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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】クロマトグラフィ検出器
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/74 20060101AFI20220928BHJP
   G01N 30/62 20060101ALI20220928BHJP
   G01N 21/05 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
G01N30/74 E
G01N30/62 Z
G01N21/05
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019012594
(22)【出願日】2019-01-28
(65)【公開番号】P2020118654
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】重里 優子
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-249622(JP,A)
【文献】特開平09-127086(JP,A)
【文献】米国特許第05407638(US,A)
【文献】登録実用新案第3112391(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/62,30/74,
G01N 21/05,
G01N 35/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフ装置における分離カラムを通過した試料の成分を検出するクロマトグラフィ検出器であって、
試料および溶液が流れる流路を有し、前記流路から試料および溶液を排出する排出用配管を含むフローセルと、
前記フローセルの前記排出用配管と前記フローセルの外部の外部配管とを接続する接続部材と、
貫通孔を有する壁部材と、
前記接続部材を前記壁部材に固定する固定部材と、
前記固定部材の下方に設けられるトレーとを備え、
前記固定部材は、
前記接続部材を保持する保持部と、
前記壁部材の前記貫通孔に挿通される取付部と、
前記接続部材から溶液が漏れた場合に、漏れた溶液を前記トレーに導くように形成された液案内部とを含み、
前記液案内部は、前記トレーに向かって延びるように形成され、
前記固定部材は、上下方向に延びる基部をさらに含み、
前記保持部は、前記基部から前記上下方向に交差する一方向に延びるように形成され、
前記取付部は、前記基部から前記一方向とは反対方向に延びるように形成され、
前記液案内部は、前記基部から前記トレーに向かって延びるように形成される、クロマトグラフィ検出器。
【請求項2】
クロマトグラフ装置における分離カラムを通過した試料の成分を検出するクロマトグラフィ検出器であって、
試料および溶液が流れる流路を有し、前記流路から試料および溶液を排出する排出用配管を含むフローセルと、
前記フローセルの前記排出用配管と前記フローセルの外部の外部配管とを接続する接続部材と、
貫通孔を有する壁部材と、
前記接続部材を前記壁部材に固定する固定部材と、
前記固定部材の下方に設けられるトレーとを備え、
前記固定部材は、
前記接続部材を保持する保持部と、
前記壁部材の前記貫通孔に挿通される取付部と、
前記接続部材から溶液が漏れた場合に、漏れた溶液を前記トレーに導くように形成された液案内部とを含み、
前記液案内部は、前記トレーに向かって延びるように形成され、
前記保持部は、上保持部と、前記上保持部の下方に設けられた下保持部とを含み、
前記接続部材は、前記上保持部および前記下保持部により狭持され、
前記液案内部は、前記下保持部から前記トレーに向かって延びるように形成される、クロマトグラフィ検出器。
【請求項3】
前記フローセルの前記流路を流れる試料に光を出射する投光部と、
前記投光部により出射されかつ試料を透過した光を受光し、受光量を示す信号を出力する受光部と、
ケーシングとをさらに備え、
前記壁部材は、前記ケーシング内の領域を第1の領域と第2の領域とに区画し、
前記投光部および前記受光部は、前記ケーシング内の前記第1の領域に配置され、
