(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】海底構造物検出装置、海底構造物検出システム、および、海底構造物検出方法
(51)【国際特許分類】
G01V 3/02 20060101AFI20220928BHJP
B63C 11/00 20060101ALI20220928BHJP
B63C 11/48 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
G01V3/02 B
B63C11/00 B
B63C11/48 D
(21)【出願番号】P 2019011424
(22)【出願日】2019-01-25
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】馬島 八世
(72)【発明者】
【氏名】三品 尚登
(72)【発明者】
【氏名】江原 祐樹
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/047638(WO,A1)
【文献】特表2015-506475(JP,A)
【文献】米国特許第02531088(US,A)
【文献】特開2012-117914(JP,A)
【文献】特開昭60-135783(JP,A)
【文献】特開2001-305237(JP,A)
【文献】特開2002-156460(JP,A)
【文献】米国特許第05206640(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底に設けられた構造物を検出する海底構造物検出装置であって、
各々が正極と負極とを有する複数の供給電極対と、
各々の前記正極と前記負極との間に配置され、前記正極と前記負極との間に供給された電流による前記正極と前記負極との間の検出領域の電位差を検出する複数の電位差検出部と、
複数の前記電位差検出部によって検出された検出信号の構造物に起因して生じる変化に基づいて構造物の位置を判定する制御を行う制御部とを備える、海底構造物検出装置。
【請求項2】
少なくとも、前記供給電極対と、前記電位差検出部とが設けられ、水中を移動可能な移動体をさらに備え、
前記制御部は、構造物の位置の判定結果および前記検出信号に基づいて、前記移動体の移動方向を調整するための信号を出力する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の海底構造物検出装置。
【請求項3】
前記電位差検出部は、前記移動体において、進行方向に沿う方向に互いに離間した位置に配置された検出電極対を含むとともに、前記検出電極対の間の電位差を検出するように構成されており、
前記制御部は、前記検出電極対の間の電位差の変化に基づいて、前記構造物の位置を判定する制御を行うように構成されている、請求項2に記載の海底構造物検出装置。
【請求項4】
複数の前記電位差検出部は、少なくとも、進行方向に沿う方向における前記移動体の左右側部のうち、第1側部に設けられた第1電位差検出部と、前記第1側部とは異なる第2側部に設けられた第2電位差検出部とを含み、
前記制御部は、前記第1電位差検出部によって検出された第1検出信号と、前記第2電位差検出部によって検出された第2検出信号とに基づいて、前記移動体の進行方向に対する左右方向における前記構造物の位置を判定する制御を行うように構成されている、請求項3に記載の海底構造物検出装置。
【請求項5】
前記供給電極対は、前記第1側部において、進行方向に沿う方向に互いに離間した位置に設けられた第1電極対と、前記第2側部において、進行方向に沿う方向に互いに離間した位置に設けられた第2電極対とを含み、
前記第1電極対と、前記第2電極対とは、互いに異なる周波数の電流が供給される、請求項4に記載の海底構造物検出装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記検出信号をフーリエ変換し、前記第1電極対および前記第2電極対にそれぞれ供給された電流の周波数ごとに、フーリエ変換された前記検出信号を解析することにより、前記移動体と前記構造物との位置を判定する制御を行うように構成されている、請求項5に記載の海底構造物検出装置。
【請求項7】
前記電位差検出部は、前記移動体において、進行方向に対する左右方向に沿って前記検出電極対が並ぶように設けられた第3電位差検出部をさらに含む、請求項4~6のいずれか1項に記載の海底構造物検出装置。
【請求項8】
複数の前記電位差検出部は、前記移動体の側部または底部において、前記移動体の底部からの上下方向の距離がそれぞれ略等しくなる位置に設けられている、請求項4~7のいずれか1項に記載の海底構造物検出装置。
【請求項9】
前記移動体には、前記供給電極対と、前記電位差検出部と、前記供給電極対の間に電流を供給する電流源と、前記制御部と、前記移動体に対して推進力を与える推進機構とが設けられ、海中を自律走行可能に構成されている、請求項2~8のいずれか1項に記載の海底構造物検出装置。
【請求項10】
前記構造物は、海底に設けられたパイプラインであり、
前記制御部は、パイプラインの位置を判定するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の海底構造物検出装置。
【請求項11】
海底に設けられた構造物を検出する海底構造物検出システムであって、
各々が正極と負極とを有する複数の供給電極対と、各々の前記正極と前記負極との間に配置され、前記正極と前記負極との間に供給された電流による前記正極と前記負極との間の検出領域の電位差を検出する複数の電位差検出部とを備える検出装置と、
前記供給電極対の間に電流を供給する電流源と、
複数の前記電位差検出部によって検出された検出信号の構造物に起因して生じる変化に基づいて構造物の位置を判定する制御を行う制御装置とを備える、海底構造物検出システム。
【請求項12】
前記制御装置は、海面を航行する船舶に設けられている、請求項11に記載の海底構造物検出システム。
【請求項13】
海底に設けられた構造物を検出する海底構造物検出方法であって、
少なくとも、
各々が正極と負極とを有する
複数の供給電極対と、
各々の前記正極と前記負極との間に配置され、前記正極と前記負極との間に供給された電流による前記正極と前記負極との間の検出領域の電位差を検出する複数の電位差検出部とが設けられた移動体を海底に沿って移動させ、
前記複数の供給電極対の各々の前記正極と前記負極との間に電流を供給し、
前記複数の供給電極対の各々の前記正極と前記負極との間の
前記検出領域の
各々の電位差を検出し、
検出された検出信号の構造物に起因して生じる変化に基づいて構造物の位置を判定する制御を行う、海底構造物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底構造物検出装置、海底構造物検出システム、および、海底構造物検出方法に関し、海底に沿って移動しながら海底に設けられた構造物を検出する海底構造物検出装置、海底構造物検出システム、および、海底構造物検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海底に沿って移動しながら海底に設けられた構造物を検出する海底構造物検出装置、海底構造物検出システム、および、海底構造物検出方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、海底に沿って移動しながら海底に設けられた構造物を、磁気を用いて検出する磁気探査装置(海底構造物検出装置)が開示されている。上記特許文献1に開示されている磁気探査装置は、磁気センサーが上下2段以上に組み合わされた組センサーを備えている。上記特許文献1に開示されている磁気探査装置は、組センサーを少なくとも1対互いに同一平面上で平行に対向するように配置し、調査船によって曳航されることにより、海底に埋設された海底パイプラインから発せられる磁気を検出することにより、海底パイプラインを検出するように構成されている。上記特許文献1には開示されていないが、海底パイプラインは、鋼管(鉄)によって構成されていると考えられ、鋼管の外周面を覆うように錆びを防ぐための防食層が設けられていると考えられる。または、錆びを防ぐため、パイプラインは、ステンレスなどの錆びにくい部材によって構成されていると考えられる。