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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】貼付剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/38 20060101AFI20220928BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220928BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20220928BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220928BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
A61K47/38
A61K47/32
A61K9/70 401
A61K47/10
A61K47/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019561656
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2018047291
(87)【国際公開番号】W WO2019131524
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】P 2017249550
(32)【優先日】2017-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 恭平
(72)【発明者】
【氏名】石川 聡之
【審査官】辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-008024(JP,A)
【文献】特開2008-007413(JP,A)
【文献】特開平10-007551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K9/00-9/72
A61K47/00-47/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水率が70質量%以上の粘着剤層と支持体とを備えた貼付剤であって、上記粘着剤層が、
(A)ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上、
(B)25℃での1質量%水溶液粘度が2,000mPa・s以下のカルボキシメチルセルロースナトリウム及び25℃での1質量%水溶液粘度が2,500mPa・s以上のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含むセルロース誘導体、
(C)多価アルコール、及び
(D)多価金属塩を含有し、
式(I):[(A)成分の含有量]/[(B)成分の含有量](質量比)が1.0~6.67、かつ
式(II):[(C)成分の含有量]/{1.5×[(A)成分の含有量]+2×[(B)成分の含有量]}(質量比)が1~3である貼付剤。
【請求項2】
(A)成分の含有量が、粘着剤層中2.4~10.0質量%、(B)成分の含有量が、粘着剤層中1.5~5.4質量%である請求項1記載の貼付剤。
【請求項3】
(C)成分の含有量が、粘着剤層中11~25.2質量%である請求項1又は2記載の貼付剤。
【請求項4】
(D)成分の含有量が、粘着剤層中0.01~2質量%である請求項1~3のいずれか1項記載の貼付剤。
【請求項5】
さらに、(E)有効成分、清涼化剤及び温感付与剤から選ばれる1種以上を含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の貼付剤。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載の貼付剤の製造方法であって、
(A)ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上と、(B)セルロース誘導体とを、(C)多価アルコールに分散する工程を含む、貼付剤の製造方法。
【請求項7】
(A)成分及び(B)成分が粉体である、請求項6記載の貼付剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高含水粘着剤層を備えた貼付剤及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高含水量の粘着剤層を備えた貼付剤は冷却効果の持続性に優れている。高含水量の粘着剤層には、カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下、CMCNaと記載する場合がある。)が用いられる場合がある。一般的な粘着剤層の製造工程では、CMCNaを分散剤である多価アルコールへ分散させることで粘着層中へ均一に分散し溶解させている(特許文献1:特開2014-028767号公報)。しかしながら、多価アルコールへの分散時、分散液中のCMCNa濃度が高い状態であると、粘着層中に均一に分散できず不溶解凝集物が生じるという課題があった。また、不溶解凝集物を解消するために長時間の攪拌をすると、粘着剤層の温度が上昇することで硬化が早まり、展延できない等の製造上の問題が生じていた。
【0003】
