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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】収納ホルダ
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
B60R7/04 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018185585
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020055360
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2020-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 実
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】安積 彰
(72)【発明者】
【氏名】浅野 賢二
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-295273(JP,A)
【文献】登録実用新案第3164223(JP,U)
【文献】特開2010-245972(JP,A)
【文献】特開2007-182010(JP,A)
【文献】特開平10-309998(JP,A)
【文献】登録実用新案第3017540(JP,U)
【文献】米国特許第05588055(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
短辺を含む二つの短側側壁部と長辺を含む二つの長側側壁部とにより直方体形状の収納空間を形成する周壁部と、前記収納空間の下端を閉じる長方形状の底壁部と、前記収納空間の上端を開口する長方形状の開口部と、を有するケース本体と、
二つの前記短側側壁部それぞれに設けられた第一側壁開口から前記収納空間の内側へ相対するように突出する進退可能な第一サポート部材及び第二サポート部材と、前記第一サポート部材及び前記第二サポート部材を前記収納空間の内側へ付勢するサポート付勢部材と、を有するサポート機構と、
二つの前記長側側壁部のうちの一方側である第一長側側壁部における前記収納空間の外側に配置された、前記収納空間に保持される携帯機器に非接触給電する給電コイルと、
前記収納空間に保持される携帯機器が前記第一長側側壁部の内面に当接するのを補助する当接補助装置と、
を備え、
前記当接補助装置は、
二つの前記長側側壁部のうちの他方側である第二長側側壁部に設けられた第二側壁開口から前記収納空間の内側へ突出する進退可能な押圧部材と、
前記押圧部材を前記第一長側側壁部の内面に当接させる付勢力を発生する押圧付勢部材と、
を有し、
前記第二側壁開口は、互いに離れて二箇所設けられ、
前記押圧部材は、前記押圧部材が前記第一長側側壁部の内面に当接する状態において、中央部が前記収納空間の内側に位置し、一端部が二箇所の前記第二側壁開口のうちの一方から前記収納空間の外側へ突出し、他端部が二箇所の前記第二側壁開口のうちの他方から前記収納空間の外側へ突出するように構成されている、収納ホルダ。
【請求項2】
短辺を含む二つの短側側壁部と長辺を含む二つの長側側壁部とにより直方体形状の収納空間を形成する周壁部と、前記収納空間の下端を閉じる長方形状の底壁部と、前記収納空間の上端を開口する長方形状の開口部と、を有するケース本体と、
二つの前記短側側壁部それぞれに設けられた第一側壁開口から前記収納空間の内側へ相対するように突出する進退可能な第一サポート部材及び第二サポート部材と、前記第一サポート部材及び前記第二サポート部材を前記収納空間の内側へ付勢するサポート付勢部材と、を有するサポート機構と、
二つの前記長側側壁部のうちの一方側である第一長側側壁部における前記収納空間の外側に配置された、前記収納空間に保持される携帯機器に非接触給電する給電コイルと、
前記収納空間に保持される携帯機器が前記第一長側側壁部の内面に当接するのを補助する当接補助装置と、
を備え、
前記当接補助装置は、
二つの前記長側側壁部のうちの他方側である第二長側側壁部に設けられた第二側壁開口から前記収納空間の内側へ突出する進退可能な押圧部材と、
前記押圧部材を前記第一長側側壁部の内面に当接させる付勢力を発生する押圧付勢部材と、
を有し、
前記第二側壁開口は、互いに離れて二箇所設けられ、
前記押圧部材は、中央部が前記収納空間の内側に位置し、一端部が二箇所の前記第二側壁開口のうちの一方から前記収納空間の外側へ突出し、他端部が二箇所の前記第二側壁開口のうちの他方から前記収納空間の外側へ突出するように構成されており、
前記押圧部材は、一端部又は他端部の先端に設けられ、前記押圧部材が前記収納空間の内方へ揺動したときに前記第二長側側壁部における前記第二側壁開口の周縁の外側の面に当接して、該先端が前記収納空間内まで移動するのを規制するストッパ部を有する、収納ホルダ。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記ケース本体の前記第二長側側壁部側に揺動可能に支持されており、
前記押圧付勢部材は、前記押圧部材を前記収納空間の内側に向けて揺動させる付勢力を発生する、請求項1又は2の何れか一項に記載の収納ホルダ。
【請求項4】
前記サポート機構は、前記サポート付勢部材の付勢力により前記第一サポート部材と前記第二サポート部材とを同期して進退させる、請求項1乃至の何れか一項に記載の収納ホルダ。
【請求項5】
前記サポート機構は、
前記第一サポート部材に一体化された、二つの前記長側側壁部のうちの他方側である第二長側側壁部における前記収納空間の外側で前記第二長側側壁部に沿って前記第二サポート部材側へ延びる、先端部に第一ラックギアが設けられた第一アーム部と、
前記第二サポート部材に一体化された、前記第二長側側壁部における前記収納空間の外側で前記第二長側側壁部に沿って前記第一サポート部材側へ延びる、先端部に前記第一ラックギアに対向する第二ラックギアが設けられた第二アーム部と、
前記第一アーム部と前記第二アーム部との間に配置された、前記第一ラックギア及び前記第二ラックギアに噛合するピニオンギアが設けられた回転体と、
を有する、請求項に記載の収納ホルダ。
【請求項6】
前記サポート付勢部材は、一端が前記第一サポート部材又は前記第二サポート部材に固定されかつ他端が前記ケース本体に固定されたスプリング部材である、請求項4又は5に記載の収納ホルダ。
【請求項7】
前記サポート付勢部材は、一端が前記第一サポート部材の背面側に固定されかつ他端が前記第二サポート部材の背面側に固定された板バネ部材である、請求項1乃至の何れか一項に記載の収納ホルダ。
【請求項8】
前記当接補助装置は、前記底壁部の内面が前記第一長側側壁部に近い部位ほど下方に位置するように傾いた第一傾斜構造を有する、請求項1乃至の何れか一項に記載の収納ホルダ。
【請求項9】
