第1面60aと、振動板41と対向する第2面60bとを有する。
【0021】
振動板41は、弾性的に振動可能な板状の部材である。振動板41の下面は流路ユニット30の圧力室36を構成し、振動板41の上面には、複数のノズルNにそれぞれ対応する複数の圧電素子PZが形成されている。各圧電素子PZは、電界が作用することによって伸縮する圧電体42と、この圧電体42を上下方向に挟むように配置された、第1の電極43と第2の電極44とを有している。第1の電極43は、各圧力室36(各ノズルN)に対応して圧電体42の上面に形成された個別の電極である。第2の電極44は、振動板41の上面に複数の圧力室36(複数のノズルN)に対応して形成された、複数の圧電素子PZに共通する電極である。第1の電極43及び第2の電極44に電圧が印加され、圧電体42の、第1の電極43と第2の電極44とで挟まれる部分に電界が作用すると、その部分が圧力室36に向かって凸となるように変形する。これにより、振動板41が湾曲し、圧力室36内のインクが加圧される。このとき、ノズルNからインクが吐出される。なお、ここでは、圧電素子PZが形成された振動板41を圧電素子形成基板45と呼ぶ。
【0022】
配線基板60の第1面60aには、複数の第1の出力端子91と、第2の出力端子92とが形成されている。複数の第1の出力端子91と、第2の出力端子92とは、ドライバIC65と電気的に接続され、ドライバIC65から出力される出力電圧が伝送される。すなわち、ドライバIC65には、複数の圧電素子PZに対して選択的に出力電圧を供給するための電気回路などが搭載され、その回路形成面である能動面にバンプ69aとバンプ69bとが形成されている。そして、ドライバIC65は、バンプ69aによって第1の出力端子91と電気的に接続されるとともにバンプ69bによって第2の出力端子92と電気的に接続されている。つまり、ドライバIC65は、所謂フリップチップ(Flip Chip)実装により配線基板60の第1面60aに取り付けられている。
【0023】
また、配線基板60には、第1の出力端子91および第2の出力端子92とそれぞれ電気的に接続された複数の貫通配線63が形成されている。さらに、配線基板60の第2面60bには、複数の貫通配線63とそれぞれ電気的に接続された接続配線63aおよび接続配線63bが形成されている。すなわち、配線基板60の第1面60a側に形成された第1の出力端子91および第2の出力端子92は、配線基板60に設けられた貫通配線63を介して、配線基板60の第2面60b側に設けられた接続配線63aおよび接続配線63bと電気的に接続される。
【0024】
さらに、配線基板60の第2面60bには、圧電素子形成基板45とそれぞれ電気的に接続された第1の導通端子61および第2の導通端子62が形成されている。本実施形態において、第1の導通端子61は、内部樹脂64aと、この内部樹脂64aを覆うように形成された接続配線63aとによって構成された樹脂バンプである。また、第2の導通端子62は、内部樹脂64bと、この内部樹脂64bを覆うように形成された接続配線63bとによって構成された樹脂バンプである。したがって、ドライバIC65から出力された出力電圧は、配線基板60の第2面60b側に設けられた第1の導通端子61に伝送されるとともに、配線基板60の第2面60b側に設けられた第2の導通端子62に伝送される。そして、第1の導通端子61に伝送された出力電圧が圧電素子形成基板45の第1の電極43に供給され、第2の導通端子62に伝送された出力電圧が圧電素子形成基板45の第2の電極44に供給されることにより、各ノズルNからインクが吐出される。
【0025】
また、第1の導通端子61および第2の導通端子62は、液体吐出ヘッド40において、圧電素子形成基板45、及び、圧電素子形成基板45と対向する配線基板60の間に、所定の寸法を有する隙間を形成する。すなわち、複数設けられた第1の導通端子61、及び、第2の導通端子62は、圧電素子形成基板45と配線基板60との間に、上下方向へ変位する振動板41が配線基板60と接触しないように、隙間を形成する。
