(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20220928BHJP
B24B 23/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
B25F5/00 B
B25F5/00 G
B24B23/00 Z
(21)【出願番号】P 2020558196
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2019041963
(87)【国際公開番号】W WO2020110543
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2018226119
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094983
【氏名又は名称】北澤 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095946
【氏名又は名称】小泉 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192337
【氏名又は名称】福本 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100206092
【氏名又は名称】金 佳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100208535
【氏名又は名称】松坂 光邦
(72)【発明者】
【氏名】畠山 健太郎
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-080844(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0182577(US,A1)
【文献】特開2011-143492(JP,A)
【文献】国際公開第2018/230707(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B23/00-23/08
B25F5/00-5/02
A01D34/68
A01G3/047
B23B45/00-45/16
B23D29/00;45/16
B25B21/00-21/02
B25B23/00-23/18
B25B25/00-33/00
B25C1/00-3/00
B25C5/13-5/15
B25C7/00
B25D1/00-17/32
B26B15/00
B27B9/00-9/04;19/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容されるモータと、
前記ハウジングの一部であり、オン位置とオフ位置との間を移動可能で前記オン位置のときに前記モータが駆動し前記オフ位置のときに前記モータが停止する操作部と、
前記モータを駆動状態で維持可能なオンロック手段と、を有し、
前記オンロック手段の少なくとも一部は、前記モータをオンさせる操作の前では
前記ハウジングから露出せず、前記モータをオンさせる操作によって
前記ハウジングから露出して操作可能となることを特徴とする作業機。
【請求項2】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容されるモータと、
前記ハウジングの一部であり、オン位置とオフ位置との間を移動可能で前記オン位置のときに前記モータが駆動し前記オフ位置のときに前記モータが停止する操作部と、
前記操作部を前記オン位置で維持させるオンロック位置と前記操作部の動作を許容するオンロック解除位置との間で前記ハウジングに移動可能に支持され、少なくとも前記操作部が前記オン位置にある際に前記ハウジングから突出するオンロック手段と、を有し、
前記オンロック手段の少なくとも一部は前記ハウジングの内部に位置するとともに、前記操作部の位置に応じて前記ハウジングの内部に位置する体積が変化するよう構成され、
前記オンロック手段が操作されていない状態において、前記操作部が前記オン位置のときの前記オンロック手段の前記ハウジングからの突出量が、前記操作部が前記オフ位置のときの前記オンロック手段の前記ハウジングからの突出量よりも大きいことを特徴とする作業機。
【請求項3】
前記ハウジングとの間に内部空間を形成するように前記ハウジングの外壁に設けられた遮蔽部をさらに有し、
前記オンロック手段の全体は、前記操作部が前記オフ位置のときに前記内部空間に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機。
【請求項4】
前記操作部が前記オン位置のときに前記オンロック手段の一部が前記遮蔽部から外方に突出するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記操作部が前記遮蔽部を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の作業機。
【請求項6】
前記遮蔽部には貫通孔が形成され、前記操作部が前記オン位置のときに前記オンロック手段の一部が前記貫通孔から前記遮蔽部の外方に突出していることを特徴とする請求項3から5の何れか一に記載の作業機。
【請求項7】
前記操作部を前記オフ位置に維持するオフロック位置と前記操作部を前記オン位置に移動可能にするオフロック解除位置との間で前記ハウジングに移動可能に支持されるオフロック手段をさらに有し、
前記オフロック手段が前記オフロック位置にあるときの前記オンロック手段の前記ハウジングからの突出量は、前記オフロック手段が前記オフロック解除位置にあるときの前記オンロック手段の前記ハウジングからの突出量よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の作業機。
【請求項8】
前記オフロック手段は前記ハウジングに揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記オフロック手段は前記ハウジングに対して摺動可能に支持されていることを特徴とする請求項7に記載の作業機。
【請求項10】
前記オフロック手段が前記オフロック解除位置で且つ前記オンロック手段が前記オンロック解除位置のときに前記操作部は前記オフ位置と前記オン位置との間を移動可能であることを特徴とする請求項7から9の何れか一に記載の作業機。
【請求項11】
前記オフロック手段が前記オフロック解除位置から前記オフロック位置に向かうときの前記オフロック手段の移動方向と、前記オンロック手段が前記オンロック解除位置から前記オンロック位置に向かうときの前記オンロック手段の移動方向とが互いに反対方向であることを特徴とする請求項7から10の何れか一に記載の作業機。
【請求項12】
前記オンロック手段は、前記操作部の位置に応じて前記ハウジングの内部に位置する体積が変化するよう構成され、
前記操作部が前記オン位置のときの前記オンロック手段の前記ハウジングからの突出量は、前記操作部が前記オフ位置のときの前記オンロック手段の前記ハウジングからの突出量よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項13】
前記操作部を前記オフ位置に維持するオフロック位置と前記操作部を前記オン位置に移動可能にするオフロック解除位置との間で前記ハウジングに移動可能に支持されるオフロック手段をさらに有し、
前記モータをオンさせる操作は、前記操作部への操作、または前記オフロック手段に対する操作の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスクグラインダ等で、ハウジングに設けられたスイッチレバーを握ることでモータのスイッチがオン状態になり、モータの駆動力によって本体に取付けられた工具を回転させる作業機が知られている。この種の作業機では、作業者が意図せずモータのスイッチがオン状態にならないようにモータのスイッチのオフ状態を維持させるためのオフロック手段や、モータのスイッチのオン状態を維持させるためのオンロック手段を備える構成が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の作業機では、オンロック手段であるオンロックレバーがハウジングから常時露出しており、モータをオンさせる動作の前でもオンロックレバーに操作力を加えられる構成であるため、オンロックレバーに操作力が加えられた状態で作業者がスイッチをオン状態にしたときに、意図せずオンロックが有効になる恐れがある。また、オフロック手段とオンロック手段の操作箇所を別の位置にすることも誤ったオンロック操作を抑制する効果があるが、特許文献1に記載されるような構成では、スイッチレバーよりも後方にオンロック手段が位置しているため、一方の手でオフロック手段及びスイッチレバーを操作しながら他方の手でオンロック操作を行わなければならず、こうした場合把持状態が不安定になる恐れがある。
【0005】
上記課題に鑑み、本発明は、モータのスイッチをオン状態にしたときに作業者が意図せずオンロックが有効にならないような構成の作業機を提供することを目的とする。また、別の目的として、操作性の良いオンロック手段を有する作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、ハウジングと前記ハウジングに収容されるモータと、前記ハウジングの一部であり、オン位置とオフ位置との間を移動可能で前記オン位置のときに前記モータが駆動し前記オフ位置のときに前記モータが停止する操作部と、前記操作部を前記オン位置で維持させるオンロック位置と前記操作部のオンロックを解除するオンロック解除位置との間で前記ハウジングに移動可能に支持されるオンロック手段と、を有し、前記オンロック手段の少なくとも一部は、前記モータをオンさせる操作の前では前記ハウジングの内部に収容されるとともに、前記モータをオンさせる操作によって前記ハウジングの外部に位置して操作可能となることを特徴とする作業機を提供する。
【0007】
このような構成によれば、意図せずオンロックが有効になってオン位置が維持されることが抑制され、作業性を向上させることができる。
【0008】
本発明は更に、ハウジングと前記ハウジングに収容されるモータと、前記ハウジングに支持され、オン位置とオフ位置との間を移動可能で前記オン位置のときに前記モータが駆動し前記オフ位置のときに前記モータが停止する操作部と、前記操作部を前記オン位置で維持させるオンロック位置と前記操作部のオンロックを解除するオンロック解除位置との間で前記ハウジングに移動可能に支持され、少なくとも前記操作部が前記オン位置にある際に前記ハウジングから突出するオンロック手段と、を有し、前記オンロック手段の少なくとも一部は前記ハウジングの内部に収容されるとともに、前記操作部の位置に応じて前記ハウジングの内部に位置する体積が変化するよう構成され、前記操作部が前記オン位置のときの前記オンロック手段の前記ハウジングからの突出量は、前記操作部が前記オフ位置のときの前記オンロック手段の前記ハウジングからの突出量よりも大きいことを特徴とする作業機を提供する。
【0009】