また、上記特許文献1には開示されていないが、上記特許文献1の構成は、海底パイプラインから発せられる磁気を検出するため、カメラなどを用いた目視による海底パイプラインの検出とは異なり、海底パイプラインが砂などに埋まっている場合でも、海底パイプラインを検出することが可能であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている構成は、海底パイプラインから発せられる磁気を検出する構成のため、海底パイプラインに防食層が設けられている場合や、海底パイプラインがステンレスによって構成されている場合など、海底パイプラインの材質に起因して海底パイプラインから発せられる磁気の大きさが小さい場合、海底パイプラインの位置を検出することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、海底に設けられた構造物の材質に起因して、海底に設けられた構造物から発せられる磁気の大きさが小さい場合でも、海底に設けられた構造物の位置を検出することが可能な海底構造物検出装置、海底構造物検出システム、および、海底構造物検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における海底構造物検出装置は、海底に設けられた構造物を検出する海底構造物検出装置であって、各々が正極と負極とを有する複数の供給電極対と、各々の正極と負極との間に配置され、正極と負極との間に供給された電流による正極と負極との間の検出領域の電位差を検出する複数の電位差検出部と、複数の電位差検出部によって検出された検出信号の構造物に起因して生じる変化に基づいて構造物の位置を判定する制御を行う制御部とを備える。
【0008】
この発明の第1の局面における海底構造物検出装置では、上記のように、複数の電位差検出部によって検出された構造物に起因して生じる検出信号の変化に基づいて構造物の位置を判定する制御を行う制御部を備える。これにより、供給電極対に供給された電流の経路が構造物によって変化した際の電位差の変化を検出することが可能となり、検出信号の変化に基づいて構造物の位置を判定することができる。その結果、海底に設けられた構造物から発せられる磁気に基づいて位置を判定する構成とは異なり、海底に設けられた構造物の材質に起因して海底に設けられた構造物から発せられる磁気の大きさが小さい場合でも、海底に設けられた構造物の位置を検出することができる。また、海底の地中には海水が含まれているので、海水が浸透している海底の地中には電流が流れる。したがって、構造物が海底の砂などに埋まっている場合でも、構造物によって検出信号が変化するため、構造物の位置判定を行うことができる。その結果、カメラなどを用いた目視による検出とは異なり、構造物が海底の砂などに埋まっている場合でも、構造物を検出することができる。
【0009】
上記第1の局面における海底構造物検出装置において、好ましくは、少なくとも、供給電極対と、電位差検出部とが設けられ、水中を移動可能な移動体をさらに備え、制御部は、構造物の位置の判定結果および検出信号に基づいて、移動体の移動方向を調整するための信号を出力する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、移動方向を調整するための信号に基づいて移動体の移動方向を容易に調整することができる。その結果、検出可能範囲から構造物が外れてしまうことを容易に抑制することができる。なお、「水中を移動可能」とは、移動体が自律走行すること、および、移動体が船舶などに曳航されることにより移動することを含む。
【0010】
この場合、好ましくは、電位差検出部は、移動体において、進行方向に沿う方向に互いに離間した位置に配置された検出電極対を含むとともに、検出電極対の間の電位差を検出するように構成されており、制御部は、検出電極対の間の電位差の変化に基づいて、構造物の位置を判定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、検出電極対が進行方向に沿う方向に互いに離間して配置されることにより、1つの電極によって電位差を検出する構成と比較して、検出電極対間の電位差を正確に取得することができる。その結果、検出電極対間の電位差の変化を正確に取得することができる。
【0011】
上記検出電極対の間の電位差の変化に基づいて、構造物の位置を判定する制御を行う構成において、好ましくは、複数の電位差検出部は、少なくとも、進行方向に沿う方向における移動体の左右側部のうち、第1側部に設けられた第1電位差検出部と、第1側部とは異なる第2側部に設けられた第2電位差検出部とを含み、制御部は、第1電位差検出部によって検出された第1検出信号と、第2電位差検出部によって検出された第2検出信号とに基づいて、移動体の進行方向に対する左右方向における構造物の位置を判定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第1検出信号の大きさと第2検出信号の大きさとを比較することにより、移動体に対する構造物の位置を判定することができる。その結果、移動体の底部に1対の電位差検出部のみが設けられている構成と比較して、移動体の進行方向に対する左右方向における構造物の位置を精度よくできる。
【0012】
この場合、好ましくは、供給電極対は、第1側部において、進行方向に沿う方向に互いに離間した位置に設けられた第1電極対と、第2側部において、進行方向に沿う方向に互いに離間した位置に設けられた第2電極対とを含み、第1電極対と、第2電極対とは、互いに異なる周波数の電流が供給される。このように構成すれば、各電極対に供給される電流の周波数が異なるため、各電極対に対して同一のタイミングで電流を供給することができる。その結果、各電極対に対して同一の周波数の電流を、タイミングをずらして供給する場合と比較して、検出時間を短縮することができる。
【0013】
上記第1電極対と、第2電極対とに、互いに異なる周波数の電流が供給される構成において、好ましくは、制御部は、検出信号をフーリエ変換し、第1電極対および第2電極対にそれぞれ供給された電流の周波数ごとに、フーリエ変換された検出信号を解析することにより、移動体と構造物との位置を判定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、それぞれの電極対に対して、周波数の異なる電流が同一のタイミングで供給された場合でも、フーリエ変換された検出信号をそれぞれの電流の周波数で解析することにより、各検出信号を個別に解析することができる。その結果、各電位差検出部における検出結果を精度よく解析することができる。
【0014】
上記第1検出信号と第2検出信号とに基づいて、移動体の進行方向に対する左右方向における構造物の位置を判定する制御を行う構成において、好ましくは、電位差検出部は、移動体において、進行方向に対する左右方向に沿って検出電極対が並ぶように設けられた第3電位差検出部をさらに含む。このように構成すれば、第3電位差検出部によって、海底構造物検出装置が構造物の直上にある場合の判定精度を向上させることができる。その結果、構造物の位置の判定精度を向上させることができる。
【0015】
上記第1検出信号と第2検出信号とに基づいて、移動体の進行方向に対する左右方向における構造物の位置を判定する制御を行う構成において、好ましくは、複数の電位差検出部は、移動体の側部または底部において、移動体の底部からの上下方向の距離がそれぞれ略等しくなる位置に設けられている。このように構成すれば、各電位差検出部から海底に設けられた構造物までの距離を略等しくすることができる。そのため、電位差検出部から構造物までの距離が異なることによって、各検出信号の大きさにばらつきが生じることを抑制することができる。その結果、電位差検出部から構造物までの距離に依存する影響が生じることを抑制することが可能となり、構造物の位置の判定精度をより向上させることができる。
【0016】
上記構造物の位置の判定結果および検出信号に基づいて、移動体の移動方向を調整するための信号を出力する制御を行う構成において、好ましくは、移動体には、供給電極対と、電位差検出部と、供給電極対の間に電流を供給する電流源と、制御部と、移動体に対して推進力を与える推進機構とが設けられ、海中を自律走行可能に構成されている。このように構成すれば、移動体を海中で自律走行させながら構造物の位置の検出を行うことができる。
【0017】