前記当接補助装置は、前記第一サポート部材における進退方向の端面及び前記第二サポート部材における進退方向の端面の少なくとも一方が前記第一長側側壁部に近い部位ほど前記第一サポート部材と前記第二サポート部材との離間距離が長くなるように傾いた第二傾斜構造を有する、請求項1乃至の何れか一項に記載の収納ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスマートフォンなどの携帯機器を保持する収納ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のセンタコンソールなどに搭載される収納ホルダが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載された収納ホルダは、携帯機器を保持する収納空間を形成する周壁部と、収納空間に保持された携帯機器を支持する底壁部と、収納空間の上端を開口する開口部と、を有している。この収納ホルダは、携帯機器をその表示画面が上方又は下方に向くように水平に保持する。この収納ホルダに水平に保持された携帯機器は、下方に配置された無接触式の給電器から給電されることにより充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-75875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の如く、収納ホルダが携帯機器を表示画面が水平となる状態に保持する平置き構造では、携帯機器を安定して保持することはできるが、センタコンソールなどの表面における収納ホルダの占有領域が大きくなるので、スイッチ類やカップホルダなどが占有できる領域が狭くなる。また、上記の平置き構造では、収納ホルダの上面で携帯機器が滑って移動し易いので、給電器から携帯機器への給電を安定して行うことが困難である。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、省スペース化を図ると共に、携帯機器の安定保持及び携帯機器への安定給電を確保することが可能な収納ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、短辺を含む二つの短側側壁部と長辺を含む二つの長側側壁部とにより直方体形状の収納空間を形成する周壁部と、前記収納空間の下端を閉じる長方形状の底壁部と、前記収納空間の上端を開口する長方形状の開口部と、を有するケース本体と、二つの前記短側側壁部それぞれに設けられた第一側壁開口から前記収納空間の内側へ相対するように突出する進退可能な第一サポート部材及び第二サポート部材と、前記第一サポート部材及び前記第二サポート部材を前記収納空間の内側へ付勢するサポート付勢部材と、を有するサポート機構と、二つの前記長側側壁部のうちの一方側である第一長側側壁部における前記収納空間の外側に配置された、前記収納空間に保持される携帯機器に非接触給電する給電コイルと、前記収納空間に保持される携帯機器が前記第一長側側壁部の内面に当接するのを補助する当接補助装置と、を備える、収納ホルダである。
【0007】
この構成によれば、サポート機構により、収納空間に保持される携帯機器を幅方向で挟持することができる。また、当接補助装置により、収納空間に保持される携帯機器を、給電コイルが配置される第一長側側壁部の内面に沿って当接させることができると共に、その携帯機器が収納空間内で厚さ方向に移動するのを規制することができる。このため、携帯機器が収納空間内で幅方向及び厚さ方向の双方に移動するのを規制できる携帯機器の縦置き構造を実現することができるので、収納ホルダの省スペース化を図ることができると共に、携帯機器の安定保持を確保することができる。また、収納空間内で携帯機器が給電コイルの配置される第一長側側壁部の内面に沿って当接保持されるので、給電コイルから携帯機器への安定給電を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一実施形態に係る収納ホルダ(但し、収納物としてスマートフォンが収納された状態)の正面側斜視図である。
図2】第一実施形態の収納ホルダの背面側斜視図である。
図3】第一実施形態の収納ホルダの分解斜視図である。
図4】第一実施形態の収納ホルダの上面図である。
図5】第一実施形態の収納ホルダの下面図である。
図6】第一実施形態の収納ホルダを図4に示す直線VI-VIで切断した断面図である。
図7】第一実施形態の収納ホルダを図4に示す直線VII-VIIで切断した断面図である。
図8】第二実施形態に係る収納ホルダの正面側斜視図である。
図9】第二実施形態の収納ホルダの正面図である。
図10】第二実施形態の収納ホルダの上面図である。
図11】第二実施形態の収納ホルダを図10に示す直線XI-XIで切断した断面図である。
図12】第三実施形態に係る収納ホルダの要部断面図である。
図13】第四実施形態に係る収納ホルダの正面図(但し、収納空間内の内部の状態を含む。)である。
図14】第四実施形態の収納ホルダの側面図である。
図15】第四実施形態の収納ホルダを図14に示す直線XV-XVで切断した断面図である。
図16】第五実施形態に係る収納ホルダの正面図(但し、収納空間内の内部の状態を含む。)である。
図17】第五実施形態の収納ホルダの下面図である。
図18】第五実施形態の収納ホルダの側面図である。
図19】第五実施形態の収納ホルダを図18に示す直線XIX-XIXで切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を用いて、本発明に係る収納ホルダの具体的な実施形態について説明する。
【0010】
[第一実施形態]
第一実施形態の収納ホルダ1は、主にスマートフォンや携帯電話などの充電可能な携帯機器を保持する保持装置である。収納ホルダ1は、携帯機器を鉛直方向に延びる状態に保持する縦置き構造の保持装置である。収納ホルダ1に保持される保持対象の携帯機器は、例えば、厚さが5mm-20mmの範囲でありかつ幅が60mm-90mmの範囲である機器である。収納ホルダ1は、車両室内のセンタコンソールなどに装着される。収納ホルダ1は、図1図7に示す如く、ケース本体10と、サポート機構30と、給電コイル50と、当接補助装置60と、を備えている。
【0011】
ケース本体10は、有底角筒状に形成されている。ケース本体10は、収納空間11を有している。収納空間11は、携帯機器が安定して保持できるように直方体形状に形成されている。ケース本体10は、上壁部12と、周壁部13と、底壁部14と、開口部15と、を有している。ケース本体10は、上壁部12と周壁部13と底壁部14とが一体化された状態で形成される。ケース本体10の収納空間11は、周壁部13及び底壁部14に囲まれることにより形成され、開口部15を介して上方に開口する。
【0012】
上壁部12は、収納ホルダ1の上面として表出するアッパパネル部である。上壁部12は、薄板状で略水平に形成されている。上壁部12は、略四角形状に形成されている。上壁部12の裏面には、収納ホルダ1をセンタコンソールなどに設置するために必要なリブなどが設けられている。
【0013】