このような構成によれば、操作部がオフ位置のときのオンロック手段のハウジングからの突出量は、操作部がオン位置のときのオンロック手段の突出量よりも小さいため、操作部がオフ位置のときのオンロック手段の操作は操作部がオン位置のときの操作と比べて困難となり、操作部をオン位置にしたときにオンロック状態となることを防止でき、意図せずオンロックが有効になってオン位置が維持されることが抑制され、作業性を向上させることができる。
【0010】
上記構成の作業機において、前記ハウジングとの間に内部空間を形成するように前記ハウジングの外壁に設けられた遮蔽部をさらに有し、前記オンロック手段の全体は、前記操作部が前記オフ位置のときに前記内部空間に収容されていることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、操作部がオフ位置のときにオンロック手段の全体は遮蔽部とハウジングとの間の内部空間に収容され操作不可能な状態にあるため、作業者が操作部をオン位置にしたときにオンロック状態となることを防止でき、意図せずオンロックが有効になりオン位置が維持されることが抑制され、作業性を向上させることができる。
【0012】
上記構成の作業機において、前記操作部が前記オン位置のときに前記オンロック手段の一部が前記遮蔽部から外方に突出するように構成されていることが好ましい。
【0013】
上記構成の作業機において、前記操作部が前記遮蔽部を有することが好ましい。
【0014】
上記構成の作業機において前記遮蔽部には貫通孔が形成され、前記操作部が前記オン位置のときに前記オンロック手段の一部が前記貫通孔から前記遮蔽部の外方に突出していることが好ましい。
【0015】
上記構成の作業機において、前記操作部を前記オフ位置に維持するオフロック位置と前記操作部を前記オン位置に移動可能にするオフロック解除位置との間で前記ハウジングに移動可能に支持されるオフロック手段をさらに有し、前記オフロック手段が前記オフロック位置にあるときの前記オンロック手段の前記ハウジングからの突出量は、前記オフロック手段が前記オフロック解除位置にあるときの前記オンロック手段の前記ハウジングからの突出量よりも小さいことが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、オフロック手段によって操作部をオフ位置で維持させることによって、作業者が意図せず操作部がオン位置になることを抑制し、作業性を更に向上させることができる。
【0017】
上記構成の作業機において、前記オフロック手段は前記ハウジングに揺動可能に支持されていることが好ましい。
【0018】
上記構成の作業機において、前記オフロック手段は前記ハウジングに対して摺動可能に支持されていることが好ましい。
【0019】
上記構成の作業機において、前記オフロック手段が前記オフロック解除位置で且つ前記オンロック手段が前記オンロック解除位置のときに前記操作部は前記オフ位置と前記オン位置との間を移動可能であることが好ましい。
【0020】
上記構成の作業機において、前記オフロック手段が前記オフロック解除位置から前記オフロック位置に向かうときの前記オフロック手段の移動方向と、前記オンロック手段が前記オンロック解除位置から前記オンロック位置に向かうときの前記オンロック手段の移動方向とが互いに反対方向であることが好ましい。
【0021】
このような構成によれば、オフロックを有効にするためにオフロック手段を移動させる方向と、オンロックを有効にするためにオンロック手段を移動させる方向とが互いに異なっており、作業者がオフロック手段とオンロック手段の操作の混同を抑制する構成になっているため、作業性を更に向上させることができる。
【0022】
上記構成の作業機において、前記モータは前記ハウジングの長手方向に延びる回転軸を有し、前記オンロック手段は、前記オフロック手段とは前記モータの半径方向反対側に設けられていることが好ましい。
【0023】
このような構成によれば、ハウジングの外壁においてオフロック手段がオンロック手段とは反対側に設けられており、作業者のオフロック手段とオンロック手段の操作の混同を抑制する構成になっているため、作業性を更に向上させることができる。
【0024】
本発明は更に、ハウジングと前記ハウジングに収容されるモータと、前記ハウジングに支持され、オン位置とオフ位置との間を移動可能で前記オン位置のときに前記モータが駆動し前記オフ位置のときに前記モータが停止する操作部と、前記操作部を前記オン位置で維持させるオンロック位置と前記操作部のオンロックを解除するオンロック解除位置との間で前記ハウジングに移動可能に支持されるオンロック手段と、前記操作部を前記オフ位置に維持するオフロック位置と前記操作部を前記オン位置に移動可能にするオフロック解除位置との間で前記ハウジングに移動可能に支持されるオフロック手段と、前記ハウジングの長手方向一端部において前記ハウジングに支持され前記モータの駆動力を受けて回転し工具を取付け可能な工具取付部と、を有し、前記オンロック手段は前記オフロック手段よりも前記長手方向において前記工具取付部側にあることを特徴とする作業機を提供する。
【0025】
このような構成によれば、作業者は一方の手で作業機の工具取付部側である前方を把持しつつ、他方の手でオフロック解除、操作部のオン位置への移動、オンロック有効化の一連の動作を上記の順番で行うことが容易となる。すなわち、オンロック手段がオフロック手段よりも工具取付部側に設けられているため、上記動作のうち最終工程であるオンロック有効化を操作するためのオンロック手段の位置がスイッチレバーを操作した作業者手の位置と対応する構成となっており、作業性を向上させることができる。
本発明はさらに、ハウジングと、前記ハウジングに収容されるモータと、前記ハウジングの一部であり、オン位置とオフ位置との間を移動可能で前記オン位置のときに前記モータが駆動し前記オフ位置のときに前記モータが停止する操作部と、前記モータを駆動状態で維持可能なオンロック手段と、を有し、前記オンロック手段の少なくとも一部は、前記モータをオンさせる操作の前では前記ハウジングから露出せず、前記モータをオンさせる操作によって前記ハウジングから露出して操作可能となることを特徴とする作業機を提供している。
本発明はさらに、ハウジングと、前記ハウジングに収容されるモータと、前記ハウジングの一部であり、オン位置とオフ位置との間を移動可能で前記オン位置のときに前記モータが駆動し前記オフ位置のときに前記モータが停止する操作部と、前記操作部を前記オン位置で維持させるオンロック位置と前記操作部の動作を許容するオンロック解除位置との間で前記ハウジングに移動可能に支持され、少なくとも前記操作部が前記オン位置にある際に前記ハウジングから突出するオンロック手段と、を有し、前記オンロック手段の少なくとも一部は前記ハウジングの内部に位置するとともに、前記操作部の位置に応じて前記ハウジングの内部に位置する体積が変化するよう構成され、前記オンロック手段が操作されていない状態において、前記操作部が前記オン位置のときの前記オンロック手段の前記ハウジングからの突出量が、前記操作部が前記オフ位置のときの前記オンロック手段の前記ハウジングからの突出量よりも大きいことを特徴とする作業機を提供している。
【発明の効果】
【0026】
本発明の作業機によれば、作業者が操作部をオン位置にしたときに意図せずオンロックが有効になることを抑制することができる。また、本発明によれば、操作性の良いオンロック手段を有する作業機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係るディスクグラインダの内部構造を示す断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係るディスクグラインダのハウジングとオンロックレバーの外観を示す図であり、(a)はオンロックレバーが装着されたハウジングの分解斜視図、(b)はオンロックレバーの分解斜視図、(c)はオンロックレバーの斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係るディスクグラインダのスイッチレバーとオフロックレバーの外観を示す図であり、(a)はオフロックレバーの分解斜視図、(b)オフロックレバー装着前のスイッチレバーを示す斜視図、(c)はオフロックレバーが装着されたスイッチレバーを示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係るディスクグラインダの初期位置とオフロック解除位置の状態を示す図であり、(a)はオフロックレバーがオフロック位置にある状態、(b)はオフロックレバーがオフロック解除位置にある状態を示す。
【
図5】本発明の第1の実施の形態に係るディスクグラインダのオン位置とオンロック位置の状態を示す図であり、(a)はスイッチレバーがオン位置にある状態、(b)はスイッチレバーがオン位置でオンロックレバーがオンロック位置となる直前の状態を示す。
【
図6】本発明の第1の実施の形態に係るディスクグラインダのオン位置とオンロック位置の状態を示す図であり、スイッチレバーがオン位置でオンロックレバーがオンロック位置にある状態を示す。
【
図7】本発明の第2の実施の形態に係るディスクグラインダの内部構造を示す断面図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態に係るディスクグラインダの初期位置とオフロック解除位置の状態を示す図であり、(a)はオフロック部がオフロック位置にある状態、(b)はオフロック部がオフロック解除位置にある状態を示す。
【
図9】本発明の第2の実施の形態に係るディスクグラインダのオン位置とオンロック位置の状態を示す図であり、(a)はスイッチレバー部がオン位置にある状態、(b)はスイッチレバー部がオン位置でオンロックレバーがオンロック位置にある状態を示す。
【
図10】本発明の第3の実施の形態に係るディスクグラインダの内部構造を示す断面図である。
【
図11】本発明の第3の実施の形態に係るディスクグラインダの初期位置とオフロック解除位置の状態を示す図であり、(a)は摺動部がオフロック位置にある状態、(b)は摺動部がオフロック解除位置にある状態を示す。
【
図12】本発明の第3の実施の形態に係るディスクグラインダのオン位置とオンロック位置の状態を示す図であり、(a)は摺動部がオン位置にある状態、(b)は摺動部がオン位置でオンロックレバーがオンロック位置にある状態を示す。
【
図13】本発明の第4の実施の形態に係るディスクグラインダの内部構造を示す断面図である。
【
図14】本発明の第4の実施の形態に係るディスクグラインダの初期位置とオフロック解除位置の状態を示す図であり、(a)はオフロック部がオフロック位置にある状態、(b)はオフロック部がオフロック解除位置にある状態を示す。
【
図15】本発明の第4の実施の形態に係るディスクグラインダのオン位置とオンロック位置の状態を示す図であり、(a)はスイッチレバー部がオン位置にある状態、(b)はスイッチレバー部がオン位置でオンロック部がオンロック位置にある状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る作業機の一例であるディスクグラインダ1について
図1乃至
図5を参照しながら説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係るディスクグラインダの内部構造を示す断面図である。
【0029】
図1に示されているように、ディスクグラインダ1は、ハウジング2と、モータ3と、スイッチレバー4と、オンロックレバー5と、オフロックレバー6とを備えている。
