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特許7147658未就学児童用計測プローブおよび未就学児童用脳機能計測装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】未就学児童用計測プローブおよび未就学児童用脳機能計測装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20220928BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
A61B10/00 E
A61B5/1455
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019062366
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020156973
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】堀 彩夏
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-045281(JP,A)
【文献】特開2015-033561(JP,A)
【文献】特開2009-240454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
A61B 5/1455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の頭部に接触した状態で配置される脳機能測定用の未就学児童用計測プローブであって、
前記被検体である未就学児童の頭部に光を照射するファイバと、
前記ファイバの先端部の外周面を覆うように前記ファイバに設けられ、ゴムを除く金属または樹脂で形成された保持部とを備え、
前記保持部の外周面には、前記保持部を前記被検体の頭部に付勢する付勢部材と、前記付勢部材の移動を規制するためのストッパと、を備え、
前記被検体の頭部と接触する前記ファイバの先端部の先端面が平坦であり、
前記保持部の前記被検体の頭部に接触する先端面の角部は、面取りされている、未就学児童用計測プローブ。
【請求項2】
前記保持部の前記被検体の頭部に接触する先端面の角部は、R面取りされている、請求項1に記載の未就学児童用計測プローブ。
【請求項3】
前記保持部は、金属により形成されているとともに、金属により形成されている前記保持部の先端面の角部がR面取りされている、請求項2に記載の未就学児童用計測プローブ。
【請求項4】
記保持部の外周面には、前記ストッパを固定するための凹部が設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の未就学児童用計測プローブ。
【請求項5】
前記ファイバはL字形状に屈曲されており、
前記先端面の角部が面取りされている前記保持部は、前記ファイバの前記L字形状の屈曲部を覆うとともに、前記ファイバの先端まで延びるように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の未就学児童用計測プローブ。
【請求項6】
装置本体部と、
前記装置本体部に電気的に接続された複数の未就学児童用計測プローブと、
前記複数の未就学児童用計測プローブが取り付けられ、前記複数の未就学児童用計測プローブが被検体である未就学児童の頭部に接続した状態を保持するホルダと、を備え、
前記未就学児童用計測プローブは、
前記被検体である未就学児童の頭部に光を照射するファイバと、
前記ファイバの先端部の外周面を覆うように前記ファイバに設けられ、ゴムを除く金属または樹脂で形成された保持部とを含み、
前記保持部の外周面には、前記保持部を前記被検体の頭部に付勢する付勢部材と、前記付勢部材の移動を規制するためのストッパと、を備え、
前記被検体の頭部と接触する前記ファイバの先端部の先端面が平坦であり、
前記保持部の前記被検体の頭部に接触する先端面の角部は、面取りされている、未就学児童用脳機能計測装置。
【請求項7】
