(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】BLEパケットの一定部分および/または既知部分の到着角度の測定
(51)【国際特許分類】
G01S 3/48 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
G01S3/48
(21)【出願番号】P 2020568489
(86)(22)【出願日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 JP2019027501
(87)【国際公開番号】W WO2020013275
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-12-08
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500164385
【氏名又は名称】デンソー インターナショナル アメリカ インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】ジェーガー カール
(72)【発明者】
【氏名】スティット レイモンド マイケル
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-239745(JP,A)
【文献】特開2017-046025(JP,A)
【文献】特開2015-200516(JP,A)
【文献】特開2003-043094(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0131381(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 3/00- 3/74
G01S 5/00- 5/14
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ(43、52)を使用して、パケット、ここで、パケットは、パケットを受信する前に既知である既知の部分を含むデータを含む、を含む無線信号を受信し、
送受信機(72)またはマイクロコントローラ(80)のうちの少なくとも1つを使用して、(i)複数のアンテナの第1のアンテナを使用して受信された
前記既知の部分を表す第1のデジタルデータのセット、および(ii)複数のアンテナのうちの第2のアンテナを使用して受信された
前記既知の部分を表す第2のデジタルデータのセットを生成すること、
前記マイクロコントローラを使用して、(i)前記第1のデジタルデータのセットの前記既知の部分の余弦成分を表す第1のサンプル、および(ii)前記第1のデジタルデータのセットの前記既知の部分の正弦成分を表す第2のサンプルを取得すること、
前記マイクロコントローラを使用して、(i)前記第2のデジタルデータのセットの前記既知の部分の余弦成分を表す第3のサンプル、および(ii)前記第2のデジタルデータのセットの前記既知の部分の正弦成分を表す第4のサンプルを取得すること、
前記マイクロコントローラのプロセッサ、ここで、プロセッサは、非一時的なコンピュータ可読メモリに格納された命令を実行するように構成されている、を使用して、(i)第1のサンプルの振幅および第2のサンプルの振幅に基づいて第1のアンテナに関連付けられた第1の位相角値を決定し、(ii)第3のサンプルの振幅および第4のサンプルの振幅に基づいて第2のアンテナに関連付けられた第2の位相角値を決定すること、および、
前記プロセッサを使用して、前記第1の位相角値と前記第2の位相角値の間の差に基づいて到着角度を決定することを含む方法。
【請求項2】
前記無線信号がBluetooth信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のデジタルデータのセットの前記既知の部分は、Bluetooth信号のアクセスアドレス部分であり、および、
前記第2のデジタルデータのセットの前記既知の部分は、Bluetooth信号のアクセスアドレス部分である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のデジタルデータのセットの前記既知の部分は、Bluetooth信号のプリアンブル部分および巡回冗長検査部分のうちのひとつであり、および、
前記第2のデジタルデータのセットの前記既知の部分は、Bluetooth信号のプリアンブル部分および巡回冗長検査部分のうちのひとつである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記Bluetooth信号は、プリアンブル部分、アクセスアドレス部分、プロトコルデータユニット部分、および、巡回冗長検査部分を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記Bluetooth信号が一定波形(CW)のトーン部分を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記マイクロコントローラのIQジェネレータを使用して、前記第1のサンプル、前記第2のサンプル、前記第3のサンプル、および、前記第4のサンプルを取得することをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
スイッチング回路(60)を使用して、前記第1のアンテナを前記マイクロコントローラに結合すること、および、
サンプリング期間の経過に応答して、前記スイッチング回路を使用して、前記マイクロコントローラから前記第1のアンテナを切断すること、および
前記スイッチング回路を使用して、前記第2のアンテナを前記マイクロコントローラに結合することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の位相角値を決定することは、前記プロセッサを使用して、前記第1のサンプルの振幅および前記第2のサンプルの振幅に基づいて逆正接関数を実行することをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の位相角値を決定することは、前記プロセッサを使用して、前記第3のサンプルの振幅および前記第4のサンプルの振幅に基づいて逆正接関数を実行することをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記生成することは、複数の受信経路およびひとつまたは複数のマイクロコントローラを同時に使用して、(i)複数のアンテナの第1のアンテナを使用して受信された
前記既知の部分を表す第1のデジタルデータのセット、および、(ii)複数のアンテナのうちの第2のアンテナを使用して受信された
前記既知の部分を表す第2のデジタルデータのセットを受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
パケット、ここで、パケットは、パケットを受信する前に既知である既知の部分を含むデータを含む、を含む無線信号を受信するように構成された複数のアンテナ(43、52)と、
(i)前記複数のアンテナの第1のアンテナを使用して受信された
前記既知の部分を表す第1のデジタルデータのセット、および(ii)前記複数のアンテナのうちの第2のアンテナを使用して受信された
前記既知の部分を表す第2のデジタルデータのセットを生成するように構成された送受信機(72)と、
(i)前記第1のデジタルデータのセットの前記既知の部分の余弦成分を表す第1のサンプル、および(ii)前記第1のデジタルデータのセットの前記既知の部分の正弦成分を表す第2のサンプルを取得し、および、
(i)前記第2のデジタルデータのセットの前記既知の部分の余弦成分を表す第3のサンプル、および(ii)前記第2のデジタルデータのセットの前記既知の部分の正弦成分を表す第4のサンプルを取得するように構成されたマイクロコントローラ(80)と、
前記マイクロコントローラに含まれており、非一時的なコンピュータ可読メモリに格納された命令を実行するように構成されたプロセッサとを備え、
前記命令は、
(i)第1のサンプルの振幅および第2のサンプルの振幅に基づいて第1のアンテナに関連付けられた第1の位相角値、および(ii)第3のサンプルの振幅および第4のサンプルの振幅に基づいて第2のアンテナに関連付けられた第2の位相角値を決定し、
前記第1の位相角値と前記第2の位相角値の間の差に基づいて到着角度を決定するように構成されているシステム。
【請求項13】
前記無線信号がBluetooth信号である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のデジタルデータのセットの前記既知の部分は、Bluetooth信号のアクセスアドレス部分であり、および、
前記第2のデジタルデータのセットの前記既知の部分は、Bluetooth信号のアクセスアドレス部分である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のデジタルデータのセットの前記既知の部分は、Bluetooth信号のプリアンブル部分および巡回冗長検査部分のうちのひとつであり、および、
前記第2のデジタルデータのセットの前記既知の部分は、Bluetooth信号のプリアンブル部分および巡回冗長検査部分のうちのひとつである、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記Bluetooth信号は、プリアンブル部分、アクセスアドレス部分、プロトコルデータユニット部分、および、巡回冗長検査部分を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記Bluetooth信号が一定波形(CW)のトーン部分を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
さらに、前記マイクロコントローラのIQジェネレータを備え、ここで、前記IQジェネレータは、前記第1のサンプル、前記第2のサンプル、前記第3のサンプル、および、前記第4のサンプルを取得するように構成されている、請求項12から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
さらに、
前記第1のアンテナを前記マイクロコントローラに結合し、
サンプリング期間の経過に応答して、前記マイクロコントローラから前記第1のアンテナを切断し、前記マイクロコントローラに前記第2のアンテナを結合するように構成されているスイッチング回路(60)を含む、請求項12から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記第1のサンプルの振幅および前記第2のサンプルの振幅に基づいて逆正接関数を実行することにより、前記第1の位相角値を決定するように構成されている、請求項12から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記第3のサンプルの振幅および前記第4のサンプルの振幅に基づいて逆正接関数を実行することにより、前記第1の位相角値を決定するように構成されている、請求項12から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記生成することは、複数の受信経路およびひとつまたは複数のマイクロコントローラを同時に使用して、(i)複数のアンテナの第1のアンテナを使用して受信された
前記既知の部分を表すデジタルデータの第1のセット、および、(ii)複数のアンテナのうちの第2のアンテナを使用して受信された
前記既知の部分を表すデジタルデータの第2のセットを受信することを含む、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2018年7月13日に提出された米国仮出願番号62/697,650、2019年3月29日に提出された米国仮出願番号62/826,179、および、2019年7月8日に提出された米国特許出願番号16/504,488の利益を請求する。上記複数の出願の開示の全体は、参照により、この明細書に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
この開示は、Bluetooth Low Energy(登録商標)(BLE)パケットの一定の部分における到着角度を測定するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
この節は、この開示に関連する背景情報を提供し、それは必ずしも従来技術ではない。
【0004】