これに対し、含水率70質量%未満では、多価アルコールを多量に用いることでCMCNaの分散効率を良くすることができる。しかしながら、含水率が70質量%以上の高含水量の粘着剤層の場合には、多価アルコールの配合量に上限があるため、CMCNaが多価アルコール中で高濃度になり、不溶解凝集物が生じるという前記課題を解消することができなかった(特許文献2:特開2002-136587号公報)。
【0004】
一方、多価アルコールと高吸水性高分子化合物とを併用し粘着剤層中へ均一に分散する方法が知られているが(特許文献3:特開2001-122772号公報)、高吸水性高分子は高価な上、可塑剤である多価アルコールが少ないため乾燥時膏体が固くなり、貼付剤を剥がす際等に痛みを感じる場合があるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-028767号公報
【文献】特開2002-136587号公報
【文献】特開2001-122772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、粘着剤層中の不溶解凝集物の発生を抑制すると共に、貼付剤のはがれ・めくれ及び裏ジミ(粘着剤層の支持体裏面への染み出し)が抑制された貼付剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、含水率が70質量%以上の粘着剤層と支持体とを備えた貼付剤であって、特定量の(A)ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上、特定量の(B)カルボキシメチルセルロースナトリウムを必須とするセルロース誘導体、(C)多価アルコール、及び(D)多価金属塩を含有する貼付剤とすることで、上記課題を解決できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
従って、本発明は貼付剤及びその製造方法を提供する。
1.含水率が70質量%以上の粘着剤層と支持体とを備えた貼付剤であって、上記粘着剤層が、
(A)ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上、
(B)25℃での1質量%水溶液粘度が2,000mPa・s以下のカルボキシメチルセルロースナトリウム及び25℃での1質量%水溶液粘度が2,500mPa・s以上のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含むセルロース誘導体、
(C)多価アルコール、及び
(D)多価金属塩を含有する貼付剤。
2.(A)成分の含有量が、粘着剤層中2.4~10.0質量%、
(B)成分の含有量が、粘着剤層中1.5~5.4質量%であり、
式(I):[(A)成分の含有量]/[(B)成分の含有量](質量比)が1.0~6.67、かつ
式(II):[(C)成分の含有量]/{1.5×[(A)成分の含有量]+2×[(B)成分の含有量]}(質量比)が1~3である1記載の貼付剤。
3.(C)成分の含有量が、粘着剤層中11~25.2質量%である1又は2記載の貼付剤。
4.(D)成分の含有量が、粘着剤層中0.01~2質量%である1~3のいずれかに記載の貼付剤。
5.さらに、(E)有効成分、清涼化剤及び温感付与剤から選ばれる1種以上を含有する1~4のいずれかに記載の貼付剤。
6.1~5のいずれかに記載の貼付剤の製造方法であって、
(A)ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上と、(B)セルロース誘導体とを、(C)多価アルコールに分散する工程を含む、貼付剤の製造方法。
7.(A)成分及び(B)成分が粉体である、6記載の貼付剤の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、粘着剤層中の不溶解凝集物の発生を抑制すると共に、貼付剤のはがれ・めくれ及び裏ジミが抑制された貼付剤及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、(i)粘着剤層、(ii)粘着剤層の製造方法、(iii)支持体、(iv)貼付剤及びその製造方法に分けて、詳細に説明する。
【0011】
(i)粘着剤層
[(A)成分]
(A)成分は、ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上であり、主に粘着剤として作用する。(A)成分としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸の全てが中和(ポリアクリル酸塩)、又は一部が中和(ポリアクリル酸部分中和物)された中和物、架橋型ポリアクリル酸及びその塩が挙げられる。ポリアクリル酸塩又はポリアクリル酸部分中和物の対イオンとして、ナトリウム、カリウム等の一価金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩、アンモニウム塩で中和したものが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種類以上を適宜組み合わせて用いることができる。なお、(A)成分は粉体が好ましい。
【0012】