【0026】
なお、圧電素子形成基板45と配線基板60との間に第1の導通端子61が複数接続されたのち、隣接する第1の導通端子61の間において、圧電素子形成基板45と配線基板60との間を、樹脂製の封止材46により埋めてもよい。これにより、圧電素子形成基板45、配線基板60、第1の導通端子61および封止材46によって囲まれた空間が、圧電素子PZを封止する封止空間SCを形成する(
図4参照)。この意味において、配線基板60は圧電素子PZを封止する封止基板でもある。
【0027】
ここで、
図5を参照して、液体吐出ヘッド40の構造を説明する。なお、
図5では、圧電体42が省略されて図示されている。
図5に示すように、複数の第1の電極43は、圧電素子形成基板45においてノズル列NR1の各ノズルNに対応するようにノズル配列方向に並べられた電極列と、ノズル列NR2の各ノズルNに対応するようにノズル配列方向に並べられた電極列とを形成している。
【0028】
複数の第1の電極43には、圧電素子形成基板45の外周に向かって張り出した、矩形状の張出電極43aがそれぞれ形成されている。この張出電極43aに対して、
図5において黒丸で示すように、ノズル配列方向に沿って配置された複数の第1の導通端子61がそれぞれ接続される。また、複数の第2の導通端子62はノズル配列方向に沿って配置され、
図5において黒丸で示すように、圧電素子PZの第2の電極44に接続される。
【0029】
本実施形態の液体吐出ヘッド40において、コントローラ100からフレキシブル配線基板70を介して伝送された電気信号は配線基板60に入力される。そして、ドライバIC65は、配線基板60に入力された電気信号に基づいて所定の出力電圧(駆動電圧)を出力する。
【0030】
ここで、
図6を参照して、フレキシブル配線基板70を介してコントローラ100から伝送される電気信号と、ドライバIC65から出力される出力電圧について説明する。なお、本実施形態では、ヘッドユニット20に配列された6個のヘッドモジュール23において、フレキシブル配線基板70を介して伝送される電気信号の生成や圧電素子PZに出力される出力電圧の生成は、同様の回路構成で行われる。したがって、ここでは、1つのヘッドモジュール23について説明する。
【0031】
図6に示すように、コントローラ100には、メイン制御部52と、2つの電圧信号生成回路53,54と、定電圧生成回路55とが設けられている。また、液体吐出ヘッド40が有するドライバIC65には、圧電素子PZの第1の電極43に駆動電圧VTを出力し、且つ、第2の電極44に定電圧VBSを出力するための電気回路が構成されている。
【0032】
メイン制御部52は、印刷対象となる画像データがPC等の外部装置160から供給されたときに、電圧信号生成回路53,54やドライバIC65の電気回路を制御するための各種の制御信号等を出力する。具体的には、メイン制御部52は、一方の電圧信号生成回路53にデジタルデータdAを繰り返して供給し、他方の電圧信号生成回路54にデジタルデータdBを繰り返して供給する。ここで、データdAは、液体吐出ヘッド40に伝送される電気信号である第1の電圧信号の信号波形を規定し、データdBは、液体吐出ヘッド40に伝送される電気信号である第2の電圧信号の信号波形を規定する。
【0033】
一方の電圧信号生成回路53は、繰り返し供給されるデータdAをアナログ電圧に変換した後に、例えばD級増幅により増幅したアナログの第1の電圧信号を、駆動信号COM-Aとして液体吐出ヘッド40に出力する。同様に、他方の電圧信号生成回路54は、繰り返し供給されるデータdBをアナログ電圧に変換した後に、例えばD級増幅により増幅したアナログの第2の電圧信号を、駆動信号COM-Bとして液体吐出ヘッド40に供給する。なお、2つの電圧信号生成回路53,54については、入力するデータおよび出力する電圧信号の信号波形が異なるのみであり、その回路構成は同一であって、一定の電圧VHが電源として用いられる。