従来、キーレスエントリーシステムを含む車両システムであるパッシブエントリー/パッシブスタート(PEPS)システムでは、以前に車両の中央PEPS電子制御ユニット(ECU)とペアリングされていたキーフォブ(key fob)を所有している人が、ドアハンドルをつかむだけで車両にアクセスでき、ボタンを押すだけで車両を始動できる。ボタンプッシュに応答して、中央のPEPS ECUはキーフォブを認証し、キーフォブが車両へのアクセスを許可されているかどうかを判断し、複数の車両アンテナによって示される信号強度を使用してキーフォブの位置を推定する。キーフォブが認証され、認証ゾーン内にある場合、ユーザは車両の機能を利用できる(ドアのロックが解除される、車両が始動されるなど)。
【0005】
従来のPEPSシステムは、約125kHzの低周波数(LF)信号を使用する独自仕様の無線プロトコルを使用する。PEPSシステムは、LFシステムの物理特性によっても妨げられている。LFは初期のPEPSシステムで選択された、これは、波の伝播により、2メートルという典型的な目標活性化範囲内の信号強度を使用することで、範囲と位置を比較的正確に推定できるからであった。しかし、車両のアンテナとキーフォブ受信機のサイズに比べてLF信号の波長が非常に長いため、数メートルを超えて、妥当な電力消費と安全な送信電力レベルとの範囲内において、LFシステムを使用してキーフォブと確実に通信することは困難である。そのため、キーフォブが車両から数メートル以上離れている場合、ユーザが車両の機能を利用できるようにすることは困難であった。
【0006】
したがって、キーフォブは現在、スマートフォン(smartphones)およびウェアラブルデバイス(wearable devices)などのスマートデバイスによって実装されており、スマートデバイスは、LFシステムの活性化範囲よりも広い範囲において通信することができる。このように、スマートデバイスは、パッシブウェルカムライティング(passive welcome lighting)、リモートパーキングアプリケーション(remote parking applications)の距離制限など、さまざまな車両機能と長距離遠隔機能の利用を可能にする。
【0007】
スマートデバイスの範囲および位置を推定するために、PEPSシステムは、スマートデバイスによって送信された信号の到着角度を測定するように構成される場合がある。
【発明の概要】
【0008】
この項は、概要を提供し、開示の全範囲またはその全特徴の包括的な開示ではない。
開示される第1発明は、複数のアンテナ(43、52)を使用して、パケット、ここで、パケットは、パケットを受信する前に既知である既知の部分を含むデータを含む、を含む無線信号を受信し、送受信機(72)またはマイクロコントローラ(80)のうちの少なくとも1つを使用して、(i)複数のアンテナの第1のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第1のデジタルデータのセット、および(ii)複数のアンテナのうちの第2のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第2のデジタルデータのセットを生成すること、マイクロコントローラを使用して、(i)第1のデジタルデータのセットの既知の部分の余弦成分を表す第1のサンプル、および(ii)第1のデジタルデータのセットの既知の部分の正弦成分を表す第2のサンプルを取得すること、マイクロコントローラを使用して、(i)第2のデジタルデータのセットの既知の部分の余弦成分を表す第3のサンプル、および(ii)第2のデジタルデータのセットの既知の部分の正弦成分を表す第4のサンプルを取得すること、マイクロコントローラのプロセッサ、ここで、プロセッサは、非一時的なコンピュータ可読メモリに格納された命令を実行するように構成されている、を使用して、(i)第1のサンプルの振幅および第2のサンプルの振幅に基づいて第1のアンテナに関連付けられた第1の位相角値を決定し、(ii)第3のサンプルの振幅および第4のサンプルの振幅に基づいて第2のアンテナに関連付けられた第2の位相角値を決定すること、および、プロセッサを使用して、第1の位相角値と第2の位相角値の間の差に基づいて到着角度を決定することを含む方法である。
開示される第2発明は、パケット、ここで、パケットは、パケットを受信する前に既知である既知の部分を含むデータを含む、を含む無線信号を受信するように構成された複数のアンテナ(43、52)と、(i)複数のアンテナの第1のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第1のデジタルデータのセット、および(ii)複数のアンテナのうちの第2のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第2のデジタルデータのセットを生成するように構成された送受信機(72)と、(i)第1のデジタルデータのセットの既知の部分の余弦成分を表す第1のサンプル、および(ii)第1のデジタルデータのセットの既知の部分の正弦成分を表す第2のサンプルを取得し、および、(i)第2のデジタルデータのセットの既知の部分の余弦成分を表す第3のサンプル、および(ii)第2のデジタルデータのセットの既知の部分の正弦成分を表す第4のサンプルを取得するように構成されたマイクロコントローラ(80)と、マイクロコントローラに含まれており、非一時的なコンピュータ可読メモリに格納された命令を実行するように構成されたプロセッサとを備え、命令は、(i)第1のサンプルの振幅および第2のサンプルの振幅に基づいて第1のアンテナに関連付けられた第1の位相角値、および(ii)第3のサンプルの振幅および第4のサンプルの振幅に基づいて第2のアンテナに関連付けられた第2の位相角値を決定し、第1の位相角値と第2の位相角値の間の差に基づいて到着角度を決定するように構成されているシステムである。
【0009】
方法が提供され、アンテナを使用して、パケット、ここで、パケットは、既知の部分を含むデータを含む、を備える無線信号を受信し、
送受信機およびまたはマイクロコントローラを使用して、(i)アンテナの第1のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第1のデジタルデータのセット、および(ii)アンテナのうちの第2のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第2のデジタルデータのセットを生成すること、
マイクロコントローラを使用して、(i)第1のデジタルデータのセットの既知の部分の余弦成分を表す第1のサンプル、および(ii)第1のデジタルデータのセットの既知の部分の正弦成分を表す第2のサンプルを取得すること、
マイクロコントローラを使用して、(i)第2のデジタルデータのセットの既知の部分の余弦成分を表す第3のサンプル、および(ii)第2のデジタルデータのセットの既知の部分の正弦成分を表す第4のサンプルを取得すること、
マイクロコントローラのプロセッサを使用して、(i)第1のサンプルの振幅および第2のサンプルの振幅に基づいて第1のアンテナに関連付けられた第1の位相角値、(ii)第3のサンプルの振幅および第4のサンプルの振幅に基づいて第2のアンテナに関連付けられた第2の位相角値を決定すること、ここで、プロセッサは、非一時的なコンピュータ可読メモリに格納された命令を実行するように構成されており、および、
プロセッサを使用して、第1の位相角値と第2の位相角値の間の差に基づいて到着角度を決定することを含む。
【0010】
他の特徴では、システムが提供され、パケット、ここでパケットは既知の部分を有するデータを含んでいる、を含む無線信号を受信するように構成されたアンテナ、送受信機、および、マイクロコントローラを含む。送受信機、および、マイクロコントローラの少なくともひとつは、(i)複数のアンテナの第1のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第1のデジタルデータのセット、および(ii)複数のアンテナのうちの第2のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第2のデジタルデータのセットを生成するように構成されている。マイクロコントローラは、(i)第1のデジタルデータのセットの既知の部分の余弦成分を表す第1のサンプル、および(ii)第1のデジタルデータのセットの既知の部分の正弦成分を表す第2のサンプルを取得し、および(i)第2のデジタルデータのセットの既知の部分の余弦成分を表す第3のサンプル、および(ii)第2のデジタルデータのセットの既知の部分の正弦成分を表す第4のサンプルを取得するように構成されている。マイクロコントローラは、非一時的なコンピュータ可読メモリに格納された命令を実行するように構成されたプロセッサを含み、命令は、(i)第1のサンプルの振幅および第2のサンプルの振幅に基づいて第1のアンテナに関連付けられた第1の位相角値、および、(ii)第3のサンプルの振幅および第4のサンプルの振幅に基づいて第2のアンテナに関連付けられた第2の位相角値を決定すること、および第1の位相角値と第2の位相角値との差に基づいて到着角度を決定することを含む。
【0011】
方法も開示され、複数のアンテナを使用して無線信号を受信することを含む。この方法には、マイクロコントローラを使用して、(i)複数のアンテナの第1のアンテナを使用して受信した無線通信信号を表す第1のデジタルデータのセット、および(ii)複数のアンテナの第2のアンテナを使用して受信した無線通信信号を表す第2のデジタルデータのセットを取得することを含む。方法は、マイクロコントローラを使用して、(i)第1のデジタルデータのセットの既知の部分の余弦成分を表す第1のサンプル、および(ii)第1のデジタルデータのセットの既知の部分の正弦成分を表す第2のサンプルを取得することを含む。方法は、マイクロコントローラを使用して、(i)第2のデジタルデータのセットの既知の部分の余弦成分を表す第3のサンプル、および(ii)第2のデジタルデータのセットの既知の部分の正弦成分を表す第4のサンプルを取得することを含む。方法は、マイクロコントローラのプロセッサ、ここで、プロセッサは、非一時的なコンピュータ可読メモリに格納された命令を実行するように構成されている、を使用して、(i)第1のサンプルの振幅および第2のサンプルの振幅に基づいて第1のアンテナに関連付けられた第1の位相角値を決定し、(ii)第3のサンプルの振幅および第4のサンプルの振幅に基づいて第2のアンテナに関連付けられた第2の位相角値を決定することを含む。方法は、プロセッサを使用して、第1の位相角値と第2の位相角値の間の差に基づいて到着角度を決定することを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、無線信号はBluetooth(登録商標)信号である。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1のデジタルデータのセットの一定部分はBluetooth信号のアクセスアドレス部分であり、第2のデジタルデータのセットの一定部分はBluetooth信号のアクセスアドレス部分である。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1のデジタルデータのセットの一定部分は、Bluetooth信号のプリアンブル部分および巡回冗長検査部分のいずれかひとつであり、第2のデジタルデータのセットの一定部分は、Bluetooth信号のプリアンブル部分および巡回冗長検査部分のいずれかひとつである。
【0015】
いくつかの実施形態では、Bluetooth信号は、プリアンブル部分、アクセスアドレス部分、プロトコルデータユニット部分、および巡回冗長検査部分を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、Bluetooth信号は、一定波形(CW)のトーン部分を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法は、マイクロコントローラのIQジェネレータを使用して、第1のサンプル、第2のサンプル、第3のサンプル、および第4のサンプルを取得することをさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法は、スイッチング回路を使用して、第1のアンテナをマイクロコントローラに結合することをさらに含む。この方法はまた、スイッチング回路を使用して、サンプリング期間の経過に応答して、マイクロコントローラから第1のアンテナを切断すること、および、マイクロコントローラに第2のアンテナを結合することを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の位相角値を決定することは、プロセッサを使用して、第1のサンプルの振幅および第2のサンプルの振幅に基づいて逆正接関数を実行することをさらに含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、第2の位相角値を決定することは、プロセッサを使用して、第3のサンプルの振幅および第4のサンプルの振幅に基づいて逆正接関数を実行することをさらに含む。