図1に示されている「上」を上方向、「下」を下方向、「前」を前方向、「後」を後方向と定義する。また、ディスクグラインダ1を後から見た場合の「右」を右方向、「左」を左方向と定義する。スイッチレバー4は本発明における「操作部」の一例であり、オンロックレバー5は本発明における「オンロック操作部」の一例であり、オフロックレバー6は本発明における「オフロック操作部」の一例である。
【0030】
ハウジング2は、ディスクグラインダ1の外殻をなしており、テールカバー21と、モータハウジング22と、ギヤカバー23と、スイッチレバー4とを有している。
【0031】
テールカバー21は、前後方向に延びる略円筒形状をなしており、ハウジング2の後端をなし、テールカバー21の前端部とモータハウジング22の後端部とが接続されている。テールカバー21の内部にはスイッチ211が収容されている。テールカバー21の下側面からは支持部212が下方に向かって延びており、支持部212の後方であってテールカバー21の下側面には係止部213が設けられ、下側後端部には支点部214が設けられている。また、テールカバー21の下端部には、スイッチレバー4とオンロックレバー5が取付けられている。また、テールカバー21の後端部からは図示せぬ外部電源に接続される電源コード215が延出している。
【0032】
モータハウジング22は、前後方向に延びる略円筒形状をなしており、モータハウジング22の前端部は、ギヤカバー23の後端部に接続されている。モータハウジング22の内部にはモータ3と、冷却ファン7とが収容されている。
【0033】
ギヤカバー23は、前後方向に延びる略円筒形状をなしており、内部に動力伝達部231を収容している。
【0034】
スイッチ211は、スイッチ211の下側面から下方に突出するように設けられた押しボタン211aを有する。押しボタン211aの下側面を上方に向けて押圧すると上方に移動し、移動距離が所定の大きさに達すると電源コード215を通じてモータ3に電力が供給されるように構成されている。
【0035】
モータ3は、前後方向に延びる回転軸31を有する。回転軸31は軸方向が前後方向に一致するようにモータハウジング22の内部に配置されギヤカバー23に固定されるベアリング32とモータハウジング22に固定されるベアリング33を介して回転可能に支承されている。
【0036】
冷却ファン7はモータ3の前方に位置し、モータ3の回転軸31と同軸一体回転できるように回転軸31に固定されている。冷却ファン7は、冷却ファン7の回転力によって、テールカバー21に形成されたスリット状の吸気孔219から取り入れられた空気がモータ3を通過してギヤカバー23に形成された図示せぬ排気孔から排出されるように構成されている。
【0037】
動力伝達部231は、傘歯車232、233と、ベアリング234と、スピンドル235とを有している。動力伝達部231は、モータ3から先端工具である砥石8への動力伝達経路上に設けられ、回転軸31(モータ3)の回転力を砥石8に対して伝達するように構成されている。スピンドル235は本発明における工具取付部の一例である。
【0038】
スピンドル235は、モータ3の回転軸31と直交して下方に延び、ギヤカバー23に固定されるベアリング234により回転可能に支持されている。スピンドル235の下端には先端工具である砥石8が取付けられている。
【0039】
傘歯車232はモータ3の回転軸の31の前端に固定され、傘歯車232は回転軸31と一体回転する。傘歯車232の前方には、傘歯車232に噛合する傘歯車233が設けられている。傘歯車233はスピンドル235の上部に固定されており、傘歯車233はスピンドル235と同軸一体回転する。また、傘歯車233の半径は傘歯車232の半径よりも大きい。
【0040】
砥石8は円盤形状をなしており、ナット9を介してスピンドル235の延びる方向と直交するようにスピンドル235に取付けられている。砥石8は、例えば直径100mmのレジノイドフレキシブルトイシ、フレキシブルトイシ、レジノイドトイシ、サンディングディスク等からなる。砥石8は、用いる砥粒の種類の選択により金属、合成樹脂、大理石、コンクリートなどの表面研磨、曲面研磨が可能である。また、半円形状をなすホイルガード81が砥石8の後側半分を覆うように取付けられている。ホイルガード81は、研削された部材や破損した砥粒等の飛散を抑制するためのものである。
【0041】
次に、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチレバー4、オンロックレバー5、オフロックレバー6の構成について
図1乃至
図5を参照しながら説明する。
図3(b)に示されるように、スイッチレバー4は、テールカバー21の長手方向に沿ってテールカバー21の後端部から前端部に向けて延びており、底部42と、前壁部43と、左壁44と、右壁45と、突出部46と、一対の支持部47と、取付部48a、48bとを有している。左壁44と、右壁45と、底部42は本発明における「遮蔽部」の一例である。
【0042】
底部42は略平板状でスイッチレバー4の底部をなし、取付部48a、48bは底部42後端部の上面に設けられている。取付部48a、48bは略円環状をなし、底部42の上面から上方に延びており、左右方向に所定の間隔をおいて配置されている。取付部48a、48bには、それぞれ左右方向に延びる貫通孔481a、481bが形成されている。取付部48a、48bは、貫通孔481a、481bに挿通される図示せぬ回動軸を介してテールカバー21の支点部214(軸部)に揺動可能に固定されており、この構成によりスイッチレバー4はテールカバー21の底部に対して支点部214(軸部)を中心に、
図4(b)で示すB1方向(時計回り)及びB2方向(反時計回り)に揺動可能となる。
【0043】
底部42の取付部48a、48bが設けられている位置の前方の位置には、略矩形で上下方向に貫通する第1貫通孔491が形成されている。また、底部42の第1貫通孔491の前方の位置には、略矩形で上下方向に貫通する第2貫通孔492が形成されている。第2貫通孔492は、本発明における「貫通孔」の一例である。
【0044】
支持部47は、左右方向に所定の間隔をおいて位置する右支持部47Aと左支持部(不図示)とにより構成されている。右支持部47Aと左支持部(不図示)とは、左右対称に構成されているため、右支持部47Aについてのみ説明し、左支持部(不図示)についての詳細な構成の説明は省略する。右支持部47Aは、右壁45から左方に延びる略直方体形状をなしている。右支持部47Aは、第1貫通孔491より上側に位置している。右支持部47Aには、受入溝47aが形成されている。受入溝47aは、右支持部47Aの左面から右方向に延び上方に開口している。
【0045】
突出部46は、底部42の上面で支持部47と第2貫通孔492との間に位置し、略円筒形状をなして上方に延びている。突出部46は、下方に突出する爪部を有する係止部461と、円筒部462とを有している。前壁部43は、底部42の上面の前端部で第1貫通孔491の前方に位置し、平板形状をなし上方に延びている。左壁44と右壁45は、底部42の上面の左右端部に位置し、前壁部43及び突出部46を左右両側から挟むようにして配置され、それぞれ平板形状をなし上方に延びている。
【0046】
図2(b)に示されるように、オンロックレバー5は、略平板形状をなしており、オンロックレバー5の上側の端部で先端に爪部を有し係止部461と係合可能な係合部51、オンロックレバー5の中央部に位置し側面視環状をなす支点部52、オンロックレバー5の係合部51と反対側の端部をなすレバー部53、円柱形状をなすシャフト54、捩りばね55を有する。シャフト54は、支点部52に形成された貫通孔521を挿通して、シャフト54の両端がテールカバー21の支持部212に固定されている。レバー部53は、シャフト54を中心に
図5(a)のC1方向(時計回り)とC2方向(反時計回り)とに揺動可能となるように構成されている。また、捩りばね55は、シャフト54の周囲に巻かれており、オンロックレバー5のレバー部53をC2方向に付勢している。
【0047】
図3(a)に示されるように、オフロックレバー6は、略平板形状をなしており、オフロックレバー6の上側の端部の内端部61、オフロックレバー6の中央部に位置し側面視環状をなす支点部62、オフロックレバー6の内端部61と反対側の端部をなすレバー部63、円柱形状をなすシャフト64、捩りばね65を有する。シャフト64は、支点部62に形成された貫通孔621に挿通され、シャフト64の両端はスイッチレバー4の右支持部47Aの受入溝47a及び図示せぬ左支持部の図示せぬ受入溝に回転可能に固定されており、オフロックレバー6のレバー部63は支点部62の回動軸心を中心に
図4(a)のA1方向(時計回り)及びA2方向(反時計回り)に揺動可能となるように構成されている。また、捩りばね65はシャフト64の周囲に巻かれており、レバー部63をB2方向に付勢している。
【0048】
次に、第1の実施の形態におけるディスクグラインダ1の動作、及びスイッチレバー4と、オンロックレバー5と、オフロックレバー6の操作について
図4(a)乃至
図6を参照して説明する。ディスクグラインダ1を動作させる際、作業者は一方の手でテールカバー21の上面と、スイッチレバー4の底部42を包み込むように把持する。また、必要に応じてモータハウジング22の周囲、またはギヤカバー23に取り付けられるサブハンドル等を他方の手で把持する。ディスクグラインダ1の重心はモータ3の領域に位置しており、作業者は重心を挟むように両手でディスクグラインダ1を把持する。
図4(a)で示されるディスクグラインダ1の状態は、スイッチレバー4、オンロックレバー5、オフロックレバー6のいずれに対しても外力が加わっておらず、且つスイッチレバー4、オンロックレバー5、オフロックレバー6のいずれも動作をしていない初期位置の状態を示している。ディスクグラインダ1の初期位置の状態では、オフロックレバー6のレバー部63の後面と第1貫通孔491を形成する内周面とが捩りばね65のA2方向(
図4(a))への付勢力により当接している。このとき、レバー部63の先端部が第1貫通孔491から突出している。また、内端部61とテールカバー21の係止部213とは前後方向の同じ位置にあり、上下方向の所定の間隔をおいて対向している。初期位置の状態では、スイッチレバー4は自重により揺動許容範囲の最も下側の位置で停止した状態にある。また、初期位置の状態では、オンロックレバー5のレバー部53が捩りばね55のC2方向(
図5(a))への付勢力により揺動許容範囲の最も右側の位置で停止した状態にある。このときのオンロックレバー5の位置をオンロック解除位置と呼ぶ。このとき、係合部51と係止部461とが係合していない状態にある。
【0049】
ディスクグラインダ1が初期位置の状態のときに作業者がスイッチレバー4の底部42を握り、
図4(b)で示されるB1方向の外力を加えたとしても、オフロックレバー6の内端部61の上面がテールカバー21の係止部213の下面に当たる構成となっており、スイッチレバー4は所定の角度以上に揺動できないため、モータ3を駆動させるための押しボタン211aは突出部46によって押圧されない。このときのオフロックレバー6の位置をオフロック位置と呼ぶ。また、底部42の位置が