(A)成分の質量平均分子量としては特に制限はないが、400万~500万が好ましい。また、ポリアクリル酸部分中和物の中和度は10~50mol%が好ましく、20~40mol%がより好ましく、40mol%がさらに好ましい。また、0.2質量%水溶液粘度(B型粘度計:ローターNo.2、回転数30rpm、20℃)は100~10,000mPa・sが好ましく、100~5,000mPa・sがより好ましく、100~1,000mPa・sがさらに好ましい。まお、質量平均分子量の測定方法はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、中和度は下記式で求められる値である。
中和度(モル%)=100×「分子中の中和されているカルボキシル基のモル数」/「分子が有するカルボキシル基の総モル数」
【0013】
(A)成分の含有量は、粘着剤層中2.4~10.0質量%が好ましく、3~9質量%がより好ましく、5~8.4質量%がさらに好ましい。2.4質量%以上とすることで粘着力がより向上し、貼付剤のはがれ・めくれをより抑制することができ、不溶解凝集物がより生じ難くなる。一方、10.0質量%以下とすることで、後述する式(I)、(II)]及び含水率70質量%以上を充足することができる。
【0014】
[(B)成分]
(B)成分は、25℃での1質量%水溶液粘度が2,000mPa・s以下、好ましくは1,000~2,000mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム及び25℃での1質量%水溶液粘度が2,500mPa・s以上、好ましくは2,500~4,500mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウムを含むセルロース誘導体であり、主に保形付与として作用する。25℃での1質量%水溶液粘度が2,000mPa・s以下のカルボキシメチルセルロースナトリウム/25℃での1質量%水溶液粘度が2,500mPa・s以上のカルボキシメチルセルロースナトリウムで表される配合質量比は、1/3~3/1が好ましい。
【0015】
なお、(B)成分の粘度の測定方法はBL粘度計を用いる。25℃での1質量%水溶液粘度1,000mPa・s未満はローターNo.1~3を用いて、回転数60rpmで測定し、25℃での1質量%水溶液粘度1,000~2,000mPa・sはローターNo.3又はNo.4を用いて、回転数60rpmで測定し、25℃での1質量%水溶液粘度2,500~4,500mPa・sはローターNo.4を用いて、回転数60rpmで測定する。
【0016】
(B)成分は、上記粘度の異なる2種のカルボキシメチルセルロースナトリウムを必須成分とするが、その他(B)成分のセルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム等の水溶性セルロースエーテル、カチオン化セルロース、これらの塩等が挙げられる。カルボキシメチルセルロースナトリウムと併用するセルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウムが好ましい。製造性及びゲルの保形性の観点から、(B)成分中のカルボキシメチルセルロースナトリウムの割合としては70~100質量%が好ましい。カルボキシメチルセルロースナトリウムの粘着剤層中の量は2~5質量%が好ましい。なお、(B)成分は粉体が好ましい。
【0017】
(B)成分の含有量は、粘着剤層中1.5~5.4質量%が好ましく、2~5質量%がより好ましく、3~4質量%がさらに好ましい。(B)成分を1.5質量%以上とすることで裏ジミがより抑制される。5.4質量%以下とすることで、後述する式(I)、(II)及び含水率70質量%以上を充足することができる。
【0018】
[(C)成分]
(C)成分は多価アルコールであり、上記(A)成分、(B)成分の分散剤として主に作用する。多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、アミレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でもグリセリンを用いることが好ましい。
【0019】
(C)成分の含有量は、粘着剤層中11~25.2質量%が好ましく、15~20質量%がより好ましく、16~20質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量を11質量%以上とすることで、使用中における粘着剤層の柔軟性が維持でき、(A)及び(B)成分が粘着剤層中に均一溶解し、不溶解凝集物がより生じ難くなる。25.2質量%以下とすることで、後述する式(I)、(II)及び含水率70質量%以上を充足することができる。
【0020】
式(I):[(A)成分の含有量]/[(B)成分の含有量](質量比)は、(B)成分に対する(A)成分の含有量を規定したもので、1~6.67が好ましく、1~4.5がより好ましく、1.25~2.8がさらに好ましい。この比を1以上とすることで、(A)及び(B)成分が粘着剤層中に均一溶解し、不溶解凝集物がより生じ難くなる。また、1以上とすることで、貼付剤のはがれ・めくれがより抑制されやすくなる。一方、6.67以下とすることで、後述する式(II)及び含水率70質量%以上を充足することができる。
【0021】