【0021】
システムも開示されており、無線信号を受信するように構成された複数のアンテナと、(i)複数のアンテナの第1のアンテナを使用して受信された無線信号を表す第1のデジタルデータのセット、および(ii)複数のアンテナの第2のアンテナを使用して受信された無線信号を表す第2のデジタルデータのセットを生成するように構成されているマイクロコントローラを含む。マイクロコントローラはまた、(i)第1のデジタルデータのセットの一定部分の余弦成分を表す第1のサンプル、および(ii)第1のデジタルデータのセットの一定部分の正弦成分を表す第2のサンプルを取得するように構成されている。マイクロコントローラはまた、(i)第2のデジタルデータのセットの一定部分の余弦成分を表す第3のサンプル、および(ii)第2のデジタルデータのセットの一定部分の正弦成分を表す第4のサンプルを取得するように構成されている。マイクロコントローラはまた、非一時的なコンピュータ可読メモリに格納された命令を実行するように構成されているプロセッサを含み、命令は、(i)第1のサンプルの振幅および第2のサンプルの振幅に基づいて第1のアンテナに関連付けられた第1の位相角値を決定し、(ii)第3のサンプルの振幅および第4のサンプルの振幅に基づいて第2のアンテナに関連付けられた第2の位相角値を決定することを含む。命令はまた、第1の位相角値と第2の位相角値の間の差に基づいて到着角度を決定するように構成されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、無線信号はBluetooth信号である。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1のデジタルデータのセットの一定部分はBluetooth信号のアクセスアドレス部分であり、第2のデジタルデータのセットの一定部分はBluetooth信号のアクセスアドレス部分である。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1のデジタルデータのセットの一定部分は、Bluetooth信号のプリアンブル部分および巡回冗長検査部分のいずれかひとつであり、第2のデジタルデータのセットの一定部分は、Bluetooth信号のプリアンブル部分および巡回冗長検査部分のいずれかひとつである。
【0025】
いくつかの実施形態では、Bluetooth信号は、プリアンブル部分、アクセスアドレス部分、プロトコルデータユニット部分、および巡回冗長検査部分を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、Bluetooth信号は、一定波形(CW)のトーン部分を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、システムは、マイクロコントローラのIQジェネレータをさらに含み、IQジェネレータは、第1のサンプル、第2のサンプル、第3のサンプル、および第4のサンプルを取得するように構成されている。
【0028】
いくつかの実施形態では、システムは、第1のアンテナをマイクロコントローラに結合するように構成されたスイッチング回路をさらに備える。スイッチング回路はまた、サンプリング期間の経過に応答して、第1のアンテナをマイクロコントローラから切断し、第2のアンテナをマイクロコントローラに接続するように構成されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、第1のサンプルの振幅および第2のサンプルの振幅に基づいて逆正接関数を実行することにより、第1の位相角値を決定するように構成されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、第3のサンプルの振幅および第4のサンプルの振幅に基づいて逆正接関数を実行することにより、第1の位相角値を決定するように構成されている。
【0031】
適用性のさらなる領域は、この明細書で提供される説明から明らかになるであろう。この概要の説明および特定の例は、例示のみを目的とするものであり、この開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
ここに記載された図面は、選択された実施形態を図示するだけのものであって、すべての実用的な可能性を示すものではなく、この開示の範囲を限定するものではない。
【
図1】
図1は、この開示による車両および携帯機器の図である。
【
図2】
図2は、この開示による車両および携帯機器の機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、この開示による車両のセンサの機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、この開示による車両の通信ゲートウェイの機能ブロック図である。
【
図5A】
図5Aは、この開示による、システムオンチップ(SoC)受信機およびマイクロコントローラを含む例示的なアンテナ送受信機システムを示す。
【
図5B】
図5Bは、この開示による、システムオンチップ(SoC)受信機およびマイクロコントローラを含む例示的なアンテナ送受信機システムを示す。
【
図6】
図6は、この開示によるアンテナシステムの例示的なマイクロコントローラを示す。
【
図7A】
図7Aは、この開示による例示的なメッセージパケットを示す。
【
図7B】
図7Bは、この開示による例示的なメッセージパケットを示す。
【
図8】
図8は、この開示による例示的な制御アルゴリズムのフローチャートを示す。
【0033】
複数の図面の図示にわたって、対応する参照符号は、対応する部分を指している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
添付の図面を参照して、例示的な実施形態をより完全に説明する。
【0035】
この開示は、消費者グレードの無線プロトコルを使用して、PEPSシステムなどの位置特定システムを実装するためのシステム、方法、およびアーキテクチャに関する。具体的には、この開示は、車両とスマートフォンまたはウェアラブルデバイスなどの携帯機器との間の通信のために、Bluetooth Low Energy(BLE)通信プロトコルなどの無線通信プロトコルを使用するPEPSシステムに関する。PEPSシステムは、携帯機器と車両との間の既存の接続を見つけ、携帯機器と車両との間の通信のタイミングおよび信号特性を測定するように構成されたセンサネットワークを含む。タイミングおよび信号特性に基づいて、PEPSシステムは、携帯機器と車両との間の到着角度を決定することができる。
【0036】
図1-2を参照すると、PEPSシステム1は、車両30内に設けられており、通信ゲートウェイ29、センサ31A-31J(これらはセンサ31と総称される)、および制御モジュール20を含む。通信ゲートウェイ29は、RSSI、送信角度値、受信角度値、往復伝播時間値、および/または、キャリア位相ベースの測距情報を測定または交換するように構成またはプログラムされている。
図1から
図2は、10個のセンサ31Aから31Jを示しているが、任意の数のセンサを使用することができる。それぞれのセンサ31は、RSSI、送受信角度値、到着送受信角度値、往復伝播時間値、および/または、キャリア位相ベースの測距情報を測定または交換するように構成またはプログラムされている。さらに、
図2は、1つの制御モジュール20を示すが、PEPSシステム1は、車両30全体に分散されたひとつまたは複数の制御モジュール20を含む場合がある。
【0037】
ひとつまたは複数の制御モジュール20およびセンサ31は、車両インターフェース45を使用して互いに通信することができる。一例として、車両インターフェース45は、メインモジュール間の通信のためのコントローラエリアネットワーク(CAN)バスを含む場合がある。別の例として、車両インターフェース45は、より低いデータレート通信のためのローカル相互接続ネットワーク(LIN)を含む場合がある。他の実施形態では、車両インターフェース45は、クロック拡張周辺インターフェース(CXPI)バスを含む場合がある。追加的にまたは代替的に、車両インターフェース45は、CANバス、LIN、CXPI、無線周波数、および電子バス通信インターフェースの任意の組み合わせを含むことができる。
【0038】
制御モジュール20は、ひとつまたは複数のアンテナ19に接続された無線通信チップセット(または送受信機)21を含む通信ゲートウェイ29を含む。例えば、無線通信チップセット21は、BLE通信プロトコルを利用するBluetooth Low Energy(BLE)通信チップセットである場合がある。代替的に、Wi-FiやWi-Fiダイレクトなどの他の無線通信プロトコルを使用することもできる。
図2に示されるように、アンテナ19は、車両30の中に配置される場合がある。代替的に、アンテナ19は、車両30の外部または制御モジュール20内に配置されてもよい。制御モジュール20はまた、通信リンク50を介した通信のために携帯機器10を認証するリンク認証モジュール22を含む場合がある。一例として、リンク認証モジュール22は、携帯機器10を認証するために、チャレンジレスポンス認証または他の暗号検証アルゴリズムを実行するように構成される場合がある。
【0039】
以下に説明された較正操作の少なくともいくつかを実行するために検査装置35を含む場合がある。検査装置35は、例えば、コンピュータまたはテストスタンドとして実装されてもよく、制御モジュール20と通信するためのプロセッサ37、メモリ38、送受信機39およびアンテナ51を有する場合がある。メモリ38は、この明細書で説明される較正ソフトウェアおよび/または較正情報を格納することができる。
【0040】
制御モジュール20はまた、プッシュデータのためのデータ管理層23を含む場合がある。一例として、データ管理層23は、モジュールのいずれかによって取得された車両情報(たとえば、テレマティクスモジュール26によって取得された位置情報)を取得し、車両情報を携帯機器10に送信するように構成される。
【0041】
制御モジュール20は、通信リンク50の通信チャネルおよびチャネル切り替えパラメータに対応する情報を取得し、その情報をセンサ31に送信するように構成された接続情報配信モジュール24も含む場合がある。センサ31が、車両インターフェース45を介して接続情報配信モジュール24から情報を受信し、センサ31が通信ゲートウェイ29と同期していることに応答して、センサ31は、通信リンク50を突き止め、追跡、または盗聴することができる。
【0042】
制御モジュール20はまた、リンク認証モジュール22がチャレンジレスポンス認証を実行するときに、通信リンク50に対応するタイミング情報を取得するタイミング制御モジュール25を含むことができる。さらに、タイミング制御モジュール25は、車両インターフェース45を介してセンサ31にタイミング情報を提供するように構成されている。
【0043】
制御モジュール20はまた、車両30に関連付けられた位置情報および/または位置情報のエラーを生成するように構成されたテレマティクスモジュール26を含む場合がある。テレマティクスモジュール26は、全地球的航法衛星システム(例えば、GPS)、慣性航法システム、移動体通信用全地球的システム(GSM)システム、または他の位置特定システムによって実装される場合がある。
【0044】
制御モジュール20はまた、物理層およびプロトコルの違反を検出し、それに応じてデータをフィルタリングしてからセンサ処理および位置特定モジュール32に情報を提供するように構成されたセキュリティフィルタリングモジュール33を含む場合がある。セキュリティフィルタリングモジュール33はまた、注入されたデータにフラグを立てるように構成される場合があり、その結果、センサ処理および位置特定モジュール32は、フラグが立てられたデータを破棄し、PEPSシステム1に警告する場合がある。センサ処理および位置特定モジュール32からのデータは、PEPSモジュール27に提供され、それは、車両機能にアクセスするユーザの意図を検出するために、センサ31から車両状態情報を読み取り、携帯機器10の位置を、車両30のドアのロック解除および/または車両30の始動などの特定の機能を許可する位置のセットと比較するように構成されている。
【0045】