上壁部12には、開口部15が設けられている。開口部15は、収納空間11に通じ、収納空間11の上端を開口する。開口部15は、上壁部12の略中央に長方形状に形成されている。開口部15は、互いに平行に延びる二つの短辺15Sと、短辺15Sに直交する方向に互いに平行に延びる二つの長辺15Lと、を有している。短辺15Sの長さすなわち二つの長辺15Lの離間距離は、例え10mm-50mmなどである。長辺15Lの長さすなわち二つの短辺15Sの離間距離は、例えば60mm-100mmなどである。
【0014】
周壁部13は、開口部15の周縁から略下方に向けて延びている。周壁部13の高さ(具体的には、底壁部14から開口部15までの高さ)は、例えば100mmである。周壁部13は、四つの側壁部13S1,13S2,13L1,13L2を有している。四つの側壁部13S1,13S2,13L1,13L2はそれぞれ、平面板状に形成されている。四つの側壁部13S1,13S2,13L1,13L2は、直方体形状の収納空間11を形成している。
【0015】
側壁部13S1,13S2はそれぞれ、開口部15の短辺15Sを含む側壁である。側壁部13S1と側壁部13S2とは、短辺15Sに直交する方向Xにおいて収納空間11を挟んで対向している。また、側壁部13L1,13L2はそれぞれ、開口部15の長辺15Lを含む側壁である。側壁部13L1と側壁部13L2とは、長辺15Lに直交する方向Yにおいて収納空間11を挟んで対向している。以下、側壁部13S1,13S2を短側側壁部13S1,13S2と、側壁部13L1,13L2を長側側壁部13L1,13L2と、それぞれ称す。
【0016】
底壁部14は、周壁部13の下端から略水平方向に向けて広がっている。底壁部14は、収納空間11の下端を閉じている。底壁部14は、長方形状に形成されている。底壁部14は、携帯機器の底部に当接されてその携帯機器を支持することが可能である。尚、底壁部14の面積は、開口部15の面積と同じであってもよいが、開口部15の面積よりも小さくてもよい。すなわち、収納空間11は、図6に示す如く、各側壁部13S1,13S2,13L1,13L2が傾斜することにより開口部15側が広くかつ底壁部14側が狭くなるように断面台形状に形成されていてよい。
【0017】
サポート機構30は、収納空間11に収納された携帯機器を幅方向に挟持することにより、その携帯機器の収納空間11内での保持を補助する機構である。サポート機構30は、携帯機器を収納空間11内の方向Xの略中央で保持するセンタリング機能を有している。サポート機構30は、二つのサポート部材31,32と、二つのアーム部材33,34と、回転体40と、サポートスプリング41と、を有している。
【0018】
サポート部材31,32は、収納空間11に収納される携帯機器の幅に合わせて進退する部材である。サポート部材31,32は、図7に示す如く、収納空間11を挟んで相対する対向位置に配置されている。ケース本体10の短側側壁部13S1には、短側側壁開口21が設けられている。短側側壁開口21は、サポート部材31の大きさに合わせて形成されている。ケース本体10の短側側壁部13S2には、短側側壁開口22が設けられている。短側側壁開口22は、サポート部材32の大きさに合わせて形成されている。
【0019】
サポート部材31は、短側側壁開口21に配設されており、その短側側壁開口21を介して収納空間11の内外方向に進退することが可能である。サポート部材32は、短側側壁開口22に配設されており、その短側側壁開口22を介して収納空間11の内外方向に進退することが可能である。すなわち、サポート部材31,32は、短側側壁開口21,22から収納空間11内に向けて突出する突出量が変更されるように進退可能である。サポート部材31,32は、互いに近づく又は遠ざかるように進退する。
【0020】
サポート部材31,32は、本体部35と、フランジ部36と、を有している。本体部35は、上下方向に延び、断面コの字状に形成されている。本体部35は、断面底部を収納空間11の内側に向けかつ断面開口部を収納空間11の外側に向けた状態で短側側壁開口21,22に対して配置される。本体部35は、短側側壁開口21,22の大きさに比して小さな大きさを有している。
【0021】
本体部35における収納空間11に臨む進退方向の端面35bは、サポート部材31,32が互いに対向する方向Xに向いている。この端面には、収納空間11の内方へ突出する内方突出部35aが設けられている。内方突出部35aは、上部から下部にかけて収納空間11の内方へ斜めに傾斜してピークを経て収納空間11の外方へ湾曲する形状を有している。内方突出部35aは、収納空間11に保持された携帯機器の幅方向の側面に当接してその携帯機器を支持する部位である。内方突出部35aは、携帯機器の安定支持を確保するため、例えば図3に示す如く、上下に離れて二箇所設けられている。内方突出部35aが本体部35に二箇所設けられている構造では、それら内方突出部35aの突出先端の方向Xの位置は、略同じであってよい。
【0022】
フランジ部36は、本体部35における収納空間11とは反対側の端部周縁からフランジ状に広がる部位である。フランジ部36は、サポート部材31,32が収納空間11の最も内側に前進したときにケース本体10における短側側壁開口21,22の周縁部に当接してその前進を規制する部位である。
【0023】
アーム部材33,34は、サポート部材31の進退とサポート部材32の進退とを連動させるための部材である。アーム部材33は、サポート部材31に一体化されて進退する。アーム部材33は、一端がサポート部材31に接続しかつ他端が方向Xのサポート部材32側へ延びるように構成されている。アーム部材34は、サポート部材32に一体化されて進退する。アーム部材34は、一端がサポート部材32に接続しかつ他端が方向Xのサポート部材31側へ延びるように構成されている。
【0024】
アーム部材33の一端がサポート部材31に接続する高さ位置と、アーム部材34の一端がサポート部材32に接続する高さ位置とは、互いに略同じである。アーム部材33,34は共に、二つの長側側壁部13L1,13L2のうち一方側である長側側壁部13L1における収納空間11の外側でその長側側壁部13L1の外面に沿って方向Xへ延びている。アーム部材33の先端部とアーム部材34の先端部とは、互いに上下方向にずれるように屈曲している。例えば、アーム部材33の先端部が下方に位置し、アーム部材34の先端部が上方に位置する。アーム部材33の先端部及びアーム部材34の先端部にはそれぞれ、互いに平行に延びかつ上下でオーバーラップする部位が存在する。
【0025】
アーム部材33の方向Xの先端部には、ラックギア37が設けられている。また、アーム部材34の方向Xの先端部には、ラックギア38が設けられている。ラックギア37,38は、アーム部材33,34が方向Xで互いにオーバーラップする対向面に形成されている。ラックギア37とラックギア38とは、互いに上下方向に対向している。ラックギア37とラックギア38との間には、隙間が形成されている。
【0026】