式(II):[(C)成分の含有量]/{1.5×[(A)成分の含有量]+2×[(B)成分の含有量]}(質量比)は、分散剤として作用する多価アルコールの必要量を規定したもので1~3が好ましい。上記式は、(A)成分、及び(B)成分を(C)成分中に均一に分散させ且つ粘着剤層中に均一に溶解可能な量を(A)成分、(B)成分それぞれで規定したもので、(A)成分に対し1.5倍量の(C)成分と、(B)成分に対し2倍量の(C)成分が必要であることを意味する。この比を1以上とすることで、(A)及び(B)成分が粘着剤層中に均一溶解し、不溶解凝集物がより生じ難くなる。一方、3以下とすることで、前述の式(I)及び含水率70質量%以上を充足することができる。
【0022】
[(D)成分]
(D)成分は多価金属塩であり、架橋剤として作用する。多価金属塩としては、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、鉄ミョウバン等のミョウバン類、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、酸化カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、及びジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。中でも、粘着剤層の展延工程において、粘着剤層となる粘着剤組成物を支持体の少なくとも一面に均一に塗布する点から、即効性よりも徐々に作用するもの(水易溶性よりも水難溶性で徐々に粘着剤層に溶解するもの)が好ましい。このような成分としては、例えば、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、及びジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートが好ましい。
【0023】
(D)成分の含有量は、粘着剤層中0.01~2質量%が好ましく、0.03~1質量%がより好ましく、0.05~0.5質量%がさらに好ましい。0.01質量%以上とすることで、粘着剤層の保形性をより十分得ることができ、裏じみがより抑制される。一方、2質量%以下とすることで、貼付剤のはがれ・めくれがより抑制され、かつ製造時に架橋速度の調整が容易になり、粘着剤層となる粘着剤組成物の塗布ムラが抑制される。
【0024】
[(E)成分]
本発明の粘着剤層は、(E)有効成分、清涼化剤及び温感付与剤から選ばれる1種以上を含有することができる。有効成分としては、ステロイド系抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症剤、生薬・精油成分が挙げられる。
【0025】
ステロイド系抗炎症剤としては、例えば、アムシノイド、吉草酸プレドニゾロン、吉草酸ジフルコルトロン、吉草酸ベータメタゾン、酢酸ベータメタゾン、酢酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベータメタゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、リルシノニド、ヒドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルオトメトロン、フルドロキシコルチド、プレドニゾロン、プロピオン酸クロベタゾール、プロピオン酸ベクロメタゾン、ベータメタゾン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンアセテート、酪酸ヒドロコルチゾン等が挙げられる。これらステロイド系抗炎症剤を配合する場合の含有量は、粘着剤層中0.05~5質量%が好ましい。
【0026】
非ステロイド系抗炎症剤としては、例えば、ロキソプロフェン、ジクロフェナク、フェルビナク、インドメタシン、サリチル酸グリコール、サリチル酸、アセチルサリチル酸(アスピリン)、アセトアミノフェン、アミノピリン、アンチピリン、オキシフェンブタゾン、スルピリン、イブプロフェン、スリンダック、ナプロキセン、ケトプロフェン、エトフェナメート、サリチルアミド、トリエタノールアミンサリチレート、フルフェナム酸、メクロフェナム酸、コルヒチン、ブフェキサマク、フェンブフェン、ジフルニサル、アルクロフェナック、フェニルブタゾン、メフェナム酸、フェノプロフェン、ベンダザック、ピロキシカム、フルルビプロフェン、ザルトプロフェン、エトドラク、プラノプロフェン、メピリゾール、スプロフェン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸及びそれらの塩、ならびに誘導体等を挙げることができる。非ステロイド系抗炎症剤を配合する場合の含有量は、粘着剤層中0.05~5質量%が好ましい。
【0027】
生薬・精油成分としては、例えば、オオバク等の生薬末や、オウバク、サンショウ、センブリ、カンゾウ、オウゴン、サンシシ、トウキ、セッコツボク、ヨウバイヒ、ヨクイニン等の生薬エキス、ハッカ油、ハッカハク油、ケイ皮油等の精油等が挙げられる。生薬や精油成分を配合する場合の含有量は、粘着剤層中0.05~5質量%が好ましい。
【0028】
清涼化剤としては、例えば、リモネン、テルピノレン、メンタン、テルピネン等のp-メンタン及びそれらから誘導される単環式モノテルペン系炭化水素化合物等のテルペン系炭化水素化合物、l-メントール、イソプレゴール、1,3-メントキシプロパン-1,2-ジオール等のメントール類縁化合物、カンフル、チモール等が好適に使用される。清涼化剤を配合する場合の含有量は、粘着剤層中0.05~5質量%が好ましい。
【0029】