前記接続部材および前記トレーは、前記ケーシング内の前記第2の領域に配置される、請求項1または2記載のクロマトグラフィ検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフィ検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフ装置においては、分析対象の試料が溶液とともに分離カラムに導入される。試料は、分離カラムを通過することにより成分ごとに分離され、溶液とともにクロマトグラフィ検出器(以下、単に検出器と呼ぶ。)のフローセルに導入される。フローセルに導入された試料が光学的に検出されることによりクロマトグラムが生成される。フローセルを通過した試料は、フローセルの排出用配管に接続された外部配管を通して溶液とともに検出器の外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-309243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フローセルの排出用配管と外部配管とは、接続部材により接続される。ここで、接続部材による排出用配管と外部配管との接続が不十分である場合、接続部材における接続部分から液漏れが発生する。通常、検出器には液漏れを検出する液漏れ検出装置が設けられるが(例えば特許文献1参照)、液漏れ自体は防止されない。したがって、液漏れが発生すると、検出器の光学系等の他の部材に溶液が付着することにより、当該部材が劣化する可能性がある。
【0005】
特に、接続部材は、検出器に設けられた壁部材の貫通孔に固定されることがある。この場合、漏れた溶液は壁部材の貫通孔を通って広範囲に拡散するので、上記の問題はより顕著になる。
【0006】
本発明の目的は、液漏れによる劣化を防止することが可能なクロマトグラフィ検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に従う態様は、クロマトグラフ装置における分離カラムを通過した試料の成分を検出するクロマトグラフィ検出器であって、試料および溶液が流れる流路を有し、前記流路から試料および溶液を排出する排出用配管を含むフローセルと、前記フローセルの前記排出用配管と前記フローセルの外部の外部配管とを接続する接続部材と、貫通孔を有する壁部材と、前記接続部材を前記壁部材に固定する固定部材と、前記固定部材の下方に設けられるトレーとを備え、前記固定部材は、前記接続部材を保持する保持部と、前記壁部材の前記貫通孔に挿通される取付部と、前記接続部材から溶液が漏れた場合に、漏れた溶液を前記トレーに導くように形成された液案内部とを含み、前記液案内部は、前記トレーに向かって延びるように形成され、前記固定部材は、上下方向に延びる基部をさらに含み、前記保持部は、前記基部から前記上下方向に交差する一方向に延びるように形成され、前記取付部は、前記基部から前記一方向とは反対方向に延びるように形成され、前記液案内部は、前記基部から前記トレーに向かって延びるように形成される、クロマトグラフィ検出器に関する。
本発明の他局面に従う態様は、クロマトグラフ装置における分離カラムを通過した試料の成分を検出するクロマトグラフィ検出器であって、試料および溶液が流れる流路を有し、前記流路から試料および溶液を排出する排出用配管を含むフローセルと、前記フローセルの前記排出用配管と前記フローセルの外部の外部配管とを接続する接続部材と、貫通孔を有する壁部材と、前記接続部材を前記壁部材に固定する固定部材と、前記固定部材の下方に設けられるトレーとを備え、前記固定部材は、前記接続部材を保持する保持部と、前記壁部材の前記貫通孔に挿通される取付部と、前記接続部材から溶液が漏れた場合に、漏れた溶液を前記トレーに導くように形成された液案内部とを含み、前記液案内部は、前記トレーに向かって延びるように形成され、前記保持部は、上保持部と、前記上保持部の下方に設けられた下保持部とを含み、前記接続部材は、前記上保持部および前記下保持部により狭持され、前記液案内部は、前記下保持部から前記トレーに向かって延びるように形成される、クロマトグラフィ検出器に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液漏れによるクロマトグラフィ検出器の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係るクロマトグラフィ検出器を備えるクロマトグラフ装置の構成を示す図である。
図2図1のクロマトグラフィ検出器の構造を示す模式図である。
図3図2の固定部材を示す側面図である。
図4】壁部材に取り付けられた状態の固定部材を示す斜視図である。
図5】第1の変形例における固定部材を示す側面図である。
図6】第2の変形例における固定部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)クロマトグラフ装置の構成
以下、本発明の実施の形態に係るクロマトグラフィ検出器について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るクロマトグラフィ検出器を備えるクロマトグラフ装置の構成を示す図である。図1に示すように、クロマトグラフ装置200は、クロマトグラフィ検出器100、溶液供給部110、試料供給部120、分離カラム130および処理部140を備える。