上記の様々なモジュールの上記の機能を実行するために、制御モジュール20は、読み取り専用メモリ(ROM)および/またはランダムアクセスメモリ(RAM)などの非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された命令を実行するように構成されるひとつまたは複数のプロセッサも含む場合がある。
【0046】
図1から2に図示されるように、携帯機器10は、通信リンク50を介して車両30の通信ゲートウェイ29と通信することができる。携帯機器10は、車両30の所有者、運転者、乗員、および/または、車両30の技術者などの車両30のユーザに関連付けられた、スマートフォン、スマートウォッチ、ウェアラブル電子デバイス、キーフォブ、タブレットデバイス、Bluetooth送信機器、または、他のデバイスなどの任意のBluetooth対応通信デバイスとすることができるが、これらに限定されない。追加的にまたは代替的に、携帯機器10は、Wi-Fiおよび/またはWi-Fiダイレクトなどの別の無線通信プロトコルを介して無線通信するように構成されてもよい。通信リンク50は、Bluetooth仕様によって定義され、提供されるようなBluetooth通信リンクであってもよい。一例として、通信リンク50は、BLE通信リンクである場合がある。代替的に、通信リンク50は、Wi-FiまたはWi-Fi直接通信リンクであってもよい。
【0047】
携帯機器10は、アンテナ13に接続された無線通信チップセット11を含む場合がある。無線通信チップセット11は、BLE通信チップセットであってもよい。代替的に、無線通信チップセット11は、Wi-FiまたはWi-Fi直接通信チップセットであってもよい。携帯機器10はまた、携帯機器10のプロセッサによって実行可能であり、読み取り専用メモリ(ROM)またはランダムアクセスメモリ(RAM)などの非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されるアプリケーションコード12を含む場合がある。携帯機器10は、アプリケーションコード12に基づき、無線通信チップセット11およびアンテナ13を使用して、例えば、通信リンク50の認証、携帯機器10の全地球的航法衛星システム(例えば、GPS)センサまたは加速度計によって取得された位置および/または速度情報の送信、および車両機能の手動活性化に対応する様々な命令を実行するように構成される場合がある。
【0048】
携帯機器10は、携帯機器10のプロセッサによって実行可能であって、読み取り専用メモリ(ROM)またはランダムアクセスメモリ(RAM)などの非一時的なコンピュータ可読媒体に保存されるアプリケーションコードによって実装できる暗号化検証モジュール(CVM)14をも含む場合がある。CVM14は、通信リンク50がリプレイ攻撃されることを防ぐために、トーンバイト(以下に示す)を生成してメッセージパケットに挿入するように構成される場合がある。トーンバイトを生成するためのアルゴリズムの例については、2018年12月6日に出願され、DENSO International America Inc.に譲渡されたU.S.Pat.App.No.16/211,330に詳細に説明されており、それは全体的に参照により援用されている。
【0049】
図3を参照すると、各センサ31は、複数のアンテナ要素を含み得るアンテナ(またはアンテナアセンブリ)43に接続された無線通信チップセット41を含む。任意の数のアンテナ43が各センサ31に含まれていてもよい。
図3において、3つのアンテナ43a、43b、および43cが示されている。無線通信チップセット41は、BLE通信チップセットであってもよい。代替的に、無線通信チップセット41は、Wi-FiまたはWi-Fi直接通信チップセットであってもよい。
図3に示されるように、アンテナ43は、センサ31の内部に配置されてもよい。代替的に、アンテナ43は、BLEセンサ31の外部に配置されてもよい。アンテナ43は、以下において
図5から6を参照してさらに詳しく説明される。
【0050】
制御モジュール20、より具体的には通信ゲートウェイ29は、携帯機器10との通信リンク50などの安全な通信接続を確立することができる。例えば、制御モジュール20は、BLE通信プロトコルを使用して安全な通信接続を確立することができる。次に、制御モジュール20は、タイミングおよび同期情報などの安全な通信接続に関する情報を各センサ31に通信することができる。例えば、制御モジュール20は、安全な通信接続に関する情報として、例えば、次の通信接続イベントのタイミング、通信接続イベント間のタイミング間隔、次の通信接続イベントの通信チャネル、次の通信接続イベントのチャネルを計算するためのチャネルマップ、チャネルホップ間隔、またはオフセット、通信遅延情報、通信ジッタ情報などの情報を通信することができる。次に、センサ31は、携帯機器によって制御モジュール20に送信された通信パケットを盗聴することができ、携帯機器10から受信された信号の信号情報を測定することができる。例えば、センサ31は、受信信号強度を測定し、受信信号強度インジケータ(RSSI)値を決定することができる。追加的に、または代替的に、センサ31は、携帯機器10から受信した信号の、到着角度、到着時間、到着時間差、出発角度、到着時間差、飛行距離の往復時間、キャリア位相ベースの測距距離などの、他の測定値を決定することができる。
【0051】
次に、センサ31は、各センサ31から受信した測定情報に基づいて、携帯機器10の位置または携帯機器10までの距離を決定することができる制御モジュール20に測定情報を通信することができる。例えば、制御モジュール20は、例えば、さまざまなセンサ31によって携帯機器10から受信されたさまざまな信号のRSSI値のパターンに基づいて、携帯機器10の位置を決定することができる。例えば、比較的強いRSSIは、一般に、携帯機器10がより近いことを示し、比較的弱いRSSIは、一般的に、携帯機器10がより遠くにあることを示す。各センサ31を用いて携帯機器10により送信された通信信号のRSSIを分析することにより、制御モジュール20は、車両30に対する携帯機器10の位置又は携帯機器10までの距離を決定することができる。追加的に、または代替的に、携帯機器10によって送信され、センサ31によって受信された信号の到着角度または到着時間差はまた、携帯機器10の位置を決定するために制御モジュール20によって使用される場合がある。追加的に、または代替的に、センサ31自体が、測定された情報に基づいて携帯機器10の位置または携帯機器10までの距離を決定し、位置または距離を制御モジュール20に伝達することができる。
【0052】
次に、車両30に対する携帯機器10の決定された位置または距離に基づいて、PEPSシステム1は、車両30のドアのロック解除、車両30のトランクのロック解除、車両30の始動、および/または車両30の始動の許容などの、車両機能を許可または実行することができる。例えば、携帯機器10が車両30までの第1の距離閾値未満である場合、PEPSシステム1は、車両30の室内灯または室外灯を作動させることができる。携帯機器10が車両までの第2の距離閾値未満である場合、PEPSシステム1は、車両30のドアまたはトランクのロックを解除することができる。携帯機器10が車両30の内部にある場合、PEPSシステム1は、車両30の始動を許容することができる。
【0053】
引き続き
図3を参照して、BLE通信プロトコルが使用される場合、センサ31は、アンテナ43を使用してBLE信号を受信し、具体的には、BLE物理層(PHY)コントローラ46を使用してBLE物理層メッセージを受信する。センサ31は、BLE物理層メッセージを観察し、例えば、チャネルマップ再構築モジュール42によって生成されるチャネルマップを使用して受信信号強度(RSSI)を含む、関連する信号の物理的特性の測定を行うように構成されている。追加的に、または、代替的に、センサ31は、互いに通信、および/または、車両インターフェース45を介して通信ゲートウェイ29と通信して、複数のセンサ31によって受信された信号の到着時間差、到着時間、または、到着角度データを決定する場合がある。
【0054】
タイミング同期モジュール44は、車両インターフェース45上のメッセージの受信時間を正確に測定し、タイミング情報を無線通信チップセット41に渡すように構成されている。無線通信チップセット41は、チャネルマップ情報およびタイミング信号に基づいて、PHYコントローラ46を特定の時間に特定のチャネルに調整するように構成されている。さらに、BLE通信プロトコルが使用されるとき、無線通信チップセット41は、例えば、Bluetooth仕様バージョン5.0において提案され、または、採用された通常のデータレートを含むBluetooth物理層仕様に準拠するすべての物理層メッセージおよびデータを監視するように構成されている。データ、タイムスタンプ、および測定された信号強度は、車両インターフェース45を介して、制御モジュール20の様々なモジュールに、無線通信チップセット41によって報告されてもよい。
【0055】
図4を参照すると、通信ゲートウェイ29は、BLE信号を受信するためにひとつまたは複数のアンテナ19(たとえば、アンテナ19A、19B、および19Cが示されている)に接続された無線通信チップセット41を含む。BLE通信プロトコルが使用されるとき、無線通信チップセット41は、例えば、BLE仕様に準拠するBluetoothプロトコルスタック48を実装する。無線通信チップセット41はまた、無線通信チップセット41のプロセッサによって実行可能なアプリケーションコードによって実装されるアプリケーション47を含む場合がある。追加的に、または代替的に、アプリケーション47は、制御モジュール20のプロセッサによって実行可能であり、制御モジュール20の非一時的なコンピュータ可読媒体に格納される場合がある。
【0056】
アプリケーション47は、Bluetooth仕様外の変更を含み、無線通信チップセット41が、データの有効性に関係なく、無線通信チップセット41によって送受信されるタイムスタンプ付きデータを検査できるようにすることができる。例えば、アプリケーション47は、無線通信チップセット41が送信されたデータと受信されたデータを期待と比較することを可能にする。通信ゲートウェイ29は、実際に送信および受信されたデータを、車両インターフェース45を介して制御モジュール20の様々なモジュールに送信するように構成されている。代替的に、通信ゲートウェイ29は、車両インターフェース45を介して各センサ31からデータを受信するように構成される場合がある。アプリケーション47は、無線通信チップセット41が、各センサ31が正しい時間に正しいデータを受信したことを確認できるようにさらに構成される場合がある。
【0057】
Bluetoothプロトコルスタック48は、チャネルマップ、アクセス識別子、次のチャネル、および、次のチャネルまでの時間をアプリケーション47に提供するように構成されている。Bluetoothプロトコルスタック48は、アプリケーション47への送信、および、受信イベントのタイムスタンプのタイミング信号、および/または、無線通信チップセット41のデジタルPIN出力を出力するように構成されている。通信ゲートウェイ29はまた、タイミング信号を受け入れるように構成され、車両インターフェース45と連携して機能して、接続情報メッセージおよび他の通信の正確なタイムスタンプを作成するタイミング同期モジュール44を含む。
【0058】
引き続き
図4を参照し、通信ゲートウェイ29は、タイミング情報およびチャネルマップ情報をそれぞれタイミング制御モジュール25に提供することができる。通信ゲートウェイ29は、接続情報配信モジュール24への進行中の接続およびタイミング制御モジュール25へのタイミング信号に対応する情報を提供するように構成される場合があり、その結果、センサ31が通信リンク50を発見し、および追跡し、または盗聴することができる。
【0059】
さらに、無線通信チップセット41は、Phone-as-a-key(PaaK)モジュール49を含み、これは、制御モジュール20のプロセッサによって実行可能であり、読み取り専用メモリ(ROM)やランダムアクセスメモリ(RAM)などの非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されるアプリケーションコードによって実装される。PaaKモジュール49は、メッセージパケットからトーンバイト(以下に示されている)を除去し、メッセージパケットを再構成するように構成されている。トーンバイトを除去し、メッセージパケットを再構築するためのアルゴリズムの例は、2018年12月6日に出願され、DENSO International America Inc.に譲渡された16/211,330に記載されており、それは全体的に参照により援用されている。
【0060】
図5Aおよび5B(まとめて
図5)は、