温感付与剤としては、皮膚に適用した時に温感を感じさせる物質であればよく、このような物質として、例えば、カプシコシド、カプサイシン、カプサイシノイド、ジビトロキシカプサイシン、カプサンチン等のカプサイシン類似体、トウガラシエキス、トウガラシチンキ、トウガラシ末等のトウガラシ由来の温感付与物質、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、N-アシルワニルアミド、ノニル酸ワニルアミド、バニリルブチルエーテル、酢酸トコフェロール、アセチルオイゲノール、延命草エキス、ボタンピエキス、アルニカチンキ、ショウガエキス、ケイヒ油等が挙げられる。温感付与剤を配合する場合の含有量は、粘着剤層中0.05~5質量%が好ましい。
【0030】
これら(E)成分のうち、本発明では、ロキソプロフェンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、フェルビナク、インドメタシン、サリチル酸グリコール、l-メントール、トウガラシエキス、ハッカハク油が好ましい。
【0031】
(E)成分を配合する場合の含有量は有効量でよいが、粘着剤層中0.05~5質量%が好ましく、0.2~2質量%がより好ましい。0.05質量%以上とすることで、十分な薬効や清涼感、温感が得られる。5質量%を超えて配合しても、さらなる高い薬効や清涼感、温感は得られず、皮膚刺激が生じる可能性がある。
【0032】
[任意成分]
本発明の粘着剤層には、本発明の効果を損なわない範囲で、一般に含水粘着剤に用いられている下記成分を、それぞれ1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて、適量用いることができる。なお、下記成分は例示であり、成分によっては重複して記載される場合もある。
【0033】
(1)硬化調整剤
エデト酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム水和物、メタリン酸ナトリウム、クエン酸等を使用することができる。硬化調整剤を配合する場合の含有量は、粘着剤層中0.01~3質量%が好ましい。
【0034】
(2)有機酸
酒石酸、リンゴ酸、乳酸等が挙げられる。有機酸を配合する場合の含有量は、粘着剤層中0.1~3質量%が好ましい。
【0035】
(3)防腐剤
パラオキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)、パラオキシ安息香酸プロピル(プロピルパラベン)等が挙げられる。防腐剤を配合する場合の含有量は、粘着剤層中0.01~2質量%が好ましい。
【0036】
(4)乳化剤(界面活性剤)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート(ポリソルベート80)等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。界面活性剤を配合する場合の含有量は、粘着剤層中0.2~5.0質量%が好ましい。
【0037】
(5)香料
ウイキョウ油、ダイウイキョウ油、チョウジ油、チミアン油、テレビン油、ヘノポジ油、ヤマジン油、ユーカリ油、ラベンダー油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、トウカ油、ベルガモット油、ローズ油、シトロネラ油、レモングラス油、樟脳油、ゼラニウム油、ローズマリー油、セージ油等が挙げられる。また、植物抽出物としては、例えば、アロエ、アニス、アンジェリカ、安息香、イモーテル、カミツレ、カモミール、ガーリック、カルダモン、ガルバナム、キャラウェイ、キャロットシード、グアヤックウッド、グレープフルーツ、サイプレス、サンダルウッド、シダーウッド、ジュニパー、スターアニス、セージ、ゼラニウム、セロリ、タイム、タラゴン、テレビン、乳香、バイオレット、パイン、パセリ、バーチ、パチュリー、バラ、ヒソップ、フェンネル、ブラックペッパー、ボダイジュ花、没薬、ヤロウ、レモン、レモングラス、ローズマリー、ローレル、シモツケギク、シモツケソウ、ヤグルマギク、アーモンド、アザミ、アルニカ、イトスギ、ウイキョウ、エニシダ、エリカ、オオグルマ、カラシ、カロコン、カンズイ、キクニガナ、ギョウギシバ、キンセンカ、クサノオウ、クレソン、ゲンカ、ゲンチアナ、サリランボ、シカゼンシ、シラカバ、シダ、シツリシ、ショウノウ、ショウリク、ジンギョウ、スモモ、セイヨウナシ、セイヨウヒメスノキ、タイソウ、タクシャ、タンポポ、チモ、チャービル、チョレイ、テンモンドウ、トウガシ、ノイバラ、ノラニンジン、ハゴロモグサ、トネリコ、ヒメオドリコソウ、ヒメスイバ、ブクリョウ、ボリジ、マグワート、マヨラナ、メリッサ、モクツウ、モモ、ヤドリギ、ユーカリ、ラベンダー、レンギョウ、ワサビダイコン等からの抽出物を挙げることができる。これらの中でも、特にカモミール、セージ、パセリ、ローズマリー、シモツケギク、シモツケソウ、ヤグルマギク、アニス、ローレル、アンジェリカ、フェンネル、ペパーミント、レモンバーム、ラベンダー、タイム等からの抽出物が好適である。このような抽出物の具体的な成分として、例えば、シネオール、ボルネオール、他にカンファー(樟脳)、リナノール、ベルベノール、フラボノイド類、コリン、アミノ酸、タンニン、植物酸、脂肪酸、青酸配糖体、サルビン、縮合タンニン、フェノール酸、カルノシン酸、トリテルペン酸、ツヨン、サルベン、ピネン、アピオール、アピオリン、ミリスチシン、クマリン、カマアズレン、ファルネセン、ビサボロール、ゲラニオール、オイゲノール、テルペン、フェランドリン、アネトール、メントン、シトラール、シトロネラール、オイゲノールアセテート等を挙げることができる。香料を配合する場合の含有量は、粘着剤層中0.01~1質量%が好ましい。