図4(a)の位置にあり、押しボタン211aが突出部46によって押圧されていないときのスイッチレバー4の位置をオフ位置と呼ぶ。スイッチレバー4がオフ位置にあるとき、底部42と、前壁部43と、左壁44と、右壁45と、突出部46と、テールカバー21の底部の外表面とによって取囲まれる内部空間421が形成されている。内部空間421は本発明における「内部空間」の一例である(
図4(a))。
【0050】
図4(a)に示されるように、スイッチレバー4がオフ位置にあるとき、オンロックレバー5のレバー部53の全体は内部空間421の内部に収容されている。このとき、オンロックレバー5のレバー部53は内部空間421に収容されて操作不能な状態にあるため、作業者がスイッチレバー4を操作する前の段階でオンロックレバー5が操作されてオンロックが有効になることがない。このような構成であれば、作業者がスイッチレバー4をオン位置にして押しボタン211aを押圧してモータ3を駆動させたときに意図せずオンロックが有効になりオン状態が維持されるような事態が生じることなく、操作性を向上させることができる。
【0051】
初期位置の状態で、作業者がオフロックレバー6のレバー部63に対して
図4(a)のA1方向に外力を加えて支点部62の回動軸心を中心にレバー部63を揺動させると、内端部61は後方に移動し、係止部213とオフロックレバー6との間の上下方向の間隔が拡大することにより、スイッチレバー4の底部42はB1方向に揺動可能となる。このとき、スイッチレバー4及びオンロックレバー5に対して何ら外力が加わっておらずスイッチレバー4及びオンロックレバー5は初期位置のままである。
図4(b)で示されるオフロックレバー6の位置で、係止部213とオフロックレバー6との間に十分な上下方向の間隔があり底部42がB1方向に揺動を許容する状態のオフロックレバー6の位置をオフロック解除位置と呼ぶ。ディスクグラインダ1は、オフロックレバー6がオフロック解除位置で且つオンロックレバー5がオンロック解除位置のときに、スイッチレバー4の底部42がB1方向に揺動が可能となる。
【0052】
図4(b)の状態で、作業者がオフロックレバー6のレバー部63に外力を加えてオフロックレバー6をオフロック解除位置で維持させたまま、スイッチレバー4の底部42を握ってB1方向の外力を加えると、底部42は支点部214の回動軸心を中心にB1方向に揺動する。このとき、オンロックレバー5に対して何ら外力が加わっておらずオンロックレバー5は初期位置のままである。底部42がB1方向に揺動するに伴い、底部42と共に同一方向に移動する突出部46が上方に移動してスイッチ211の押しボタン211aが押圧されてスイッチ211がオンされる。これに伴い、外部電源から電源コード215を通じてモータ3に電力が供給され、モータ3が駆動する(
図5(a))。底部42が
図5(a)の位置にあり、突出部46によって押しボタン211aが押圧されているときのスイッチレバー4の位置をオン位置と呼ぶ。
【0053】
モータ3が駆動すると、モータ3の回転軸31と同軸一体回転する傘歯車232が回転する。傘歯車232の回転力は、傘歯車232と噛合している傘歯車233に伝達され、傘歯車233が回転する。傘歯車233の回転に伴い、傘歯車233と同軸一体回転するスピンドル235が回転しスピンドル235の下端に取付けられた砥石8が回転する。なお、モータ3の駆動力は傘歯車232と傘歯車233との半径比(ギヤ比)に応じて減速されてスピンドル235に伝達される。
【0054】
作業者が底部42をB1方向に揺動させると、スイッチレバー4の移動に伴い内部空間421に収容されていたオンロックレバー5のレバー部53の一部は底部42の第2貫通孔492から外部に突出するため、作業者はレバー部53を操作可能、つまり外力を加えることが可能となる(
図5(a))。このとき、
図4(a)における内端部61の前面は
図5(a)に示すようにテールカバー21の底面と当接しているため、作業者がオフロックレバー6のレバー部63から指を離しても、レバー部63はA2方向に揺動しない。
【0055】
図5(a)で示されるスイッチレバー4をオン位置に維持した状態では、係止部461もスイッチレバー4の上昇と共に上昇しているので、作業者がオンロックレバー5の支点部52の回動軸心を中心にレバー部53を
図5(a)のC1方向(時計回り)にスイッチレバー4に対して略前方に揺動させると、係合部51は係止部461の下方に位置するように略後方に移動する(
図5(b))。このとき、オフロックレバー6の内端部61の前面はテールカバー21の底面と当接したままである。作業者が捩りばね55の付勢力に抗してレバー部53を指で押さえてレバー部53の前側の面と第2貫通孔492を形成する内周面とを当接させた状態で底部42を握る力を徐々に弱めると、スイッチレバー4は押しボタン211aの付勢力によってB2方向(反時計回り)に揺動し、これに伴いスイッチレバー4に設けられた係止部461の爪部が下方に移動し、係合部51の爪部と係止部461の爪部とが係合する(
図6)。このとき、作業者がオンロックレバー5のレバー部53から指を離しても、係止部461の移動が係合部51によって阻害され、また押しボタン211aの付勢力によりレバー部53の前側の面と第2貫通孔492を形成する内周面とは当接したままとなり、係合部51と係止部461の係合状態が維持されるので、スイッチレバー4のB2方向の揺動が規制される。より具体的には、テールカバー21に支持されたオンロックレバー5の係合部51の爪部とスイッチレバー4の係止部461の爪部との係合によるレバー部53の前側の面と第2貫通孔492を形成する内周面との当接によって、スイッチレバー4はB2方向への揺動を停止する。このとき、作業者がスイッチレバー4から手を離してもスイッチレバー4の位置はオン位置に維持され、モータ3は駆動し続ける。この状態におけるオンロックレバー5の位置をオンロック位置と呼ぶ。このとき、モータ3が駆動し、且つスイッチレバー4、オンロックレバー5、オフロックレバー6のいずれも動作を停止している状態にある。この状態をディスクグラインダ1のオンロック状態と呼ぶ。
【0056】
次に、ディスクグラインダ1の作動を停止するときの動作について説明する。ディスクグラインダ1がオンロック状態にある場合に(
図6)、作業者がスイッチレバー4を握ってB1方向に外力を加えると、スイッチレバー4に設けられた係止部461がオンロックレバー5に対して上方に移動するため、係止部461の爪部は係合部51の爪部から離間して両者の係合は解除される(
図5(b))。これにより、オンロックレバー5のレバー部53は捩りばね55の付勢力によってC2方向に揺動し、レバー部53はオンロック解除位置に向けて揺動し、レバー部53の後面が第2貫通孔492を形成する内周面と当接して停止する(
図5(a))。係止部461の爪部と係合部51の爪部との係合が解除されたことにより、スイッチレバー4はB2方向に揺動可能になり、作業者がスイッチレバー4から手を離すとスイッチレバー4は図示せぬ捩りばねの付勢力により更にB2方向に揺動して、オフ位置で移動を停止する(
図4(b))。スイッチレバー4の揺動に伴いテールカバー21とスイッチレバー4の底部42の前側の先端部との上下方向の距離が拡大していき、当該距離が所定値に達すると、オフロックレバー6の内端部61の前面とテールカバー21の底面とが離間する。これに伴いオフロックレバー6のレバー部63は捩りばね65の付勢力によりA2方向に揺動し、レバー部63の後面が第1貫通孔
491を形成する内周面と当接することで、レバー部63は停止する。このとき、また、スイッチレバー4のB2方向への揺動に伴い突出部46の上面は押しボタン211aから離間する方向に移動し、当該離間距離が所定の大きさに達すると、電源コード215を介した外部電源からモータ3への電力の供給が停止し、モータ3は駆動を停止する。このとき、モータ3の駆動、及びスイッチレバー4、オンロックレバー5、オフロックレバー6のいずれの動作も停止しており、ディスクグラインダ1の状態は初期位置の状態となる(
図4(a))。
【0057】
ディスクグラインダ1では、安定した把持状態を維持するため、作業者は一方の手で前方を把持しつつ、後方において他方の手でオフロックレバー6を操作してオフロック解除、スイッチレバー4のオン位置への移動、オンロックレバー5を操作してオンロック有効化、の一連の動作を上記の順番で行う必要があるところ、前後方向におけるオンロックレバー5の位置がスイッチレバー4の位置と重なるので、スイッチレバー4を操作している手でそのままオンロックレバー5を操作することが容易となり、把持の仕方を変更せずに済むので、安定した作業が可能となる。また、オフロックレバー6よりも前方の位置に設けられているため、オフロックレバー6を操作した後にオンロックレバー5を操作する手の動きを前方向に制限し、把持位置が重量物(モータ3やギヤカバー23)から遠ざからないようにすることができる。また、オフロックレバー6を操作した一方の手はそのままに、前方を把持する他方の手によってオンロックレバー5を操作することも容易となる。総じて、作業性を向上させることができる。
【0058】
また、ディスクグラインダ1は、オンロックレバー5のレバー部53の少なくとも一部が、スイッチレバー4がオフ位置(初期位置)のときにハウジング2(テールカバー21及びスイッチレバー4)の内部に収容され、レバー部53の当該一部はスイッチレバー4がオン位置のときにハウジング2(スイッチレバー4)の外部に露出する構成となっているため、スイッチレバー4がオフ位置のときにオンロックレバー5へ外力を加えることはスイッチレバー4がオン位置のときと比べて困難となり、スイッチレバー4をオン位置にしたときに意図せずオンロックが有効になってオン位置が維持されることが抑制され、作業性を向上させることができる。また、非作業状態においてはオンロックレバー5がスイッチレバー4によって保護されるようになるので、例えば落下時等においてオンロックレバー5に衝撃が加わり難くなり、比較的小型な部品であるオンロックレバー5の破損を抑制することができる。
【0059】
また、ディスクグラインダ1は、オフロックレバー6がオフロック位置からオフロック解除位置に向かうときのレバー部63の移動方向と、オンロックレバー5がオンロック位置からオンロック解除位置に向かうときのレバー部53の移動方向とが互いに反対方向となっており、作業者によるオフロックレバー6の操作とオンロックレバー5の操作との混同を抑制する構成になっており、作業性を更に向上させることができる。
【0060】
本発明の第1の実施の形態にかかる作業機の一例であるディスクグラインダは、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、上述した第1の実施の形態では、スイッチレバー4がオフ位置のときにオンロックレバー5のレバー部53の全体が内部空間421に収容されており、スイッチレバー4がオン位置のときにレバー部53が第2貫通孔492から外部に突出する構成となっているが、上述した構成の替わりに、スイッチレバー4がオン位置のときにオンロックレバー5のレバー部53の少なくとも一部が内部空間421の内部に収容されるとともに、スイッチレバー4の位置に応じてレバー部53が内部空間421の内部に位置する体積が変化するように構成してもよい。すなわち、スイッチレバー4がオン位置のときのレバー部53の内部空間421からの突出量は、スイッチレバー4がオフ位置のときのレバー部53の内部空間421からの突出量よりも大きくなるように構成されていてもよい。このような構成においても、モータ3をオンさせる操作前のとき、すなわちスイッチレバー4がオフ位置のときのレバー部53の操作はスイッチレバー4がオン位置のときのレバー部53の操作と比べて困難となるため、スイッチレバー4をオン位置にしたときにオンロック状態となることを防止し、意図せずオンロックが有効になってオン位置が維持されることが抑制され、作業性を向上させることができる。また、モータ3を駆動状態で維持するオンロック手段としてオンロックレバー5という機械的な構造となっているが、オンロックレバー5に換えて電子的なプッシュスイッチとしてもよい。この場合においても、オンロック手段はモータ3をオンさせる操作の前ではハウジング2の内部に位置して外力を加えることが困難となるので、誤ってオンロック手段が動作することを抑制できる。