前記未就学児童用計測プローブと前記装置本体部との間に設けられ、前記複数の未就学児童用計測プローブと前記装置本体部とが接続されるとともに、前記装置本体部と前記未就学児童用計測プローブとの間で所定の信号を送受信可能に構成されたプローブ中継端子部をさらに備える、請求項6に記載の未就学児童用脳機能計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未就学児童用計測プローブおよび未就学児童用脳機能計測装置に関し、特に、脳機能計測時に、未就学児童の頭部に接触した状態で配置される未就学児童用計測プローブおよび未就学児童用脳機能計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脳機能計測時において、被検体の頭部に複数の計測プローブを配置する構成が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、被検体の頭部に装着されるホルダと、ホルダに装着される複数のプローブとを備えた生体光計測装置が開示されている。特許文献1の生体光計測装置は、プローブの光ファイバの先端部にゴムパッドを装着したことにより、被検体の頭皮に対する圧力を分散して、装着時の被検体の痛みを軽減している。なお、特許文献1には明記されていないが、生体光計測装置により、被検体の脳機能を精度よく計測するためには、所定数以上(比較的多く)のプローブが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-307318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、生体光計測装置を頭部の小さい未就学児童に使用する場合に、計測制度を維持するためにプローブの数を減らすことなく、頭部の大きさに合わせてホルダを小さくする必要がある。しかしながら、ホルダを小さくするとプローブ間のスペースが小さくなり、プローブにゴムパッドを装着することができない。そのため、装着時に痛みを伴う場合があるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ゴムパッドを設けなくとも、装着時の痛みを軽減することが可能な、未就学児童用計測プローブおよび未就学児童用脳機能計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における未就学児童用計測プローブは、未就学児童の頭部に接触した状態で配置される脳機能測定用の未就学児童用計測プローブであって、被検体である未就学児童の頭部に光を照射するファイバと、ファイバの先端部の外周面を覆うようにファイバに設けられ、ゴムを除く金属または樹脂で形成された保持部とを備え、保持部の外周面には、保持部を被検体の頭部に付勢する付勢部材と、付勢部材の移動を規制するためのストッパと、を備え、被検体の頭部と接触するファイバの先端部の先端面が平坦であり、保持部の被検体の頭部に接触する先端面の角部は、面取りされている。
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第2の局面における未就学児童用脳機能計測装置は、装置本体部と、装置本体部に電気的に接続された複数の未就学児童用計測プローブと、複数の未就学児童用計測プローブが取り付けられ、複数の未就学児童用計測プローブが被検体である未就学児童の頭部に接続した状態を保持するホルダと、を備え、未就学児童用計測プローブは、被検体である未就学児童の頭部に光を照射するファイバと、ファイバの先端部の外周面を覆うようにファイバに設けられた、ゴムを除く金属または樹脂で形成された保持部とを含み、保持部の外周面には、保持部を被検体の頭部に付勢する付勢部材と、付勢部材の移動を規制するためのストッパと、を備え、被検体の頭部と接触する前記ファイバの先端部の先端面が平坦であり、保持部の被検体の頭部に接触する先端面の角部は、面取りされている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記のように、被検体である未就学児童の頭部に光を照射するファイバと、ファイバの先端部の外周面を覆うようにファイバに設けられ、ゴムを除く金属または樹脂で形成された保持部を備えた、未就学児童の頭部に接触した状態で配置される脳機能測定用の未就学児童用計測プローブであって、保持部の被検体の頭部に接触する先端面の角部は、面取りされている。これにより、ゴムを除く金属または樹脂で形成され、ファイバの先端部の外周面を覆う保持部の被検体の頭部に接触する先端面の角部が面取りされていることにより、頭部にかかる圧力が軽減されるため、ゴムパッドを設けなくとも、装着時の痛みを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態による未就学児童用脳機能計測装置を示した模式的な斜視図である。