図2の通信リンク50の到着角度を決定するように構成された例示的な電子システム4を示す。電子システム4は、例えば、アンテナ43および/またはアンテナ52-1、52-2、52-3(まとめてアンテナ52と呼ばれる)、結合回路56-1、56-2、56-3(まとめて結合回路56と呼ばれる)、入力フィルタ回路58-1、58-2、58-3(まとめて入力フィルタ回路58と呼ばれる)、およびスイッチング回路60を含む。一実施形態では、結合回路56、入力フィルタ回路58、およびスイッチング回路60は、プリント回路基板(PCB)上に配置することができる。
【0061】
アンテナ52のそれぞれは、様々な位相(0度、90度、180度、および270度、または0度、-90度、-180度、および-270度)において、携帯機器10によって送信されたRF信号を受信するように構成されている。1つの例示的な実施形態では、アンテナ52は、四重アンテナによって実装される。アンテナ52は、接地54または結合回路56のいずれかに電気的に結合される場合があり、結合回路56は、3dB90度ハイブリッドカプラによって実装される場合がある。各結合回路56は、それぞれのアンテナ52から受信されたRF信号を結合し、例えば、90度の位相差を有する信号を出力するように構成されている。信号の不一致からの反射は、結合回路56の絶縁ポートを介して接地に提供される。
【0062】
各アンテナのアンテナ素子は、異なる位相において、複数の信号をそれぞれに受信する。一例として、アンテナ素子70A、72A、74A、76Aは、0度、-90度、-180度、および-270度のそれぞれの位相でRF信号を受信することができる。このシステム4は、アンテナごとにひとつまたは複数(n)のアンテナ素子を含むことができ、結合回路56は、360°/nのステップで位相入力を有する。位相の符号、正と負の位相の定義、および右偏向対左偏向は、アンテナ43、52がアンテナの上面に向かって大きなゲインを持ち、アンテナの下面に向かって小さなゲインを持つように提供されている。
【0063】
一実施形態では、アンテナ要素の対は、それぞれのバランおよび/または他のインピーダンス整合回路要素に接続され、各バランは、一方の出力が接地面に接続され、他方の出力が結合回路56の対応するひとつに接続される2つの出力を有する。したがって、アンテナ43、52のそれぞれは、2つのバランに接続されてもよく、2つのバランは、同じ結合回路に接続される2つの出力を有する。結合回路56は、3dB90度ハイブリッドカプラによって実装することができる。結合回路56は、同軸コネクタ化され、および表面実装パッケージ内の直交(90度)および180度ハイブリッドなどの、ハイブリッドカプラおよび/またはハイブリッドスプリッタ/コンバイナなどのハイブリッドデバイスを含んでいてもよい。一実施形態では、結合回路56は、それぞれのインピーダンス整合回路を含む。
【0064】
各結合回路56は、対応するアンテナ素子から受信されたRF信号を結合し、例えば、90度の位相差を有する信号を出力するように構成されている。信号の不一致からの反射は、結合回路56の絶縁ポートを介して接地面に提供される。
【0065】
結合回路56は、入力フィルタ回路58を介してスイッチング回路60に信号を提供するように構成され、入力フィルタ回路58は、アンテナ43、52に関連する帯域外周波数範囲からの不要な信号を拒否するように構成される場合がある。一実施形態では、入力フィルタ回路58は、ひとつまたは複数のデカップリングコンデンサ(decoupling capacitors)によって実装することができる。一実施形態では、結合回路56は、各アンテナ要素からの入力信号を受信し、入力信号を360度/nの倍数、ここで、nは要素の数である、で位相シフトし、対応する結果の無線周波数信号を加算的に単一の出力信号に結合し、これは入力フィルタ回路58に提供される。
【0066】
各結合回路56からの信号の受信に応答して、スイッチング回路60は、信号の1つを選択的に出力するように構成されている。一例として、制御信号(VCTRL)をスイッチング回路60の第1の制御ポートに提供することに応答して、スイッチング回路60は、アンテナ52-1に関連付けられた信号を制御モジュール20に出力するように構成されている。スイッチング回路60の第2の制御ポートに制御信号を提供することに応答して、スイッチング回路60は、アンテナ52-2に関連付けられた信号を制御モジュール20に出力するように構成されている。同様に、スイッチング回路60の第1および第2の制御ポートの両方に制御信号を提供することに応答して、スイッチング回路60は、アンテナ52-3に関連付けられた信号を制御モジュール20に出力するように構成されている。スイッチング回路60の制御ポートに制御信号を提供するために、スイッチング回路60の2:3トランジスタ・トランジスタ論理/相補型金属酸化膜半導体(2:3 TTL/CMOS)互換デコーダは、制御電圧発生器回路に電気的に結合され得るスイッチング回路60の2つの制御ポートを選択的に作動させる。送受信機21は、スーパーヘテロダイン型の受信機であってもよい。マイクロプロセッサは、アンテナ43、52が位相ロックループ(PLL)に近いRF信号、例えば、PLL+250KHzを受信するように、送受信機21およびスイッチを構成する。
【0067】
制御モジュール20が信号の1つを受信し、増幅器を介して信号を送信することに応答して、0度(同相(I))および90度(直交相(Q))ミキサ、ローパスフィルタ、同相および直行相アナログ-デジタル(ADC)、および中間周波数信号を0Hz信号にダウンコンバートする処理回路、ここで、プロセッサは+250KHz正弦波のIQ値を受信する。
【0068】
制御モジュール20は、アンテナ43、52のそれぞれ1つである0Hz_IF_IQ信号の位相角、およびアンテナシステムの少なくとも1つの対の0Hz_IF_IQ信号間の少なくとも1つの位相角差を決定するように構成されている。位相角は、アンテナシステム内のアンテナ43、52のそれぞれの1つによって受信される信号の1つの同相成分と直角位相成分の間の角度を指す。
【0069】
0Hz_IF_IQ信号の位相角および少なくともひとつの位相角差を決定するために、制御モジュール20は、RAMおよび/またはROMのような非一時的なコンピュータ可読メモリ内の命令を実行するように構成されているひとつまたは複数のプロセッサを含む場合がある。さらに、制御モジュール20は、少なくともひとつの位相差に基づいて到着角度を決定するように構成される場合がある。結合回路56、入力フィルタ回路58、およびスイッチング回路60は、PCB上に配置することができる。
【0070】
電子システム4は、対応する回路トポロジを使用して制御信号(VCTRL)を生成し、アンテナシステムの少なくともひとつの位相角の差、および、アンテナ43、52のそれぞれの0Hz_IF_IQ信号の位相角を決定するように構成されたマイクロコントローラ80を含む。0Hz_IF_IQ信号の位相角および少なくともひとつの位相角差を決定するために、マイクロコントローラ80は、RAMおよび/またはROMのような非一時的なコンピュータ可読メモリ内の命令を実行するように構成されているひとつまたは複数のプロセッサを含む場合がある。命令は、例えば、スイッチング回路60から受信された信号(RF FEED)を0Hz_IF_IQ信号の位相角に変換し、その後少なくともひとつの位相角差を決定するためのアルゴリズムを含む場合がある。
【0071】
電子システム4はまた、電源(例えば、12Vを出力するDC電源)から受け取った電力を、マイクロコントローラ80に適した電圧レベルに変換するように構成されている場合がある。一実施形態では、保護回路250は、電源から電力を受け取り、保護回路250は、高周波信号およびノイズを抑制するように構成されている。一例として、保護回路250は、フェライトビーズおよびバイパスコンデンサフィルタ回路を含む場合がある。
【0072】
電圧調整器260は、保護回路250から、電源の電圧値と等しい電圧値を持つフィルタされた電力信号(VP)を受け取る。電圧調整器260は、フィルタリングされた電力信号を、マイクロコントローラ80に適した3.3ボルトなどの電圧値を有する第2の論理信号(VLOGIC)に変換する。電圧調整器260は、例えば、電圧調整器ICまたは降圧コンバータ回路によって実装することができる。
【0073】
LINバス送受信機280は、マイクロコントローラ80から位相角測定値を受信し、それらをLINバス、および、チョークおよびキャパシタ回路網290を介して制御モジュール20に送信するように構成される場合がある。追加的にまたは代替的に、LINバス送受信機280は、少なくともひとつの位相角差または少なくともひとつの到着角度測定値をマイクロコントローラ80から受信し、それらをLINバス、および、チョークおよびキャパシタ回路網290を介して制御モジュール20に送信するように構成される場合がある。一例として、チョークおよびキャパシタ回路網290は、少なくともひとつのフェライトビーズおよびバイパスコンデンサフィルタと、少なくともひとつのフェライトビーズおよびバイパスコンデンサフィルタに並列に電気的に結合されたツェナーダイオードとを含む場合がある。追加的に、LINバス送受信機280は、保護回路250からフィルタリングされた電力信号を受信し、LINバス送受信機280は、フィルタリングされた電力信号を第2の論理信号(VLOGIC)に変換する電圧レギュレータICを含む場合がある。
【0074】
チョーク回路網300および電磁干渉(EMI)フィルタ回路310は、マイクロコントローラ80から受信および/またはマイクロコントローラ80に送信される信号に存在するノイズを抑制するように構成されている。チョーク回路網300は、例えば、複数のフェライトビーズによって実装することができる。EMIフィルタ回路310は、例えば、EMIフィルタアレイを含む集積回路によって実装することができる。
【0075】
デバッグ回路320は、オペレータがマイクロコントローラ80などのPCBの様々な回路の機能をテストできるように構成されている。さらに、オペレータは、デバッグ回路320を介してマイクロコントローラ80のソフトウェアを更新および/またはロードすることができる。デバッグ回路320は、ジョイントテストアクショングループ(JTAG)標準インターフェースまたはシリアルワイヤデバッグ(SWD)標準インターフェースなど、オペレータが機能をテストするか、マイクロコントローラ80のソフトウェアを更新できるようにするための様々なインターフェースを含む場合がある。
【0076】
マイクロコントローラ80は、論理信号のノイズがマイクロコントローラ80を損傷するのを防ぐように構成される場合がある少なくともひとつのキャパシタ回路網330を介してマイクロコントローラ80の様々なポートで論理信号(VLOGIC)を受信するように構成される場合がある。
【0077】
いくつかの実施形態では、マイクロコントローラ80は、マイクロコントローラ80がBluetooth通信リンクを介して周辺デバイスと通信することを可能にするBluetooth送受信機回路を含む場合がある。
【0078】
マイクロコントローラ80は、例えば、EMIフィルタアレイを含む集積回路によって実装される場合があるEMIフィルタ回路340を介してスイッチング回路60に制御信号を提供するように構成される場合がある。制御信号の1つを受信することに応答して、スイッチング回路60は、上述のように、結合回路56を介して受信された信号の1つを選択的に出力するように構成されている。一例として、スイッチング回路60に提供される第1の制御信号に応答して、スイッチング回路60は、アンテナ52-1に関連する信号をマイクロコントローラ80に出力するように構成されている。スイッチング回路60に提供される第2の制御信号に応答して、スイッチング回路60は、アンテナ52-2に関連する信号をマイクロコントローラ80に出力するように構成されている。同様に、スイッチング回路60に提供される第3の制御信号に応答して、スイッチング回路60は、アンテナ52-3に関連する信号をマイクロコントローラ80に出力するように構成されている。
【0079】
信号の1つを受信するマイクロコントローラ80に応答して、マイクロコントローラ80は、対応するアンテナ43、52の0Hz_IF_IQ信号の位相角およびアンテナシステムの少なくともひとつの位相角差を決定するように構成されている。さらに、マイクロコントローラ80は、少なくともひとつの位相差に基づいて到着角度を決定するように構成される場合がある。
【0080】