【0061】
次に、
図7乃至
図9を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る作業機の一例であるディスクグラインダ100について説明する。ディスクグラインダ100は、基本的に第1の実施の形態に係るディスクグラインダ1と同一の構成を有しており、ディスクグラインダ1と同一の構成については、同一の参照番号を付し説明を適宜省略し、相違する構成及びより詳細に説明すべき構成について主に説明する。また、ディスクグラインダ1と同一の構成については、上記において説明した効果と同様の効果を奏する。
【0062】
図7に示されているように、第2の実施の形態に係るディスクグラインダ100においては、テールカバー21に替えて、テールカバー121が設けられている。テールカバー121の内部には、スイッチ211の下方の位置に、下方に延出する係止部216が設けられている。テールカバー121の後端部にはテールカバー121の下端から上方に延びる第2係止部218が設けられている。また、第2の実施の形態に係るディスクグラインダ100においては、スイッチレバー4に替えて、モータハウジング22及びテールカバー121と平行に前後方向に延びるスイッチレバー部104が設けられている。また、第2の実施の形態に係るディスクグラインダ100においては、オンロックレバー5に替えて、係合部1051を有するオンロックレバー105が設けられている(
図7)。オンロックレバー105の捩りばね1055はレバー部1053を
図7の時計回り方向に付勢しており、作業者はオンロックレバー105をオンロック位置に移動させるときにレバー部1053を捩りばね1055の付勢力に抗して反時計回り方向に揺動させる。また、第2の実施の形態に係るディスクグラインダ100においては、オフロックレバー6に替えて、モータハウジング22及びテールカバー121と平行に前後方向に延びるオフロック部106が設けられている。
【0063】
スイッチレバー部104は、平坦部1041と、係合部1042と、第1突出部1043と、第2突出部1044と、後端部1045と、ばね1046とを有する。平板形状をなして前後方向に延びる平坦部1041平坦部1041の前端部はモータハウジングの下部に支持されている。平坦部1041の下面に対して上方向の外力を加えると、スイッチレバー部104は平坦部1041の前端部を中心に揺動可能である。係合部1042は、側面視逆L字形状をなし、平坦部1041の後端から上方に延出している。係合部1042の先端には爪部が設けられている。第1突出部1043は、側面視略三角形状をなし、係合部1042の後方に位置し、スイッチレバー部104の上面から上方に延出している。第2突出部1044は、側面視略三角形状をなし、スイッチレバー部104の上面から上方に延びている。第2突出部1044の上面は押しボタン211aの下面と対向している。後端部1045は、スイッチレバー部104の後端部をなし、側面視逆L字形状をなすとともに、後方に延びる爪部を有し、後端部1045の爪部の下面は第2係止部218の上面の上方に位置している。ばね1046は、第1突出部に巻回され、スイッチレバー部104の上面から上方に延出し上端をテールカバー121の一部に固定され、スイッチレバー部104を下方に付勢している。また、スイッチレバー部104には、前後方向において係合部1042と第1突出部1043との間の位置に、上下方向に貫通する貫通孔1047が形成されている。
【0064】
オフロック部106は、レバー部1061と、連結部1062と、第3突出部1063と、ばね1064と、制動部1065とを有している。レバー部1061は、スイッチレバー部104に対して前後方向に摺動可能にスイッチレバー部104に下方から支持されている。連結部1062は、複数の平板形状の部材が連結されることにより構成され、前後方向に延出している。連結部1062の前端部の下面はモータハウジング22の底壁の内側面と当接している。また、連結部1062の中央部の下面はスイッチレバー部104の前部の上面と当接しており、連結部1062の後端部はレバー部1061の前端部と接続されている。また、連結部1062には、前後方向において貫通孔1047と同位置に、上下方向に延びる貫通孔1062aが形成されている。貫通孔1062aには、オンロックレバー105が配置されている。第3突出部1063は、側面視略矩形をなし、前後方向においてレバー部1061の中央に位置し、レバー部1061の上面から上方に延びている。第3突出部1063の上端には上方に突出する凸部が設けられている。ばね1064は、前後方向に延び、前後方向において第1突出部1043と第3突出部1063の間に設けられており、第3突出部1063を後方に付勢している。
【0065】
制動部1065は、当接部1070と、押圧部1071と、一対のブレーキパッド1072と、中間部1073と、凸部1074と、引掛部1075と、ばね1076と、ばね1077とを有する。当接部1070は、円環形状をなし、冷却ファン7の前方に位置し、中央部に形成された貫通孔にはモータ3の回転軸31が固定されている。これにより、回転軸31と押圧部1071とは前後方向に延びる軸心を中心に一体回転可能である。押圧部1071は、円環形状をなし、当接部1070の前方に位置し、中央部に形成された貫通孔には回転軸31が挿通されており、前後方向に移動可能にモータハウジング22に支持されている。なお、押圧部1071の中央部に形成された貫通孔は回転軸31の外径よりも大きい外径を有している。一対のブレーキパッド1072は、押圧部1071の後面に回転軸31の軸心に関して対称に設けられている。中間部1073は、円環形状をなし、中央部に形成された貫通孔に回転軸31が挿通されている。なお、中間部1073の中央部に形成された貫通孔は回転軸31の外径よりも大きい外径を有している。また、ディスクグラインダ100に外力が働いていない状態において、中間部1073の後面は押圧部1071の前面と当接しており、中間部1073の上端部後面はモータハウジング22の内周面と当接しており、中間部1073の下端部は、連結部1062と接続されている。中間部1073は、中間部1073とモータハウジング22の内周面との当接面付近の図示せぬ回動軸心を中心に揺動可能に、モータハウジング22に支持されている。凸部1074は、側面視略矩形をなし、押圧部1071の貫通孔を形成する内周面の左側から右方に突出している。引掛部1075は、側面視L字形状をなし、凸部1074の上方の位置で中間部1073の後面から後方に延出しており、引掛部1075の後端部には下方に延びる爪部が設けられている。ばね1076は、前後方向において押圧部1071の前面とモータハウジング22の内面との間に設けられて回転軸31に挿通されており、前後方向に延びて押圧部1071を後方に付勢している。ばね1077は、回転軸31よりも上方の位置で前後方向に延び、前後方向において中間部1073の前面とモータハウジング22の内側面との間に設けられる引張ばねであり、中間部1073を後方に付勢している。ばね1077の付勢力により、連結部1062は、中間部1073を介して後方に付勢されている。
【0066】
次に、第2の実施の形態におけるディスクグラインダ100の動作、及びスイッチレバー部104と、オンロックレバー105と、オフロック部106の操作について
図8(a)乃至
図9(b)を参照して説明する。
【0067】
ディスクグラインダ100を動作させる際、作業者は一方の手でスイッチレバー部104の平坦部1041の周囲またギヤカバーを支持し、他方の手でオフロック部106のレバー部1061の周囲を把持する。
図8(a)で示されるディスクグラインダ100の状態は、スイッチレバー部104、オンロックレバー105、オフロック部106のいずれに対しても外力が加わっておらず、且つスイッチレバー部104、オンロックレバー105、オフロック部106のいずれも動作をしていない状態を示している。当該状態においては、オフロック部106のレバー部1061は、ばね1064の付勢力により、摺動許容範囲の最も後側の位置で停止した状態にある。このとき、第3突出部1063の凸部の上面は、テールカバー121の係止部216の下面と上下方向に所定の距離をおいて対向している。また、初期位置の状態では、ばね1046によりスイッチレバー部104はB2方向(
図8(b))にテールカバー121に対して略下方に付勢されており、スイッチレバー部104の揺動許容範囲の最も下側の位置で停止した状態にある。また、オンロックレバー105のレバー部1053が捩りばね1055のC1方向(
図9(a))への付勢力により揺動許容範囲の最も左側の位置で停止した状態にある。このときのオンロックレバー105の位置をオンロック解除位置と呼ぶ。このとき、係合部1051と係合部1042とが係合していない状態にある。また、初期位置の状態では、一対のブレーキパッド1072の後面と回転軸31に設けられた当接部1070の前面とが当接しており、一対のブレーキパッド1072の後面は、ばね1076の付勢力により押圧部1071を介して当接部1070の前面に押圧されているため、誤作動で押しボタン2
11aが押圧されてモータ3が駆動した場合であっても、一対のブレーキパッド1072の後面と当接部1070の前面との間の摩擦力よって、回転軸31の回転は抑制される状態にある。このときの制動部1065の状態を、ブレーキ有効状態と呼ぶ。
【0068】
スイッチレバー部104、オンロックレバー105、オフロック部106のいずれも動作をしていない状態のときに作業者がスイッチレバー部104に
図8(b)で示されるB1方向の外力を加えたとしても、第3突出部1063の凸部の上面が係止部216の下面に当たる構成となっており、平坦部1041は所定の角度以上に揺動できないため、モータ3を駆動させるための押しボタン211aは第2突出部1044によって押圧されない。このときのオフロック部106の位置をオフロック位置と呼ぶ。また、平坦部1041の位置が
図8(a)の位置にあり、押しボタン211aが第2突出部1044によって押圧されていないときのスイッチレバー部104の位置をオフ位置と呼ぶ。スイッチレバー部104がオフ位置にあるとき、貫通孔1062aを形成する内周面と貫通孔1047を形成する内周面とに取囲まれる内部空間1421が形成されている(
図8(a))。
【0069】
図8(a)に示されるように、スイッチレバー部104がオフ位置にあるとき、オンロックレバー105のレバー部1053の全体は内部空間1421の内部に収容されている。このとき、オンロックレバー105のレバー部1053は内部空間1421に収容されて外力を加えることが困難な状態にあるため、作業者がスイッチレバー部104を操作する前の段階でオンロックレバー105に外力が加わり、意図せずオンロックが有効になることを抑制することができる。