【0034】
また、メイン制御部52は、搬送モータ15cの駆動を制御して、記録媒体12の搬送を制御する制御信号Scを出力するとともに、この制御信号Scに同期して、液体吐出ヘッド40に、各種の制御信号Ctrを電気信号として供給する。なお、液体吐出ヘッド40に供給される制御信号Ctrはデジタル(2値電圧)の電圧信号である。本実施形態では、制御信号Ctrには、ノズルNから吐出させるインクの量を規定する印刷データ、当該印刷データの転送に用いるクロック信号、印刷周期等を規定するタイミング信号等が含まれる。
【0035】
また、コントローラ100からは、駆動信号COM-A,COM-Bおよび制御信号Ctrの他に、定電圧生成回路55が生成した定電圧VBSがフレキシブル配線基板70を介して供給される。さらに、ドライバIC65の電気回路を動作させるための電源としての一定の電位である電圧VHと、この電圧VHよりも低い一定の電位である電圧VLと、各電圧の基準となる一定の電位である接地電圧GND(0V)とが、フレキシブル配線基板70を介して供給される。換言すれば、一定の電位である電圧VH,VLと接地電圧GND(0V)は定電位信号としてフレキシブル配線基板70を介して供給される。
【0036】
図7に示すように、本実施形態における駆動信号COM-Aは、印刷周期のうち、前半期間に配置された台形波形Adp1と、後半期間に配置された台形波形Adp2とを連続させた信号波形である。台形波形Adp1と台形波形Adp2とはほぼ同一の波形であり、いずれの波形も、圧電素子PZの第1の電極43に供給された場合、その圧電素子PZに対応するノズルNから中程度の量のインクを吐出させる電圧変化を示す。
【0037】
また、本実施形態における駆動信号COM-Bは、印刷周期のうち、前半期間に配置された台形波形Bdp1と、後半期間に配置された台形波形Bdp2とを連続させた信号波形である。台形波形Bdp1と台形波形Bdp2とは、互いに異なる波形である。このうち、台形波形Bdp1は、ノズルNの付近におけるインクを微振動させてインクの粘度の増大を防止するための波形である。すなわち、台形波形Bdp1は、それが圧電素子PZの第1の電極43に印加された場合、その圧電素子PZに対応するノズルNからインク(インク滴)が吐出されない電圧変化を示す。また、台形波形Bdp2は、それが圧電素子PZの第1の電極43に印加された場合、その圧電素子PZに対応するノズルNから、台形波形Adp1または台形波形Adp2が第1の電極43に印加された場合に吐出する中程度の量よりも少ない小程度の量のインクを吐出させる電圧変化を示す。
【0038】
これに対して、本実施形態における他の定電圧VBS、電圧VH、電圧VL、接地電圧GNDは、いずれも印刷周期内において電圧値が変化しないか変化が僅かな一定の電圧である。なお、定電圧VBSは、定電圧生成回路55において、例えば
図7において破線で示すように、1つの印刷周期を単位期間として電圧値が変動するように生成されてもよい。また、電圧VHあるいは電圧VLは、定電圧生成回路55によって生成されてもよい。
【0039】
図6に戻り、液体吐出ヘッド40に備えられたドライバIC65は、選択制御部66と、圧電素子PZに一対一に対応した選択部67とを、複数の圧電素子PZに対して選択的に電圧を供給するための電気回路として有している。すなわち、ドライバIC65は、コントローラ100からフレキシブル配線基板70を介して伝送される駆動信号COM-Aと駆動信号COM-Bとを選択的に1つの圧電素子PZの第1の電極43へ出力する。
【0040】
詳しくは、選択制御部66は、コントローラ100からフレキシブル配線基板70を介して伝送されるクロック信号と、このクロック信号に同期してコントローラ100からフレキシブル配線基板70を介して伝送される印刷データを、ヘッドユニット20のノズルN(圧電素子PZ)の個数分、一旦蓄積する。そして蓄積した印刷データに従って、各選択部67に対し、駆動信号COM-A,COM-Bの選択を、コントローラ100からフレキシブル配線基板70を介して伝送されるタイミング信号で規定される印刷周期(前半期間、後半期間)の開始タイミングで指示する。各選択部67は、選択制御部66による指示にしたがって、駆動信号COM-A,COM-Bのいずれかを選択し(または、いずれも選択せずに)、対応する圧電素子PZに印加する駆動電圧VTとして第1の導通端子61を介して第1の電極43に出力する。