図6を参照すると、スイッチング回路60、システムオンチップ受信機72(SoC)およびマイクロコントローラ80を含むアンテナ送受信機システム70の例示的な機能ブロック図が示されている。以下でさらに詳細に説明するように、マイクロコントローラ80は、スイッチング回路60によって選択的に出力される信号のひとつに基づいてアンテナシステムの到着角度を決定するように構成されている。一実施形態では、SoC受信機72は、ひとつまたは複数の受信経路を含むことができ、各受信経路は、それぞれの増幅器82、周波数ミキサ84、フィルタおよび増幅器88、ならびに同相直角位相アナログ/デジタル変換器90(IQ_ADC)を有する。図示の例では、2つの受信経路は、スイッチング回路60の2つのアンテナ出力のために提供されている。スイッチング回路60は、非常に多くのアンテナ出力を有することができる。各アンテナ出力は、
図5のアンテナ52のひとつ、および/または、アンテナ素子70A、72A、74A、76Aのひとつまたは複数と関連付けられている場合がある。0Hz中間周波数(IF)コンバータ92は、各受信経路とマイクロコントローラ80との間に接続されている。IFコンバータ92は、SoC受信機72、マイクロコントローラ80に実装されてもよく、または図示のように別個であってもよい。マイクロコントローラ80は、位相角差決定モジュール405および較正曲線生成器モジュール410を含む場合がある。
図2の制御モジュール20は、または、プロセッサ37は、位相角差制限決定モジュール420、較正指標430、および到着角度決定モジュール440を含む場合がある。一実施形態では、位相角差制限決定モジュール420、較正指標430、および到着角度決定モジュール440は、マイクロコントローラ80によって実装されている。
【0081】
IQ_ADC90、0Hz_IFコンバータ92、位相角差決定モジュール405、較正曲線生成器モジュール410、位相角差限界決定モジュール420、および到着角度決定モジュール440は、ひとつまたは複数のプロセッサによって実装することができ、それらは、RAMおよび/またはROMなどの非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された命令を実行するように構成されている。
【0082】
増幅器82は、信号を増幅するように構成され、例えば、演算増幅器によって実装することができる。周波数ミキサ84は、増幅された信号を新しい中間信号に変更するために、増幅器82からの増幅された信号および局部発振器86からの混合信号を受信するように構成されている。フィルタおよび増幅器88は、中間信号を増幅し、中間信号の周波数を特定の帯域幅に制限することによって分析信号を生成するように構成される場合がある。一実施形態では、フィルタおよび増幅器88は、演算増幅器および帯域通過フィルタまたは低域フィルタのいずれかによって実装される。別の実施形態では、フィルタおよび増幅器88は、帯域通過フィルタとして実装される場合、中間周波数または周波数のセットを通過させる。フィルタおよび増幅器88は、ローパスフィルタとして実装された場合、低周波数または周波数のセットを通過させることができる。
【0083】
一例として、周波数ミキサ84は、例えば2.4GHzから2.4835GHzの周波数を有する増幅された信号を受信する。周波数ミキサ84は、フェーズロックループ回路によって実装される局部発振器86からミキシング信号を受信し、中間信号を生成するために増幅信号とミキシング信号をミキシングする。引き続き、フィルタおよび増幅器88は、中間信号を増幅し、中間信号の周波数を特定の帯域幅、例えば250kHz、に制限することによって分析信号を生成する。
【0084】
IQ_ADC90は、中間信号をアナログ信号からデジタル分析信号に変換するように構成される。0Hz_IFコンバータ92は、デジタル分析信号の余弦成分(すなわち、同相成分)および正弦成分(すなわち、直角位相成分)を取得するように構成されている。続いて、位相角差決定モジュール405は、余弦成分(Iまたは同相成分)および正弦成分(Qまたは直角位相成分)に基づいて、アンテナ43、52の0Hz_IF_IQ信号の位相角を決定するように構成されている。特定の例として、位相角差決定モジュール405は、正弦成分の振幅および余弦成分の振幅の逆正接関数を実行することによって位相角を決定することができる。さらに、位相角差決定モジュール405は、一対のアンテナの各アンテナの位相角に基づいて、アンテナシステムの一対のアンテナ間の位相角差を決定するように構成される場合がある。より具体的な例として、IQコンバータ92は、アクセスアドレス部分、プリアンブル部分、巡回冗長検査部分、またはプロトコルデータユニットの一部などのBLEパケットの一定部分を表すデジタルデータの余弦成分および正弦成分を取得するように構成されている。一定部分は、パケットを受信する前に既知であるパケットの事前に既知の部分である。BLEパケットについては、
図7Aから7Bを参照して、以下においてさらに詳細に説明される。さらに、IQコンバータ92は、所定のサンプリング期間の正弦成分および余弦成分を取得するように構成され、これは、スイッチング回路60のスイッチングレートに関連付けられる。一実施形態では、サンプリング期間は4マイクロ秒(μs)である。
【0085】
位相差決定モジュール405は、携帯機器10のさまざまな位置のために、アンテナシステムの一対のアンテナ間の位相角差値(例えば、アンテナ52-1および52-3などのアンテナの外側の対間の位相角差値)を決定するように構成されている。一例として、位相角差決定モジュール405は、アンテナシステムと携帯機器10との間の各方位角(すなわち、0度から360度)に対するアンテナの対間の位相角差を決定するように構成されている。
【0086】
さらに、位相角差決定モジュール405は、携帯機器10の様々な通信チャネルのためのアンテナシステムの一対のアンテナ間の位相角差値を決定するように構成されている。一例として、位相角差決定モジュール405は、BLE通信チャネルごとにアンテナの対間の位相角差を決定するように構成されている。
【0087】
較正曲線生成器モジュール410は、位相角差決定モジュール405によって取得された情報に基づいて複数の参照曲線を生成するように構成されている。一例として、較正曲線生成器410は、第1のBLE通信チャネルに関連付けられた第1の基準曲線を生成するように構成される場合があり、第1の基準曲線は、各方位角に対するアンテナ対の測定された位相角差を表す場合がある。さらに、較正曲線生成器410は、BLE通信チャネルごとに基準曲線を生成することができ、追加の基準曲線のそれぞれは、方位角ごとのアンテナ対の測定された位相角差値を表す。追加的に、較正曲線生成器モジュール410は、第1の参照曲線および少なくとも1つの追加の参照曲線に基づいて較正曲線を生成するように構成されている。
【0088】
位相差制限決定モジュール420は、各通信チャネルの位相角差制限を生成するように構成されている。一例として、位相角差の制限は、アンテナシステムのボアサイトからの事前定義された距離に関連付けられている(例えば、特定の通信チャネルの位相角差の値の制限は、ボアサイトから+/-80度における較正曲線における位相角差の値として定義されている)。別の例として、位相角差の制限は、特定の通信チャネルの基準曲線の幾何学に基づいて決定されてもよい。より具体的には、位相角差の限界は、基準曲線の導関数が所定の量だけ変化する基準曲線上の位置に関連付けられる場合がある。位相角差の制限は、各通信チャネルで同じにすることができる。他の実施形態では、各通信チャネルは、異なる位相角差の限界を有する場合がある。
【0089】
較正曲線生成器モジュール410および位相角差限界決定モジュール420は、較正された曲線および位相角差限界をそれぞれ較正指数430に格納するように構成されている。較正指数430とアンテナ対の位相角差を使用して、到着角度決定モジュール440は、それぞれのチャネルの較正曲線および/または位相角差限界を参照することにより、携帯機器10の位置を決定するように構成されている。位相角差および通信チャネルを使用して、それぞれの到着角度決定モジュール440は、第1の通信チャネルに関連する較正曲線および/または位相角差の限界を参照し、携帯機器10とそれぞれのアンテナ43との間の方位角を決定することができる。各アンテナ43によって得られた各方位角を使用して、制御モジュール20は、車両30に対する携帯機器10の位置を決定するように構成される場合がある。
【0090】
少なくとも一対のアンテナ52間の位相角差に基づいて、到着角度決定モジュール96は、無線信号の到着角度(AoA)を決定するように構成されている。複数のアンテナシステム43によって得られたAoA測定値を使用して、制御モジュール20は、車両30に対する携帯機器10の位置を決定するように構成されている。
【0091】
図7Aから7Bを参照して、メッセージパケット100の例示的な図が示されている。いくつかの実施形態では、メッセージパケット100は、プリアンブル部分102(Preamble)、アクセスアドレス部分104(Access Address)、プロトコルデータユニット部分106(Protcol Data Unit(PDU))、および巡回冗長検査部分108(Cyclic Redundancy Check(CRC))を含む場合がある。PDU106は、論理リンク識別子(LLID)ビット、次に予期されるシーケンス番号(NESN)ビット、シーケンス番号(SN)ビット、追加データ(MD)ビット、長さビット(Length)、および、将来使用するために予約されているビット(RFU)を含むヘッダ部分110(Header)を含む場合がある。LLIDビットは、メッセージパケット100がデータまたは制御メッセージを含むかどうかを示すことができる。NESNビットおよびSNビットは、確認応答とフロー制御のシーケンス番号を表す場合がある。MDビットは、携帯機器10と通信ゲートウェイ29とが通信リンク50を介して通信している間に、携帯機器10が追加のメッセージパケット100を送信するつもりであるかどうかを示すことができる。長さビットは、PDU106のペイロード120(Payload)の長さを表すことができる。
【0092】
一実施形態では、トーンバイト122(Tone Byte)および/または連続波(CW)トーン124(CWTone)は、ペイロード120の様々な場所にランダムに挿入される場合がある。一例として、
図7Aに示すように、トーンバイト122は、CWトーン124(例えば、それぞれが1のバイナリ値を有するガウス周波数シフトキーイング値のCWトーン)とノンスバイト(Nonce Byte)との間に配置される場合がある。他の実施形態では、トーンバイト122および/またはCWトーン124は、ペイロード120の他の任意の場所に配置される場合がある。
【0093】
別の例として、
図7Bに示されるように、CWトーン124は、PDU106の外側であって、かつ、CRC108の後に配置される場合がある。他の実施形態では、CWトーン124は、プリアンブル部分102の前、プリアンブル部102とアクセスアドレス部104との間、アクセスアドレス部分104とPDU106との間、または、PDU106とCRC108との間に配置されてもよい。
【0094】
図8を参照すると、メッセージパケット100の到着角度を計算するための制御アルゴリズム800のフローチャートが示されている。制御アルゴリズム800は、例えば、携帯機器10が通信ゲートウェイ29に接続され、接続されることを許可される804から始まる。一例として、携帯機器10は、リンク認証モジュール22がチャレンジレスポンス認証を首尾よく実行したことに応答して、通信ゲートウェイ29に接続することを許可される。808において、制御アルゴリズム800は、アンテナシステム43を使用して、BLE信号を受信する。812において、制御アルゴリズム800は、スイッチング回路60を使用して、アンテナシステム43の第1アンテナ52を選択する。
【0095】
いくつかの実施形態では、対応するアンテナ送受信機システム70は、アンテナ出力を備えたスイッチング回路60と、複数の増幅器、中間周波数フィルタおよび増幅器、IQ_ADC、および、IQコンバータを備えた無線受信機とを含み、それぞれが複数のアンテナから複数のIQ流れを同時に受信できるようにし、各々は同じ局部発振器を参照している。これにより、異なるアンテナからの同時IQサンプルの位相角を差し引いて、到着時間の差を表す差を作成できる。単一のマイクロコントローラ80が示されているが、マイクロコントローラ80は、各受信経路に対して実装されていてもよい。
【0096】