図2】一実施形態による未就学児童用脳機能計測装置の構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態による未就学児童用脳機能計測装置の装着状態を示した図である。
図4】一実施形態による未就学児童用計測プローブの模式的な断面図である。
図5】一実施形態によるアダプタにキャップを取り付ける様子を示した図である。
図6】一実施形態による未就学児童用プローブをホルダに取り付けた様子を示す図である。
図7】一実施形態による複数の未就学児童用プローブをホルダに取り付けた様子を示す図である。
図8】一実施形態による未就学児童用プローブの付勢部材の動きを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(未就学児童用脳機能計測装置200の全体構成)
まず、図1を参照して、実施形態による未就学児童用計測プローブ100を備えた未就学児童用脳機能計測装置200について説明する。なお、未就学児童Sとは、小学校に入学前の0歳から6歳の子供である。また、未就学児童Sは、特許請求の範囲に記載した「被検体」の一例である。
【0013】
未就学児童用脳機能計測装置200は、複数の未就学児童用計測プローブ100と、ホルダ20と、装置本体部6とを備えている。
【0014】
図2に示すように、装置本体部6は、光出力部201と、光検出部202と、計測制御部203と、本体制御部204と、主記憶部205と、測定結果を表示する表示部206および操作入力部207とを含んでいる。
【0015】
光出力部201は、未就学児童用計測プローブ100に光を出力するように構成されている。光出力部201は、たとえば、半導体レーザーを光源として有している。光検出部202は、未就学児童用計測プローブ100に入射した光を検出するように構成されている。光検出部202は、たとえば、光電子増倍管を検出器として有している。
【0016】
計測制御部203は、光出力部201および光検出部202の動作制御を行うように構成されている。本体制御部204は、各種プログラムを実行して未就学児童用脳機能計測装置200全体の計測動作制御を実行するように構成されている。主記憶部205は、本体制御部204が実行する各種プログラムや、計測の結果得られた計測データを記憶するように構成されている。
【0017】
(未就学児童用計測プローブの詳細な構成)
図3に示すように、複数の未就学児童用計測プローブ100は、ホルダ20により、各々の先端が被検体である未就学児童Sの頭部に接触した状態で配置される。
【0018】
未就学児童用計測プローブ100は、複数の送光用プローブ100aと、複数の受光用プローブ100bとを含んでいる。
【0019】
送光用プローブ100aは、未就学児童Sの頭部に光を照射するように構成されている。受光用プローブ100bは、未就学児童Sの頭部を透過して、未就学児童Sの体内で反射した光を受光するように構成されている。なお、送光用プローブ100aおよび受光用プローブ100bは、互いに用途は異なるが、同一の構造を有している。なお、一例ではあるが、送光用プローブ100aおよび受光用プローブ100bは、互いに同種のプローブが隣接して配置されることがないように、交互に配置されている。
【0020】
送光用プローブ100aは、未就学児童Sの頭部表面に接触状態で配置されており、近赤外光の波長領域の光を未就学児童Sの頭部に照射するように構成されている。受光用プローブ100bは、未就学児童Sの頭部表面に接触状態で配置されており、未就学児童Sの体内で反射した光を入射させて検出するように構成されている。これにより、未就学児童用脳機能計測装置200は、光の強度を取得するように構成されている。
【0021】
未就学児童用脳機能計測装置200は、近赤外光の波長領域の光を未就学児童Sの頭部表面上に配置した送光用プローブ100aから照射する。そして、被検体内で反射した計測光を頭部表面上に配置した受光用プローブ100bに入射させて検出することにより、光の強度(受光量)を取得する。
【0022】
未就学児童用脳機能計測装置200は、脳機能の測定に用いられる。脳機能の測定の一例は、近赤色光を未就学児童Sに照射し、反射した近赤色光を検出して行われる。これは、近赤色光が血管内を流れる血液に含まれるヘモグロビンに吸収される性質を利用した測定法である。ヘモグロビンは、脳が活発に機能しているときに、必要となる酸素を供給するために量が多くなる。そのため、脳活動を反映して、脳内のヘモグロビン量が活性化部位で増大すると、ヘモグロビンによる計測光の吸収量が増大する。このため、取得した近赤色光の強度に基づいて脳活動に伴うヘモグロビン量の変化を取得することが可能である。