【0041】
また、ドライバIC65は、一定の電圧を1つの圧電素子PZの第2の電極44に出力する。すなわち、本実施形態では、コントローラ100からフレキシブル配線基板70を介して伝送される定電圧VBSが、配線基板60を介してドライバIC65に入力される。その後、入力された定電圧VBSは、ドライバIC65から再び配線基板60に設けられた第2の導通端子62を介して、液体吐出ヘッド40の複数の圧電素子PZの第2の電極44に対して出力される。
【0042】
このようにドライバIC65から各圧電素子PZに駆動電圧VTが選択的に出力されることによって、各圧電素子PZの第1の電極43には駆動電圧VTが印加され、第2の電極44には定電圧VBSが印加される。その結果、圧電素子PZには、駆動電圧VTと定電圧VBSとの差分電圧(電位差)に応じた伸縮が生じ、この伸縮に伴って各ノズルNからインクが吐出される。そして、吐出されるインク量に応じて、用紙Pに異なるサイズのドットが形成される。したがって、定電圧VBSも駆動信号の1つとみなすこともできる。
【0043】
<フレキシブル配線基板70>
次に、本実施形態のフレキシブル配線基板70について説明する。まず、
図8を参照しつつ、フレキシブル配線基板70の平面形状について説明する。フレキシブル配線基板70は、
図8に示される折り曲げられる前の状態において、幹部71と、幹部71から枝分かれした6本の枝部72と、6本の枝部72の端部どうしを繋げるブリッジ部73とからなる。換言すると、フレキシブル配線基板70には、幹部71と、6本の枝部72と、ブリッジ部73によって画定される、5個の貫通孔77が形成されている。
【0044】
幹部71は、幅広部71a、テーパ部71b、及び幅狭部71cからなる。幅広部71aの装置幅方向の幅W1は、幅狭部71cの装置幅方向の幅W2よりも大きい。そして、テーパ部71bの装置幅方向の幅は、幅広部71aから幅狭部71cに向かって小さくなっている。幅狭部71cには、コントローラ100のコネクタに接続される入力端子74が配置されている。
【0045】
6本の枝部72はそれぞれ、6個のヘッドモジュール23に対応しており、搬送方向に延びている。各枝部72の装置幅方向の幅W3は、幅広部の幅W1よりも小さく、幅狭部の幅W2よりも小さい。つまり、各枝部72の装置幅方向の幅W3は、幹部71の装置幅方向の幅よりも小さい。各枝部72は、
図8に破線で示す折り曲げ線Fよりもブリッジ部73側の第1部分72aと、折り曲げ線Fよりも幹部71側の第2部分72bとからなる。なお、各第1部分72aの、ブリッジ部73との仮想的な境界線は、ノズル配列方向と直交する方向に延びている。このため、各第1部分72aは、装置幅方向の右側の辺を短辺、左側の辺を長辺とする台形の形状を有する。以下の説明において、台形状の第1部分72aの短辺の長さを、「第1部分72aの搬送方向の長さL1」と定義する。また、第1部分72aの搬送方向の長さL1と、第2部分72bの搬送方向の長さL2の和を、「枝部72の搬送方向の長さL」と定義する。本実施形態の各枝部72において、装置幅方向の幅W3は、搬送方向の長さLよりも小さい。
【0046】
ブリッジ部73は、装置幅方向に並ぶ6か所の接合部73aと、5か所のリンク部73bからなる。各接合部73aは矩形状であり、ノズル配列方向に延びている。各接合部73aのノズル配列方向の一端部は、対応する枝部72の第1部分72aと連続している。一方、各接合部73aのノズル配列方向の他端部には、接合領域75が設けられている。接合領域75は、ヘッドモジュール23の配線基板60と接合される領域であり、配線基板60の接点と接合される出力端子が配置されている。各リンク部73bは、装置幅方向に隣り合う2か所の接合部73aと連続している。換言すると、装置幅方向に隣り合う2か所の接合部73aは、各リンク部73bによって繋がっている。6か所の接合部73aと5か所のリンク部73bとにより、装置幅方向に延びるブリッジ部73が形成されている。