上記第1の局面における海底構造物検出装置において、好ましくは、構造物は、海底に設けられたパイプラインであり、制御部は、パイプラインの位置を判定するように構成されている。このように構成すれば、パイプラインの位置判定に好適な海底構造物検出装置を提供することができる。
【0018】
この発明の第2の局面における海底構造物検出システムは、海底に設けられた構造物を検出する海底構造物検出システムであって、各々が正極と負極とを有する複数の供給電極対と、各々の正極と負極との間に配置され、正極と負極との間に供給された電流による正極と負極との間の検出領域の電位差を検出する複数の電位差検出部とを備える検出装置と、供給電極対の間に電流を供給する電流源と、複数の電位差検出部によって検出された検出信号の構造物に起因して生じる変化に基づいて構造物の位置を判定する制御を行う制御装置とを備える。
【0019】
この発明の第2の局面における海底構造物検出システムでは、上記のように、複数の電位差検出部によって検出された構造物に起因して生じる検出信号の変化に基づいて構造物の位置を判定する制御を行う制御装置を備える。これにより、上記第1の局面における海底構造物検出装置と同様に、海底に設けられた構造物の材質に起因して、海底に設けられた構造物から発せられる磁気の大きさが小さい場合でも、海底に設けられた構造物の位置を検出することが可能な海底構造物検出システムを提供することができる。
【0020】
上記第2の局面における海底構造物検出システムにおいて、好ましくは、制御装置は、海面を航行する船舶に設けられている。このように構成すれば、船舶に設けられた制御装置において、構造物の位置判定を行うことが可能となるので、検出装置の装置構成を簡素化することができる。
【0021】
この発明の第3の局面における海底構造物検出方法は、海底に設けられた構造物を検出する海底構造物検出方法であって、少なくとも、各々が正極と負極とを有する複数の供給電極対と、各々の正極と負極との間に配置され、正極と負極との間に供給された電流による正極と負極との間の検出領域の電位差を検出する複数の電位差検出部とが設けられた移動体を海底に沿って移動させ、複数の供給電極対の各々の前記正極と前記負極との間に電流を供給し、複数の供給電極対の各々の正極と負極との間の検出領域の各々の電位差を検出し、検出された検出信号の構造物に起因して生じる変化に基づいて構造物の位置を判定する制御を行う。
【0022】
この発明の第3の局面における海底構造物検出方法では、上記のように、検出された構造物に起因して生じる検出信号の変化に基づいて構造物の位置を判定する制御を行う。これにより、上記第1の局面における海底構造物検出装置と同様に、海底に設けられた構造物の材質に起因して、海底に設けられた構造物から発せられる磁気の大きさが小さい場合でも、海底に設けられた構造物の位置を検出することが可能な海底構造物検出方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記のように、海底に設けられた構造物の材質に起因して、海底に設けられた構造物から発せられる磁気の大きさが小さい場合でも、構造物の位置を検出することが可能な海底構造物検出装置、海底構造物検出システム、および海底構造物検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態による海底構造物検出装置の全体構成を示したブロック図である。
【
図2】第1実施形態の海底構造物検出装置によって海底に設けられたパイプラインを検出する際の模式図である。
【
図3】第1実施形態による海底構造物検出装置をZ1方向から模式図である。
【
図4】第1実施形態による海底構造物検出装置をX1方向から模式図である。
【
図5】第1実施形態による海底構造物検出装置をY2方向から模式図である。
【
図6】パイプラインがない場合の電流の流れを説明するための模式図である。
【
図7】パイプラインと交差する方向に供給電極対および電位差検出部が位置する場合の電流の流れを説明するための模式図である。
【
図8】パイプラインに沿う方向に供給電極対および電位差検出部が位置する場合の電流の流れを説明するための模式図である。
【
図9】電位差検出部が検出する検出信号の波形を示すグラフである。
【
図10】フーリエ変換された検出信号の波形を示すグラフである。
【
図11】海底構造物検出装置がパイプラインの左側に位置した場合の模式図である。
【
図12】海底構造物検出装置がパイプラインの直上に位置した場合の模式図である。
【
図13】海底構造物検出装置がパイプラインの右側に位置した場合の模式図である。
【
図14】移動体の移動方向を調整するための信号の波形を示したグラフである。
【
図15】移動体の移動方向を調整するための信号に基づく海底構造物検出装置の移動を示す模式図ある。
【
図16】第1実施形態の海底構造物検出装置による移動方向調整信号出力処理を説明するためのフローチャートである。
【
図17】第1実施形態の海底構造物検出装置によるパイプラインの位置判定処理を説明するためのフローチャートである。
【
図18】第2実施形態による海底構造物検出装置の全体構成を示したブロック図である。
【
図19】第2実施形態の海底構造物検出装置によって海底に設けられたパイプラインを検出する際の模式図である。
【
図20】第1実施形態の変形例による海底構造物検出装置の全体構成を示したブロック図である。
【
図21】第1実施形態の変形例の海底構造物検出装置によって海底に設けられたパイプラインを検出する際の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図1~
図15を参照して、第1実施形態による海底構造物検出装置100の構成について説明する。
【0027】
(海底構造物検出装置の構成)
まず、
図1を参照して、第1実施形態による海底構造物検出装置100の構成について説明する。
【0028】
海底構造物検出装置100は、海底14(
図2参照)に設けられた構造物1(
図2参照)を検出する海底構造物検出装置である。具体的には、海底構造物検出装置100は、海底14に設けられたパイプライン1aを検出するように構成されている。パイプライン1aは、たとえば、錆びを防ぐための防食層(図示せず)が外周面を覆うように設けられた鋼管、ステンレス管などを含む。防食層は、たとえば、ゴムやポリ塩化ビニルなどの絶縁体を含む。パイプライン1aに防食層が設けられている場合、パイプライン1aには電流は流れない。また、パイプライン1aがステンレスなどの錆びにくい部材によって構成され、防食層が設けられていない場合でも、海水とパイプライン1aとの電気抵抗の違いにより、パイプライン1aには電流が流れにくい。なお、パイプライン1aは、特許請求の範囲の「構造物」の一例である。
【0029】
図1に示すように、海底構造物検出装置100は、複数の供給電極対2と、複数の電位差検出部3と、制御部4と、電流源5と、推進機構6と、信号処理部7と、記憶部8と、通信部9とを備えている。第1実施形態では、海底構造物検出装置100は、少なくとも、供給電極対2と、電位差検出部3とが設けられ、水中を移動可能な移動体10を備える。なお、本明細書において、海底構造物検出装置100の進行方向をX1方向、その逆向きの方向をX2方向とする。また、進行方向の左右方向をY方向とし、左方向をY1方向、右方向をY2方向とする。また、進行方向の上下方向をZ方向とし、上方向をZ1方向、下方向をZ2方向とする。
【0030】
供給電極対2は、各々が正極2aと負極2bとを有する。供給電極対2は、電流源5から供給された電流を、電位差検出部3に供給するように構成されている。
【0031】
電位差検出部3は、各々の正極2aと負極2bとの間に配置され、正極2aと負極2bとの間に供給された電流による正極2aと負極2bとの間の検出領域56(
図6参照)の電位差を検出するように構成されている。電位差検出部3は、たとえば、銀/塩化銀電極を含む。
【0032】
制御部4は、複数の電位差検出部3によって検出された検出信号11のパイプライン1aに起因して生じる変化に基づいてパイプライン1aの位置を判定する制御を行うように構成されている。また、制御部4は、電流源5を制御することにより、供給電極対2に電流を供給するように構成されている。制御部4は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ、パイプライン1aの位置判定用に構成されたFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサを含む。また、制御部4は、信号出力部40を含む。