【0070】
作業者がオフロック部106のレバー部1061に対して
図8(a)のA1方向に外力を加えてレバー部1061を前方に摺動させると、レバー部1061に設けられた第3突出部1063は係止部216に対して前方に摺動する。これにより、第3突出部1063の上端部と係止部216とが上下方向において対向しなくなり(
図8(b))、平坦部1041はB1方向に揺動可能となる。また、レバー部1061の摺動に伴い、連結部1062もA1方向に摺動して、連結部1062の前端部が中間部1073の下端部を前方に押すため、中間部1073は、中間部1073の上端部を中心に
図8(b)の時計回りに揺動する。これにより、中間部1073に設けられた引掛部1075も時計回りに揺動するため、引掛部1075の後端部をなす爪部は、押圧部1071に設けられた凸部1074と当接する(
図8(b))。引掛部1075が更に時計回りに揺動するとともに、ばね1076の付勢力に抗して凸部1074と共に押圧部1071を、モータハウジングに対して略前方に移動させる。これに伴い、押圧部1071に設けられた一対のブレーキパッド1072の後面は、当接部1070の前面から離間する。このときの制動部1065の状態を、ブレーキ解除状態と呼ぶ。このとき、スイッチレバー部104及びオンロックレバー105に対して何ら外力が加わっておらずスイッチレバー部104及びオンロックレバー105は初期位置のままである。
図8(b)で示されるオフロック部106の位置で、第3突出部1063の上端部と係止部216とが上下方向において対向しておらずテールカバー121の底面との間に十分な上下方向の間隔があり、平坦部1041がB1方向に揺動を許容する状態のオフロック部106の位置をオフロック解除位置と呼ぶ。ディスクグラインダ100は、オフロック部106がオフロック解除位置で且つオンロックレバー105がオンロック解除位置のときに、スイッチレバー部104がB1方向に揺動可能となる。
【0071】
図8(b)の状態で、作業者が、ばね1064の付勢力に抗してオフロック部106のレバー部1061に外力を加えてオフロック部106をオフロック解除位置で維持させたまま、スイッチレバー部104の平坦部1041を握ってB1方向の外力を加えると、平坦部1041は、平坦部1041の前端部に位置するの図示せぬ回動軸心を中心にB1方向に揺動する。このとき、オンロックレバー105に対して何ら外力が加わっておらずオンロックレバー105は初期位置のままである。また、制動部1065はブレーキ解除状態にある。平坦部1041がB1方向に揺動するに伴い、スイッチレバー部104に設けられた第2突出部1044が上方に移動してスイッチ211の押しボタン211aが押圧される。これに伴い、図示せぬ外部電源から電源コード215を通じてモータ3に電力が供給され、モータ3が駆動する(
図9(a))。平坦部1041が
図9(a)の位置にあり、第2突出部1044によって押しボタン211aが押圧されているときのスイッチレバー部104の位置をオン位置と呼ぶ。
【0072】
作業者が平坦部1041をB1方向に揺動させると、スイッチレバー部104の移動に伴い内部空間1421に収容されていたオンロックレバー105のレバー部1053の一部はスイッチレバー部104の貫通孔1047から外部に突出するため、作業者はレバー部1053を操作可能となる(
図9(a))。このとき、
図9(a)に示すように、第3突出部1063の凸部の上面は係止部216の下面よりも上方に位置し、第3突出部1063の凸部は所定の距離をおいて係止部216の前方に位置している。
【0073】
図9(a)で示されるスイッチレバー部104をオン位置に維持した状態で、作業者がオンロックレバー105の支点部52の回動軸心を中心にレバー部1053を
図9(a)のC2方向(反時計回り)に揺動させると、係合部1051は係合部1042の爪部の下方に位置するように略前方に移動する(
図9(a))。このとき、第3突出部1063の凸部の上面は係止部216の下面よりも上方に位置し、第3突出部1063の凸部の後面は所定の距離をおいて係止部216の前面の前方に位置したままである。作業者が捩りばね1055の付勢力に抗してレバー部1053を指で押さえて揺動許容範囲の最も右側の位置で維持した状態で平坦部1041を握る力を徐々に弱めると、スイッチレバー部104は、ばね1046の付勢力により平坦部1041の前端部を中心にB2方向(時計回り)に揺動し、これに伴いスイッチレバー部104に設けられた係合部1042の爪部が下方に移動し、係合部1051の爪部と係合部1042の爪部とが係合する(
図9(b))。このとき、作業者がオンロックレバー105のレバー部1053から指を離しても、スイッチレバー部104をB2方向に付勢してスイッチレバー部104側に設けられた係合部1042を下降させるばね1046の付勢力は、係合部1051をC1方向に付勢する捩りばね1055の付勢力よりも大きいため、係合部1051と係合部1042との係合が維持されつつ、所定の外力が働かない限り係合部1051の爪部と係合部1042の爪部との係合が外れることはない。テールカバー121に支持されたオンロックレバー105の係合部1051の爪部と、スイッチレバー部104の係合部1042の爪部との係合によって、スイッチレバー部104はB2方向への揺動を停止する。このとき、作業者がレバー部1061から手を離すと第3突出部1063の凸部の後面が係止部216の前面と当接し、レバー部1061は後方への摺動を停止する(9(b))。また、このとき作業者が平坦部1041から手を離してもスイッチレバー部104の位置はオン位置に維持され、モータ3は駆動し続ける。この状態におけるオンロックレバー105の位置をオンロック位置と呼ぶ。このとき、モータ3が駆動し、且つスイッチレバー部104、オンロックレバー105、オフロック部106のいずれも動作を停止しており、制動部1065はブレーキ解除状態にある。この状態をディスクグラインダ100のオンロック状態と呼ぶ。
【0074】
次に、ディスクグラインダ100の作動を停止するときの動作について説明する。ディスクグラインダ100がオンロック状態にある場合に(
図9(b))、作業者がスイッチレバー部104を把持して平坦部1041を握ってB1方向に外力を加えると、スイッチレバー部104に設けられた係合部1042がオンロックレバー105に対して上方に移動するため、係合部1042の爪部は係合部1051の爪部から離間して両者の係合は解除される。これにより、オンロックレバー105のレバー部1053は捩りばね1055の付勢力によってC1方向に揺動し、レバー部1053はオンロック解除位置に向けて揺動し、揺動許容範囲の最も左側の位置で停止する(
図9(a))。係合部1042の爪部と係合部1051の爪部との係合が解除されたことにより、スイッチレバー部104はB2方向に揺動可能になり、作業者が平坦部1041から手を離すと平坦部1041はばね1046の付勢力により更にB2方向に揺動して、スイッチレバー部104のオフ位置で移動を停止する(
図8(b))。これに伴いオフロック部106のレバー部1061はばね1064の付勢力によりA2方向に摺動し、レバー部1061は摺動許容範囲の最も後側の位置で停止する。このとき、押圧部1071に設けられた一対のブレーキパッド1072は、ばね1076の付勢力により当接部1070の前面に押圧され、制動部1065はブレーキ有効状態となる。平坦部1041のB2方向への揺動に伴い第2突出部1044の上面は押しボタン211aから離間する方向に移動する。第2突出部1044が離間する方向に所定距離移動すると、電源コード215を介した外部電源からモータ3への電力の供給が停止し、モータ3は駆動を停止する。このとき、モータ3の駆動、及びスイッチレバー部104、オンロックレバー105、オフロック部106のいずれの動作も停止する(
図8(a))。本実施の形態においても、スイッチレバー部104がオフ
位置のときに、オンロックレバー105がハウジングの内部に収容されて外力が加わりにくい構成となっているので、意図せずオンロック状態になることを抑制できる。
【0075】
次に、
図10を参照しながら、本発明の第3の実施の形態に係る作業機の一例であるディスクグラインダ200について説明する。ディスクグラインダ200は、基本的に第2の実施の形態に係るディスクグラインダ100と同一の構成を有しており、ディスクグラインダ100と同一の構成については、同一の参照番号を付し説明を適宜省略し、相違する構成及びより詳細に説明すべき構成について主に説明する。また、ディスクグラインダ100と同一の構成については、上記において説明した効果と同様の効果を奏する。
【0076】
図10に示されているように、第3の実施の形態に係るディスクグラインダ
200においては、テールカバー121に替えて、テールカバー221が設けられている。テールカバー221は壁部2211を有し、壁部2211には前後方向に延びる貫通孔2211aが形成される。また、第3の実施の形態に係るディスクグラインダ200においては、スイッチレバー部104及びオフロック部106に替えて、摺動部206が設けられている。また、第3の実施の形態に係るディスクグラインダ200においては、オンロックレバー105に替えて、オンロックレバー205が設けられている。オンロックレバー205の上端部には係合部2051が形成されており、下端部にはレバー部2053が形成されている。またオンロックレバー205は、捩りばね1055に替えて捩りばね2055を有している。捩りばね2055はレバー部2053を反時計回りに付勢しており、作業者はオンロックレバー205をオンロック位置に移動させるときにレバー部2053を
図10の時計回りに揺動させる。また、第3の実施の形態に係るディスクグラインダ200のモータハウジング22の底壁の内側面には、平板形状をなし前後方向に延びるリンク部207が設けられている。リンク部207の前端部は中間部1073の下端部に接続されている。
【0077】
摺動部206は、モータハウジング22及びテールカバー221と平行に前後方向に延び、前後方向に摺動可能にモータハウジング22及びテールカバー221に支持されている。摺動部206の前端部の下面は、モータハウジング22の底壁の内側面と当接しており、摺動部206の前端部の前面はリンク部207の後端部と当接している。摺動部206は、後端部2061と、把持部2062と、係合部2063と、突出部2064と、平坦部2065とを有する。後端部2061は、摺動部206の後端部をなし、貫通孔2211aに挿入可能な前後方向に延びる爪部を有する。把持部2062は、前後方向において摺動部206の中央部に位置し、摺動部206の下面から下方に延出している。係合部2063は、側面視L字形状をなし、前後方向において把持部2062と同位置にあり、摺動部206の上面から上方に延びている。先端に係合部2051と係合可能な爪部が設けられている。突出部2064は、側面視矩形をなし、前後方向において押しボタン211aと同位置にあり、摺動部206の上面から上方に延びており、突出部2064の上面は、押しボタン211aの下面と対向している。平坦部2065は、平板形状をなし、モータハウジング22の下側の位置に設けられ、モータハウジング22と略平行に前後方向に延出している。また、摺動部206の底壁のオンロックレバー205の下方に位置する部分は、前方から後方にかけて上方に向かって傾斜しており、当該斜面には上下方向に貫通する貫通孔2066が形成されている。作業者が平坦部2065の下面に対して上方向の外力を加えると、摺動部206は、摺動部206の前端部に位置する図示せぬ回動軸心を中心に揺動可能である。また、摺動部206を前後方向に摺動させると、摺動部206はリンク部207を前方に押し、リンク部207の前端と接続されている中間部1073の下端部もモータハウジング22の内部で略前方に移動する。