【0023】
未就学児童用脳機能計測装置200は、複数の送光用プローブ100aおよび複数の受光用プローブ100bを用いて広い脳領域を複数点(計測チャンネル)で計測することにより、脳のどの領域がどのように活動しているかの2次元分布を取得することが可能となっている。
【0024】
ホルダ20は、頭部形状に合わせた曲面形状を有している。ホルダ20には、頭部の表面形状に沿って、等間隔で行列状に配列された多数のアダプタ21が設けられている。アダプタ21は、円筒形状を有しており、未就学児童用計測プローブ100(ファイバ1)が内側に挿通されている。なお、図3に示したホルダ20は、頭部全体に未就学児童用計測プローブ100を配置可能な全頭用タイプであり、頭部の脳機能計測領域全体をカバーするヘルメット形状に形成されている。アダプタ21は、未就学児童用計測プローブ100の形状に合わせた円孔となっている。ホルダ20には、それぞれのアダプタ21に1つずつ未就学児童用計測プローブ100を取り付けて固定することが可能となっている。
【0025】
使用者は、計測したい頭部の各部位(前額部、頭頂部、側頭部、頭部全体など)に応じてアダプタ21への未就学児童用計測プローブ100の配置を決定して、未就学児童用計測プローブ100をホルダ20に取り付ける。未就学児童用計測プローブ100の取り付けに際して、送光用プローブ100aと受光用プローブ100bとは、行および列の各方向に交互に並ぶようにして各アダプタ21に配置される。これにより、隣接する送光用プローブ100aと受光用プローブ100bとの間に計測チャンネル(計測点)が形成される。
【0026】
ホルダ20は、固定用のベルト(顎ひも)などを用いて未就学児童Sの頭部に固定されるように構成されている。そのため、使用状態(装着状態)では、各未就学児童用計測プローブ100には、接触状態の維持や位置ずれの防止のための接触圧力が頭部表面側に向けて作用する。アダプタ21の間隔(円の中心間の距離)は、たとえば、25mm、20mmなどのように、大人用のホルダ20よりも小さく設定される。
【0027】
図4に示すように、未就学児童用計測プローブ100は、ファイバ1と、ファイバ1の外周面1aを覆う保持部2とを含んでいる。
【0028】
未就学児童用計測プローブ100は、ファイバ1から未就学児童Sである未就学児童Sの頭部に光を照射するように構成されている。ファイバ1は、たとえば、ガラス、または、プラスチックで形成された光ファイバである。ファイバ1は、屈曲部1bを有しており、L字状に屈曲している。ファイバ1の未就学児童Sの頭部と接触する先端部の先端面は、装着時に未就学児童Sに痛みが伴わないために平坦に形成されている。
【0029】
保持部2は、ファイバ1の先端部の外周面1aを覆うように取り付けられている。未就学児童用計測プローブ100は、ホルダ20に取り付けて使用するため、ゴムによってファイバ1の先端部の外周面1aを覆うとゴムが外れる可能性がある。そのため、保持部2は、ファイバ1の強度を補強しつつ、面取り加工が可能なゴムを除く金属または樹脂で形成されている。
【0030】
保持部2は、ファイバ1のL字状の屈曲部1bを覆うとともに、ファイバ1の先端まで延びるように構成されている。保持部2は、ファイバ1から照射される光を遮らないように構成されている。具体的には、保持部2は、ファイバ1の未就学児童Sの頭部に接触する先端面を覆わずに、ファイバ1の半径方向外側の環状の外周面を覆うように構成されている。
【0031】
ファイバ1は、未就学児童Sの頭部に直接接触して、ファイバ1を破損させることがないように、および、未就学児童Sに怪我をさせることがないように、保持部2から突出しないように構成されている。
【0032】
保持部2の未就学児童Sの頭部に接触する先端部2aの角部22は、面取りされている。面取りは、たとえば、R面取りである。
【0033】
R面取りの大きさは、ファイバ1のコアに影響が出ないように設定される。たとえば、R面取りの大きさは、ファイバ1が1mm、未就学児童用計測プローブ100の直径が4mmの場合、0.3mm以上1.5mm以下に設定される。保持部2は、R面取りされることにより、緩衝用のパッドを設けなくとも未就学児童Sが受ける未就学児童用計測プローブ100による頭部に対する圧力を軽減することができる。
【0034】
図4に示すように、未就学児童用計測プローブ100は、外周面2bに付勢部材3とストッパ4とが取り付けられている。付勢部材3は、保持部2の外周面2bに配置される。付勢部材3は、たとえば、コイルバネである。付勢部材3は、ストッパ4に接触している。ストッパ4は、保持部2の外周に設けられた凹部2cに固定されている。