回転体40は、アーム部材33とアーム部材34との間すなわちラックギア37とラックギア38との上記隙間に配置されている。回転体40は、ケース本体10の長側側壁部13L1の略中央に回転可能に支持されている。尚、回転体40は、ダンパ機能、例えば、サポート部材31,32が収納空間11の内方へ戻る際の前進速度を緩和させるワンウェイクラッチダンパを有していてもよい。
【0027】
回転体40には、径方向外側へ凹凸が形成されるピニオンギア42が設けられている。ピニオンギア42は、アーム部材33のラックギア37及びアーム部材34のラックギア38に噛合している。回転体40は、回転によりアーム部材33とアーム部材34とを互いに連動してスライドさせ、ひいては、サポート部材31,32を同期して進退させる。
【0028】
アーム部材33,34には、係合孔39が設けられている。また、長側側壁部13L1には、係合突起16が設けられている。係合孔39と係合突起16とは、互いに係合している。アーム部材33,34は、ケース本体10に対するスライド時に、係合孔39と係合突起16との係合により案内される。これにより、ケース本体10に対するアーム部材33,34の安定したスライドが確保される。
【0029】
サポート部材31,32は、フランジ部36がケース本体10に当接することにより内方突出部35aが収納空間11の最も内方に突出する所定突出位置と、フランジ部36がケース本体10から収納空間11の外方へ離間して内方突出部35aが周壁部13の短側側壁部13S1,13S2の内面に面一になる所定格納位置と、の間で進退することが可能である。
【0030】
サポートスプリング41は、アーム部材33ひいてはサポート部材31とケース本体10との間に介在している。サポートスプリング41は、方向Xに延びるように配置されている。サポートスプリング41は、方向Xにスプリング力を発生する付勢部材である。サポートスプリング41の一端は、サポート部材31の先端部(具体的には、アーム部材33の先端部)に支持され固定されている。サポートスプリング41の他端は、ケース本体10に支持され固定されている。サポートスプリング41は、サポート部材31を上記の所定突出位置すなわち収納空間11の内側に前進させる付勢力を発生する。
【0031】
サポート部材31がサポートスプリング41の付勢力により収納空間11の内側に前進する場合、そのサポート部材31がもう一方のサポート部材32に接近する方向Xへアーム部材33と一体的にスライド前進する。このスライド前進が生じると、回転体40が回転(図1における左回転)して、サポート部材32が、サポート部材31に接近する方向Xへアーム部材34と一体的にスライド前進する。これにより、両サポート部材31,32は、サポートスプリング41の付勢力により互いに同期して前進する。
【0032】
常態では、サポートスプリング41の付勢力及び回転体40のギア噛合により、サポート部材31がその内方突出部35aが収納空間11の最も内方に突出した所定突出位置にあると共に、サポート部材32がその内方突出部35aが収納空間11の最も内方に突出した所定突出位置にある。この常態から、サポート部材31及びサポート部材32の何れか一方が互いに離間する方向Xに押圧されると、その押圧されたサポート部材31,32が両サポート部材31,32が離間する方向Xへ当該アーム部材33,34と一体的にスライド後退する。このスライド後退が生じると、回転体40が回転(図1における右回転)して、他方のサポート部材32,31も、両サポート部材31,32が離間する方向Xへ当該アーム部材34,33と一体的にスライド後退する。これにより、両サポート部材31,32は、一方のサポート部材31,32の離間する方向Xへの押圧操作により互いに同期して後退する。
【0033】
給電コイル50は、収納空間11に保持される携帯機器に非接触給電するコイルである。給電コイル50は、ケース本体10における収納空間11の外側に配置されている。具体的には、給電コイル50は、周壁部13の二つの長側側壁部13L1,13L2のうちの、サポート機構30のアーム部材33,34が配置される長側側壁部13L1と対向する長側側壁部13L2における収納空間11の外側に配置されている。給電コイル50は、緩衝材51を介してプリント基板52上に配置されている。プリント基板52は、長側側壁部13L2にその外面に沿って広がるようにスクリュ53で取り付け固定されている。給電コイル50は、長側側壁部13L2の外面に直交する方向に磁束が流れるように設けられている。
【0034】
当接補助装置60は、収納空間11に収納された携帯機器を周壁部13の二つの長側側壁部13L1,13L2のうちの給電コイル50が配置される長側側壁部13L2の内面に当接させることにより、その携帯機器の収納空間11内での保持を補助する装置する装置である。当接補助装置60は、押圧部材61と、シャフト62と、押圧スプリング63と、を有している。
【0035】
押圧部材61は、長側側壁部13L1,13L2が対向する方向Yに進退することにより、収納空間11に収納されている携帯機器に当接してその携帯機器を長側側壁部13L2の内面に向けて押圧する部材である。ケース本体10の長側側壁部13L1には、長側側壁開口23,24が設けられている。長側側壁開口23は、長側側壁部13L1の上部中央に設けられている。長側側壁開口24は、長側側壁部13L1の下部中央に設けられている。
【0036】
長側側壁開口23は、押圧部材61の大きさに合わせて形成されている。長側側壁部13L1における長側側壁開口23の方向Xの両端部の外面側縁部には、支持壁部25が設けられている。両支持壁部25はそれぞれ、長側側壁開口23の縁部から収納空間11の外方へ突出しており、互いに対向する面を有するように形成されている。支持壁部25の中央には、水平方向(方向X)に開いた貫通孔25aが設けられている。押圧部材61は、長側側壁開口23に配設されており、その長側側壁開口23を介して収納空間11の内外方向に進退することが可能である。
【0037】
押圧部材61は、板状に形成されている。押圧部材61の上部には、支持壁部61aが設けられている。支持壁部61aは、押圧部材61の上部裏面から収納空間11の外方へ突出している。支持壁部61aの中央には、水平方向(方向X)に開いた貫通孔61bが設けられている。シャフト62は、水平方向に延びている。シャフト62は、支持壁部25の貫通孔25a及び押圧部材61の貫通孔61bを貫通するように配置されている。押圧部材61は、シャフト62を中心にして揺動(回動)することが可能である。
【0038】
押圧部材61は、上部が収納空間11内から長側側壁開口23を介して収納空間11外へ挿入された状態で貫通孔61bにシャフト62が挿入されることにより、ケース本体10の長側側壁部13L1に揺動可能に支持される。押圧部材61は、上部から下部にかけて、長側側壁開口23から収納空間11の内側へ突出しており、収納空間11内に位置している。押圧部材61は、上下中央部に最も収納空間11の内側に位置する突出部61cを有している。突出部61cは、収納空間11に保持される携帯機器に当接する。
【0039】