【0011】
溶液供給部110は、例えば薬液ボトル、送液ポンプ、脱気装置およびグラジエントミキサを含み、水溶液、有機溶媒またはこれらの混合液等の溶液を移動相として供給する。試料供給部120は、例えばインジェクタであり、分析対象の試料を溶液供給部110により供給された溶液とともに分離カラム130に導入する。分離カラム130は、図示しないカラム恒温槽の内部に収容され、所定の一定温度に調整される。分離カラム130は、導入された試料を化学的性質または組成の違いにより成分ごとに分離する。
【0012】
クロマトグラフィ検出器100は、分離カラム130により分離された試料の成分を検出する。クロマトグラフィ検出器100の詳細な構成は後述するが、クロマトグラフィ検出器100は、主としてフローセル20、投光部30、受光部40および接続部材50を含む。フローセル20は、本体部21、導入用配管22および排出用配管23を含む。本体部21の内部には、流路24が形成される。排出用配管23は、接続部材50によりフローセル20の外部装置の配管(以下、外部配管と呼ぶ。)150と接続される。
【0013】
分離カラム130を通過した試料および溶液は、導入用配管22から本体部21の流路24に導入される。その後、試料および溶液は、流路24を一方向に流れる。その後、試料および溶液は、排出用配管23および外部配管150を通して流路24から図示しない外部装置に排出される。
【0014】
投光部30は、重水素ランプ等の光源を含み、フローセル20の流路24を流れる試料に光を照射する。試料に照射された光は、試料と相互作用した後、試料を透過する。受光部40は、例えばフォトダイオードを含み、試料を透過した光を受光し、受光量を示す信号を処理部140に出力する。処理部140は、クロマトグラフィ検出器100による検出結果を処理することにより、各成分の保持時間と検出強度との関係を示すクロマトグラムを生成する。
【0015】
(2)クロマトグラフィ検出器
図2は、図1のクロマトグラフィ検出器100の構造を示す模式図である。図2に示すように、クロマトグラフィ検出器100は、ケーシング10、フローセル20、投光部30、受光部40、接続部材50、固定部材60およびトレー70を含む。ケーシング10は、壁部材11を含み、フローセル20、投光部30、受光部40、接続部材50、固定部材60およびトレー70を収容する。
【0016】
壁部材11は、貫通孔12を有し、ケーシング10内の領域を第1の領域1と第2の領域2とに区画する。これにより、第1の領域1と第2の領域2とが一方向に沿って並ぶ。以下の説明では、第1の領域1が位置する方向を後方と呼び、第2の領域2が位置する方向を前方と呼ぶ。また、重力が向く方向を下方と呼び、その反対方向を上方と呼ぶ。投光部30および受光部40は、第1の領域1に配置される。接続部材50およびトレー70は、ケーシング10内の第2の領域2に配置される。
【0017】
フローセル20の本体部21は、流路24を含む部分が第1の領域1に位置し、他の部分が第2の領域2に位置する状態で、壁部材11に取り付けられる。第1の領域1において、投光部30はフローセル20の流路24を流れる試料に光を照射し、受光部40は試料を透過した光を受光する。フローセル20の導入用配管22は、第2の領域2に引き出され、図1の分離カラム130に接続される。フローセル20の排出用配管23は、第2の領域2に引き出され、接続部材50により外部配管150に接続される。
【0018】
接続部材50は、ナット等の図示しない固定器具を含む。使用者は、固定器具を締め付けることにより、排出用配管23と外部配管150とを接続することができる。固定部材60は、第2の領域2において、接続部材50を保持した状態で、壁部材11に取り付けられる。これにより、接続部材50が壁部材11に固定される。固定部材60は、耐食性が高い部材により形成されることが好ましい。本実施の形態においては、固定部材60は樹脂部材により形成される。固定部材60の詳細については後述する。
【0019】
使用者が接続部材50の固定器具の十分に締め付けていない場合には、接続部材50による排出用配管23と外部配管150との接続が不十分となり、接続部材50における接続部分から液漏れが発生する。そこで、トレー70が接続部材50を保持する固定部材60の下方に設けられる。トレー70は、接続部材50における接続部分から液漏れが発生した場合、漏れた溶液を受け止めて貯留する。
【0020】
なお、ケーシング10の前方には図示しない蓋体部が設けられる。蓋体部が取り外されることにより、使用者がアクセス可能とするためケーシング10の前方から第2の領域2が露出する。使用者は、ケーシング10の前方から接続部材50の固定器具の締め付け、またはトレー70の交換もしくは清掃等の保守を行うことができる。
【0021】