【0035】
未就学児童用計測プローブ100は、外周面2bにキャップ5が取り付けられる。キャップ5は、未就学児童用計測プローブ100をホルダ20のアダプタ21に取り付けて固定する際に使用される。
【0036】
図5は、アダプタ21にストッパ4とキャップ5とを取り付ける様子を説明するための図であり、付勢部材3と未就学児童用計測プローブ100は省略している。また、図5に示す、アダプタ21、ストッパ4およびキャップ5は、図示されていない部分と図示されている部分とは対称形状である。
【0037】
アダプタ21は、外周面2bの2か所に第1爪部21aを有している。第1爪部21aは、X方向、またはZ方向のいずれか1方向のみに設けられる。アダプタ21は、内部に載置面21bを有している。
【0038】
ストッパ4は、全体として円筒形状を有している。ストッパ4は、未就学児童用計測プローブ100(ファイバ1)が内側に挿通されている。ストッパ4は、円筒部41と、鍔部42とを有している。
【0039】
円筒部41は、Y方向に延びる貫通穴を有した円筒形状を有している。鍔部42は、円筒部41のY1方向端部の外周面に設けられている。鍔部42は、円筒部41の全周から半径方向外側に突出している。ストッパ4は、アダプタ21の内部に配置されており、鍔部42の底面42aを載置面21bに当接させることにより、移動が規制されている。これにより、ストッパ4は、アダプタ21に対して位置決めされている。
【0040】
キャップ5には、アダプタ21が係合される。キャップ5には、アダプタ21を取り付けるための第2爪部5aが設けられている。キャップ5へのアダプタ21の取り付けは、次のように行う。まず、キャップ5の第2爪部5aとアダプタ21の第1切欠き部21cとが一致するように、キャップ5をアダプタ21に挿入する。そして、キャップ5が回動されることにより、第1爪部21aがキャップ5のU字形状の溝部5b(キャップ5の内周面に設けられた部分であり、半径方向外側に窪む部分)に引っかかる。その結果、アダプタ21がキャップ5に係合される。その結果、キャップ5(ホルダ20)に対して、未就学児童用計測プローブ100が固定される。
【0041】
図6に示すように、未就学児童用計測プローブ100は、外周面2bに取り付けられたキャップ5によってホルダ20のアダプタ21に取り付けられる。この状態で、未就学児童Sにホルダ20を装着することにより、未就学児童用計測プローブ100が未就学児童Sの頭部に接触する。図6に示すように、アダプタ21の先端には、スポンジ21dが取り付けられている。
【0042】
図8に示すように、未就学児童用計測プローブ100の先端が未就学児童Sの頭部に対して押圧されると、ファイバ1と、保持部2が軸方向(Y1方向)に相対移動する。このため、未就学児童用計測プローブ100は、未就学児童Sの形状に合わせて未就学児童用計測プローブ100の先端部が軸方向(Y方向)にストローク(移動)可能となっている。また、未就学児童用計測プローブ100が、軸方向にストロークすることにより、付勢部材3がストッパ4によって押されるため、付勢される。付勢部材3の付勢力によって未就学児童用計測プローブ100の先端部2aと頭部表面との接触状態を維持するように構成されている。
【0043】
図1に示すように、本実施形態では、未就学児童用脳機能計測装置200は、未就学児童用計測プローブ100と装置本体部6との間に、プローブ中継端子部7が設けられている。プローブ中継端子部7には、多数の未就学児童用計測プローブ100の端子および大人用の計測プローブの端子を接続可能に構成されている。そのため、プローブ中継端子部7に挿入する端子を切り替えることにより、未就学児童用計測プローブ100と大人用の計測プローブとを切り替えることが可能となる。また、未就学児童用計測プローブ100を差し込む位置により、送光用プローブ100aと受光用プローブ100bとを切り替えることができるように構成されている。
【0044】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0045】
本実施形態では、未就学児童用計測プローブ100は、上記のように、被検体である未就学児童Sの頭部に光を照射するファイバ1と、ファイバ1の先端部の外周面1aを覆うようにファイバ1に設けられ、ゴムを除く金属または樹脂で形成された保持部2を備えた未就学児童Sの頭部に接触した状態で配置される脳機能測定用の未就学児童用計測プローブ100であって、保持部2の未就学児童Sの頭部に接触する先端面の角部22は、面取りされている。これにより、ゴムを除く金属または樹脂で形成され、未就学児童Sの頭部と接触するファイバ1の先端部の先端面が平坦であり、ファイバ1の先端部の外周面1aを覆う保持部2の未就学児童Sの頭部に接触する先端面の角部22が面取りされていることにより、頭部にかかる圧力が軽減されるため、ゴムパッドを設けなくとも、装着時の痛みを軽減することができる。