【0033】
信号出力部40は、パイプライン1aの位置の判定結果および検出信号11に基づいて、移動体10の移動方向を調整するための信号を出力する制御を行うように構成されている。なお、第1実施形態では、制御部4が、記憶部8に記憶されたプログラムを実行することにより、信号出力部40として機能する。
【0034】
移動体10は、筐体10aと、推進機構6とを備えている。筐体10aには、供給電極対2と、電位差検出部3と、供給電極対2間に電流を供給する電流源5と、制御部4と、移動体10に対して推進力を与える推進機構6とが設けられている。移動体10は、海中を自律走行可能に構成されている。また、移動体10は、無人で海中を移動可能に構成されている。移動体10は、いわゆるAUV(Autonomous Underwater Vehicle:自律型無人潜水機)である。
【0035】
電流源5は、制御部4の制御の下、供給電極対2に電流を供給するように構成されている。第1実施形態では、電流源5は、交流電流を供給電極対2に供給するように構成されている。電流源5は、交流電流として、数十Hz~数百Hzの電流を供給電極対2に供給するように構成されている。また、電流源5は、異なる周波数の電流を、同一のタイミングで供給電極対2に供給可能に構成されている。電流源5は、異なる周波数の電流として、互いに周波数が数十Hz異なる電流を供給するように構成されている。電流源5は、たとえば、交流電流を供給可能な電源装置を含む。
【0036】
推進機構6は、制御部4の制御の下、移動体10に対して推進力を与えるように構成されている。推進機構6は、プロペラ(図示せず)と、プロペラを駆動する駆動源(図示せず)とを含む。推進機構6は、プロペラを回転させることによって水をかき推進力を得る、いわゆるスクリュー構成であってもよいし、後方に高圧の水流を噴出することにより推進力を得る、いわゆるウォータージェット推進機構であってもよい。
【0037】
信号処理部7は、電位差検出部3が検出した検出信号11を、デジタル信号に変換するように構成されている。また、信号処理部7は、デジタル信号に変換した検出信号11を増幅するように構成されている。また、信号処理部7は、検出信号11を制御部4に送信するように構成されている。信号処理部7は、たとえば、A/D(Analog/Digital)変換器、アンプなどを含む。
【0038】
記憶部8は、制御部4が実行するプログラムや、海底構造物検出装置100が検出したパイプライン1aの位置情報などを記憶するように構成されている。記憶部8は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性のメモリなどを含む。
【0039】
通信部9は、制御部4の制御の下、船舶13(
図2参照)と通信するように構成されている。具体的には、通信部9は、船舶13からパイプライン1aの分布情報を受信したり、船舶13に対して、パイプライン1aの詳細な位置情報を送信したりするように構成されている。通信部9は、たとえば、無線接続可能な送受信装置を含む。
【0040】
図2に示すように、海底構造物検出装置100(移動体10)は、海底14に沿って航行することにより、パイプライン1aを検出する。なお、
図2に示す例は、海底14に設けられたパイプライン1aが、砂などによって埋もれた場合の例である。
【0041】
(供給電極対および電位差検出部の配置)
次に、
図3~
図5を参照して、供給電極対2および電位差検出部3の配置について説明する。
【0042】
図3に示すように、複数の電位差検出部3は、移動体10において、進行方向(X1方向)に沿う方向(X方向)に互いに離間した位置に配置された検出電極対30を含む。また、電位差検出部3は、少なくとも、進行方向に沿う方向における移動体10の左右側部15のうち、第1側部15aに設けられた第1電位差検出部3aと、第1側部15aとは異なる第2側部15bに設けられた第2電位差検出部3bとを含む。また、電位差検出部3は、移動体10において、進行方向(X1方向)に対する左右方向(Y方向)に沿って検出電極対30が並ぶように設けられた第3電位差検出部3cを含む。なお、
図3に示す例では、左右側部15のうち、X方向に沿う方向において、移動体10の中心を通る直線53からY1方向側(左側)を、第1側部15aとする。また、左右側部15のうち、移動体10の中心を通る直線54からY2方向側(右側)を、第2側部15bとする。
【0043】
また、
図3に示すように、供給電極対2は、第1側部15aにおいて、X方向に互いに離間した位置に設けられた第1電極対20aと、第2側部15bにおいて、X方向に互いに離間した位置に設けられた第2電極対20bとを含む。なお、第1実施形態では、第1電極対20aと、第2電極対20bとは、互いに異なる周波数の電流が供給される。また、供給電極対2は、底部16(
図5参照)において、Y方向に沿う方向に互いに離間した位置に設けられた第3電極対20cを含む。
【0044】
また、
図4および
図5に示すように、複数の電位差検出部3は、移動体10の側部15または底部16において、移動体10の底部16からの上下方向の距離17がそれぞれ略等しくなる位置に設けられている。また、複数の供給電極対2は、移動体10の側部15または底部16において、移動体10の底部16からの上下方向の距離17がそれぞれ略等しくなる位置に設けられている。言い換えると、複数の電位差検出部3および複数の供給電極対2は、移動体10の側部15または底部16において、それぞれ、複数の電位差検出部3および複数の供給電極対2からパイプライン1aまでの上下方向の距離18がそれぞれ略等しくなる位置に設けられている。
【0045】
なお、移動体10の底部16からの上下方向の距離17とは、底部16の最下部16aからの上下方向の距離である。また、
図4に示す例は、X1方向から見た図であるため、直線53を点で図示している。
図4に示す例では、直線53よりもZ2方向側(下側)を、底部16とする。なお、
図4では、簡単のため、移動体10の中心を通り、Y方向に沿う破線54および、移動体10の中心を通り、Z方向に沿う破線55を図示している。すなわち、破線54よりもZ2方向側(下側)を、底部16とする。また、破線55のY1方向側を第1側部15aとし、破線55のY2方向側を第2側部15bとする。また、
図5に示す例では、直線53よりもZ2方向側(下側)を底部16とする。また、複数の供給電極対2および複数の電位差検出部3は、それぞれ、支持部材31を介して、移動体10に設けられている。支持部材31は、複数の供給電極対2および複数の電位差検出部3を支持することが可能であれば、形状、材質、および構造がどのように構成されていてもよい。
【0046】
(電位差の検出)
電位差検出部3は、検出電極対30の間の電位差を検出するように構成されている。具体的には、電位差検出部3は、検出電極対30のうち、どちらか一方の検出電極による検出値を基準電位とし、基準電位の値と他方の検出電極における検出値との差を取得することにより、検出電極対30の間の検出領域56の電位差を検出するように構成されている。すなわち、第1実施形態では、供給電極対2と、検出電極対30とによって構成される検出ユニットによって、検出電極対30の間の検出領域56の電位差を検出するように構成されている。なお、第1実施形態では、移動体10は、3つの検出ユニットを備えている。
【0047】
図3に示すように、第1電極対20aに電流が供給されることにより、矢印50に沿って正極2aから負極2bに電流が流れる。その際、一点鎖線で示した領域60において、電界が生じる。第1電位差検出部3aは、電界が生じた領域60内の電位差を検出する。また、第2電極対20bに電流が供給されることにより、矢印51に沿って正極2aから負極2bに電流が流れる。その際、一点鎖線で示した領域61において、電界が生じる。第2電位差検出部3bは、電界が生じた領域61内の電位差を検出する。また、第3電極対20cに電流が供給されることにより、矢印52に沿って正極2aから負極2bに電流が流れる。その際、一点鎖線で示した領域62において、電界が生じる。第3電位差検出部3cは、電界が生じた領域62内の電位差を検出する。
【0048】