押圧部材61は、突出部61cから下部にかけて収納空間11の外方へ湾曲している。長側側壁部13L1の長側側壁開口24は、押圧部材61の大きさに合わせて形成されている。押圧部材61の下部の先端部は、長側側壁開口24から収納空間11の外側へ突出しており、収納空間11外に位置している。押圧部材61の下部先端には、下方へ屈曲するストッパ部61dが設けられている。ストッパ部61dは、押圧部材61が収納空間11の内方へ揺動したときに長側側壁部13L1の長側側壁開口24よりも下部裏面に当接して、押圧部材61の下部先端が収納空間11内まで揺動するのを規制する部位である。
【0040】
押圧部材61は、突出部61cの先端が長側側壁部13L2の内面に接触し当接する所定当接位置と、突出部61cの先端が収納空間11の最も長側側壁部13L1側に位置する所定離間位置と、の間で進退することが可能である。
【0041】
押圧スプリング63は、押圧部材61とケース本体10との間に介在している。押圧スプリング63は、シャフト62の周囲に配置されている。押圧スプリング63の一端は、押圧部材61の上部に支持され固定されている。押圧スプリング63の他端は、ケース本体10に支持され固定されている。押圧スプリング63は、押圧部材61をその上下中央部及び下部が長側側壁部13L2の内面に接近する方向に揺動させる付勢力、すなわち、押圧部材61の突出部61cを上記の所定当接位置すなわち長側側壁部13L2の内面に当接させる付勢力を発生する。
【0042】
次に、収納ホルダ1の動作について説明する。
【0043】
収納ホルダ1は、収納空間11に何も収納されていない常態では、サポートスプリング41の付勢力によりサポート部材31,32を内方突出部35aが収納空間11の最も内方に突出した所定突出位置に前進させた状態にあると共に、押圧スプリング63の付勢力により押圧部材61を突出部61cが長側側壁部13L2の内面に当接した所定当接位置に揺動させた状態にある。
【0044】
車両乗員などは、収納ホルダ1に携帯機器を保持させるときは、その携帯機器を厚さ方向が水平方向に向く立向きに収納空間11に挿入する。上記の常態から保持対象の携帯機器が収納空間11に挿入されると、その携帯機器の底部が、収納空間11の中心を挟んで相対する二つのサポート部材31,32の内方突出部35aの傾斜面に当接する。その当接後、携帯機器の下方への挿入が進行すると、その進行に従ってサポート部材31,32が、サポートスプリング41の付勢力に抗して互いに離間する方向Xに押圧されてスライド後退される。そして、携帯機器の幅方向の側面が内方突出部35aの先端面に当接して携帯機器が二つのサポート部材31,32の間に挟まれると、そのスライド後退が停止する。この場合、携帯機器は、サポートスプリング41の付勢力により二つのサポート部材31,32に挟持される。その後は、携帯機器が二つのサポート部材31,32に挟持されそれらのサポート部材31,32が所定突出位置よりも後退した位置に維持された状態で、携帯機器の挿入が進行する。
【0045】
携帯機器が収納空間11に挿入された場合は、更に、その携帯機器が、互いに当接している押圧部材61の突出部61cと長側側壁部13L2の内面との間に進入する。この場合、携帯機器における、厚さ方向の二つの端面のうち長側側壁部13L1に対向する端面は、押圧部材61の突出部61cに当接する。押圧部材61の突出部61cと長側側壁部13L2の内面との間に携帯機器が進入すると、押圧部材61が、押圧スプリング63の付勢力に抗して長側側壁部13L2の内面から遠ざかる方向に揺動される。この場合、携帯機器は、押圧スプリング63の付勢力により押圧部材61を介して長側側壁部13L2の内面側へ付勢される。収納空間11に挿入された携帯機器が押圧スプリング63の付勢力により長側側壁部13L2の内面側へ付勢されると、携帯機器が、長側側壁部13L2に対向する端面がその長側側壁部13L2の内面に沿って当接するように押圧される。
【0046】
そして、携帯機器の底部が収納ホルダ1の底壁部14の内面に当接すると、二つのサポート部材31,32がその携帯機器を挟持しかつ押圧部材61がその携帯機器を長側側壁部13L2の内面に沿って当接させた状態で、底壁部14がその携帯機器を支持するので、その携帯機器が収納ホルダ1の収納空間11に保持される。
【0047】
携帯機器が収納ホルダ1の収納空間11に保持された状態では、その収納ホルダ1の二つのサポート部材31,32は、サポートスプリング41の付勢力によりその携帯機器を挟持する。このため、サポート機構30によれば、収納空間11に保持される携帯機器がその収納空間11内で幅方向に移動するのを規制することができる。
【0048】
また、二つのサポート部材31,32は共に、その携帯機器の幅に応じて進退する。例えば、幅の比較的小さい携帯機器では、各サポート部材31,32が所定突出位置に近い進退位置に位置する。また、幅の比較的大きな携帯機器では、各サポート部材31,32が所定格納位置に近い進退位置に位置する。このため、収納空間11に保持される携帯機器の幅に応じてサポート部材31,32の進退位置を所定突出位置と所定格納位置との間で変えることができるので、幅サイズの異なる複数種類の携帯機器をそれぞれ適切に対応させて収納空間11に保持することができる。更に、二つのサポート部材31,32は、互いに連動して進退する。このため、収納空間11内での携帯機器の保持位置をその収納空間11内における方向Xの中央に維持することができる。
【0049】
また、携帯機器が収納ホルダ1の収納空間11に保持された状態では、その収納ホルダ1の押圧部材61は、長側側壁部13L2の内面との間に携帯機器を挟持し、その携帯機器を長側側壁部13L2の内面に沿って当接させるように押圧する。このため、当接補助装置60によれば、収納空間11に保持される携帯機器をケース本体10における長側側壁部13L2の内面に当接させることができると共に、その携帯機器の収納空間11内での当接状態の維持により、収納空間11に保持される携帯機器がその収納空間11内で厚さ方向に移動するのを規制することができる。
【0050】
このように、収納ホルダ1によれば、携帯機器を鉛直方向に延びた状態すなわちその表示画面を水平方向に直交する方向に向けた状態に保持する縦置き構造を実現することができる。収納ホルダ1の縦置き構造によれば、携帯機器の表示画面が水平となる平置き構造に比べて、その収納ホルダ1が設置されるセンタコンソールなどの表面のその収納ホルダ1の占有領域を狭めることができ、省スペース化を図ることができる。
【0051】
また、収納ホルダ1によれば、収納空間11に保持される携帯機器がその収納空間11内で幅方向及び厚さ方向の双方(すなわち、水平方向)に移動するのを規制することができるので、縦置き構造でも収納空間11内での携帯機器のガタツキを抑えることができ、その携帯機器を安定して保持することができ、そのガタツキに起因した携帯機器の表示画面の破損などを防止することができる。
【0052】