【0046】
また、本実施形態では、上記のように、保持部2の未就学児童Sの頭部に接触する先端部2aの角部22は、R面取りされている。これにより、保持部2の先端面の角部22が丸くなるため、未就学児童Sが未就学児童用計測プローブ100を装着した際の痛みを効果的に抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、保持部2は、金属により形成されているとともに、金属により形成されている保持部2の先端面の角部22がR面取りされている。これにより、保持部2を金属製にすることによって、ファイバ1の強度を向上させることができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、保持部2の外周面2bに配置され、保持部2を未就学児童Sの頭部に付勢する付勢部材3と、付勢部材3の移動を規制するためのストッパ4と、をさらに備え、保持部2の外周面2bには、ストッパ4を固定するための凹部2cが設けられている。これにより、凹部2cによりストッパ4を保持部2の所定の位置に配置できるとともに、ストッパ4により付勢部材3の移動を規制することにより未就学児童用計測プローブ100を未就学児童Sの頭部に付勢することができる。そのため、未就学児童用計測プローブ100を未就学児童Sに接触させた状態を維持することができる。また、未就学児童Sに使用するために未就学児童用計測プローブ100およびホルダ20を小型化し、ホルダ20間のスペースが十分に取れない場合であっても、ファイバ1と未就学児童Sの頭部との密着強度を上げることできる。
【0049】
また、本実施形態では、ファイバ1はL字形状に屈曲されており、先端面の角部22が面取りされている保持部2は、ファイバ1のL字形状の屈曲部1bを覆うとともに、ファイバ1の先端まで延びるように構成されている。これにより、屈曲部1bを保持部2によって覆うことにより、ファイバ1を屈曲させた状態を維持できるため、未就学児童用計測プローブ100をホルダ20に容易に取り付けることができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように未就学児童用脳機能計測装置200は、装置本体部6と、装置本体部6に電気的に接続された複数の未就学児童用計測プローブ100と、複数の未就学児童用計測プローブ100が取り付けられ、複数の未就学児童用計測プローブ100が被検体である未就学児童Sの頭部に接続した状態を保持するホルダ20と、を備え、未就学児童用計測プローブ100は、被検体である未就学児童Sの頭部に光を照射するファイバ1と、ファイバ1の先端部の外周面1aを覆うようにファイバ1に設けられ、ゴムを除く金属または樹脂で形成された保持部2とを含み、未就学児童Sの頭部と接触するファイバ1の先端部の先端面が平坦であり、保持部2の未就学児童Sの頭部に接触する先端部2aの角部22は、面取りされている。これにより、上記未就学児童用計測プローブ100と同様に、未就学児童Sの頭部にかかる圧力を軽減することができる未就学児童用脳機能計測装置200を提供することができる。
【0051】
また、本実施形態では、上記のように、未就学児童用計測プローブ100と装置本体部6との間に設けられ、複数の未就学児童用計測プローブ100と装置本体部6とが接続されるとともに、装置本体部6と未就学児童用計測プローブ100との間で所定の信号を送受信可能に構成されたプローブ中継端子部7をさらに備える。これにより、プローブ中継端子部7に接続させる計測用プローブを切り替えるだけで未就学児童用計測プローブ100と大人用の計測プローブとを切り替えることができる。すなわち、容易に未就学児童用計測プローブ100と大人用の計測プローブとを切り替えることができる。
【0052】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0053】