816において、制御アルゴリズム800は、マイクロコントローラ80を使用して、トーンバイト(122)またはCWトーン(124)を含むBLE信号に基づいて分析信号を生成する。820において、制御アルゴリズム800は、ADC90を使用して、分析信号をBLE信号を表すデジタルデータに変換する。824において、制御アルゴリズム800は、マイクロコントローラ80を使用して、BLE信号の一定および/または既知の部分(例えば、アクセスアドレス部分104)を表すデジタルデータの余弦成分および正弦成分を分析信号として取得する。832において、制御アルゴリズム800は、マイクロコントローラ80を使用して、サンプリング期間が経過したかどうかを判定する。そうである場合、制御アルゴリズム800は836に進み、そうでない場合、制御アルゴリズム800は824に進む。
【0097】
836において、制御アルゴリズム800は、マイクロコントローラ80を使用して、アンテナシステム43の各アンテナ52について振幅サンプルが得られたかどうかを決定する。そうである場合、制御アルゴリズム800は844に進み、そうでない場合、制御アルゴリズム800は840に進み、そこで制御アルゴリズム800はアンテナシステム43の次のアンテナ52を選択し、次に816に進む。844において、制御アルゴリズム800は、マイクロコントローラ80を使用して、正弦成分の振幅および対応する余弦成分の振幅に基づいて位相角を決定する。一例として、マイクロコントローラ80は、正弦成分の振幅および対応する余弦成分の振幅の逆正接関数を実行することによって位相角を決定することができる。
【0098】
848において、制御アルゴリズム800は、アンテナシステム43の少なくとも1対のアンテナについて、マイクロコントローラ80または制御モジュール20を使用して、それぞれの位相角に基づいて少なくとも1つの位相角差を決定する。一例として、サンプリング期間中、第1のアンテナ52-1について、マイクロコントローラ80は、正弦成分の振幅のサンプルのセット(例えば、8つのサンプルまたは他の所定数のサンプル)、および、余弦成分の振幅のサンプルのセット(例えば、8つのサンプルまたは他の所定数のサンプル)を得ることができ、これらのサンプルを使用して、位相角差決定モジュール94は、上述のように、8つの位相角を決定することができる。続いて、マイクロコントローラ80は、これらのステップを繰り返して、第2のアンテナ52-2および/または第3のアンテナ52-3の8つの位相角と、第1のアンテナ52-1の8つの追加の位相角を取得する。一対のアンテナ52の対応する位相角サンプル間の差(すなわち、アンテナ52-1の位相角の第1の反復の第1のサンプル、アンテナ52-2またはアンテナ52-3の位相角の第1の反復の第1のサンプル、および、アンテナ52-1の位相角の第2の反復の第1のサンプル)、それぞれの対のアンテナ52を隔てる距離、および/または各反復の間に得られたサンプルの数に基づいて、位相角差決定モジュール94は、それぞれの対のアンテナ間の位相角差を決定する場合がある。いくつかの実施形態では、位相角差決定モジュール94は、位相角差決定の精度を改善するために位相アンラッピングアルゴリズム(phase unwrapping algorithm)を実行することができる。
【0099】
追加的に848において、BLE信号に基づく解析信号が、一定のトーンを作成する一定の(同一の)「1」または「0」シンボルのガウス周波数シフトキー付き(Gaussian Frequency Shift Keyed)系列を送信する場合、位相角差として捕捉される位相シフトでもあるすべての周波数シフトが、主にアンテナの選択およびアンテナおよび送信機の幾何学的形状に起因するアンテナでの位相の到達時間の異なる時間によって引き起こされるものとして、92aまたは92bでの一定の残留周波数を有するものとして帰着することが明らかである。アンテナが切り替えられていなかった場合、一定の残留周波数が受信される。これは、86と84Aまたは84Bとによって生成される搬送周波数と、一定の送信トーンを構成するガウス周波数シフトキー付き(Gaussian Frequency Shift Keyed)定数シンボルの周波数との間の瞬時周波数の差である。これは、アンテナ切り替えなしの予測残留周波数シーケンスである。848が位相差を計算すると、IQサンプルが取得された時間に基づいて、予測された残留周波数シーケンス(残留位相変動とも呼ばれる)が差し引かれる。
【0100】
追加的に848において、BLE信号に基づく分析信号が、ガウス周波数シフトキー付きの変動分析信号を生成するガウス周波数シフトキー付きの「1」または「0」信号を含む事前に知られたシーケンスを含む事前に知られたトーンバイトまたは複数バイトに基づく事前に知られた部分である場合、残留信号は、92Aまたは92Bにおいて事前に知られた変動残差周波数(残差位相変動とも呼ばれる)を有する。アンテナが切り替えられなかった場合、残留信号が受信される。これは、キャリアと変動する解析信号との間の瞬時周波数の違いである。繰り返し、これは、アンテナ切り替えなしの予測残留周波数シーケンスである。繰り返し、848が位相差を計算すると、IQサンプルが取得された時間に基づいて、予測された残留周波数シーケンス(残留位相変動とも呼ばれる)が差し引かれる。
【0101】
残留周波数が変化する解析信号の送受信において、部品ごと、周波数ごと、温度ごと、電圧ごとの変動のためである。制御アルゴリズムは、アンテナを切り替えることなく、所定の周波数および温度における分析信号の1から0および0から1の遷移のうち、92Aまたは92BにおけるIQサンプルを記録し、それらを使用して、アンテナを切り替えることなく、予測された残留周波数シーケンスを構築してもよい。繰り返し、848が位相差を計算すると、IQサンプルが取得された時間に基づいて、残留周波数(残留位相変動とも呼ばれる)が差し引かれる。
【0102】
852において、制御アルゴリズム800は、アンテナシステム43の少なくとも一対のアンテナ52について、マイクロコントローラ80を使用して、ステップ848からの位相角差と、それぞれの少なくとも一対のアンテナ52を隔てる距離とを使用して、それぞれの少なくとも一対のアンテナ52の位相角差の平均位相角差に基づいて、BLE信号の到着角度を決定する。856において、制御アルゴリズム800は終了する。
【0103】
さらに、制御アルゴリズム800は、それぞれのセンサ31のアンテナシステム43のうちの少なくとも1つによって取得された到着角に基づいて、携帯機器10の位置および/または携帯機器10と車両30との間の距離を決定することができる。一例として、制御アルゴリズム800は、携帯機器10が、第1のセンサ31Aへの到着角度を表す第1の線と第2のセンサ31Bへの到着角度を表す第2の線との交点に位置すると決定することができる。
【0104】
制御アルゴリズム800は、マイクロコントローラ80を使用して、(i)決定された位相角差および(ii)較正曲線または対応する位相角差の限界に基づいて、携帯機器10の到着角度を決定することができる。一例として、マイクロコントローラ80は、決定された位相角差に関連する較正曲線上の方位角を識別することによって到着角度を決定することができる。代替的に、マイクロコントローラ80は、決定された位相角差および通信リンク50の通信チャネルに関連する位相角差限界に関連する較正曲線上の方位角を特定することによって到着角度を決定することができる。到着角度は、決定された方位角に、基づいているか、等しいか、および/または、直接的に関係している。制御アルゴリズム800は、制御モジュール20を使用して、センサ31によって取得された各到着角に基づいて、車両30に対する携帯機器10の位置を決定することができる。
【0105】
制御モジュール20は、携帯機器10の決定された位置に基づいて、またはそれに応答して、車両ドアのロックを解除し、車両(例えば、車両30)へのアクセスを提供し、窓を開け、車両の始動を許可し、および/または、他のタスクを実行する。
【0106】
この教示によれば、方法は、複数のアンテナを使用して、パケット、ここで、パケットは、既知の部分を有するデータを含んでいる、を含む無線信号を受信することを含む。この方法はまた、送受信機またはマイクロコントローラのうちの少なくとも1つを使用して、(i)複数のアンテナの第1のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第1のデジタルデータのセット、および(ii)複数のアンテナの第2のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第2のデジタルデータのセットを生成することを含む。方法は、マイクロコントローラを使用して、(i)第1のデジタルデータのセットの既知の部分の余弦成分を表す第1のサンプル、および(ii)第1のデジタルデータのセットの既知の部分の正弦成分を表す第2のサンプルを取得することを含む。方法は、マイクロコントローラを使用して、(i)第2のデジタルデータのセットの既知の部分の余弦成分を表す第3のサンプル、および(ii)第2のデジタルデータのセットの既知の部分の正弦成分を表す第4のサンプルを取得することを含む。方法は、マイクロコントローラのプロセッサ、ここで、プロセッサは、非一時的なコンピュータ可読メモリに格納された命令を実行するように構成されている、を使用して、(i)第1のサンプルの振幅および第2のサンプルの振幅に基づいて第1のアンテナに関連付けられた第1の位相角値を決定し、(ii)第3のサンプルの振幅および第4のサンプルの振幅に基づいて第2のアンテナに関連付けられた第2の位相角値を決定することを含む。方法は、プロセッサを使用して、第1の位相角値と第2の位相角値の間の差に基づいて到着角度を決定することを含む。
【0107】
他の特徴では、無線通信信号はBluetooth信号である。
【0108】
他の特徴では、第1のデジタルデータのセットの一定部分はBluetooth信号のアクセスアドレス部分であり、第2のデジタルデータのセットの既知の部分はBluetooth信号のアクセスアドレス部分である。
【0109】
他の特徴では、第1のデジタルデータのセットの一定部分は、Bluetooth信号のプリアンブル部分および巡回冗長検査部分のいずれかひとつであり、第2のデジタルデータのセットの既知の部分は、Bluetooth信号のプリアンブル部分および巡回冗長検査部分のいずれかひとつである。
【0110】
他の特徴では、Bluetooth信号は、プリアンブル部分、アクセスアドレス部分、プロトコルデータユニット部分、および巡回冗長検査部分を含む。
【0111】
他の特徴では、Bluetooth信号に一定波形(CW)のトーン部分が含まれている。
【0112】
他の特徴では、方法は、マイクロコントローラのIQジェネレータを使用して、第1のサンプル、第2のサンプル、第3のサンプル、および第4のサンプルを取得することを含む。
【0113】
他の特徴では、方法は、スイッチング回路を使用して、第1のアンテナをマイクロコントローラに結合すること、サンプリング期間の経過に応答して、スイッチング回路を使用して、マイクロコントローラから第1のアンテナを切断すること、および、マイクロコントローラに第2のアンテナを結合することを含む。
【0114】
他の特徴では、方法は、第1の位相角値を決定することは、プロセッサを使用して、第1のサンプルの振幅および第2のサンプルの振幅に基づいて逆正接関数を実行することをさらに含む。
【0115】
他の特徴では、方法は、第2の位相角値を決定することは、プロセッサを使用して、第3のサンプルの振幅および第4のサンプルの振幅に基づいて逆正接関数を実行することをさらに含む。
【0116】
他の特徴では、生成することは、複数の受信経路およびひとつまたは複数のマイクロコントローラを同時に使用して、(i)複数のアンテナの第1のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第1のデジタルデータのセット、および、(ii)複数のアンテナのうちの第2のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第2のデジタルデータのセットを受信することを含む。
【0117】
この教示によれば、システムは、複数のアンテナを使用して、パケット、ここで、パケットは、既知の部分を有するデータを含んでいる、を含む無線信号を受信するように構成されている。システムは、さらに、(i)複数のアンテナの第1のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第1のデジタルデータのセット、および(ii)複数のアンテナのうちの第2のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第2のデジタルデータのセットを生成するように構成されている送受信機を含む。システムは、さらに、(i)第1のデジタルデータのセットの既知の部分の余弦成分を表す第1のサンプル、および(ii)第1のデジタルデータのセットの既知の部分の正弦成分を表す第2のサンプルを取得し、および(i)第2のデジタルデータのセットの既知の部分の余弦成分を表す第3のサンプル、および(ii)第2のデジタルデータのセットの既知の部分の正弦成分を表す第4のサンプルを取得するように構成されているマイクロコントローラを含む。マイクロコントローラは、非一時的なコンピュータ可読メモリに格納された命令を実行するように構成されたプロセッサを含み、命令は、(i)第1のサンプルの振幅および第2のサンプルの振幅に基づいて第1のアンテナに関連付けられた第1の位相角値、および、(ii)第3のサンプルの振幅および第4のサンプルの振幅に基づいて第2のアンテナに関連付けられた第2の位相角値を決定すること、および第1の位相角値と第2の位相角値との差に基づいて到着角度を決定することを含む。