【0038】
(6)色素
赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色404号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色201号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色401号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色404号、黄色405号、黄色406号、黄色407号、緑色3号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色401号、青色403号、青色404号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、橙色403号、褐色201号、紫色201号、紫色401号、黒色401号等が挙げられる。色素の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、色素を配合する場合の含有量は、粘着剤層中0.00005~0.1質量%が好ましく、0.0001~0.01質量%がより好ましい。含有量が少なすぎると配合による効果が十分に得られないおそれがあり、多すぎると色調が強くなりすぎるおそれがある。なお、色素を配合する場合、粘着剤組成物を支持体の表面に展延した際に色素の濃淡や斑点が生じないように、色素を水、油脂、アルコール等に溶かした後に、他成分と練合することが好ましい。
【0039】
粘着剤層の含水量は、粘着剤層中70質量%以上であり、70~82質量%が好ましい。含水率を70質量%以上とすることで十分な冷却効果が得られ、82質量%以下とすることで裏ジミが抑制される。
【0040】
粘着剤層のpHは3.5~6が好ましく、4~5がより好ましく、4.2~4.7がさらに好ましい。pHの測定は25℃の条件下で、支持体に展延した後の粘着剤組成物に、pHメーター(例えば、東亜ディーケーケー株式会社製のHM-30V、フラット型pH電極GST-5313F)を接触させて測定する。
【0041】
(ii)粘着剤層の製造方法
粘着剤層の製造方法としては、特に限定されないが、(A)及び(B)成分の不溶解凝集物をより生じ難くする点から、例えば、(A)ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上と、(B)セルロース誘導体とを、(C)多価アルコールに分散する工程を含むことが好ましい。
【0042】
より具体的には、(C)多価アルコールに、粉末状の(A)ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上と、(B)セルロース誘導体とを添加し、(A)及び(B)成分を分散させて、攪拌し、予備分散物1を作製する。別途、(D)成分を(C)成分に分散させ、予備分散物2を作製する工程を含む。(E)成分は、予備分散物に分散させてもよいが、香料や防腐剤と共に乳化剤に混合する工程を含むことが好ましい。水にその他の任意成分を混合した予備混合物に、予備分散物1を添加して撹拌した後に、予備分散物2を添加して撹拌する工程を含むものが好ましい。任意成分はそれぞれ予備溶解物、予備分散物として添加してもよい。
【0043】
(iii)支持体
支持体としては、公知のものを使用することができ、例えば、紙、織布、不織布、編布を挙げることができる。中でも、坪量90~140g/m2の編布又は坪量70~140g/m2の不織布が好ましい。粘着剤層となる粘着剤組成物を支持体に展延する際の展延量は、特に制限されるものではないが、支持体1m2あたり、800~1,200gが好ましい。
【0044】
編布としては、繊維の素材(種類)は特に限定されず、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン(PE、PP等)、ビニロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリウレタン等の樹脂類が挙げられる。なお、これらの重合度は、特に制限されるのもではなく、編布の素材として通常使用されている重合度のものを使用することができる。
【0045】
編布の編み方は、特に制限されるものではなく、例えば、経編み(トリコット編み、デンビートリコット編み、サテン編み、アトラス編み、平編み、リム編み、パール編み)、丸編み(両面メリヤス編み、片面メリヤス編み、フライスメリヤス編み)、横編み、マルチフィラメント糸により編成された丸編み、複数段の両面メリヤス編み、ニットミス編み、クロスインレイ編み、インレイ編み等が採用される。好ましくは、トリコット編み、両面メリヤス編み、片面メリヤス編み、フライスメリヤス編み、マルチフィラメント糸により編成された丸編み、複数段の両面メリヤス編みが採用される。編布に用いる繊維は、単糸を使用する場合は一般的に10~80デニールを用いることができる。マルチフィラメントを使用する場合は一般的に40~100デニールの繊維を用いることができる。
【0046】