たとえば、上記実施形態では、ファイバを有する計測プローブにより光を被検体に照射して脳機能計測を行う計測装置に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、未就学児童用計測プローブを備えた未就学児童用脳機能計測装置であれば、光計測装置以外の未就学児童用脳機能計測装置に本発明を適用してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、保持部の被検体の頭部に接触する先端面の角部は、R面取りされている例を示したが、本発明はこれに限られない、たとえば、保持部の被検体の頭部に接触する先端面の角部は、C面取りされていてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、未就学児童用計測プローブをキャップによりホルダに固定する例を示したが、本発明はこれに限られない、たとえば、係合部材を設けてホルダに装着してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、未就学児童用計測プローブがL字形状である例を示したが、本発明はこれに限られない、たとえば、屈曲部を設けずに直線形状にしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、未就学児童用計測プローブと装置本体部との間にプローブ中継端子部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない、たとえば、プローブ中継端子部を設けずに、未就学児童用計測プローブと装置本体部とを直接接続してもよい。
【0058】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(項目1)
被検体の頭部に接触した状態で配置される脳機能測定用の未就学児童用計測プローブであって、
前記被検体である未就学児童の頭部に光を照射するファイバと、
前記ファイバの先端部の外周面を覆うように前記ファイバに設けられ、ゴムを除く金属または樹脂で形成された保持部とを備え、
前記被検体の頭部と接触する前記ファイバの先端部の先端面が平坦であり、
前記保持部の前記被検体の頭部に接触する先端面の角部は、面取りされている、未就学児童用計測プローブ。
(項目2)
前記保持部の前記被検体の頭部に接触する先端面の角部は、R面取りされている、項目1に記載の未就学児童用計測プローブ。
(項目3)
前記保持部は、金属により形成されているとともに、金属により形成されている前記保持部の先端面の角部がR面取りされている、項目2に記載の未就学児童用計測プローブ。
(項目4)
前記保持部の外周面に配置され、前記保持部を前記被検体の頭部に付勢する付勢部材と、
前記付勢部材の移動を規制するためのストッパと、をさらに備え、
前記保持部の外周面には、前記ストッパを固定するための凹部が設けられている、項目1~3のいずれか1項に記載の未就学児童用計測プローブ。
(項目5)
前記ファイバはL字形状に屈曲されており、
前記先端面の角部が面取りされている前記保持部は、前記ファイバの前記L字形状の屈曲部を覆うとともに、前記ファイバの先端まで延びるように構成されている、項目1~4のいずれか1項に記載の未就学児童用計測プローブ。
(項目6)
装置本体部と、
前記装置本体部に電気的に接続された複数の未就学児童用計測プローブと、
前記複数の未就学児童用計測プローブが取り付けられ、前記複数の未就学児童用計測プローブが被検体である未就学児童の頭部に接続した状態を保持するホルダと、を備え、
前記未就学児童用計測プローブは、
前記被検体である未就学児童の頭部に光を照射するファイバと、
前記ファイバの先端部の外周面を覆うように前記ファイバに設けられ、ゴムを除く金属または樹脂で形成された保持部とを含み、
前記被検体の頭部と接触する前記ファイバの先端部の先端面が平坦であり、
前記保持部の前記被検体の頭部に接触する先端面の角部は、面取りされている、未就学児童用脳機能計測装置。
(項目7)
前記未就学児童用計測プローブと前記装置本体部との間に設けられ、前記複数の未就学児童用計測プローブと前記装置本体部とが接続されるとともに、前記装置本体部と前記未就学児童用計測プローブとの間で所定の信号を送受信可能に構成されたプローブ中継端子部7をさらに備える、項目6に記載の未就学児童用脳機能計測装置。
【符号の説明】
【0059】
1 ファイバ
1a 外周面
1b 屈曲部
1c 凹部
2 保持部
2a 外周面
3 付勢部材
4 ストッパ
5 キャップ
6 装置本体部
7 プローブ中継端子
20 ホルダ
50 未就学児童
100 未就学児童用計測プローブ
200 未就学児童用脳機能計測装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8