第1実施形態では、制御部4は、検出電極対30の間の電位差の変化に基づいて、パイプライン1aの位置を判定する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部4は、第1電位差検出部3aによって検出された第1検出信号11a(
図1参照)と、第2電位差検出部3bによって検出された第2検出信号11b(
図1参照)とに基づいて、移動体10のY方向におけるパイプライン1aの位置を判定する制御を行うように構成されている。
【0049】
(検出信号の変化)
次に、
図6~
図8を参照して、海底構造物検出装置100が検出する検出信号11の、パイプライン1aによる変化について説明する。なお、
図6~
図8に示す例は、第1電極対20aおよび第1電位差検出部3aによって検出信号11を検出する場合の例である。第2電極対20bおよび第2電位差検出部3bによる検出信号11の検出、および、第3電極対20cおよび第3電位差検出部3cによる検出信号11の検出も、同様の構成によって行われる。
【0050】
図6に示すように、移動体10の近傍にパイプライン1aがない場合、供給電極対2の間に流れる電流のうち、最も外側を流れる電流は、破線50aで示すように、正極2aから負極2bに向けて円弧状に流れる。電位差検出部3は、領域60のうち、検出電極対30の間の検出領域56の電位差を検出する。
【0051】
図7に示すように、供給電極対2および電位差検出部3が、パイプライン1aと交差する位置にある場合、供給電極対2の間に供給される電流は、パイプライン1aを避けるように流れる。そのため、最も外側を流れる電流の経路は、破線50bで示すように、
図6に示す破線50aと比較して変化する。この場合、領域60(
図3参照)内の電気力線の密度が大きくなるため、検出電極対30の間の検出領域56の電位差は、
図6の配置の場合に検出される検出電極対30の間の検出領域56の電位差よりも大きくなる。すなわち、電位差検出部3で検出される検出信号11の値が大きくなる。
【0052】
図8に示すように、供給電極対2および電位差検出部3が、パイプライン1aに沿う方向に位置する場合、供給電極対2から供給される電流は、パイプライン1aに沿って流れる。そのため、供給電極対2間に流れる電流のうち、最も外側を流れる電流の経路は、破線50cで示すように、
図6に示す破線50aと比較して変化する。この場合も、領域60(
図3参照)内の電気力線の密度が大きくなるため、検出電極対30の間の検出領域56の電位差は、
図6の配置の場合に検出される検出電極対30の間の検出領域56の電位差よりも大きくなる。すなわち、電位差検出部3で検出される検出信号11の値が大きくなる。
【0053】
(検出信号の解析)
次に、
図9および
図10を参照して、制御部4が検出信号11を解析する構成について説明する。
【0054】
供給電極対2に供給される交流電流の波形の形状が正弦波の形状なので、
図9に示すグラフ80のように、電位差検出部3によって検出される検出信号11の波形の形状は、正弦波の波形と同様の形状となる。なお、グラフ80は、縦軸が信号強度であり、横軸が時間のグラフである。グラフ80における信号強度とは、検出信号11の振幅19の大きさのことである。移動体10の近傍にパイプライン1aが存在する場合、検出信号11が大きくなる。すなわち、検出信号11のグラフ80の振幅19が大きくなる。
【0055】
第1実施形態では、制御部4は、検出信号11をフーリエ変換することにより、検出信号11を解析するように構成されている。具体的には、制御部4は、検出信号11をフーリエ変換することにより、
図10のグラフ81に示すフーリエ変換された検出信号12を取得する。グラフ81は、縦軸が信号強度であり、横軸が周波数のグラフである。
【0056】
第1実施形態では、制御部4は、第1電極対20aおよび第2電極対20bにそれぞれ供給された電流の周波数ごとに、フーリエ変換された検出信号12を解析することにより、移動体10とパイプライン1aとの位置を判定する制御を行うように構成されている。また、第1実施形態では、第3電極対20cを備えているため、制御部4は、第1電極対20a、第2電極対20b、および、第3電極対20cにそれぞれ供給された電流の周波数ごとに、フーリエ変換された検出信号12を解析する。
図10に示すグラフ81において、検出信号12aは、第1電位差検出部3aにおいて検出された検出信号11をフーリエ変換することにより得られた検出信号12である。また、検出信号12bは、第2電位差検出部3bにおいて検出された検出信号11をフーリエ変換することにより得られた検出信号12である。また、検出信号12cは、第3電位差検出部3cにおいて検出された検出信号11をフーリエ変換することにより得られた検出信号12である。
【0057】
(パイプラインの位置の判定)
次に、
図11~
図13を参照して、海底構造物検出装置100によるパイプライン1aの位置を判定する構成について説明する。なお、
図11~
図13に示す例では、第1電位差検出部3a、第2電位差検出部3b、および、第3電位差検出部3cの検出信号11を、それぞれ、矢印70、矢印71、および、矢印72によって図示するとともに、各矢印の太さを変更することにより、検出信号11の値の大きさの違いを図示している。すなわち、検出信号11の信号強度が大きいほど、太い矢印で図示している。
【0058】
図11に示すように、海底構造物検出装置100がパイプライン1aの左側に位置する場合、第2電位差検出部3bの検出信号11の値が他の電位差検出部3の検出信号11の値よりも大きくなる。すなわち、制御部4は、第2電位差検出部3bの検出信号11の値が、他の電位差検出部3の検出信号11の値よりも大きい場合に、海底構造物検出装置100がパイプライン1aの左側に位置すると判定する。言い換えると、制御部4は、第2電位差検出部3bの検出信号11の値が、他の電位差検出部3の検出信号11の値よりも大きい場合に、パイプライン1aが海底構造物検出装置100の右側に位置すると判定する。
【0059】
図12に示すように、海底構造物検出装置100がパイプライン1aの直上に位置する場合、第3電位差検出部3cの検出信号11の値が他の電位差検出部3の検出信号11の値よりも大きくなる。すなわち、制御部4は、第3電位差検出部3cの検出信号11の値が、他の電位差検出部3の検出信号11の値よりも大きい場合に、海底構造物検出装置100がパイプライン1aの直上に位置すると判定する。言い換えると、制御部4は、第3電位差検出部3cの検出信号11の値が、他の電位差検出部3の検出信号11の値よりも大きい場合に、パイプライン1aが海底構造物検出装置100の直下に位置すると判定する。
【0060】
図13に示すように、海底構造物検出装置100がパイプライン1aの右側に位置する場合、第1電位差検出部3aの検出信号11の値が他の電位差検出部3の検出信号11の値よりも大きくなる。すなわち、制御部4は、第1電位差検出部3aの検出信号11の値が、他の電位差検出部3の検出信号11の値よりも大きい場合に、海底構造物検出装置100がパイプライン1aの右側に位置すると判定する。言い換えると、制御部4は、第1電位差検出部3aの検出信号11の値が、他の電位差検出部3の検出信号11の値よりも大きい場合に、パイプライン1aが海底構造物検出装置100の左側に位置すると判定する。
【0061】
(移動体の移動方向の調整)
次に、
図14および
図15を参照して、移動体10の移動方向を調整する構成について説明する。
【0062】
図14に示すグラフ82は、信号出力部40が出力する移動体10の移動方向を調整する信号のグラフである。グラフ82は、縦軸が信号値であり、横軸が時間のグラフである。グラフ82の値が「1」となっている区間90は、移動体10を右方向に移動させる信号が出力されている区間である。また、グラフ82の値が「0」となっている区間91は、移動体10をそのまま移動させる(移動方向を変更しない)信号が出力されている区間である。また、グラフ82の値が「-1」となっている区間92は、移動体10を左方向に移動させる信号が出力されている区間である。
【0063】
信号出力部40は、パイプライン1aが移動体10の右側(
図11参照)にある場合、移動体10の移動方向を調整する信号として、「1」を出力する。また、信号出力部40は、パイプライン1aが移動体10の直下(
図12参照)にある場合、移動体10の移動方向を調整する信号として、「0」を出力する。信号出力部40は、パイプライン1aが移動体10の左側(
図13参照)にある場合、移動体10の移動方向を調整する信号として、「-1」を出力する。