【0118】
他の特徴では、無線通信信号はBluetooth信号である。
【0119】
他の特徴では、第1のデジタルデータのセットの既知の部分はBluetooth信号のアクセスアドレス部分であり、第2のデジタルデータのセットの既知の部分はBluetooth信号のアクセスアドレス部分である。
【0120】
他の特徴では、第1のデジタルデータのセットの既知の部分は、Bluetooth信号のプリアンブル部分および巡回冗長検査部分のいずれかひとつであり、第2のデジタルデータのセットの既知の部分は、Bluetooth信号のプリアンブル部分および巡回冗長検査部分のいずれかひとつである。
【0121】
他の特徴では、Bluetooth信号は、プリアンブル部分、アクセスアドレス部分、プロトコルデータユニット部分、および巡回冗長検査部分を含む。
【0122】
他の特徴では、Bluetooth信号に一定波形(CW)のトーン部分が含まれている。
【0123】
他の特徴では、システムは、マイクロコントローラのIQジェネレータをさらに含み、IQジェネレータは、第1のサンプル、第2のサンプル、第3のサンプル、および第4のサンプルを取得するように構成されている。
【0124】
他の特徴では、システムは、第1のアンテナをマイクロコントローラに結合し、サンプリング期間の経過に応じて、第1のアンテナをマイクロコントローラから切断し、第2のアンテナをマイクロコントローラに結合するように構成されているスイッチング回路をさらに含む。
【0125】
他の特徴では、プロセッサは、第1のサンプルの振幅および第2のサンプルの振幅に基づいて逆正接関数を実行することにより、第1の位相角値を決定するように構成されている。
【0126】
他の特徴では、プロセッサは、第3のサンプルの振幅および第4のサンプルの振幅に基づいて逆正接関数を実行することにより、第1の位相角値を決定するように構成されている。
【0127】
他の特徴では、生成することは、複数の受信経路およびひとつまたは複数のマイクロコントローラを同時に使用して、(i)複数のアンテナの第1のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第1のデジタルデータのセット、および、(ii)複数のアンテナのうちの第2のアンテナを使用して受信された既知の部分を表す第2のデジタルデータのセットを受信することを含む。
【0128】
以上に述べた説明は、事実上単なる例示であり、この開示、その用途、または使用を限定するものでは決してない。この開示の広範な教示は、様々な形態で実施することができる。したがって、この開示は特定の実施形態を含むが、この開示の真の範囲は、図面、明細書、および、特許請求の範囲から明らかになるであろうから、それに限定されるべきではない。方法におけるひとつまたは複数のステップは、この開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または同時に)実行され得ることが理解されるべきである。さらに、各実施形態は、特定の特徴を有するものとして上述のように説明されているが、この開示の任意の実施形態に関して説明された特徴のうちの任意のひとつまたは複数は、他の実施形態のいずれかの特徴の代わりに、および/または、それら特徴の組み合わせが明示的には記述されていないとしても、それら特徴の組み合わせによって、実施されてもよい。言い換えると、記載されている実施形態は、相互に排他的ではなく、ひとつまたは複数の実施形態の互いの置換え、変更は、この開示の範囲内である。
【0129】
「接続された」、「連結された」、「結合された」、「隣接した」、「隣り合う」、「頂部に」、「上に」、「下に」、および、「設けられる」などの様々な用語を用いて、要素間の空間的、および、機能的関係(例えば、複数のモジュールの間、複数の回路要素の間、複数の半導体層の間など)が説明されている。「直接」と明示的に記載されていない限り、第1の要素と第2の要素との間の関係が上記の開示に記載される場合、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係である場合があるが、第1の要素と第2の要素との間にひとつまたは複数の介在要素が存在する(空間的にも機能的にも)間接的な関係である場合もある。この明細書では、「A、B、および、Cの少なくともひとつ」の語句は、非排他的論理和を使用する論理(AorBorC)を意味するものと解釈されるべきであり、「少なくともひとつのA、少なくともひとつのB、および、少なくともひとつのC」を意味するものと解釈されるべきではない。
【0130】
図面において、矢印の方向は、矢印記号によって示されるように、一般的に、図示において重要な情報(データまたは命令など)の流れを示している。たとえば、要素Aと要素Bがさまざまな情報を交換しているが、要素Aから要素Bに送信される情報が図に関連している場合、矢印は要素Aから要素Bを指す場合があり、さらに、要素Aから要素Bに送信される情報の場合、要素Bは情報の要求または受信確認を要素Aに送信することができる。
【0131】
この出願において、以下の定義を含めて、用語「モジュール」または用語「コントローラ」は、用語「電子装置」または用語「回路」に置き換えられてもよい。用語「モジュール」は、下記の要素の一部によって、または下記の要素を包含することによって提供される。その要素は、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル式、アナログ式、またはアナログ/デジタル混合式のディスクリート回路、デジタル式、アナログ式、またはアナログ/デジタル混合式の集積回路、組合せ論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コードを実行する(共有、専用、またはグループの)プロセッサ回路、プロセッサ回路によって実行されるコードを格納する(共有、専用、またはグループの)メモリ回路、説明された機能を提供する他の適切なハードウェアコンポーネント、または、システムオンチップ(SYSTEM-ON-CHIP)のような上記の要素の一部または全部の組み合わせを含む。
【0132】
モジュールは、ひとつまたは複数のインターフェース回路を含むことができる。いくつかの例では、インターフェース回路は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN)、またはそれらの組み合わせに接続された有線または無線インターフェースを含むことができる。この開示の任意の所与のモジュールの機能は、インターフェース回路を介して接続される複数のモジュールに分散されてもよい。たとえば、複数のモジュールで負荷調整が可能である。さらなる例では、サーバ(リモートまたはクラウドとしても知られている)モジュールは、クライアントモジュールに代わっていくつかの機能を達成することができる。
【0133】
用語「命令(code)」は、上記したように、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはマイクロコードを含むことができ、プログラム、ルーチン、機能、クラス、データ構造、および/または、オブジェクトを指すことができる。共有プロセッサ回路という用語は、複数のモジュールからのコードの一部または全部を実行する単一のプロセッサ回路を含む。グループプロセッサ回路という用語は、追加のプロセッサ回路と組み合わせて、ひとつまたは複数のモジュールからのいくつかまたはすべてのコードを実行するプロセッサ回路を包含する。複数のプロセッサ回路への言及は、ディスクリートな基盤上の複数のプロセッサ回路、単一の基盤上の複数のプロセッサ回路、単一のプロセッサ回路の複数のコア、単一のプロセッサ回路の複数のスレッド、または上記の組み合わせを含む。共有メモリ回路という用語は、複数のモジュールからのコードの一部または全部を格納する単一のメモリ回路を含む。グループメモリ回路という用語は、追加のメモリと組み合わせて、ひとつまたは複数のモジュールからのコードの一部または全部を記憶するメモリ回路を包含する。
【0134】
メモリ回路という用語は、コンピュータ読み取り可能な媒体という用語の一要素である。用語「コンピュータ読み取り可能な媒体」は、(搬送波上のような)媒体を通って伝搬する一時的な電気的または電磁的信号を包含することはなく、したがって、用語「コンピュータ読み取り可能な媒体」は、実体的かつ非一時的(非遷移的)であると解釈される。非一時的な実体的なコンピュータ読み取り可能な媒体非限定的な例は、不揮発性メモリ回路(フラッシュメモリ回路、消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ回路、またはマスク型の読み出し専用メモリ回路など)、揮発性メモリ回路(例えば、スタティックランダムアクセスメモリ回路またはダイナミックランダムアクセスメモリ回路)、磁気記憶媒体(アナログまたはデジタル磁気テープまたはハードディスクドライブなど)、光記憶媒体(CD、DVD、またはブルーレイディスク)である。
【0135】
このアプリケーションについて説明された装置、および、方法は、コンピュータプログラムに組み込まれたひとつまたは複数の特定の機能を実行する汎用コンピュータを構成することによって作成された専用コンピュータによって部分的または完全に実装されてもよい。上記の機能ブロックとフローチャート要素は、ソフトウェア仕様として機能し、熟練した技術者またはプログラマの日常業務によってコンピュータプログラムに変換できる。
【0136】
コンピュータプログラムは、少なくともひとつの非一時的かつ実体的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されたプロセッサ実行可能命令を含む。コンピュータプログラムは、格納されたデータを含むか、またはそれに依存することができる。コンピュータプログラムは、専用コンピュータのハードウェアと相互作用する基本入出力システム(BIOS)、専用コンピュータの特定のデバイスと相互作用するデバイスドライバ、ひとつまたは複数のオペレーティングシステム、ユーザアプリケーション、バックグラウンドサービス、バックグラウンドアプリケーションなどを含む。
【0137】
コンピュータプログラムには、(i)HTML(ハイパーテキストマークアップ言語)またはXML(拡張マークアップ言語)などの解析対象の説明テキスト、(ii)アセンブリコード、(iii)コンパイラによってソースコードから生成されたオブジェクトコード、(iv)インタプリタによる実行のためのソースコード、(v)ジャストインタイムコンパイラによるコンパイルおよび実行のためのソースコードなどを含む。例として、ソースコードは、以下に列挙する言語を用いて記述される場合がある:C、C++、C#、Objective-C、Swift、Haskell、Go、SQL、R、Lisp、Java(登録商標)、Fortran、Perl、Pascal、Curl、OCaml、Javascript(登録商標)、HTML5(Hypertext Markup Language 5th revision)、Ada、ASP(Active Server Pages)、PHP(PHP:Hypertext Preprocessor)、Scala、Eiffel、Smalltalk、Erlang、Ruby、Flash(登録商標)、Visual Basic(登録商標)、Lua、MATLAB、SIMULINK、およびPython(登録商標)。
【0138】
上述の複数の実施形態の説明は、例示および説明のために提供されたものである。この開示は、網羅的であること、または開示を限定することを意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般にその特定の実施形態に限定されないが、適用可能であれば、交換可能であり、特に示されていないまたは記載されていない場合でも選択された実施形態で使用できる。同じことは、多様に変化することができる。そのような変形は、開示からの逸脱とみなされるべきではなく、そのような変更のすべては、この開示の範囲内に含まれることが意図されている。