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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】電池装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20220928BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20220928BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20220928BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220928BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20220928BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/0587
H01M10/0585
H01M10/48 A
H01M10/0566
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018189669
(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公開番号】P2020061209
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花岡 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】三好 誠治
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-147836(JP,A)
【文献】特開2018-152164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-10/0587
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極がセパレータによって絶縁されて、電解液と共に電池ハウジングに収容された電池装置において、
上記電池ハウジング内に、上記電解液の分解に伴って発生する可燃性ガスを酸化分解するための触媒が設けられており、
上記触媒を加熱するための電気ヒータと、
上記正極及び上記負極に接続され、上記電気ヒータに通電するためのヒータ回路と、
上記電池ハウジングに外部から衝撃が加わる可能性があることを予測する衝撃予測手段と、
上記衝撃予測手段によって上記可能性が予測されたときに、上記電気ヒータに通電されるように上記ヒータ回路を閉成するスイッチ手段とを備えていることを特徴とする電池装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記正極、上記負極及び上記セパレータ各々はシート状であって、上記電池ハウジング内に、上記正極及び上記負極が上記セパレータを介して互いに絶縁した状態で捲回又は積層した状態に設けられていることを特徴とする電池装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
上記触媒は、シート状担体に触媒金属が担持されてなり、上記電池ハウジング内の少なくとも上部に配置されていることを特徴とする電池装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記担体は少なくとも一部が金属製担体であり、上記触媒における上記金属製担体の部分が上記電池ハウジング内の側部から上部にわたって配置されていることを特徴とする電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電解液が封入されている電池は、その温度が異常上昇したときに、電解液の分解等によって可燃性ガスが発生し発火する懸念がある。この温度の異常上昇は、例えば、電池に強い衝撃や圧迫が加わったとき、或いは鋭利物が電池に突き刺さったときに、電池ハウジング内のセパレータが破れ、正極と負極が内部短絡することによって生ずる。内部短絡により、短絡部に大電流が流れて発熱し、電解液の分解反応や電解液と負極又は正極等との反応が進行する。
【0003】
上記電池の発火対策に関し、特許文献1には、リチウムイオン電池のハウジング内に燃焼緩和剤を収容する小室を設けておき、電池ハウジング内の温度上昇又は圧力上昇によって小室を破壊させて燃焼緩和剤を放出させることが記載されている。また、特許文献2には、電池ハウジング内の電極表面に吸熱性無機物粒子をコートしておき、内部短絡時の急激な発熱及び発火を抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-525108号公報
【文献】特許6091742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行技術の発火対策は、内部短絡時の発熱や発火を燃焼緩和剤ないしは吸熱性無機物によって抑制するというものである。しかし、電池の発火・燃焼は可燃物の存在によって生ずるところ、その可燃物が存在する限りは、一時的に発火が抑制されても、さらなる発火・燃焼を生ずる懸念がある。