(3)固定部材
図3は、図2の固定部材60を示す側面図である。図4は、壁部材11に取り付けられた状態の固定部材60を示す斜視図である。図3および図4に示すように、固定部材60は、基部61、保持部62、当接部63、取付部64および液案内部65を含む。なお、固定部材60の一部には肉抜き加工が施されている。図3においては、固定部材60の肉抜きされた部分の視認を容易にするために、固定部材60にドットパターンが付されている。
【0022】
基部61は、上下方向に延びる。図3においては、基部61と固定部材60の他の部分との境界が点線で図示されている。保持部62は、接続部材50を保持するように構成され、本実施の形態においては上保持部62aと下保持部62bとを含む。上保持部62aは、基部61の上端部から前方に延びるように形成される。下保持部62bは、基部61の下端部から前方に延びるように形成される。接続部材50は上保持部62aおよび下保持部62bにより狭持される。
【0023】
当接部63は、上下方向における基部61の略中央部から前方に突出するように形成される。当接部63の先端の端面は接続部材50の外周面と略同一の形状を有し、当接部63の先端は上保持部62aと下保持部62bとの間で接続部材50の外周面に当接する。この場合、固定部材60は、接続部材50をより安定的に保持することが可能となる。
【0024】
取付部64は、基部61から後方に延びるように形成される。取付部64の後端部は、壁部材11の貫通孔12に挿通される。これにより、固定部材60が壁部材11に取り付けられる。なお、固定部材60を壁部材11に掛止可能である限り、取付部64および貫通孔12はどのような形状を有してもよい。
【0025】
本実施の形態においては、液案内部65は、基部61からトレー70に向かって延びるように形成される。この構成によれば、接続部材50から溶液が漏れた場合、漏れた溶液が、下保持部62bを伝って貫通孔12に導かれることなく、液案内部65により固定部材60の下方のトレー70に導かれる。
【0026】
図3および図4の例では、液案内部65は基部61に形成されるが、実施の形態はこれに限定されない。図5は、第1の変形例における固定部材60を示す側面図である。図5に示すように、液案内部65は、下保持部62bからトレー70に向かって延びるように形成されてもよい。
【0027】
図3および図4の例では、液案内部65は斜め下方に延びるように形成されるが、実施の形態はこれに限定されない。図6は、第2の変形例における固定部材60を示す側面図である。図6に示すように、液案内部65は、基部61から真下に延びるように形成されてもよい。あるいは、液案内部65は、下保持部62bから真下に延びるように形成されてもよい。
【0028】
(4)効果
本実施の形態に係るクロマトグラフィ検出器100においては、フローセル20の排出用配管23とフローセル20の外部の外部配管150とが接続部材50により接続される。また、排出用配管23を通してフローセル20の流路24から試料および溶液が排出される。接続部材50は固定部材60の保持部62により保持される。この状態で、固定部材60の取付部64が壁部材11の貫通孔12に挿通されることにより、接続部材50が壁部材11に固定される。固定部材60の下方にトレー70が設けられる。
【0029】
この構成において、接続部材50による排出用配管23と外部配管150との接続が不十分である場合には、接続部材50における接続部分から液漏れが発生する。このような場合でも、接続部材50から漏れた溶液は、固定部材60の液案内部65によりトレー70に導かれる。そのため、漏れた溶液が壁部材11の貫通孔12を通って広範囲に拡散することが防止され、漏れた溶液をトレー70に回収することが可能となる。したがって、溶液が他の部材に付着することがない。これにより、液漏れによるクロマトグラフィ検出器100の劣化を防止することができる。
【0030】
特に、本実施の形態においては、投光部30および受光部40が配置される第1の領域1と、接続部材50およびトレー70が配置される第2の領域2とが壁部材11により隔てられる。ここで、接続部材50から漏れた溶液が壁部材11の貫通孔12を通って拡散することが防止されるので、溶液が投光部30または受光部40に付着することがない。これにより、液漏れによる投光部30または受光部40の劣化を容易に防止することができる。
【0031】
(5)他の実施の形態
上記実施の形態において、壁部材11は、ケーシング10内の領域を第1の領域1と第2の領域2とに区画する隔壁であるが、実施の形態はこれに限定されない。壁部材11は、ケーシング10を構成する側壁のいずれかであってもよい。この場合でも、接続部材50から漏れた溶液が壁部材11の貫通孔12を通って拡散することが防止されるので、溶液がケーシング10の外部の部材に付着することがない。これにより、液漏れによるケーシング10の外部の部材の劣化を防止することができる。