【0047】
次に、フレキシブル配線基板70の配線の配置について、
図9を参照しつつ説明する。まず、入力端子74からフレキシブル配線基板70の外形に沿って、駆動信号COM-Aを伝送するためのCOM-A配線76aが配置されている。COM-A配線76aは、本発明の駆動信号配線の一例である。そして、COM-A配線76aと同様に、入力端子74からフレキシブル配線基板70の外形に沿って、駆動信号COM-Bを伝送するためのCOM-B配線76bが配置されている。COM-B配線76bも、本発明の駆動信号配線の一例である。COM-B配線76bはCOM-A配線76aの内側に配置されている。なお、COM-A配線76a及びCOM-B配線76bはともに、ブリッジ部73における装置幅方向の中央部分において分断されている。これにより、一つの接合部73aには、左からの信号又は右からの信号が入力され、左右両方から信号が入力されるのを防ぐことができる。
【0048】
COM-B配線76bよりもさらに内側には、フレキシブル配線基板70の外形及び5個の貫通孔77の外形に沿うように、GND配線76cが環状に配置されている。つまり、GND配線76cは、6個のヘッドモジュール23に対して共通に設けられている。GND配線76cで囲まれる部分の内側には、入力端子74から6か所の接合部73aに向かってそれぞれ引き伸ばされた、6本のV-high配線76dが配置されている。各V-high配線76dには定電位信号が伝送される。なお、GND配線76cは、各接合部73aの装置幅方向の中央部から入力端子74まで、当該接合部73aから引き伸ばされたV-high配線76dに沿うように、引き伸ばされている。さらに、GND配線76cで囲まれる部分の内側には、入力端子74から6か所の接合部73aに向かってそれぞれ引き伸ばされた、制御配線76e等が配置されている。各制御配線76eには制御信号CTrが伝送される。
【0049】
図9に示されるように各種配線を配置することにより、各V-high配線76dの片側或いは両側に、当該V-high配線76dに沿ってGND配線76cが配置される。これにより、V-high配線76dを流れる電流によりCOM-A配線76aやCOM-B配線76b等に及ぶノイズを、低減させることができる。
【0050】
なお、本実施形態のフレキシブル配線基板70は、
図10に示されるように枝部72において上方に折り曲げられた状態で、プリンタ11に実装される。この状態において、枝部72の第1部分72aは水平面に沿って搬送方向に延びており、枝部72の第2部分72bはヘッドモジュール23から離れるように上方向に延びている。上下方向は、本発明の第3方向の一例である。そして、
図8において、各枝部72の、折り曲げ線Fと重なる部分が、
図10に示される折り曲げ部分72cに相当する。換言すると、各折り曲げ部分72cは、対応する第1部分72aの、搬送方向における接合部73aとは反対側の端部と、対応する第2部分72bの下側の端部とにそれぞれ繋がっている。各第1部分72aの、搬送方向における接合部73aとは反対側の端部は、本発明の第1端部の一例である。各第2部分72bの下側の端部は、本発明の第2端部の一例である。また、各第2部分72bの上側の端部は、本発明の第3端部の一例である。
【0051】
以上説明した本実施形態のプリンタ11によれば、1個のヘッドユニット20に対して1個のフレキシブル配線基板70が接続される。そして、1個のヘッドユニット20には、6個のヘッドモジュール23が含まれている。つまり、6個のヘッドモジュール23に対して共通のフレキシブル配線基板70が接続される。このため、ヘッドモジュールごとにフレキシブル配線基板を接続する場合と比べて、フレキシブル配線基板の数を減らすことができ、その結果、コントローラのコネクタの数を減らすことができる。