携帯機器は、収納空間11内での保持時、ケース本体10における長側側壁部13L2の内面に当接する。長側側壁部13L2における収納空間11の外側には、携帯機器に非接触給電する給電コイル50が配置されている。このため、収納ホルダ1によれば、収納空間11に保持される携帯機器を、給電コイル50が配置された長側側壁部13L2の内面に当接させてその給電コイル50に接近した状態に保持することができるので、給電コイル50から収納空間11内の携帯機器に効率良く給電することができる。
【0053】
従って、本実施形態の収納ホルダ1によれば、省スペース化を図ると共に、携帯機器の安定保持及び携帯機器への安定給電を確保することができる。
【0054】
尚、上記の第一実施形態においては、短側側壁開口21,22が特許請求の範囲に記載した「第一側壁開口」に、サポート部材31,32が特許請求の範囲に記載した「第一サポート部材」及び「第二サポート部材」に、サポートスプリング41が特許請求の範囲に記載した「サポート付勢部材」に、長側側壁部13L2が特許請求の範囲に記載した「第一長側側壁部」に、それぞれ相当している。
【0055】
また、上記の第一実施形態においては、長側側壁部13L1が特許請求の範囲に記載した「第二長側側壁部」に、アーム部材33,34が特許請求の範囲に記載した「第一アーム部」及び「第二アーム部」に、ラックギア37,38が特許請求の範囲に記載した「第一ラックギア」及び「第二ラックギア」に、押圧スプリング63が特許請求の範囲に記載した「押圧付勢部材」に、それぞれ相当している。
【0056】
ところで、上記の第一実施形態においては、サポート機構30が、回転体40の回転によりサポート部材31,32を同期して進退させる構造を有している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。サポート機構30が、サポート部材31,32を進退させる付勢力を発生するサポートスプリングをサポート部材31,32ごとに設け、サポート部材31,32を独立して進退させる構造を有していてもよい。
【0057】
[第二実施形態]
上記の第一実施形態の収納ホルダ1は、当接補助装置60として押圧部材61及び押圧スプリング63を備えており、押圧スプリング63の付勢力により押圧部材61を介して、収納空間11に保持される携帯機器を、給電コイル50が配置された長側側壁部13L2の内面に沿って当接するように付勢することとしている。
【0058】
これに対して、第二実施形態の収納ホルダ100は、当接補助装置として、サポート機構が有するサポート部材の所定部位を傾斜させる構造を有している。収納ホルダ100は、図8図11に示す如く、ケース本体110と、サポート機構130と、当接補助装置160と、を備えている。尚、第二実施形態の収納ホルダ100において、上記第一実施形態の収納ホルダ1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
【0059】
ケース本体110は、第一実施形態のケース本体10と同様に、有底角筒状に形成されている。ケース本体110は、短側側壁開口21,22を有しているが、ケース本体10とは異なり、長側側壁開口23,24を有していない。また、当接補助装置160は、第一実施形態の当接補助装置60とは異なり、押圧部材61、シャフト62、及び押圧スプリング63を有していない。
【0060】
サポート機構130は、収納空間11に収納された携帯機器を幅方向に挟持することにより、その携帯機器の収納空間11内での保持を補助する機構である。サポート機構130は、二つのサポート部材131,132を有している。サポート部材131,132は、第一実施形態のサポート部材31,32と同様の機能を有している。サポート部材131,132は、本体部135を有している。本体部135における収納空間11に臨む進退方向の端面135bには、収納空間11の内方へ突出する内方突出部135aが設けられている。
【0061】
本体部135の端面135bは、第一実施形態の本体部35の端面35bとは異なり、サポート部材131,132が互いに対向する方向Xとは異なる方向に向いている。具体的には、この端面135bは、長側側壁部13L2に近い部位ほど自サポート部材131,132と自サポート部材131,132とは異なる他のサポート部材132,131との離間距離が長くなるように傾いている。すなわち、サポート部材131,132は、上方から見て本体部135の端面135bがハの字状を形成するように形成されている。当接補助装置160は、サポート部材131,132の端面135bの傾斜構造である。
【0062】
この収納ホルダ100において、携帯機器が収納空間11に挿入されると、サポート部材131,132が互いに同期して内方突出部135aでその携帯機器により互いに離間する方向Xに押圧されてスライド後退し、サポートスプリング41の付勢力によりその携帯機器を挟持する。また、サポート部材131,132の端面135bは、上記の如く、給電コイル50が配置された長側側壁部13L2に近い部位ほどサポート部材131,132の離間距離が長くなるように傾いている。このため、サポート部材131,132が携帯機器を挟持すると、サポートスプリング41の付勢力がその携帯機器に作用し、その携帯機器がサポート部材131,132の端面135bからその端面135bに直交する方向の力を受けてサポート部材131,132の離間距離が長い長側側壁部13L2側へ付勢される。この場合、携帯機器は、長側側壁部13L2に対向する端面がその長側側壁部13L2の内面に沿って当接するように押圧される。
【0063】
従って、収納ホルダ100においても、収納ホルダ1と同様の効果を得ることができる。また、収納ホルダ100においては、サポート部材131,132の端面135bを長側側壁部13L2に近い部位ほどサポート部材131,132の離間距離が長くなるように傾ける構造が当接補助装置160として機能する。このため、収納ホルダ1の当接補助装置60の押圧部材61、シャフト62、及び押圧スプリング63などを用意することは不要であると共に、ケース本体10に長側側壁開口23,24を設けることは不要である。従って、収納ホルダ100によれば、少ない部品点数かつ簡素な構成で、収納空間11に保持される携帯端末を、給電コイル50が配置される長側側壁部13L2の内面に沿って当接保持することができると共に、これにより、更なる省スペース化を図ることができる。
【0064】
尚、上記の第二実施形態においては、サポート部材131,132の端面135bの傾斜構造が特許請求の範囲に記載した「第二傾斜構造」に相当している。
【0065】
また、上記の第二実施形態においては、サポート部材131,132の双方の端面135bが、長側側壁部13L2に近い部位ほどサポート部材131,132の離間距離が長くなるように傾いている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。サポート部材131,132のうち少なくとも何れか一方の端面135bが、長側側壁部13L2に近い部位ほどサポート部材131,132の離間距離が長くなるように傾いていればよい。
【0066】
[第三実施形態]