【0078】
次に、第3の実施の形態におけるディスクグラインダ200の動作、及びオンロックレバー205と摺動部206の操作について
図11(a)乃至
図12(b)を参照して説明する。
【0079】
ディスクグラインダ200を動作させる際、作業者は一方の手で摺動部206の平坦部2065の周囲やギヤカバーを支持し、他方の手で摺動部206の把持部2062を把持する。
図11(a)で示されるディスクグラインダ200の状態は、摺動部206及びオンロックレバー205のいずれに対しても外力が加わっておらず、且つ摺動部206及びオンロックレバー205のいずれも動作をしていない状態を示している。当該状態において、摺動部206はばね1077の付勢力により、摺動許容範囲の最も後側の位置で停止した状態にある。このとき、後端部2061の爪部は貫通孔2211aに挿入されており、後端部2061の後面は壁部2211の前面と当接している。また、オンロックレバー205のレバー部2053が捩りばね2055のC2方向(
図12(a))への付勢力により揺動許容範囲の最も右側の位置で停止した状態にある。このときのオンロックレバー205の位置をオンロック解除位置と呼ぶ。このとき、係合部2051と係合部2063とが係合していない状態にある。
【0080】
摺動部206及びオンロックレバー205のいずれも動作をしていない状態(
図11(a))のときに、作業者が摺動部206にB1方向の外力を加えたとしても、後端部2061の爪部が貫通孔2211aを形成する内周面
に当たる構成となっており、平坦部2065は所定の角度以上に揺動できないため、モータ3を駆動させるための押しボタン211aは突出部2064によって押圧されない。このときの摺動部206の位置をオフロック位置と呼ぶ。また、平坦部2065の位置が
図11(a)の位置にあり、押しボタン211aが突出部2064によって押圧されていないときの摺動部206の位置をオフ位置と呼ぶ。摺動部206がオフ位置にあるとき、前後方向において貫通孔2066と同位置かつ摺動部206の外周面の内側に内部空間2421が形成されている(
図11(a))。
【0081】
図11(a)に示されるように、摺動部206がオフ位置にあるとき、オンロックレバー205のレバー部2053の全体は内部空間2421(ハウジング2)の内部に収容されている。このとき、オンロックレバー205のレバー部2053は内部空間2421に収容されて外力を加えることが困難な状態にあるため、作業者が摺動部206を操作する前の段階でオンロックレバー205が操作されてオンロックが有効になることを抑制できる。
【0082】
作業者が摺動部206の把持部2062に対して
図11(a)のA1方向に外力を加えて把持部2062を前方に摺動させると、貫通孔2211aの内部に挿入されていた後端部2061の爪部の全体は外部に露出する。これにより、後端部2061の爪部と貫通孔2211aを規定する内周面とが上下方向において対向しなくなり、テールカバー221の底面との間に上下方向に所定の間隔が生じるため、平坦部2065はB1方向に揺動可能となる。
図11(b)で示される摺動部206の位置で、後端部2061の爪部と平坦部2065がB1方向に揺動を許容する状態の摺動部206の位置をオフロック解除位置と呼ぶ。このとき、オンロックレバー205に対して何ら外力が加わっておらずオンロックレバー205は初期位置のままであるが、摺動部206の底壁の斜面に形成された貫通孔2066は、オンロックレバー205のレバー部2053に対して前方に移動するため、レバー部2053の先端部は貫通孔2066から僅かに突出する。言い換えると、ディスクグラインダ200では、摺動部206がオフロック位置にあるときのレバー部2053のテールカバー221からの突出量は、摺動部206がオフロック解除位置にあるときのレバー部2053のテールカバー221からの突出量よりも小さい。このため、摺動部206がオフロック位置にあるときに、作業者が意図せず摺動部206がオン位置になることを抑制し作業性を更に向上させることができる。ディスクグラインダ200は、摺動部206がオフロック解除位置で且つオンロックレバー205がオンロック解除位置のときに、摺動部206がB1方向に揺動可能となる。
【0083】
図11(b)の状態で、作業者が摺動部206の把持部2062に外力を加えて摺動部206をオフロック解除位置で維持させたまま、摺動部206にB1方向の外力を加えると、摺動部206は、摺動部206の先端部を中心にB1方向に揺動する。このとき、オンロックレバー205に対しては何ら外力が加わっていないため、オンロックレバー205は初期位置のままである。摺動部206がB1方向に揺動するに伴い、摺動部206に設けられた突出部2064が上方に移動してスイッチ211の押しボタン211aが押圧されてスイッチ211がオンされる。これに伴い、外部電源から電源コード215を通じてモータ3に電力が供給され、モータ3が駆動する(
図12(a))。平坦部2065が
図12(a)の位置にあり、突出部2064によってスイッチ211をオンしているときの摺動部206の位置をオン位置と呼ぶ。
【0084】
作業者が摺動部206をB1方向に揺動させると、摺動部206の揺動に伴い、内部空間2421に収容されていたオンロックレバー205のレバー部2053の残りの部分は、摺動部206の貫通孔2066から外部に突出するため、作業者はレバー部2053を操作可能となる(
図12(a))。
【0085】
図12(a)で示される摺動部206をオン位置に維持した状態で、作業者がオンロックレバー205の支点部52の回動軸心を中心にレバー部2053を
図12(a)のC1方向(時計回り)に摺動部206に対して略前方に揺動させると、係合部2051は係合部2063の爪部の下方に位置するように略後方に移動する(
図12(a))。作業者が捩りばね2055の付勢力に抗してレバー部2053を指で押さえてレバー部2053の前面と貫通孔2066を形成する内周面とを当接させた状態で平坦部2065を握る力を徐々に弱めると、摺動部206は自重により図示せぬ回動軸心を中心にB2方向(時計回り)に揺動し、これに伴い摺動部206に設けられた係合部2063の爪部が下方に移動し、係合部2051の爪部と係合部2063の爪部とが係合する(
図12(b))。このとき、作業者がオンロックレバー205のレバー部2053から指を離しても、摺動部206をB2方向に付勢して摺動部206側に設けられた係合部2063を下降させる摺動部206の自重の大きさは、係合部2051をC2方向に付勢する捩りばね2055の付勢力よりも大きいため、係合部2051と係合部2063との係合が維持されつつ、レバー部2053の前面と貫通孔2066を形成する内周面とは当接したままであり、所定の外力が働かない限り係合部2051の爪部と係合部2063の爪部との係合が外れることはない。テールカバー221に支持されたオンロックレバー205の係合部2051の爪部と摺動部206の係合部2063の爪部との係合によるレバー部2053の前面と貫通孔2066を形成する内周面とは当接によって、摺動部206はA2方向への摺動及びB2方向への揺動を停止する。このとき作業者が摺動部206から手を離しても摺動部206の位置はオン位置に維持され、モータ3は駆動し続ける。この状態におけるオンロックレバー205の位置をオンロック位置と呼ぶ。このとき、モータ3が駆動し、且つ摺動部206、オンロックレバー205、摺動部206のいずれも動作を停止している状態にある。この状態をディスクグラインダ200のオンロック状態と呼ぶ。
【0086】
次に、ディスクグラインダ200の作動を停止するときの動作について説明する。ディスクグラインダ200がオンロック状態(
図12(b))にある場合に、作業者が摺動部206を把持して平坦部2065を握ってB1方向に外力を加えると、摺動部206に設けられた係合部2063がオンロックレバー205に対して上方に移動するため、係合部2063の爪部は係合部2051の爪部から離間して両者の係合は解除される(
図12(a))。これにより、オンロックレバー205のレバー部2053は捩りばね2055の付勢力によってC2方向に揺動し、レバー部2053はオンロック解除位置に向けて揺動し、揺動許容範囲の最も右側の位置で停止する(
図12(a))。係合部2063の爪部と係合部2051の爪部との係合が解除されたことにより、摺動部206はB2方向に揺動可能になり、作業者が摺動部206から手を離すと摺動部206は自重により更にB2方向に揺動して、オフ位置で移動を停止する(
図11(b))。これに伴い、摺動部206の把持部2062は、ばね1077の付勢力によりA2方向に摺動し、後端部2061の爪部は貫通孔2211aの内部に挿入され、把持部2062は摺動許容範囲の最も後側の位置で停止する。また、摺動部206のB2方向への揺動に伴い突出部2064の上面は押しボタン211aから離間する方向に移動する。突出部2064が押しボタン211aから離間する方向に所定距離移動すると、当該離間距離が所定の大きさに達すると、電源コード215を介した外部電源からモータ3への電力の供給が停止し、モータ3は駆動を停止する。このとき、モータ3の駆動、及び摺動部206及びオンロックレバー205のいずれの動作も停止する(
図11(a))。なお、本発明の第3の実施の形態にかかる作業機の一例であるディスクグラインダは、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。以上のように、第3の実施の形態では、第1及び第2の実施の形態と異なり、オンロックレバーが露出するタイミングが異なる。具体的には、スイッチレバーをオン位置にしたタイミングでオンロックレバーが露出する第1及び第2の実施の形態に対し、第3の実施の形態ではオフロックを解除したタイミングでオンロックレバー205が露出するようになっている。こういった構成であっても、オフロック解除前の初期状態ではオンロックレバー205が露出していないため、モータ3をオンする操作の前にオンロックレバー205に外力が加わることを抑制し、意図せずオンロック状態となってしまうことを抑制できる。
【0087】
次に、
図13を参照しながら、本発明の第4の実施の形態に係る作業機の一例であるディスクグラインダ300について説明する。ディスクグラインダ300は、基本的に第2の実施の形態に係るディスクグラインダ100と同一の構成を有しており、ディスクグラインダ100と同一の構成については、同一の参照番号を付し説明を適宜省略し、相違する構成及びより詳細に説明すべき構成について主に説明する。また、ディスクグラインダ100と同一の構成については、上記において説明した効果と同様の効果を奏する。
【0088】