【0064】
制御部4は、信号出力部40が出力する移動体10の移動方向を調整する信号に基づいて、推進機構6を制御することにより、移動体10の移動方向を調整する。具体的には、制御部4は、信号処理部7から「1」の信号を受信した場合、移動体10を右方向に移動させる制御を行う。また、制御部4は、信号処理部7から「0」の信号を受信した場合、移動体10の移動方向を調整する制御は行わない。また、制御部4は、信号処理部7から「-1」の信号を受信した場合、移動体10を左方向に移動させる制御を行う。
【0065】
図14のグラフ82に示すような移動体10の移動方向を調整する信号が出力された場合、制御部4は、
図15に示すように移動体10の移動方向を調整する。すなわち、制御部4は、
図15に示す矢印57のように、移動体10がパイプライン1aの上方をジグザグ状に移動するように移動方向の調整を行う。
【0066】
(移動方向調整信号出力処理)
次に、
図16を参照して、第1実施形態の海底構造物検出装置100による移動方向調整信号出力処理をフローチャートに基づいて説明する。なお、移動方向調整信号出力処理は、制御部4(信号出力部40)により行われる。
【0067】
ステップ101において、制御部4は、推進機構6を制御することにより、移動体10を移動させる。具体的には、制御部4は、推進機構6を制御することにより、正極2aと負極2bとを有する供給電極対2と、電位差検出部3とが設けられた移動体10を海底14に沿って移動させる。なお、移動体10を移動させるとは、パイプライン1aの検出を行うために、移動体10を移動させ続けることを意味する。
【0068】
次に、ステップ102において、制御部4は、電流源5を制御することにより、供給電極対2に電流を供給する。具体的には、制御部4は、電流源5を制御することにより、正極2aと負極2bとの間に電流を供給する。
【0069】
次に、ステップ103において、電位差検出部3は、供給電極対2間の電位差を検出する。具体的には、電位差検出部3は、正極2aと負極2bとの間の検出領域56の電位差を検出する。
【0070】
次に、ステップ104において、制御部4は、検出された検出信号11のパイプライン1aに起因して生じる変化に基づいてパイプライン1aの位置を判定する制御を行う。
【0071】
次に、ステップ105において、信号出力部40は、移動体10の移動方向を調整する信号を出力し、処理を終了する。
【0072】
(パイプラインの位置判定)
次に、
図17を参照して、第1実施形態の海底構造物検出装置100によるパイプライン位置判定処理をフローチャートに基づいて説明する。なお、パイプライン位置判定処理は、制御部4により行われる。
【0073】
ステップ110において、制御部4は、各電位差検出部3の検出信号11の値に差異があるか否かを判定する。各電位差検出部3の検出信号11の値に差異がない場合、処理は、ステップ111へ進む。各電位差検出部の検出信号11の値に差異がある場合、処理は、ステップ114へ進む。
【0074】
ステップ111において、制御部4は、各電位差検出部3の検出信号11の値が所定の値よりも大きいか否かの判定を行う。各電位差検出部3の検出信号11の値が所定の値よりも大きい場合、処理は、ステップ112へ進む。各電位差検出部3の検出信号11の値が所定の値よりも小さい場合、処理は、ステップ113へ進む。
【0075】
ステップ112において、制御部4は、移動体10の近傍にパイプライン1aがないと判定する。その後、処理は、ステップ105へと進み、パイプライン位置判定処理は終了する。
【0076】
ステップ113において、制御部4は、パイプライン1aが移動体10と直交する方向に位置していると判定する。その後、処理は、ステップ105へと進み、パイプライン位置判定処理は終了する。
【0077】
ステップ114において、制御部4は、第1電位差検出部3aの検出信号11の値が最も大きいか否かの判定を行う。第1電位差検出部3aの検出信号11の値が最も大きい場合、処理は、ステップ115へ進む。第1電位差検出部3aの検出信号11の値よりも大きい値の検出信号11がある場合、処理は、ステップ116へ進む。
【0078】
ステップ115において、制御部4は、パイプライン1aが移動体10の右側に位置していると判定する。その後、処理は、ステップ105へと進み、パイプライン位置判定処理は終了する。
【0079】
ステップ116において、制御部4は、第2電位差検出部3bの検出信号11の値が第3電位差検出部3cの検出信号11の値よりも大きいか否かの判定を行う。第2電位差検出部3bの検出信号11の値が第3電位差検出部3cの検出信号11の値よりも大きい場合、処理は、ステップ117へ進む。第2電位差検出部3bの検出信号11の値が第3電位差検出部3cの検出信号11の値よりも小さい場合、処理は、ステップ118へ進む。
【0080】
ステップ117において、制御部4は、パイプライン1aが移動体10の左側に位置していると判定する。その後、処理は、ステップ105へと進み、パイプライン位置判定処理は終了する。
【0081】
ステップ118において、制御部4は、パイプライン1aが移動体10の直下に位置していると判定する。その後、処理は、ステップ105へと進み、パイプライン位置判定処理は終了する。
【0082】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0083】
第1実施形態では、上記のように、海底構造物検出装置100は、海底14に設けられたパイプライン1a(構造物1)を検出する海底構造物検出装置であって、各々が正極2aと負極2bとを有する複数の供給電極対2と、各々の正極2aと負極2bとの間に配置され、正極2aと負極2bとの間に供給された電流による正極2aと負極2bとの間の検出領域56の電位差を検出する複数の電位差検出部3と、複数の電位差検出部3によって検出された検出信号11のパイプライン1aに起因して生じる変化に基づいてパイプライン1aの位置を判定する制御を行う制御部4とを備える。これにより、供給電極対2に供給された電流の経路がパイプライン1aによって変化した際の電位差の変化を検出することが可能となり、検出信号11の変化に基づいて海底14に設けられたパイプライン1aの位置を判定することができる。その結果、海底14に設けられたパイプライン1aから発せられる磁気に基づいて位置を判定する構成とは異なり、海底14に設けられたパイプライン1aの材質に起因して、海底14に設けられたパイプライン1aから発せられる磁気の大きさが小さい場合でも、パイプライン1aの位置を検出することができる。また、海底14の地中には海水が含まれているので、海水が浸透している海底14の地中には電流が流れる。したがって、パイプライン1aが海底14の砂などに埋まっている場合でも、パイプライン1aによって検出信号11が変化するため、パイプライン1aの位置判定を行うことができる。その結果、カメラなどを用いた目視による検出とは異なり、パイプライン1aが海底14の砂などに埋まっている場合でも、パイプライン1aを検出することができる。
【0084】
また、第1実施形態では、上記のように、少なくとも、供給電極対2と、電位差検出部3とが設けられ、水中を移動可能な移動体10を備え、制御部4は、パイプライン1aの位置の判定結果および検出信号11に基づいて、移動体10の移動方向を調整するための信号を出力する制御を行うように構成されている。これにより、移動方向を調整するための信号に基づいて移動体10の移動方向を容易に調整することができる。その結果、検出可能範囲からパイプライン1aが外れてしまうことを容易に抑制することができる。
【0085】
また、第1実施形態では、上記のように、電位差検出部3は、移動体10において、進行方向(X1方向)に沿う方向(X方向)に互いに離間した位置に配置された検出電極対30を含むとともに、検出電極対30の間の電位差を検出するように構成されており、制御部4は、検出電極対30の間の電位差の変化に基づいて、パイプライン1aの位置を判定する制御を行うように構成されている。これにより、検出電極対30がX方向に互いに離間して配置されることによって、1つの電極によって電位差を検出する構成と比較して、検出電極対30間の電位差を正確に取得することができる。その結果、検出電極対30間の電位差の変化を正確に取得することができる。
【0086】