【0006】
そこで、本発明は、電池の発火・燃焼は可燃物の存在によって生ずる点に着目し、その可燃物を除去する観点から電池の発火・燃焼問題に対策する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、触媒を利用して電池ハウジング内の可燃物を除去するようにした。
【0008】
すなわち、ここに開示する電池装置は、正極と負極がセパレータによって絶縁されて、電解液と共に電池ハウジングに収容されていて、
上記電池ハウジング内に、上記電解液の分解に伴って発生する可燃性ガスを酸化分解するための触媒が設けられており、
上記触媒を加熱するための電気ヒータと、
上記正極及び上記負極に接続され、上記電気ヒータに通電するためのヒータ回路と、
上記電池ハウジングに外部から衝撃が加わる可能性があることを予測する衝撃予測手段と、
上記衝撃予測手段によって上記可能性が予測されたときに、上記電気ヒータに通電されるように上記ヒータ回路を閉成するスイッチ手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
これによれば、電池の内部短絡等による発熱によって電解液が分解し可燃性ガスが発生しても、その可燃性ガスが触媒によって酸化分解される。よって、電池の発火・燃焼の抑制に有利になる。
【0010】
一実施形態では、上記正極、上記負極及び上記セパレータ各々はシート状であって、上記電池ハウジング内に、上記正極及び上記負極が上記セパレータを介して互いに絶縁した状態で捲回又は積層した状態に設けられている。
【0011】
かかる電池構造の場合、外部から電池に衝撃が加わったときにセパレータが破れ、或いは電池内部での発熱によってセパレータが劣化損傷したときに、正極と負極の接触、すなわち、内部短絡を生じやすい。このような電池において、その内部短絡による発熱によって電解液が分解し、可燃性ガスを生じても、これが上記触媒によって分解されるから、電池の発火・燃焼の抑制に有利になる。
【0012】
一実施形態では、上記触媒は、シート状担体に触媒金属が担持されてなり、上記電池ハウジング内の少なくとも上部に配置されている。
【0013】
電解液の分解によって発生する可燃性ガスは上昇して電池ハウジング内の上部に溜りやすいところ、この上部に上記触媒が配置されているから、可燃性ガスの分解除去に有利になる。
【0014】
一実施形態では、上記担体は、その少なくとも一部が金属製担体であって、上記触媒における上記金属製担体の部分が上記電池ハウジング内の側部から上部にわたって配置されている。
【0015】
電池に対して側方から衝撃が加わったときは、電池ハウジング内の側部において内部短絡による発熱を生ずる。金属製担体は、セラミックス担体に比べて伝熱性が良いから、電池ハウジング内の側部において、上記発熱によって触媒の温度が速やかに上昇しやすい。そして、その熱が触媒における電池ハウジング内の側部に配設されている部分から上部に配設されている部分に金属製担体を介して効率良く伝わるから、電池ハウジング内の側部から上部にわたって、触媒が速やかに活性温度に達することになり、可燃性ガスの分解除去に有利になる。
【0016】
また、電池装置は、
上記触媒を加熱するための電気ヒータと、
上記正極及び上記負極に接続され、上記電気ヒータに通電するためのヒータ回路と、
上記電池ハウジングに外部から衝撃が加わる可能性があることを予測する衝撃予測手段と、
上記衝撃予測手段によって上記可能性が予測されたときに、上記電気ヒータに通電されるように上記ヒータ回路を閉成するスイッチ手段とを備えている。
【0017】
電池ハウジングに外部から衝撃が加わったときは、内部短絡によって可燃性ガスを生ずる懸念が高くなる。これに対して、電池ハウジングに衝撃が加わる可能性があることが予測されたときは、通電回路が閉成されて電気ヒータが作動するから、触媒の温度を速やかに上昇させることができ、可燃性ガスの分解除去に有利になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電池ハウジング内に電解液の分解に伴って発生する可燃性ガスを酸化分解するための触媒が設けられているから、電池の内部短絡等による発熱によって電解液が分解し可燃性ガスが発生しても、その可燃性ガスが触媒によって酸化分解されるため、電池の発火・燃焼の抑制に有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る電池装置のセルの斜視図。
図2】同セルの内部構成を示す斜視図。
図3】同セルの電極捲回体の一部を示す横断面図。
図4】同セルの縦断面図。
図5】同電池装置のヒータ作動システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0021】
図1に示す電池セル1はリチウムイオン電池装置を構成するセルである。リチウムイオン電池装置は、例えば、車輪駆動用エンジンと車輪駆動用モータを備えたハイブリッド車両(図示省略)において、駆動用モータへ放電する機能と、エンジン回生エネルギーシステムで変換した電力を蓄電する機能とを有する二次電池装置として搭載される。
【0022】