【0032】
(6)態様
(第1項)一態様に係るクロマトグラフィ検出器は、
クロマトグラフ装置における分離カラムを通過した試料の成分を検出するクロマトグラフィ検出器であって、
試料および溶液が流れる流路を有し、前記流路から試料および溶液を排出する排出用配管を含むフローセルと、
前記フローセルの前記排出用配管と前記フローセルの外部の外部配管とを接続する接続部材と、
貫通孔を有する壁部材と、
前記接続部材を前記壁部材に固定する固定部材と、
前記固定部材の下方に設けられるトレーとを備え、
前記固定部材は、
前記接続部材を保持する保持部と、
前記壁部材の前記貫通孔に挿通される取付部と、
前記接続部材から溶液が漏れた場合に、漏れた溶液を前記トレーに導くように形成された液案内部とを含んでもよい。
【0033】
このクロマトグラフィ検出器においては、フローセルの排出用配管とフローセルの外部の外部配管とが接続部材により接続され、排出用配管を通してフローセルの流路から試料および溶液が排出される。接続部材は固定部材の保持部により保持される。この状態で、固定部材の取付部が壁部材の貫通孔に挿通されることにより、接続部材が壁部材に固定される。固定部材の下方にトレーが設けられる。
【0034】
この構成において、接続部材による排出用配管と外部配管との接続が不十分である場合には、接続部材における接続部分から液漏れが発生する。このような場合でも、接続部材から漏れた溶液は、固定部材の液案内部によりトレーに導かれる。そのため、漏れた溶液が壁部材の貫通孔を通って広範囲に拡散することが防止され、漏れた溶液をトレーに回収することが可能となる。したがって、溶液が他の部材に付着することがない。これにより、液漏れによるクロマトグラフィ検出器の劣化を防止することができる。
【0035】
(第2項)第1項に記載のクロマトグラフィ検出器において、
クロマトグラフィ検出器は、
前記フローセルの前記流路を流れる試料に光を出射する投光部と、
前記投光部により出射されかつ試料を透過した光を受光し、受光量を示す信号を出力する受光部と、
ケーシングとをさらに備え、
前記壁部材は、前記ケーシング内の領域を第1の領域と第2の領域とに区画し、
前記投光部および前記受光部は、前記ケーシング内の前記第1の領域に配置され、
前記接続部材および前記トレーは、前記ケーシング内の前記第2の領域に配置されてもよい。
【0036】
この場合、投光部および受光部が配置される第1の領域と、接続部材およびトレーが配置される第2の領域とが壁部材により隔てられる。ここで、接続部材から漏れた溶液が壁部材の貫通孔を通って拡散することが防止されるので、溶液が投光部または受光部に付着することがない。これにより、液漏れによる投光部または受光部の劣化を容易に防止することができる。
【0037】
(第3項)第1または第2項に記載のクロマトグラフィ検出器において、
前記液案内部は、前記トレーに向かって延びるように形成されてもよい。
【0038】
この場合、接続部材から漏れた溶液を容易にトレーに導くことができる。
【0039】
(第4項)第3項に記載のクロマトグラフィ検出器において、
前記固定部材は、上下方向に延びる基部をさらに含み、
前記保持部は、前記基部から前記上下方向に交差する一方向に延びるように形成され、
前記取付部は、前記基部から前記一方向とは反対方向に延びるように形成され、
前記液案内部は、前記基部から前記トレーに向かって延びるように形成されてもよい。
【0040】
この場合、固定部材の形状を複雑化することなく、接続部材から漏れた溶液を容易にトレーに導くことができる。
【0041】
(第5項)第3項に記載のクロマトグラフィ検出器において、
前記保持部は、上保持部と、前記上保持部の下方に設けられた下保持部とを含み、
前記接続部材は、前記上保持部および前記下保持部により狭持され、
前記液案内部は、前記下保持部から前記トレーに向かって延びるように形成されてもよい。
【0042】
この場合、固定部材の形状を複雑化することなく、接続部材から漏れた溶液を容易にトレーに導くことができる。
【符号の説明】
【0043】
1…第1の領域,2…第2の領域,10…ケーシング,11…壁部材,12…貫通孔,20…フローセル,21…本体部,22…導入用配管,23…排出用配管,24…流路,30…投光部,40…受光部,50…接続部材,60…固定部材,61…基部,62…保持部,62a…上保持部,62b…下保持部,63…当接部,64…取付部,65…液案内部,70…トレー,100…クロマトグラフィ検出器,110…溶液供給部,120…試料供給部,130…分離カラム,140…処理部,150…外部配管,200…クロマトグラフ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6