また、第1実施形態では、上記のように、複数の電位差検出部3は、少なくとも、X方向における移動体10の左右側部15のうち、第1側部15aに設けられた第1電位差検出部3aと、第1側部15aとは異なる第2側部15bに設けられた第2電位差検出部3bとを含み、制御部4は、第1電位差検出部3aによって検出された第1検出信号11aと、第2電位差検出部3bによって検出された第2検出信号11bとに基づいて、移動体10の進行方向(X1方向)に対する左右方向(Y方向)におけるパイプライン1aの位置を判定する制御を行うように構成されている。これにより、第1検出信号11aの大きさと第2検出信号11bの大きさとを比較することにより、移動体10に対するパイプライン1aの位置を判定することができる。その結果、移動体10の底部16に1対の電位差検出部3のみが設けられている構成と比較して、移動体10のY方向におけるパイプライン1aの位置を精度よくできる。
【0087】
また、第1実施形態では、上記のように、供給電極対2は、第1側部15aにおいて、X方向に互いに離間した位置に設けられた第1電極対20aと、第2側部15bにおいて、X方向に互いに離間した位置に設けられた第2電極対20bとを含み、第1電極対20aと、第2電極対20bとは、互いに異なる周波数の電流が供給される。これにより、第1電極対20aおよび第2電極対20bに供給される電流の周波数が異なるため、第1電極対20aおよび第2電極対20bに対して同一のタイミングで電流を供給することができる。その結果、第1電極対20aおよび第2電極対20bに対して同一の周波数の電流を、タイミングをずらして供給する場合と比較して、検出時間を短縮することができる。
【0088】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部4は、検出信号11をフーリエ変換し、第1電極対20aおよび第2電極対20bにそれぞれ供給された電流の周波数ごとに、フーリエ変換された検出信号12を解析することにより、移動体10とパイプライン1aとの位置を判定する制御を行うように構成されている。これにより、第1電極対20aおよび第2電極対20bに対して、周波数の異なる電流が同一のタイミングで供給された場合でも、フーリエ変換された検出信号12をそれぞれの電流の周波数で解析することにより、各検出信号11を個別に解析することができる。その結果、各電位差検出部3における検出結果を精度よく解析することができる。
【0089】
また、第1実施形態では、上記のように、電位差検出部3は、移動体10において、Y方向に沿って検出電極対30が並ぶように設けられた第3電位差検出部3cをさらに含む。これにより、第3電位差検出部3cによって、海底構造物検出装置100がパイプライン1aの直上にある場合の判定精度を向上させることができる。その結果、パイプライン1aの位置の判定精度を向上させることができる。
【0090】
また、第1実施形態では、上記のように、複数の電位差検出部3は、移動体10の側部15または底部16において、移動体10の底部16からの上下方向の距離17がそれぞれ略等しくなる位置に設けられている。これにより、各電位差検出部3から海底14に設けられたパイプライン1aまでの距離18を略等しくすることができる。そのため、電位差検出部3からパイプライン1aまでの距離18が異なることによって、各検出信号11の大きさにばらつきが生じることを抑制することができる。その結果、電位差検出部3からパイプライン1aまでの距離18に依存する影響が生じることを抑制することが可能となり、パイプライン1aの位置の判定精度をより向上させることができる。
【0091】
また、第1実施形態では、上記のように、移動体10は、供給電極対2と、電位差検出部3と、供給電極対2間に電流を供給する電流源5と、制御部4と、移動体10に対して推進力を与える推進機構6とが設けられ、海中を自律走行可能に構成されている。これにより、移動体10を海中で自律走行させながらパイプライン1aの位置の検出を行うことができる。
【0092】
また、第1実施形態では、上記のように、構造物1は、海底14に設けられたパイプライン1aであり、制御部4は、パイプライン1aの位置を判定するように構成されている。これにより、パイプライン1aの位置判定に好適な海底構造物検出装置100を提供することができる。
【0093】
また、第1実施形態では、上記のように、海底構造物検出方法は、海底14に設けられたパイプライン1aを検出する海底構造物検出であって、少なくとも、正極2aと負極2bとを有する供給電極対2と、電位差検出部3とが設けられた移動体10を海底14に沿って移動させ、正極2aと負極2bとの間に電流を供給し、正極2aと負極2bとの間の検出領域56の電位差を検出し、検出された検出信号11のパイプライン1aに起因して生じる変化に基づいてパイプライン1aの位置を判定する制御を行う。これにより、上記海底構造物検出装置100と同様に、海底14に設けられたパイプライン1aの材質に起因して、海底14に設けられたパイプライン1aから発せられる磁気の大きさが小さい場合でも、海底14に設けられたパイプライン1aの位置を検出することが可能な海底構造物検出方法を提供することができる。
【0094】
[第2実施形態]
次に、
図18および
図19を参照して、第2実施形態による海底構造物検出装置100(
図18参照)を備える海底構造物検出システム200の構成について説明する。海底構造物検出装置100(移動体10)が自律走行可能な第1実施形態とは異なり、第2実施形態による海底構造物検出システム200が備える海底構造物検出装置100(移動体10)は、船舶13によって曳航されることにより、海中を移動可能に構成されている。なお、上記第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。
【0095】
海底構造物検出システム200は、海底14に設けられた構造物1(パイプライン1a)を検出する海底構造物検出システムである。
図18に示すように、第2実施形態による海底構造物検出システム200は、電流源5と、検出装置300と、制御装置400と、を備えている。また、移動体10と船舶13とは、ケーブル33によって直接接続されている。
【0096】
電流源5は、検出装置300に設けられた供給電極対2に電流を供給するように構成されている。電流源5は、上記第1実施形態による電流源5と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0097】
ケーブル33は、電流源5および制御装置400と、検出装置300とを接続している。ケーブル33は、電流源5からの電流を検出装置300に供給するように構成されている。また、ケーブル33は、検出装置300と制御装置400との間において、検出信号11などを通信可能に構成されている。ケーブル33は、たとえば、移動体10と船舶13とを直接接続する牽引ケーブル、電流源5からの電流を検出装置300に供給するための電力ケーブル、および、検出装置300と制御装置400との間において通信するための通信ケーブルなどを含む。
【0098】
検出装置300は、各々が正極2aと負極2bとを有する複数の供給電極対2と、各々の正極2aと負極2bとの間に配置され、正極2aと負極2bとの間に供給された電流による正極2aと負極2bとの間の検出領域56の電位差を検出する複数の電位差検出部3とを備える。複数の供給電極対2および複数の電位差検出部3の構成は、上記第1実施形態と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0099】
制御装置400は、制御部4と、信号処理部7と、記憶部8と、接続部32とを備える。制御装置400が備える制御部4、信号処理部7、および、記憶部8は、それぞれ、上記第1実施形態による海底構造物検出装置100が備える制御部4、信号処理部7、および、記憶部8と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0100】
制御装置400は、複数の電位差検出部3によって検出された検出信号11のパイプライン1aに起因して生じる変化に基づいてパイプライン1aの位置を判定する制御を行うように構成されている。制御装置400がパイプライン1aの位置を判定する制御は、上記第1実施形態による制御部4がパイプライン1aの位置を判定する制御と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0101】