【0052】
また、本実施形態のプリンタ11において、フレキシブル配線基板70は、幹部71と、複数の枝部72と、ブリッジ部73とを有している。各枝部72の装置幅方向の幅は、幹部71の装置幅方向の幅よりも小さい。そして、フレキシブル配線基板70は、各枝部72において上方向に折り曲げられた状態で、プリンタ11に実装される。このため、フレキシブル配線基板70は折り曲げ性が良く、プリンタ11に実装する際にフレキシブル配線基板に外力が作用したとしても、フレキシブル配線基板70と複数のヘッドモジュール23との接合部分が剥離しにくい。
【0053】
また、本実施形態のプリンタ11において、フレキシブル配線基板70は、各ヘッドモジュール23のノズル配列方向の端部に接続されている。このため、各ヘッドモジュールの2列のノズル列の間にフレキシブル配線基板が接続される場合と比べて、各ヘッドモジュール23のノズル配列方向と直交する方向の幅を小さくすることができる。
【0054】
また、本実施形態のプリンタ11において、フレキシブル配線基板70には5個の貫通孔77が形成されている。このため、フレキシブル配線基板70を6個のヘッドモジュール23と接合する際、フレキシブル配線基板70と6個のヘッドモジュール23とを容易に位置合わせすることができる。
【0055】
また、本実施形態のプリンタ11において、フレキシブル配線基板70には、6個の枝部72から連続するブリッジ部73が設けられている。そして、複数のヘッドモジュール23に共通するように、COM-A配線76a及びCOM-B配線76bがブリッジ部73に配置されている。このため各ヘッドモジュール23に対してこれらの配線を設ける場合と比べて、配線の本数を減らすことができる。
【0056】
なお、本実施形態において、フレキシブル配線基板70に配置されるCOM-A配線76a及びCOM-B配線76bの幅は、均一でなくてもよい。つまり、6個のヘッドモジュール23(ドライバIC65)に到達する経路のインピーダンスが略同じになるように、これらの配線の幅を調整してもよい。例えば、COM-A配線76a及びCOM-B配線76bはいずれも、フレキシブル配線基板70のブリッジ部73において、装置幅方向の外側から中央側に向かって幅が広くなっていてもよい。本実施形態のように、これらの配線を、フレキシブル配線基板70の外形に沿って配置し、装置幅方向の中央部分で分断する場合、装置幅方向の中央側で接合されるヘッドモジュール23までの距離は、装置幅方向の外側で接合されるヘッドモジュール23までの距離よりも長くなる。このため、装置幅方向の外側から中央側に向かって配線の幅を広げることにより、経路間のインピーダンスの差を小さくすることができる。そして、経路間のインピーダンスの差をさらに小さくする観点から、複数のヘッドモジュール23の間で、フレキシブル配線基板70との接続端子の配置位置が異なっていてもよい。例えば、装置幅方向の中央側に配置されているヘッドモジュール23は、装置幅方向の外側に配置されているヘッドモジュール23に比べて、接続端子からドライバIC65までの距離が短くなるように、接続端子が配置されていてもよい。
【0057】
以上説明した実施形態は、本発明を、記録用紙にインクを吐出して画像等を印刷するインクジェットヘッドに適用したものであるが、画像等の印刷以外の様々な用途で使用される液体吐出装置にも本発明は適用されうる。例えば、基板に導電性の液体を吐出して、基板表面に導電パターンを形成する液体吐出装置にも、本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0058】
11 インクジェットプリンタ
13 ラインヘッド
20 ヘッドユニット
23 ヘッドモジュール
60 配線基板
65 ドライバIC
70 フレキシブル配線基板
71 幹部
72 枝部
73 ブリッジ部
100 コントローラ