本実施形態の電池セル1の形状は角形であるが、本発明は、セル形状を角形に限定するものではなく、円筒形、パウチ形など他の形状であってもよい。電池セル1は、図2に示す電極捲回体2等を収容する電池ハウジング3を備えている。電池ハウジング3の上面に、正極セル端子4、負極セル端子5及び安全弁(ガス排出弁)6が設けられている。
【0023】
電池セル1は単独でも電池装置を構成することができるが、複数個の電池セル1各々の正極セル端子4同士、負極セル端子5同士を接続することにより、複数個の電池セル1によって電池装置を構成することもできる。安全弁6は、電池異常時に内圧が上がった際に開弁し、電池ハウジング3が破裂することを防ぐものである。
【0024】
図2及び図3に示すように、電極捲回体2は、正極シート11及び負極シート12がシート状のセパレータ13を介して互いに絶縁した状態で捲回されたものである。
【0025】
正極シート11は、コバルト酸リチウム等の正極活物質及び助剤(ポリフッ化ビニリデン等の結着剤及びカーボンブラック等の導電助剤)を混合してアルミニウム箔等の集電体に塗布してなる。負極シート12は、黒鉛系炭素材料等の負極活物質及び助剤(スチレン-ブタジエンゴム等の結着剤及びカーボンブラック等の導電助剤)を混合して銅箔等の集電体に塗布してなる。セパレータ13は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンの単層又は積層の微多孔性フィルムよりなり、有機化合物を主成分とする非水電解液が含浸される。
【0026】
非水電解液は、非水溶媒にリチウム塩(支持電解質)を溶解してなり、必要に応じて添加剤が添加される。
【0027】
非水溶媒の種類については、特に制限はなく、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)等の環状炭酸エステル、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)等の鎖状炭酸エステル、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン(GVL)等の環状カルボン酸エステルなどが挙げられる。非水溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
好ましいリチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiN(SOF)、LiN(SOCF、LiN(SO等が挙げられる。リチウム塩は、1種単独で用いるか又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
電極捲回体2の両側各々から正極シート11及び負極シート12各々の端部が側方に突出し、正極タブリード14及び負極タブリード15にそれぞれ接続されている。正極タブリード14及び負極タブリード15各々の上端部は電極捲回体2の上面に沿って互いに相手側に向かって延びており、この上端部に上記正極セル端子4及び負極セル端子5が接続されている。
【0030】
図2に示すように、上記電極捲回体2は、シート状担体に酸化触媒能を有する触媒金属を担持してなる外部触媒シート16によって外周面が全周にわたって覆われている。すなわち、外部触媒シート16は、電池ハウジング3内の上部だけでなく、電池ハウジング3内の側部にも設けられている。外部触媒シート16の担体は金属製担体であり、ステンレス鋼よりなる。触媒金属としては、Pt、Pd、Rh等の貴金属が採用される。なかでも、酸化触媒能が高いPdが触媒金属として好ましい。この外部触媒シート16と電極捲回体2の最外周部の正極シート11又は負極シート12とは電極捲回体2のセパレータ13によって絶縁されている。
【0031】
また、電極捲回体2の上方のタブリード14,15間、すなわち、電池ハウジング3内の上部である電極捲回体2と安全弁6の間に、板状担体に上記酸化触媒能を有する触媒金属を担持してなる板状の上部触媒17が配置されている。さらに、図4に示すように、電極捲回体2の内部にも、内部触媒シート18が正極シート11及び負極シート12と絶縁させた状態で配設されている。内部触媒シート18は、外部触媒シート16と同じく、シート状の金属製担体に上記酸化触媒能を有する触媒金属を担持してなる。
【0032】
この場合、上部触媒17と外部触媒シート16とを外部触媒シート16の上部(上端部近傍)で接触させていることで、後述の内部短絡により外部触媒シート16に伝達された熱を上部触媒17に素早く伝えることができ、上部触媒17の早期活性に寄与している。
【0033】
また、図4に示すように、電極捲回体2の外周面と外部触媒シート16の間には、シート状の電気ヒータ21が設けられている。本実施形態では、電気ヒータ21は、電極捲回体2の側面と外部触媒シート16の間に配設されていて、電極捲回体2の最外周部の正極シート11又は負極シート12とは電極捲回体2のセパレータ13によって絶縁されている。
【0034】
図5に示すように、電池装置は、電気ヒータ21に通電するためのヒータ回路22と、電池ハウジング3に外部から衝撃が加わる可能性があることを予測する衝撃予測手段23と、衝撃予測手段23によって上記可能性が予測されたときに、電気ヒータ21に通電されるようにヒータ回路22を閉成するスイッチ手段24とを備えている。
【0035】