接続部32は、ケーブル33が接続されることにより、検出装置300と制御装置400との間において、検出信号11などを通信できるように構成されている。接続部32は、たとえば、通信ケーブルが接続可能なLAN(Local Area Network)ポートなどを含む。
【0102】
電流源5と制御装置400とは、海面を航行する船舶13に設けられている。また、船舶13は、推進機構26を備えている。推進機構26は、船舶13に対して推進力を与えるように構成されている。推進機構26は、プロペラ(図示せず)、プロペラを駆動する駆動源(図示せず)などを含む。また、推進機構26は、制御装置400の制御の下、制御装置400(信号出力部40)から出力される移動体10の移動方向を調整する信号に基づいて、船舶13の移動方向を調整することにより、移動体10の移動方向を調整するように構成されている。
【0103】
図19に示すように、第2実施形態による海底構造物検出システム200は、船舶13によって検出装置300を曳航することにより、海底14に設けられたパイプライン1aを検出するように構成されている。
【0104】
検出装置300は、船舶13によって曳航される。そのため、上記第1実施形態による海底構造物検出装置100とは異なり、検出装置300には、推進機構6を設けなくてよい。また、制御装置400がパイプライン1aの位置の判定を行うため、検出装置300は、制御部4を備えなくてよい。すなわち、検出装置300は、複数の供給電極対2および複数の電位差検出部3を備えていればよい。
【0105】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0106】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0107】
第2実施形態では、上記のように、海底構造物検出システム200は、海底14に設けられた構造物1(パイプライン1a)を検出する海底構造物検出システムであって、各々が正極2aと負極2bとを有する複数の供給電極対2と、各々の正極2aと負極2bとの間に配置され、正極2aと負極2bとの間に供給された電流による正極2aと負極2bとの間の電位差を検出する複数の電位差検出部3とを備える検出装置300と、供給電極対2間に電流を供給する電流源5と、複数の電位差検出部3によって検出された検出信号11のパイプライン1aに起因して生じる変化に基づいてパイプライン1aの位置を判定する制御を行う制御装置400とを備える。これにより、上記第1実施形態における海底構造物検出装置100と同様に、海底14に設けられたパイプライン1aの材質に起因して、海底14に設けられたパイプライン1aから発せられる磁気の大きさが小さい場合でも、海底14に設けられたパイプライン1aの位置を検出することが可能な海底構造物検出システム200を提供することができる。
【0108】
また、第2実施形態では、上記のように、制御装置400は、海面を航行する船舶13に設けられている。これにより、船舶13に設けられた制御装置400において、パイプライン1aの位置判定を行うことが可能となるので、検出装置300の装置構成を簡素化することができる。
【0109】
なお、上記第2実施形態におけるその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0110】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0111】
たとえば、上記第1実施形態では、海底構造物検出装置100が通信部9を備えており、船舶13と無線接続される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図20に示す変形例のように、海底構造物検出装置100は、接続部32を備え、ケーブル33を介して船舶13と有線接続される構成であってもよい。すなわち、
図21に示すように、海底構造物検出装置100(移動体10)と船舶13とが、ケーブル33によって接続されており、船舶13と海底構造物検出装置100とが、有線によって通信するように構成されていてもよい。
図21に示す変形例では、海底構造物検出装置100が自律走行可能に構成されていてもよいし、ケーブル33を介して船舶13に乗船しているユーザが海底構造物検出装置100を操作してもよい。
【0112】
また、上記第1および第2実施形態では、電位差検出部3が、銀/塩化銀電極を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、電位差検出部3は、パラジウム水素電極などを含んでいてもよい。供給電極対2間の電位差を検出することができれば、電位差検出部3は、どのように構成されていてもよい。
【0113】
また、上記第1および第2実施形態では、電位差検出部3が、第1電位差検出部3a、第2電位差検出部3b、および、第3電位差検出部3cを含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、電位差検出部3は、第1電位差検出部3aおよび第2電位差検出部3bを含んでいれば、第3電位差検出部3cを含んでいなくてもよい。しかしながら、第3電位差検出部3cを含まない場合、海底構造物検出装置100の直下にパイプライン1aが位置する場合のパイプライン1aの位置判定精度が低下するため、第3電位差検出部3cを含む構成の方が好ましい。
【0114】
また、上記第1および第2実施形態では、複数の供給電極対2および複数の電位差検出部3が、それぞれ、移動体10の底部16からの距離17が略等しくなる位置に配置される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。複数の電位差検出部3が、それぞれ、移動体10の底部16からの距離17が略等しくなる位置に配置されていれば、複数の供給電極対2は、上下方向において、異なる位置に設けられていてもよい。
【0115】
また、上記第1および第2実施形態では、各電位差検出部3が検出した検出信号11の大きさを比較することにより、パイプライン1aの位置判定を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、各電位差検出部3が検出した検出信号11の継時変化を取得し、前回の検出信号11の値よりも今回検出した検出信号11の値が大きくなっているか否かを判定することにより、パイプライン1aの位置判定を行う構成であってもよい。
【0116】
また、上記第1および第2実施形態では、電流源5が異なる周波数の電流を、同一のタイミングで第1電極対20aおよび第2電極対20bに対して供給する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、電流源5は、同一の周波数の電流を、タイミングを異ならせて第1電極対20aおよび第2電極対20bに対して供給するように構成されていてもよい。
【0117】
また、上記第1および第2実施形態では、信号出力部40が出力する移動体10の移動方向を調整する信号が、「1」、「0」、および、「-1」である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、信号出力部40は、右、左、そのまま(方向を変更しない)の3値信号であって、信号強度によって方向の強さ(パイプライン1aからの近さ)を表す信号を出力するように構成されていてもよい。
【0118】
また、上記第1実施形態では、説明の便宜上、制御部4の制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部4の制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 構造物
1a パイプライン
2 供給電極対
3 電位差検出部
3a 第1電位差検出部
3b 第2電位差検出部
3c 第3電位差検出部
4 制御部
5 電流源
6 推進機構
10 移動体
11 検出信号
11a 第1検出信号
11b 第2検出信号
12 船舶
13 海底
14 側部(左右側部)
14a 第1側部
14b 第2側部
15 底部
16 移動体の底部からの上下方向の距離
20a 第1電極対
20b 第2電極対
30 検出電極対
100 海底構造物検出装置
200 海底構造物検出システム
300 検出装置
400 制御装置