上記の第二実施形態の収納ホルダ100は、当接補助装置として、サポート機構が有するサポート部材の所定部位を傾斜させる構造を有している。これに対して、第三実施形態の収納ホルダ200は、当接補助装置として、ケース本体の所定部位を傾斜させる構造を有している。収納ホルダ200は、図12に示す如く、ケース本体210と、当接補助装置260と、を備えている。尚、第三実施形態の収納ホルダ200において、上記第一実施形態の収納ホルダ1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
【0067】
ケース本体210は、第一実施形態のケース本体10と同様に、有底角筒状に形成されている。ケース本体210は、短側側壁開口21,22を有しているが、ケース本体10とは異なり、長側側壁開口23,24を有していない。また、当接補助装置260は、第一実施形態の当接補助装置60とは異なり、押圧部材61、シャフト62、及び押圧スプリング63を有していない。
【0068】
ケース本体210は、底壁部214を有している。底壁部214は、収納空間11の下端を閉じる長方形状の部位であるが、底壁部14とは異なり、水平方向から傾いて広がっている。具体的には、この底壁部214は、内面が長側側壁部13L2に近い部位ほど下方に位置するように傾いている。当接補助装置260は、ケース本体210の底壁部214の傾斜構造である。
【0069】
この収納ホルダ200において、携帯機器が収納空間11に挿入されると、その携帯機器がサポート部材31,32に挟持されつつ底壁部214の内面に当接する。底壁部214は、上記の如く、内面が、給電コイル50が配置された長側側壁部13L2に近い部位ほど下方に位置するように傾いている。このため、携帯機器が底壁部214の内面に当接すると、その携帯機器が重力作用によってその底壁部214におけるより低い面側である長側側壁部13L2側に滑るように移動する。この場合、携帯機器は、長側側壁部13L2に対向する端面がその長側側壁部13L2の内面に沿って当接するように押圧される。
【0070】
従って、収納ホルダ200においても、第一実施形態の収納ホルダ1と同様の効果を得ることができる。また、収納ホルダ200においては、ケース本体210の底壁部214の内面を長側側壁部13L2に近い部位ほど下方に位置するように傾ける構造が当接補助装置260として機能する。このため、第二実施形態の収納ホルダ100と同様に、収納ホルダ1の当接補助装置60の押圧部材61、シャフト62、及び押圧スプリング63を用意することは不要であると共に、ケース本体210に長側側壁開口23,24を設けることは不要である。従って、収納ホルダ200によれば、少ない部品点数かつ簡素な構成で、収納空間11に保持される携帯端末を、給電コイル50が配置される長側側壁部13L2の内面に沿って当接保持することができると共に、これにより、更なる省スペース化を図ることができる。
【0071】
尚、上記の第三実施形態においては、ケース本体210の底壁部214の傾斜構造が特許請求の範囲に記載した「第一傾斜構造」に相当している。
【0072】
ところで、上記の第三実施形態は、上記の第二実施形態とは独立した実施形態である。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。収納ホルダとして、第二実施形態におけるサポート部材131,132の端面135bの傾斜構造と、第三実施形態におけるケース本体210の底壁部214の傾斜構造とを組み合わせることとしてもよい。この変形形態の構成によれば、収納空間11に保持される携帯端末を、より確実に給電コイル50が配置される長側側壁部13L2の内面に沿って当接保持することができる。
【0073】
[第四実施形態]
上記の第一実施形態の収納ホルダ1は、サポート機構30として、二つのアーム部材33,34と、回転体40と、サポートスプリング41と、を備えており、収納空間11に収納された携帯機器を幅方向に挟持することにより、その携帯機器の収納空間11内での保持を補助することとしている。
【0074】
これに対して、第四実施形態の収納ホルダ300は、サポート機構として板バネを有している。収納ホルダ300は、図13図15に示す如く、サポート機構330を備えている。尚、第四実施形態の収納ホルダ300において、上記第一実施形態の収納ホルダ1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
【0075】
サポート機構330は、収納空間11に収納された携帯機器を幅方向に挟持することにより、その携帯機器の収納空間11内での保持を補助する機構である。サポート機構330は、携帯機器を収納空間11内の方向Xの略中央で保持するセンタリング機能を有している。サポート機構330は、第一実施形態のサポート機構30とは異なり、二つのアーム部材33,34と、回転体40と、サポートスプリング41と、を有していない。サポート機構330は、二つのサポート部材31,32と、板バネ部材341と、を有している。
【0076】
板バネ部材341は、サポート部材31とサポート部材32との間に介在している。板バネ部材341は、板状かつU字状に形成されている。板バネ部材341は、方向Xにスプリング力を発生する付勢部材である。板バネ部材341の一端は、サポート部材31の背面側に支持され固定されている。板バネ部材341の他端は、サポート部材32の背面側に支持され固定されている。板バネ部材341とサポート部材31,32との支持固定は、スクリュなどを介して行われる。板バネ部材341は、ケース本体10の外面(具体的には、短側側壁部13S1、底壁部14、及び短側側壁部13S2の各外面)に沿うように延びている。板バネ部材341は、ケース本体10の底壁部14の外面側にケース本体10から外れないように支持されている。板バネ部材341は、サポート部材31,32を上記の所定突出位置すなわち収納空間11の内側に前進させる付勢力を発生する。
【0077】
収納ホルダ300は、収納空間11に何も収納されていない常態では、板バネ部材341の付勢力によりサポート部材31,32を内方突出部35aが収納空間11の最も内方に突出した所定突出位置に前進させた状態にある。この常態から保持対象の携帯機器が収納空間11に挿入されると、その挿入進行に従ってサポート部材31,32が、板バネ部材341の付勢力に抗して互いに離間する方向Xに押圧されてスライド後退される。そして、携帯機器の幅方向の側面が内方突出部35aの先端面に当接して携帯機器が二つのサポート部材31,32の間に挟まれると、そのスライド後退が停止する。この場合、携帯機器は、板バネ部材341の付勢力により二つのサポート部材31,32に挟持され、その後は、携帯機器が二つのサポート部材31,32に挟持されそれらのサポート部材31,32が所定突出位置よりも後退した位置に維持される。
【0078】
従って、収納ホルダ300においても、収納ホルダ1と同様の効果を得ることができる。例えば、板バネ部材341の作用により、収納空間11に保持される携帯機器がその収納空間11内で幅方向に移動するのを規制することができる。また、二つのサポート部材31,32は共に、その携帯機器の幅に応じて進退する。このため、収納空間11に保持される携帯機器の幅に応じてサポート部材31,32の進退位置を所定突出位置と所定格納位置との間で変えることができるので、携帯機器の幅サイズに合わせて適切に収納空間11に保持することができる。