ヒータ回路22は、電気ヒータ21を電池セル1の正極セル端子4及び負極セル端子5に接続して構成されており、該ヒータ回路22にスイッチ手段24が設けられている。
【0036】
衝撃予測手段23は、自車両周囲の障害物を検出する障害物検出センサ25と、該障害物検出センサ25の検出信号に基いて自車両が当該障害物に衝突する可能性があるか否かを判定し、衝突が予測されるときにスイッチ手段24に閉成信号を出力するコントロールユニット26とを備えてなる。
【0037】
障害物検出センサ25は、ミリ波レーダやレーザレーダ等によって構成され、自車両周囲の障害物を検出すると共に、その障害物と自車両との距離及び相対速度を検出する。コントロールユニット26は、マイクロコンピュータを用いたものであり、自車両の車速が所定車速以上であるとき、自車両と障害物との距離を自車両と障害物との相対速度で除して衝突予測時間を算出し、衝突予測時間が予め設定された所定時間以下になったとき、自車両が当該障害物に衝突する可能性があること、従って、電池セル1の電池ハウジング3に衝撃が加わる可能性あることを予測し、スイッチ手段24に閉成信号を出力する。
【0038】
図5に示す電気ヒータ21の作動システムは、複数の電池セル1が接続されて使用される組電池の例である。複数の電池セル1が接続されて外部負荷27に放電する放電回路28を形成している。コントロールユニット26は各電池セル1のヒータ回路22のスイッチ手段24に閉成信号を出力する。なお、充電回路の図示は省略している。
【0039】
従って、上記実施形態によれば、外部から電池セル1に衝撃が加わってセパレータ13が破れ、或いは、セル内部での発熱によってセパレータ13が劣化損傷して内部短絡を生じたとき、次のように、電池セル1の発火・燃焼が抑制される。 まず、内部短絡による発熱によって電解液の溶媒が分解して、可燃性ガスを生ずる。例えば、DEC(ジエチルカーボネート)の場合、その分解により、可燃性ガスであるブタンを生ずる。また、上記発熱によって、触媒シート16,18及び上部触媒17は活性を呈する温度に上昇していく。従って、可燃性ガス(炭化水素)は、その発生部において触媒シート16,18又は上部触媒17に接触して、或いは電池ハウジング3内を上昇していくときに、触媒シート16,18又は上部触媒17に接触して酸化分解され、不燃性のCO及びHOになっていく。
【0040】
ここに、外部から電池セル1に衝撃が加わったときは、電極捲回体2の外周部においてセパレータ13が損傷して内部短絡を生じやすい。これに対して、外部触媒シート16が電極捲回体3の外周部を覆っているから、その内部短絡によって発生した熱が外部触媒シート16に伝わりやすい。これにより、当該発熱部において外部触媒シート16の温度が上昇する。外部触媒シート16は、触媒の担体として金属製担体が用いられているから、上記発熱によって温度が上昇しやすく、且つその熱が外部触媒シート16の全体に伝わりやすい。
【0041】
例えば、電池ハウジング3に対して側方から衝撃が加わったときは、電池ハウジング3内の側部において内部短絡による発熱を生じ、その熱が外部触媒シート16における当該側部に配設されている部分から電池ハウジング3内の上部に配設されている部分に金属製担体を介して効率良く伝わる。よって、外部触媒シート16の全体が速やかに活性温度に達するようになり、外部触媒シート16による上記可燃性ガスの酸化分解に有利になる。
【0042】
また、上記実施形態では、電極捲回体3の外周部だけでなく、電極捲回体3の内部にも触媒シート18が配置されているから、可燃性ガスが電極捲回体3の内部を上昇していくときに、当該内部触媒シート18に接触して酸化分解される。さらに、電池ハウジング3内を上昇する可燃性ガスは、電池ハウジング3内の上部に溜まっていくところ、該上部に上部触媒17が配置されているから、可燃性ガスを確実に分解除去する上で有利になる。
【0043】
また、上記実施形態では、電極捲回体2と外部触媒シート16の間に電気ヒータ21が設けられていて、自車両の衝突が予測されるときは、ヒータ回路22のスイッチ手段24が閉成して、事前に電気ヒータ21が熱を発生する。従って、外部触媒シート16の温度を活性温度まで速やかに上昇させることができるから、衝突に伴う内部短絡によって可燃性ガスが発生するときは、この可燃性ガスを速やか分解除去することができ、電池セル1の発火・燃焼の防止に有利になる。
【0044】
上記実施形態の電池セル1は捲回型であるが、本発明において、電池は、正極シートと負極シートをこの両シート間にセパレータを挟んで交互に積層した積層型であっても、他の形態であってもよく、電池の形態を問うものではない。
【0045】
上記実施形態では、電池ハウジング3内に複数種類の触媒16~18を配置したが、そのうちのいずれか一種の触媒のみを配置する構成とすることもでき、或いは電池形態に応じて他の配置形態をとることもできる。
【0046】
また、触媒担体については、金属製担体に限らず、セラミックス担体とすることもできる。
【符号の説明】
【0047】
1 電池セル
2 電極捲回体
3 電池ハウジング
11 正極シート
12 負極シート
13 セパレータ
16 外部触媒シート
17 上部触媒
18 内部触媒シート
21 電気ヒータ
22 ヒータ回路
23 衝撃予測手段
24 スイッチ手段
図1
図2
図3
図4
図5