編布の坪量は90~140g/m2が好ましく、下限は95g/m2以上がより好ましく、100g/m2以上がさらに好ましい。坪量が90g/m2未満であると、剛軟度が弱くなり、展延時、粘着剤層にヨレ、タルミを生じるおそれがある。上限は130g/m2以下が好ましく、120g/m2以下がより好ましい。坪量が140g/m2を超えると、粘着剤層が固くなり、肌への追随性等の使用感が悪くなるおそれがある。
【0047】
不織布として、繊維の素材は特に限定されず、例えば、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステルエーテル、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。
【0048】
製法としては特に限定されず、スパンレース、スパンボンド、サーマルボンド、ケミカルボンド、ニードルパンチ等の製法による不織布が選択される。
【0049】
不織布の坪量は70~140g/m2が好ましく、下限は75g/m2以上が好ましく、80g/m2以上がより好ましい。坪量が70g/m2未満であると、剛軟度が弱くなり、展延時、粘着剤層にヨレ、タルミを生じるおそれがある。上限は130g/m2以下が好ましく、120g/m2以下がより好ましい。坪量が140g/m2を超えると、粘着剤層が固くなり、肌への追随性等の使用感が悪くなるおそれがある。
【0050】
(iv)貼付剤及びその製造方法
本発明の貼付剤は、含水率は70質量%以上の粘着剤層と支持体とを備えたものである。例えば、支持体の片面に粘着剤層が形成される。粘着剤層となる粘着剤組成物を支持体に展延した後、必要によりポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム(剥離ライナー)を用いて粘着剤層の表面を覆い、所望の大きさに裁断して用いることができる。又は、剥離ライナーに粘着剤層となる粘着剤組成物を展延した後に、これを支持体に貼り合わせ、所望の大きさに裁断して用いることができる。
【0051】
粘着剤層のボールタック値による粘着力は、10~32であることが好ましく、16~30がより好ましい。下限以上とすることで、粘着力が向上し、貼付剤のはがれ・めくれをより抑制することができる。一方、上限以下とすることで、皮膚刺激やはがす際の痛みが少なくなる。なお、ボールタックによる粘着力の測定方法は、JIS Z 0237に記載の方法に準じて測定する。具体的には、JIS Z 0237で用いられている球転装置を用い、傾斜角を30°、助走路の長さを100mm、測定する面を50mmとする。JIS G 4805で規定されている材質のボールを使用し、ボールの大きさはJIS B 1501の「ボールの呼び」の1/16から1までの合計31種類として、「ボールの呼び」の32倍の数値をボールナンバーとし、粘着力の指標として用いる。球転装置の傾斜板上の所定の位置に粘着面を上にして試験片を取り付け、各大きさのボールをゲートにセットする。ゲートをゆっくりとひらいてボールを転がし、測定面内で完全に停止する(5秒以上動かない)ボールのうち最大のものを見出して、そのボールナンバーをボールタック値とする。
【0052】
本発明の貼付剤の使用方法は特に限定されず、例えば、ヒトの肩、腰、ふくらはぎ、太ももや足裏等に貼付剤を貼り付けて使用する。
【実施例
【0053】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示す。
【0054】
[実施例、比較例]
〈製造方法〉
精製水にエデト酸ナトリウム水和物を攪拌しながら添加して(予備溶解物1)を得た。精製水にメタリン酸ナトリウム又はクエン酸を攪拌しながら添加して(予備溶解物2)を得た。精製水に酒石酸、リンゴ酸又は乳酸を攪拌しながら添加して(予備溶解物3)を得た。乳化剤に(E)成分、l-メントール、防腐剤、香料を添加し攪拌することで(予備混合物1)を得た。一部の(C)成分に、粉末状の(A)成分及び(B)成分を添加して攪拌し、これらを均一に分散・溶解して(予備分散物1)を得た。一部の(C)成分に(D)成分を添加し攪拌して(予備分散物2)を得た。残りの(C)成分に色素を添加し攪拌して(予備分散物3)を得た。
予備溶解物1に予備溶解物2、予備分散物3を添加し、ヘンシェルミキサーで攪拌して(練合物1)を得た。
練合物1に、予備分散物1をヘンシェルミキサーへ攪拌投入し、練合して(練合物2)を得た。
練合物2に予備分散物2を添加し、ヘンシェルミキサーで攪拌し、(練合物3)を得た。
練合物3に予備溶解物3、予備溶解物1を添加しヘンシェルミキサーで攪拌することで粘着剤組成物を得た。
剥離ライナー上に、貼付剤1枚当たり(14cm×10cm)の粘着剤層が約12gになるように粘着剤組成物を均一に展延した。その後、粘着剤層の表面にポリエステル製の編布(「坪量105±10g/m2、厚み0.70mm、太さ75デニール」(帝人フロンティア(株)製))を張り合わせ、所望の大きさ(14cm×10cm)に裁断して貼付剤を調製した。得られた貼付剤について下記評価を行った。なお、実施例で得られた貼付剤のボールタック値による粘着力は、10~32であった。
【0055】
[不溶解凝集物発生率の評価]
不溶解凝集物発生率として、練合により得られた粘着剤組成物の展延中のサンプリング(12g/14cm×10cmの製剤を100枚採取)において、直径2mm以上の不溶解凝集物が発生した割合で評価を行った。下記評価基準で「◎」又は「○」を合格とした。
<判断基準>
◎:2%以下
○:2%を超え5%以下
×:5%を超える
【0056】
[8時間後のはがれ・めくれ]