図13に示されているように、第4の実施の形態に係るディスクグラインダ300においては、テールカバー121に替えて、テールカバー321が設けられている。テールカバー321は、テールカバー321の上面のモータ3の後方の位置に上下方向に延びる貫通孔3211が形成されている点でテールカバー121と異なる。また、第4の実施の形態に係るディスクグラインダ300においては、スイッチレバー部104に替えて、モータハウジング22及びテールカバー321と平
行に前後方向に延びるスイッチレバー部304が設けられている。スイッチレバー部304の上面には、係合部1042に替えて、第1突出部1043の後方の位置から上方に延び先端に側面視L字形状の爪部を有する係合部3042が設けられている。また、第4の実施の形態に係るディスクグラインダ300においては、オンロックレバー105に替えて、オンロック部305が設けられている。
【0089】
図13に示されているように、オンロック部305は、摺動部3051と、中間部3052と、ばね3053とを有する。摺動部3051は、テールカバー321に前後方向に摺動可能に支持されており、摺動部3051の後端部は中間部3052の上端部と接続されている。また、作業者は摺動部3051を操作するための凸部が貫通孔3211から上方に突出している。ばね3053は、前後方向に延び、貫通孔3211の下方に位置し、前後方向において摺動部3051とテールカバー321の内壁との位置に配置され、摺動部3051を後方に付勢している。中間部3052は支点部3054と係合部3055とを有する。支点部3054は、上下方向において中間部3052の中央部分に位置しており、中間部3052は、支点部3054に形成された貫通孔を挿通する回転軸を介してテールカバー321に揺動可能に支承されている。係合部3055は、中間部3052の下端部に設けられており、係合部3042と係合可能な爪部を有している。第4の実施の形態に係るディスクグラインダ300においては、オンロック部305は、オフロック部106とはモータ3の半径方向反対側に設けられている。換言すれば、モータ3の回転軸に対し一方(上)側にオンロック部305が位置し、他方(下)側にオフロック部106が配置されている。これによって、作業者がオンロック部305とオフロック部106とを混同して操作することを抑制する構成になっているため、作業性を更に向上させることができる。
【0090】
次に、第4の実施の形態におけるディスクグラインダ300の動作、及びスイッチレバー部304と、オンロック部305と、オフロック部106の操作について
図14(a)乃至
図15(b)を参照して説明する。
【0091】
ディスクグラインダ300を動作させる際、作業者は一方の手でスイッチレバー部304の平坦部1041を把持し、他方の手でオフロック部106のレバー部1061を把持する。
図14(a)で示されるディスクグラインダ300の状態は、スイッチレバー部304、オンロック部305、オフロック部106のいずれに対しても外力が加わっておらず、且つスイッチレバー部304、オンロック部305、オフロック部106のいずれも動作をしていない状態を示している。当該状態においては、オフロック部106のレバー部1061は、ばね1064の付勢力により、摺動許容範囲の最も後側の位置で停止した状態にある。このとき、第3突出部1063の凸部の上面は、テールカバー321の係止部216の下面と上下方向に所定の距離をおいて対向している。また、初期位置の状態では、ばね1046によりスイッチレバー部304はB2方向(
図14(b))にテールカバー221に対して略下方に付勢されており、スイッチレバー部304の揺動許容範囲の最も下側の位置で停止した状態にある。また、オンロック部305の摺動部3051がばね3053の
C2方向(
図15(a))への付勢力により摺動許容範囲の最も
後側の位置で停止した状態にある。このときのオンロック部305の位置をオンロック解除位置と呼ぶ。このとき、係合部3055と係合部3042とが係合していない状態にある。
【0092】
スイッチレバー部304、オンロック部305、オフロック部106のいずれも動作をしていない状態のときに、作業者がスイッチレバー部304の平坦部1041を握り
図14(b)で示されるB1方向の外力を加えたとしても、第3突出部1063の凸部の上面が係止部216の下面に当たる構成となっており、平坦部1041は所定の角度以上に揺動できないため、モータ3を駆動させるための押しボタン211aは第2突出部1044によって押圧されない。このときのオフロック部106の位置をオフロック位置と呼ぶ。また、平坦部1041の位置が
図14(a)の位置にあり、押しボタン211aが第2突出部1044によって押圧されていないときのスイッチレバー部304の位置をオフ位置と呼ぶ。
【0093】
作業者がオフロック部106のレバー部1061に対して
図14(a)のA1方向に外力を加えてレバー部1061を前方に摺動させると、レバー部1061に設けられた第3突出部1063は係止部216に対して前方に摺動する。これにより、第3突出部1063の上端部と係止部216とは上下方向において対向しなくなり、平坦部1041はB1方向に揺動可能となる。このとき、スイッチレバー部304及びオンロック部305に対して何ら外力が加わっておらずスイッチレバー部304及びオンロック部305は初期位置のままである。
図14(b)で示されるオフロック部106の位置で、第3突出部1063の上端部と係止部216とが上下
方向において対向しなくなり、平坦部1041がB1方向に揺動を許容する状態のオフロック部106の位置をオフロック解除位置と呼ぶ。ディスクグラインダ300は、オフロック部106がオフロック解除位置で且つオンロック部305がオンロック解除位置のときに、スイッチレバー部304の平坦部1041がB1方向に揺動可能となる。
【0094】
図14(b)の状態で、作業者が、ばね1064の付勢力に抗して、オフロック部106のレバー部1061に外力を加えてオフロック部106をオフロック解除位置で維持させたまま、スイッチレバー部304にB1方向の外力を加えると、平坦部1041はB1方向に揺動する。このとき、オンロック部305に対して何ら外力が加わっておらずオンロック部305は初期位置のままである。平坦部1041がB1方向に揺動するに伴い、スイッチレバー部304に設けられた第2突出部1044が上方に移動してスイッチ211の押しボタン211aが押圧される。これに伴い、外部電源から電源コード215を通じてモータ3に電力が供給され、モータ3が駆動する(
図15(a))。平坦部1041が
図15(a)の位置にあり、第2突出部1044によって押しボタン211aが押圧されているときのスイッチレバー部304の位置をオン位置と呼ぶ。
【0095】
図15(a)で示されるスイッチレバー部304をオン位置に維持した状態で、作業者がオンロック部305の摺動部3051を
図15(a)のC1方向(前方)に摺動させると、摺動部3051の後端部と接続されている中間部3052の係合部3055が支点部3054の回動軸心を中心にD2方向(
図15(a))に揺動する。これにより、中間部3052に設けられた係合部3055は係合部3042の爪部の下方に位置するように略後方に移動する。このとき、第3突出部1063の凸部の上面は係止部216の下面よりも上方に位置し、第3突出部1063の凸部は所定の距離をおいて係止部216の前方に位置したままである。作業者がばね3053の付勢力に抗して摺動部3051を指で押さえて
摺動許容範囲の最も
前側の位置で維持した状態で平坦部1041を握る力を徐々に弱めると、スイッチレバー部304は、ばね1046の付勢力により図示せぬ回動軸心を中心にB2方向(時計回り)に揺動し、これに伴いスイッチレバー部304に設けられた係合部3042の爪部が下方に移動し、係合部3055の爪部と係合部3042の爪部とが係合する(
図15(b))。このとき、作業者がオンロック部305の摺動部3051から指を離しても、スイッチレバー部304をB2方向に付勢してスイッチレバー部304側に設けられた係合部3042を下降させるばね1046の付勢力は、係合部3055をテールカバー321に対して略前方に付勢するばね3053の付勢力よりも大きいため、係合部3055と係合部3042との係合が維持されつつ、所定の外力が働かない限り係合部3055の爪部と係合部3042の爪部との係合が外れることはない。テールカバー321に支持されたオンロック部305の係合部3055の爪部とスイッチレバー部304の係合部3042の爪部との係合によって、スイッチレバー部304はB2方向への揺動を停止する。このとき、作業者がレバー部1061から手を離すと第3突出部1063の凸部の後面が係止部216の前面と当接し、オフロック部106は後方への摺動を停止する。また、このとき作業者がスイッチレバー部304から手を離してもスイッチレバー部304の位置はオン位置に維持され、モータ3は駆動し続ける。この状態におけるオンロック部305の位置をオンロック位置と呼ぶ。このとき、モータ3が駆動し、且つスイッチレバー部304、オンロック部305、オフロック部106のいずれも動作を停止している状態にある。この状態をディスクグラインダ300のオンロック状態と呼ぶ。
【0096】
次に、ディスクグラインダ300の作動を停止するときの動作について説明する。ディスクグラインダ300がオンロック状態にある場合に(
図15(b))、作業者がスイッチレバー部304を把持して平坦部1041を握ってB1方向に外力を加えると、スイッチレバー部304に設けられた係合部3042がオンロック部305に対して上方に移動するため、係合部3042の爪部は係合部3055の爪部から離間して両者の係合は解除される(
図15(a))。これにより、オンロック部305の摺動部3051はばね3053の付勢力によってC2方向に摺動し、摺動部3051はオンロック解除位置に向けて摺動し、摺動許容範囲の最も
後側の位置で停止する(
図15(a))。係合部3042の爪部と係合部3055の爪部との係合が解除されたことにより、スイッチレバー部304はB2方向に揺動可能になり、作業者がスイッチレバー部304から手を離すとスイッチレバー部304はばね1046の付勢力により更にB2方向に揺動して、オフ位置で移動を停止する(
図14(b))。これに伴いオフロック部106のレバー部1061はばね1064の付勢力によりA2方向に摺動し、レバー部1061は摺動許容範囲の最も後側の位置で停止する。スイッチレバー部304のB2方向への揺動に伴い第2突出部1044の上面は押しボタン211aから離間する方向に移動し、当該離間距離が所定の大きさに達すると、電源コード215を介した外部電源からモータ3への電力の供給が停止し、モータ3は駆動を停止する。このとき、モータ3の駆動、及びスイッチレバー部304、オンロック部305、オフロック部106のいずれの動作も停止しており、ディスクグラインダ300の状態は初期位置の状態となる(
図14(a))。以上のように、本発明の第4の実施の形態では、オフロック部106よりも前方にオンロック部305を配置することで作業性を向上させつつ、それぞれの配置を考慮することで更なる作業性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0097】
1,100,200,300…ディスクグラインダ、3…モータ、8…砥石、4…スイッチレバー、104,304…スイッチレバー部、5,105…オンロックレバー、305…オンロック部、6…オフロックレバー、106…オフロック部、206…摺動部