【0079】
また、収納ホルダ300においては、サポート機構330が、主に板バネ部材341からなる。このため、収納ホルダ1のサポート機構30のアーム部材33,34、回転体40、及びサポートスプリング41などを用意することは不要であると共に、その組み付けを行うことは不要である。従って、収納ホルダ300によれば、少なく部品点数かつ簡素な構成で、収納空間11に保持される携帯端末を幅方向に挟持保持することができると共に、これにより、更なる省スペース化を図ることができる。
【0080】
[第五実施形態]
収納ホルダ300は、サポート機構として板バネを有している。これに対して、第五実施形態の収納ホルダ400は、図16図19に示す如く、第一実施形態のサポート機構30及び第四実施形態のサポート機構330とは異なるサポート機構430を備えている。尚、第五実施形態の収納ホルダ400において、上記第一実施形態の収納ホルダ1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
【0081】
サポート機構430は、収納空間11に収納された携帯機器を幅方向に挟持することにより、その携帯機器の収納空間11内での保持を補助する機構である。サポート機構430は、携帯機器を収納空間11内の方向Xの略中央で保持するセンタリング機能を有している。サポート機構430は、第一実施形態のサポート機構30とは異なり、二つのアーム部材33,34と、回転体40と、サポートスプリング41と、を有していない。サポート機構430は、二つのサポート部材431,432と、回転体433と、を有している。
【0082】
サポート部材431,432は、第一実施形態のサポート部材31,32と同様の機能を有している。サポート部材431,432は、本体部35と、フランジ部36と、下壁部440,450と、を有している。サポート部材431は、下壁部440を有している。サポート部材432は、下壁部450を有している。下壁部440,450は、本体部35の下方に位置するフランジ部36の下端に一体化された板状の部位である。下壁部440,450は、フランジ部36の下端から底壁部14の外面に沿って方向Xへ底壁部14の方向Xの中央まで延びている。
【0083】
下壁部440の方向Xの先端と、下壁部450の方向Xの先端とは、方向Xで互いに対向している。下壁部440には、給電コイル50が配置される長側側壁部13L2とは異なる長側側壁部13L1の外面に沿って平行に広がる立壁部441が設けられている。立壁部441の先端部は、フランジ部36と下壁部440との接続点を中心にした円弧状に形成されている。立壁部441の先端部には、ギア442が形成されている。下壁部450には、長側側壁部13L1の外面に沿って平行に広がる立壁部451が設けられている。立壁部451の先端部は、フランジ部36と下壁部450との接続点を中心にした円弧状に形成されている。立壁部451の先端部には、ギア452が形成されている。ギア442とギア452とは、互いに噛合している。下壁部440と下壁部450とは、互いに同期して上下方向に移動可能である。
【0084】
下壁部440,450の上面には、上方に突出する突出部443,453が設けられている。突出部443,453は、下壁部440,450の方向Xの先端側に配置されている。突出部443,453の突出量は、底壁部14の厚さを超えている。突出部443,453は、底壁部14に開口する貫通孔14aを通じて収納空間11内に露出している。突出部443,453は、下壁部440,450の上下移動に伴って、底壁部14の貫通孔14aを貫通して上下動する。
【0085】
回転体433は、ケース本体10の長側側壁部13L1に回転可能に支持されている。回転体433は、ダンパ機能、具体的には、サポート部材431,432が収納空間11の内方へ戻る際の前進速度を緩和させるワンウェイクラッチダンパを有している。回転体433には、径方向外側へ凹凸が形成されるギア434が設けられている。ギア434は、サポート部材431の下壁部440のギア442に噛合している。回転体433は、回転によりサポート部材431の下壁部440を上下動させる。
【0086】
収納ホルダ400は、収納空間11に何も収納されていない常態では、回転体433によりサポート部材431,432を内方突出部35aが収納空間11の最も内方に突出した所定突出位置に前進させた状態にある。この常態から保持対象の携帯機器が収納空間11に挿入されると、サポート部材431,432が、携帯機器により互いに離間する方向Xに押圧されて携帯機器の幅に応じた位置までスライド後退される。そして、その挿入が進行すると、携帯機器の底部が収納ホルダ400の底壁部14の内面から上方に突出する突出部443,453に当接する。
【0087】
携帯機器の底部が突出部443,453を下方に押圧すると、サポート部材431,432の下壁部440,450の先端側がフランジ部36との接続点を中心にして揺動(回動)する。かかる揺動が生じると、サポート部材431,432の本体部35がサポート部材431,432が互いに接近する方向Xに付勢される。この場合、収納空間11に挿入された携帯機器は、サポート部材431,432により幅方向で挟持される。そして、携帯機器の底部が底壁部14の内面に当接すると、二つのサポート部材431,432がその携帯機器を挟持した状態で、底壁部14がその携帯機器を支持するので、その携帯機器が収納ホルダ400の収納空間11に保持される。従って、収納ホルダ400においても、収納ホルダ1と同様の効果を得ることができる。
【0088】
ところで、上記の第四実施形態及び第五実施形態はそれぞれ、第一実施形態の当接補助装置60に代えて、上記の第二実施形態の当接補助装置160や第三実施形態の当接補助装置260を適用することとしてもよい。
【0089】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0090】
1,100,200,300,400:収納ホルダ、10,110,210:ケース本体、11:収納空間、12:上壁部、13:周壁部、13S1,13S2:短側側壁部、13L1,13L2:長側側壁部、14,214:底壁部、15:開口部、15S:短辺、15L:長辺、21,22:短側側壁開口、30,130,330,430:サポート機構、31,32,131,132,431,432:サポート部材、33,34:アーム部材、35,135:本体部、35a,135a:内方突出部、35b,135b:端面、37,38:ラックギア、40:回転体、41:サポートスプリング、42:ピニオンギア、50:給電コイル、60,160,260:当接補助装置、61:押圧部材、63:押圧スプリング、341:板バネ部材、433:回転体。
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