健常成人9人のふくらはぎに10cm×14cmに裁断した貼付剤を貼り、8時間後の状態を、下記評点に基づき評価した。結果を9人の評点合計点から、下記評価基準で示す。27点以上を合格とした。
<評点>
5:貼付剤のはがれ・めくれなし
4:貼付剤の周囲にはがれ・めくれあり(全体の1/4未満)
3:貼付剤の周囲にはがれ・めくれあり(全体の1/4以上1/3未満)
2:貼付剤の周囲にはがれ・めくれあり(全体の1/3以上1/2未満)
1:貼付剤の周囲1/2以上にめくれあり、又ははがれ落ちた
<8時間後のはがれ・めくれ評価基準>
◎:9人の評価結果の合計点が36点以上
○:9人の評価結果の合計点が27点以上36点未満
×:9人の評価結果の合計点が27点未満
【0057】
[裏ジミ]
貼付剤を製造後20枚積み重ね、一昼夜静置後、一番下の貼付剤について目視及び官能評価により以下の評価基準で評価した。
◎:裏ジミは認められない。
○:僅かな裏ジミがあるが、使用できる限界レベルである。
×:しっとり濡れていることが確認できる。
【0058】
[pH]
25℃の条件下で、pHメーターとして東亜ディーケーケー株式会社製のHM-30V、フラット型pH電極GST-5313Fを使い、直接粘着剤組成物に接触させて測定を行った。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
実施例16の粘着剤組成物については、同様の方法で、坪量90g/m2の不織布を用いで貼付剤も調製した。得られた貼付剤について上記実施例と同様の方法で裏ジミを評価したとろ、裏ジミは認められなかった。
【0066】
比較例1は不溶解凝集物が多すぎて粘着剤層を作製できなかったため、「8時間後のはがれ・めくれ」及び[裏ジミ]の評価はしていない。
【0067】
上記例で使用した原料を下記に示す。なお、特に明記がない限り、表中の各成分の量は純分換算量である。
・ポリアクリル酸部分中和物:「アロンビスAH-106X」(東亞合成(株)製)、質量平均分子量:450万(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)、中和度40モル%、白色粉体
・カルボキシメチルセルロースナトリウム:「ダイセルCMC1380」(ダイセルファインケム(株)製)、25℃での1%水溶液粘度1,000~2,000mPa・s(BL粘度計:ローターNo.3又はNo.4、25℃・回転数60rpm)、エーテル化度1.0~1.5、白色粉体
・カルボキシメチルセルロースナトリウム:「ダイセルCMC1390」:(ダイセルファインケム(株)製)、25℃での1%水溶液粘度2,500~4,500mPa・s(BL粘度計:ローターNo.4、25℃・回転数60rpm)、エーテル化度1.0~1.5・白色粉体
・カルボキシメチルセルロース:「NS-300」:(五徳薬品(株))
・ヒドロキシプロピルセルロース:「HPC-H」:(日本曹達(株))
・クロスカルメロースナトリウム:「キッコレートND-2HS」:(ニチリン化学工業(株))
・グリセリン:濃グリセリン「局方濃グリセリン」(阪本薬品工業(株)製)
・プロピレングリコール:「プロピレングリコール」(三井武田ケミカル(株)製)
・ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート:「グリシナール」(昭和化学工業(株))
・合成ヒドロタルサイト:「アルカマックSH」(協和化学工業(株)製)
・エデト酸ナトリウム水和物:「エデト酸ナトリウム」(中部キレスト(株)製)
・メタリン酸ナトリウム:「メタリン酸ナトリウム」(太平化学産業(株)製)
・クエン酸:「クエン酸」(磐田化学工業(株)製)
・酒石酸:「酒石酸」(磐田化学工業(株)製)
・リンゴ酸:「リンゴ酸」(協和発酵工業(株)製)
・乳酸:「乳酸」(純正化学(株)製)
・l-メントール:「メントールJP」(高砂香料工業(株)製)
・ロキソプロフェンナトリウム:「日本薬局方ロキソプロフェンナトリウム水和物」(大和薬品工業(株)製)
・ジクロフェナクナトリウム:「日本薬局方ジクロフェナクナトリウム」(大和薬品工業(株)製)
・フェルビナク:「フェルビナク」(HANSEO CHEMICAL製)
・インドメタシン:「インドメタシン」(金剛化学(株)製)
・サリチル酸グリコール:「サリメント」((株)エーピーアイコーポレーション)
・ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル:「NIKKOL TO-10MV」(日光ケミカルズ(株)製)
・パラオキシ安息香酸メチル:「パラオキシ安息香酸メチル」(上野製薬(株)製)
・パラオキシ安息香酸プロピル:「メッキンス-P」(上野製薬(株)製)
・オレンジ油:「ORANGE」(高砂香料工業(株)製)
・レモン油:「LEMON」(高砂香料工業(株)製)
・ラベンダー油:「LAVENDER EC-3439」(高砂香料工業(株)製)
・ローズマリー油:「ROSEMARY B LT-8240」(高砂香料工業(株)製)
・セージ油:「SAGE M_0020336」(ヴェマンフィス香料(株)製)
・赤色404号:「レッド4」(癸巳化成(株)製)
・支持体:ポリエステル製の編布「坪量105±10g/m2、厚み0.70mm、太さ75デニール」(帝人フロンティア(株)製)
・剥離ライナー:ポリプロピレン製のフィルム「CPP30μ、厚み0.12mm」(オー・ジー(株)製)
(注):「」内は商品名